腰痛を抱える人のトレーニングのための7つのコツ パート2/2

#4 胸郭を解放する 何年もかけて、私が発見したことの一つは、腰部に問題を抱えている人々は、多くの場合、胸郭の動きが少ししか(あるいは全く)ないということです。 私は、この発見に関して全ての賞賛を貰いたいところですが、私の豆サイズの脳の中でこの考えを具体化させたのは、実は2016年のフィジカルプリパレーションサミットでのビル・ハートマンの話でした。 まずはじめに、「胸郭」という単語を恐れないでください。こちらが定義です: “哺乳類の首と腹部の間の身体部分。肋骨に囲まれた腔、胸骨、背側椎骨を含み、循環と呼吸の主要器官を内包する;胸” つまり基本的に、胸と上背部のエリアのことです。 胸郭を解放する際、私は一般的に、胸郭の動きを大まかに二つ考えています: 胸郭を回旋する(より横断面の動き) 胸郭を屈曲する(より前額面の動き) この描写に関して、より詳細または技術的にすることができる人は確実にいると思いますが、レーナード・スキードのように、私はシンプルな男なので、これで行きます! 私達が胸郭を回旋について語る際、腕の動作はより水平に注目しています(前後と考えてください)。 片膝立ちのオルターネーティングケーブルプレスは、素晴らしい例です。私たちの目標は、下半身とコアを固定し、胸郭を通して、上から回旋を引き出すことです。

マイク・ロバートソン 3154字

腰痛を抱える人のトレーニングのための7つのコツ パート1/2

私は、このトレーニングというものを20年近く行ってきて、皆さんに一つ言えることがあります: あなたとトレーニングをするほぼ全てのクライアントやアスリートは、何らかの問題を抱えています。 実際、痛みや問題が全くない新しいクライアントやアスリートのトレーニングを行うことは、近所のコーヒーショップでハリー・ポッターに会うようなものです。 それってすごいことじゃないですか?もちろんです! 美味しいアメリカーノを飲みながら、悪のヴォルテモート卿を打ち負かすことについて話したくない人なんていないでしょう? しかし残念ながら、それは(もしあったとしても)滅多にないことなのです。 膝や股関節、肩の機能不全を抱える人々が間違いなくある程度いる一方で、腰部の問題ほど、トレーニングによる成果を押しつぶす怪我は他にないように感じています。 腰部に関する問題は、確かに扱うことが厄介になり得ますが、同時に、それがあらゆるリフティングのキャリアの終了宣告になるべきではありません。 事実、その背景となる可能性のある全ての問題に重点を置いた、全体的なトレーニングプログラムをまとめるときには、クライアントを今までよりも、そしてそれが怪我をした後だとしても、より大きく、より引き締まった、より強い身体にすることができると、私は強く信じています。 先にも述べたように、私はもう長いことこういったトレーニングを行っていますーそれは、私に十分すぎるほどの失敗をさせてもくれました。 今から述べるのは、腰痛を抱えるクライアントやアスリートのトレーニングを助けるだけでなく、そのプロセスを通して、彼らが限りなく良く動き、良く感じることを助けるために、私が長年使ってきた7つの策略です。 はっきりさせておきたいので(そして個人的な責任のために)、これを言わせてください: 腰部に深刻な問題を抱えているクライアントやアスリートがいたら、真剣なトレーニングプログラムを始める前に、資格ある医学の専門家に許可をもらってください。 ではさっさと本題に入りましょう、腰痛に対してどのようなトレーニングができるかについて! #1 矢状面から抜け出せ 私にはパワーリフティングをしていた経歴があり、全ての人がプログラムの中に健全な量の爆発的な、複合的リフトが必要だと強く信じています。 スクワットであれ、デッドリフトであれ、ベンチプレスであれ、これらのリフトは、あなたの強さを増し、筋肉を構築し、体脂肪を削ぐことに役立ちます。 しかし、私が全てのクライアントやアスリートにこれらのリフトのバリエーションや派生的なものを学んで欲しいと思っていても、場合によっては、それが困難な戦いになるとわかっています。 クライアントがやってくるときは大抵、彼らは矢状面の扱い方を理解していません。身体を安定させるための彼らの唯一の戦略は、膝、股関節、そしてもちろん腰部に問題を引き起こし得る、伸展です。 そのため、伸展ベースの戦略に陥ることを許してしまう両側性のスタンスのエクササイズはやらせずに、動きの3面で安定させることを強いるスプリットスタンスやシングルレッグのエクササイズをやってもらいます。 これは、腰部に問題を抱える人に対して、複数の良いことをしてくれています: 動きの3面全てで安定させることを強いる スプリットスタンスのエクササイズの場合、股関節屈筋群の緊張および硬さ(伸展を促進する)を和らげる スプリットスタンスおよびシングルレッグのリフトでは、外的負荷を減らす傾向にあり、それが症状の緩和につながる ここで私は、あなたがクライアントやアスリートにスクワットやデッドリフトをさせることはできないとは言っていません。先に述べたように、私の目標は、最終的には全員がこれらのリフトの何らかのバリエーションを行うようにすることです。 でも初期段階で、誰かが両側性のリフトに相当苦しんでいるとしたら、問題の周囲から取り組み、スプリットスタンスやシングルレッグのエクササイズを使うことを考えてください。 #2 直立姿勢を保つ フロントスクワットは高重量でできるのに、次にヒンジをさせると、クリスマスツリーのように腰が点灯するクライアントやアスリートを抱えたことはありますか? もちろんありますね。 私たちは皆あります。 広い、一般論を述べるのは好きではありませんが、多くの場合、腰部は圧倒的に、剪断力よりも圧縮の力をうまく扱っています。 次のパートは少しわかりにくいかもしれませんが、最善を尽くして簡単にします… 脊柱をまっすぐに保つ時(プレート、ゴブレット、2つのケトルベルを持ったフロントスクワットでするように)、脊柱の椎骨は互いに積み重ねられています。重力が下に引くことを考えると、胴体が直立していれば、力は脊柱を通してまっすぐ下にに向かいます。 対照的に、前屈したり、ヒンジを行う時は、重力は同じく下に引っぱりますが、脊柱は地面に対して平行になります。この場合、椎骨は、互いに”滑る“ことがないように働きます - 椎骨は脊柱の本来の位置を保つために剪断力に対抗しています。 繰り返すと- ほとんどの脊柱は、最初は剪断力よりも圧縮の力を好みます。 これこそが、私が腰部に問題を抱える人にプログラムの初期でスクワットをさせるとすれば、上体を起こした状態で行うバリエーションに留まる理由です。プレートやゴブレットスクワットは、どちらも始めるのにとても良いものです。 #3 本物の腹筋を構築する クライアントやアスリートから下記のような言葉を何度聞いたかわかりません: “私はただ腰が弱いんです。” いや。 いや。 いや、いや、いや、いや、いや、いや。 復唱してくださいーあなたは弱い腰を持ってはいません。 脊柱および骨盤のポジションが悪いと、腹部は安定性を作り出すのに最適ではない位置に置かれ、腰部の筋肉(脊柱起立筋、多裂筋など)が通常の役割以上に働くことを強いられます。 今では、私はこのトピックに関しては、覚えられないほど多くの記事を書いていますので、私のコアトレーニングへのアプローチに関してより学びたい場合には、是非ともこちらの記事を読むことから始めてください。 とにかく、あなたが抱えるクライアントやアスリートが腰部に関する問題に苦しんでいるのなら、プログラミングの初期の段階で、安全に成功するためのコアトレーニングエクササイズを見つけてください。

