半月板修復リハビリテーション:なぜ私たちは未だに90年代から進んでいないのでしょうか?

膝における半月板の傷害はよく見られるものでます。事実、国立保健統計センターはアメリカにおける整形外科医による手術では、半月板の手術が最も頻繁に行われており、そのうちの50%以上が45歳以上の患者に施行されていると報告しています。 高い発生率にも関わらず、半月板修復術後の患者に対するリハビリテーション、特に荷重の割合と可動域に関与することには、多くの矛盾が存在し続けています。 私はこのことに未だに衝撃を受けており、傷害前の機能に人々が安全に回復していくため、より漸進的なアプローチへと導く最新の研究について論じたいと思っています。 半月板修復後のリハビリテーション 半月板切除術後のリハビリテーションはかなりわかりやすいものです。患者の症状に対し、可動域、筋力、機能を戻し、疼痛と浮腫を基にリハビリプロセスを決めます(とても一般的な指針ですが、多くのリハビリテーション専門家が頻繁に指標にします)。 しかし、半月板をただ切除するのではなく、実際に修復する場合、考慮すべき他の要因があります。半月板修復は、断裂の治癒のために、縫合し断裂部を近づけます。 半月板修復後のリハビリテーションは、より保守的に行われる必要がありますが、研究では別の方法が提唱されているにも関わらず、整形外科・スポーツ医学の世界では、半月板修復後、荷重・可動域の制限を奨励する多くのリハビリテーションプロトコールが、未だに広まっています。歩行と可動域により半月板への“ストレス”が高くなりすぎてしまうかもしれないというという恐れのために、文献を無視し続けているのです。 残念なことに、良く使用されるこれらプロトコールの多くは、1990年代からのものです。 90年代のプロトコールについて話をするのなら、シェルボーンとバーバーの時代へ遡り、前十字靱帯と半月板の修復術を同時に受けた患者で、荷重、あるいは、可動域制限をとらず、単独前十字靱帯再建術のプロトコールと類似する方法で素晴らしい結果を示した研究を見てください。 単独半月板修復術についてのヴァンダーハブとリンドらによる最近の研究において、より保守的な方法に比べて、即時荷重を行う“アグレッシブ(強引な)”プログラムを使用することで類似した結果が報告されています。 私は、これらを“強引”なプログラムであるとは考えていません。彼らは、単に即時荷重と可動域を行わせただけです。。 繰り返しになりますが、これらの研究では半月板修復術後の結果では、荷重と可動域制限を使用した場合と、“アグレッシブ(強引)な”プロトコールで即時荷重と可動域制限なしの場合には違いがないということを示しています。 半月板修復後の早期荷重 しかし、早期歩行や可動域などを早い段階で許可することに対して、多くの人がいまだに不安であると感じる正確なメカニズムはなんでしょうか?そうすることで、正しく修復が失敗してしまうのでしょうか? 私たちは、通常半月板修復術後4-6週間はブレースを装着し、荷重時は完全伸展位で固定しています。 つまり、伸展位で固定しているであれば、なぜ荷重を制限するのでしょうか? 荷重時、圧縮力が半月板全体にかかります。これらの張力が“フープ応力”という伸展時に半月板を拡げる力を産み出します。これらのフープ応力は、多くの断裂において組織を近づけことによって治癒過程を助けてくれると考えられています。 さらに、ロデオによって、さらに最近ではマカロックによって言及されていますが、垂直断裂・縦断裂修復、または、バケツ柄状断裂の修復後、完全伸展位で荷重することでかかる圧縮力は、半月板を縮小させ、断裂部を安定させることが報告されています。 半月板修復術後早期の可動域 早期可動域についてはどうでしょう? 半月板の動きが可動域に与える影響についての文献は、かなり限られています。屈曲時、内側半月板の後方移動は5.1mmであり、外側半月板の後方移動は11.2mmであったと、トンプソンは提示しました。 どれだけの動きで有害になるかわかっているとは思いませんが、荷重時、非荷重時での膝屈曲における半月板の動きを見てみると、あまり動きがないことが分かるでしょう。動きがその部位への血流改善の助けになることは明らかにされています。このことが重大なことであり、治癒過程を助けてくれるかもしれないのです! 私たちが推薦することは何でしょうか? 事例的ですが、私たちは長年、我慢出来る範囲で荷重と可動域を可能とすることで、半月板修復に対応してきました。私が一緒に仕事をしてきた世界でも最高位にいる整形外科医の中には、最近になって、半月板修復術を、半月板修復を伴った前十字靱帯再建術と同じように取り扱う医師もいます。 半月板単独修復では、(仮に縦断裂であれば)完全伸展位で4-6週間固定をしつつも、即時荷重を許可することを好みます。複雑な修復では、一部。荷重制限をすることを奨励するでしょうが、フープ応力が治癒を助け、十分に有益であり必要であることを理解しています。どちらのケースでも、他動での可動域は我慢できる範囲で行うことを奨励します。 信じてください。私は半月板の治癒を尊重し、可動域と荷重での活動を漸進に沿って、患者を継続的に観察しています。修復した部位に沿った関節ラインでの新しい痛み、新しい腫脹、あるいは、疼痛パターンの変化、そして、クリック音(ほとんどの人々でクリック音はするのですが)のような症状はすべて、常に追加の評価と漸進の修正を行うための兆候となります。 このことに基づき、私は、半月板の垂直縦断裂修復術後、痛みのない他動可動域運動と即時荷重を行うというリハビリテーションガイドラインを支持し続けます。文献は、私たちに対し同じことを叫び続けているにもかかわらず、私たちはそれを無視して90年代に逆行しているのです。

マイク・ライノルド 2497字

腰椎骨盤の位置の脊柱とハムストリングスへの影響

ノーマルな骨盤の位置とは、骨盤がやや前傾している位置であるとすれば、骨盤の前傾が増大したり、骨盤が後傾した場合に、脊柱やハムストリングスにどのような影響があるのでしょうか?理学療法士のマイク・ライノルドがクライアントに解説する時に使う絵で分かりやすく説明します。

