スクワットパターンの修得に役立つエクササイズ

このたび発生しました熊本県と大分県を中心とした地震災害につきまして、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。 また亡くなられた方々のご冥福をお祈り致します。 皆様の安全と被災地の一日でも早い復旧をお祈り申し上げます。 今回はトレーニングを開始した初期の頃、特に導入段階でスクワットパターンの修得に役立つエクササイズを取り上げます。 私は数年前に参加したセミナーでNBA Minnesota Timberwolvesの佐藤晃一さんからこのエクササイズを教えて頂き、それ以来現場で活用しています。セミナーではスクワット動作に対する「Active Loading」という表現を使われていました。スクワット(トリプルフレクション)パターンを引き出すのに非常に有効だと感じています。 【実施方法】 ①ケーブルマシンの前にスクワットスタンスで立ち、ハンドルを胸の前に引き付ける。 ②股関節、膝関節、足関節を屈曲し、スクワットのボトムポジションまで下げていく。 ③ゆっくりとスタートポジションに戻る。 ・ケーブルの負荷に抵抗してスクワットを行うことで、下肢のトリプルフレクションを促進していきます。 ・問題なければ動作範囲を徐々に広げていきます。 ・動画ではケーブルマシンを使っていますが、チューブやバンドを高い場所に固定することで十分に代用できます。私も現場ではバンドを多く利用します。 このエクササイズでスクワット(トリプルフレクション)パターンを学んだ後に、下記のようにプログレッションしていきます。 1. 自体重でのスクワット(ボックスやベンチ等を利用してボトムポジションから) 2. 自体重でのスクワット 3. ゴブレットスクワット 4. フロントスクワット 5. バックスクワット このエクササイズによってスクワット(トリプルフレクション)動作をどのように実行するかという認知を促進できるのではないかと思います。私の経験ではトレーニング歴がない選手でもスクワット習得にかかる時間を短縮できています。 トレーニング初心者のウォームアップやコレクティブエクササイズとしても活用できるかと思います。 ぜひお試しください。

緒方 博紀 947字

Kaori’s Update #10 - 裸足でのトレーニング

シューズを履いた状態では同様に得ることのできない、固有受容器への情報供給や足部の内在筋の活動の促進を、段階的に進めていく方法に関するアイデアをご紹介します。

谷 佳織 6:07

『ニュートラル』とは何を意味するのか?その①

ニュートラルとは何を意味するのか?:  その①:ニュートラルはハードウェア?ソフトウェア? こんにちは!宮崎産アスレティックトレーナーの近藤拓人です。 運動指導に携わる皆様でしたら、度々『ニュートラル』という言葉を耳にするかと思います。 もし誰かに“『ニュートラル』とはどんな状態ですか?”と質問された時、皆様はどのような答えをお持ちでしょうか。 現在『ニュートラル』の明確な定義は決められていない為、運動指導者それぞれのバックグラウンドによって意見が分かれるところかと思います。 今回の記事では『ニュートラルとは何を意味するのか?』に関する私なりの考えを示したいと思いますので宜しければ参考までにお読みください。 ①ニュートラル(ニュートラリティー)とはソフトウェアである チェコのウラディミール・ヤンダ医師の残した言葉の中で、『ハードウェア』と『ソフトウェア』があります。 先ず、『ハードウェア』とは構造を指します。 例えば骨、筋肉、筋膜、関節包、椎間板、内臓などがそれに当たります。 腿裏(ハムストリング)に損傷がある場合(ハードウェアに問題を抱えている場合)、この損傷、または損傷による痛みが歩行/走行パターンを変えてしまいます。 これは、『構造』が『機能』を変化させる例です。 一方で、『ソフトウェア』とは機能を指します。 例えば、運動パターンや呼吸パターンがそれに当たります。 近年よく耳にする、“スマートフォンネック”ですが、これは携帯電話を長時間、習慣的に頭部前突姿勢で使用する事に起因する頚椎カーブの変形を指すかと思います。 これは、『機能』が『構造』を変化させる例です。 ※ちなみに私は最近パソコンやスマートフォンを操作する時専用のメガネを処方して貰ったのですが、これがとても調子が良く頸部の緊張や目の疲れが減少しました。ただし、寝ながら長時間スマートフォンを操作することが可能になった為今度は肘が痛くなりました(笑) つまり機能の変化により、スマホネック男→スマホ肘男にトランスフォームしたのですが、この様に機能改善に伴い新たな問題を発生させる例もあるかもしれませんね! 話が逸れました。 では身体の本質を『ハードウェア』と『ソフトウェア』に分けた場合、『ニュートラル』はそのどちらでしょうか? 私はジッちゃんの名にかけて『ソフトウェア』だと考えております。 よく、『骨盤をニュートラルに』という表現がありますが、この表現は骨盤の『位置』を示しており『機能』ではありません。 ※一般的に骨盤ニュートラルとは前傾と後傾の間の中間位を指すことが多いのではないでしょうか。これはニュートラルを『関節の位置』すなわち『構造』として見た場合の表現かと考えております。 私は、骨盤が中間位にあったとしても、その骨盤の位置を自由に操作することが出来ないのであれば、それは『ニュートラル』ではないと考えております。 例えば立位での姿勢は完璧でも、しゃがみこむ事が出来ない(骨盤後傾位をとれない)、または腰を反る事が出来ない(骨盤前傾位をとれない)クライアントはニュートラルを保持してるとは言いません。 『中間位でスタック(はまってしまって)して、そこから動けない状態』とでも表現したほうが良いかもしれません。 このクライアントは、安静時姿勢は完璧に見えても動作においては問題を抱える可能性が高いと思われます。 この例では、【しゃがみこむ事が出来て、腰を最大限に反る動きも出来て、普段は骨盤が中間位にある(前傾後掲どちらも動ける準備が出来ている)】能力の獲得を目指します。 骨盤帯においてはこの、前傾後傾どちらにもイケるぜ?という能力=機能(ソフトウェア)の事を『ニュートラル』だと考えております。 他の部位においても同じ様な考えを持つことが出来ます。 例えば肩の前突姿勢(一般的な表現で、猫背とします)のクライアントに対して、『肩を後ろに引きつけて、肩が耳の真下にある綺麗な姿勢』を保つ様に指導したとします。 もし、クライアントがその姿勢を保つ為にどこかの筋を過剰に緊張させる必要があった場合、首痛や背中痛など他の問題を引き起こすかも知れません。 これは一見綺麗な姿勢に見えても、『ニュートラル』を獲得していない為に起こる問題ではないでしょうか。 このケースにおいては、『肩の前突&リトラクション(肩を後ろに引きつける動作)の能力を獲得して、更に安静時姿勢においては無理な緊張をせずに肩が中間位にある』能力を獲得する指導をする必要があります。 以上がニュートラルの定義その①:ニュートラルとはソフトウェアである、です。 細かすぎるお話に思われるかも知れませんが、ニュートラル(ニュートラリティー)の本質を定義することで運動指導がより効果的になるかも知れません。 皆様のお考えもお聞かせいただけると光栄です。 次回は呼吸のニュートラルについて考察いたします! ありがとうございました。 近藤拓人