マイク・ロバートソン 2771字

殿筋…

活発なライフスタイルを送っているのであれば、いくつかのことを当たり前だと思い始めます。 休暇は大きな問題を提起しているようです。 私には、いくつかの警告サインがあります: プールやビーチで、自分がより多く着込んでいることに気づくかどうか 目的地から50フィート以上離れていて、スーツケースにローラーが必要になるかどうか 氷を得るために上の階に階段であがるのが、暑く息切れするような休暇の経験の考えになっているかどうか —>これは、フィットネスの基本を振り返る時間かもしれません。 直近の旅行において、これらの問題は起こりませんでした。しかし、友人のエドナにはこれが起きたのです。エドナは過去数年で体重が増加してきており、その心配事のおかげで、私たちはプールの近くで討論を行いました。そして、コンディションが悪くなってしまうほとんどの人と同じように、彼女には1つの大きな問題があり、それを持ち続けています。 もし私がフィットネスの魔法の杖を持っているなら、それぞれの人に殿筋のセットを与えることでしょう。私は、簡単な評価をエドナに行いました:彼女の両手を持ち、両脚の間にスクワットするよう促しました。彼女は、そのポジションをとることができないだけでなく、前傾になり、身体をかなり前に倒さなければならず、私が彼女を引っ張って、立位に戻りました。 殿筋は人体にとっての大きなエンジンです。我々霊長類の祖先と比較し、殿筋が文字通り我々を人間にしてくれています。殿筋を無視すると、単にお尻が垂れ下がるだけでなく、殿筋を無視することがパワーの低下、スピードの低下、率直に言うと、年老いた見た目を招きます。殿筋を再び目覚めさせましょう。 理想的には、もしスクワットを深く高負荷で行っているなら、デッドリフトとファーマーウォークを行うことで、臀部の活動をより強調することになります。スクワットを学び直す必要があるならば、まず第一に殿筋を見直しましょう。私には、フィットネス年齢を計ることができる3つのテストとその理論があります: 立位ロングジャンプで少なくても身長分跳ぶことができるか? バーに少なくとも30秒間ぶら下がれるか? 30秒間ディープスクワットのポジションに入っていられるか、また、援助なしに立ち上がれるか? 3つとも可能であれば、できる限りこれら「3つのイエス」を継続してください。 殿筋を目覚めさせる最初の鍵は、スクワットのやり方を思い出すことです。1つの大きな概念があります:アコーディオンのように脚の上にスクワットするのではなく、脚の間にスクワットすること。私は、2つのドリルを使ってこのことを教えます。まず、背筋を伸ばして立ち、手をまっすぐ下に伸ばし負荷を持ちます(必要なものは軽いダンベルだけです)。両手は脚の内側に置きます。そして、両手、両前腕、そして上腕が左右の太ももを離すのを感じながら下にしゃがむことで、両脚の間に「スペースを見つける」ことができます。 この皮膚と皮膚のコンタクトによって、自信をもって脚の間に身体を滑らせていくことが行えるようになります。私はこれをポテトサックスクワットと呼びます、なぜなら、それはまるで重たい袋を床にゆっくりおろしていくように見えるからです。この1つのシンプルなエクササイズが、多くの人にとって未来のスクワットへの道を照らしてくれることになるでしょう。 もちろん次は、ゴブレットスクワットです。このエクササイズは、何年も前、65名の14歳のアスリートのグループに、深く、確実なスクワットを教えることを試みた際に私が考案したものです。これは、とても単純です:胸の前でウエイトを持つ。そして、右肘を使って右膝を外に押します。そして、左肘を使って左膝を外に押します。胸を高く保ちます。おめでとう、ディープスクワットしていますよ。 私の知っている臀筋に効かせるもっとも良い方法は、サーキットで鍛えることです。私はスクワットにプロパープッシュアップを混ぜて行うことを好みます。ジム・ジョーンズから教わったプロパープッシュアップはシンプルです:普通のプッシュアップですが、胸が地面に着いた時に、両手をTの位置に広げ、プッシュアップする際に一般的なプッシュアップのポジションに戻る、と言うところのみが異なっています。毎回床まで胸を降ろし、Tポジションをとります。 以下を試してください: ゴブレットスクワット10回/プロパープッシュアップ10回 ゴブレットスクワット9回/プロパープッシュアップ9回 ゴブレットスクワット8回/プロパープッシュアップ8回 ゴブレットスクワット7回/プロパープッシュアップ7回 ゴブレットスクワット6回/プロパープッシュアップ6回 ゴブレットスクワット5回/プロパープッシュアップ5回 ゴブレットスクワット4回/プロパープッシュアップ4回 ゴブレットスクワット3回/プロパープッシュアップ3回 ゴブレットスクワット2回/プロパープッシュアップ2回 ゴブレットスクワット1回/プロパープッシュアップ1回   もし本当にお尻を目覚めさせたいのであれば、ジムで我々が行なっている「バンズ&ガンズ」という複合型を試してください。 これを2-5セット行います:  床でのヒップスラスト25回 ゴブレットスクワット10回 ケトルベルスイング15回 足首にミニバンドを巻いたラテラルウォーク(基本はできなくなるまでか、スペースがなくなるまで) 多くの旅行で、 私は道具なしでこのワークアウトを行います。場所をとらないので、大抵ミニバンドは荷物に放り込みます。ホテルの部屋で行います: ヒップスラスト25回 「フリー」ゴブレットスクワット10回(ウエイトなし) スイング15回(ウエイトがない場合、我々はそれを「ストップ&ポップス」と呼び、スイングの頂上でのプランクを強く意識しています。) ミニバンドを使用したラテラルウォーク この中で、セット数を覚えておくために「カウンドダウン」としてゴブレットスクワットを使用することができます。最初のセットでは、10回行う、そして2セット目は9回、、、1回になるまで行います。量を落としたいのであれば、10-8-6-4-2を試してください。   スクワットをマスターし、厳しくトレーニングすれば臀筋を活性し続けることができます。ビーチにいる人々からあなたが離れていくとき、彼らもまた、その光景に感謝するでしょう。

ダン・ジョン 2727字

自己効力感:よく使われる用語ではあるが、十分に理解されているのか?

