マイクロラーニング
隙間時間に少しずつビデオや記事で学べるマイクロラーニング。クイズに答えてポイントとコインを獲得すれば理解も深まります。
プレート/リーチスクワット
スクワットの動作を指導するために活用できるゴブレットスクワットは、効果的なエクササイズ。マイク・ロバートソンが彼のクライアント指導において、ゴブレットスクワットよりも効果的であると感じているスクワットのプログレッションをシェアします。
ゲットアップの強さを向上させるサンドバッグエクササイズ
写真があれば良いのですが、あれはソーシャルメディアで全てをトラッキングするようになる前の、大昔のことでした!そう、懐かしいあの頃、愛車のサターン(そうです。あのセクシーなサターンセダンを乗り回していました)でジムまでドライブして。ただジムに辿り着くだけではなく、それからケトルベルを全部ジムまで引きずっていた私の姿は、なかなかのものだったことを認めざるをえません!流行る前からローデットキャリーをやっていたわけですが、ワークアウトとしてやっていいたわけではなかったのです。^_^ 正直なところ、それは私にとって価値のあることでした。2003年にケトルベルの認定資格を得たことは、私自身のトレーニング方法のみでなく、クライアントのトレーニング方法もかなり変えたからです。ゲットアップというエクササイズは特に!当時はターキッシュゲットアップと呼ばれていましたが、現在はただゲットアップと言っても良いようです。 ジョン・ジェシが1974年に出版した”レスリング身体コンディショニング百科事典”には、”ワンアームゲットアップ”というシンプルな名称で、おなじみのこのエクササイズが登場しています。 ミステリアスな異国の地からのものでないと、少し輝きを失ってしまうのは仕方ありませんが、その価値は減少することがありません。私にとって、コア、肩そして股関節は、長年のスポーツによってかなりダメージを受けていたエリアであり、私自身のフィットネスゴール達成への試みを阻止させるものであったことから、私はゲットアップに惚れ込んでしまいました。 数週間のうちに、私はゲットアップにかなり上達して、持っているケトルベルでは物足らなくなってきました。100パウンドプラスダンベルは、私のレパートリーであり、人生楽しくて仕方がありませんでした。 ところが、大きな問題があったのです。クライアントにゲットアップを指導するのが、超大変だったのです!動いている部位が多すぎ、身体への気づきがかなり必要であり、更にほとんどのクライアント達は、私のところにゲットアップを学びに来ていたのではなく、彼らのフィットネスゴールを達成するために来ていたという事実。もし私がゲットアップをクライアント達の強みの一部にしたいのなら、より良い指導方法を見つけなければならないということに気づかされました。 私は、ゲットアップの分解として見た幾つかのことに、多少の幻滅を感じたことを認めざるをえません。”ネイキッドゲットアップ”として知られる動きに人気が出るようになりました(ところで、”Naked Get Up” とグーグル検索しないようにしてください) ネイキッドゲットアップとは、通常拳骨の上にシューズを置いて行われるもので、動きの正確性を学ぶことを助け、代償動作に対してのフィードバックを得るためのものです。 なぜ、私がネイキッドゲットアップを好まないのか?ネットの検索エンジンで見つかる写真がとんでもないとかいうことではなく、これは間違ってはいないけれども、とても効率性の悪いエクササイズの指導方法であるからなのです。反対意見のある皆さんに松明を持ってこられる前に、まずはその理由を説明しましょう! 私たちは、指導するエクササイズのほぼ全てを、それらの構成要素とコンセプトに分解します。スクワット、プュアップ、デッドリフト、そしてプランクでさえも。しかし、ゲットアップは、あまりにも多くの構成要素を持っているために、それら全てを一度に分解しようとすれば、クライアントにとってもコーチにとっても、フラストレーションをおこさせることになるのです。 ネイキッドゲットアップをしようとすることは、また、動きの特定のクオリティーにおける強さを構築することができないことも意味します。ネイキッドゲットアップを使用することは、”学ぶ”ことの機能に全ての問題があり、ストレングスやスタビリティー、モビリティーの問題ではないと推測されます。ゲットアップを、エクササイズの特定の構成要素に働きかけるために分解するのではないですか?運動をよりよく行えるように、ストレングス、スタビリティー、モビリティーを構築することが、より早く結果を生み出すことになるのではないですか? ”あなた、ネイキッドゲットアップを試したことあるの?”と訊かれる前に行っておきますが、はい、あります。1週間ほど試してみて、ダメだこれは、うまくいかない、ということになりました。ネイキッドゲットアップを指導することがうまくいかないと言っているのではありませんが、私のクライアントにはうまくいかなかったのです。 彼らはシューズを頭の上に落とさないようにすることに、あまりにもフォーカスを置き過ぎていて、学ぼうとしている動き自体にフォーカスを向けることができずフラストレーションを抱えていることがすぐにわかりました。彼らが履いているシューズのタイプ自体が変数要素となり、バカバカしいほどでした。それだけではなく、彼らが実際の負荷を支えている時には、より沢山学ぶことができるのにもかかわらず、シューズから得られるフィードバックは大したものではないということにも気づきました。 これは私だけの意見だとお思いなら、それは違うとお伝えしましょう。昨年、世界でも最上級のスポーツクラブでDVRT を指導する機会がありました。そこでコーチの一人が、指導をするのに時間がかかりすぎるため、多くのアスリート達にゲットアップを指導することをしていないとこっそり伝えてくれたのです。他のことに時間を使ったほうが良いということでした。 