マイクロラーニング
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コンディショニングでミトコンドリアの魔法を解き明かし、代謝を最適化する方法 パート2/2
ゾーンベースの心拍トレーニングの価値 量、強度、回復のバランスを取る最も簡単な方法は、すべてのメタボリックトレーニング中に心拍計を使用することです。 心拍数ゾーンは、1980年代前半から定常状態の代謝トレーニングの指針として用いられてきました。特に持久力の世界では、その傾向が顕著です。 ここ2、3年、「ゾーン2トレーニング」についての議論が活発になっています:これは過去15年近くに渡り私が広範囲に著述している重要なトピックです。 これは良いニュースです、メタボリックトレーニングは、単に高強度のインターバルを何度も繰り返すだけではありませんから。 しかし、遺伝や代謝、体力のレベルに応じて「ゾーン2」が異なることは一般的に理解されていますが、それが高強度トレーニングのやり方に反映されていないのが現状なのです。 定常状態トレーニングに限らず、あらゆるタイプのトレーニングは、自分自身の遺伝、代謝、フィットネスレベル、回復力に合わせて構築する必要があるために、これは問題になります。 それが、私がゾーンベースド・インターバル・トレーニング(ZBIT)という枠組みを作った最大の理由なのです。このモデルは、様々な強度のメタボリック・トレーニングを適切に行うために、より効果的で、より個別化されたアプローチを提供するために設計しました。 スタートポイントとして、低強度から最大心拍数まで、12種類のZBITメソッドを作成しました。 ゾーンベースド・インターバル・トレーニング(ZBIT)メソッド 3つの心拍数ゾーンは、私のモーフィアス・トレーニング・システム(詳しくはこちらをご覧ください)に基づくものです。 なぜ、高強度のみでなく、それ以上のものが必要なのでしょうか? 先ほど引用した研究とは別に、すべての心拍数ゾーンで幅広い強度と量を取り入れることが重要である理由はたくさんあります。効率的な代謝エンジンを構築し、パフォーマンスと長寿の両方を推進するためには、すべての細胞や組織の中にあるミトコンドリアを開発する必要がある、というのが最大のポイントの一つです。 低強度では、主に遅筋繊維と支持組織のミトコンドリアをターゲットにしています。強度を上げ、より多くの筋繊維を動員するようになると、より多くのミトコンドリアが適合し改善するために必要な代謝ストレスを受けることになります。 また、トレーニング中に直接働く筋肉以外にも、脳や心臓、肺などにあるミトコンドリアも、メタボリックトレーニング中はしっかり働いています。また、これらは容量も異なり、細胞の種類に特化して作られているため、様々な量や強度に反応します。 メタボリックトレーニングがパワフルなのは、筋肉だけでなく、全身の様々な細胞にポジティブな影響を与える可能性があるからだと考えることには価値があるでしょう。 メタボリックトレーニングや一般的な運動が、認知機能、健康な免疫システム、病気の予防、健康寿命の延長などと密接に関係しているのは、このような理由からなのです。 メタボリックトレーニングの量と強度がどれくらい必要かは、膨大な数の変数に依存しますが、それでも一般的なガイドラインを示すことができます。 数千人のモーフィアスユーザーの50万回以上のワークアウトとデータポイントを分析した結果、フィットネスレベルが異なる複数のセグメントの人々に共通する点があることがわかりました。 12週間にわたり心拍変動が増加し、安静時心拍数が減少した人は、代謝エンジンが改善したことを示すポジティブな兆候であり、一貫して以下の範囲のどこかに収まっていました: ブルーゾーン:200~300分/週 グリーンゾーン:40~50分/週 レッドゾーン:11~14分/週 もう1つ、私たちのデータが示した非常に重要な教訓は、12週間の間に測定値が悪化した人は、改善した人よりも高い強度で過ごす時間が長かったということです。 例えば、改善が見られたフィットネスレベルが中程度の人は、レッドゾーンで過ごす時間が週15分弱でした。一方、数字が下がった人は、同じゾーンに20分近くも滞在していました。 さらに、もともと最も高レベルの体力の人は、最も少ない時間(1週間あたり11分強)を最も高い強度で使っていたのです。 先ほどの論文や、20年以上にわたる私のコーチとしての知見を総合すると、高強度に関しては、多くを達成するために必要なのはほんの少しであり、多ければ良いというわけではない、というシンプルな真実が浮かび上がってきます。 ピースを組み合わせる:ミトコンドリアがあなたを助ける方法 ここまでのところで、もしあなたがまだ何らかの形でメタボリック・コンディショニングを一貫して行っていないのであれば、行うべきだということを納得していただけたと思います。 パフォーマンス、健康、長寿を大切に考えるなら、メタボリックコンディショニングは、単に筋力トレーニングの最後に加えるだけのものではありません。 たとえあなたのゴールが、単に筋力やパワーをつけることが目的であったとしても、そのためにはミトコンドリアが駆動する効率的でハイパワーな代謝エンジンが必要なのは明らかでしょう。 生命の根幹にあるのは、環境に適合する能力であり、それはミトコンドリアの魔法とその働きから始まります。 適合力が低下し始めると、すべてが衰え始め、老化現象が貨物列車のように加速していきます。多くの点で、老化とは、順応性が徐々に失われ、私たちの細胞の完全性が失われ、真に生きる能力が失われることにほかならないのです。 加齢とともに筋肉量や筋力が低下するのは、単にウエイトルームにいる時間が短かったからではなく、代謝能力が低下すると、筋肉量を支える能力も失われるからだという研究結果もあります。 筋肉は維持するために代謝的費用の高い組織であるため、代謝機能が低下すると、私たちの身体はそれを補うために筋肉量と筋力を落とし始めるというのは理にかなっています。 これはストレングストレーニングが重要でないということを意味するのではなく、間違いなく重要なものではあるのですが、生物学の全体像と水面下で起こっていることを理解することは、正しいトレーニングやライフスタイルを決定する上で非常に重要な鍵なのです。 世の中の研究やアドバイスの多くは、パズルのごく小さな1つのピースしか見ていないのですが、私達はすべてのピースがどのように組み合わされているのかを知る必要があります。 それが私がスタートし始めた理由なのです。 今後もご期待ください...
コンディショニングでミトコンドリアの魔法を解き明かし、代謝を最適化する方法 パート1/2
正直なところ、大学時代は生物学、生理学、有機化学の授業をこなすだけで精一杯でした。 テストに合格できるように、情報を暗記したのです。そして仕事に戻って、筋力トレーニングや身体組成の改善に関するあらゆることを学びました。 クレブスサイクルのようなものと、トレーニングの方法との間に、何の関連性も見いだせませんでした。 もしタイムマシンで当時の自分に話しかけられるとしたら、バカだなぁと自分に言い聞かせていることでしょう。 健康やフィットネスに関する本当の答えは、筋肉雑誌の記事や、トレーニングに関するほとんどの本にさえも載っていないということを理解するのに、何年もかかりました。 それらではなく、答えは私が当時ほとんど無視していた細胞生物学や生化学の教科書のページの奥深くに見つけられるものなのです。 なぜなら、DNAが環境(トレーニングも含む)とどのように相互作用して、私達の健康やパフォーマンスへと駆させるのか、あるいは遠ざけているのかを本当に理解することで、身体の真の可能性を引き出すことができるからです。 私は、大学の教科書でほとんど読み飛ばした科学と、世界のトップアスリートたちが人生で最高のシェイプになるのを手助けした方法、ひいてはそれがあなたの健康とフィットネスにとってどういう意味を持つのか、それらの点を結びつけることに全力を尽くすつもりです。 私達の知る生命の起源が、トレーニングのあり方にいかにつながっているのか 15億~20億年前のどこかで、酸素を使ってエネルギーを生み出すことができる古代のバクテリアの一種が、そうでない原始的な単細胞に飲み込まれました。細胞によって消化されるのではなく、細菌が常駐するようになり、私達が知っているような生命が可能になったのです。 そして、この細菌は時を経て、現在ミトコンドリアとして知られるものへと進化していきました。現在、あなたの身体には約1,000万億個のミトコンドリアが充満しています。合わせると体重の10%程度を占めています。 ほとんどの細胞には数百から数千個のミトコンドリアがあり、最も多いのは心臓の細胞で、1細胞あたりおよそ5,000個のミトコンドリアを持っています。 さらに興味深いのは、ミトコンドリアはもともと独立した細菌であったため、細胞核とは別に独自のDNAを持っていることです。 ミトコンドリアは生命維持に欠かせない存在であり、多くの人が知っているよりもさらに多くの理由があります。ミトコンドリアは、健康からパフォーマンスまで、あらゆる面で最も重要なカギを握っています。 それは、多くの人がミトコンドリアを単に「細胞の発電所」と考えているにもかかわらず、真実はもっと興味深いものだからです。 確かに、あなたが生み出すエネルギーの大部分はミトコンドリアで生成されますが、ミトコンドリアはそれ以上の働きをしています。 ミトコンドリアは、ATP(身体のエネルギー通貨)を生産する主要な場所であるだけでなく、以下を含む、全身の様々な重要な機能を担っています: テストステロンやエストロゲンなどのステロイドホルモンの合成 コルチゾールのようなグルココルチコイドの合成 細胞核と直接通信して遺伝子発現を制御 炎症プロセスおよび免疫機能の制御 カルシウムシグナリングと筋収縮の制御 フリーラジカルの生成 長寿に関連するサーチュイン酵素の活性化 細胞の成長・増殖 細胞死(アプトポス) 熱生産 なぜ、細胞の一つの構成要素が、代謝や生命維持に不可欠な多くの機能を駆動しているのでしょうか? 一言で言えば、「効率」です。 エネルギーの生産と、エネルギーの使われ方(エネルギー消費)の調節を、細胞の同じ構成要素の中で結びつけることは、非常に効率的です。 それが、ミトコンドリアを代謝のパフォーマンス、健康、長寿の重要な一部とします。 ミトコンドリアは、単なる無心なエネルギー生産工場ではありません。 そうではなく、常に細胞核に指示を出し、調整し、協力して、入ってくるすべての情報を統合し、身体全体でエネルギーを消費する方法を調節しているのです。 これが、ミトコンドリアをストレス反応管理の中心的な存在とし、遺伝子が環境と相互作用し、自分という人間を形成する方法を管理するものとします。 このプロセス全体と、その役割を果たす様々な遺伝的経路は、ある特定のタスクを達成するための終わりなき努力の一部です:環境におけるストレスに常に適合することで生命を維持するというタスクを。 