高強度持続トレーニング(HICT)

近年エネルギーシステム発達に関して、そしてアスリート達のスポーツへの準備のための最良の方法に関して、かなり話題になっています。 かなりの関心を集めているメソッドの一つは、HICT 高強度持続トレーニングでしょう。このメソッドは、かなり長時間にわたってHICTを行ってもフォーカスは遅筋ではなく速筋にあるという、ある意味ユニークなものです。 HICTの簡単なリビューとIFASTでの使用例です。 HICTが何であるのかに関しての一般的概念を持っていただいたところで幾つかの注意点は下記の通りです: 使用できるメソッド:ステップアップ、スピンバイク、プロウラープリング等 各レップは素早く爆発的であること。スピードが落ちたり動きのキレが悪くなったらストップ。 1レップ行い、次のレップまでの間に3~5秒レストをとること。クオリティーの高い動きを確実に。 このメオソッドを実行する際、無酸素閾値を超えないようにすること。私たちはよくアスリートに心拍センサーを装着しモニタリングをしながら実行します。 1セット毎、最短で7分。コンディションの整っているアスリートの場合は20分まで行います。通常これを2~3セット行いますが、あくまでも指導対象となる各個人に対応するようにしましょう。 とにかく汗をかきます!HICTより発汗量が多いコンディショニングメソッドはないのではないでしょうか? 速筋線維に持久的許容量をもたらす素晴らしいコンディショニングツールを探しているなら、HICTはプログラムに大きな貢献をしてくれるでしょう。是非お試しください。

マイク・ロバートソン 2:33

ウインドミル

ウインドミルという名称のエクササイズは、股関節の外転、内旋を強調する効果的なドリルです。間違って行ってしまいやすいこのエクササイズをDr.ドゥーリーがわかりやすく解説します。

キャシー・ドゥリー 4:27

呼吸においてのニュートラルとは何か?

前回は『ニュートラル』または『ニュートラリティー』の定義についての考えを述べさせて頂きました。 前回の内容をまとめると “関節におけるニュートラルとは、関節の位置(ハードウェア)ではなく、その関節が求められる動きを適切に表現できる能力(ソフトウェア)である” という事でした。 前回の内容を踏まえ、今回は『呼吸のニュートラル』について私の考えを述べさせて頂きます。 『腹式呼吸』『胸式呼吸』『横隔膜呼吸』『奇異呼吸』『パラドックス呼吸』『努力性呼吸』『安静時呼吸』 などなど、呼吸パターンを表す用語は沢山あります。 様々な理論がある中で、近年はInter abdominal pressure (IAP)→腹圧 を高める呼吸が正しいとされる事が多いです。 この様な呼吸はよく 『Diaphragm breathing (横隔膜呼吸)』と表現されます。 ※そもそも横隔膜を使わない呼吸は無いので『横隔膜呼吸』という言葉が相応しいのかは疑問ですが、ここでは吸気の際に横隔膜が腹圧を高めるべく動く(腱中心が下方に下がる)呼吸を横隔膜呼吸とします。 そして、ここでは吸気の際に横隔膜が腹圧を高める事が出来ない呼吸(例えば胸部が頭方に向かって上がり肩で息をするような呼吸)を胸式呼吸とします。 では、横隔膜呼吸を獲得すれば『呼吸のニュートラル』を獲得したと言えるのでしょうか? 結論から述べますと、 『呼吸のニュートラル』とは “どのような状況においても、その状況に適した呼吸ができる” という能力(ソフトウェア)であるため、単純に横隔膜呼吸=呼吸のニュートラルではありません。 誤解されているかも知れませんが、俗に言う“胸式呼吸”も単純に悪い呼吸ではなく、状況によっては最適な呼吸となる場合があるのです。 例えば800メートル走の際に、 正しい横隔膜呼吸によって腹圧を保ち、走行に適切な姿勢を維持してエネルギー効率やバイオメカニクス的利点を使える選手は有利です。 ただし最大努力時において、または最大努力後にすぐ回復する(酸素~二酸化炭素バランスを調整する)必要がある場合、姿勢を崩してでも酸素を最大に取り入れることができる=すなわち努力性呼吸(ある種の”胸式呼吸”)が上手な選手が有利かも知れません。 ※ここでの努力性呼吸とは肩・胸の上下動が目視できる程の大きな呼吸を意味します。 ただ、この選手がレースの後に家で寝る時も努力性呼吸を続けているのであれば、これは努力性呼吸でスタックしている状態であり、一般的に睡眠の質や回復に問題を抱えるためこれは呼吸においてのニュートラルではありません。 “状況に応じて呼吸パターンを変化させる能力=呼吸のニュートラル”を持っている選手が呼吸においては最も優秀だと考えられます。 これは姿勢のニュートラルで述べた骨盤における“前傾にも後傾にもどちらにもいけるよ”という状態とほぼ同じです。 言い方を変えると 『横隔膜呼吸』も『努力性呼吸』も、『腹式呼吸』も『胸式呼吸』も『鼻呼吸』も『口呼吸』も必要に応じて使うことのできる能力がニュートラルです。 ある状況において不適切な呼吸を選択してしまった場合、その呼吸は”パラドックス呼吸”と言えますが、違う状況においてその呼吸は”最適な呼吸”かもしれません。 ”呼吸においてのニュートラル”の定義についてはココまでです。 ここまでで充分ややこしいですが、ここからは呼吸への介入を更に複雑にしている”回旋運動””歩行”について述べさせて頂きます。 人間は直立位であるため殆どの動作において回旋運動が必須です。 回旋運動には肋骨の動きが深く関わるため、回旋運動による呼吸への影響はかなり大きいのです。 また回旋運動は左右非対称な動きであるため、呼吸も回旋運動に伴い左右非対称に行うことが必要となります。 簡単に表現すると 右側は横隔膜呼吸、左側はある種の胸式呼吸が必要な動作もあります。 その代表的な動作は歩行です。 “Walking is Breathing”~歩行とは呼吸である by Ron Hruska と言われる所以はココです。 歩行は回旋運動→即ち左右非対称な動作であり、効率的な歩行を行うためには左右非対称な呼吸を獲得する必要があります。 『横隔膜呼吸』“だけ”上手な人は左右非対称な呼吸を獲得していないため、効率的な歩行はできません。 『胸式呼吸』“だけ”上手な場合も同様です。 更に更にややこしくなるのですが、 歩行は左右非対称な動作ですが、両側交互に行う必要があるため、“左右非対称な動作を交互的に行う能力”が求められます。(めんどくせ!) それに伴い呼吸も横隔膜呼吸&胸式呼吸を左右非対称に、さらに交互的に行う能力が必要となります。 “左足立ちでも、右足立ちでも、求められる呼吸パターンを体現しながら前に進む“ これが意外に難しいのです。 長くなりましたので、呼吸と回旋運動の関わりについてはまた違う回で述べますが、今回は『呼吸のニュートラル』について皆様の考察を少しでも深めるお手伝いができたら幸いです。 また皆様のご意見やご質問も随時お待ちしております。 ありがとうございました!