自己効力感は、最近、特にリハビリへのよりアクティブなアプローチが受け入れられるようになったことで、治療の現場でもかなり一般的に使われている用語です。 そこで、一体それがどのような意味なのか、なぜ重要なのか、そして、どのように高められるのか?などを明確にしなくてはなりません。 実は、私がこのブログを書いている最中に、私のツイッター友達でもあり同僚でもあるジェリー・ダラムが、その質問をしてきたので、この題材にちょうど良いタイミング!と思ったわけです。そしてこれはまた、頻繁に使用する用語に対して、しっくりくる定義がないということも表しています。 まず、それがどのような意味なのか?から取りかかりましょう これは、70年代にバンドゥーラによって作られた用語で、彼はそれを、‘特定の活動に関連したある行動を遂行する能力があるという信念’と説明しました。 また、自己効力感は、‘レジリエンス(立ち直る力)のある自己信念システム’とも説明されました。 私は、これを“私に任せて”や“私にできる”という感覚だと説明したいと思います。 たとえ痛みがあっても、日常生活の活動を実行したり、機能性を維持したりする能力の認識、あるいはするなどは、痛みに関しての自己効力感となり得、また、特定の運動やエクササイズといった運動療法にもなり得ます。 そこで、もし、あなたの親切なセラピストが、腰痛の改善のために散歩に出かけることを提案したとして、あなたはそうしてみようと思うでしょうか? やる気が起こらないかもしれませんね? おそらく体力的にできるのかどうか自信がないかもしれませんね? 忙しくて、そのようなことをする時間が取れないと思うかもしれませんね? 低い自己効力感は、克服できることではなく回避すべき恐怖としてとらえる行動の変化という結果的に厳しい状況に陥ることがあります。 バンドゥーラは、認知的、動機付け的、情動的(感情的)といった、自己効力感に関与する多くの心理的過程を明らかにしました。価値のある目標を持つことや活動をすることも、これらの要因に関連しているようです。自己効力感やレジリエンス(立ち直る力)に関する文献は、この過程の重要な部分である価値のある活動を重視しています。ここをクリック さらに、バンドゥーラは、自己効力感を生み出す4つの源を明示しました。 熟達 活動や動作にどれだけ熟達しているかは、将来の能力への認識に影響を及ぼします。人間は、周囲で起こる不確実なことに対して、過去の経験をもとに推測し見当をつけるものであることが分かり始めています。私たちは、過去に何らかの成功を経験していれば、再び克服できると知覚する傾向にあります。これは、成功のしやすさにも関係します。その成功が容易だった場合、いざ困難に直面したらすぐに辞めてしまうかもしれません。また、それが成功しづらかった場合には、目の前に立ちはだかるどんな困難も乗り越えることに慣れているかもしれません。 このように見てみると、これまでのエクササイズの継続や積極的な取り組みが、将来のエクササイズの継続にとって重要であることが分かります。ここをクリック 経験 私たちを取り巻く環境も、能力に対する認識に影響します。あなたと似た境遇にいる、つまり自分が成し遂げようとしていることと似ていることにチャレンジしている人が周囲にいたならば、このような目標は達成可能であるとあなたは認識するでしょう。これは、私たちが目にするメディアから所属している社会活動や家族までの幅広い環境であるかもしれません。このことは、痛みの社会的側面を強調しており、非常に重要と思われます。 痛みの社会的要因に関する最近の素晴らしい論文があります。ここをクリック 説得 さて、これはプラスにもマイナスにもなり得ます。もちろん、プラスによりもマイナスに影響されやすいものです!しかし、特にこれまでの成功体験を重要な要素として捉えるならば、ある作業を成し遂げる能力があることを口頭や経験で説得されると、その人は、その作業を遂行することができる傾向にあります。 ネガティブな感情 ある活動に抱いている強烈なネガティブ感情やその活動にまつわるマイナスの認識も、その人が持っている自己効力感の程度に影響するでしょう。自信喪失は、たいてい行動にマイナスに働く感情です。 そこで、なぜそれが重要であるのか? これも確認しておかなくてはなりません。 複数の論文において、自己効力感は、さまざまな障害や疼痛の尺度において、よりよくない結果にリンク付けされているように見受けられます。現時点では、これが要因であるとか、自己効力感を高めれば、アウトカムも改善することに繋がるとは単純には言えません。しかし、もし危険を承知で言うなら、特に、治療の一環としてアクティブアプローチをより推奨しているのであれば、やはり因果関係はあると思うのです。 もちろん治療のためのエクササイズは、実施されなければ意味がありません。そして、もし、私たちがその治療を患者に施せなければ、エビデンスに基づく医療はうまくいきません。 2010年、フォスターは、通常の活動を行う能力に対して低い自信や低い自己効力感を持つ腰痛患者において、6ヶ月で障害が悪化すると予測されることを明らかにしました。実際、不安回避や破局的思考、鬱よりも良かったとされています。ここをクリック 2014年、キーディは、痛の管理に関連した行動に着手する能力、痛みに関する自己効力感がないことは、腰痛のためのリハビリテーションの結果に関係していることを示しました。ここをクリック 2018年のチェンによる腰痛に関する5年間のフォローアップでは(ここをクリック)、消極的行動尺度が大きいほど結果が悪くなることも判明しました。消極的な対処方法は、痛みを制御するために、自己効力感にも影響する信念システム(ここをクリック)のような内的要素よりも外的要素に頼ってしまいます。 自己効力感は、エクササイズによる介入の継続に必須であるとされています。これらの研究では、低い自己効力感は、ホームエクササイズプログラムを組んでも継続しない予測因子でした(ここをクリック & ここをクリック)。エクササイズの根本に目を向けてみると、もし本人がそのエクササイズをできる気がしないのであれば、全く無駄な過程になってしまいます。セット数やレップ数に注目するよりもこの領域に時間を費やした方が、エクササイズの継続を劇的に改善でき、結果にもつながるかもしれません。 私はこれを、ドーナッツ本体ではなくその穴に注目する、と言っています。 それを変えるためには何ができるでしょうか? 成功! 最初のステップは、単純に成功体験を作ることかもしれません! これまでにエクササイズが継続できたことや改善できたという成功は、自己効力感を高めることにつながっており、人間の機能に関するベイズの観点と結びつきます。ですから、私たちのねらいとして、低い自己効力感を示す人たちに対し、容易に適応でき改善が早く見られるように、活動の閾値を低く設定するべきかもしれません。私たちは、たいてい身体的な負荷とその適応が期待できる活動の量にばかり気を取られてしまいます。これは、人によっては潜在的にマイナスの経験を引き起こしており、治療への参加を促す妨げとなるかもしれません。初期のプラスな経験がなければ長期的に継続可能な成功に達することができないかもしれません。つまり、短期的には、生理学的にはそれほどではなくとも、心理学的には良いことなのかもしれませんが、治療への参加を継続することによって長期にわたりもっと素晴らしい生理学的効果を期待できるかもしれません。 エクササイズセッションを退屈しない楽しいものにするだけで、非常に効果のある結果が出せるのかもしれません。しかし、たいてい西洋医学の分野では、このようなことをあまり重要視していません。人はなぜスポーツをするのでしょうか? 単なる身体運動ということ以上に、いろいろな側面を楽しむためでしょう。 多くの場合人々は、チャレンジや面白さ、競争などに駆動されますが、このような側面をトレーニングにどのぐらいの頻度で取り入れますか? エクササイズや運動に関しての自己効力感を測定するために私がよく尋ねる質問は: 「動くことやエクササイズすることに対して自信を持っていると思いますか?」 「あなたは必要に応じて活動レベルを上げることができると思いますか?」 「運動やエクササイズをすることに対してやる気があると思いますか?」 動機付け 動機付けもまた、自己効力感の重要な側面でもあるようです。実際に動機付けになる何かを探す手助けをすることも重要かもしれず、またこれは、価値のある運動を特定する目標設定の過程で行われるかもしれません。そして、私たちは、それを達成可能なものに細かく分け、その人に動機付けを与えられるような小さな成功を生み出していきます。いわゆる、彼らの‘なぜ’を見つける手助けです。 エクササイズをする人が関心を持たないようなエクササイズプログラムがたくさんあります。特に、これまでにひとつもプログラムに参加したことがければ、そのエクササイズは彼らにとって十分な‘なぜ’ではありません。 私たちは、次のように質問してみます“活動に関して、あなたにとっての完璧な日とはどのようなものですか?”または、“あなたがしない、またはできないことでやってみたいことは何ですか?” また、自立性は、エクササイズの成功に関連するもう一つの要素であるため(ここをクリック)、‘これはあなたがやらなければならないエクササイズですよ’というアプローチよりも、選択肢やオプションを提供することが有効です。 計画 いつ頃どの程度行うのかを一緒に計画を立ててみることもまた、自己効力感に影響を与えるかもしれません。何らかのガイダンスがなければ、彼ら自身でそれが行なえるようになることは、制限因子となるかもしれず、運動への参加は、非常に大きな挑戦のように感じるかもしれません。 ベストな日はいつですか? 1日のうちで何時ぐらいにしますか? どのようなタイプにしますか? どのぐらいの時間行いますか? どのぐらいの強度にしますか? スマートフォンにリマインダーを設定しますか? どのように進めていきますか? これが成功しない場合の他の選択肢は何ですか? 結論 これまでの行動の経験は、将来の自己効力感に影響します。 社会的環境と支援は重要です。 自己効力感は、治療への積極的な参加を促したり妨げたりします。 自己効力感は、痛みや障害の結果に関与します。 自己効力感は、エクササイズの継続にとって重要です。 行動に関する勝利や良い経験を作りましょう。 自己効力感が低い場合、計画と動機付けという観点から、あなたが発信する情報が肝要となります。

