マイクロラーニング
隙間時間に少しずつビデオや記事で学べるマイクロラーニング。クイズに答えてポイントとコインを獲得すれば理解も深まります。
投球前の準備方法 パート1 身体を準備する
私は、これまでのキャリアを通じて、怪我をしたピッチャーをとても沢山診てきましたが、彼らがどのようにして怪我をしたかを説明してもらうときに、一番良く聞くのが、適切なウォームアップができておらず、投げる準備ができていなかったということです。怪我の理由が、必ずしもウォームアップにあるかどうかは定かではありませんが、それなりに重要であると言えるくらい頻繁に、準備不足だったという訴えを聞きます。 実際のところ、これは理にかなっていると思います。投球は、非常に動的で、身体にとって過激です。事実、投球は、人間が行う動きとして認識されている中で、最速の動きです!許されれば、あなたの肩は、1秒間に最大で27回も360度回旋できるのです!これは信じがたいことです。 私はよく、怪我は単純な物理公式に当てはまると言っています。 力 = 質量×加速度 身体をより速く動かし、より激しく投げるほど、身体にはより多くの力がかかります。 このことから、野球のボールを単につかんで投げるという行為が、どれほど身体にストレスをかけているのかがわかると思います。投球は、とてもダイナミックで、激しい動作ですから、投球を始める前に、しっかり投げる準備をするよう心がけるべきです。これは、長く、健康にキャリアを積んでいくためにも役に立ちます。 投球プログラムの前の準備として、次の2つが必要です。 1)身体を準備する 2)投球の準備をする この記事では2部構成で、この2つの準備について議論したいと思います。 投球プログラムの前の準備方法―パート1−身体を準備する ランニングやジャンプなどの一般的なスポーツ活動では、身体を動きのために準備することは一般常識であるのに、投球については多くの人がその事実を無視しているというのはおかしなことです。投球プログラムを始める前の最初の3つのステップは、身体の準備をすることに関わっています。 投球準備 ステップ1 −身体をほぐす 投球のための身体の準備の最初のステップは、身体をほぐし、可動性を高めることです。私たちはこれまでに、1000人以上の投手を研究し、ボールを投げることに関して、下記のポイントを発見しました。 投球は筋肉を硬くし、肩や肘の可動性が失われます これに対して何もしないでいると、積み重なって、シーズンを通してどんどん硬くなっていきます モーションを維持しようとすることは効果的であり、動きに制限がかかるのを防ぐことができます。 私がよくアスリートに言うフレーズに「ボールを持つ前の自分に戻して欲しい」というのがあります。前日の試合で、100球投げたとしたら、硬くなるのはわかっています。そして、それを無視して、投げ続ければ、自分を怪我へと導いているようなものです。投げることで硬さは多少ほぐれますが(その後また硬くなります)、これは可動性を取り戻す方法としてはとても過激です。 代わりに、フォームローラーや、マッサージスティック、野球のボールなどを使って、一人でもできる筋膜リリースを行ってみてください。下記は私が良く使う方法です。 フォームローラー マッサージスティック ボール(野球のボールも使えますが、私はリアクションボールが好きです。ボールのこぶが局所の刺激や、ポジションの維持に役立ちます。) 全身をほぐすようにして、特に広背筋、肩の後ろ側、ローテーターカフ、胸筋、二頭筋、前腕を集中してほぐしてください。肩の前側は避けるべきです。このエリアには、筋肉はあまりないので、回旋腱板や二頭筋の腱を押さえつぶすだけになってしまいます。 それぞれのスポットにつき、30−60秒行い、硬い部分を見つけたら、その部分で10秒保持します。 私は意図的に、腕を「ストレッチ」するとか「スリーパーストレッチ」を行うとは言わないようにしました。ほとんどの投手は、関節がゆるみすぎていて、効果的なストレッチはできないため、結果として余分にひねりすぎたりして、事態を悪くしています。筋肉と関節は異なり、硬い筋肉とゆるい関節を同時に持つことは十分にありえます。 