近藤 拓人 2284字

コンプレッション衣料のパワー測定値への影響

目的 この記事は、エクササイズ後の回復期間における、コンプレッション衣料の筋パワーへの影響に関する研究を要約している。 筋パワーへの影響 序論 多数の研究が、レジスタンストレーニング、間欠的および持久系エクササイズを含む様々なタイプのエクササイズ後の男女において、コンプレッション衣料を着用することの筋パワーに対する実践的な恩恵を調査している。ほとんどの場合、筋パワーは、下半身のパワーの有効なテストであるようである(マルコヴィッチおよびその他、2004年)ジャンプの高さ(カウンタームーブメントジャンプもしくはスクワットジャンプ)により測定されている。また筋パワーは、体重の20%と同等の負荷を使用したベンチプレススローにより、そして速度と力の両方を測定する動力計カートを押す際の定速(等速性)腕屈曲パワーにより測定されている(スチュアートおよびその他、2005年)。 エキセントリックトレーニング後の筋パワー 選択基準 集団 – 誰でも 介入 – 一時的な筋損傷を引き起こすための、高負荷から最大負荷までのエキセントリック負荷に注目したエクササイズセッションであれば何でも 比較 – コンプレッション衣料の使用と、コンプレッション無し、もしくは冷水浴などの他の回復介入 結果 – ジャンプの高さやベンチプレススローのような、筋パワーの測定値であれば何でも 結果 以下の研究が確認された:クレーマーおよびその他(2001年)、クレーマーおよびその他(2001年b)。 発見 上半身のコンプレッション衣料は、最大エキセントリック筋活動セッション後における腕屈筋最大パワーの低下を軽減することに対し、有益な効果があるようである。 2つの研究が、コンプレッションの筋パワーへの影響を評価している。今日まで筋パワーは、最大等速性パワーを通じ腕屈筋においてのみ評価されていた。筋パワーは、エクササイズ後の男女において、上肢にコンプレッションスリーブを着用した際に評価されている。両研究ともに、コンプレッション衣料を使用した際、エクササイズセッション後72時間の時点において、エキセントリック筋損傷を伴う筋パワーの低下を有意に軽減したと報告している。さらにクレーマーおよびその他(2001年)は、筋パワーは24-72時間の間、より良く維持されていたと報告しており、またクレーマーおよびその他(2001年b)は、筋パワーはその後3-5日間、より良く維持されていたということを発見している。筋パワーは、コントロール被験者と比較し、回復初期段階(24対72時間)において、女性と比較して、男性の方がより望ましい状態で維持されていたようである。しかし、クレーマーおよびその他(2001年)による研究において、実験グループとコントロールグループの間における筋パワーの基準測定値は類似しておらず、それが結果に影響を与えていた可能性がある。 要約 コンプレッションスリーブを着用することは、男性においてはエクササイズ後24-72時間の間、女性においてはエクササイズ後3-5日間のエキセントリック筋損傷後の筋パワー低下を軽減する。 レジスタンストレーニグ後の筋パワー 選択基準 集団 – 誰でも 介入 – レジスタンストレーニングセッションであれば何でも 比較 – コンプレッション衣料の使用と、衣料無し、もしくは冷水浴などの他の回復介入 結果 – ジャンプの高さやベンチプレススローのような、筋パワーの測定値であれば何でも 結果 以下の研究が確認された:フレンチおよびその他(2008年)クレーマーおよびその他(2010年)。 発見 コンプレッション衣料が、レジスタンストレーニング後の筋パワーの回復を向上することにおいて有益であるかどうかは明確ではない。しかしベンチスローにより測定された上半身のパワー、およびカウンタームーブメントの高さは、回復時にコンプレッション衣料を着用することにより、いくらか維持されていた可能性があるようである。 レジスタンストレーニング後の筋パワーを評価した研究は2つ存在する。それらの研究は、レジスタンストレーニングを行っている男性において行われており、それぞれ全身(クレーマーおよびその他、2010年)もしくは下半身(フレンチおよびその他2008年)のレジスタンストレーニング後、24時間または48時間における筋パワーを測定している。筋パワーは体重の20%におけるベンチプレススロー(クレーマー及びその他、2010年)、およびカウンタームーブメントジャンプ(フレンチおよびその他、2008年)により測定されていた。両研究ともに、レジスタンストレーニング後、コンプレッション衣料の着用に伴う筋パワー低下の軽減を報告している。しかし、エクササイズ後24時間の時点においては、ベンチプレススローのみがコントロール被験者からの有意な差違を示していた。 要約 カウンタームーブメントジャンプにより測定された際、回復期間におけるコンプレッションタイツの使用により、下半身の筋パワーが影響を受けているのかどうかは明確ではない。しかし上半身の筋パワーの低下は、コンプレッションスーツの着用に伴い軽減されるようである。 プライオメトリックス後の筋パワー 選択基準 集団 – 誰でも 介入 – ジャンプ、ホップ、もしくはドロップランディングから成るセッションであれば何でも 比較 – コンプレッション衣料の使用と、衣料無し、もしくは冷水浴などの他の回復介入 結果 – ジャンプの高さもしくはベンチプレススローのような、筋パワーの測定値であれば何でも 結果 以下の研究が確認された:ディヴィスおよびその他(2009年)、ダフィールドおよびその他(2010年)、ジェイクマンおよびその他(2010年)、ジェイクマンおよびその他(2010年b)。 発見 ドロップジャンプ後の回復期間に着用されたコンプレッション衣料は、コントロールグループと比較し、後のカウンタームーブメントおよびスクワットジャンプの高さの低下を軽減することが可能であると思われる。