私はただ伝えただけですから、私に腹を立てないでください!ゲットアップをもっと多くの人たちに使えるものにすることができるかどうかを考えてみましょう。 それほど難しいことではないのです。他のエクササイズでいつもやっていること。動きを分解して、特定の要素がうまく行えるように時間をかけて、それからパズルを組み合わせるようにすることです。 股関節のモビリティー/コアのストレングス ケトルベルとアルティメイトサンドバッグエクササイズの両方を使って、より良い結果を生み出すための努力として、私たちはまずスタートから始める必要があります。ゲットアップで面と向かう主な問題の一つは何でしょうか?股関節のモビリティーとコアのストレングスに関連付けられるでしょう。更に重要なのは、これらのコンセプトをいかに統合するのか。これらはお互いに密接に関連し合っています。 ビデオはこちらのリンクからご覧下さい。 股関節をコントロールしてコアを安定させられないのであれば、ゲットアップはあまり先へ進めないでしょう。まず最初に、この動きがうまく行えるクオリティーを持っていないのであれば、何か他のものにフォーカスを向けるだけでは十分ではないのです。 私が、ゲットアップに関するディスカッションに、アルティメイトサンドバッグエクササイズを取り入れる簡単な方法を見つけようとしているな、と考える方もいるかもしれません。興味深いことに、ケトルベル認定と私たちのDVRTプログラムを経験したコーチが、私宛に書いてくれたメッセージに、こう書かれていました。より良い解決策を見ることができたにもかかわらず、ケトルベルプログラムで教わったことから逸脱することを憂慮してしまったと。 私が何を伝えようとしているのか?私が言ったから、とか誰かが言ったから、というだけで何かをしないように、より素早く向上することができるから、何かを行なうべきなのだ、ということです。そういった動きは、心地よく楽に動けるようにもしてくれます。ケトルベルはDVRTアルティメイトサンドバッグエクササイズを補足する素晴らしいものであると強く思っていますし、下記のビデオのようにゲットアップを構築するためにも使用できます。 ビデオはこちらのリンクからご覧下さい。 全てのエクササイズ、そうです、アルティメイトサンドバッグエクササイズでさえも、それらを使って何か特定のことを達成しようとしていなければ、それらは役に立たないものになってしまいます。エクササイズとは、私たち自身やクライアント達のニーズを解決するためのツールにしか過ぎません。トレーニング用具や、エクササイズ、そしてプログラムは、ただ私たちが気持ち良く感じることだけではなく、より良くなることは何かを反映したものであるべきです!
ブリッジで臀筋をしっかりと鍛える方法
ヒップブリッジのエクササイズで不快感や腰痛を感じる人に、どのような方法で指導をすれば問題解決ができるのか?このエクササイズを歩行という機能的動作に関連付けるには、どのようなプログレッションがあるのか?
生体力学の複雑さ
生体力学の勉強は、本当に楽しいものです。たとえば、ある筋は関節を大きく動かすためのものではなく関節を安定するのに非常に優れていることや、ある動きでは活動するのに他の動きでは活動しない筋があること、慢性疼痛で筋が萎縮を起こすことなどを学ぶのは本当に興味をそそります。このような発見がある勉強はとてもおもしろく、そこで学んだことをクライアントに適用してみるのがいつも楽しみです。しかし、 他の学問にも共通しますが、生体力学では、学べば学ぶほど、自分がそうでありたいと思うほどには知識がないことに気がつかされるので、イライラするところでもあります。時には、自分が施しているプロトコルが理屈に合っているのか十分理解していないこともあります。 私を含めたマニュアルセラピストは、私達の生体力学の知識の程度に関して謙虚であり続けるべきだと気づかせてくれるポイントを順不同で下記に列挙します。 関節の複雑な相互作用 最近、トーマス・ミシャウド著の『ヒューマンロコモーション』という、かなり生体力学に重点を置いた本を手にしました。素晴らしい本です!そして、頭が下がります。理解と応用のためには、2つの高度教育の学位が必要な程の生体力学的分析の詳細が400ページにわたり説明されています。 この本を拾い読みするなかで、得ることができた一つのポイントは、人間はそれぞれ異なる骨の形をしており、その個体差を見つけることは難しく、しかも、これらの違いには生体力学的な重要な因果関係があるということです。たとえば、この本は、次のような事に多くのページを割いています: 距骨下関節の制限は、回内あるいは回外が阻止されてしまうような骨(の形状)によるものかもしれません。回外が制限される最も多い骨性の原因は、3つの関節で構成される距骨下関節です。この変則は、人口の約36%に見られ、距骨と踵骨の前外側関節面どうしが接触している時、距骨下関節が回外をし続けないように制限を生み出します。 ... またその他には、距骨下関節の回外の可動を減少させる骨性の制限として、未発達な距踵間の癒合があります・・・従来のX線技術で見つけるのは困難なこの骨性の変性が、踵を外反位に保つように骨性のブロックの役割をします。 著者は、歩行を改善するための介入を考案するために、これらの個体差を理解することが重要であるかもしれないことを、多数の例で示しています。たとえば、あるタイプの足の人には前足部で着地することが有効である一方、そうでないタイプの足の人には、踵で着地する方がよいかもしれないというように。 この本のもうひとつ興味深い点として、たとえ単純な生体力学についてでも、より優れた測定を提供する新しいテクノロジーによって、専門家の意見が完全に覆されることがあるということです。たとえば、歩行時のインソールの効果を調べるために使用した最新の3D画像技術では、専門家をすっかり驚かせるような所見がありました。つまり、回内するのをインソールで防ぐのはこれまで考えられていたよりはるかに困難であったのです。 (驚くほど)複雑な筋 足のように多関節構造の機能が複雑であることはよく知られていますが、筋の単純な活動でさえ、確定するのは大変難しいものです。筋機能についての一般的な推測が、研究によって疑問を投げかけられているかという、少なくとも3つの例に最近遭遇しました。 腰筋 わたしたちは、腰筋の基本的機能について、未だ学習途中にいます。そして、世界でも有数な専門家の間でも議論が続いています。一方で、エビデンスは次々と出てきています。この筋は、股関節を屈曲する働きよりも、より脊椎や股関節を安定化する筋としての機能を持ち、立位において骨盤を前傾するのではなく後傾する働きがあります。この情報はまさに、骨盤の前傾または過剰な前弯が原因で起きると考えられている腰痛に対して、腰筋の“リリース”が役に立つという生体力学的な理論的解釈に疑問を投げかけます。 上部僧帽筋 ボグドゥク氏による調査研究では、上部僧帽筋は肩甲骨を挙上したり上方に回旋したりすることよりも、肩甲骨を安定させ後退する役割を持つと論じています。そうなると、上位交差症候群のための多くの治療方法の理論的解釈に疑問が投げかけられます。 棘上筋 肩の外転を開始させるのは棘上筋であるとだれもが教わってきましたが、新しい研究では、それは三角筋よりも早く作動しないと示しています。おそらく、このことは、肩のインピンジメントのための治療方法の土台となっている生体力学的解釈に影響をもたらすでしょう。 ここで重要なことは、上記の研究に載っている新しい解釈の善し悪しを論じることではなく、非常に基本的な生体力学的問題でさえも、未だ解明されていないということを単に記しておくことです。しかも、施術のプロトコルの多くは、根拠のない思い込みという不完全な土台のもとに実施されているかもしれません。 複雑性は、エラーがあることによって予測を困難にする マニュアルセラピーにおいて非常にたくさんの療法を生み出した最も単純なモデルのひとつは、下位交差症候群に基づいています。たとえば、腰痛を患っているクライアントを評価して、その人の骨盤が前傾し腰椎が過剰に前弯しているとします。施術者は、腰筋が“短い”ので伸ばし、弛緩する必要があると判断します。 これは、徒手療法の中の生体力学を基にしたいかなる治療においても、かなり単純化されたものではありますが、これが意味を成すには、いくつの事柄が真実である必要があるのか見てみましょう。原因を探る論理のリンクはたくさんありますが、普通の読者の皆さんも、すぐにほぼすべてが欠如だらけであると気がつくでしょう。 一つ目に、腰痛は過剰な腰椎前弯や骨盤前傾によって引き起こされると信じる理由がほとんどないことがあります。なぜなら、ほとんどの研究でこれらの変数間に相互関係は少ないことが分かっているからです。 二つ目に、椎体の形や仙骨底角、骨盤の骨性のランドマークに、解剖学的個人差がかなりあるとすれば、あるクライアントの立位姿勢はその人にとって骨格構造上の中立であるにも関わらず、骨盤の前傾または腰椎の過剰前弯があるとする評価に、疑問を抱くだけの理由があります。 三つ目に、先ほど腰筋について学んだように、この筋は立位における骨盤の前傾の増加には何の関係もなく、実際にはその逆の働きをする可能性があるということです。 四つ目に、短くなった腰筋を徒手療法で伸長できると信じる理由があまり見当たらないことがあります。 よって、この一連のあまりにも単純な思考は、すべて、いかなるリンクの理由付けとしても成立しないことになります。 これは、初心者が教わることのひとつで、私たちが目にする最も単純な生体力学的モデルのひとつです。長年にわたって研究されている、より洗練された生体力学的モデルには、たいてい論理の鎖のリンクは更に多くなり、更に誤った方向への解釈の余地が増えます。たとえば、骨盤にある筋Aの過活動は、関節Cを屈曲方向に動かす筋Bの活動を抑制し、その代償として関節Dは伸展方向に動き、このことによって、結果として・・・外側翼突筋へと影響する!というような。 それぞれの思考の連鎖は、はるかに多くのエラーを生じやすくする状況を作り出しています。複雑系でのエラーは特に問題になります。 複雑系の特徴のひとつとして、すべての変数とそれらがどのように相互作用しているかを完全に知っておかない限り、行動が予測できないということがあります。システムの初期症状の測定における、とても小さなエラーでさえも、少し時間が経つにつれて大きなエラーになり兼ねません。よって、身体の相互作用が複雑である(たいてい複雑です)という点で、ひとつの部位の変化が遠位にある他の部位にどう影響するかを予測することはありえないことです。ひとつのことがもうひとつのことに影響するという考えには確信できるかもしれませんが、どのようにそうなるかを的確に把握するのは難しいでしょう。 結論 私たちが、生体力学において絶望的に無知であるとか、それらは複雑過ぎて理解したり実践レベルで適用したりすることができないと言いたいのではありません。それどころか、生体力学的分析においてもちろん確信が持てる状況も多くあります。(ここでそれを挙げていないだけです!) ここで申し上げたいことは、生体力学的モデルは、計り間違いや誤った情報という点で、いかに脆いものであるか留意しておく必要があるということです。もし、みなさんの介入が非常に複雑な生体力学的分析に基づいており、そのシステムに関連するすべての変数やそれらの相互作用についての確固たる知識がなければ、おそらく自分で考えているようには、力学に影響を与えてはいないでしょう。
高強度連続トレーニング
コンディショニングのエキスパートである、ジョール・ジェイミソンが速筋繊維の持久力向上と回復を促進する方法をご紹介します。アクティブな回復のための方法のほとんどは、遅筋にフォーカスをおいたものであり、これらの方法では、更なるストレスをかけることなく、速筋繊維への血流を促すことがむずかしいということをご存知でしたか?