筋肉に有効で、関節にあまり刺激を与えない肩のストレッチに、私がジーニーストレッチと呼ぶクロスボディストレッチがあります。このストレッチは、肩の後面の筋群にトリガーポイントボールを当てることによって、さらに効果が高まります。前腕部分に関しては、特に痛める心配もないので、前腕はストレッチできますし、するべきです。 投球準備 ステップ2 −筋肉のウォームアップ ステップ1を通じて、投げる前に、モビリティーを自分の基準ラインに戻したら、今度は投げための筋肉の準備です。ストレングス&コンディショニングでは、この準備を、筋肉を「活性する」と言っています。 ここでは、腕を加速、および、減速するために必要な筋肉とそれぞれの動きのパターンを活性させたいのです。これらには、肩甲骨と回旋腱板の筋群が含まれます。これらの筋肉を活性させることにより、身体はこれから行う運動および投球において、より準備が整った状態になります。 一番シンプルな方法は、レジスタンスチューブを使うことです。チャンピオン(著者のマイク・ライノルドが運営するトレーニング施設)では、複数の器具を組み合わせて使っていますが、チューブは素早く、簡単にでき、携帯性にも優れています。 エクササイズの量には注意を払う必要があります。これらのウォームアップは、筋肉を準備するために設計されており、筋肉を疲労させたり、強化するためのものではありません。それは全く違うプログラムであり、違うタイミングで行うべきです。私の施設では、チューブを使って、10回×2セットという少ない回数とセット数で、シンプルに筋肉を活性させます。 私は、ハンドルのついたTherabandのチューブを使っています。Therabandのチューブはとてもよく、変な負荷がかかり、時間が経つにつれ抵抗力が失われるような、地元の店で買える安いバンドよりも断然優れています。しかも、Therabandチューブは、アマゾンで買えば15ドル以内で買えます。バンドは、フェンスやポストにつけることもできれば、パートナーと交代交代で持って使うこともできます。 私は、ハンドルのついたチューブが好きで、手首にストラップをマジックテープで巻きつけるよりも、チューブを握ってもらいたいのです。チューブを握ることは、握る動作と前腕の筋肉のウォームアップに役立ち、さらには回旋腱板が働くよう反射刺激を与えてくれます。 リトルリーグ世代には緑色のバンド、中学や高校の初期では、青色のバンドを、そして熟練した、経験豊富なピッチャーには黒いバンドの使用を勧めています。 投球準備 ステップ3−動く 投球準備の3つ目のステップには、ダイナミックな動作が関わってきます。3つのステップを通して、論理的な進捗をたどっているのがわかると思います。まず、可動性を取り戻し、筋肉を活性化させ、動きの準備としてダイナミックなモビリティーエクササイズを行います。 投球はとてもダイナミックな動きであり、当然ですが、筋肉の弾性を必要とします。ストレッチやモビリティーエクササイズのみでは、筋肉の弾性要素を活性させることはできません。ストレッチについて先に述べたように、野球の動作が、身体が最初に直面する弾力性刺激には、なって欲しくありません。ゆっくり働きかけることにより、組織に怪我につながるようなストレスや過激なストレスを与えないようにしたいのです。 目標は、関節をダイナミックに動かし、筋肉の素早い収縮を起こすことです。そうすることで、可動性や活性を良くし、筋肉を準備できるのです。 チャンピオンでは、アスリートにこの3つのステップに特化したプログラムを行ってもらい、身体全体が投げる準備をできているようにしますが、下記のビデオでは、シンプルな腕のバージョンをお見せします。これを行えば、他のアスリートに比べ、頭と肩の分リードできるでしょう。 ピッチャーには、胸や、肩の後部、回旋腱板など、投げるために必要な筋肉群の可動性を増し、活性させる、動きの準備エクササイズを使います。身体を準備するのに回数はそんなに必要ありません。
肩甲骨へのキューイング
