燃料切れを予防するための3つのヒント パート2/2

最良のファイターは、最後まで戦い続けることを望むのであれば、そのために維持できるペースを知っています。彼らはいつ爆発させ、とどめを刺しにいくか、いつエネルギーを温存するのかを知っています。 一方で、経験も知識も浅いファイターは非効率的にエネルギーを消費してしまい、不必要なときにも常に無酸素パワー予備力を引き出してしまうために、結果として燃料切れに陥ってしまいます。 不注意な燃料切れを避けるためには、その個人のコンディションのレベルに関わらず、ゴングからゴングまで正しい方法でエネルギーを管理し、正しいペース戦略を構築していくことがシンプルな鍵になります。 1. 心拍数をモニターする メンタルノートをとることとペースに注意するということは別にして、心拍数モニターを使用することは運動量とペースに関してのしっかりとしたフィードバックを提供してくれるので、非常に価値があります。 それぞれのアスリートはエネルギーの産生バランスに違いがあり、異なったポイントで無酸素的パワー予備力を利用するのですが、燃料切れをすぐに起こし始めることなく、心拍数を170台後半から180台に維持できるファイターはほとんどいません。 シンプルな心拍数モニターを使用することで、どれだけハードに動いているのかを正確に計測でき、ペースの動向をおさえることができるでしょう。 トレーニングをハードに行い、心拍数が最大心拍数の90%以上の最高位ゾーンまで上昇していることに気づいたときは、心拍数が落ちるまで、ペースを落とす時だということが分かるでしょう。 ほとんどの心拍数モニターでは、ある特定の心拍数に達したら、音のなるアラームで知らせてくれるようセッティングすることもできるでしょう。このタイプのモニターではトレーニング中のリアルタイムなフィードバックを提供してくれますし、微調整し、自身のペース戦略を最大限にすることに本当に役立ちます。 2. 正しいバランスを見つける 先に述べたように、すべての格闘スポーツは有酸素、無酸素両方のエネルギーの絶妙なブレンドが必要になります:無酸素系では爆発的なパワーと強さを提供する一方で、有酸素系ではゴングからゴングまで戦い続けるのに必要な持久力のサポートに大きな責任があります。 試合を通してすべてのタイミングで、両方のシステムが、ファイターが爆発的な一撃をお見舞いする、テイクダウンをとる、ダウンすることを防ぐ、ギブアップをとる時などに必要になるエネルギーをファイターに提供することに貢献しています。 両方のシステムを最大限まで高めることが可能であれば、コンディショニングが問題になることは決してないでしょう。残念なことに、人間の身体は単にそのようには働かず、1つのシステムを高めることは、他方のシステムを犠牲にすることになります。 そのため、ほとんどの無酸素パワーを使うことのできる、大きく力強いファイターは、コンディショニングに大きな問題を抱えている場合が多いのです。 一方で、持久力がかなり高いファイターは、無酸素性に適応している正反対のファイターよりも、爆発力にかなり劣っている傾向があります。 これはつまり、爆発的な能力を維持しながら、ゴングからゴングまで戦い続けること可能にするには、エネルギーシステム向上に絶妙なバランスを見つけるということが大きいということになります。 どちらか一方のエネルギーシステムが過多になり、試合中に穴が開いてしまうようであれば、相手を倒し、試合を支配でき流強さとパワーに欠けてしまうか、燃料切れを起こすことなく試合を最後まで戦いきることができなくなるかのどちらかでしょう。 勝つために必要なペースの維持を可能にするには、効果的なトレーニングプログラムを通して、2つのシステム間の正しいバランスを見つけることが、間違いなく必要不可欠なのです。 3. エネルギーを賢く使う 疑問の余地なく、効果的なペース戦略にとって最も重要な要素は、エネルギーを賢く使用することです。無酸素パワー予備力に切り替える正しい瞬間を選択する洞察力を示さなければなりません。無尽蔵な資源ではないのです。 いつ爆発的に力を発揮するのか、KOやギブアップをとりにいくのか、あるいは、ダウンをとりにいくことを諦めたり、ギロチン技を緩めることを知っていることは、燃料切れを起こすか次のラウンドまで続けるのかという違いであることが多いのです。 残念なことに、効果的なエネルギーの使用は、多くのファイターが一番大きな間違いを犯すエリアです。 一発のパンチに全力を傾ける、間違ったタイミングでギブアップを取りに行く、ギブアップしない相手にダウンをとるためにエネルギーを浪費する、エネルギー消費に概して注意を払わないことが、一般的に状態の良いファイターが燃料切れに終わってしまう一番の原因なのです。 これが起こった時に、それを学び、より賢明になり、どのようにエネルギーを使用したらよいかにより注意を払うようになるファイターもいますが、そうでないファイターもいます。 試合の最後まで戦い続けることを望むなら、いつ爆発し、いつ温存するのかを学ばなければなりません。

ジョール・ジェイミソン 2207字

燃料切れを予防するための3つのヒント パート1/2

ファイターが燃料切れになって、キャンバスにうつ伏せに倒れるときはいつでも、原因はコンディショニング不足であると指摘することは至極単純な反応です。フォーラム戦士から格闘コメンテーターのような人たちは皆は等しく、選手は十分にハードな練習を積んでこなかったに違いない、または、試合の最後まで戦いきるための十分なコンディショニングワークをしてこなかったという結論に達することがしばしばあります。 そのような分析は、表面上完全に理にかなっているように見えますが、結局のところ、皆ファイターが燃料切れに陥ったときどのように見えるかは知っているわけで、真実としては、人々に信じている以上に、コンディショニングとははるかに複雑であり、試合には複数の側面があるのです。 なぜそうなのか、ファイターが“燃料切れ”を起こす原因を暴こうとすることが、見た目ほど簡単でないのかを理解するために、まず最初に、コンディショニングとは何であって、何でないのかを明確にする必要があります。 コンディショニング101 まず最初に、コンディショニングについて理解する必要があるのは、実は、一人一人すべてのファイターはゴングがなってからゴングがなるまで燃料切れを起こすことなく戦うことのできる能力を持っていて、唯一の違いは彼らが望んでいるペースを維持できるか否かということになります。 わかりやすく言えば、ほぼ誰でも1マイル歩くことはできますが、4分未満で走ることができる人はほんの一握りしかいないということです。 同じように考えると、すべてのファイターは3-5ラウンドを通して戦うことはできますが、高いコンディションレベルを持つファイターのみしか、高強度のパワーを維持しながらすべてのラウンドを戦うことはできません。 言い換えると、格闘技の試合では、コンディションとは実に、その試合を通してどれだけ高いパワーを維持できるかということの目安なのです。 ワールドクラスのコンディションをもっているファイターは、ペースを落とすことなくかなり高いパワーの出力を維持することができます。まるで、ランス・アームストロングが、ほとんどの人が1、2分しか出すことのできないスピードで最後まで何時間もバイクをこぐことができるように。 一方で、コンディションの低いファイターは、それよりもかなり低出力のスピードと低レベルのパワーしか維持することができず、高いギアに入れようとすると、すぐに疲労し燃料切れになってしまいます。 無酸素的パワー予備力 なぜあるファイターは試合を通してかなり凄まじいペースを維持できるのに対して、1ラウンドで燃料切れに終わってしまうファイターがいるのかを理解する最も簡単な方法は、“無酸素的パワー予備力”と呼ばれる概念について考えることです。 しっかりと開発され、研究にも裏付けされたこのシンプルなモデルは、すべてのファイターが最大有酸素パワーと呼ばれる、有酸素的に産出することのできる、あるレベルのパワーを持っていることを示しています。 それ以上のパワーを産み出す必要がある場合はいつでも、“無酸素的パワー予備力”と呼ばれるものを利用しなければなりません。そして、それはジェット機の再燃焼装置や車の亜硝酸とかなり似ています。 しかし、この無酸素的エネルギー予備力は使われ始めるとすぐに、そのことが疲労につながり、これを長い時間使用すればするほど、選手は疲弊していきます。この状態を避ける唯一の方法は、パワーの出力を下げ、有酸素的パワーゾーンに戻ることです。 格闘スポーツはもともと、爆発的でダイナミックである、ため、すべてのファイターは試合中を通して、常に無酸素的パワー予備力を利用しなければなりません。しかし、違いはどれだけ、そして、どのくらいの時間それを利用しなければならないのかなのです。 例えば、高いレベルのを産出できるファイターであれば、有酸素パワーレベルがかなり低いファイターほど、無酸素的パワー予備力を利用しなければならない頻度も時間も多くはないでしょう。 もちろん、それぞれのファイターがどれだけのエネルギーを消費するのか、すべてを一発のパンチに費やすのか、あるいは、少し残しておくのかを選択することも可能です;相手の防御がとても上手である時にダウンをとりにいくのかどうか;ありったけのエネルギーを費やして、勝ちにいくのかどうか、あるいは、それが正しいタイミングではないのかどうか。 これらすべてのことが意味していることは、燃料切れは無酸素的パワー予備量をあまりに頻回に、または、あまりに長い時間、使い過ぎてしまった結果だということです。 かなり豊富に有酸素パワーを産出できるファイターもいますし、彼らは頻繁に再燃焼装置に発火させる必要はありません。有酸素パワーの産出が低いファイターもいて、彼らはほとんど常に無酸素パワーを利用することになってしまいます。 どちらのケースでも、ペースをコントロールすることはできますし、どれだけエネルギーを消費するか、さらには、いつそれを消費するのかを選択することができます。 持っているすべてを使い切る最適な瞬間まで待つ、相手がバランスを崩すのを待ってテイクダウンするという選択をすることができます。そうではなく、不注意にエネルギーを浪費していまい、すべてのパンチを強打し、そのタイミングではないのに関節技に入ってしまうこともあります。 言い換えれば、ペーシングとは、いつ無酸素的パワー予備力を使用し、どれだけの時間それを使い続けるのかを選択するということなのです。

