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立位での足首の運動制御 パート1/2

立位でのよりファンクショナルなポジションで、足関節、距骨下関節を含む足部の運動制御を高めるための、固有受容器の働きにドライブをかける為のアプローチを実践的に、段階的にご紹介するビデオのパート1。

ベン・コーマック 6:10

なぜカフェインを摂り放題にしているのか? パート1/2

今回は少し個人的なお話をさせてもらいます – そして最後には素晴らしい学びもいくつかありますので、辛抱強く目を通して下さい! 沢山の方々がご存知のように、2014-2015の秋冬はクレッシーファミリーにとって、かなりクレイジーなシーズンとなりました。まず9月の始めに、妻と私はフロリダ州のジュピターに新しく建設されるクレッシースポーツパフォーマンス施設の準備の為にフロリダに引っ越したのです。数ヶ月に及ぶ準備の後、施設は11月の始めについにオープンしました。 施設や自宅管理のため定期的にマサチューセッツに帰ることもできず、別の州に施設をオープンすることは容易な事ではありませんでした。これに加えて私の普段の義務であるジムやネット上での仕事の管理、ビジネスコンサルティングがあり、ジムでは自分自身のハードトレーニングを継続していたのです。 更にややこしいのは、この引越は、私の妻が双子を妊娠中に起きた出来事だということです。。。当初の出産予定日は12月17日でしたが、彼らは約3週間早い11月28日にこの世に生を受けました。2人共とても元気ですが、当初は時に酸素補給や栄養チューブが必要な新生児集中治療室(NICU)で過ごす時期もありました。 言うまでもなく、秋と冬は一日が長く沢山の “長時間労働”があります。この長時間労働に慣れてはいるものの、この長時間を生まれたての双子達の為に毎晩2~3時間しかとれない睡眠で過ごすことには全く慣れませんでした。 私は、プログラムとトレーニングをただ増やし続けることはできないと、よくアスリートに話しています。もし新しい何かを入れたら、たいてい他の何かを減らさなければいけません。そしてもし何も減らさずに増やすことのみ強く求めるのならば、マッサージ、睡眠、またはその他多くのオプションのどれであれ、リカバリー方法に時間を費やす準備をしなくてはなりません。例えその時間がなかったとしてもです。その時間をどう使いますか? Caffeine - and a lot of it.

エリック・クレッシー 2272字

傷害に関する真実 パート3/3

ストレス過負荷と傷害サイクル 身体が適応できる以上のストレスを急激に、または、慢性的にかけてしまうことで、傷害に至ってしまう理由は、表面上明白であるかもしれませんが、詳細について簡単に解説することには価値があるでしょう。 最初に、制御できる以上のストレスに直面すると、身体は生体恒常性を維持し、ストレッサーの影響を最小限にするために、特定の措置を講じることを理解することが重要になります。繰り返しになりますが、それは活動中の身体の防御機構であり、生き延びるためにできることをしているのです。オーバーストレスやオーバートレーニングの期間中に起こっている変化がまさにそれであり、それらはまた、本質的に傷害を引き起こす可能性を有しています。 オーバートレーニング−繰り返し過度なストレスをかけてしまったときに起こることの別名称—の初期段階では、身体はストレス反応ホルモンに対する末梢感度を低下させることで、それを制御しようと試みます。 近所の人と確執があり、彼らがステレオを大音量でならし、家のどこにいてもそれが聞こえてしまう状態を想像してください。もし睡眠をとりたいのであれば、最初にすべてのドアと窓が閉まっていることを確認し、次に耳栓をして、騒音を最小限にするでしょう。 これは基本的には、身体がストレスに晒され始めた時に行うことと同じで、トレーニング時に分泌されるホルモンの効果を弱めることで、その反応を低下させています。しかし、強いストレスがかかる時期になると、身体はそれまで分泌していた以上のホルモンを分泌することで、ホルモンが役割をはたせるようにしようとします。それは、近所の人が、あなたが耳栓をしていることに気付き、さらに音楽の音量を上げることと同じことです。 ストレスを和らげようと試みているにも関わらず、身体がより頑張って働こうとしている状態であれば、いわば、完全に“音楽を切る”こと以外の選択肢はありません。言い換えれば、単にホルモンに対する組織の感度を低下させるというよりも、その生成を完全に低下させるのです。その結果、ストレスへの反応を完全に抑え、生物学的武器を使用することで、身体は慢性ストレスに対処する最終の試みを起こすことになります。 それらどちらの期間でも、過度なストレスによって傷害を起こすリスクはかなり大きくなります。その理由としては、ストレスに対する通常の反応を維持することは、トレーニングやパフォーマンスの生物学的、代謝的ストレスを筋肉や腱、靭帯、骨などが制御できるようにするためにきわめて重要だからです。 アドレナリン、ノルアドレナリン、コルチゾール、成長ホルモン、テストステロン、エストロゲン、ドーパミンなどのかなり強力な化学伝達物質が、神経筋組織の力の発揮に必要となる適切な量を超えてしまうと、良くないことが起こりえますし、多くの場合起こってしまいます。実際に、オーバーストレスやオーバートレーニングの期間中では、ホルモンと神経伝達物質の全体の閾値は、標準のレベルよりもかなり上か下にまで変化させられます。免疫システムでさえも、その機能を低下させ、通常の炎症レベルよりも閾値を上か下に変えてしまいます。 言い換えると、トレーニングや競技中のような極度にストレスが高い期間中は、身体が慢性的なストレスの過負荷に対処しよう試みることで、私たちが傷害を起こすリスクは本質的にはかなり上がってしまということなのです。以前は問題を起こさなかったと考えられる負荷と力が、突然として限界を超えてしまい、筋肉を伸ばしたり、靭帯を断裂したりするかもしれません。 そのような出来事は、組織が力の産出、吸収をする能力が下がる、または、運動制御システムのエラーにより、間違ったタイミングで筋肉を活性させてしまうという理由のどちらかで起こります。どちらのケースであれ、現在の時点では、その質問に対する明確な答えを科学が提供することはできませんが、ストレスと適応の間でバランスがとれないために、ストレスへの対応を変化させつつも、身体に高いレベルでのパフォーマンスを要求し続ける際には常に、傷害や失敗の可能性を有することになるということは明白になります。 さらに悪いことに、将来の傷害を予想する最大の要素は、現在、あるいは、過去の傷害歴であるということも明白です。この原則においても、これは活動時の身体の適応機構の結果であり、組織が損傷を受け、正しく活動できないときはいつでも、身体はそれ以外の筋肉を活動させることで、要求されたことを達成しようと試みるのです。これは代償として知られており、足首の捻挫やACL断裂によって、腰部の問題や肩の問題、または、連鎖に関わる様々な傷害を引き起こすこともあります。 ある部位に損傷が起きたときは常に、それらを代償する筋肉やサポートする組織には、同レベルの力を制御するための十分な機能が備わっていないことが多いため、別の部位が傷害を起こしてしまうリスクがあります。そのため、時間の経過と共に急性の傷害が慢性の傷害に至ることが多く、どれだけ関係のない傷害に見えても、私たちが考える以上に、より関係性が高いことが多いのです。 その悪循環な傷害サイクルを、下の図で見ることができます。 障害のサイクル つまり傷害とは これまでのところで、単に特定のエクササイズの使用や誤使用という観点から傷害を捉えることが、傷害の起こる理由を完璧に描くことではないということを理解して頂ければ幸いです。このような討論が、様々な動きのパターンや関節の機能を分析するところまで広がり、動きの質を純粋に向上させることで、傷害のリスクを予想する、あるいは、最小限にしようと試みているとしても、彼らはまだ、ストレス−適応バランスの基本的な重要性を完全に見過ごしているのです。 あるエクササイズが特定の関節に与える特定なストレスを評価することには確かに価値がありますが、個人の要求、限界、目的が適切であとうとなかろうと、全体の討論を、この部分のみに集中させることは、ストレスの根本的な役割を考慮することを見落しがちで、これは、生物学的なストレスの管理を全体的なアプローチとするのではなく、エクササイズの選択のみを単純な基準にしてしまうことで、傷害評価の表面的なレベルでのアプローチに繋がってしまいがちです。 これまで見過ごされ、あまり討論されてこなかった真実は、すべてのアスリートや個人は、本当にそれぞれ異なっていて、トレーニングプログラムやストレスレベルに同様の反応を示す人は二人といないということなのです。近年、パーソナルトレーニングは、あまりにも闇雲に、すべての人に全く同じことをさせるように促す、ブートキャンプ、クロスフィット、P90X、あるいは、そのようなタイプのトレーニングに置き換えられています。 これらのアプローチは、個人のストレスに適応する能力を考慮することに、情けない程失敗しているというだけではなく、これらの結果は強度による直接的な結果に過ぎない、と説いていることが多いのです。個人差を考慮しない、“多ければ多い程良い”という高強度トレーニングのアプローチは、文字通り悲惨な傷害のレシピであり、人間の身体が全体としてどのように動いているのかを理解し評価するのではなく、完全に間違った売り文句やビジネスモデルを示しているに過ぎないのです。 昨今の若者もまた、似たようなアプローチに晒されており、そのために、腱炎のような慢性のストレス傷害に苦しんでいる14歳くらいのアスリートを見ることが、悲しいことに普通になってきています。複数のスポーツをするアスリートは、クラブシーズンと個人指導に置き換えられています。全体的な身体準備とアスリート能力の発達に費やす時間の不足と、1年中終わりのないスキル練習の組み合わせは、最近の若年層スポーツ傷害の激増に大きく関与しています。 繰り返しとなりますが、すべてはストレスとストレス・適応のバランスを適切にとる能力の欠如によるものなのです。他の人よりもより多くのストレスに適応できる人もいる一方で、結果のためではなく金儲けのために設計された間違ったトレーニングプログラムや、リカバリーと適応を促進することよりも、ストレスレベルのみを増大させてしまうような不健康な生活習慣の影響に対して免疫のある人は誰ひとりとしていないのです。 まとめに あなたがアスリート、コーチ、セラピスト、あるいは医者であれ、また、ただ健康のため、体力を維持するためにトレーニングしているのであれ、私がこの記事を書いた目的は、よく発表されたり討論されているものよりも、より完全な傷害の過程に対する見解を皆さんに提供することです。私の意見と経験からいえば、今日起こっている傷害の多くは、正しいアプローチでトレーニングすることで予防することができるはずです。 どのエクササイズが“悪い”、どのエクササイズが“良い”という終わりない討論をするのではなく、より包括的な見解と、ストレスと傷害に関する真の性質の理解に基づいた討論に方向転換する時です。この記事は単にその議題の概要に過ぎませんが、私は真摯に、この記事によって、皆さんがレラの方向性に沿って考え、討論を始めることを願っています。

