パーシャルスクワットとフルスクワットはどのように違うのでしょうか?

どれくらい深くスクワットをするべきでしょうか? 何回行うべきなのでしょうか? 現世代の人達は、この問題に関してより多くの困難を感じているようですが、これら現存の疑問は長年にわたってリフターを悩ませているものです。 この研究は月刊の総説には掲載されませんでしたが、それでも解説する価値があると思いました。なぜならば、その研究が一部の可動域と全可動域でのスクワットの間での論議、そしてどのように、ストレングス、コンディショニングプログラムの中で使えるかという論議に光りを灯したからなのです。 *** 研究論文:スクワットの動力学において、全可動域から一部の可動域への移行による影響、ドリンクウォーター、ムーア、バード:ストレングス、コンディショニングリサーチジャーナル、2012 *** スクワットの深さについての困惑 彼らの研究の背景として、ドリンクウォーター及びその他は、スクワットやスクワットの深さが、フィットネス業界において十分に理解されていないと解説しています。「ディープスクワット」が何を意味するのか、については不明瞭であり、「パラレル」という概念も一部の人達を混乱させるようです。それゆえ、以下のパラレルスクワットとパーシャルスクワットに関するこの研究において、いかなる幻惑をも防ぐ為に、私は下記の定義を用います。 ディープスクワット・フルスクワット ー 股関節は膝の水平面よりもはるかに下に位置する。 私が見た限り、たくさんのオリンピックウェイトリフティングを行っているか、もしくはとても時代遅れなのでなければ、ほとんどの人はこのようなスクワットはしません。 パラレルスクワット ー 股関節の中央は膝と平行。大腿部の下側が膝と平行になるのではありません。それでは明らかに高すぎます。また、90度の膝の屈曲では、これも又、ボックススクワットをしているか、もしくは通常よりも150%長い大腿骨を持っているのでない限りかなり高すぎることとなります。パワーリフターのスクワットの多くはこの深さか、もしくはトレーニングにおいてはもう少し低い位置でしょう。 パーシャルスクワット ー 膝の屈曲は90-120度程度のみ。その上限が、民間のジムでよく見られる一般的なスクワットの深さです。 もちろん、これは皆さんの好む定義ではないかもしれません。それはそれで良いのです。この文献の中での言葉の使い方が明確になるように、自分自身の言葉でただ定義する必要があっただけですから。それでは次に進みましょう。 *** スクワットの深さに関する簡単な歴史と膝の健康に対する懸念 ドリンクウォーター及びその他は、1961年(印刷中)に発刊されたカールクラインによる研究によって出された、ディープスクワットが膝の健康にとって有害であり得るという考えを記述しています。研究者たちは、クラインがディープスクワットにおいて観察された膝の剪断力の高さと、ディープスクワットを行うウェイトリフターの靱帯の緩みの増加を懸念していたと記述しています。 しかしながら、ドリンクウォーター及びその他は、これらの調査結果は、間もなく、業界のディープスクワットとパラレルスクワットを取り違えている多くの人達により推定され(上記の言葉の定義は、このため)、それから間もなく、少しの膝の屈曲よりも深く膝を曲げるスクワットは、すべて危険であると非難されたと記述しています。それに加え、ショーンフェルド((2008))は、ディープスクワットでさえ、それ以来悪い評判から解放されたと指摘しました。(詳細は彼の文献を参照してください) それにも関わらず、ドリンクウォーター及びその他は、この混乱と、結果として生じる非難の風潮は、業界中、そして国中のジムでパーシャルスクワットを行うという波を引き起こしたと記述しています。初心者に対して、全可動域での動きは一般的に、強化とサイズアップに対してより有益であると最近ロネイ(2011)によって記述されたことを考慮すれば、これは残念なことでした。 *** 一部の可動域でのウェイトリフティングの恩恵 しかしながら、これはパーシャルスクワットが上級のリフターにとって有益なエクササイズではないということを意味するわけではありません。ムケルジー(1999)は、すでにウェイトリフティングが行き詰まってしまっている人においては、パーシャルリフトを全てのウェイトリフティングでのパフォーマンスを向上させるのに使うことができるという発見をしています。 加えて、パーシャルリフトの使用について、妥当な理論上の根拠があります。フロスト(2010)はヘビーリフト(1RM の70-80%以上)のコンセントリックの局面は4つの段階に分かれる傾向にあると説明しました。最初は、加速の段階で、その後には「固着領域」と呼ばれる減速の段階が続きます。 そして次には回復という2つ目の加速段階が続き、そして最終ポイントまで最後の減速段階が続きます。固着領域とは、生理学や機械効率の観点から他の部分よりも弱い関節可動域のポイントのことで、これは特に一部の可動域でのウェイトリフティングをすることによって鍛えることが可能です。 たとえパーシャルスクワットが固定領域を強化しないとしても、動きの最高域においてより重い負荷を持ち上げることを可能にし、理論的にはある一定の可動域においての強化につながります。 *** 一部の可動域でのウェイトリフティングの制限要素 しかしもちろん、恩恵だけがあり、制限がないような完璧なウェイトリフティングの方法はありません。一部の可動域でのウェイトリフティングの主要な制限要素は下記のものです。 主動筋が全可動域のウェイトリフティング中に顕著に長さが変わるのに対し、一部の可動域でのウェイトリフティングは主動筋の長さ・張力曲線の小さな範囲の中でのみ行われます。 一部の可動域でのウェイトリフティングは小さな可動域の中でのみ行われ、それゆえ運動学習はその可動域にのみ適用すると思われます。これは、顕著な強化は、対象となる特定の可動域と若干両側に対しての神経適応によってのみ得られるということを意味します。しかしながら、クボ(2006)は、神経系の発達は全関節可動域を通じて、一部の可動域でのウェイトリフティングによって得られることを発見しています。 一部の可動域でのウェイトリフティングは、全可動域でのウェイトリフティングのパターンと同様には主動筋を活性化しませんが、クラーク(2012)の記述によると、スクワットの深さがどのように主動筋の活動の筋電図に影響するのかは、これまでのところまだ判明していません。 ハートマン(2012)の最近の報告によると、全可動域はパーシャルスクワットよりも垂直跳びに対してより良いとされています。 *** 研究者たちは何をしたのでしょうか? ドリンクウォーター及びその他は、ハイバー、肩幅のスタンスで120度の膝の屈曲をし、同じような負荷と異なる負荷(1RMの67%と83%)でパラレルスクワットとパーシャルスクワットの比較をしました。ウェイトは、被験者各自の速度で持ち上げてもらいました。 研究者たちは、趣味でラグビーを行う選手たち10名を募集し、被験者達は、10回を4セット、90秒のレストで、67%―パラレル、83%―パラレル、67%―パーシャル、83%―パーシャルというスクワットのワークアウトを実行しました。 対象者のスクワット実施中、研究者たちは変位、速度そして始めから終わりまでバーベルにかかる力を測定しました。 *** 何が起こったのでしょうか? ドリンクウォーター及びその他は1RM のパラレルスクワットの平均値は148.8kgであり、120度の膝の屈曲までの1RM のパーシャルスクワットの平均値は270.8kgだったことを観察しました。決して、ラグビー選手たちが訓練されていなかったというわけではなく、バーを使ってのスクワットは充分にトレーニングしていたのです。 予想通り、83%でのパーシャルスクワットは最高の最大力を生み出し、下のグラフで示されるように、その次は67%でのパーシャルスクワット、そして83%でのパラレルスクワット、67%でのパラレルスクワットと続きました。 *** また、これも予想通り、最大速度の結果は、力の結果と相反する傾向にあることを示しました。これは、より重い負荷が加速を困難にするということから理解できます。 *** ここまではいいでしょう。しかしながら、これらの強度において最大仕事率が比較的、力の傾向に近く、速度の低下によって特には影響をうけないというのはとても興味深いところです。明らかに、相反する速度傾向であるため、鋭角のラインではないものの、負荷の増加と共に仕事率が増すという傾向はまだ強くあります。 *** 最後に、研究者たちは1回あたりの総合のコンセントリックの仕事量は、重い負荷でのパラレルスクワットにおいて最高であると発見しました。実際、パーシャルスクワットは仕事量において優れているわけではなく、どちらの場合もパラレルスクワットほど高い数値ではありませんでした。 *** この最後のチャートは私たちが得ていた一貫性のあるパターンを壊してしまいます。そして次のセクションで見られるように、これらの結果をさらに詳しく分析するのはとても興味深いことです。 *** 研究者たちはどのような結論を出したのでしょうか? 一般的に研究者たちは、質(スピード、力、仕事率など)が最も効率的に鍛えられると意味する傾向にあるような、特定の変数の最大値を生み出すウェイトリフティングの変種を発見することを好みます。もちろん、特定の競技別の可動域や速度、動きのパターン等の、他の要素が大切というところでは僅かに低下します。 しかしながら、これは興味深い始点であり、少なくとも他のものと同程度に優れています。ドリンクウォーター及びその他は下記のそれぞれの方法は下記に挙げるこれらの点において最大であると記述しています。 力 ― パーシャル83%(1RMの高い%において) 速度 ― パラレル67%(1RMの低い%において) 仕事率 ― パーシャル83%(1RMの高い%において) 労力 ― パラレル83%(1RMの高い%において) 研究者たちは高い負荷でのパーシャルスクワットと高い負荷と低い負荷両方の負荷におけるパラレルスクワットは、目的によっては有益なトレーニング方法となり得るという結論を出しました。しかしながら、彼らは1RM の低い%でのパラレルスクワットに関しては、どんな目標であろうとも有益な発達は期待できないと示唆しています。 悲しいことに、当然ながら、中程度の負荷(8~12RM)でのパーシャルスクワットはおそらく世界中の全てのジムにおいて、最も一般的に行われているスクワットのタイプでしょう。そしてそれらは何においても、最高のものではないのです。そんなものですよね。 *** 制限要素 上に述べられているように、この研究にはいくつかの制限要素があります。 アスレチックトレーニングに対する提案には、特定の競技別の可動域や速度、必要な動きのパターンは考慮されていません。 アスレチックトレーニングに対する提案には、バリスティックでない方法からバリスティックな方法まで何が速度を重視したトレーニングに良いのかどうか、もしくはそれが同じ目的に対してアイソイナーシャル(一定の負荷)の方法と変動性の方法(バンドやチェーン)を比較しているかどうかを考慮していません。 その研究は広い範囲でのRMの%を網羅しておらず、より速い速度が得られるため出力がより高くなる1RMのかなり低い%においては、かなりの違いが予想されます。 行われた仕事率は身体組成の目的、特に脂肪減少の為にはとても重要な考慮事項ですが、筋活動の度合い、量、筋損傷、血流制限(パンプ)を含む広い範囲での要素によって生じる可能性のある筋肉肥大を考えた時は、必ずしも解決策であるわけではありません。研究者たちは、ような、それぞれ違ったスクワットの方法における筋電図での筋活動(行っていたら興味深いと思われる)の記録をしていません。異なった深さでのスクワットに関して、筋電図での筋活動を観察したカターリサノ(2002)のような以前の研究は、全てのスクワットのタイプにおいて同じ負荷を使用しており、それゆえ欠点があったのです。 *** 実践的な意義 キーポイントとしてこの研究から取り上げることができるものは、もちろん各自の目的にはよりますが、次のものです。 アスリートに対して 高い負荷でのパーシャルスクワットと速度を重視した低い負荷でのパラレルスクワットの組み合わせは、アスリートのスピードと強度を養うために有効な組み合わせになり得ます。 ボディービルダーに対して 脂肪減少や筋肥大を必要とする身体組性のプログラムに対しては、作業出力が最大であるべきであり、重い負荷での深いスクワットを行うべきです。反復回数をより多く行うために、軽い負荷でのスクワットを行うことも可能ですが、重い負荷でより多くセットを行うことで、反復回数をカバーすることができます。 ***