ジョール・ジェイミソン 2360字

バランスの見つけ方 パート3/3

PRIは、呼吸筋のエクササイズの為に様々な形で循環系トレーニングを使います。ここにゾーン・オブ・アポジションの非徒手テクニックの例をいくつか紹介します: ステア・ショート・シーテッド・バルーン:最適な呼吸を回復するその有効性から、これは運動の前に行うにはベストなエクササイズです。風船は呼気筋群を鍛える為に使われます。なぜならば風船が呼気に抵抗をかけ、正しい再吸気に役立つフィードバックを呼吸システムに送るからです。(ゴムにアレルギーがある場合、または風船が手元にない場合は、曲がるストローを代わりに使用することができます。) まず始めに、ステップ台に座って足部と膝を合わせます。左手の指先を左脚の親指の下に置きます。背中を丸く保ち、頚部の筋群や頬を使ってこの運動をするのを避けることが重要です。 右手を使って、風船を軽くすぼめた唇の間に入れます。背中を丸め、両側で坐骨結節、または坐骨が感じられるように骨盤を丸め込むようにします。鼻から吸った後 – 丸まった姿勢を崩さないように – 右手で風船を固定して、息をゆっくりと吐ききります。3秒間静止し、空気が漏れるのを防ぐ為に舌を口蓋上部に向かって押しつけます。 このポジションをキープし、鼻から次の息を吸います。ゆっくりと空気を風船に入れ、この動作を4回目の吸気まで繰り返します。終わったら、風船を口からはずして空気を抜きます。これを3~5回繰り返します。 モディファイドオール4ベリーリフト:これも運動前に行うのに優れたエクササイズです。背中を天井に向かって丸めて四つ這いになります。骨盤を丸め込み、鼻が指先を通り越すまで体重を前方にシフトします。腹筋群の活性を最大化するように背中を丸めながら、十分に息を吐き出す前に、深く強制的にならないように吸いこみます。 呼気の段階で3秒間静止し、このシークエンスを4回呼吸するまで繰り返します。呼吸に制限がなくなってきたら、両手と両爪先をついて臀部を持ち上げたポジションでエクササイズをおこなって下さい。 ゾーン・オブ・アポジションを獲得して横隔膜がリポジションされれば、身体はレフトアンテリア・インテリアチェーンパターンのストレスを軽減させる為に、より楽に再学習ができるようになります。そうすることで左の骨盤は後方に回旋し、立位、蹴り出し、回旋、そしてターンをサポートできる正しくコントロールされたポジションに戻るのです。 このポジションでは、過剰もしくは抑制された筋群はポジションの変更のために違う役割を担ってしまいます。ある筋肉は片側では抑制される必要がある一方で、他の筋群は反対側で促通される必要があります。左の近位側の大腿二頭筋と内転筋群、左の中殿筋と腹斜筋群、そして右の腸腰筋は骨盤と体幹の修正パターンを使いながら促通されなければなりません。 PRIではこれらのポジションを修正することを 左の大腿骨を後方に引き、続いて左の骨盤を後方に回旋させることによって、左の骨盤に”シフトする”能力として説明しています。この筋のリポジション作業はアスリート達の身体のバランスを保ち 関節の圧縮や組織のストレスにとって最小限のリスクで自由な屈曲、スクワット、そして回旋を可能にします。以下のリポジショニングエクササイズはレスト・アンテリア・インテリアパターンの修正の為に使われますが、これらはゾーン・オブ・アポジション作業の後におこなわれるべきです。アンバランスの悪化を防ぐ為に、下記に記すリスト通りに行われる必要があり、逆側の身体には行わないで下さい。 ライト・サイドライング・リスピレトリー・レフトアダクター・プルバック:身体の右側を下にして横向きになり、身体を丸めて股関節と膝を90度に曲げます。脚の間に丸めたタオルのようなボルスター(補助枕)をはさみながら両足で壁を押します。左脚の膝は左脚の踵よりも低くなるようにしてください。 左脚を後方に引きながら、ゆっくりと鼻から息を吸います。この動きは前方に回旋した左の骨盤を修正します。次に、左膝をギュッとしめて右腿に向かって下げた状態で息を吐ききります。再び吸って、左腿をさらに後方に引き、そこから息を吐いて左膝を再び下に押します。この流れを4回から5回の完全呼吸で繰り返し、呼吸毎に左腿をより後方に引くようにします。これを3~4セット繰り返します。 90/90 ヒップリフト・ヘミブリッジ:壁に足裏をつけて仰向けに寝ます–できれば靴をはいた状態が望ましいでしょう – 両膝と股関節を90度に曲げます。鼻から息を吸い、口から息を吐きながら尾骨を床から少し浮かせて骨盤を後傾させます。壁に向かってただ足を押すのではなく、かかとから足を引いてくるイメージで尾骨を上げていきます。 次に、左脚を壁につけたままヒップリフトを保ち、右脚を壁から持ちあげて真っすぐに伸ばします。強すぎない完全呼気を意識しながら正しい呼吸パターンを維持し、伸ばした右脚をゆっくりと壁から上げ下げします。各10回3セットをおこなって下さい。 レフト・サイドライング・ニー・トワード・ニー:左側を下にして横向きに寝て、股関節と膝を90度に曲げて背中を丸め、下にボルスターをおいた足で壁を押します。右腿を前方にシフトして、持ち上げるか外に回します。このポジションをキープして左腿が右腿のすぐ後ろにくるまで持ち上げるか、内側に回します。このポジションを4~5呼吸キープしてこれを3~4回繰り返します。 PRIのコンセプトをトレーニングやコンディショニングプログラムに導入することには沢山のメリットがあります。パフォーマンスレベルがプラトーに落ち入っているアスリート達は、身体の根本的なアンバランスが必要不可欠な出力を低下させてしまっている状態です。トリートメントの前に評価をおこなうことは それがブレキアルチェーンなのか、アンテリア・インテリアチェーンなのか、またはポステリア・エクステリア・チェーンマッスルが原因なのかを明確にし、ゾーン・オブ・アポジションの獲得とリポジショニングエクササイズを通して、アスリートは自由で制限のない動作を取り戻すことが可能になるのです。 PRI要素を準備運動、筋ウォームアップ、そしてより強度の高いトレーニングや傷害予防プログラムに取り入れることは、アスリートのパフォーマンスやリカバリーを向上させます。より最適な昨日のために彼らにシステムのポジションを整えることは、彼らをその先のレベルにも引き上げてくれることでしょう。