ジョール・ジェイミソン 3876字

傷害に関する真実 パート2/3

適応 今までのところ、それらすべてはおそらくかなり単純で明白であるように思えるでしょう。内容がより興味深く、複雑になっていくのは、生物学的適応について話始める時です。これは、身体にかかる負荷に適応するための基本的な能力であり、生命を維持すると共に、限界を越えたときに私たちに傷害を起こす可能性も有します。 おわかりですね、全般的に、身体はストレスを好きではないという事実にすべて戻ってくるのです。ストレス下に置かれれば置かれるほど、生体の恒常性を保つために頑張って働かなければならず、身体にかかる要求が何であれ、そのストレッサーは脅威として知覚されるのです。 トレーニングの中では、すべての活動で、かなりの筋肉の働きが必要であるため、ウエイトリフティング、ランニング、ジャンプ、技術練習などは当然ストレッサーになります。 次回、同様のストレスがかけられた場合、過度に働く必要がないようにするために、そして、生体恒常性がそれほど乱れてしまわないようにするため、身体はストレスのかかっている力学的、代謝的組織を生物学的に変化させることで反応しています。それらの組織はより強くなり、また、代謝的にも効率が良くなり、結果的に、以前直面したものと同じレベルの力学的、代謝的ストレスを制御するためのより良い能力を身につけるようになります。 上の図に見られる適応組織は、トレーニングを通して身体に挑戦することで、単に私たちをより大きく、強く、早く、そして、より良いコンディションにしてくれるものではなく、私たちを生存させてくれるものなのです。もし私たちが生物学的ストレスに適応できるように設計されていなければ、現実世界では長く生きていけないでしょうし、当然、スポーツの練習をする、ウエイトリフティングをする、ランニングをするなどでパフォーマンスを向上させることもできないでしょう。 最近、最も興味深い研究の分野の一つでは、トレーニングに対する反応としての適応が起こる過程を、分子レベルまで掘り下げて、かなり詳細に研究しています。科学者達は、身体がどの種類のストレッサーに直面しているのか、つまり力学的、代謝的ストレスがどのレベルであるのかをどのように判別し、続いて起こる、関与している組織がどのようにリモデリングされているのかということを、解明しようと熱心に試みています。 下の図に見られるように、ストレスの過程、信号化、組織の再構築の詳細を解明することが、最も効果的なトレーニングプログラムをまとめることの鍵となります。身体がどのように異なったトレーニング方法、つまりストレッサー、に反応するのか、そして、適応を導くために、どれだけのストレスが必要になるのかを正確に理解できれば、それらすべてを統合する最良の方法を見つけることができます。 しかし、今のところ、トレーニングは科学的過程というよりも、推測、直感、そして、経験によるものであることが多いでしょう。それらが正しい時、フィットネスとパフォーマンスは向上し、すべてが良い方向に動きます。しかし、それらが間違っていれば、傷害という結果に繋がる事が多いのです。 ストレス-適応バランス トレーニングを最も的確に表現すると、“生体恒常性を乱し、身体の防御システムを作動させるようにデザインされたストレスを目標別に応用することで、リモデリングし、強化し、身体全体の多くの様々なシステムの効率を向上させるものである。”ということになります。大げさに聞こえるかもしれないのは分かっていますが、その過程を見てみると、実際にはかなり的を得ています。 まず、エクササイズのタイプ、つまり、そのスポーツの練習、ウエイトリフティング、ランニング、スイミングなどを選ぶことで、与えようとするストレスの種類を選びます。次に、トレーニングセッションの中で行うエクササイズを選ぶことで、身体のどの領域に焦点を当てるかを決めます。最後に、全体の量と強度を決定することで、どれだけのストレスを身体に与えるのかを決めます。 力学的・代謝的ストレスの混合、身体のどの部位に、どれだけのストレスを与えるのか、といった単純な変数が、トレーニングセッションを定義づけます。もちろん、目標はパフォーマンスを向上させるために必要となる、正しい種類のストレスを、正しい量で目標となる正しい部位に常に与えることです。 もちろん、トレーニングセッションの中でその目標を達成できたとしても、パフォーマンスを向上させるには複数回以上のトレーニングセッションが必要であることを考慮しなければなりませんし、そのため、そのプロセスを何度も繰り返すことになるのです。トレーニングセッションがトレーニング週になり、トレーニング週がトレーニング月になり、トレーニング月がトレーニング期になっていき、それが続いていきます。 最初に思った以上に、このトレーニングプロセスを限りなく複雑にさせているものは、セッション間に、トレーニングセッションのストレスに身体が反応するときに起っていることなのです。その複雑性は、トレーニングによって課せられるストレスの適応方法に、どれだけの変数が関係しているのかということに起因しています。 遺伝子から食生活、メンタルストレスレベル、トレーニング歴、睡眠に至るまでのすべてのことが、組織がどれだけ早くトレーニングプロセスを再構築し、適応できるのかに大きな役割を担っています。十分な睡眠をとり、バランスの良い食事をし、適切な遺伝子と長いトレーニング歴を持っていれば、慢性的なメンタルストレス下にあり、睡眠障害を持ち、食生活が悪く、遺伝的にも劣勢である人よりも、同じレベルのストレスに対して、より素早く反応でき、より早く適応できるようになります。それら多くの変数のなかのどれか1つの小さな違いでさえも、与えられたストレスのレベルに適応する能力に大きな影響を与えてしまいます。 ストレス-適応バランス 残念なことに、多くの場合において、これらすべての変数の重要性や、個人がトレーニングプログラムにいかに適切に反応し、適応するかという能力に与える劇的な影響を多くの場合見過ごしています。人には個人差があり、これらの要素の多くは、時間とともに変化します。つまり、ストレスに適応する能力というのは、非常に個人差があるというだけでなく、それがまた極めてダイナミックでもあるということを意味しています。これは、もしトレーニングプログラムを向上させ管理するという仕事を効率よく行いたいのであれば、ストレス−適応公式の両面を常に見なければならないということを意味するのです。 なにか特定のエクササイズを含む、あるいは含まないということよりも、ストレスの適用と身体の適応能力の間での微妙なバランスこそが、パフォーマンスの向上と傷害発生の間に、真の相違を産み出すものなのです。正しいバランスを見つけ、適切な量のストレスを与えれば、筋力、パワー、コンディショニング、そして向上させたい身体能力を向上させるという報酬を得られるでしょう。しかし、身体が制御できる以上のストレスを繰り返し与えてしまうと、パフォーマンスの低下と傷害は避けられないものになります。