近藤 拓人 2169字

仰臥位90/90の呼吸ドリル

仰臥位で踵を椅子やボールの上に置き、股関節も膝も90度に屈曲したポジションでの、呼吸のドリルで腹腔内圧を高めるために効果的なキューイングをドクタードゥーリーがシェアします。ぜひお試しください。

キャシー・ドゥリー 4:48

Zone of Appositionって何?

前回まで3か月にわたり風船の膨らませ方について説明してきました。みなさん、風船膨らましてますか?もうビロビロに伸びきってしまっている人もいるかもしれません。そして前回の最後の部分で、風船を使うことで「呼吸を整えて、ZOA(Zone of Apposition)を確立するべきなのです」と述べました。今回はZOAとは何なのか?なぜ重要なのかという事について書いていきたいと思います。 ZOAというとPRIというイメージがありますが、そんなことはなく元々あるコンセプトなんです。古くは1988年に発表されたDeTroyerの文献(1)にもある位で、The Area of Apposition of Diaphragmという言葉でいうと1979年にはMead(2)によって発表されています。ただ、PRIによってZOAという言葉に再び注目が集まっているのは確かでしょう。 まずは和訳から。Zoneはゾーンですよね。和訳になってませんね笑。地域、区域、地帯、または区画などあるエリアの区分を意味することが多いです。まずZOAとは体の中のあるエリア・区分を意味するという事が分かってきます。さらにAppositionというのは、並置、並列、対置などと訳されています。つまり向かい合って並んでいる状態のものを指します。英語では似たような言葉でoppositionという言葉がありますが、これは反対、対立、対峙などと訳されますよね。またこの二つの言葉にはpositionという言葉が入っており、それにapをくっつけると並んだポジションの、となり、opを付けると反対のポジションの、となるわけです。 そうするとZone of Appositionとは身体のある部分で、どうやら何かが並列のポジションにある部分を指しているという事がわかってきます。皆さんお察しかと思いますが、これは呼吸に関するお話ですからもちろん身体の呼吸に関する部分でという事もわかりますね。 では、何が並列のポジションになっているかというと、やはり横隔膜です。厳密にいえば前と後ろで完全に平行になっているわけではありませんが、横隔膜が並置されているエリアをZone of Appositionといいます。横隔膜は身体の後ろ側で言うと、腰椎1-3番の椎体前部に付着しており、そこから上に向かって腱中心というところに集まります。また身体の前側で言うと、胸骨下部、剣状突起や下6つの肋骨の内側の縁から上に向かって腱中心に集まっていきます。横から横隔膜を見ると、ちょうど前と後ろから弧を描くように真ん中の腱中心に向かっていて、ドームを形成しているのがわかります。腱中心は横隔膜のドームの天井の部分だと考えてください。 横隔膜のドームが想像できますでしょうか?身体を横から見た図で想像するとわかりやすいですよね。そして想像した横隔膜のドームを前から見てみましょう。そうすると前(剣状突起や下6つの肋骨など)から上に伸びた横隔膜と後ろ(腰椎前部)から上に伸びた横隔膜は被っていることがわかります。そう、この前後で被っているエリアがZone of Appositionなのです! 解剖学的にはZOAをなんとなく理解できて来たかとは思いますが、なんとなくイメージがわきませんよね?それでは今度は実際にZOAを体感してみましょう。ZOAがどこから始まっているか、上の部分は簡単に体感できます。 人差し指と中指で胸骨をタップしてみてください。最初は胸鎖関節の横ぐらいからタップしていきます。そして徐々にタップする位置を下げていきます。どんな音がしますか?トン、トン、トンと軽い音がしませんか?何かに響くような、空気感がある、反響しているような音がします。しかし、徐々にタップする位置を下げていくと、ドン、ドン、ドンといった音に変わっていきます。反響せず直接何かをたたいているような重い音に変わります。そしてこの音の変わり目がZOAの上の部分となります。実はZOAを自分で見つけることができるとわかったとき、とても嬉しかったのですが、だれでも簡単に見つけることができるのです! ZOAの上の部分は当然、腱中心の一番高い部分ですよね。つまりそこから上には肺があるので空気がたくさん入っています。ですから腱中心の上の部分をタップした際にはトン、トン、トンと空気が振動するような軽い音が聞こえるのです。逆にZOAに入ると下の部分では横隔膜に囲まれた内臓たちがいますから、空気が入っておらず詰まっています。ですからこの部分をタップするとドン、ドン、ドンと重い音がするわけです。 ではZOAの下の部分はどこまで何でしょうか?単純に剣状突起といいたいところですが、横隔膜は肋骨下部の内側にも付着していますから、剣状突起から少し下、肋骨縁と呼ばれる肋軟骨(Costal Margin)が交わる部分と言われています。または横隔膜角(Phrenic Angle)と呼ばれる横隔膜と肋骨が交わる部分より少し上の部分とも言われています。横隔膜角に関しては肺のレントゲン画像を見る際に、ちょうど横の部分で肋骨が横隔膜と交わる部分をイメージすると理解できます。 通常ZOAは正面から身体を見た場合、胸郭の4分の1から3分の1を占めていると言われています。思ったより大きなエリアがZOAとしてあるのがわかります。そして当然、息を吸った場合、これがゼロになります。息を吸う際は横隔膜が緊張し、収縮するのでドームが下がってくるからです。 しかし、ZOAがうまく確保できているケースはいいのですが、ZOAを確保出来ていない人は沢山います。もし横隔膜の前の付着部がある下6つの肋骨が前方に開いてしまっている場合(外旋)、当然横隔膜は引っ張られてドーム状の弧を維持するのが難しくなります。正面から見たら並置されているエリアが少なくなり、もしくは胸骨をタップしていった際に胸骨の下の方でやっと音が変わる、という事を確認できるかもしれません。こういった場合、つまりZOAを確保できていない状態は、すでに横隔膜が緊張している状態にある、伸ばされている状態にある為、横隔膜をここからさらに下げて息を吸うことは難しくなります。息が吸えなければ死んでしまいますから、副呼吸筋を使ってなんとか肺に空気を入れていくことになるのです。 Zone of Appositionについて、今まで以上にイメージすることは出来たでしょうか?身体の中身を想像することは難しいですが、胸骨をタップすることでわかると実際に体感出来てイメージがわきやすかったのではないでしょうか?皆さんも是非試してみてくださいね! (1)DeTroyer A, Estenne M: Functional anatomy of the respiratory muscles. Clin Chest Med 9:2, 1988. (2)Jere Mead "Functional Significance of the Area of Apposition of Diaphragm to Rib Cage", American Review of Respiratory Disease, Vol. 119, No. 2P2 (1979), pp. 31-32.

