ニーリングオーバーヘッドから立位へ(ビデオ)

床の上に両膝立ちになった状態でのオーバーヘッドホールドのポジションから、立ち上がる動きへの移行は、可動性に問題のない人にとっては素晴らしいエクササイズのひとつです。このエクササイズを行うにあたって、避けるべき制限とは、どのようなものがあげられるのでしょうか?

エリック・クレッシー 1:47

スポーツパフォーマンスのトレーニングに関する4つの考察

1.私たちは、通常のバーベルベンチプレスを野球選手たちに対して行いません。 ダンベルベンチプレスをプログラムに組み込むことは、更に稀です。というのは、ひとつには、肩甲骨をベンチに押しつけ固定してしまうのではなく、肩甲骨の自由な動きを利用したいからです。ベンチプレスを除外したことを踏まえ、代わりに何をするのかと、しばしば問いかけられます。 多くの方がすでにお分かりでしょうが、答えは、ランドマインプレス、プッシュアップやケーブルプレスのバリエーションなどです。多くの人が忘れられがちな優れた選択肢として、ターキッシュゲットアップやケトルベルボトムアップキャリー等、シンプルにプレス(押す動作)を頭上でホールドするような動作へ代えるというものがあります。 ほかに私が好きなバリエーションは、膝立ちでのオーバーヘッドホールドから立ち上がる、というもの。これは、ターキッシュゲットアップをするためのちょっとした準備段階として、特に初心者を対象によく行います。素晴らしい回旋腱板の反射的収縮に加え、肩甲骨の上方回旋を促す必要がある人にも効果的です。これでもまだ、全ての人がこのバリエーションに適しているわけではありません。動画で学んでみましょう。 2.リフティングによって肘内側部を痛めるのは、まったく珍しいことではありません。 これは通常、とてつもない量のグリップトレーニングと多大な負荷下の肘屈曲の組み合わせで生じます。この問題が起きたら、通常、リフティング量を減らし、エクササイズの選択を修正するのが原則です。 しかし、多くの人に十分認識されていないのは、補助的なコンディショニングトレーニングがオーバーユーズパターンに与える影響です。ローイングマシーンに飛び乗り、数千メートルに達するまで20分間漕ぎ、またバーベルやケトルベルをさらに組み込んだ時、どれだけ共通屈筋腱を酷使しているかを想像してみてください。これらはすべて、かなりグリップに集中したアプローチですから、プログラムに組み込む際には注意が必要ですし、常に行うものでもありません。プログラムに組み込んだり、ときには外したりします。 たとえば、私の肘の内側のあちこちに刺激を感じているとします。漕ぐ動作を増やすと、たいていそれを感じるとします。このような場合、もし私が通常と同じ量の上半身のトレーニングをしていたならば、ローイングは1週間に1セッションが限界だということに気づきました。 3.十分な股関節のヒップヒンジ(屈曲伸展)があるということは、競技での成功に大きく貢献します。 そのためにも、トータッチプログレッションを多くの選手に実施しています。疑いもなく最大の間違いは、選手がトータッチを行う際、股関節屈曲の代わりに膝を過伸展していることです。このように見えます: 重心の後方への移動が一切なく、足首は底屈位のまま(ふくらはぎがストレッチされていない)なのがおわかりでしょう。関節に過可動性がある選手に多くみられます。以前にも紹介した動画があります; こちらの関節が緩い選手は実際、壁にブロックされているにもかかわらず、ヒップヒンジをまったくしなくても、トータッチを成し遂げていることがわかります。関節の過可動性がある選手は、よくこのようなトリックを使うのです!

エリック・クレッシー 2243字

投手が1年中投球プログラムを行うべきではない7つの理由 (パート1/2)