ジョール・ジェイミソン 3028字

傷害に関する真実 パート1/3

過去1、2年、ストレングス・コンディショニング業界における最も熱い話題の一つは、トレーニングプログラムに、クランチ、あるいは、脊椎の屈曲を伴う他のエクササイズを含むかどうかという疑問に関するものでした。専門家の中には“含む”と答える人も若干おりますが、最近ではほとんどの人が“含まない”と答えているようですが、その話題で、数えきれないほどの文献が執筆され、インターネット上のトレーニングフォーラムでは、終わりのない議論が行われています。 討論の賛否どちら側でも、多くの場合、理由となる長いリストを引用していて、否定派は、クランチやそのようなものをすることは、腰部の傷害が起こるのを待っているようなものであり、何が何でもそれを避けるべきであると信じています。また、賛成派は、アスリートや個人によって、全体のコアトレーニングのなかの一部分としてそのようなエクササイズをすることができるし、するべきであると信じています。 まず最初に、その話題に対する私の考えと意見を記事に書くことを計画しましたが、討論について調べれば調べるほど、その議論や討論は、まず傷害という全体像を完全に見過ごしているように思えてきました。見過ごしてしまうことで、かなり複雑な話題を過度に単純化してしまうだけでなく、アスリートやコーチに、傷害の予防や管理について賢明で全体的なアプローチをするために必要となる正しい考え方を与えられないこともあります。 というのも、あなたが聞いていない真実は、終わりのない研究の引用、脊柱機能の理論的モデル、どのエクササイズが人々にとって“良い”あるいは、“悪い”という教義的宣言の中で失われたものが、傷害予防や管理の最も重要な原則を本当に理解するということだからです。 パフォーマンスの現実世界で、傷害とはあるエクササイズをするのかしないのか、あるいは、あるエクササイズを特定のセット数行うとかいうものではなく、それ以上のものなのです。それだけ単純であれば、また、1つの特定の動きを削除することで、腰部の問題が解決できるのであれば、素晴らしいでしょうが、人間の身体は、それよりも遥かに多面的であり、ダイナミックです。 ですから、クランチ、シットアップや、その他の似通ったエクササイズが、1回で腰部を壊してしまう時限爆弾なのかどうか、あるいは使い道があるのかを重要視する代わりに、傷害の予防、トリートメント、管理についての、より大きな全体像についてお話します。 なぜ傷害が起こるのか? 始めるのに最良なのは、最も重要な質問である“なぜ私たちは怪我をするのか”に答えることでしょう。結局、なぜ傷害が起こるのか分からないのであれば、それを予防するために、どうやって最善を尽くせるのでしょうか? この記事の目的のために、傷害を急性と慢性の2つのカテゴリーに分けることができます。急性の傷害とは、例えば、ランニングの最中ハムストリングに急に鋭く響くように感じる痛み、あるいは、肘が大きなポンっという音を出して上手く動かなくなるといったものです。だいたいすべてのアスリートがトレーニングキャリアの中のどこかで、急性傷害を経験しています。 同様に、ほとんどのアスリートはどこかで慢性傷害も経験しています。トレーニングセッションの度に肩が痛み、筋肉痛がでたり、あるいは痛みが出たりなくなったりする腰部の問題かもしれません。 私たちが話している傷害の種類に関わらず、傷害に繋がる基本的なメカニズムは1つであり、同じであり、ほとんどの人が考えているものではありません。間違ったエクササイズを行う、やり過ぎてしまう、あるいはトレーニングに十分な正しいエクササイズを使用していないなど、たびたび引用される原因ではなく、すべての傷害は同様の潜在的な原因:ストレスのかけ過ぎが原因で起こっているのです。 ストレス101 私が話しているストレスとは、多くの人が考える典型的な種類のものではなく、重要な締め切りが迫っている、慌ただしい家族生活、経済的な困窮、恋愛関連のドラマ、あるいは、日々の生活の中で直面するその他多くの問題が起こるときに感じるものに関連するストレスでもありません。ここで私が話そうとしているストレスとは生物学的なストレス、あるいは、“生理学的ストレス”と呼ばれるものです。 精神的なストレスとは、感情に関して私たちが話すものですが、生物学的ストレスとは、私たちの身体にかかる肉体的な要求の単位です。歩き回ることから、キーボードを打つ、ウエイトリフティングやトレーニングをすることまですべて、多かれ少なかれ私たちの身体に生物学的なストレスを与えます。 その理由は、かなり多くのことが、筋肉の力の生成、吸収のサポートや、産出に関わっているからです。肺は血液に酸素を送り、心臓は動いている筋肉に血液を送り出し、筋肉内の細胞は筋繊維が収縮・弛緩するために必要なATPを生成し、筋膜と結合組織はサポートと安定性を提供し、脳はどの筋肉が力を産み出し、どれだけの力を産み出すのか注意深く指示を出さなくてはなりません。 多種多様で複雑な生物学的プロセスが目にも止まらぬ早さですべて行われていて、私たちがどのような種類の筋肉の働きを起こす時にも、これは常に必ず起こっています。当然、より多くのタスクを筋肉に課せば課すほど、つまり、力を産出し動作をサポートするためには、これら全ての生物学的システムに、より高強度で高ボリュームの、より高い要求がかかるのです。 いろいろな種類の生物学的ストレス この要求を2つの種類の生物学的ストレスに分類することができます:力学的ストレスと代謝的ストレス。もちろん、代謝は筋肉の機能をサポートするため、その2つは常にお互いが本質的に関連していますが、力学的ストレスとは、神経筋骨格系システム全体で生産され、吸収される力の単位です。 つまり、これは筋繊維自体から、腱、靭帯、筋膜、骨などすべてを含みます。それらすべての組織は力の生産と吸収に関連があり、筋肉を働かせようとするときはいつでも、そのすべてに力学的ストレスがかかります。 一方で、代謝的ストレスとは、エネルギーの生産に関わるすべての組織にかかる要求の単位です。身体の中のほぼすべての主要なシステムが含まれます。心臓、肺、血管ネットワーク、筋肉、脳などにある組織はすべて、筋肉が働くために必要なエネルギーを産み出すために一緒に働かなければなりません。つまり、筋肉に力学的ストレスをかければかけるほど、より多くの代謝的ストレスもかかってくるのです。