ベン・コーマック 4631字

リハビリテーションでピリオダイゼーションを用いる

Bridging the Gap From Rehab to Performanceの187-190ページより抜粋 最もシンプルな表現をすれば、ピリオダイゼーションは、望ましい結果を出すための一定期間に渡るトレーニングストレスの操作です[i]。それは年間トレーニングを通じて複数のサイクルで構成されています。マクロサイクルは一年間という期間で、複数のメゾサイクルから成り立っています。各メゾサイクルは、ある特定の目標を達成することを目的としており、それぞれが、一般的に5日から14日間続く複数のミクロサイクルで構成されています。複数のトレーニング日がミクロサイクルを構成し、複数のミクロサイクルがメゾサイクルを構成します。 従来の環境にいる理学療法士は大抵、その人の全マクロサイクルを最初から最後まで見るほど長く患者と働くことはありません。しかしながら、リハビリの過程自体はメゾサイクルであると考えられるかもしれません。 他のスポーツ医学専門家たちとうまく働けるように、クリニシャンがこれらのストレングス&コンディショニングのコンセプトを理解することは重要です。これはケアチーム全体が、アスリートをできるだけ速やかに、しかし再受傷のリスクを上げることなく、最大能力で競技に復帰させるための行動可能な計画を立てるのに役立つでしょう。 リハビリのピリオダイゼーション ピリオダイゼーションの原則は、アスリートのトレーニングを作成することに限定される必要はありません。ピリオダイゼーションはまた、私たちがリハビリとパフォーマンスの間の溝を埋める中で、様々なリハビリテーション段階に応用されることができます[ii]。私たちはリハビリを、リハビリを完了するというゴールを持ったメゾサイクルであると考えることができます。ミクロサイクルはその途中のより小さな活動になります。 例えば、もしある人が手術後であれば、第一ミクロサイクルのゴールは、全可動域を取り戻すことができるでしょう。第二ミクロサイクルでは、バランスと固有受容器に焦点をあてるかもしれません。第三ミクロサイクルは神経筋系コントロールに専念することができるでしょう。 これは、各ミクロサイクルが一つの身体的特性にのみしか焦点をあてることができない、ということではありません。次のコンセプトのように、リハビリテーションプログラムを期分けするにはたくさんの方法があります。 リニア(直線的) このモデルでは、私たちは一つの身体的特性を次から次へと訓練するために、周期的な順序付けを用います。私たちはまず可動域に取り組み、それからバランスや固有受容器に、そしてそれから精神運動制御や筋力に取り組むことができるでしょう。 全てのリハビリの線形進行は、患者の必要性に基づき異なるかもしれませんが、多くのクリニシャンは、必要な動きを取り戻すことが優先であることに賛同しています。筋力とバランスはどの時点でも取り組まれますが、可動域はその後のリハビリ過程における他の多数の問題を防ぐために早期に取り戻されなくてはなりません。 コンカレント(並行的) コンカレントトレーニング(並行して行うトレーニング)中、私たちは1メゾサイクルの中で、複数の競合する身体的特性に取り組みます。生理学的観点からは、筋力と持久力は“競合している”ように見えるでしょうし、コンカレントトレーニングプログラムの一部となるでしょう[iii]。 大量の持久力トレーニングは筋力の増加に負の影響を与える一方、長時間の低出力の運動は筋力トレーニングの導入によってごくわずかな影響を受けるだけです。もしあなたがマラソンランナーと働いているのならば、ストレングストレーニングの導入が持久力の質に与える影響はごくわずかでしょう[iv]。 しかしながら、フットボール選手や、あまり頻繁に有酸素的に機能しない人をトレーニングするとき、長時間の低負荷の活動を行うことは、筋力やパワーの向上に負の影響を与えかねます。この考えを理解することは重要です:筋力とパワートレーニングは、持久系アスリートを非常に助ける一方、持久系トレーニングは、よりパワーを必要とする人には負の影響を与えうるのです。 トレーニングをしていない人々においては、干渉効果はごくわずかです。しかしながら、中程度、あるいは高度にトレーニングをしているアスリートにおいては、コンカレントトレーニングはRFD(力の立ち上がり率)、あるいはパワーに対して、絶対筋力よりも大きな影響を与えます[v]。 複合的 複合的プログラミングでは、1メゾサイクルの中で複数の補足的特性を訓練していきます。例としては、筋力とパワー、あるいは体性感覚制御と精神運動制御を含むかもしれません。 リハビリの観点から言えば、私たちは間違いなく、正しい筋肉を正しいタイミングで発火させることに取り組みながら、それと同時に、ある関節のバランスや固有受容器の向上に取り組むことができます。これらのうち一つに取り組むことは、その他の進行に干渉することはありません。それゆえに、これらは複合的なプログラミングだと考えられます。 集中的 焦点を絞ったトレーニングは、単独の身体特性を向上させることを目的に、短期間の高いトレーニングストレスを含むものです。私たちは、アスリートがリハビリの筋力トレーニング局面に近づいてきたらよくこの方法を使います。 たとえば、もしあるアスリートの受傷した関節が硬くなってきているようであれば、クリニシャンは、この可動域を大きくすることはますます難しくなるばかりかもしれない、あるいはそのままにしておけば不可能にすらなるかもしれない、と心配するかもしれません。クリニシャンは、その関節の能動的または受動的可動域を取り戻すために全力で取り組むためには、1週間または2週間必要だと決めるかもしれません。筋力あるいはバランスのその他考慮すべきことのすべては、アスリートがその関節の自然な可動域を回復させることができるまで保留にされるでしょう。 私たちは、集中的なメゾサイクルの順次的まとまりであるブロックを使うこともできます。 アスリートが競技復帰に近づいているとき、私たちはプログラムを徐々にテーパリングする必要があるかもしれません。これは競技前に超回復を促進するための、急速な量または強度の減少です。 テーパリング段階がないかもしれないし、ただリハビリからパフォーマンスへの溝を埋めるときにだけ使われるかもしれません。アスリートは通常、競技復帰段階に至るまでゆっくり発展し鍛えるため、わたしたちは一日の短い休息期間を用いるだけか、競技に復帰する前に真のテーパリングを用いるかもしれません。 最後に、アスリートが競技に復帰する直前に、リハビリの連続体の最後に来る競技前段階があります。 たとえば、もしある野球選手がAAAリーグで数日間夕方にプレーするなら、テーパー(漸減)は、その翌日にプレーするために大リーグに合流する前の移動日一日の休みのみでしょう。これをチームマネジャーと議論する際、あなたは、アスリートが丸一試合でなく数イニングだけ競技に復帰するのが最良であると判断するかもしれません。強度の向上を伴うこの量の減少は、アスリートが完全に競技復帰する前のテーパ―として十分かもしれません。 このコンセプトは、ストレングス&コンディショニングの専門家と協力して計画されています。それぞれの状況は、ケアの連続体に携わる者全員によって評価されなくてはなりません。こうすることにより、アスリートを復帰に備えさせ、長期的な健康を守る適切な競技復帰計画を考案することができるのです。 まとめ 筋力は、パワーの基礎的な構成要素です。最終的に、アスリートは競技に復帰するために様々な負荷やスピードで動けなくてはなりません。リハビリからパフォーマンスへの溝を埋めるとき、アスリートにこれを行う準備をさせることは最重要です。ストレングス&コンディショニングコーチたちは、これらのコンセプトをリハビリテーションプログラムに適用することに不慣れな医療従事者にとっての重要な援助となるでしょう。 もしあなたが筋力トレーニングの原則を理解し、それらをあなたのリハビリテーションプログラムにどのように安全に適用するかを知っていれば、それはあなたのアスリートが競技復帰の準備をする際に役立つでしょう。 参照 [i] Benjamin Rosenblatt, “Planning a Performance Programme,” High Performance Training for Sports, Dan Lewindon and David Joyce, editors, 248-249. [ii] DL Hoover, “Periodization and Physical Therapy: Bridging the Gap Between Training and Rehabilitation,” Physical Therapy in Sport, March 2016. [iii] Glenn Stewart, “Minimizing the Interference Effect,” High Performance Training for Sports, Dan Lewindon and David Joyce, editors, 246-247. [iv] J Mikkola et al, “Neuromuscular and Cardiovascular Adaptations During Concurrent Strength and Endurance Training in Untrained Men,” International Journal of Sports Medicine, September 2012. [v] JM Wilson et al, “Concurrent Training: a Meta-Analysis Examining Interference of Aerobic and Resistance Exercises,” Journal of Strength and Conditioning Research, August 2012.

スー・ファルソニ 4359字

ACWRのリハビリへの応用

手術後や受傷後のアスリートなど病理学的なプロトコールの制限がある場合、低下している慢性的(長期的)トレーニング負荷に対して何かできることはあるのでしょうか?ACWR(急性:慢性トレーニング負荷割合)のリハビリへの応用方法についてティムが質問に答えます。

