マイクロラーニング
隙間時間に少しずつビデオや記事で学べるマイクロラーニング。クイズに答えてポイントとコインを獲得すれば理解も深まります。
縦隔の構造 パート2/2
胸部の真ん中、胸骨と心臓をつないでいる空間である縦隔空間の構造は複雑で理解するのが難しい部分の一つではないでしょうか?解剖学教授であるDr.キャシー・ドゥーリーがネッターのアトラスに記載された断面図を使って、詳細に構造を解説するビデオのパート2をご覧ください。
心臓表層の解剖学 パート2/2
私自身苦手意識の高い心臓の解剖学と循環、伝導のシステムについて、Dr.キャシー・ドゥーリーが立板に水を流すようにスムーズに解説するビデオの翻訳作業は、個人的にかなり良い勉強の機会となりました。繰り返して見ると良いと思いますよ!
心臓表層の解剖学 パート1/2
心臓という重要な臓器の解剖学、2つの心房と2つの心室の詳細な解剖学と血液の流入&流出経路、そして心臓のドクドク音について、医学部の学生たちを対象に指導しているDr.キャシー・ドゥーリーの解剖学リビューパート1。
縦隔の構造 パート1/2
胸部の真ん中、胸骨と心臓をつないでいる空間である縦隔空間の構造は複雑で理解するのが難しい部分の一つではないでしょうか?解剖学教授であるDr.キャシー・ドゥーリーがネッターのアトラスに記載された断面図を使って、詳細に構造を解説するビデオのパート1をご覧ください。
スタビリティトレーニングとは何か? パート2/2
運動パターンと動作面 あなたが「ファンクショナルトレーニング」と言うと多くの人が呆れた表情をしますが、これは実際の方法が、悲しいことに巧妙なマーケティングによって乗っ取られてしまったものなのです。脊椎の専門家であるDr. Stuart McGillは、これを最もうまくまとめています、「ファンクショナルトレーニングは身体の部位の連結を通して筋力を向上させるという目的を含有している」。(1) これは非常に聞こえが良いですが、Dr. McGillが言う「連結」とは何を指しているのでしょうか?筋膜ラインという言葉を聞いたことがあるならば、これは、私たちが筋力を発揮できるように、異なる筋の動員をコーディネートして安定性を獲得できるような特定の連鎖があるということを、私たちがより良く理解できるようにするための非常に良い方法であると私は思っています。 もし筋膜ラインについて良く知らないのであれば、私たちはどのようにこれらのコンセプトを有意義にし、そしてこれらのコンセプトについての「要約本」を提供できるでしょうか?私はこれらの考えを次のようにまとめたいと思います: 1. 手/足:私たちの骨の半分は手と足にあり、これは非常に意義深いことです。私たちの周りの環境との接触は通常は手と足からであり、そのため、これらをコーチングすることは、身体の中でこれらの重要な連結を作ることに大きな影響を及ぼします。 有名な理学療法士のGray Cookが最もうまく述べています: 「もし足がいい加減で、グリップがちゃんとしていないと、その人は正しい筋を活性しないだけでなく、適切な感覚情報を得てもいません。もう一度言わせてください。もし、足と脳の間に何らかのモビリティやスタビリティの代償があったならば、それは、水はどこにあるのかと不思議に思いながら2本の庭用ホースの間に立っているようなものです。情報の経路は二方向で崩壊しているのです…上方向と下方向で。」(2) これを私たちのトレーニングにどのように応用できるでしょうか?私がアルティメットサンドバッグを開発した時は、ツールを作った後に目的を作りだそうとするのではなく、具体的に動きを改善させるためのツールを作り出そうとしていたのです。シンプルなコンセプトは私たちのトレーニングをより良いものにし、クライアントにより良い動き方を即座に示してくれるのです!単にシステムにストレスをかけるだけでなく、教えるためのツールとして、そしてフィードバックを与えるために負荷を用いることができるのであれば非常に素晴らしいことです。 例:プレスアウトスクワット、アークプレス、バードドッグドラッグ
スタビリティトレーニングとは何か? パート1/2
指導することは私が情熱を注ぐもの;それは私の生まれ持ったものであり、私の家系のほとんど皆が何かの指導者でもあります。10年以上にわたって継続教育のプログラムを指導することができているという素晴らしく幸運を得て、専門家が問題に対する解決策を見つける手助けすることを愛しています。私は、何が問題であるかということをどうやって知るのか?コーチとして25年、自身のジムを持って10年、そして様々な人たちをトレーニングしてきたことで、ストレングスコーチ、フィットネスの専門家、または臨床医としての私たちの本当の仕事は、問題に対する解決策になることであると教えてくれました。 様々な異なる問題に対する解決策を考えているかもしれませんが、幅広いゴールに対して重要であるコンセプトが鍵となる傾向にあります。人々を助けるという私たちのゴールを達成するためには、「見返りが最も大きい」ことを考えます。スタビリティトレーニングはそれに関して提供できるものです。この記事ではスタビリティトレーニングの方法について説明していきます。なぜなら、スタビリティトレーニングは非常に誤解されており、そして多くの場合、ある状況においてより良い安定性を獲得することを基本にしていると私たちが考えるエクササイズを実施するようにさせますが、それらは多くの場合において目的を見落としているからです。 スタビリティトレーニングとは何か? スタビリティトレーニングについて議論している長い論述を用意することもできましたが、私は、いくつかの重要なコンセプト、それらがプログラム作成にどのように影響を与えるか、そしてエクササイズの選択に焦点を当てたいのです。安定性とは、独立した関節または全身に関連して捉えるものとなりえます。この投稿においては、私たちはより全身の安定性について言及していきます。 「スタビリティトレーニング」という言葉を言うとき、私たちの多くはグラグラしたり、大きく揺り動かされたりするエクササイズを思い浮かべます。悲しいことに、それはスタビリティトレーニングではありません。安定性に対して取り組むためには、私たちが達成しようとしていることに対してより深い理解が必要です。 インターネットを開いてスタビリティトレーニングを調べたり、もしくはほとんどの教科書にも、幅広い定義を見つけることでしょう。おそらく最適で最もシンプルなものは「意図しない動きに抵抗しながら意図する動きを可能にする」と考えられるでしょう。これは非常にシンプルなように思えますが、この業界のベストコーチ数名から発せられてきた定義です。これが、あなたの好みに対して漠然としすぎていると思うのであれば(素晴らしいコンセプトを伝える際に簡潔さを見落とさないようにしましょう)、私はパフォーマンス専門家、Dr. Brandon Marcelloが言ったことを非常に好んでいます;「安定性とは、筋のタイミングと順序的な活性のことである」。(1) うーん、Dr. Marcelloはこのような声明文の中で何について言及しているのでしょうか?運動制御とは、おそらく多くの専門家が最も馴染みのないコンセプトでしょう。私たちが怪我の原因についての多くの研究を見たとき、共通のテーマは、筋肉が適切なタイミングで働いていないことです。これは一つの筋を強くするだけで動作の全ての問題を解決すると私たちが考えている事実に、真っ向から反しています。私たちが腹横筋(TVA)のトレーニングに全ての焦点をおいていたことを振り返ることは非常によい例です。 TVAに関するすべての研究の結果は、TVAを独立して強化しなければならないということであると多くの人達が考えていた一方で、彼らは研究者らが主張していたポイントを無視していたのです。Selkowらによる2017年の研究では、「腰痛を持つ人と持たない人において4週間のコアの安定性のプログラムを行うことでTrAの活性とタイミングが変化する」(2)と結論づけました。筋力ではなく、タイミングというキーワードが理解できますか? フィットネスとストレングストレーニングプログラムを作成するほとんどの人達にとって、これは実際に何を意味するのでしょう?安定性を発達させることに費やす私たちのエネルギーは、基礎的な運動パターンとそれらをどのように漸進させるかに集中させるべきです。Dr. Marcellの声明文は、三つの重要なコンセプトを中心にスタビリティトレーニングを定義することで複雑なものを理解しやすくします: フィードフォワード(より反応的) 静的 動的 これらの三つのコンセプトとともに一つ注意点もあります:これらが多面的であるべきだということ。多くの人々は安定性のドリルを作り出す際に、これらの概念、特により多面的であるということに気づいていません。これら全てについて詳細に説明したいのですが、私は、パターンを作り上げてからそれをより多面的にする方法に特別な重点をおきつつ、これらのコンセプトのいくつかに息吹を吹き込みたいと思います。 私がダイナミックバリアブルレジスタンストレーニング(DVRT)システムを作り上げた時、動作をトレーニングすることにいかに取り組むかということ、特定のエクササイズや筋に集中しすぎないことを考えていました。そうするためには、私たちが同意し共通の言語を持てるコンセプトを提供しなければなりません。私たちのトレーニングに息吹を吹き込むことができるように、より良く理解する必要のある三つの考えがあります。 手/足 広背筋/体幹/臀筋群 動作面の漸進 参照 The Why’s, What’s, How’s and When’s of Stability Training, “Power & Resiliency Summit”, October 19, 2019, Results Fitness, Newhall, CA. Selkow, Noelle M et al. “Transversus abdominis Activation And Timing Improves Following Core Stability Training: A Randomized Trial. “International Journal of Sports Physical Therapy. Volume 12, 7 (2017): 1048-1056.