大貫 崇 3044字

肘/手首のアクティブROM 張力可動域評価

肘と手首の組織の閾値の評価方法に関して、自宅でのメンテナンスプログラムの処方や、手首周辺組織の健康と関節炎予防のためにできることに関して、レニー・パラチーノがシェアをします。

レニー・パラシーノ 9:01

コンプレッション衣料の筋力測定値への影響

目的 この記事は、エクササイズ後の回復期間における、コンプレッション衣料の筋力測定値への影響に関する研究を要約している。 筋力への影響 序論 少数の研究が、異なるタイプのエクササイズセッション後における、筋力回復に対するコンプレッション衣料の影響を評価している。これらの研究は、ストレングストレーニングを行っている、または行っていない男女において、筋損傷、レジスタンストレーニング、プライオメトリックトレーニング、定常および間欠的有酸素運動後のコンプレッション衣料の影響を調査している。筋力は様々な方法での測定が可能である。入手可能な研究において筋力は、特定のエクササイズの際に持ち上げられた最大負荷(1RM)、最大随意等尺性収縮(MVIC)の際に適用された最大力量もしくはトルク、また定められた動作速度(等速性)において適用された最大力もしくは最大トルクにより測定されている。回復の際にコンプレッション衣料を使用した個人において、筋力がより優れていたかどうかを調査するため、筋力の測定値は、エクササイズ後最短で1時間、そして最長で5日間にわたり評価されている。 エキセントリックトレーニング後の筋力 選択基準 集団 – 誰でも 介入 – 一時的な筋損傷を引き起こすための、高負荷から最大負荷までのエキセントリック負荷に注目したエクササイズセッションであれば何でも 比較 – コンプレッション衣料の使用と、コンプレッション無し、もしくは冷水浴などの他の回復介入 結果 – 1RMやMVICのような、筋力もしくはトルク生成の測定値であれば何でも 結果 以下の研究が確認された:カーリングおよびその他(1995年)、クレーマーおよびその他(2001年)、クレーマーおよびその他(2001年b)、ペリーおよびその他(2008年)。 発見 コンプレッション衣料を着用することは、エキセントリックエクササイズ後48-96時間の間の筋力低下を軽減し、筋力の基準値への回復速度を助長する可能性があるようである。 4つの研究が、コンプレッション衣料の、エキセントリック損傷後の筋力への影響を評価している。これらの研究における被験者たちは、ストレングストレーニングを行っていない男性(クレーマーおよびその他、2001年、ペリーおよびその他、2008年)、ストレングストレーニングを行っていない女性(クレーマーおよびその他、2001年b)、そして男女大学生(カーリングおよびその他1995年)であった。3つの研究は上肢を評価しており、1つの研究(ペリーおよびその他、2008年)は下肢を評価した。コンプレッション衣料は、 エクササイズ後48時間以内、そしてほとんどの場合72時間に至るまでは(クレーマーおよびその他、2001年、ペリーおよびその他、2008年)筋力維持の助けにはならなかったようである。有益な軽減を報告した3つの研究において筋力は、MVIC、電気刺激(力を適用するための筋肉の内在的能力の測定値)、および等速性最大アーム屈曲トルク(1秒間に60度)により評価されており、実験群において筋力の低下が軽減されたようである。 要約 コンプレッション衣料は、エキセントリック筋損傷後の筋力の低下を軽減する助けとなり、また筋力の基準値への回復を促進する可能性がある。 レジスタンストレーニング後の筋力 選択基準 集団 – 誰でも 介入 – レジスタンスエクササイズセッションであれば何でも 比較 – コンプレッション衣料の使用と、衣料無し、もしくは冷水浴などの他の回復介入 結果 – 1RMやMVICのような、筋力もしくはトルク生成の測定値であれば何でも 結果 以下の研究が確認された:後藤およびその他(2014年)、フレンチおよびその他、(2008年) 発見 コンプレッション衣料の、レジスタンストレーニング後における筋力回復への影響を評価している研究はわずかしかない。コンプレッション衣料は、エクササイズ後3 - 24時間の間のベンチプレスにおいて、最大等速性筋力を向上させたようであり、そのうち3 - 8時間の間に最大の向上がみられていた。一方、膝伸筋の最大の向上は、24時間後であったようである。しかし、48 - 72時間の間にバックスクワットにより測定した場合、コンプレッション衣料が全身の筋力の低下を軽減するかどうかは明確ではない。 2つの研究が、コンプレッション衣料とコントロールグループを比較し、回復時における、レジスタンストレーニング後の筋力測定値を評価している。両方の研究は、ストレングストレーニングを行っている男性において行われた。コンプレッション衣料は、ロングタイツ(フレンチおよびその他、2008年)もしくは全身用ボディスーツ(後藤およびその他、2014年)のどちらかであった。フレンチおよびその他(2008年)は、バックスクワット強度(5RM)における差違を発見していないが、後藤およびその他(2014年)は、レジスタンストレーニング後における、下半身上半身両方の筋力低下(等速性 1RM)の有意な軽減を発見している。しかし後藤およびその他(2014年)は、5RMのバックスクワットエクササイズに比較して、筋肉の力生成能力をより良く反映する可能性のある、等尺性膝伸展および等速性チェストプレスエクササイズの際の筋力を評価している。