すぐに試すべき4つのスクワットバリエーション
数週間前、インスタグラムで誰かが私に次のような質問をしてきました: “スクワットでなぜ大腿四頭筋に負荷をかけたいのですが?” 自分の感情を抑えるために最善を尽くしましたが、言わせてください−簡単ではありませんでした。 なぜスクワットが良いものであるのか、または、なぜスクワットで大腿四頭筋に負荷をかけるべきであるのかを知りたいのであれば、ここにいくつかの理由を挙げます: 1. 力の産出力を上げるため 早く走りたい、高く飛びたいのであれば、スクワットをする、大腿四頭筋を使うことは確実に価値あるものでしょう。 垂直跳びのバリエーションでも、短距離の加速的なスプリントでも、大腿四頭筋がもっとも多く動員されます。 2. 力の吸収を向上させるため 恐らく、さらにより重要なこととして、力の吸収を向上させるためにも、大腿四頭筋に効果的に負荷をかけることを覚えることは重要です。 垂直跳びからの着地、カッティング時の股関節、大腿部への負荷、あるいは、“レベルを変え”、十分に低い位置になるためであれ、スクワット動作を成長させることはパフォーマンスの向上を促します。 3. 動きの質を向上させるため 最後になりましたが大事なこととして、動きの質という観点から、スクワットは本当に多くの利点を私たちにもたらしてくれます。 足全体を感じ直立を維持すれば、足首は自然に背屈します。そうすると次に、固くなっていることの多い腓腹筋の抑制を促してくれます 上手なスクワットではまた、屈曲と伸展の両方に関して股関節と膝関節を協調して動かします。これは多くのアスリートが苦しむことであり、タイミングと協調性を改善することは、決して悪いことではありません。 そしてもちろん、正しく遂行されるスクワットでは、胸郭と骨盤がお互いに向き合い続けます。このことが結果として呼吸を改善させ、より強い“コア”と押す能力を向上させるのです。 簡単に言うと、スクワットは重要なものであり、すべてのアスリートが取り組むべきものであるということです。 では、そのスクワットの役割と価値を理解した今、どんな選択肢を私たちは持っているのでしょうか? スクワットバリエーション101 スクワットに関して、ほぼすべてのストレングスコーチは従来のバーベルフロント・バックスクワットについてよく知っています。 長年、自身のトレーニングに関しては、バックスクワットが自身の持っている唯一のツールとして依存していました。そして残念なことに、そのことが私をかなりパターンにはまった方向へ導いてしまいました。 スクワットに関する私の唯一の戦略は、アーチを強く作ること、後ろにしゃがむこと、そして膝をかなり外側へ押し出すことでした。それをしていないのであれば、私は文字通りスクワットをすることができなかったのです。 そのため、爆発的なスクワットのバリエーションを教えることだけではなく、低レベルのバリエーションを組み合わせることも目的であるべきなのです。 代替戦略を構築することを助け、“スクワットのような”スクワットと同様に、“ヒンジのような”スクワットの構築に働きかけます。 ここに、順不同ですが、いくつかの気に入っているスクワットバリエーションを紹介します。 スクワットバリエーション#1:リーチングスクワット スクワットパターンの再獲得に関しては、リーチングスクワット、または、プレートスクワットが私にとって教えるための最も優れた方法になります。 かなり硬い、あるいは、伸展姿勢の人は、安定性を作り出すために、自然にアーチを強く、そして、伸張させたがるでしょう。 そこで、私の目的は、安定性のために腰部だけではなく、コアの使い方を彼らに教えることになります。 さらに、スクワットで“うしろにしゃがみこむ”ことを教えるよりは、彼らに真下にしゃがむことを教えたいのです。 これは微かな変化ですが、かなり重要であると私が感じていることです。 このバリエーションでの最良の部分は、とてつもなく大きくて硬い人であっても、この方法で彼らにスクワットを教えることができるということです。重心を相殺し、後ろに移動させるために、かなりの重量が必要になるかもしれませんが、この動きで魔法のようなことを起こすことができることを約束します。 リーチ(別名:プレート)スクワットの詳細に関しては、こちらをクリックしてください。 スクワットバリエーション#2:ハートビートゴブレットスクワット プレートスクワットを見て、密かに考える人もいるかもしれません: “とんでもない、そんなことできないよ−肩を壊してしまうでしょう!” その通りという人たちもいるでしょう。長時間身体の前方でプレートを保持することが、ただできないのです。 ですから、肩に問題を抱えているアスリートには、ハートビートゴブレットスクワットを好んで使用します。 このプログレッションのすべてをダン・ジョンから最初に習いました。彼はどうやらトレーニングについてある程度理解しているらしいですから。 とにかく、これは従来のゴブレットスクワットにように行われています−ホーンでベルのホーンをつかんで、膝の間にしゃがみこみます、というように。 しかし、そのボトムポジションで、身体の前でベルを前方へ押し出します。こうすることで、腹部の筋を更に動員するだけでなく、少し重心を後ろへ移動させ、より低くスクワットすることができます。
エクササイズによる痛みの突然の発生は、まるで炎症を伴う日焼けのようなものなのか?