ティム・ギャベット 5:21

「私の子供を速く走れるようにしてくれ」

私達は、多くの若いアスリート達を指導しているため、このような質問を毎週数回はされます。 「息子/娘にスピードトレーニングはやりますか?彼/彼女は速くなる必要があります。」 私は頭の中でいつもこう考えています。「いいえ、私たちのプログラムは全て、アスリートを遅くするようにできています。本当に私たちが得意としていることはそれです。」 冗談はさておき、私の口から出る言葉は全く異なります。私たちのトレーニングアプローチは、その若いアスリートが発逹段階のどこにいるかによって決まり、子供はそれぞれ特有であることを説明しなければならないからです。 一方で、可動性および安定性が著しく低い、つまり非常に悪い身体コントロールに相当する、若いアスリートを抱えることがあります。悲しいことに、早期の特定スポーツへの特化と過剰なコンピューターの使用時間のおかげで、今日、アメリカの13-16歳のアスリートの大多数がこの状態になっています。 スプリントを行う際にアスリートが経験する凄まじい床反力(ストライドごとに体重のおよそ4-6倍の負荷が片脚にかかる。たとえば、68kgの子供では272-408kg)を考えると、トレーニングをしていない、身体的に許容不可な子供達に、積極的なスプリントや方向転換のドリルをやらせることは、実際は非常に危険であると考えられることが議論できるでしょう。彼らは、単純にこの衝撃を減速するための遠心性の筋力を有しておらず、言うまでもなく、それに続く最適な収縮性の活動もできません。こういったアスリートは、筋力および可動性のしっかりとした基礎−これによって、より短く単純な練習で、良い着地のメカニクスを教えることができる−を発達させる時間が必要です。やがて、彼らがいくらか身体コントロールを向上させることができたら、本当のスプリントトレーニングや敏捷性の練習を、より有効に役立てることができるようになります。 彼らはできるでしょうか? このような若いアスリートは、恐らく、トレーニング(クローズドループ、または予測できる、練習)に予期せぬことを投げかけられる準備ができていませんが、ジム以外の場所では何をしているのでしょうか?彼らは一年中スポーツを行なっています(オープンループ、予測できない/無秩序)。 これはまるで、1979年製のピント(フォード社の車)のエンジンが時限爆弾であると認識して、オイル交換のために、整備士のところに週に1時間持っていっている−デイトナ500に持って行って運転するためだけに−ようなものです。あなたは、流れに逆らって泳いでいるのです。 ですから、質問はこうなります:今日の「常にシーズン中の」高校生アスリート達は、敏捷性およびスプリントに専念したトレーニングが本当に必要な状態になることはあるのでしょうか?ここまでの数段落に基づけば、アスリートによってはそうではないと言えるでしょう:彼らにはそういったトレーニングはほぼ必要ありません。彼らがスポーツにおける競争を行なっている限りは、フォームローリング、良質な動的ウォームアップ、それに続く素早い、要を得た動きのドリル、そしてしっかりとしたレジスタンストレーニングを行えば十分なはずです。 それに対して、最近はよくある状況ではありませんが、組織的スポーツに積極的に関わっていない期間が年に一定ある上級レベルのアスリート(しっかりとしたストレングスの基礎がある)も実際にいます。こういったアスリート達は、間違いなく、その「オフ」期間に、特定のスプリントや方向転換のトレーニングを行う必要があります。ウォームアップの合間やレジスタンストレーニングの要素の合間に組み込むこともできますが、私たちは大体、リフティングとは完全に別の日にこういったトレーニングをプログラムに入れます。彼らは、高ストレスの反応ドリルを本当に有益で安全なものにするために脚のトレーニング(しゃれのつもりはありません)を行なっているがゆえに、このトレーニングの組み入れを最大限に活かすことができると認識することが極めて重要です。 でも、何が面白いかわかりますか? こういった、より上級のステージに到達したアスリート達は、すでに速くなっています−ここまでの過程で、地面により大きな力を伝える方法を学び、足首や股関節の可動性を向上させてきているからです。スプリントや敏捷性のドリルに、全く、あるいは、ほぼ時間をかけることなく速くなっているのです。そして、一旦筋力の基礎を築けば、こういった補助的な動きのドリルは実際にさらに高い効果を発揮します。 それはまるで大きな円のようです。筋力の基礎を築けば、それが反応能力の発展を助けます。反応能力をさらに鍛えると、連続体の最後にある「絶対速度」へとつながります。そのため、さらに重いウエイトを挙げることができ、それが彼らを連続体の真ん中へと引き戻し、今度は反応能力をさらに高めることにつながります。なぜなら彼らはより速く走り、より高く跳び、今までで一番うまく立ち回るようになっていくからです。 先に言及した初級レベルの子供たちは、連続体にさえ達していません。彼らは「運動する人/運動しない人」のシーソーの上にいます。彼らがそれまでに知っていることは走り回ることだけですから、習慣的にエクササイズを行うようにして、筋力を構築すると、連続体の最後にある絶対速度をつかみ始めます。彼らは、あなたが彼らを強くして、連続体の最後にある絶対筋力を超えさせない限りは速く走れません−これはあなたが各セッションの90分間を敏捷性ラダーを走らせたり、スキップドリルを行うことに費やしているだけでは、単純に起こりえません。 必要な動きのトレーニングの量が大幅に過剰見積もりされているのならば、何故、この業界で週に何時間も動きのトレーニングに費やしているこんなにも多くのコーチや施設があるのでしょうか?とても単純に、お金が世界を回しているのです。す言い換えれば、ただコーンやハードル、敏捷性用ラダーを設置して、熱心に頑張るように指示したら、集中的なコーチングを行わずに、より多くの子供達を大きなグループで「安全に」トレーニングすることができるというわけです。ただ、実際に子供を強くするためには、個別のキューイングやエクササイズプログラミングの多様性が必要です。ストレングスエクササイズは、高リスク/高メリットのため、1対1の指導の方がより効果があります−13歳の子供20人に対してコーチが一人というのは厳しいでしょう。これは、私が私たちのビジネスモデルにクレッシースポーツパフォーマンスでのトレーニングモデルを絶対に決定させないと常に言っている理由の一つです。 まとめると:動きのトレーニングが必要な子供もいれば、まだその準備ができていない子供もいます。99%の確率で−論理を無視しているかもしれませんが−、親が子供が遅いことを言及してきたら、その若いアスリートを外に出してもっと走らせることは、その問題を扱う方法として、最も効果がなく、最も危険なものです。

