マイクロラーニング
隙間時間に少しずつビデオや記事で学べるマイクロラーニング。クイズに答えてポイントとコインを獲得すれば理解も深まります。
コンディションを向上させたいなら、止めるべき3つのこと パート1/2
コンディションを改善したいと望む動機が何であろうとも、より良いシェイプになるために何をすべきなのかを正確に理解しようと試みて、インターネットや8weeks Outのようなサイトを調べまわっていることでしょう。そして、山のような情報を見つけているのは間違いないと思います。 コンディションを改善するためにするべきだと、私が伝えたことのすべては、時間もかかり、圧倒されてしまいやすいのは分かっています。 そのため、コンディションをピークに持っていくための、さらなるヒント、トリック、そしてルールを教えるよりも、今日はその反対のことをしようと思います。 この記事では、あなたがコンディションを改善したいのであれば、止めるべきことを正確に伝えています。コンディショニングに関しては、時にはより少ない事がより良いという真実があるのです。 では、始めましょう。 1. 高強度インターバルトレーニング(HIIT)のみを行うことは止める ここ数年にわたって、HIITはトレーニング業界での主流になってきました。信奉者たちは見ればわかります:トレーニングの半分くらいは心臓がいまにも爆発しそうで、本人たちは、死にそうに感じています。 痛み無くして、得るもの無し、でしょう? これを少し聞き慣れ過ぎているのかもしれません。 HII のみのトレーニング提案者達は、彼らの信念とトレーニング方法を次のような論理的根拠で説明することが多いようです: 研究では、高強度インターバルトレーニングによってより良い結果が得られた事が示されています。 ゆっくりとした方法では時間がかかり過ぎてしまう;努力に見合う最良の結果が欲しい。 私がしているスポーツや運動は、ゆっくりとした有酸素的なものではなく、爆発的で無酸素的なことが要求される。 この主題については数多くのよい研究があり、さらに少し深く掘り下げると、次のことが分かります: はい、HIITは有酸素フィットネスを向上させる素晴らしい方法であると言えます(ほとんどのケースでは最大酸素摂取量の計測がされています)。しかし、 それらの上昇は、あまり長く続きません。 このことを実証する私のお気に入りは、低・中強度の方法の重要性を軽視する情報として、真っ先に引用されるものの1つである、悪名高いタバタリサーチに由来します。 タバタの研究によると、インターバルトレーニンググループは、定常状態で有酸素運動をしたグループと比べて、最大酸素摂取量の改善がより早く見られたと報告されています。 しかし、それらの向上はたった3週間後に横ばいになりました。一方、定常状態のグループでは、実験期間全体を通して最大酸素摂取量の増加を継続してみることができたのです。 この研究が、他の何かと同様に、結果のまとめ方の背景にあるものの重要性に関しての議論でもありますが、長期間HIITのみを使用することの欠陥を証明するものでもあります。 このトレーニング方法の継続した使用は、プラトーと停滞という結果となるでしょう−たとえあなたが、自分で限界まで追い込んだと感じていたとしても。 私は、ハードにトレーニングするべきではないと言っているわけではなく、インターバルトレーニングを使用するべきでないと言っているわけでもありません。ただ、それのみをコンディションのために行うのであれば、止める必要があると言っているのです。テンポインターバルのような中等度の運動や、心拍出量法のようなさらに低強度な方法をトレーニングに導入することから始めましょう。 より長い期間コンディションの向上を楽しむだけでなく、限界を超えてオーバーリーチングやオーバートレーニングへと押しやってしまう疲労蓄積の影響の回避を促すことにもなるのです。 そのことが“ゆっくりした方法では時間がかかりすぎる”という不満に対する私の答えにつながります。低・中強度の方法はHIITよりも時間がかかりますが、そのことが、より長期間にわたり、より一貫した向上をみることができる理由の一部分になります。 コンディショニングを継続して漸進させるためには、時間と労力が必要です。1日に数分で身体を最高の状態へもっていくことができると提言している人は誰であれ、あなたに何かを売りつけようとしています。 あなたがしているスポーツが爆発的な力を要求しているため、低・中強度の方法を使用すべきでないという考え方は理にかなっているようですが、実はそうではありません。 大部分のスポーツでは、瞬発的で爆発的な一瞬の動きの後に続く、アクティブな“レスト”を必要とします。このような場合、有酸素、無酸素エネルギーシステム両方を十分に発達させること必要になります。 例えば、MMAのファイターは、すべての打撃を全力で放つことはありません。パンチやキックはかなりの回数繰り返しますし、最大下の力で放ちます。 すべての打撃を全力で打ち込んでしまうと、1ラウンド中に燃料切れになってしまうでしょう。 短距離走のように、完全に爆発的なスポーツであったとしても、低・中強度のエクササイズは必要になります。それらのエクササイズをすることで、著しい疲労を蓄積することなく、仕事量を増加することができるでしょう−競技シーズンを通して健康で高いパフォーマンスを維持したいのであれば必須になります。 要するに私は、すべてのワークアウトを毎回全力で行わないためのフリーパスを差し上げているのです。トレーニング週の中で、高強度メソッドを使用する場面があるように、低・中強度メソッドにもその場面があるのです。 鍵となるのは、トレーニングセッション間でしっかりと回復させながら漸進させ続けていくためにバランスをとることです。私は未だに、HIITのみでこのバランスをとることに成功した人物に出会ったことがありません。 行動: もし現在高強度インターバルトレーニング以外何も行っていないのであれば、それらを削減し、まず下記の2つの方法を加えることから始めてください。たとえトレーニングで常に死にそうな感覚がなくても、突然コンディションが改善され始めることに驚くことを約束します。 心拍出量 (Cardiac Output) 心拍数 130-150 30-90 分 自重や低負荷のエクササイズをサーキット形式で行う テンポインターバル (Tempo Intervals) 最大努力の70%のレベルで 8-10 秒ワーク後、60 秒のレスト(レスト中にできるだけ心拍数を低下させる) 8-16 反復 ランニング、バイキング、スイミング
コンディションを向上させたいなら、止めるべき3つのこと パート2/2
2. 筋力と持久力を同時に向上させようとすることを止める 次の“禁止”はもっとも一般的に間違って利用されているもので、どのように身体がトレーニングに適応していくのかについての誤った情報が多くありすぎることが主な原因です。 無尽蔵に持久力を伸ばしながら、同時に除脂肪筋肉量を増やせると信じたくない人がいるでしょうか?売りやすいアイデアですよね。 ここに問題があります:身体はそのように働かない。 ワークアウトする時、そのトレーニングは身体の反応を惹起させる信号として作用します:遺伝子発現を変化させます。どの遺伝子を“発現”させる、あるいは、抑制させるかの変化が、最終的に身体の適応として現れます。 これは、関与する細胞の過程をかなり単純化してはいますが、その問題を示すには十分です: 持久力トレーニングとレジスタンストレーニングからの信号は、異なった反応と異なった適応を起こします。 それぞれを独立してトレーニングすると、レジスタンストレーニングでは信号のカスケードが起こり、遺伝子発現を変化させ、結果としてプロテインの分解と比べてプロテイン合成の割合がかなり高くなります。最終結果として筋肉は肥大します。 持久力トレーニングは、独自の信号カスケードにより有酸素適応を促進させます:新しいミトコンドリアの生成、あるいは、ミトコンドリアの発生。 持久力・レジスタンストレーニングの両方を高いボリュームで行うと、そのどちらの適応も効果的には起きずに、結果が折衷されてしまいます。言い換えると、同時並行のトレーニングでは、初心者以外のすべての人にとって両方の信号の通り道が最適下での活性になっててしまいます。 次のように考えてください。回復と身体の新しい組織の再構築には莫大なエネルギーがかかり、身体が作ることができるエネルギーには限りがあります。身体が、大量の新しい筋組織を構築し、同時により良い血管系ネットワークを構築し、ミトコンドリア数を増加させるためのエネルギーを持つことを期待することはできません。 身体は単に、一度にすべてのことを改善させることができないのです。そのため、初心者でない限り、どちらかを選ぶ必要があります。 コンディションを向上させるという目的で、これは何を意味しているのでしょうか:筋力とパワーを増加させ、同時に持久力を伸ばすことは期待しないでください。コンディションを向上させようとする時、目標はシンプルに筋力の維持にするべきです。それだけです。 一般的に、筋力とパワーを改善させるために必要になるトレーニングボリュームの60-70%で、それらを維持することができます。つまり、コンディショントレーニングをしているのであれば、筋力トレーニングをやり過ぎてはいけません。そして、可能であれば、コンディショニングとは切り離して筋力とパワーのトレーニングセッションをするよう試みてください。 トレーニングの研究で分子反応のレビューを掘り下げたいのであれば、ここからPDFをダウンロードすることができます: Molecular responses to strength and endurance training: are they incompatible? (Hawley 2009) 行動:同時にすべてを向上させようとするよりも、それぞれからより多くの効果を得るために、できる限り筋力トレーニングと持久力トレーニングを切り離してください。コンディショニングを向上させようとするのであれば、筋力とパワートレーニングよりも有酸素運動に多くの日をさくべきです。 覚えておいてください、ストレングストレーニングの目標は、持久力を向上させながら、現在の筋力レベルを維持することなのです。このことは、通常筋力向上に必要なボリュームの60-70%で達成することができます。 3. “高地トレーニング”マスクの使用を止める 最後の“禁止”は、もしそれを行っているのであれば、最も簡単に変えることができるものです。 始めるにあたり、そもそもなぜ“高地トレーニング”(低酸素)マスクを装着するのでしょうか? 理論的根拠としては、マスクによって呼吸できる酸素の量を減少させることで、高地における低酸素濃度の状況を模擬することになります。従って、身体をだまして、高地トレーニングによって起きる有益な適応すべてのシグナルを送らせることになります。 十分に立証されている適応は以下の通りです: 赤血球生成促進因子(赤血球数を刺激して酸素運搬能力を上げる)の増加 最大酸素摂取量(運搬される酸素量の最大値)の向上 キャピタリゼーションの増加が筋肉への酸素運搬の向上に繋がる 細胞の酸化を中和する能力と、無酸素エクササイズに耐える能力が上がる 全血液量が増える しかし、この考え方には2つの部分に問題があります: まず、高地でのトレーニングが真に実際に持久力を向上させたのかどうかの結果は、かなり混在している。 