仰臥位の肩外旋(ビデオ)

メジャーリーグの選手達の救世主として有名なストレングスコーチのエリックが、簡単に行える仰臥位での肩の外旋モビリゼーションを紹介してくれています。是非お試し下さい。

エリック・クレッシー 1:35

外反肘外偏角度(キャリーングアングル)が意味すること

私は、ただ単に “野球選手をトレーニングする事” と、彼らが遭遇する独特な要求の真の意味を捉え、実際に彼らをトレーニングすることが、そしてこれらの要求に対して彼らの身体がどのように反応にするかが、いかに異なるかという話をよくしています。今日の投稿は、全ての投球に関わる腕を、単純に一般的なプログラムに当てはめる事はできないという良い例になるでしょう。 投球者に良く見かける適応のひとつに、肘の外反肘外偏角度(キャリーングアングル)があります。専門家でない方もいらっしゃるでしょうから、腕を見ると投球を行う腕は(この場合は左側にある写真の右腕になります)“より鋭い”角度をしていることに気づくでしょう。 これが投球のレイバック時に起こる甚大な外反ストレスへの適応なのです。 この題目に関するリサーチはあまりないのですが、より鋭い外反肘外偏角度(キャリーングアングル)の投球者は肘を怪我しやすい、特に内側側副靭帯(UCL)の断裂を起こし易い、と広く信じられています。 私の良き友人であるマイク・レイノルドもこのトピックに関しての非常に良い未出版データを多く持っています。私の目には、これによって、我々はこのような投球者に対して、増加する怪我の発生率を考慮しつつ、より入念にケアをして行く必要があると証明してくれているように映ります。 私の観点からすると、彼らは、内側側副靭帯(UCL)が既に他の普通のピッチャーよりも緩んでいることから、受動的安定性を回復させる為にもオフシーズン毎に投球を控える時間が更に必要であろうと思われます。 それに加え、これらのアスリートは肘内側の筋肉が受動的安定性の欠如と増加した可動域需要を補う為に、より懸命に働いているであろうことから、軟部組織の質の回復に更に時間がかかるかもしれません。 その他のキーポイントとしては、この外反肘外偏角度(キャリーングアングル)は尺骨神経の過剰運動性(屈曲/伸展時に内側上顆上を前後に擦る)や尺骨神経炎の可能性を増加させるかもしれないということがあります。 もしこの神経が実際に炎症を起こすまでに、限られた屈曲/伸展のサイクル数があるのであれば、その神経をあるべき場所に留める尺骨神経移植手術の必要可能性を減少させる為にも、毎回の投球を賢く行う必要があります。 それに加え、控えめな投球プログラムにする必要があると思います、特に極度の遠投に関して。多くの投球者に対して、遠投は多くのメリットがあると思いますが、短距離での投球に比べて外反ストレスが幾分か増加するという懸念があります。それを心に留めておくと、他の投球主導のものや、もしくは遠投を通常よりも控えるということだけでも、彼らはより良い反応を示すかも知れません。 トレーニングの観点からは、肘ではなく肩からより多くの可動域が発生するように能動的な外旋が起こるように働きかける必要があります。これは単に肩を外旋方向にストレッチすることと混同してはいけません。外旋方向へのストレッチは99%のケースにおいて良いことよりも悪い結果をもたらすからです。 むしろ私達は、どのようにして代償運動なしにレイバック動作を行うかを、アスリートに教育する必要があります。私はスタートとして、理学療法士のエリック ショーヘンバーグから学んだエクササイズである、仰臥位の外旋が気にいっています。 重力と共にうまく行う事ができたら、このドリルを腹臥位で重力に反して行う形に進み、そして外旋の最終可動域に近いエリアでアスリートを鍛える為に、最終可動域で多様な保持による負荷を加えます。自宅でも試せるドリルの例を一つご紹介しましょう。 禁忌としては、私達が他の投球者において避ける物と比べて大きく変わるとはいえませんが、バックスクワット、オリンピックリフト、等です。しかしながらそれによる余波はかなり劇的なものなのです;ちょっと想像をしてみてください、200+イニングを投げ、摩耗しているこれらの肘がオフシーズンにスナッチのキャッチング動作を頭上で行っている、ということを。 この写真は、顕著な外反肘外偏角度(キャリーイングアングル)を持って生まれてきた個人が、思春期や十代での投球により、さらに状態が顕著になるということを示しています。 トレーニングの含意点よりも更に、上記の理由から、一般的な屈曲腱や円回内筋の組織の質を保つことも非常に重要になります。私は器具を用いた軟部組織のモビライゼーションとアクティブリリースのようなハンズオンのコンビネーションを好みます。 投球者の必要とする質の高いトレーニングやリハビリ及びプリハブ(怪我を未然に防ぐ)を提供するにあたり、この記事が評価方法を加えたりトレーニング原則をフォローアップすることの助けになれば幸いです。

