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スクワットで内側広筋のアクティベーションを強調することはできるのか? パート2/2

スクワットにおいてROMは内側広筋にどのように作用するのか? 全体的に見て、スクワットでの内側広筋と外側広筋のアクティベーションレベルは、少なくともエクササイズの全ROM(可動域)に渡り計測した場合、非常に似ています(Signorile et al. 1994; Wilk et al. 1996; Ninos et al. 1997; Mirzabeigi et al. 1999; Escamilla et al. 2001a; Andersen et al. 2006)。 しかし、内側広筋と外側広筋のアクティベーションレベルは、エクササイズのROM全体の各パートでも似ているのでしょうか? そのようです。 内側広筋と外側広筋のアクティベーションは、膝関節角度の変化に伴い互いに一致して変化するように見えます。例えば、バーベルバックスクワット中の大腿直筋、外側広筋、内側広筋のそれぞれが各々のピークEMG振幅に達する点は、89-95度の間の同じ膝関節角度になるときなのです(Escamilla et al. 2001a)。 そしてその他の関節角度における各大腿四頭筋のアクティベーションの間には、ほとんど差がないようです。例えば、Andersen et al. (2006) は、バーベルバックスクワット中に膝関節角度10度から100度の間を10度間隔で内側広筋及び外側広筋のEMG振幅を計測し、そして各関節角度における両者の比率を計算しました。比率は膝関節角度の増加では変化せず、およそ1:1のままでした。これは、内側広筋を外側広筋よりアクティベートされた状態にするスクワットの膝関節角度はないことを表しています。 同様に、Ninos et al. (1997) は、バーベルバックスクワットでは異なる膝関節角度に渡り内側広筋のアクティベーションが外側広筋と全く同じような反応を示し、やはりボトムポジションでピークアクティベーションに達することを示しました。 下の図で、膝関節屈曲角度の変化に伴う内側広筋と外側広筋の平行した変化を見ることができます: つまり、内側広筋はスクワットにおいて外側広筋と根本的に違うことは全くしておらず、ボトムポジションでその他の大腿四頭筋よりも相対的により重要であるということは決してないのです。 これは、膝伸展において、膝関節角度が内側広筋の優位なアクティベーションにどのように影響するかを調べ、何も効果がなかったとする詳細な研究によって支持されています(De Ruiter et al. 2008)。 従って、内側広筋がスクワット中のボトムポジションにおける筋力のために特別重要であるという可能性は低そうです。 そもそも内側広筋は優位にアクティベートされることができるのか?(パート1) 私が先に説明したように、理学療法の研究者たちは、しばしば内側広筋を外側広筋のアクティベーションよりもより大きく増加させることができるエクササイズやテクニックを特定しようと試みてきました。 これは、膝蓋骨のトラッキング不良が膝前面痛のバイオメカニクス的一因であることが明らかにされ、内側広筋と外側広筋が膝蓋骨を異なる方向に引っ張ると思われることから、これらの筋肉のバランスが膝蓋骨のトラッキング不良を左右するかもしれないからです。また、内側広筋の選択的筋委縮は、歴史的に膝前面痛に苦しむ人々において見られてきたため、内側広筋を鍛えることが問題を解決するだろうと考えられてきました。 二つの分野の新しい調査がこのセオリーに水を差しました。 第一に、非活動性筋萎縮は膝の痛みを持つ人々の内側広筋だけではなく、大腿四頭筋の全てに渡り見られました(Giles et al. 2013; 2015)。 次に、外側広筋と内側広筋は実際神経支配の大部分を共有しているようです(Laine et al. 2015)。これは内側広筋を外側広筋と別々にアクティベートさせることを難しくさせるだけでなく、実際現実的には不可能なのです! 実際に、たくさんの異なるエクササイズを調べてきた研究者たちは、膝関節伸展動作を含むエクササイズにおいて内側広筋のアクティベーションを外側広筋のアクティベーションよりも大きく増加させることは、スタンスの幅、股関節の角度、あるいは足の角度をどう変えるかに関わらず、非常に難しいと結論づけました(e.g. Cerny, 1995; Laprade et al. 1998; Mirzabeigi et al. 1999; Tang et al. 2001)。 例えばスクワット中の等尺性股関節内転のような、いくつかの研究で外側広筋の振幅に比べより大きな内側広筋のEMG振幅を引き起こすように見られたもっとも有望なアイディアのいくつかでさえも(Hyong, 2015)、実際は誤った種類の電極を使ったことにより起こった単なる人工的産物なのかもしれません(Wong et al. 2013)。 従って、20個以上のそのような研究のレビューが、恐らく大腿四頭筋が同じような神経支配を共有しているために(Laine et al. 2015)「下肢の関節の向きを変えることは…内側広筋のアクティベーションを外側広筋以上に優位に増強しない」と最終的に結論付けていることは驚くべきことではありません(Smith et al. 2009)。 そもそも内側広筋は優位にアクティベートされることができるのか?(パート2) もしもなんらかの理由で、あなたが内側広筋のアクティベーションを外側広筋のアクティベーションよりも増加させようとすることが可能であるとまだ信じており、それを試してみようと断固として決めているならば、次のテクニックの一つを試してみることもできるでしょう: ワブルボードのような、より不安定な表面を使用してスクワットをする(Hyong & Kang, 2013; Park et al. 2015) より遅いスピードでスクワットをする(Yoo, 2015) これは異論が多いが(De Ruiter et al. 2008)、膝関節完全伸展前の膝関節伸展ROM最後の30度を強調するエクササイズあるいはテクニックを用いる(ことも可能である)(Duffell et al. 2012) 筋電図に基づいたバイオフィードバックを採用し、内側広筋に注目する(Ng et al. 2008) スクワットで前額面の膝の距離を縮めやすくするために視覚的フィードバックを採用する(Hwangbo, 2015) なぜ内側広筋を優位にアクティベートしようとするのか? しかしながら、最終的には、もしあなたのゴールが脚のサイズの増進、またはスポーツでもっと上手になりたいかのどちらかであるならば、内側広筋をターゲットとする計画的な努力をすることはほぼ確実に必要ありません。 もしあなたの主なゴールが脚の肥大であるなら、長期間の試行によって示されているように(Fonseca et al. 2015)、スクワットは大腿四頭筋のうち3つの単関節筋全てを極めて効果的に使います。その一方で、スクワットは二関節筋である大腿直筋にはさほど効果的ではないため、あなたはただスクワットをするだけではいけません。大腿直筋のために別なエクササイズを加えなくてはなりませんが、ニ―エクステンションはとても良い選択です。 もしあなたの主なゴールがスポーツでもっと上手になりたいということであれば、スクワットはそのゴールのためにも大いに役立つでしょう。これに加えて、あなたの主な考慮はポステリアチェーンをもっとも効果的に発達させる方法を見出すことであるでしょうが、時間が迫ってきていますので、それについては別な日にお答えしましょう。 結論 スクワット中に内側広筋のより大きい相対的アクティベーションを狙うことは、恐らくワイドスタンスの代わりにナロースタンスを用いても、平らな表面でスクワットをする代わりに踵を高くしても不可能でしょう。スタンスの幅は大腿四頭筋のどの筋肉のアクティベーションにも効果がなく、踵を上げることは恐らく全ての大腿四頭筋に全く同じように影響を及ぼします。これは多分大腿四頭筋が類似した神経支配を共有しているからであり、それらの筋肉を個別にターゲットにすることは非常に困難です。 加えて、スクワットのボトムポジションでは、全ての大腿四頭筋があなたを深い位置から抜け出させるためにとても一生懸命働いています。しかしながら、上記の分析に基づき既に予測されるように、内側広筋が他のどの大腿四頭筋よりももっと重要であるということはないのです。 参照 Alves, F. 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ストレングス・コンディショニング・リサーチ 3656字