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ウォームアップの異なる要素はジャンプ動作にどのような影響を及ぼすのか?

研究論文:大学フットボール選手における、様々なウォームアップのプロトコールがジャンプ動作に及ぼす影響、パガデュアン、Pojskić、Užičanin、Babajic、 ヒューマンキネティックジャーナル 2012年 *** 背景 チームスポーツ参加前のウォームアップは、通常、有酸素運動とそれに続く様々なストレッチエクササイズから構成されている。しかし、ストレッチ、特に継続時間の長いストレッチは、出力の減少につながるようだという考えに基づき、スポーツ直前に静的ストレッチを行うことが疑問視されている。そのようなストレッチは怪我を減少させることに役立つと思われていたが、研究はその考えを支持していない。 *** 研究者たちは何を行ったのか? 研究者たちは、アスリートのカウンタームーブメントジャンプのパフォーマンスに対する、異なるウォームアッププロトコールの影響を調査しようと考えた。そのため、彼らは29名の大学のフットボール選手を集め、下記のような異なるウォームアッププロトコール実施後のカウンタームーブメントジャンプのパフォーマンスを観察した。 ウォームアップなし 一般的なウォームアップ 一般的なウォームアップ+ダイナミックストレッチ 一般的なウォームアップ+ダイナミックストレッチ+静的ストレッチ 静的ストレッチ、静的ストレッチ+一般的なウォームアップ 静的ストレッチ+一般的なウォームアップ+ダイナミックウォームアップ 一般的なウォームアップは5分間のランニングから構成されていた。ダイナミックウォームアップと静的ストレッチウォームアップはそれぞれ10秒のレストを入れた20秒間を2セット行う、合計7分間の7つのエクササイズから構成されていた。ダイナミックウォームアップは、ストレイトレッグマーチ、バットキック、カリオカ、ハイニー、ツイストを加えたリバースランジ、パワーシャッフル(ステップスライド)、スクワットが加わったジョギングから構成されており、静的ストレッチは立位大腿四頭筋ストレッチ、立位カーフストレッチ、立位ハムストリングストレッチ、片脚ストラドル、反転ハードラーストレッチ、臥位シングルニートゥチェスト、座位クロスレッグ臀筋ストレッチから構成されていた。 *** 何が起こったのか? 研究者たちは、それぞれのウォームアッププロトコール後の平均カウンタームーブメントジャンプの高さは、下記のグラフに示されている通りであると発見した。 *** 研究者たちはどのような結論に達したのか? 研究者たちは、一般的なウォームアップの方法と、ダイナミックストレッチが後に続く一般的なウォームアップが、カウンタームーブメントジャンプのパフォーマンスを最適化するために最良のウォームアップであるという結論に至った。 *** キーポイントは何か? この研究からは下記のようなキーポイントが挙げられる: 一般的な有酸素のウォームアップや、ダイナミックストレッチが後に続く有酸素のウォームアップは、カウンタームーブメントジャンプのパフォーマンスを最適化するために最良のウォームアップである。 静的ストレッチは、ウォームアップのどこで行ったとしてもパフォーマンスの低下につながる。 ウォームアップにおいて静的ストレッチを行うタイミングは、カウンタームーブメントジャンプのパフォーマンスに著しい影響を及ぼす。ウォームアップの最後に行う静的ストレッチは、ジャンプパフォーマンスを著しく低下させ、ウォームアップの始めに行う静的ストレッチも、少しではあるがパフォーマンスの低下を引き起こす。 全関節可動域を得るために静的ストレッチが必要な場合、静的ストレッチはウォームアップ以外の時間に行われるのが最良である。 総体的に、ウォームアップはパフォーマンス向上においてあまり注目されていないエリアであり、今後のリサーチによって、あらゆる種類のスポーツのコーチ達にとって、いかに適切なウォームアップを導入すれば良いかに関しての有効な情報が提供されていくことになるのであろう。 ***

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ウォームアップ後の筋温低下の減少は、自転車スプリントのパフォーマンスを向上させるのか?

