マイクロラーニング
隙間時間に少しずつビデオや記事で学べるマイクロラーニング。クイズに答えてポイントとコインを獲得すれば理解も深まります。
ファンクショナルサーキットの開発 パート2/2
ファンクショナルサーキットを構成するドリルを正しく理解して実行するために、ジョシュ・ヘンキンが解説をするファンクショナルサーキットのパート2をご覧ください。
ファンクショナルサーキットの開発 パート1/2
身体機能を向上させるためのエクササイズを効果的に組み合わせた、ファンクショナルサーキットを構築するうえで、構成要素となるそれぞれのドリルをしっかりと理解して正しく行えるか否かは重要なことです。ジョシュ・ヘンキンが、サーキットを構成するドリルを解説するビデオのパート1をご覧ください。
コンディショニングの真実:なぜ強く、速く、フィットしていることだけでは十分ではないのか パート2/2
コンディショニングスキル#1:ダイナミック・エネルギー・コントロール(心拍数と出力をコントロールする能力) コンディショニングのゴールはフィットネスレベルをずっと100%、すべて出し切れるよう十分に高く発達させること、そうですよね? 多くの人々がそう考えますが、ただそれは現実ではないのです。 スタートからフィニッシュまで100%出せるという考えは良いアイデアのように聞こえる一方で、競技またはトレーニングセッション中の間ずっと最大出力を維持することは人体には不可能なのです。 そこで疑問はこうなります:いつ100%、あるいは60%か70%でいくかをどうやって知ることが出来るでしょうか?それと同様に重要なこととして、それらの出力レベル間の違いを私たちは本当に知っているのでしょうか? いつどのようにエネルギーをコントロールすれば、ある時にはエネルギーを縮小し保存することができて、本当に重要な場面でアクセル全開にできるのか、私たちはどのように知ることができるのでしょうか? それらの疑問に対する答えは、私が“ダイナミック・エネルギー・コントロール”と呼んでいるものですーあなたの出力や消費を十分に認識し、疲労を避けパフォーマンスを最大化するために意識的にコントロールすることのできる能力です。 このスキルを持っていない人々は、出ていってガス欠になり、エネルギー生産の容量を超えて、必然的に急速な疲労を導くことになるでしょう。これは非常によく起こることで、気づきとコントロールの欠如以上のなにものでもありません。 現実は、あなたはエネルギー消費と生産の限界が何かを認識できる必要があり、それらを超えそうな時を認識した場合の戦略を持っていなくてはなりません。これがあなたがエネルギーを効果的に管理できるようになるための唯一の方法であり、すべての中で最も重要なコンディショニングスキルです。 これをどう行うのでしょうか? フィットネスの質を発展させている時、あなたは心拍数モニターを使わなくてはならず、アスリートたちにどのように心拍数を上げ下げするか、そしてどのように心拍数の限界と力発揮の容量を知るかを教える必要があります。 もしあなたが“もっと頑張ること”が常に答えであると思いながら、それらの限度を超えて押し続ければ、より早く疲労するでしょうー第4クォーターや最終ラウンドなど、最高でなくてはならない時にガス欠になりやすくなるのです。 しかし、もし疲労の警告サインを認識し、異なるレベルの力発揮がどのように見え感じるかの認識を発達させることが出来れば、それをどのように対処し操るかを学ぶことが出来ます。 たとえ競技中、心拍数モニターを着けていなくても、あなたは疲労の警告サインを認識することが出来ます。もしあなたが、無理をしすぎる強度がどのように見え、感じるかを認識していれば、エネルギー消費を管理し、最高のパフォーマンス維持の対処をするための戦略を用いることが出来ます。 これが実際何に行き着くのかというと、マインドセットの移行です。トレーニングのゴールが誰かを何度も繰り返し疲れさせることだと考えるよりも、どのようにエネルギー消費をコントロールし管理するか学ぶことを選ばなくてはなりません。 要点:エネルギー消費を認識し、本当に必要な時のためにエネルギーを保存し、試合を通してパフォーマンスを維持するためにどのように調整するかを知るダイナミック・エネルギー・コントロールは、アマチュアとエリートアスリートを分けるものであるーそしてそれはしばしば勝利と敗北の間の違いである。 コンディショニングスキル#2:回復と呼吸(よりよい呼吸をし、より早く回復し、より良いパフォーマンスをする) 多くのコーチやトレーナーたちは、彼らのアスリートがフィールド上、コート、またはトラックで行っていることに努力を注いでいます。そしてそれは明らかにとても重要です。 しかし、同じくらい重要なのは、試合の“余白”―フットボールであなたがフィールドから出てきたときやホッケーで氷上から出てきたとき、あるいはクォーターやハーフタイムの間―に何が起きるかです。それらのすべては、実際のプレー期間と同じくらいコンディショニングにとって重要なのです。 試合やトーナメント、またはマッチのラウンドの合間に渡ってパフォーマンスを維持するために、回復のスキルを教えることが、勝つために必要なレベルでパフォーマンスし続けることを可能にするのです。 もし素早く回復しストレス反応を抑える方法を学ばなければ、あなたは、とても早く疲労しきってしまうことでしょう。 回復については、私たちが話せる様々なことがたくさんありますが、競技の途中で最も容易にコントロール出来ることが呼吸なのです。 もしより効果的な呼吸の方法を学ぶことが出来れば、競技の休憩時間中に心拍数を"回復"状態に戻すことができるため、その時がくれば、試合に戻り100%を出す準備が出来ているのです。 理想的なパフォーマンスのためには、人々にどうやって高いレベルでエネルギーを消費するかを教えるだけでは十分ではありません。 私たちは彼らに、彼らが運動時間にエネルギー消費を管理し、競技のトランジションや"休憩"時間の間に出来るだけ素早く回復することが出来るよう、効率的に呼吸をする方法を指導しなくてはなりません。 コンディショニングスキル#3:疲労運動制御(疲労が出てきた時になぜテクニックと動作の質を維持しなくてはならないのか) コーチやトレーナーたちが犯している最大の間違いの一つは、疲労下においてだめなテクニックと動作の質を許していることです。 もっと悪いことに、多くの人々が疲労に対処する最も良い方法は、疲労の中で苦しむことだと考えているために、アスリートを意図的に過度に疲れさせてトレーニングさせているのです。これはしばしば"精神的な強さ"を築くという名目で行われます。 真実は、厳しいトレーニングセッションを遂行させることは、彼らを非常に疲労させることになり…だいたいが非常に悪い動作の質と運動パターンを増強することに至ります。 こうしたアスリート達が試合に行った時何が起こるかというと、彼らはこうした不十分な運動制御パターンとテクニックにおける間違いを持ち込み、より多くのエネルギーを消費し、さらに早く疲労してしまうことになるのです。 だめなテクニックや動作の質を許してしまうことーたとえ"ただの"練習やトレーニングであってもーは、確実にアスリートのパフォーマンス潜在能力を制限し、彼らのコンディショニングをよくするどころか悪くしてしまう方法です。 言及したように、私たちは"精神的な強さ"の名目で行なっていますが、私たちが本当に行なっているのは、最も大切な時にだめなテクニックとパフォーマンスを容易にさせているのです。 真実は、彼らが疲労していない時に良い動きを教えられるように、彼らが疲労している時でさえもどうやって良く動くかを教えることが出来る(そして教えなくてはならない)のです。 疲労運動制御とは、a)疲労がどう動作に悪い影響を与えるか認識出来る、そして、b)できるだけ最高のレベルでパフォーマンスできるよう疲労のマイナス効果にどう対処するか学ぶ、というコンセプトです。 