スクワットで内側広筋のアクティベーションを強調することはできるのか? パート1/2

一部のストレングスコーチたちは、ナロースタンスで、あるいは踵を高くしてスクワットをすると、内側広筋優位な筋肥大を引き起こすことができると示唆してきました。 彼らは、スクワットのボトムポジションでは、内側広筋がその他の大腿四頭筋よりもより重要であると信じているため(それが本当に真実かどうかは別な問題ですが)、内側広筋をトレーニングすることは必須であると主張しています。 しかし、私たちはスクワットで内側広筋のアクティベーションを強調することができるのでしょうか? そしてもしそうならば、スタンスの幅を変えたり、あるいはヒールリフトを加えることによってできるのでしょうか? 見てみましょう! ナロースタンスは内側広筋のアクティベーションを増加させるのか? 過去20年以上に渡り、複数の研究がナロースタンス・スクワットとワイドスタンス・バーベルバックスクワットの間には一般的に大腿四頭筋のアクティベーション(特に内側広筋のアクティベーション)の差がないことを筋電図(EMG)振幅を用いて発見しています(McCaw & Melrose 1999; Escamilla et al. 2001a; Paoli et al. 2009)。 さらには、Ninos et al.(1997)は、2つの異なる股関節回旋角度(つま先が外側を向いている・つま先が前方を向いている)を用いたバーベルバックスクワットにおいて、両者の間に内側広筋のアクティベーションの差はなかったことを発見しました。そしてMurray et al.(2013)は、3つの異なる股関節回旋角度(つま先が外側を向いている・つま先が前方を向いている・つま先が内側を向いている)での負荷がかかったマシンスクワットを調査した際、内側広筋のアクティベーションには差がなかったことを発見しました。 つまり、私たちが純粋なワイドスタンス・スクワットについて話しているにしろ、あるいはただつま先を真正面にするのではなく足部を外側に回旋させるということについて話しているにしろ、バーベルバックスクワットのスタンスの幅によって内側広筋のアクティベーションが変わることはないのです。 事実、股関節回旋角度が内側広筋対外側広筋のアクティベーション比率に及ぼす影響を調べるとき、「影響なし」以外のものを見つけるには、自重スクワットに関する研究例のある理学療法の文献をかなり深く掘り下げなくてはなりません。 それでも、ニュートラルポジションの有益な効果を報告している研究もあれば(Kim & Song, 2013)、内側に回旋されたポジションがもっともよいと報告している研究もあることに気が付くでしょう(Lam & Ng, 2001)。つまり、明確な答えはないのです、実際のところ。 従って、スタンスの幅は、恐らく内側広筋のアクティベーションには影響を与えないでしょう。 踵を高くすることは大腿四頭筋のアクティベーションを増加させるのか? スクワットで踵を高くすることが内側広筋を優位にアクティベートさせることができるかどうかを見る前に、まずヒールリフトを加える、あるいはデクラインボードを用いると大腿四頭筋のアクティベーション全体に何が起こるかを見てみましょう。 研究の中には1,2個のヒントがあります。 複数の研究が、片脚エキセントリックデクラインスクワット(25度という急な傾斜のデクラインボードがもっともよく用いられた)について調査してきましたが、その多くはそのエクササイズが膝蓋腱障害を治療するためにより優れた治療効果があるかどうかを見出すことが目的でした(Purdam et al. 2004; Young et al. 2005)。 これらの研究の結果として、私たちは片脚スクワット中に傾斜(デクライン)を用いることが膝関節伸展モーメントを増加(そして大腿四頭筋EMG振幅を増加)させる傾向があり、同時に股関節伸展モーメントを減少させ、エクササイズをより膝優位なものにすることを見ることができます。これは、大腿四頭筋がより働かなくてはならないことを意味しています(Kongsgaard et al. 2006; Zwerver et al. 2007; Frohm et al. 2007)。 それゆえに、私たちはデクラインボード(つまり高くなった踵)が、両脚スクワットにおいてもより大きな大腿四頭筋アクティベーションを生み出すと予測するでしょう。 次に、異なる種類のフットウェアを比較したバーベルスクワットの研究から、踵の挙上が膝屈曲をより大きくすることを可能にしているのを見ることができます(Sato et al. 2013; Sinclair et al. 2014; Southwell et al. 2016)。より大きな膝関節屈曲ピーク角度は、その他の条件が同じである場合、大腿四頭筋をより働かせる(そのためにより高いアクティベーションを表す)ことになるでしょう。そしてより高い踵のフットウェアは、より平らなフットウェアと比べ、より大きな純膝関節伸展関節モーメントを生み出すようです(Southwell et al. 2016)。 つまり、デクラインボード(つまり高くなった踵)は大腿四頭筋がより働くことにもつながりそうです。実際、バーベルバックスクワット中に踵を高くすることに注目した最近の研究は、体幹の傾きがより小さいため、より小さな股関節屈曲ピーク角度を伴ってより大きな膝関節屈曲ピーク角度を生み出しているように見えます(Charlton et a. 2016)。 異なる種類のフットウェアかヒールウェッジのどちらかを用いての大腿四頭筋のEMG振幅に実際注目した研究はほとんどありませんでしたが、デクラインボードを用いて踵を高くすることは大腿四頭筋のアクティベーションを高めているようです(Edwards et al. 2008; Ki et al. 2014; Yu et al. 2014; Lee et al. 2015)。ただ、1、2個の例外はあります(Chae et al. 2007; Alves et al. 2009; Dionisio et al. 2013)。 しかしながら最終的には、膝関節屈曲における効果、そして全体的な身体の動作パターンの変化によって生じる股関節から膝関節への明確なシフトを考慮すると、デクラインボードあるいは高くされた踵が、スクワット中の全体的な大腿四頭筋のアクティベーションの増加を導くだろうということは非常に論理的であるようです。 トレーニングプログラムを計画する時にそのことを知っておくとよいでしょう。 踵を高くすることは内側広筋のアクティベーションを増加させるのか? それでは、スクワット中踵を高くすることが大腿四頭筋のアクティベーションを全体的に増加させるようであることはわかりますが、内側広筋、そして外側広筋のEMG振幅はどうでしょうか? それらは同じような反応を示すのでしょうか?あるいは、踵を高くすることが内側広筋対外側広筋のアクティベーション比率を変えるのでしょうか? 現在のところ、ヒールリフトが大腿四頭筋のアクティベーションに及ぼす影響について調べた研究の大多数(Chae et al. 2007; Edwards et al. 2008; Alves et al. 2009; Dionisio et al. 2013; Ki et al. 2014; Yu et al. 2014; Lee et a. 2015)は、ヒールリフトを高くすることにより内側広筋と外側広筋のEMG振幅が互いに対してどれだけ変化したかについて、大きな差がなかったことを発見しています。 その二つの筋群が、ヒールリフトの変化によりとても互いに似た傾向を表すことが、下の表で見ることができます(Ki et al. 2014)。 更に最近では、Slater & Hart (2016)がトレーニングをしていないが健康な被験者において、自重スクワットで踵を上げる(つま先立ちで)ことによる影響を評価しました。彼らは踵を上げることが内側広筋のアクティベーションを減少させると同時に、外側広筋のアクティベーションを増加させることを発見しました。つま先立ちになることはインクラインスロープの効果を計測することとは同様でないものの、もし内側広筋のより大きなアクティベーションを意図するのであれば、踵を高くすることは望ましい結果を達成しないだろうとその研究は示唆しています。 つまり、内側広筋と外側広筋の間のアクティベーションのバランスは、スクワット中に踵を上げることでは変わらないようです。 スクワットにおいてROMは大腿四頭筋にどのように作用するのか? 私が先に触れたように、一部のコーチたちはボトムポジションにおいて内側広筋が重要であると信じているため、スクワット中の内側広筋のアクティベーションによく関心が持たれています。 スクワットにおける足首、膝、そして股関節の外的モーメントアームの長さを注意深く見ると、スクワットはボトムポジションでもっともきつく、よりトップに近いところでもっとも楽であることがわかるでしょう(Escamilla et al. (2001b)。下の図で股関節及び膝関節の関節モーメントアームの長さを見ることができます: もしあなたがこれまで重いバーベルでスクワットをしたことがあるのならば、すでにこのことをご存知でしょう。  エクササイズのボトムが近づくにつれて全ての主働筋がアクティベーションを増加させることは完全に納得がいきますし、事実これがまさに起こっていることなのです(Escamilla et al. 1998)。 しかし、内側広筋はそのアクティベーションを更に増加させるのでしょうか? 参照 Alves, F. S. M., Oliveira, F. S., Junqueira, C. H. B. F., Azevedo, B. M. S., & Dionísio, V. C. (2009). Analysis of electromyographic patterns during standard and declined squats. Brazilian Journal of Physical Therapy, 13(2), 164-172. Andersen, L. L., Magnusson, S. P., Nielsen, M., Haleem, J., Poulsen, K., & Aagaard, P. (2006). Neuromuscular activation in conventional therapeutic exercises and heavy resistance exercises: implications for rehabilitation. Physical Therapy, 86(5), 683-697. Cerny, K. (1995). Vastus medialis oblique/vastus lateralis muscle activity ratios for selected exercises in persons with and without patellofemoral pain syndrome. Physical Therapy, 75(8), 672-683. Chae, W. S., Jeong, H. K., & Jang, J. I. (2007). 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ストレングス・コンディショニング・リサーチ 4164字