研究論文:ウォームアップ後の筋温低下の減少による自転車スプリントパフォーマンスの向上、フォークナー、ファーガソン、ギャレット、フペレッツ、ホダー、ハベニス、スポーツ&サイエンスにおけるメディスン&サイエンス、2012年 背景 筋温が筋機能に影響するという原理は、エクササイズ前にウォームアップをするという概念の要となっている。研究者たちは、エクササイズ前に筋温を上昇させることは、特に高いレベルでのパワー産出を必要とする活動において有益であると発見した。言うまでもなく、筋温は体を動かすことと外部熱源を使うことにより得ることがきる。 研究者たちは何を行ったのか? 研究者たちは、ウォームアップと30秒自転車スプリントテストの間に、筋温を維持する異なる方法を試し、どの方法がそのスプリントテスト中の最適な出力に対して最良かを知りたいと考えた。そこで彼らは、11名の男性の自転車競技選手とトライアスロンの競技選手を集め、ウォームアップとテストの間、異なる保温コンディションにて(一般的なトラックスーツパンツ、保温機能付きアスレチックパンツ、保温機能付きアスレチックパンツと外部加熱要素の組み合わせ)一般化されたウォームアップ後、30秒の最大速度でのスプリントを3セット行わせた。 何が起こったのか? 研究者たちは、外部熱源を使用したコンディションにおいては、他の2つのコンディションよりもより高い筋温を維持していたことを報告した。彼らはまた、下記のグラフで示されているように、このコンディションにおいては最大出力がより高かったと報告している。 *** 研究者たちはどのような結論に達したのか? 研究者たちは保温衣類と外部熱源の併用はウォームアップとスプリントテスト間での筋温の低下を減少することができ、最大速度での30秒自転車スプリントテストにおいて最大出力を約9%向上することができると結論付けた。 *** キーポイントは何か? この研究は、トレーニングやパフォーマンス前のウォームアップに関する、下記のようなアドバイスの提供を可能にした。 保温衣服と外部熱源の併用は、ウォームアップとスプリントテスト間の筋温の低下を減少することができる。 しかしながら、外部熱源なしでの保温衣服の使用は有効的ではない。 保温衣服と外部熱源の併用による筋温の保持は、最高速度での30秒自転車スプリントテストにおいて最大出力を約9%向上させる。 総合的には、ウォームアップ中の筋温の上昇はとても重要であり、その上昇した筋温をウォームアップからパフォーマンスやトレーニングまでの間維持することは、パフォーマンス向上の鍵かもしれないと思われる。

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ケトルベルが一部のリフターに対しては腰痛を引き起こし、他の個人にとってはリハビリの助けとなるのは何故だろうか? パート1/2

ケトルベルは、アスリートや趣味でリフティングを行う人たちに頻繁に使われている。それゆえその使用については、多くの逸話が存在している。 ケトルベルの使用に関する逸話的特徴のひとつに、他の股関節伸展エクササイズを多く行っているにも関わらず、股関節伸展強度の増加や機能の向上がアスリートにより頻繁に報告されるということがある。他の逸話的特徴として、一部の人が、他の股関節伸展エクササイズを行う際には痛みを感じないが、ケトルベルスイングでは腰の痛みを感じるということがある。 下記の研究は、よく見られるこれらの2つの報告の背景にある理由を調べようと試みたものである。 研究論文:ケトルベルスイング、スナッチ、ボトムスアップキャリー:背中と股関節の筋肉の活性化,動作、腰への負荷、マッギル、マーシャル、ストレングス&コンディショニングリサーチジャーナル、2012年 *** 背景 ケトルベルは現在、唯一のトレーニングツールとして、また、バーベルや徒手体操と併用して、より多くのウェイトリフターやフィットネス愛好家によって使われるようになってきている。しかしながら、ウェイトリフターによる事例証拠は混在しているようである。 ウェイトリフターの中には、同じ目的の為に他の動作を行っているにも関わらず、スイングが腰部損傷後のリハビリの助けになる、または、股関節伸展強度の増加の助けになるとして、ケトルベルのエクササイズを賞賛ている人たちがいる。一方、他のウェイトリフターたちは、バーベルリフトは無痛で行えるが、ケトルベルの動き、特にスイングは腰を悪化させる動きの一つであると示している。 更に、一部のケトルベルの専門家は、革命的な武道家であるブルース・リーに由来する技術を使いスイングを実践している。「キメ」と呼ばれるこの技術は、筋肉の収縮と弛緩を訓練する為の短時間の筋肉の振動である。これはスイングの動きの頂点で行われる。 研究では、MMA(混合武道家)ファイターは攻撃する際、一撃の効果を強めるため、実際に素早い筋肉の収縮と弛緩を使うということが確認されている。しかしながら、一般的なケトルベルエクササイズを行う際の力学や、腰への負荷を数値で表そうとした研究はこれ以前には存在していない。 *** 研究者たちは何を行ったのか? 研究者たちは、ケトルベルスイング、キメを伴うケトルベルスイング、ケトルベルスナッチ、ケトルベルボトムスアップキャリー、ケトルベルラックキャリーといった、ケトルベルエクササイズを行う際の脊椎への負荷と、体幹、脚、背中の筋肉の様々な活動を数値で表そうと試みた。 研究者たちは、ある人にとっては治療的または有益であるが、他の人にとっては不快であるといったような、ケトルベル特有の特徴が存在するのかどうかを発見したいと考えた。彼らはまた、キメにどのような効果があるのかを発見しようとした。研究者たちはスイングとスナッチに7名の被験者、キャリーに5名の被験者を使った。 研究者たちはまた、パベル・サッソーリン が行うスイングの特徴を記録する許可を得た。この研究には16キロのケトルベルが使用され、解剖学的目印に置かれた反射マーカーと、9台のカメラモーションキャプチャーシステムを使用し、3D身体部位の運動学が評価された。床反力は、2つのフォースプレートをそれぞれの足の下に一枚ずつ使用し測定された。 筋電図のデータが表面電極を使用して記録され、研究者たちはその筋電図のデータを最大随意等尺性収縮(MVIC)へと正規化した。大臀筋に対して使われたMVICのポジションは、Bierring-Sorensen ポジションや、テーブルに腹臥位で膝関節を90度に屈曲させ股関節を伸展したポジションよりも高かった。中臀筋に対して正規化されたポジションは、横臥位で、股関節を少し外旋させ、45度に外転した状態で抵抗に耐えるポジションであった。 *** 何が起こったのか? 筋電図活動:スイング 研究者たちは、スイングの中で様々な筋肉の活動が最も活発な位置を調べた。彼らは下記のグラフで示されているように、スイングの際、最も活発な筋肉は、大臀筋、中臀筋、広背筋、そして脊柱起立筋であるということを発見した。 研究者たちはまた、臀筋の活性化のピークはスイングサイクルの後半で起こり、股関節伸展の最終ポイントと密接に関係していたと記述している。このことは次に挙げる2つの理由により有益である。第一に、スイングを行う際の臀筋活動のピークは、臀筋の活動が最大になり得るところ(すなわち股関節のフル伸展)の股関節の屈曲角度において起こる。これはケトルベルスイングが、股関節屈曲位において臀筋を最大に活性化する他のエクササイズよりも、より多く臀筋を活性化するかもしれないということを示唆している。 第二に、ケトルベルスイングにおけるこの臀筋活動のピークは、そのポイントにおいて股関節伸展トルクが最大であるため、臀筋の活動が股関節の大きい屈曲角度において最大であると信じられている、スクワットやデットリフトのような軸方向のエクササイズを行う際の臀筋活動のピークとは対照的である。このことは、ケトルベルスイングは股関節の異なる角度において臀筋を活性化するため、スクワットやデットリフトの補助的なエクササイズとして有益であるかもしれないということを示唆している。 *** 筋電図活動:キメを伴うスイング 研究者たちは、スイングにキメを加えることは、外腹斜筋において起こっている活性化の向上(右外腹斜筋において101%、左外腹斜筋において140%の向上)を伴い、主に腹筋に影響を及ぼすと報告した。下記のグラフは様々な筋肉間での差異を示している。 *** 筋電図活動:スナッチ 研究者たちは、スナッチは右外腹斜筋、右大腿直筋、左内腹斜筋の3つの筋肉の活性化を向上させることを発見した。これはケトルベルを高く振り上げる必要性があるからであろうと思われる。下記のグラフは様々な筋肉間での違いを示している。 しかしながら、スイングやスナッチを行っている被験者の写真を確認したところ、使われたフォームは標準的なヒップヒンジではなく、スクワットスタイルに近いものであった。これは、この研究での結果に影響を及ぼし、大腿直筋のより高い活動につながった可能性がある。これに対して、ヒップヒンジスタイルでのスナッチは、大腿二頭筋の活動をより大きく生み出すかもしれなかったが、更なる研究なくして、これを知ることは不可能である。 *** 筋電図活動:ケトルベルキャリー 研究者たちは、筋活動は全てのウォーキングエクササイズにおいてとても低かったと記述している。実際、大臀筋の活動の平均値は、いかなるウォーキングエクササイズにおいてもMVCの1%以上に達したことはなく、中臀筋の活動の平均値はMVCの3%以上に達したことはない。このことは、これらの筋肉においてトレーニング効果を得るためには16kgよりも更に重い負荷が必要だということを示している。しかしながら、研究者たちは、その他のウォーキングテストと比較した場合、左外腹斜筋以外の全ての筋肉の筋電図活動は、ボトムアップキャリーを行う際により高かったと記述している。 ***