パフォーマンスの向上が見られたと報告している研究もありますが、海抜0メートルでのトレーニングと差異はないとしている研究もあり、また、パフォーマンスが低下したと報告しているものさえあります。 それらの減少は一般的に、酸素が少ない状態で高強度のトレーニングすることはかなりきついことであり、長時間高度の高い場所に晒されると筋肉量が減少するという事実に起因すると考えられています。 しかし、高地トレーニングによる個人のパフォーマンスの差異の原因は遺伝によるところが大きいのです。つまり、マイナスな反応であったとしても、身体が反応する方法を変化させることはほとんどできないということです。 そのため、たとえ必死に運動したとしても、高地トレーニングによって身体にパフォーマンスを上げる変化を与えられるのか保証はありません。 たとえ、高地トレーニングに対してパフォーマンスを上げる可能性を身体が持っていたとしても、その利点を制限する、あるいは、打ち消してしまう他の要因がいくつかあります。例えば: 生活 vs トレーニングに使われる正確な高度 高地に滞在する期間 高地トレーニングの種類、量、質 プレーしているスポーツやポジション 高地トレーニング後に低地に戻り費やした時間 それらの要因がダイヤルインされ、適切な遺伝的を持っていない限りは、高地で過ごした時間が海抜0メートルで過ごしたものとほぼ同じになるでしょう。低地トレーニングよりも良いとは言えないまでも、結果は大差ないでしょう。 2つ目の問題は、そしてそれが大きい問題なのですが、呼吸を制限するマスクを装着することでは、そもそも高地での環境を擬態することにはならないということです。 呼吸を困難にさせるマスクを単純に装着することと、高度が上がることによって起こる酸素分圧の変化の間には雲泥の差があるのです。 空気圧の違いは別にして、気温、湿度、紫外線露出の変化などがあります。 言い換えると、“高地トレーニングマスク”は高地の擬態とは何の関係性もなく、あなたを化学兵器による攻撃から生き抜くためのトレーニングしている人のように見せる以外には何の効果もないのです。 次のように考えてみてください:それら間抜けなマスクが本当にコンディションを向上させるものであるなら、地球上のすべての持久系アスリートは何年もそれらを使用していたでしょう。ハイレベルのアスリートが100ドルのマスクの代わりに、本物の低酸素テントに数千ドル費やすことには理由があるのです。 結局のところ:“高地トレーニング”マスクは高地トレーニングの代替としてより便利なものであるように見えますが、高地のコンディションの複製には程遠いものです。仮にできたとしても、高地トレーニングに対する個人の反応は、極端に個体差があるのです。 行動:身体から酸素を奪うよりも、ミトコンドリアのエネルギー産生をサポートするサプリメントを摂ることで、酸素を利用する能力を向上させましょう。それらのサプリメントはユビキノールコエンザイムQ10、ピロロキノリンキノン(PQQ)、そしてニコチン酸アミドリボシド(NR)を含みます。 結論として コンディショニングの向上は常に、正しいことをしているかを確認することだけではありません。間違ったことをすることで貴重なトレーニングの時間を無駄にしていないかを確認することでもあります。結局のところ、1日には限られた時間しかなく、そして、身体が回復できるトレーニング量にも限りがあるのです。 プロアスリートのように身体を良い状態にするためにあなたがしなければならないのは、マスクを着けて、毎日高強度インターバルトレーニングをするだけという考え方、あるいは、筋肉を肥大させると同時にコンディションを向上できるという考え方を受け入れるのは簡単ですが、真実は、それほど簡単なものではないのです。 それだけが本当に必要なものであれば、プロファイターは決して燃料切れにならないでしょうし、ジムで常に限界まで追い込んでいるようにみえる人々は世界レベルのアスリートになってしまうでしょう。 コンディショニングとは、ロケット科学のような難しいものではありませんが、まず他のなりよりも、一貫性が必要なのです。 あまりにも多くの人が受け入れている、巧妙で宣伝過剰なトレーニング方法を避けながら、様々な強度を使い分け、トレーニングを管理し、筋力トレーニングを過度にやり過ぎないようするなど、正しいことに一貫して時間を費やさなければなりません。 ここで私が紹介した3つのことを避け、一貫してコンディショニングワークを行うことで、皆さんが、より少ないことは本当に効果的であるということを発見することを保証します。
ストレングスとコンディショニングー組み合わせ、結果につながる一つの独立した賢いプログラムにするための3つのルール パート2/2
ルール2:補足的なトレーニング方法を使う(もしくは方法同士を対立させない) ストレングスとコンディショニングワークを効果的に組み合わせるために次に非常に重要な要素は、方法同士を互いに競わせるのではなく、互いを補足するように使うことです。 ストレングスプログラムと共に、どのコンディショニング方法を用いるべきか? ストレングスプログラムとともに用いる的確なコンディショニング方法を選ぶことは、複雑なことではありません。どのように的確なコンディショニング方法を選ぶかを理解すること、それにはまずストレングスがどこから得られるのかを理解することが重要です。 ストレングスとパワーの向上は、たった4つの異なる主な要素から得られる結果です: 筋肉が筋繊維動員を増やすためのCNS(中枢神経系)の神経駆動の向上 より大きな力生産を可能にするために筋肉をより大きくすること より高いレベルのホルモンが放出されるための、より強力な交感神経系のアクティベーション テクニックの向上 これらすべてのことが実現されるために適切な環境を築くことは、量よりも質を強調するということを意味します(そして重い重量で爆発的なリフティングを強調します)。 最大努力や動的努力、そしてプライオメトリクスといったトレーニング方法は、すべて神経系システムの機能を向上させるために作られたものであり、反復方法は筋肉のサイズを大きくするためによく補足として用いられるものです。 覚えておきたいのは、これらの方法はすべて、トレーニング中のほとんどのエネルギー生産を主に無酸素非乳酸エネルギー系に頼ったものであるということです。その短く高強度な特質において、非乳酸系は唯一エネルギーを十分速く供給することができます。 しかしながら、非乳酸系はそれ自体ではあまり長い間エネルギーを生産することができないため、有酸素系が無酸素性代謝の副産物を取り除き、非乳酸系が必要とする基質を補充し、再びエネルギーを生産できるようにしています。 このことは、ストレングスとパワートレーニングが主に非乳酸―有酸素性代謝によって行われていることを意味します。 そのため、ストレングスワークを補足するためにコンディショニング方法を選ぶとき、下記のような大まかに同じカテゴリーに属する方法を用いる必要があります: テンポ・インターバル スレッド・ドラッギング GPPサーキット テンポ・リフティング 爆発的反復 非乳酸性インターバル 高強度連続的トレーニング これらのコンディショニング方法は、すべてストレングスやパワートレーニングと同じエネルギーシステムを用いています。つまり、これらは獲得したストレングスやパワーを損なうことなく、有酸素的能力を維持するために用いることができるということを意味しています。 賢くプログラムが組まれた場合、それらのいくつかは、疲労した筋肉への血流を増やし回復を促すことで、ストレングスとパワーの向上を助けることもできるのです。 このことを正しく理解するためには、第3のルールについてお話ししなくてはなりません。 ルール3:トレーニングを効果的に組織化する(もしくはフィットネスレベルによって異なる種類のトレーニングに分ける) トレーニングをどのように組織化するかは、結果に大きな影響を与えます。その理由は、私がはじめに話したことに戻ります:エネルギーです。 同じワークアウト、もしくは同じ日の中で異なるタイプの方法を組み合わせることは、身体がエネルギー、特にグリコーゲンをどのように蓄積し使うかということに影響するでしょう。研究は、そのことがワークアウトの結果として起こる遺伝子シグナリングに影響を与えうるということを示しています。 このシグナリングがフィットネスにおける変化を刺激するのです。そのため、トレーニングプログラムをできる限りもっとも効果的に組織化することが重要なのです。 具体的にこれをどのように行うかということもまた、あなたがどこから始めるかということに大きく関わってきます。なぜなら、現在の状況が、どれくらいのコンディショニングワークが必要として、一般的にトレーニングに対して身体がどのように反応するかということを決定づけるからです。 低いフィットネスレベル:もし低いフィットネスレベルから始めるのであれば、ストレングスワークアウトとコンディショニングを組み合わせることもできますが、コンディショニングはワークアウトの最後に行うべきです。テンポ・インターバル、HICT、スレッド・ドラッギングのような方法は特にこのレベルに良いでしょう。 中程度のフィットネスレベル:中程度のフィットネスレベルにおいては、可能であればコンディショニングは別なワークアウトとして分けられるべきですが、同じ日に行うこともできます。もしスケジュールが許すのであれば、コンディショニングワークアウトは回復を促すためにリフティングセッションの4~6時間後に行います。スレッド・ドラッギングや高強度連続性トレーニングのような、短縮性収縮のみの方法でかなり重めの負荷のエクササイズを用います。 高いフィットネスレベル:ストレングスとパワーを最も高いレベルで向上させる場合、コンディショニングワークとは別な日に分けて行うことが最良です。この分別は、あらゆる負の影響を避け、重いストレングスとパワーワークの効果を最大限にするために重要です。マックスの90%以上のストレングスと、より低い負荷のコンディショニングワークを、週の中で交互に行う高・低アプローチを用いることがもっとも効果的なアプローチです。 ご覧の通り、フィットネスレベルが高いほど、異なる種類のトレーニングを互いから分けることがより重要になります。 これはなぜなら、フィットネスが向上するにしたがって、より多くのエネルギーがトレーニングセッションとその後の回復の両方に向けられることを必要とするからです。 スクワット重量を400~500パウンドから増やすのにどれくらいのトレーニングとエネルギーがかかるかと、200~300パウンドから増やすのにどのくらいかかるのかを比べると、そこには大きな違いがあります。 より高いフィットネスチェーンに進むにつれて、あなたが向上させようとしていることの特有の要求に対し、できる限り多くのエネルギーを集中することがより重要になります。 しかしながら、これはあなたのトレーニングが完全に一次元的になる必要があるという意味ではありません。単に、異なる種類のトレーニングを互いから分けるということが、特に最も高いレベルにおいては、これまで以上により重要になるということを意味しているのです。 次に行うこと 最も必要とされているところで身体がエネルギーを消費していることを確実にするために、トレーニングゴールに優先順位をつける。ストレングスとパワーを増強しながらコンディショニングを維持することが可能なように、コンディショニングを増強させながらストレングスとパワーを維持することは可能です。残念なことに、多くのコーチたちは両方を同時に向上させようとするか、もしくは片方を無視してもう片方だけに集中しています。 補足的トレーニング方法を用いる。ストレングスとパワートレーニングは主に非乳酸―有酸素代謝によって行われます。それは、用いる最良のコンディショニング方法は同じカテゴリーに属するものであるということを意味しています。(例えばテンポ・インターバル、スレッド・ドラッギング、GPPサーキット、など) あなたの(もしくはあなたのクライアントの)フィットネスレベルに合わせる。同じワークアウト、もしくは同じ日の中で異なる種類の方法を組み合わせることは、あなたの身体がどのようにエネルギーを蓄積し使うかに影響を与えます。フィットネスレベルによって、完全な回復ができるようにトレーニングプログラムを組織化する必要があるでしょう。