ストレングストレーニングは脳震盪の予防に役立つか? パート2/2

トレーニングを通して首の筋力を増大させることは、衝撃中の頭部の加速を減らすか? 長期的なトレーニング調査から、首の筋力をトレーニングで高めることが、頭部に影響を及ぼす衝撃中の頭部の加速を減らすことができるかどうかを知ることができます。しかしながら、これまで、首の筋力トレーニングは頭部の加速の大きさを減少させないようであると研究は示しています(Mansell et al. 2005; Lisman et al. 2012)。 たとえそうだとしても、私たちが席を蹴って立ち去り、脳震盪を予防する別な方法を求めて先に進む前に、いくつか言及することがあります。 第一に、これらの試行で用いられた首の筋力トレーニングプログラムは、実際意図した通りには首の筋力を向上しませんでした。Mansell et al. (2005)の研究では、男性の首の伸展筋力は実際(有意な差ではなかったものの)10%低下しましたが、首の屈曲筋力は向上し、その一方で女性は首の伸展及び屈曲の両方の筋力の向上を示しました。Lisman et al. (2012)の研究では、被験者は首の伸展及び右側屈筋力のみ向上しましたが、首の屈曲あるいは左側屈筋力は向上できませんでした。これは、両方の研究が比較的とても低い負荷を用いていたからかもしれません(Gilchrist et al. 2015)。 対照的に、特定の首の筋力トレーニングを用いた首の筋力及び筋肉の大きさの変化を調査した他の多くの研究は、多数の訓練された基準において、筋力と筋肉の大きさの両方における大きな増加を報告しており(Leggett et al. 1990; Conley et al. 1997; Maeda et al. 1994; Portero et al. 2001; Burnett et al. 2005; Taylor et al. 2006; O’Leary et al. 2007; Kramer et al. 2013)、圧力に基づいた生体フィードバック(バイオフィードバック)をトレーニングで用いることが結果をさらに向上させるだろうという早期指摘があります(Nezamuddin et al. 2013)。 第二に、私はこれらの研究のどれについても、一つ一つのテストデータにおいて、評価された頭部の加速データの信頼性についての言及を見つけることはできません。 Lisman et al. (2012)の試行においては、2つの衝撃間の明らかな差は加速の量を変化するため(私と仲間たちはボクサーのパンチ力の試験再試験信頼度を測る似たような研究をしたことがあり、その信頼度は非常に低いものでした)、試験再試験の信頼度は低いと確信しています。 よりコントロールされていたMansell et al. (2005)の試行では、トレーニング前後の頭部の加速のデータは非常に可変するものであり、それはつまり信頼度はあまりよくなかったということです。そのような変動性は結果をとても“ノイズの多いもの”にし、結果として、私はこれらの首のトレーニングプログラムが頭部の加速を変化させるのに本当に効果的であったのかどうかを判断するのはとても難しいだろうと思います。 そこで、より強い首がより大きな運動エネルギーを吸収することができる理由についての明確な論理的証拠があるとすると、これらの調査は、頭部の加速を顕著に減少させるのに十分なほどの首の筋力は向上しなかったか(特に大きな試験再試験変動性を考えると)、あるいは頭部の衝撃を計測中、頭部の加速を減らすために、被験者が向上した首の筋力をうまく使うことができなかったかのいずれかである可能性が高いでしょう。 つまり基本的に、私はこの問題が終了したとは全く考えていません。私は、首の筋力が実際に向上したところで、頭部の加速のより明らかに信頼性のある結果測定法(尺度)を持つ首のトレーニングの長期的試行をもう少し、そして理想的には、最低一つは首のトレーニング群が衝撃前に首を緊張させる動作練習も行ったような、いくつかの研究を調べたいと思っています。 私たちは将来、動作練習や特定の筋力強化がドロップジャンプ及びストップジャンプ中の膝の内反を減らすために付加的であるのとまさに同じように(Hermann et al. 2009)、それらがこの特定の問題について付加的であることを見つけるかもしれません。 ストレングストレーニングは本当に脳震盪を予防するのに役立つのか? 今のところ、私たちができる最良のことは、衝撃を含むスポーツをプレーするアスリートにおいて、首の筋力の弱さは脳震盪の危険因子の一つであると発言することです。 一つの大きな高校生アスリート群において(サッカー、バスケットボール、あるいはラクロスをプレーする被験者6,704人)、低レベルの首の筋力は、脳震盪発生の増加と関連していました(Collins et al. 2014)。手持式ダイナモメーターを用いて力を計測したところ、首の筋力が1パウンド増加するのに伴い、脳震盪の発生率は5%減少しました。 問題は、首の筋力が大きいことが、首の筋力の増加は必ず脳震盪のリスクを減らすということを意味しているのではないということです。プレーには交絡因子があり、それらが関連性を生み出しているのです。 どのエクササイズが首の筋力を高めるのか? 私たちは、アイソメトリックとダイナミックな方法両方を用い、エラスティックバンド、フリーウエイト、あるいはマシンのいずれかを用いて負荷を加えた首の特定の筋力トレーニングエクササイズすべてが、首の筋力を高めることができることを知っています(Hrysomallis, 2016)。 スクワットやデッドリフト、オリンピックウエイトリフティングの派生種目、そしてベントオーバーロウのような大きなコンパウンドエクササイズをすることによって、同じような首の筋力の向上が得られるだろうと仮定したくなってしまうかもしれませんが、これは真実ではありません。 一つの重要な研究では、2つの長期的なトレーニングプログラムの効果を比較し、片方のプログラムには大きいコンパウンドリフティング(スクワット、デッドリフト、プッシュプレス、ベントオーバーロウ、そしてミッドサイ・プル)のみ、そしてもう片方にはこれらのエクササイズに加え頭部伸展エクササイズが含まれていました(Conley et al. 1997)。 この研究では、ターゲットとされた頭部伸展エクササイズは首の筋力を33.5%向上させ、首の断面積を12.8%(主に頭板状筋、そして頭部半棘筋及び頸部半棘筋)増加させましたが、大きなコンパウンドリフティングだけでは首の筋力も断面積も向上しませんでした。 そうです、私もデッドリフトは好きですが、デッドリフトは分厚く強い首を与えてはくれません。 そのため今のところ、首の筋サイズ及び筋力を向上させるためには特定の首のエクササイズが必要であり、そしてこの種の筋力強化はただスクワットやデッドリフトをするだけでは不可能なようです。 結論 小さくて弱い首を持っていることは、衝撃を伴うスポーツ中に脳震盪を起こすリスクを高めるようです。より高い筋力を持つことによって、筋肉は身体に与えられた力を吸収しやすくなり傷害リスクを低下させるため、このことは納得がいきます。たとえそうだとしても、首の筋力強化がトレーニングにおいて有害な結果をどれほど生じるかについては正式に評価されていないため、実施する際には注意深いリスク評価と用心が必要です。 さらには、首の筋力強化だけでも有益かもしれませんが、それだけを用いた場合、脳震盪を引き起こす頭部の加速の大きさに本当に影響を与えるのには十分ではないかもしれません。現時点では、迫り来る衝突を認知すること、そして首及び僧帽筋の筋肉を衝撃の前に緊張させることは、首の筋力あるいは首の筋力強化よりももっと信頼性のある頭部の加速への効果をもたらすようです。 これらのポイントを合わせて、私たちは、頭部の加速を生じる衝撃時のエネルギー吸収を向上させるために、いくらかの動作練習及び首の筋力強化を、傷害予防プログラムの中に組み込むかどうか考慮しても良いかもしれません。動作練習には、首の筋肉を緊張させること、マウスガードを噛みしめること、あるいは身体の他の部分への力伝達のために好ましい姿勢を練習することなどがあるでしょう。 参照 Barth, J. 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ストレングストレーニングは脳震盪の予防に役立つか? パート1/2

脳震盪は、今注目の話題です。議論のほとんどが、防具の使用についてや、あるいは競技の危険性を減らすためにどのようにルールを変更するかということに注目しがちですが、ルールの変更は長年のファンたちを挑発してしまうかもしれないものです。 対照的に、ストレングストレーニングが脳震盪の発生を減らす可能性があると想像する人はあまりいません。しかし、それがまさに一部の研究者たちが調査してきていることなのです。 研究の中には少し分かりにくいものもありますが、私はストレングストレーニングが脳震盪の発生を減らせるかもしれない理由についていくつか考えがあります。 脳震盪とは何か? 見解報告書では、通常脳震盪を以下のように定義しています: 「生体力学的力により引き起こされる、脳に影響を及ぼす複雑な病態生理学的過程(McCrory et al. 2013)」 あなたは「生体力学的力により引き起こされる」という部分を「頭を強く打たれること」と解釈したくなってしまうかもしれませんが、実際にはそれは少し間違っています。 スポーツ医学研究を定期的に読んでいない人が知ったら驚くかもしれませんが、事実、脳震盪を引き起こすには、生体力学的力が直接頭に与えられなくてはならないというわけではないのです。実際に同じ見解報告書の中で下記を知ることができます: 脳震盪は、頭部へ伝達される“衝撃的”力を伴う頭部、顔、首、あるいは身体の他の部位への直接の強打によって引き起こされる(McCrory et al. 2013) 私はスポーツ医師である仲間たちから、実際に多くのスポーツでは頭を打たれることが脳震盪の一般的な原因であると教わっていますが、脳震盪は頭を強く打たれなくてはならないという考えは正確ではないのです。 たとえそうだとしても、このことはあなたに何が脳震盪を本当に引き起こしているのだろうか?と考えさせませんか? 脳震盪を本当に引き起こすものは何か? 脳震盪は、与えられた外力によって頭部が大きく加速または減速をすることで起こります(Broglio et al. 2010; Blennow et al. 2012)。この外力によって頭部のスピードが突然変えられると、脳はそれまで進んでいた方向に進み続け、それによって内的な力が生じることになります(Guskiewicz & Mihalik, 2006)。 先ほど言及したように、これらの外力は、何も装着していない頭部への強打のように直接与えられることもあります。また、それらの外力がむち打ち効果で身体の別な部位に間接的に与えられる、ということも稀にあります(Tucker, 2014)。 生体力学的に、私たちは頭部に与えられた加速または減速を、三つの運動面(矢状面、前額面、そして水平面)に分解して評価することができます。文献では、よくそれらを直線的運動(矢状面または前額面)と回旋的運動(水平面)として分類しています(Meaney & Smith, 2011)。これらの加速または減速によって、剪断荷重と圧力の両方が脳にかかります。 回旋的運動の方が脳内でより大きい剪断力を生み出す能力が高い可能性があるため、回旋的運動は直線的運動よりもわずかながら脳震盪を引き起こす可能性が高いようです。どちらのタイプの運動も脳震盪を引き起こしますが(Broglio et al. 2010)、回旋的運動の方がより大きなダメージを与えると考えられています(Zhang et al. 2004; Kleiven, 2007; Forbes et al. 2012)。 正確なメカニズムが何であれ、私たちに必要なものは、衝撃中にエネルギーを吸収するのを助けることのできる何かのようです。それによって頭部に伝達される運動エネルギーをより小さくし、身体の他の部分でもっと消散されるようにできるでしょう。 もしかしたら、首のストレングストレーニングがその役目を果たせるでしょうか? 首のストレングストレーニングによって、頭部に影響を及ぼす衝撃中により多くのエネルギーを吸収できるようになるだろうか? もしストレングストレーニングが衝撃中にエネルギーを吸収する筋肉の能力を高めることができるのであれば、それはいくらかの脳震盪が起こるのを防ぐのに役立つかもしれません(Barth et al. 2001; Cross & Serenelli, 2003)。 私たちは、下半身のストレングストレーニングが、ドロップジャンプを含む多くの運動動作において筋肉のエネルギーを吸収する能力を高められることを知っています。 また、私たちは、このストレングストレーニングによって向上したエネルギーを吸収する能力は、筋力の向上によって引き起こされること、更に具体的に、特定の伸張性筋力の向上によるものであろうと推測しています。 それでは、特定の首のストレングストレーニングエクササイズは、運動エネルギーが頭部に届く前、あるいは衝撃が直接頭部に与えられたときのいずれかにおいて、それが運動エネルギーを吸収する能力を発達させるのに役立つのでしょうか? その可能性は大いにあります。 研究は、この質問を様々な方法で調査することができます。 第一に、私たちが電極で計測することのできるアクティベーションの度合いは、筋肉が生み出す力の量と関連していることから、筋電図(EMG)調査は、頭部の加速の要因となる衝撃中の首の筋肉の機能を見るための手段を提供してくれます。 第二に、関連性を調査している観察調査は、首の筋力がより強い人たちは、衝撃中に受ける頭部の加速がより小さくなる傾向があるかどうかを私たちに示してくれます(もちろん、首の筋力があるからといってそれが使われているという保証はないのですが)。 第三に、介入を用いた長期的調査は、頭部に影響を及ぼす衝撃中に経験する頭部の加速量を、首の筋力トレーニングが実際に変化させるかどうかを教えてくれます。 首の筋肉のより大きいアクティベーションは、衝撃中の頭部の加速を減らすか? 筋電図調査は、私たちに運動中の筋肉の習性について多くのことを伝え、またそれは頭部に影響を及ぼす衝撃中の首の筋肉を調査するとき特に有益です。 例えば、ハムストリングがスプリントで着地(グラウンドコンタクト)する前にプレアクティベーションをする時と同じように、首の筋肉と僧帽筋は、サッカーボールをヘディングする際、ボールが当たる前にプレアクティベーションをします(Bauer et al. 2001)。 このことは、衝撃時に放出する前に弾性エネルギーを蓄える、首の筋肉の伸張性収縮を伴う準備反応があることを示唆しています(Dezman et al. 2013)。この準備反応は、なぜ差し迫った衝撃への認知が頭部の加速を減らすのかを説明しているかもしれません(Kumar et al. 2000)。 加えて、首の筋肉のより高いアクティベーションは、制御試験での頭部の加速の減少と関連しており(Eckner et al. 2014)、衝撃時に首の筋肉のアクティベーションを高めるためにマウスガードを噛みしめることにより、ラグビーのドリル中(Hasegawa et al. 2014)、そしてサッカーボールをヘディングした時(Narimatsu et al. 2015)の両方において、頭部に与えられた加速が減少しています。 マウスガードを噛みしめることで頭部の加速は減少する 筋肉のアクティベーションはその筋肉により生み出された力に関連することから、これらの発見は、衝撃時に首の筋肉によって発揮されたより大きな力が頭部の加速の減少を導くことを示唆しています。 より大きな首の筋力は衝撃中の頭部の加速を減らすのか? 観察調査では、首の筋力がより高い人は、頭部に影響を与える衝撃中に受ける頭部の加速がより低いのかどうかについて知ることができます(上でも述べたように、単に筋力を持っているからと言ってそれが使われるという保証はないのですが)。 この調査は、一セッション中(横断調査)あるいは競技シーズンを通して(縦断調査)、首の筋力及び頭部の加速についてのデータを記録することによって行うことができます。 Tierney et al. (2005; 2008)は、二つの似たような調査の中で男女のグループを比較し、首の筋活動を事前に始動し、最大能力のより高い割合まで上げていたにも関わらず、女性のピーク加速が男性よりも大きかったことを発見しました。これは女性の首のサイズがより小さいことに加え、首の筋肉の最大等長性(アイソメトリック)筋力がより低いからかもしれません。複数の研究が、女性は男性よりも脳震盪の受傷リスクが高いことを示唆しているように、これは極めて重要なことです(Covassin et al. 2003; Dick et al. 2009)。 他の研究者たちは、一回のテストセッション中の単一被験者グループ内における、頭部の加速と首の筋力との関連性を調査してきました(Dezman et al. 2013; Schmidt et al. 2014; Gutierrez et al. 2014; Eckner et al. 2014)。彼らは相反する結果を報告しており、非アスリートを使った2つの研究では、より大きな首の筋力は頭部の加速の減少と関連していないと報告しており(Dezman et al. 2013; Schmidt et al. 2014)、またコンタクトスポーツのアスリートにおける2つの研究では、その関連性があることを発見しています(Gutierrez et al. 2014; Eckner et al. 2014)。 シーズン開始時の首の筋力を評価し、その後経時的に頭部の加速を測定した別の研究では、2つの変数の間に関係は見つかりませんでした(Mihalik et al. 2011)。しかしながら、調査の対象者が皆同じ数、または同じような性質の衝突を受けているわけではないことは明らかであり、シーズン中のプレー固有の変動性は、これらの調査結果を評価するのを難しくしています。 全体的に見て、このことは、首の筋力は一要素であるとはいえ、常習的に頭部の加速を受けているアスリートの被験者は、衝撃に対し身構えるために首の筋力を十分に使うことがより良くできるということを示唆しているでしょう。その一方で、トレーニングを積んでいない人たちは、頭部の加速に抵抗するために首の筋力を効果的に使うことができない可能性があり、このことが頭部の加速と首の筋力との関連性を減らしてしまうのかもしれません。 参照 Barth, J. 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ストレングス・コンディショニング・リサーチ 4522字