エリック・クレッシー 2974字

非特異性の腰痛は存在します。あなたはそれを認めたくないだけなのです。

非特異性の腰痛とは、多くの場合で臨床医が恥ずかしいと感じるかもしれない診断です。まるで彼らが失敗したかのように。まるで、確信の無いことが悪く、不十分な治療につながることを認めているかのように。そうではないのです。それは多くの場合で唯一の適切な診断であり、最も正確な診断なのです。他の容認できる診断として非特異性の肩の痛みがあります。または非特異性の膝の痛みもあります。なぜなら、非特異性の腰痛と言及する時は、侵害受容・痛みの特定の解剖学的な根源を誰もが知らないということを認めることだからです。これは実際に議論できる問題ではないのです。 あなたがパニックになる前に、患者のために特定の診断を見つけようとすることは価値があるということを私は間違いなく認めます。なぜなら、時にはそのような診断が存在し、それは多くの場合で厄難であるからです。しかし、覚えていてください、診断とは常に(身体の)構造に対してです。痛みを引き起こしている構造なのです。そしてもし、あなたが文献に対してとても実直であれば、侵害受容を取り除くために構造を特定してターゲットにすることができず、また、構造が痛みを引き起こしていることを確かに示すことができないということを理解しているでしょう。痛みは間違いなく、それよりもずっと多因子性のものです。そして、非特異性で構造的な痛みの診断は、私たちを驚くべき複雑性への可能性を開き、私たちの治療を向上させることもできるのです。 もし考えてみるなら、私たちの「特定的な」診断さえも実はそれほど特定的ではないのです。例を挙げると、膝蓋大腿痛症候群とは実際には一体何を意味するのでしょう?患者が訪れ、スクワットや走るときに膝蓋の周りが痛むとあなたに伝えます。あなたは彼らにスクワットをさせ、それが痛むことを発見し、もしかしたら膝に負荷をかけることで膝の痛みを再現し、あるいはその痛みは別の部位が引き金になっていないことを確認して、ジャーン!真剣な臨床医の顔をまとい、解剖学の教科書を取り出して「膝蓋大腿痛症候群」、おおざっぱに訳すと「脚の骨の上の膝のお皿の痛み症候群」であるという悲報を伝えるのです。ええと、患者は30分前に膝のお皿が痛いと伝えたばかりですよね。あなたは本当に組織に対して特定的な診断にたどり着いたわけではなく、患者が言ったことを言い換えただけです。侵害受容の源がいまだにわからず、そして間違いなく痛みの根源はわかっていないでしょう。 同じことが大多数の腰痛のケースにおいて言えるのです。私たちは痛みの組織的な根源を実際には理解していません。しかし、これは私たちの治療が非特異的であるということではありません。では、腕の良い臨床医がこの解剖学的に不確かなことについて行うのはどのようなことでしょう?   バイオメカニクスの分野のみの作業では、臨床医はその人を力学的に悪化させるものを見つけ出します。曲げたり、ひねったり、ジャンプしたりといった特殊なテストを用います。患者がどの動作が痛いかを伝えてきた時、その単純な説明を「あなたは動的伸展パターンを持っています」と言い換えるかもしれません。これはCFTの研究グループにおいてみられた以前の分類方法です(しかし、もうすでに使われていません−進化とはすばらしいものです)。しかし、それが本当に意味するのは、どの動作が患者の痛みを悪化させるのかということだけです。どの構造が感作されているかを確実に推論することはできませんし、関係もないのです。多くの人達が長年かけて、これを機能的な診断であると主張してきましたが、それは診断ではないのです。脊柱を屈曲したときに痛みがある人にも同じことが言えます。これは屈曲障害または屈曲不耐性と呼ばれるかもしれません。もう一度言いますが、これは診断ではありません。これから、どの構造が感作しているのか推測することができません。私たちは椎間板を考慮しなさいと学校で教わりましたが、椎間板から「痛み」を評価しようとする唯一の研究は、それは脚から脊柱への症状が集中化していることが椎間板の炎症の根源であることを示しているだけということを示唆しています(原文はこちら)。   脊柱の屈曲不耐性と呼ぶことは、腹痛と診断するものの、それがブリトーによって引き起こされた腹部のストレスであると言うようなものです。その「診断」は正確で有益ですが(ブリトーを食べる量を減らしましょう)、正確な診断ではありません−単に炎症を引き起こすものを分類する炎症性の腰痛の診断のようなものです。   しかし、もう一度言いますが、どちらにせよ、構造的な診断は必要なく、何故ならそれでは何も変わらないからです。もし、あなたが炎症や痛みの力学的な要素に注目しているセラピストであるならば何をしますか?ほとんどのセラピストは治療をしてからその動作の過敏性に合わせて取り組んでいくでしょう。一部の人はその動きを避け、一部は干渉し、一部はただその人の脱感作のために他の何かをするでしょう。 しかし、なぜこのような過敏な動作を基準にしている機能的な診断が本当の診断ではない、または全体像すら見ようとしないのかを指摘するために、ここで少し視点を変えてみましょう。もし、腰痛を「伸展によって引きおこる腰痛」と呼ぶことを診断と考えるのであれば、より幅広い規制の中で治療するときあなたは何をしますか?つまり、あなたが生物心理社会的なモデルの範疇で治療するなかで、痛みに影響する動作や、力学的な負荷以外の他の分野に注目するということです。 あなたは、痛みの感情や認知的な原動力に注目するセラピストであるかもしれません。私たちは、不安や鬱が痛みと関連していることを理解しています。確立された手段を用いることで、あなたの患者の心配事や鬱の程度が上昇していることが、一時的に痛みの発現と悪化の両方に関連していることに気づくかもしれません。そこで、あなたはこの患者を不安不耐性による腰痛であると診断しますか?これらの変数に対して取り組む治療プログラムを出し、そして患者は回復します。ははあ、あなたは正しい診断をしました。それとも違うのでしょうか? そして、もしあなたが本当の生物心理社会学者になろうとするのであれば何が起きるのでしょうか。痛みのすべての原動力、媒介、モジュレーター、誘因、交絡要因、素因や(もうおわかりですね)を探すのです。同じ患者を評価し、痛みに関連した多くの要因を見つけます。 患者は: 脊柱の伸展に過敏になっています 痛みの発現は繰り返しの伸展に関係しています 不安が大きく、鬱になったことが何度もあります 特に痛みに関連した不安があり、損傷することを心配しています 有意義な活動に参加することをやめてしまいました 彼らの痛みがレントゲンで見つかった退行性の椎間関節の変化によるものであると信じています(通常の加齢に伴う変化と一致しているにも関わらず) 直立した姿勢が健康的だという考えを広げ続けるような持久的な対処行動に積極的に参加しています 通常の家庭での役割を負担して「助け」ようとする配偶者がいます。彼らの腰部に関するボディマップは歪んでいます。 痛みの多面性を認識することは、あなたがより特定的になることを可能にするでしょうか? 上の要因の全ては、確実に患者の痛みの一因になっているでしょう。そこで私たちはこれらの誘因要素すべてを統合した文字の混ぜ合わせ診断でも作るのでしょうか?例:伸展・不安・恐れ・反芻・意識的・抑制・ノーマル人体構造の不耐性腰痛を持っています。というように。 いいえ、そんなことをしなくてもいいのです。私たちは痛みが複雑なものであることを認識しています。私達は、いまだにこれを非特異性な腰痛と呼んでいますが、徹底的な評価を行い、いくつもの誘因要素があることが理解できました。患者の話を聞き、徹底的な検査を行うことで、彼らの器の中に何が入っているかを本質的に理解したのです。 あなたの器の中に入っているのは何か? 痛みとはあなたに害をなす全ての物(あなたの器の中のもの)とあなたにとって良い全ての物(器を大きくするもの)のバランスなのです。 ストレス 組織の損傷 睡眠不足 気苦労 恐れ 不安 癖 (それらが)器からあふれたときに痛みが起こるのです。   患者の敏感性という器の中の物に対して取り組むか、その器を大きくするためのトレーニングをするかのどちらかを行います。 痛みとは多くの場合で構造的に非特異的であることを認識した時、その痛みに関与している全ての要素を治療することができるのです。あなたのその治療法は、推測された構造的または機能的特殊性から予測された治療プログラムよりもより個別に適応したものであるでしょう。

グレッグ・リーマン 3686字

アスリートの股関節痛:大腿骨前方すべり症候群の理解

股関節痛―特に前方(股関節の前側)−はウエイトトレーニングをしている人々にとても良くみられます。 シャーリー・サーマンは、彼女の著書である運動機能障害症候群のマネジメント・理学療法評価の中で、大腿骨前方すべり症候群についてとても詳細に語っています。そして、あまり知られていない診断のように見えますが、ウエイトトレーニングをしている人々に我々が実際に非常によく見る機能不全なのです。 この症候群を理解するために、ハムストリングと大殿筋の付着部と機能について認識しなければなりません。ハムストリングは、骨盤の坐骨結節に付着し(大腿骨に付着している大腿二頭筋短頭を除いて)、膝の下方(下)まで走行しているのが分かるでしょう。言い換えると、ハムストリングは二関節筋群なのです。すべてのハムストリングが膝の屈曲に作用し、大腿二頭筋短頭を除く他の全ては股関節伸展にも作用します。 これに対して、殿筋は骨盤と大腿骨に付着しています;単関節筋であり、そのため股関節の健康に直接的に影響することになるのです。 ハムストリングが股関節を伸展するとき(スクワットのしゃがんだポジションから立ち上がってくるときに起こる股関節の動きを想像してください)、“おおまかな”様式でこれを行います。言い換えれば、脚全体が伸展します。その過程において、大腿骨頭(“球関節”である股関節の“球”)の動きの制御はほとんどなく、股関節伸展時に前方へ移動する傾向にあり、そのことが大腿骨の前方すべりを引き起こします。その過程で、前方関節包を刺激し、その刺激が股関節前方の詰まり感を引き起こします。 幸運なことに、殿筋群がこの問題の予防を助けてくれます。付着部が大腿骨の上方(股関節に近い位置)にあるため、股関節伸展時に大腿骨をより直接的にコントロールすることになります。結果として、股関節伸展時に大腿骨頭を後方に引っ張ることができます。つまり、理想的には、股関節を伸展するときに、ハムストリングと殿筋が効果的な共同収縮をします;それらの筋はお互いの抑制と均衡のシステムを持っています。股関節伸展時にハムストリングを使い過ぎてしまうと、大腿骨前方すべり症候群だけでなく、ハムストリングと大内転筋(鼠径部)の筋挫傷、そして、伸展由来の腰痛が起こるのを待つことになるのです。 余談になりますが、このハムストリングと殿筋の関係性は、肩において肩甲下筋が上腕骨頭を下方に引き込み、棘下筋と小円筋が上腕骨頭の前方すべりを促すこととどこか相似しています。これは、また別のニュースレターでまとめましょう! 一担大腿骨前方すべりの問題が起ってしまえば、最初に行うべきことは股関節屈曲筋群を積極的にストレッチすることを止めることです。この問題では股関節屈曲筋の“つまり”感を実際に引き起こしますが、その部位をストレッチすることは股関節前方痛を悪化させることにしかなりません。より良い方針は数日間ストレッチをサボり、その代わりに、殿筋の活性化エクササイズを行うことです。最終的には股関節屈筋群の静的、動的ストレッチを再統合することができるようになります。

エリック・クレッシー 1685字

仕事中に行うべき3つのストレッチ

デスクの前に座っての仕事中に、時間を忘れて何時間も同じ姿勢になってしまっていることはありませんか?理学療法士のアダム・ウルフが、誰でも簡単にできるデスク周りで行えるストレッチのアイデアをシェアします。是非お試しください。

アダム・ウルフ 5:42

痛みの治療のために特定の身体的介入が必要になるのはいつか?

