マイクロラーニング
隙間時間に少しずつビデオや記事で学べるマイクロラーニング。クイズに答えてポイントとコインを獲得すれば理解も深まります。
非特異性の腰痛は存在します。あなたはそれを認めたくないだけなのです。
非特異性の腰痛とは、多くの場合で臨床医が恥ずかしいと感じるかもしれない診断です。まるで彼らが失敗したかのように。まるで、確信の無いことが悪く、不十分な治療につながることを認めているかのように。そうではないのです。それは多くの場合で唯一の適切な診断であり、最も正確な診断なのです。他の容認できる診断として非特異性の肩の痛みがあります。または非特異性の膝の痛みもあります。なぜなら、非特異性の腰痛と言及する時は、侵害受容・痛みの特定の解剖学的な根源を誰もが知らないということを認めることだからです。これは実際に議論できる問題ではないのです。 あなたがパニックになる前に、患者のために特定の診断を見つけようとすることは価値があるということを私は間違いなく認めます。なぜなら、時にはそのような診断が存在し、それは多くの場合で厄難であるからです。しかし、覚えていてください、診断とは常に(身体の)構造に対してです。痛みを引き起こしている構造なのです。そしてもし、あなたが文献に対してとても実直であれば、侵害受容を取り除くために構造を特定してターゲットにすることができず、また、構造が痛みを引き起こしていることを確かに示すことができないということを理解しているでしょう。痛みは間違いなく、それよりもずっと多因子性のものです。そして、非特異性で構造的な痛みの診断は、私たちを驚くべき複雑性への可能性を開き、私たちの治療を向上させることもできるのです。 もし考えてみるなら、私たちの「特定的な」診断さえも実はそれほど特定的ではないのです。例を挙げると、膝蓋大腿痛症候群とは実際には一体何を意味するのでしょう?患者が訪れ、スクワットや走るときに膝蓋の周りが痛むとあなたに伝えます。あなたは彼らにスクワットをさせ、それが痛むことを発見し、もしかしたら膝に負荷をかけることで膝の痛みを再現し、あるいはその痛みは別の部位が引き金になっていないことを確認して、ジャーン!真剣な臨床医の顔をまとい、解剖学の教科書を取り出して「膝蓋大腿痛症候群」、おおざっぱに訳すと「脚の骨の上の膝のお皿の痛み症候群」であるという悲報を伝えるのです。ええと、患者は30分前に膝のお皿が痛いと伝えたばかりですよね。あなたは本当に組織に対して特定的な診断にたどり着いたわけではなく、患者が言ったことを言い換えただけです。侵害受容の源がいまだにわからず、そして間違いなく痛みの根源はわかっていないでしょう。 同じことが大多数の腰痛のケースにおいて言えるのです。私たちは痛みの組織的な根源を実際には理解していません。しかし、これは私たちの治療が非特異的であるということではありません。では、腕の良い臨床医がこの解剖学的に不確かなことについて行うのはどのようなことでしょう? バイオメカニクスの分野のみの作業では、臨床医はその人を力学的に悪化させるものを見つけ出します。曲げたり、ひねったり、ジャンプしたりといった特殊なテストを用います。患者がどの動作が痛いかを伝えてきた時、その単純な説明を「あなたは動的伸展パターンを持っています」と言い換えるかもしれません。これはCFTの研究グループにおいてみられた以前の分類方法です(しかし、もうすでに使われていません−進化とはすばらしいものです)。しかし、それが本当に意味するのは、どの動作が患者の痛みを悪化させるのかということだけです。どの構造が感作されているかを確実に推論することはできませんし、関係もないのです。多くの人達が長年かけて、これを機能的な診断であると主張してきましたが、それは診断ではないのです。脊柱を屈曲したときに痛みがある人にも同じことが言えます。これは屈曲障害または屈曲不耐性と呼ばれるかもしれません。もう一度言いますが、これは診断ではありません。これから、どの構造が感作しているのか推測することができません。私たちは椎間板を考慮しなさいと学校で教わりましたが、椎間板から「痛み」を評価しようとする唯一の研究は、それは脚から脊柱への症状が集中化していることが椎間板の炎症の根源であることを示しているだけということを示唆しています(原文はこちら)。 脊柱の屈曲不耐性と呼ぶことは、腹痛と診断するものの、それがブリトーによって引き起こされた腹部のストレスであると言うようなものです。その「診断」は正確で有益ですが(ブリトーを食べる量を減らしましょう)、正確な診断ではありません−単に炎症を引き起こすものを分類する炎症性の腰痛の診断のようなものです。 しかし、もう一度言いますが、どちらにせよ、構造的な診断は必要なく、何故ならそれでは何も変わらないからです。もし、あなたが炎症や痛みの力学的な要素に注目しているセラピストであるならば何をしますか?ほとんどのセラピストは治療をしてからその動作の過敏性に合わせて取り組んでいくでしょう。一部の人はその動きを避け、一部は干渉し、一部はただその人の脱感作のために他の何かをするでしょう。 しかし、なぜこのような過敏な動作を基準にしている機能的な診断が本当の診断ではない、または全体像すら見ようとしないのかを指摘するために、ここで少し視点を変えてみましょう。もし、腰痛を「伸展によって引きおこる腰痛」と呼ぶことを診断と考えるのであれば、より幅広い規制の中で治療するときあなたは何をしますか?つまり、あなたが生物心理社会的なモデルの範疇で治療するなかで、痛みに影響する動作や、力学的な負荷以外の他の分野に注目するということです。 あなたは、痛みの感情や認知的な原動力に注目するセラピストであるかもしれません。私たちは、不安や鬱が痛みと関連していることを理解しています。確立された手段を用いることで、あなたの患者の心配事や鬱の程度が上昇していることが、一時的に痛みの発現と悪化の両方に関連していることに気づくかもしれません。そこで、あなたはこの患者を不安不耐性による腰痛であると診断しますか?これらの変数に対して取り組む治療プログラムを出し、そして患者は回復します。