スプリントのためのレジスタンストレーニング

目的 この記事は、趣味としてトレーニングを行う、もしくは高度にトレーニングを行う成人アスリートのいずれかにおいて、従来のレジスタンストレーニングは、スプリントスピードを向上するためにどの程度効果的であるかということを堤示している。 背景 序論 レジスタンストレーニングは、スポーツパフォーマンスを向上するための、極めて伝統的な方法のひとつである。それは筋力および筋サイズを増加し、アスリートの力生成能力を向上する。レジスタンストレーニングの幅広い導入以前、多くのコーチたちは、ウェイトリフティングは(エクササイズが競技に特化していないため)無効であり、アスリートを大きく、強く、そして筋骨隆々とするため、彼らを減速するであろうと信じていたが、後にこの批評は不当であるということが発見されている。興味深いことに、30-40年前にレジスタンストレーニングの反対者により行われた議論と、現在、高負荷レジステッドスプリントトレーニングの使用に反対するコーチたちによる議論には、多くの共通項が見られる。レジステッドスプリントトレーニングと同様に、レジスタンストレーニングの際の実際の負荷は、(スクワットやデッドリフトのような軸方向エクササイズを使用する)垂直方向、もしくは(プルスルー、ヒップスラスト、グルートブリッジ、もしくは水平バックエクステンションのような、前後方向のエクササイズを使用する)水平方向のどちらも有りえる。 動作のメカニズム レジスタンストレーニングが、スプリント速度を向上するためのトレーニングプログラムに一般的に含まれるようになったのは、過去数十年ほどのことである。レジスタンストレーニングは、その低速における力生成を向上する能力により効果的であり、また、本来筋肉に備わっている力対速度の関係により、より高速における力生成能力を向上する。 メタ分析 趣味としてトレーニングを行うアスリート レジスタンストレーニングは、スプリント速度を向上するために広く調査されているため、様々な研究のメタ分析が可能である。ルンプおよびその他(2014年)は、趣味としてのアスリートにおける、スプリントパフォーマンス向上のための異なるトレーニング方法の影響に関し、メタ分析を行った。最初に彼らは、トレーニング方法を特異(スプリントもしくはレジステッドスプリント)、および非特異(プライオメトリック、レジスタンストレーニング、及びバリスティックトレーニング)へと分類した。彼らは、趣味としてのアスリートにおいて、スプリント速度を向上するために、特異および(レジスタンストレーニングのような)非特異両方のトレーニングは同様に効果的であったと記述している。実際に数人の研究者たちは、一般的なレジスタンストレーニングおよび特にスクワットエクササイズは、スプリント能力を向上するために効果的であるということを確認している。クローニンおよびその他(2007年)は、研究論文を再考察し、長期のレジスタンストレーニングプログラムから得られる最大スクワット強度の増加は、スプリントタイムの減少と関係があるということを報告している。しかし彼らはまた、趣味としてトレーニングを行うアスリートにおいて、有意義なスプリントタイム減少のためには、スクワット強度の大幅な増加が必要であると記述している。具体的に彼らは、約2%のスプリントタイムの減少のためには、約23%のスクワット強度の増加が必要であると観察している。より最近にはサイツおよびその他(2014年)が、(バックスクワットの1RMによる測定において) 下半身の筋力の増加と、40m以下の距離におけるスプリントパフォーマンスの間の長期的な関係を調査している。彼らは、スクワット効果量およびスプリント効果量の間において、統計的に有意である比較的大きな(R-squared = 0.60)相関関係を報告している。これは、1RMバックスクワットおよび短距離スプリント能力の間における密接な関係を発見した過去の筋断面解析(例、ヴィスロフおよびその他、2004年)を支持している。ゆえに一般的なレジスタンストレーニング、特にバックスクワットエクササイズは、スプリントパフォーマンスを向上することが可能であるということは比較的明白である。しかし両方の研究は、非常に限られたトレーニング経験しかない人を含む、広範な被験者を含んでいたという点で制限があった。上記の分析から、十分にトレーニングされた個人がより少なく除外されていた場合、そのような強い関係が存在していたかどうかは明確ではない。 高度にトレーニングされたアスリート 上記のようにメタ分析は、レジスタンストレーニングはスプリント能力を向上することが可能であり、また、彼らの比較的浅いトレーニング経験にもかかわらず、趣味としてトレーニングを行うアスリートにおいて、最大スクワット強度の増加はスプリントタイムの減少と関連があるということを報告している。このような発見は、高度にトレーニングされたアスリートに対しても、少なくともある程度は適用されるようである。実際にヴィスロフおよびその他(2004年)は、国際的レベルの男性サッカー選手において、最大スクワット強度および短距離スプリントパフォーマンス間の強い断面的相関関係を報告している。ルンプおよびその他(2014年)は、高度にトレーニングされたアスリートにおける、スプリントパフォーマンスに対する様々なトレーニングタイプの影響に関し、メタ分析を行った。最初に彼らはトレーニング方法を、特異(スプリントもしくはレジステッドスプリント)および非特異(プライオメトリックス、レジスタンストレーニング、そしてバリスティックトレーニング)に分類した。彼らは、特異および非特異な両方のトレーニング方法は効果的ではあると発見している。しかしながら彼らは、高度にトレーニングされたアスリートに対しては、レジスタンストレーニングのような非特異な方法は効果が低いということを記述している。彼らは、アスリートが既に筋力、パワー共に発達した基板を持ち、これは、追加のレジスタンストレーニングにより更に向上しなかったことに起因している可能性があると示唆している。高度にトレーニングされたアスリートは、相当量の最大スクワット(もしくは他のエクササイズ)強度を発達させることは不可能であるようであるという事実と併せ、これは、高度にトレーニングされたアスリートは、非特異な方法を使用する時間を減らし、より多くの時間を特異な方法に費やすべきであるということを示唆している可能性がある。 アスリートにおけるレジスタンストレーニングのスプリント速度への影響 研究選択基準 集団 – 趣味としてトレーニングを行う、もしくは高度にトレーニングされた成人アスリート 介入 – レジスタンストレーニング 比較 – ベースライン、ノーマルトレーニングコントロール、ノートレーニングコントロール 結果 – 100m以下の距離におけるスプリントパフォーマンス 結果 以下の研究が選択基準に適合していると確認された:フライ(1991年)、ホフマン(1991年)、ウィルソン(1993年)、ウィルソン(1996年)、マーフィ(1997年)、ハリス(2000年)、ブレイゼビッチ(2002年)、アスクリング(2003年)、ホフマン(2004年)、コチャマンディス(2005年)、ドッド(2007年)、レネスタッド(2008年)、ムジカ(2009年)、シェリー(2009年)、ヘルガード(2011年)、ヘルマシー(2011年)、レネスタッド(2011年)、ロッキー(2012年)、コンフォート(2012年)、サンダー(2013年)、ロツゥーコ(2013年)、クードラスキー(2014年)、ブリット(2014年)、トーマス(2014年)。これらの研究のほとんどは、レジスタンストレーニングは、アスリートにおけるスプリントパフォーマンスを向上するということを発見している。バックスクワットが使用されていなくとも向上が観察されたといういくつかの例(例:アスクリングおよびその他、2003年)は存在するが、含まれている研究の多くはバックスクワットを使用していた。 スプリント速度に対する、レジスタンストレーニングの際の負荷の影響 研究選択基準 集団 – 趣味としてトレーニングを行う、もしくは高度にトレーニングされた成人アスリート 介入 – 2つ以上の異なる負荷(つまりバー速度)におけるレジスタンストレーニング 比較 – ベースライン、ノーマルトレーニングコントロール、ノートレーニングコントロール、および異なる負荷におけるレジスタンストレーニング 結果 – 100m以下の距離におけるスプリントパフォーマンス 結果 以下の研究が選択基準に適合していると確認された:ハリス(2000年)、ブレイゼビッチ(2002年)。両方の研究は、低速および高速でのレジスタンストレーニングの間における差違を発見しなかった。これは、トレーニングされたアスリートにおいて、より低負荷およびより速いバー速度を使用することは、レジスタンストレーニングからのスプリントへの適応を最大化するために重要ではないかもしれないということを示唆している。 レジスタンストレーニングの際の、スプリント速度に対するエクササイズの影響 研究選択基準 集団 – 趣味としてトレーニングを行う、もしくは高度にトレーニングされた成人アスリート 介入 – 2つ以上の異なるエクササイズにおけるレジスタンストレーニング 比較 – ベースライン、ノーマルトレーニングコントロール、ノートレーニングコントロール、および異なる負荷におけるレジスタンストレーニング 結果 – 100m以下の距離におけるスプリントパフォーマンス 結果 以下の研究が選択基準に適合していると確認された:スピアーズ(2015年)。この研究は、両脚スクワットおよび後ろ足を挙上したスプリットスクワットトレーニングの間において、チームスポーツを行うアスリートにおけるスプリント能力の向上に差違はないということを確認している。これは、トレーニングされたアスリートにおいて、下半身の筋肉を発達させるために、ここで使用されたタイプのエクササイズは、レジスタンストレーニングからのスプリントへの適応を最大化するために重要ではないかもしれないということを示唆している。 スプリントに関する結論 様々なエクササイズを使用したレジスタンストレーニングは、アスリートにおけるスプリントパフォーマンスを向上させるために効果的なようである。低負荷およびより速いバー速度を使用することは、高負荷および遅いバー速度の使用に比べ、よりよい結果を生み出すわけではないようである。現在のところ、エクササイズ選択の影響は明確ではない。 高度にトレーニングされたアスリートは、レジスタンストレーニングのような非特異な方法からはより少ない恩恵しか受けない可能性があるが、趣味としてトレーニングを行うアスリートは、特異および非特異両方の方法から同様に恩恵を受ける可能性がある。