リハビリテーションの過程において、エクササイズは素晴らしい手段かもしれませんが、バンドエイドのようなものではないということを覚えておかなければなりません。やりっぱなし、あるいは自動的に行ってくれるわけではありません。全ての成功の陰には失敗が付き物です。リハビリテーションにおいて、特効薬のようなものは存在しないのです。 ごめんなさいね! 比喩に関して話を進める前に、最初になぜ私達は人々が身体に何が起こっているのかを理解する手助けをしたいと思うのか、そしてどのように比喩がその手助けをするのかを問いかけたいかもしれません。 場合によっては、実際に何を行うかというよりも、どのように行うかがより重要かもしれません。 なぜ? そのエフェクトサイズを確実に考慮しなければなりませんが、私達はエクササイズの価値を称賛している全ての研究において、尋ねるべき重要な質問は、現実の世界で、それらのエクササイズがどのように一般化できるのかということです。科学っぽく表現するのであれば、これを研究の外的妥当性という用語を使うこともできるでしょう。 なぜこれらの研究は外的妥当性を欠いているのでしょうか?厳格に管理されている科学研究の世界において、恐らく、参加者達は計画されたプロトコルに対して、彼等が独自に行うよりも忠実である傾向があります。そうでなければ、研究は決して終わらないのです。研究者達はまた、脱落者や欠測データのようなものを科学的に取り除くことを目的とする包括解析(ITT)の様なものを使用します。 しかしながら、現実の世界の複雑な生活の中に投入されると、科学的根拠に基づくエクササイズも、場合によっては、途中で挫折する傾向があります。これは人間に関する問題で、人間は常に科学的根拠に基づいた医療の枠組みにぴったりとはまるわけではありません。実際に、人々は信念、パフォーマンス、ライフスタイルのようなものを通して、人間は全ての科学をほんの少し余剰なものにしてしまう可能性があります。 “何人の患者が、いかに処方されたエクササイズに従わないかに関して、用いられた順守、測定、評価可能の定義の違いは変化するが、科学的根拠は50%、あるいはそれ以上に集中する”*ここをクリックしてください* それが、かなり高い割合で達成できていないことには、皆が同意できます!言えることは、もしやり遂げることができるのならば、エクササイズは何らかの恩恵を与えてくれるであろうということを推測できるということです!では、どのようにそれに取り組みますか?もちろん、それは100万ドルに値する質問です! 障害 これは、治療エクササイズプログラム順守の障害に着目した素晴らしい研究の一部です*ここをクリックしてください*。人々が痛みを有する際に、エクササイズ、あるいはエクササイズプログラムを順守(よりふさわしい用語として‘全力を傾ける’)しない主な理由の一つは、その痛みの増大に対する恐怖です。 ここにサンディエゴ・ペインサミットにおいて、私が最近のプレゼンテーションで使用したスライドがあります。 これは完全に理解可能です。恐怖は私達の行動を駆り立て、それを行うことがもし問題を悪化させると恐れるならば、ただ単に行わないでしょう。であるなら、彼等が何を感じるのか、どのように扱うことが可能なのかを理解する手助けするための鍵かもしれません。 多くの人々にとって、痛みとエクササイズの両方に関する科学は共に、かなり無縁なテーマです。エクササイズ誘発の不快感と実際の痛みの違いとは何なのでしょうか?前者を全く経験したことの無い人達にとっては、恐らく大した違いはありません!私は以前、トレーニングで筋肉痛になり、かなりの痛みを引き起こすいくつかの活動も発見したことがあります。 エクササイズに対する実際の経験が無い人や‘ホメオスタシスのコンフォートゾーン’が狭い人において、処方されたエクササイズによる遅発性筋肉痛を被る可能性はかなり高いかもしれません。ですから、これらのセンセーションを大局的に見て、恐怖を和らげ、人々がリハビリテーションを自分でやり遂げる手助けをすることが重要なのです。 かつて、私が取り上げた役立つフレーズは、“Agony(激しい苦痛)のYではなく、Pain(痛み)のPを目指しなさい”というもので、正常なある程度の不快感を経験するようにと表現するには非常に良い方法であり、強烈な痛みは回避するように伝えるのにも良い方法です。痛みを伴うエクササイズが実際に悪い結果につながるのかどうかに関して、私達はまだわかっていませんが、続けることを断念させるよう説き伏せることになるかもれません。 物事は、間違った方向に進むこともあり、また実際にそうなり、後退することも普通です。これらの後退は、回復に対してネガティブな影響を与えるストレスやライフスタイルを含む数多くの要因によって、影響を受けている可能性があります。特に、限界に挑もうと試みたり、将来の再発の対しての‘予防接種’を試みたりするのならば、直線的に上昇する軌跡をたどるようなリハビリテーションプランはありえないでしょう。 この研究*ここをクリックしてください*で、エクササイズからの回復を実際に損なう心理的ストレスに関して見ることができます。私達はこのことに気を配らなければなりません。対応に苦労するセンセーションの強さではなく、そのセンセーションがどれほど長く続くかが問題なのかもしれません。筋力のような求められる適合もまた、ストレスによって影響されているかもしれません*ここをクリックしてください*。 痛みはしばしば不安とストレスに付随して起こり、現在の個人の状況における原因と結果の両方である可能性があります。これが、私達のリハビリテーションプログラムが、ストレスを感じる際に副作用を引き起こす可能性を持っているということを自覚しなければならない理由なのです。 比喩 これらの要因への理解と対処の両方のために、人々に知識を身に付けさせることは、自己効力感において必要不可欠であり、リハビリテーションプログラムへの献身における、もう一つの重要な要素なのです。 比喩は、人々にほとんど経験のないテーマを理解させる手助けとして非常に優れた方法であり、多くの人達にとって、痛みとエクササイズの両方は、このカテゴリーの中に分類されるでしょう。エクササイズにおける不快感と痛みに関する私のお気に入りの比喩の一つは、‘日焼け’です。その理由は、痛み、あるいは不快感を大局的に(うまくいけば)見て、一時的なものや容易に修正できるものとして見られるようにするからです。 