マイク・ライノルド 4:56

2アウトドリル

開幕投手がイニング中に、座って休んでいると、次のイニングで腕を楽に動かすことができなくなる、という経験をしたことはありませんか?リサーチの基づいたイニング間に行える簡単で効果的なドリルを、理学療法士のマイク・ライノルドがご紹介します。

マイク・ライノルド 4:26

エビデンスベースによる実践を取り入れる最善な方法

過去20年ほどの間、私たちの専門分野は、エビデンスベースによる実践へ向け大きな発展を遂げました。私たちの身体に関する理解と専門分野の基になる原理が拡充するにつれ、最善のサービスを可能な限り迅速にかつ安全に提供するために、私たちのエクササイズや徒手療法においてエビデンスを求めることは必須事項です。 しかしながら、エビデンスベースによる実践に対して行き過ぎた傾向も見受けられ、私にはその良し悪しはわかりません。非常に多くの人達が、あるテクニックについて単にそのテクニックの効能を示唆するエビデンスが十分にないために反論しているように感じます。 私たちはこのような「エビデンスがもたらすマヒ」状態という、効果的であるという強固なエビデンスがなければ何もできないと、一部の人々が考える状況を作り出してしまいました。このアプローチはとても難しく、結局のところ現実的ではありません。 エビデンスベースによる実践とは何か? 一部の人たちは、エビデンスベースによる実践の3つの構成要素を忘れてしまっている、とソーシャルメディア上で何度も感じています: 入手可能な最良のエビデンス 臨床医による経験、知識、技法 患者の要求とニーズ ご覧の通り、「入手可能な最良のエビデンス」はエビデンスベースによる実践の構成要素の一つにすぎません。 特に理学療法の世界において、私たちは、患者が「楽になりたい」というもともとの理由に対する治療を提供する代わりに、入手可能な最良のエビデンスのみに基づいた「エビデンスベースの理学療法」を患者に押し付けていることが、数多くあります。これは、薬事的な効果と潜在的に重大な副作用を伴うような状況のことではなく、最良であれば人々を楽にし、最悪でも何も起こらないという、私たちのエクササイズと徒手療法のテクニックのことについて話しています。 批判を始める前に、まずこの記事の続きを読んでみてください。どんな時でもエビデンスをベースに実践を行うべきです。 しかしながら、もしエビデンスが十分にない場合はどうしますか? エビデンスベースによる実践の信号システム 私が、学生や若い臨床医に、エビデンスベースによる実践を取り入れる方法を教えるとき、まずエビデンスベースによる実践の信号システム、と私が呼ぶものについて、いつも話し始めていきます。このシステムを用いることによって、どのテクニックを絶対に使うべきか、または使わないべきかを即時に明確にすることができます。 赤信号=ストップ もし質の高いランダム化比較試験による強固なエビデンスが、安全性の問題や効能の欠如を示唆しているのであれば、より有益な他の方法を見つけるべきでしょう。 黄信号=注意をもって実施する 評価する効果について相反する情報がある、または質の高い研究が不十分であれば、実施に慎重にならなければなりません。このようなシナリオでは、おそらく、効能を示した質の低い研究(ケーススタディや強固な方法論が欠けた研究等)、あるいは研究結果において、効能の有無についてのどちらかへの傾向が見られず矛盾する報告があるのでしょう。 青信号=実施する もし、質の高いランダム化比較試験による強固なエビデンスによって効能が示唆されているのであれば、問題なくこの方法をエビデンスベースと正当化して使用できます。 論議されているテクニックに関した入手可能なエビデンスを探すために、発表されている治療ガイドライン、APTA(アメリカ理学療法士協会)のエビデンスベースによる実践のウェブサイト、及び自身でのPubMed上の文献調査を含む多くの良いリソースがあります。 エビデンスベースによる実践を取り入れる方法 残念なことに、私たちのテクニック、評価、エクササイズや他のアプローチのほとんどは、エビデンスベースの信号システムのどこに当てはまると思いますか? 黄色です。 私たちが行っている全てのことを評価するための、しっかりと管理された研究を計画することはとても難しいことです。「肩の痛み」や「膝蓋大腿部の痛み」などに基づいて被験者をグループ分けすることに問題が見受けられることもよくあります。これらはとても広義で、介入の効能を評価することは疑いもなく難しいものになるでしょう。また、この逆はどうでしょうか?ある特定の疾患に対する「マッサージ」を検証する研究です。どのように「マッサージ」を定義しますか?私とあなたのやり方は同じですか? エビデンスが十分にない、またはいうことは効果がある、またはないことを示唆する、相反するエビデンスがあることが、多くあるでしょう。このようなシナリオでは、理にかなった理論的な原理または経験によって、自分自身で判断しなくてはなりません。 それが秘訣なのです。理にかなった理論的な原理とあなたの経験が。 もし、あなた自身に十分な経験がないのであれば、専門の臨床医の経験を頼るのもよいと思います。ただ、あなたをエキスパートにするのは、ソーシャルメディア上のフォローワー数ではなく、経験であるということを理解しなくてはなりません。しかし、誰かが彼らの経験上ある方法が有効だから、という理由のみで、実施するには十分と考えてはいけません。あなた自身の経験をもとに、あなた自身の手で、その方法を徹底的に調べるべきです。 新たな研究が行われ、エビデンスが入手できるようになるにつれて、エビデンスによる私たちの現行の理解度を基に、あなたは継続的にテクニックを洗練する必要があるでしょう。 青信号の原理に則って行うことを基本としましょう。しかし、同時に、すべてのことが青信号の範囲になければいけないと思わなくても大丈夫です。黄信号の範囲に属するようなテクニックでも、それが理にかなった理論的な原理とあなたの経験によって実用的な結果を示せば取り入れてみましょう。