ストレングス・コンディショニング・リサーチ 4687字

ジャンプスクワットをトレーニングするために最適な負荷とは? パート2/2

何が起こったのか?(続き) 内部(関節)出力 研究者たちは、股関節におけるパワーに対する有意な二次傾向が存在しており、それは1RM の42%の最大値に至るまで増加し、その後減少しているということを発見している。研究者たちはまた、膝関節、足関節におけるパワーは一次傾向に従い、負荷の増加に伴い有意に減少していたということを発見している。 様々な関節の出力は非常に異なるため、絶対値から成るグラフよりそれを見て取ることは非常に困難である。ゆえに私は値を各関節における1RMの0%の出力の割合として表した。これはデータを示す科学的な方法ではないが、傾向における差違をみるためにはこれ以上にわかりやすい方法は無いだろう。股関節のパワーは42%までは曲線状となっているが、膝関節および股関節のパワーは直線的に減少している。 このグラフは一見乱れているように見えるが、股関節のパワー(最も濃い色のグラフ)を切り離して考えると、膝関節および足関節のパワーは同様の反応を示し、負荷の増加と共に、ただ減少しているということがわかる。 研究者たちはどのような結論に達したのか? 研究者たちは、ジャンプスクワットの際の下半身の各関節における出力は、外部負荷に比例して変化するわけではないという結論に至った。研究者たちはまた、負荷の増加に伴い膝関節及び足関節における出力は減少するが、股関節における出力は1RMの42%の負荷に至るまで増加すると結論付けている。さらに研究者たちは、1RMの特定の割合の負荷を使用することは、使用する負荷により、股関節、もしくは膝・足関節のパワーの優先的な向上につながる可能性があるという結論に至った。これは下記のグラフにおいて見ることが可能である。 上のグラフは、股関節及び膝関節のパワーの相対的貢献が、使用する負荷により変化するということを示している。1RMの0%においては、膝関節のパワーは股関節のパワーに比べより一層顕著であり、1RMの42%では、両関節は同様の貢献をしているようである。さらに負荷が増加するにつれ、股関節のパワーは膝関節パワーに比べより急速に減少しており、膝関節の相対的貢献が再び増加している。ゆえにジャンプスクワットにおいて1RMの42%にてトレーニングを行うことは、股関節伸展のパワーを最大化するようであり、一方1RMの0%にてトレーニングを行うことは、膝関節のパワーの相対的貢献を強調するようであり、脚部の筋肉のこの側面をより効果的に強化するようである。 制限要素は何か? 上記のように、エクササイズにより最適なパワーは幅広く異なっているため、関節のパワーもまたエクササイズにより異なるようである。ゆえにこの研究はジャンプスクワットのみの分析であったということが制限であり、ヘックスバージャンプスクワットやオリンピックリフトのバリエーション、またはその他の爆発的なリフトでは異なる結果が得られたかもしれない。 実践的な意義は何か? 総合的な下半身のパワー向上に対して 最適な単一の負荷よりも、広範囲の負荷を用いてジャンプスクワットをトレーニングする方が、より優れているかもしれない。単一の負荷にてトレーニングすることにより、股関節のパワーは最大値に至るまでトレーニングされないようである。1RMの0%および1RMの40%というように、少なくとも2つの負荷が好ましいであろう。 アスリートの垂直跳びを向上させるために アスリートは、股関節主導もしくは膝関節主導どちらかのジャンプスタイルを持つ傾向にある。ゆえにアスリートが好むジャンプスタイルにおけるパワーを向上させることに役立つ、適切な種類のジャンプスクワットの負荷を割り当てることは、彼らの垂直跳びのパフォーマンスを向上させるために重要である可能性がある。 特定のスポーツに対するパワー向上のために ジャンプスクワットに対する負荷を選択する前に、そのスポーツにおいて必要とされるパワーを特定することが重要であるかもしれない。例えば、最大パラレルスクワットにおいては膝関節トルクよりも、比較的より高いレベルの股関節トルクが関係しているということを考慮に入れると、パワーリフターにとって、約40%のジャンプスクワットの負荷において股関節のパワーを鍛えることは、1RMの0%の負荷において膝関節のパワーを鍛えることよりもより有益であるかもしれない。しかしながら、ここにおいてもこれは各個人のスクワットのスタイルに依存するようである。

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ジャンプスクワットをトレーニングするために最適な負荷とは? パート1/2

ジャンプスクワットは、あらゆる種目のアスリートに対し、爆発的なパワーを向上させるために付加される、ほとんどのストレングス&コンディショニングプログラムへにとって人気のあるエクササイズである。また、大抵の研究者やコーチたちは、ジャンプスクワットの出力に対する最適な負荷が存在し、それは通常バックスクワットの1RMの0%である(無負荷、つまり自重のみ)ということを知っている。しかしながら、全体的な総脚力は1RM の0%において最大であるかもしれないが、それが股関節、膝関節、足関節のパワーが同じ負荷においてすべて最大であるということを意味しているわけではない。この論説ではクリス・ベアスリー(@SandCResearch)が、まさにこの論点を調査している研究論文の再考察を行う。 研究論文:ジャンプスクワットの際の身体および下半身の動力学に対する負荷の影響、モワール、ゴリー、デービス、グアーズ、ウィトマー、スポーツ生体力学、2012年 背景 パワーはスポーツパフォーマンスの重要な決定要因であり、エクササイズ、レップ及びセット数、回復期間、また1RMに対し使用する負荷により変化する。 使用される負荷に関して研究者たちは、一般的にこれはエクササイズにより幅広く異なるということを発見している。従来のレジスタンスエクササイズに関してシーゲル(2002年)は、スクワットの1RMの50-70%の負荷における最大出力、およびベンチプレスの1RMの40-60%の負荷における最大出力を報告している。同様にコーミア(2007年)は、ジャンプスクワットに対する最適な負荷は1RMの0%、スクワットに対しては1RMの56%、またパワークリーンに対しては1RMの80%であったということを発見している。 パワーを測定する際、ほとんどの研究は外部負荷に対し働く力に焦点を当てており、それは身体とバーベルの変位特性を参照することにより測定される。しかしながら、個々の関節もまた独自の出力を備えており、バーベルエクササイズに対する様々な関節トルクの相対的貢献が、負荷の増加に伴い変化するのと同じように、これらは外部負荷に正比例して変化するわけではない可能性がある。 研究者たちは何を行ったのか? 研究者たちは、ジャンプスクワットの際、股関節、膝関節、及び足関節における出力が、外部負荷の変化により同様に影響を受けるかどうかを調査したいと考えた。そこで彼らは、前年の間に定期的にレジスタンストレーニングプログラムに参加しており、また、フットボール、サッカー、野球を含むスポーツに携わっていた、レジスタンストレーニングを行う12名の男性を集めた。 研究者たちは、2つのテストセッションにおいて被験者からの様々な測定値を記録した。最初のセッションにおいて被験者は、1RMのパラレルバックスクワットを行った。次のセッションにおいて被験者は、彼らのバックスクワットの1RMの0%、12%、27%、42%、56%、71%、85%に相当する負荷のジャンプスクワットを、セット間に2-3分のレストを入れながら行った。 テストの際、研究者たちはフォースプレートを2台使用し床反力を測定した。彼らはまた、様々な主要な解剖学的指標に付けられた16の逆反射マーカーの動きを観察するようデザインされている、3次元(3D)動作分析システムを使用し、バーベルと関節の動きを測定した。 何が起こったのか? 強度テスト 研究者たちは、被験者のバックスクワットの平均1RMは181.8 ± 40.4kgであったと報告した。彼らはこれを平均体重と比較し、それが体重の1.81 ± 0.32倍であるということを発見している。ゆえに被験者たちは、決してストレングスアスリートというわけではなかったが、比較的よくトレーニングされていると見なされた。 ジャンプの高さ 研究者たちは、下記のグラフで示されているように、平均のジャンプの高さは負荷の増加に伴い有意に減少したということを報告している。これは予期されていたことであり、以前の研究結果と一致している。 外部出力 研究者たちは、下記のグラフで示されているように、平均の外部出力は負荷の増加に伴い有意に減少したということを報告している。これもまた、予期されていたことであり、以前の研究結果と一致している。 内部(関節)トルク 研究者たちは、股関節、膝関節、足関節におけるモーメントは、負荷の増加に伴い全て有意に増加したということを発見している。彼らは、股関節、膝関節、足関節のトルクの増加における有意な差違は記述していない。下記のグラフで示される通り、全ての関節トルクは同様に増加しているようである。 この結果はブライアントン(2012年)およびロレンツェッティ(2012年)による近年の調査と対比するものであった。両者はスクワットの負荷の増加に伴い、股関節および足関節のトルクは膝関節トルクに比べ、より急速に増加するということを発見している。