肩甲骨のポジションを指導する際、“肩甲骨を後ろへ引き寄せて”と強くキューイングしすぎることで、正常な肩甲上腕リズムを阻害してしまうという間違いを良く目にします。自然な肩甲上腕リズムを重視するマイク・ライノルドからのアドバイスをシェアします。
投球前の準備方法 パート2 投球を準備する
この2部構成である投球前の準備方法の記事のパート1で言及しましたが、選手がどのように怪我をしたのかを説明してもらうときに、一番良く聞くのが、ウォームアップが適切にできておらず、投げる準備ができていなかったということです。 投球プログラムの前の準備として、次の2つが必要です:1)身体を準備する2)投球の準備をする。まだ読んでいないのであれば、パート1に戻って記事を読み、身体の準備の仕方を学んでください。 投球前の準備方法 パート1 身体を準備する 投球プログラムの前の準備方法 パート2 投球の準備をする あなたの身体が投球プログラムを始める準備ができているので、ギアを変えて、投球の準備のための投球プログラムの使い方について話したいと思います。“投げながら準備をするのではなく、投げるための準備をすること”が本当に重要であると考えています。 それが何を意味しているかというと、投球プログラムの中であっても、投げるという“実際の動作”を始められる前に、適切なウォームアップができているかを確認する必要があるということです。いきなりマウンドに上がって投球する、全力で投球する、あるいは、すぐにロングトスプログラムに移るべきではありません。それは、投げながら準備をすることであり、この記事のパート1で言及したように、身体がストレスを感じる最初の動きがアグレッシブな投球であって欲しくないのです。 投球の準備には、身体を準備する(繰り返しになりますが、パート1)必要があり、その後、投球プログラムを準備する必要があります。“ウォームアップ”としての投球と、“実際の動作”としての投球にはかなり大きな違いがあります。 バーに最重量のおもりをつけて、ウォームアップセットなしにスクワットやデッドリフトを始めたことがあるでしょうか?1度もない、そうでしょう?ストレングス&コンディショニングでは、私たちがトレーニングに利用したい重さを使う前に、漸増的にエクササイズの負荷を上げていくのが通常です。ウォームアップセットがあって、それからワークセットがあります。例としては、285パウンド(約129きkg)のデッドリフトを5回5セット行う予定であれば、最初のセットは185パウンド(約84kg)で、2セット目は205パウンド(約93kg)、そして3セット目は225パウンド(約103kg)で行い、これらのセット数はワークセットとしての5回5セットには数えません。 同じことが投球にも言えるのです。 投球のための準備 ステップ4 − ゆっくりと投球を始める 私は100人を超えるプロ野球投手とキャッチボールをしてきました。正直なところ、たった一人だけ、3、4球目で私の膝の高さに時速144キロのボールを投げ始めたことがあるのを覚えています。(彼は、そのキャリア中、常に怪我をしていました。)メジャーリーガーは理解していて、徐々に緩んでいきます。ウォームアップとしてのキャッチボールを、どれほど楽に始めているのかに、とても驚くことでしょう。 一方で、若手のアスリートに私我が良く行う微調整の1つは、だんだんに投球に慣れさせることです。3球目で足首の高さにスピードボールを放ってくる人なしでは、1週間もいられませんが(愛してるよGD)。 これは身体にとって、かなりのストレスになります。投球自体がストレスであることを忘れないでください。組織がその負荷に慣れるために、徐々にストレスを与えていかなければなりません。 すべての投球が腕の強さや球速を向上させる目的である必要はないのです。投球の中には、自転車に乗るように、腕の血流を上げ、徐々に組織の弾性にストレスをかけていくものもあるべきなのです。 投球のための準備 ステップ5 − 距離が強度を決定づける 投球のための準備の次のステップは、ステップ4の上に積み重ねられます。軽いキャッチボールで身体がほぐれてきたら、さぁ後ろに下がり距離を伸ばしていきましょう。 ロングトスプログラムの距離は、強度を調整する変数要素のひとつです。