ストレングス・コンディショニング・リサーチ 3132字

ケトルベルが一部のリフターに対しては腰痛を引き起こし、他の個人にとってはリハビリの助けとなるのは何故だろうか? パート2/2

何が起こったのか? (続き) 脊椎の動き:スイング ケトルベルスイングを行う際、脊椎は動きのボトムポジションで26度屈曲し、頂点では6度伸展するといったように、合わせて32度の屈曲、伸展が起こったということは記述しておくべきである。より高度なケトルベルの熟練者が、スイングの際に同じようなレベルの脊椎の動きになるのか、それとも違うレベルでの動きになるのかを判明するには更なる調査が必要である。 *** 脊椎負荷:スイング、キメとスナッチを伴うスイング 最も重要なこととして、研究者たちは、圧縮負荷に対する剪断負荷の比率は一般的なバーベルエクササイズに比べ、スイングやキメとスナッチを伴うスイングにおいてより大きく、そのことが、個人が時としてケトルベルエクササイズを不快に思う理由であるかもしれないと観察した。 研究者たちはまた、剪断負荷や圧縮負荷はスイングの始めに最も高かったと報告している。彼らはスイングやキメを伴うスイングにおいて、スイングの頂点では、キメを伴うスイングでは剪断負荷と圧縮負荷が高いまま維持され、通常のスイングでは著しく減少したが、スイングの頂点以外では、剪断負荷と圧縮負荷が似通っていたことを発見した。下記のグラフはそれぞれのタイプのスイングとスナッチにおける剪断負荷と圧縮負荷を示している。 上記のグラフは、3つのエクササイズ全てにおいて、動きの最初から中間までの間に、どのように剪断負荷が減少するかを示している。(注意:スナッチに対しての中間部分の測定は行われていない)しかしながら、このグラフはまた、通常のスイングに比較してキメを伴うスイングでは、いかに剪断負荷の高さが維持されているかも示している。研究者たちはより少ない剪断負荷の方が望ましいと考えられると記述している。腰痛や外傷の既往歴がある人においては、キメを伴わないスイングの方がより良い選択肢であるかもしれない。 このグラフはまた、スイングやスナッチにおける圧縮負荷は、動きの漸進と共に減少することを示している。しかしながら、キメを伴うスイングにおいての圧縮負荷は、高いまま維持されている。脊椎の硬さを高め、より高い剪断力による悪影響を減少させる為に、腹筋の活性化が促進されることによってこのような圧縮負荷の上昇が起こっているようであるが、これをこの研究から確実に証明することは不可能である。 *** 脊椎負荷:ケトルベルキャリー 研究者たちはまた、関節の圧縮負荷や剪断負荷はラックポジションや通常のウォーキングに比べて、ボトムアップポジションで著しく大きかったと報告している。 *** 事例研究 研究者たちは、パベル・サッソーリンが32キロのケトルベルを右手、及び両手で持ちスイングを行う際の筋電図活動を記録した。この実験の間、パベルは左の脊柱起立筋においてMVCの150%の活性化、また、左臀筋において100%以上の活性化を示した。 この事例研究は、それほど熟練してはいない被験者が、ケトルベルスイングを行う際に記録した筋電図活動のデータの結果、すなわち全ての筋肉の中で臀筋の活動が最も活発であったという結果とは著しく異なっている。臀筋はケトルベルスイングにおいて明らかに大切な筋肉である。しかし、パベルはスイングを行う際、コアスタビリティを確保するため、より一層脊柱起立筋を硬くすることもできたのである。 ヒップヒンジスタイルのスイングを習得することに集中したケトルベルのトレーニングの前後に、様々な負荷を使いながら、トレーニングされていない被験者グループの股関節の伸筋とコアの筋電図活動を記録し、改善されたフォームと訓練を通じて、より大きな活動を得ることができるのかどうかを観察することは興味深いでことであろう。 *** 制限要素は何か? この研究は、全ての動きにおいて軽量のケトルベルのみが使用され、被験者はほとんどが未経験者であったことに制限があった。更に、写真に示されているこの研究で使われたフォームは、理想的なヒップヒンジスイングではなかったようである。このことが、より大きな股関節屈筋、大腿四頭筋、脊柱起立筋の活動、そして、腹筋、臀筋、ハムストリングの活動の低下へとつながったのかもしれない。 最後に、この研究には脊柱負荷に関するデータが含まれておらず、そのデータがあれば、正しいヒップヒンジスイングのフォームと臀筋の活性化ができるアスリートを指導しているコーチたちにとって、より有益であったかもしれない。 *** 研究者たちはどのような結論に達したのか? 研究者たちは、ケトルベルスイングは、かなり大きな筋肉の素早い活性化と弛緩というパターンと共に股関節を軸にしたヒップヒンジの動きを生み出すようだという結論に達した。 しかしながら、研究者たちはまた、ケトルベルスイングは、圧縮負荷に対して剪断負荷がとても高いという、腰椎における独特な圧縮負荷と剪断負荷の比率を生み出すようであるとも記述している。それゆえ、この動きに対する恩恵を痛みなしに受けるためには、後方の剪断負荷に対する剪断安定性と剪断応力が必要である。 *** 実践的な意義は何か? アスリートと趣味でリフティングを行う人たちに対して: 脊椎の剪断負荷の圧縮負荷に対する比率は、バーベルエクササイズよりもケトルベルスイングの方がはるかに大きく、このことは、剪断負荷に対して抵抗力の低い個人は、軸方向に負荷がかかるバーベルエクササイズを心地よく行うことができるにも関わらず、ケトルベルスイングを不快だと感じる可能性があるということを意味するかもしれない。 一部のリフターたちがリバースハイパーやケトルベルスイングのような動きを有益だとみなすという事実は、腰椎におけるわずかな伸展によるものであろう。この多少の伸展は正しいフォームで行われている限り問題はない。 剪断負荷は、一般的なスイングに比べ、キメを伴うスイングにおいては高いまま維持される。腰痛や外傷の既往歴がある人にとっては、キメを伴わないスイングの方がより良い選択肢であろう。 スイングにおける臀筋の活動は股関節完全伸展近くでピークとなり、これによりケトルベルスイングは、股関節屈曲において股関節の伸展トルク(そして臀筋の活動量も同様に)が最大となるスクワットやデットリフトの補足トレーニングとして有益なエクササイズであるとみなされる。 ***

ストレングス・コンディショニング・リサーチ 2767字

デプスジャンプはスクワットの最大強度を即時に向上させことができるのか?