挑戦 腰痛に関する文献では、特異的な介入(たとえば、運動制御エクササイズ、対象部位の強化など)は、一般的な活動の段階的介入と効果に差がないことを示しています。つまり、痛みの治療は、実際、執拗な問題を起すような何らかの機能障害を治すということではないと示唆しています。私が以前述べたように、最も成功するエクササイズプログラムは、先ずは症状を落ち着かせるために特定のエクササイズ/ポジション/動きを避け、それから再構築に役に立つあらゆる活動やエクササイズプログラムを実施することです。これは症状によって加減するという簡単なことです。痛みを出すような動きがあれば、行うのを短期間だけ止めてみて、それからゆっくり許容範囲を広げていけばいいのです。しかし、症例によっては、その人はある特定のエクササイズを必要とするのではないか、また痛みを解決するために身体的な何かをやっておくべきではないかという考えにいつも悩まされます。 痛みを伴う状態の多くは、取り組むべき身体機能障害がないことがあり、痛みを取り除き、障害を低減し、有意義な活動を復活させたりするために、取り組身を必要とする身体機能障害がないことがあります。実際、有意義な活動自体がリハビリテーションエクササイズになっていくのです。つまり、その人がもしデッドリフトやラン、演奏、ガーデニングをしたいのならば、それがリハビリとなります。ゆっくりこれらの活動に慣らしていけば、適応しそれらに耐えられるようになります。これらすべては、痛みの科学を上手に教育することによって育てられます。私たちには、症状に対する彼らの思い込みを変える役割があり、最終的に彼らは大切なことを再開する“許可”を彼ら自身に与えることになります。ホッジスとスミート(2015)の記述によると: "動きや活動を回避しようとする認識に挑戦しながら、身体的活動に段階的に慣らすことを教えてくれるのが痛みの科学です。" リハビリは治すことというより、むしろ促進ということ その人を診る時、治療が必要な人としてではなく、強く適応力がある人と捉えることで、私たちのエクササイズの選択が変わってきます。もはや、何か重要な活動をスタートするための前提条件というものはありません。多くの症例では、低下した筋力、張り、筋の発火パターンの“乱れ”などが原因で痛みがあるのではありません。したがって、その人たちの痛みを取り除いたり、運動を再開させたりするために、これらに対して特化して取り組む必要がないかもしれないということです。適応を可能にしてくれるのは日常の活動への露出であり、このことはマックス・ズスマンが10年以上も前に雄弁に記しています。 "慢性疼痛患者の脳で起こっているエラーを納得させるために、彼らをエクササイズや日常の活動へ安全に露出しなさい。" 特定のエクササイズが必要になるのはいつか? これは難しい質問です。身体的介入という点で、まさに最適である介入を見つける必要のある症状がなくてはなりません。言葉を変えて言うならば、ある障害が存在し、しかもその障害を治し痛みから救ってあげるのに唯一の解決策しか存在しないという状況です。おもしろい思考の実験ですが、痛みのパズルを解く方法がほとんどないような状況を考えつきますか? 治療の選択肢が制限されるような状況を思いつきますか? 下記は、私たちが使える3つの異なる身体的介入の要点をまとめた簡単な図です。図の下にある線は介入の選択肢を考えるのに役立つかもしれません。特異性がより高い介入は左、介入の特異性が低くなればなるほど右となります。 では、どのような時に特異性が必要になるでしょうか? 上の図で、症状/活動の調節における役割が分かります。この構成要素の一つはシンプルで:痛みを見つける:痛みを変える。もし、何かしたことで痛いのであればそれを短期間だけ回避するか、または痛みを受け入れその動きに対して脱感作させるのもよいでしょう。もし、曲げて痛みが出るならば、短期間だけ脊柱を中立位のまま持ち上げ動作を行ったり、新しい動きを強化できるようなエクササイズを選択してもよいでしょう。しかし、このことは、あなたの股関節屈筋群が硬く弱化していて、臀筋の発火がなく、脹ら脛が張っているから、ランニング/デッドリフト/ガーデニングを始める前に治療する必要があると主張しているわけではありません。 しかし・・・もしかしたらこれらの機能不全は時には重要なのかも? そこで、私たちは問う必要があります。“この身体的機能不全/症状は、患者の訴える痛みに関連しているのか?”または、“もしそれに対処しなかったら、痛みは残ってしまうのか?” 脱感作を起すために何かを“治す”必要があるのかもしれない症例 例1:背屈の制限は、脊椎のポジショニングの選択肢を減らす。 システムに感作をし続けてしまう動き方を変えようとしても、足首の背屈の欠如がそれを抑制してしまうという場合があるかもしれません。感作が落ち着かない限り再構築もできません。たとえば、深くスクワットしたくても、脊椎がある角度を越えて屈曲すると腰部の状態が増悪するとします。足首の背屈(または、胸椎の伸展かもしれませんが)が増えない限り、増悪させてしまうこの姿勢を回避できる脊柱の屈曲角度に変更することはできないでしょう。ここでは、機能不全は関連のあることになります。しかし、もしほとんど足首の背屈を必要としない平地をゆっくり走るランナーに対応するのではれば、背屈の制限は関係ないでしょう。 ひとつ注意しておく点:上記の例でさえも、背屈に対しての特別な介入は必要ないかもしれません。多くのセラピストは、脊柱の脱感作をすることができ、患者を痛みのない状態で同じ運動に復活させるという症例を作ることができます。要するに選択肢は多くあるということです。 例2:高負荷の活動にもかかわらず特異的な弱化があるときも運動の選択肢の幅を狭める。 他の例は、股関節の伸展筋群の弱化に関するかもしれないものです。しゃがんだり負荷下で膝を屈曲させたりすることに対して両膝が敏感である患者がいるとします。膝が脱感作するまでの短い間、股関節に負荷をかけるようにシフトすることは合理的です― 股関節のヒンジが代わりをするだけです。これは、股関節の強度に関わらずたいていの人はできます。なぜなら、どちらにしても最大能力に達するほどのことではないからです。テクニックを学部必要があるだけです。しかし、ジャンプやスクワットを激しく行う人に取り組む場合、股関節の伸展筋群の弱化があると負荷を膝や脊柱から股関節へとシフトするというわけにはいかなくなります。このような激しい負荷がかかる症例では、この機能不全は関連のあるものとなります。 しかし、一般的な腰痛を患っている人は、筋が弱化しているとか臀筋が抑制されているからという理由で痛いわけではありません。関節可動域の減少や筋力の減退、発火パターンの乱れは見られるかもしれませんが、これらは関係ありません。なぜなら、その人の生活において、それぞれの関節が持つ全能力を使うようなことは決して要求されないので、その欠如が他の部位に機能的な影響を及ぼすはずがないからです。 このような症例では、特定の身体的機能不全に取り組む必要がありません。これらは、治すというよりも促通に関する症例です。 その他の特異性の例 経験則として(本質的に議論の余地がある:))、痛みの発信源が末梢神経である侵害受容性のものと考えれば考えるほど、局所的で特異的な治療を施すことで得られる意義は大きくなるでしょう。ちょうどよい例として腱障害があります。もちろん私たちは中枢神経系の要素も重要だと認識していますが、侵害受容性の痛みを鎮め、傷を癒し、適応のために特異的な負荷をかけることもその腱に必要と考えます。しかし、必要としているのは特異的なエクササイズではないかもしれません― 単に、管理された負荷を徐々に増やしていけばいいのです。 少し長い投稿になってしまいました ずいぶん記述しすぎましたが、要点は、実際どのぐらいの頻度で“特異的な”改善や治療が必要なのかを考えることです。私個人は、特異的な“治療”はかなり限られていると考えています。たとえ“治療”が必要である場合でも、それは一時的なものに過ぎません。このアプローチは、私たちがいかに適合力を持つのかを認識したものです。私たちの仕事は、症状を鎮めそして再構築することです。症状が一旦鎮まったならば、徐々に負荷をかけるようにし、患者が希望する意義のある活動に戻していくことです。身体とエコシステムは適応するでしょう。 しかも、機能障害があっても筋力強化を加えると良いと私は信じていますが、それはまた別の機会にお話ししましょう。