野球用ウエイトボールが投球速度、そして受傷率を上げる本当の理由 パート2/2
私の過去の研究と同様、多くの人々はわたしたちの発見を読み、その結果に不満を持ちました。恐らくその結果は、彼らの先入観や過去の信条を批判しているのかもしれませんね?あるいは、彼らはただ科学を知りたくないだけかもしれません。 とても多くの人々がわたしたちの方法を批判しようとしてきました。 覚えておいてください、わたしたちには何の偏見もありません。わたしたちは、これらのウエイトボールを用いたプログラムを研究しようとしている科学的な人間です。わたしたちがそれらを利用して利益を挙げることはありません(あなたがけがをするまでは!)。わたしたちはただ科学を知りたいだけで、データが示すことに関して本当に何の嗜好みもありません。私はあなたと同じくらい結果に驚いているのです。 わたしたちの研究についてよく耳にすることを取り上げたいと思います: 2oz(57g)のラン・アンド・ガン投球を入れていた。残念なことに、これは現実世界で起きていることなのです。子供たちがこれを行っているのです。これはちょっとクレイジーだと思う人がいることを嬉しく思うのは、私もちょっとそう思うからですが、わたしたちの研究のゴールは現実世界にあるプログラムの領域を評価することなのです。でも、このことを覚えておいてください…2oz(57g)のラン・アンド・ガン投球をたった3回です。たいしたことではありません。81球のうちの3球、あるいは実験中の4%です。研究の残り96%を見捨てないようにしましょう。 選手たちはウエイトボールを用いたプログラムに準備できていなかった。これは本当ではありません。わたしたちの研究内のすべての選手たちは、これらの研究の前に、野球に特化したトレーニングプログラムや数週間の投球強化プログラムを実施し、適切に準備ができていました。 選手たちはウエイトボールを用いたプログラムに慣れていない。これは何人かの被験者には当てはまるかもしれませんが、すべての被験者ではありません。しかし繰り返しますが、わたしたちは現実世界を模したかったのです。初めてあなたがあるプログラムを始めるとき、どこかの時点でウエイトボールを用いたトレーニングを始めるはずです。 私はこれらのどの因子も非常に関連性があるとは信じていませんし、わたしたちの発見の臨床的価値を限定することは絶対にありません。 なぜ肩関節外旋が増加するのか? このセクションをとても明確に始めましょう:よくわかりません。 しかし、わたしたちは科学的根拠に基づく、非常にもっともらしい教養のある推測をいくつか持っています。 正直、私はウエイトボールによって外旋可動域が増加したのを見て、個人的に非常に驚きました。しかし、これを知っている今、それは完全に納得がいきます。 それでは、なぜでしょうか? ウエイトボール投球後に外旋可動域が増加するのには、二つの理由があるようです: 神経筋系への急性の変化 筋骨格系への慢性的な累積ダメージ ウエイトボールは神経筋系に急性の変化をもたらす 外旋可動域の急激な増加には驚かされました。これが一般的に関節包または筋肉の断裂のような肩の重大なけがを象徴しているとは思いません(それについては下で詳しく述べます…)。 起こっていることとしてもっとも可能性が高いのは、過伸張から守るために伸張を感知し筋肉を発火させるようにデザインされたゴルジ腱器官(またはGTOs)という固有受容器の感度を低下させているということです。 これらのGTOsは、わたしたちの関節がその可動域の終末に近づいているのを感知し、反対側の筋肉を発動させてあなた自身を守るために動きを減速させます。 このメカニズムの感度を低下させることは、モビリティの向上へつながるでしょう。しかし、その代償は? これはわたしたちの身体の中の防御装置です。それなしでは、わたしたちの投球側の肩や肘はもっとストレスを受けやすくなります。 理学療法やトレーニングの世界では、実際に時折これをうまく利用します。プライオメトリック・エクササイズ、ダイナミックストレッチ、そしてPNFのコントラクト・リラックスのようなテクニックは、すべてこの前提の上で働くものです。 あなたがハムストリングをストレッチしその直後にゆるんだように感じるとき、ハムストリングが数秒間のストレッチによって長くなったからではありません。それは構造的に意味を成しませんよね。それは、あなたがハムストリングの伸張反射の感度を低下させたからなのです。 これは通常たいしたことではないのですが、そうやって生理機能の極限の壁を越え、そして投球するとき、そのことはより大きな影響を与えます。投球はすでにとんでもなく大きなストレスをあなたの腕に与えているのですから。 ウエイトボールは筋骨格系に慢性的な累積ダメージをもたらす 幸運なことに、外旋可動域の変化を目にしている主な理由は、先ほどお話しした固有受容器の急性な感度の低下によるものだと思います。 しかしながら、特に、もしこれを利用した投球が外旋可動域を増加させたのであるなら、いくらかの慢性的なダメージも考慮しないというのは短絡的でしょう。 投球中、腕は外旋から内旋へと急速に移行し、ボールを加速し始めます。これが肩の静的及び動的安定筋群にとてつもなく大きなストレスをかけるのです。 統計学的には、これによって肩の前方関節包を損傷する可能性があります。これは嫌ですよね。 力学的には、レイバックや腕の加速への移行を伸張性収縮によって減速させなければならない筋肉に損傷を与えます。これらの筋肉には、広背筋、大円筋、胸筋群、そして肩甲下筋が含まれます。 今野球で広背筋損傷がいかによく見られるかに気づいたことがありますか?これは10-20年前にはほとんど見られませんでした。 急性の変化はまた、慢性的な積み重ねの変化にもつながっているようです。 それではこれらすべては何を意味しているのか? さて、あなたは今肩関節外旋について、恐らくそれまで知りたかったであろうことよりももっと多くのことを知っています。どうしてこれが重要なのか、説明しましょう。 非常にシンプルですが、わたしたちは外旋可動域がより大きくなれば、投球速度もより速くなることを知っています。また、これが肩や肘へのストレスを増加させることも知っています。 これが非常に難しいことのように聞こえる部分なのですが、実際はあたりまえのことなのです。物理学です。より大きなレイバックは腕がより強い投球をすることを可能にし、それが腕により大きなストレスを与えるのです。 図はウィキペディアより引用 当たり前、ですよね?なるほど、そうですよね? なぜウエイトボールが投球速度を上げるのかについて提示された理論のほとんどは、真実ではなさそうです。レイバックの増加が主な要因なのです、間違いはありません。 ウエイトボールを用いたプログラムは、腕のスピードを向上しない、腕の筋力を向上させない(事実わたしたちはそれらが筋力の発展を妨げることを示しました)、そしてその他の提示されてきたことのどれもしません。わたしたちは今正式にこのすべてを研究し、私たちの調査によってこう結論付けました。 ウエイトボールはレイバックを増加させ、それが投球速度を上げ、そのどちらもがストレスを増加させ、そのすべてが受傷率を上げるのです。 どうです、これで完全に納得がいくでしょう? そもそもわたしたちにはウエイトボールを用いたトレーニングプログラムが必要なのか? はいはい、わかりました、まだウエイトボールを使いたいんですね。それらはインターネットでは魔法のようにみえますよね。 私はそれにまったく問題ありません。私自身も、一緒に働く多くの選手たちにそれらを使います。しかしながら、すべての選手にというわけではありません。 より多くのことがわかっていくにつれて、わたしたちは、ふさわしい人に適切なタイミングで提供される投球速度発展プログラムにおいて、ウエイトボールは非常に小さな存在であることに気が付くと思います。 わたしたちが国中のユースや高校、そして大学のチームで実施されているのを目にしているように、大人数のグループでそれらをやみくもに行うべきではないのです。 これはばかげたことです。 人生のその他すべてのことと同じように、量が大事なのです。