しかし、コンプレッション衣料が、10mもしくは20mのスプリントタイム、あるいはパフォーマンスをまとめる複数の反応を維持しているのかどうかは明確ではない。 4つの研究が、プライオメトリックス後の筋パワーを評価している。全ての研究は、市販のロング丈コンプレッションタイツを使用し、女性(ジェイクマンおよびその他、2010年、2010b年)、およびトレーニングされた男女(ディヴィスおよびその他、2009年、ダフィールドおよびその他、2010年)における筋パワーを評価している。筋パワーは、カウンタームーブメントジャンプの高さ(ディヴィスおよびその他、2009年、ジェイクマンおよびその他2010年、ジェイクマンおよびその他、2010年b)、スクワットジャンプの高さ(ジェイクマンおよびその他2010年、ジェイクマンおよびその他、2010年b)そして10m(ディヴィスおよびその他、2009年)および20m(ダフィールドおよびその他、2010年、ディヴィスおよびその他、2009年)のスプリントタイムにより評価されていた。概して全ての研究において、カウンタームーブメントおよびスクワットジャンプの高さの低下は、12-72時間の間にコンプレッションタイツを着用することにより軽減されていた。対照的に、スプリントタイムの増加は、10mまたは20mのどちらにおいても、コンプレッションタイツの着用による影響を受けていなかった。 要約 コンプレッション衣料の着用は、プライオメトリックスセッション後に生じるカウンタームーブメント、およびスクワットジャンプの高さの低下を軽減するようである。 有酸素運動後の筋パワー 選択基準 集団 – 誰でも 介入 – 有酸素運動セッションが述べられている研究であれば何でも 比較 – コンプレッション衣料の使用と、衣料無し、もしくは冷水浴などの他の回復介入 結果 – ジャンプの高さもしくはベンチプレススローのような、筋パワーの測定値であれば何でも 結果 以下の研究が確認された:ビーゼンおよびその他(2014年) 発見 1つの研究のみが、持久系エクササイズ後の回復期間に着用されたコンプレッション衣料の影響を評価している。実験グループの被験者は、合計15.6kmの距離の、登り下りを含むトレイルランニングセッション後、コンプレッション衣料を着用した。筋パワーは、カウンタームーブメントの高さにより測定された際、回復介入を使用していない被験者と比較し、コンプレッションストッキングを着用した被験者において有意に高かった。 要約 持久系トレーニング後にコンプレッションストッキングを着用することは、回復期間における筋パワーの低下を軽減するようである。 間欠的エクササイズ後の筋パワー 選択基準 集団 – 誰でも 介入 – 間欠的有酸素運動セッションであれば何でも 比較 – コンプレッション衣料の使用と、衣料無し、もしくは冷水浴などの他の回復介入 結果 – ジャンプの高さもしくはベンチプレススローのような筋パワーの測定値であれば何でも 結果 以下の研究が確認された:ダフィールドおよびその他(2008年)、モンゴメリーおよびその他(2008年)プルチーノおよびその他(2013年)。 発見 3つの研究が、結果測定値としてジャンプの高さを使用し、間欠的エクササイズもしくは試合シミュレーション後のコンプレッション衣料の恩恵を評価している。全ての研究は、市販の下半身ロング丈コンプレッションタイツを使用しており、エクササイズセッション後24-48時間における筋機能の測定値を評価している。2つの研究は、間欠的エクササイズの単一セッションからの回復を調査しており(ダフィールド及びその他2008年、プルチーノおよびその他、2013年)、一方1つの研究は、3日間にわたるバスケットボールトーナメント後の筋パワーを評価していた(モンゴメリーおよびその他、2008年)。トレーニングセッション後、ジャンプの高さを測定する際、間欠的エクササイズを比較した両方の研究は、24時間の時点(ダフィールドおよびその他2008年)、もしくは24-48時間の間(プルチーノおよびその他、2013年)におけるコンプレッションの影響を発見していない。対照的に、モンゴメリーおよびその他(2008年)は、トーナメント日の間にコンプレッションタイツを着用した場合、3日間にわたるバスケットボールトーナメント後のジャンプの高さの低下は、有意に軽減されていたということを報告している。ジャンプの高さは3日間のトーナメント直後に測定されたものである。2つの研究は、間欠的エクササイズ後における20mのスプリントタイムを評価している(ダフィールドおよびその他、2008年、プルチーノおよびその他、2013年)。両方の研究は、間欠的エクササイズ後のコンプレッションタイツの着用は、エクササイズ後24-48時間の間における20mのスプリントタイムへ影響を及ぼさなかったということを報告している(ダフィールドおよびその他、2008年、モンゴメリーおよびその他、2008年)。 要約 コンプレッションタイツの着用は、数日間にわたるトーナメント期間中および直後のジャンプの高さの低下を軽減する可能性があるが、間欠的エクササイズ後、ジャンプの高さに対するコンプレッション衣料の影響があるかどうかは明確ではない。 記事の結論 上半身の筋パワーは、エキセントリック筋損傷、もしくはレジスタンストレーニングのセッション後、等速性腕屈曲およびベンチプレススローにより測定される際、コンプレッションスリーブあるいはシャツを着用することにより、より良く維持されるようである。 激しいプライオメトリックトレーニングセッション後に着用されたコンプレッションタイツは、エクササイズ後12-72時間において測定される際、下半身の筋パワーの低下を軽減するようである。 持久系ランニング後の筋パワーは、コンプレッションタイツによりほとんどが維持される。一方、コンプレッション衣料はおそらく、間欠的エクササイズ後の短距離スプリント速度、あるいはジャンプの高さは維持しないであろう。

