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オーバートレーニングを発見することができる診断ツールはどれか? パート3/3

(パート 2/3はこちらへ) 研究者たちは何を行ったのか? 上記のように、オーバートレーニング状態のアスリートにおける研究の結果に基づくと、非機能的オーバーリーチングもしくはオーバートレーニング症候群を示しているアスリートは、自己認識ストレスの増加、睡眠量および質の低下、睡眠障害、自己認識および気分の変化、免疫抑制、および交感神経系活動の変化を示す可能性があるようである。この研究において研究者たちは、下記のようなこれらの特性の1つもしくはそれ以上を測定する能力により、非機能的オーバーリーチングの評価を行う能力に関し、下記のツールを比較している。 アスリートに対するリカバリーストレスアンケート(RESTQ-sport)- これは各分野4つの質問からなる、19分野の構造化アンケートであり、活動に関連し感じたストレス要因および回復の頻度を確立するために、各質問は7点スケールにて回答される。トレーニング負荷の変化に対するアスリートの反応を監視することに関し、この方法は既に正当性が立証されている。 気分状態のプロフィール(POMS)- これは、鬱状態(8項目)、怒り(7項目)、疲労(6項目)、緊張(6項目)および活力(5項目)を評価している合計32項目からなる、5分野にわたるもう一つの構造化アンケートであり、各質問は5点スケールにより回答されている。 反応時間 - 幾人かの研究者たちは(例:ネダロフ2006年)は、非機能的オーバーリーチングもしくはオーバートレーニングであるアスリートにおいて、精神運動機能が損なわれていた可能性があると提議している。これは反応時間の低下または減少により明確にすることが可能である。これは複数回測定し記録することが非常に簡単なツールである。 視床下部-下垂体-副腎系(HPA)軸機能 - 上記のように、オーバートレーニング症候群を患うアスリートにおいては、同日に2回行われた特定の種類の最大エクササイズテストに対する、コルチゾールおよび副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)反応の機能不全が存在する。自転車エルゴメーターによる段階的なエクササイズテスト(120Wから始まり、極度の疲労に至るまで3分ごとに30Wずつ増加)の前後に、各テストに対しコルチゾールおよびACTH濃度が測定された。 ゆえにこれらの4つのテストはストレスに対する自己認識、自己認識および気分の変化、交感神経系活動の変化、および精神運動機能の変化を評価している。研究者たちは、被験者として3名の女性スピードスケート選手へアクセスした。1名は健康なコントロール被験者であり、2名は後に様々な段階の非機能的オーバーリーチング(NFO)と診断され、そのうち1名は現在も非機能的オーバーリーチングの状態にあり、1名は非機能的オーバーリーチングからの回復途中であった。NFOを患うアスリートは2週間トレーニングを控えており、NFOから回復中のアスリートは12週間トレーニングを停止していた。 *** 何が起こったのか? アスリートに対するリカバリーストレスアンケート(RESTQ-スポーツ) 研究者たちは、コントロール被験者は、一般およびスポーツに特化したストレススケールにおいて低い値を示し、一般およびスポーツに特化した再生スケールにおいて高い値を示したと記述している。NFOを患うアスリートは一般およびスポーツに特化したストレススケールにおいて高い値を示し、一般的な再生スケールにおいて低い値を示し、またスポーツに特化したサブスケールのいくつかにおいて低い値を示した。NFOから回復中のアスリートは、これら2極端の中間の値を示していた。 