「ありがた迷惑」というフレーズを聞いたことがありませんか? わたしたちは本当にウエイトボールを使いすぎているのです。 しかし、私はこの記事を疑問で終わらせようと思います…そもそもウエイトボールを用いたトレーニングプログラムは必要なのでしょうか? 私は、ウエイトボールを用いたトレーニングを、筋力トレーニング、パワー発展、腕のケア、そして適切なバイオメカニクスのような、けがを起こすことなく速度を向上させることが証明されてきた多くの方法で置き換えることを話しているのではありません。私は、これらのよくできたウエイトボールを用いたトレーニングプログラムを、オフシーズンの間ずっと行う必要があるのかということを話しているのです。 この現在の研究に基づくと、もしレイバックの可動域が非常に素早く非常に大きく増加するのなら、そしてより大きなレイバックがより速い速度を意味するのであれば、恐らくわたしたちが必要なのは、ウエイトボールでの短くてシンプルなウォームアップだけなのかもしれません。 これが固有受容器の感度を低下させるちょっとした刺激を与え、何週間ものウエイトボールトレーニングプログラムを身体に課す必要なく、レイバックを少しだけ大きく、そして投球速度を少しだけ速くしてくれるでしょう。 私には、これが身体にはるかに安全であるように聞こえます。 また、これは現在進行中であるわたしたちの次の研究のようにも聞こえます。乞うご期待…:)
野球用ウエイトボールが投球速度、そして受傷率を上げる本当の理由 パート1/2
ウエイトボールを用いたトレーニングプログラムは、投球速度を向上させようとしている野球選手に、とても人気の方法となりました。 残念なことに、ウエイトボールを用いたトレーニングの流行は、わたしたちがその背景にある科学を理解するよりも速く広まってしまいました。 ここ数年間にわたり、Champion PT and Performanceのレニー・マクリナ氏と私は、American Sports Medicine Institute(米国スポーツ医学機関)のグレン・フレイシグ博士とジェームス・アンドリュース医師とチームを組んで、ウエイトボールの安全性と有効性についてもっと理解しようとしてきました。 一連の調査プロジェクトを通して、この数年の間に多くのことがわかりました。しかし、野球におけるウエイトボール使用の安全性、メカニズム、そして有効性に関しては、いまだに多くの疑問があります。 野球用ウエイトボールの投球は腕にかかるストレスを変えることがわかった フレイシグ博士は、高校生および大学生投手のグループにおいて、野球用ウエイトボールの投球のバイオメカニクス的影響について調べました。 著者らは、平らな地面でウエイトボールをラン・アンド・ガン投法(:助走をつけて投げる方法)で投げるとき、肘関節の内反トルク(トミー・ジョン靱帯へのストレス)がマウンドでの投球に比べ有意に増加することを指摘しました。 オコロハ氏は、平らな地面で投げるユースの野球投手グループにおいて、同じような肘関節内反トルクの増加を示しました。彼らは、ボールの重さの増加に伴い、ストレスが統計学的に有意に増加することを立証しました。 ウエイトボールを用いたプログラムを行う野球投手の受傷率はより高いことがわかった わたしたちの研究は、ウエイトボールを用いた投球プログラム中及びその後の受傷率を調査した、初めての研究です。 わたしたちは、6週間のウエイトボールを用いたプログラムを行った高校生野球投手において、投球速度が3.3%向上したことを示しましたが、一方で24%の受傷率をも示しました。ウエイトボールを用いたトレーニングを行わず、通常のウエイトトレーニングにのみ焦点を当てたコントロール群では、けがはありませんでした。 さらに、確かに投球速度の向上を示しましたが、それはすべての投手に見られたわけではなく、コントロール群の67%もまた基本的な投球とウエイトトレーニングだけで投球速度の向上を示しました。 重要なことですが、わたしたちはオフシーズンにウエイトボールを用いたプログラムを実施した後、シーズンを通して選手たちを追跡しました。プログラム実施後のシーズン中に、わたしたちはウエイトボールを用いたプログラムを実際に行っている間よりもはるかに多くのけがを目にしています。 なぜ投球速度の上昇とより高い受傷率の両方を目にするのかわかったとも思っている さらに重要なことに、私は、ウエイトボールによる投球速度の上昇と、ストレスや受傷率の上昇の両方のメカニズムについて、多くのことがわかったと本当に信じています。 わたしたちは肩関節外旋(またはレイバック)可動域の有意な増加を観察し、驚きました。 プログラムの投手らは、6週間のプログラムの後、肩関節外旋の4.3度という有意な増加を示しました。コントロール群はこの変化を示しませんでした。そしてわたしたちは、複数の過去の研究から、野球の投手においてレイバックの大きさはストレス及び投球速度の両方の上昇と相関があることを知っています。 ウエイト野球ボールのトレーニングプログラムは、投球速度の向上において効果的かもしれないが、それらは肩関節の動き、肘へのストレス、そして受傷率も上げる 6週間のウエイトボールを用いたプログラムを実施後、肩関節外旋が増加したことを発見したのち、最初にわたしたちの頭に浮かんだことは、これがすぐに現れるものなのか、あるいは何週間もトレーニングしないと観察できないものなのかを見るために、ウエイトボールを投げた後の即時の変化を研究しなくてはならないということでした。 それがわたしたちの最近の研究につながります。 ウエイト野球ボールの肩関節可動域における即時の影響 Sports Healthに掲載されたわたしたちの最近の研究では、ウエイトボールを投げた直後に肩の関節可動域に何が起こるのかを調べました。 これを研究するために、わたしたちは平均年齢17歳の高校生野球投手16人のグループを調べました。わたしたちはウエイト野球ボールを用いたトレーニングセッションの前後に、彼らの肩関節可動域を計測し、その日一日にどのような変化が起こるのかを評価しました。 よく見られるトレーニングプログラムでは、様々な重さの野球ボールが用いられているため、わたしたちは使われるボールの重さの間に違いはあるのかも気になりました。そこでわたしたちは、研究を3つの異なるテストセッションに分けました。 投手らは連続しない3日間にわたり私たちの施設を訪れ、3つの異なるトレーニングセッションを行いました: 2oz(57g)、4oz(113g)、5oz(142g)の軽めのボール 5oz(142g)、6oz(170g)、9oz(255g)の重めのボール 5oz(142g)、16oz(454g)、32oz(907g)の非常に重いボール 各投手は、それぞれのボールを3つの異なるポジションで3回投球しました: ニーリング投球(膝をついての投球) ロッカー投球(脚を前後に開き、重心を前後に移動させて投げる方法) ラン・アンド・ガン投球 つまり、全体では、各テストセッションに3つの異なる重さのボールを3つの異なるポジションで3回ずつ、合計27球を投球したわけです。これは一セッションとしては多くはありません。実際には、人々はそれよりもずっと多く投げてい流ことが多いのです。 各投球セッションの直後に、わたしたちは彼らの肩関節可動域を再び計測しました。このわずかな時間や投球の後に、関節可動域に多くの変化を見つけるとは予測していませんでした。 軽いボールを投球後に選手らを調べた時、これは正しいことが証明されました。関節可動域には何の変化もなかったのです。これはその他の発見のための良い基準になります。別のセッションで変えた唯一の可変値はボールの重さだけだったので、わたしたちが見つけるすべての変化は、ウエイトボール自体に起因している可能性があります。 ボールの重さが増加し始めるにつれて、わたしたちの発見も増えました。6oz(170g)と9oz(255g)の重めのボールでは、肩関節の外旋可動域、またはレイバックにおける変化が見え始めました。ボールの重さが増加するに伴い、投球による肩関節外旋可動域も大きくなりました。