あなたが疲れた時、ゴールは全力を出すことや闇雲にもっと頑張ることではなく、動作とテクニックの質を維持し、エネルギー保存を死守することなのです。なぜなら、それが私たちのスキルを効果的にし、限られたエネルギーの供給を保存させるものだからです。 悪いテクニック/動作の質=より多いエネルギー消費(低下したパフォーマンスを導く) 疲労が出てきた時にどこが崩れ始めるかをアスリートが認識する手助けをするのは、コーチとしての、あなたの責任です。 私たちは、彼らが自分の悪い傾向が何かを知っているということを確実にしたいのですーどのように悪い動作パターンやテクニックの間違いにパフォーマンスが影響されてしまっているのかーそしてそれらにどう対処していくかを学ぶ手助けをしたいのです。 彼らは、疲れた時にテクニックが低下し始めるのを認識しなくてはなりません。頭の中で「おい、元に戻れ」と言う声の“スイッチを入れる”か、正しい動作とテクニックのための他の特定のキューを引き起こすことを学ばなくてはいけないのです。 アスリートに疲労を扱うことは“なんとかやりきる”ということではないと理解させるのは、コーチとしての、あなたの仕事です。 理想的なパフォーマンスを維持しながら効果的に疲労を扱うために、疲労が出てきた時の正しいテクニックと動作を強調しなくてはなりません。その人が疲れた時にも、動作のコーチングと良い運動パターンの強化を止めるべきではありません。 トレーニングセッション中、特にアスリートが疲れているとき、常に動作の質を強化すべきです。そうすれば、あなたのアスリートたちはさらなるギアを見つけ、他の誰もが疲労や悪い動作の質、そして低いパフォーマンスに屈服しているときに秀でる存在になるでしょう。
コンディショニングの真実:なぜ強く、速く、フィットしていることだけでは十分ではないのか パート1/2
コンディショニングコーチとしての私のキャリアのはじまりを振り返ると、認めたくはありませんが、私は本来あるべくしてよりも、もっと成功していたかもしれません。私はエネルギーシステムについて出来る限りすべてを勉強していて、スポーツ界の最高のコンバットアスリートの何人かと働いていましたが、真実は、私にはまだ学ばなくてはならないことが沢山あったのです。 成功は時折あなたを甘やかします。成功は、あなたが本当に知っている以上に知っていると思わせ、すべてが本来よりももっと簡単になってしまうのです。 何度も、世界の別な地域から来る他のジムからのコンバットアスリートのトレーニングを頼まれ始めた頃、私は結局コンディショニングについて分かっていなかったのかもしれないと気が付き始めました。 これが起こった時、私はファイターと週1、2回、時にはもっと少ない頻度でしか働いていませんでした。これは、すべてのスキルワークをAMC Pankrationでマット・ヒュームと行いながら、彼らの試合まで毎日指導するという、かつて私がしていたようなアスリートとの働き方とは劇的に異なりました。 これらの新しいアスリート達が海外から到着し、評価をして、彼らが家に帰った後自分たちで行うためのプログラムを作成します。 彼らが去った後、もちろん私は定期的に彼らと連絡を取り、彼らはどのように進んでいるか私に知らせるために経過レポートを送ってきます。 当初、私はこれらの新しいファイターたちが、パーソナルで指導していたファイターたちと同じくらい良いパフォーマンスをするようになると期待していました。無知な私は同じエネルギーシステム発達の基礎原理を用いていたので、彼らの数字が改善すれば、彼らのコンディショニングも改善するだろうと単純に思っていたのです。 しかしながら、現実は、常にこのようにはいきませんでした。彼らのフィットネス指標(安静時心拍数、VO2 max、無酸素性作業閾値、など)が劇的に向上しても、彼らのパフォーマンスがそれらに一致しない時もあるのです。 コンディショニング数値では、彼らがキャリアの中で最高の調子であるように見えているにもかかわらず、彼らは試合が進むにつれて疲れているように見えたり、ガス欠で倒れてしまったりしました。 共に働いていたアスリートが残念なパフォーマンスをしているのを見るというのは、非常にいらだたしいものです。あなたが彼らをだめにしたように感じることも多いでしょう。自分自身に問いかけたことを覚えています、「一体ここで何が起こっているんだ?私が彼らにデザインしたプログラムは役目を果たして、彼らの数値は(たいてい劇的に)向上し、あるべきところにいたのに、彼らのコンディショニングは伴っていなかった。何が間違ってしまったのだろう?」 その経験―そしてそれらの失敗のつらい問いかけに直面しなくてはならないことーは、パフォーマンスに対しいかにトレーニングをしていくかについての、私のキャリアにおける最も大きい転換の主な要因となりました。 この問題について取り組みながらたどり着いた答えは、コーチとトレーナーが全体として“コンディショニング”にどのようにアプローチするかに革命を与えるために、今日私がしていることのすべてにおける駆動力となりました。 フィットネス対コンディショニング(あるいは、なぜすごく強く、速く、そしてフィットしていることだけでは十分ではないのか) コーチまたはアスリートとして、私たちは皆ここにいたことがあります:ハードにトレーニングして、練習やトレーニングセッション中のフィットネスは良く見えるのに、試合となるとだめになってしまう。 …練習で良いパフォーマンスをしているチームが、第4クオーターで猛烈にパフォーマンスが落ち、衰退し、リードを失う。 …5ラウンド問題なくトレーニングしていたアスリートが、試合本番では第1ラウンドで衰退しガス欠になってしまう。 私たちの誰もが関連づけられることでしょう。きつい練習やトレーニングをこなして調子が良いように感じているのに、表に出てパフォーマンスすると、私たちのフィットネスは私たちが期待しているものにはならないのです。 これが起こるとき、実際何が起こっているのでしょう? この困惑しいら立たせる現象を理解するためには、ここから始めなくてはなりません: "フィットネス"(強いことや速いこと、あるいはVO2 maxや安静時心拍数などのような"の良い指標"を持つこと)と"コンディショニング"には違いがあるのです。 フィットネスはパフォーマンスの潜在能力です。非常に重いウエイトを上げられること、とても強いパンチが打てること、または非常に速く走れることです。 これらの全ては、パフォーマンスの"エネルギー出力"サイドにあります。質は極めて重要で効果的なあらゆる効果的なトレーニングプログラムにとっての極めて重要な質ではありますが、それらのこと単体では、必ずしも最高のパフォーマンスになるということではないのです。 パフォーマンスのもう一つの側面が、“コンディショニング”のあるところです。 コンディショニングは数値や数字の集まり以上のものです。それよりも、コンディショニングは効果的にエネルギーを用い、管理し、私たちのフィットネスを働かせるための能力を与える、私たちが発展させるスキルセットです。 なので、“パフォーマンス方程式”は本来このように見えます: フィットネス(エネルギーシステム、強さ、パワー)=エネルギー生産、パフォーマンスに対する潜在能力 コンディショニング=フィットネスの質+エネルギー消費(パフォーマンスの要素すべてが一体となる場所)を促すスキルセット 表に出て、できるだけ最高のレベルでパフォーマンスをするために、私たちはパフォーマンスを単にフィットネス要素の集まりとして扱うことを止め、どうしたらコンディショニングを発展出来るか見始めなくてはなりません。 単にフィットネスのみでなく、コンディショニングを発展させるための最も重要な3つのスキル 多くの人々にとって、その人が疲れているかいないかの評価ではなく、スキルセットであるコンディショニングの考えというのは新しいものです。