ストレングスとコンディショニングー組み合わせ、結果につながる一つの独立した賢いプログラムにするための3つのルール パート1/2
「私はストレングスアンドコンディショニングコーチです。」フィットネス業界にいる我々のほとんどは自身をそう呼ぶでしょう。しかし本当のところ、我々の多くはコンディショニング面よりもストレングス面のことの方により自信を持っているのです。 私のバイオフォース認定コンディショニングコーチコースを通して、私は賢いコーチたちが良好なコンディショニングプログラムを作成する能力において100%自信を持てるよう、自分ができる最善の手助けをしています。しかし事実はそのままですーそこにはまだ多くの誤った情報が出回っているのです。 最近私は、記事の役に立たない傾向に気づきました。ストレングスプログラムにコンディショニングワークならなんでも、特に高強度のインターバルを除くあらゆる種類を加えていることを暗示しているように見えるそれらの多くは、アーノルド・シュワルツネッガーをリチャード・シモンズにするための方法なのです。 ばかげています。 本来、賢くプログラムされた場合にコンディショニングワークは実際ストレングスとパワー増大を向上させることができるのです。問題はあなたがスタートからどのようにセットアップするかなのです。 もちろんそこには必ず、できるだけ最善の結果を得るべく、我々が各クライアントのプログラムを個々人に合わせて作るために要求される特異性の適切なレベルが常にあります。 しかし、もしあなたがそうするのであれば、我々がクライアントに向けて最善のストレングス及びコンディショニングプログラムを確実に作成するために従うべき、いくつかのガイドラインやルールもあるのです。 これから挙げるのは、私のトップルール3つです。 ルール1:常にトレーニングゴールの優先順位をつける(もしくは二つのことを同時に行おうとしない) ストレングスとコンディショニングを効果的に組み合わせるために、あなたはトレーニングの優先順位をつけるところから始めなくてはなりません。 本当のところ、あなたが初心者であったり長期の休養から戻ってきたのでない限りは、ストレングスとコンディショニングの両方を同時に向上させることは非常に難しいのです。あなたが腰を据えてプログラムをデザインし始めるとき、まずはあなた自身に一つの質問をすることから始めなくてはなりません。「私はこのプログラムでストレングスとコンディショニング、どちらを優先したいだろうか?」 両方行うことは可能ですが、どちらか一方を優先しなくてはなりません。両方を同時に向上させようとすることは、残念な結果を招く方法であり、多くの人々が誤ってしまう部分です。 これには一つの単純な理由があります。エネルギーです。 大きく強い筋肉を作るのは集中的過程であるため、身体組織を修復し、再構築し、そして再造形するためには多くのエネルギーが使われます。 コンディショニングも同様で、体中の血管網を改善し使っている筋肉により多くの酸素を供給することを可能にするのは、身体が著しい量の供給源を与えない限り起こりません。 エネルギー = 身体の通貨 新しい筋肉あるいは他の組織を構築することはもちろん、身体を動かし続けるためには相当な量のエネルギーが使われます。それがエネルギーは身体の「通貨」と、よく呼ばれるゆえんです。エネルギーを賢く消費しなくてはなりません。なぜならあなたは、その日のうちに限られた分のエネルギーしか生産できないからです。 そのゴールが何であれ、あなたが進展を望むのであれば、最も重要なことは、どのようにエネルギーを消費したいかを選択することです。 もし有酸素コンディショニングを向上する必要があるなら、時間とエネルギーのほとんどを有酸素コンディショニングに費やし、同時にストレングスとパワーに費やす時間とエネルギーはそれらを維持するために必要最低限な分だけにするのです。 もしあなたが大きく、強くなりたいのなら、第一のルールは、すでに持っているものを失うことを避ける程度の量のコンディショニングワークをこなすべきだということを意味しています。 必要以上に多くのことをするというのがよりよいというわけではないのです。 ストレングスとパワーを向上させつつ、コンディショニングを維持するためのいくつかのシンプルなガイドラインを挙げましょう。 このよくある問題を避けるために、すべてを同時に向上させようとするのではなく、コンディショニングレベルを維持するという明確なゴールとともに、ストレングスとパワープログラムにコンディショニングワークを加えるべきです。 一旦向上させたフィットネスクオリティを維持するために、正確にどれくらいのトレーニングが必要かを決める多くの異なった要素がありますが、よい目安は、向上させるために用いるべき全体のボリュームの最低80%をかけることです。 ここで、始めるための簡単なガイドラインをいくつか挙げましょう: 高いレベルのコンディショニング:もしコンディショニングの高いレベルを維持しようとするなら、何らかの形式のコンディショニングワーク30~40分間を、最低でも週4,5日行う必要があるでしょう。 中レベルのコンディショニング:もし比較的中程度のコンディショニングレベルを維持しようとするだけなら、最低30分間のコンディショニングワークを週3,4日行えばよいでしょう。 低レベルのコンディショニング:低いレベルのコンディショニングは、週3日の20~30分間のコンディショニングワークで、レベル低下を避けるのには十分でしょう。しかし、もし非常に低いレベルのコンディショニングレベルから始めるのであれば、ストレングスとパワーに集中する前に、最低でも中程度レベルまで向上させた方がよいでしょう。 簡単なアプローチは、これらのガイドラインに沿って始めて、かつ必要に応じて調整することです。たとえば、もしコンディショニングが衰えてきていると気づいたら、コンディショニングの量を5~10%増やし、それが維持するのに十分であるかどうかチェックします。もしどのようにコンディショニングをチェックすればよいかわからないのであれば、ここに助けとなる記事があります。
一般のクライアントたちに対し、シンプルで効果的なコンディショニングプログラムを作成する方法 パート3/3
ステップ4:適切な量と強度を用いる。 疑うことなく、週ごとに適切な量と強度を用いることは、効果的なプログラミングにおいてもっとも重要でありながら、同時に努力を要する部分でもあります。これが極めて重要な理由は、エネルギー恒常性と呼ばれるコンセプトのためです。 エネルギー恒常性は、脳が身体に起こるすべての他のことより優位に、エネルギーの生産と利用を調節するという原則です。体のエネルギー通貨であるATPのコンスタントな供給なしでは、数分以内に細胞もあなたも死んでしまうでしょう。脳が働きのすべては、生存を中心に働き、これが決して起こらないようにしているのです。 脳はエネルギー生産とエネルギー消費の両方をしっかりと調節し、運動やトレーニングはその日にどれくらいのエネルギーを消費したかの大きな構成要素になります。脳がエネルギー恒常性の危険を感じ取った場合(例えば、過剰なエネルギーが使われたとき)、脳の最初の反応は、運動と消費を続けるモチベーションを下げ、同時に食欲とより多くのカロリーを摂取する欲求を上昇させることです。 近年のありとあらゆる高強度トレーニングにおいて、よりよい結果を得るためのキーは単純にもっとやることだと考えることが非常に多くみられるようになりました。より多くの量、より高い強度=よりよい結果…あるいは、そう考えられています。 このアプローチの問題は、しばしばプラトーに陥ることと、典型的な一般のクライアントにとっては単に長期的に持続することが不可能なトレーニングプログラムを作ってしまうことです。 遅かれ早かれ、過剰な量と強度が用いられ、エネルギー恒常性は困難になり、そして脳はモチベーション低下と残念な結果で抵抗することになるのです。 このようなことが起きないようにするためには、まずはじめに、効果的でなおかつ持続可能な週ごとのトレーニングプランを作成することです。用いられる的確な量と強度は様々な要素によって変わりますが、クライアントの現在のコンディショニングやフィットネスレベルに基づいて、非常に多くのクライアントに対して当てはまるシンプルなガイドラインがいくつかあります: 低いコンディショニングレベルのクライアント:30~45分間のアクティベーションゾーンを週3~4日、20~30分間の閾値ゾーンを週1日。 中程度のコンディショニングレベルのクライアント:45~60分間のアクティベーションゾーンを週3~4日、30~40分間の閾値ゾーンを最大週2日まで、15~20分間の酸素摂取ゾーンは週1日以上行わないこと。 高いコンディショニングレベルのクライアント:60分間のアクティベーションゾーンを週2~3日、30~45分間の閾値ゾーンを最大週1~2日まで、20~30分間の酸素摂取ゾーンは週2日以上行わないこと。 これらのガイドラインを頭において、効果的かつ持続可能な週ごとのトレーニングプログラムを構築することは、比較的複雑ではありません。異なるゾーンを週のどの日に集中するのかを決めて、それに従ってワークアウトを計画しましょう。 もちろんストレングストレーニングも組み入れられる必要がありますから、この記事の中で私が設計した原則を使って行いましょう。 最終ステップ:個別化と漸進の熟練者になる 過去10年間、世界中の数えきれない世界級のコーチやトレーナーたちを観察したり一緒に話したりする機会をもち、彼らが皆行っていることで、他の人たちと一線を画していることに一つ気づきました。 彼らが他の人々が知らないようなトップ・シークレットのテクニック、方法、またはエクササイズを使っているというのではありません。そうではなく、彼らはどのように各トレーニングセッションを個別化するか、そして経時的にアスリートやクライアントがどのように絶えず漸進していくかを理解しているのです。 もしあなたが真剣に現場に出ようとしていているならば、これらの二つのスキルを完璧にマスターしなくてはなりません:個別化と漸進です。 これらはあなたが周りに差を付ける能力です。 注意を払い適切な質問をする。各セッションを始める前に、クライアントに調子はどうか、よく眠れたか、食生活はどうか、ストレスレベルはどのような感じか、などを聞きましょう。