グレッグ・リーマン 3699字

中立な脊柱という神話

中立な脊柱とは神話です。 あるいは、少なくとも、現在のこのコンセプトの認識のされ方には多少の欠陥があります。 説明しましょう… 誰かにスクワットやデッドリフトを効果的に行えるようにセットアップするとき、彼らにとってほしい「中立な」ポジションは確実にあります。 健康と長生きのため、または最高のパフォーマンスのためにトレーニングしているかどうかに関わりなく、私はこれが最適なポジションだと信じています。 中立な脊柱のアライメントがどのようなものかという初歩的な知識が必要であれば、このビデオをチェックしてください。 しかし、実は… 中立な脊柱とは、あなたの脊柱が絶対にそこから動かないという一つの静止したポジションであるとは限りません。中立な脊柱とは範囲なのです。そして、これは、ものすごく重いものを持ち上げたり、非常に爆発的であったりしようとするストレングス/パワー系のアスリートを観察するときに特に当てはまります。 このコンセプト全体について少し説明が必要であると思うので、少し深く掘り下げていきましょう。 中立な脊柱を簡単に説明すると 中立な脊柱のコンセプトは最初にパンジャビ(Panjabi)によって紹介されました。 パンジャビ(Panjabi)は、脊柱には脊柱がとりたい適切で中立的なポジションがあるという持論(そして、これは信じられないほどに、意訳され、意味が薄められ、そして質が悪化させられてしまいました)を持っていました。そのことについてはここで読むことができます。 (脊柱が)そのポジションまたは中立なゾーンにある時、すべて上手くいくのです。 問題は、中立からさらに遠くにそれたり、そのゾーンからより遠くに離れたりしてしまうときです。 それについてより良い考え方とは次の通りかもしれません: あなたの脊柱が最初からあるべきである、中立なポジションという最適なポジションがあります。 これはシンプルに「良い」あるいは「最適な」姿勢と定義することができ、そして良いアライメントや前後および左右でバランスの取れた筋の発達などを必要とします。 しかし、この中立なポジションの先に中立なゾーンもあります。 言い換えると、あなたの脊柱がその動作や動きに関して入り込むことのできる可動域の余地があり、これは必ずしも悪いことではありません。 悪いことが起き始めるのはあなたが以下のどちらかを行ったときです: 悪いまたは適切でない開始姿勢/ポジションをとったとき、または、 その中立なゾーンから離れたり、出てしまったりするとき 以上が、画期的な記事の200語での要約です。本題に入っていきましょう… これをどのように私たち自身、クライアントまたはアスリートに当てはめましょうか? よく聞いてくれました! 中立な脊柱と「コレクティブ」の必要なクライアント もしあなたがより多くの「コレクティブ」やリハビリが必要な人をトレーニングするとき、それらの人に対する取り組み方を完璧にしなければなりません。 私の経験から、痛みを伴う(もしくは痛みが取れたばかりの)人に対しては、厳重で、軍の規律に限りなく近いような厳しい基準を保たなくてはなりません。 彼らは中立なポジションを取らなければなりません。 そしてそのポジションを取ったら、そのままそのポジションを実際に維持しなければならない! もし、中立な脊柱を取らせることが難しいときは、上に登場した中立な脊柱についてのビデオで説明されているようにPVCパイプに1ドルを使うことで時間を節約しましょう。 それによって、あなたが1001個のキューを与える必要もなくなり、さらに、運動感覚についてのフィードバックを与えることもできるのです。 しかし、厄介なことであり、そして私たちの多くが間違えることは… 一度中立なポジションを取らせたら、実際にその中立なポジションを維持させなければならないこと!。 良い例が、バードドッグのような簡単で低レベルなエクササイズを行うときです。 苦労して中立なポジションをとらせることができますが、それを維持できない時はそのエクササイズの有効性を完全に失うことになるのです! このビデオを見てください。 繰り返しますが、もし中立ということが静止したポジションに対して「ゾーン」であるなら、その姿勢やポジションに多少の変動があるかもしれません。 しかし、それは痛みを持っている又は最近まで持っていた人に対しては、とても狭い範囲なのです。 このクライアントに対して肝心なことは、安定とコントロールです。彼らにあなたの選択したエクササイズの発展形(または後退形)をさせ、彼らが必ず堅固で安定しているようにしましょう。 以下が、IFASTでクライアントのトレーニングを始める新しいコーチやインターンに対して、私が毎回与える2つのプロによるアドバイスです: 負荷を減らすことを恐れない、そして 可動域を短く/狭くすることを恐れない。 これら2つのルールに従うことで、実質的にすべてのエクササイズにおいて多くの場合で中立なポジションを取らせ、維持させることができるでしょう しかし、これらの2つのシンプルなルールを守れないと、最も優秀なコーチやトレーナでも苦労するでしょう。 さて、これでスペクトラムの一端を補填しました。これからその反対端について考察してみましょう、そしてこれが今回、私が本当に話したかったことです。 中立な脊柱と競技アスリート 私がデッドリフトについての記事を書くたびに巻き起こる論争点です… 最高重量でのデッドリフトにおいて常にある程度脊柱が動くと言及するというような、細かいことで話に割り込みたい人がいます。 正直にいいますが、これは反論しづらいことです。 結局のところ、私が考える最適なテクニックからは程遠いテクニックを用いながらもすごく強いデッドリフターもいるのです そして、さらに私をこの件について反論しがたくするのは、このようなテクニックを用いても、全く大きなけがを負ったことがない人がいるということです(少なくとも私たちの知る限りでは)。 もし、私のように、より中立な脊柱のポジションは健康とパフォーマンスのためだけに最適なのはでないと感じるのであれば、どのようにこの点に反論しましょう? 私はこのように答えます… まず第一に、中立な脊柱とは、私たちの脊柱が最初に取り、そしてリフティング全体を通して維持するポジションではありません。 もし、最大努力でのデッドリフトを見るなら、脊柱はある程度動くでしょう。 もし問題になっているアスリートが非常に腰部を多く使うデッドリフトを用いているのであれば、多くの(脊柱の)動きがあるでしょう。 そして時々、もし股関節/大腿部をより多く使うテクニックであれば、その動きはより微小になるでしょう。 しかし、これらすべてのケースで、最も優れたデッドリフターは、そのほとんどのリフティングで、中立なゾーンを維持すると言えるでしょう。 そして、もし彼らが中立なゾーンから出てしまうようなときとは、それは最大努力のリフトまたは自己ベストのためでしょう これが、「脊柱に問題なく最適である」ことと「椎間板にダメージを与えないため」に最適であることの違いという私の次の論点につながります。 Dr. Stuart McGillはこのことについて盛んに言及していますが、おそらく脊柱に多くの傷害を引き起こすであろうポジションは、最終可動域での脊柱の屈曲でしょう。 Panjabiに戻るなら、彼は、私の言う「脊柱に問題のない最適」について言及しています。もし、あなたの脊柱が問題なく、さらにあなたの目的がデッドリフトの世界記録を破ることでなければ、あなたのトレーニング時間(そして起きている時間)の99.9%をこのポジションで行う必要があります。 一方で、もしあなたの目的が本当に世界記録を破りたい、またはあなたが通うジムで絶対的で一番強い野獣のような人になりたいのであれば、多少のリスクを伴います。 ここでの秘訣は、「椎間板にダメージを与えないために」最適な範囲に少なくともとどまることです。多くのデッドリフターは、直感的にこの範囲を知っていますし、賢明なため、このポジションから外れたときは単にウェイトを軽くするのです。 もし、デッドリフトの経験が浅く、自体重の2倍を挙上することができなければ、完全に背中が丸まったデッドリフトをすることを考えることすらしないようにしてください。 最後に、私が考える、集団に属さない特殊な人についてです。 そして不運なことに、私たちの多くはこのような人を知っています これは、クロマニョン人のような人で、完全なばかのようにトレーニングし、決してけがをすることなく、そしてもの凄く強いのです。 彼らは、ジムの中で(常に)一番偉そうな口を利くので、私はこのような人が好きではありません。 このような人はノーマルではありません。彼の脊柱、精神状態やその他何であれ、彼は並外れており私たちとは違うのです。 彼は何をやってもどうにかなり、それについて生涯話すことでしょう。 私たちは、彼を畏怖のまなざしで見ることはできますが、かといって彼のトレーニングアドバイスを受ける必要があるという事ではありません。 私の目標を覚えていますか: あなたができるだけ長い間、できるだけ重い重量を挙げ続けていられること。 例外はありません。 要約 要約するにあたって、中立な脊柱を連続体として考えてください。 脊柱のポジションの発展形 理想的な出発点は中立な脊柱のポジションです。これは、静止したアライメントによって決められ、パフォーマンスと健康の両方について、最も多くの自由を与えてくれます。 次のポイントは中立なゾーンです。このゾーンとは、脊柱がいられる、または“滞在”できる、比較的健全で安全な姿勢やポジションの範囲です。 次に、「椎間板にダメージを与えないための」範囲があります。これは、確実にグレーな範囲で、けがのリスク は増加します。もし、あなたの目的が、最大重量をリフトすることであれば、時によってこの範囲に足を踏み入れなければならないでしょうが、しかし、総ボリュームを最小限にし、このようなトレーニングについては賢明になることを強く勧めます。 そして最後に、脊柱が単に「くたばれこの野郎!」というような範囲があります。 この範囲には自己責任で入りましょう。 このトピックについての私のちょっとした見解を紹介しました。中立な脊柱はポジションですが、クライアントやアスリートをトレーニングするときは、彼らの脊柱の中立なゾーンに維持することにより集中する必要があります。

マイク・ロバートソン 4657字