「Movement Longevity / 動きの健康寿命」対面イベント・参加費は¥1,650〜 詳細はこちら

ACL損傷の機能的戦略 パート2B

皮質再現と特定のタスクを行う神経可塑性 私達が神経筋技能をより重要視するのであれば、一次感覚皮質や運動皮質における生理学に関する皮質再現のような、運動技能に関連する脳の部位を考慮しなければなりません。Tsaoおよびその他による研究(2011年)では、痛みが一貫して運動系と筋活性/抑制に影響を及ぼしていることを示していています。HodgesとTucker (2011年)は、これらの変化はしばしば、個別的であって画一的ではないと述べていますが。 Falla (2010年)によって、皮質再現の変化は、長期間のリハビリテーションの成功において必須であると仮定されています。これは、私達が感覚野と運動野に痛みが与え得る変化を理解する際、理にかなうものでしょう。運動能力の変化は、痛みの維持における要因なのかもしれません(Falla 2010年)。 経験依存的可塑性は、特定の刺激や経験への反応における脳内での変化に関連しています(Doyon 2005年)。ACL損傷に関連して、これは、痛み、あるいは固定中の動作の低下に関連するネガティブな変化かもしれません。特に生理学・神経学における機能的なニーズが考慮される場合、ポジティブな変化はリハビリテーションに関連するものとなるでしょう。 筋力トレーニングでは、脳において技能トレーニングで起こるような同様の効果をもたらしません。ACL損傷に関連する動作に必須とされるような特定動作の要素を目的にする能力は、筋肉の共収縮よりも、注意や正確さのレベル向上を必要とします(Falla 2010年)。 運動行動は、筋力とは無関係であると報告されています。これは、トレーニング後における動作の変化は、運動技能の向上の結果であるということを示唆しているかもしれません(Mizner 2008年)。 新しい運動技能トレーニングは、受動的治療法、あるいはより一般化されたエクササイズに対し、タスクパフォーマンス、皮質興奮性、皮質再現増大の向上に関連しています(Sedato 2001年, Pascual-Leone 1995年, Karni 1995年)。 筋力トレーニングと併用された技能トレーニングは、技能トレーニング単体より以上に、一次運動野への変化を起こすことはありませんでした(Remple 2001年)。これは、前述のように、膝関節の外反を減少させる股関節外側筋群の強化の不能さと、神経筋トレーニングがACL損傷発生と再発の減少に成功していることが浮き彫りにされています。 Powers (2010年)の研究では、技能習得後の持続的変化は、ACL予防トレーニングを伴うトレーニング後、6か月間保持されると示しています。これは、運動出力により関連している小脳のように、皮質下構造が示唆している運動皮質興奮性の減少によって示されています。そして、これは、‘神経の習慣づけ’に関連する、より潜在意識にしっかりと植えつけられた戦術を示唆しているかもしれません(Beck 2007年, Powers 2010年)。 疲労時の動作 疲労は、傷害の発生率の高さに関連しています(Bengtsson H 2013年)。疲労は、力を作り出す能力だけでなく、滑らかで制御された動作にも影響を及ぼします(Cortesおよびその他 2013年)。彼等は、サイドステップとカット動作を用いた、かなりACL損傷に関連した研究を行い、運動誘発性疲労後の膝関節の運動学とモーメントにおける変動性の増加を発見しました。Ferber (2011年)はまた、膝蓋大腿関節の痛みにおける膝関節動作の変動性をも含意しています。疲労に起因して変動性が増加するにつれて、膝関節外反の減少に関連する神経筋制御の低下を目にするかもしれません。 疲労時における動作評価は、アスリートの能力と受傷、あるいは再受傷の危険性をよりはっきりと描写するかもしれません。神経筋技能習得の特性はまた、疲労と動作制御における特定の同時に起こる変数を重視したトレーニングから恩恵を受けるかもしれません。 このことを考慮に入れて、ACL損傷予防に特異的な動作トレーニングは、トレーニング前後と独立したセッションの両方を含んでいるトレーニングスケジュール内の、異なる時に循環して行えるかもしれません。 また、評価の変数と適応のための更なる制御可能な変数のように、疲労レベルを変化させることは、リハビリテーションプログラム中においても有益でしょう。 段階的露出 痛みは運動行動や動作反応を変化させます。この運動行動の要因は、更なる痛み、あるいは組織損傷から防御することかもしれません。これはまた、知覚される損傷を含んでいるかもしれません。HodgesとTucker (2011年)は、痛みの後の運動適応に関するいくつかの重要な特徴を提案しました。 彼等の理論は、不均一な方法により実行される運動系の複数レベルにおける(脊柱上のような)修正された動作と硬直を考えています。運動と筋肉の戦略はしばしば個人差が大きく、筋肉間活動や筋肉内活動は、何人かがこれまでに提案したように、画一的なものではありません。これらの運動適応は、更なる組織損傷を回避するための継続的な防御的運動行動のような短期的な効果があるかもしれませんが、組織治癒プロセス後の潜在的な長期的結果はすでに完了していて、以前の動作能力は変化したままになっています。 これは、ACL損傷後に、うまく対処できている人とは異なる歩行と筋肉収縮パターンを見せるうまく対処できていない人達において明白かもしれません。よりハイレベルな共収縮と明らかな歩行適応は、膝関節の運動とモーメントの減少と並んで存在する可能性があります(Rudolph 2001年)。 私達はまた、運動恐怖症(運動への恐怖)がACL再建術後の膝関節の機能性に関連していると考えます(Hartigan 2013年)。これもまた、潜在意識における防御戦略の一部かもしれません。 恐怖と防御戦略の存在と共に、私達がうまく対処するために神経筋系に要求すればするほど、恐らく、脳によって知覚される危険レベルと相関しない防御反応を獲得するかもしれません。このことを考慮に入れて、成功を収める戦略は、関節可動域、スピード、不安定性へのチャンレンジを含む機能的変数の全領域に対応するために、運動系能力と神経系能力を修復するための段階的アプローチを導入することでしょう。 興味深いことに、Swainkおよびその他(1999年)は、筋肉の適応には左右差が無いことを発見し、ACLが欠損している女性に機能的安定性を与えていると仮説を立てました。そして、これらの適応は、ACL損傷後に両側性で発生することを示唆しています。最も機能的な活動は、複数の四肢で同時に起こる動作を含むため、これはHodgesとTuckersが提唱する、システム全体における筋肉間変化・筋肉内変化の理論に合致する身体全体の防御戦略を示しているのかもしれません。 防御的運動適応は、特定の動作と関連する変数の要求水準の増加によって評価されるかもしれません。動作と硬直レベルにおける運動系の変化を観察することは、防御反応の増大を意味していて、現状の中枢神経系に対する要求における適正水準をガイドしているのかもしれません。 私達は、神経筋プロセスにおいて、ACLそのものが果たす役割について考えなければなりません。靭帯には、固有感覚と反射の活性化に寄与する広範囲な求心性神経が存在します。受傷後の支障は、力学的損失だけでなく、以前に発生した有害な経験への防御反応として実行されるかもしれない強化された関節安定性に関連する運動感覚損失・反射的損失なのです。 ACLへの刺激による筋肉における反射活性化は、関節の動揺を予防し、ACLへの負担を軽減すると考えられています(Solomonow 2003年)。靭帯への負担を増大させる筋肉において、大きな力の発達を減少させるために、靭帯−筋肉反射の抑制効果もあるかもしれません。よって、靭帯−筋肉反射は、関節安定性を作り出すことと人体への負担を軽減することの追及において、抑制か興奮のどちらかであるかもしれません。 