ははあ、あなたは正しい診断をしました。それとも違うのでしょうか? そして、もしあなたが本当の生物心理社会学者になろうとするのであれば何が起きるのでしょうか。痛みのすべての原動力、媒介、モジュレーター、誘因、交絡要因、素因や(もうおわかりですね)を探すのです。同じ患者を評価し、痛みに関連した多くの要因を見つけます。 患者は: 脊柱の伸展に過敏になっています 痛みの発現は繰り返しの伸展に関係しています 不安が大きく、鬱になったことが何度もあります 特に痛みに関連した不安があり、損傷することを心配しています 有意義な活動に参加することをやめてしまいました 彼らの痛みがレントゲンで見つかった退行性の椎間関節の変化によるものであると信じています(通常の加齢に伴う変化と一致しているにも関わらず) 直立した姿勢が健康的だという考えを広げ続けるような持久的な対処行動に積極的に参加しています 通常の家庭での役割を負担して「助け」ようとする配偶者がいます。彼らの腰部に関するボディマップは歪んでいます。 痛みの多面性を認識することは、あなたがより特定的になることを可能にするでしょうか? 上の要因の全ては、確実に患者の痛みの一因になっているでしょう。そこで私たちはこれらの誘因要素すべてを統合した文字の混ぜ合わせ診断でも作るのでしょうか?例:伸展・不安・恐れ・反芻・意識的・抑制・ノーマル人体構造の不耐性腰痛を持っています。というように。 いいえ、そんなことをしなくてもいいのです。私たちは痛みが複雑なものであることを認識しています。私達は、いまだにこれを非特異性な腰痛と呼んでいますが、徹底的な評価を行い、いくつもの誘因要素があることが理解できました。患者の話を聞き、徹底的な検査を行うことで、彼らの器の中に何が入っているかを本質的に理解したのです。 あなたの器の中に入っているのは何か? 痛みとはあなたに害をなす全ての物(あなたの器の中のもの)とあなたにとって良い全ての物(器を大きくするもの)のバランスなのです。 ストレス 組織の損傷 睡眠不足 気苦労 恐れ 不安 癖 (それらが)器からあふれたときに痛みが起こるのです。 患者の敏感性という器の中の物に対して取り組むか、その器を大きくするためのトレーニングをするかのどちらかを行います。 痛みとは多くの場合で構造的に非特異的であることを認識した時、その痛みに関与している全ての要素を治療することができるのです。あなたのその治療法は、推測された構造的または機能的特殊性から予測された治療プログラムよりもより個別に適応したものであるでしょう。
仕事中に行うべき3つのストレッチ
デスクの前に座っての仕事中に、時間を忘れて何時間も同じ姿勢になってしまっていることはありませんか?理学療法士のアダム・ウルフが、誰でも簡単にできるデスク周りで行えるストレッチのアイデアをシェアします。是非お試しください。
アスリートの股関節痛:大腿骨前方すべり症候群の理解
股関節痛―特に前方(股関節の前側)−はウエイトトレーニングをしている人々にとても良くみられます。 シャーリー・サーマンは、彼女の著書である運動機能障害症候群のマネジメント・理学療法評価の中で、大腿骨前方すべり症候群についてとても詳細に語っています。そして、あまり知られていない診断のように見えますが、ウエイトトレーニングをしている人々に我々が実際に非常によく見る機能不全なのです。 この症候群を理解するために、ハムストリングと大殿筋の付着部と機能について認識しなければなりません。ハムストリングは、骨盤の坐骨結節に付着し(大腿骨に付着している大腿二頭筋短頭を除いて)、膝の下方(下)まで走行しているのが分かるでしょう。言い換えると、ハムストリングは二関節筋群なのです。すべてのハムストリングが膝の屈曲に作用し、大腿二頭筋短頭を除く他の全ては股関節伸展にも作用します。 これに対して、殿筋は骨盤と大腿骨に付着しています;単関節筋であり、そのため股関節の健康に直接的に影響することになるのです。 ハムストリングが股関節を伸展するとき(スクワットのしゃがんだポジションから立ち上がってくるときに起こる股関節の動きを想像してください)、“おおまかな”様式でこれを行います。言い換えれば、脚全体が伸展します。その過程において、大腿骨頭(“球関節”である股関節の“球”)の動きの制御はほとんどなく、股関節伸展時に前方へ移動する傾向にあり、そのことが大腿骨の前方すべりを引き起こします。その過程で、前方関節包を刺激し、その刺激が股関節前方の詰まり感を引き起こします。 幸運なことに、殿筋群がこの問題の予防を助けてくれます。付着部が大腿骨の上方(股関節に近い位置)にあるため、股関節伸展時に大腿骨をより直接的にコントロールすることになります。結果として、股関節伸展時に大腿骨頭を後方に引っ張ることができます。つまり、理想的には、股関節を伸展するときに、ハムストリングと殿筋が効果的な共同収縮をします;それらの筋はお互いの抑制と均衡のシステムを持っています。股関節伸展時にハムストリングを使い過ぎてしまうと、大腿骨前方すべり症候群だけでなく、ハムストリングと大内転筋(鼠径部)の筋挫傷、そして、伸展由来の腰痛が起こるのを待つことになるのです。 余談になりますが、このハムストリングと殿筋の関係性は、肩において肩甲下筋が上腕骨頭を下方に引き込み、棘下筋と小円筋が上腕骨頭の前方すべりを促すこととどこか相似しています。これは、また別のニュースレターでまとめましょう! 一担大腿骨前方すべりの問題が起ってしまえば、最初に行うべきことは股関節屈曲筋群を積極的にストレッチすることを止めることです。この問題では股関節屈曲筋の“つまり”感を実際に引き起こしますが、その部位をストレッチすることは股関節前方痛を悪化させることにしかなりません。より良い方針は数日間ストレッチをサボり、その代わりに、殿筋の活性化エクササイズを行うことです。最終的には股関節屈筋群の静的、動的ストレッチを再統合することができるようになります。
痛みの治療のために特定の身体的介入が必要になるのはいつか?