現実的には、150フィート(約46m)と200フィート(約61m)を全力で投げることの間に大きな違いはありません。全力とは、つまり全力なのです。 繰り返しになりますが、新しい距離でいきなり真直ぐ投球することはやめてください。むしろ、私はアスリートに“距離賀強度を決定づける”ようにと伝えます。これは、弧を描くような山なりのボールが落ちながらパートナーの胸に届くようなボールを投げることを意味します。 投げたボールをキャッチできず、パートナーを通り超して100フィートも転がってしまうようなら、投球のストレッチ段階を強く投げ過ぎていることになります。 ストレートで投げるべきタイミングもあり、それは次のステップです・・・。 投球のための準備ステップ6 − 実際に投球を始める オーケー、できました。身体の準備はできました。可動性があります。筋肉を活性させました。ダイナミックウォームアップもしました。軽めから投球をはじめ、ロングトスも行いました。おめでとう!今やっと“実際の投球をする”ことができます。 何度も繰り返しになりますが、“ウォームアップ”の投球と“実際”の投球には大きな違いがあります。ステップ6では、その日あなたにとってそれがどのようなものであれ、“実際”の投球に入っていきます。 ロングトスかもしれないし、重量負荷付きのボールかもしれないし、ブルペンでの投球かもしれないし、さらには、実際の試合での投球の場合もあります。それがあなたの“実際”の投球であり、今その準備ができているのです。 投球のための準備を適切な順序で完了することで、実際にはより良い投球ができ、さらには、怪我に対しての回復力がより高くなることが分かるでしょう。これらは、私が担当するすべてのアスリートのためにまとめた重要な順序であり、メジャーリーグでもこれに従っているのです。
肩の挙上の可動性を高めるための4つのポイント
腕を頭上よりも高くあげるオーバーヘッドの可動域は、制限を受け易いもの。可動性の制限がある場合の原因は、どこにあるのか?元ボストンレッドソックスの理学療法士である、マイク・ライノルドが、わかり易く開設します。
下半身の力の発揮を高めることによって投球速度を上げる3つの方法
投球動作には、速度と正確さを伴う途方もない量の技術が必要です。投球速度の向上は、多くのピッチャー、特に少年野球のピッチャーにとって、一番の関心事になっています。速度を向上する方法を学ぶためには、事例的情報や古典的な野球の考え方に頼るよりも、科学的根拠を学習することがより重要です。 Journal of Sports Science and Medicine(スポーツ科学と医学ジャーナル)で最近発表された日本の研究者たちによる研究では、投球メカニクスにおける体幹と脚の使い方を、少年野球と大学野球のピッチャーの間で比較しました。 この研究では、少年のピッチャーも、大学生のピッチャーも同様の生体力学の運動、すなわち、同様のメカニクスで投球を行っていることがわかりました。 しかし、同時にその研究は、推進力や力の生成においては、大学生ピッチャーの方が優れていることを示しました。大学生のピッチャーは: ストライド時に軸足で地面を蹴る力がより大きい 一連の投球動作を通じて、骨盤および体幹の回旋がより大きい 加速時のストライドレッグ(踏み込む側の脚)のコントロール力がより高い 球のリリース前のストライドレッグの伸展がより大きく、爆発的な力を発揮できる ここで注意しておきたいことは、このデータは、若年期のピッチャーの体重の軽さや身体のサイズを考慮するために、身体質量に合わせて標準化されたものであるということです。こうすることにより、比較が平等になります。 この結果は、同じ研究者らによって過去に発表されたレポートの内容と一致しています。その研究では、投球速度の速い大学生ピッチャーは、投球速度の低いピッチャーに比べ、脚と胴部から力を生成する能力が高いことが示されています。 加えて、その結果は、グレン・フレイシグ、ジェームス・アンドリューズ医師、およびアメリカスポーツ医学研究所(ASMI)が、若年期のピッチャーと、若年期以降のピッチャーを比べた際に、上半身と胴部に関して発見したこととも類似していました。 