神経筋トレーニングは、機能に関連した動作への段階的露出を介して、これらの神経筋プロセスの要因を再調整することを目的に作られるでしょう。これは、脊髄反射機構と神経筋システムにおける脊柱上の構成要素と知覚されたACLへの脅威レベルと実際のACLへの脅威レベルの間の一致する関連性への求心性のフィードバックにおいて、生理学的/力学的特性だけでなく、さまざまな多面的な張力と圧迫を提供するでしょう。タイミングと筋肉活性化レベルは、タスクの要求に関連し、適切な運動反応を含んでいる特定のタスクを行う体験学習を伴うでしょう。 参照文献 Tsao H, Danneels LA, Hodges PW. ISSLS prize winner: Smudging the motor brain in young adults with recurrent low back pain. Spine (Phila Pa 1976). 2011 Oct 1;36(21):1721-7. doi: 10.1097/BRS.0b013e31821c4267. Remple MS, Bruneau RM, VandenBerg PM, Goertzen C, Kleim JA. Sensitivity of cortical movement representations to motor experience: evidence that skilllearning but not strength training induces cortical reorganization. Behavioural Brain Research 2001;123(2):133e41. Karni A, Meyer G, Jezzard P, Adams MM, Turner R, Ungerleider LG. Functional MRI evidence for adult motor cortex plasticity during motor skill learning. Nature1995 Doyon J, Benali H. Reorganization and plasticity in the adult brainduring learning of motor skills. Curr Opin Neurobiol. 2005;15(2):161–167. Mizner RL, Kawaguchi JK, Chmielewski TL. Muscle strength in the lower extremity does not predict postinstruction improvements in the landing patterns of female athletes. J Orthop Sports Phys Ther., 2008;38(6):353–361. Hales, Johnson and Johnson, Kinematic analysis of the powerlifting style squat and the conventional deadlift during competition: is there a cross-over effect between lifts? Journal of Strength and Conditioning Research, 2009 Beck S, Taube W, Gruber M, Amtage F, Gollhofer A, Schubert M. Task-specific changes in motor evoked potentials of lower muscles after different training interventions. Brain Res. 2007;1179:51–60. Ferber R, Kendall KD, Farr L. Changes in Knee Biomechanics After a Hip-Abductor Strengthening Protocol for Runners With Patellofemoral Pain Syndrome. Journal of Athletic Training 2011;46(2):142-49 - Boden BP, Dean GS, Feagin JA Jr, et al. Mechanisms of anterior cruciate ligament injury. Orthopedics. 2000;23:573-578.27. Hewett TE, The effect of neuromuscular training on the incidence of knee injury in female athletes. A prospective study. Am J Sports Med. 1999 Nov-Dec;27(6):699-706 Caraffa A, Cerulli G, Projetti M, et al: Prevention of anterior cruciate ligament injuries in soccer. A prospective controlled study of proprioceptive training. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc 4(1): 19 –21, 1996 Rudolph KS, Dynamic stability in the anterior cruciate ligament deficient knee. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc. 2001;9(2):62-71. Hartigan EH et al, Kinesiophobia after anterior cruciate ligament rupture and reconstruction: noncopers versus potential copers. J Orthop Sports Phys Ther. 2013 Nov;43(11):821-32. Paul W. Hodges ⇑, Kylie Tucker, Moving differently in pain: A new theory to explain the adaptation to pain, Pain, 152 (2011) S90–S98 C. Buz Swanik, PhD et al, Reactive Muscle Firing of Anterior Cruciate Ligament-Injured Females During Functional Activities, J Athl Train. 1999 Apr-Jun; 34(2): 121–129. Brughelli M et al Understanding change of direction ability in sport: a review of resistance training studies. Sports Med. 2008;38(12):1045-63. Solomonow, Ligaments: a source of work-related musculoskeletal disorders, Journal of Electromyography and Kinesiology 14 (2004) 49–60 Kleim J, Principles of experience-dependant neural plasticity, Journal of speech, language and hearing research, Vol 51. Feb 2008