エリック・クレッシー 2077字

コアの安定エクササイズのカテゴリー化とコーチング(ビデオ)

コアの安定のエクササイズといえば、コアの前面、側面、横断面、それぞれ別々に分けて考えがちですが、ひとつの面に注目したエクササイズにおいても、他の二面でのコントロールは不可欠です。メジャーリーグの選手達に大人気のストレングスコーチ、エリック・クレッシィのビデオを御覧ください。

エリック・クレッシー 2:19

肩の外旋バリエーション(ビデオ)

野球場等の屋外の環境で、使える道具もない、パートナーもいない、というような状況でも、ピッチャーが投球を始める前に、あるいは、トレーニング前に、簡単に短時間で行える効果的なローテーターカフのウォームアップをご紹介します。

エリック・クレッシー 2:08

野球のウォームアップ 3つの間違い(ビデオ)

ピッチャー達が野球場で行うウォームアップの動きの中で、彼らの肩の障害を促進してしまうものがあるとすれば?レイバックの繰り返しで、弛緩している肩関節包の前部に対してストレッチをする必要があるのか?メジャーリーグの投手達の救世主として大人気のエリックが、実践的なアイデアの提供をしてくれます。

エリック・クレッシー 4:45

プルアップの適切なキューイング(ビデオ)

プルアップやチンニングといった、腕を挙上したポジションからのプルの動作を指導する際、皆さんはどのようなキューイングを与えていますか?一般成人を指導する場合と、投手を指導する場合では、キューイングのポイントを変更する必要があるのでしょうか?

エリック・クレッシー 4:38

伏臥位のシングルアームトラップレイズ(ビデオ)

肋骨に対しての肩甲骨の動きを助長しながら、僧帽筋下部のアクティベーションを促す、伏臥位でのトラップレイズ。ピッチャーのトレーニングの一部としても、とても効果的なエクササイズでありながら、間違って実行しがちなこのエクササイズの注意点をエリックが丁寧にカバーしてくれます。

エリック・クレッシー 8:56

ストレングス&コンディショニング:2013年に学んだこと。

前年度に発見したことを記事でおさらいするのは、今年で8年目になります。振り返ってみると、過去7年間の内容が、現在の選手の指導とプログラム作製に与えた影響は計り知れないものがあります。そういう意味で、今回の2013年度のおさらいを通じ、皆さんが即座に応用することのできる、貴重な知恵のいくつかを提供できればと思います。 1) 筋膜リリースは一日を通して高頻度で行うのベスト フォームローラー、マッサージ、補助器具などを使った軟部組織へのアプローチがなぜ効果があるのか、明確には理解できていないものの、実施すると身体が楽になり、動きやすくなることは明らかです。不快感をできるだけ少なく、より迅速に結果を出す方法を、我々は常に模索し続けています。 今年の前半、クレッシーパフォーマンスのマッサージセラピストであるクリス・ハワードが、昔のマッサージセラピーの教科書に目を通している際、ちょっとした貴重なものをみつけました。それは「筋膜リリースは、短時間高頻度に行う方が長時間低頻度で行うよりも効果的である」というものです。人の身体は頻繁に変化にさらされたほうが”学習”し適応することができるという性質を考えると、理にかなったアプローチといえます。