速度を最大限に上げるためには、脚および胴部でより大きな力を発揮する 先に述べたように、若年期でも投球のメカニクスは似通っているのですが、力を発揮する能力は異なります。脚および胴部でより大きな力を生み出すことが速度の向上につながるのです。 しかし、強くなるだけでは、おそらく不十分でしょう。 先にあげた2つの研究によると、強くなることだけが投球速度を高めるために必要な要素ではないことは明らかです。投球速度を高めるには、より高いスピードと力の発揮が必要になります。 スピードも力の発揮も、単純に歳を重ねて、身体が大きくなることによってある程度は上昇します。より強い身体、より長い腕は、より大きな力を生み出します。これは単純な物理学です。しかし、他にも力の発揮を高めることができるコツがいくつかあります。下記は、最新の科学的根拠に基づいた、少年野球のピッチャーが、投球速度を高めるために鍛えることのできる3つの要素です。 筋力を高める 筋力は、それだけでは十分ではないでしょうが、若年期のピッチャーが投球スピードを高めるために最初に着目するべき要素です。パワーの発揮を高めるためには、強くなる必要があります。力の発揮が高まれば、より力強く投げることができます。 こういった研究に基づけば、下半身の強化は大きく注目をするべきエリアです。脚は投球動作の初期段階において使われるため、ここで生み出される力の量が、残りの投球フェーズにおける、より大きな力の発達と伝達につながります。 プロのピッチャーを見てみてください。楽に投げているように見えるピッチャーの大半はしっかりとした脚、股関節、お尻を持っています。ジョン・レスターは現役投手として優れた例ですし、少し前では、ロジャー・クレメンスがとても良い例になるでしょう。 背が低く、小さいピッチャーは、より労力を使って投げる傾向にあります。 脚がより太く、より強ければ、より大きな力を発揮することができ、それが速度と相関のあることが、多くの研究で示されています。 スピードをこうじょうさせる 私は、若年期の多くのピッチャーが筋力の強化のみに留まっていると感じていて、これは実際有害であると考えています。ストレングス&コンディショニングの研究では、筋力やスピードなどの特定の要素のトレーニングは、身体の適合につながることを示しています。 ゆっくりトレーニングをすれば、投球もゆっくりになるとはよく言ったものです。 筋力の基礎が確立できたら、「意図」にフォーカスするようにしています。どういう意味かというと、ここではアスリートの爆発的能力を高めたいのです。若年期のアスリートの多くはこれを理解していません。どうやって爆発的に発揮するかを知らないのです。 若いアスリートが重いウエイトをゆっくり動かす方法を理解できたら、負荷を少し軽くして、より速く動かすようにし、最終的にはもっと軽いウエイトをさらに速く動かすようにします。 プライオメトリックジャンプやメディシンボール投げ、ケトルベルスイング、トラップバーをつかった速いデッドリフトのようなエクササイズは、このトレーニングの領域としてとても効果的です。 野球のトレーニングに関して考慮すれば、ピッチャーには、長い距離の投球や、重い/軽いボールが重要になります(取り入れ方に関しては正しい方法と間違った方法あり)。こういったトレーニングが「腕の振りのスピード」を高めるのと同じくらい「腕力」を高めるかどうかは定かではありません。 大きな違いがありますから。 安定性を最大限に高める 最後に、おそらく最も理解されておらず、取り入れられていないトレーニングが、安定性に関するものです。投球スピードを高めるためには、適切なモーターコントロールと、腕とストライドレッグを安定させる動的安定性が必要です。ここ最近は、腕に注目が集まりがちですが、ストライドレッグを無視してはいけません。 軸脚から発揮した力を適切に伝達するためには、強く、安定したストライドレッグが必要です。 力の伝達には、ストライドレッグの安定性が必要ですが、身体は怪我を避ける内部制御機能を持っていることを思い出してください。ストライドレッグが力を安定させることができなければ、理論的には身体が、力を発揮することを制御してしまうでしょう。 