ベン・コーマック 3722字

リズミックスタビリゼーション

与えられる動揺にリズミカルに抵抗するリズミックスタビリゼーション。どこで”感じる”べきなのか?という質問に、エリック・クレッシィが答えます。

エリック・クレッシー 2:54

ゲットアップ&シットダウンテスト

お尻と足以外の体の部分を床につかずに、床に座ったり床から立ち上がったりできますか?寿命と深い関連性があることがリサーチで報告されているゲットアップ&シットダウンテストをDr.ドゥーリーと一緒に試してみませんか?あなたは何点?

キャシー・ドゥリー 4:47

段階的露出

動きによって引き起こされる痛みを軽減させる方法を理解する上で、段階的露出は重要な概念です。これは、たいへん常識的で、たいていの人はある程度知っている考えです。というのも、これには深い真理があるのです。しかし、多くの人がこれをシステム化して実践することが難しいであろう概念でもあります。そこで、それが何であるか、なぜ効果があるのか、どのように実施すればよいか簡単にディスカッションします。 段階的露出とは? 段階的露出とは、ある種のストレスに過敏な反応をしないように、そのストレスにゆっくり段階的に曝していく方法です。動作に関連して言えば、痛みをあまり感じないように、身体を脅かすような動作を、タイミング良くしかも適切な量を段階的に導入することです。次のふたつにひとつの方法で行うことができるでしょう― 身体を変化させることによって、または身体への脅威を認識する神経系を変えることによって。 組織の適応:身体を強くする どんな辛い経験も人間を強くするという考え方には、生理学的事実があります。SAIDの原則によれば、身体に課せられるある特定なストレスの程度が十分であれば、その要求によりうまく耐えられるように身体は適応するであろうということです。たとえば、ウェイトリフティングで、十分な負荷が筋にかかれば、微小な損傷を起こし、筋の生理学的変化を活性化します。ここで起こる変化は、筋を強くし、その後同じウェイトにより負傷することが少なくなります。この原理を念頭に置き、段階的に筋に過負荷をかけることにより、徐々に筋は強くなることができます。秘訣は、ストレスに対し段階的な方法で露出することです −適応が起こるための十分な刺激でありつつ、負傷させたり治癒を妨げたりしない程度に。 特に腱症のような酷使による損傷などのリハビリにおいても、この原理は応用できます。ここでの違いは、適当なタイミングと適切な運動量の調節がより難しいことです。なぜなら、損傷や不完全な回復の可能性が非常に高くなるからです。適応が起こるための十分な刺激でありつつ、負傷させたり治癒を妨げたりしないさじ加減、いわゆる「スウィートスポット」を見つけにくくなります。注意深い系統的な取り組みが必要になります。 たとえば、あなたは最近1マイル走ると足に痛みを感じるとします。そうであれば、1マイルよりも短い距離を試してみることもできます。それから、ゆっくり少しずつ距離を伸ばしていき、その痛みを悪化させないようにします。これがうまくいったならば、治癒を妨げることなく新たな損傷を起こすこともなく、組織に十分な負荷をかけ有益な適応が起きたしるしになるでしょう。実施しないまでも、たいていのクライアントは、この方法を実に簡単に理解してくれます。 特定の動作に関連する痛みがなぜ段階的な露出で軽減されるかは、もっと複雑な説明になりますが、その動作によって神経系を脅かさないようにするからです。組織に特に有意な適応が起こらなくてもです。 神経系の適応:痛みと動作を切り離す 神経系が、その動作は身体への脅威であると認識した場合、その動作に関連づけられた痛みを経験します。他の知覚と同様に、脅威の認識は、多種多様な情報に基づいて変更するものであるという解釈です。段階的露出プログラムは、認識を変えさせるような動作について新たな情報を神経系に提供することができます。現在痛みを伴う動きを、痛みを感じない程度の低い強度で行う方法が見つけられれば、この動作は安全であるというフィードバックを神経系に送ることになります。これを繰り返し行うことで、神経系は痛みと動作を切り離すようになるかもしれません。不安症や恐怖症の多くの治療においても、これと同じ論理が根底にあります。 例を使って説明すると、ある子どもが過保護な母親に、公園で遊ぶことは安全であることを説得したいとします。その子は、まず最初にケガをしないで遊べるということを見せる必要があります。最も安全な遊びからゆっくり始め、それから少し危険性を含んだ遊びに移っていくことが良策でしょう。そして、ケガや危険がなく安全であることをその間ずっと母親に見せるのです。うまくいけば、母親は最終的に落ち着くでしょう。段階的露出でも同様に、ある特定の動作が安全であると神経系に教えます。3マイル走るとパニックになるとすれば、1マイルだけ走ってどうなるか試してみましょう。そして、少しずつ距離を伸ばして反応を観察します。 まとめ:段階的露出はよい情報を伝達する 健康な動きを促進するあらゆるプログラムにおいての主な目的は、身体が置かれている状況と動作による負荷に耐えられる身体能力についての情報を、神経系にできるかぎり“良い情報”として伝達するということです。これを、身体を強くすることによって達成しようが、または神経系に身体の強さをあまり意識させないようにすることによって達成しようが、どちらでもよいこともあります。どちらにせよ、動作を成功させる秘訣には変わりありません。まずは自分で動きたいように動くことから始め、この過程で必ず痛みがないことを確認します。それから、次にほんの少しだけ多く動いてみます。これが段階的露出であり、どんなことでもうまくなるための方法です。その他の数ある健康促進の方法同様、単純なことですが簡単ではありません。

トッド・ハーグローブ 2240字

下肢のエクササイズがどのように上肢の機能に影響を与えるのか

数ヶ月前、術後期間におけるトレーニングを論証するというブログを投稿しました。要するに、リハビリ期間中、私たちがほぼ常にどのようにアスリートをトレーニングしているのかについて論じています。多くのケースにおいて、理学療法を行いながら、問題を厳密に回避するように行っています。 これらのプログラムを作成していると、下肢術後のプログラムを作成するほうが、上肢術後のプログラムを作成するようも実際にはかなり簡単であることに気づきます。単純に、ほとんどのストレングス・コンディショニングエクササイズの選択は“基礎から上に”始まるので、下肢のエクササイズが上肢のドリルに影響を与える方法は、その逆よりもかなり多くあります。今日は、そのいくつかの例を概説していきます。 1. グリップワーク アスリートがバーを掴む必要のあるエクササイズである、デッドリフト、ダンベルを使用した様々な片脚エクササイズ、そしてスクワットでさえも握ることが含まれています。特に肘の問題の場合、あまりにグリップワークが多すぎると、それがかなりの問題を引き起こしてしまいます。例えば、トミージョン手術術後4-8ヶ月では、総屈筋腱の部位での不快感をアスリートが経験することは稀ではありません。通常、投球プログラムの漸進に加えてストレングスエクササイズとリハビリを行う際に、握ることによるストレスの集積によるものです。屈筋腱に対してやや“粗雑”な手術アプローチをする医師もいたりします。それらのケースでは、握ることがあまり多く含まれない下肢のドリルを優先的に行うことが最良でしょう。