マイケル・ムリン 2743字

バランスの見つけ方 パート2/3

アスリートがよりアクティブになって呼吸筋に負荷をかけるにつれ、横隔膜は骨盤底筋群や腹部の深層筋と共により強く素早く引かなければならなくなります。キーとなるアンテリアインテリアチェーンマッスルの右側での強固な引っ張りにより、骨盤と腰椎は右側に回旋するようになります。胸郭はその引っ張りのバランスをとる為にカウンターとして逆方向に回旋し、肩と頚椎もこれと同様に影響します。骨盤より下では、大腿骨と下腿の方向も大抵影響を受けます。これが身体において大きなトルクを発生させるのです。 このアンバランスが続くと、複数の筋群のポジションと機能を変化させていきます。これらの筋群は過活動または低活動になり、新しいポジションに適応する為に筋の機能を変えてしまうこともあるのです。例えば横隔膜は、増加した呼吸速度と身体の動きをコントロールする固定筋群を補助する為に短くて硬くなっていきます。このケースは、とりわけ過剰な胸椎や腰椎の伸展(アーチバック)、息切れ、足部を平にしてのディープスクワットやジャンプができなかったり、下肢のコントロールに乏しいアスリートに見られます。 最終的に筋のアンバランスは多関節筋連鎖に影響し、連動性を失う原因となります。そして結果的にレフト・アンテリア・インテリアチェーンと呼ばれるパターンになります。右側の優位性は 右の横隔膜、内転筋群、大腿二頭筋、そして左の大腰筋、大腿筋膜張筋、外側広筋の過活動の結果として現れます。これはアスリートが体重をより右にかけて立ち、寄りかかり、蹴り出し、側屈するのを好むということです。 レフト・アンテリア・インテリアチェーンパターンにおける代償動作の典型的な例は、胸郭の左側への過剰回旋であり、それがライト・ブレキアルチェーンパターンと呼ばれる上肢のアンバランスの原因となります。これが次に背部の伸展筋群の過伸展や過活動の原因となり、ポステリア・エクステリアチェーンパターンと呼ばれる、矢状面でのアンバランスへと導きます。 この身体の連鎖反応のキーポイントは横隔膜のアンバランスです。徒手以外でのテクニックや、場合によっては徒手と徒手以外のテクニックのコンビネーションを使う事で、PRIは胸郭のエリアで横隔膜から形成されているゾーン・オブ・アポジションを確立し、適切でバランスのとれた呼吸を回復することを目的としています。ゾーン・オブ・アポジションは横隔膜を適切なポジションへ戻して、正常に機能させることを可能にする為のニュートラルスペースです。 姿勢トレーニング ゾーン・オブ・アポジションを獲得して呼吸器系のバランスを保つ為に、身体は呼気を通して肺の空気を空にしなければいけません。加えて多関節筋連鎖のバランスも回復させて、コレクティブエクササイズで適切な筋群への再教育を行い、アスリート達が自分の動き方を変える必要もあるのです。 まず始めに、いくつものテストが呼吸、骨盤、そして胸郭のアンバランス評価の為に使われます。アスリートはそこから徒手以外のテクニックでゾーン・オブ・アポジションの獲得方法を学び、その後に彼、または彼女の目指すエリアにニュートラリティが獲得されたかどうかを簡潔に再評価します。もし獲得されていなければ、セラピストは徒手テクニックを使ってそれを補助します。そこでその人の新しいポジションを保つ為に必要な、正しい筋の発火パターンを強化する為のコレクティブ、リポジショニングエクササイズが処方されるのです。 最初のステップ PRIテクニックを使ったアスリートのトレーニングは、アスリートの身体にとって制限となり得る全てのアンバランスを見極めることから始めます。評価は以下のような種類のテストを通して行われます: アダクション・ドロップ・テスト:オーベルテストに似たもので、骨盤のポジションを評価します。片側、又は両側の大腿骨が内転できずテーブルにつかない場合は、骨盤のポジション異常を示唆します。 ホライゾンタル・アダクション・テスト:胸郭上における肩甲骨のポジションのチェック、 腕がテーブルの横から出ている時に、左右等しくなるべきです。アンバランスは胸郭の回旋を示唆します。 ヒュメラル・グレノイド・インターナルローテーションテスト:胸郭における肩甲骨のポジションを検査します。テーブルで背臥位になり、腕が90/90ポジションの時に前腕は自由に回旋できるべきです。アンバランスは胸椎の回旋を示唆します。 ショルダー・フレクション:テーブルの上に胸郭と骨盤を平らになるようにつけ、腕は自由に屈曲し、両側共にテーブルにつくべきです。アンバランスは胸郭の過伸展を示唆します。

マイケル・ムリン 1962字

バランスの見つけ方 パート1/3

生まれながらの非対称はアスリートのパフォーマンスに影響を与えます。この新しいトリートメントプログラムは、身体の内部のバランスを姿勢と呼吸エクササイズで回復させることに重点を置いています。 アスリートの目標達成への手助けをすることは、複雑で多角的なアプローチが要求されます。栄養、傷害予防、そしてリカバリーは考慮されるべき要素のほんの一部なのです。しかし,もう1つの重要なパズルのピースはようやく注目され始めてきたばかりです – 構造的で機能的な身体の非対称性は私達の呼吸や動作に影響を与えます。 人体の内部構造は非対称的であり、身体の様々なシステムも同様です – 神経系、呼吸系、循環系,視覚系 – は右と左で異なり、通常どちらかの側が優位となります。筋骨格系のパターンは、これらのシステムがどのように統合されるかで決定されることから、左右の非対称性はヒトの身体のアライメントと姿勢、呼吸機能や動作の形成に直接影響するのです。 こういった構造的な非対称性はごく正常なことであり、 自身の身体をコントロールできなくなる程顕著にならない限り、基本的に問題の原因にはなりません。これは高強度のスポーツやエクササイズにおいて、長時間特定の動作が繰り返されることで習慣化したり、またはイスの座り方などのちょっとした日常生活動作においても起こります。 非対称性が顕著になった場合、身体はそのエリアのスタビリティを保てなくなり代償を始めます。時間の経過とともに、これが骨や関節– そしてそれに付着する筋群–を顕著にシフトさせ、バランスやニュートラルな位置を失い、影響を受けたエリアの筋の働きが抑制されて筋骨格系の痛みや傷害のリスクが高まるのです。 このような非対称性を抑える為に効果的な方法はPostural Restoration Institute (PRI)の設立者であるロン・ハラスカによって発展したトリートメントアプローチです。このシステムは特異的なエクササイズや徒手テクニック、身体の先天的なバランスメカニズムと関連しているポジションの修正によって、スポーツパフォーマンスの向上やスポーツ関連傷害のケアをおこないます。 新たなバランス 相反性活動は、顕著なアンバランスを予防できる身体の基本的方法です。筋の活動が活発な時、身体はその活動に対して他の筋群をリラックスさせるなどして様々な方法でバランスをとります。PRIでは、セラピストは身体の片側の筋の活動を逆側の筋のカウンターバランスとして捉えています。 歩行のように基本的なこともこのコンセプトの良い例でしょう。 歩行における左スタンスでは、骨盤は左脚が身体の下に来た時に身体の左側で後方回旋し、その時中部から上部にかけての胸椎が動きのバランスをとるように拮抗して右に回旋します。右腕もまた後方にスイングして左脚の動きに合わせることでバランスを保っているのです。このプロセスは相反性交互活動と呼ばれ、身体の両側で等しく均一に起こるべきなのです。 もしも身体の片側で筋が過活動になり、過剰に働いてしまった場合、相反性活動はこの筋の過活動を抑制する為に身体のどこか他の場所でおこなわれます。しかし、これがまたアンバランスを相殺して身体が効率よく動くように、他の筋群を活性化したり促通させたりもするのです。これはアスリートのパフォーマンスにおいてマイナスにも働きます。なぜならその活動に1番適している筋群は活性化されず、別の適していない筋群が代わりに使われてしまうからです。PRIテクニックはこういった非対称性にアプローチし、患者にその動作を保持することを目的としています。 呼吸がキーポイント パフォーマンスに影響する、最も一般的な構造的非対称性は呼吸システムです。右側の横隔膜は強固で、ポジションに優れ、より優れたレバーアームを持っています – 横隔膜の腱(脚)は、右側では3つの腰椎に付着し、左は2つのみ付着、右の肺は3つの肺葉に対し左は2つであり、肝臓は右側に付着して、より強固なサポートを右の横隔膜に提供しています。 コアの筋群がバランスを保てなくなった時、横隔膜はより静的な姿勢保持の役割を担うようになります。これが横隔膜の方向性や長さを変える要因となり、適切な呼吸換気の効率を下げてしまうのです。結果として、他の筋群が横隔膜の通常の機能をおこなうようになります。これが頭部前方位や肩甲骨の位置異常、そして過剰な後弯や前弯姿勢などの構造的異常や、過呼吸、奇異呼吸、息切れ、疲労、そして運動性ぜんそくなどの呼吸機能不全など、様々な形で代償作用や機能不全へと繋がるのです。もし対処されなければ、不適切なポジションで固定された横隔膜が最終的にアスレティックパフォーマンスの低下や先程述べたような急性または慢性傷害を招く結果となるでしょう。 複数の骨や関節をまたいでいる多くの筋群は、多関節筋連鎖と呼ばれています。こういった筋群は同じ走行性を持ち、構造的、そして神経的に繋がっています – 筋の1つが活性している時、他の筋群も同様に影響を受けます。呼吸機能に大きく作用する、3つの主要な多関節筋連鎖があります – それぞれ左右に1つずつあります。遠位の頚椎エリアから、これらのチェーンは: ブレキアルチェーン: 脊柱の前方にあるブレキアルチェーンマッスルは、頭部と胸郭の動きを繋げて連動させるのに役立ちます。このチェーンは横隔膜、前方と側方の肋間筋、三角筋と大胸筋、胸骨筋、胸鎖乳突筋、そして斜角筋です。 アンテリアインテリアチェーン:アンテリアインテリアチェーンマッスルは脊柱の前方にあり、胸郭と骨盤の動きを繋げて連動させるのに役立ちます。このチェーンは横隔膜、腸骨筋、大腰筋、大腿筋膜張筋、外側広筋、そして大腿二頭筋を含みます。 ポステリアエクステリアチェーン:脊柱の後方にあるポステリアエクステリアチェーンマッスルは、相反機能を抑えて交互性をだす手助けをします。このチェーンは広背筋、腰方形筋、前鋸筋、そして肋骨の外旋筋を含みます。