そのため今日は、本当に重要な場面で、あなたの指導するアスリートたちが出来る限り最高のパフォーマンスをする手助けをするために、あなたが発展させなければならない3つの重要なスキルを述べていきます。 たとえあなた自身がコーチやアスリートでないとしても、これらの3つのスキルは、実際にあなたのフィットネスを日常生活のストレスに対応するために使えるようにするにも非常に重要です。 これらのみが、コンディショニングを最大化するために発展させなければならないスキルではないことを、頭に置いておいてください。しかし、私の15年以上の経験に基づいて、これらは最も重要なのです。 覚え書き:フィットネス(パワー、ストレングス、スピード、持久力)はパフォーマンスの“エネルギー生産“側である。これらは明らかに重要だが、本当にただパフォーマンスの潜在能力を築くだけである。 実際に潜在能力のすべてをパフォーマンスに置き変えるためには、私たちはコンディショニングのスキルを発達させることに集中しなくてはなりません。 これらの3つのスキルは、これを行うためのあなたの出発点です。 コンディショニングスキル#1:ダイナミック・エネルギー・コントロール(心拍数と出力をコントロールする能力) コンディショニングスキル#2:回復と呼吸(よりよい呼吸をし、より早く回復し、より良いパフォーマンスをする) コンディショニングスキル#3:疲労したモーターコントロール(疲労が出てきた時になぜテクニックと動作の質を維持しなくてはならないのか)
私の上位5つのコーチングキュー パート1/2
あなた方がご存知かどうかはわかりませんが、私は過去2か月マーベル(コミック)に夢中になっていました。 大規模なアベンジャー作品であったり、キャラクターごとの単独の作品であったり、ネットフリックスで配信されているデアデビルやジェシカ・ジョーンズのシリーズ作品であったりと、とにかくこの過去2カ月でほぼすべての作品を見たでしょう。 驚くかもしれませんが、それらの作品の中で私が一番好きな主人公の一人は、ホークアイなのです。 ホークアイは、世間の注目を浴びることはあまりありません。なぜなら彼は一見それ程凄く見えないからでしょう。 なんといっても、ハルクは体の色を変え、とてつもない力を発揮し、そして目に見えるものすべてを粉砕します。 アイアンマンは突き破ることが不可能なよろいを持ち、それにより空を飛び、手からリパルサーを発射します。 そしてソーは?そう、彼は基本的に神であり、彼以外持ち上げることのできないハンマーを扱います。 それではなぜ、ホークアイが素晴らしいのでしょうか? まず、彼は何も変哲もない男に見えるからです。それに加えて彼は父親であり、それもいいところです。 けれども、おそらくもっとも重要なことは、彼はスパーヒーロー基質の欠如を信じられない道具と知識や技能で補っていることなのです。 ホークアイは、どんな状況でも弓矢を使って対応します。そしてこれがコーチングとトレーニングに関して、あなたにも実際に当てはまるところなのです。 …コーチとして、キューとは矢のようなものであり、私たちはその矢(キュー)によって多くの様々な問題を解決するのです! しかし、コーチングとキューイングに関しては、同じキューが繰り返し必要になると気づくことでしょう。 結局のところ、ホークアイはボーラ矢を何回使ったでしょうか? おそらくそれほど多くはないでしょう。 矢じりが爆発する矢はどうでしょう?おそらく頻繁に使用されたでしょう。 そこで、私がコーチとして最も頻繁に使うキューについて、またなぜそれらを私が重宝しているかについてお話していきましょう。 その前にまずその背景を少し… トレーニングする対象がエリートアスリートや専業主婦、定年退職した高齢者であれ、私たちが対象とするのは広範囲の男性と女性です。 かといって、すべての人が同じように動いたり、同じような代償動作を行ったり、同じ個所が損傷するということではありません。 そういうことではないのです。 しかしながら、物事を分析していったとき、基本的な動きの同様な欠点が繰り返し表面化してくることがわかるでしょう。 スクワットやデッドリフトのようなエクササイズにおいて、アスリートは腰を反ることによって、腰椎と骨盤の安定性とコントロールを得ようとする傾向があります。 プッシュアップのようなエクササイズにおいては、本当の意味で腕を伸ばしきり、上背部を開くための柔軟性を持ち合わせてないかもしれません。 そしてもちろん、体幹のトレーニングにおいては、単に初めから正しいポジションをとれないのです。 これらを改善するために、今日は私が非常に価値があると思うことをお教えしましょう。 約16年間のトレーニングとコーチングから得た、私がジムで最も多用する五つのキューと、それらを使う理由を紹介します。 あなたがトレーナーであれ、コーチであれ、はたまたトレーニング愛好家であれ、これらによってあなたがトレーニングからより多くの結果を得られることを望みます! キュー#1 膝をアンロックする パワーリフティングにおいて、スクワットであなたがウエイトをコントロールしていると証明するために最初にしなければならないことの一つが、膝をロックアウトすることです。 同様に、デッドリフトの際も、試技が完了したことを証明するためにトップの位置で膝をロックアウトします。 しかし、誰か、私たちがパワーリフターを生み出していると言いましたか? パワーリフティングの価値を下げるつもりはありませんが、私のクライアントやアスリートの第一の目的は適切で効率的な動きです。 スクワットやデッドリフトの開始姿勢をとるとき、最初に私がアスリートにさせることは、膝を若干アンロックする(緩める)ことです。 これからなぜこれが機能するかを説明しますが、そのためにあなたから2秒間の(少しの)労力が必要です。 (この記事を読んでいる)その場で立ち上がって、膝をできる限り強くロック(伸展)してみてください。 あなたの股関節、脊柱、骨盤に何が起こりましたか? 簡単な教訓がここにあります−私たちの関節はキネティックチェーンの上下に対して、相反する形で機能するのです。 そのため、膝を伸ばした時、次のことが起きます: 股関節を屈曲し、 骨盤を前傾させ、そして 腰椎を伸展/反らせます。 この姿勢/ポジションに心当たりはありませんか? 数えきれないほどのアスリート達が、膝の過伸展、骨盤の前傾、そして腰椎が過伸展した状態で私のもとを訪れてきます。 そこで、開始姿勢を取る前に膝をアンロックすることで次のことが起こります: 股関節を伸展し、 骨盤が胸郭の真下に戻り、そして 腰椎がより自然な姿勢/アライメントに戻ります。 素晴らしくないですか? この一つのちょっとしたキューで、骨盤、胸郭そして脊椎のポジションを適切なものにできるのです。しかし、本当の魔法は、このキューと次のキューを合わせたときに起こります… キュー#2 足裏全体を感じる 伸展姿勢のアスリートによく起こるもう一つの問題として、足裏全体の感覚を失うことが挙げられます。 よく話題にしている三点支持という感覚を得る代わりに、このようなアスリートは前のめりの姿勢になっていて、空間における自分のかかとの位置を認識する感覚を失っています。 ここで本当に話題にしているのは、何も足裏の感覚だけではありません。本当に話題にしているのは、自身の重心を認識できない人についてです。 ほとんどのアスリートは、自身の身体を伸展させる、つまり関節を圧迫して(または衝突させ)安定させることによって、垂直に立っていようとします。 膝をアンロックするようアスリートに指示し、それによって彼らが足裏全体を感じると、アスリートが自身の身体がどこにあるべきか、ということをより良く理解できていることが見て取れます。 スキー場の斜面の上で日々過ごす(これまでX年間そうであったように)のではなく、自身の重心をコントロールするためには、ただつま先やかかとだけではなく足裏全体を感じなければならないことを理解し始めるでしょう。 