挑戦 腰痛に関する文献では、特異的な介入(たとえば、運動制御エクササイズ、対象部位の強化など)は、一般的な活動の段階的介入と効果に差がないことを示しています。つまり、痛みの治療は、実際、執拗な問題を起すような何らかの機能障害を治すということではないと示唆しています。私が以前述べたように、最も成功するエクササイズプログラムは、先ずは症状を落ち着かせるために特定のエクササイズ/ポジション/動きを避け、それから再構築に役に立つあらゆる活動やエクササイズプログラムを実施することです。これは症状によって加減するという簡単なことです。痛みを出すような動きがあれば、行うのを短期間だけ止めてみて、それからゆっくり許容範囲を広げていけばいいのです。しかし、症例によっては、その人はある特定のエクササイズを必要とするのではないか、また痛みを解決するために身体的な何かをやっておくべきではないかという考えにいつも悩まされます。 痛みを伴う状態の多くは、取り組むべき身体機能障害がないことがあり、痛みを取り除き、障害を低減し、有意義な活動を復活させたりするために、取り組身を必要とする身体機能障害がないことがあります。実際、有意義な活動自体がリハビリテーションエクササイズになっていくのです。つまり、その人がもしデッドリフトやラン、演奏、ガーデニングをしたいのならば、それがリハビリとなります。ゆっくりこれらの活動に慣らしていけば、適応しそれらに耐えられるようになります。これらすべては、痛みの科学を上手に教育することによって育てられます。私たちには、症状に対する彼らの思い込みを変える役割があり、最終的に彼らは大切なことを再開する“許可”を彼ら自身に与えることになります。ホッジスとスミート(2015)の記述によると: "動きや活動を回避しようとする認識に挑戦しながら、身体的活動に段階的に慣らすことを教えてくれるのが痛みの科学です。" リハビリは治すことというより、むしろ促進ということ その人を診る時、治療が必要な人としてではなく、強く適応力がある人と捉えることで、私たちのエクササイズの選択が変わってきます。もはや、何か重要な活動をスタートするための前提条件というものはありません。多くの症例では、低下した筋力、張り、筋の発火パターンの“乱れ”などが原因で痛みがあるのではありません。したがって、その人たちの痛みを取り除いたり、運動を再開させたりするために、これらに対して特化して取り組む必要がないかもしれないということです。適応を可能にしてくれるのは日常の活動への露出であり、このことはマックス・ズスマンが10年以上も前に雄弁に記しています。 "慢性疼痛患者の脳で起こっているエラーを納得させるために、彼らをエクササイズや日常の活動へ安全に露出しなさい。" 特定のエクササイズが必要になるのはいつか? これは難しい質問です。身体的介入という点で、まさに最適である介入を見つける必要のある症状がなくてはなりません。言葉を変えて言うならば、ある障害が存在し、しかもその障害を治し痛みから救ってあげるのに唯一の解決策しか存在しないという状況です。おもしろい思考の実験ですが、痛みのパズルを解く方法がほとんどないような状況を考えつきますか? 治療の選択肢が制限されるような状況を思いつきますか? 下記は、私たちが使える3つの異なる身体的介入の要点をまとめた簡単な図です。図の下にある線は介入の選択肢を考えるのに役立つかもしれません。特異性がより高い介入は左、介入の特異性が低くなればなるほど右となります。 では、どのような時に特異性が必要になるでしょうか? 上の図で、症状/活動の調節における役割が分かります。この構成要素の一つはシンプルで:痛みを見つける:痛みを変える。もし、何かしたことで痛いのであればそれを短期間だけ回避するか、または痛みを受け入れその動きに対して脱感作させるのもよいでしょう。もし、曲げて痛みが出るならば、短期間だけ脊柱を中立位のまま持ち上げ動作を行ったり、新しい動きを強化できるようなエクササイズを選択してもよいでしょう。しかし、このことは、あなたの股関節屈筋群が硬く弱化していて、臀筋の発火がなく、脹ら脛が張っているから、ランニング/デッドリフト/ガーデニングを始める前に治療する必要があると主張しているわけではありません。 しかし・・・もしかしたらこれらの機能不全は時には重要なのかも? そこで、私たちは問う必要があります。“この身体的機能不全/症状は、患者の訴える痛みに関連しているのか?”または、“もしそれに対処しなかったら、痛みは残ってしまうのか?” 脱感作を起すために何かを“治す”必要があるのかもしれない症例 例1:背屈の制限は、脊椎のポジショニングの選択肢を減らす。 システムに感作をし続けてしまう動き方を変えようとしても、足首の背屈の欠如がそれを抑制してしまうという場合があるかもしれません。感作が落ち着かない限り再構築もできません。たとえば、深くスクワットしたくても、脊椎がある角度を越えて屈曲すると腰部の状態が増悪するとします。足首の背屈(または、胸椎の伸展かもしれませんが)が増えない限り、増悪させてしまうこの姿勢を回避できる脊柱の屈曲角度に変更することはできないでしょう。ここでは、機能不全は関連のあることになります。しかし、もしほとんど足首の背屈を必要としない平地をゆっくり走るランナーに対応するのではれば、背屈の制限は関係ないでしょう。 ひとつ注意しておく点:上記の例でさえも、背屈に対しての特別な介入は必要ないかもしれません。多くのセラピストは、脊柱の脱感作をすることができ、患者を痛みのない状態で同じ運動に復活させるという症例を作ることができます。要するに選択肢は多くあるということです。 例2:高負荷の活動にもかかわらず特異的な弱化があるときも運動の選択肢の幅を狭める。 他の例は、股関節の伸展筋群の弱化に関するかもしれないものです。しゃがんだり負荷下で膝を屈曲させたりすることに対して両膝が敏感である患者がいるとします。膝が脱感作するまでの短い間、股関節に負荷をかけるようにシフトすることは合理的です― 股関節のヒンジが代わりをするだけです。これは、股関節の強度に関わらずたいていの人はできます。なぜなら、どちらにしても最大能力に達するほどのことではないからです。テクニックを学部必要があるだけです。