重めのボールでは外旋は3度以上大きくなりましたが、16oz(454g)と32oz(907g)の非常に重いボールでは8度以上の驚異的な増加が見られました。 この研究の発見がいかに重要なことか、強調しきれません。レニー氏と私は、関節可動域を計測しながら文字通りお互いを見つめ、そしてショックを受けました。 どの調査研究においても頭においておくべき一つのことは、これらの数値はグループの平均であるということです。あなたが研究の中で数字を一人当たりで分析すると、その結果はさらに価値のあるものになります。現実的にいえば、投球の強度は結果を変えてしまうでしょう。もし一人のある投手が高い強度で投球しなければ、それがデータを台無しにすることもあり得ます。これはウエイトボールを投げることに慣れていない人々に起こりうることですが。 6oz(170g)と9oz(255g)の重めのボールのセッションでは、何人かの選手らの関節可動域はあまり変化しませんでしたが、この増加傾向は見られました。増加した投手においては、平均では8度以上でしたが、5度、10度、さらには15度以上も外旋可動域が増加した選手がたくさんいました。 外旋可動域の平均3.3度の変化は統計学的に有意ではありましたが、この研究が示唆するよりももっと臨床的にこれは意味があるのかもしれません。それよりもっと増加した選手はたくさんいましたが、私は個人的にはこの3.3度の変化を基準値だと考えています。 16oz(454g)と32oz(907g)を投げる非常に重いセッションを調査すると、結果はさらにより明らかになります。被験者の大半は増加し、それも大きく増加しました: ここでもまた、平均8.8度は統計学的に有意ではあるのですが、臨床的な意味はさらに高く、ほとんどの選手が外旋可動域を10-20度増加しました。 この発見は警戒すべきものであり、投球速度の向上のためにウエイトボールを用いたり、あるいは用いることを勧めるのであれば、全ての人たちが理解すべきことです。 ウエイト野球ボールを投げることは、あなたの外旋可動域を瞬時にかなり大きく増加させます。ボールが重くなればなるほど、関節可動域はより大きく増加します。
肩の健康:解剖学及び傷害の概要 パート2/2
肩関節安定性 肩関節の安定筋群は、バーベルがぐらつかないようにするためにデザインされているのではありません。それはより、バランス・運動感覚・固有受容器の機能のためなのです。 安定筋群は関節をまとめるのを手助けする筋肉です。再度述べることになりますが、肩甲上腕関節は身体で最も可動性のある、最も不安定な関節です。球関節の構造はあなたが思い描くかもしれないものとは異なりますす;それは、ティーの上に乗っているゴルフボールのようなものなのです。肩関節の結合組織は、周辺の筋肉からの助けを借りて安定性を得ているのです。 ベンチプレスをしているとき、ローテーターカフの筋肉は、まるでゴルフボールをティーに乗せた状態でキープするように、関節をまとめようと必死に頑張って働かなくてはなりません…強要されている間中ずっと。 肩の問題の大きな要因 棘上筋はしばしば、何らかの形で肩の機能が働かないときに犠牲になります。しかしながら、棘上筋のエクササイズをただやるだけでは意味がなく、損傷部位を悪化させる可能性もあります。肩の問題の要因は、次のいずれかの組み合わせによるものでしょう: 硬い手首 硬い胸筋 硬い広背筋 硬い僧帽筋 過度の胸椎後弯 弱い僧帽筋下部 硬い菱形筋 弱い前鋸筋 弱い外旋筋群 硬い肩甲下筋 硬い斜角筋 …あるいは、単に関節をインピンジメントされるポジションに動かしてしまうエクササイズをしているのでしょう。たとえば、アップライト・ロウは基本的にトップポジションで、腱を刻み擦り切っています。バランスの崩れた肩はやがて不健康な肩になり、あなたをあらゆるスポーツや活動から遠ざけてしまうでしょう。 硬さを軽減する バランスの崩れの問題全体において、胸筋をストレッチすることは答えのまる半分です。硬い胸筋は、上背部の筋肉を強化する努力を台無しにしてしまうでしょう。 上背部をフォームロールすることは、胸椎をゆるめるのに役立つと思います。 脊柱上部を伸展させる筋肉を発達させることも役立つでしょう。十分な量のオーバーヘッドエクササイズを行い、水平面でのロウイングに一生懸命取り組みましょう。すべての種類のロウイングが役に立つというわけではありません;広背筋エクササイズとしてではなく、背部全体のエクササイズとして行えるものが良いでしょう。これはロウイングでチーティングすることを意味しているのではなく、まったくその逆です。最良なのは、恐らくストリクト・バーベルロウ(オリンピックコーチのグレン・ペンドレー氏になぞって時々ペンドレースタイル・ロウと呼ばれる)でしょう。 もしあなたが腕を挙上させるときに、前鋸筋を収縮させ肩甲骨を前方に動かしてあげて、腱にいくらかのスペースを作らなければ、オーバーヘッドポジションは関節に対して本当に酷なものとなります。もし胸椎の伸展不足によって猫背になっているのならば、これは良くありませんね。これらすべてがどのように一緒に働くのかわかりますよね? 運動の連鎖 理学療法士が肩甲上腕リズムと呼ぶ肩甲骨と腕の協調された動きは、健康な肩の機能の重要な一部です。肩甲上腕リズムは、関節のスペースが可動域のある地点で失われてしまわないようにします;つまり、これがインピンジメントを防ぐのです。 何の症状や問題もない天性のアスリートにおいて、これは考えることなくただ起こることです。もしけがやバランスの崩れがそのパターンを乱してしまったら、あるいはそのパターンを取り消す運動に励んだとしたら、それを元の状態にするためには再学習が必要です。 特にあなたがたくさんベンチプレスをし、オーバーヘッドエクササイズをあまりやらなければ、あるいは腕立て伏せか一般的な運動、またはこのパターンを存続させる肉体労働さえもしなければ、ベンチプレスはこのパターンを本当に失わせてしまうものの一つです。 ベンチプレスでは、肩甲骨はベンチに対して押しつぶされ、あなたが何をしようとあまり動きはしません。もし肩甲骨を固定すれば、ベンチプレスがもっとできますが、そこにある考えはあなたの肩を健康にするためではなく、ベンチプレスをもっとするためなのです。 ご覧の通り、ベンチプレスはわたしたちがいかにパワフルなエクササイズをやりすぎてしまうかという一つの例であり、時間の経過に伴って、それはわたしたちの動き方に組織的な問題をもたらします。ベンチプレスをするときに固定された肩甲骨のイメージを打ち砕くのは大変です。 教訓はシンプルです:ベンチプレスを制限しましょう。せめてベンチプレスを減らし、水平ロウ(基本的にベンチプレスと逆の動き)やオーバーヘッド・プレスを行いましょう。 肩のインピンジメント 肩峰の種類 もしあなたが両側に長く続く問題を抱えているならば、肩関節の骨である肩峰がより鋭利な形状をしている可能性が非常に高いでしょう。もしこれが事実ならば、それがインピンジメントのこすれる痛みを起こしやすくしているのです。わたしたちは皆いくらかのインピンジメントを抱えていますが、より鋭い肩峰を持つ人たちは、痛みまたはその肩峰による損傷を抱える傾向がより高くなり、このような人々はインピンジメントを引き起こすエクササイズを避けるよう注意すべきです。 タイプ1は最も肩峰が開いている種類です;タイプ2はわずかに閉じているもの;タイプ3はもっとも閉じているもので、理学療法士たちが「くちばし状」と呼ぶものです。くちばし状の肩峰は、関節のスペースが損なわれるときに、骨のとがった部分がノコギリのようにローテーターカフの腱を傷めつけるので問題です。これは誰にとっても起こりうる問題なのですが、骨が平均よりも長かったり、とがっている場合はより深刻な問題となります。 インピンジメント もしあるエクササイズで毎回肩の同じところがポキッと音を立てているならば、それは大抵インピンジメントですー結合組織が誤った方法で摩擦し、骨の突起または結合組織のその他の擦過傷の上を滑っています。腱は骨の上を滑りながらぴんと引っ張られ、それが骨の角や縁の上を通る際に嫌な音を立てるのです。擦過傷は腱で悪化し、徐々にけがを引き起こします。 