ストレングス・コンディショニング・リサーチ 5236字

FA選手の移籍はもうたくさん!PRIの話です。

PRIには独特の言語というか言葉遣いが存在しています。左右非対称性だったり多関節筋連鎖だったり、今まであまり考えられてこなかった身体の動作パターンについて理解する際にどうしてもこういった共通言語は必要になってきます。現在(2016年5月)行われているPRIのマイオキネマティック・リストレーション講習会でも頻繁に出てきますので、今回のアーティクルではその言語のうちの一つ、FAとAFについて解説してみたいと思います。 まずFAですが、どこかの金満球団がお金にものを言わせて有名選手を引っ張ってきてはレギュラーに据え付ける、あのFree Agentの略ではありません笑 FはFemur、大腿骨で、AはAcetabulum、寛骨臼を指します。つまりFAやAFという文字が出ていれば、どうやら股関節だぞ、という事がわかりますね。 これらは英語で考えるととてもわかりやすい?はずです。 FA=Femur Acetabulum AF=Acetabulum Femur ですよね?このふたつの間に(moves on)を入れてみてください。(on)だけでもいいです。 FA=Femur (moves on) Acetabulum となり、訳すと「大腿骨が寛骨臼の上で動く」となります。要するに寛骨臼は動かず大腿骨が動く、といういわゆる私たちの良く知っている股関節の運動(屈曲・伸展、外転・内転、外旋・内旋など)になります。寛骨臼が動かない、という事は、寛骨臼は安定している、つまり腸骨・寛骨・坐骨など骨盤自体が安定しているという事になります。 それではAFはどうでしょうか? AF=Acetabulum (moves on) Femur となります。訳すと「寛骨臼が大腿骨の上で動く」となります。この場合大腿骨は動かず、寛骨臼が動くということになりますね?うん?大腿骨が動かないのに寛骨臼が動く??ちょっと想像しにくい方もいるかもしれません。もしあなたが椅子に座ってPCを使ってこのアーティクルを読んでいるとしたら、膝を持ち上げたりすればいいので、FAは簡単に想像がついたかもしれませんが、AFとなると一瞬戸惑うかもしれません。 でもご安心ください。Kinetikosではおなじみのヒップヒンジを想像してみてください。デッドリフトでもいいでしょう。これらは股関節の屈曲から伸展を促しているエクササイズですが、地面に足がついている為基本的には大腿骨は安定しており動きません。大腿骨頭に対してスムーズに骨盤を動かすことで初めて伸張性の収縮をハムストリングに与えることができるのです。骨盤が安定して、大腿骨が動く(FA)動きに慣れている人はスムーズに骨盤を動かせなかったりするとヒップヒンジやデッドリフトの動作がスムーズに行えない可能性があります。そのあたりは我々の力の見せどころですよね。 それではこのFAとAFに股関節の基本的な動作を付け加えてみましょう。 FA 屈曲・伸展 ―  AF 屈曲・伸展  FA 外転・内転 ―  AF 外転・内転 FA 外旋・内旋 ―  AF 外旋・内旋 と種類が増えてしまいました!最初は大まかに分けて6つの動きだったのが、もうこれで12の動作となりました。さらに右(R)と左(L)を入れてみると・・・ R FA 屈曲・伸展  ―  R AF 屈曲・伸展  R FA 外転・内転  ―  R AF 外転・内転 R FA 外旋・内旋  ―  R AF 外旋・内旋 L FA 屈曲・伸展  ―  L AF 屈曲・伸展  L FA 外転・内転  ―  L AF 外転・内転 L FA 外旋・内旋  ―  L AF 外旋・内旋 となり、なんと股関節の動きだけで24種類になってしまうのです。よくPRIの講習会で「途中からついていくのが難しかった」とか「頭から煙が…」という話を聞くことがあるのですが(僕は一番最初の講習会の最初の休憩時に頭から火が出ていました。)、もしかしたらこういった関節の動作について事前にわかっていたら少しはわかりやすいのかもしれません。 AFとFAについて大体区別がつくようになってきましたか?区別がつくようになってきたところで考えて頂きたいのは、普段我々が目にするエクササイズで股関節のFAとAFのエクササイズ、どちらをよく目にしますか?という事です。最近のファンクショナルトレーニングの流れで言うとだいぶAFのエクササイズが増えてきた、と感じています。挙げている錘や回数・スピードなどだけでなく、動作自体にフォーカスが行くようになってきたからだと考えます。しかし、まだフィットネスクラブのマシンやリハビリテーションのエクササイズを見てみると股関節のFA動作を促すものが多いでしょうし、一般の方に股関節を動かしてくださいというとFAの動きをすることがほとんどだと思います。 そこで考えていただきたいのは、ファンクションだったりパフォーマンスを考えるうえでFA動作が必要な時とAF動作が必要な時はどちらが多いでしょうか?という事です。 野球のバッターを想像してみてください。一歩足打法はあまり見かけないにしても、足を高く上げてタイミングをとる選手は日本の野球には多く見られます。あの足を上げる動作はもちろんFA屈曲でしょう。左バッターであれば「R FA屈曲」となります。単純に屈曲とは言えないかもしれませんが、ここでは単純化しますね。 それでは左側はどうでしょうか?「タメ」と言われる言葉が野球界にはありますが、トレーニングの世界の言葉で言えば「ローディング」してパワーを溜め込んでいて、R FA屈曲した右足が着地していざスイング、となったときに溜めていたパワーを爆発させるのを待っています。この「タメ」や「ローディング」の動作では大腿骨は動かず安定しているはずなので、L AF内旋となります。AF内旋に関しては想像しにくいかもしれませんが、安定した大腿骨に対して恥骨、または反対側のASISが股関節に近づいていくと考えればわかりやすいかもしれません。もっと単純に言ってしまうと股関節にズボンのしわを寄せていく感じです。 野球に全く興味がない人は、全然想像がつかないかもしれませんね。では誰もが行う歩行の動作はどうでしょう?普段何気なく歩いている時にFAとAFについて考えてみてください。遊脚期(足が地面から浮いている側、スイング側)ではFAとAFどちらでしょう?FAですね。大腿骨が安定した寛骨臼に対して動きます。 立脚期(足が地面についている側、サポート側)はAFの動きになります。寛骨臼が安定した大腿骨に対して動きます。着地後大腿骨が安定することで、寛骨臼が外旋位から内旋位(立脚中期)に移行していきます。 実際に私たちが行っているFAとAFの動作について想像がついてきたでしょうか?そして私たちが普段処方しているエクササイズを考えてみるとFAとAFの動作、どちらが多いでしょうか?歩行時にいつも行っているはずのAFの動作がしっかりと行なえていますか?スクワットの動作一つとっても24種類ある動作を分解してみれば、おのずとクライアントの弱点が見えてきたりするかもしれませんね。 いずれにせよ、僕はPRIと出会ったことで、それまでFAの動作にしか着目してこなかったのに気づきました。金満球団が引っ張ってくるFA選手はもうたくさん!となるわけです笑  よく仕事帰りに僕が人知れず大阪の街でこけるのは、歩行の事を考えてすぎて歩いているからかもしれません、というオチで締めくくろうかと思ったのですが、AFの動作がうまくなってくるとあまりこけません!僕は関東人なのでオチなしで失礼します!