この適合は、様々な形で行われます。 身体にかかるストレスの種類と時間によって、これらの適合は、筋力、免疫力、認知力などの重要な機能を駆動する、より効率的で高エネルギーな代謝につながる非常にポジティブな変化まで様々なものがあります。 あるいは、身体が耐えられる限界を超えた慢性的なストレスに直面すると、逆の方向に進んでしまうこともありえます。 ストレスが大きすぎると、時間の経過とともに、代謝やミトコンドリアの機能不全、筋力や筋肉の低下、炎症の増加、様々な一般的疾患のリスク増加などの問題が発生します。 だからこそ、超強力なミトコンドリア・マシンを作ることが、心身のあらゆるパフォーマンスを向上させるだけでなく、人生のストレスから身を守る唯一最善の方法となるのです。 といったところで、そのマシンを確実に作る方法についてお話しましょう。 ミトコンドリアの量と質を高めるために、メタボリックトレーニングが重要な理由 過去20年以上にわたり、研究とフィットネスにおける私自身の個人的な経験の両方において、メタボリックコンディショニングが、より長く健康的な生活とより良いパフォーマンスを推進するためのミトコンドリアマシンを構築するための、唯一で最も強力かつ重要なツールであることを一貫して示しています。 なぜなら、このようなトレーニングは、細胞が運動するために必要なエネルギー量を劇的に増加させるため、細胞に高い代謝ストレスを与えるからです。 次に、このストレスは、代謝効率とエネルギー生産能力を向上させる遺伝子発現の変化をもたらすシグナル伝達経路を誘発します。 驚くなかれ、ミトコンドリアはこのような変化の中核を様々な方法で担っているのです。 メタボリックトレーニングは、細胞内のミトコンドリアの数を増やすことは多くの人が知っていますが、その質も高めるということはあまり知られていません。 これは、ミトコンドリア品質管理(MQC)と総称される、以下のような複雑なプロセスによって起こります: ミトコンドリアの融合が進み、筋繊維にまたがる細長いミトコンドリアの広大なネットワークが形成される(下図参照) ATPの大部分が作られる電子伝達系(ETC)の効率を向上させる遺伝子を制御するサーチュイン酵素の活性化 機能低下したミトコンドリアのマイトファジー(分解・リサイクル)の増加 画像の出典はこちら:Rafael A. Casuso, Jesús R. Huertas, The emerging role of skeletal muscle mitochondrial dynamics in exercise and ageing, Ageing Research Reviews, Volume 58, 2020, 101025, ISSN 1568-1637 これらの変化は、ミトコンドリアのマシンをより良く、より高性能にするものです。同じエネルギーを作るのに、より少ない酸素で済むようにします。 これはまた、必要なときにエネルギー生産をさらに高いレベルに引き上げる能力を持っていることを意味します。この能力は代謝予備と考えることができ、フィットネスの目標が何であれ、非常に価値のあるものです。 またさらに、より良いインスリン感受性、脂肪酸化の促進、炎症レベルの低下、DNA損傷(核とミトコンドリアの両方)の減少など、長寿やパフォーマンス向上のためのさまざまな利点が得られます。 しかし、ここで重要なのは、これらの非常に重要な変化は、代謝性ストレスの量を適切に設定することによってのみ起こるということです。 スーパーミトコンドリアを作るのに威力を発揮する代謝ストレスも、やり方を間違えると逆にミトコンドリア機能不全を引き起こすことがあります。 最近の論文では、高強度のメタボリックトレーニングを、身体が回復できる量以上に行った場合に、どのようなことが起こるかを調べています。 研究の最初の3週間、研究者達は高強度トレーニングの量を増やし、同時にミトコンドリアと代謝機能全般に関するさまざまなマーカーを測定しました。 4週目には、回復のためにボリュームを大幅に減らしました。 この図からも明らかなように、高強度のメタボリックトレーニングが多ければ多いほど良いというわけでは決してありません。身体が必要とする量には上限があり、それを超えるとミトコンドリアや代謝全体に影響が出ます。 そのため、ミトコンドリアと代謝性能を高めるためには、全体的に適切な量の代謝トレーニング、すなわちボリュームと強度の配分を得ることが絶対に重要なのです。
未だかつてない速さで回復するためのトレーニング方法 パート3/3
ハイパフォーマンスリカバリートレーニングの新しい科学 ハイパフォーマンスリカバリートレーニングセッションとはどのようなものか 身体がストレスにどのように反応するか、欲しい成果を得るために身体を回復状態へ移行する方法を学ぶことがなぜ重要なのかに関して十分な理解が得られたところで、肝心なHPRトレーニングセッションとは実際どのようなものなのかを見ていきましょう。 始める前に:最初に理解しておかなければいけない最も大切なことは、全てのHPRトレーニングセッションは、正しいマインドセットで始めなければならないということです。身を粉にして何らかの前進を得なければいけないと思ってジムへ行くのではなく、その日の目標を作り、来た時よりも気持ちがいい状態でジムを後にすることにする必要があります。 これができれば、あなたは回復への過程にあり、意図された通りにセッションが達成されていることを意味します。この目標を踏まえて、効果的なHPRトレーニングには4つの重要な構成要素があります: 1. リカバリー呼吸(5-10分) 副交感神経系の機能と回復を促進するために特定の呼吸と動きのパターンを一緒に用いるという概念は、数年前にビル・ハートマンとマイク・ロバートソンによって初めて紹介されました。 私が数ヶ月にわたって悩まされていたしつこい肩の障害を、ビルがたった数分のこの種のワークで治した後、私はこの信者になりました。 ビルは、特定の呼吸パターン、姿勢、ポジションを通して神経系に働きかけた時の即時の効果と可能性を見るために、リアルタイムのHRVデータを使っていました。これら全てが、正確にどのように働くかを解説することは、この記事の範疇を超えてしまいますが、非常に短く言うと、自律神経系はストレスと動きの間のコネクションであるということです。 リカバリー呼吸のエクササイズを通じて、目標としている動きと紐付いた特定の種類の呼吸を使って自律神経系を活性することができます。これは、より良質で、効率的な呼吸パターンの発達を助長し、しばしばリカバリーを阻害する特定の動きに関連している可能性があるストレスを減少します。 リカバリー呼吸の動きの例を見るためには、ここでマイク・ロバートソンのコンテンツをチェックしてみてください。 2. リカバリーゾーントレーニング(15-20分) リカバリーゾーンでのトレーニングは、世界初のデジタルリカバリーコーチである、モーフィウスの開発を通して、私が研究と実験に多くの時間を費やしてきたことです。 HRVを使ってきた長年の経験をもとに、私は、回復を刺激するためには、強度を正しく設定することが大切であるということを発見しました。もし強度が高すぎると、何よりもとにかく多くのストレスをもたらし、回復が遅れます。 しかし、もし強度が低すぎると、回復は刺激されず、トレーニングによる効果を最大限に得ることができません。 リカバリーゾーンとは、この「ちょうど良い」強度レベルを表しています:きつすぎず、楽すぎず、でもちょうどいい。これがHPRトレーニングの最適な強度であり、私の経験と私が集めたデータが示すところによると、その日のフィットネスレベル、およびリカバリーレベルに応じて、一般的に最大心拍数の72-88%くらいに落ち着きます。 あなたがすでに疲れていればいるほど、この最適ポイントは低くなり、逆もまた然りです。クライアントそれぞれが、自身のリカバリーゾーンでトレーニングをできるようにすることが、私が最初にモーフィウスの開発を始めた主な理由の一つです。このスクリーンショットでは、モーフィウスが、あなたに最適化されたリカバリーゾーンでのトレーニングを、青色の心拍ゾーンで表しているのが見て取れます。 リカバリーゾーントレーニングの素晴らしい点の一つ(また、これをよく行われている従来のリカバリーワークと分けるもの)は、そのゾーンの範囲で何を選んで行うかに制限がないことです。実際、より異なったタイプの動きの種類を取り入れることができればできるほど良いのです。 メディシンボールドリル プローラー&スレッド プッシュ/プル 自重ムーブメント バトルロープ ボックスジャンプ&プライオ マシンを使ったカーディオ:トレッドミル、バイク、バーサクライマー(私の好きな種目です) 自重トレーニング このような種類のエクササイズやその他を組み合わせて使うことで、二つの異なる方法から選んでリカバリーゾーントレーニングを行うことができます。一つ目は、心拍数を比較的一定に保ちながらサーキットを行い、一つのエクササイズを行ってから、次のエクササイズを行うという方法です。 二つ目の方法は、私がリカバリーゾーンインターバルと呼んでいるものです。このタイプのインターバルトレーニングでは、心拍数をできるだけ早くゾーンの上限に上げ、その後60秒間のアクティブリカバリーを取る方法です。 ここでの目標は、その60秒間でどのくらい心拍数を落とせるかを見ることであり、この方法は、回復能力を鍛えるのに驚くほど効果的で強力な方法です。これは、私がダイナミックエネルギーコントロールと呼んでいるものの一部であり、コンディショニングの改善を必要とするすべての人に不可欠なスキルであるため、私の認定コンディショニングコーチコースでも指導しています。 時間をかけてこのスキルを発展させていくと、心拍数が下がるのがどんどん早くなっていきます。これは、リカバリー状態へ移行する能力が改善したことを知る確実なサインです。 3. ストレングスの刺激(5-10分) リカバリーゾーンでの代謝活動を終えたら、次のステップは、付加的な重めのストレングスドリルを数セット取り入れることです。これを加えることによって、低めの強度ではほとんど働かない高い閾値を持つ筋繊維を活性し、そこへの血流を増やすことができます。 同時に、さらなる利点は、この種のワークを少ない回数で行った時の刺激は、中枢神経系を活性し、高いレベルで活動させ続けることにも役立つということです。私の経験では、この活性化の効果は、あなたが強くなったと感じるのを助け、高強度のトレーニングセッションの後の1~2日間にもより多くの効果を得ることができます。 その効果を最大化するために行なうべきことが幾つかあります: 全身の複合動作を一つだけ行う。私の個人的なお勧めはデッドリフトか、デッドリフトのバリエーションを使い、リフトの頂点で重りを落とすことです(それにふさわしいプラットフォームがあると仮定して)。