活性化後増強作用(PAP)効果とは、「コンディショニング収縮」と呼ばれる筋収縮が、それに続く筋活動におけるパフォーマンスの向上につながるという現象である。 PAP効果はほとんどの場合、コンディショニング収縮として、1RMの80-90%でのスクワットのような高負荷のレジスタンストレーニングを使い、それに続く筋活動、またはパフォーマンス測定として、垂直跳びのようにパワフルなスポーツの動きを使って研究される。 しかしながら、下記の2つの研究が示しているように、PAP効果は最大筋力でのスクワットのような高負荷での筋活動においても観察することができる。 背景 PAP効果は、コンディショニング収縮として高負荷を使用し、パフォーマンス収縮として低負荷、又は自重でのパワフルな動きを使用した際に効果を発揮する。多くの場合、コンディショニング収縮にはバックスクワットが使われ、パフォーマンス収縮には垂直跳びが使われる。 研究者たちは、PAP効果は多数の要因により影響を受け、その最も顕著なものは、コンディショニング収縮による疲労の度合いであるということを発見した。コンディショニング収縮が多大なる疲労を引き起こす場合、PAP効果は疲労の弊害により覆い隠されるか、もしくは、無効となる。 それに加え、PAP効果は(他の要因の中で)アスリートの強さ(例:ザイツ2013年)、レストの間隔(例:ゴウビア2013年)、スクワットの深さ(例:エスフォーメス2013年)により変化する。その他の変数要因には、筋収縮の種類(例:等尺性、短縮性、もしくは伸長性など)、相対的な負荷、量(例:レップ、セット、ケイデンス、収縮時間)、そしておそらく異なる筋肉群の様々な反応(ロビンス2005年を参照)が含まれる。 研究者たちは、PAPが働く可能性のある様々なメカニズムを提案した。その3つのメカニズムとは、(1)筋小胞体からのCa2+放出が上昇することによる、免疫軽鎖のリン酸化の増加により引き起こされる、アクチン・ミオシン相互作用の感度の上昇、及びミオシン頭部の構造の変化によるクロスブリッジのより高い力発生状態。(2)前の筋収縮に続く励起電位の上昇による運動単位動員数の増加(3)筋繊維の羽状角度における有益な変化、である。 *** 研究1: 男性アスリートにおける、最大スクワットパフォーマンスに対するプライオメトリックエクササイズの即時的影響、マサモト、ラーソン、ゲイツ、フェイゲンバウム、ストレングス&コンディショニングリサーチジャーナル、2003年 研究者たちは何を行ったのか? 研究者たちは、1RMでのパラレルスクワットに対する、3つの異なったウォームアッププロトコールの影響を調査したいと考えた。そのため、彼らは平均5.2年のレジスタントトレーニングと1年以上のプライオメトリックエクササイズトレーニングの経験を持つ12名の野球選手を集めた。 1試験では、被験者は1RMテストの前に従来のウォームアッププロトコールを行った。別の試験では被験者は、1RMテストの30秒前にタックジャンプを3回行い、第三試験に於いては、1RMでのリフトの30秒前に高さ43.2cm(17インチ)の箱からのデプスジャンプを2回行った。 *** 研究者たちは何を発見したのか? 研究者たちは、下記のグラフに示されているように、1RM前のデプスジャンプは従来のウォームアップに比べ、著しく高いリフトパフォーマンスにつながったということを発見した。 デプスジャンプの効果は、絶対値で見た場合決して大きいものではなかったが(4.9Kg)、これらの1RMスクワットにおける向上の比率は3.5%であった。 *** 研究者たちはどのような結論に達したのか? 研究者たちは、最大筋力でのスクワット実施30秒前に行われた、17インチの箱からの2回のデプスジャンプは、ストレングストレーニングを行っている野球選手の1RMのパラレルスクワットパフォーマンスを著しく向上させたという結論に至った。 *** 研究2: プライオメトリックエクササイズ後の、最大スクワットパフォーマンスに対する、多様なレスト間隔の影響、ラヒミ、インターナショナルフィットネスジャーナル、 2008年 研究者たちは何を行ったのか? 研究者たちは、1RMのパラレルスクワットパフォーマンス前にデプスジャンプを行うことから得られるPAP効果に対する、異なる休息時間の影響を調査したいと考えた。そのため研究者たちは、3年以上のレジスタンストレーニングとプライオメトリックトレーニング両方の経験を持つ10名の男性バスケットボール選手を集めた。 1試験では、被験者は1RMテストの前に従来のウォームアッププロトコールを行い、更なる3試験では、被験者は1RMリフトの30秒前と60秒前に45cm(17.7インチ)の箱からのデプスジャンプを2回行った。 *** 研究者たちは何を発見したのか? 研究者たちは、下記のグラフに示されているように、最大スクワットを行う15-30秒前にデプスジャンプを行うことは、従来のウォームアップに比べ、著しい1RMリフトの向上につながるということを発見した。 グラフから見て取れるように、60秒後にはデプスジャンプによるPAP効果は消滅していた。興味深いことに、デプスジャンプの効果は絶対値としては(4.2Kg)前述の研究での結果にきわめて近かったが、絶対的な負荷がより大きかったため、1RMのスクワットに対する向上率は2.7%であった。これは、その効果がより強靱なリフターにおいては小さいのか、もしくは他の要素(例えば、被験者のタイプ、使用されたのが少々高さの高い箱であったこと、等)による影響であったのかを示しているのかどうかは明確ではない。 *** 研究者たちはどのような結論に達したのか? 研究者たちは、最大スクワットの15-30秒前に17インチの箱から行われた2回のデプスジャンプは、ストレングストレーニングを通常行っている男性バスケットボール選手において、パラレルスクワットの1RMパフォーマンスを著しく向上させたという結論に至った。 *** 制限要素は何か? この2つの研究には下記のような点において制限があった。 スクワットは、通常からレジスタンストレーニングを行い、プライオメトリックトレーニングの経験のある、男性のバスケットボール選手、もしくは野球選手によって行われた。パワーリフターのようなプライオメトリックトレーニングの経験が無い人たちでは異なった結果が得られたかもしれない。 被験者のスクワットの最大筋力は、バスケットボール選手や野球選手において予想していた通り(体重の約1.5倍)であった。パワーリフターのようにスクワットの強度がより高い人たちでは、異なった結果が得られたかもしれない。 両方の研究では最大スクワット、すなわち1RMに対するデプスジャンプの効果のみが調査された。1RMの80-90%のように、より軽い相対負荷に対しては異なった結果が得られたかもしれない。 この研究は即時的な効果の観察であったため、最大スクワット前にデプスジャンプを行うことがより良いトレーニング効果を生み出すのかどうかは明確ではない。 *** 実践的な意義は何か? ストレングスコーチとパワーリフターに対して アスリートが既にプライオメトリックトレーニングに馴染みがある場合は、最大、準最大スクワットリフトの15-30秒前に適度な高さ(例:17インチ程度)の箱からのデプスジャンプを2回行うことは、リフトの負荷を3-4%上昇させることにつながる。 この研究はプライオメトリックを通常行っているアスリートに対して行われたため、この技術を利用したいと考えるパワーリフターは、おそらく、最大リフトの前にデプスジャンプを使用する以前に、時間をかけて漸進的なプライオメトリックスの導入をするべきであろう。

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運動不足の若い成人に対し、中程度から強度の有酸素運動は睡眠の必要性にどのような影響を及ぼすか?