私の最初のセッションでは、まずシンプルに「つま先からかかとまで足裏全体を感じましょう」というキューから始めます。これにより、まず矢状面から取り組むことができるのです。 それができるようになると、さらに工夫された“足裏の三点支持”や“25セント硬貨を感じよう(かかとの下に25セント硬貨があるように意識する)”などのキューイングに移ることができます。 けれども、本当の秘訣はこうなのです:エクササイズの開始時に足裏全体を感じられるようようになったなら、それは素晴らしいことです。ただそれで終わりではありません。 スクワットやデッドリフトのバリエーションなど、どの動作であっても、足裏の全体の感覚を得ることの次のステップは、エクササイズの最初から最後まで常に足裏全体を感じることができるということです! 一番難しい例の一つとして、RDLがあげられます。開始時に膝をアンロックすることと足裏全体を感じることは、それほど難しいことではありません。 しかし、RDLのボトムポジションの時に足裏全体を感じることができるでしょうか? かかとと足底中部の両方を地面につけたまま、維持できるでしょうか? 多くの場合、これを実践するのは難しいことです。RDLのボトムポジションで(もしくはスクワットの場合においても)つま先とかかとの両方を感じることは、なかなか難しいことです。 しかしながら、もしアスリートが動作全体を通して足裏全体を感じることができるようになったのなら、本当の魔法が(本当に素晴らしいことが)起こる最後のキューを使う準備ができているのです。
私の上位5つのコーチングキュー パート2/2
キュー#3 プッシュ アスリートが、スクワットやデッドリフトのボトムポジションから力ずくで上がってこようとして、その結果、次のようなことが起こることを何度目にしたことがありますか? 膝より先にお尻が上がり 頭と首を後ろに振りあげて天井を見上げ 四頭筋と腰背部を使って力ずくで持ち上げなくてはならなくなっている? もし(パワーリフティングの)競技経験が少しでもあるのなら、これらのことは度々起こったことでしょう。 とは言っても、高重量は高重量なのです。もしあなたがパワーリフティングやオリンピックリフティングの競技者であるならば、時にこのように行うこともあるでしょうし、私はそれに対して何の問題もありません。 しかしながら、アスリートにとってウェイトルームとは、効率性と運動能力を向上させるための手段であると私は考えており、ただ単にできる限りの高重量を挙げるためだけの場所ではないのです。 もし、開始時に彼らの膝をアンロックしたら… …そしてもし彼らが、動作を通して足裏を感じることができるようになれば… …重りを挙げる際に必要な唯一のキューは「プッシュ」です。 高重量を挙げることであれ、アメリカンフットボールやレスリングで相手を押しまわすことであれ、またはバスケットボールやバレーボール、テニスにおいてカッティングするときであれ、私がアスリートに求めるのはプッシュすることです。 もしプッシュすることができれば、それは胸郭―脊柱―骨盤の良い関係性が保たれているということであり、そのことは効率性が最適化されるということだけでなく、長期にわたって障害を予防することにもなるでしょう。 思うに、もしアスリートに対してこれら3つのキューを結び付けることができたら、彼らの動作の質は即時にそして顕著に改善するでしょう。 しかし、他にどのようなことに注目する必要があるでしょうか? キュー#4 息を吐いて腹筋を意識する この記事のここまでは、主に下半身の動作についてでしたが、少し目線を変えてみましょう。 身体のこととなると、私は今でもコアはただ中心にあるものということだけでなく、動作を可能な限り効率化させるために取り組まなくてはならないエリアだと信じています。 しかし、もし(腰椎が)伸展した姿勢、もしくは“シザー”姿勢、胸郭下部が上向きに開き、骨盤が前傾している姿勢で、歩き回っているとしたら、これらの問題に最初に取り組まなくてはなりません。 正直に白状すると(いつも私は正直ですが)、この問題について、かなりの間見落としていたことを認めなくてはなりません もちろん、動きを起こすのではなく抑制すること等に焦点を当てた適切なエクササイズを処方していましたが、おそらく一番重要な点を見逃していたのです。 それは開始姿勢です。 単純に、世界中で一番のエクササイズを処方することはできるかもしれませんが、もしアスリートが正しい開始姿勢をとれていなければ、その処方したエクササイズから得るものは少ないでしょう。 皆さんを悩ませるこの問題に対して、一つのシンプルなキューが解決してくれます: 息を完全に吐ききって、腹筋を働かせる。 息を吐ききると、胸郭と骨盤のより良いポジションを取り戻すことができます。 多くのアスリートが陥っている過大なシザー姿勢の代わりに、これによって胸郭―横隔膜が下方に向き、骨盤―骨盤底が上方を向くという、より適切な安静時の姿勢を取り戻すことができます。 素晴らしくないですか? さぁ、この信じられないほどシンプルなキューを、あなたが知っているすべての腹筋運動に使用してみてください。 お礼は後でいいですよ! キュー#5 リーチ(遠くへ腕を伸ばす) 最後ですが大切なことに、私はキャリアの最初の頃は、怪我なく健康でいるためには、構造的なバランスが必要であると信じていました。 そのため、もしベンチプレスをするのであれば、肩を健康な状態に保つために、多くの反対方向の運動(ローイング)をしなければならないと思っていました。 この考え方に対しての問題は三つあります: ローイングはベンチプレスの反対ではなく、 ベンチプレスは、真の意味で“リーチする”エクササイズではありません。そして、 肩関節だけに注目していて、胸郭を全体としてとらえていません。 これまで話題にしてきた伸展とは下半身、体幹、骨盤だけに注目しているのではありません。それはキネティックチェーン全体に現れるものなのです。 伸展姿勢のアスリートは骨盤が前傾していて腰椎の前湾が大きいだけでなく、多くの場合フラットな、あるいは伸展した胸椎を伴っているのです! このようなアスリートは、こわばりや柔軟性のなさ、このエリアへの空気の流れの乏しさのために胸郭の後部を開くことに苦労するでしょう。 これを直すための私のお気に入りの一つが、アスリートにリーチすることを強いるエクササイズです。 プログラムにより多くのプッシュアップを含めましょう。 ランドマインやケーブルを使ったプレス動作を入れましょう。 基本的には、アスリートがリーチをしなければならない、体の背面部を広げるようなエクササイズは、このようなアスリートにとってゲームチェンジャー(大きな影響を与える革新的なもの)となるでしょう。 この過去二ヶ月間ほど、何が素晴らしかったかというと、様々な首や肩のアライメントを持った何人かのオンラインのクライアントを受け持ったことです。 そして、プログラム製作は、彼らの機能不全に取り組むという包括的なものでしたが、彼らのような慢性的な痛みやけがに悩むクライアントが、二、三週間の適切なエクササイズとキューで実質的に症状がなくなったのを見ることができたのは素晴らしいことでした。 要するに、もしあなたのクライアントやアスリートにリーチするよう指導していないのであれば、今日からすぐに始める必要があります。 その成果は計り知れません、約束します。 まとめ あなたがコーチとして活動を始めるときには、可能な限りたくさんのコーチングキューを習得することを強く勧めます。 ホークアイのように、いつ、ある特定のクライアントに対して、ある特定のキューが必要になるかはわかりません。 しかし、コーチとして経験を積み洗練されていくに従って、効率とパフォーマンスを最大限にするキュー以外を、少しずつそぎ落とすことを目的にしましょう。 結局のところ、ボーラ矢を使う必要があるのは、時折でしかないのです!