エリック・クレッシー 2796字

シングルレッグトレーニングセミナー パート6

マイク・ボイルがシングルレッグトレーニングをテーマにして行ったインハウストレーニングセミナーの最終章。機能解剖学の話題も交えながら、バイラテラル(両側性)とユニラテラル(片側性)のトレーニングに関しての意見をまとめます。

マイク・ボイル ストレングス&コンディショニング 13:39

徒手療法の軟部組織への影響

東京で開催されたセミナーの参加者の方から受けた ”徒手療法を施術すると軟部組織には何が起こるのか?”という重要な質問にレニーが答えます。軟部組織の層の構造に関しての解説や、運動と栄養の重要性も含めたレニーの回答をお楽しみください。

レニー・パラシーノ 11:56

シングルレッグデッドリフトのキュー

片脚で行うデッドリフトは、足部の働きや安定を向上させるためにもとても効果的なドリルです。このドリルを行う際に効果的なキューイングのポイントをDr.ドゥーリーがシェアします。

キャシー・ドゥリー 3:29

片脚デッドリフト時の回内を助ける

片脚デッドリフトを行う際にうまく回内ができない時、どのようなキューイングで動きを改善しますか?機械的受容器のみでなく、前外葉系への情報をインプットすることで反射的な反応を得る方法とは?

キャシー・ドゥリー 3:51

あなたのリハビリテーションプログラム、あるいはトレーニングプログラムが、環境災害を引き起こしていますか?