研究論文:運動不足の若い成人における、中程度から強度の有酸素運動の、睡眠の必要性に対する影響、ウォン、ハラキ、チュウ、スポーツサイエンスジャーナル、2013年 背景 睡眠の必要性は、個人が完全に目覚め、日中の最適なパフォーマンスを行うことを可能にする毎日の睡眠量として、とても大まかに定義されている。睡眠の必要性が満たされない場合、睡眠負債と呼ばれるものが引き起こされ、これは機能的、生理学的の両方において、日中のパフォーマンスの低下に関連する。研究者たちは、睡眠の必要性には大きな個人差があり、年齢や性別によっても大きく異なるということを発見している。しかしながら、日中の活動による睡眠の変化の程度は明確ではない。 研究者たちは何を行ったのか? 研究者たちは、睡眠障害の無い、運動不足の若い成人、12名(女性9名、男性3名)のグループにおいて、異なる有酸素運動がどのように睡眠に影響を及ぼすのかを調べようと考えた。彼らは、シフト制の仕事をしている人や過去2週間以内に時差のある国へ旅行をした人を被験者から除外した。 何が起こったのか? 研究者たちは、異なるエクササイズコンディション間には、著しい睡眠時間の差異はなかったと報告した。しかしながら、睡眠が浅い時と深い時を分析した結果、研究者たちは、下記のグラフで示されているように、被験者は65%から75%でのエクササイズ後は、何もエクササイズを行っていない状態に比べ、全体の睡眠時間において、浅い眠りにいる時間の方が長かったということを発見した。 研究者たちは、エクササイズ強度の増加に伴い急速眼球運動(REM/レム)睡眠の時間が減少するという傾向は、特に有意ではなかったと記述している。 実践的な意義は何か? 就寝6時間前に、VO2-max(最大酸素摂取量)の65%以上で40分間のトレッドミルエクササイズを行うことは、レム睡眠の減少という非有意な傾向と共に、深い眠りを妨げ、浅い眠りの時間を増加させるということへとつながる。

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家庭環境における軽度の睡眠制限は、多様な代謝と内分泌マーカーにどのような影響を及ぼすのか?

研究論文:家庭環境においての、3週間に渡る軽度の睡眠制限の健康な若い男性の多様な代謝と内分泌マーカーに対する影響、ロバートソン、ラッセル・ジョーンズ、アンプレビー、ダイク、代謝作用 臨床と実験 2013年 背景 睡眠時間と概日リズムの乱れは、特に体重の増加、耐糖能障害、高血圧との結びつきにより、メタボリック症候群、肥満、2型糖尿病の発症に影響を及ぼす要因であるという証拠が増加してきている。 研究者たちは何を行ったのか? 研究者たちは、標準の体重である健康な個人において、3週間に渡る多少の睡眠の欠如(1.5時間)の影響を調査したいと考えた。研究者たちは特に、この程度の睡眠欠乏がインスリン感受性を低下させ、レプチンの血中濃度を変化させるのかどうかを見たいと考えた。 何が起こったのか? 睡眠時間 研究者たちは、通常よりも1時間30分早く目覚まし時計をセットすることにより、故意に1時間31分睡眠時間を短縮した睡眠欠乏のグループにおいて、その介入の結果として、通常の睡眠時間に著しい影響が出たことを報告している。 インスリン感受性への影響 研究者たちは、インスリン感受性は、睡眠制限のあるグループでは、最初に低下し、その後基準レベルまで回復したが、コントロールグループにおいては変化が無かったと報告した。 レプチン濃度への影響 研究者たちは、睡眠欠乏のグループにおいて、レプチン濃度は最初の2週間は基準値近くに留まり、その後、3週間目で著しく低下し、その基準値を著しく下回る値を維持していたと報告した。コントロールグループにおいてはそのような変化は見られなかった。レプチンは食欲を抑制する作用があるため、レプチン濃度の低下は食欲を促進すると考えられる。 体重への影響 睡眠欠乏のグループにおいて、体重は最初の2瞬間は基準値を下回ったが、3週間目で著しく増加した。コントロールグループにおいては著しい変化は無かった。 実践的な意義は何か? 多少の睡眠欠乏は、最初は体重を減少させるが‘、その後著しい血中レプチン濃度の減少に伴い著しい体重の増加へとつながる。レプチンは食欲を抑制するとされているため、レプチン濃度の低下は食欲の増加へとつながると予想される。それゆえこれは、睡眠時間の減少が体脂肪の増加へとつながり得るメカニズムである。

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睡眠の断片化は、24時間の食欲と、それに関連するホルモン濃度にどのような影響を及ぼすのか?

研究論文:健康な男性における、24時間の食欲と、関連するホルモン濃度に対する睡眠断片化の影響、ゴニッセン、ハーセル、リュッタース、マートンズ、ウェスターテラップ・プランテンガ、英国栄養学ジャーナル、2013年 背景 今の時代における最も切迫した医療問題は、おそらく、肥満の急速な増加であろう。多くの研究者たちは、近年変化しているその他のライフスタイルとの関係性を見ることにより、この増加の正確な原因をつきとめようとしてきた。睡眠時間の減少傾向という一要因は、あまり頻繁に研究がなされてはいないが、肥満の増加に伴い、実際に睡眠時間が減少していることは明白である。しかしながら、これらの2つの傾向の間に因果関係があるのかどうかは明確ではない。 研究者たちは何を行ったのか? 研究者たちは、睡眠阻害が睡眠時間の減少を引き起こすのと同じように、食欲制御の低下につながるのかどうかを調査したいと考えた。そのため彼らは、睡眠阻害のあるコンディションと無いコンディションの2つのコンディションにおいて被験者を調査した。睡眠阻害の無いコンディションにおいて、被験者は夜を通して眠ることを許され、阻害のある(断片的な)コンディションでは、被験者は夜間に何度か起こされた。 何が起こったのか? 睡眠時間 研究者たちは、睡眠阻害のあるコンディションと無いコンディションの間で、睡眠時間、もしくは目覚めている時間において著しい違いはなかったと報告している。阻害のある夜において、被験者は平均5回起こされた。研究者たちは、阻害の無い夜に比べ、睡眠阻害のある夜においてはレム睡眠の時間が著しく短かったと報告している。 グルコースとインスリン濃度 研究者たちは、阻害のあるコンディションにおいては、阻害の無いコンディションよりも朝食後のインスリンの上昇が、著しく低かったが、夕食後では阻害のあるコンディションの方が高かった、と報告した。 コルチゾール濃度 研究者たちは、睡眠阻害のあるコンディションでは、阻害の無いコンディションに比べ、夕方のコルチゾール濃度が著しく高かったことを発見した。 実践的意義は何か? 睡眠阻害は、全睡眠時間や目覚めている時間を変化させはしないが、確実にレム睡眠の減少へとつながる。レム睡眠は健康と回復の為に大切だと信じられているため、これは、睡眠阻害が健康の妨げとなり得ることを示唆している。 加えて、睡眠阻害は、グルコースの分泌は変化させないが、一日の食後のインスリン分泌のパターンを変化させる。 睡眠阻害は朝のインスリン分泌を減少させ、午後のインスリン分泌を上昇させる。このことは夜の食料摂取量と間食を増加させることにつながる可能性がある。それゆえこれは、睡眠の質の低下が体脂肪増加を引き起こし得るメカニズムである。