しかし、ジャンプやスクワットを激しく行う人に取り組む場合、股関節の伸展筋群の弱化があると負荷を膝や脊柱から股関節へとシフトするというわけにはいかなくなります。このような激しい負荷がかかる症例では、この機能不全は関連のあるものとなります。 しかし、一般的な腰痛を患っている人は、筋が弱化しているとか臀筋が抑制されているからという理由で痛いわけではありません。関節可動域の減少や筋力の減退、発火パターンの乱れは見られるかもしれませんが、これらは関係ありません。なぜなら、その人の生活において、それぞれの関節が持つ全能力を使うようなことは決して要求されないので、その欠如が他の部位に機能的な影響を及ぼすはずがないからです。 このような症例では、特定の身体的機能不全に取り組む必要がありません。これらは、治すというよりも促通に関する症例です。 その他の特異性の例 経験則として(本質的に議論の余地がある:))、痛みの発信源が末梢神経である侵害受容性のものと考えれば考えるほど、局所的で特異的な治療を施すことで得られる意義は大きくなるでしょう。ちょうどよい例として腱障害があります。もちろん私たちは中枢神経系の要素も重要だと認識していますが、侵害受容性の痛みを鎮め、傷を癒し、適応のために特異的な負荷をかけることもその腱に必要と考えます。しかし、必要としているのは特異的なエクササイズではないかもしれません― 単に、管理された負荷を徐々に増やしていけばいいのです。 少し長い投稿になってしまいました ずいぶん記述しすぎましたが、要点は、実際どのぐらいの頻度で“特異的な”改善や治療が必要なのかを考えることです。私個人は、特異的な“治療”はかなり限られていると考えています。たとえ“治療”が必要である場合でも、それは一時的なものに過ぎません。このアプローチは、私たちがいかに適合力を持つのかを認識したものです。私たちの仕事は、症状を鎮めそして再構築することです。症状が一旦鎮まったならば、徐々に負荷をかけるようにし、患者が希望する意義のある活動に戻していくことです。身体とエコシステムは適応するでしょう。 しかも、機能障害があっても筋力強化を加えると良いと私は信じていますが、それはまた別の機会にお話ししましょう。
中立な脊柱という神話
中立な脊柱とは神話です。 あるいは、少なくとも、現在のこのコンセプトの認識のされ方には多少の欠陥があります。 説明しましょう… 誰かにスクワットやデッドリフトを効果的に行えるようにセットアップするとき、彼らにとってほしい「中立な」ポジションは確実にあります。 健康と長生きのため、または最高のパフォーマンスのためにトレーニングしているかどうかに関わりなく、私はこれが最適なポジションだと信じています。 中立な脊柱のアライメントがどのようなものかという初歩的な知識が必要であれば、このビデオをチェックしてください。 しかし、実は… 中立な脊柱とは、あなたの脊柱が絶対にそこから動かないという一つの静止したポジションであるとは限りません。中立な脊柱とは範囲なのです。そして、これは、ものすごく重いものを持ち上げたり、非常に爆発的であったりしようとするストレングス/パワー系のアスリートを観察するときに特に当てはまります。 このコンセプト全体について少し説明が必要であると思うので、少し深く掘り下げていきましょう。 中立な脊柱を簡単に説明すると 中立な脊柱のコンセプトは最初にパンジャビ(Panjabi)によって紹介されました。 パンジャビ(Panjabi)は、脊柱には脊柱がとりたい適切で中立的なポジションがあるという持論(そして、これは信じられないほどに、意訳され、意味が薄められ、そして質が悪化させられてしまいました)を持っていました。そのことについてはここで読むことができます。 (脊柱が)そのポジションまたは中立なゾーンにある時、すべて上手くいくのです。 問題は、中立からさらに遠くにそれたり、そのゾーンからより遠くに離れたりしてしまうときです。 それについてより良い考え方とは次の通りかもしれません: あなたの脊柱が最初からあるべきである、中立なポジションという最適なポジションがあります。 これはシンプルに「良い」あるいは「最適な」姿勢と定義することができ、そして良いアライメントや前後および左右でバランスの取れた筋の発達などを必要とします。 しかし、この中立なポジションの先に中立なゾーンもあります。 言い換えると、あなたの脊柱がその動作や動きに関して入り込むことのできる可動域の余地があり、これは必ずしも悪いことではありません。 悪いことが起き始めるのはあなたが以下のどちらかを行ったときです: 悪いまたは適切でない開始姿勢/ポジションをとったとき、または、 その中立なゾーンから離れたり、出てしまったりするとき 以上が、画期的な記事の200語での要約です。本題に入っていきましょう… これをどのように私たち自身、クライアントまたはアスリートに当てはめましょうか? よく聞いてくれました! 中立な脊柱と「コレクティブ」の必要なクライアント もしあなたがより多くの「コレクティブ」やリハビリが必要な人をトレーニングするとき、それらの人に対する取り組み方を完璧にしなければなりません。 私の経験から、痛みを伴う(もしくは痛みが取れたばかりの)人に対しては、厳重で、軍の規律に限りなく近いような厳しい基準を保たなくてはなりません。 彼らは中立なポジションを取らなければなりません。 そしてそのポジションを取ったら、そのままそのポジションを実際に維持しなければならない! もし、中立な脊柱を取らせることが難しいときは、上に登場した中立な脊柱についてのビデオで説明されているようにPVCパイプに1ドルを使うことで時間を節約しましょう。 それによって、あなたが1001個のキューを与える必要もなくなり、さらに、運動感覚についてのフィードバックを与えることもできるのです。 しかし、厄介なことであり、そして私たちの多くが間違えることは… 一度中立なポジションを取らせたら、実際にその中立なポジションを維持させなければならないこと!。 良い例が、バードドッグのような簡単で低レベルなエクササイズを行うときです。 苦労して中立なポジションをとらせることができますが、それを維持できない時はそのエクササイズの有効性を完全に失うことになるのです! このビデオを見てください。 繰り返しますが、もし中立ということが静止したポジションに対して「ゾーン」であるなら、その姿勢やポジションに多少の変動があるかもしれません。 