これを行うことにより、本質的に遠心性負荷を取り除き、様々な組織への血流を促進しながらも、それらの組織にかかるストレスを総合的に減らすことができます。もちろん他のエクササイズでも同様の働きが得られますが、ここではデッドリフトが最適だと思います。 回数は低く抑える。ウォームアップセットでの数回を除き、2-3セット以上は行わないようにします。1RMの80-90%の中で5-8回を目指します。セット間の休憩は1-2分で十分です。 ウェイトが重いと感じる代わりに軽いと感じるようにする。リカバリースキルを発展するためには、与えられたタスクを行うために必要な以上のエネルギーを発揮しないことが必要です。自分自身に暗示をかけて、持っているすべてを発揮するような時と場合もありますが、ここでのストレングスドリルの目標は、簡単なことを難しく感じる能力ではなく、難しいことを簡単に感じる能力を発展させることです。 4. リカバリークールダウン(5分) HPRトレーニングセッションの最後の要素は、心拍数をできるだけ低くするために数分を費やすことです。目標は、5分以内に安静心拍数から5-10 bpmの範囲内に心拍数を下げることです。 これを行う最も簡単な方法は、静的および/または動的ストレッチとともに、ワークアウトの初めに行ったリカバリー呼吸のエクササイズを数回行うことです。最後に軽めのフォームローリング(痛みは伴わないようにする、もし痛みがあるようならここでの目的は失われる)、または同様の軟部組織へのワークを行ったら終了です! HPRトレーニングを試して、感想を聞かせてください #TrainHardRecoverHarder ここまで、効果的なHPRトレーニングのセッションがどんなものであるかを述べてきました。次は、あなたがこれを試し、HPRトレーニングがもたらす違いを感じる番です。あなたは、私が私自身や私のクライアントに試して感じたのと同じように、すぐにその違いに気づくでしょう。ジムを出るときに非常にリフレッシュした状態で、よりエネルギッシュで、痛みや硬さが薄れ、すべての面でジムに来た時よりも改善している自分を感じられるでしょう。 これを自分自身で経験すれば、リカバリー重視のフィットネスが非常に効果的で、なぜ強度ではなくリカバリーがトレーニングの未来なのかがわかるはずです。あなたがトレーナーやコーチなのであれば、あなたのクライアントやアスリートの一人にもHPRTセッションを行い、彼らからのフィードバックを得ることも強くお勧めします。
未だかつてない速さで回復するためのトレーニング方法 パート2/3
ハイパフォーマンスリカバリートレーニングの新しい科学 なぜ、身体を「回復状態」へ移行することが、トレーニングの成果を実現する鍵となるのか 前述の通り、ほとんどの人は、回復を活動の範囲で考えています:睡眠、十分なタンパク質の摂取、仕事で過度に緊張しない、など。しかし、回復とはそれだけではありません。 回復において最も大切なものは、エネルギーです。 より明確に言えば、回復とは、あなたの脳が、貴重で限りあるエネルギー資源をささげる場所として、どこを選ぶかということです。 身体には、文字どおり何兆個もの細胞があり、これらの細胞は全てエネルギーを必要とします。そのため、身体は、組織の再建のような大変なプロセスに資源を向ける前に、基本的な生命活動のニーズが満たされていることを確実にします。(これは、脳は大きな筋肉を構築することよりも命を維持させることに関心があることを意味します) このことを理解する最も良い方法は、身体が潜在的に、組織をより大きく、より強く、より機能的にする修復や再建にエネルギーをささげる生理学的状態として、回復を考えることです。 私はこれを回復状態と呼んでいます。最近大きな注目を集めている「フロー状態」と同様に、身体を回復状態に移行するためにできる特定のことがあります。そしてこれを行うと、回復(およびそこから得られる成果)は劇的に加速されます。 回復状態の内側 身体はどのように回復状態へ移行するのか(そして何が回復状態への移行を抑制するのか) 上の図からわかるように、同化ホルモンやアミノ酸の高い分泌レベルから良好な血液の流れ、充分なグリコーゲン貯蔵まで、身体には回復状態へ移行するために必要な幾つかの異なる要素があります。 これと同じくらい大切なのが、ストレスホルモンのレベルが低いことです。 血流の中にストレスホルモンがあると、身体は自動的に回復に費やすエネルギーをストレスホルモンの増加の原因となっているもの - たとえそれが精神的なストレスだけだとしても - に対処することに向けます。 つまり、ストレスはどんな形であれ異化作用であり、回復は同化作用です。この二つの根本的な違いは、単に私たちのエネルギーの大部分がどこに向けられているのかということのみです。 ここで注目するべき最も大切なポイントは、回復状態の中心では、高い副交感神経系(PNS)の機能が全てに関連しているということです。これは、回復に関わる多くの同化プロセスを根本的に誘引しているのがPNSだからです。 これこそがHRVが回復と密接につながっている理由であり、私が先述したパターンが見つかったと信じている理由です。HRVは副交感神経系活動レベルの指標です。HRVが増加している時は、身体が回復状態にあるというサインです。一方で、HRVが減少している時は、身体は全体的に異化状態にあり、回復は劇的に遅くなります。 軍隊の研究では、一流の兵士は、基本的により上手く身体を回復状態へ移行することができたため、選抜や戦術学校のストレスに対処することができました。同じように、バイオフォースHRVにより、高強度のワークアウトをした翌日にHRVの増加が見られる人々は、より多くのエネルギーを回復に向けることができるため、格段に高い確率でフィットネスの向上が見られます。 これは、より多くのエネルギーが、より大きく、より強い筋繊維の構築、より多くのミトコンドリア、神経系機能の向上、脳に新しい技術や能力を植え付けることに向けられていることを意味します。 このことから、回復状態へ移行できることがどれほど大切なことなのかがわかります – まさに、あなたのハードワークの結果を生み出すものであり、また、壊すものでもあるのです。 これを受けて、私は昨年1年間ほどを、身体を回復状態へ移行し、高強度トレーニングに必要なバランスを提供するのを助ける特定の方法をテストし(多くは私自身の身体で)、微調整し、洗練することに費やしました。 ハイパフォーマンスリカバリートレーニング(HPR)の紹介:身体を回復状態へ移行するのに役立つ新しい種類のワークアウト トレーニングを回復の方法として使うという概念は、決して新しいものではありませんが、現在よく行われている方法は、その方法を行った結果として望んでいる多くのことを達成できていません。大抵の場合は、数種のモビリティードリルと低強度のカーディオ、ランダムなウェイトリフティングを数セットという構成です。 正直に言いましょう:この種のリカバリーワークは、とにかく退屈であり、回復をわずかに改善するにすぎません。人々がこういったリカバリーワークをジムで行わないのには理由があります:これをやるために費やす時間と労力に十分な価値を感じていないからです(実際、大抵の場合は価値がありません)。 私は、研究や数年にわたる私自身のHRVの経験を基に、回復を加速するためのジムの使い方、トレーニング方法には、もっと良い方法があるに違いないと思っていました。退屈でなく、とても効果的であり、直後に違いを本当に感じることのできる方法が。 この、より良いアプローチを見つけるための探求が、私をハイパフォーマンスリカバリー(HPR)トレーニングの開発へと向かわせました。数多くの実験、試行、エラー、数え切れないほどのHRV測定を繰り返し、ジムで回復を加速する新しいトレーニング方法をまとめたのです。 ハイパフォーマンスリカバリー(HPR)トレーニング: 身体を回復状態へ移行するトレーニングセッションの数時間後に、身体を回復状態へ移行し、直前の高強度トレーニングの効果を高めます。 血流を刺激回復を早めるのではなく、遅らせるような追加のストレスを与えない範囲で、全ての筋繊維への血液の流れを刺激します。 副交感神経系の活性 — ワークアウト後、数時間でHRVが上昇するようにします。 回復を促進するメタボリックシステムを体内で発達させる — 生活のストレスに耐え、対処する能力を全体的に改善します。 呼吸と動きの質を向上する関節にかかるストレスを減少し、回復を妨げる可能性がある不必要なストレスホルモンの増加を抑制します。 実際に楽しい(かつチャレンジング)HPRは退屈や単調でなく、開始から終了まで30-45分以下であり、あなたの週間スケジュールにも簡単に合わせられます。 非常に効果的HPRセッションの後は、ジムに来た時よりも非常に良い気分でジムを後にすることができます。 遠慮なく言わせてもらいます:真剣にトレーニングに取り組んでいる人は誰でも、プログラムの通常の部分としてHPRトレーニングを取り入れることを始める必要があります。HPRトレーニングは、トレーニング後数時間内に、身体を回復状態へ移行するのを助けるだけでなく、身体をより素早く、効果的に回復状態に移行する能力を高めてくれます。 これはあなたのフィットネスおよび健康に大きな影響があります。 最善の結果を得たいなら、絶対に学ばなければならないスキル 私がキャリアの中で発見した最も大切なことの一つは、身体を回復状態に移行することは技術であるということです。技術は学ぶことができ、適切に発展させるためには鍛えなければなりません。 私が学んだこと(またデータが示すこと)は、体内で回復を請け負っているシステム、すなわち副交感神経系および有酸素エンジン、を発展させればさせるほど、身体の回復の潜在能力が高まるということです。 これはつまり、身体は最終的により高いレベルのストレスに対処できるようになり、疲弊し壊れてしまうどころか、より強くなることができるということを意味しています。軍隊の研究の一流の兵士は、この能力に長けていました。 あなたは特殊部隊にいるわけではないかもしれませんが、あらゆる高強度トレーニングや日常生活のストレスに直面する際には、身体を回復状態へ移行する能力を有していることが非常に重要です。 この能力こそが、まさにあなたのハードワークの結果を生み出すものであり、また、壊すものでもあるのです。
未だかつてない速さで回復するためのトレーニング方法 パート1/3