より良いパフォーマンスと回復のための呼吸ストラテジー パート2/2
動きと回復を改善する3つのシンプルな呼吸エクササイズ マイク・ロバートソンです。 私は、今しがたパフォーマンスとリカバリーにおいて呼吸がどれほど大切かについて話し終えたビルと共に、IFASTの共同経営者です。 私はおよそ18年前に健康及びフィットネス業界での仕事を始めました。これまでに、すべてのメジャースポーツのプロアスリートと働く機会に恵まれ、彼らのパフォーマンス、及び健康を、次のレベルへと進める手助けをしてきました。 でも、堅苦しいことはこのくらいにして、みなさんがここにいる真の理由に戻りましょう:動きを改善し、回復を促進するための呼吸の使い方です。 ビルは、なぜ適切な呼吸のメカニクスが、最適な動きと回復にそれほど重要なのかをとても上手に説明してくれました。 次のステップは、適切な呼吸のメカニクスを教えるために、あなたのプログラムに特定のエクササイズを取り入れることです。不思議に聞こえるかもしれませんが、多くの人々 -あなたが見ているクライアントやアスリートを含め- は、効果的ではない呼吸をしています(少なくとも理想的ではない)。 ビルが上述したように、良いニュースは、呼吸は、健康、フィットネス、パフォーマンスプログラムなどの構成要素と同様に、鍛えることができるということです。 ここで、今すぐに始められるエクササイズを紹介します。 ベア呼吸 床に四つん這いになる 手は肩の真下、膝は股関節の真下に位置する 床から身体を離すように、肩甲骨の間にストレッチを感じるまで、腕を通じて床を押す 脛が床と平行になるように、床から膝を持ち上げる このポジションを保ち、鼻から吸って、口から吐く、充分な呼吸を3-5回する 数秒間、リラックスして自然な呼吸をする 上記を3-5回繰り返す 壁呼吸 壁を背にして立ち、足は腰幅に開いて、壁から10-12インチ(25-30cmくらいのところに位置する) 骨盤を後傾し、壁に対して下背部を平らにする 上背部を前方へ丸めながら、両手を前方へ最大限伸ばす このポジションを保ちながら、3-5回呼吸をし、リラックスする 3-5回繰り返す 前腕プランク呼吸 床にうつ伏せになる 手のひらを床に向けて、人差し指と親指でダイアモンドの形を作るようにして、手を顔の下に位置する。 前腕を通じて押し、肩を前に押して、胸とお腹を床から持ち上げ、体重が前腕と恥骨のみに乗っているようにする この上向き姿勢を保ちながら、鼻から吸って、口から吐く、完全な呼吸を3-5回します スタートポジションに戻る これを3-5回繰り返す。 これらの回復呼吸エクササイズにおける素晴らしい点は、ほぼいつでも行うことができることです。 これらのエクササイズは、動的なウォームアップやクールダウンに取り入れるのも非常に簡単で、ジムの以外の場所、自宅でも行うことができます。ビルが述べたように、こういった種類の呼吸を数分行うと、副交感神経系を活性することができるため、より緩んで、リラックスした状態になることに気がつくでしょう。 日常のルーティンの中にこれらのエクササイズをいくつか組入れてみてください。すぐに違いを感じることができるでしょう。
キャリーとクローリングの動きを分解 パート2/2
クロスパターンであるキャリーやクローリングのパターンをよりよく実践するための準備として、前額面での安定性は十分に得られていますか?サイドプランクの再評価にチャレンジを加えたり、よりファンクショナルな動作に近いスイングを加えたり、動きの三面性を理解したトレーニングのアイデアをどうぞ。
より良いパフォーマンスと回復のための呼吸ストラテジー パート1/2
数年前、私は取り除くことができないと感じる慢性的な肩の痛みを抱えていました。 私は、その肩の痛みを治すために、よくある方法をいろいろと試しました:アクティブリリース、様々な種類のマッサージ、電気刺激、その他考えられることの全てを。そのどれもが、短期間の痛みの緩和をもたらす以外は、ほとんど役に立ちませんでした。 数日後には、元の状態に戻ってしまいました。 数ヶ月後、私はビル・ハートマンとマイク・ロバートソンのセミナーを受講していました。彼らに、私が肩に抱えている問題、知り得る全ての治療法を試したこと、それでもまだ痛みがあることを説明しました。 ビルの答え?より良い呼吸をすること。 彼は、私をテープルの上に載せ、素早い評価をし、一連の呼吸エクササイズと数種のモビリティードリルを紹介しました。「よし、じゃあ立ち上がって、肩を動かして、どう感じるか教えて」 私は立ち上がって、肩を動かしました、すると…痛みがなかったのです。 もちろん、私は一連のエクササイズが効いたことに感動しましたが、それまでに試した全ての方法と同じような結果になるだろうと思っていました:一時的な緩和をもたらしても、数日後には痛みが戻ると。しかし、数日が経っても、数週間が過ぎても、痛みが戻ってくることはありませんでした。 ビルは、何ヶ月も私に取り憑いていた、時には物凄く痛み、眠ることさえできなかった障害を、たった数分で改善することができたのです。 それは、私が初めて呼吸の大切さに触れた機会であり、ビルとマイクは、他にほんの数名しか意識さえしていない健康とフィットネスの側面をカバーしていることがわかりました。 過去数年にわたり、私は、パフォーマンス、回復、一般的な健康においてさえも、呼吸がどれほど重要な役割を担っているかについて学んできました。適切に呼吸をする方法を学ぶことから、文字どおり全ての人が恩恵を受けることができます。もしあなたがコーチまたはトレーナーなら、これはあなたのクライアントにとっても人生を変え得るものでもあるのです。 これこそが今日、より良いパフォーマンスとリカバリーのために適切に呼吸をする方法について、深く話すために、私がビルとマイクを招待した理由です。 ビルとマイクは、インディアナポリスフィットネス&スポーツトレーニング (IFAST)という、メンズヘルスマガジンによるアメリカのジム、トップ10に、過去6年間で3回ランクインしている施設を所有しています。 ビルから始め、その後にマイクから聞きますが、まずここに、呼吸ストラテジーがどのようにリカバリーを改善できるかを説明する短い動画があります。 現在のパフォーマンスとリカバリーのモデルは破綻している(人間はなぜ機械ではないのかの理由) 皆さんこんにちは、ビルです。IFASTフィジカルセラピーのオーナーとして、またインディアナポリスフィットネス&スポーツトレーニングの共同経営者として、私は、他の形式の治療では改善できなかった痛みを持つ人々の解決方法を見つけています。 プロアスリートから一般の人々まで、彼らが皆、調子の良い、痛みのない身体を取り戻し、パフォーマンス及び健康を最適化できるように取り組んでいます。 今日の私の目標は、呼吸がどのように動きやリカバリーに影響するのかに対して簡潔な概要を与え、局所から全体の回復へとつながるパフォーマンスモデルを提供することです。 パフォーマンス(または動き)と回復となると、コーチやトレーナーの多くは、決定的要素として筋系に注目する傾向があります。大抵はこんな感じです: パフォーマンス、または体組成(あるいは両方)を向上するために、より大きく、より強く、より調整され、よりパワフルにしたい筋肉に適切な刺激を与えます。 ワークアウトや競技の間に十分な休息を取り、関わった筋肉の修復に必要な栄養素を身体に与え、必要な時にまた仕事ができるように準備します。 少なくともこの大半を正しく行う事で、物事は、あなた、またはあなたのクライアントやアスリートにとって良い方向に向かいます。単純でしょう? この通りなら素晴らしいです。問題は、人間は機械ではないという事です。個々のパーツの集合として身体を見ることができるほど、単純ではないのです。 パフォーマンスと回復を、筋系に対して純粋に局所的なものとして捉える事は、単純に不十分なのです。 