ウォームアップの間は、彼らのボディーランゲージに注意を払いましょう。疲れて見えますか?よく話しますか?もしくはほとんど何も言わない状態でしょうか?最良のコーチやトレーナーたちは、見て、聞いて、そして知り、あらかじめ計画していたワークアウトを確固として行うのではなく、むしろこの情報を用いてトレーニングセッションを個別化するのです。 テクノロジーを味方につける。どのように効果的にテクノロジーを使うかを知ることは、結果に非常に大きな影響を与えうるあなたのコーチングに一つ層を加えることができます。テクノロジーの役目は、あなたが得られることがなかった情報を提供することであるべきです。その情報を用いることで、より精通したトレーニング判断をすることができます。心拍変動のような強力なツールは、あなたにクライアントの回復に関する識見を与え、量や強度を個別化する手がかりとなります。PUSHバンドのような他の高技術ツールは、バーのスピードやパワーについての有効な識見を与えることができます。テクノロジーは無くなるものではなく、もしあなたがクライアントに出来る限り最善の結果を得てほしいと考えているのならば、テクノロジーを取り入れ、あなたの強みとして用いることを学びましょう。 プログラムを変更することを恐れない。しかし変更する理由を持ちましょう。現場に出たての経験の少ないトレーナーたちは、しばしば流れにまかせてワークアウトを作成実行し、本来の計画やプログラムがないことがあります。平均的なコーチたちは、トレーニングプログラムを作成するために時間を割き、その文字通りに沿って実践します。最高のコーチやトレーナーたちは、データによって補強された彼らの識見や経験を用い、何が働き何が働いていないのかを判断し、その上で必要に応じて変更をします。トレーニングプログラムは道路地図のように考えられるべきですが、もしクライアントを正しい方向に導いていないのであれば、左折することを恐れてはいけません。ただなぜあなたがそうしたかを理解しましょう。 各セッションの中での小さな漸進に注目する。もしあなたが一般のクライアントについてきてほしいと思うならば、避けられない真実として、彼らは漸進をみなければならないということがあります。彼らは一生懸命働いて得たお金と大事な時間をあなたに投資しているのです。もし結果が行き止まり、何も起こっていないと感じるようであれば、彼らが去るのは時間の問題です。私たちは皆、結果が直線であることはほとんどないことを知っています。しかし漸進は、たとえそれが小さな程度であっても、各ワークアウトの中で様々な形で得られるのです。たとえそれがこれまでよりたった5パウンド多く、2回多く、またはもう1セット多く持ちあげられただけでも、どのような漸進の感覚でも、まったくないよりよいのです。ワークアウトを通して、そして最後に、得られた漸進を振り返り、各ワークアウトから次回にかけていつも小さな進歩を得る努力をしましょう。 次に行うこと 1. コンディショニングは誰にでも重要だと理解する。心循環系疾患や脳梗塞、そしてその他の病気の疾患率が空前の高さにある中、フィットネスの専門家がどのように効果的なコンディショニングプログラムを作成し指導するかを理解することは必須です。 2. 成功するコンディショニングプログラムを作成するための4つの主なステップに従う: 心拍数(もしくはHRV)を計測し、12分間コンディショニングテストを実施し、運動後60秒間の心拍数回復を計測することで、コンディショニングのベースラインを確立する。 モチベーションと従順を高めるために、成果のゴールと過程に駆動されるゴールの両方を立てる。 目標心拍数ゾーントレーニング、具体的にはアクティベーションゾーン、閾値ゾーン、そして酸素摂取ゾーンを取り入れ、コンディショニングプログラムを個別化する。 クライアントを次に挙げるフィットネスレベルごとにグループ分けをし、適切な量と強度を用いる:低、中、高レベル。
一般のクライアントたちに対し、シンプルで効果的なコンディショニングプログラムを作成する方法 パート2/3
ステップ2:スタートから正しいゴールを定める。 一旦ベースラインが確立されたら、次のステップはそれらのベースラインの数値を使ってクライアントのための具体的なゴールを定めることです。ここで用いる戦略は、二つの種類のゴールを含んでいます:成果に基づくものと、過程に駆動されるものです。 成果に基づくゴール 成果に基づくゴールはまさにその通り、クライアントが達成したいと願う具体的な成果のことです。効果的な成果に基づくゴールを定めるために2つの重要な要素があります:まず成果に基づくゴールは、あいまいでおおざっぱというより、計測が可能で具体的である必要があります。『コンディショニングを改善する』というゴールを立てる代わりに、より良いゴールは、『安静時心拍数を67ではなく62にする』や『12分間テストで1.2マイルではなく1.5マイル走れるようになる』というようなものになるでしょう。 クライアントにこれらのゴールをワークシートやワークアウトバインダー、もしくは毎回トレーニングセッションに持って行く何かに書かせましょう。このような、具体的な目標を達成するための計測可能で成果に基づくゴールのタイプは、クライアントのトレーニングに対するモチベーションをより維持する傾向にあります。 (ここでもう1つのポイントは、ゴールがクライアントにとって実現することが現実的であることを常に確かめることです。実現不可能なゴールを立てることほど、大きなモチベーションキラーはありません。ですから、何が達成可能で何が達成不可能かについて、現実的でありましょう。実現不可能だと知っていながら、相手が聞きたいと思っていることを伝えることは決してしないことです。) 過程に駆動されるゴール もう1つ定める必要のあるゴールのタイプは、過程に駆動されるものです。これらのゴールのタイプは、しばしば見過ごされています。なぜなら、皆求めている成果にただ集中したいからです。 過程はクライアントのゴールにたどり着くための道すじであり、日々クライアントをゴールに向かって駆動するものです。その過程には、週何回のトレーニングセッションが行われるべきか、どのような種類の栄養戦略に沿うべきか、などのことがらが含まれています。クライアントがゴールを達成するためになされなければならないトレーニングや栄養、また生活習慣に関係するすべてのことは、過程の一部として見なされるべきです。 一般のクライアントにとって、3つの最も重要な過程の要素は: 必要とされる週当たりのトレーニングセッションをこなすこと 適切な量の高品質の食事をとること、そして 十分な睡眠を取ること クライアントに、『毎週5日、60分間のトレーニングを行う』や『毎晩最低8時間の睡眠をとる』というような過程に駆動されたゴールを立てさせることは、単にどこに向かって行きたいのかということよりもむしろ、実際どのようにたどり着くかということに確実に集中させることに成功するでしょう。 ステップ3:『目標心拍数範囲トレーニング』でコンディショニングプログラムを個別化する。 コンディショニングにおいて、もし人々がしばしば困惑するものが一つあるとしたら、それは心拍数ゾーントレーニングでしょう。すべての異なる心拍数モニター、そして異なる専門家や器具製造会社による様々なゾーンの体系を見ると、なぜそれほど困惑するのか容易に理解できます。 本当は、多くのこれらのゾーンに基づくシステムは30~40年前に開発されたもので、ほぼ時代遅れなのです。 繰り返しますが、最善の戦略は物事をシンプルに保つことです。そして私からのアドバイスは、よく使われている5つのゾーンを避け、その代わりに3つのゾーンのみに絞ることです。多すぎるゾーンを用いてそれぞれのゾーンが何をするかを説明しようとし、それを中心にプログラムを構築しようとすることは、99%の時間をかける価値があるというよりもむしろ問題です。 一般の人たちのコンディショニングプログラムを立てるために、私は典型的に下記の3つのゾーンを用います: ゾーン1:アクティベーションゾーン。この第一のゾーンは最も低い心拍数で、心拍出量やテンポ・インターバルのような低強度の方法を用いるときに主にいるゾーンです。より多い量を用いることが可能なように、心拍数が十分低いものでありながら、低すぎて実際のトレーニング効果がなくならないようにするということです。各個人の年齢やフィットネスレベルにもよりますが、このゾーンはほとんどの人にとって通常約120~150の間にあります。フィットネスレベルの低い人たちは、もちろん範囲の下の方寄りにトレーニングをし、フィットネスレベルの高い人たちは、範囲の上の方寄りにトレーニングをする必要があるでしょう。およそRPE(自覚的運動強度)6くらいのペースで行いましょう。このペースでは会話をし続けることが可能なはずです。 ゾーン2:閾値ゾーン。このゾーンはアクティベーションの上にあり、おおよそ、その人の無酸素性作業閾値範囲くらいまでを指します。もしクライアントが正しく12分間テストを行ったのであれば、最低でもテストで行ったエクササイズに関しては、あなたはこの範囲がどこに当たるか大体の見当が付くはずです。 個人の閾値を推定するもう一つの方法は、RPE(自覚的運動強度)を用いて、運動中に話す能力を見ることです。もしその人が閾値ゾーンにいるならば、彼らは会話のやりとりを維持することはできなくなるペースで運動しているはずです。いくつかの単語をつなぎ合わせたり質問に答えたりはできるはずですが、もしそれ以上のことができるのであれば、彼らの心拍数は低すぎるということです。 閾値ゾーンはRPEの7~8あたりで、平均的なフィットネスレベルの人たちのほとんどに対しては、一般的に心拍数150代から160代半ばほどでの運動になります。もちろん、もっと高いフィットネスレベルや閾値を持つ人々はもっとより高いところになることもあり得るでしょうが、一般のクライアントの中ではまれです。 ゾーン3:酸素摂取ゾーン。これは心血管系全体が最大量の酸素を身体中に送るため最大限に働く、最も高いゾーンです。この地点にたどり着くには、たくさんの量の筋肉量が使われ、数多くの筋繊維がすべてが活動し酸素を要求していることが必要です。このことは、酸素摂取ゾーンが最大心拍数の90%以上であることを意味します。 最大心拍数が200である人の場合、酸素摂取ゾーンは180から最大200までとなります。このくらい高い心拍数でのトレーニングは非常に疲労するため、RPE(自覚的運動強度)は9~10となるでしょう。 一般のクライアントに対して必要な酸素摂取ゾーントレーニングは、ほんのわずかな量です。(そしてまったく体力のない人には、酸素摂取ゾーントレーニングをする必要はまったくありません。)また、クライアントがこのゾーンにいるときには常に適切なテクニックに注意を払うことが、安全と効果的なコンディショニングの発達の両方にとって重要です。
一般のクライアントたちに対し、シンプルで効果的なコンディショニングプログラムを作成する方法 パート1/3