このままエクササイズをし続けるというのは良いことではありません。もし痛むのであれば、中断しましょう。もしクリック音を立てるのであれば、やめてください。医療専門家に肩を診てもらいましょう。理学療法だけでインピンジメントを解消できる可能性は十分にあります。もしあなたが軟部組織を損傷する前にそうすることができれば、それに越したことはありません。 内旋筋群が硬い、あるいは外旋筋群が弱いとき、肩はインピンジメントを起こす位置に引っ張られてしまいます。内旋筋群とは、胸筋、広背筋、そして肩甲下筋です―これらは大抵ストレッチが必要です。一般的に強化が必要である外旋筋群には、棘下筋、小円筋、そして棘上筋があたります。多くの場合、胸骨に向かってのロウイングに一生懸命取り組むだけで、インピンジメントを和らげることができるでしょう。とりあえずロウイングに一生懸命取り組んでみることをおすすめします。 関節を広げ、骨を腱から離してくれるいくつかのこととは: 胸筋、広背筋、そして僧帽筋をストレッチすること 外旋筋群、僧帽筋下部、そして前鋸筋を強化すること 胸椎の可動性を出すこと インピンジメントを引き起こすもう一つの厄介な問題は、腕と正しく協調して動いていない肩甲骨です。前鋸筋と僧帽筋下部を鍛えることは、健康的な動作の基盤を提供しますが、わたしたちは正しい方法で動くことを学ぶ必要もあり、もし悪い習慣が染みついていたらそれはなかなか難しいかもしれません。インピンジメントは、動作中に骨が正しい位置から外れるときに起こります。それがインピンジメントというもので、骨の間に軟部組織が挟まってしまうのです。もし骨がうまく動いていたら、それらが軟部組織を挟むことはないでしょう。 棘上筋は骨の間の小さい隙間を通っています。もしあなたが肩の弱さや硬さ、あるいはバランスの悪さを抱えているならば、骨は棘上筋を傷める位置に引っ張られてしまいます。それがインピンジメントです。 胸椎の可動性がないときーそれが硬いときや伸展できないときー肩はまたしても悪い位置に引っ張られてしまいます。上背部には胸椎を伸展させる深部筋群があります。フォームローラーでローリングすることは、その部分を動くようにさせるための良い一歩です。 インピンジメントは、動作中に骨が正しい位置から外れてしまうときに起こります。多くの場合、軟部組織の損傷は、ローテーターカフ筋群の起始部の腱の損傷です。 インピンジメントを避けるために多くの人々がやるべきことは: 弱い部分を強化する 硬い部分をストレッチする 腕の動かし方を再習得する そして危険なことを避ける。 しかしながら、硬いと感じるものが硬化ではないかもしれず、それをストレッチすることが新たにより大きな問題を引き起こすこともあるため、医療の専門家からの指導を得ることは重要です。 肩をけがしているとき 肩のけがは、トップダウン(身体上部からの連鎖)で運動に影響を与えます。肩のけががあるときは、歩行またはランニングを含め、どの身体運動も通常通りではありません。 たとえあなたが強いとしても、あなたが肩をけがする方法はたくさんあるのです…特にあなたが強ければなおさらかもしれません。 強く安定した肩の発達には、ローテーターカフの4つの筋肉以上のものが必要です。肩をけがしたからといって、ローテーターカフが弱いと単純に結論付けることはできません。いくらかのローテーターカフの問題は避けられないものかもしれませんが、多くのこと、あるいはもしかしたらほとんどのことは予防することができるでしょう。もし肩の機能を修正しインピンジメントを解消することができれば、あなたは非常に多くの問題から自身を守ることができます。 肩の痛みを持ち、手術を必要とするのはほんのわずかな人々であり、多くの人達は良い治療計画ですぐに効果が現れます。大事なことを最初に ー痛みを悪化させることは何もしないように!痛むならやらない、のです。 次に大事なことは、専門家に診てもらうこと。アスレティックトレーナー、理学療法士、医師、またはカイロプラクターは、まず診てもらうのにふさわしい人たちです。 アスリートを治療する良いカイロプラクターや理学療法士の間での総意は、よくある肩の問題に対し保存療法はとても効果が見られるということです。そしてこれらの治療家の何人かは、非常に基本的な休息、ストレッチ、そして筋力強化による治療でそのような結果を得ています。
肩の健康:解剖学及び傷害の概要 パート1/2
肩とは 肩の健康についてのどのような考察も、まず肩が非常に複雑な関節であることを認識する必要があります。そのデザインにより、肩は身体の中で最も可動性のある最も不安定な関節になっており、とても小さな変化でその力学的機能は変わってしまい、問題を引き起こすこともあります。 関節を安定させ支える筋肉は、主にローテーターカフ、そして肩甲骨安定筋群、菱形筋、僧帽筋、そして前鋸筋でありー一般的に肩甲帯と呼ばれるものです。胸骨と接する鎖骨、肩甲上腕関節(肩の球関節)、そして肩甲骨によって、まさにヨーク(くびき)のようになっています。 ローテーターカフ ジムでトレーニングする人達の大部分に向けた肩の健康に関するイントロは、チューブを使ったローテーターカフの内旋及び外旋エクササイズを行うための指示で構成されています。ローテーターカフを強化することは大抵良いアイデアなのですが、だからと言ってそれが理想的な肩のメカニクスを保証しているわけではありません。弱いローテーターカフで適切な肩のメカニクスは得られませんーローテーターカフの働きは必要なのですが、それだけで十分ではないのです。 よくローテーターカフが腱としてみなされるのを目にするでしょうが、ある問題の根本的な原因としてローテーターカフの筋肉を除外してはいけません。事実、骨が腱を擦り減らして生じる損傷のほとんどは、もともと筋肉の問題によるものなのです。 ローテーターカフの構造がどのように負傷するのか ローテーターカフの筋群は2つの理由で痛めつけられます。まず、それらが大きな仕事を持つ小さな筋肉であるということ。そして二つ目は、もし肩が適切に機能していなければ、それらの筋肉は関節に文字通り削られてしまうような位置にあるということです。この研削がインピンジメントと呼ばれます。もしある動きの中で、特定の位置に達するといつもコツンという音やポキッという音が聞こえるのであれば、それはインピンジメントかもしれず、対処するのが賢明です。時間がたつにつれ、小さな摩滅が大きな問題を引き起こしうるのです。 強いローテーターカフは、かかる負担によってけがをすることなく自分たちの仕事をより良く行うことができ、肩が適切に動き続ける手助けをしてくれるでしょう。しかし強い外旋筋群だけでは、健康な肩の動きは保証されません。 もしあなたの胸筋が柔軟でなければ、あなたは問題を抱えることになるでしょう。そして肩甲骨をコントロールする筋肉ーつまり菱形筋、僧帽筋中部及び下部、そして前鋸筋は、十分に強くなければなりません。 たとえすべてが強く、十分に柔軟性を持っていても、協調する運動パターンがうまく順序だっていなければ、あなたはなお問題を抱えるかもしれません。このことを考慮してください:もしローテーターカフをけがしたら、強化をするのは待つ必要があります。医師の診察を受け、手術の必要な断裂がないことを確認しましょう。もし受動的運動が必要であれば、理学療法士のところへ送られるかもしれません。 どのようにローテーターカフを強化するか ローテーターカフについて、理学療法における最新の思考には、良い機能を取り戻すためにいくつかのステップがあります。第一に個々の筋肉の治癒、筋力と可動域の回復、そしてそれらを神経学的にうまく発火させることです。それを行うのが、それらのチューブによるアイソレーション・エクササイズです(わたしたちが理学療法から拝借したエクササイズですね)。 次のステップは、これらの筋肉が全身と協調して働けるようにする運動パターンを再習得することです。コンパウンド・エクササイズ(複合エクササイズ)が良く、安定性に付加的要求をするエクササイズは大いに役立つかもしれません。 突き詰めていくと、多くの人々は、安定筋群の十分な筋力を維持するために直接的な運動をしなくてはならないでしょう。