ハイパフォーマンスリカバリートレーニングの新しい科学 フィットネス業界に携わるほとんどの人は、回復という言葉を聞くと、より多くの睡眠を取る、より良く食べる、常にストレスを抱えないようにするなど、ありきたりなことを考えます。(より新しい流行に傾倒していれば、ホットサウナやアイスバス、フロートタンク、クライオセラピー、瞑想などを考えるかもしれません) もちろん、これらは全て良い戦略です。唯一の問題は:ほとんどの人が、こういったことを一貫性を持って行うことができていないことです。 私はこれまでのキャリアを通じて、常に実際に何が起きているのかという大きな視野で物事を見るようにしてきました。回復について考える時に、私が見てきた一番大きなことは、上述のような戦略は一般的にジムの外で行われるということです。 これは重要なポイントです。そしてこのポイントこそ、私たちが回復にどのくらいの価値を置いているのかを示しており、大抵の場合、いかにそれが口先だけで終わっているのかを表しています。 現在、多くの人のフィットネスに対する取り組みは、全身の力を振り絞り、疲労の限界まで追い込む場であるジムでの時間です。一方で、回復は一般的には課外活動ポイントのようなもので:行えば、いくらかボーナスポイントをもらえますが、主要な課題(ワークアウト)がすでに行われているのであれば重要なことではないと考えられています。 私の記事である、なぜ高強度トレーニングに対する執着が私たちをダメにするのか、をすでに読んでいれば、あなたはすでにこのアプローチにどのような欠点があり、なぜうまくいかないのかを理解しているでしょう。今回は、あなたがこれまで一生懸命行ってきたことの成果をようやく得ることができる新しいアプローチの出番です。 これが、なぜ私が今回、すぐに行うことができ、回復を促進し、より良い結果を得ることができ、ジムに来た時よりもより良い気持ちでジムを後にするための、特別な種類のワークアウトを共有したい理由です。 しかし、詳細について述べる前に、どのようにしてこのワークアウトができたかの背景を知ってもらうことが大切です。 一流のパフォーマーをその他大勢と分けるもの(あるいは、フィットネス業界が知らない軍隊の知恵) 90年代の後半、そして2000年代の初め、米軍は、様々な特殊部隊の「燃え尽き症候群」や疲労についての研究に莫大なお金と資源を投資し始めました。彼らの目的は、なぜ戦場でのストレスをうまく扱える(ナビゲーションスキルを保ち、精確に銃を撃ち、正しい戦略判断をする)兵士とそうでない兵士がいるのかを明らかにすることでした。 この研究の一部として、米軍は、特殊部隊の兵士たちを、選抜や高レベルの戦術訓練コースなど、様々なストレスのかかる期間にわたって追跡しました。 この期間中に、米軍は、様々な認識及びパフォーマンステストを用いて、パフォーマンスを測定するとともに、アドレナリン、コルチゾール、ニューロペプチド Y(NPY)といった様々なストレスホルモン、さらには心拍変動(HRV)を計測、追跡しました。 目標は、ストレスに対処できる兵士と対処できない兵士を隔てる特定の生理的な特性があるのかどうかを理解することでした。 疑いの余地なく、最も突出していたのは心拍変動(HRV)のデータでした。「一流の兵士」-選抜およびサバイバルスクールを通過することができた兵士 -は、ストレスのかかる事象が起こった24時間後に、かなり高い心拍変動(HRV)の値を示しました。 下記の写真を見てください。一流の兵士と一般の兵士を比べた場合、両者のHRVには明確な違いが見て取れます。 「どうして以前は気づかなかったのだろう…?」 数年前に軍の研究を初めて読んだときは、面白いと思いながらも、それほどの驚きはありませんでした。そのデータを再度読み返したのは1年前でした…そして、以前は見逃していたものが飛び込んできたのです。 私が見逃していたのはこの段落です: 「優れたストレス耐性を持つ人は、ベースライン及びストレスにさらされているときのどちらにおいても、有意に異なるHRVのパターンを示していました。HRVのこれらの違いは、ストレスにさらされている最中、及びストレスにさらされた後に行う実際のミリタリーテストや認識神経心理学テストのパフォーマンススコアの予兆となるものです。」 これこそが、私の目に飛び込んできたものです:「HRVのパターン…テストパフォーマンスの予兆となる」 つまり、軍は、HRVの特定のパターンが、ストレスに直面した状態で兵士がうまくパフォーマンスを発揮できるかどうかを実際に予測できることを発見したのです。 このことに気づいた時、私はこの発見をフィットネス業界に応用する方法を見つけなければいけないと思いました。軍が、HRVのパターンにより、兵士がストレス下に置かれた状態で能力を発揮できるかを予測することができるのなら、アスリートにも同様のことができるかもしれないと考えたのです。 これが、私が、フィットネスに関する予測ができるHRVのパターンを見つけるために機械学習-人工知能(AI)の型-を使い始めた経緯です。 世界最大のHRVのデータベース – そのデータが語る物語 2011年の後半にバイオフォースHRVを発表した時、私の目標は、私が過去10年間にわたってクライアントやアスリートに使用してきたものと同じ強力なテクノロジーに、多くの人がアクセスできるようにすることでした。 それまでは、最大3万ドル(約330万円)もするHRVシステムを使っていました。しかし、モバイル機器技術の成長がHRVを全ての人に手が届くものにすることを可能にしました。 その時は認識していませんでしたが、6年以上にわたって数千人から集めた150万を超えるHRV測定のデータベースを構築することは、私が想像していた以上にはるかに価値のあることでした。全ての数字を掘り出して、トレーニング、ストレス、回復、及びフィットネスの変化の関係性に対するより良い理解に役立つ何らかのパターンや傾向がないかを見ていた時、突然あるパターンが浮かび上がってきたのです: 高強度のトレーニングセッションの翌日にHRVに増加が見られる人は、300%高い確率で、その後3~5日間の平均HRV(一般的な有酸素フィットネスレベルの指標)にも増加が見られます。 つまり、私は軍が発見したのと同じHRVのパターンを見つけたのです。データが示していることは、ストレスにさらされた(この場合は高強度トレーニングの)翌日に測定したHRVは、その後数日間のうちに、フィットネスの向上があるかどうかの予測に役立つということです。 なぜそれがそんなに重要なのでしょうか? その答えは、激しいトレーニングセッション後の最初の24時間の回復とその後に得ることができる成果との間の、明確なつながりを示しているからです。 繰り返します。 激しいトレーニングセッション後の最初の24時間の回復と、その後に見られる成果には、明確なつながりがあります。 これはつまり、成果を最大化するために行うことができる最も重要なことは、高強度セッションの直後の24-48時間以内に、私が「回復状態」と呼ぶ状態に身体を移行することです。 これはフィットネスのアプローチとして、高強度のトレーニングセッションをひたすら繰り返すことよりもはるかに重要なものです。 フィットネスの一つの指標に対して、24時間のHRVしか評価できませんでしたが、軍の研究と同じデータを支持することから、この二つの関係性は非常に重要なものです。これは回復がどのくらい重要なのかを表しています。 身体を回復状態に移行する能力は、ハードワークから最大の成果を得ることができるか、それともバーンアウトしてしまうかを真に分けるものです。 しかし、なぜ私がこのパターンが存在すると信じているか、そしてそれがあなたにとって何を意味するのかを説明するために、回復とは一体何であるかについて少し考える必要があります。
HRVスコアを向上させる5つの秘訣 パート2/2
秘訣4:有酸素性運動能力を向上させる HRVと最大酸素摂取量(VO2 max)、そして無酸素性作業閾値に直接的な関連があるのには理由があります。なぜならミトコンドリア(細胞の中にあるエネルギー生産所)の量が増え、機能が向上すると、HRVスコアも高くなるからです。 これは、有酸素性能力の高い持久系スポーツのアスリートが、高いHRVスコアを持っている所以でもあります。 あなたは持久系スポーツのアスリートになることを望んでないかもしれません、しかし疑問の余地なく、HRVを向上させる最速の方法は、コンディショニングを向上させることなのです。 多くの人が沢山のウェイトを持ち上げるようなストレングスやパワーの向上とコンディショニングの向上を同時にすることができると考えていることには、考慮の必要があります。全くの初心者以外において、これはうまくいきません。 フィットネスレベルがある程度のものになれば、トレーニングプログラムはより特化したものになる必要があります。HRVスコアを向上させようとしているのであれば、ストレングスは維持をする程度が好ましいでしょう。多くの方にとって、一般的に週3日40分~60分のストレングストレーニングで、これが可能となります。 フィットネスの能力のエリアを全て同時に向上できると言う人は、座ってばかりの怠け者をトレーニングしてきたか、またはあなたに何かを売りつけているかのどちらかでしょう。人間の身体はそのように単純に働くシステムではないのが真実だからです。 私たちの身体は遺伝子学的に、トレーニングのターゲットが、ストレングスと持久力の連続体のどちらか片方のサイドに絞られた時、より早く能力を向上できるようにできています。もしあなたのゴールがHRVスコアを向上させることなら、一旦、ストレングスをメンテナンスモードにして有酸素性能力の向上に集中した方がいいでしょう。 秘訣:1を参考にするのに加えて、コンディショニングを向上させる方法について書かれている、『The Ultimate Conditioning Guide/究極のコンディショニングガイド』を読んでみてください。 秘訣5:リラックスする 最終的に、より良いフィットネス、より大きい筋肉、より少ない体脂肪などに繋がる、すべての生理学的変化について考えてみれば、これらはトレーニングをしている時に起こるのではなく、休息をとっている時に起こることです。多くの人がトレーニングにどれほどの努力をつぎ込んでいるにもかかわらず、休息や回復に気を配っている人がいかに少ないのかを考えると驚くべきものがあります。 このため、どのような目的のためのトレーニングにおいても、黄金律の一つとして、トレーニングと同じくらいに休息をとることに気を配るべきです。HRVを向上させる場合には、回復を向上させるために一週間のうち少なくとも数時間費やす努力をする必要があるということを意味します。 では、それをどのように行いましょうか? まず最初に、精神的にリラックスできる方法を見つけてください。朝静かに瞑想をしてみたり、気持ちいマッサージを受けたり、暖かいお風呂に入ってみることかもしれません。 重要なのは、リラックスは自然におきることではないということを認識することです;リラックスをするためには、実際に努力をすることが必要であり、それを実際に行っている人がいかに少ないのかに驚かされてしまいます。 まず、あなたが個人的にとてもリラックスできることを3つか4つあげてリストを作ってください。次にスケジュールを見て、いつワークアウトをするのか計画をするように、回復のためのセッションのスケジュールを立ててください。 