マイク・ライノルド 2485字

室内での腕のウォームアップ方法

投手達が、投球練習に入る前の安全で効果的なウォームアップの方法は?キャッチボールの強度をいかに段階的に変化させていくのか?元ボストンレッドソックスの理学療法士である、マイク・ライノルドがご紹介します。

マイク・ライノルド 1:45

キャッチボールの際に最もよく見られる間違い

投手がキャッチボールを行う際に、最もよく見られる間違いとは?最初から全力で投げてしまうことの問題とは?怪我の可能性を低下させるためのキャッチボールの仕方についてのアイデアをごらんください。

マイク・ライノルド 3:49

膝蓋骨の位置と可動性を計測する

膝蓋骨の位置と可動性を計測することは、今でも私の膝の臨床評価における非常に重要な構成要素です。それは、膝蓋骨の可動性低下が見られるとき、存在しているかもしれない軟部組織制限についてのよい認識を与えてくれます。これは特に膝の手術後によくあることですが、膝蓋骨の可動性を計測することは、膝蓋骨の過度可動性が見られる際に全身の弛緩性を評価するためにも重要です。 あなたが臨床評価中に、これらのいずれかを初めて実感するとき、あなたは私が何を意味しているかわかるでしょう。 でも、もしあなたが文献を通読しているなら、あなたは膝蓋骨の位置や可動性の評価の妥当性と信頼性について、矛盾している結果を見つけるかもしれません。 膝蓋骨可動性の計測の信頼性 私がよく言及する一つの研究は、膝蓋骨の位置、具体的には膝蓋骨の内外側の位置に関する評価の信頼性を調べたスミス氏による系統的レビューです。すべてのよく行われる検査テクニック同様、そのテストが適切な評定者間及び評定者内信頼性を持っていることを証明することが必要です。テストは簡単に再現されることができ、2人の異なる臨床家間、そして同じ臨床家による再評価で繰り返される際の両方において正確な結果を出さなくてはなりません。 そうでなければ、テストの使用は限定され、役立つ情報を提供することはできないでしょう。 著者らは、膝蓋骨の内外側位置の評価において、評定者内信頼性は良いが評定者間信頼性は変動的であると結論付けています。この変動性は私にとって興味深く、我々が膝蓋骨可動性の見方を標準化していないだけなのではないかと考えさせます。 ハーリントン氏による別な研究は、20名の経験のある治療家のグループが的確に膝蓋骨位置を計測できることを示しました。これにより、似たような訓練を受けた、あるいは同じような能力を持った臨床家のグループは、ランダムに選ばれた臨床家たちに比べてより高い評定者間信頼性を示すであろうことがわかります。私は、あるテストが、良い評定者内信頼性とより悪い評定者間信頼性を持っている時、二つのことのうちのどちらかだと考えます: そのテストは行うのが難しい、そして/あるいはより多くの経験があればより正確である。 もし我々がみな同じ検査テクニックを用いれば、信頼性は高められます。テクニックには、あまり良くない評定者間信頼性を生む微妙な違いがあるかもしれない。ハーリントン氏の研究が経験のある臨床家のグループにおいて良い評定者間信頼性を示した際、このことが私の頭に思い浮かびました。 膝蓋骨可動性計測の妥当性 計測の妥当性について、著者らは、限られたエビデンスに基づいて、このテストの基準妥当性は最低でも中程度であると結論付けています。しかしながら、いくつかの興味深い研究が言及されていました。マッキーワン氏による研究は、5度以上の膝蓋骨の外側傾斜は検出できることを示しました。これはMRIによる計測で確認されました。その以前に報告されていたハーリントン氏による研究も、膝蓋骨の内外側位置が正確に計測されることをMRI計測で確認し報告していました。 膝蓋骨可動性を計測するシンプルな方法 膝蓋骨の位置の臨床的計測は、信頼性および妥当性があるようです。評定者内信頼性、あるいはあなた自身の正確にテストを再現する能力がより正確になる一方で、検査テクニックの規定化(統一)によって評定者間信頼性は高められるでしょう。 こられすべてを考慮して、私は正直に言うと膝蓋骨の位置を“計測”しようとはしません。 私は位置を評価しますが、厳密な位置にミリメートルや角度のようなラベルを貼ろうとしたりはしません。もしこの情報を求めていたり必要であれば、私はむしろこの情報をMRIから得たいと思っています。私は可動性低下、あるいは過度可動性の程度を評価することにより着目しています。 そして、信頼性をかなり高めることができるだろうと私が考える、実にシンプルな方法があります。 この計測を単純化するために、変位し得ると感じる膝蓋骨のパーセンテージを用いようと思います。私はこのように行います: 膝蓋骨を4等分し、それぞれが膝蓋骨の25%の幅になるようにする。 位置を計測するときに、滑車の中心線があると思われる場所を視覚的に定めようとする。もし私が変位を計測しているのであれば、外側滑車の縁を視覚化するでしょう。 それから、滑車の中心線を超えた位置にある膝蓋骨のパーセンテージを計測し、膝蓋骨を動かして、下の図にあるように、膝蓋骨の25%、50%、75%、あるいは100%が滑車の外側縁を超えて動かせるかどうかを計測してみる。 私はDr.フランク・ノイスのような膝の専門家が、50%変位を“正常”だととらえているのだと何年もかけて学びました。私はそれを基準枠として使いますが、左右で比較することは恐らくもっと重要でしょう。 これが他の四肢と比較するための多くの情報を私に与えてくれ、そして過程を単純化してくれていると私は感じていて、それらが評定者内および評定者間信頼性を高めてくれることを望んでいます。もし我々が皆この方法で行えば、我々はよりずっと正確になれるだろうと私は考えています。

マイク・ライノルド 2209字

肩峰下除圧術は本当に必要なのか?