私は、環境と運動行動に対して及ぼす可能性のある影響に関するテーマについて考えさせてくれた、私の仲間であるトッド・ハーグローブに敬意を表す必要があります。 私達が人々に対して行うように要求する活動、あるいはエクササイズの増大のために使用する環境に関して考えるということは非常に重要です。彼等を取り巻く環境は活動、あるいはエクササイズの結果に影響を与え、そして、私達は彼等に行ってもらいたいタスクを成功させる環境を構築する手助けをすることが可能です。 私が熟考を重ねている疑問は、“失敗に終わったリハビリテーション、あるいはフィットネスプログラムのうちのいくつが、人やプログラムの問題ではなく、環境に関する配慮の欠如によるものなのか?”ということです。 私達は、エクササイズを行っている‘人間’を考慮する必要があります。関連する根拠、あるいはあなたが持っているいかなるエクササイズバイアスに関するセット数、反復回数、最大随意筋力の割合に関して議論することができます。‘遂行できなければ’これらに意味はなく、環境はこれに直接影響し得るのです。 私達の‘環境’は、エクササイズとエクササイズ適合性の増大の制約、あるいは減少の制約のどちらかの機能を果たすことができます。動作と活動は、それらに課せられた制約に基づいて現れます。これらの制約が、どのくらいのエクササイズが行われるのか、そして、その方法を決定づけるため、私達がエクササイズを提供する際、私たちはこれを一番に考えるべきなのです。 環境と特異的結果の操作をするために、まずエクササイズを行う、ということでさえ、環境は運動量に影響を及ぼすかもしれません。 私の息子とスイミング 動作の出現に関する個人的な経験が、最近起こりました。私は休暇で旅行に行き、幸運にも私達の部屋のすぐ外に、とても浅くて温かいスイミングプールがあったのです。私は、4歳の息子をおだてて、なんとか自分で泳ぎ方を覚えさせました!子供を誇りに思う父親の出番です。 浅くて温かいプール(4歳児には重要)があったという事実は、私の息子は、腕に着ける浮き具が無くても、かなりの自信と共に水の中に入ることが可能だったということを意味していました。必要に応じて、彼はプールの底から足を離したり、着いたりすることができました。これは、彼の練習をかなり補助してくれました。 深い部分を持たない、浅いプールがある環境が、彼の学習過程を可能にし、そして貢献しました。その場所は、彼が行きたいときにいつでも行くことができ、そのために彼の練習時間を増やすことになりました。プールの浅さが、外部の補助が無い状態での彼の自信を高め、非致命的な学習において間違いを犯すことに対するセーフティネットの役割を果たしたのです。 環境は、自信、適合性、結果における直接的なきっかけとしての役割を果たしました。私達全てが自問すべき疑問は、“私の治療プログラム、あるいはフィットネスプログラムが、これをしているのか?”ということです。 あなたは自己制限をしていますか? それはまた、誰かの治療、あるいはトレーニングアプローチ全体に影響を及ぼす可能性があります。 どれだけの数の治療家が、非常に狭い部屋で仕事をしているでしょうか?もし治療用ベッドが部屋を支配しているのであれば、恐らくそれは、治療的アプローチをも支配するでしょう!この環境は、エクササイズのパフォーマンスやコーチングの指示などの役には立ちません。 忙しい商業的ジムで働くトレーナーは、彼等が利用可能なスペースの広さや使用可能な機器に影響されているかもしれません。そのために、彼等のエクササイズプログラミングは、狭いスペースや固定されたトレーニングマシーンの使用に制限されるかもしれません。 外的制約と内的制約 誰かがタスクを行っている環境、行われているタスク、彼らが与えられた指示、使用している機器のように、数々の様々な外的制約が影響を与えます。 