もしスケジュールの中で、回復のための時間を取っておかなければ、実際に行うことはないでしょう。休息をとることをオプションとして考えるのではなく、トレーニングのセッションと同じくらい重要なものとして考える必要があります。実際、同じように重要なものなのです。 トレーニングでのストレス、もしくは日常生活からの全般的ストレスかどうかに関係なく、過度なストレスは将来、極めて有害なものになるに違いありません。ストレスを減らし、回復と休息を増やすことは単にHRVスコアのために重要なだけではなく、あなたの人生において重要なことなのです。 あなたのHRVスコアはどうあるべきでしょうか? 数え切れないほどのアスリートにHRVを使い、実際に何千もの心拍変動の計測を15年行ってきた経験からはっきりしているのは、HRVスコアはあなたの設定するゴールによって決定されるものだということです。全ての人に違いがあり、全ての人が同じ範囲に入るわけではありませんが、ここにあなたのバイオフォースHRVスコアがどれくらいであるべきかを示す一般的なガイドラインを提示します。 トレーニングゴール バイオフォース HRV 範囲 持久系スポーツ 90 – 100 格闘技系スポーツ 85 – 95 チームスポーツ 80 – 90 身体組成改善 75 – 85 健康増進 75 – 85 ストレングススポーツ 70 – 80 これらはあなたの平均HRVスコアが、ほぼここにあるべき、あくまで一般的な範囲だということを覚えておいてください。日々のスコアに変動があることは正常であり、範囲外になることもありますが、平均値は常にこの範囲内に留まっているべきです。 もしあなたのHRVスコアがすでにこの範囲にあるのであれば、スコアを落とさず維持をしながらパフォーマンスのストレングスやパワーのエリアを向上させるべきです。しかしながら、常にこの範囲を下回っているのであれば、他のことにフォーカスを置く前に、平均値をできる早く適切な範囲にもっていくことが最も重要です。 これまでの5つの秘訣に従いHRVスコアとともに、素早く向上していくその結果を見ていてください。 まだHRVを使っていない方、もしくはどうすれば良い結果を出せるのかをもっと学びたい方は、モーフィアスをご覧ください。
HRVスコアを向上させる5つの秘訣 パート1/2
フィットネスのテクノロジーは、とてつもなくパワフルでより良い結果をもたらすものにもなりえ、あるいは完全なる時間とお金の浪費ともなりえるでしょう。その違いは、自分にとってそれが役立つものにする方法を理解することによって生まれます。世にあるフィットネスのテクノロジーの中でも最も価値のある物の一つである、心拍変動(HRV)を最大限に活用するために、これから述べるシンプルで効果的な5つの秘訣に従い、あなたのフィットネスが内側から変革するのを観察してみてください。 秘訣1:強度よりも頻度 フィットネスを向上させようとするとき、ほとんどのフィットネスの専門家はただ単純に”もっとハードにトレーニングを”と提案します。トレーニング強度の増強は、適切に用いれば重要なツールになりますが、多くの人は完全にトレーニング”頻度”の重要性を軽視しています。 HRVの向上において、特にもしあなたが特定のスコアの幅から数値を変えることができない状態なのであれば、解決する最も簡単な方法の一つは、トレーニングの”頻度”を増やすということです。一旦、あなたの平均HRVスコアが80台前半あたりになれば、少なとも1週間のうち5回(6回が好ましい)トレーニングすることでスコアの継続した向上がみられるでしょう。 それほどの頻度でトレーニングすることは難しいことだ、と思われがちですが、それはおそらく、今までのトレーニング強度が高すぎるからでしょう。 多くのクロスフィッター達が辛い思いをして発見したように、1週間のうちの5日または6日間、高強度でトレーニングすることは、単に不可能です。ここでお話したように、強度の高い運動と低い運動を組み合わせることが、答えになります。 トレーニング強度を低減させながら、頻度を増加させることを試してみてください。HRVスコアを数週間で少なくとも4~6ポイント向上させる見込みは十分にあります。 秘訣2:炎症のサイクルを打破するために栄養学を用いる もしあなたが努力しているにもかかわらず、低いHRVの数値(70以下)のまま停滞しているなら、少なくとも幾らかの慢性的な炎症が起きている可能性があります。 これは、HRVによって計測される副交感神経の働きの一つには、交感神経系によってもたらされる炎症を抑え、制御するということがあるからです。 交感神経によって大きすぎる炎症が引き起こされれば、その結果としてHRVスコアは慢性的に低くなります。これは、HRVスコアが、私たちの健康状態、そして寿命をも予測し得る強力な指標である所以の大きな部分です。 慢性的な炎症は、心臓血管系疾患や脳卒中、そして、体重増加や肥満に至るまで、私たちの身体にとっての殺害者となり得るものだからです。 高いHRVスコアを持つ人は、炎症を制御し鎮静するための能力が良好な状態を意味しており、より健康な状態で、より長生きできる可能性を示す指標となります。 適切なトレーニング管理に加えて、HRVスコアを向上させるもうひとつのシンプルな方法は、栄養の力です。まず分かりきったことですが、まずは高脂肪、高糖質なジャンクフードを減らすもしくは排除し、それらをより健康的なものにおき変えてください。 多くの人は、少量であったとしても、よくない反応を示す食べ物の影響に対して気づいていないようですが、これらを排除することで、即座にHRVのスコアを向上させることができるのです。 何らかのタイプの排除ダイエットや、間欠的なファスティングからスタートしてみるのも良いでしょう。 次に、オメガ3脂肪酸やウーブエンザイム(Wobenzyme)といった抗炎症作用のあるサプリメントを試してみるのもいいでしょう。これら2つのサプリメントを一緒に摂取することで、炎症の軽減を助けることができ、食餌法とともにHRVスコアの向上を刺激してくれるでしょう。 HRVスコア向上させるもう一つの必要不可欠な要素である、ミトコンドリアの機能向上に働きかける幾つかの重要なサプリメントもあります。 秘訣3:睡眠の質を向上させる 毎日の睡眠の量と質がHRVスコアに影響する最も大きな影響であることに疑いの余地はありません。“もっと睡眠をとるように”という当たり前のお説教以外にも、睡眠量にかかわらず、睡眠の”質”を向上するためにできることはたくさんあります。 まず最初に、寝室を完全に暗くすることのできる遮光ブラインドを購入することを強く推奨します。これらは、高価でもなく、簡単につけることができます。もしあなたの寝室がたくさん朝日の入る部屋なら、遮光ブラインドをつけることで睡眠の質をかなり違ったものに変えることができるでしょう。 次に、これもまた分かりきったことかもしれませんが、驚くほど少数の人しか試していないことです。あらゆる手段を用いて、あなたを目覚めさせる可能性のある騒音を最小化すること。私はいつも、コンピューターのボリュームをオフにして、携帯電話もサイレントモードに設定しています。 一晩中なり続ける小さなお知らせ音ほど、睡眠を妨げるものはありません。たとえその音で完全に起こされなくても、睡眠をより浅いものにしHRVスコアを減少させます。”サイレントモード”を毎晩の通過儀礼にしてください。 最後に、これは重要な事ですが、質の良いベッドにできるだけの投資をしてください。 多くの方がトレーニングやサプリメント、トレーニングウェア、ジムの会費、食べ物など、見ためや感覚などには沢山の投資をするにもかかわらず、8時間もしくはそれ以上の時間を、質の悪い安価なマットレスの上で費やしているということには驚かされます。 考えてみてください:人生の3分の1近くは、ベットに横たわって過ごしているのです。適切なベットは人生を変えるような違いを生み出し、健康とフィットネスのための最大の投資となるでしょう。
一般のクライアントたちに対し、シンプルで効果的なコンディショニングプログラムを作成する方法 パート3/3
ステップ4:適切な量と強度を用いる。 疑うことなく、週ごとに適切な量と強度を用いることは、効果的なプログラミングにおいてもっとも重要でありながら、同時に努力を要する部分でもあります。これが極めて重要な理由は、エネルギー恒常性と呼ばれるコンセプトのためです。 エネルギー恒常性は、脳が身体に起こるすべての他のことより優位に、エネルギーの生産と利用を調節するという原則です。体のエネルギー通貨であるATPのコンスタントな供給なしでは、数分以内に細胞もあなたも死んでしまうでしょう。脳が働きのすべては、生存を中心に働き、これが決して起こらないようにしているのです。 脳はエネルギー生産とエネルギー消費の両方をしっかりと調節し、運動やトレーニングはその日にどれくらいのエネルギーを消費したかの大きな構成要素になります。脳がエネルギー恒常性の危険を感じ取った場合(例えば、過剰なエネルギーが使われたとき)、脳の最初の反応は、運動と消費を続けるモチベーションを下げ、同時に食欲とより多くのカロリーを摂取する欲求を上昇させることです。 近年のありとあらゆる高強度トレーニングにおいて、よりよい結果を得るためのキーは単純にもっとやることだと考えることが非常に多くみられるようになりました。より多くの量、より高い強度=よりよい結果…あるいは、そう考えられています。 このアプローチの問題は、しばしばプラトーに陥ることと、典型的な一般のクライアントにとっては単に長期的に持続することが不可能なトレーニングプログラムを作ってしまうことです。 遅かれ早かれ、過剰な量と強度が用いられ、エネルギー恒常性は困難になり、そして脳はモチベーション低下と残念な結果で抵抗することになるのです。 このようなことが起きないようにするためには、まずはじめに、効果的でなおかつ持続可能な週ごとのトレーニングプランを作成することです。用いられる的確な量と強度は様々な要素によって変わりますが、クライアントの現在のコンディショニングやフィットネスレベルに基づいて、非常に多くのクライアントに対して当てはまるシンプルなガイドラインがいくつかあります: 低いコンディショニングレベルのクライアント:30~45分間のアクティベーションゾーンを週3~4日、20~30分間の閾値ゾーンを週1日。 中程度のコンディショニングレベルのクライアント:45~60分間のアクティベーションゾーンを週3~4日、30~40分間の閾値ゾーンを最大週2日まで、15~20分間の酸素摂取ゾーンは週1日以上行わないこと。 高いコンディショニングレベルのクライアント:60分間のアクティベーションゾーンを週2~3日、30~45分間の閾値ゾーンを最大週1~2日まで、20~30分間の酸素摂取ゾーンは週2日以上行わないこと。 これらのガイドラインを頭において、効果的かつ持続可能な週ごとのトレーニングプログラムを構築することは、比較的複雑ではありません。