感謝祭(11月の第四木曜日)が近づいてくると、クレッシーパフォーマンスに来ている多くのプロ野球選手は、シーズン終了後の10~12週間にわたる投球休止期間を終えて、冬季の投球プログラムを始めます。プログラムを開始して最初の週は、休止期のあとで、身体が鈍っていますが、全ての投手が数週間で感覚を「取り戻し」ます。そしてこの時期はまだ、春季トレーニングに入る前にしっかりとした投球プログラムを行うのに十分な時間があります。また、選手たちは、投球はせずとも、ジムで筋力強化や、可動性の向上、軟部組織の質の向上に頑張って取り組んできているため、最終的にはいつも、より良くなっています。 それでもなお、野球の投手は投球休止期間を取る必要はないと主張する人々がいます。 私はこの意見には、全く持って賛成することができません。 こう言うと、怒る方がいるに違いないでしょうが、そういう方のほとんどは、「選手は何かをやらなければいけない」という考え以上の合理的な説明ができていないため、私はあまり気にかけていません。その一方で、私には、投手が投球からの休止期間を取るべき7つの理由があります。 1. 前方安定性を獲得するために、外旋を減少させる必要がある 外旋 (またはレイバック)を充分に持つことは、ボールを強く投げるのに重要ですが、シーズンを通してただ投球することにより、肩の外旋可動域が増加することは研究によって示されています。しかし、だからといって、誰かに肩関節の外旋を促進するようなストレッチをしてもらえばいいというわけではありません。 ご存知のように、上腕骨(ボール)が関節窩(ソケット)で外旋するとき、上腕骨頭は、前方向に(前に)移動する傾向があります。正常に機能している肩帯では、回旋腱板筋群が前方不安定性を防ぐ働きをし、これは肩甲骨の安定筋群の適切な機能によって支えられています。それにより、動的安定性が保たれ、上腕骨頭の位置を「適合させる」ために、肩甲骨が正しい位置に再配置されます。アスレチックトレーナーや理学療法士のみなさんが行っているアプリヘンション/リロケーションテストでは、まさにこの安定性をテストしているのです。 アプリヘンションテストで見られる危惧は、前方不安定性、または実際の機能障害(SLAP損傷、回旋腱板インピンジメント、上腕二頭筋腱炎など)により生み出されます。再配置(リロケーションテスト)の要素は、回旋腱板や肩甲帯の安定筋群によって提供されるべき安定性を、施術者が上腕骨頭を後方に導くことで供給するものです。 このことからわかることは、外旋の向上を目指して、一年を通して投球プログラムを行うことは、理論的にはいいアイデアのように思えますが、障害予防という観点からみるととんでもない考えだということです。投手は、毎オフシーズン中、意図的に少しずつ外旋可動域を減少させるべきであり、それにより、安定性を向上する機会が得られるのです。これはやがて・・ 2. 回旋腱板の筋力と肩甲帯の安定性を改善する機会が必要である 野球の投球は、上腕骨が7000度 / 1秒を超える速度で内旋するため、全てのスポーツの中でも群を抜いて最速の動きです。そのため、シーズンの終わりに回旋腱板の筋力や肩甲帯の安定筋群の筋力がかなり減少していても、驚きには値しません。私は、これまでに最長5回のオフシーズンにわたって、私のジムに通っている多くの選手と接してきて、シーズンのストレスだけではなく、シーズン終了後に始める腕のケアプログラムにおいても、選手達がそれぞれどのように反応するのか、その特有さを尊重しています。 回旋腱板の筋力を向上することは、適応という意味では、ベンチプレスやスクワットの向上となんら変わりはありません。ベンチプレスの重量を10%増やすには、中間レベルの人では3か月かかるかもしれませんし、レベルの高い重量挙げ選手であれば12か月かかるかもしれません!回旋腱板と肩甲帯安定筋群の適応の仕方は類似しています。私は、この投球を行わないオフシーズンを3か月みっちり使って、選手たちを少なくとも基礎レベルまで戻し、さらには少し改善していることを目指しています。 どこかの変人が、ベンチプレスのスコアを向上しようとして、通常のストレングス&コンディショニングプログラムに加えて4-5回のベンチプレスを加えることを想像できますか? たとえ改善があったとしても、それは最小限で、それよりも怪我の危険性が大幅にあがることでしょう。オフシーズンの初期に、適切に、専用に構成された腕のケアプログラムの最中に行う投球はこれとまったく同じことなのです。 3. 回旋腱板エクササイズの手動抵抗に専念する機会が必要である

エリック・クレッシー 2674字

投手が1年中投球プログラムを行うべきではない7つの理由 (パート2/2)