しかし、それは痛みを持っている又は最近まで持っていた人に対しては、とても狭い範囲なのです。 このクライアントに対して肝心なことは、安定とコントロールです。彼らにあなたの選択したエクササイズの発展形(または後退形)をさせ、彼らが必ず堅固で安定しているようにしましょう。 以下が、IFASTでクライアントのトレーニングを始める新しいコーチやインターンに対して、私が毎回与える2つのプロによるアドバイスです: 負荷を減らすことを恐れない、そして 可動域を短く/狭くすることを恐れない。 これら2つのルールに従うことで、実質的にすべてのエクササイズにおいて多くの場合で中立なポジションを取らせ、維持させることができるでしょう しかし、これらの2つのシンプルなルールを守れないと、最も優秀なコーチやトレーナでも苦労するでしょう。 さて、これでスペクトラムの一端を補填しました。これからその反対端について考察してみましょう、そしてこれが今回、私が本当に話したかったことです。 中立な脊柱と競技アスリート 私がデッドリフトについての記事を書くたびに巻き起こる論争点です… 最高重量でのデッドリフトにおいて常にある程度脊柱が動くと言及するというような、細かいことで話に割り込みたい人がいます。 正直にいいますが、これは反論しづらいことです。 結局のところ、私が考える最適なテクニックからは程遠いテクニックを用いながらもすごく強いデッドリフターもいるのです そして、さらに私をこの件について反論しがたくするのは、このようなテクニックを用いても、全く大きなけがを負ったことがない人がいるということです(少なくとも私たちの知る限りでは)。 もし、私のように、より中立な脊柱のポジションは健康とパフォーマンスのためだけに最適なのはでないと感じるのであれば、どのようにこの点に反論しましょう? 私はこのように答えます… まず第一に、中立な脊柱とは、私たちの脊柱が最初に取り、そしてリフティング全体を通して維持するポジションではありません。 もし、最大努力でのデッドリフトを見るなら、脊柱はある程度動くでしょう。 もし問題になっているアスリートが非常に腰部を多く使うデッドリフトを用いているのであれば、多くの(脊柱の)動きがあるでしょう。 そして時々、もし股関節/大腿部をより多く使うテクニックであれば、その動きはより微小になるでしょう。 しかし、これらすべてのケースで、最も優れたデッドリフターは、そのほとんどのリフティングで、中立なゾーンを維持すると言えるでしょう。 そして、もし彼らが中立なゾーンから出てしまうようなときとは、それは最大努力のリフトまたは自己ベストのためでしょう これが、「脊柱に問題なく最適である」ことと「椎間板にダメージを与えないため」に最適であることの違いという私の次の論点につながります。 Dr. Stuart McGillはこのことについて盛んに言及していますが、おそらく脊柱に多くの傷害を引き起こすであろうポジションは、最終可動域での脊柱の屈曲でしょう。 Panjabiに戻るなら、彼は、私の言う「脊柱に問題のない最適」について言及しています。もし、あなたの脊柱が問題なく、さらにあなたの目的がデッドリフトの世界記録を破ることでなければ、あなたのトレーニング時間(そして起きている時間)の99.9%をこのポジションで行う必要があります。 一方で、もしあなたの目的が本当に世界記録を破りたい、またはあなたが通うジムで絶対的で一番強い野獣のような人になりたいのであれば、多少のリスクを伴います。 ここでの秘訣は、「椎間板にダメージを与えないために」最適な範囲に少なくともとどまることです。多くのデッドリフターは、直感的にこの範囲を知っていますし、賢明なため、このポジションから外れたときは単にウェイトを軽くするのです。 もし、デッドリフトの経験が浅く、自体重の2倍を挙上することができなければ、完全に背中が丸まったデッドリフトをすることを考えることすらしないようにしてください。 最後に、私が考える、集団に属さない特殊な人についてです。 そして不運なことに、私たちの多くはこのような人を知っています これは、クロマニョン人のような人で、完全なばかのようにトレーニングし、決してけがをすることなく、そしてもの凄く強いのです。 彼らは、ジムの中で(常に)一番偉そうな口を利くので、私はこのような人が好きではありません。 このような人はノーマルではありません。彼の脊柱、精神状態やその他何であれ、彼は並外れており私たちとは違うのです。 彼は何をやってもどうにかなり、それについて生涯話すことでしょう。 私たちは、彼を畏怖のまなざしで見ることはできますが、かといって彼のトレーニングアドバイスを受ける必要があるという事ではありません。 私の目標を覚えていますか: あなたができるだけ長い間、できるだけ重い重量を挙げ続けていられること。 例外はありません。 要約 要約するにあたって、中立な脊柱を連続体として考えてください。 脊柱のポジションの発展形 理想的な出発点は中立な脊柱のポジションです。これは、静止したアライメントによって決められ、パフォーマンスと健康の両方について、最も多くの自由を与えてくれます。 次のポイントは中立なゾーンです。このゾーンとは、脊柱がいられる、または“滞在”できる、比較的健全で安全な姿勢やポジションの範囲です。 次に、「椎間板にダメージを与えないための」範囲があります。これは、確実にグレーな範囲で、けがのリスク は増加します。もし、あなたの目的が、最大重量をリフトすることであれば、時によってこの範囲に足を踏み入れなければならないでしょうが、しかし、総ボリュームを最小限にし、このようなトレーニングについては賢明になることを強く勧めます。 そして最後に、脊柱が単に「くたばれこの野郎!」というような範囲があります。 この範囲には自己責任で入りましょう。 このトピックについての私のちょっとした見解を紹介しました。中立な脊柱はポジションですが、クライアントやアスリートをトレーニングするときは、彼らの脊柱の中立なゾーンに維持することにより集中する必要があります。
バンドを使った股関節牽引:パート2
バンドを使った股関節の牽引パート2では、バンドの牽引の力がかかる方向を変化させた方法をご紹介します。コアを働かせた状態での実行方法を是非試してみてください。