ストレングス・コンディショニング・リサーチ 1248字

コンペティションのための最善なテーパリング方法とは? パート1/2

コンペティションのためのテーパリングは、最近まで研究者によりあまり研究が成されていなかったという理由からか、科学というよりもむしろ芸術のように思われている。しかし現在は、テーパリングや、様々なタイプのアスリートにおいてパフォーマンスを最大に引き出すための計画に関する論文が数多く存在している。 この総説は、テーパリングに関する研究内容を理解するための有益な枠組みを提供する。最新の情報を提供するため、この総説には最近の系統的レビューからの結論も含むこととした。 研究論文: コンペティション前のテーパリング戦略に関する科学的基本原理、ムジカ&パディラ、スポーツ&サイエンス、メディスン&サイエンス2003年 背景 テーパリングとは、重要なコンペティション前の最終週において、激しいトレーニングにより蓄積された疲労の影響を減少するために、トレーニング量やトレーニング強度、もしくはその両方を減少させることである。 正しく行えば、様々な有益な生理的変化が起こり、著しいパフォーマンスの向上へとつながる。間違った方法で行うと有害となり得る。テーパリングの際に起こる生理的変化には下記のものが含まれる。 最大酸素摂取量の増加 (e.g. Banister, 1999 and Neary, 1992) 無酸素性作業閾値の上昇 (e.g. Zarkadas, 1995) 筋パワーの増加 (Johns, 1992) 酸化酵素の増加 (Neary, 1992) 筋グリコーゲンの増加 (Neary, 1992) ヘモグロビン値とヘマトクリット値の上昇 (Mujika, 1998 and Mujika, 2000) テストステロンの増加とコルチゾールの減少 (Mujika, 2000 and Mujika, 2002) 筋力の増加 (Martin, 1994) タイプIIa筋繊維のサイズ、強度、速度、パワーの増加 (Trappe, 2001) 睡眠の質の変化 (Taylor, 1997) 気分の変化 (Raglin, 1996) これらの生理的変化のほとんどは、テーパーの有益な効果に貢献すると考えられているが、それぞれの変数要素のカテゴリーが一般的に観察されるパフォーマンスの向上にどれほど貢献しているかは明らかではない。 テーパーの3つの主なタイプは、段階的なテーパー、直線形のテーパー、急激なテーパーである。段階的なテーパーにおいては急激なトレーニング仕事量(ワークアウトの量、強度、頻度の組み合わせ)の減少が起こる。直線形のテーパーでは、トレーニング仕事量が直線的に減少する。 急激なテーパーでは、仕事量は非直線形で減少し、テーパーの早い時期に仕事量が加速的に減少する。テーパーはトレーニング仕事量の減少速度によっても定義することができる。直線形の減少、急激な減少共に、仕事量の減少速度によりさらに調節することが可能である。 *** 評論家たちは何を発見したか? トレーニング強度を維持することの重要性 持久系アスリートに対して評論家たちは、トレーニングされている選手と (e.g. Hickson, 1985) されていない選手の (e.g. Shepley, 1992) 両方において、有酸素プログラム後の最大酸素摂取量向上を維持するためにはトレーニング強度を維持することが重要であると発見した。 ストレングス&パワーアスリートに対しては、かなり少数の研究しかなされてはいないが、強度を維持することによる効果は同様なようである (e.g. Gibala, 1994 and Izquierdo, 2007)。 下記のグラフは、4週間に渡る少量で高強度のテーパリングによる、上半身と下半身の強度とパワーに対する有益な効果を示している。 研究者たちは、テーパーを行う際に強度を維持(もしくは増加)する重要な役割に対する様々なメカニズムを提案した。少量で高強度でのテーパーに関するこれらの要素には、全血液量、赤血球容積、クエン酸シンターゼ活動(酸化容量の指針)、筋グリコーゲン濃度、テストステロン値が含まれる (e.g. Shepley, 1992 and Mujika, 2002)。 この点において、テストステロンが垂直跳びのような下半身の爆発的なパフォーマンスと良好な相関関係にあるということは興味深い (e.g. Cardinale and Stone, 2002)。 *** トレーニング量を減少させることの重要性 評論家たちは、持久系アスリートにおいては、テーパーを通じてトレーニング量を減少させることはトレーニング量を加減するよりもパフォーマンスの向上に対して良いということを発見した。しかし、パフォーマンスを向上させるために必要であるトレーニング量の減少度合いに関しては、多少驚きがあるかもしれない。 トレーニングを積んでいる持久走の選手 (e.g. Houmard, 1990)と自転車競技の選手 (Rietjiens, 2002) において、50−70%のトレーニング量の減少はパフォーマンスを維持もしくは多少向上させるように思われるのに対し、約85%の減少はパフォーマンスの著しい向上につながるようである (Mujika, 2002)。 しかしながら、競技選手におけるテーパリングの効果についての後の系統的レビューとメタ分析において、最適なトレーニングの減少量は実際にはこれよりもかなり少なく、テーパーを行う前の量の41−60%である、とバスキット(2007年)が発見したことは注目すべきことである。 今までに行われたこれらの研究は中レベルや低レベルのトレーニング量との比較をしておらず、脱トレーニングとの比較しか行っていないため、ストレングス&パワーアスリートにおいてのトレーニング量減少の効果を評価するのは困難である (e.g. Gibala, 1994 and Izquierdo, 2007)。 ***

ストレングス・コンディショニング・リサーチ 2640字

コンペティションのための最善なテーパリング方法とは? パート2/2

評論家たちは何を発見したか?(続き) トレーニング頻度を維持することの重要性 評論家たちは、持久系のアスリートに対して有酸素トレーニングの適応は、テーパリング前の頻度の30−50%というかなり低い頻度で維持できることを報告した (e.g. Houmard, 1990)。しかしながら彼らは、それよりもかなり高い頻度でのトレーニングもまた、パフォーマンスの向上をもたらすと指摘している (e.g. Mujika, 2002)。 ストレングストレーニングを行う人において、レジスタンストレーニングの適応も同様に、テーパー前の値の33−67%というかなり低い頻度のトレーニングで維持できるようである (e.g. Graves, 1988)。しかしながら、この研究での被験者は高いレベルでのアスリートではなかったようである。 *** テーパーの期間を決定する際の重要な個体性 アスリートから頻繁に聞かれるテーパーに関する質問の一つは、テーパーの期間の長さである。評論家たちはこの期間に関する研究は限られていると観察している。さらにこれはアスリートによって個人差があるようである (e.g. Mujika, 1996)。 この総評には含まれていないが、後の研究では、エリートアスリートにおいて最適なトレーニングの減少特性はテーパー前に行っていたトレーニングの仕事量によって決まると発見されている (e.g. Mujika and Busso, 2008)。この研究から、無理をしすぎたトレーニングは通常のトレーニングよりもより長いテーパー期間を必要とすることがわかっている。しかし、この研究で確認された最適な期間は2−3週間であり、これはアスリートのテーパーを評価するための有益な指針となるかもしれない。 後の競技選手におけるテーパリングの効果に関する系統的レビューとメタ分析においてバスキット (2007) は、テーパーの有益な効果が発揮されるか、悪影響を回避するかの境界線は8−14日の期間であるということを発見した。 *** テーパーはどの程度パフォーマンスの向上を可能にするか? もちろん正しく行われたテーパーによるパフォーマンスの向上が微々たるものであれば、上記のポイントは興味をそそるものではない。しかし幸運なことにそうではなく、評論家は標準的なパフォーマンスの向上率は3%程(0.5-6.0%の範囲)であると示唆している。 後の系統的レビューとメタ分析においてバスキット (2007) は、競技選手を調査した27の選択された研究結果によると、パフォーマンスの向上率は-2.3%から8.9%の範囲であり、平均の向上率は2%であったと発見している。 これらの結果は魅力的ではないかもしれないが、2-3%の差は一般的には、持久系のスポーツにおいて表彰台に上がるか上がらないかの違いよりも大きいということに留意すべきである。(例として、トレウィン (2004) はオリンピックでの10名のトップ競泳選手において約0.6%の違いを発見している)これは選手が競技において戦うためには正しいテーパリングが必要不可欠であると示唆している。 *** 制限要素は何か? この総評の主な制限要素は、論文が異なるスポーツを基に整理されていなかったことである。ゆえに主に持久系スポーツに関しての研究が考察されていたが、スポーツよる区別がされておらず、ランニングの研究が自転車競技、スイミング、ロウイングに関する研究と一緒に報告されていた。さらに総評は、トレーニングされている人とされていない人によって行われた研究や、異なる力量のアスリートによって行われた研究を注意深く識別していないものであった。 *** 実践的な意義は何か? ストレングス&コンディショニングコーチに対して: テーパー中にトレーニング強度は落とすべきではない。むしろトレーニング強度を維持するか、もしくは増加するべきである。 テーパーの際、テーパー前の量の60%程の著しいトレーニング量の減少が必要である。 テーパー中にトレーニング頻度を減少させることは、パフォーマンスの維持に繋がるが、高いレベルでのトレーニング頻度を保つことは更なるパフォーマンスの向上につながる可能性がある。 テーパーの期間の長さは決定するのが困難であり、かなりの個人差がある可能性がある。また、アスリートがトレーニングをしすぎている場合にはより長くする必要があるかもしれない。しかしテーパーの期間としてはおおよそ2週間がよい指針とされている。 テーパーは正しく行えば、競技選手において平均2-3%程パフォーマンスを向上させることができ、これは、この集団においては大きな違いである。これは大切な競技の前にアスリートとコーチは非常に真剣にテーパーに取り組むべきであるということを示唆している。