あるエクササイズを単に間違ったものと見なすのではなく、日焼けとの比較は適用される用量と身体の反応に関する問題であると見なすことをより可能にします。一般的に、私達は太陽を悪い物として見ていません。もちろん、そう考える人達もいるでしょうが、それは恐怖回避のスペクトラムの上におけるものかもしれません!ほとんどの人が人生のある時点で日焼けをし、それに関しては、ただ少し度が過ぎたと考えるでしょう! もし日光を浴び過ぎてしまったらどうしますか?一般的には、ただ用量を変えます。翌日は単に、ビーチパラソルの下に座る、あるいはタオルで日焼けした部位を覆うことで、あまり日光を浴びないようにします。私達はただ、自然適応を急がせすぎてしまっただけなのかもしれないのです。 ネガティブな身体的反応は、一時的なものであり、多くの場合エクササイズの用量過剰が引き起こす痛み同様に、炎症を起こした赤い皮膚とシャワーでのヒリヒリした感覚は、ただ用量を変えて自然に任せれば消え去ります。正しい用量で行えば、ゆっくりとした自然適応で、ポジティブに輝く肌をみることができるでしょう。 日焼け後、あなたは通常次に何を行いますか?再露出する際には、より気をつけてください。日の当たる場所では長く過ごさない、あるいは日焼け止め効果(SPF)のより高いものを塗布するようにしてください。怖がらせているわけではありません。実際は、私達はしばしば、自分自身を愚かであると非難します!結局こうしたことが起こる事はわかっています。エクササイズにおいても、同じことができます。積み上げる前に少し休みを取りましょう、あるいは行う量を減らしましょう。 なぜ私達は用量過剰になってしまうのでしょうか?もしかするとこれまでが用量過小だったのかもしれません。ただ日光の射さない長い冬のように、しばらくエクササイズを行わないでいることが、恐らく耐性を減少させ、それによって潜在的な副作用を引き起こすのかもしれません。このことが、わずか数セットなのに、かなりの筋肉痛が起こる理由を説明しているかもしれません。 もし以前からスポーツが得意ならば、現時点で対処可能な強度よりも、かなり高強度でプレーできてしまう傾向にあります。実のところ、何かが得意であることが、ある人達にとっては実は危険因子なのです!私達の技能レベルは、プレー可能な強度レベルにおける耐性をかなり上回るかもしれません。日焼けに関しても同様で、私達は、SPF30の日焼け止めを塗布しなければ皮膚が赤く炎症を起こす休暇序盤の日々よりも、SPFの低いハワイアントロピックを塗布する休暇終盤のダラダラした日々を覚えている傾向があります。 長い時間エクササイズをすることができて、何も感じない人たちもいます。それは、ただ太陽を見ているだけで美しい褐色の肌になってしまう気に障る人達に少し似ています!私達には、身体活動に対する耐性が低いという遺伝的な傾向があるかもしれません。この研究論文*ここをクリックしてください*では、感受性における遺伝的役割について議論しています。 色白の肌と赤毛を持つ人達はしばしば、生まれつきケルト民族の伝統を受け継ぎ、日光への耐性が低く、地中海沿岸起源、あるいはアフリカ起源の人種は、遺伝的により大きな用量の日光に対処する態勢が整っています。 どのような比喩も、間違った解釈から免れることはできません。日光は極度な用量過剰による皮膚癌のような危険な結果をもたらすものとして見られる可能性がある一方、セロトニンの減少による鬱病のような用量過小の問題もあります。すべての事と同様に、ここにも最適な用量があり、結局のところ水や酸素であっても、用量過剰、あるいは用量過小になれば死をもたらします! どのように用量を変えることができるでしょうか? 頻度 - どのくらい頻繁に:常に多いから良いというわけではない 強度 - どのくらいの重量で、あるいはどのくらいの速度で行うのか? ボリューム - どのくらいの量で。セット数、回数、レストはどのくらいか? 用量に関しては、この記事*ここをクリックしてください*を読んでください。 覚えておいてほしいこと 人々は、ただ上手い具合に科学に当てはまるわけではない 痛みの増大は、リハビリテーションエクササイズにおける本質的な不安である 何を期待するか、何を感じるのかについての情報を人々に与える まず賢くあれ - 少ない方がより効果があるかもしれない 自己管理:用量を管理するためのツールを与える 支援する:もし間違った方向に進んだら、元に戻す手助けをする
トウタッチの分解
立位から両手を爪先に向けてタッチする動きであるトウタッチ。この動作をより安全に機能的に行うには、どのような動きの要素が必要なのでしょうか?シンプルな動作も、より安全に効果的に行うためには構成要素を理解する必要があります。
全般的コンディショニング vs 特化コンディショニング
競技スポーツのためのコンディショニングプログラムを、競技シーズンに合わせていくつもの段階に区分けして指導できていますか?競技で必要となる心臓血管系のコンディショニングのベースを作るのはいつか?より特化すべきなのはいつか?はっきりと答えられるでしょうか?
「悪い」エクササイズが良くなる?
“百聞は一見に如かず”は、写真は複雑な概念を解説することができる – または、少なくとも、その “助け” となることを示唆する、昔からの言い回しです。この表現は色々な方法でメリットを持ち、理解の空白を埋めるイメージ作りや、ポイントを明確にする上でとても効果的となります。リハビリやトレーニングの世界では、他者が学べるようなコンテンツを提供するためのテクニックや動作を見せる事により、指導効果を上げる為に使うこともできます。ただし難しいところは、多くの場合それは状況によって変化したり、関連する前後関係がほとんどなかったりすることです。説明がそういった前後関係を埋めるのに効果的である一方、簡潔な説明や記事では解説しきれない数多くの変数も存在します。 今日のソーシャルメディアの世界では、誰もがトレーニング/リハビリのイメージをオンラインで見ることができ、数ある選択肢から実行することができます: 写真を、実行する新しいアイデアを与えるため、あるいは、すでに存在するプログラムに取り入れるための土台として利用する。 既に設定されているコンセプトを強化、又は構築する。 そこにある写真を鑑賞し、ある特定の側面をポジティブ、ネガティブの両面で判断又は批評する。 色彩や背景への称賛など、どちらがポジティブなイメージを創り出しているか注意を払う。 