肩峰下除圧術は、肩の痛みを患っている人にとても一般的に行われる手術です。この手術は、“インピンジメント症候群”の人に推奨されることが多く、元来は肩峰下のスペースを広げることで力学的衝突を軽減するという理論に基づいていました。 しかし、近年の研究では、この手術の効果のみならず、この“肩峰下インピンジメント”という診断自体にも異議が唱えられています。 肩の痛みを患う成人に行われる肩峰下除圧術:システマティックレビューおよびメタ分析 肩の痛みを患う1,000人以上の患者に9回の臨床試験を行った結果のレビューが、最近のブリティッシュ・ジャーナル・オブ・スポーツ・メディシン(British Journal of Sports Medicine)に発表されました。執筆者らは、プラセボ手術や運動療法を肩峰下除圧術と比較した研究も載せました。 この研究は、プラセボ手術や運動療法と比べ、肩峰下除圧術にそれほど重要な効果はなかったと指摘しました。 特に、術後6ヶ月と12ヶ月の時点で、痛みや機能、生活の質に対して追加的な有効性は一切なかったということが分かりました。 お分かりのように、痛みや機能のために肩峰下除圧術を受ける有意な利益はないようです。 これらすべては、何を意味しているのでしょうか? 最近のいくつかの研究結果によれば、肩峰下除圧術は将来、確実に減っていくように見えます。 手術を受けるメリットは、術後のリハビリテーションと術後の段階的なエクササイズを適用することに関連しているのかもしれません。 これもまた、重要なことを見逃してしまっている手術のひとつのようです。 こわばりや動的安定性の欠如など、“インピンジメント”を引き起こす根本的な原因に取り組むのではなく、純粋に生体力学だけを考えれば、単にもう少しスペースを作りましょうということになりますよね? 単純化し過ぎではないですか? まだ根本的な原因に取り組んではいないのかもしれません。 しかし、これらすべてのことを踏まえると、恐らく、“インピンジメント”という用語さえ使用すべきではないのかもしれません。 生体力学ではない観点から見てみると、私たちは本当に肩の痛みの病因を真に理解しているのかさえ確信が持てず、いつも“インピンジメント”の生体力学的なアプローチに飛びついてしまうように思えます。なぜ段階的なエクササイズが肩の痛みの緩和に役立つかという理由は、単なる生体力学的要因以外に、数多くのあるのかもしれません。 しかし、この研究におけるひとつ重要な点を忘れないようにしましょう。それ以後5年経過しても、これらの患者には視覚的評価0~10のスケールで1.5~3程度の痛みが肩にまだ残っていました。 ですから、生体力学を無視して、痛みに対処するだけでいいというアドバイスも、理想的なアプローチではないということになるでしょう。 私たちがその方向に進んでしまうことは避けたいものです。 この研究には、肩の痛みを3ヶ月以上患っている患者たちが参加しました。これらの人たちの回旋腱板の病理の程度や、それがどのように肩の機能に影響したか、今後の長期的な予後はどのようになるかなどを測定することは困難です。まだ回旋健板に根本的な炎症があるのです。 Image from Wikipedia では、私たちは何をするべきでしょうか? このような研究が継続的に発表されるにつけ、これらの手術について目にすることは少なくなっていくでしょう。 何かが“インピンジメント”の原因になっているか否かにかかわらず、肩の機能を最大限にすることの方が、より重要になってきます。 私は、物事をシンプルにすることで多くの成功を経験してきました。痛みを厳密に特定することを心配するのではなく、単に動きを正常化したり、回旋腱板や肩甲骨周りの筋群を強化したり、動的安定性を促進したりし、それから負荷をかけながら徐々に組織の能力を上げていくことに集中してみましょう。 これは、構造的な診断より機能障害に焦点を当てた方がより影響力があることを示す良い例です。 ただ痛みを治療するだけでなく、その人の状態を最大限に高めてあげましょう。

マイク・ライノルド 1810字

リハビリテーションプロトコルを捨てるべき時が遂に来たのか?