さらに、コンプレッション着用者におけるレジスタンストレーニング後のより優れた筋力測定値は、チェストプレスでは3 - 8時間の間に、またレッグエクステンションではエクササイズ後24時間の時点において示されていた。それ以降の時点における測定はされていなかった。ゆえに両方の研究は異なる時点における筋力を評価していた。 要約 筋力は、行われたエクササイズのタイプに応じ、主に回復初期段階(3 - 24時間)において、コンプレッション衣料を着用することにより、エクササイズ後より良く維持される可能性がある。 プライオメトリックス後の筋力 選択基準 集団 – 誰でも 介入 – 主にジャンプ、ホップ、もしくはドロップランディングから成るセッションであれば何でも 比較 – コンプレッション衣料の使用と、衣料無し、もしくは冷水浴などの他の回復介入 結果 – 1RMやMVICのような、筋力もしくはトルク生成の測定値であれば何でも 結果 以下の研究が確認された:ダフィールドおよびその他(2010年)ジェイクマンおよびその他(2010年)、ジェイクマンおよびその他(2010年b)。 発見 コンプレッション衣料は、男女両方において、ドロップジャンプのような激しいプライオメトリックエクササイズ後、12から72時間の間に動的膝伸筋力により測定された筋力の回復に有益な効果を持つ可能性がある。 3つの研究が、プライオメトリックス後の筋力回復に対するコンプレッション衣料の影響を評価している。全ての研究は、市販のロング丈コンプレッションタイツを使用し、24時間の時点(ダフィールドおよびその他2010年)および1 - 96時間の間(ジェイクマンおよびその他2010年、2010年b)の筋力を評価している。筋力は、等速性膝伸筋(ジェイクマンおよびその他2010年、2010年b)、そして等尺性膝伸展および屈曲(ダフィールドおよびその他、2010年)により評価された。2つの研究は、コンプレッション衣料(ロング丈タイツ)の着用は、コントロール被験者と比較し、プライオメトリックス後の筋力低下の有意な軽減を示しており、それが12 - 72時間の間継続していたということを発見している。ダフィールドおよびその他(2010年)は、エクササイズ後24時間の時点において、コンプレッションを着用した等尺性伸展もしくは屈曲強度に差違はなかったと報告している。しかしダフィールドおよびその他(2010年)はまた、基準値と比較した際の筋損傷マーカーの上昇を報告しておらず、エクササイズの量や強度が、筋損傷を引き起こすレベルに十分ではなかったと示唆している可能性がある。対照的に、クレアチンキナーゼはその他2つの研究において有意に増加していた。 要約 コンプレッション衣料は、ドロップジャンプのような激しいプライオメトリックエクササイズ後の筋力回復へ有益な影響があるかもしれない。 有酸素運動後の筋力 選択基準 集団 – 誰でも 介入 – 有酸素運動セッションが述べられている研究であれば何でも 比較 – コンプレッション衣料の使用と、衣料無し、もしくは冷水浴などの他の回復介入 結果 – 1RMやMVICのような、筋力もしくはトルク生成の測定値であれば何でも 結果 以下の研究が確認された:ヒルおよびその他(2014年)、ビェウゼンおよびその他(2014年)。 発見 エクササイズ後72時間以内に測定した場合、コンプレッション衣料がマラソン後の筋力低下を軽減するかどうかは明確ではないが、中程度量のセッション後24時間の時点で測定された場合、持久系エクササイズ後の筋力の回復はより優れているようである。 2つの研究が、急性の筋力低下を軽減することにおける、持久系トレーニング後のコンプレッションの使用を評価している。研究は、マラソン(ヒルおよびその他2014年)、および総合で15.6kmである登り下りのトレイルランニング(ビェウゼンおよびその他、2014年)を評価している。被験者は女性(ヒルおよびその他、2014年)および高度にトレーニングされている男性ランナー(ビェウゼンおよびその他、2015年)であった。1つの研究のみがロング丈コンプレッションタイツを評価しており(ヒルおよびその他、2014年)、ビェウゼンおよびその他(2014年)は、膝丈コンプレッションストッキングを評価していた。トレイルランニング後24時間の時点で測定された際、筋力はコンプレッション衣料により維持されていたが、マラソン後24,48、72時間の時点、もしくはトレイルランニング後48時間の時点においては、コンプレッション着用被験者とコントロール被験者の間に差違はなかった。 要約 コンプレッション衣料は、中程度量の持久性エクササイズ後の筋力低下をわずかに軽減する。 記事の結論 コンプレッション衣料は、エキセントリック損傷、レジスタンストレーニング、およびプライオメトリックスエクササイズ後の筋力低下を軽減するようであるが、持久系トレーニング後に有益であるかどうかは明確ではない。 コンプレッション衣料を使用した際、エクササイズ後48 - 72時間の間におけるエキセントリック筋損傷後の筋力低下は軽減され、また、それらは筋力が基準値まで回復する速度を早める。 コンプレッション衣料は、エクササイズ後3 - 24時間の間におけるベンチプレスの最大等速性筋力を向上する。最も著しい向上は3 - 8時間の間に起こり、膝伸展筋力のより優れた維持は24時間後に見られる。 激しいプライオメトリックエクササイズ後の膝伸筋の筋力低下は、コンプレッション衣料を使用した際、男女両方において、エクササイズ後12 - 72時間の間に軽減される。 エクササイズ後24時間の時点で測定した際、(全てではないが)ある種の持久系エクササイズ後における筋力は、コンプレッション衣料を使用した際により優れている。