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的確に構成されたウォームアップはパフォーマンスにどれだけの違いを生み出すのか?

多くのコーチやアスリートは、スポーツ前のウォームアップの内容に対しあまりこだわりを持っていない。しかし最近のいくつかの研究では、いくつかのスポーツにおいて、的確な内容のウォームアップはパフォーマンスに対し大きな影響を及ぼし得ると示している。この研究はボブ・スケルトンのスピードに及ぼす影響を論証している。 研究論文: エリートボブ・スケルトン選手のためのウォームアッププロトコールのデザイン、クック、ホルドクロフ、ドローア、キルダフ、スポーツ生理学&パフォーマンス、2012年 *** 研究者たちは何を行ったのか? 研究者たちは、様々な異なるウォームアップの内容をコントロールされたウォームアップ、すなわち現在アスリートによって行われている標準的なウォームアップと比較し、その後実施されるスケルトンのパフォーマンスに及ぼす影響を評価しようと考えた。彼らは、イギリスオリンピックチームへの選抜に参加した6名(男性3名、女性3名)のスケルトン選手を集め、下記のようなウォームアップを実行した。 テストの35分前に終了する、20分間のアスリート自身のウォームアップを標準化したバージョン。これは、復路をウォーキングとした往路20mのジョギングとスキップを3セット、20mの最大下速度でのスプリントを3セット、20mのスプリントフォームドリルを3セット、20mのレッグスイング、クイックランファストフィート、ハイニーを2セット、10mの最高速度でのスプリントを3セット、30秒の混合体操(プレスアップ、デッドバグ、プランク)、2分のダイナミックストレッチから構成されていた。 より多くのスプリントドリルとスプリント、そしてより短いインターバルにより、ボリュームと強度が増したコントロールウォームアップのバリエーション。 2番目のバリエーションと同じだが、テストの35分前ではなく15分前に終了。 2番目のバリエーションと同じだが、それぞれ10分の2つのセグメントに分けられ、1つ目はテストの40分前に終了し、2つ目は15分前に終了。 4番目のバリエーションと同じだが、受動的に熱を保持するため、保温用の衣服を2つのウォームアップ間とテストまでの間に使用。 *** 何が起こったのか? 研究者たちは、3番目のウォームアップのバリエーションが最も速く、次に5番目、4番目と続くことを発見した。5番目のバリエーションはアスリートに最も人気があり、6名のアスリートに渡り全体で3.5%の向上がみられた。 *** 研究者たちはどのような結論に達したのか? 研究者たちは強度、継続時間、体温の全てがより良いウォームアップを生み出すことに有益であるという結論に達した。彼らは、2番目とほぼ同じだが、テストの35分前ではなく15分前に完了するという3番目のウォームアップバリエーションが最良だと結論付けた。しかしながら、5番目のウォームアップバリエーションは同じようなパフォーマンスの向上につながり、さらにこれはアスリートの間で最も人気があった。 *** 実践的な意義は何か? アスリートとコーチに対して スポーツのコーチは、特に寒い環境においては、的確な構成のウォームアップがエリートアスリートのパフォーマンスに非常に大きな違いを生み出すということに気づくべきである。 パフォーマンスイベント間際に終了し、より強度の高いウォームアップはよい良いパフォーマンスにつながる。 それに加え、寒い環境での熱の保持はパフォーマンスに明らかな差異を生み出すため、保温衣類の使用は有益である。 ***

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ストレッチは筋力強化に対し逆効果なのか?

多くのコーチが、怪我を防ぐ為にウェイトトレーニングの前にストレッチを取り入れ、多くのボディービルダーが、ストレッチは筋肥大を助長すると信じ、セット間にストレッチを行う。しかしながら、この研究は、この方法が逆効果であるかもしれないと示している。 研究論文:静的ストレッチの筋力パフォーマンスと基底血清IGF-1レベルに対する慢性的影響、バストス、ミランダ、バーレ、ポータル、ゴメス、ノバエス、ウィンチェスター、ストレングス&コンディショニングリサーチジャーナル2012年 *** 研究者たちは何を行ったのか? 研究者たちは、レクリエーション程度にトレーニングを行っている30名の参加者を集め、下記のような3つのトレーニンググループへランダムに振り分けた。 ストレングストレーニング前に静的ストレッチを行った、事前ストレッチと呼ばれるグループ。 ストレングスエクササイズのセットの間、エクササイズ実施直前に、ある特定の同じ筋肉に対し静的ストレッチを行った、中間ストレッチと呼ばれるグループ。 トレーニング前、及びトレーニング中に全くストレッチを行わずストレングストレーニングを行った、ノーストレッチと呼ばれるグループ。 研究者たちは、10週間に渡るトレーニング期間の前後に、IGF-1レベルと様々なエクササイズ(ベンチプレス、ラットプルダウン、レッグエクステンション、レッグカール)の8RMを測定した。 *** 何が起こったのか? 研究者たちは、テストを行った4種類のエクササイズ全ての8RM強度において、2つのストレッチグループとノーストレッチグループとの間に著しい統計的な違いがあることを報告した。それに加え研究者たちは、ノーストレッチグループにおいてのみIGF-1の発現量が増加し、2つのストレッチグループのいずれにおいてもその著しい増加は見られなかったことを報告した。 研究者たちは、2つのストレッチグループ間における違いは確認しなかった。下記のグラフは4つ中3つのエクササイズにおいて強度が増したことを示している。 *** 研究者たちはどのような結論に達したのか? 研究者たちは、10週間に渡るトレーニングプログラムの結果として、3つのグループ全てにおいて8RM の強度は増したものの、2つのストレッチグループにおいては、ノンストレッチグループに比べ、強度の増加が著しく低かったという結論に至った。 *** 制限要素は何か? この研究には下記のような2つの重要な点において制限があった。 この研究は、30秒間のストレッチを行った場合のみが調査された点において制限があった。他の研究では、ストレッチを保持している長さ(15秒に対し45秒)によりパワー産出に対する即時的影響に違いがでることが発見されている。故に、より短い時間でのストレッチでは、筋力の増強に対し同じような有害な影響は出ないかもしれない。 スプリントトレーニングやジャンプトレーニングにより何が得られるのか、というように、ストレッチがアスレチックパフォーマンスに対し同じような影響を及ぼすのかどうかということは知られていない。 *** 実践的な意義は何か? 全ての人に対して ストレッチのルーティーンがトレーニング前、もしくはセット間に行うことによって、ストレングストレーニングによる筋力増強度は、低下するであろう。 ボディービルダーや身体形状向上に対して セット間に徹底的にストレッチを行うボディービルディングのルーティーンは、筋肉を増強し肥大させるというゴールに対し逆効果である。