大貫 崇 3238字

1レッグ・ドロップ・スクワット

前回は両脚でのドロップ・スクワットをご紹介させて頂きましたが、今回は片脚のパターンです。 プライオメトリクスの導入としては最適なエクササイズの一つです。 このエクササイズの目的 ・ジャンプする前にしっかりと衝撃吸収のできる着地動作を身に付けること。 ・カッティング時に下肢のトリプルフレクションを出せるようにすること。 ・片脚でも効果的に加速時の推進力を生み出すためのパワーポジションを確立すること。 などがあります。 両足での立位から片足を浮かせてみてください。バランスをとるために自然と股関節は内転位に変位していくと思います。 側方または多方向のカッティングにおいて進行方向と逆側の足で接地し減速が始まる場合、同じように股関節は内転位になり、下肢のトリプルフレクションを使い減速し、再加速する。こういった状況では、股関節が通常よりも内転位をとるために両足の時よりも股関節の外転筋はよりエキセントリックに、しかも筋の力−長さ関係から見ると不利な状況で活動しているのではないか推測できます。 このような状況でしっかりとトリプルフレクションができなければ、すでに股関節は内転位にあるために膝が内側に入りやすくなることも想像できます。 またカッティング時にみられる上半身が進行方向側に傾いてしまう(ブレる)動きもこの膝が内側に入る動きを助長します。 片足立位で軽く膝を曲げ、支持脚側へ上半身を傾けてみてください。上記のことが実感できると思います。 片脚の着地やカッティングにおいて傷害発生が多いのは、このような背景が関係しているのではと考えています。 このような背景をふまえるとこの1レッグ・ドロップ・スクワットの位置づけが私の中でもハッキリしてきました。 【実施方法】 ①直立姿勢で片足を少し床から離す。肘を90度位に曲げて腕を挙げる。 ②勢い良く腕を後方に引きながら、素早くパワーポジションに移行し(僅かに足底が床から離れる)、しゃがみ込む。 ③パワーポジションを完成させる(脊柱をニュートラルに保つ)。 傷害予防、パフォーマンス向上の基礎として非常に有益なエクササイズだと思います。 トレーニングだけでなくウォーミングアップにも最適です。 ぜひお試し頂ければと思います。