異なるゾーンを週のどの日に集中するのかを決めて、それに従ってワークアウトを計画しましょう。 もちろんストレングストレーニングも組み入れられる必要がありますから、この記事の中で私が設計した原則を使って行いましょう。 最終ステップ:個別化と漸進の熟練者になる 過去10年間、世界中の数えきれない世界級のコーチやトレーナーたちを観察したり一緒に話したりする機会をもち、彼らが皆行っていることで、他の人たちと一線を画していることに一つ気づきました。 彼らが他の人々が知らないようなトップ・シークレットのテクニック、方法、またはエクササイズを使っているというのではありません。そうではなく、彼らはどのように各トレーニングセッションを個別化するか、そして経時的にアスリートやクライアントがどのように絶えず漸進していくかを理解しているのです。 もしあなたが真剣に現場に出ようとしていているならば、これらの二つのスキルを完璧にマスターしなくてはなりません:個別化と漸進です。 これらはあなたが周りに差を付ける能力です。 注意を払い適切な質問をする。各セッションを始める前に、クライアントに調子はどうか、よく眠れたか、食生活はどうか、ストレスレベルはどのような感じか、などを聞きましょう。ウォームアップの間は、彼らのボディーランゲージに注意を払いましょう。疲れて見えますか?よく話しますか?もしくはほとんど何も言わない状態でしょうか?最良のコーチやトレーナーたちは、見て、聞いて、そして知り、あらかじめ計画していたワークアウトを確固として行うのではなく、むしろこの情報を用いてトレーニングセッションを個別化するのです。 テクノロジーを味方につける。どのように効果的にテクノロジーを使うかを知ることは、結果に非常に大きな影響を与えうるあなたのコーチングに一つ層を加えることができます。テクノロジーの役目は、あなたが得られることがなかった情報を提供することであるべきです。その情報を用いることで、より精通したトレーニング判断をすることができます。心拍変動のような強力なツールは、あなたにクライアントの回復に関する識見を与え、量や強度を個別化する手がかりとなります。PUSHバンドのような他の高技術ツールは、バーのスピードやパワーについての有効な識見を与えることができます。テクノロジーは無くなるものではなく、もしあなたがクライアントに出来る限り最善の結果を得てほしいと考えているのならば、テクノロジーを取り入れ、あなたの強みとして用いることを学びましょう。 プログラムを変更することを恐れない。しかし変更する理由を持ちましょう。現場に出たての経験の少ないトレーナーたちは、しばしば流れにまかせてワークアウトを作成実行し、本来の計画やプログラムがないことがあります。平均的なコーチたちは、トレーニングプログラムを作成するために時間を割き、その文字通りに沿って実践します。最高のコーチやトレーナーたちは、データによって補強された彼らの識見や経験を用い、何が働き何が働いていないのかを判断し、その上で必要に応じて変更をします。トレーニングプログラムは道路地図のように考えられるべきですが、もしクライアントを正しい方向に導いていないのであれば、左折することを恐れてはいけません。ただなぜあなたがそうしたかを理解しましょう。 各セッションの中での小さな漸進に注目する。もしあなたが一般のクライアントについてきてほしいと思うならば、避けられない真実として、彼らは漸進をみなければならないということがあります。彼らは一生懸命働いて得たお金と大事な時間をあなたに投資しているのです。もし結果が行き止まり、何も起こっていないと感じるようであれば、彼らが去るのは時間の問題です。私たちは皆、結果が直線であることはほとんどないことを知っています。しかし漸進は、たとえそれが小さな程度であっても、各ワークアウトの中で様々な形で得られるのです。たとえそれがこれまでよりたった5パウンド多く、2回多く、またはもう1セット多く持ちあげられただけでも、どのような漸進の感覚でも、まったくないよりよいのです。ワークアウトを通して、そして最後に、得られた漸進を振り返り、各ワークアウトから次回にかけていつも小さな進歩を得る努力をしましょう。 次に行うこと 1. コンディショニングは誰にでも重要だと理解する。心循環系疾患や脳梗塞、そしてその他の病気の疾患率が空前の高さにある中、フィットネスの専門家がどのように効果的なコンディショニングプログラムを作成し指導するかを理解することは必須です。 2. 成功するコンディショニングプログラムを作成するための4つの主なステップに従う: 心拍数(もしくはHRV)を計測し、12分間コンディショニングテストを実施し、運動後60秒間の心拍数回復を計測することで、コンディショニングのベースラインを確立する。 モチベーションと従順を高めるために、成果のゴールと過程に駆動されるゴールの両方を立てる。 目標心拍数ゾーントレーニング、具体的にはアクティベーションゾーン、閾値ゾーン、そして酸素摂取ゾーンを取り入れ、コンディショニングプログラムを個別化する。 クライアントを次に挙げるフィットネスレベルごとにグループ分けをし、適切な量と強度を用いる:低、中、高レベル。
一般のクライアントたちに対し、シンプルで効果的なコンディショニングプログラムを作成する方法 パート2/3
ステップ2:スタートから正しいゴールを定める。 一旦ベースラインが確立されたら、次のステップはそれらのベースラインの数値を使ってクライアントのための具体的なゴールを定めることです。ここで用いる戦略は、二つの種類のゴールを含んでいます:成果に基づくものと、過程に駆動されるものです。 成果に基づくゴール 成果に基づくゴールはまさにその通り、クライアントが達成したいと願う具体的な成果のことです。効果的な成果に基づくゴールを定めるために2つの重要な要素があります:まず成果に基づくゴールは、あいまいでおおざっぱというより、計測が可能で具体的である必要があります。『コンディショニングを改善する』というゴールを立てる代わりに、より良いゴールは、『安静時心拍数を67ではなく62にする』や『12分間テストで1.2マイルではなく1.5マイル走れるようになる』というようなものになるでしょう。 クライアントにこれらのゴールをワークシートやワークアウトバインダー、もしくは毎回トレーニングセッションに持って行く何かに書かせましょう。このような、具体的な目標を達成するための計測可能で成果に基づくゴールのタイプは、クライアントのトレーニングに対するモチベーションをより維持する傾向にあります。 (ここでもう1つのポイントは、ゴールがクライアントにとって実現することが現実的であることを常に確かめることです。実現不可能なゴールを立てることほど、大きなモチベーションキラーはありません。ですから、何が達成可能で何が達成不可能かについて、現実的でありましょう。実現不可能だと知っていながら、相手が聞きたいと思っていることを伝えることは決してしないことです。) 過程に駆動されるゴール もう1つ定める必要のあるゴールのタイプは、過程に駆動されるものです。これらのゴールのタイプは、しばしば見過ごされています。なぜなら、皆求めている成果にただ集中したいからです。 過程はクライアントのゴールにたどり着くための道すじであり、日々クライアントをゴールに向かって駆動するものです。その過程には、週何回のトレーニングセッションが行われるべきか、どのような種類の栄養戦略に沿うべきか、などのことがらが含まれています。クライアントがゴールを達成するためになされなければならないトレーニングや栄養、また生活習慣に関係するすべてのことは、過程の一部として見なされるべきです。 一般のクライアントにとって、3つの最も重要な過程の要素は: 必要とされる週当たりのトレーニングセッションをこなすこと 適切な量の高品質の食事をとること、そして 十分な睡眠を取ること クライアントに、『毎週5日、60分間のトレーニングを行う』や『毎晩最低8時間の睡眠をとる』というような過程に駆動されたゴールを立てさせることは、単にどこに向かって行きたいのかということよりもむしろ、実際どのようにたどり着くかということに確実に集中させることに成功するでしょう。 ステップ3:『目標心拍数範囲トレーニング』でコンディショニングプログラムを個別化する。 コンディショニングにおいて、もし人々がしばしば困惑するものが一つあるとしたら、それは心拍数ゾーントレーニングでしょう。すべての異なる心拍数モニター、そして異なる専門家や器具製造会社による様々なゾーンの体系を見ると、なぜそれほど困惑するのか容易に理解できます。 本当は、多くのこれらのゾーンに基づくシステムは30~40年前に開発されたもので、ほぼ時代遅れなのです。 繰り返しますが、最善の戦略は物事をシンプルに保つことです。そして私からのアドバイスは、よく使われている5つのゾーンを避け、その代わりに3つのゾーンのみに絞ることです。多すぎるゾーンを用いてそれぞれのゾーンが何をするかを説明しようとし、それを中心にプログラムを構築しようとすることは、99%の時間をかける価値があるというよりもむしろ問題です。 一般の人たちのコンディショニングプログラムを立てるために、私は典型的に下記の3つのゾーンを用います: ゾーン1:アクティベーションゾーン。この第一のゾーンは最も低い心拍数で、心拍出量やテンポ・インターバルのような低強度の方法を用いるときに主にいるゾーンです。より多い量を用いることが可能なように、心拍数が十分低いものでありながら、低すぎて実際のトレーニング効果がなくならないようにするということです。各個人の年齢やフィットネスレベルにもよりますが、このゾーンはほとんどの人にとって通常約120~150の間にあります。フィットネスレベルの低い人たちは、もちろん範囲の下の方寄りにトレーニングをし、フィットネスレベルの高い人たちは、範囲の上の方寄りにトレーニングをする必要があるでしょう。およそRPE(自覚的運動強度)6くらいのペースで行いましょう。このペースでは会話をし続けることが可能なはずです。 ゾーン2:閾値ゾーン。このゾーンはアクティベーションの上にあり、おおよそ、その人の無酸素性作業閾値範囲くらいまでを指します。もしクライアントが正しく12分間テストを行ったのであれば、最低でもテストで行ったエクササイズに関しては、あなたはこの範囲がどこに当たるか大体の見当が付くはずです。 個人の閾値を推定するもう一つの方法は、RPE(自覚的運動強度)を用いて、運動中に話す能力を見ることです。もしその人が閾値ゾーンにいるならば、彼らは会話のやりとりを維持することはできなくなるペースで運動しているはずです。いくつかの単語をつなぎ合わせたり質問に答えたりはできるはずですが、もしそれ以上のことができるのであれば、彼らの心拍数は低すぎるということです。 閾値ゾーンはRPEの7~8あたりで、平均的なフィットネスレベルの人たちのほとんどに対しては、一般的に心拍数150代から160代半ばほどでの運動になります。もちろん、もっと高いフィットネスレベルや閾値を持つ人々はもっとより高いところになることもあり得るでしょうが、一般のクライアントの中ではまれです。 ゾーン3:酸素摂取ゾーン。これは心血管系全体が最大量の酸素を身体中に送るため最大限に働く、最も高いゾーンです。この地点にたどり着くには、たくさんの量の筋肉量が使われ、数多くの筋繊維がすべてが活動し酸素を要求していることが必要です。このことは、酸素摂取ゾーンが最大心拍数の90%以上であることを意味します。 最大心拍数が200である人の場合、酸素摂取ゾーンは180から最大200までとなります。このくらい高い心拍数でのトレーニングは非常に疲労するため、RPE(自覚的運動強度)は9~10となるでしょう。 一般のクライアントに対して必要な酸素摂取ゾーントレーニングは、ほんのわずかな量です。(そしてまったく体力のない人には、酸素摂取ゾーントレーニングをする必要はまったくありません。)また、クライアントがこのゾーンにいるときには常に適切なテクニックに注意を払うことが、安全と効果的なコンディショニングの発達の両方にとって重要です。