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野球シーズン中のストレングスとコンディショニング

野球選手のシーズン中のストレングスとコンディショニングについて、ここ数週間で、何十件ものメールやFacebookのポスト/メッセージ、ツイッター、電話などを受け取りました。このテーマについて考えをまとめるのは、困難を伴う作業でしたが、同時に嬉しく思いました。なぜなら、これらの問い合わせが寄せられるということは、つまりシーズン中のストレングスとコンディショニングが、極めて重要であることをやっと関係者が理解し始めたということを示しているからです。 これを受けて、シーズン中の投手と野手のストレングスとコンディショニングへの取り組み方を概説していきます。当然、選手には個人差もあり、スケジュールも異なるので、皆さんにとって上手くいくように手直しを加えていく必要があるでしょう。 私が「あえて実施しないこと」にみなさんが驚かれるかもしれないので、参考までに述べておきます。シーズン中のストレングスとコンディショニングにおける私の方針は、下記の項目において他の多くの人とは異なります: 1.私は、フィールドでバンドやチューブを使うことをあまり好みません。一言で言えば、週2回の「従来の」回旋腱板エクササイズ(主に外旋)と週2回のリズミックスタビリゼーションの練習にこだわる傾向にあります。他にも、複合上半身ストレングスエクササイズ(特に水平プルと垂直プルエクササイズ)や、減速キャッチ、コアスタビリティドリル、下半身ストレングスエクササイズ、軟部組織アプローチ、モビリティードリルなどを含めた、他のすべてのプログラムと併用しながら、腕の健全な状態を維持するために必要なことを、できる限り実施します。すでに投球量や強度、頻度を増やしているのに、それ以上どうしてバンドを使った回旋腱板エクササイズをプログラムに加える必要があるでしょうか? 回旋腱板はもう酷使されているのです。血液循環を良くする目的で、かつ、とてつもなく軽い負荷でない限り、日課としてチューブサーキットを行って回旋腱板をさらにダメにする必要はないのです。 多くの投手達(野手も同様に)は、シーズン中に腕を酷使していると私は確信します。それは、投球時の腕にかかる遠心性の莫大な負荷に充分な理解がないまま、次から次へとプログラムを追加するからです。シーズン中に、回旋腱板エクササイズのおかげで健全を保てると主張するコーチに、私は反論するでしょう。それは、オフシーズンに終わらせることができなかった単なる準備不足だろうと。 2.私は、シーズン中にはあまりメディスンボールトレーニングを使用しません。 シーズン中の選手は、すでにバッティングや投球、スプリンティングなどを行うことでスペクトラムの「絶対速度」の活動領域に限りなく近づいているはずだからです。もし、「不本意」で過剰なパワートレーニングが行われているならば、むしろスペクトラムの反対端に留まっておいた方が良いと思います。オフシーズンならば、スペクトラムの中間域により多くの時間を費やすことができるでしょうが。 先ほどメディスンボールは、あまり利用しないと言いましたが、シーズン中に若干使用することもあります。たいてい、選手のスイングや投球とは左右逆に行います。つまり、右打ちの選手は左手でメディスンボールを投げることになります。また、オーバーヘッド練習も軽く行います。これは、この可動域内でのパワーを維持するためです(それに伴った胸椎と肩の屈曲モビリティーも行います)。 3.私の担当する選手には、長距離ランは行いません。すでに仕上がっているのですから、わざわざ一からやり直す必要はないのです。この時点では、私は単に選手に磨きをかける仕上げ作業に徹します: 野球選手に長距離ランをさせるコーチがいたならば、それは手抜きまたは無知(もしくは両者)以外のなにものでもないでしょう。 4.シーズン中のトレーニングは、まさに“less is more”(控えめの方がより効果的)と“quality over quantity”(量より質)という言葉がぴったりです。シーズン中のストレングストレーニングのプログラムが35−40分以上続くことはまれで、だいたい10−14セットで十分です。ただし、フォームローラーを使用したり、モビリティードリルをしたりして、それよりも長い時間ジムにいる選手もいます。 5.シーズン中のストレングストレーニングのプログラムとして、第1週目には量と強度は低めに設定しますが、その後上げていきます。初期の筋肉痛を抑えるためにも、私は通常量と強度をプログラムの第1週目では低くしておくのです。それから、エクササイズに慣れてきた頃、第2−4週(または、プログラムがやや長めに設定されていれば第2−6週)で徐々に上げていきます。 6.ストレングスエクササイズの選択種目は、シーズン中に変えますが、基本は同じです。総合的な複数関節のストレングスエクササイズを多く取り入れるという基本はそのままですが、いくつかの修正は加えます。 シーズン中には、私は垂直プル(プルアップ/チンニング)よりも水平プル(ロウ)を利用します。一年を通してかなりの量の垂直プルをしてきていますが、シーズン中は週1回、それ以上は決して行いません。なかには、難易度を上げるためにかける負荷により、肘を壊す選手もいます。肘を傷めず効果を出すには、クロスオーバー・リバース・フライをプログラムに組み込めばよいのです。