緒方 博紀 975字

治療がなぜ効くのか知っておくべき3つの理由

マッサージの後、一体なぜ気分が良くなるのでしょうか? または、鍼治療の後、フォームローラーストレッチの後やカイロプラクティックの矯正、キネシオテープ、モビリティドリル、ハムストリングのストレッチの後どうして身体が楽になるのでしょうか? これらの質問にぴったりの答えがいくつかあります。そしてこの記事で指摘したいのは、興味深いことに、セラピストがそのことについて知らないケースが多く見受けられるということ。あるいは、気にもしていないということです! もしかしたら、セラピストはすでに正しい答えを聞いたことがあるにも関わらず、現在科学的に明らかになっていることからかけ離れた、間違った答えを好んでしまうのかもしれません。 よくない説明に関して言えば:フォームローラーに癒着を剥がしたり筋膜を溶かしたりする効果は恐らくないでしょう。カイロプラクティックのマニピュレーションも、“ずれた”関節を元に“戻す”わけではありません。深部組織のマッサージは、毒素や“コリ”を取り除きません。鍼は、ツボや経絡に到達するのではありません―ランダムなところにうった鍼も同様に効果があります。偽手術は、本当の手術の様に成功することもあります。運動制御エクササイズでは、運動制御自体は変化しなくても、しばしば痛みが軽減するこがあります。 ここで、上記のような治療が症状を改善できないと言っているのではありません。ただ、宣伝されているようには作用しないということです。また、すべてが単なるプラセボ(これは明確な意味の提示がないと混乱する用語ですが)であるということでもありません。 一般的に、セラピストのあいだには、自分たちが“組織の問題”を治すのだという考えが根強くあるようです。そして彼らは、身体のもっと複雑なシステム、たとえば神経系、免疫系、自律神経系などにある問題を無視する傾向があります。これらは、小さな入力にでも非常に敏感に反応し、身体がどのように動くか、また感じるかということに大きく影響します。理由として、おそらくこれらの器官は表面上見えにくく、捉えづらいのと同時に、彼らが学生だった頃に教育課程で教わったことではないからかもしれません。 私はロルファーとしてトレーニングを受けていた頃、ロルフィングは筋膜を変えることにより効果があると教わりました。ですからみんな、治療ベッドから立ち上がると、背が高く体が緩んだ感じがする、痛みが軽減した感じがするなどと言っていました。筋膜に何か良い変化が起きたと思っていたからです。 しかし、徒手圧迫に反応する筋膜の変形性能について調べた結果、これはあまりふさわしくない説明であるという結論に至りました。より適切な説明は、神経系に関連づけることです。神経系は、ボディワークによる新奇な知覚情報など、新たな知覚情報に反応する筋の緊張や動きのパターン、知覚、痛覚感受性を継続的に調節しています。 自分の受けた教育の大前提が正しくないというのは、もちろんちょっと残念なことです。しかし、良いニュースとしては、それらの治療で人を治すことができないという意味ではないということです。それとこれとはまったく別の問題です。私の心構えも同様でした。そう、筋膜に関してではないにしても、人を助けてあげられないということではないのです。 ただ多くのロルファーたちにとって、これは筋膜に関わることでなくてはならないのです。また、カイロプラクターにとっては、サブラクセーションでなければならなく、霊気家にとっては、エネルギーについてでなければなりません。その他の人たちにとっては、姿勢である必要があったり、コアストレングス、筋の不均等、動きのパターンであることもあります。 もちろん、“治療がどう効くかなんて気にしない。効果があることだけ知っていれば、理由なんてどうでもいいでしょう?”と言う人は多くいるでしょう。 あなたの治療がなぜ効くのかを知っておくべき理由が3つあります。 1. どのように効果があるのか知っていれば、もっと効果を上げることができます。 これは当然のことです。的が分かれば命中しやすくなります。 では、ストレッチやマッサージが筋を弛緩させることによって可動域を増やす効果があると仮定しましょう。(妥当な仮説ですね? そして、研究によって裏付けられています!)。 しかし、もしそれが癒着を強制的に剥がすとか、物理的に組織を伸ばすことによって効果があると思い込んでしまうと、クライアントがリラックスしているのかどうかという焦点を狂わせます。 私は、だれかを施術している時、いつもこう訊ねます“どう感じますか?”そうすると、筋膜だけが重要であると思っているクライアントからよく返ってくる反応は、“私がどう感じているかは心配いりません。かなりの痛みに耐えられるので、必要があればどんどんやってください”。 そして、独りで考えるのです:“そうではなく、あなたがどのように感じているか知る必要があります。なぜなら、それがこの施術の主な目的のひとつですから”。しかし、もし私の目的が筋膜や筋のコリを取り除くことであれば、きっと私は彼らがどう感じようと気にしないでしょうが、効果をあげることもできないでしょう。 2. 予期せぬ結果 首に痛みがある人がカイロプラクターを訪れたとしましょう。そこで、首が“ズレ”ていますから、ポキッとやって元に“戻し”ましょうと言われ、あっという間にすっかり良くなったとします。そこで、痛みが軽減したのはアライメント(配列)が整ったことによるものと思い込んでしまって何が悪いのでしょうか? 短期的に見れば、害を及ぼさないのかもしれませんが、長期的にとらえると、誤った思い込みがいずれは問題に発展し、悪影響を及ぼすかもしれません。 首の痛みが再発したとします。クライアントは、また首が“ズレ”てしまったに違いない、もう一度ポキッと戻さなくてはならないと思うでしょう。そうなると、そのクライアントはエクササイズや休息、動きに気をつけるなど、他の解決方法を見落としてしまいます。もし、その首の痛みが継続してしまったら、きっと自分の首はズレやすく不安定であると病的な思い込みを抱くようになるかもしれません。ノセボ効果にもなりえます―― より大きな痛みを起こし、健康的な動きさえも避けるようになります。 これに似た誤解を持つクライアントを多く見てきました。これは明らかに時間とお金を無駄にし、不安や混乱をかきたてます。 私は、カイロプラクターのクライアントについてだけ指摘しているのではありません。 いつでも常にストレッチをしているヨガ愛好者を見たことがあります;ピラテス愛好者はいつでも安定化エクササイズをし、コレクティブエクササイズ愛好者は筋の微細なアンバランスにこだわります。関節モビリティーの信奉者は、関節が常に滑液で満たされていなくてはいけないという思い、ひっきりなしにモビリゼーションをします。さもなければ、ほんの少し動かないだけでも筋膜、いわゆる“ケバケバ”がはびこって身体が固まってしまうと感じるのでしょう。サビは決して休むことがないのです! このような病的行動のすべては、過去に効果があった特定の療法がなぜ有効であったのかについて誤った思い込みをしていることがそもそもの原因であるようです。これらの思い込みは、神経系の感受性を一時的に調整することとは対照的に、“組織の問題”を完治したという考えに執着しているのです。 要するに肝心なことは、その思い込みがいくら小さくても、ウイルスのように増殖し、感染し、そして耐性のある害虫のように突然変異して、結果として発病することがあるということです。他の人にまん延させないしないようにしましょう! 3. 真実は重要 真実の実用的な適用は即座にはっきりとわかるものではありませんが、真実には本来の価値があります。知識は、私たちにとってもクライアントにとってもすべての社会において常に強い存在です。 人間が慢性痛を患う理由や、その最適な治療方法は、厳密にはまだ分かっていません。 その知識がまだはっきりとしていなくとも、もう学ぶ必要がないということではないのです。誤報や混乱を回避するために進む一歩一歩は、真実に近づく一歩なのです。 現実を受け止めましょう! 真実はよいことであり、無知は最低なことです。それを示す賢人の言葉があります。 "すべての悪は知識の欠如から起こる" -- David Deustch(デイヴィッド・ドイッチュ) “間違っているかもしれない答えを出すより、解らないまま生きて行く方がずっと興味深いと思う。” -- Richard Feynman(リチャード・ファインマン) "知らないことが問題をおこすのではありません。よく知っていると思ったことがそうでないときに問題が起きるのです。" -- Mark Twain(マーク・トウェイン) “真実はあなたを開放してくれますが、最初はイライラさせられるでしょう。” -- Joe Klaas(ジョー・クラース) 思慮深く、懐疑的で、エビデンスに導かれることを恐れない、私の投稿の読者と私のソーシヤルメディアコミュニティーのみなさんに感謝します。