一般のクライアントたちに対し、シンプルで効果的なコンディショニングプログラムを作成する方法 パート1/3
史上最高の名レスリングコーチの一人であるカール・ゴッチは、かつて「コンディショニングは君のホールドだ」と言ったことがあります。これは、良いコンディショニングは相手に対して強力な武器になる、という意味です。 しかし、もしあなたが対戦相手に向けてトレーニングをしていなかったらどうでしょうか?もしあなたが、ただビーチで見た目がよくなりたい、または病気や障害なく長生きをしたいだけだったら? それでもあなたはコンディショニング(俗にいう『カーディオ』)が必要でしょうか?もしそうであるなら、できるだけ最善の結果を得るためにとる最善の方法はなんでしょうか? それがまさに、この一般の方々のための究極のコンディショニングガイドで私たちがお話することです。 『カーディオ』から更に先に進む時が来た:なぜ非アスリートにコンディショニングが重要なのか 大事なことをまず第一に:コンディショニングはアスレティックパフォーマンスだけなくそれ以上のものです。たとえば、コンディショニングはあなたやあなたのクライアントを助けることができます: 炎症を低減する。高いレベルのコンディショニングは、身体の持つ最高の抗炎症経路の一つである迷走神経の機能向上を促進させることで、炎症を抑えます。 長生きする。最高のコンディショニングである長距離選手たちは、運動をしていない人たちに比べて最長7年も長生きすることが示されています。 体脂肪を燃やす。コンディショニングは脂肪の燃焼炉であるミトコンドリアの数とその質を向上させ、体組成の改善を支えます。 病気のリスクを下げる。数多くの研究によって、有酸素能力と最大酸素摂取量は、心肺系疾患や脳梗塞、そして他のよく見られる致死性の高い病気のリスクを減少させることが示されています。 記憶力の向上。コンディショニングは認知力を向上させ、記憶力の低下を防ぎ、意思決定に関連する脳の領域における機能のサポートの手助けをすることができます。 唯一の問題は、多くの人々(多くのフィットネス専門家を含む)が適切にコンディショニングをトレーニングしていないということです。彼らは終わりのない高強度のインターバルをするか、もしくはまったく何も行わないかのどちらかです。 しかしながら、心肺系疾患や脳梗塞、その他の病気の上昇を考えるとき、コンディショニングはまさしく生か死かの問題となりうるのです。特に、フルタイムの仕事をもって働き、ストレスに溢れ混沌とした生活を送っている一般のクライアントを指導する時に。 私はすべてのフィットネス専門家が、どのように基本的なコンディショニングプログラムを作成し指導するかを理解すべきだと信じています。私が、一般のクライアントに対して用いる最も効果的なストラテジーだと見つけたものをシェアしたい理由はこのためなのです。 ステップ1:コンディショニングのベースラインを確立する。 一般のクライアント、アスリート、また他のどのような人に対しても、すべてのコンディショニングプログラムを始める最初のスタートは、コンディショニングのベースラインを確立することです。これはしばしば見過ごされる非常に重要なステップですが、このベースラインなしでは、コンディショニングが改善したかどうかを知る真の方法はありません。つまり、クライアントは恐らく進歩がまったくないように感じてしまうために、彼らにとってフラストレーションがたまりやすくなってしまうということです。 コンディショニングをテストし計測するいくつかの異なる方法は存在しますが、一般のクライアントに対しての鍵は、ものごとをシンプルに保つということです。 過度に複雑な、難しい、あるいは時間のかかるテストは、ほぼ不必要であり、シンプルな解答より更に意義深い情報を与えてくれるわきでもありません。 1. 安静時心拍数と(もしくは)バイオフォースHRVスコアを計測する:安静時心拍数と心拍変動は、一般的なコンディショニングの最良の生物測定指標であり、最大酸素摂取量やその他の有酸素的フィットネスの計測値と非常に良く相関します。さらにいいことに、それらの計測は非常に素早く簡単です。時間の経過とともに、安静時心拍数やHRVの傾向は、コンディショニングが向上していることを示す強力な指標です。もし心拍変動になじみがなければ、ここをクリックするとより多くの情報が得られます。 2. 12分間運動能力テストを行う:12分間中に行える最大の運動量は、単に全体のコンディショニングレベルの優れたパフォーマンス指標であるだけでなく、この後詳しく触れますが、目標心拍数範囲を決めるのに非常に役に立ちます。テストを正しく行うための二つの鍵は、適切なエクササイズを選択することと、始める際に正しい説明を与えることです。 フィットネスレベルの低い人たちには、バイク、エリプティカル、またはほかの低強度の運動を選択すべきです。フィットネスレベルが平均またはそれよりも高いレベルの人たちには、ランニングが一般的に選択されます。いったんエクササイズを選択したら、クライアントには、運動している間正しいフォームとテクニックを維持できる中で、できる限り最大ペースで臨むように伝えるべきです。テクニックを維持することは、コンディショニングの非常に重要な要素なので、テストはクライアントがこの環境の中でどれくらいの運動を行うことができるのかを反映すべきです。 3. 平均心拍数と60秒間後の心拍数回復を記録する:12分間テスト中に心拍数の二つの計測値を見ることは、多くの貴重な識見を提供することができます。まず、12分間を通しての平均心拍数は、クライアントの無酸素性作業閾値のおおよその値を与えることができます。その値は正確なものではありませんが、そもそも閾値という単語自体、少々紛らわしいのです。本当は、閾値は常に一つの数字というよりも範囲なのです。テスト中のクライアントの平均心拍数は、この範囲の傾向に関する一般的なアイデアを与えてくれるでしょう。 テストが終わった直後、クライアントを座らせて、60秒の間に心拍数がどれだけ低下するか、60秒間の心拍数回復を記録します。これはクライアントの全体的なコンディショニングレベルの効果的な計測であり、包括的な健康とウェルネスに非常に重要となる副交感神経機能のレベルと関わっています。
より良いパフォーマンスと回復のための呼吸ストラテジー パート2/2
動きと回復を改善する3つのシンプルな呼吸エクササイズ マイク・ロバートソンです。 私は、今しがたパフォーマンスとリカバリーにおいて呼吸がどれほど大切かについて話し終えたビルと共に、IFASTの共同経営者です。 私はおよそ18年前に健康及びフィットネス業界での仕事を始めました。これまでに、すべてのメジャースポーツのプロアスリートと働く機会に恵まれ、彼らのパフォーマンス、及び健康を、次のレベルへと進める手助けをしてきました。 でも、堅苦しいことはこのくらいにして、みなさんがここにいる真の理由に戻りましょう:動きを改善し、回復を促進するための呼吸の使い方です。 ビルは、なぜ適切な呼吸のメカニクスが、最適な動きと回復にそれほど重要なのかをとても上手に説明してくれました。 次のステップは、適切な呼吸のメカニクスを教えるために、あなたのプログラムに特定のエクササイズを取り入れることです。不思議に聞こえるかもしれませんが、多くの人々 -あなたが見ているクライアントやアスリートを含め- は、効果的ではない呼吸をしています(少なくとも理想的ではない)。 ビルが上述したように、良いニュースは、呼吸は、健康、フィットネス、パフォーマンスプログラムなどの構成要素と同様に、鍛えることができるということです。 ここで、今すぐに始められるエクササイズを紹介します。 ベア呼吸 床に四つん這いになる 手は肩の真下、膝は股関節の真下に位置する 床から身体を離すように、肩甲骨の間にストレッチを感じるまで、腕を通じて床を押す 脛が床と平行になるように、床から膝を持ち上げる このポジションを保ち、鼻から吸って、口から吐く、充分な呼吸を3-5回する 数秒間、リラックスして自然な呼吸をする 上記を3-5回繰り返す 壁呼吸 壁を背にして立ち、足は腰幅に開いて、壁から10-12インチ(25-30cmくらいのところに位置する) 骨盤を後傾し、壁に対して下背部を平らにする 上背部を前方へ丸めながら、両手を前方へ最大限伸ばす このポジションを保ちながら、3-5回呼吸をし、リラックスする 3-5回繰り返す 前腕プランク呼吸 床にうつ伏せになる 手のひらを床に向けて、人差し指と親指でダイアモンドの形を作るようにして、手を顔の下に位置する。 前腕を通じて押し、肩を前に押して、胸とお腹を床から持ち上げ、体重が前腕と恥骨のみに乗っているようにする この上向き姿勢を保ちながら、鼻から吸って、口から吐く、完全な呼吸を3-5回します スタートポジションに戻る これを3-5回繰り返す。 これらの回復呼吸エクササイズにおける素晴らしい点は、ほぼいつでも行うことができることです。 これらのエクササイズは、動的なウォームアップやクールダウンに取り入れるのも非常に簡単で、ジムの以外の場所、自宅でも行うことができます。ビルが述べたように、こういった種類の呼吸を数分行うと、副交感神経系を活性することができるため、より緩んで、リラックスした状態になることに気がつくでしょう。 日常のルーティンの中にこれらのエクササイズをいくつか組入れてみてください。すぐに違いを感じることができるでしょう。
より良いパフォーマンスと回復のための呼吸ストラテジー パート1/2