史上最高の名レスリングコーチの一人であるカール・ゴッチは、かつて「コンディショニングは君のホールドだ」と言ったことがあります。これは、良いコンディショニングは相手に対して強力な武器になる、という意味です。 しかし、もしあなたが対戦相手に向けてトレーニングをしていなかったらどうでしょうか?もしあなたが、ただビーチで見た目がよくなりたい、または病気や障害なく長生きをしたいだけだったら? それでもあなたはコンディショニング(俗にいう『カーディオ』)が必要でしょうか?もしそうであるなら、できるだけ最善の結果を得るためにとる最善の方法はなんでしょうか? それがまさに、この一般の方々のための究極のコンディショニングガイドで私たちがお話することです。 『カーディオ』から更に先に進む時が来た:なぜ非アスリートにコンディショニングが重要なのか 大事なことをまず第一に:コンディショニングはアスレティックパフォーマンスだけなくそれ以上のものです。たとえば、コンディショニングはあなたやあなたのクライアントを助けることができます: 炎症を低減する。高いレベルのコンディショニングは、身体の持つ最高の抗炎症経路の一つである迷走神経の機能向上を促進させることで、炎症を抑えます。 長生きする。最高のコンディショニングである長距離選手たちは、運動をしていない人たちに比べて最長7年も長生きすることが示されています。 体脂肪を燃やす。コンディショニングは脂肪の燃焼炉であるミトコンドリアの数とその質を向上させ、体組成の改善を支えます。 病気のリスクを下げる。数多くの研究によって、有酸素能力と最大酸素摂取量は、心肺系疾患や脳梗塞、そして他のよく見られる致死性の高い病気のリスクを減少させることが示されています。 記憶力の向上。コンディショニングは認知力を向上させ、記憶力の低下を防ぎ、意思決定に関連する脳の領域における機能のサポートの手助けをすることができます。 唯一の問題は、多くの人々(多くのフィットネス専門家を含む)が適切にコンディショニングをトレーニングしていないということです。彼らは終わりのない高強度のインターバルをするか、もしくはまったく何も行わないかのどちらかです。 しかしながら、心肺系疾患や脳梗塞、その他の病気の上昇を考えるとき、コンディショニングはまさしく生か死かの問題となりうるのです。特に、フルタイムの仕事をもって働き、ストレスに溢れ混沌とした生活を送っている一般のクライアントを指導する時に。 私はすべてのフィットネス専門家が、どのように基本的なコンディショニングプログラムを作成し指導するかを理解すべきだと信じています。私が、一般のクライアントに対して用いる最も効果的なストラテジーだと見つけたものをシェアしたい理由はこのためなのです。 ステップ1:コンディショニングのベースラインを確立する。 一般のクライアント、アスリート、また他のどのような人に対しても、すべてのコンディショニングプログラムを始める最初のスタートは、コンディショニングのベースラインを確立することです。これはしばしば見過ごされる非常に重要なステップですが、このベースラインなしでは、コンディショニングが改善したかどうかを知る真の方法はありません。つまり、クライアントは恐らく進歩がまったくないように感じてしまうために、彼らにとってフラストレーションがたまりやすくなってしまうということです。 コンディショニングをテストし計測するいくつかの異なる方法は存在しますが、一般のクライアントに対しての鍵は、ものごとをシンプルに保つということです。 過度に複雑な、難しい、あるいは時間のかかるテストは、ほぼ不必要であり、シンプルな解答より更に意義深い情報を与えてくれるわきでもありません。 1. 安静時心拍数と(もしくは)バイオフォースHRVスコアを計測する:安静時心拍数と心拍変動は、一般的なコンディショニングの最良の生物測定指標であり、最大酸素摂取量やその他の有酸素的フィットネスの計測値と非常に良く相関します。さらにいいことに、それらの計測は非常に素早く簡単です。時間の経過とともに、安静時心拍数やHRVの傾向は、コンディショニングが向上していることを示す強力な指標です。もし心拍変動になじみがなければ、ここをクリックするとより多くの情報が得られます。 2. 12分間運動能力テストを行う:12分間中に行える最大の運動量は、単に全体のコンディショニングレベルの優れたパフォーマンス指標であるだけでなく、この後詳しく触れますが、目標心拍数範囲を決めるのに非常に役に立ちます。テストを正しく行うための二つの鍵は、適切なエクササイズを選択することと、始める際に正しい説明を与えることです。 フィットネスレベルの低い人たちには、バイク、エリプティカル、またはほかの低強度の運動を選択すべきです。フィットネスレベルが平均またはそれよりも高いレベルの人たちには、ランニングが一般的に選択されます。いったんエクササイズを選択したら、クライアントには、運動している間正しいフォームとテクニックを維持できる中で、できる限り最大ペースで臨むように伝えるべきです。テクニックを維持することは、コンディショニングの非常に重要な要素なので、テストはクライアントがこの環境の中でどれくらいの運動を行うことができるのかを反映すべきです。 3. 平均心拍数と60秒間後の心拍数回復を記録する:12分間テスト中に心拍数の二つの計測値を見ることは、多くの貴重な識見を提供することができます。まず、12分間を通しての平均心拍数は、クライアントの無酸素性作業閾値のおおよその値を与えることができます。その値は正確なものではありませんが、そもそも閾値という単語自体、少々紛らわしいのです。本当は、閾値は常に一つの数字というよりも範囲なのです。テスト中のクライアントの平均心拍数は、この範囲の傾向に関する一般的なアイデアを与えてくれるでしょう。 テストが終わった直後、クライアントを座らせて、60秒の間に心拍数がどれだけ低下するか、60秒間の心拍数回復を記録します。これはクライアントの全体的なコンディショニングレベルの効果的な計測であり、包括的な健康とウェルネスに非常に重要となる副交感神経機能のレベルと関わっています。
ペインばかりでゲインなし:高強度トレーニングへの執着は私達の期待に背いた。パート3/3
“回復負債”:フィットネスが失敗してしまうところ 私たちの代謝に限度があるという性質と身体のエネルギー要求を考慮する時、強度マインドセットに基づいて構築されたトレーニングプログラムの数多くがなぜ失敗してしまうのかを理解するのは容易であるはずです。 下記の図のトレーニングプロセスの異なった段階を見て、最も際立つ大きなポイントは、トレーニング、回復、フィットネスの向上を駆動する身体の適合は全て、膨大な量のエネルギーを必要とするということです。 ハードにトレーニングすればするほど、より長い時間トレーニングすればするほど、脳は働いている筋肉とその他の組織により多くのエネルギーを分配しなければなりません。と同時に、より大きく強く、そして持久能力を増強するために、全ての細胞を修復し、筋肉、ミトコンドリア、腱、何兆個もの細胞を再構築するには、膨大な量のエネルギーを必要とするのです。 私達の代謝が1日に生産できるエネルギー量には限度があることから、どれだけの食物を食べたとしても、どれだけの休息をとったとしても、週に3,4,5回の高強度トレーニングセッションを積み重ねたとしたら、何が起こると思いますか?これらのトレーニングと日々のストレスが組み合わさった時にはどうなるでしょうか? 答えはシンプル:私が回復負債と呼ぶ状態になってしまいます。 回復負債は、トレーニングに関わる全ての細胞と組織の回復と修復に必要なエネルギーを与えることなく、多大なストレスを与えた時に起こるものです。来る日も来る日もジムに通って、頑張ってウエイトを持ち上げ、終わることのないインターバルを実行し、疲弊ギリギリのところまで頑張り続けても、期待したような結果を決して得ることができないように思えます。 私が過去数年間に発見したのは、人々のフィットネスゴールの達成を邪魔している何よりも大きな唯一の理由は、まさしく:彼らは常に回復負債の状態で生活しているということなのです。私は、これを証明することのできる15,000人以上の人達の15,000,000にも及ぶ心拍変動データも所有しています。(これに関しては次回の記事でより詳細を述べます) データは、ほとんどの人達は沢山の努力をしても、たった一つの理由のために、その報酬を得ることができていないことを提示しています:彼らは多大なエネルギーをトレーニングと日々のストレスに費やしていて、回復や身体の再構築にまわせる余剰が十分に残っていないのです。 忘れないでください、回復と再構築のプロセスが実際にフィットネスの向上へと導くのですから、これが起こらなければ、どれほど努力をしたとしても結果を得ることはできないのです。 “やり遂げること”のネガティブな結果:そしてあなたの身体がいかに反撃するのか 強度マインドセットが不可避的に多くの人たちのフィットネスの失敗を導く理由はこれである、というのが真実です。もしあなたが、結果を駆動する最も重要なことは強度であるという信念でスタートすれば、身体が追いついていけなくなるまで、更なる強度を加え続けていくことになるでしょう。 常に疲れて筋肉痛があると感じ始めますが、それでも頑張り続けます。しつこい怪我が忍び寄り始めますが、それでも頑張り続けます。あなたの筋力も持久力も、あまり向上はしていませんが、それでもあなたは、努力が足りないからだと自らを説き伏せます。仕事でストレスを抱えよく眠れていませんが、あなたはジムで汗を流してストレスを解消するのが最良の方法であると考えています。 遅かれ早かれ、かなり大きな回復負債を抱えるようになれば、身体は反撃を始めます。脳内のドーパミン機能が変化し、より沢山食べてあまり動きたくなくなります。ジムに行くモチベーションを失う、あるいはジムには行くけれども頑張れなくなります。最終的に、ただ何かやっているフリをするだけということになってしまいます。 これが実際に何百万人もの人達が経験している日々の苦しみなのです。努力をしているのに結果を得ることができない。頑張れば頑張るほど、最終的には調子が悪くなる。 これはまた、私がブルガリアントレーニングプログラムを2回目に行った時に、同様の結果を得ることができなかった理由そのものでもあります。もう大学生ではありませんでした。私は、毎週60時間以上働き、ビジネスを運営するというストレスを抱えていました。日々のストレスは、回復から膨大なエネルギーを取り上げ、私の身体は単にそれに追いつくことができなかったのです。 幸いなことに、過去数年間に渡り、私はトレーニングやフィットネス全般への全く新しいアプローチの方法をまとめました。より効果的で、身体がいかに働くのかに関する本物の科学に基づき、全く異なったマインドセットからスタートするような… 回復駆動フィットネス:トレーニング、食事、生き方の新しいモデル 強度ではなく回復に基づいたフィットネスへのアプローチを構築するというアイデアは、思いがけず見つけたものではありません。これは一時的な流行やからくり、あるいは中身のない約束やセールストークではありません。もっと睡眠をとろうとかリラックスに時間をかけようというような、昔から使い古されたものでもありません。皆さんももうすぐ発見することになりますが、回復というのはそれ以上のものなのです。 フィットネス業界で、あらゆるレベルと能力の人々をトレーニングし、正解中のコーチ達、フィットネスの専門家達、研究者達と話をすることに費やしてきた20年近くに渡る私自身の経験から、そのアイデアは生まれてきました。