また、内的制約もあります。これらは、自信、恐怖(動作、再受傷などに対する)、動作技能(タスク遂行能力)のようなものでしょう。もしあなたのタスクがこれらの内的制約の域を超えているのであれば、それを遂行できない可能性がより高くなります。リハビリテーション、あるいはトレーニングの状況において、複雑なリフトに対してあまり自信がない、身体意識や動作技能が低い場合、これはかなり困難であることを証明するかもしれず、それ故に結果に影響するかも知れません。 そして、機器使用に対する自信、身体イメージ、間違ったり、より物事を悪化させることへの恐怖のような内的制約があるかもしれません。エクササイズをただ決定するのではなく、エクササイズをその人に合わせることや、彼らを関わらせることを重要視することは、彼等が実際に遂行するかどうかに多大な影響を及ぼすかもしれません!実際に多くの場合において、これはエクササイズそのものよりも、より重要かもしれないのです。 内的制約ともいえる、生活の中にエクササイズを取り込もうとして失敗に終わった、エクササイズとの関連の乏しい人達にとって、エクササイズそのものの概念は、再定義される必要があるかもしれません。私達は動作の出現を手助けするために、楽しい動作タスク、あるいは活動を作り出すことができるでしょうか?私達は、彼等が本当に楽しみ、行う可能性の高い身体活動に結び付けることができるでしょうか? 環境とある腰痛の例 一つの例として、いつも座っていることが多く、腰痛を患っている人に、リハビリテーションプランの一部として、より活動的になってもらうことかもしれません。もしあなたが特定のタイプのエクササイズプログラムをジムで行う必要があると言うのであれば、外的環境問題を提示してしまうかもしれません。その人はジムのメンバーでなくてはならず、ジムに行かなければならず、その人が利用可能なジムに、あなたが使用するように提案している機器を有していなければなりません。これら全ての要因は、障壁となるかもしれないため、考慮・対処されなければならないのです。対照的に、地元の公園における歩行プログラムは、より低い障壁を持つ人達にとって、彼等の場所、嗜好、自信に基づいて遂行することで、より良い結果を生み出すかもしれません。 ただエクササイズを誰かの喉に無理やり詰め込むというのではなく… 彼等がどの活動を楽しんでいて、可能であると感じているのかを見つけ出してください。まず、彼等は日常的にエクササイズをしている、あるいはジムに通っている人たちなのでしょうか? エクササイズ、動作、あるいは活動、行う理由、彼等の問題あるいはゴール向けてのエクササイズの重要性を説明していください。 あなたが彼等に行うように訊ねたことに対しての彼等の考え/感じ方、そして、それを行うことに自信がかるかどうかを尋ねてください。 現実的に、活動を行うためにベストなのはいつなのか、スケジュールの設定を手助けしてあげてください。 何をすべきかをに関するしっかりとした指示を与えてあげてください。スマートフォンで撮影する短いビデオクリップが役に立ちます。 最近のコースでは、私は、ジムに行かずに、負荷トレーニングを作り出す方法をブレインストーミングするクラスを行いました。リハビリテーション、あるいはトレーニングにおけるこの側面は、多くの人達にとって、障壁の可能性がありますから。 アイデアは下記を含みます: サンドバッグ 本が詰まったバッグ 堆肥が詰まったバッグ(20kg 入りです!) 私達は障壁を減らすために、教育的アプローチと共に‘彼等のレベルに合わせる’ことを目的としていますが、私達はまた、適合性を増大させるために、エクササイズを用いて、これを行うべきでもあります。