理学療法におけるリハビリテーションプロトコルの使用は、依然として一般的な実践です。私は最近簡単な読者調査を行い、彼らの大半が同意しています:大多数は、いまだにプロトコルに従っているのです。 しかしながら、最近のソーシャルメディア上の傾向は、これらのガイドラインやそれに従う人たちを批判することとなっています。プロトコルの使用を避けたまま大学を卒業してきている学生達さえもいます。私は数年に渡って次のような苦情を沢山聞いてきました: 私たちは紙切れに従うのではなく、脳を使わなくてはならない 理学療法士は料理本(のようなもの)に従うべきではない 理学療法は白黒はっきりしたものではない 私たちは治療法を個別化する必要がある 私は、これを完全に理解していますし賛同もします、少なくともある程度は。理学療法士(あるいはその他のリハビリテーション専門家)として、私たちは人体がどのように機能するかを学ぶことに多くの時間とエネルギーを費やしてきました。私たちは数えきれない時間(そしてお金…)を費やして理学療法士になり、我々の専門技術を習得してきました。私たちは何年も費やして、我々の経験や患者の成果に基づき技術を磨いてきました。 私たちは脳を使っているはずであり、そして個々人に基づきプログラムを個別化させているはずなのです。 しかし、リハビリテーションプロトコルは、適切に用いることができれば、私たちがこれをもっと上手に行うのに役立ちます。これを強調すると、理学療法におけるリハビリテーションプロトコルが一体何なのか、そして何でないのかを分析すると、私たちが実践でそれらをどのように用いるべきかを最もよく理解することができます。 リハビリテーションプロトコルは料理本ではない まずこの点を片づけましょうーリハビリテーションプロトコルは、完璧な料理本として作られているのではありません。これは理学療法士がしばしばプロトコルによって麻痺させられ、プロトコルの中に具体的に載っていないものは何もできない、と考えてしまいうるところです。 現実的に、良いリハビリテーションプロトコルの目的は、修復中の組織に段階的に負荷をかけるためのゴール、事前注意、そしてタイムラインを明確に定義することです。これらは治癒過程の基礎科学の理解に基づき作成されています。 あなたが間違いなく行うべきことと、あなたが間違いなく行うべきでないこととの間には、いまだに大きなグレーゾーンがあります。 これを、あなたがレシピをカスタマイズし、自分自身のサンドウィッチを作る機会として考えてみてください。あなたは両側にパンを置かなくてはなりませんが、パンのスライスの間に、どの肉、チーズ、そして調味料を挟むのかは、患者やあなたのトレーニング、そして経験次第でしょう。あなたは自分の好みを持っているかもしれません、私もそうであるように。 私はしばしば、プロトコルのゴールや事前注意点に合致しているとわかっている患者に、プロトコルには具体的に載っていないことも行います。良い例は、回旋筋腱板修復術後に僧帽筋の軟部組織に取アプローチしたり、または前十字靭帯リハビリテーションの早期段階で、コアトレーニングを含めることです。ただそれらがプロトコルの中に具体的に含まれていないからといって、あなたがそれらを行うことができないというわけではありません。 リハビリテーションプロトコルはあなたのプログラムの基盤であり、次のことに基づいて調節されるべきです: 一人一人特有のゴール 特定の怪我または手術 よく見られることである、付随する怪我のすべて リハビリテーションプロトコルは受傷後のガイドラインである プロトコルに関してよくある誤解は、それらはガイドラインではなくてはっきりとしたルールである、というものです。私たちが長年に渡り作り出してきた非手術性(保存療法)のリハビリテーションプロトコルの全ては、患者を怪我から復帰させる手順に導くものとして意図されています。 事実、多くはプロトコルに関する厳格なタイムラインはなく、むしろさせる基準の段階があります。たとえば、トミー・ジョン傷害(内側側副靭帯損傷)を持つ野球選手をリハビリする時に、各段階のゴールのいくつかはどのようなものがあるかというと: 段階1:治癒促進、関節可動域の回復、基本的な筋力及び固有受容の向上 段階2:関節可動域の維持、筋力および動的安定性の最大化 段階3:段階的な組織への負荷の適用、競技特有の動的な活動への漸進 段階4:スポーツの段階的漸進への復帰 上の段階を見てみると、各段階に何がふさわしく、何がふさわしくないかを判断するためにこれらのガイドラインを用いることができます。ここは、あなたの個人的な好みが関わってくるところです。私はハムとチーズに辛いマスタードを乗せるが好きで、あなたはイエローマスタードが好き。私は批判しません。それらはどちらもふさわしいのです。 手術後は異なりますし、そのことは以下でもっとお話ししますが、保存療法(非手術性のもの)に対しては、このようにプロトコルを用いるべきです。非手術的怪我においては、エクササイズまたは活動をある一定期間制限したいかもしれない場合もありますが、多くの場合、非手術性(保存療法)のリハビリテーションプロトコルは、一連のリハビリを管理可能な範囲に小分けするために用いられます。 リハビリテーションプロトコルは手術後必要である 私が確信している一つの領域は、手術後のリハビリテーションプロトコルの決定的な必要性です。リハビリテーションプロトコルは、術後の理学療法の非常に重要な構成要素です。手術後のケアの一定基準は、術後に患者が適切に漸進していくことを確実にするために設けられ、伝えられなければなりません。 これらの多くは外科医特有であるかもしれない、つまり、ある医師らは、彼らの経験に基づいてあなたにもっと速く、あるいはもっとゆっくりやってほしいと望むでしょう。理学療法士として、私たちは執刀医からのこれらのガイドラインを尊重しなくてはなりません。彼らは自身の行う手術、そしてあなたの患者の内部をあなたよりもよく知っているのです。 手術の後、プロトコルは、私たちが確実に受傷した組織を保護し、治癒を促進して、徐々に負荷をかけていくために用いられます。 プロトコルに従わず、単純に即興で何かを行うことは、その人をできるだけ素早く安全に復帰させる可能性を最も低くしてしまうでしょう。たとえば、前方肩関節唇修復術後6週間における肩関節の関節可動域は、多すぎても少なすぎても、どちらも不都合になりかねないため望ましくありません。うまく作成された手術後のリハビリテーションプロトコルは、患者を成功のために最も良い位置につかせるでしょう。 若いクリニシャンとして、合併症を持った患者の注意事項や制限に優先順位を付けることもまた難しいことです。たとえば、私たちのリハビリテーションプロトコルには、回旋筋腱板修復に対する13個のプロトコルと、前十字靭帯再建術に対するプロトコルが16個あります。私たちは複数の要素や付随する傷害に基づき、ガイドラインを変えます。これは必須です。 リハビリテーションプロトコルの使用をやめる時が遂に来たのか? 私はまったくそう思いません。事実、私は正しく用いられたリハビリテーションプロトコルを熱烈に信じている者です。私は、プロトコルが我々の専門性にとって良くない、あるいは私たちがそれ以上のレベルにあるということで退けてしまうのは、非常に短絡的だと思います。 しかしながら、プロトコルは単純にあなたに、何ができて何ができないのかというガイドラインを与えてくれるものです。あなたが“できる”ことは、プロトコル中にあるものだけに限られてはいません。プロトコルを、あなたが遅すぎたり、あるいは速く進めすぎていないか確かめるためのガイドラインとして考えましょう。現実的に、プロトコルには、含まれるべき全てのトリートメントやエクササイズが載っているわけではありません。ここで、あなたの技術や経験が関わってくるのです。あなたは患者を助けるために他にどのような介入を安全に行うことができるかを見極めると同時に、その選択した介入がプロトコルの制限内で安全に適合しているかどうかを評価しなくてはなりません。 私たちは考えなしにリハビリテーションプロトコルに従うべきではありません。それは“腕のいい”理学療法ではないのです。しかしながら、私たちはプロトコルと治癒組織にしばしば関連しているタイムラインをしっかりと理解しなくてはなりません。 真の熟練したクリニシャンはこのことを認識し、リハビリテーションプロトコルのガイドラインと彼らの膨大な経験やトリートメントの好みを組み合わせるのです。