実際には、身体は多くのサブシステムにより繋がっていて、それぞれが、パフォーマンス、回復、そして全体的な健康に対して重要な役割を担っています。筋系の動きと回復を最適化しようとすることは、パズルの一つのピースにすぎないのです。 動きと回復のためのより良い、より完全なアプローチは、一つのスーパーシステム – または「ヒューマンシステム」に集約するそれぞれのサブシステムを考慮し、統合されたモデルを通して物事を見ることです。 これらのサブシステムそれぞれが、他のサブシステムのパフォーマンスの成果とそこからの回復の両方を管理し、促進する能力に影響を与えます。 動きと回復の最適化における最初のステップは、すべてが筋系に始まり、筋系で終わる時代遅れのモデルから脱却し、身体の様々なサブシステム全てを考慮した、統合されたモデルを採用することから始まります。 すなわち、私たちは、個々の部分の寄せ集めとして身体を見ることをやめ、相互に連結し、共に働く、密着したシステムの集合体として身体を見ることを始めなければなりません。 この転換ができたら、次のステップは身体の様々なサブシステム全てが大切であると理解することですが、私は、そのうちの一つが他のすべての土台であると考えています。 (効果的に)呼吸をしていない時に悪いことが起こる 健康とパフォーマンスの「パズル」の最も大切な二つのピースである、動きと回復を最適化することにおいて、適切な呼吸の仕組み以上に大切なものは他にありません。 呼吸は、他の全てのサブシステムが健康に働くための土台であるにも関わらず、動きとリカバリーという側面において、最も十分に使われておらず、最も軽視されている部分です。 カレル・ルウィット博士はかつて言いました:「呼吸が正常化されていなければ - 他のどの動きのパターンも正常化できない」 呼吸が不十分だと、少なくともある程度は、他の全てのことが良い状態ではなくなります。適切な呼吸はそれほど大切なのです。 呼吸を正しく行うことができれば、身体の他の全ての「システム」が、最適な動きと回復を促進するために共に働く原材料があることになります。 動きやパフォーマンスという観点からすると、これは当然であるべきです。 もし、効果的に、効率的に呼吸をしていないとすれば、最も基本的な要求が酸素の効果的な活用である運動において、どうして良いパフォーマンスが期待できるのでしょうか? 呼吸の流れの力学的効果、及び、呼吸がどのように動きを損ない、あるいは促進するのかについては、いくら強調してもしすぎることはありません。不十分な呼吸パターンにより、姿勢や動きの質が損なわれ、やがてエクササイズや競技における非効率的な動きにつながり、パフォーマンスは、本来行うことのできるレベルから明らかに減少します。 呼吸は、筋骨格系のポジションを変えることにより、動きのパターン、姿勢、痛み、またパフォーマンスに影響し、肺の膨張不足、または過膨張につながる気流の制限を招き、動きを制限する力学的障壁を作り出します。 すなわち、まさに本当の意味で、パフォーマンス及びエクササイズ時に最適に動くことができることは、効果的に呼吸ができる能力に起因しているのです。 回復も同様に、悪い意味で影響を受けます。最適な回復について本当に理解するためには、筋肉を通り越えて、神経系を観察しなければなりません。 神経系の回復は、動動系への出力をもたらす能力の再獲得に関わる強力なインフルエンサーです。しかし、健康を維持する能力と同様に、こういった局所における適応が起こることを可能とする、幾つものサブシステムの反応に与える影響にも基づいて考慮をしなければなりません。 神経系が慢性的な疲労を抱えていると、あなたが計画したトレーニングプログラムやコンディショニングプログラムがどんなに「効果的」であるかに関わらず、「トリクルダウン(流れ落ちる)」効果により、成果は最適状態には及ばなくなります。 例えば、強力に活性された、硬直した、適応しにくい神経系は、他のシステムの能力にも同様の低下をもたらす可能性のある広範囲の影響を持ちます。 自律神経系が無理を強いられ、交感神経系優位な状態に居続けると、ストレスホルモン過多となった血液循環が、エネルギーの修復メカニズムが効果的に働くのを遅らせるかもしれません。これにより、消化が阻害され、必要なエネルギーや栄養素の吸収が制限されることにもなりえます。 忘れないでください:全ては相互に繋がっているのです。 「交感神経支配」にあることは、免疫システムが炎症を管理する能力を弱め、軟部組織が肥大化する能力や、順応して再建する能力を低下させます。 やがてこれは、腱などの組織の退化を招き、最終的に怪我につながります。 簡潔にまとめると、過度な負担、過度なストレス、疲労にさらされた状態のために、神経系が、より「交感神経支配」状態にあればあるほど: 身体が動きを促進することに対して非効率的になります(例 ワークアウトや競技時のパフォーマンスが、「理想的な」生理学的環境下で可能なパフォーマンスに及ばない)。 身体が、ワークアウトセッションや競技の後に回復プロセスを促進する能力が低くなります(つまり、身体は低いレベルの疲労状態に居続け、次回のワークアウトや競技でのパフォーマンスが代償されます。またそれが長期にわたって続くと、全体的な健康にもマイナスの影響を与えます)。 身体により多くの「ストレス」がかかると、神経系への要求はより大きくなります。神経系に過度に負担をかける要因となるものには下記が含まれます: 貧しい睡眠習慣 長引く健康問題(たとえ「少し」でも) 悪い食事の選択による必要栄養素の欠如 やる気に満ち溢れた、忙しい、「絶対諦めない」タイプの人であること フィジカルトレーニング/コンディショニング(そうです、核心的な部分ではエクササイズは身体にとって「ストレス」です) 望ましくない呼吸パターン もちろん、これらストレスの環境的、行動的側面のそれぞれに取り組むことは大切ですが、もし私が、これらに「優先順位」を作らなければならないとすれば、良い呼吸のパターンを発達させることが常に最上層にくるでしょう。 回復に関して言うと、適切な呼吸は、神経系をストレスにさらされた交感神経支配状態から、より修復的な、回復基盤の副交感神経支配状態へと移行することを可能にします。結論はこうです:エクササイズや競技時に最適に動き、かつ回復を促進するためには、あなたの神経系状態を確認しなければなりません。 良いお知らせ? 呼吸は、筋肉や、他の健康及びフィットネスの構成要素のように「鍛える」ことができます。より良い呼吸のメカニクスを発達させることにより、時間とともに、無理を強いられてきた神経系の結果を望ましい状態に変えることができます。 練習をすれば、効果的な動きと回復プログラムの一部として、クライアントやアスリートは、パフォーマンスを維持するために、練習のセットの繰り返しの間に回復を促進することができるとともに、健康と長期間という観点から、より良い回復をする能力を向上することができます。
キャリーとクローリングの動きを分解 パート1/2
最近人気の高まってきたキャリーやクローリングに共通するのは、これらはどちらもクロスパターンの動作であるということ。キャリーやクローリングをより効果的に行うための準備となるエクササイズをジョシュが紹介するビデオのパート1。
カロリーを減らしてもうまくいかない理由 パート2/2