ストレングス・コンディショニング・リサーチ 4822字

ザ・ベア

フィットネスプロを対象としたセミナーを指導する際によく、腰部を丸めるコンセプトに関しての質問を受けます。残念なことに私たちの多くは、腰椎屈曲をとても恐れて、何らかのプラスの要素がある場合であったとしても、決して実行することがないようです。腰椎屈曲には、下記のようなルールがあります。 繰り返し行わない(シットアップのように) 負荷をかけて行わない(腰部を丸めたデッドリフトのように) 腰椎が少し屈曲したり、骨盤を後傾したりすることで、椎間板がヘルニア化することはありません。実際、腰椎や骨盤のコントロールをよくすることができれば、伸展ポジションから自由になって腰部を楽にすることもできるのです。伸展ポジションでロックされていると潰されてしまう、椎間板と関節面への圧を緩和します。 結論を言えば、このポジションでのドリルは、前に進むのにかなりの効果を提供してくれるのです。これは私がコアの安定のためのエクササイズとして”ベア”を指導するのが大好きな理由の一つです。 ザ・ベア このドリルでリーチング(前鋸筋動員、より良い肋骨の位置)の効果を得ると共に、下腹部の筋群もかなり働きます。下腹部にこだわるのはなぜだろう?と不思議に思っているかもしれませんね。私の指導しているクライアントやアスリート全てに対して、腰椎、骨盤、股関節の安定性とコントロールを高めることを試みています。骨盤に付着している部分が大きい下部腹筋群(内腹斜筋と腹横筋)は、このためにとても重要な役割をします。シンプルに、骨盤をコントロールしたいのであれば(そして腰椎と股関節のコントロール)下部腹筋の強さを必要とします。何はともあれ、一日中ドローインをすることは、問題解決にはなりません。内腹斜筋あるいは腹横筋を起動させる最良の方法は、まず息を吐くことでポジションをセットすることから始めることです。 ベアを行うためには、四つ這いのポジションでセットアップし、上背部を長くリーチするようにします。脊柱を少し丸めて骨盤を身体の下に引き込むようにします。このポジションから、膝を1インチ( 3センチ)持ち上げるようにして、プランクを行う時にようにある程度の時間ホールドするようにします。