マイケル・ムリン 2538字

コアトレーニングにおける5つの最大の失敗 パート1/2

皆さんはどうかわかりませんが、私は失敗をすることを愛しています。 そうですね、愛しているというのはちょっと強すぎる表現かもしれません。その瞬間には失敗をしたくないと思いますが、失敗をしていないとすれば、それは良くなるために最善の努力をしていないからだと確信しています。 ここで紹介している多くの記事は(ビデオ、セミナーなども含め)、私が長年をかけて学んできたことに注目しています。 そして多くの場合、これら学習の機会は私が起こしてきた失敗から直接来ています。 この記事では、コアトレーニングにおける私の5つの最大の失敗を紹介します。私の失敗を正直に述べることで、あなたがアスリートと共により良い結果を得ることに役立てば幸いです! 失敗1 仰向けのコアトレーニングの多用 私がコーチとしてのキャリアをスタートした1999年、2000年ごろ、腹筋運動のサーキットが全盛期でした。やるべきことは、5−10個のコアトレーニングエクササイズを選び、仰向けになって我を忘れるまで、脊柱を曲げたり、伸ばしたりすることでした。 幸いなことに、私はこのようなトレーニングからはすぐに手を引きましたが、それは必ずしも本当の意味で教訓を得たためという訳ではありませんでした。 コアトレーニングを考える時、私たちはとてもよく、下記の要件を満たしていないと「コアのトレーニング」ではないと思ってしまいます。 仰向けの状態で行い セッションの最後に行う 「セッションの最後」という部分のことはまた別の機会に述べます。ここでは「仰向けになる」という点を見ていきましょう。 私は、コアトレーニングは重要であると思ってきました(知られている?)し、常にプログラムの中にコアトレーニングを沢山取り入れようとしています。その一番手っ取り早い方法の一つが、仰向けのコアエクササイズを沢山組み込むことです。 こういったエクササイズから得られる利点はあるでしょうか。もちろんです。床ベースまたは仰向けのコアエクササイズの利点は無数にあります。 地面からの外的安定を沢山得ることができる。アスリートのコアが弱い場合、外的安定は初期段階において成功体験を得るのに有効です。 地面の上で背中を感じることができる。アスリートによっては、視覚によるキューや、1001個ものキューはいらないかもしれません。アスリートによっては、ただ感じることができればいいのです。こういったアスリートには、床ベースのコアトレーニングはとても重要になり得ます。 プログレッション及びリグレッション(段階を上げたり下げたり)をする方法が沢山ある。私のことを少しでもご存知なら、私が時間をかけてゆっくりアスリートを育てていくのが好きなことを知っているでしょう。私がこのタイプのエクササイズのバラエティーをかなり沢山持っているという事実は、アスリートにとって幸運にも不幸にもなり得ます。 「マイク、言っていることはどれも素晴らしいと思う。でもいったいなぜ仰向けでのコアエクササイズは良くないの?」 仰向けのコアエクササイズが良くないわけではありません。ただ何事もそうですが、やりすぎになる(または限定的に使われすぎる)ことがあります。 さらに、あえて反論するとすれば、これらのポジティブな要素をネガティブにすることもできるのです。 では、先ほどと同じリストを逆転させてみましょう。 外的安定性。アスリートが適切な姿勢・ポジションを取ることができるようになったら、外的安定性を取り除きたいと思います。地面から与えられた安定性に頼るのではなく、自分で安定性を作り出す方法を学んで欲しいのです。 地面の上で背中を感じることができる。多くのアスリートは、常に脊柱の伸展筋の緊張が高くなっており、背中側に空気を取りこむことに苦労しています。最初は、アスリートに背中を「感じて」欲しいのですが、これは空気の流れや背中側のさらなる拡張を阻害してしまうことにもつながります。背中から得る運動感覚は初期段階では重要ですが、いずれは先へ進むことが大切です。 プログレッション及びリグレッション。プログレッションとリグレッションは素晴らしいことです。これができなければ私は完全に路頭に迷ってしまいます。しかし同時にそればかりに注目し、A.アスリートを退屈させてしまう、B.進行がゆっくりになりすぎる、といったリスクもあります。 4番目のポイントでカバーしますが、すべての発達段階において、そのアスリートに適切な負荷を与えて段階を高められていることを確かめる必要があり、ただあるエクササイズからあるエクササイズへと移行するだけではダメなのです。 失敗2 股関節屈曲のトレーニングをしていない 私が長年にわたって犯していた重要な失敗は、股関節屈曲のトレーニングをしていなかったことです。 これらすべての失敗において、一番大きな問題はパフォーマンスです。もし体幹や骨盤が不安定でお粗末な股関節屈曲運動を行っているとすれば、そのエクササイズからはほとんど何も得られないでしょう。 しかし、アスリートにとって股関節屈筋群の強さは、強く安定した体幹とともに不可欠です。 ほとんどすべてのスポーツにおいて見られる加速の動きを考えてみてください。胴部を傾けて、地面に対して下方向、及び後ろ方向に最大限の力を発揮することが大事です。 加速において、股関節を力強く屈曲し、脚を下方向、後ろ方向に押し出せるポジションに持っていくため、体幹は強く安定している必要があります。もし体幹が弱すぎたり、不安定だったりすると、エネルギーが失われ、ここで求められるピストンのような脚の動きができなくなります。 股関節屈筋の筋力が不足していると、伸展をする際の反動や爆発力の発揮ができません。股関節の屈曲が頼りないアスリートで、その後の脚の伸展を力強くできる人を見たことがありません。安全性とコントロールのために、関節の両側のバランスが取れていることが必要です。 他に、絶対に股関節屈筋の使い方を学ぶ必要があるのは、スウェイバック姿勢のクライアントです。 スウェイバック姿勢では、骨盤が後傾しているかのように見えます。しかし、おそらく長年をかけて起こってきたことは、骨盤の伸展を行いすぎて、肩と足に対して骨盤が相対的に身体の前にずれてきてしまった結果です。 フォースカップリングを考えてみると、実質的には身体の前側にあるすべての組織、特に腹筋群と股関節屈筋群が伸ばされて弱くなります。 彼らの屈曲のパターンを再構築するためには、安定した骨盤上で効果的に股関節を屈曲する方法を学ぶ必要があります。私がこの症状に対して行うのに好きなエクササイズは、アイソメトリックのマウンテンクライマーとバンドを使ったジャックナイフのバリエーションです。