そしてまた、過去6年間に渡り収集してきた15,000,000以上の心拍変動計測のデータベース(世界一大きい)から計算をするためのアルゴリズムを学ぶために機械を使うことからも生まれたのです。 私の経験とデータの両方が明白に示すのは、トレーニングに向けられる強度のみではなく、回復に向けられるエネルギーに駆動された結果を考慮するという、新しいアプローチが必要とされているということです。 回復駆動のフィットネスとは何か? 最も簡単に言えば、回復駆動のフィットネスとは、ただ単に強度を最大化するのではなく回復を最大限に高めることに基づいた、トレーニング、食べ方、日々のストレスのバランスの取り方の方法への新しいアプローチです。 回復駆動のフィットネスは、フィットネスゴールの達成のための最も効果的な方法は、ただトレーニングをハードに行うのではなく、身体をより回復しやすい状態にシフトさせることを助ける特定の戦略やメソッドを取り入れることであるというマインドセットからスタートします。 回復の状態においてのみ、身体はそのエネルギーをかつてないほどに強くするための回復と再構築に向けることができるのです。 今後の記事の中で、私は皆さんにフィットネスへの全く新しいアプローチの方法をシェアしたいと思います。回復駆動のフィットネスの設計図をご紹介し、強度に基づいた計画では決して得ることのできなかった、より素晴らしい結果を届け、全く新しい方法で回復を促す、トレーニング、栄養、そしてライフスタイルの計画の構築方法をご紹介します。 今後カバーすることのいくつかをご紹介しましょう: 身体を回復ゾーンに推し進め結果を加速する、回復駆動トレーニングセッション(HPRT)の使い方に関する段階的なガイド。 様々なデータに迷ってしまうことなく、回復を計測し追跡するテクノロジーの活用方法。 一般的なダイエットや栄養のアプローチが、私達の回復を促進するのではなく遅延させてしまう理由。 身体がワークアウトから多くの成果を得ることを助けるために、すぐに実行することができる最も効果的なライフスタイル戦略。 回復負債を防ぎ身体のエネルギーを回復に方向づけを助けるために利用できる、ターゲットを絞ったサプリメント。
ペインばかりでゲインなし:高強度トレーニングへの執着は私達の期待に背いた。パート1/3
大学で、最初にストレングス&コンディショニングの領域に足を踏み入れた時、私は強くなることに取り憑かれていました。可能な限りに最短の時間で強化することを約束したものなら、手当たり次第見つけて読んだものです。 その過程の中のどこかで、偶然ブルガリアのオリンピックウエイトリフター達が1980年代にトレーニングをして数多くのメダルを獲得した方法に基づいていると主張するストレングスプログラムに出会いました。そのプログラムの正確な名称は思い出せませんが、著者は筋力構築の本当の秘訣は、毎日2-3回の短い高強度のトレーニングセッションを週に6日行うことであると主張していました。 当時、私にとってこれは理にかなっているように思えました。ノンストップで莫大なボリュームでトレーニングすることが、本当に、とてつもなく強くなるための秘密のレシピなのかもしれない?と。 これは一度も試したことがなかったので、試してみる価値はあると判断して取り掛かってみました。それからの12週間、私はトレーニングばかりしていました…ひっきりなしに。 その結果は?私は実際かなりとんでもなく強くなったのです! 私の主なリフトは、30-40 ポンドあるいは、それ以上向上し、体重は5ポンド増量しました。疑いなく、私は確実に大きくなって強くなったのです。短期間で、効果がありました。 ブルガリア人達は、もしかするとちゃんとわかっていたのかもしれませんね? 異なった時、異なった結果 6年間ほど早送りをしましょう。私は20代半ばで、自分のジムを運営していました。正直に言うと、毎日トレーニングを指導し、ビジネスを構築しようとするのに忙しく、私自身のフィットネスは衰えていました。 かなりの量のコンディショニングは行なっていましたが、弱く感じていました。大学の栄光の日々からは、確実に筋量を失っていました。何かしなくてはならないと決断し、母のガレージにおいてあった箱を次から次へと掘り出して、昔のブルガリアストレングスプログラムを見つけました。 プログラムを更に効果的にすると考えたいくつかの変更を加えて、取り組み始めました。再び、1日に2-3回高重量のリフトをすることを週に6日行ったのです。 この時の結果は?以前と同じではなかった、とだけ言っておきましょう。 この時は、プログラムに完璧に粉砕されました。 最初の何週間かは強くなったのですが…そこからはずっと下り坂でした。関節が痛み出し、常に筋肉痛があり、いつも疲れているようになるのにあまり時間はかかりませんでした。全てのワークアウトを行なって、できる限りハードにトレーニングしましたが、とても“楽しい”と呼べるようなものではありませんでした。 プログラムの半分くらいまで来たところで、ウエイトをリフティングするのがもう嫌になってしまいました。 なぜ“ハードにトレーニングする”ことが失敗に繋がるのか 二度目に何がうまくいかなかったのかを、十分に理解するには何年もかかりましたが、以来これら全ては私が“強度マインドセット”と呼ぶことからスタートすることを認識するようになりました。 強度マインドセットとは何でしょうか? 単純に述べるなら、成功と結果を駆動するための最も重要な変数要素は、“いかにハードにトレーニングするか”であるという考えでフィットネスにアプローチすることです。 このマインドセットは、あっという間に望む結果を見ることができないのであれば、トレーニングのハードさが足りないために違いないと考えることになっていきます。 あるいは、よくあるように、もしハードにトレーニングして幾らかの結果を見ることができているなら、更にハードなトレーニングをすれば、更に良いあるいは更に短期間での結果になる、というように。 結果を引き起こすのは強度であり、ノーペイン、ノーゲインというマインドセットは、フィットネスにおいて長い間存在していますが、過去10年間のクロスフィット、タバタインターバル、ブートキャンプのクラスなどの隆盛は、このマインドセットをフィットネス文化に更に深く、より深く染み込ませることになりました。 残念なことに、強度トレーニングには一つ大きな問題があるのです:うまくいかない 事実、長期的には利益以上に被害をもたらしてしまうことが多いのです。私は、これこそが多くの人達が努力をしても健康やフィットネスのゴール達成に失敗してしまう理由であると認識するようになりました(証拠もあります)。 説明させてください… 全てはエネルギーに尽きるのです。 強度マインドセットが上手くいかない理由に飛び込んでいくためには、エネルギーに関して話すことから始めなければなりません。私たちの身体の何兆個もの細胞の全てが機能し私たちの生存を維持するには、恒常的に限りのないエネルギーを必要とします。 私達の脳も筋肉も骨でさえも、全てが身体のエネルギー通貨であるATPに依存しています。 エネルギーを必要とすることは当たり前であり、ほとんどの人が理解できることですが、トレーニングやストレス、そして回復の全てが直接的にエネルギーとジムでのトレーニングの結果に関連しているのかについては明確さに欠けています。 この関係性のために、強度マインドセットは常に失敗してしまう運命にあるのです… なぜあなたのフィットビットは嘘つきなのか エネルギーに関して、近年明らかになった最も重要なことの一つは、私達の身体が生産できるエネルギーは、私達が認識しているよりもかなり限定された許容量であるということです。ほとんどの人達は、より歩数を多くすれば全体的によりアクティブである、つまりより沢山のカロリーを燃焼し、身体はより多くの総エネルギーを生産していると信じています。 この考え方は、フィットネス業界のどの時代においても、トレーナーからコーチ、栄養士をはじめ全ての人達の間で繰り返されてきたものです。 より沢山動けば、より沢山燃焼する。これはエネルギー消費の加法モデルとして知られています:これは、活動レベルが高ければ高いほど、最終的により多くのカロリーを燃焼するということを小難しげに表現したものです。 このよく知られた概念は、下のグラフでモデル化されています。"other (その他)”は、安静時に燃焼するカロリー量( RMR/安静代謝率)を示し、PAは、身体活動を表します。このモデルでは、より身体的にアクティブであればあるほど、より多くのエネルギー(カロリー)を1日に燃焼します。 身体はこのように働くのだと考えるのは、完璧に理にかなっているにも関わらず、そうではないことを示すエビデンスがどんどん提示されています。新しいリサーチは、代謝に関して、そして様々なレベルの身体活動に身体がいかに適合するかに関する全く異なることを伝えてくれています。 “Constrained Total Energy Expenditure and Metabolic Adaptation to Physical Activity in Adult Humans:成人における制約された総エネルギー消費量と身体活動への代謝適合“とタイトルづけられたリサーチでは、研究者達が、US及びアフリカに在住する5つの異なるグループの活動レベルとエネルギー消費を研究しています。 ダイエット指導者の多くにおける常識として、アフリカの人達は、より伝統的な狩猟収集民的ライフスタイルで生きてきたためにアメリカ人よりもよりアクティブであり、ゆえにより沢山のカロリーを消費するに違いないと言うことでしょう。 しかしリサーチの結果はそうではなかったのです… “自給自足農民や伝統的狩猟収集民を含む、社会経済的発達途上の人々における総エネルギー消費量は、先進国の人々の総エネルギー消費量と類似している。” ここで理解すべき重要なことは、研究者達は、エネルギー消費量(カロリー燃焼)を決定するために、ほとんどの人達が使うであろうフィットビットやその他の加速度計を使用しなかったということです。彼らは、その代わりに“二重標識水”と呼ばれるより洗練されたテクニックを使用しました。 このメソッドは、ただ単に何歩歩いたかではなく、身体の代謝を計測することで、身体が実際にどれほどのカロリーを燃焼しているのかをより正確に反映した測定値を提供します。全てのデータが入力された時、アクティブさの程度とカロリー燃焼量の間の全く異なった関係性が姿を表しました:下の図で表示されているエネルギー消費の制約モデルと呼ばれるモデルです。 手短に言えば、このモデルは、私達の代謝は、私達が常にそうであろうと考えていた方法で働いているのではないことを表しています。もし私達が1日に2万歩歩いたとしても、私達が1万歩歩いた場合よりも、より多くの総カロリーを燃焼することは実際にはないということが判明したのです。 そうではなく、私達が2万歩歩く時、私達の身体は単にその要求に見合うように、その他の生物学的機能からエネルギーの方向を転換するのです:これに関する詳細は、この後カバーします。
ペインばかりでゲインなし:高強度トレーニングへの執着は私達の期待に背いた。パート2/3