ジョール・ジェイミソン 2759字

スプリントのためのレジステッドスプリントトレーニング パート2/2

メタ分析 趣味としてトレーニングを行うアスリート 少数のメタ分析もしくは系統的レビューが、スプリントパフォーマンスに対するレジステッドスプリントランニングトレーニングの有益性を分析している。これは比較的新しいトレーニング方法であり、レジスタンストレーニングのようなより伝統的なトレーニング方法と比較し、この分野における論文がほとんどないからであろう。ルンプおよびその他(2014年)は、趣味としてのアスリートにおける、スプリントパフォーマンス向上のための異なるトレーニング方法の影響に関し、メタ分析を行った。最初に彼らは、トレーニング方法を特異(スプリントもしくはレジステッドスプリント)、および非特異(プライオメトリック、レジスタンストレーニング、及びバリスティックトレーニング)へと分類した。彼らは、趣味としてのアスリートにおいて、スプリント速度を向上するために、特異および非特異両方のトレーニングは同様に効果的であったと記述している。これは、趣味としてトレーニングを行うアスリートにおいては、レジステッドスプリントランニングトレーニングは、スプリントパフォーマンスを向上するために効果的なようであるということを示している。しかしながらこのメタ分析は、全ての確認された研究が、全体の効果規模にまとめるために適した形式でデータを提示していたわけではなかったという点で制限があった。これらの研究がこの情報を開示していたら、異なる結果が観察されていたかもしれない。また、「趣味としてのアスリート」において行われたと分類された多くの研究は、体育学部の学生において行われており、彼らは全員、あるレベルにおいて競技アスリートであったという詳細が明確にはされていなかった。ゆえにルンプおよびその他(2014年)による調査のこの部分のメタ分析は、比較的トレーニングされていないグループを含んでいた可能性がある。 高度にトレーニングされたアスリート 上記のようにスプリントランニングトレーニングは、趣味としてトレーニングを行うアスリートにおいて、スプリント能力を向上することが可能である。高度にトレーニングされたアスリートにおいても同様であるが、このグループはより多くの恩恵を受けるかもしれない。ルンプおよびその他(2014年)は、高度にトレーニングされたアスリートにおける、スプリントパフォーマンスに対する様々なトレーニングタイプの影響に関し、メタ分析を行った。最初に彼らはトレーニング方法を、特異(スプリントもしくはレジステッドスプリント)および非特異(プライオメトリックス、レジスタンストレーニング、そしてバリスティックトレーニング)に分類した。彼らは、特異および非特異な両方のトレーニング方法は効果的ではあるが、特異性をもつものがより効果的なようであるということを発見している。彼らは、高度にトレーニングされたアスリートにおいては、既に筋力、パワー共に発達した基板を持ち、これは追加の非特異なトレーニングの方法によって更に向上しなかった可能性があると示唆している。 高度にトレーニングされたアスリートにおける、スプリント速度に対するレジステッドスプリントの影響 研究選択基準 集団 – 高度にトレーニングされた成人アスリートのみ 介入 – レジステッドスプリントランニングトレーニングのみ 比較 – ベースライン、ノーマルトレーニングコントロール、もしくはノートレーニングコントロール 結果 – 100m以下の距離におけるスプリントパフォーマンス 結果 以下の研究が選択基準に適合していると認識された:スピンクス(2007年)、ハリソン(2009年)、クラーク(2010年)、アップトン(2011年)、アルカラス(2012年)ウエスト(2013年)、ルバーゲット(2015年)。ほぼ全ての研究が、レジステッドスプリントランニングトレーニングは、短距離スプリントテストにおける高度にトレーニングされた個人のパフォーマンスを向上したと報告している。なぜ少数の研究において向上がみられないのかは、明確ではない。 趣味としてのアスリートにおける、スプリント速度に対するレジステッドスプリントの影響 研究選択基準 集団 – 趣味としてトレーニングを行う成人アスリートのみ 介入 – レジステッドスプリントランニングトレーニング 比較 – ベースライン、ノーマルトレーニングコントロール、もしくはノートレーニングコントロール 結果 – 100m以下の距離におけるスプリントパフォーマンス 結果 以下の研究が選択基準に適合していると確認された:ザフェリディス(2005年)、クリステンセン(2006年)、マイヤー(2007年)、ロッキー(2012年)、カワモリ(2013年)、バケローメナ(2014年)。ほぼ全ての研究は、レジステッドスプリントランニングトレーニングは短距離スプリントテストにおいて、趣味としてトレーニングを行う個人のパフォーマンスを向上するということを報告している。なぜ少数の研究において向上がみられないのかは、明確ではない。 レジステッドスプリントの際の、スプリント速度に対する負荷の影響 研究選択基準 集団 – 趣味としてトレーニングを行う、もしくは高度にトレーニングされた成人アスリート 介入 – 2つ以上の異なる負荷におけるレジステッドスプリントランニングトレーニング 比較 – ベースライン、ノーマルトレーニングコントロール、ノートレーニングコントロール、および異なる負荷におけるレジステッドスプリントランニングトレーニング 結果 – 100m以下の距離におけるスプリントパフォーマンス 結果 以下の研究が選択基準に適合していると確認された:カワモリおよびその他(2013年)、バケローメナおよびその他(2014年)。両方の研究は、異なる負荷におけるソリ牽引走はスプリントランニング能力を同様に向上したということを発見している。より高負荷の使用がスプリントパフォーマンスに悪影響であるという兆候は存在しなかった。これは、高負荷におけるソリ牽引走は動作パターンを変化してしまうため、スプリント能力を向上することは不可能であるという一般の信念とは対比している。 スプリントに関する結論 様々な方法(ソリ、ゴムコード、シュート、負荷付きベスト)そして、低負荷、高負荷の両方を使用したレジステッドスプリントランニングトレーニングは、アスリートにおけるスプリントパフォーマンスを向上させるために効果的なようである。高度にトレーニングされたアスリートは、より特異でない方法と比較して、レジステッドスプリントレーニングからより恩恵を受ける可能性があり、一方趣味としてトレーニングを行うアスリートは、特異および非特異な方法から同様に恩恵を受ける可能性がある。 短期的には、レジステッドスプリントランニングは、無負荷のスプリントランニングに比べ、相当狭い歩幅(およびわずかに低い歩数頻度)を含み、また、より長い接地時間およびより大きな上体の前傾を含んでいる。より高い負荷は低負荷と比較し、動作パターンを更に変化させるようであるが、長期の結果には影響を及ぼさないようである。