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野球シーズン中のストレングスとコンディショニング:高校野球

今日は、シーズン中における、高校野球選手向けのトレーニング方法を取り上げていきます。ここでは、野手(捕手を含める)と投手に分類して話を進めていきます。 野手/捕手 私達は、野手と捕手には全身のストレングストレーニングを通常週2回実施しています。しかし、何人かの選手には、より短時間かつ高頻度のトレーニングセッションを行うことにしています。これにあてはまるケースとして、トレーニングをより多く行う方ったほうが調子のよくなるジムラッツ(年中トレーニングに精を出している人々)や、または十分な試合時間が与えられておらず、発達することを強く希望している選手達等が挙げられます。 このような選手達は、ウォームアップや練習中のゴロの処理やスプリントですでに動作トレーニングを十分に行っているため、通常彼等のプログラムに動作トレーニングをそれ以上追加する必要はありません。 彼等は投球や打撃において大量の回旋動作を行っているので、メディスンボールトレーニングの量も抑えるようにします。しかし、フォームローラーやモビリティーのトレーニングは毎日欠かさず実施します。 投手 高校生投手の多くが、投球をしていない時は野手としてプレーする二刀流であるため、彼らのトレーニングは難しいものになります。一般的な方針として、定期的に登板する選手に対しては、捕手、遊撃手、三塁主でのプレーは投球数が増加するため避けるように推奨しています。若い選手で一週間毎の投球回数が3イニング以下の場合は、野手と同じようにトレーニングを行いますが、トレーニング日のうち最低一回は必ず投球翌日に実施します。私がこのアプローチを気に入っているのは、24時間のブロックにストレスをまとめることで、さらなる回復を促すだけでなく、選手が私達と共にモビリティードリル、軟部組織へのアプローチ、そして徒手ストレッチを行わなければならないようにすることで、登板後の可動域を”正常化”することができるからです。

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野球シーズン中のストレングス・コンディショニング:大学野球