4. 肩と肘の可動域を取り戻す必要がある パート1で述べたように、野球の投球は、スポーツの中でも群を抜いた最速の動きです。投手が経験するすさまじい腕のスピードとともに覚えておきたいことは、筋肉は、腕を加速すると同時に、減速もしているということです。この「ブレーキ」チャレンジは、伸長性ストレスと呼ばれています。詳細は下記で説明します。 ここで理解しておかなければいけないのは、多大な伸長性ストレスは、放っておくと組織の短縮につながりかねないということです。これをさらに裏付ける証拠として、ライノルドらは、投手は、投球直後、肩の内旋を9.5度、肘の伸展を3.2度平均して失い、これは投球後24時間継続したと発表しています。 さて、ここでこういった急性の可動域の損失が、シーズンを通して放置される、または、投手は一年を通して投げ続けるため、この損失が重なり続けるという状況を想像してみてください。これこそ、肘が下記の写真のようになってしまう理由なのです。 幸いなことに、適切なモビリティーエクササイズや、徒手療法、呼吸エクササイズなどにより、シーズン中の可動域の損失は防ぐことができますが、実際は、専門知識や、金銭、便利性などの不足から、全員が全員にこのような治療やエクササイズにアクセスできるわけではありません。そのため、私たちは、多くの人々に腕のケアの方法について教育し、怪我のリスクを減らすためには、投球プログラムからの休息を取ることが全体の計画の中での大事な要素であることを強調しています。 このトピックについて最後にもう一つ、シーズン中に投手の肩や肘の可動域を改善しようとすることは、投球動作の性質がそれとはまったく真逆に働くため、もはや悪夢です。オフシーズンこそが、最適な可動域に「戻すとき」なのです。 5. 伸長性ストレスを「散らす」必要がある ここで4番目の理由をじっくりと掘り下げていくことを、まずお断りしておきます。 野球の世界について学ぶためには、時々その世界から離れることが必要です。その点で、私は、2004年の富谷らの素晴らしい研究を教えてくれたマイク・ライノルドに感謝しています。 この研究では、電気刺激モデルを使ってネズミの筋肉に伸長性ストレスを与え、筋肉のダメージを示す血液指標を観察しました。次のグラフからわかるように、筋繊維の分裂はエクササイズ後、3日目で最高点に達し、その後基準値に戻っていきますが、介入から7日たっても完全には戻っていません。 引用元:Tomiya A, et al. Myofibers express IL-6 after eccentric exercise. Am J Sports Med. 2004 Mar;32(2):503-8. では、これをピッチングの世界に応用してみましょう。7-10日間のサイクルで投球をしているすべての投手は、いくらかの筋肉損傷を抱えた状態で投げています。また、投手たちが私に訴えてくる最もきつい課題は下記の二つです。 a) 先発からリリーフに移ること b) 高校や大学の7日間のローテーションから、プロの5日間のローテーションに移ること 私は、投手は、強くあり続けるために、シーズン中は投球をする必要があると固く信じていますが、同時に、私たちは生理学的要素に勝つことができないことも知っています。もちろん、ただ甘やかしてよくなることを期待することはできないため、最適な栄養と回復のための努力をする必要があります。しかし、間違えないでください。高いレベルにある投手が成功するためには、単純に(せいぜい)90%の実力で良い投球ができるようにならなければなりません。 8-9か月間の投球により、すでに腕が不完全な状態で投げている投手に、残りの3か月間でも同じ種類の負荷の量とストレスを与えることは、最もやってはいけないことです。 6. 診断されていない低度の怪我を治す時間をとる必要がある ほとんどの怪我(内側側副靭帯損傷など)は、慢性的な、低レベルのストレスの蓄積から起こります。おそらく、内側側副靭帯の石灰化や低レベルの回旋腱板腱炎が起こっているかもしれず、最終的に何かが「起こる」までには、数年、そして何百ものイニング数がかかります。 古い、低レベルの損傷は、休息時間を与え、トレーニングストレスを分散する努力をしていれば、限界点に達することは稀です。オフシーズン中に、損傷部位以外の身体を鍛えることで、投球により回旋腱板に与えられるストレスは格段に減少します。 負荷が一時的にでも取り除かれなければ、他の関節に負荷を分散させることもできません。 7. 勝つために必要なその他の要素に優先順位をつける必要がある 投球は、もう少し長くできることもありますが、良くて20~30分、集中して取り組むことができる動作です。投手がより強くなるために、オフシーズン中にできることを、ストレングス&コンディショニングの立場から考えると、多くの時間と、回復能力を無駄にすることを正当化するのは難しく感じてしまいます。この期間には、ほかに優先的にするべきことがあります。一年中を通して投げることは、投球が回旋腱板の筋力、肩甲骨の安定性、可動性、そして組織の質など、築き上げようとしていることに対して逆効果を与えると知っていれば、特に受け入れがたいことです。 まとめ 投球からの休息が不十分であることは、骨格が成長段階にあり弱い、若い世代では特に問題です。15歳の非常に弱い子供が、時速74~76マイル(時速120~122km)で投球をすることは、中間レベルのプロ選手が時速90~92マイル(時速145km~148km)で投球をするよりも、圧倒的なダメージを身体に与えていると思います。プロの投手は腕を守るために、より最適化された投球テクニックを身につけています。これは、「同期する」メカニズム、投球プログラム、そしてストレングス&コンディショニングプログラム全体の構成の大切さを軽視しています。 最後に、大切なことですが、2週間では「オフタイム」にはならないということを覚えておいてください。私は、投手は一年間に2か月間、できれば連続した期間、完全にボールを触らないようにするべきだと固く信じています。すなわち、1週間の休みを一年に8回取ることは、プラスの適合を起こすことはできず、理想からは程遠いものです。