彼らにとって理にかなっているものではないことに気づく、こうしたことが適用される状況はあまりないこと、または他の専門家はアプローチ方法が違うということを認識する。 かなりよく起こるのは、物事が間違って伝わること – オプション#3から上のものです。それを批判の機会とするのではなく、その活動を行っている人へのキューイングへの考慮や、あるいは何が特定に用いられているのかを理解すること。判定はそのイメージを投稿した人や、その対象者となっている人に利用される可能性があり、良質な可能性のある情報が誰かの意見や、時には感情に埋もれてしまう可能性もあります。 とはいえ、私は、ほとんどの人達にとって本当に悪い活動を非難すべきではないと示唆しているわけではありません。自分たちを売り込むために業界にいる人たちや、我々の神聖なフィールドに泥を塗るような技術やプログラムに対して、見てみぬふりをすべきではありません。しかし、物事をより深く解説したり、写真ではハッキリしないポイントを明確にするための適切な会話が行われない限り、静止画のようなものに対して否定的になったり、軽蔑したりする代わりに質問をすることと建設的な会話をおこなう注意を払うことを示唆しているのです。 大半のトレーニング/リハビリと同様、そこにはリスク/褒賞の割合があります。 特定の活動は、その意図に関係なく怪我のリスクを高めたり新しい問題を引き起こすのでしょうか? もしそうならば、それをする価値はあるでしょうか、そしてなぜ? それを行うことによるクライアントの特定のゴールはなにか?そしてそれは専門家がクライアントに実行させること、または推奨することに対する快適度と協調するものなのか? 専門家は、 例え心地よくないことを行いたいと思う誰かを失うリスクがあったとしても、自分達がクライアントにとってベストであると感じることを明確に示すべきです。 高レベルのアスリートと仕事をする時、彼らの多くは今自分達がしていることは限られた時間であることを理解しています。だからこそ、それを続ける為に犠牲を払うことを惜しまないのです。 疑問を持ち得る活動を行うことに対する専門家としてのゴールは何でしょう? 活動の処方における “格好よさ”から離れ、それらが理にかなっているかどうかにおいて現実的であることです。 グループ指導に特化して言えば、万人にあてはまるものなどありません。 “ブートキャンプ”で得られるものは沢山ありますし、参加者のうちの何名かは参加すべきでないその他のハイレベルなクラスもそうでしょう。もしそれらが一対一のセッションであれば、専門家はこういった活動を特定の人間に対して処方はしないでしょう。 この写真を例にしてみましょう。写真はレブロン・ジェームスが誰かに踵をおさえてもらい、バランスボールの上でバックエクステンションをしているものです。 この写真は状況がすっかり切り離された写真の良い例です。表面的に見ると、これは私が通常自分の患者やクライアントに使うエクササイズではありません。彼は腰部の伸展筋群を全て使って、このエクササイズで脊柱の伸展を増大しているように見えますし、もしも過去に背部傷害の既往歴がある人であれば、この種目を選択する理由が私には見当たりません。 ですがこれを違った観点から見てみるとどうでしょう。レブロンがスポーツで必要とする動作や競技レベル、そして運動能力は私達が管理しているほとんどのクライアントとは異なるものです。こちらの写真を見れば、この選手は明らかに腰部伸展の筋力と...そしてコントロールを必要としていると言えるでしょう。 パフォーマンス中のキューイングと活動のターゲットにする部位はどうでしょうか?もし私が彼にエクササイズを処方して指導するのであれば、いくつかの点に着目するでしょう: 適切な吸気と呼気の順序で、挙上と下降の際に息を吐き(骨盤底、横隔膜の腹壁との統合の為)、ボトムポジションで息を吸って背部の拡張を意識する 脊柱伸展群の活動の度合いを減少させ、安全な遠心性の腰部伸展を与える為に、胸腹部の共収縮能力をコントロールする ハムストリングスの緊張を保つ為により屈曲した膝のポジションで踵を保持し、骨盤前傾をおさえるように、ボールを挟む事でハムストリングの近位部を活性化させる 胸部と頭部を後方に引くことを推奨する これら全てが正しいポジションにあり、競技特性をベースにした、彼に必要とされる能力に目を向ければ、これは望ましいものになりえるでしょう。適切な人のもとで、適切なキューイングと筋の活動があれば、これは彼がかなりの効果を得られるものになるかもしれません。 呼吸バランス、ポジションコントロールと3次元運動の理解という、必要なメカニクスの確かな基礎があれば、有害となるエクササイズはごくわずかです...ただそのいくつかは個々の要求に対して他のものより少し優れているだけなのです。
可能性の高い容疑者:足底筋膜炎/反対側の脚
足底筋膜炎の要因となっている可能性の高い容疑者とは?シリーズ第三弾では、炎症を起こしている足とは反対側の脚が本来持つべき可動性と安定性を持っているのか否か?と確認するための方法をご紹介します。
‘痛みは脳内にある’ - それは、でたらめか?
“痛みは脳内にある”は、私がとてつもなく気に入らない表現の一つで、痛みに関する現代的見解の理解の手助けにはならないと考えています。 なぜでしょうか? そこには数多くの理由があります: それは痛みは体内にないという意味を含んでいます(私にとっては)。多くの人達にとって理解することが困難であり、それは正論です。 これはまた、“全てが頭の中”であるという意味を含んでいます。これはまた多くの人達にとっての有用なメッセージではなく、問題の解決に努めているというよりも、潜在的に更なる問題を引き起こしているかもしれません。 これは分極化を作り出しています。明らかに、痛みの発生の大部分は体内であるため、“振り子が振れ過ぎた”反撃を受けています。これは完璧に、この議論に対する正当な立場です。問題は潜在的に、疼痛経験において脳が主役であると信じている人達が、痛みの“全てが脳内にある”と示唆する認識の中にあります。分極化した見解に対して反論をすることは簡単です。 それは特発的で自発的に噴出します。多くの人達にとって、これは特異な場合においては真実かもしれませんが、より身体的な発生に反応したシステムの不適応なのです。 痛みは脳からの出力である ‘痛みは脳からの出力である’は、痛みのプロセスを説明するためのより賢明な方法のように見えると私は考えます。これは、身体からの入力と脳内におけるその入力の調節の両方を包含するモデルを可能とします。 