ストレングス・コンディショニング・リサーチ 3056字

スプリントのためのレジステッドスプリントトレーニング パート1/2

目的 この記事は、趣味としてトレーニングを行う、もしくは高度にトレーニングを行う成人アスリートのいずれかにおいて、(ゴムバンドを使用する、もしくはソリを牽引する)レジステッドスプリントは、スプリントスピードを向上するためにどの程度効果的であるかということを堤示している。 背景 序論 レジステッドスプリントトレーニングは、追加の負荷を伴うスプリントに関わるスプリント速度を向上するための比較的新しいトレーニング方法である。負荷は垂直方向(負荷付きベストを使用)もしくは水平方向(ゴムバンドの使用もしくは負荷付きソリを牽引)のどちらかである。パラシュート(アルカラスおよびその他、2008年)滑車システム(クリステンセンおよびその他、2006年)、ゴムバンド(メイヤーおよびその他、2007年)および負荷付きベルトもしくはベスト(アルカラスおよびその他、2008年、クローニンおよびその他)のような他の負荷の形も評価されてはいるが、最も一般的に調査されるレジステッドスプリントトレーニングの形はソリであり、ほとんどの短期および長期の実験において使用されている。レジステッドスプリントの総説を行う研究者たちは以前に、レジステッドスプリントはスプリント速度を向上するために効果的ではあるが、従来のスプリントトレーニングに比べより効果的であるわけではないという結論に至っている(ヒロマーリス、2012年)。 レジステッドスプリントの運動学に対する影響 序論 一部のコーチは、レジステッドスプリントランニング(特に高負荷を使用したもの)はスプリント技術に悪影響を及ぼすため、スプリントパフォーマンスを向上させないようであると示唆している(ラブリエンコおよびその他、1990年、ポーレット、1993年、ジャカルスキー、1998年)。それゆえ多くの研究者たちが、レジステッドスプリントランニングが実際に動作パターンを大幅に変化させるのかどうかに関して調査を行っている。(ラゼルターおよびその他、1995年、ロッキーおよびその他、2003年、マレーおよびその他、2005年、アルカラスおよびその他、2008年、クローニンおよびその他、2008年) 歩幅および歩数頻度に対する影響 一般的にレジステッドスプリントランニングは、いかなる負荷においても歩幅の減少、および潜在的には歩数頻度の減少を引き起こすようである。概してそのような減少は、負荷レベルの増加(通常はソリ負荷の増加)と共に増すようである。初期の研究においてラゼルターおよびその他(1995年)は、トレーニングされている女性スプリンターにおいて、様々な負荷におけるソリ牽引走の影響を調査した。全ての負荷は歩幅および歩数頻度の減少を引き起こし、その減少は負荷の増加と共に増していた。ロッキーおよびその他は(2003年)その後、男性スポーツ選手において、体重の12.6%—32.2%の負荷の影響を調査した。彼らはラゼルターおよびその他(1995年)と同様の結果を発見している。歩幅のみが負荷の増加と共により減少していたが、全ての負荷は歩幅および歩数頻度の減少を引き起こしていた。コーンおよびクヌッドソン(2003年)、マレーおよびその他(2005年)、マウルダー(2008年)らは全員、レジステッドスプリントランニングは(負荷と方法の範囲により)歩幅の減少にはつながるが、歩数頻度の減少にはつながらないということを発見している。クローニンおよびその他(2008年)は同様に、歩幅および歩数頻度の両方はレジステッドスプリントランニングにより減少するが、歩数頻度に比べ、歩幅はより大幅に減少するということを発見している。アルカラスおよびその他(2008年)は、歩幅と歩数頻度両方の減少を発見している。 パラメーターに対する影響 レジステッドスプリントランニングは、スプリント動作パターンおける他の側面の範囲を変化させるようであり、これらの変化は通常、高負荷においてより顕著であるようである。動作パターンにおいてよく見られる変化は、接地時間の増加および上体の前傾の増加である。ラゼルターおよびその他(1995年)は、トレーニングされた女性スプリンターにおいて、2.5、5.0、10.0Kgの負荷におけるソリ牽引走の、動作パターンに対する影響を調査した。最重量の負荷のみが、接地時間および上体の前傾における大幅な増加、また接地時における股関節角度の変化を引き起こした。後にロッキーおよびその他(2003年)は、男性陸上競技選手において、体重の12.6%および32.2%の負荷の影響を調査している。この場合、両方の負荷ともに、接地時間の増加、および上体の前傾の大幅な増加を引き起こしたが、負荷の増加と共に長くなったのは接地時間のみであった。クローニンおよびその他(2008年)もまた、レジステッドスプリントランニングの際の接地時間および上体の前傾の増加を観察しており、アルカラスおよびその他(2008年)も同様に、上体の前傾の増加を発見している。一方、マウルダーおよびその他(2008年)は調査を行ったが、ソリ牽引走において使用された負荷の範囲が体重の20%までではあったが、レジステッドスプリントランニングを使用した結果としての、接地時間におけるいかなる変化も観察しなかった。 レジステッドスプリントランニングの動力学に対する影響 レジステッドスプリントランニングの動力学に対する急性の影響は、少数の短期研究において調査されているが、全ての研究(マルチネス-バレンシアおよびその他、2013年、オッコネン、2013年、アンドレおよびその他、2013年、コトルおよびその他、2014年、カワモリおよびその他、2014年)は問題に対し非常に異なるアプローチを取っていた。オッコネンおよびハッキネン(2013年)は、ブロックスプリントスタートの動力学と、ソリ牽引走、および選択された種類のスクワットエクササイズの動力学を比較した。彼らは、ソリ牽引走、およびカウンタームーブメントジャンプは、ブロックスプリントスタートに対する速度および動作における特異性を最も示していたということを発見している。コトルおよびその他(2014年)は、異なる負荷におけるソリ牽引走と、スプリントスタートの間の推進床反力を比較した。彼らは、推進床反力により測定した場合、スプリントスタートのための有益なトレーニング効果を得るためには、体重の20%の負荷で十分であるということを発見している。カワモリおよびその他(2014年)は、短距離スプリント(5m)の際の、無負荷および体重の10%または30%の負荷のソリにおける水平床反力を比較した。短距離スプリントの際、水平床反力を増加させるためには最重量負荷のみで十分であった。これらの発見は、ソリ牽引走は、短距離スプリントおよびブロックスタートに対しての特異なエクササイズなようであり、特に加速段階においてスプリントのために重要であると考えられている、アスリートの水平力を生み出す能力を向上させるために効果的であるかもしれないということを示している。 動作のメカニズム スプリントランニングは、スプリント速度を向上させるために非常に効果的なトレーニング方法として、ほぼ確実にオリンピックゲームの開始以来、アスリートやコーチにより広く認知されている。上記のように、スプリントランニングトレーニングは、多数の異なるメカニズムによりスプリント速度を向上するようであるが、主にスプリントランニングの動作における、速度特有の力生成およびより優れた運動協調を増進するようである。過去数十年間、レジスタンストレーニングは、スプリント速度を向上するためのトレーニングプログラムに、一般的に含まれている。レジスタンストレーニングは、その低速における力生成を向上する能力により効果的であり、また、本来筋肉に備わっている力対速度の関係により、より高速における力生成能力を向上する。意外にも、スプリントとレジスタンストレーニング両方の組み合わせは、ここ数年で、アスレチック開発プログラムへ導入されているのみであった。しかし、これは基本的にレジスタンストレーニングのより特異な形であるだけであり、単にその力生成を向上する能力により効果的である可能性が非常に高い。