気分状態のプロフィール(POMS) 研究者たちは、コントロール被験者は、抑鬱気分スケールにおいて低い値を示し、活力に対しては高い値を示したと報告している。NFOを患うアスリートは、疲労スケールにおいて高い値を示し、活力を含むその他の気分のスケールに対しては中から低程度の値を示していた。NFOから回復中のアスリートは全てのスケールにおいて中程度の値を示していた。 反応時間の課題 研究者たちは、NFOから回復中のアスリートは最速の反応時間を示し、現在NFOを患っているアスリートは最長の反応時間を示したということを発見している。 ホルモン反応 研究者たちは、コントロール被験者は両方のエクササイズテスト後、コルチゾール濃度のわずかな減少を示したということを報告している。NFOから回復中のアスリートは、最初のテスト後わずかな減少を示したが、2回目のテスト後はわずかな増加を示した。NFOを患っているアスリートは、最初のテスト後わずかな増加を示し、2回目のテスト後に大幅な増加を示した。 *** 研究者たちはどのような結論に達したのか? 研究者たちは、RESTQ-スポーツ(一般およびスポーツに特化した自己認識ストレスを測定する)、反応時間テスト(精神運動性速度を測定)、およびダブルエクササイズプロトコルに対するコルチゾール反応は、非機能的オーバーリーチングの存在を監視するために有望なツールであるという結論に至った。しかしながら彼らは、POMSテスト(気分状態を測定)は、NFOを患っているアスリートとNFOから回復中のアスリートを有効的に区別することが不可能であったため、このテストはそれほど有益ではなかったと記述している。 *** 制限要素は何か? この研究の主な制限は、被験者が3人のみであり、そのうち1人はコントロールであったということである。ゆえに、個人差により他のアスリートにおいては全く異なる状況が観察される可能性がある。その他の主要な制限は、データが1点でのみ集められており、非機能的オーバーリーチングの診断がなされた期間中に集められた情報のみを反映しているということであった。もし研究者たちが同じアスリートに対し、彼らが非機能的オーバーリーチングになる前のデータを集めることが可能であったならば、アスリート個人における大きな変動を示していた可能性があるという点で、POMSテストはより有益であったかもしれない。 *** 実践的な意義は何か? 原因不明のパフォーマンス低下は、非機能的オーバーリーチングもしくはオーバートレーニングに対する確立した測定方法である。規定のトレーニングプログラム及びリカバリーを行っているにもかかわらず、持続的なパフォーマンスの低下を示すアスリートは、非機能的オーバーリーチングもしくはオーバートレーニングに対し評価されるべきである。 オーバートレーニングの診断にあたり、非伝染性疾病(例:甲状腺や副腎に関わる疾病、糖尿病、鉄欠乏症、および貧血症)、感染性疾病(例:心筋炎、肝炎、および腺熱)、またその他の主要な疾病もしくは摂食障害(例:拒食症と過食症)の存在を除外する必要がある。 オーバートレーニング症候群を患うアスリートは、ストレスに対する自己認識の増加、睡眠量および質の低下、睡眠、自己認識、および気分の障害、免疫抑制、および交感神経系活動の変化を示す可能性があるようである。 潜在的に有益な非機能的オーバーリーチングもしくはオーバートレーニングの早期警告に対する指標は、気分状態の変化(POMSスケールを使用することが可能)、免疫マーカーの低下、反応時間の減少、パフォーマンスの低下、HRVの増加もしくは減少、および同レベルのエクササイズの際の最大下乳酸濃度の減少を含む。 RESTQ-スポーツ(一般およびスポーツに特化した自己認識ストレスを測定)、反応時間テスト(精神運動性速度を測定)、およびダブルエクササイズプロコトルに対するコルチゾール反応(エクササイズに対するHPA-軸反応を測定)は、非機能的オーバーリーチングの存在を監視するために有望なツールである。