ベン・コーマック 3321字

姿勢は重要か?その2:姿勢は機能的パターンの制限を決める

(パート1はこちらへ) よく歯が欠けている状態のことを“はもげ”と呼ぶのですが、これが方言だということを先週知りました。※歯がモゲる、を略して“はもげ”だよ♡って説明したら、モゲるがそもそも方言らしいです。 では本題です、 前回の“姿勢は重要か?その1:動作との関わり”では 1. 姿勢は動作の開始位置である 2. 姿勢は動作の終了位置である 以上の内容をご紹介致しました。 ※前回の投稿をご覧になった方は既にご存知かと思いますが、姿勢の重要性については未だ明確なスタンドポイントはなく“姿勢は重要である!!”派と“姿勢は痛みや機能との関連性は無い”派、“ケースバイケースじゃん?”派に分かれております。 私は“姿勢は重要である”派なのですが、その理由として今回は姿勢と呼吸の関わりをご紹介します。 “Posture is a reflection of the “position” of many systems that are regulated, determined and created through limited functional patterns. – Ron Hruska Jr., MPA, PT これはPostural Restoration Instituteの創始者であるロン・ハラスカの言葉です。 ※天才と呼ばれる人々の言葉は難解ですね。 中々解釈が難しい言葉ですが頑張って訳すと、“姿勢は限定された機能的パターンにより統率、決定、創造された沢山のシステムのポジションを反映したものである”って感じですかね。(はい??ってなりますね) 僕も初めはピンとこなかったのですが、姿勢やポジションについて介入を続けると、この言葉の真意も含め色々と見えてきたものがあります。 以下は姿勢について、前回ご紹介した ① 姿勢は動作の開始位置である ② 姿勢は動作の終了位置である に引き続き、私なりの解釈その③です。 ③ 姿勢は機能制限を決める 簡単に言うと、姿勢は“何ができるか”ではなく、“何ができないか”を決めます。 呼吸を例にしますと、腰が反り胸が上方を向いた胸郭のポジションでは横隔膜のZOAの確保ができないため、横隔膜の下降による腹腔内圧の増加を伴った呼吸(安静時呼吸として紹介されることが多い)は出来ません。この姿勢では通常、上胸部呼吸(努力性呼吸として紹介されることが多い)が優勢となります。 ※以前もご紹介した通り努力性呼吸は悪い呼吸ではなく、必要に応じて使い分けることが必要です。 ただし!このポジションで効果的な“努力性呼吸”ができているか??というと必ずしもそうではありません。 例えば肋骨の拡張が上部腹筋群の緊張によって阻害され、せっかく吸気量を最大化できるポジションをとっているのにも関わらず最大の努力性呼吸が出来ない状態がよくみられます。 すなわち、この腰が反り胸が上方を向いた胸郭のポジションでは、 1. 安静時呼吸は出来ないと断言できる! 2. 努力性呼吸が出来るとは限らない となります。 これが“姿勢は機能を決定する”ではなく“姿勢は機能制限を決定する”という言葉の根拠です。 ここで先ほどご紹介したロン・ハラスカの言葉に戻りますが、 “姿勢は限定された機能的パターンにより統率、決定、創造された沢山のシステムのポジションを反映したものである” この言葉について私なりには “姿勢はポジションの集合体であり、各ポジションは各分節の機能制限を決定する、よって姿勢は全体的な機能的運動パターン制限を決定する” と解釈しております。 ※更に混乱させてしまったかもしれません、皆様のご意見大歓迎です “姿勢は身体機能を表してはいない”という主張や文献がありますが、確かに姿勢を見るだけでは、その人が“何ができるか?”を予測することは難しいです。 しかし、姿勢によって機能制限(できないこと、または苦手なこと)はより正確に予測できます。 普段の臨床で姿勢について介入する際は、“どのような機能制限を作りたいか”という考えを大切にしています。 過剰に働いている筋群がある場合、その筋群に機能制限(抑制)をつくるポジション(もしくは姿勢)を取らせれば良いと考えております。 理解し辛い内容になりましたので今回はここまでにしますが、次回は具体例を使って“姿勢による機能制限を決定”を応用した運動療法の例をご紹介致します。 ※最後に、引用させて頂いたロン・ハラスカ率いるPostural Restoration Instituteの講習会が12月に東京・大阪で行われます。今回は日本初となるPostural Respirationコースも開催です。 おススメですよ。