狩猟収集民族社会で生活している人達が、体重比で修正された時に、1日あたりほとんどのアメリカ人よりも、より多くのカロリーを燃焼することがないと示唆するのは、クレイジーに思えるかもしれませんが:それがリサーチの結果なのです。 このエネルギー消費の新しいモデルは、私達が1日に燃焼できるカロリー数には上限があるということを明確に示しています。私達がどれほどアクティブであろうと、私達の身体が生産することのできるエネルギー量によって私達の代謝は最終的に制限を受け、そして私達が燃焼できるカロリー量も同様に制限を受けるということがわかりました。 研究者達が、マイスにおける様々な活動レベルとエネルギー消費を二重標識水を用いて分析した“Increases in Physical Activity Result in Diminishing Increments in Daily Energy Expenditure in Mice:マイスにおける身体活動量の増加は結果的に1日のエネルギー消費量値増加減少につながる“と題された同様の研究においても、この働きがよく理解できます。 ご覧の通り、中程度に活動的であったマウスは、実際、運動不足のマウスよりも多くのカロリーを燃焼することになりました。一方で、高度に活動的であったマウスは、中程度に活動的なマウスと基本的に同じ量の総カロリーしか燃焼しなかったのです。 ここでも、この研究は私達の代謝には限度があり、私達の代謝が生み出すことのできるエネルギーの最大量は、私達が理解していたよりももっと固定されたものであるというモデルを支持しています。 エネルギーと、その活動との関係性に関する新しい見方の重要性は、どれだけ誇張してもし過ぎることはない程に、多くのことを説明してくれるものです。 エネルギーのジレンマと、フィットネスゴールについてのエネルギーの重要性の理由 1日に私達の身体が作り出すことのできるエネルギーには限りがあることがわかったところで、常にエネルギーを要求する様々な身体のプロセスを考えてみましょう。これらの要求を3つの大きなカテゴリーにグループ分けすることができます: 生命維持に必要な生物学的機能 身体活動とストレス、そして 組織修復と適合 最終的に、私達の脳とその複雑な計算のパワーが、生み出したエネルギーをどこに分配するかを決定づけることになります。 脳の一番の優先順位:生命を維持すること エネルギー要求の3つのカテゴリー中、生命維持に必要な生物学的機能(心臓、肺、脳のような重要な内臓器が必要とするエネルギー)は、当然ながら生存のために最も重要なものです。 これらの組織が必要なエネルギーを得ることができなければ、あっという間にゲームオーバーとなってしまうでしょう。 このために、身体が生存するために1日に必要な最低限の量が存在することから、脳の第1優先順位は、常にこれらのエリアにエネルギーを与えることになります。 脳の2番目の優先順位:活動にパワーを与え、人生のストレスに対応する 2つ目のカテゴリーである身体活動とストレスは、日々の変動がもっとも高く、そして私達が最も制御できるものでもあります。ワークアウトをするかソファに座っているかを選ぶことができますし、階段を登るかエレベーターに乗るかも選択できます。 私達が身体的により活動的であれば、働いている筋肉やサポートする組織により沢山のエネルギーが必要とされることは、かなり明白でありながら、ほとんどの人たちが十分に理解していないのは、メンタルストレスがどれほど私達のエネルギー分配に影響を与えるのかということです。 それが迫りくる仕事の締め切りやテストであっても、経済的な心配や家族のストレス、あるいは自分の前にいる車の運転手のスピードが遅すぎたりするからであっても、私達がメンタル的なストレスを受けている時はいつでも身体のストレス反応が活性化されることを知っていることは重要です。 こうしたことが起こると、血液中にストレスホルモンが放出され、血圧は上昇し、脳はエネルギー貯蓄を動かすように働きます。これはワークアウトのような(あるいは熊に追いかけられるとか)身体的に要求度の高いことに対応している場合に必要なことそのものなのですが、ストレスを与えているのがスピードの遅い運転手である場合には、あまり良いことではありません。 なぜなら、運転手が邪魔にならなくなった後、あるいはテストが終了した後、または支払いを終えた後にリラックスすることができたら、身体は一旦動かしたけれど必要なくなってしまったエネルギーを元に戻さなければなりません。貯蓄から血中へ、そしてまた貯蓄へとエネルギーを動かすこと自体にもエネルギーを要します。 他の方法で考えると:労働者が常に大きくて重い箱を上の棚から降ろした何分後、あるいは何時間後にまた上の棚に戻している倉庫をイメージしてみてください。彼らの貴重な(限られた)時間を費やすもっとも価値のある方法ではありませんね。 別の言い方をすれば、メンタルストレスには実際の生物学的コストがかかり、それはエネルギーとして支払われるということです。私自身の経験では、人生のストレスはかなりコストがかさみ、フィットネスや、またはその欠如において、ほとんどの人たちが認識したことがない程に、それは大きな役割を果たしています。 脳の最後の優先順位:フィットネス向上(身体を大きく、強く、脂肪を減らしカッコ良くする) エネルギーを要求する3番目で最後の代謝活動は、組織の修復と適合です。ハードにトレーニングしてフィットネスを向上させようとしている時、十分なエネルギーがここに分配されていることは間違いなく重要です。筋組織をより大きく強く再構築するために使われ、持久力を向上させる新しいミトコンドリアを作り出し、調整力やスキルを向上させることに繋がる脳の変化を生み出すために使われるエネルギーです。 もしあなたのゴールがトレーニングから最大の効果を得ることなら、あなたの基本的な代謝のニーズと身体的活動による要求が満たされたうえで、十分な余剰がある時にのみ、脳はより大きく強い組織を構築するためのエネル ギーを提供するのだということを認識することは重要です。 あなたの脳は、より重いウエイトを持ち上げ、より早く走り、あるいは水着が良く似合うようにするために、生命を維持するのに必要なエネルギーを犠牲にすることは決してないのです。
未だかつてない速さで回復するためのトレーニング方法 パート3/3
ハイパフォーマンスリカバリートレーニングの新しい科学 ハイパフォーマンスリカバリートレーニングセッションとはどのようなものか 身体がストレスにどのように反応するか、欲しい成果を得るために身体を回復状態へ移行する方法を学ぶことがなぜ重要なのかに関して十分な理解が得られたところで、肝心なHPRトレーニングセッションとは実際どのようなものなのかを見ていきましょう。 始める前に:最初に理解しておかなければいけない最も大切なことは、全てのHPRトレーニングセッションは、正しいマインドセットで始めなければならないということです。身を粉にして何らかの前進を得なければいけないと思ってジムへ行くのではなく、その日の目標を作り、来た時よりも気持ちがいい状態でジムを後にすることにする必要があります。 これができれば、あなたは回復への過程にあり、意図された通りにセッションが達成されていることを意味します。この目標を踏まえて、効果的なHPRトレーニングには4つの重要な構成要素があります: 1. リカバリー呼吸(5-10分) 副交感神経系の機能と回復を促進するために特定の呼吸と動きのパターンを一緒に用いるという概念は、数年前にビル・ハートマンとマイク・ロバートソンによって初めて紹介されました。 私が数ヶ月にわたって悩まされていたしつこい肩の障害を、ビルがたった数分のこの種のワークで治した後、私はこの信者になりました。 ビルは、特定の呼吸パターン、姿勢、ポジションを通して神経系に働きかけた時の即時の効果と可能性を見るために、リアルタイムのHRVデータを使っていました。これら全てが、正確にどのように働くかを解説することは、この記事の範疇を超えてしまいますが、非常に短く言うと、自律神経系はストレスと動きの間のコネクションであるということです。 リカバリー呼吸のエクササイズを通じて、目標としている動きと紐付いた特定の種類の呼吸を使って自律神経系を活性することができます。これは、より良質で、効率的な呼吸パターンの発達を助長し、しばしばリカバリーを阻害する特定の動きに関連している可能性があるストレスを減少します。 リカバリー呼吸の動きの例を見るためには、ここでマイク・ロバートソンのコンテンツをチェックしてみてください。 2. リカバリーゾーントレーニング(15-20分) リカバリーゾーンでのトレーニングは、世界初のデジタルリカバリーコーチである、モーフィウスの開発を通して、私が研究と実験に多くの時間を費やしてきたことです。 HRVを使ってきた長年の経験をもとに、私は、回復を刺激するためには、強度を正しく設定することが大切であるということを発見しました。もし強度が高すぎると、何よりもとにかく多くのストレスをもたらし、回復が遅れます。 しかし、もし強度が低すぎると、回復は刺激されず、トレーニングによる効果を最大限に得ることができません。 リカバリーゾーンとは、この「ちょうど良い」強度レベルを表しています:きつすぎず、楽すぎず、でもちょうどいい。これがHPRトレーニングの最適な強度であり、私の経験と私が集めたデータが示すところによると、その日のフィットネスレベル、およびリカバリーレベルに応じて、一般的に最大心拍数の72-88%くらいに落ち着きます。 あなたがすでに疲れていればいるほど、この最適ポイントは低くなり、逆もまた然りです。クライアントそれぞれが、自身のリカバリーゾーンでトレーニングをできるようにすることが、私が最初にモーフィウスの開発を始めた主な理由の一つです。このスクリーンショットでは、モーフィウスが、あなたに最適化されたリカバリーゾーンでのトレーニングを、青色の心拍ゾーンで表しているのが見て取れます。 リカバリーゾーントレーニングの素晴らしい点の一つ(また、これをよく行われている従来のリカバリーワークと分けるもの)は、そのゾーンの範囲で何を選んで行うかに制限がないことです。実際、より異なったタイプの動きの種類を取り入れることができればできるほど良いのです。 メディシンボールドリル プローラー&スレッド プッシュ/プル 自重ムーブメント バトルロープ ボックスジャンプ&プライオ マシンを使ったカーディオ:トレッドミル、バイク、バーサクライマー(私の好きな種目です) 自重トレーニング このような種類のエクササイズやその他を組み合わせて使うことで、二つの異なる方法から選んでリカバリーゾーントレーニングを行うことができます。一つ目は、心拍数を比較的一定に保ちながらサーキットを行い、一つのエクササイズを行ってから、次のエクササイズを行うという方法です。 二つ目の方法は、私がリカバリーゾーンインターバルと呼んでいるものです。このタイプのインターバルトレーニングでは、心拍数をできるだけ早くゾーンの上限に上げ、その後60秒間のアクティブリカバリーを取る方法です。 ここでの目標は、その60秒間でどのくらい心拍数を落とせるかを見ることであり、この方法は、回復能力を鍛えるのに驚くほど効果的で強力な方法です。これは、私がダイナミックエネルギーコントロールと呼んでいるものの一部であり、コンディショニングの改善を必要とするすべての人に不可欠なスキルであるため、私の認定コンディショニングコーチコースでも指導しています。 時間をかけてこのスキルを発展させていくと、心拍数が下がるのがどんどん早くなっていきます。これは、リカバリー状態へ移行する能力が改善したことを知る確実なサインです。 