今日は、シーズン中の大学野球選手の管理について話をしていきます。 大学生と高校生の管理の仕方には、特に、野手/捕手と1週間ローテーションの先発投手に関しては、確実にいくつかの類似点があります。主な相違点としては、大学野球のスケジュールは、週末の試合(金曜日-土曜日)が基本で、時折週半ば(通常は火曜日か水曜日)に試合がある一方で、高校野球のスケジュールはそれよりも変動的であるということです。結果として、大学野球選手のほうが、ウエイトトレーニングをする日が確定される傾向にあります。ポジション毎に見ていきましょう。 野手/捕手 私は、月曜日(週末試合の翌日)に最も厳しいウエイトトレーニングをさせることを好みます。別のウエイトトレーニングの日程は、水曜日か木曜日になります。このスケジュールでは、全体的なトレーニング効果を減少させることなく、試合前、火曜日か金曜日に1日の休養を、コーチが選手に与えることができます。野手は月曜日に全身のウエイトトレーニングを行い、水曜日-木曜日、または、木曜日-金曜日に下半身のウエイトトレーニングと上半身のウエイトトレーニングを連続して行うことを好むことも分かっています。これは、選手の好みと、試合に出ているイニング数に依るところが大きいでしょう。 投手 我々は、大学生先発ピッチャーと高校生で週1回の先発ピッチャーを、まったく同じように管理しています。ここでは、方法を変える必要はありません。 しかし、リリーフ投手に関しては、大学のストレングス・コンディショニングコーチを悩ませます。彼らのスケジュールは予測不能です。水曜日、金曜日、日曜日に投げるかもしれません。または、土曜日だけ投げ、6日間はオフかもしれません。どうするべきなのでしょうか? 混沌としている場合、そこに枠組みを与えるようにと、私は言います。それが、正に私がリリーフ投手を管理する方法です。多くの選手は、彼らのルーティーンワークの中で、少なくても1つは確定していることを好むことに気づきました。そしてその1つがストレングス・コンディショニングセッションでありえるのです。そのため、リリーフ投手はみな、たとえ、不定期な週半ばの試合である、木曜日の夜に投げなければならないとしても、月曜日と木曜日にウエイトトレーニングをするとしましょう(そのセッションの量は少なくすることができます)。沢山の数の新しいエクササイズを与えたりさえしなければ、筋肉痛を起こさせることも、パフォーマンスを下げることもないでしょう。プロ野球界には、投球をする日であったとしても、いつもウエイトトレーニングをするリリーフ投手がいて、実際に多くの投手が、投げる当日にすでにウエイトトレーニングを行っているときは、マウンドで調子が良いと報告しています。どちらにしてもムーブメントトレーニングとして、当日にトレーニングを行う必要があるでしょうし、ウォームアップ中にスプリントをすることに不満をいう人はいません。 さらに、リリーフ投手が特に長いイニングを投げ、数日間は投球しないということが分かっていれば、先発投手と同じようにケアをし、試合後12時間以内にウエイトトレーニングを行わせます。その週の間に、追加のストレングストレーニングセッションを追加することもあるでしょう。

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登板と登板の間の新しいトレーニングモデル:パートA (1/3)