マイク・ロバートソン 4:07

円回内筋の触診

手根管症候群と誤診されがちな円回内筋症候群の見極め方と、触診の方法をドクター・ドゥーリーがわかりやすく解説します。

キャシー・ドゥリー 4:20

自己制御式エクササイズの価値

著書である“ムーブメント”では、自己制御式エクササイズとは何か、そしてこのタイプのトレーニングがいかに私達の弱点や欠点を暴くかを説明していますが、昨今のフィットネスやスポーツ文化において、どのようにこの専門技術を、患者やアスリート達に浸透させればよいのでしょうか? ケトルベル運動の1つである、ターキッシュゲットアップにまつわる話から始めましょう。 遠い遠い昔、ストレングスの学校に行ったとすれば、そこには、とてつもなく強靭な人達が集まっていたことでしょう−高重量の物を持ち上げて、あなたは、”先生、どうか重い物の挙げ方を教えて下さい”と尋ねます。そこで教わるのは、ターキッシュゲットアップでしょう。 あなたがターキッシュゲットアップで、左右共にかなりの高重量を扱えるまで、彼らは何も教えてくれないでしょう。そして “片側で重い負荷を持ち上げて立ち上がることができ、向きを変えて逆側でも持ち上げて立ち上がることができれば、私達の所へ戻ってきなさい。超高重量の持ち上げ方を教えよう”と言うでしょう。 言い換えれば、”モビリティ、スタビリティと左右対称性をしっかりと備えなさい。キャリーが習得でき、適切な柔軟性を獲得できれば、強くなることを助けてあげましょう。なぜなら作業の90%はそれで完結するからです。私たちはただ、あなたが数年かけて自分で覚えるテクニックをいくつか見せるだけです。”これが教育というものなのです−あなたが私達の話に耳を傾け、そして実行した試してみた時により良い方法を教えることなのです。 こういった昔話には、人生の教訓が詰まっています。映画””ベストキッド”を思い出してください(どの作品でも大丈夫)。あなたはただやみくもに壁を塗っているわけでも、車のワックスをかけているわけでも、庭に砂を撒いているわけでもありません。動きのパターンを学んでいるのです。これらのパターンを、後に攻守一体となった闘争的な動きに役立たせる為に使うのです。 この比喩表現が理解できない患者さんもいるでしょう;現実においては厳しくしなくてはいけないこともありますし、次のレベルに進むのを制限しなければいけないこともあります。プログレッションは潜在的リスクを背負うこともありえ、かなりの規模で適合能力に欠けてしまうこともあるでしょう。 能力に制限があると、次のレベルに適応することは難しくなります。ですから次のレベルで受けるストレスや要求される複雑性、能力へのアクセスを制限するのです。そのレベルは統計的に見ても適応には向いていません。今のレベルでやるべきことがいくらでもあるのですから。 自転車の補助輪はあなたをより良いサイクリストにしてくれるわけではありません。とも言えます。ただ単に、トレーニング量を増やし、自信をつける段階で怪我をしないようにしてくれるだけです。補助輪は、あなたの自転車に乗る能力を修正してはくれません。一つのレベルであなたを怪我から守るのです。補助輪を取り除くまで自転車の乗り方は覚えられません。なぜなら補助輪がある限りバランスは重要ではないからです。 一般的な西洋的メンタリティーを考えてみてください。私達はバランスよりも前方に推進することを重んじます。前方推進力は大切です。いかにバランスを保つかなわけですが、もしバランスをとらずに前に進もうとすれば、きっとうまくいかずに何度か転ぶでしょう。私たちは、そうやって学んでいくのです。 アリストテレスは、”痛みなくして学び無し”と説いています。自分の子供達のために環境を設定する時、アクシデントは起こるものです。私達はアクシデントの度合いをコントロールできますし、学びの度合いもコントロールできるのです。 私はよく、沢山の高齢者が片脚バランスの取り方を学ぶ為に、この “ストーク”トレーニングを行っているのを目にします。床から 1.5cmから3センチの高さの小さなバランスビームを置いて、スキーのスティックやステッキ、杖のような物を使って歩かせることもできます。5mを歩き終わったら、ピボットして向きを変えて、スティックを床に置くように指示するでしょう。彼らは完璧なフィードバック・ループを持っています。”何回バランスを失ったか?”と聞けば、彼らは正確に何回か答えるはずです。 成功と失敗は表裏一体であり、これこそ脳が求める学習法なのです。 私達は能力というものをはっきりと定義づけ、セラピストと患者が互いにこの能力に同意したときに、自己制御ドリルを設定するのです。もし患者がセラピストのコレクティブエクササイズでフィードバックを得られなければ、それは評価の一部となります。もしあなたが出したホームエクササイズで患者がフィードバックループを得られなければ、ただ紙一面に書かれた数字、セット数、回数を渡しているだけ担ってしまいます。それでは人を動かすことはできません。 計画的なトレーニングの状況で、人を動かすことができるのです。計画的トレーニングは自己制御エクササイズです。行き当たりばったりではいけません。しっかりとした目標に向かって球を打つのです;いつ的を打つのか、またいつ的を打たないのかを認識しなければなりません。計画的トレーニングの本でお薦めの2冊は:ザ・タレント・コードとタレント・イズ・オーバーレーティッドです。 もしあなたが愛する家族の為にトレーニングメニューを作るのであれば、セラピーにおける多くのエクササイズプログラムがこういった形で作られるでしょう。ですから誰に対しても大切な家族として扱うというのが私からのアドバイスです。感覚に富んだ環境、ゆっくりと確実なプログレッション、独立的で持続的であれは全てうまくいくことでしょう。私があなたの母親を自分の母親のように接し、もしあなたも同じように接するのであれば全てがうまく行きます。 そこには、我々が理解すべき倫理と同意すべき基準があります。もしあなたが倫理的にその基準を保持しないのであれば、職業があなたに対して対応するでしょう(もしくは生活、社会または商業的なものが対応するでしょう)。あなたは容認可能な仕事のレベルを最低限に落とすこともできますし、自分で基準を引き上げて、コミュニティーがそれを受け入れるのを見ることもできます。 私は交渉を避けるために、これらの自己制御エクササイズを使っています。人は交渉に持ち込むことを好むのです(あなたが自分のダイエットプランを作成する人とバトルすることを想像して下さい)。これは出来る?あれはどう?両方出来ますか? ムーブメントにおける我々の第2の原則は “修正する前に保護し、発達させる前に修正する”ことです。あなたを守らなければならない。何よりまずあなたを私とその環境から守らなければいけません。次に、何が正しくて何が悪いのかを理解する必要があります。なぜならあなたは、実際にできないスクワットや取れないバランスをできると思い込んでいるからです。 あなたは地域歩行者で、片脚立ちでは10秒以下だとします。地域を歩き回ることが可能であり、実際練習においては歩けるので地域歩行者であると思っています。しかしあなたはとても高いリスクを背負っているのです−あなたが転ばないことに賭けることはないでしょう。これが私達のやり方なのです−率直な会話。強硬派です。 生命兆候が我々に与えてくれるものは、これなのです。視覚検査においては強硬でなければなりません。正常の視覚から離れているときに何をするのか、私達は知っています。動作が受け入れ可能な生命兆候や標準から程遠い場合、何をすべきかをはっきりと理解する必要があります。もしコンプライアンスに問題がある場合は、単にさらなる話し合いの場を持つか、あるいは患者を解雇します。シンプルなことです。 多くの人が笑い飛ばすでしょうが、私達がセラピーやコーチング、そしてトレーニングですることの多くは、単に理にかなったアドバイスです。どこかのポイントでそのアドバイスが受け入れられなかった場合、特にそれが患者にとってのリスクになる場合、あなたのアドバイスに価値を見出さなかった患者との関わりを持つのを望まないということを表明することは重要です。 それでは、私は誰かを首にする必要があったでしょうか?ありません。以下のような話し合いを持つだけです。 “もちろんあなたを好きなようにさせてくれるドクターは沢山いますが、あなたはここに来るまでに自分の好きなようにやってうまくいかなかった。ですからここは私に任せて下さい。何をどうやって変えるのかをお見せします。変化がなければ正直に伝えますし、またその変化をどうやって計測することができるかもお見せします。” “私達はただあなたの症状を計測しているわけではありません。症状に加えてあなたの機能を計測して、機能と症状は関連性を持っていることを表明しようとしています。なぜなら症状がムーブメントや機能との関連性を持たなければ、ムーブメントベースのセラピストがあなたに適しているかどうかもわからなくなってしまいます。もし私があなたの症状にムーブメントの要素が関わっていることが証明できなければ、他の専門家への照会を考え始めなければならないでしょう。”