一例をあげると、もしあなたが肘を外側に張り出すロウイングをしていなければ、あなたはローテーターカフをあまりターゲットにしていないかもしれません。たとえしているとしても、大きな主働筋群が安定筋群を上回って、結局それらが分担した以上の働きをしてしまい、ローテーターカフは使われないままになる可能性が非常に高いでしょう。ロウイングによって、ローテーターカフの4つの筋肉すべてが肩を十分に支えられるほど鍛えられるという確率は低いのです。 とるべき方法は2つあります:一つは、ローテーターカフの筋力を定期的にテストし、十分な筋力と可動域が様々なポジションすべてに備わっているかを確認することです。そして、必要に応じて弱点を克服するエクササイズをしましょう。もう一つは、ただいくつかのローテーターカフのエクササイズを行うことです。一週間におよそ10分間程度ですから、それをちょっとずつやるというのは十分簡単ですね。 ローテーターカフの筋力は、通常直接的なローテーターカフ・エクササイズでどれだけの重さを使えるかを見てテストされます。理想的には、他との関連を無視して数字を見るよりもむしろ、統合的な上半身エクササイズの筋力と比較しましょう。 ローテーターカフの外旋エクササイズは、健康な肩を守るためのごく一部にしかすぎません。それらは、ジム仲間が毎トレーニングセッション前にチューブをつかんでウォーミングアップするという、あなたが期待するような万能の策ではないのです。 基本的な肩の健康 関節の可動性と安定性の観点から肩を見るとき、肩甲骨には安定性が必要な一方で肩甲上腕関節は可動性を要するため、私たちは肩甲帯の考えを分けなくてはなりません。 主要な部分に硬さがあるとき、肩はあなたの手、腕、そして胸郭に適切な動きを提供するために安定性を諦めます。肩の安定性なしでは、けがへと一直線です。あなたが肩関節から離れた身体の部位の柔軟性を得るまでは、健全で強くなるためのあなたの努力は、ある程度までしか効果がないでしょう。基本的な肩の機能を確実なものにするために、最低でも適切な柔軟性を得るまで、手首、胸筋、広背筋、そして肩甲下筋をストレッチし、そして生涯を通していくつかの基本的なストレッチをすることを計画しましょう。 幅広い種類のエクササイズを用いて、ローテーターカフと肩甲骨をコントロールする筋肉を鍛えましょう。もしあなたの使っているエクササイズが望ましい結果を出していないのであれば、他のエクササイズを試しましょう。胸筋や上腕二頭筋と同じくらい、上背部の筋肉や肩の安定筋群の筋力強化に頑張って取り組みましょう。 前鋸筋からのインプット 肋骨の背部に対し平らであるべき肩甲骨が突き出てしまっている翼状肩甲骨は、弱い前鋸筋、あるいは習慣的に怠けている前鋸筋が原因です。前鋸筋は肩甲骨を引き下方回旋させますが、それが正しく働いていないとき、肩甲骨縁は上に持ち上がり突き出てしまうのです。前鋸筋を定期的に鍛えることは必要不可欠です。 ウエイトトレーニングをする人たちの間では、何が前鋸筋を働かせるかについて多くの誤解があります。たとえば、前鋸筋も使うエクササイズとして長い間考えられてきていたプルオーバーは、前鋸筋を使ったとしてもそれほどではありません。プルオーバーをしているときに前鋸筋を収縮させることはできますが、それは前鋸筋をそれほど使う動きではないのです。反対に、前鋸筋を本当に発達させる基本的な運動とはオーバーヘッド・プレスで、できれば立位で行うのがよいでしょう。 ベンチプレスをすることは、前鋸筋の機能不全の一因となることがあります。通常水平面で押すとき、前鋸筋と胸筋、三角筋、そして上腕三頭筋は一緒に働きます。肩甲帯は腕に沿って前方に伸展されます。ベンチの上に寝転ぶとき、ことはうまくいかなくなるのです。肩甲骨は体重とバーの重さを合わせた重量の下敷きになってベンチの上で押しつぶされ、自由に動くことができません。加えて、ベンチプレスの「ゴール」は、バーをできるだけ高く上げることではなく腕をしっかり伸ばすことですから、前鋸筋は肩甲帯を伸展させるために使われないということになります。 これをさらに説明するものとして、前鋸筋はボクサー筋と呼ばれることがあります。最大のリーチとパワーのために、腕と肩甲帯の協調された完全伸展が自然と要求されるボクシングでは、この筋肉が非常に発達するのです。 前鋸筋をもとの状態に戻すには、大抵アイソレーション・エクササイズが第一段階です。最良のエクササイズは恐らく、インクラインベンチあるいは立位で、バーをオーバーヘッドで持って行うシュラッグでしょう。もしあなたが片側に問題を抱えているなら、そのエクササイズを二つのダンベルまたはケトルベルを用いて行うか、あるいは片手ずつ行うのは理にかなっています。 もう一つの良いエクササイズは、プッシュアップ・プラス、あるいは肩甲骨プッシュアップと呼ばれるものです。これは通常のプッシュアップのようですが、背中のてっぺんができるだけ高くなるようにプランクポジションを超えてプッシュします。通常のプッシュアップを試し、それからプッシュアップ・プラスをしてみると、プレスと肩の完全伸展との間の違いを感じるでしょう。プッシュアップのポジションになり、そして肘をロックしたまま、肩の後方をできるだけ高く持ち上げることを繰り返します。それはシュラッグのようです;動きは肩甲帯のみで起こりますす。これは肩甲骨の安定性のための優れた導入的コレクティブ・エクササイズです。 前鋸筋が機能的であるとき、オーバーヘッド・プレスは、恐らくその筋肉を強く健康に保つのにふさわしいものでしょう。
精神的ストレスがどのようにフィットネスを妨害するか(そしてそれに対して何をするのか)パート2/2
精神的ストレスがあなたのフィットネスを台無しにするのを防ぐ3つの方法 そうです、精神的ストレスはリカバリーを壊滅させることであなたのフィットネスを台無しにしますが、良いニュースがあります:これが起こるのを防ぐことができるのです。 これは、生活がストレスに溢れていることを認識することから始まります。どれだけ私たちが頑張ろうとも、ストレスを完璧になくすことは絶対にできません。 しかしながら、私たちは、フィットネスと健康の両方に対してその影響を最小限にするために積極的に取り組むことができます。ジムにいる時にトレーニングに時間とハードワークを費やすように、トレーニングが終わった際にリカバリーに対して同じことをする必要があります。 フィットネスはあなたがジムを去る時に止まるのではありません。 これを心に留めたうえで、精神的ストレスがあなたのフィットネスを妨害する事から守る3つの非常に効果的な方法を紹介します。 1. リカバリー曲線を追跡して最適化するためにHRVを用いる 私が20年前に初めて心拍変動(HRV)を使い始めた頃、フィットネス業界においてそれが何かを知っていた人はほぼいませんでした。今日では、無数のHRVのアプリと機器があり、非常に多くの人がHRVを毎日測定しています。 HRVは、あなたのリカバリー曲線を追跡するための最も優れた唯一つのツールです。なぜなら、それは前述した副交感神経系を利用してあなたの身体がどれだけリカバリーにエネルギーを費やしているかを間接的に計測するからです。 あなたの心拍の変動を計測することで、リカバリー曲線上のどこにあなたの身体が位置しているかという最適な全体像を示してくれます。これはHRVが、精神的ストレス、睡眠、栄養やその他の影響を評価する助けになるということです。 それが、正しく用いることでHRVが非常に効果的である理由です。 それはどのようなものでしょうか? 精神的なストレスがあなたのフィットネスを台無しにするのを防ぐために、最も重要なHRVの使用方法は、ジムの外であなたが対処しているストレスとジムの中であなたがするべきこととを関連させることです。 精神的ストレスや睡眠不足、良くない食べ物の選択などによってあなたのHRVに大きな変化が見られたときは、トレーニングを調整して更なるストレスを加えることを避けましょう。 多くの人がストレスの多い日に強度の高いトレーニングを行うことを良い考えだと思っています。長い間HRVを使わなくても、これが実際には非常に良くない考えだということがわかるでしょう。