マイク・ロバートソン 3009字

コアトレーニングにおける5つの最大の失敗 パート2/2

失敗3 是が非でも脊柱の屈曲を避ける 私たちの多くは、「脊柱屈曲」という言葉を聞くと無意識に身がすくんでしまいます。 私たちは脊柱屈曲と聞くと即座に、アスリートが地面から鉛筆を拾うために体をかがめ、自然発生的に椎間板が後方に脱漏し数ヶ月動けなくなることを想像します。 こういった思考の多くは、スチュアート・マックギル博士と脊柱の生体力学に関する彼の素晴らしい研究成果に起因しています。マックギル博士は、負荷がかかった状態における可動域最終域での屈曲は、怪我をするにはもってこいの方法であるため避けるべきだと説きました。 でも大抵のことと同様に、私たちは良いことであってもやりすぎてしまう傾向にあります。私のダグ・キージャンとのポッドキャストを聞くと、彼が数年前、いかに脊柱の屈曲に対して神経質であったか、神経質すぎて、歯を磨いている時でさえ、文字通り常に伸展位に固定しようとしていた!ということに関して冗談を言っていました。 おかしな話ですが、同時にこれは特別な例ではなく多くの人に見られることだと思います。 脊柱屈曲は悪いことではありません。脊柱屈曲は、脊柱の屈曲だけではなく、体全体を通じての屈曲を取り戻すのに役立ちます(これは最近の多くのアスリートが苦しんでいることです)。 屈曲はまた、胸郭と横隔膜を再配置してくれます。横隔膜が適切な位置にあると、呼吸を助けてくれますが、そうでなければ、より姿勢維持に関わる筋肉になりがちです(この洞察はPRIのおかげです)。 ここで覚えておいて欲しいのは、屈曲をすることができ、それを維持することができるからといって、何度もその動作を繰り返すわけではありません(クランチや「腹筋サーキット」のように)。 また、負荷のかかった状態で行うというわけでもありません。例えば、ジムで最大負荷のデッドリフトを、背中を丸めた状態で持ち上げることを認めているわけではありません。 伸展位に体を固定するのと同様に、それでは極端な方向にいきすぎてしまいます。 脊柱屈曲の可動域を得ること、維持することに最善を尽くしてください。結果として、あなたのアスリートはより高いレベルで、より長い期間、競技を続けることができるでしょう。 失敗4 プログレッションの選択肢が少ない 先にほのめかしたように、過去の私は、コアの特定の分野の発達にかなり固執してしまう傾向にありました。 長い間、私は仰向けのコアトレーニングが大好きでした。アスリートが週に三回ジムでトレーニングをするならば、毎回違う種類のエクササイズを行っていました(例えば、日毎に レッグロワーリング、デッドバグ、PNFパターン、を行うなど) しかし目標は、仰向けになっている状態でのコアの筋力がどれほど素晴らしいかを見ることではありません。目標は、彼らのスポーツにおいて、いかに能力を発揮できるかを見ることです。 そのため長年をかけて私が一生懸命取り組んできたのは、プログラムにプログレッションを組み込むことでした。この方法の一つは、トレーニングプログラムを通じて様々なレベルでコアへのチャレンジすることです。 例えば一般的なプログラムは下記のようになります 1) 高重量の両側性トレーニング 2A) スプリットスタンスエクササイズ 2B) 上半身のエクササイズ 3A) 補助的な肩、股関節、胴部のエクササイズ 3B) 孤立化したコアエクササイズ より特化したプログラム(いくつかのキューや解説) 1) ダブルケトルベルフロントスクワット(肘を遠くに伸ばすことに注目し、腹部のポジションの位置を決め、保つ) 2A) ハーフニーリングチョップ(スプリットスクワット、ランジパターンを築く。ただしコア、股関節、骨盤の安定性を確立することが先決) 2B) 3点ダンベルロウ (ベンチなどに置いた方の手を遠くへリーチし、腹筋を稼働する) 3A) トールニーリングランドマインプレス(息を吐きながら、骨盤を上げ、腹筋を安定など) 3B) フロントプランク(肘を遠くにリーチ、3点接地など) お分かりのように、これらのエクササイズは全て、ある程度コアを発達させると同時にセッションを通して複数の姿勢とポジションを取り入れています。(垂直、ハーフニーリング、うつ伏せ、四つ這いなど) 最後の問いかけは、「孤立化した」コアエクササイズを全て使ってしまったらどうするのか? これはあなたがそのアスリートと複数年にわたって関わってきたとすれば、よくあることです。この場合、どこかの時点で「基本に戻って」再起動することに何の問題もありません。 もしあなたが、アスリートが長い間にわたって、プランクやデッドバグのような単純なエクササイズの実行を向上させられないと思っているとすればそれは間違っています。 それは良い本を、時間をかけて読み返すようなものです。本自体は変わりませんが、あなたは人間として変化していますから、本を読んで得られることは毎回違います。 トレーニングもそれと同じで、時間を遡って、それぞれすべてのエクササイズの価値を十分に引き出すことを恐れないでください。 失敗5 ウォームアップにトレーニングの背景を考慮したコアトレーニングをいれていない これは私が一番最近行っていた失敗であり、しばらくは繰り返したくない失敗です。 上記のプログラムの例を見ると、トレーニングセッションを通して複数の方法でコアを刺激しているのがわかると思います。 しかし、非常に大切なこと(私が失敗していたこと)は、ウォームアップの中にトレーニングの背景を反映したコアエクササイズを含んでいなかったことです。(ここでフィードバックをくれたタイ・テレルに感謝します−大変役に立ちました!) そもそも背景とはどういう意味でしょう? セッションでは、アスリートが鍛える動きや質をそのまま反映しているエクササイズを選ぶようにしてください。 例えば、パワーリフターがその日スクワットを行うとすれば、ウォームアップには、より多くのトールニーリングエクササイズを取り入れます。 トールニーリングは平行スタンスのコアトレーニングエクササイズであり、スクワットをする際に、体幹、臀部、骨盤をより適切なポジションに位置するのに役立ちます。 アスリートが直線的な加速に取り組むのなら、マウンテンクライマーやステップアップチョッピング、リフト系のパターンが役立つでしょう。 こういったエクササイズをトレーニングセッションの前に行うと、セッションがより生き、その日のトレーニングにおける姿勢・ポジションでコアを使うことができます。 私のことを少しでもご存知であれば、私が「かっこいい」のが好きでないことを知っているでしょう。エクササイズの選択となると考えすぎになることが多く、そのプロセスの中で動きや運動制御、あるいはその両方にマイナスの影響を与えてしまうことがあります。 しかし、トレーニングセッションの前に、アスリートに対して適切なコアの姿勢とポジションに関していくらかの背景を与えていれば、非常に大きい利益を得られるでしょう。