トッド・ハーグローブ 3896字

Kaori’s Update #11 - ベアクロル

ベアーポジションとベアクロール。それぞれの目的とポジションのポイントをご紹介します。しっかりと体幹を安定させて行うのは予想外に難しいですよ。^_^

谷 佳織 6:38

動作に基づいたアプローチを用いる際に、私が犯した10個の間違い

1. 動く方法が一つしかないと考えること。 以前に私は、‘正しい’運動に関して魔法のような青写真を持っていましたが、事例に基づいた運動のデータに着目すればするほど、(今では退屈な趣味の一つですが)私達すべてが異なる動き方をするということを認識するようになりました。 運動に関する研究はしばしば、異なる対象者から得たデータや同じ対象者から得た同じ運動の多重反復を平均化してしまいます。これは、個体それぞれが一般的に非常に異なる運動をするということを隠し、特に周期運動中に、同一個体がある運動を反復する度に、異なる運動をするということをも隠してしまいます。Bernsteinは、これを“反復なき反復”として雄弁に述べています。 ほとんど実証されていないデータによる‘正しい’運動の理論的モデルは数多くありますが、それらはすべて正しいのでしょうか?何が‘正しい’のかに関する数多くの異なるモデルがあるということは、唯一の正しい方法など無いということを本質的に示しているのかもしれません。 異なる生体構造と異なる運動経験を持っているにもかかわらず、なぜ私達全てが同じ動きをすべきなのでしょうか?私の考えでは、私達がそうすべきで、そうするであろうと期待することは狂気の沙汰だと思います。 2. その一つの動く方法を定義してしまっている。 もしあなたが、誰かが十分な論理的根拠なしに‘最適’、‘標準的’、もしくは‘効率的’な運動を提案することに対してうれしく思うのであれば、もちろん、それはご自由に。かつて、それは私にとってうれしい事でしたが、今はそれほどではなく、これは信頼できる確かなデータという観点から、何を必要とするかによって決まるのかもしれません。 ソーシャルメディアで読んだ私の最近のお気に入りの一つは、“90%の人達は、Xを間違った方法で行っている”です(罪のある人を保護するために、そこに掲載されている内容は省略します)。もしこれが真実であったならば、その実験は恐らく間違っていたでしょう。ほとんどの人達がXをある特定の方法で行ったのであれば、恐らく、それはただ正常であるということです! 現代的な運動データや着想に基づいた運動理論は、厳しい基準に基づいたモデルというよりもむしろ、かなりの正常変動において‘最適’と考えられるものに関して、幅広いパラメーターを定義する傾向があります。 動作はしばしば、疲労時や痛みを伴う際に変化し、‘最適’を定義することをさらに困難にします。 3. 最適な’運動からの逸脱が痛みを引き起こすと考えること。 これも、しばしばうたわれているのを目にしますが、それを支持するデータはほとんどありません。‘’は、‘’を損傷することからの典型的な例です。これを示唆するデータがありますか?損傷が起きていることを示唆する炎症マーカーのような兆候はありますか?私は、特定の定義された‘マイクロムーブメント’は‘マイクロトラウマ’の尺度に関連していることを強調しているいかなる証拠をも進んで取り入れます。 もし私達が、身体が適合できるマクロムーブメントを持っているならば、なぜマイクロムーブメントがそんなに問題なのでしょうか? また、あなたはいったいどうやってそれを知るというのですか?私達はしばしば、人々の運動を痛みが発生した後にだけみる為、痛みが発生する前にどんな運動なのかはわからないのです。 4. 痛みは単一の運動障害に起因する。 可能性としては、そうではありません。私達は、想像できる最善の方法で動くことができるかもしれませんが、やりすぎるかもしれませんし、早過ぎるかもしれません。身体に加えられた外部負荷や速度は、‘誤った’運動から発生する内部負荷よりも一層重要かもしれません。それと同時に、その反対も当てはまるかもしれません。 痛みは多因子的なため、運動の‘問題’が人の痛みの唯一の原因であるというアイデアを否定しなければならないのです。 5. 望ましい結果を‘正しい’動き方を実現することで手に入れること。 あなたがこれまでにクライアントに対してしてきたことの詳細とは無関係で、気分が良くなるかもしれない多くの理由があります。 彼等はあなたのことを信頼しているから。 彼等はあなたのことが気に入っているから。 彼等はあなたに話を聞いてもらっていると感じているから。 彼等は関連のある手助けを得ているから。 彼等は単に動くようになったから。 彼等は耐えられる範囲で動いているから。 彼等は今までにない新しい入力を得ているから。 時間を費やしてきたから。 実際、それが何であれ、入力を変化させれば、痛みの出力に影響を及ぼすかもしれません。期待と状況もまた、人の経験を大きく変化させるかもしれません。 6. 体内で起こっていることを知っていると考えること。 