バンドを使った股関節牽引:パート1
股関節の牽引を行うことで筋テストにより良く反応する人に対して、自宅で行うことができるバンドでの牽引を処方するという理学療法士のアダム・ウルフが提案する、簡単な実行方法のパート1をご紹介します。
重量不足
時に、何かが不足していることは新しい洞察を導きます。私は1965年にウエイトリフティングを始め、想像し得る最良の施設を持っていました。私はまた、より厳しい状況でもトレーニングをしてきました。 スポーツパフォーマンスを提供するワールドクラスのジムが、ボックスジムによって倒産に追いやられてしまうことがしばしばあります。トム・プラマーが言うように、“すべてのジムが行っていることがトレッドミルをレンタルすることであれば、顧客は最も安い値段の場所を探します。”オリンピックリフティングプラットフォーム、ケトルベル、スレッドは裕福なクライアントを数多くは惹きつけません。 そのため、数年に一度、気がつくと私は制限あるリソースである自分のガレージに立ち戻っています。奇妙なことに、これは自分が最も成長するタイミングでもあります。世界中のあらゆるジム、あるいは、状況で私が教わってきた最良のレッスンを模倣することができます。 限られた道具では、負荷に限度があります。そしてこれこそ、隠れた素晴らしい価値を持っているのです:この“固定された”ウエイトで、素晴らしいストレングストレーニングの伝統である筋力を最初に、そしてパワー、それから筋肥大(ボディービルディング)を探求することができます。今日、多くの鍛錬者はこのステップ1と2を飛ばしています。これらの段階を飛ばした結果は明白です:あなたは週3回ジムでトレーニングをしているかもしれませんが、誰にもそれがわからないのです! 私は“固定されたウエイト”と呼ばれるものとともに成長しました。多くのジムには大抵、重さが大体15ポンドから150ポンドくらいまでがセットになったバーベルのラックがありました。ケトルベルが最初に再認識された15年前、ほとんどサイズの種類はありませんでした。限られた選択肢では、次に進む前に、その重さをマスターしなければなりません。 家での限られた選択肢では、110ポンドのシアーズのテッドウィリアムバーベルを数週間プレスすることになるでしょう。重さを加えることなく、さらなる筋力をつけるために、数日間練習することになるでしょう。 かなり単純なのですが、これもまた我々がストレングスを構築してきた方法でなのす。ゆっくりとその負荷で回数を増やします。たった1つの負荷では慌てて進んで新しい道具を探すことはできません。 回数を増やすにつれ、ほとんどのスポーツに繋がるパワーがゆっくりと向上します。回数を8回から、12回、15回と徐々に上げることで、筋肥大(除脂肪量の増加)というご褒美も得られるでしょう。 私の最良のトレーニングとなる経験は、転居して、28キロのケトルベルのみでケトルベル資格取得のためのトレーニングを行っていた時に起こりました。軽いベル(24キロ)で100回スナッチをする必要がありましたが、私は自分の持っているベルしか持っていませんでした。リンドン・ジョンソンが大統領であった間、兄とガレージでトレーニングしたように、ガレージに閉じこもって、回数をこなし始めました。 これはケトルベルスナッチの例ですが、単一の重さとそれを何回も繰り返し行うことで見つけた原則は、すべての目的に効果的であることを発見しました。大きく、身体全体の動きであるエクササイズを選んでください: ミリタリー(オーバーヘッド)プレス ベンチプレス スクワット系 デッドリフトとそのバリエーション プルアップ(負荷はまさにあなたでしょう!) バーベルカール 最後のエクササイズである、カールは“パンプ”させるためにかなりおおくの回数を行うことが多いものです。リフターによっては、それはエンジンやホイールのない車に新しいペンキを塗ることにもにています。大学で、225ポンドのストリクトカールができるフットボール選手がいました。信じてください、彼は“でっかい上腕二頭筋”を持っていました。 つまり、本当に自分の限界をテストするウエイトを探し、時間をかけてそのテストしたウエイトで回数を増やしていくことです。我々の多くにとって、200ポンドのベンチプレスや“2つの大きいプレート”、225ポンドが自然な数値になることでしょう。 正に、負荷を増やす、、、より多くのプレートで、重さを増やす…ことには素晴らしい価値があります。しかし、私達は、ある一定の重さで回数を増やしていくというこの素晴らしいことを忘れてしまっていると思います。
検査の際にどのSLAPスペシャルテストを実行するかを選択する
関節唇上部、またはSLAP損傷には非常に多くの異なるスペシャルテストがありますが、あなたはどのテストを実行するかをどのように選択しますか? 私には、実行するテストを判断するための少数の異なる方法がありますが、まずは、これらのテスト全てに対して、エビデンスが何と言っているかを見てみましょう。 SLAP損傷のためのスペシャルテストは、近年これらのテストの精度に関して相反する報告が複数発表されているため、かなりの精査を受けるようになっています。これらのテストに関する研究レポートを見ると、それぞれのテストの元の引用文献は、非常に高い感度、特異度、陰性および陽性の的中度を持っているようであることを発見するでしょう。良い例として、アクティブ・コンプレッション・テストがあります。 O'Brienによる元の論文では、感度100%、特異度98.5%、陽性的中率94%、陰性的中率100%を示していました。これはかなり高い数字で、実際にMRIよりも優れていル高い数値なのです!これ以降、このような値を示した著者は他にはいません。 これは、アクティブ・コンプレッション・テストのみではなく、詳述されているほぼ全てのSLAPテストでも同様です。 DessaurとMagrayは17本の査読付き原稿をレビューし、SLAP損傷に対する精度の高いテストを報告している論文の大部分は、他の研究者に支持されていない質の低い結果であることを指摘しました。JonesとGalluchもこれに同意し、独立したSLAPテストに続くテストは、元々発表されている研究と比較してはるかに低いパフォーマンスが示されていることを指摘しました。