マイク・ロバートソン 3041字

運動制御に関するシステム論的視点 パート1/2

ダイナミックシステム理論(Dynamic systems theory:DST)は、運動学習を最大限に習得する方法として、運動リハビリテーションとパフォーマンスの業界で影響力を持ち始めています。運動行動は、身体のさまざまなサブシステムや目前の課題、環境などの複合的な相互関係により生じるということが大前提です。この複雑性を前提として、運動行動がどのように変化するか、その学習がどのように起こるのかを分析するのにダイナミックシステム理論は適しています。 この投稿と次作では、ダイナミックシステム理論の基本概念とクライアントへの適用方法についてレビューします。これをお読みになれば、著名なムーブメントコーチの臨床での実践や直感的な能力を理解するのに役立つでしょう。 (ところで、この投稿の内容に関するバックグラウンドや、痛みの状況への適用方法についてもっと知りたい方は、「システム論的視点からの慢性疼痛」という投稿をご覧ください)。 複合システム、自己組織化、トップダウン制御 ダイナミックシステム理論の大前提として、身体は数百万もの相互に影響し合う部分で構成されている複合的システムであるということがあります。身体を協調する知性は、ある特定の部位に局在しているものではなく、すべての異なる部位の複合的な相互作用から生まれます。ですから、たとえばサーモスタットのような単純な機械とは異なり、複合システムは、ひとつの中枢制御装置に制御されることなく行動を起こします。 この一見矛盾していることを説明するために、ダイナミックシステム理論では自己組織化、(制御の)出現、多重的因果関係という用語を使います。これらはあまり聞き慣れない用語ですが、魔法のようなものではありません。自己組織化は、物理法則に反する生命維持のための活力のようなものを意味するものではありません。ですが、制御装置なしでどうやって制御できるのでしょうか? 蜂の巣のような昆虫社会の知的行動を思い浮かべてみてください。巣を造り、蜂蜜を作り、蜂の子を育て、敵を撃退したりなど、成すべき重要な仕事をどのようにすればよいかすべて知っている一匹の蜂がいるわけではありません。その代わりに、これらの仕事は、何千匹の蜂の複合的相互作用によって行われます。これら蜂の行動はただひたすら無心にアルゴリズムに従っているだけです。同様に、私たちの動きを制御する知性は、何百万個の身体部分と環境の複合的相互作用によって出現します。 では、中枢神経系についてはどうでしょうか? 中枢神経系こそが身体の中枢制御装置ではないでしょうか? ある意味ではそうであると言えます。つまり、中枢神経系が、意味のあるパターンで筋を発火させる指令を司っています。しかし、中枢神経系そのものも多くの部分によって成り立つ複合システムです。その行動は、免疫系、内分泌系、筋骨格系など、そのほか多くの体系と環境によって変化します。 このような理由から、ダイナミックシステム理論では中枢神経系や“モータープログラム”のような“トップダウン”で動きを決定させる役割を重視しません。むしろ、身体の構造や環境、そしてそこにある課題の特質など、“ボトムアップ”の要素に焦点を当てています。 協調された動きをするために、これらの要素がどれだけ重要であるかを示す一例として、内蔵コンピューターやモーターが設置されていないロボットが歩いている、このビデオを観てみてください。ロボットを制御する知性は、その構造の中に組み込まれています。その構造が適切な状況に設置されれば、その通りに作動してくれるのです: このロボットは、歩くことを学習する必要はありませんでした。環境を整えて(斜めにした床)そして、お父さんが少し押してあげればいいだけです。人間の赤ちゃんは違っていますか? エスター・テーレンによる興味深い研究によると、赤ちゃんを歩かせるのに必要なことも似たようなものだということです。 構造、環境、足踏み行動 エスター・テーレンは、発達心理学の分野で斬新な考え方を持っていました。(興味深い注釈:彼女は、フェルデンクライス・メソッドが自分の多くの考えを効果的かつ実践的に応用したものであると分かってから、自分もフェルデンクライス・プラクティショナーになりました。) テーレンの重要な研究のひとつは、乳幼児の発達過程における足踏み行動の変化が重要であるとしています。乳幼児は、まるで歩きたいと思っているかのようにつかまり立ちをし、よちよち歩きを始めるということを、研究者は長い期間観察してきました。この行動は、その後数ヶ月間は消えてしまいますが、その後再び出現します。 これらの変化を説明する有力な説は、神経系の発達にあります。それによると、反射が抑制され、次の運動制御パターンが発達する時、乳幼児はどういうわけか足踏みの運動制御プログラムを習得してそれから失ってしまうようです。しかし、テーレンは、中枢神経の発達が完全ではないと考えられている子どもたちに、この足踏み行動を起こさせることができました。子どもたちの脚を水中に入れ、脚が軽くなることで、自発的に足踏みをするようになる、という方法です。 このように、足踏み行動を制御している決定的な要素は、中枢神経からの“トップダウン”プログラミングの変化ではなく、太ってしばらく怠け、それからスリムになって動き回り始める、子供達の脚の重量効果による“ボトムアップ”の変化だったのです。 テーレンはまた、環境を変えることにより足踏み行動を変化させることができました。乳幼児がトレッドミルの上で歩く、次のビデオをご覧ください。従来の見解では、このような足踏み行動は、この月齢の神経系発達レベルでは通常あり得ないことですが、その子をトレッドミルに乗せると、動き始めるのです。 テーレンにとってこれは、乳幼児の発達には通過すべき段階や一定の規則があるという考えに直接的に挑戦することなのです。それよりも、発達は個人差が大きく、状況によってかなり変化し、成功するための発達の仕方には何通りもあるということです。 これらの考え方は、発達に関する従来の見解とは対照的です。従来は、トップダウンや遺伝で決定され、中枢神経系を介したプログラムに則って、ひとつひとつ段階を踏んで進んでいくものが、最も好ましい発達であると考えます。しかし、そうではないかもしれません。ローマにつながる道はいくつもありますし、すべての子供が這い這いの道を通るとは限りません。

トッド・ハーグローブ 2765字

運動制御に関するシステム論的視点 パート2/2

位相シフトと運動パターンの変化 複雑系理論家たちは、複合システムが自ら変化できるように、あらゆる方法を示すものとして“状況”という用語を使用します。状況の変化はたいてい非線形であり、体系への小さな入力が大きな出力を生み出すかもしれないし、または、その逆もあり得るということを意味しています。 著しく非線形な変化は位相シフトと呼ばれています。たとえば、水は冷たくなってもそれほど変化しませんが、もっと温度が低下すると突然、位相シフトが起こり、氷に変わります。 運動制御の位相シフトのひとつの例をお見せしましょう。馬が常歩のスピードを上げても、基本となる脚の協調運動パターンは変わりませんが、限界速度に達すると運動パターンは速歩へと急速にシフトします。スピードをさらに上げても歩法はしばらく変化しませんが、最終的に駈歩へシフトしていきます。 みなさんも歩行中に同じような経験をすることがあるでしょう。交差側方の動きをなくして歩いてみてください。つまり、肩や腕を一切動かさずに歩くか、左右の肩が反対側の股関節や脚の方へ回旋しないようにしてみることです。 では、歩行スピードを上げてみましょう。スピードがある程度上がると(ジョギングへ移行しなければならない位)、肩と腕が骨盤と逆の方向に動き出すのが分かります。速度の変化によって、位相シフトが歩行の交差側方の運動パターンへと変化したのです。その変化は急速に生じ、無意識に起こります。 運動パターンをどのように変えるか 運動を教える立場から見ると、これは興味深いはずです。私たちはクライアントの運動パターンを変化させようとしますが、最も興味深い変化は、位相シフトそのものにあります。つまり、本当の意味での質的変化は運動パターンの中に見られるのです。 ダイナミックシステム理論の観点では、運動行動に起きる位相シフトは、本人が変えようとするこれといった意図がなくても、また指導者の特別な指示がなくても起こりうるということに注目しています。むしろ、タスクや環境の本質が変わることにより、変化は容易に発生します。周りを見てみると、この指導方法の例を至る所で目にするでしょう。 たとえば、ベアフットランニングは、裸足で走ることによってランナーのフットストライクパターンを自発的に変えるという事実に基づくことで最近注目されています。直接的な指導や“運動学習”がなくても、深く習慣づけられた運動行動が、環境や動作の制約を変えるだけで簡単に変更することができることを示しています。 多くの、よく知られた運動介入は、まさにこの考えに基づいています。ダン・ジョン氏が有名にしたゴブレットスクワットを考えてみてください。 後方に腰を下ろし、胸を上げたままスクワットするようにと指導する代わりに、単に胸の前にウエイトを持たせスクワットさせることができます。この新しい課題要求によって、特別な指導をしなくてもスクワットパターンはたいてい素早く改善します。 もうひとつの例として、グレイ・クックが実施している反射性神経筋トレーニング(RNT)と呼ばれるコレクティブエクササイズがあります。これは次のように作用します。仮にスクワットした時に両膝が内側に崩れてしまう人がいるとしましょう。クックは、ゴムバンドを膝に回し、さらに内方へ膝を誘導し、“間違ったパターンを強調”をします。この新たな制約は、瞬時に膝を外方へ向けるように促します。一切の言葉がけも必要ありません。 ランニングの話に戻りましょう。ランニングの歩数を増やすことによって、踵接地パターンがどのように変化したか、クリス・ジョンソンのこのビデオを観てください: ここでも、特別な指導がないにも関わらず運動行動の位相シフトが瞬時に起こりました。 ここで、EXOSのパフォーマンス教育ディレクターであるニック・ウィンクルマンについても触れておくべきでしょう。彼はこうした考えをパフォーマンスの背景に応用し素晴らしい成果をあげています。 結論 つい話が脱線しすぎてしまう恐れがあるので(特に内的キューイングよりも外的キューイングの方が有効であるというガブリエル・ウルフの議論では)、そろそろこの投稿をまとめましょう。 今後の投稿では、運動パターンのアトラクターウェルズや制御パラメーター、安定性、柔軟性、変動性など、もっとダイナミックシステム理論の概念を再考察しようと思います。しかしここでは、今回この投稿からひとつ覚えておいてほしいことを提案します。 人間は、複合システムで自己組織化できる素晴らしい能力を持っています。ぴったりのモチベーションや環境、やらなくてはならない課題を与えたら、たいていの場合スピードと効率性を伴って、良い動きの解決策を見つけてくれるでしょう。コーチの適切な役割は、人にどのように動けと指示することではなく、学習に適した状況を作り出すだけにして、あとは口を出さないことです。 この指導のモデルは、実はとても常識的なことであり、最も優秀なコーチや指導者の多くは、直感的にこれを実施しています。ダイナミックシステム理論は、このアプローチがなぜ有効であるか説明するのにぴったりな理論モデルであるかもしれないので、私はそれについての学習や執筆を続けています。