ストレングス・コンディショニング・リサーチ 1589字

異なる種類のトレーニングは前十字靱帯 (ACL) 損傷の生体力学的危険要因に異なった影響を及ぼすのか? パート2/2

何が起こったのか? 関節角度可動域の変化 研究者たちは、プライオメトリックグループが、膝関節の屈曲可動域と内旋可動域の著しい減少を示したことを発見した。一方、コアスタビリティのグループは、膝関節の屈曲可動域の著しい減少と、膝関節内旋可動域の著しい増加を示した。下記のグラフは両方のトレーニングプログラムによる変化を示している。 特に顕著であった結果は、両方のトレーニングプログラムが膝の屈曲可動域を減少させ、プライオメトリックトレーニングのみが膝の内旋可動域を減少させ、そしてコアトレーニングプログラムのみが膝関節の内旋可動域を増加させたことであった。 この膝関節屈曲に関する結果は、両方のトレーニングがより小さな可動域の中で減速が起こる「硬い」着地を行うことにつながり、より大きな関節負荷によってACL損傷のリスクを増加させる可能性がある、ということを暗示していることから、少々懸念されるものである。プライオメトリックトレーニングプログラムに関して、これは、プライオメトリックトレーニングは著しい最大膝関節屈曲可動域と最高膝関節屈曲可動域までの時間への減少につながるというレファート(2005年)の発見とは異なることとなる。しかしながら、ポラード(2006年)は、プライオメトリックトレーニングは、女性サッカー選手において膝関節屈曲可動域の大幅な減少にはつながらないということを発見している。 膝関節内旋可動域の結果は、プライオメトリックトレーニングプログラムが前額面の関節可動域の減少に対して有益であったのに対し、コアトレーニングプログラムは大いに有害であった、ということを示唆している。以前にも数人の研究者たちが、コアトレーニングの下肢の飛び降り着地の生体力学に対する影響についての調査を行ったが、チャペル(2008年)が統括的な神経筋トレーニングの一部としてコアスタビリティトレーニングを使用し、膝関節の内旋可動域の増加に対しての傾向は、強いものの、特に有意ではないと報告している。これらの発見は、ACL損傷の危険性のあるアスリートに対しては、コアトレーニングのみでは十分ではなく、レジスタンストレーニングやプライオメトリックなどの他のトレーニングも一緒に行うべきであると示唆している。 それほど有意ではない傾向に関して、この結果は、コアトレーニンググループに関しては唯一の大きな変化が股関節で起こっているということを示している。コアトレーニンググループは、股関節の屈曲と内旋可動域において、大きいが非有意な減少を示した。これらの変化は次のセクションで報告されている著しい関節モーメントの変化に対応しており、それ故興味深いものである。 関節モーメントの変化(トルク荷重) 研究者たちは、プライオメトリックグループが膝関節の屈曲と外転モーメントの著しい減少を示し、コアスタビリティグループが、著しい股関節の屈曲と内旋モーメントの減少を示したと観察した。下記のグラフは両方のプログラムの結果としての全ての変化を示している。 両方のトレーニングプログラムは膝関節屈曲関節モーメントの減少につながるが、プライオメトリックプログラムのみが膝関節外転関節モーメントの著しい減少につながった。より大きな膝関節外転関節モーメントはACL損傷の重要な危険要因であり、このことはプライオメトリックトレーニングがACL損傷予防に対し有益であるかもしれないということを示している。 コアトレーニンググループは、大きいが非有意な股関節の屈曲可動域と内旋可動域の減少を示し、これらの非有意な変化は、同等の股関節の関節モーメントの著しい変化に対応していた。このことは、コアトレーニングにおける股関節の関節角度可動域の変化は、統計的には有意ではないものの、意味深いということを示唆している。 それに加え、重要なこととして、より大きな股関節の内旋関節モーメントはACL損傷の非常に大きな危険因子であり、このことはコアトレーニングがACL損傷予防に対し有益な役割を果たし得るということを示している。 以前の研究評価では、8週間に渡る股関節主導と膝関節主導のエクササイズは膝関節の屈曲可動域の変化につながるが、股関節の屈曲可動域にはつながらないと記述されている。当時は、これはおそらく研究期間が短すぎたか、もしくはエクササイズの介入が股関節における変化をもたらせるのには十分でなかったからであろうと考えられていた。同じ事がこの研究においても起こる可能はあったが、股関節の関節角度可動域では著しい発見がなかったにもかかわらず、関節モーメントでは著しい変化がみられたことはとても興味深いことである。 研究者たちはどのような結論に達したのか? 研究者たちは、シーズン中、高校の女子アスリートへの4週間のトレーニングプログラムの実行は、関節モーメントと関節角度を変化させ、その結果がドロップジャンプの着地の際に現れていたという結論に至った。研究者たちは、プライオメトリックトレーニングは主に膝関節の関節角度と関節モーメントの変化につながり、コアスタビリティトレーニングは主に股関節と膝関節両方の関節角度と関節モーメントの変化につながると結論付けた。 関節角度の動きに関しては、両方のトレーニングプログラムは膝関節屈曲可動域の減少につながり、プライオメトリックトレーニングのみが膝関節内旋可動域を減少させ、コアトレーニングのみが膝関節内旋可動域を増加させた。コアトレーニンググループは、大きくはあるが非有意な股関節の屈曲可動域と内旋可動域の減少を示した。 関節モーメントに関しては、プライオメトリックグループは著しい膝関節屈曲と外転関節モーメントの減少を示し、コアスタビリティグループは股関節の屈曲及び関節内旋モーメントの著しい減少を示した。 プライオメトリックトレーニングは、膝関節の前額面と横断面の関節角度動作と関節モーメント(膝関節内旋可動域と膝関節外転関節モーメント)を減少させるという点において有益であった。また、コアトレーニングプログラムは股関節の横断面の関節角度動作と関節モーメント(股関節の内旋可動域と内旋モーメント)を減少させるということにおいて有益であった。 両方のプログラムは矢上面での関節可動域動作(膝関節屈曲可動域)を減少させるという点で有害であり、コアトレーニングプログラムもまた、(非有意ではあるが)股関節の屈曲可動域減少と膝関節の内旋可動域の増加につながるという点で有害であった。 それゆえ研究者たちは、プライオメトリックとコアスタビリティの両方がACL損傷予防に大切な役割を果たすと結論付けた。しかし、「柔らかい」着地をするために膝関節屈曲可動域を増加させ弊害を相殺するためには、プライオメトリックとコアスタビリティプログラムの両方をレジスタンストレーニングと一緒に行うべきである、と薦めるのが賢明であると思われる。 *** 制限要素は何か? この研究には下記のような点において制限があった。 被験者はランダムにそれぞれのグループへ振り分けられたわけではなく、異なるスポーツからのアスリートがそれぞれのグループを構成していた。 被験者はレジスタンストレーニングを行っているアスリートではなかった為、よりトレーニングされた人たちでは異なる結果が得られたかもしれない。 被験者はすべて女性であった為、男性では異なる結果が得られたかもしれない。 ここでテストされたのはコアトレーニングとプライオメトリックトレーニングの介入のみであり、レジスタンストレーニング、ストレッチ、アジリティなどのACL損傷予防プログラムとして一般的な他のトレーニング方法がこの研究には組み込まれていなかった。 研究者たちは様々な筋肉の筋電図活動や筋力を測定しなかったため、筋力、及び筋活動の増加や減少があった場合、同じような変化が起こるのかどうかを解明するのは困難である。 *** 実践的な意義は何か? ACL損傷の危険性のあるアスリートに対して: 特定の神経筋制御疾患がないアスリートは、コアトレーニング、プライオメトリックス、レジスタンストレーニングの組み合わせをACL損傷予防プログラムへ組み込むべきであり、1つのトレーニング方法のみに限るべきではない。 常に膝関節が外反しているアスリートは、股関節の内旋、膝関節の外転関節角度動作、関節モーメントを減少させるため、より一層コアトレーニングとプライオメトリックスをワークアウトに組み込むべきである。 特に「硬い」着地をする危険性のあるアスリートや、ジャンプの着地時に膝関節の関節可動域が少ないアスリートは、更に多くのレジスタンストレーニングをワークアウトの中に組み込むべきである。

ストレングス・コンディショニング・リサーチ 3767字

異なる種類のトレーニングは前十字靱帯 (ACL) 損傷の生体力学的危険要因に異なった影響を及ぼすのか? パート1/2

レジスタンストレーニングのプログラムは、アスリートがより「柔らかく」ジャンプから着地するようサポートすることで、ACL損傷の危険性を減らすことができる。 しかし、コアスタビリティプログラムやプライオメトリックプログラムもまた、ジャンプ着地時の生体力学を改良することにより、ACL損傷の危険性を減らすことができるのだろうか?だとすれば、いったいどのようにして? この研究は下記のことを解明するために行われた: 女子高校生アスリートにおける、異なるエクササイズトレーニングの介入と飛び降り着地の生体力学、 ピーファイル、ハート、ハーマン、ハーテル、ケリガン、インガソル、2013年アスレチックトレーニングジャーナル 背景 非接触のACL損傷は、男性よりも女性アスリートにより多く見られる。実際に研究では、同じスポーツを行った場合、女性は男性よりも3−4倍ACLを損傷する可能性が高いであろう、と示されている(例:グリンドスタッフ2006年)。 ジャンプ着地時の、いくつかの生体力学的特徴は、ACL損傷に対してより危険性が高いと認識されており、それらのいくつかは男性よりも女性において多くみられる。横断面や前額面における股関節や膝関節のより大きな関節角度可動域や、股関節と膝関節における関節モーメント(例:より大きな膝関節の外転、股関節の内転、股関節と膝関節の内旋)は、アスリートをより高いACL損傷の危険性にさらす可能性があると考えられている。 更に、膝の外反は、股関節の内旋、内転、及び膝関節の外転を含むため、しばしば明らかな危険要因と考慮される。一方、矢状面での股関節と膝関節のより大きな関節可動域(より大きな股関節屈曲及び膝屈曲)は、柔らかい着地を可能にすることによりACL損傷の危険性を減少させると考えられている。 必然的にほとんどの障害予防プログラムは、スポーツの動きの際、これらの生体力学的条件が満たされてしまうことを減少させるよう構成されている。 このようなプログラムは多くの場合、神経筋制御を向上させるために、バランス、下半身の強化、プライオメトリック、アジリティトレーニングを含んでいる。しかしながら、このようなプログラムの様々な要素の有効性を評価することは困難であり、どの側面が飛び降り着地の生体力学を良い方向へ変化させるのに有益であり、どれが不要であるのかは明確ではない。 以前の研究評論において私たちは、レジスタンストレーニングが実際に膝の屈曲の度合いを増加させるということを見てきた。これはレジスタンストレーニングがACL損傷の予防プログラムに有益であるということを示唆している。以前のある研究では、プライオメトリックも同様に有益であるかもしれないと示している。 例えば、レファート(2005年)は、8週間に渡り、下肢の関節角度の動きに対する、プライオメトリックトレーニングプロクラムとレジスタンストレーニングの影響を調査し、両方のプログラムが、初動での股関節の屈曲可動域、最大股関節屈曲可動域、最大膝関節屈曲可動域、そして最大膝関節屈曲可動域までの時間の著しい増加につながると発見した。また彼らは、両方のプログラムが、最大膝関節屈曲モーメントと最大股関節屈曲モーメントの減少につながるとも記述している。 これは、私たちが、レジスタンストレーニングが矢状面での下肢の関節角度可動域と関節モーメントにもたらす効果と同じような効果を、プライオメトリックトレーニングに期待することができるかもしれないということを示唆している。 *** 研究者たちは何を行ったのか? 対象者は誰か? 研究者たちは、ドロップジャンプの際の下肢と体幹の生体力学に対する、4週間のコアスタビリティトレーニングと、同じく4週間のプライオメトリックプログラムの効果を比較しようと考えた。そのため彼らは、3地域の高校から14.8 ± 0.8歳の23名の女子を集めた。被験者はランダムに分けられたのではなく、コントロールグループとスタビリティグループはラクロスとサッカーチームの選手により構成され、プライオメトリックグループはラクロス選手のみで構成された。 何が行われたのか? グループは4週間に渡り、追加トレーニングなし(コントロールグループ)、追加のプライオメトリックトレーニング(プライオメトリックグループ)、もしくは、追加のコアトレーニング(コアスタビリティーグループ)を行った。研究者たちは、20分間の、機材を使わずに行うプライオメトリックトレーニングとコアスタビリティトレーニングをデザインした。 プライオメトリックトレーニングの構成要素は何か? プライオメトリックプログラムは、柔らかく、バランス良く、コントロールされた動きでの、テイクオフと着地のフォームに重点を置いた、両脚、片脚でのジャンプとスキップのエクササイズのシリーズにより構成されていた。最初の2週間のエクササイズは、前後の片脚ラインジャンプ、側方への片脚ラインジャンプ、ハイスキップ、ディスタンススキップ、ブロードジャンプ、タックジャンプ、交互の片脚ラテラルジャンプから構成されていた。 続く2週間のエクササイズは、フォワード片脚ホップ、ホップ~ホップ~着地、スクワットジャンプ、片脚最大垂直跳び、片脚幅跳び、ブロードジャンプ、垂直跳び、180度ジャンプ、片脚ラテラルジャンプから構成されていた。 コアスタビリティトレーニングプログラムの構成要素は何か? コアスタビリティプログラムは腹部、腰椎のスタビライザーと股関節の伸筋、外旋筋、外転筋のコーディネーションを向上させることを意図していた。最初の2週間のエクササイズは、アブドミナルドローイン、サイドプランクニーベント、サイドライングヒップアブダクション、サイドライングヒップエクスターナルローテイション(クラムシェル)、クランチ、手を頭へ置いての腰椎伸展、手を腰に当ててのウォーキングランジから構成されていた。 その後の2週間のエクササイズは、アブドミナルドローインをしながらのハムストリングブリッジ、四つん這いでの外旋と外転を合わせた股関節伸展、肘を対角の膝につけるクランチ、両腕を真っ直ぐに伸ばしたままでの腰椎伸展、両腕を頭上に挙げてのスクワット、ボールを投げながらのランジから構成されていた。 研究者たちは何のテストを行ったのか? 4週間に渡るトレーニングの前後に、研究者たちはジャンプの際の体幹側屈角度、股関節の屈曲、内転、及び内旋角度、膝関節の屈曲、外転、内旋角度、股関節の屈曲、内転、内旋、外旋関節モーメント、膝関節の屈曲、外転、内旋モーメントを含む数々の変数をテストした。 ***