数年前、私は取り除くことができないと感じる慢性的な肩の痛みを抱えていました。 私は、その肩の痛みを治すために、よくある方法をいろいろと試しました:アクティブリリース、様々な種類のマッサージ、電気刺激、その他考えられることの全てを。そのどれもが、短期間の痛みの緩和をもたらす以外は、ほとんど役に立ちませんでした。 数日後には、元の状態に戻ってしまいました。 数ヶ月後、私はビル・ハートマンとマイク・ロバートソンのセミナーを受講していました。彼らに、私が肩に抱えている問題、知り得る全ての治療法を試したこと、それでもまだ痛みがあることを説明しました。 ビルの答え?より良い呼吸をすること。 彼は、私をテープルの上に載せ、素早い評価をし、一連の呼吸エクササイズと数種のモビリティードリルを紹介しました。「よし、じゃあ立ち上がって、肩を動かして、どう感じるか教えて」 私は立ち上がって、肩を動かしました、すると…痛みがなかったのです。 もちろん、私は一連のエクササイズが効いたことに感動しましたが、それまでに試した全ての方法と同じような結果になるだろうと思っていました:一時的な緩和をもたらしても、数日後には痛みが戻ると。しかし、数日が経っても、数週間が過ぎても、痛みが戻ってくることはありませんでした。 ビルは、何ヶ月も私に取り憑いていた、時には物凄く痛み、眠ることさえできなかった障害を、たった数分で改善することができたのです。 それは、私が初めて呼吸の大切さに触れた機会であり、ビルとマイクは、他にほんの数名しか意識さえしていない健康とフィットネスの側面をカバーしていることがわかりました。 過去数年にわたり、私は、パフォーマンス、回復、一般的な健康においてさえも、呼吸がどれほど重要な役割を担っているかについて学んできました。適切に呼吸をする方法を学ぶことから、文字どおり全ての人が恩恵を受けることができます。もしあなたがコーチまたはトレーナーなら、これはあなたのクライアントにとっても人生を変え得るものでもあるのです。 これこそが今日、より良いパフォーマンスとリカバリーのために適切に呼吸をする方法について、深く話すために、私がビルとマイクを招待した理由です。 ビルとマイクは、インディアナポリスフィットネス&スポーツトレーニング (IFAST)という、メンズヘルスマガジンによるアメリカのジム、トップ10に、過去6年間で3回ランクインしている施設を所有しています。 ビルから始め、その後にマイクから聞きますが、まずここに、呼吸ストラテジーがどのようにリカバリーを改善できるかを説明する短い動画があります。 現在のパフォーマンスとリカバリーのモデルは破綻している(人間はなぜ機械ではないのかの理由) 皆さんこんにちは、ビルです。IFASTフィジカルセラピーのオーナーとして、またインディアナポリスフィットネス&スポーツトレーニングの共同経営者として、私は、他の形式の治療では改善できなかった痛みを持つ人々の解決方法を見つけています。 プロアスリートから一般の人々まで、彼らが皆、調子の良い、痛みのない身体を取り戻し、パフォーマンス及び健康を最適化できるように取り組んでいます。 今日の私の目標は、呼吸がどのように動きやリカバリーに影響するのかに対して簡潔な概要を与え、局所から全体の回復へとつながるパフォーマンスモデルを提供することです。 パフォーマンス(または動き)と回復となると、コーチやトレーナーの多くは、決定的要素として筋系に注目する傾向があります。大抵はこんな感じです: パフォーマンス、または体組成(あるいは両方)を向上するために、より大きく、より強く、より調整され、よりパワフルにしたい筋肉に適切な刺激を与えます。 ワークアウトや競技の間に十分な休息を取り、関わった筋肉の修復に必要な栄養素を身体に与え、必要な時にまた仕事ができるように準備します。 少なくともこの大半を正しく行う事で、物事は、あなた、またはあなたのクライアントやアスリートにとって良い方向に向かいます。単純でしょう? この通りなら素晴らしいです。問題は、人間は機械ではないという事です。個々のパーツの集合として身体を見ることができるほど、単純ではないのです。 パフォーマンスと回復を、筋系に対して純粋に局所的なものとして捉える事は、単純に不十分なのです。 実際には、身体は多くのサブシステムにより繋がっていて、それぞれが、パフォーマンス、回復、そして全体的な健康に対して重要な役割を担っています。筋系の動きと回復を最適化しようとすることは、パズルの一つのピースにすぎないのです。 動きと回復のためのより良い、より完全なアプローチは、一つのスーパーシステム – または「ヒューマンシステム」に集約するそれぞれのサブシステムを考慮し、統合されたモデルを通して物事を見ることです。 これらのサブシステムそれぞれが、他のサブシステムのパフォーマンスの成果とそこからの回復の両方を管理し、促進する能力に影響を与えます。 動きと回復の最適化における最初のステップは、すべてが筋系に始まり、筋系で終わる時代遅れのモデルから脱却し、身体の様々なサブシステム全てを考慮した、統合されたモデルを採用することから始まります。 すなわち、私たちは、個々の部分の寄せ集めとして身体を見ることをやめ、相互に連結し、共に働く、密着したシステムの集合体として身体を見ることを始めなければなりません。 この転換ができたら、次のステップは身体の様々なサブシステム全てが大切であると理解することですが、私は、そのうちの一つが他のすべての土台であると考えています。 (効果的に)呼吸をしていない時に悪いことが起こる 健康とパフォーマンスの「パズル」の最も大切な二つのピースである、動きと回復を最適化することにおいて、適切な呼吸の仕組み以上に大切なものは他にありません。 呼吸は、他の全てのサブシステムが健康に働くための土台であるにも関わらず、動きとリカバリーという側面において、最も十分に使われておらず、最も軽視されている部分です。 カレル・ルウィット博士はかつて言いました:「呼吸が正常化されていなければ - 他のどの動きのパターンも正常化できない」 呼吸が不十分だと、少なくともある程度は、他の全てのことが良い状態ではなくなります。適切な呼吸はそれほど大切なのです。 呼吸を正しく行うことができれば、身体の他の全ての「システム」が、最適な動きと回復を促進するために共に働く原材料があることになります。 動きやパフォーマンスという観点からすると、これは当然であるべきです。 もし、効果的に、効率的に呼吸をしていないとすれば、最も基本的な要求が酸素の効果的な活用である運動において、どうして良いパフォーマンスが期待できるのでしょうか? 呼吸の流れの力学的効果、及び、呼吸がどのように動きを損ない、あるいは促進するのかについては、いくら強調してもしすぎることはありません。不十分な呼吸パターンにより、姿勢や動きの質が損なわれ、やがてエクササイズや競技における非効率的な動きにつながり、パフォーマンスは、本来行うことのできるレベルから明らかに減少します。 呼吸は、筋骨格系のポジションを変えることにより、動きのパターン、姿勢、痛み、またパフォーマンスに影響し、肺の膨張不足、または過膨張につながる気流の制限を招き、動きを制限する力学的障壁を作り出します。 すなわち、まさに本当の意味で、パフォーマンス及びエクササイズ時に最適に動くことができることは、効果的に呼吸ができる能力に起因しているのです。 回復も同様に、悪い意味で影響を受けます。最適な回復について本当に理解するためには、筋肉を通り越えて、神経系を観察しなければなりません。 神経系の回復は、動動系への出力をもたらす能力の再獲得に関わる強力なインフルエンサーです。しかし、健康を維持する能力と同様に、こういった局所における適応が起こることを可能とする、幾つものサブシステムの反応に与える影響にも基づいて考慮をしなければなりません。 神経系が慢性的な疲労を抱えていると、あなたが計画したトレーニングプログラムやコンディショニングプログラムがどんなに「効果的」であるかに関わらず、「トリクルダウン(流れ落ちる)」効果により、成果は最適状態には及ばなくなります。 例えば、強力に活性された、硬直した、適応しにくい神経系は、他のシステムの能力にも同様の低下をもたらす可能性のある広範囲の影響を持ちます。 自律神経系が無理を強いられ、交感神経系優位な状態に居続けると、ストレスホルモン過多となった血液循環が、エネルギーの修復メカニズムが効果的に働くのを遅らせるかもしれません。これにより、消化が阻害され、必要なエネルギーや栄養素の吸収が制限されることにもなりえます。 忘れないでください:全ては相互に繋がっているのです。 「交感神経支配」にあることは、免疫システムが炎症を管理する能力を弱め、軟部組織が肥大化する能力や、順応して再建する能力を低下させます。 やがてこれは、腱などの組織の退化を招き、最終的に怪我につながります。 簡潔にまとめると、過度な負担、過度なストレス、疲労にさらされた状態のために、神経系が、より「交感神経支配」状態にあればあるほど: 身体が動きを促進することに対して非効率的になります(例 ワークアウトや競技時のパフォーマンスが、「理想的な」生理学的環境下で可能なパフォーマンスに及ばない)。 身体が、ワークアウトセッションや競技の後に回復プロセスを促進する能力が低くなります(つまり、身体は低いレベルの疲労状態に居続け、次回のワークアウトや競技でのパフォーマンスが代償されます。またそれが長期にわたって続くと、全体的な健康にもマイナスの影響を与えます)。 身体により多くの「ストレス」がかかると、神経系への要求はより大きくなります。神経系に過度に負担をかける要因となるものには下記が含まれます: 貧しい睡眠習慣 長引く健康問題(たとえ「少し」でも) 悪い食事の選択による必要栄養素の欠如 やる気に満ち溢れた、忙しい、「絶対諦めない」タイプの人であること フィジカルトレーニング/コンディショニング(そうです、核心的な部分ではエクササイズは身体にとって「ストレス」です) 望ましくない呼吸パターン もちろん、これらストレスの環境的、行動的側面のそれぞれに取り組むことは大切ですが、もし私が、これらに「優先順位」を作らなければならないとすれば、良い呼吸のパターンを発達させることが常に最上層にくるでしょう。 回復に関して言うと、適切な呼吸は、神経系をストレスにさらされた交感神経支配状態から、より修復的な、回復基盤の副交感神経支配状態へと移行することを可能にします。結論はこうです:エクササイズや競技時に最適に動き、かつ回復を促進するためには、あなたの神経系状態を確認しなければなりません。 良いお知らせ? 呼吸は、筋肉や、他の健康及びフィットネスの構成要素のように「鍛える」ことができます。より良い呼吸のメカニクスを発達させることにより、時間とともに、無理を強いられてきた神経系の結果を望ましい状態に変えることができます。 練習をすれば、効果的な動きと回復プログラムの一部として、クライアントやアスリートは、パフォーマンスを維持するために、練習のセットの繰り返しの間に回復を促進することができるとともに、健康と長期間という観点から、より良い回復をする能力を向上することができます。