末梢と脊髄のつながりを通して、私達は侵害(侵害刺激)、あるいは危険処理システムにおける変化、あるいは可塑性が得られるということを覚えておかなければなりませんが、痛みが持続すればするほど、ボトムアップの影響というよりも、トップダウンによって駆動されるかもしれません。 脳内での刺激(危険!)処理は実際、痛みの出力、あるいは発生を増大させるのと同様に、減少させるために使用される可能性があります。吻側延髄腹内側部(RVM)において、‘オン’細胞と‘オフ’細胞とわかりやすく命名された、ただそれだけを行う細胞があります。‘オフ’細胞は、侵害受容伝達における下行性痛覚抑制を担う一方、‘オン’細胞は下行性痛覚増強に関与します。 ‘病的な’痛み 痛み自身が、より病的なプロセスの度合いを強めていく状況があるようです。幻肢痛は、潜在的に痛みのメカニズムは肢からの侵害シグナルよりも、脳内における肢の表象に関するものであるという一例で、肢切断患者の60~80%で頻繁にみられます*ここをクリックしてください*。この研究論文*ここをクリックしてください*におけるMelzackとKatzの見解もまた、読む価値があります。 Harrisは彼の研究論文*ここをクリックしてください*において、痛みの原因として、運動の意図と動作間の不一致を示唆し、こちらの研究論文*ここをクリックしてください*では、感覚運動の不一致が、慢性頸部傷害患者の痛みを悪化させると述べていますが、この研究論文*ここをクリックしてください*では、一貫性のある結果は出ませんでした。 MoseleyとValyaen*ここをクリックしてください*、およびZusman*ここをクリックしてください*による両方の研究論文では、身体からの侵害受容をもはや必須としない脳内の固有感覚情報、疼痛反応、記憶の間の結合を提議しています。 この研究*ここをクリックしてください* において、肢に対する視覚のゆがみが実際に痛みの処理に影響を及ぼすことが分かりました。 これらの研究や理論は、私達の痛みは複雑な過程であり、‘痛み’のシグナルは、ただ単に身体から中継されているのではなく、痛みは‘脳内’にだけあるわけでもないということの理解を手助けしてくれます。 もし誰かが“痛みは脳の中にあるのか?”と尋ねるならば、私の答えは、“No”でしょう。痛みは、多くの要素によって調節されるボトムアップとトップダウンの影響の間の複雑な相互作用であり、疼痛経験に関わるシステムの感度は、末梢、脊髄、皮質レベルにおいて、時間と共に変化する可能性があります。 意味論 誰かが、これは単に意味論であるということを示唆するかもしれず、また示唆しているでしょう。意味論は重要であるため、私は完全にこれに同意します。痛みに関して、人々がその意味合いをどのように解釈するのかは大変重要なことであり、それを認識しないことは問題です。これはDarlowによる優れた研究論文*ここをクリックしてください*で、もう一つはBakerによるもの*ここをクリックしてください*です。 ‘痛みは脳内にある’は、痛みを持つ人達や、体内における多大な痛みの発生の自覚をもつ人達によって、間違った解釈をされやすいようです。 問題は‘組織の中’か? ‘問題は組織の中にある’のでしょうか?もちろん、その可能性はあるでしょうが、ただ時折それ以上であり、またある時はそれ以下でもあるのです。これは、組織が病的状態である必要がある、あるいは、回復が、組織の状態の変化に付随するのか(これら2つの研究論文を参照:*ここをクリックしてください*・*ここをクリックしてください*)ということを意味しているわけではありません。 私達は、痛みと損傷が同じものではないと認識していますが、局所的な生化学的過程が、かなり関わっている可能性があります。病変はないかもしれませんが、病態生理学的過程が起こっているかもしれません。これは少しおかしくなってしまった生理学的過程なのです。 一例として、身体が普段慣れている以上に走ったとしたら、組織再生のような正常な修復過程は、神経ペプチドのような炎症性化学物質の異なる細胞発現によって置換されるかもしれません。これは機械的ストレスをペプチド作動的に動かされた組織の炎症状態を作り出すサブスタンスPの発現のような細胞過程に変換(機械的シグナル伝達)する腱細胞(線維芽細胞のような細胞)によって実証され*ここをクリックしてください*、この研究論文*ここをクリックしてください*では、負荷に応じて、体内におけるサブスタンスPの上昇が確認できます。 活動によって局所組織(恐らく以前に荷重された組織)の状態が化学的に感作される 状況があるかもしれません。そして、これは、末梢、脊髄、皮質で個人の以前の疼痛経験によって左右される、痛みに関連するシステムの感度の変化によって潜在的に増大するかもしれません。 疼痛経験における身体的変化 痛みの発生に関連するシステムの変化もまた、‘脳内’である必要はありません。皮質下の部分は、組織内の末梢神経系(PNS)において起こる実際の身体的変化と共に、その役割も果たします。これらの末梢神経系の変化は、細胞内へのナトリウムイオンの取り込み、脱分極、中枢神経系(CNS)へ信号(活動電位)を送ることを容易にする侵害受容器の端末側終端におけるイオンチャネルの数の増加を包含しています。また、受容器の数の増加と、いままでは沈黙していた受容器の活性化が確認できます。 後角での信号の処理はまた、末梢の信号が連鎖に送られるのを容易にする、より多くのNMDA/AMPAチャネルで‘増大’し、グルタミン酸塩やアスパラギン酸塩のような興奮性の神経伝達物質を増大させ、GABAや内因性オピオイドのような抑制性の化学物質を減少させます。 私達はまた、C線維からの反復刺激、あるいは持続的な‘連発’する信号に反応して脊髄ニューロンの長期間にわたる相乗効果を得ることができます。基本的に、侵害刺激を受ければ受けるほど、後角はその刺激に対して、より敏感になります。 振り子は、大きく振れ過ぎていないか? それは恐らく、あなたの偏見や見解によるでしょうが、もし誰かがただ単に痛みは‘脳内’にあると示唆するならば、私は“その通りです”と言うでしょう! 身体的、生理的、神経的、心理的な過程の変化を可能にする包括的モデルは、恐らく、現段階において、私達が痛みに関して知っていることに一致するでしょう。以前から抱いていた信念の慣性を打破するために、時折、振り子は最初に大きく振れる必要があるかもしれませんが、うまくいけば、その真ん中あたりで落ち着いてくれるでしょう。