これに同意する研究レビューやメタアナリシス研究は他にも多数あります。 AJSMのOhらの興味深い研究では、一緒に使用するテストの組み合わせが最良の結果につながると示唆しています。彼らは、感度が高いことが示されている複数のテストと特異度が高いことが示されている複数のテストを組み合わせた場合、これらの感度と特異度の値は70~95%に達したと述べています。これらのテストはどれも完璧ではないため、これは理にかなっていると思います。いくつかのテストで基盤をカバーしていると考えられるのです。 これには複数の理由があるのではないかと感じています。 異なる患者集団は、異なる損傷のメカニズムを示します。ほとんどの研究では、データを解析するのに十分な統計力を得るために、SLAP損傷のいくつかのバリエーションをグループ化しています。 私は、呈示されているSLAP損傷のバリエーションによって、異なるテストが、異なる特異度と異なる感度を示すと考えています。 例えば、タイプIIまたはタイプIVの上後方剥離型SLAP損傷を有するオーバーヘッドアスリートは、上腕二頭筋負荷テストII、クランク(clunk)、クランク(crank)、疼痛誘発テスト、および回内負荷テストのような、損傷を悪化させるポジションおよびメカニズムを模倣するテスト中に、より症状が強く露呈するでしょう;一方で、外傷性のタイプの損傷によるタイプIまたはタイプIIIのSLAP損傷を有する患者は、アクティブ・コンプレッション、コンプレッション・ローテーション、前方スライドテストのような、関節唇複合体を圧迫するテストに、より症状が強く露呈するでしょう。 SLAP損傷の種類に応じたテストの診断特性については、さらなる調査が求められます。 検査の際にどのSLAPテストを実行するかを選択する ありきたりに聞こえるかもしれませんが、何よりもまず第一に、あなたの主観的な検査によって実行する臨床テストが導き出されるべきです。もしあなたの患者が建設作業員で、腕を外側に伸ばした状態で転倒したならば、剥離型損傷を模倣するテストを行う必要はないでしょう。また逆に、患者がデスクワークを行っている、楽しみでテニスを行う人で、テニスのサーブをする時のみ痛みを感じるのであれば、すぐにピールバック(剥離)テストを行うことができるでしょう。 シンプルにするという目的で、SLAP損傷を3つのカテゴリーに分けましょう(詳細については、SLAP損傷の分類に関する私の記事をお読みください): 剥離型損傷を呈するオーバーヘッドアスリート 外側に伸ばした腕、または肩の側面から転倒した人の圧迫損傷。これは、半月板損傷と同様に、関節唇を圧縮、剪断します。 突発的な上腕二頭筋の遠心性収縮による牽引損傷。これは最も一般的でなく、私はこのメカニズムに軽い疑念を持ってさえいます。 傷害のメカニズムによってSLAPテストを選択する 私が、傷害のメカニズムの種類を基にして行っているテストを紹介します。これは、テストを選択する際に、研究結果だけに基づいて選択するよりも、遥かに参考になると感じています。 これらの研究報告書の正確な患者集団や損傷のメカニズムはわからないのですから、これだけで判断できないことを忘れないでください!しかし、診察室であなたの目の前に座っている患者のために、この情報があるのです。 各テストの詳細な説明については、私の記事であるSLAP損傷のスペシャルテストを参照してください。 剥離型損傷(オーバーヘッドアスリート) 回内負荷 抵抗に対する回外・外旋 上腕二頭筋負荷 圧迫傷害 アクティブ・コンプレッション コンプレッション・ローテーション クランク(Clunk) 牽引傷害 ダイナミック・スピード アクティブ・コンプレッション SLAP損傷の種類によってテストを選択する SLAP損傷の種類、タイプI、タイプII、タイプIII、タイプIVかを判断したい場合には、これはより難しいことですが、下記のテーブルを参考にして予測をしてみることができます。これは間違いなく推測の要素が強いですが、より多くの情報を得ようとすることで、より良い結果を得られるでしょう。 ここで紹介しているテストそれぞれが、異なる形で症状を再現しようとしていることを覚えておいて、異なる種類のSLAP損傷の発生要因と特定のスペシャルテストとの関連付けを試みるべきです。 これを鵜呑みにしないで使用してください。これは役に立つかもしれませんが、この分類がどのくらいうまく機能するかは、研究によって実証されてはいません(これは私が自分自身と対戦するためのゲームのようなものです!)。 Type I SLAP: コンプレッション・ローテーション Type II SLAP: 回内負荷 抵抗に対する回外・外旋 上腕二頭筋負荷 Type III and IV SLAP: クランク(Clunk)とクランク(Crank) コンプレッション・ローテーション まとめると、無数にあるSLAPテストの研究結果はかなり多種多様であり、患者にどのテストを行うべきかを決定するために単独で頼るべきものではありません。これに対し、私は以下のことを提案します: 患者の怪我のメカニズムを使って、どのテストのグループを行うかを判断してください。主観的検査が重要です! テスト結果の精度を向上するために、テストを1つだけ行うのではなく、テストのグループを使って、そのグループに対して感度と特異度がきちんと示されている複数のテスト群を実行してください。 1つのテストを当てにしてはいけません。特定の患者集団には有効かもしれませんが、別の患者集団には有効ではないかもしれません。 苛立たないでください。SLAP損傷は、臨床検査で発見することが難しいものです。疑わしい場合は、医師にMRI検査を依頼しましょう。
子供に対するストレングストレーニングの真実