ストレングス・コンディショニング・リサーチ 2127字

ジャンプ能力と長距離走のパフォーマンスはどのような関係にあるか? パート1/2

ジャンプ能力とスプリントパフォーマンスでは筋力を発現させる能力が共通しているようであるため、ほとんどの場合、我々はその2つの良好な相関関係を期待している。 また一方、突き止め理解するのはとても困難ではあるものの、筋力と長距離走の能力の間にも関連がある。この研究は水平跳びの能力と5キロまでの長距離走の能力との間に良好な関係があることを示しているものである。 研究論文:ジャンプ能力と様々な距離のイベントにおけるランニングパフォーマンスの関係、ヒュージン、スキャフェンバーグ、トリプレット、マクブライド、ストレングス&コンディショニングリサーチジャーナル、出版前発行 *** 背景 ジャンプ能力とスプリント能力には相関関係があるか? ジャンプ能力とランニングパフォーマンスの関係を調査した以前の研究のほとんどは、100-300mの短距離走に焦点を置いていた。 これらの研究は、スプリントパフォーマンスとジャンプ能力の間に良好な相関関係を発見している。異なるタイプのジャンプとスプリントスピードの相関関係を示した主要な論文は下記のものである。 スクワットジャンプ (Chelley, 2010, Smirniotou, 2008) ドロップジャンプ (Kale, 2009, Barr, 2011, Bissas, 2008) カウンタームーブメントジャンプ (Vescovi, 2008, Young, 2011) スタンディングロングジャンプと三段跳び (Brechue, 2010) しかし、以前にジャンプ能力と長距離走のパフォーマンスの相関関係を調査した研究は無い。 *** ジャンプ能力が長距離走のパフォーマンスと相関関係にある可能性があるのは何故か? 一見奇妙に思えるかもしれないが、ジャンプ能力には長距離走の能力にも影響を及ぼすかもしれない側面があるという可能性がある。これは下記の研究で示されているようなパワーベースのトレーニング方法による長距離走のパフォーマンスの向上により示されている。 レジスタンス(Millet, 2002, Paavolainen, 1999, Kelly, 2008, Johnston, 1997, Ferrauti, 2010, Taipale, 2010, Støren, 2008 and Mikkola, 2007) プライオメトリック (Turner, 2003 and Spurrs, 2003) これらの研究のほとんどは、ストレングストレーニングやプライオメトリックトレーニングによる筋力の向上がより良いランニング効率(実測または含意)をもたらし、それがパフォーマンス向上へとつながると示唆している。 *** より優れた筋力が、いかにしてランニングパフォーマンスの向上へとつながるのか? 長距離走のパフォーマンス向上は、より良いランニング効率によって得られるようである。しかしながら、パワートレーニングがどのようにランニング効率を向上させ、ランニング能力を向上させるのかは、完全に明確ではない。ある理論では、より優れた筋力は各ストライドで使われる最大脚力の割合の低下につながるとされている。これはランニングの際に動員される運動単位数を減少させると考えられ、よってより効率的である可能性がある。 他の理論では、より優れた筋力は力発生率の増加を意味するとしている。これは、各ストライドでのより長い弛緩時間につながる。収縮した筋肉はその筋肉内の血流を妨げるため、より長い弛緩時間は、働いている筋肉内の血流を向上させ酸素と代謝基質へより多くアクセスできるということを意味する。これにより、疲労に至るまでの時間が延びるかもしれない。 *** 研究者たちは何を行ったのか? 研究者たちは、水平三段跳によって評価されたジャンプ能力が様々な距離のランニングパフォーマンスと関係があるかどうかを調査した。三段跳は単に、立位で両脚での3回連続した水平跳びで実施された。評価対象となったランニングの距離は60、100、200、800、3000、5000mトラックのランニングイベントであった。彼らは、異なる距離を専門とするランナー達のベストタイムを集め、彼らの三段跳のパフォーマンスとの相互関係を比較した。 研究者たちは定期的に60−5000mのランニングイベントに参加している33名の陸上競技ランナーを集めた。ランナーは10名のスプリンター(男性5名、女性5名)、11名の中距離ランナー(男性6名、女性5名)、12名の長距離ランナー(男性8名、女性4名)から構成されおり、すべての被験者はNCAAディビジョンIの競技選手たちであった。60,100,200mのイベントにおいては2名のスプリンターを除いてすべての被験者の実際の競技でのタイムが使われ、同様に800,3000,5000mのイベントにおいては全ての中距離と長距離ランナーの実際の競技タイムが使われた。三段跳テストは研究所内で行われた。 *** 研究者たちはどのようにしてデータの相関関係を証明したか? 研究者たちは変数間の関係を確定するためにピアソンの相関係数を使用した。ピアソンの相関係数(rで示される)は変数間を直線関係で表しており、-1から1の範囲で構成されている。1という値はYが増加すると共にXが増加するというように全てのデータポイントが直線に沿って位置し、XとYの間に完璧な直線関係があるということを意味する。一方、-1という値はYが減少すると共にXが増加するというように全てのデータポイントが直線上にあることを意味する。 0という値は、変数の間に直線関係がないということを示唆する。1、0、もしくは-1に近い値は、明確な関係性があるのか、否定的な関係性があるのか、もしくは全く関係性がないのかを知らせてくれるため、研究者や我々のように研究論文を読む人にとっては貴重である。 *** 何が起こったのか? ジャンプ距離とスプリントタイムの相関関係 研究者たちは、水平三段跳テストとスプリンターたちの60mのタイムの相関関係が非常に高いことを発見した(r = 0.97)。彼らはまた、三段跳テストのパフォーマンスと100mと200mのタイムの相関関係も同様に高いことを発見した(それぞれにつき r = 1.00 and r = 0.97)。 *** ジャンプ距離と長距離走の相関関係 研究者たちは、ジャンプ距離と800mのタイムの相関関係は良好であり(r = 0.83)、ジャンプ距離と3000mと5000mのタイムの相関関係は中度から良好の間であるということを発見した(r = 0.72 and r = 0.71)。 ***

ストレングス・コンディショニング・リサーチ 2902字