マイク・ライノルド 3731字

パフォーマンスのための理学療法:なぜ私たちの職業は進歩する必要があるのか

理学療法は、けがのリハビリに始まり、けがの予防、さらにはパフォーマンスの向上に及ぶまで広範囲に広げることができます。人々が自身の身体を最大限に活用できるように本当の意味で手助けするには、私たちはそれら三つ全てに焦点を当てる必要があります。 しかし、私たちの多くはそうはせず、そしてもしあなたがその一人であるなら、かなりチャンスを逃していると思います。 これがなぜ起こるのかは確かではありませんが、もし推測するのであれば、私達を躊躇させる2つの主な考えがあるのではないかと思います。 大多数の理学療法の専門家は、けがのリハビリに集中しており、これには私たちの大学のカリキュラムや職場の環境をも含んでいますが、これによって、人々が自身の機能とパフォーマンスを最大限にさせることを手助けするという私たちのポテンシャルを実に制限しています。 私たちはほとんどの時間を「パフォーマンス」ではなく「機能」に注目することに費やしています。 おそらくこれはただの専門用語かもしれませんが、私が学校に通っていた時とキャリアの序盤において「機能」は人々の日々の生活における活動のことであり、そして「パフォーマンス」はスポーツのことでした。そうではありませんでしたか?少なくともそれが私の認識でした。 私はこの定義に、これ以上ないくらい同意できませんでした。私が今どのようにこれらを定義するかを次に書きます: 機能とは活動です。もちろん、これはお風呂に入ったり服を着たりといったことを含むこともできますが、ランニングやジャンプ、投げる、そしてスポーツをすることも一般的には機能であると言えます。 パフォーマンスとはそのような機能をいかにうまく行えるかということです。 パフォーマンスとはアスリートだけが行うものではありません。私たちは皆、私たちが自身の身体を使って行いたいあらゆる機能を実行しなければなりません。これはおそらく、理解しなければならない最も重要なコンセプトであり、そして私のチャンピオンパフォーマンススペシャリストのコースを受講し終わった人たちが最も役に立ったと言った主なことの一つです。 パフォーマンスのための理学療法へ移行する必要性 多くの理学療法士にとって最も一般的なパフォーマンスのスペクトルの視点と、私が推測するものを次に挙げます。どこかの時点で、自分自身のベースラインを定めたでしょう。多くの人はそのベースラインを元に、パフォーマンスを復元または向上させることのどちらかに集中します。 私たちは傍観して、誰かがけがをするのを待ち、それから彼らがベースラインへ復元するのを手助けするのです。 ところで、そもそも、彼らのベースラインがけがをした理由の一部であったらどうしますか? もし、彼らの機能をベースラインに戻すことにだけ集中したのであれば、彼らのパフォーマンスを最適化し、そして向上させるための機会を完全に逃しています。 これが、非常に多くの人がけがの再発や慢性的な痛み、そして手術の失敗が起こる理由の一つだと考えずにはいられません。人々をベースラインに戻すことは十分ではなく、彼らのキャパシティを増加させ、ベースラインを向上させなくてはならないのです。 すでに周知のように、筋力不足やモビリティの問題、そしてアンバランスさなど、多くのことがけがを起こしやすくします。 ソーシャルメディア上で、非常に多くの理学療法の方法が事実的に非効果的か一時的のどちらか、またはその両方であるという批判が最近増加しています。まさにその通りでしょう。 しかし、もしかしたら、理学療法の方法が問題なのではなく、全体の計画なのではないでしょうか?もしかしたら、私たちはただ機能を復元することだけに集中しすぎていて、パフォーマンスを最適化し向上させることには十分でないのではないでしょうか? もし、頭上への肩の可動域の制限があり、ジムでオーバーヘッドプレスを行うたびに肩に痛みがあるのであれば、その痛みは理学療法で大きく軽減できるでしょう。しかし、オーバーヘッドプレスを再び行えば痛みが戻ってくる可能性が高いとは思いませんか?痛みを軽減し、以前のベースライン(適切ではない)に戻しましたが、彼らのモビリティを最適化してはいません。 彼らの長期的な見通しはあまり良くないですよね? パフォーマンスのための理学療法の目的 パフォーマンスのための理学療法の目的は、機能を取り戻すだけでなく、身体のキャパシティを増加させることです。 単に以前のベースラインへ戻すだけでは充分ではありません。私の見解では、それは「これまでの」理学療法です。パフォーマンスのための理学療法は機能を取り戻すだけではなく、さらにパフォーマンスを最適化し向上させようとします。私にとって、それが重要な違いなのです。 もしパフォーマンスの最適化をスペクトルに加えるのであれば、このようになるでしょう: しかし、これだけでは十分ではないと思いますし、もっと良くすることができると思います。 もし、パフォーマンスを取り戻す、または向上させようとしているのであれば、パフォーマンスを最適化しようともするべきです。現実的に、この二つのコンセプトには重複する部分があります。 これは、二つの方法で私たちの焦点を変化させます。 これらのコンセプトは全て重複することを示しています。私たちはパフォーマンスを取り戻して最適化でき、そしてパフォーマンスを最適化して向上することができます。それらを個別の要素と考えるのは、理想的ではありません。 私たちの思考プロセスを後ろ向きから前向きな視点へと変化させます。終着点が単にベースラインへと戻すだけではなく、最適化することでもあり、うまくいけば彼らのパフォーマンスを向上させルことであると理解していれば、けがのリハビリのプロセスについてのあなたの全体的な見解を初日から変化させます。 私たちの職業にはパフォーマンスのための理学療法が必要である 良いニュースがあります。 理学療法士は診断とけがの治療にとても優れています。理学療法士のけがの評価と治療を可能にする評価と診断のスキルは、その人の機能とパフォーマンスのレベルを評価することにも容易に応用することができます。 考えてみてください、けがをしている人と健康でパフォーマンスを向上させたい人とを評価することの違いは何でしょうか? スペシャルテストです。それがおそらく答えでしょう、違いますか? スペシャルテストは特定のけがの診断を容易にするように作られています。もし、このスペシャルテスト、または一連のテスト、が陽性であれば、そのけがをしているのかもしれません。 しかし、スペシャルテスト以外のもの全ては、その人の機能のレベルを本質的に評価します、違いますか?筋力、モビリティ、バランス、動作。これらは、ある人の完璧なパフォーマンス療法とトレーニングプログラムを作るために評価できる全ての項目です。その後、私たちはこれらの特性の一つ一つを最適化し向上させるために取り組むことができるのです。 あなたはどのようにこれら全てを組み合わせますか?けがを治療して身体を最適化するのです。 それには、あなたの考え方を変化させるだけで良いのです。