しばらく前に、私はヒューストンでのセミナーに参加し、その主なトピックが、ピッチングパフォーマンスの向上方法であった一方で、私が持ち帰った最も重要なことの一つは青少年期の生理的発達についてでした。長年のフィリーズのリハビリコンサルタントであるPhil Donleyが、骨が実際にいつ骨格的に成熟するかについて素晴らしいデータを発表しました。その翌日、別の講演者が、発育を妨げるので子供達が幼い年齢でストレングストレーニングを行うべきでない、と言う、私の見解としては、十分な知識に基づいていない発言、をしました。 Donleyの非常に興味深い数字(実際、20年以上にわたって文献で知ることができるようになっています)から始めましょう;話題が逸れないように肩帯に注目を維持します。野球人口において、投球によって肩で最も多く損傷する骨端板は上腕骨の近位に位置します(リトルリーグショルダー);この骨端軟骨(成長板)は上腕骨の成長の80%を担っており、そして多くの人において19歳で成熟します。 私たちは多くの子供達が、投球(投球時の上腕骨の内旋はスポーツの中で最も速い動きです)や、さらには外傷性の転倒による、この問題を抱えて私の施設にやってくるのを目にしましたが−しかし、ストレングストレーニングによる問題を目にしたことはないと公明正大に言うことができます。そのため、私の経験則的なエビデンスは、子供に対するストレングストレーニングは、成長途中の骨にとって私たちが「危険」と考えるものとは程遠いことを示しています。 さて、ここからがより興味深くなるところです:骨の成熟は身体全体で均一ではないのです。上腕骨近位成長板が19歳でほとんど成熟するのに対して、遠位(肘の近く)の自然成長原理は10歳から16歳の間で閉じてしまいます。橈骨の近位と遠位の骨端板は14歳から23歳のどこかで成熟するでしょう。一方で、鎖骨は22~25歳で成熟し、肩甲骨は一般的に22歳で成熟します。ベンチプレスをすることで鎖骨や肩甲骨の成長を妨げるかもしれないために、大学フットボール選手が4年間の競技生活全てにおいてウェイトトレーニングを禁止されたと言うことを皆さんのうちの何人くらいが聞いたことがあるでしょうか?そんなことは全く起こりません!現実では、私たちは、筋量と筋力の増加というストレングストレーニングの効果は、実際にはフィールド上の怪我を予防してくれるということを知っています。 言い換えると、激しい(投球)、そして外傷性(転倒)の出来事は、環境がコントロールされ、そしてアスリートが慣れるに従って過負荷が時間をかけて徐々にそして計画的に増加するようなストレングストレーニングで私たちが青少年のアスリートの骨に対してかけられるどんなストレスにも勝るのです。私は、幼いアスリートは彼らの集中力の持続時間が許す限り早期に、レジスタンスとレーニンングを開始するべきだ、と提案したいと思います;もちろんその重点は、自体重のエクササイズ、技術の向上、そして、最も重要なこととして、楽しさを維持することにおくのです。 よくよく考えてみれば、アスリートは非常に大きなストレス(誰に聞くかによりますが、床反力は体重の4~6倍)を、スプリント動作時のストライド毎にかけています。子供はしょっちゅう、木から飛び降ります。彼らは自身の体重に比べとてつもなく重いバックパックを担いであちこち動きます。パフォーマンス、健康全般、そして自尊心という効果を別としても、彼らに怪我を回避させようとする可能性を与えることは真っ当なことです。 さらに、Philが主張したもう一つの素晴らしい点は(関係のないトピックにおいてでしたが、私たちに関連したことです)、青少年期のアスリートが成長するにつれ、彼の重心は地面から上に遠ざかっていくということです。これが、子供の成長期に見られるコーディネーションの「衰退」の理由の大きな部分です。ちょっとした筋力は、重心を支持基底面の内側に維持するために大いに役立ち、アスリートは、重心を支持基底面に近づけるために「腰を落とす」(股関節と膝関節の屈曲)ことに余裕を持てるでしょう。 さらに、適切なレジスタンストレーニングは子供に対して安全なだけではありません;それは凄まじく有益でもあるのです。FaigenbaumとMyerによって発表されたレビューの中で、著者らは次のように結論づけています: 現在の研究では、資格のある専門家が全てのセッションを監督し、そして適切なエクササイズ方法に対する年齢に合わせた指示と安全なトレーニングのガイドラインがあれば、レジスタンストレーニングは子供と青少年に対して安全で、効果的で、そしてそれだけの価値のある運動になり得ることが示されています。プレシーズン中から始まり、動作のバイオメカニクスについての指導を含む多面的なレジスタンストレーニングプログラムへの定期的な参加は、青少年アスリートにおいてスポーツに関した怪我のリスクを減少させるかもしれません。 Dr. Avery Faigenbaumは、実際に近年の子供のストレングストレーニングのトピックについての非常に多くの素晴らしい研究(数々の団体の公的声明を含む)を発表しています;それら全てをwww.pubmed.com上で、彼のラストネームを検索することで見つけることができます。 ストレングスコーチのマイク・ボイルは、青少年期のストレングストレーニングの支持者のひとりであり、私はストレングス&コンディショニングコーチとしてだけでなく、3人の娘の親としてもこのトピックについての彼の姿勢を聞くことを楽しんでいます。マイクが発した非常に説得力のある声明は、彼が自身の娘(多くを成し遂げたD1アイスホッケー選手)に対して行った最も影響のあることの一つが、彼女が11歳の頃から最低でも週に2日ストレングストレーニングを行ったことであると述べたことだと私は思います。若い年齢で筋力を得たならば−そして年月をかけてそれを維持・向上させたならば−それ以後のあなたのトレーニングはより効果的なものになるのです。 この記事が一般の人における、レジスタンストレーニングは子供にとって有効とはなり得ない、という大きな誤解を取り除く助けとなればと思います。正しく行い、そして楽しくできれば、レジスタンストレーニングは青少年代とその前の年代の両方において安全であり、子供達に非常に大きな効果をもたらします。
股関節のリストア方法
股関節の回旋、屈曲、伸展といった動き、そして脊椎の心地よい回旋の動きを楽しみながらリストア・修復するためのムーブメントをオリジナルストレングスのティムがご紹介します。心地よく動けること、動くことを楽しめること、何よりも大事ですよね!
肩関節包後部の硬さを評価する
肩関節包後部の硬さを評価するための、前後の遊びをチェックする評価方法の実践において、正しく読み取れている自信はありますか?評価の実行時に間違った方向性で行ってしまって偽りの結果を得ることにならないように、正しい評価方法を再確認することは大切です。