トッド・ハーグローブ 2257字

関節は中心化される必要があるか?それが本当に問題なのか? パート3/3

筋肉の活性化を“修正する”(続き) Lehmanとその他は、腰部より先に発火するハムストリングスよりも先に臀筋が発火すべきであるという理論をテストしました。*ここをクリックしてください* そして、彼等は、無症状者において、一貫した筋動員パターンは無く、被験者間で多様性があることを発見しました。筋収縮の開始時間には、大きな幅がありました。以前の研究もまた、理論化された筋肉の活性化の‘正しい’順序とは相関関係がありませんでした。 コアスタビリティもまた、筋肉の活性化の正しい順序とタイミングに関して仮説立てられています。腰痛へのコアスタビリティアプローチの効果に関する私のレビュー*ここをクリックしてください*を読んでみてください。 Vasseljenとその他は、まず、腹筋群の活性化において、大きな多様性があるということを発見し、次に、8週間の腹筋トレーニングによって影響されないということを発見しました*ここをクリックしてください*。 Mannionとその他は、腹筋機能の基準値測定、もしくは腹筋向上の基準値測定のどちらも良好な臨床転帰には影響を及ぼさないということを発見しました*ここをクリックしてください*。 さて、私達はタイミングを変化させることができるでしょうか?私達は何が‘正しい’タイミングなのかを知っているのでしょうか?それが痛みに影響を及ぼすのでしょうか? もちろん、明快な答えは出ないでしょう。反対の根拠、あるいは不明確な根拠に対する昔からの論証はしばしば下記のとおりです: 彼等はXXXの理由で、研究を正確に遂行しなかった。 私達の理論は異なる。 私達の臨床経験では、XXXと考えます。 ここでの責務は、理論をバックアップするための根拠、あるいは アプローチの疑う余地のない効果を証明するための特定の方法を提供することです。 私達は、‘ジョイントセントレーション’理論において、重大な役割を果たす安定筋や主動筋のように、筋肉に特異的役割を与えています。私達は、筋肉が何をすべきか、筋肉がいつそれをすべきか、ということを確かに仮説化することができます。身体の内部で本当に何が起こっているのかを知ることは少々困難ですが、もし単一筋が理論化された‘責務’を果たさなければ、誰かが言うほどに悲惨な状況なのでしょうか? 私達が筋肉の役割を定義しようとしている方法の一つは、筋線維タイプの配分を通してです。もしその筋肉がより多くの遅筋線維を持っているならば、それを姿勢筋、あるいは安定筋として分類するかもしれませんし、より多くの速筋線維を持っているのであれば、それは運動のための筋肉として分類されるかもしれません。異なる理論に着目するならば、実際には、全ての筋肉はより協働筋なのかもしれません。次の項で詳しく説明しましょう。 T. Haggmarkとその他は*ここをクリックしてください*、腹筋群(腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋)の研究において、の主要な線維タイプを発見しまし、一個人の異なる筋肉の間ではほとんど変わりがないことから、それらの筋肉が非常に類似した機能的能力を持っているという結論を出しました。しかし、大きな個人間変動は存在します。この研究*ここをクリックしてください*は、わかりづらいところもありますが、筋肉に関する36件の研究のほとんどにおいて、“どちらかの線維タイプが優位ということはない”ということを発見しました。 筋線維タイプの配分は、ほとんどの事がそうであるように、個人個人で非常に異なっているように思われます。遺伝、性別、運動タイプ/レベルは、個人における筋線維タイプの配分に影響を及ぼしているようです。多くの筋肉が、ほぼ同じ割合で筋線維タイプを持っているようです。これが、特定の役割を書いたラベルを筋線維に貼ることをより困難にするでしょうか? その他の理論 反対となりえる他の理論的な考えは、動的システム論です。ここでは、筋肉の活性化における変動性は、完全に正常で健全であるということがわかります。 Davidsとその他は、試験間の運動変化を健全で、遍在していて、避けられないのだと考察しています*ここをクリックしてください*。この変化は、このブログにも登場する研究によって支持され、疼痛経験において一貫した関連性はないかもしれません。この研究は*ここをクリックしてください*、非熟練運動者が彼等の運動戦略を厳格に固定している一方、熟練運動者は、より変動性を持っているということを強調しています。 Fallaとその他は、ウェイトリフティングのタスク中に、一貫した筋肉の活性化戦略を示した腰痛者群と対比して、筋肉内の活動において、健常人群が実際により多くの変動性を示したということを発見しました。この場合、繰り返し作業中における、筋肉内の活性化の変動性は、特定の活性化パターンよりむしろ健全なのかもしれません*ここをクリックしてください*。 上記の図の健常者群の部分で、頭蓋部から尾側部にかけての腰部脊柱起立筋の活性化の偏移が見られます。下記の有痛者群は、筋肉の同様の部位のみを活性化しています。これは、運動変化の減少と生理学的ストレスの増大の両方を強調しているのかもしれません。 私達はまた、筋肉の冗長性の問題も持っています。中枢神経系が同様の物理的行為を行うために使用することのできる筋骨格系の要因の大きな変動があります。例えば、いかなる体幹筋活性化パターン、あるいは相乗作用の組み合わせも、脊柱の安定性において同様のタスクを獲得することができるということです。 私達はタスクを成し遂げるために、筋肉を協働、あるいはグループで活性化します。単一筋がタスクを成し遂げるという治療界とフィットネス界の考えは、私にとっては、全く理にかなっていませんし、利用可能な根拠はありません。筋電計を使った研究から見た、これらの協働作用における個々の活性化のタイミングと順序は、このブログでこれまで議論してきた領域に出てきたように、健常人と非健常人における明白なパターンというよりはむしろ、個々において変動があるように見えます。  そこで、数多くある筋肉の相乗作用において、私達はどの活性化パターンを使用するべきなのでしょうか?どれが冗長なのでしょうか?“非制御多面体仮説(UMH)”、あるいはより簡単なUMHアプローチのような、とても現代的な運動理論は、冗長要因を制限するというよりもむしろ、利用可能な冗長要因の利用に着目しています。さらに読むには*ここをクリックしてください*。 筋肉活性化の特定パターンとタイミングは明確ではなく、腰痛とコアスタビリティの場合においては、より関連性がある、あるいは変わりやすいように見えます。関節を中間位に置くために力のバランスを取るための主働筋と拮抗筋のような単純な概念でさえ、複雑な機能に関連した生体力学に着目すると、さらに一層複雑になります。関節は三次元を通して動くため、私達が現在基づいている単純化した二次元モデルよりもむしろ、それぞれの平面においての、主動筋と拮抗筋に目を向ける必要があります。 力学的レベルでは、ジョイントセントレーションを持ち、それによる能力増大は理にかなっていますが、もし私達が筋肉の動員パターンの何を修正すべきか知る方法を持っていなければ、‘修正’することが困難であるということに気付くかもしれません。もし明確な相関パターンが分からなければ、痛みや損傷を間違った筋肉の活性化や姿勢のせいにするのは困難なように思えます。 身体における内部作用を議論する際に客観的なデータがあれば、明らかな手助けになります。もし客観的なデータが無ければ、とてつもなく困難になります。私達は、自身に‘実のところ、何を知っているのか?’ということを問う必要があるのです。