マイク・ライノルド 3087字

コレクティブエクササイズの正規分布曲線

あなたが驚くことであろうと認めざるを得ません。私にとって、コレクティブエクササイズは常に効果があるものではないのです。そうです、言ってしまいました。ああすっきりしました! コレクティブエクササイズは、リハビリの世界と、おそらくそれ以上にパーソナルトレーナーの世界で、近年人気急上昇が見られたものの一つです。今では皆がバイオメカニクスと動作パターンを評価し、所見されたことに対してコレクティブエクササイズを処方しようとしています。これは素晴らしいことです。 私は、最近、パーソナルトレーナーディベロップメントセンターのJon Goodmanと、理学療法とパーソナルトレーニングがどのようにより効果的に協力できるかについての記事を共著しました。私たちこのコンセプトについて少し話し合いました。Jonは、彼が述べたいくつかの理由から、パーソナルトレーナーがアセスメントを行うことについて、どちらかと言えば反対する強固な立場をとっていました。私はこのことについてはJonほど強く思うわけでなく、私たち皆が動作パターンを見て、専門家同士でより良いコミュニケーションを取るために利用できるFMSのようなシステムが開発されたことを歓迎します。誰かのためのプログラムを個別化するためにできるあらゆることは、私にとって素晴らしいものです。しかし、注意点があります… 多くの人が語ろうとしない誰にも知られたくない秘密があります−コレクティブエクササイズはいつも機能するとは限らないのです。 これは、コレクティブエクササイズが常に機能しないことを認めるのを少し恐れているという、ほぼ「裸の王様のお話」のようになっています。もしかすると、彼らは、コレクティブエクササイズが機能しないのは彼らの技術が未熟だったり、知識が十分でなかったりと考えているかもしれません!私が、その気持ちを楽にしてあげましょう。私にとっても、コレクティブエクササイズはいつも効果があるわけではありませんし、なぜ「効果がない」のかを理解することはなぜ「効果がある」のかを理解するのと同じくらい重要なのです。 コレクティブエクササイズの正規分布曲線 コレクティブエクササイズの効能の連続体をよりわかりやすく説明するために、コレクティブエクササイズの正規分布曲線を作りました。コレクティブエクササイズの正規分布曲線によって、なぜある人達はコレクティブエクササイズに反応しないかを説明できます。正確な割合については100%確かではありませんし、これはただのモデルに過ぎませんが、少なくとも議論の出発点にはなるでしょう。 この図では、コレクティブエクササイズに対して非常に有効的に(そして多くの場合で即座に)反応する一定の割合の人たちがいることがわかります。これらの人たちは、私たち皆が手掛けたいと思うオールスターであり、即時反応群と呼びましょう。 反対に、コレクティブエクササイズに対して全く反応を示さない、一定の割合の人たちがいます。このような人たちにおいては、何かがコレクティブエクササイズが機能しないようにしているのです。おそらく、それは痛みや病状、アライメント不良、バイオメカニクス的な問題、構造的な異常、それどころか神経生理学的なことかもしれません。このような人たちには、本質的にコレクティブエクササイズ以上のことが必要です。 そしてそれ以外の人たちがその間に存在します。この人たちは、コレクティブエクササイズに反応しますが、おそらく即座の改善とはならないでしょう。このような人たちは、ある程度の時間がかかるでしょう。 コレクティブエクササイズの正規分布曲線を応用する これは理解することがとても重要なことなので、あなたがスクリーニングを行った人を分類し始めてよいでしょう。もし、あなたがまさに動作のスクリーニングを行い、コレクティブエクササイズをプログラムし、悪い動作を改善することができたパーソナルトレーナーであるならば、おめでとうございます!それは素晴らしいことで、あなたはクライアントにとって非常に良いことをし、そして、もしかしたら、将来的に私たちの医療システムのお金を節約したかもしれません。 コレクティブエクササイズに反応しない人たちに対して、ここが、私がパーソナルトレーナと理学療法士が協力することが実際に効果的であると考えるところです。ひとりで何かするよりも、協力することでより素晴らしいことができるでしょう! コレクティブエクササイズだけでは一切反応しない少ない割合の人達に対しては、徹底的な理学療法的評価が必要で、さらに、徒手療法や神経筋運動計画テクニックや、そして最終的にコレクティブエクササイズといった治療の組み合わせが必要となるでしょう。 しかしここに、仕事で関わるのにかなり素晴らしい集団がいるのです−その他の全ての人たち!この人たちは中間的な領域であり、人々が目的を達成できるように私たちが実によく協力できるのです。真ん中のグループを見てください、私は、コレクティブエクササイズは機能するかもしれないし、機能するのに時間がかかるかもしれないと言いました。この状況では、もし、理学療法士とパーソナルトレーナーがより協力すれば、多くの人々に対して本当に効果を生み出すことができるかもしれません。 徒手療法を彼らのトレーニングに組み入れるというようなことで、人々が目的をより速く達成できるように理学療法はパーソナルトレーナーと協力することできます。 私は幸運です。私のキャリアを通して、最も優れたストレングスコーチたちやパーソナルトレーナーたちと一緒に仕事をしてきており、この人達が私のすることをより良くしてくれたのです。これは非常に理想的な仕事環境で、私が常に多職種の人のグループとチームで仕事をする理由です。 実際の例 うまく説明するために、2つの例を示しましょう。誰かのスクワットのテクニックが良くないことに気づくことがあるかもしれません。コレクティブエクササイズはうまく機能していません。このような人は、理学療法士と協力して対応するのにぴったりの人です。おそらく、股関節の関節包が硬いか、股関節のアライメントがうまく揃っていないのかも知れません(ほんの2つの例ですが、複数の可能性もあります)。彼らに必要なのは、特定の徒手療法によって正しい方向性に送り出すことかもしれず、そうすれば彼らはうまくいくのかもしれないのです。 もしくは、片側だけ肩のモビリティが非常に悪い人をスクリーニングしたとしたらどうでしょう?時折の一般的な肩の痛み以外には特に多くの症状はありませんが、コレクティブエクササイズは効果がないようです。私は先週、よく一緒に仕事をするパーソナルトレーナーから実際にこのような患者を紹介されました。この特定の患者には、コレクティブエクササイズだけでは改善しない非常に特有の肩甲上腕関節包の硬さがありました。 私はこのようなことをいつもしており、トレーニングを継続しながら問題を解決するために適切な徒手療法のテクニックを用いて、数セッションかそれより少ないセッションでその人のパターンを改善させることができます。私にとって、これは楽しいことです。協力することで、人々が目的をより速く達成する手助けをするのです。 そういうわけで、次回コレクティブエクササイズの効果が出ていないと感じた時に、罪悪感を感じないでください。あなただけではありません。もし、あなたが理学療法士かパーソナルトレーナーであるのならば、それぞれの協力できるパートナーを見つけ、そしてコレクティブエクササイズの正規分布曲線を忘れないでください。