このことは腕にも当てはまり、負荷付きのボールを間違った方法で使うと、若いピッチャーには特に、害を及ぼす可能性があると信じています。力を発揮するためには、腕が力に耐えることができる必要があります。そうでなければ、脳は賢明に力の発揮を制御します。 速度を最大化するためには、力を発揮できるようにすると同時に、力に耐えられるように身体を鍛えなければいけません。力を発達させることのみに集中する人達が多すぎます。これは、トレーニングプログラムの効果をなくし、生理学的限界を超えることにより、怪我につながりやすくなります。 野球の投球における最大速度は様々な要素の組み合わせにより実現できるということを理解してください。これらの要素に働きかけていくことが、怪我の可能性を減らしながら、速度を最大限高めることにつながります。
肩挙上のアセスメント
肩の挙上に可動域制限がある場合、その制限が関節包にあるのか、それとも軟部組織の伸張性にあるのかを確認するシンプルな方法をマイク・ライノルドがご紹介します。
リアフットエレベーテッドスプリットスクワット
リアフットエレベーテッドスプリットスクワット(RFESS)を実施する際に注意すべきポイントを、エリック・クレッシィとマイク・ライノルドが解説します。
胸椎伸展を向上させる
胸椎のモビリティーを高めるエクササイズを繰り返しても、その効果が長持ちしなかった経験はありませんか?理学療法士のマイク・ライノルドが、胸椎の伸筋群の持久力を高めるドリルをご紹介します。
ハムストリングスの柔軟性に影響する神経の張力
ハムストリングスの筋繊維自体が短いのであれば、数分間ストレッチを行っただけでその長さが変化する、ということはないはずです。神経系の影響を考慮した神経張力のテクニックとストレッチの組み合わせ方法をマイク・ライノルドがご紹介します。
胸椎へのマッスルエナジーテクニック
胸椎のモビリティーを高めるための受動的なドリルは山ほどありますが、エクササイズの効果をさらに高めるための、よりアクティブなアプローチには、どのようなものがあるのでしょう?理学療法士のマイク・ライノルドが効果的エクササイズをご紹介します。
半月板修復リハビリテーション:なぜ私たちは未だに90年代から進んでいないのでしょうか?
膝における半月板の傷害はよく見られるものでます。事実、国立保健統計センターはアメリカにおける整形外科医による手術では、半月板の手術が最も頻繁に行われており、そのうちの50%以上が45歳以上の患者に施行されていると報告しています。 高い発生率にも関わらず、半月板修復術後の患者に対するリハビリテーション、特に荷重の割合と可動域に関与することには、多くの矛盾が存在し続けています。 私はこのことに未だに衝撃を受けており、傷害前の機能に人々が安全に回復していくため、より漸進的なアプローチへと導く最新の研究について論じたいと思っています。 半月板修復後のリハビリテーション 半月板切除術後のリハビリテーションはかなりわかりやすいものです。患者の症状に対し、可動域、筋力、機能を戻し、疼痛と浮腫を基にリハビリプロセスを決めます(とても一般的な指針ですが、多くのリハビリテーション専門家が頻繁に指標にします)。 しかし、半月板をただ切除するのではなく、実際に修復する場合、考慮すべき他の要因があります。半月板修復は、断裂の治癒のために、縫合し断裂部を近づけます。 半月板修復後のリハビリテーションは、より保守的に行われる必要がありますが、研究では別の方法が提唱されているにも関わらず、整形外科・スポーツ医学の世界では、半月板修復後、荷重・可動域の制限を奨励する多くのリハビリテーションプロトコールが、未だに広まっています。歩行と可動域により半月板への“ストレス”が高くなりすぎてしまうかもしれないというという恐れのために、文献を無視し続けているのです。 残念なことに、良く使用されるこれらプロトコールの多くは、1990年代からのものです。 90年代のプロトコールについて話をするのなら、シェルボーンとバーバーの時代へ遡り、前十字靱帯と半月板の修復術を同時に受けた患者で、荷重、あるいは、可動域制限をとらず、単独前十字靱帯再建術のプロトコールと類似する方法で素晴らしい結果を示した研究を見てください。 