回復負債とその体重との関係 要点をおさらいすると、回復負債とは、身体活動や日々の生活からくるストレスに対処するために非常に多くのエネルギーを消費してしまい、身体を再構築したりより強くて健康な体づくりをするための十分なエネルギーがもう残っていないときに起こります。 わたしたちの代謝は、一日に生産できるエネルギー量が限られていることを忘れてはいけません。つまり、脳はこの限りある資源をどこに分配するか優先順位をつけることを余儀なくされます。 身体をカロリー不足の状態に曝せばいつでも、身体はエネルギー確保のためにその組織を分解するよう強いられるのです。もちろん、みなさんは貯蓄されている脂肪だけが燃焼されることを望んでいますが、実際のところ、貯蓄された糖(グリコーゲン)も分解されます。そして、大幅な不足になると、筋肉までも分解し始めるのです。 結局のところ:体脂肪を落とすために、カロリーを制限して高強度トレーニングを積み上げれば、身体をいとも簡単に回復負債に陥らせてしまいます。そうなると、体内では様々な現象が次々に起こり始めます。それが共同して働き、主にドーパミン機能の変化を介して行動に影響します。 ドーパミンや行動を誘発するプロセスすべてが、詳細に理解されてはいませんが、高強度トレーニング、生活のストレス、低カロリーの食事が組み合わされると起こるさまざまな結果を指摘する研究が増えています。 -炭水化物を減らすことによるカロリー不足と高強度トレーニングの組み合わせは、炎症レベルを増大させます。2012年に実施された研究を含めたいくつかの研究は、グリコーゲン枯渇状態でのトレーニングは、炎症性たんぱく質のレベルを正常時よりも上昇させることを示唆しています。このことは、グリコーゲンのストックが少なくなってきた時に、エネルギーを非常に必要とする高強度エクササイズを実施することはかなりのストレスであることを意味しています。 -慢性的なコルチゾール濃度の増加は、グルココルチコイド受容体抵抗を引き起こし、それがさらに炎症を悪化させます。コルチゾールが、お腹の周りに脂肪貯蔵として脂肪細胞を蓄えることは、たいていの人は気づいていますが、それが強力な抗炎症ホルモンであることを多くの人が忘れています。最近の研究では、慢性的なストレス期間でコルチゾール結合受容器(グルココルチコイド受容器として知られている)は消耗されることがあると示唆しています。つまり:A) コルチゾールが炎症を抑えるという効果が薄れてしまう、そして、B) コルチゾール値が慢性的に上昇してしまう。 -炎症はインスリン感受性を低下させます。慢性的な高レベルの炎症には、広範囲のマイナスの影響がある一方、健康や身体組成において最も重要なことのひとつに、炎症とインスリン感受性との関係があります。いくつかの論文で、炎症は筋や脂肪、肝臓、脳までものさまざまな組織でインスリンへの感受性を低下させる可能性があるとしています。 -レプチン抵抗性は、食べることの報酬に影響を与えるためにドーパミンと相互に作用します。レプチン(脳に食べることを止めるよう指示する脂肪細胞から生産されるホルモン)が私たちの行動、特に食欲に影響を与えるためにドーパミンと相互作用することを示す研究が増えてきています。つまり、レプチン抵抗性は、報酬駆動のドーパミン回路に変化を与えることがあるので、食べることから得る同レベルの満足感を感じるためにより多くの食べ物を摂取するようになるのです。 自覚があるかどうかは別として、もっと食べるように誘発されてしまいます。 これらのホルモン経路が相互に関連し合うことによってどのようなことが起こるのかを説明している最も分かりやすい例として、ある素晴らしい研究があります。そこでは、16人の正常体重を持つ男性と女性が短期の低負荷トレーニングを実施しました。トレーニング後、被験者はどのぐらいのカロリーを燃焼したかを予測し、それから、彼らはビュッフェに連れて行かれ、トレーニングで燃焼したと思われるカロリー量にできる限り近い分量を食べるように指示されました。 言い換えれば、もし彼らがこのトレーニングで300カロリー燃焼したと考えれば、ビュッフェで300カロリー分を食べるということです。この研究者らは、トレーニング後に自分が消費したエネルギー量とその後の摂取量をどれだけ正確に把握できているかを調べたかったのです。 その結果を、下記のチャートにまとめました。目を見張るような結果が出ました。 下記の“カロリー予測”の棒グラフは、被験者がトレーニングによって800カロリーを消費したと信じていることを示しています。実際はたった200カロリーでした。 同時に、ビュッフェに連れて行った時、被験者は600カロリー近くの量を食べました。これは、トレーニングで彼らが実際燃焼したカロリー量のおおよそ3倍にもなります。 “結論:この結果は、正常体重の人が運動によるEE(エネルギー消費量)を3−4倍も過大に見積もることを示している。さらに、運動によるEEを、食べ物を摂取することで正確に補充するよう伝えられても、エネルギー摂取は、実際に運動量から測定されたEEよりさらに2−3倍多い結果となった。” 解釈として:研究に参加した人たちは、自分が燃焼したカロリーがどれくらいか測定することに苦戦しました。さらに、どのぐらい食べたかを推量するのはもっとひどい結果となりました。生理学がいかに自分たちに反発してくるかを示す完璧な例だと思います。 脳はいつも勝つ(脳に逆らおうとすると、自分はいつも負けてしまう) 自覚している以上に食欲を刺激するホルモンの相互作用は、結局のところひとつの単純なことで決まります:運動や生活からのストレスによる多量のエネルギー消費と食物摂取量が十分でない場合、脳は生理学的にそれに抵抗するようにプログラミングされています。これは、私たちに備わっている最も原始的な生存本能の仕業です。それにしても、多くの人はこれに背こうとします。さらに悪いことに、自分たちが脳に勝てると思っているのです。 人々はジムへ行き、できる限り多くのカロリーを燃焼しようとトレーニングに精を出します。多くカロリーを燃焼すればするほど、多くの脂肪を減らせる・・・・と思っているわけです。食べる量や炭水化物を減らし、低脂肪を食べるよう心がけていることに誇りを感じるわけです。 多ければ多いほど良いと信じるがゆえに、強度主導の考え方は結局このような結果をもたらすのです。カロリーを減らすことがいいとなれば、カロリーをもっと減らす方がさらに良い、トレーニングで500カロリー燃焼するのがいいとなれば、800カロリー燃焼した方がもっと良い、といった具合に。 おかしなことに、ほとんどだれもがこのアプローチをある時点で一度は試したことがあり、減量に失敗したことがあります― それにもかかわらず、また次に少し体重を落とす必要があると思った時、まったく同じアプローチを試みてしまい、何度も同じことを繰り返してしまうのです。 ダイエットの名称は変化するかもしれませんが、結局のところ同じ戦術なのです:我慢できる限界までカロリーを減らした食事をし、できる限り運動する。現実的にはそれは脂肪を落とす方策ではありません。それはむしろ、回復負債やそれに伴うすべての問題に陥る方法なのです。 週末ともなると一生懸命やってきたことへのご褒美としてボリューム満点のディナーやデザートを食べてしまい、それを単に正当化すために、みなさんの多くは平日に健康的な食事をしてトレーニングに精を出している訳なのです。身に覚えがありますね? アメリカの三分の一は肥満で、また三分の一は体重過多であるにもかかわらず、人口の75%が健康的な食事をしていると考えている理由もこれで分かります。より健康的な食べ物を食べてはいるのかもしれませんが、それでもまだ食べ過ぎています。“チートミール”(好きなものを食べてしまう食事)が多すぎて、せっかく平日に達成した成果を邪魔してしまうようなチートウィークエンド(好きな物を食べてしまう週末)になってしまいます。 結論として:身体と戦おうとすればするほど、最終的には早く戦いに負けてしまうということです。
カロリーを減らしてもうまくいかない理由 パート1/2