(パートA2/3はこちらへ) 登板と次の登板の間における投手のマネージメントは、野球トレーニング界でも最も意見が分かれるトピックです。登板と登板の間に、複数回の投球セッションを好むピッチングコーチもいれば、ブルペンは1回で十分と主張するコーチもいます。また、アスレチックトレーナーの間では、投球セッション後にアイシングをすべきか否かで議論されます。私の専門領域に特定すると、投球の合間に投手がどのようなランニングプログラムを行うのが適切か、異なる見解があります。 自慢するわけではありませんが、私はたいへんな読書家です。しかし、そんな私でも、特に投手のためのランニングプログラムについて、論理的に主張または批判したものを読んだことがありません。そういうこともあって、この論考を書くことにしたのです。 その点を考慮して率直に言えば、投手に長距離ランニングをさせることは、私の好みではありません(さらに言えば、投手以外の圧倒的多数の選手も同様です)。おそらく多くの投手コーチは、この記事を読んで、常識の逆を言う私のことを罵っているのではないでしょうか。みなさん、是非この話を最後まで読んで欲しいと思います。なぜ長距離ランニングが、活動方針として望ましくないのかを、9つの項目にまとめ下記で説明します。そして、次回の投稿では、私たちが実施し、プロ、大学、高校レベルで大きな成功を収めている投球と投球の間に行う新しいトレーニングモデルを概説します。 理由その1:免疫への配慮 ストレングス&コンディショニングコーチとして、私にとって最も優先順位の高いのは、選手の健康を維持すること。これは、筋骨格系の健康のみならず、身体の健康全般を指します。2006年に発表された優れたレビューの中で、グリーソン氏は次のように述べています。「運動後の免疫機能低下は、運動が継続(および)持続された時に最も顕著であった」。興味深いことに、このレビューでは、「これら症状の多くは、感染発症が原因ではなく、上気道の炎症に起因する(1)。」と記されています。つまり、登板と登板の合間に長距離ランニングをすることは、選手控室で病気を引き起こし蔓延させることになるのです。 1ストライク。 理由その2:内分泌への考慮 オフシーズン中に、私がトレーニングしたマイナーリーグの選手からのメールの一部をご紹介しましょう: 昨日は、これまでの選手生活で最もハードな一日でした。日曜日の試合が終わり、11:30pmに部屋に戻ったあと、少なくとも12:30amまで眠れませんでした。それから、3:30amにモーニングコールがあり、6:15am発の飛行機に間に合うように空港行きのバスに乗り込みました。1時間半の乗継時間のあと、11:00amに次の町に到着しました。スリープインというホテルまで車を走らせ、臭い部屋に到着し、少しだけ睡眠をとったものの4:00pmには球場に集合しなければなりませんでした。 これは、多くのプロ投手(特にマイナーリーグ)にとってごく普通の出来事です:夜遅く寝て、朝早く起き、深夜便で移動し、長距離バスに乗り、その結果、完全に睡眠パターンが狂ってしまうのです。容易に想像できると思いますが、このような移動をしていると食事も理想的ではなくなります。とりわけ、選手控室の食事が、グルメでも健康的でもない場合には。大学レベルとプロレベルの球技選手の多くは、アルコールを過剰摂取しています。これは、睡眠と組織の質に直接影響するということも言っておきましょう。 つまり基本的に、彼らの睡眠時間はでたらめで、食生活もひどく、アルコールを過剰に摂取しているということです。そして、スポーツの中でもシーズンが最も長いのです。事実上、テスタステロンと成長ホルモンの分泌を低下させ、ホルモン環境を乱す、あらゆる原因を作り上げていることになるのです。率直に言えば、自転車のサドルにまたがりながら「ゴールデン・ガールズ」(アメリカのホームコメディー)の再放送を見て、エストロゲンの錠剤を飲み下しても、同じようなホルモン反応が表れるでしょう。この状況ならば、足底筋膜炎を発症させずにすむはずなのです。 その結果、代わりに何が行われるかおわかりですか? 長距離ランニングです! そうです、持久力の必要な選手の低テスタステロン値と高コルチゾール値を生み出す、長距離ランニングです。これは、四角い車輪の車に最新型のエンジンを搭載するのとおなじこと:誤ったテストのために勉強するようなものです。 ランニングプログラムのマイナス効果に反作用する運動能力向上薬を使用して、何になるのだろうと疑問に思わされますね! 2ストライクです。 理由その3:モビリティへの配慮 以前のニュースレターでも書きましたが、長距離ランニングの問題のひとつに、本当の意味で股関節屈筋群を活性化するのに十分な股関節の屈曲が得られないということがあります。特に大腿直筋は、十分に動員されますが、股関節が90度以上屈曲するときに主に活動する大腰筋の活性化はほとんどありません。同様に、股関節の伸展もほとんど行われないのです。 概して、ジョギングのような反復性運動を長時間行うことで、投手の股関節は動きを失っていくのです。それはまさに、ストライドと、ひいては速度を生み出すのに選手が必要としている動きなのです。 率直に言えば、私が指導しているなかで、ジョギングのストライドでの関節可動域の不足のために、最も顕著な下肢の機能障害が見られるのが、ランナーなのです。そして、彼らは実際誤った運動パターンで距離を重ねていくわけです。人間の身体は、ジョギングではなくスプリントをするためにできていると私は固く信じています。 3ストライク、バッターアウト! 参考文献 Gleeson, M. Immune systems adaptation in elite athletes. Curr Opin Clin Nutr Metab Care. 2006 Nov;9(6):659-65. Komi, P.V. Stretch-shortening cycle. In: Strength and Power in Sport (2nd Ed.) P.V. Komi, ed. Oxford: Blackwell, 2003. pp. 184-202. Hennessy L, Kilty J. Relationship of the stretch-shortening cycle to sprint performance in trained female athletes. J Strength Cond Res. 2001 Aug;15(3):326-31. McCarthy JP, Agre JC, Graf BK, Pozniak MA, Vailas AC. Compatibility of adaptive responses with combining strength and endurance training. Med Sci Sports Exerc. 1995 Mar;27(3):429-36. Ouelette, H, Labis J, Bredella M, Palmer WE, Sheah K, Torriani M. Spectrum of shoulder injuries in the baseball pitcher. Skeletal Radiol. 2007 Oct 3. Fleisig, GS. The Biomechanics of Baseball Pitching. Spring 2008 Southeast ACSM Conference.

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