ある人達は‘正しい’筋肉の発火パターンを得ること、またある人達は正しい関節運動学と姿勢を、私は正しい生体力学的反応を。もし誰かが向上したとすれば、それは私がそれらを変えたからです! 実際には、実験室設備無しに体内で何が起こっているのかを知る方法は無く、99%の人達は彼らの日常の労働環境の中で、実験室設備へのアクセスがありません。そのようなことを定義しようと試みることは、捉えどころのないことだと証明されていて、また、研究の際に、変化はしばしば望ましい結果とは関係がありません。 7. 動くことを理解しないことは、その動きよりもより重要かもしれない。 私達は本当に、人々の気分が良くなることが、彼等の運動の変化における実際の変化に起因すると考えることができるでしょうか?全員が変化の前と後での違いを計測しているでしょうか?私達の計測は本当に信頼性があるでしょうか?それが問題なのでしょうか? これは、少し‘強化’に似ています。私達はしばしば、人々が以前にどのくらい強かったか、いかなる治療効果が筋力における実際の変化に起因しているのかを知りません。それはただ、痛みが弱まるにつれて、人々は強さと動きを取り戻すだけなのかもしれません。 人々を動かせることは、実際に恒久的に運動出力を以前の疼痛レベルから変化させるというよりもむしろ、動くことにより脳に入力を提供し、抑制を減少させる、あるいは局部的な生理学的効果を作り出すということかもしれません。私達はただ知らないだけなのです。 そして、筋力や柔軟性の向上などを目的としたエクササイズとは無関係なエクササイズを用いることで腰痛が軽減したことを示唆する証拠があります。 8. 運動の問題を発見する必要性。 私は、問題を見つけられないと、俳優のStan Laurelのように、よく自分の頭を掻いていました。そして今、私は、特に誰かの運動がかなり良い場合に、運動‘テスト’が、プラス面を強調したり、以前の考えを打破するために使用されることもできると認識しています。 もし私の運動に‘欠陥’があり、更なる損害と痛みを引き起こすかもしれないと考えるならば、私はただ動かなくなるでしょうし、特に英知を理解していると思われる人がそう言うのであれば尚更です。これは、私の運動に対する許容範囲のレベルが落ちて、私自身が体調不良で傷つきやすくなるということを意味しているのかもしれません。Louis Giffordが私達に思い出させてくれるように、安心させることは強力な鎮痛剤であり、うまくいけば活動誘導剤にもなるのです。 “あなたは非常にうまく動いています。ただもう少しだけ行う必要があるかもしれません”というように、前向きに運動を捉えることは、人がどのように運動の行為と運動量を知覚することに多大な影響を与えるかもしれません。また、エクササイズに基づくパラダイムから活動に基づいたパラダイムへの移行は、特に人々がエクササイズに好ましくない関係性を持つ場合や、エクササイズを間違って行う可能性が更なる損害を引き起こす場合にも有益かもしれません。 9. 運動の心理的影響を無視すること。 これには大きな影響力があります! どのように私達が運動、あるいは特定の身体部位から動かすことを知覚するのかは、どのように私達がその運動を実現するのかという現実より重要かもしれません。特に、それが動くことを辞めることになるきっかけであったとすれば尚更!思い込みと実際の結果との間にある違いを強調することは、考えを変えるのに極めて重要で、もし私達が 運動経験を通して身体的にそうすることができるのであれば、さらにいっそう強力です。 人々が彼等の問題に対して運動/動くこと/エクササイズの関連性を理解する手助けをすることはまた、実際に彼等にそれを実行させる大きな手助けにもなりますし、もしこれがあなたの運動における介入の大部分ならば、更なる身体的影響から恩恵を受けるでしょう。 10. 運動トレーニングは、厳格で‘正しい’必要がある。 誰かの運動のマイクロマネジメントを通して、適切なフォームを獲得すること、あるいは適切な組織や構造をターゲットとすることはしばしば、‘動き’に焦点を合わせたものに必要不可欠な要素です。 私のこれまでの9個の間違いに注目すれば、動きを用いること、特に治療的に用いるには、変化に富んでいて、楽しいもので、いくらか関連性があるべきだと理解させてくれることでしょう。

ベン・コーマック 3959字

ロウイングでありがちな8つの間違い

ロウイングパターンで、よくありがちな間違いのパターンを、注意すべき8つのポイントに分けてエリック・クレッシィが解説します。

エリック・クレッシー 7:29

健康のための最高のエクササイズ?

手などを使わずに、床から立ち上がってくることができる能力を維持しているほど、余命の予測年数が長くなる、というリサーチに基づいた、より効果的に立ち上がるためのDVRTドリルをご紹介します。

ジョシュ・ヘンキン 2:00

手の皮膚の神経支配

手の皮膚の神経支配は、大変複雑で混乱してしまいがちなものです。ドクター・ドゥーリーが、手袋を嵌めた手にペンで書き込むことで、この複雑なシステムを解説するビデオを是非ごらんください。

キャシー・ドゥリー 7:35