エリック・クレッシー 2772字

前方コアの安定性が重要である6つの理由

この時期になると、シーズンを終了したばかりのプロ野球選手の評価を数多く行います。“初めて”評価するアスリート達全員に関して気づく、最も大きな問題点は、前方コアのコントロールの欠如です。言い換えると、彼らは通常、この写真で見られるように、かなり誇張された伸展姿勢をしています: そして、腕を頭上に挙げると、大抵は肋骨がかなり“浮き上がって”しまうのです。

エリック・クレッシー 2964字

投手の肩屈曲制限(ビデオ)

メジャーリーグの選手達から絶大の信頼を得るエリックが、投手の投球側の肩の屈曲の制限の要因とその影響に関して、機能解剖学的な情報を含め、分かり易く解説します。

エリック・クレッシー 6:13

スーパインレッグウィップ(ビデオ)

仰臥位でのブリッジポジションから脚を移動させる、シンプルなエクササイズを、アドバンスレベルの人にはウォームアップの一部として、入門レベルの人には強化のエクササイズとして、幅広く応用するアイデアを、エリック・クレッシィがシェアします。

エリック・クレッシー 1:38

ストレングストレーニングプログラム:プルアップはそこまで重要か?(パート1/2)

プルアップはウエイトトレーニングの歴史の中でも、もっとも神聖なストレングスエクササイズであり、スクワット、デッドリフト、ベンチプレスやオーバーヘッドプレスが同格に並びます。以下の文章を読んだあと、様々なストレングスコンディショニング関係者のなかで、エリック・クレッシー叩きがあるであろうと予想する理由の1つはそこにあります。 プルアップを除外する賢い人もいるだろう-少なくとも一時的に 私をさんざん痛めつける前に、少しだけ説明する時間をください。 最初に、私は、プルアップが広背筋を鍛え、広背筋は運動機能に大きく関わり、強さや、筋肥大の探究に必要であるということを理解しています。広背筋は下肢と上肢間の力伝達に大きく関わり、コアの安定性と呼吸にも重要な役割を担っています。私が関わる野球に特有なこととして、アマチュアと比較して、プロ選手は投球の加速期における広背筋の働きが高く、球速の向上にも広背筋の貢献度が高いことが示されています。 しかし、胸腰筋膜から上腕骨にいたるまでの広背筋の“拡張した”存在感が、解決策にもなり得ると同時に、問題にもなります。これを受けて、ここにストレングストレーニングプログラムからプルアップ、チンニング、プルダウンを省いた方がよいかもしれない4つの理由を挙げます。 1. 重いプルアップは肘を故障させる - それは私の論点として、もっとも短く単純なので、早めに提出しておきます。私のチンニングにおける3RMのパーソナルベストは321ポンド(145.61kg)です。体重は188ポンド(85.28kg)なので、外負荷は133ポンド(60.33kg)でした。ロウベンチプレス(補助装具なしのベンチプレス)3RMベストは約330ポンド(149.69kg)ですが、おそらく驚かれるであろうことは、重たいベンチプレスのほうが、プルアップやチンニングよりも関節(特に私の肘)にかかる負荷は劇的に少ないということです。なぜでしょう? まず、ベンチプレスをするときは、全身を使って行います。上肢の活動が起こるのに加えて、脚からのドライブがあり、コアを安定させる負荷がかかるので、ストレスはより簡単に分散されます。プルアップをするとき、上肢は比較的孤立化されるため、ストレスは集中しやすくなります。 2番目に、プルアップは牽引のエクササイズで、上腕骨骨頭を関節窩から引き離し、基本的に上から上腕と前腕を引き離します。