単独半月板修復術についてのヴァンダーハブとリンドらによる最近の研究において、より保守的な方法に比べて、即時荷重を行う“アグレッシブ(強引な)”プログラムを使用することで類似した結果が報告されています。 私は、これらを“強引”なプログラムであるとは考えていません。彼らは、単に即時荷重と可動域を行わせただけです。。 繰り返しになりますが、これらの研究では半月板修復術後の結果では、荷重と可動域制限を使用した場合と、“アグレッシブ(強引)な”プロトコールで即時荷重と可動域制限なしの場合には違いがないということを示しています。 半月板修復後の早期荷重 しかし、早期歩行や可動域などを早い段階で許可することに対して、多くの人がいまだに不安であると感じる正確なメカニズムはなんでしょうか?そうすることで、正しく修復が失敗してしまうのでしょうか? 私たちは、通常半月板修復術後4-6週間はブレースを装着し、荷重時は完全伸展位で固定しています。 つまり、伸展位で固定しているであれば、なぜ荷重を制限するのでしょうか? 荷重時、圧縮力が半月板全体にかかります。これらの張力が“フープ応力”という伸展時に半月板を拡げる力を産み出します。これらのフープ応力は、多くの断裂において組織を近づけことによって治癒過程を助けてくれると考えられています。 さらに、ロデオによって、さらに最近ではマカロックによって言及されていますが、垂直断裂・縦断裂修復、または、バケツ柄状断裂の修復後、完全伸展位で荷重することでかかる圧縮力は、半月板を縮小させ、断裂部を安定させることが報告されています。 半月板修復術後早期の可動域 早期可動域についてはどうでしょう? 半月板の動きが可動域に与える影響についての文献は、かなり限られています。屈曲時、内側半月板の後方移動は5.1mmであり、外側半月板の後方移動は11.2mmであったと、トンプソンは提示しました。 どれだけの動きで有害になるかわかっているとは思いませんが、荷重時、非荷重時での膝屈曲における半月板の動きを見てみると、あまり動きがないことが分かるでしょう。動きがその部位への血流改善の助けになることは明らかにされています。このことが重大なことであり、治癒過程を助けてくれるかもしれないのです! 私たちが推薦することは何でしょうか? 事例的ですが、私たちは長年、我慢出来る範囲で荷重と可動域を可能とすることで、半月板修復に対応してきました。私が一緒に仕事をしてきた世界でも最高位にいる整形外科医の中には、最近になって、半月板修復術を、半月板修復を伴った前十字靱帯再建術と同じように取り扱う医師もいます。 半月板単独修復では、(仮に縦断裂であれば)完全伸展位で4-6週間固定をしつつも、即時荷重を許可することを好みます。複雑な修復では、一部。荷重制限をすることを奨励するでしょうが、フープ応力が治癒を助け、十分に有益であり必要であることを理解しています。どちらのケースでも、他動での可動域は我慢できる範囲で行うことを奨励します。 信じてください。私は半月板の治癒を尊重し、可動域と荷重での活動を漸進に沿って、患者を継続的に観察しています。修復した部位に沿った関節ラインでの新しい痛み、新しい腫脹、あるいは、疼痛パターンの変化、そして、クリック音(ほとんどの人々でクリック音はするのですが)のような症状はすべて、常に追加の評価と漸進の修正を行うための兆候となります。 このことに基づき、私は、半月板の垂直縦断裂修復術後、痛みのない他動可動域運動と即時荷重を行うというリハビリテーションガイドラインを支持し続けます。文献は、私たちに対し同じことを叫び続けているにもかかわらず、私たちはそれを無視して90年代に逆行しているのです。
腰椎骨盤の位置の脊柱とハムストリングスへの影響
ノーマルな骨盤の位置とは、骨盤がやや前傾している位置であるとすれば、骨盤の前傾が増大したり、骨盤が後傾した場合に、脊柱やハムストリングスにどのような影響があるのでしょうか?理学療法士のマイク・ライノルドがクライアントに解説する時に使う絵で分かりやすく説明します。