ベン・コーマック 3297字

関節は中心化される必要があるか?それが本当に問題なのか? パート2/3

姿勢(続き) 姿勢と関節の位置は、関節周辺の筋肉の活性化にとりあえず関連しているのでしょうか?数多くの研究論文によると、私達の姿勢の位置は、視覚系、前庭系、感覚運動系間の複雑な相互作用によって制御されているようです。もし私達の姿勢が、その他の要因によって影響されているのであれば、関節周辺の筋肉の活性化の再トレーニング、あるいは活性化の順序を再トレーニングすることには、効果は無いかもしれません。 私達の静的姿勢は、固定された関節周辺の回旋軸に確実に影響を及ぼすでしょう。ここでのポイントは、私達の姿勢が痛みに影響を及ぼすかどうかということですが、利用可能な科学的根拠に基づいて、これを支持すると結論付けることはできませんでした。 動的姿勢は、はるかに複雑なテーマです。私達の動的姿勢は、遂行時にかなりの変動を伴い、私達が行うタスクによって確実に決定されるでしょう。 ここで、私達は、関節における‘理想的な’機械効率を維持するための静的姿勢の観点から見る単純な固定軸よりも、瞬間的回旋軸に着目し始める必要があります。この概念はかなり複雑な機械的なもので、私の脳の灰白質に挑戦するものです!また、動的姿勢に関連している研究も非常に少ないのです。 瞬間回旋軸は、運動体が平行移動や回旋している際に、つまり臨床的状況ではなく、実際の動的運動時に発生します。 私達が瞬間回旋軸を持つ際に、関節周辺の運動は純粋な回旋であると推測することができます。これを達成するために、骨の平行移動の要素は、近接結合を保つために同時に起こる必要があります。問題は、身体運動は順序的で、どのような種類の可動域も、達成するためには、身体運動が蓄積される必要があるということを知っているということです。身体の大きな可動域は、複数の関節による可動域の蓄積なのです。脊椎運動が良い例です;それぞれの部位が小さな可動域を持っていて、構造全体を合計して大きな可動域を形成します。 機能性が関連する例は、テニスのショットに対してラケットを伸ばすこと、あるいはフットボールのタックルへのランジです。関節は、運動域を獲得するために、中心化から外れる必要があり、このタスクは試合、キャリアを通して、繰り返し必要とされます。あなたが関節の中心化を保っていれば、負傷しないかもしれませんが、その状態でプレーすることが困難であると気付くかもしれません。そして、私はまだ、プロフェッショナルスポーツにおいて、セントレーションの欠如が損傷の原因であるという科学的根拠を確かめていません。私はこれを、機能的世界における運動の臨床的発想の古典的な一例として見ています。それは、機能的な状況において、中枢神経系に複数の部位を協調した状態で動かすことを教え、特定の運動に部位の近接結合を保つことを教える手助けになるかもしれません。 ここでの問題は、運動、関節角度、スピード、他の関連する身体部位の位置に従って、相乗関係が常に変化しているので、それぞれの運動は、必要とされる部位間の特定の協調運動を作り出すために個々にトレーニングされる必要がということです。後述するように、‘正しい’、あるいは‘理想的な’筋肉の相乗パターンは、存在しないのかもしれません。 私達はまた、関節におけるこれらの運動はとても小さいということを認識する必要があり、私は、痛みを全く引き起こさないように、人々は多くの関節の可動域を制限しているのではないかと疑います。自然な解剖学的多様性もまた、関節の中心化能力を制限しているのかもしれません。もしあなたが構造的に‘中間位’を獲得することが不可能ならば、これは独自の‘中間位’となるのでしょうか?もしそうでなければ、私達全員が、個人個人の間で膨大な解剖学的多様性という問題を抱えていることになるでしょう。 よって、私達の動的姿勢、あるいは静的姿勢が、関節の位置とそこから動かし始める能力、中間位を保持する能力と中間位に復帰する能力に対して、大きな影響を与えるということは非常に明らかです。それは単純に痛みや損傷に関連しているのでしょうか?これはあまり明らかではないかもしれません。 これら全てのことが、ウェイトリフティング、あるいはゴルフのような、非常に技術的な運動を必要とするスポーツにおいて、身体のアライメントが重要でないというわけではありません。全く違います。それでも私達は、腰痛に悩まされているロジャー・フェデラーの素晴らしい動き、あるいはいわゆる理想のスウィングには程遠いにもかかわらず、いまだにメジャーを制し、比較的けがの無い状態を保っているバッバ・ワトソンのような素晴らしいアスリートたちを目にしています。これはまた、スポーツ界以外でも同様です。 筋肉の活性化を“修正する” 良い関節位置の背景にあるもう一つの理論は、特定の順序における正確で協調された筋肉の活性化です。 私は、筋肉の活性化が、前向き、あるいは後ろ向きの結果を導く一定の方法で本当に発生するのかどうかを発見するために、有痛者、あるいは健常人において、一貫して相関関係がある特定の筋肉の活性化パターンを発見しようと試みました。 利用可能な理論は数多くあるのですが、見るべきところは、はっきりとしたパターンが現れるかどうか、そしてそれらが痛みと相関関係にあるかどうかを示したより客観的視点の研究です。 最初に、腰椎骨盤部の筋発火の評価のための腹臥位での脚の伸展テストに着目してみましょう。このテストは、 ‘臀筋群’が発火しているかどうかを調べるために、によって世界中で行われていますが、被験者を腹臥位の状態にして、治療家やトレーナーは、指で被験者の身体の様々な部位を触っていきます。 最初に、私達の指は、人によってはかなりぶ厚いかもしれない皮下脂肪層を通して、筋収縮の開始におけるミリ秒の変化を拾い上げ、数値化するほど敏感で高価な筋電計の電極ではないことを忘れないでください。研究室の外で、人体の内部で何が起こっているかを知ることは非常に困難なのです。これは筋肉の機能同様に、生体力学にも言えることです。 次に、私達は正確な発火パターンとは何かを実際に知っているでしょうか?理論では、臀筋群は、ハムストリングスよりも先に、そしてハムストリングスは腰部よりも先に発火するはずです。この腹臥位テストは、歩行における股関節伸展中に発生している事象の再現を意図していて、腰椎から作り出される伸展の量を縮小することを期待しています。 ここで考慮すべきなのは、この腹臥位でのテストが、複数の身体部位重力や地面反力と相互に作用する立位での歩行中、あるいは走行中のような、他の状況における筋肉の活性化パフォーマンスに関する適切な理解を与えてくれるのか、ということです。 興味深いことに、これは良く知られた理論であるにも関わらず、これに関する研究が数多くあるわけではありません。Liebermanとその他*ここをクリックしてください*は、走行時と歩行時における臀筋群の役割に着目しました。走行時と歩行時では、活性化レベルと活性化のタイミング共に、有意差があることが分かりました。腹臥位での股関節伸展テストで、私達はこれらのうちのどちらをテストしているのでしょうか?これはまた、筋肉の機能は異なるタスクにおいて変動しえるということを示しています。実際に、歩行時の筋電計の信号において、股関節伸展時に‘発火’する臀筋群に、私達が期待するような明らかなピークはありませんでした。

ベン・コーマック 3160字

エラスティックリコイル 基礎 パート2/2

トーマス・マイヤースが、組織の弾性によりいかに身体が力を吸収し分散するのかを語ります。ジャンプ時にいかに筋肉と筋膜が機能するのかを検証したリサーチを紹介するとともに、弾性のトレーニングのためには何が必要かをシェアします。

トム・マイヤーズ 7:44