骨の適合性を失えば―関節の安定性においてもっとも重要であり、見落としやすい部分になりますが―その関節において能動的制限(筋肉・靭帯)を使い、不足をおぎなわなければなりません。肩関節関節外インピンジメントや椎間板の問題があるような場合では、低レベルの牽引は非常に役立ちます。しかし、負荷が大きい場合には、関節周辺の軟部組織にかなり大きなストレスとなりえます。反対に、ベンチプレスは空間を接近させるエクササイズであり、関節のアラインメントにより安定性が得られるため、軟部組織にかかるストレスを軽減してくれます。 重いプルアップ/チンニングが、年配のウエイトリフターをいかに故障させてしまうのかについて、フェイソン・フェルギアが最近論じていたことを思い出しました。そして、理由としては、組織の退化だけではなく、単純に全体のストレスが多すぎて、それに耐えうるだけの充分な筋力をつけるためには時間を要してしまうからだと言って間違いないでしょう。 2. 広背筋が僧帽筋下部筋力よりも強くなる - 私が見ている野球選手(ほとんどの伸展・回旋動作が必要なスポーツのアスリートは総体的に)の圧倒的大多数が、腰椎過度前弯姿勢で生活しています。広背筋は強力な脊柱伸展筋ですが、上肢に向かう途中で肋骨と肩甲骨にも付着しています。そのため、過度前弯型のアスリートの多くは、ワインドアップモーションでかなり“著しい”伸展パターンを呈してしまいます。 広背筋の働きで腰椎が伸展し、彼らがとりたい姿勢をすでにとれているため、肋骨が浮き上がり、僧帽筋下部が肩甲骨を後ろに、肋骨を下に引くことにあまり作用しなくなります。下の写真で見られるように、2つの筋肉が引っ張る方向は実際にはかなり似通っていますが、断面積と長さでは、広背筋は常に優位にあります。特に、エクササイズ選択と間違ったリフティングテクニックのため、広背筋トレーニングが、絶えずストレングスプログラムにおいて優先度が高い場合はそうなってしまいます。 実際、ただ脊柱全体を伸展に動かすだけではなく、胸郭上で肩甲骨を動かすことを習得する必要があります。興味深いことに、PRIやDNSの学校の考えでは、屈曲寄りの傾向が強いことに気づくと思います。彼らは、人々を“著しい伸展”から改善することが、人々を健康にし、健康維持させる方法であるとはっきり認識しているからです。広背筋が過度に短い・硬い場合、伸展由来の腰痛(例:脊椎分離症)から肩の痛み(例:関節外・内インピンジメント)に至るまで、数多くの問題を引き起こします。以前にも書きましたが、この全体的な機能不全は、アスリートに大腿寛骨臼インピンジメントがより多くみられる理由もなるでしょう。 別の興味深い余談ですが、右肩が低く、同側の広背筋が、途方もなく短く硬くなっている投手を数多く見てきました。 これは肋骨の位置異常と、それに伴う肩甲骨前傾(PRIの考え方によると)に続いて起こりますが、我々が見つけた新たな発見は(理学療法士エリック・ショーンバーグの素晴らしいフィードバックに感謝)、低くなっている肩でオーバーヘッドのシュラッグバリエーションを行うことで、投手は状態がよくなるだけでなく、これらの非対称性も最小に抑えることができます。実際、僧帽筋上部を少しだけ硬くすることで、広背筋が肩甲骨を強引に下に引く力に対してのカウンターバランスをとってくれます。 こういった人達は肩甲骨が下制しているため、肩甲骨の位置が上手にコントロールできるまで、重いウエイトを手に持って行うエクササイズ(例:デッドリフト、ダンベルランジ等)はしばしば除外するでしょう。