近藤 拓人 2047字

プログラムデザインにおけるエクササイズの順序 - 上半身が先か下半身が先か

今回はS&Cコーチがプログラムデザインでブチ当たる問題の一つをピックアップしてみます。 プログラム作成時のエクササイズの実施順序には多数のバリエーションが存在します。 NSCAのテキスト(1)にも下記の様な代表的な例が示されています。 ① パワーエクササイズ→コアエクササイズ(※)→補助エクササイズ ② 上半身と下半身を交互に行う。 ③ 「プッシュ」と「プル」のエクササイズを交互に行う。 ④ スーパーセットとコンパウンドセット ※ここでいうコアエクササイズはいわゆる体幹の種目ではなく、クリーン、スナッチ、スクワット、ベンチプレス、デッドリフトなどのパワーエクササイズ及び大筋群を動員する多関節種目を指します。以下同様です。 どのような方法をとったとしても、後に続く種目に悪影響を及ぼさないように種目を配列するというのがセオリーとなっています。 例えば以下のような種目配列です。前述の①〜④を組み合わせて種目を配列しています。 1 パワースナッチ 2 フロントスクワット 3 懸垂 4 RDL 5 DBベンチプレス 6a スタビリティチョップ– Kaiser Functional Trainer 6b プッシュ/プル – Kaiser Functional Trainer 7a 補助種目① 7b 補助種目② 7c 補助種目③ 実際には、トレーニングの実践には多くの制約があるものです。 ・指導対象である選手の数 ・トレーニングに充てられる時間 ・トレーニングに使用できるスペース、場所 ・選手の数に対する器具や設備の数 ・選手のエクササイズテクニック ・選手のトレーニング経験 etc. 制限要素を挙げればキリがありませんが、それを踏まえて効果的なプログラムを提案することは、指導者としての腕の見せどころかもしれません。指導経験や指導方法の引き出しの多さがこういうところでいきてきますね。 特にチームスポーツを指導する場合、多くの指導現場では、選手の数に対して器具が不足していることが珍しくありません。これを読んでいる指導者の方も「○○が今空いてないんですけど、どうしたら良いですか?」、「○○を先にやっちゃダメですか?」ということを選手から問われた経験がおありかもしれません。 私の働く職場でも時には40人近い選手を同時に指導することがありますが、その人数が同時に同じ種目を実施することは(2~3人のグループを作って進めたとしても)不可能です。どうしてもプラットフォーム、スクワットラック、ダンベル等の数が不足してしまいます。問題はこのような環境ではどうするか、どのようにすれば限られたトレーニング時間で効果を担保しながら効率よくトレーニングを進められるのかということです。 以下、私が過去に取ってきた解決方法の一例をご紹介いたします。 ・パワーエクササイズを最初に行い、上半身から開始するグループと下半身から開始するグループの二つに分ける。 パワーエクササイズとしてバーベルで行うスナッチとダンベルで行うジャークの2種目を採用したとします。この場合、一方のグループはスナッチから開始し、もう一方のグループはジャークから開始して、それぞれが終了後に種目を入れ替えて実施する。クイックリフトのようなパワーエクササイズはセット間のレストも長く2~5分程度です。これだけのレストがあれば複数人を同一のステーションでエクササイズを実行することが可能です。そして、それぞれのグループが下半身もしくは上半身から開始するようにすると、器具の数からの制約を受けにくくなります。 ・週間スケジュールの中で強調するトレーニング目的を分配する。 DAY 1:最大筋力とパワー、DAY 2:爆発的筋力とパワーというような感じで強調するトレーニング目的を決めたとします。 例えば、DAY 1にはクリーン、プッシュプレス、スクワット、ベンチプレス、懸垂など最大筋力の維持、向上を目的としたコアエクササイズ種目を中心に選択します。この場合、この日の目標は筋力の維持、向上であり、余計な補助種目はないので、できる限りパワーエクササイズを先に実施しさえすれば、あとはどの種目を優先的に行うかということはそれほど問題にはなりません。 そして、DAY 2にはハングパワースナッチ、スクワットジャンプ、プライオプッシュアップ、RDL、DBロウなどDAY 2より負荷強度としては低いが、動作速度が速い種目が選択できます。この場合も、RDLをスナッチとスクワットジャンプの前に実施しないようにして、DBロウはスナッチの前には実施しないようにしさえすれば、他の種目は全てパワーエクササイズとなるので、実施の順番には柔軟性を持たせることができます。 同様に、期分けごとに工夫していくことができます。例えば、DAY 1:最大筋力と筋肥大、DAY 2:爆発的筋力とパワーといった設定ができます。 ・上半身の日と下半身の日に分ける。 このスプリットの仕方は筋肥大期など、比較的トレーニング回数を多く確保できるときには有効だと思います。Aグループは上半身、Bグループは下半身となるだけで、種目がかぶるということは半減するので、後は器具の問題を考慮して種目配列を考えれば器具の不足をカバーしやすくなります。しかし、2つのグループが別々のことをやっているので指導する側としては指導に手がまわらなくなる可能性はあります。 選手の到達すべきパフォーマンスやシーズン目標に合わせて年間スケジュールを作り、各期の最も強調すべきトレーニング目標(またはサブ目標も)を設定、さらにそれを実現するために週ごとのサイクルに落とし込んでプログラムを作成していく。何もかも理想通りの環境でプログラムを作成し、実行できるわけではありません。しかし、優先するべきところと柔軟性を持たせられるところを考慮してエクササイズの順序を考えていくとスムーズなトレーニング運営ができるのではないでしょうか。 参考文献 1. Thomas R. Baechle et al. “第18章 レジスタンストレーニング”. ストレングストレーニング&コンディショニング. Thomas R. Baechle and Roger W. Earle. Book House HD, 2002. 2. Daniel Baker. “Chapter 10 Using Strength Platforms for Explosive Perfomance”. High-Performance Training For Sports. David Joyce et al. Human Kinetics, 2014.

緒方 博紀 2832字