マイク・ライノルド 3213字

SLAP損傷(上方関節唇損傷)はどのようにして起こるか:上方関節唇の傷害のメカニズム

SLAP損傷が起こる原因であると推測されている傷害のメカニズムは、複数あります。これらのメカニズムには、外傷性の転倒から、時間をかけての磨耗、野球選手のようなオーバーヘッドアスリートに見られる特定の傷害などがあります。 外傷性SLAP傷害 腕を外側に伸ばした状態での転倒や、自動車事故の際に自身を支えようとして、などの外傷性の出来事は、上方関節表面の圧迫が上腕骨頭の亜脱臼と重なった結果、SLAP損傷を生じることがあります。Snyderはこれを傷害のピンチングメカニズムとして言及しました。他の外傷性損傷のメカニズムには、直接的な打撃、肩先からの落下、上肢の強制的な牽引による傷害が含まれます。 正直に言うと、これが本当にSLAP損傷の根本的な原因かどうかはわかりません。私は過去にこの理論に疑問を持ったことがあり、答えはわかりませんが、少なくともある一面で、私は、これらの患者はすでに上方関節唇に何らかの症状を抱えていて、急性の損傷がMRIの撮影につながり、SLAPの断裂と診断されたのではないかと思っています。 本質的には、MRIによって古いSLAP断裂が見つかったのかもしれません。 反復的なオーバーヘッド運動 野球やその他のオーバーヘッドスポーツのような反復的なオーバーヘッド運動は、SLAP傷害を引き起こす原因であることが多い、もう一つの一般的なメカニズムです。 これは、私たちのアスリートにも最もよく見られるSLAP損傷の種類です。1985年、Dr. Andrewsが最初に、オーバーヘッドの投球を行うアスリートにおけるSLAPの病理学は、オーバーヘッド投球をする際の腕の減速期とフォロースルー期における上腕二頭筋の高い遠心性運動の結果であるという仮説を立てました。これを見極めるために、彼らは関節鏡検査評価中に上腕二頭筋に電気刺激を加え、上腕二頭筋の収縮が関節唇を関節窩の縁から引き上げることを発見しました。 BurkhartとMorganはその後、オーバーヘッドアスリートにおけるSLAP損傷を生み出す「ピールバック」メカニズムという仮説を立てました。彼らは、肩が外転と最大外旋の位置あるときに、その回旋が上腕二頭筋の付け根に捻転を生じさせ、付着部に捻転力を伝達すると提唱しています。 このメカニズムは多くの注目を集めており、複数の研究でその正確性が示されているようです。 Pradhanは、献体(遺体)モデルを用いて、投球動作の各段階における上方関節唇の歪みを測定しました。彼らは、投球の後期コッキング期に上方関節唇の歪みの増加が起きたことを指摘しています。 ASMI(アメリカスポーツ医学研究所)による別の研究では、献体モデルを使用してこれらの各メカニズムのシミュレーションを行いました。献体モデルの9組の肩の上腕二頭筋の付着部の複合体に、直線的な負荷(投球の減速期に似た負荷)またはピールバックメカニズム(オーバーヘッド投球のコッキング期に似た負荷)のいずれかを模倣した負荷を、損傷に至るまでかけました。結果は、直線的荷重のグループでは、8体中7体が上腕二頭筋腱の中間位で損傷し、8体中1体が関節上結節で骨折していました。しかし、ピールバックのグループでは、8体全てがII型SLAP損傷を起こしていました。2つの荷重法を比較したとき、上腕二頭筋付着部の極限強度には有意な差がありました。上腕二頭筋付着部は、ピールバック荷重メカニズムで観察された極限強度(202N)と対比して、直線的荷重で有意に高い極限強度(508N)を示しました。 以下に研究の写真を見ることができます。1枚目の写真は、正常な関節窩とそこに付着する上腕二頭筋の長頭です。2枚目の写真は、上腕二頭筋の牽引と遠心性収縮のシミュレーションです。最後の写真はピールバック損傷のシミュレーションです。最後の写真は、ピールバック損傷のシミュレーションです。 理論的には、SLAP損傷は、先に説明したこれら2つの力によりオーバーヘッドアスリートに最も起きやすいものです。減速期の上腕二頭筋の遠心性運動は、上腕二頭筋-関節唇複合体を弱める可能性がある一方で、ねじれのあるピールバック力は、関節唇付着部の後方上方剥離につながる可能性があります。

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