3. ストレングスの刺激(5-10分) リカバリーゾーンでの代謝活動を終えたら、次のステップは、付加的な重めのストレングスドリルを数セット取り入れることです。これを加えることによって、低めの強度ではほとんど働かない高い閾値を持つ筋繊維を活性し、そこへの血流を増やすことができます。 同時に、さらなる利点は、この種のワークを少ない回数で行った時の刺激は、中枢神経系を活性し、高いレベルで活動させ続けることにも役立つということです。私の経験では、この活性化の効果は、あなたが強くなったと感じるのを助け、高強度のトレーニングセッションの後の1~2日間にもより多くの効果を得ることができます。 その効果を最大化するために行なうべきことが幾つかあります: 全身の複合動作を一つだけ行う。私の個人的なお勧めはデッドリフトか、デッドリフトのバリエーションを使い、リフトの頂点で重りを落とすことです(それにふさわしいプラットフォームがあると仮定して)。これを行うことにより、本質的に遠心性負荷を取り除き、様々な組織への血流を促進しながらも、それらの組織にかかるストレスを総合的に減らすことができます。もちろん他のエクササイズでも同様の働きが得られますが、ここではデッドリフトが最適だと思います。 回数は低く抑える。ウォームアップセットでの数回を除き、2-3セット以上は行わないようにします。1RMの80-90%の中で5-8回を目指します。セット間の休憩は1-2分で十分です。 ウェイトが重いと感じる代わりに軽いと感じるようにする。リカバリースキルを発展するためには、与えられたタスクを行うために必要な以上のエネルギーを発揮しないことが必要です。自分自身に暗示をかけて、持っているすべてを発揮するような時と場合もありますが、ここでのストレングスドリルの目標は、簡単なことを難しく感じる能力ではなく、難しいことを簡単に感じる能力を発展させることです。 4. リカバリークールダウン(5分) HPRトレーニングセッションの最後の要素は、心拍数をできるだけ低くするために数分を費やすことです。目標は、5分以内に安静心拍数から5-10 bpmの範囲内に心拍数を下げることです。 これを行う最も簡単な方法は、静的および/または動的ストレッチとともに、ワークアウトの初めに行ったリカバリー呼吸のエクササイズを数回行うことです。最後に軽めのフォームローリング(痛みは伴わないようにする、もし痛みがあるようならここでの目的は失われる)、または同様の軟部組織へのワークを行ったら終了です! HPRトレーニングを試して、感想を聞かせてください #TrainHardRecoverHarder ここまで、効果的なHPRトレーニングのセッションがどんなものであるかを述べてきました。次は、あなたがこれを試し、HPRトレーニングがもたらす違いを感じる番です。あなたは、私が私自身や私のクライアントに試して感じたのと同じように、すぐにその違いに気づくでしょう。ジムを出るときに非常にリフレッシュした状態で、よりエネルギッシュで、痛みや硬さが薄れ、すべての面でジムに来た時よりも改善している自分を感じられるでしょう。 これを自分自身で経験すれば、リカバリー重視のフィットネスが非常に効果的で、なぜ強度ではなくリカバリーがトレーニングの未来なのかがわかるはずです。あなたがトレーナーやコーチなのであれば、あなたのクライアントやアスリートの一人にもHPRTセッションを行い、彼らからのフィードバックを得ることも強くお勧めします。
未だかつてない速さで回復するためのトレーニング方法 パート2/3
ハイパフォーマンスリカバリートレーニングの新しい科学 なぜ、身体を「回復状態」へ移行することが、トレーニングの成果を実現する鍵となるのか 前述の通り、ほとんどの人は、回復を活動の範囲で考えています:睡眠、十分なタンパク質の摂取、仕事で過度に緊張しない、など。しかし、回復とはそれだけではありません。 回復において最も大切なものは、エネルギーです。 より明確に言えば、回復とは、あなたの脳が、貴重で限りあるエネルギー資源をささげる場所として、どこを選ぶかということです。 身体には、文字どおり何兆個もの細胞があり、これらの細胞は全てエネルギーを必要とします。そのため、身体は、組織の再建のような大変なプロセスに資源を向ける前に、基本的な生命活動のニーズが満たされていることを確実にします。(これは、脳は大きな筋肉を構築することよりも命を維持させることに関心があることを意味します) このことを理解する最も良い方法は、身体が潜在的に、組織をより大きく、より強く、より機能的にする修復や再建にエネルギーをささげる生理学的状態として、回復を考えることです。 私はこれを回復状態と呼んでいます。最近大きな注目を集めている「フロー状態」と同様に、身体を回復状態に移行するためにできる特定のことがあります。そしてこれを行うと、回復(およびそこから得られる成果)は劇的に加速されます。 回復状態の内側 身体はどのように回復状態へ移行するのか(そして何が回復状態への移行を抑制するのか) 上の図からわかるように、同化ホルモンやアミノ酸の高い分泌レベルから良好な血液の流れ、充分なグリコーゲン貯蔵まで、身体には回復状態へ移行するために必要な幾つかの異なる要素があります。 これと同じくらい大切なのが、ストレスホルモンのレベルが低いことです。 血流の中にストレスホルモンがあると、身体は自動的に回復に費やすエネルギーをストレスホルモンの増加の原因となっているもの - たとえそれが精神的なストレスだけだとしても - に対処することに向けます。 つまり、ストレスはどんな形であれ異化作用であり、回復は同化作用です。この二つの根本的な違いは、単に私たちのエネルギーの大部分がどこに向けられているのかということのみです。 ここで注目するべき最も大切なポイントは、回復状態の中心では、高い副交感神経系(PNS)の機能が全てに関連しているということです。これは、回復に関わる多くの同化プロセスを根本的に誘引しているのがPNSだからです。 これこそがHRVが回復と密接につながっている理由であり、私が先述したパターンが見つかったと信じている理由です。HRVは副交感神経系活動レベルの指標です。HRVが増加している時は、身体が回復状態にあるというサインです。一方で、HRVが減少している時は、身体は全体的に異化状態にあり、回復は劇的に遅くなります。 軍隊の研究では、一流の兵士は、基本的により上手く身体を回復状態へ移行することができたため、選抜や戦術学校のストレスに対処することができました。同じように、バイオフォースHRVにより、高強度のワークアウトをした翌日にHRVの増加が見られる人々は、より多くのエネルギーを回復に向けることができるため、格段に高い確率でフィットネスの向上が見られます。 これは、より多くのエネルギーが、より大きく、より強い筋繊維の構築、より多くのミトコンドリア、神経系機能の向上、脳に新しい技術や能力を植え付けることに向けられていることを意味します。 このことから、回復状態へ移行できることがどれほど大切なことなのかがわかります – まさに、あなたのハードワークの結果を生み出すものであり、また、壊すものでもあるのです。 これを受けて、私は昨年1年間ほどを、身体を回復状態へ移行し、高強度トレーニングに必要なバランスを提供するのを助ける特定の方法をテストし(多くは私自身の身体で)、微調整し、洗練することに費やしました。 ハイパフォーマンスリカバリートレーニング(HPR)の紹介:身体を回復状態へ移行するのに役立つ新しい種類のワークアウト トレーニングを回復の方法として使うという概念は、決して新しいものではありませんが、現在よく行われている方法は、その方法を行った結果として望んでいる多くのことを達成できていません。大抵の場合は、数種のモビリティードリルと低強度のカーディオ、ランダムなウェイトリフティングを数セットという構成です。 正直に言いましょう:この種のリカバリーワークは、とにかく退屈であり、回復をわずかに改善するにすぎません。人々がこういったリカバリーワークをジムで行わないのには理由があります:これをやるために費やす時間と労力に十分な価値を感じていないからです(実際、大抵の場合は価値がありません)。 私は、研究や数年にわたる私自身のHRVの経験を基に、回復を加速するためのジムの使い方、トレーニング方法には、もっと良い方法があるに違いないと思っていました。退屈でなく、とても効果的であり、直後に違いを本当に感じることのできる方法が。 この、より良いアプローチを見つけるための探求が、私をハイパフォーマンスリカバリー(HPR)トレーニングの開発へと向かわせました。数多くの実験、試行、エラー、数え切れないほどのHRV測定を繰り返し、ジムで回復を加速する新しいトレーニング方法をまとめたのです。 ハイパフォーマンスリカバリー(HPR)トレーニング: 身体を回復状態へ移行するトレーニングセッションの数時間後に、身体を回復状態へ移行し、直前の高強度トレーニングの効果を高めます。 血流を刺激回復を早めるのではなく、遅らせるような追加のストレスを与えない範囲で、全ての筋繊維への血液の流れを刺激します。 副交感神経系の活性 — ワークアウト後、数時間でHRVが上昇するようにします。 回復を促進するメタボリックシステムを体内で発達させる — 生活のストレスに耐え、対処する能力を全体的に改善します。 呼吸と動きの質を向上する関節にかかるストレスを減少し、回復を妨げる可能性がある不必要なストレスホルモンの増加を抑制します。 実際に楽しい(かつチャレンジング)HPRは退屈や単調でなく、開始から終了まで30-45分以下であり、あなたの週間スケジュールにも簡単に合わせられます。 非常に効果的HPRセッションの後は、ジムに来た時よりも非常に良い気分でジムを後にすることができます。 遠慮なく言わせてもらいます:真剣にトレーニングに取り組んでいる人は誰でも、プログラムの通常の部分としてHPRトレーニングを取り入れることを始める必要があります。HPRトレーニングは、トレーニング後数時間内に、身体を回復状態へ移行するのを助けるだけでなく、身体をより素早く、効果的に回復状態に移行する能力を高めてくれます。 これはあなたのフィットネスおよび健康に大きな影響があります。 最善の結果を得たいなら、絶対に学ばなければならないスキル 私がキャリアの中で発見した最も大切なことの一つは、身体を回復状態に移行することは技術であるということです。技術は学ぶことができ、適切に発展させるためには鍛えなければなりません。 私が学んだこと(またデータが示すこと)は、体内で回復を請け負っているシステム、すなわち副交感神経系および有酸素エンジン、を発展させればさせるほど、身体の回復の潜在能力が高まるということです。 これはつまり、身体は最終的により高いレベルのストレスに対処できるようになり、疲弊し壊れてしまうどころか、より強くなることができるということを意味しています。軍隊の研究の一流の兵士は、この能力に長けていました。 あなたは特殊部隊にいるわけではないかもしれませんが、あらゆる高強度トレーニングや日常生活のストレスに直面する際には、身体を回復状態へ移行する能力を有していることが非常に重要です。 この能力こそが、まさにあなたのハードワークの結果を生み出すものであり、また、壊すものでもあるのです。