ファンクショナルムーブメントシステムズ 3867字

ドロップ・スクワット

皆さまのゴールデンウィークいかがだったでしょうか?Craig LiebensonのPS2ADも開催されましたね。参加された方が本当に羨ましいです。 私はチームの試合帯同のため参加できませんでしたが、次回こそは是非参加したいものです。 私がS&Cコーチを務めるJTマーヴェラスは毎年ゴールデンウイークに開催され、バレーボール界では恒例の黒鷲旗全日本選抜バレーボール大会で優勝することができました!大会二連覇を成し遂げた選手たちを誇りに思います。 大会は6日間、6試合中4試合がフルセットとなる非常にタフな内容となりましたが、トーナメント最終日まで勝ち残れたということで少しはトレーニングが貢献できたかなと勝手に思っています。 さて、本題です。前回に引き続きスクワットのネタです。 今回はプライオメトリクスの導入として着地姿勢の修得に役立つ『ドロップスクワット』です。あまりメジャーではないエクササイズですが、なかなか奥深く活用しやすいものです。 このエクササイズは衝撃吸収能力を向上し、素早くパワーポジションに移行することでパワーポジションに続く次の動作を良くすることにも役立つと考えています。 プライオメトリクスの導入段階においてはジャンプする前に着地動作を正しく取れることを重視しています。 着地時に見られるトリプルフレクションを効果的に行えるアスリートは思いのほか少ないものです(特に中高生、ジュニアアスリート)。トリプルフレクションを身につけることで女性アスリートに多い膝の傷害予防にも一役かってくれると思います。 【実施方法】 ①直立姿勢で肘を90度位に曲げて腕を挙げる。 ②勢い良く腕を後方に引きながら、素早くパワーポジションに移行し(僅かに足底が床から離れる)、しゃがみ込む。 ③パワーポジションを完成させる(脊柱をニュートラルに保つ)。 衝撃吸収を意識してより深くしゃがみ込むということもできます。 最初はうまく力が抜けずにぎこちない動きになってしまうかもしれません。力のON、OFFが上手にできるようになると、スピードが増してもきれいにできるようになると思います。 プライオメトリクスでは、この次の段階として、1レッグ・ドロップスクワット、着地衝撃の少ないボックスジャンプ、その場での単発ジャンプ、ボックスからの着地(ボックス・オフ・スクワット・ホールド)などに進んでいきます。 一度このエクササイズを習得するとドロップ・スクワットから色々なエクササイズに移行することができます。 特に球技系スポーツはジャンプの着地から構え姿勢、構え姿勢からジャンプ、着地したらサイドステップなど、次の動きへの移行局面では適切なパワーポジションを瞬時に作れることが重要だと考えています。着地動作からの動きの移行を促進する種目として活用できると思います。 ウォームアップにも簡単に組み込む事ができますので、ぜひお試しください。 次回、1レッグ・パターンの動画もアップします。 ※動画では着地の瞬間にパーンという音が響いていますが、あえて高くジャンプして着地時に大きな音を立てる必要はありません(本当に僅かに床から離れる程度です)。 これは誰もいない夜の体育館で寂しく撮影を行ったためです…^^; 