なぜならそれはリカバリーを台無しにするだけだからです。 HRVが、身体的及び精神的なストレスがお互いを相殺しないということをすぐに示してくれるでしょう。 もしすでに日常的にHRVを使用しているのであれば、ここをクリックして最大限に活用するための秘訣をみてください。 もしHRVを使っていないのであれば、私のリカバリー管理システムであるMorpheusをチェックするのを忘れないでくださいね。 2. あなたのストレス管理スキルを向上させるための手段としてトレーニングを使う 私が最初に格闘技のアスリートのトレーニングを始めた時、彼らの持久力を向上させる最良の方法は、彼らを精神的及び身体的なリミットまで追い込むことだと思っていました。 そして数ヶ月経った後、私は彼らと一緒にトレーニングし始め、すぐに私がどれだけ間違っていたかを思い知ったのです! 最も持久力のあったアスリートは、常に最も高い強度でトレーニングしていたアスリートではなかったのです。 それは簡単そうに見せながらも最も多くトレーニングしていたアスリートだったのです。 彼らは自身をコントロール下においていたのです。彼らは自身のエネルギーをうまく調整し、信じられないほど効率的だったのです。彼らはリングでスパーリングをしたとき、常に時速100マイルで突っ走ることはしませんでした。 彼らは永遠と続けることができましたが、一方で私はすぐにガス欠になりました−自身を追い込みましたし、そしていい状態であると思っていたにもかかわらず。 それが、トレーニング強度を全く異なる方法で用いることがどれだけ重要であるかということを私が思い知った瞬間です。 格闘家に自身の心拍数を最大まで押し上げさせようとする代わりに、彼らの心拍数をコントロールすることに集中させ始めました。 私は彼らに自身を追い込んでほしかったのですが、同時にエネルギーを調節し冷静でいてほしかったのです。これが、私がダイナミックエネルギーコントロールと呼ぶものであり、そしてこれはトレーニングすることのできるスキルです。 格闘系のスポーツにおいて、このスキルは多くの場合で勝負に勝つことと最初のラウンドでガス欠になってしまうことの差なのです。 あなたは格闘系のアスリートではないかもしれませんが、生活のストレスへの対処が上手くなりたいのであれば、あなたの最もパワフルなツールはジムなのです。もし、高重量を挙上したり有酸素トレーニングで追い込んだりする中で、身体的なストレスが高い時に冷静でいる方法を学ぶことができるのであれば、あなたはすぐに精神的ストレスにうまく対処できるようになるでしょう。 なぜならこれは、ダイナミックエネルギーコントロールはまさにあなたのストレスとリカバリーシステムとどのように関わるかを学ぶことだからです。そして、それがあらゆるタイプのストレスに対処するための鍵となります。 ダイナミックエネルギーコントロールに取り組み始める最も良い方法は、心拍モニターを使ってトレーニングすることです。この形のバイオフィードバックは、他の人が完全に見落としている異なるトレーニングの側面を活用する助けになります。 ここをクリックすることで、私が実際にどのようにやっているかを見ることができます。 3. 最低でも5分のアクティブリラクゼーションを日々のルーティーンに取り入れる 精神的ストレスを減少させ、リカバリーを促進させるためにあなたができる最も重要なことの一つは、積極的にリラックスするために毎日数分を費やすことです。 なぜこれが非常に重要なのでしょうか? 他のことと同じように、ストレスの多い思考を減らして、リカバリーを促進させることに上手になりたいのであれば、練習しなければなりません。 その本質において、これは、交感神経ストレス反応系を下げそして副交感神経のリカバリー系を上げる方法を学ぶという行為なのです。 瞑想やマインドフルネス、ヨガなどといったものの実施は、この必要不可欠なスキルを向上させるために全て効果的な方法です。マインドのスイッチをオフにし、そしてストレスを解放するというコンセプトは何世紀ものあいだ存在しており、なぜなら人々は健康と寿命を増加させるためのその価値を長く認識していたからです。 HRVのようなツールが、私たちのフィットネスにとっても信じられないくらい重要であることを示してくれたのはつい最近のことです。 あなたがどのようにアクティブにリラックスすることを選択したとしても、鍵となるのは毎日一貫して数分実施に費やすことです。私からの提案は5分から始め、向上し始めるにつれて少しずつ増やしていくことです。 長い時間には思えないかもしれませんが、1日に5分だけでも大きな違いを作ることができます。私はそれが起こるのを何回も目にしました。 あなたがマインドフルネスに関するアプリを利用するか、またはヘッドフォンをしてリラックスミュージックを聴くにしろ、心拍モニターを用いることでアクティブなリラクゼーションの実施が機能しているかどうかを追跡することができます。 交感神経系の働きを下げ、そしてストレスを解き放った時、あなたの安静時心拍数は自然に数拍減少するでしょう。これが上手くできるようになった時、心拍数がより速く下がるのがわかるでしょう−時が経つにつれより低くなるのもわかるでしょう。 もしHRVを追跡しているのであれば、ストレスからの立ち直りがより良くなるにつれ、あなたの平均HRVの顕著な増加も見えるでしょう。これは、毎回のトレーニングの後のリカバリー曲線が向上しているであろうというサインなのです。 お話の最後に マイクロソフトに勤めるクライアントに対して精神的ストレスがどれだけ影響を与えていたかを見た後に、私は彼のプログラムに少し変更を加えました。同時に、私は彼に上記で述べた方法に取り組み始めてもらいました。 この方法で、次の数ヶ月で彼の垂直跳びは3インチ増加しました。そして彼は自身の人生で一番のバレーボールのパフォーマンスを発揮したのです。 更なるボーナスとして、彼は数ヶ月ごとにしつこく起きていた怪我を、自身のプレー歴の中で初めてしなくなりました。彼は完全に健康でい続けたのです。 言うまでもなく、彼は最初の3ヶ月の後よりも大いにハッピーでした! 彼は最終的に私の最良のクライアントとなり、そしてそれから10年間定期的に私とのトレーニングを続けました。彼はさらに、数多くのマイクロソフトの従業員やバレーボール選手を紹介してくれて、それは私のビジネスをうまくスタートする大きな助けとなったのです。 もし彼の精神的ストレスと垂直跳びを結びつけていなければ、このお話は全く違った形で終わっていたことは疑う余地もありません。 問題は、多くの人にとって、私の場合とは違った形でこのお話が本当に終わってしまうということです。彼らは精神的ストレスとリカバリーがどれだけ重要かということを全く認識しません。彼らは、精神的ストレスが多くの場合で、結果に対しては、トレーニングよりもより大きな制限因子であることなど思いもよらないのです。 人々はジムで多くの時間、そして数百ドル(もしくは数千ドル)をコーチ、サプリメント、ウェアラブル機器などに費やし、5回4セットをするべきか、4回5セットをするべきかといった細かいことに労力を費やします。 しかし、多くの人々がしていないことは、不運にも、ジム以外での23時間に投資することです。 彼らは決してストレスを減らす方法を学ぶことに取り組むことがありません。十分な睡眠も取りません。彼らはカフェインや他の刺激物に頼っています。彼らは十分で適切なカロリーを適切な時間に摂取しません。リストはまだまだ続きます。 あなたのフィットネスの目標がなんであれ、もしそこに実際にたどり着きたいのであれば、鍵はトレーニングをし、自身を回復させ、そしてそれを繰り返すことです。何度も、何度も、何度も繰り返して。
精神的ストレスがどのようにフィットネスを妨害するか(そしてそれに対して何をするのか)パート1/2