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痛みから抜け出すための一番の方法 パート3/3

感作 感作されるのは、単に中枢神経系だけではありません。末梢ニューロンもまた、細胞体の中により多くのイオン・チャンネルを作り、組織の中の神経終末へと下ろすことによって、より敏感になりえます。このイオン・チャンネルの増加は、脱分極するために、細胞外の正電荷を持つイオンが、細胞内に入るのをより容易にし、信号を中枢神経系まで送ります。これらはストレッチ、あるいはリガンド化学受容体に対して、力学的に敏感でありえます。リガント受容体は、炎症時に存在するような特定の化学物質の存在下で開くイオン・チャンネルに組み込まれている化学受容体を持っています。 求心性C線維が、順行性(中枢神経系へ向かって)のメッセージを脊髄後角へ伝導する際に、求心性C線維はまた、神経終末と関連する組織へ引き返す逆行性(末梢へ向かって)のインパルスを発生させることができ、これは神経性炎症と呼ばれています。これは、サブスタンスPや肥満細胞が脱顆粒を起こし、炎症の元になり、侵害受容器感作混乱を作っている、ヒスタミンやセロトニンを放出するような事象を引き起こしている局部をさらに刺激するCGRPを含んでいる神経ペプチドの放出を刺激します。順行性伝導の間に、細胞はまた、集中砲火を何とかして反対方向に送ることもできます。なんと忙しいニューロン達なのでしょう!その上、後根反射を通して、脊髄後角からの中枢から末梢へ向かう活動も持っているのです。 このプロセスは、個人の神経系、生理学的反応、彼らの生理学的反応を変化させたかもしれない以前の疼痛経験によって、確実に影響を受けています。 本質的に力学的力は、中枢神経系への不快な求心性シグナルを作り出し,化学的に敏感な受容器より敏感にさせる局所炎症反応を引き起こしたり、あるいは化学的刺激と力学的刺激の両方に影響を受けた受容器が、これらを更に運動に対してより敏感にしてしまうこともあります。望むべくは、このループが、痛みのない動作を見つけることによって繰り返されなくなることです。 かなり複雑になってきていますが、何らかの‘正しい’方法ではなく、人々が現在行っている方法とは、単に異なった方法で動くことが、恐らく彼らの組織内で起こっている全ての痛みの生化学、あるいは異なる組織と受容器を刺激することによって、はるか上にある脊髄後角で起こりうる変化を手伝うという見解を私達に与えてくれるはずです。私達は、下行経路を良いもので刺激するのと同様に、反復的な受容器刺激によって、これ以上敏感にしないことで、感覚を鈍らせることができます。 非侵害受容機構 非侵害受容の情報と痛みの関連性を考察するという仮説が、今新たに発生しています。私は以前に、痛みの記憶の概念に関して解説しています。詳細は*ここをクリックしてください*。 この一連の思考に沿えば、私達は、一つは痛み、もう一つは特定の運動を介して発生する特定の固有感覚情報という二つのコード化された刺激の関連性を持っています。時間が経つにつれ、神経パターンにおいて、それらは対になってしまっているかもしれず、その固有感覚情報は、条件性疼痛反応における刺激になりえます。疼痛反応を引き起こすのに、実際の不快な刺激は必要とされないのです。これは、組織治癒の時間を越えて、非常に長い持続痛を経験する多くの持続痛患者にみられる、条件性恐怖や不安な挙動に関して大変道理にかなっています。これらの見解は、恐怖条件付けのような状態に着目する感情の研究の世界では、もちろん新しいものではありません。 MoseleyとVlaeyenは、多様な運動や活動によって、どのように痛みが作り出されうるかを議論する‘不正確仮説’を提出しています*ここをクリックしてください*。運動と痛みの間にあるこれらの神経の関連性は、特定的で正確というよりも、かなり一般化されています。これは、ほぼ同様の範囲内の刺激、あるいは同様のタイプの刺激は、条件付きの疼痛反応をもたらし始めるのかもしれないということを意味します。複数の緩い関連を持つ刺激が痛みを引き起こすのであれば、これは問題になる可能性があります。この保護の為の緩衝装置の増大は、おそらく、より急性期のある時点で良い適合目的として役に立つでしょうが、その後不適合に移行する際にはそうではなくなります。 異なる運動が、痛みと一体にならずに中枢神経系への異なる固有感覚インプットを引き起こし、そして、痛みの無い異なるアウトプット反応を発生させることを、私達は望んでいます! 個人の感じ方を修正することは素晴らしいことですが、痛みが弱まった後であっても、組織の感受性と同様に、痛みは運動を変化させるということを忘れていけません。両方とも再発を増加させるかもしれず、これは今後の傷害の一番の予測因子の理由が、傷害の既往であることの理由であるかもしれません。防御的運動行動は、いかなるリハビリテーション・プロセスの中でも対応するべきです。何が正しくて、何が間違っているかではなく、さまざまな運動のオプションとスキルが取り入れられるべきであり、より多くの可変的リソースを持つことによって、システムは適合することができるのです。 素晴らしい科学を提供してくれたButler、Gifford、Shacklockに感謝したいと思います。

ベン・コーマック 2229字

痛みから抜け出すための一番の方法 パート2/3

なぜ異なる動きは、あまり痛みを引き起こさないのでしょうか? 最初に、もちろん、脳もまた末梢から来るあらゆる信号の調節に関与するということを忘れてはいけませんが、まず、痛みのある組織で何が起こっているかについて考えてみましょう。私達が基本的に着目する科学的知識は、科学的根拠と同様に重要ですが、見た目ほど魅力的ではありません。 次に、持続痛の状態にある人達に対応する際に、より重要かもしれませんが、連想的学習、および有害な固有感覚刺激と疼痛反応の結合も考慮しなければなりません。 高閾値の有害な刺激をコード化する、あるいはより明らかに危険な信号を送る侵害受容器は、長期発火の間により敏感になり、これらの活性化に必須な刺激の量を減少させます。熱、化学的、機械的刺激のような、数多くの刺激に反応することを意味する多モード侵害受容器の全ては、発火を引き起こしえます。これら全ては、痛みや炎症の中に存在しています。 これらの求心性神経に刺激をあまり与えない方法で簡単に動き始めることは、手始めとしてふさわしいでしょう。痛みが少なく、等尺性の負荷に耐えることができる関節位置を見つけることも、神経を過度に刺激せずに適合するために、部位を刺激する良い方法かもしれません。 脊髄後角内にある、これらの一次求心性神経ニューロンのシナプスでは、二次ニューロンが刺激され、情報を脳に送ります。末梢からのインパルスの集中砲火を通しての長期刺激は、受容野の増大を開始する可能性のある脊髄ニューロンの興奮の増大を起こす可能性があります。この活動はまた、隣接するシナプスも同様に興奮させ始めます。これはしばしば、‘ウィンドアップ現象’と呼ばれています。 急性疼痛の状況においてでさえ、痛みの中央処理におけるこれらの変化が様変わりする可能性があり、あるいは以前の痛々しい経験によって変えられている可能性があります。私達はしばしば、中枢機構と慢性痛の状態を結びつけますが、中枢機構はいかなる痛みとも常に関与していて、更なる中枢機構の関与の可能性が常に存在しています。もし痛みの既往歴があれば、以前は穏やかで、沈黙していた頑固な侵害受容器が、その後により活発になり、このプロセスを増大させるかもしれません。また、今まで標準感度の状態であった受容器が、今後の刺激に対してより敏感になることもあるかもしれません。 一度これらの受容器がオンの状態になると、しばらくの間オンの状態が続く、あるいは絶対に完全オフの状態にはなりません。C線維を通る情報は、軸索における髄鞘形成の欠如のため、ゆっくりと伝達され、末梢神経終末からの信号は中枢神経系に届くまでに幾分時間が掛かり、細胞体、あるいは脊髄後角によって作り出されているあらゆる炎症反応が、末梢神経終末に戻るのにも幾分時間が掛かるかもしれません。よって、より多くのC線維が覚醒し、信号を送り始めることが、しばしば痛みが翌日起こり、その後もしばらく痛みが継続する理由に関してのいくらかの説明になります。これはまた、リハビリテーションにおいて、一つのセッションの中で少しやり過ぎてしまった際に、私達がその微妙な境界線を超える可能性がある理由を理解する手助けにもなります。閾値を超え警報が鳴るのを、私達は翌日になるまで気がつかないのです。 しばしば不適応反応する痛みの警報システムをより良くするための一部は、刺激をさらに検出するために、センサーをより高感度にすることです。これを理解すれば、特に痛みや傷害の既往歴がある際に、痛みが簡単に引き起こされる理由は、完璧に道理にかなうのです。 本質的に、ある人々の中枢神経系は、痛みのある状態にあることに長けていきます!よって、痛みは簡単に引き起こされるため、人々は痛みを自覚し、警戒しやすくなるのです。私達はこれを異常な警戒と恐怖回避を持つと捉えます。もし‘正しい’エクササイズが、‘正しい’方法で行われ、これらの人々にとって無痛の運動を見つけることができるということには、何よりもはるかに勝る価値があります。もし私達が運動をその人にとって関連性のあるものにすることができれば、心理的価値は意味深いものになります。恐怖回避は、ある程度、感知される痛みの状態を避けることによって維持され、痛みを感じないというもので、運動の関連性といかに私達が関わるかの度合いは最も重要なのです。関連する運動に取り組まなければ、問題は継続するかもしれません。 人々が異なる運動やより痛みの少ない運動をする手助けをすることの本来の趣旨は、痛みを引き起こさず、彼らの現在の痛みの状態を助長せずに運動を維持することです。生化学が生体力学と同じくらいの要因であるという考えに慣れることは、正しい方向に進むための一歩です。実際に、私達は異なる化学反応を促進するために、異なった力学を使用することができます。 運動は良いことです! 運動はまた、悪い物を取り除き、良い物を取り込む基本的な流体力学を促進させるので、動かないということは、概してここでの答えではありません。運動はまた、鎮痛剤でもあります*ここをクリックしてください*。下行性抑制を促進する運動皮質アウトプットの増加と内因性オピオイドの産生の両方は、潜在的機序として議論されています。脊髄周辺に漂う抑制物質が多ければ多いほど、感受性は低い可能性があります。これはGABAや内因性オピオイドのような化学物質を含んでいます。このトップダウンの抑制は、組織の中で生理学的に起きていることに影響を与えることができ、単に運動とのポジティブな関連を持つことは、痛みにおける抑制効果を持つかもしれません。 こわばり硬くなった筋肉と全く負荷をかけないことは、ただ問題を大きくするだけかもしれません。私達は、受容器の中に長期にわたる体位や姿勢から発生する虚血組織の状態によって発生するPHの低下を感知する、酸感受性イオン・チャンネル(ASICs)とTRPV1チャンネルを持っていて、これが局所感度を増大させるかもしれません。できる限り正常に身体を使うことはまた、身体機能の低下を抑え、可動域と許容の範囲を維持するでしょう。