この投稿では、栄養学とトレーニングについて、これまでとは異なる見解をみなさんと共有していきたいと思います。体脂肪を減らそうとするとき、ほとんどの人が陥る非常に単純ではありますが定番の間違えについてお話します。 食事やトレーニングのことになると、多くの人がほぼ正しく行っていると思い込んでいますが、かなり頑張っているわりには身体組成にまったく改善がみられないのはなぜか、という理由を探ってみたいと思います。 フィットネス業界の話を始める前に、まず肥満のまん延についての話から始めます。なぜかというと、ジムに通う平均的な人で体重を10ポンド(4.5kg)減量したいと思っている人には、30ポンド(13.6kg)は減らす必要がある体重過多の人との共通点が多いからです。 またしても、昔からあるこの課題に対する答えは、エネルギーと回復の関係、そして何よりも人間の生存のためにこれらがどのようにプログラミングされているのか、を理解するところまでさかのぼります。この観点から、高負荷エクササイズとダイエットの組み合わせは必然的に失敗に終わるということが簡単に分かるでしょう・・・ たいていのアメリカ人は、自分たちは健康的な食事をしていると言いますが、果たして本当なのでしょうか? 2016年に行われたトルベン・ヘルス・アナリティクスによる世論調査では、何千人ものアメリカ人を対象にあるひとつの簡単な質問をしました:“あなたの食生活はどのぐらい健康的であると考えますか?” その結果? この研究によると75%以上の人たちは自分たちの食事を“良い”から“すばらしい”の間で評価しました。 同時に、ここ16年間、ジムに入会する人が増えており全体的な活動量が増えているという研究の結果があります。下記のグラフでは、ジムへの入会数が安定して増加していることを示しています。 2000年~2016年におけるフィットネスセンターやヘルスクラブに登録されている登録人数の合計(単位:百万) 要するに、これまでにないほど多くの人がトレーニングし、健康的な食事をしていると言うのです。これらの統計からすれば、アメリカ人は一般的に活動的で適切な食事をして、健康的な生活を送っていると考えられがちです。 この考えには一つだけ問題があります:活動レベルの向上と健康的な食事(真偽のほどは分かりませんが)にもかかわらず、アメリカの国としてみれば、依然どんどん太り続けているのです。ここで私が伝えたいことは、下記のグラフが示しているのでご参照ください。 1997~2015年の間、ジムに入会した人数はおおよそ2倍になりました。同じ期間で、肥満に分類された人数は50%近くも増加しました! もし、これまでにないほどに、みんながより良い食事をしてエクササイズをしているならば、なぜこの国は全体的に未だに太った人が増えているのでしょうか? 結局、栄養学の専門家たちのほとんどは、肥満のまん延の原因は、人々があまり動いていないのに食べ過ぎていることにあると言っています。 運動が本当に問題なのか? この状況をつかむためにも、最も基本的な仮定から見ていかなくてはなりません・・・ ダイエットやフィットネスの指導者の間でも、身体的運動不足は肥満のまん延に大きな影響を与えているという点でほとんど意見が一致しています。その一方で、研究ではまったく異なる見解を示しています。 アメリカ、ノルウェー、日本の人口データを比較したところ、私たちが信じこまされているように、運動量の増加は肥満や体脂肪の減少に必ずしもつながらないことが明確に示されています。 見て分かるように、アメリカには、ノルウェーや日本と比べて運動する人口が多いにも関わらず、肥満度は顕著に高いことが分かります。日本の人口の約60%は非活動的と考えられている一方、肥満率はアメリカが33%のところ日本はたった5%にとどまっています。 アメリカ人に比べると、日本人の運動量は1/3少ないことを示しています。しかし、肥満率は600%以上も低いことが分かります。もし、運動不足が肥満の主な誘因の一つであるならば、運動をしている人口がアメリカよりも少ない国々と比べて、どうしてアメリカの肥満率はこれほどまでに高いのでしょうか? トレーニングすればするほど、体重は減り難い? 多くすれば良いというものではない場合。 この不可解なことを解決するために、運動がどのように身体組成と体重の減少に関係するかより深く見ていく必要があります。それをするために、被験者を1週間のエクササイズ量を変えた3つの異なるトレーニングプログラムに振り分け、実際どうなるかを見てみましょう。 この特定の研究では、研究者は、体重過多で座ってばかりいる女性を4つのグループに振り分けました:まったくエクササイズをしないグループ、1週間に72分(4KKW)のエクササイズをする“軽度”グループ、一週間に136分(8KKW)のエクササイズをする“中度”グループ、そして1週間に194分(12KKW)のエクササイズをする“高度”グループ。全てのグループの被験者は、この研究期間である6ヶ月間は彼らの食習慣を変えないように伝えられていました。 摂取したカロリーの自己報告と1週間で測定したエネルギー消費総量を基に、研究者は体重の減少の予測値(単純にカロリーの出入りの公式を使い、被験者の体重が理論上どのぐらいになるのか)を計算しました。研究の最後に、グループごとの予測した値と実際に減少した体重を比べました。 たいていの人は、最も多くエクササイズをしたグループが最も多く体重を減らしたと予想するところですが、まったくそうではなかったのです。 グラフから読み取れるように、1週間で最も多くエクササイズをしたグループは、実際、中度のエクササイズ量であったグループよりも体重の減少は小さくなりました。さらに興味深いことに、高度のグループは、結局、軽度のグループとまったく同じ重さ(1.4kgに対して1.5kg)しか体重を減らすことができませんでした。 1週間に194分(約3時間強)のエクササイズをしたグループは、1週間に1時間強しかエクササイズをしなかったグループより良い結果を出すことができませんでした。言い変えれば、運動を3倍に増やしても同じ結果だったということです。 つまり、運動を多くしたからといって、必ずしもそれに見合った体重の減少や結果が出せるということではないことが分かります。実際、運動を増やすことによって体重の減少が小さくなったということもあります。 それにしても、なぜ? 脳、ドーパミン、エネルギーのホメオスタシス― 脂肪の減少を理解する上で完全に欠けている部分。 ドーパピンと聞くとほとんどの人は、“幸福感”や“報酬”などを起す化学物質を思い浮かべると思います― チョコレートを食べている時やトレーニングなど幸福感を感じられる何かを行っている時、急上昇するものです。確かに、ドーパミンはこのような活動に関連していることは事実ですが、本当は、幸福感や報酬よりももっと関係しているものがあります。 むしろ、ドーパミンはエネルギーに関係しています。もっと詳しくみると、ドーパミンの重要な最大の役割は、身体のエネルギーのホメオスタシスを保とうとする行動を駆り立てることです。 エネルギーのホメオスタシスは、エネルギーの消費と摂取の両方の調整です- 私たちが生きて行く上で必要なエネルギーを確保するための明らかに重要な要素です。 エネルギーのホメオスタシスを調整するために、ドーパミンは、運動(エネルギー消費)と食事(エネルギー摂取)の両方に関わる行動を誘導する役割を果たしています。言い換えれば、私たちのトレーニングや食べることへの欲望を掻き立てるのがドーパミンなのです。また、進化生物学に遡るかもしれませんが、動くことや食べることへの強い動因(たとえば、食べるものを探し求め、それを食べずにはいられなくなるといった動機付け)がなければ、私たち人間は種として長く生き残る生物ではなかったでしょう。 動くという行動と食べるという行動を誘導してくれる役割を持つドーパミンは、生存のために必須であるが故に、必死になって運動量を増やし食事を減らし減量を目指している私たちを妨害してくることもあります。前回の私の投稿、高強度トレーニングへの執着は、なぜ私たちの期待に背いたのかでも述べましたが、運動し過ぎればすぐに回復負債を引き起こします。 自分のからだの限界に達するまでジムでトレーニングに明け暮れ、同時にカロリーを制限すれば、このプロセスはさらに加速し、脳はすぐに反撃をするでしょう。