エリック・クレッシー 2637字

ストレングストレーニングプログラム:プルアップはそこまで重要か?(パート2/2)

(前編からの続き) 3. 広背筋の上腕骨付着部位は、肩後方の重要な集中エリアになります。 – 肩の後方部は、身体のなかの閉所恐怖症のエリアです。広背筋、大円筋、小円筋、棘下筋、上腕三頭筋長頭、三角筋後部の腱があり、すべてが一つの小さいエリアに向かって走行し、お互いが重なり摩擦を生じさせながら、それぞれの力を協同させます。(そのような部位のことを筋筋膜研究家のルイージ・ステコは“収束域”と呼んでいます)。 広背筋が、そこに関与している筋肉のなかで、もっとも大きく強いということは疑う余地もありません。広背筋の腱がもっとも長いため、その部位において、やっかいな組織になりえる最強の候補になっています。問題は、筋肉・腱は同じように変形しないということです。むしろ、組織の質がよいとたくさん動きますし、密集しているとほとんど動きません。そのため、肩後方部がかなり密集している状態でプルアップをしようとすると、前述したとおり、胸郭上で上腕骨と肩甲骨が上手に協働するのではなく、肩全体を一緒に動かしてしまいます(上腕骨伸展・内旋と肩甲骨下制)。肩後方が硬く、すべての動きに広背筋を使おうとしてしまう人が、座位ケーブルローを行うと、このような感じになります。どれだけ肘を身体の後方に引き上げ、肩甲骨が前傾しているか、また、また、このビデオがどれだけ古いか注目してください。私には、自分が体重120ポンドの12歳の少年のように見えます。 長い間、このようにローイングを行っていると、最終的には肩前方を痛めてしまいます。しかし、この立位片手ケーブルロウをみてください。上腕骨頭(球)は関節窩(受け口)と良いアラインメントを保持できていて、肩甲骨は胸郭上で動いています。肩甲骨が一緒に動かない限り、上腕骨は伸展しません。 4. 広背筋が過活動すると、肩峰下スペースが減少します。 – 広背筋は上腕骨を伸展、内転、内旋させます。オーバーヘッド動作を正しく行うためには、上腕骨の屈曲、外転、外旋が必要になります。つまり、健康なオーバーヘッドの動きに対して、広背筋は、まさに拮抗筋であることが分かるでしょう。痛みのないオーバーヘッド動作のために重要な筋肉が何かを考えた場合、それらは後方回旋腱板と僧帽筋下部であるはずです。“顕著な”伸展パターンを呈している場合、この2つの筋肉よりも、広背筋のほうが強くなっています。 これはテストです:仰臥位になり、膝を曲げ、腰を平坦にし、上肢を頭の上で自由に垂らします。そして、誰かに頭のほうから下肢に向かって写真を撮ってもらいます。背中が前弯することなく、その動きのすべてで痛みがなく、完全に屈曲することができれば“合格”です。痛みがある、あるいは、この写真のようであっては“不合格”になります。 あなたの写真がこのように見え、オーバーヘッドでのトレーニング(特に、オーバーヘッドプレス)を痛みなく行うつもりであれば、過度に短くなっている広背筋に打ち勝つために、充分な後方回旋腱板と僧帽筋下部の機能(充分な硬さ)をもっていることが望まれます。そうでなければ、肩を屈曲させると、代償動作として腰椎伸展を伴い、頭部前突姿勢になるでしょう(このビデオでは左肋骨に顕著な浮き上がりもみられます)。 充分な前方コアの安定性と、深部頚部屈筋群の活動が必要であると言い換えることもできますが、それらはまた別の日にブログに載せたいと思います。 締めくくり この投稿は長くなり過ぎてしまい、正直に言うと、最後の1300字くらいは多くの人を怒らせるために書いてしまっているかもしれません。しかし、我々がクレッシーパフォーマンスで、今でもかなり多くのプルアップ・チンニングをトレーニングに取り入れていることを知れば安堵するでしょう。事実、それらは主力なトレーニングです。