私が自身のジムを2003年に開いて間もなく、マイクロソフト社の上級役員が私のトレーニングを受けるためにやってきました。彼は趣味でバレーボールをプレーしていていましたが、身長が5’9”(175cm)しかなかったので、彼は垂直跳びを向上させることに必死でした。 1ヶ月ほど彼とトレーニングをした後、彼の垂直跳びは1インチ強向上しました。彼はこれを非常に大きな増加と捉えました。なぜなら彼の跳躍は一年間以上全く向上していなかったからです。 次の段階で、私は強度を少し上げることにしました。物事はうまくいっており、私は彼がこのまま向上し続けて欲しかったのです。さらに1ヶ月が経ち、私たちは再度測定をしました。 この時、結果はあまりエキサイティングではありませんでした−彼の跳躍は実際0.5インチ下がってしまったのです。 それはただ調子の悪い日であり、彼は前回のトレーニングセッションによって疲れているからだと、私は考えました。過小評価し、私は彼のプログラムをほぼ同じに維持し、押し進めていったのです。 次の月は、さらに悪くなりました。彼の垂直跳びはさらに0.5インチ下がったのです。 3ヶ月間私とトレーニングを行った後で、彼の垂直跳びは始まった時の数値まで戻ってしまいました。この時点で、彼は明らかに結果に対してそれほど興奮していませんでした。 彼はイライラしており、そして私もそうでした。私は何がうまくいかなかったかを見つけ出さなければなりませんでした。 この時、私は各セッション前に彼のリカバリーを記録するために心拍変動(HRV)を用いていました。これはHRVのアプリができる何年も前でしたので、測定できる唯一の時間は、彼がトレーニングをしに来た時だけでした。 問題は、彼は週に2日か3日だけしか私とトレーニングをしていなかったことでした。全体像を見ていなかったことを私は知っていました。 より多くのデータを取れるように、次の月は週末も含めて毎日ジムに来れるかどうかを彼に尋ねました。正直に言うと、これが本当に役に立つかどうかはわかりませんでしたが、試す価値があると私は考えたのです。 最初の丸々1週間の日々のHRVの記録によって、彼の垂直跳びが下がっていった理由が明らかになりました。彼のリカバリーはひどかったのです。 週全体のデータを追跡するまで、私はそれを見ることができなかっただけなのです。 過去数ヶ月のうちに何か変化があったかを知るために、私は彼の生活スタイルについてより多くの質問をし始めました。彼が仕事で非常に大きなプロジェクトを任された、と私に教えてくれたのはその時でした。私とのトレーニングと週末のバレーボールに加えて、彼は職場で週に60〜70時間も仕事に打ち込んでいたのです。 彼の仕事のストレスと垂直跳びに関連があるということを、彼は考えたこともありませんでした。しかし、一度私が彼のデータの全体像を見て、そして彼がどれほどのストレスを抱えていたかを聞くことで、謎が解けたことがわかったのです。 精神的ストレスが、彼のリカバリーと垂直跳びをダメにしていたのです。トレーニング前に彼のHRVを測定することがそれを見つけ予防するために十分だと思っていました。私は間違っていたのです。 次に何が起きたかについてもっとお話ししますが、その前に、そもそもなぜ精神的ストレスがフィットネスのパズルにおいて、そのような重要なピースであるかお話ししたいと思います。 リカバリー曲線を理解する−なぜそれが毎回のトレーニングから最大限に得るための鍵となるのか 精神的ストレスと頭の中の考えが、トレーニングから得られる結果を実にどのように変えてしまうかを理解するために最も簡単な方法は、2014年のStults-Kolehmainenらによる研究を見ることです。 研究者らは、大学生のグループに一連の体力テストをさせ、彼らの生活のストレスのレベルによってカテゴリー分けをしました。 そして、それぞれの学生はレッグプレスで10レップマックスを行い、その後にさらに高重量で6セットを行いました。 これに続く4日間(96時間)にわたって、リカバリーを評価するため、彼らは24時間ごとに自己申告による筋肉痛と疲労のレベルの他に、最大アイソメトリック筋力(MIF:Maximum Isometric Force)を再測定しました。 4日間にわたって24時間ごとにリカバリーを調べる事で、私たちがリカバリー曲線と考えているものを示してくれます。これはあなたの身体がトレーニング、このケースにおいてはフィットネステスト、から回復するにつれて通る軌道なのです。 リカバリー曲線は非常に重要です。それは、トレーニングの結果、あなたのフィットネスが向上したか、変化がないか、それとも減退したかどうかを最終的に決定するものです。 200ヤード先の的に向かって矢を放つことを思い浮かべてください。的に当てるか当たらないかは、どこに狙いを定めて、いつ放つかといったこと以上のことによるのです。 狙いを定めて完璧に放つことはできますが、強い突風が吹けば矢は的を完全に外してしまうでしょう。これはフィットネスが作用する方法によく似ています。あなたのトレーニングはただの引き金なのです−その後に起こる全てのことがあなたの結果を目的から外してしまうのです。 言い換えると、それは的に当たりあなたのハードワークから最大限の効果を得ることと、的を完全に外してしまうこととの違いになりえるのです。 この差がどれだけ劇的になりえるかを見るために、異なるストレスレベルの学生のリカバリー曲線を比べてみましょう(平均自覚ストレススコア(MNPSS)によって数値化): グラフの三つの曲線はそれぞれの異なる総合的なストレスを表し、右側のMNPSSスコアによって示されています。 総合的なストレスが最も低い学生(点線)は最も速く回復し、テスト後の数日の間に筋力の明らかな向上が見られました。 ストレスレベルが最も高い学生(実線)は、それほどうまくことが運びませんでした。全4日間の後、彼らの筋力は開始時までの回復をしていませんでした。 最後に、ストレスが中程度だった人たち(破線)は、単に開始時点に戻るまでの回復に約3日かかりました。ストレスレベルの高いグループのように筋力を失いませんでしたが、筋力を得ることもありませんでした。 そのことについて少し考えてみてください。 全ての学生は同じ評価とトレーニングのプロトコルを経験しました。しかし、その後に起こったことは彼らの精神的ストレスのレベルによって劇的に異なったのです。 なぜなのでしょうか? フィットネスに関する真実−結果を駆動するのはジムの外での23時間である 多くの人々は、精神的ストレスが多すぎるのは良いことではないことを理解しています。しかし、彼らは、それが自身のフィットネスに対してこれほど劇的な役割を担うことを知りません。単なる思考が、効果を得ること、停滞すること、さらにはフィットネスの低下や怪我をすることの相違となり得ることは不可能のように思えるのです。 しかし、真実は、精神的ストレスは、あなたのトレーニングの結果に対して非常に大きな影響を与えることができ、またしばしば影響を与えるのです。これはまさに研究が示したことであり、過去20年のコーチングにおいて私が個人的にも経験したことです。 これには2つの大きな理由があります: 一つ目は、あなたが精神的ストレスに対処する際、常に、あなたの身体は知覚した驚異に対応するためにリカバリーの方からエネルギーを移動させます。これが交感神経系の働き方であり、身体の「ストレス反応」システムと呼ばれている理由です。 これが起きた時、副交感神経系(リカバリーを促進する役割がある)の働きは低下します。このパターンの最終結果は、あなたのリカバリー曲線が下向きに押し下げられることです。 あなたの身体はフィットネスを向上させることよりも、ストレスに対処するためにエネルギーを費やし、フィットネスは後々に精算されるだけになります。エネルギーのリソースは限られており、そのため、脳は最も重要なものを優先させなければならないのです。 精神的ストレスがフィットネスに致命的である二つ目の理由は、それがリカバリーの他の2つのドライバーである、睡眠と栄養に複雑に結びついているからです。 ストレス疲れしているために、おそらく食べるべきでないとわかっているものを食べたことは、何回ありましたか?または、何かが気になって、夜ベッドに横になっても眠れないことはどのくらいあったでしょうか? 大きすぎる精神的ストレスはそれだけでも十分悪いものです;しかしそれは同時に空腹を駆り立て、そして睡眠を妨げ、効果的なリカバリーキラーにしてしまうのです。