ベン・コーマック 2576字

痛みから抜け出すための一番の方法 パート1/3

人々の動き方に注目し、掘り下げて考える際、何が‘正しい’運動、あるいは‘良い’運動なのかに関する曖昧なコンセプトに直面することでしょう。一般的に、これらのコンセプトは、科学的根拠にかかわらず、変更させることが難しい強い信念と一体になっています。 Alberto Brandolini氏は、これを下記のように、うまく要約しています。 ”馬鹿げたものに異議を唱える際に必要とされるエネルギーの総量は、それを作り出す際に必要なエネルギーよりも1桁大きい” 私は、‘良い’運動を定義することが可能であるという見解が非常に馬鹿げているということには同意しませんが、定義が難しい試みであり、今までのところ非常に不明確であることも確かです。現在利用可能な科学的根拠に基づいて、痛みがある中でリハビリテーションや運動の手助けをするという観点において、私達ができる最良のことは、単純に彼らに“異なった”運動をさせることでしょう。 ‘良い’運動と傷害の危険性に関連する‘悪い’運動の基準を提供しようと試みるシステムである、ファンクショナル・ムーブメント・スクリーニング(FMS)に関する最近の考察*ここをクリックしてください*において、研究過程で傷害を負った74名のアスリートのスクリーニングにおける平均スコアは14.3ポイントという結果が出ました。傷害を負っていない93名のスコアは、ちょっと待ってください、14.1ポイントで、0.2ポイントしか違わないのです。 傷害に関連していた運動パターンは、インライン・ランジのみです。最高スコアである3ポイントを記録したアスリートは、2ポイントを記録したアスリートよりも傷害を負う可能性が高いのです!あなたが、‘良い’と認識している運動に固執すればするほど、傷害を負う可能性は高くのなるのです。実際に、最低スコアである0ポイント、あるいは1ポイントを記録した複数のアスリートは、傷害との関係性を示しませんでした。 痛みを抱えての運動 有痛者における、いかなる運動評価も、痛みを抱えていることへの彼らの反応の現れだけであって、痛みを抱えている理由ではないのかもしれません。しばしば、この基本的な推論過程は考察されず、炎症を起こした組織への負担を取り除くための、あるいは筋性防御やリハビリテーション・プロセスの後半でみられる凝りのような、不適応反応を減らすための運動変化における素晴らしい論理的根拠を提供します。このために、いかなる運動もスクリーニングや評価に使用可能で、個人との関連性があればあるほど良いのです。 運動評価は、何を変えるべきか、どう変えるべきかの指標とするために、それが正しいとか間違っているかに関わらず、特に痛みがある際には、今現在どのように動いているかに注目するべきです。異なる運動をする能力や他の運動のオプションを持つ能力の低下は、急性損傷から慢性への移行に関連しています*ここをクリックしてください*。私達が運動評価をするために、非線形法を使用する際、変化の低下は慢性化と強い関連性を持っています*ここをクリックしてください*。 私の考えでは、良い運動は運動のオプションを有していることを特徴とし、そして、悪い運動は選択肢が欠如している運動と定義されるかもしれません。 私のお気に入りの格言の一つに下記のものがあります: “全てのエクササイズは運動であるが、全ての運動がエクササイズというわけではない” 単にこれは、いかなるエクササイズも痛みがより少ない運動を提供するために適合、変化させることができる、あるいは従来のエクササイズのようには見えない運動が使用される可能性があるということを意味しています。単にスクワット、あるいはランジの際の足のポジションを変化させることは、臼蓋窩における大腿骨の方向を調節し、股関節の組織と中枢神経系(CNS)の両方に異なる反応(願わくばより少ない痛み)をもたらす、異なる刺激を提供するでしょう。これらのポジションの全てが、さまざまな状況や刺激に対応するために、私達の運動レパートリーの中で、相当大きな能力と利用可能なオプションとして利用されるすべきです。私達は特に、私達が経験する刺激に適合し、その結果として、今後同様の刺激によりうまく対応できるようになります。 人々はしばしば、彼らが教えられてきた不変的な青写真から離れることに不快感を覚えたり、あるいは、あるエクササイズが行われるべきであると信じ込んでいます。もしかしたら、それは同じ筋肉をターゲットにしていないかもしれませんし、あまり安全ではないと信じ込んでいるかもしません。もしあなたが、実際のスポーツの中で起こるような、より自然な運動について考えるならば、試合中に何度もみられるこれらの変化に着目するようになるでしょう。実際のところ、ジムの中で練習した運動は一切使わないかもしれません。 痛みのある状況において、目的は、強化すべき特定の筋肉をターゲットにするというよりも、単により少ない痛みの中で動くことかもしれません。我々が、単一の筋肉筋力低下が痛みや生体力学的な‘機能不全’の原因であるいう考えから離れつつあるということ望んでいます。 痛みがある中で同じように動けば動くほど、同様の反応を誘発する可能性が高くなります。 痛みのある運動が‘かなり良く’見え、‘かなり悪い’運動が痛みの無い運動かもしれません。私達は、人々をエクササイズの‘理想的な’型に押し込むというのではなく、エクササイズや運動を人に適合させることを容易にできるようになる必要があります。