緒方 博紀 1406字

術後期間におけるトレーニングについて論証する

マサチューセッツ州かフロリダ州にあるクレッシースポーツパフォーマンスのどちらかで、1日を過ごすことになるのであれば、必ず驚かされるかもしれないことを目撃するでしょう:術後すぐであるにも関わらず、アスリートがトレーニングをしているのです。トミージョン手術から膝関節置換術にいたるすべての術後において、定期的にアスリートが私たちのところに紹介されてきます。彼らは、松葉杖をついていたり、アンクルブーツを使用していたり、肘のブレースをしていたり、肩のスリングで腕を吊っていたり、あるいは、腰をブレースで固定していることもあるでしょう。術後のアスリートと仕事をすることは、我々にとってかなりの得意分野になってきています;執刀医やリハビリテーション専門家と手を取り合って取り組むことで、アスリート達に“短期的な制限”があるにも関わらず、素晴らしいトレーニング効果を提供できることを確信しています。 残念なことに、この期間に、過度に慎重である超保守的なセラピストや医師に出会ってしまうアスリートもいるでしょう。確かにこの期間は、修復した場所が動きや直接的な圧力に対して脆弱なだけではなく、最初の数週間は感染症に冒されるリスクもあるため、非常に重要です。しかし、私の意見としては、3-4ヶ月も完全にエクササイズをしないで、ただ“リハビリ”をする(これは以前にも聞いたことがありますが)ようアスリートに伝えることは全く不必要だと思います。 このことを念頭において、術後期間にストレングス・コンディショニングトレーニングを戦略的に実施することが非常に重要であると私が考える、6つの理由について概説していきたいと思います。 1. 選手に患者ではなく、アスリートであると感じさせることは重要である。 ストレングスコンディショニングの現場と比べると、理学療法クリニックやアスレティックトレーニングルームは異なった雰囲気があります。リハビリのスペシャリストを非難しようとしている訳ではないのですが、アスリートはむしろ後者の領域にいるべきでしょう。そして、優れたセラピストはリハビリテーションを快活にさせ、アスリートの競争心を煽ることで、アスリートにとって現在の身体的現状を忘れ、ジムに戻ったときの大きな精神的利点を提供してくれます。 精神力な利点について言えば、エクササイズがムードに与える影響と、様々な慢性的疾患のリスクを減少させることは、改めて強調する必要さえないでしょう。あえて言えば、その効果はかなり大きく、リハビリ期間中にこれらの利点をアスリートに持ち続けさせることは重要なのです。さらに深く掘り下げたいのであれば、最近発表されたメタ分析の論文:Exercise as a treatment for depression(鬱病の治療としてのエクササイズ)を強く推薦いたします。 2. 小さなことが、行動に関して大きな成果を産みます。 トレーニングをしている時、ほとんどの人はより健康的な食事をします。意識的か無意識的なのかは個人によりますが、それは何度も目にしていることです。 同様に、多くの学生アスリートは定期的にエクササイズをしているときは、クラスでもより良いパフォーマンスを見せますし、あまりにたくさんの自由時間を与えるとその作業に集中し続けることが難しくなります。 ポイントはなんでしょうか?事実として、トレーニングはある種の悪い習慣を排除します。同様に、生理学的レベルでは、脳の活動を活性化させ、社会にとってより生産的なメンバーにさせることをサポートします。 3. 傷害は単独で起こるものではない 投手は、単に肘に機能的な問題があるために肘を故障するわけではありません。むしろ、運動連鎖に沿った身体的問題の積み重ねによって肘が犠牲になっていることが多いのです。例としては、尺側側副靭帯の断裂をした選手は、健全な選手と比べ、Yバランステストのスコアが有意に悪かったということがGarrisonら(2013)によって証明されました。 このことを踏まえると、身体全体を無視して、腕だけのリハビリに集中して、これを何ヶ月も行うことは馬鹿げているでしょう。残念なことに、理学療法士は保険的な制限からそれほど多くの時間を選手に費やすことができず、そのためこれら重要な補足的なリハビリテーションのアプローチまで至らないこともあるでしょう。ここが、有能なストレングスコンディショニング専門家が不足を補うことのできる絶好の場所なのです。 4.トレーニングは身体組成を向上させ、数多くの望ましい結果を導いてくれます。 ある個人が術後の期間で、筋肉量がかなり落ち、体脂肪が相当増えていることを聞いたときは、ひどく腹がたちます。これは決して起こってはいけないことです。 健全な体組成を維持することで、股関節置換術後の祖父の状態が後退しないよう助けてくれるのと同樣に、良好な筋力—体重比率を維持することで、半月板修復術後の大学サッカー選手が後退することを回避する可能性は上がるでしょう。 これらの利点は、荷重でのシナリオにのみ与えられるだけではありません。肥満は画像診断の正確性に制限をかける最大要素であることは間違いないことを覚えておいてください。言い換えると、リハビリテーションがうまく進まず、MRI、または、レントゲンを撮る必要が出てきた場合、肥満することは、レントゲン技師の正確な読み取りを困難にさせます。少しの予防はかなりの治癒に値するのです。 5.エクササイズをすることで、運動学習の向上を促進することができます。 リハビリ中は、新しく、望ましい動きのパターンを獲得しようと努めるでしょう。研究では(こことここを読んでください)、エクササイズと共に(特に有酸素エクササイズ)に新しいタスクを導入された時、運動学習が向上することが証明されています。 丈夫で健全な有酸素システムと確かな運動能力を維持することで、リハビリの努力をより効果的なものにしてくれます。 6.対側性の筋力トレーニングは固定した四肢に伝わります。 交差転移(あるいは、学習転移)として知られるメカニズムによって、対側肢をトレーニングすると、トレーニングしていない側の四肢のパフォーマンスも向上します。例としては、右下肢の膝を手術し、右下肢を固定し他状態で、安全にトレーニングできる左脚をトレーニングすることで、手術側(右)に効果を得ることになります。固定した下肢の筋量の萎縮を小さくすることにはそれほど効果はありませんが、筋力、パワー、固有受容感覚の低下を絶対的に小さくすることはできるでしょう。実際に、競技復帰に関して、この“フリーリハビリ”はかなり効果的な大きな手助けになります。 余談ですが、Hortobagyiらの交差転移に関する研究によって、筋力の転移は遠心性エクササイズの場合により効果が大きいようで、このアプローチを優先することで更なる効果を期待できるということが証明されました。 いくつかの重要な点 この記事を終える前に、いくつかの事を明確にしておかなければなりません。 1.すべてのトレーナーやストレングスコンディショニングコーチがすべての傷害を引き受ける準備があるわけではありません。 もしあなたが“腰椎分離症”という言葉を聞いた事がないのであれば、腰部のブレースをつけた選手のプログラムを組むべきではありません。そして、尺骨神経移動術と尺側側副靭帯再建術の違いが分からないのであれば、野球肘の術後患者を受け入れる準備はできていません。無責任になってはいけません。 2.効果的な術後トレーニングには、優れたコミュニケーションが要求されます。 リハビリテーションプランを監督する理学療法士やアスレティックトレーナーと、定期的に話をするべきです。彼らは、アスリートが漸進する準備ができているかどうか教えてくれますし、リハビリセッションでしたことと被ることがないよう助けてくれるでしょう。進歩を観察するだけでなく、自分の継続教育のためにもリハビリセッションのいくつかを観察することも奨励します。 3.疑わしい場合は、アスリートに無理をさせない。 大学院の教授の一人である、Dr.David Tiberioがかつて言ったのは、理学療法士は“できる限り積極的であるべきだが、けがをさせてはならない”ということです。私はこれをさらに一歩進め、フィットネスコンディショニングの専門家はリハビリテーション過程においては、“保守的であり、けがをさせるべきではない”と提唱します。フィットネスの維持・向上と競技復帰を促進させることが我々の仕事であり、リカバリーの過程を後退させてはいけません。要するに、漸進に関しては、リハビリに関する人達に全てのチャンスを与えてあげてください。 4.漸進は多くの方法を通して起こるものであるということを覚えておく。 漸進はエクササイズの選択のみではなく、絶対的負荷、動きのスピード、量、頻度、時間、そして、その他の多くの要素の観点からも起こります。うまくいかない要素がたった一つでもあれば、リハビリテーションを後退させてしまうこともあるので、プログラムし、にストレスが多くかかってしまう場合には、別の場所のストレスを減少させなければなりません。例を挙げると、トミージョン手術からのリハビリ中、4−6ヶ月を目処にアスリートは投球を開始した時、肘内側のストレスが増大しますが、多くのアスリートはストレングストレーニングとリハビリテーションプログラムの中で行っている握る種目の量を減らすことが効果的でしょう。 5.”偶然的“な安定性要求に注目する 回旋腱板が最も良い例であるように、多くの筋肉は反射的に作用します。肩の術後、患側の回旋腱板が反射的に働いてしまうので、健側をあまりに早く(あるいは、あまりに多くの負荷をかける)トレーニングすることは注意しなければなりません。交差転移については前述しましたが、これは右側対左側のトレーニング効果ほど単純ではありません;神経システムはすべてを興味深い方法で支配しています。 まとめ この記事を発表するにあたり、術後期間中の適切なエクササイズの重要性を強く説明できたことを願っています。“適切”が何であるかはそれぞれの個人によって違うでしょうし、執刀医、リハビリテーション専門家、ストレングスコンディショニング専門家、そして、アスリートからの情報を総合して決定するべきであるということを忘れないでください。そして、アスリートがどのように行っているのかを基準に、常に漸進、あるいは後退できる、柔軟なプロセスであるべきなのです。

エリック・クレッシー 4489字