しかし、そこにはいくつかの修正点があります: 1. プルアップがかなり強化されると、リスクと報酬比率のバランスが少し崩れてしまいます。負荷を上げていくのではなく、セットと回数を増やしていくほうが良いでしょう。組み合せたエクササイズで使用するよりも、重い負荷での頻度を減らす方がよいでしょう。 2. 肩後方と肘全体に一定期的なマニュアルセラピーを行い、組織の質を最善にしておきます。少なくとも、スティックを使い、フォームロールをたくさんするようにしてください。 3. 前方コアと深層頚部屈筋群を強化し、肩屈曲を、腰椎過伸展と頭部前突姿勢で代償しないようにします。 4. 僧帽筋下部を強化することで、広背筋の筋力が強くなりすぎないようにします。僧帽筋下部が真直ぐに引くように作用するので、私は135度外転位でのウォールスライドを好みます。“臀筋をしめ、コアを固定する”よう必ず指示してください。そうすることで、胸郭上で肩甲骨が動くとき、腰椎伸展(“ひどい伸展”)の代償を起こさないようにさせます。頭部前突姿勢も起きないように注意してください。 テーブルの端で行う仰臥位シングルアームレイズも人気です。ただ、“臀筋をしめ、コアを固定し、頭を前に出さない”と必ず指示を出し続けてください。 5. 広背筋に充分な長さを保持する。私は、ウォームアップでは、肩の屈曲を獲得する目的で、ベンチ胸椎モビリゼーションと側臥位での内外旋を好みます。 静的ストレッチでは、パワーラックを使って行う広背筋のストレッチが効果的です。 そのストレッチでインピンジメントしているような感覚があれば、少し戻り、反対の手で肩甲骨を安定させ、ゆっくりと壁に沈み、安定させながら広背筋をストレッチしてください。 上腕骨伸展をさせることで、広背筋と共同筋である三角筋長頭の硬さをとることができるので、この典型的なオーバーヘッドストレッチも効果的でしょう。 6. 水平プル(ロウイング)強化のエクササイズも多く取り入れてください。そして、正しいフォームで行ってください。この目的は、上腕骨と肩甲骨を胸郭上で同時に動かすことであり、固定した肩甲骨上で上腕骨を伸展にぐいぐい引っ張ることではありません。 7. 肩屈曲がうまくできず、頭部前突姿勢や腰椎過伸展の代償が起きてしまう場合は、プルアップを始める前に、その根本的な問題を解決してください。我々は、プロ野球選手のシーズン終了後4-8週間はプルアップやチンニングを行いません。回旋腱板、僧帽筋下部、前方コアの筋力を構築するための時間が必要だからです。“可・不可テスト”として、壁の前に立ち、肩を屈曲するエクササイズを好んで使います。背中を平単に維持して肘を曲げずに、親指を壁につけることができれば、プルアップを始めることができるでしょう。 8. まずなによりも、身体の声に耳を傾け、プルアップ・チンニングで痛みがあるのであれば、中止してください。

エリック・クレッシー 3027字

前鋸筋のウォールスライド(ビデオ)

通常のウォールスライドとは、少し異なったポイントに注目して行う、前鋸筋を働かせるための肩甲骨上方回旋の動きを使ったウォールスライドの入門編、そしてプログレッションを、エリック・クレッシィがご紹介します。

エリック・クレッシー 3:04

ランドマインプレス(ビデオ)

全身を連動させて効果的にプレスの動きを行うランドマインプレスは、エリックが指導するアスリート達のほとんどに指導するエクササイズのひとつです。ランドマインプレスの、見落しがちだけれど重要なキューイングを再確認しましょう。

エリック・クレッシー 2:43

胸椎のモビリティーとバックスクワット(ビデオ)

バックスクワットのバーの上に、手を楽に置き、正しい姿勢で無理をせずにスクワットが行えるためには、胸椎の可動性が十分にあることも重要です。エリック・クレッシィが、異なったタイプのトレーニーをモデルに、姿勢の違いを解説します。

エリック・クレッシー 2:52