ベン・コーマック 2359字

固有受容感覚の向上方法 パート1/2

固有受容感覚とは、正確には何のことでしょうか。身体感覚または運動感覚の気づきと呼ぶこともできます。これは、脳がもつ相対的な身体の位置や身体のさまざまな部位の動きを感知する能力です。固有受容感覚があるからこそ自分の手を動かす時、それが空間のどこにあるのか、目をつぶっていても分かるのです。 全ての協調運動は、固有受容感覚に依存しています。たとえば神経疾患や酩酊状態が原因で固有受容感覚に支障を来すと、歩行や立っていることなど簡単そうに見える動作でさえも、かなり困難になります。当然のことですが、スポーツやダンスにおいて一流レベルの動きは、一流の身体感覚レベルを要します。たとえば、後ろ宙返りで平均台の上に着地することは、常に身体がどう動いているか正確に分からなければ不可能です。厳密な身体感覚は、身体が心地良いと感じたり、痛みのない状態であるために必須です。下記の通り、固有受容感覚の問題は痛みの主な原因になる可能性があるのです。 スポーツでのパフォーマンスを向上させたい、また痛みを軽減させたいすべての人にとって、固有受容感覚の向上は素晴らしい目標です。実際、これら両方の目標を効率よく達成することができる、あらゆるセラピーやトレーニング方法では、固有受容感覚の向上が最も重要といえるでしょう。では、固有受容感覚がどのように機能するか、なぜ重要なのか、そしてどのように固有受容感覚が良くも悪くも変化するのかを次に説明しましょう。 脳は身体を地図化する 固有受容感覚を理解する手がかりは、身体の地図です。身体の地図とは、ちょうど道路を描いた地図の線と同じように、身体のそれぞれの部位を示すように整理された脳の部位のことです。身体の各部位の動きや感覚は、脳内のそれぞれに独立した領域によって支配されています。つまり、私たちは実際の手と脳にあるバーチャルな手を持っているのです。つまり、手の位置や形、大きさを示す脳の部分です。さらに脳は、知覚し制御する必要のある無生物(テニスラケットや道具、カウボーイハットなど)を示すためにも領域を割いています。 それぞれの身体部位は、それに相当するバーチャル部分と次のように連携を取っています。身体には、機械受容器と呼ばれる数百万もの顕微器官が全身に配置されています。それらが機械的な力で刺激を受けると、シグナルは神経系を通ってその身体部位を知覚するための脳の部位へ送られます。脳は、無数の受容器から送られるシグナルをすべて収集し、どこに何があるか、何をしているのかを正確に判断します。本質的に脳は、非常に多くの身体地図を作り、何が起こっているか、どのように動くかを判断するのにそれを役立てているのです。 優れた動きには優れた地図が必要 脳はその地図を使ってどのように動くか判断するため、地図が良質で詳細であればあるほど、正確で繊細な動きになることは言うまでもありません。逆に、地図が不明瞭であいまいであれば、さまざまな動きのナビゲーションは疑わしくなるでしょう。 より多くの動きを必要とする身体部位の地図がより大きくなっているというこれらの特質が、このイラストに描かれています。たとえば、手はかなり複雑で分化した動きができ、さまざまな感覚を感知できるので、脳にはそれを感知したり制御したりする大きな領域が割り当てられています。また、背部や肘のように多くの動きや知覚を必要としない身体部位の地図には、脳はそれほどの領域を設けていません。人間の身体を各部位に対応する脳のバーチャル領域のサイズによって描くとすれば、ホムンクルスという名で知られている右の絵のように、ひどく醜い姿になるでしょう(皆さんはまず生殖器をチェックしたでしょう?!)。 地図が協調性に不可欠であることを示すものとして、その領域は需要に応じて実際に大きく発達するという事実があります。たとえば、音楽家の指を感知し制御する脳の領域は、手をそれほど使用しない人の領域よりも、実際、観察可能なほど大きいことが分かっています。 混乱した地図は痛みを生む 正確な地図は、私たちの感じ方にも重大な影響を及ぼします。疼痛研究者たちは、被験者に鏡または知覚を迷わす他のものを使って非日常的な錯覚を起こさせ、痛みを発生させることができることを発見しました。これらの錯覚は効果的に“感覚運動系の不一致”、つまり脳の地図の情報との矛盾を起こします。この結果は、たいてい痛みとなって現れます。これらの実験から、有識者の多くは、身体地図における矛盾や混乱、不正確さが、多くの慢性的な疼痛症状に密接に起因しているかもしれないと認識し、これらの問題を解決することが、痛みを和らげる有効な方法になるのではないかと考えています。 混乱した地図によって発生しうる問題の最も劇的な例として、幻肢痛と呼ばれる現象が挙げられます。腕や脚を失った人の多くは、失った身体部位に感覚や耐え難い痛みをしばしば経験します。腕が失われていても脳の中のバーチャルな腕がそのままであって、周囲の神経活動により混線することがあります。こうなると、脳は混乱し、失った腕があるかのような、かなり現実的な感覚と多くの場合において強い激痛を呼び起こします。幻肢痛の驚くべき治療は、残っている四肢を鏡に映し、あたかも失われた四肢は、そこにあり健康な状態であると脳に思い込ませるという方法です! そんな、マトリックスやアバターでもあるまいし、とみなさんは思うかもしれませんね。

トッド・ハーグローブ 2292字

固有受容感覚の向上方法 パート2/2

地図は動きによって構築される 最新の需要を反映して、地図は常に更新されています。簡単な実験をすることにより、地図が変更されていることを即座に感じることができます。皆さんの左右の耳の形と位置を想像または感じてみてください。そうしたら、左の耳のみを数秒間こすってください。では、左の耳と右の耳の感じ方の能力を比べてみましょう。左の耳の方が感じやすくなることに気づくでしょう。耳を触ることで機械受容器を活性化させ、脳へシグナルを送ります。そして、脳のその領域にある地図を活性化するのです。もちろん、左耳が感じやすくなったというこの感覚は一時的なものです。 地図に長期的または永久的な変化もたらすためには、地図を継続的に、かつ長期にわたって刺激する必要があります。さきほどの、音楽家の指の地図はそうでない人のものより大きいという話を思い出してください。身体の特定の部位を協調的そして意図的に繰り返し動かすと、その部位や動作をコントロールする脳の領域に物理的変化や目に見える変化が実際に起こります。練習するにつれて上達する理由のひとつが、これです。 もちろん、すべての動きが均等に地図に刺激を与えるわけではありません。地図の質に変化をもたらすには、好奇心旺盛で、探究心が強く、斬新で、興味深く、知覚入力が豊富で、ゆっくり丁寧で、意図的で、痛みをともなわない動きが最も有力です。このブログに書かれている内容のほとんどは、基本的にそのように動くにはどうしたらよいかということと、地図を改善するにはどうしたらよいかについてです。 動きが不足していれば、このプロセスは後退してしまいます。一定期間ある方法で動くことがなければ、その動きの制御や正確な感覚を受ける能力を失います。これを、感覚運動健忘症といいます。脳にある身体地図があいまいになり、不明瞭になります。たとえば、数日間3本の指をひとつにくくって、ユニットとしてしか動かないようにしたとします。脳は次第に3本の指を独立した別々の動きをする部位とは認識しなくなり、ひとつのユニットととらえ始めます。骨盤や脊柱が可動域の可能性を充分に使って動かない場合にも、このように地図のぼやけが同様に起こると予測できるでしょう。何年も見過ごしてしまうと、胴体中央部全体がひとつの固まりとして動くのです。白人男性のダンスの典型的なものです。動かなければ失う、というのがここでの教訓です。 痛みは地図に悪影響を及ぼす 身体地図の質を損なうものとしてケガがあります。痛みは、ケガをした関節から送られる固有受容感覚の情報を処理する脳の能力を低下させます。なぜなら、脳は当然優先度の高い痛みのシグナルの処理に忙しくなるからです。痛みのシグナルは、実質的に固有受容感覚のシグナルを締め出し、信号対雑音比を悪くします。(ちなみに、これと逆のことも起こります。つまり、ある部位に痛みがあれば、その部位をなでることで無痛の機械受容的情報を脳へ送り、痛みのシグナルの処理をブロックできるのです。ケガすると、そこをなでる理由はここにあります。) 痛みはまた、ケガを負った関節の動きを減少させます。これによって、その関節から送られる固有受容感覚の情報は更に減ります。固有受容感覚の情報が欠如すると、地図の質を低下させます(感覚運動健忘症)。よって、ケガは悪循環を生み出します――痛みが動きを減少させ、それが協調性を減少させ、それがさらに動きを減少させ、さらなる痛みを発生させる、といった具合に。同じ足首を繰り返し捻挫するのも、これがひとつの原因です。 固有受容感覚の改善の方法 では、この有用な情報をどう役立てればよいでしょうか。まず、適切に動き、心地よく感じることは、メンタルな事象であると同時に身体的事象であることを理解しましょう。脳内のバーチャル身体の健康も実質的な身体(こちらの変化の方がより速く、しかも簡単です)と同様に大切です。 次に、痛みからの脱出が最優先事項であること。痛みが軽度で、やりたいことができないわけではない場合であっても、痛みは潜在能力を発揮する妨げになります。なぜなら、私たちの意志とは関係なく、脳は協調性を保つために全意識を集中させていないからです。つまり、脳は他の優先事項に注意を払い、意識下で動きのパターンを再編成するのです。 最後に、できる限り斬新で、意識的で、興味深く、探究心が強く、好奇心旺盛で、陽気で、痛みをともなわない動きに取り組みましょう。横になった姿勢や座位、立位において関節が動ける、あらゆる方法を見つけます。脳の地図に有益な変化をもたらすことに特化したフェルデンクライスメソッドに挑戦してみるのもよいでしょう。Z-healthやアレクサンダー・テクニック、イデオキネシス、太極拳なども素晴らしい選択肢です。

トッド・ハーグローブ 2013字