ストレングス・コンディショニング・リサーチ 2896字

ランジをより股関節主導にするための方法とは?

ランジはレジスタンストレーニングのプログラムや生体力学的研究において、赤毛の継子のようなものである。つまりランジは、他の人気のあるエクササイズに比べあまり注目されていない。しかし幸運なことに、私のお気に入りの研究者のひとりであるブライアン・リーマンが孤軍奮闘して、スクワットについて既になされている一連の研究に沿い、ランジに対する生体力学的研究を行っている。 研究者たちはこの研究の中で、ランジがどの特性(例えば、ステップ幅やランジの種類)によって、より股関節主導になるのか、または膝関節主導になるのかを調査している。 研究論文:様々なステップ幅でのフォワードランジとサイドランジの生体力学的比較、リーマン、コングルトン、ワード、デービス、スポーツ医学&フィジカルフィットネスジャーナル2013年 *** 背景: フォワードランジやサイドランジ等のランジのバリエーションは、ストレングス&コンディショニングやリハビリテーションのプログラムの中で頻繁に使われている。 研究では、ほとんどのタイプのランジが、股関節の伸筋主導であると報告されているが、股関節、膝関節、足関節モーメントの様々な働きを評価するためのフォワードランジとサイドランジの比較に関しては、わずかな研究しかなされていない。加えて、ランジ幅の標準化、あるいは、ステップ幅の自己選択の、どちらがより最適かに関する評価を行った研究は、一つとして存在しない。 *** 研究者たちは何を行ったのか? 研究者たちは、著しい違いがあるかどうかを確かめるため、フォワードランジとサイドランジを行う際の股関節、膝、足首における関節モーメント力積を比較しようと考えた。彼らは又、ランジを行う際、標準化されたステップ幅と自己選択したステップ幅との間に、著しい違いがあるかどうかを調べたいと考えた。 そのため彼らは、様々な活動レベルの32名(女性16名、男性16名)の被験者を集めた。被験者はまず、自己選択したステップ幅にて裸足でフォワードランジとサイドランジを行い、その間研究者たちは、床反力を記録する為にフォースプレートを使用し、又、関節角度の動きを記録するために電磁追跡システムを使用し、情報を収集した。 研究者たちはこのデータを使い、それぞれのタイプのランジにおける関節モーメント力積を計算した。身長の60%を基準に標準化されたステップ幅のランジにおいても、この過程が繰り返された。これにより、標準化されたステップ幅と自己選択されたステップ幅での関節モーメント力積の違いを比較することが可能となった。 *** 何が起こったのか? フォワードランジ、サイドランジにおけるステップ幅 フォワードランジにおいては、標準化されたステップ幅と自己選択されたステップ幅の違いは大きく、研究者たちは、自己選択したステップ幅の方がかなり小さいということを発見した。しかしサイドランジにおいては、それぞれのステップ幅に著しい違いはなかった。 更に研究者たちは、自己選択をしたステップ幅は、フォワードランジに比べサイドランジの時の方が、かなり大きかったことを観察した。これらの発見は下記のグラフに示されている。 フォワードランジとサイドランジにおける最大屈曲角度 研究者たちは、下記のグラフで示されているように、自己選択をしたステップ幅と標準化されたステップ幅の両方において、膝の最大屈曲角度は、サイドランジよりもフォワードランジを行う際の方が大きく、足首の最高背屈角度は、フォワードランジよりもサイドランジの方が大きかったと報告している。 フォワードランジにおいては、自己選択をしたステップ幅よりも標準化されたステップ幅を使用した際の方が、股関節の最大屈曲角度が大きかったことも、グラフから見て取ることができる。しかし、フォワードランジとサイドランジの間で、股関節の最高屈曲角度に違いは無かった。 フォワードランジとサイドランジにおける最大関節モーメント力積 研究者たちは、下記のグラフで見られるように、自己選択したステップ幅と標準化されたステップ幅の両方において、足首と膝の総関節モーメント力積はフォワードランジよりもサイドランジを行う際の方が大きく、股関節の総関節モーメント力積はサイドランジよりもフォワードランジを行う際の方が大きかったと報告した。 フォワードランジでは、股関節の総関節モーメント力積は、自己選択をしたステップ幅よりも標準化されたステップ幅を使用した際の方が大きく、膝の総関節モーメント力積は標準化されたステップ幅よりも自己選択をしたステップ幅を使用した際の方が大きかったということも、グラフから見て取ることができる。サイドランジでは、ステップの幅の実際の影響は見受けられなかった。 スポーツの動きの中で増えている股関節の役割、という私のプレゼンテーションを見たことのある人は、私が、股関節の膝関節に対する伸展モーメント力積の比率のそれぞれの動きの間での比較したとしても驚くことはないであろう。 専門的に言えば、全ての動きが1.0以上の比率で股関節主導ではあるが、標準化されたステップ幅でのフォワードランジは、他の動きより何倍も股関節主導であるということは明らかである。 標準化されたステップ幅でのフォワードランジを有利にするこの違いは、より大きいステップ幅の働きが、恐らく、股関節のより長いモーメントのアームと、股関節のより大きな最大屈曲角度につながり、このバリエーションにおいて必然的な、股関節のより大きな可動域につながるのであろう。 (1)スポーツ活動における股関節の伸展トルクの重要さ、そして(2)デッドリフトのバリエーション以外で、軸方向に負荷がかかる股関節主導のエクササイズは希少である、ということを考慮に入れると、これはとても有益な発見である。 *** 研究者たちはどのような結論に達したのか? 研究者たちは下記のような結論を導き出した: 関節の屈曲 — サイドランジではより大きな足首の最大背屈が見られ、フォワードランジではより大きな膝の最大屈曲が見られた。 関節モーメント力積 — フォワードランジでは股関節のモーメント力積がより大きく、サイドランジでは膝関節と足関節のモーメント力積がより大きく示されていた。 関節モーメント力積の比率 — フォワードランジにおける標準化されたステップ幅は、股関節の総関節モーメント力積を増加させ、膝関節の総関節モーメント力積を減少させ、股関節の可動域を向上させる最高股関節屈曲を増加させることにより、更にエクササイズを股関節主導にした。 *** 制限要素は何か? この研究には、以前の研究により発見されていた、ランジを行う際の生体力学に影響を及ぼす、体幹の傾きの影響について、研究者たちが調査しなかったことに制限があった。加えて、研究者たちは様々なランジのバリエーションを行う際、バーベル、ダンベル、弾性レジスタンスなどの負荷の使用が、生体力学に与える影響について報告していなかった。更に、バックランジやウォーキングランジの評価は、されていなかった。 *** 実践的な意義は何か? トレーニングプログラムでのランジの使用のために: 股関節の伸展トルクを最大化させ、ランジをできる限り股関節主導にするためには、サイドランジではなく、より広いステップ幅でのフォワードランジが最適である。 一方、ランジを行う際の膝の伸展トルクを最大化させ、ランジをできる限り膝関節主導にするためには、狭いステップ幅でのサイドランジが最適である。 ダイナミックストレッチの動きの中で、足関節の背屈を最大化させるためには、フォワードランジよりもサイドランジが優れている。 ダイナミックストレッチの動き中で、股関節の屈曲を最大化させるためには、少なくとも身長の60%に標準化されたステップ幅でのフォワードランジが最適である。 一方、できる限り膝の屈曲を減少させるためには、自己選択をしたステップ幅でのサイドランジが最適である。そのため、これはリハビリテーションの場に於いて、フォワードランジを始める前段階のリグレッションとして有益であろう。とはいえ、体幹を前傾させたバックランジは、サイドランジよりも更に膝に負担がかからないと考えられる。

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