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オーバートレーニングを発見することができる診断ツールはどれか? パート2/3

(パート 1/3はこちらへ) (パート 3/3はこちらへ) 背景(続き) 何がオーバートレーニングを引き起こすのか? オーバートレーニング症候群の正確な原因は明確ではなく、それは主に次の2つの主要な理由から研究を行うことが非常に困難であるためである。第1に、倫理的にアスリートに対してオーバートレーニングを誘発することは不可能であり、いかなる研究も定義上、回顧的でなくてはならない。第2に、現在オーバートレーニングは、長期の観察後、また多くの他の可能な原因を除外した後にのみ診断することが可能であり、何ヶ月もパフォーマンスの低下が継続しているアスリートは時に引退を選択してしまうため、実際には非機能的オーバーリーチングであったのか、もしくはオーバートレーニングに達していたのかを評価することが困難となる。それでもなお、研究者たちの様々なグループ間で支持されているメカニズムが幾つか存在しており、クレハー(2012年)は下記の見出しに関する要約をしている。 グリコーゲン仮説 – このモデルにおいては、グリコーゲンの減少が疲労を引き起こし、その結果としてパフォーマンスを低下させると信じられている。しかしながら、スナイダー(1995年)は、正常なグリコーゲン値にもかかわらず、アスリートがオーバートレーニングの状態になることは可能であるということを発見しており、この仮説を非常に支持しがたいものとしている。 中枢疲労仮説 – このモデルにおいては、トリプトファンの脳への取り込みの増加が、神経伝達物質セロトニン(5-HT)値の上昇へとつながり、これが有害な気分症状を生み出すということを提議しているのが原案である。ミューゼン(2006年)は、この仮説の改訂版において、ドーパミンに対するセロトニンの比率の増加は、疲労感や倦怠感を引き起こすと説明している。 グルタミン仮説 – このモデルにおいては、グルタミンの減少が免疫機能障害、および感染に対する感受性の増加を引き起こすと提議されている。しかしながら、オーバートレーニング症候群は感染が存在せずとも起こり得ると考えられており、この仮説を魅力のないものとしている。 酸化ストレス仮説 – このモデルにおいて研究者たちは、過度の酸化ストレスは筋損傷および疲労へとつながると提議している。 自律神経系仮説 – このモデルにおいて、副交感神経優位は様々な症状を引き起こすと考えられている。しかしながら、心臓自律神経バランスを測定するために心拍変動を使用した研究は、トレーニング負荷の増加後、交感神経および副交感神経の優位性の増加を記述しており(例:ハイネン2006年)、ほとんどの場合、心臓自律神経系バランスに対する増強されたトレーニングの影響は1週間以内に是正される可能性があるようである(例:ピコット2000年)。 視床下部仮説 – このモデルにおいては、視床下部-下垂体-副腎系、および/もしくは視床下部-下垂体-性腺軸の異常調節は、コルチゾールもしくはテストステロンを明らかなターゲットとし、オーバートレーニング症候群の様々な症状を引き起こしているかもしれないということが提議されている。しかしながらこの研究は、副腎ホルモン値における上昇、低下、もしくは無変化のいずれかは示しているものの、オーバートレーニングの期間中、これらのホルモンに対し何が起こるのかに関しては結論に達していない(例:リーマン1992年、フーパー1993年、ユーホーセン1998年、マッキノン1997年、ウッシタロ1998年)。それはそれとして、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の研究者たちは何年もの間、視床下部-下垂体-副腎系の全く同じ問題に直面している(例:詳しくはピットマン2012年によるこの総説全文を参照)。 サイトカイン仮説 – このモデルにおいて(詳しくはスミス2000年参照)、炎症およびサイトカインの分泌は、知られている限りほとんどのオーバートレーニング症候群の影響や症状を引き起こすと提議されている。このモデルの強みは、他に提議されたメカニズムの多くと関連している可能性があるということである。主な弱点は、わずかな研究しかオーバートレーニング状態のアスリートにおけるサイトカイン上昇の有症率を評価しておらず、そのような研究は良い結果を生み出してきていないということであった(例:ハルソン2003年)。 要約すると、現在一般に認められたオーバートレーニングの起こるメカニズムは存在しない。これは、発生前にオーバートレーニングが起こっているのかどうかを評価することを非常に困難なものにしている。 *** オーバートレーニング症候群を診断するために使用可能なツールは何か? オーバートレーニングのメカニズムに関する理解の欠如にもかかわらず、それらが部分的にしか検査されていないとしても、コーチやアスリートたちはこれを回避する助けになるかもしれない手段を実行しようとすることに熱心である。ユーホーセン(2002年)は、有益かもしれない現在入手可能な診断ツールをリストアップおよび再考察し、またネダロフ(2006年)は精神運動機能という形の更なるツールを提議している。下記は安静時に検査することが可能なこれらの変数の要約リストである。 安静時心拍数 心拍変動(HRV) 気分状態のプロフィール(POMS) 血中代謝マーカー ホルモン 免疫学的パラメーター 精神運動機能(反応時間など) 下記のさらなる変数は、エクササイズ中のオーバートレーニングのマーカーとして提議されている。 パフォーマンスの低下 血中代謝マーカー ホルモン 心拍数 自覚的運動強度 これらの多くのマーカーは有益であるが、どれも決定的ではない。概して、非機能的オーバーリーチングもしくはオーバートレーニングの有益な指標は、気分の変化(POMSスケールを使用)、免疫マーカーの低下、反応時間の減少、パフォーマンスの低下、HRVの増加もしくは減少、そして同レベルのエクササイズの際の最大下乳酸濃度の減少を含んでいるようである。 ***

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オーバートレーニングを発見することができる診断ツールはどれか? パート1/3

(パート 2/3はこちらへ) アスリートにおけるオーバートレーニングおよびオーバーリーチングは、発生前に予測することは言うまでもなく、診断することが非常に困難である。現在、初期症状を監視するために現在多くのコーチや研究者たちが注目しているのは、心拍変動(HRV)のようである。しかし他にも選択肢はある。この論説ではクリス・ベアスリー(@SandCResearch)が、少人数のアスリートにおける非機能的オーバーリーチングを評価するための、4つの診断ツールの能力を調査した興味深い研究論文の再考察を行う。 研究論文: 非機能的オーバーリーチングに対する異なる診断ツール、ネダロフ、ズイヴァー、ブリンク、ミューゼン、レミンク、国際スポーツ医学ジャーナル、2008年 背景 オーバートレーニングはどのように定義されるか? アスレチックトレーニングは、過負荷とその後の回復を伴う。このような過負荷は、単一の激しいトレーニングセッション後、または激しいトレーニング期間後において、疲労感やパフォーマンスの急性な低下を引き起こす可能性がある。しかしトレーニングと回復という通常の流れにおいてこの過負荷は、有益なトレーニング反応、適応、そしてその結果として生じるパフォーマンスの向上をもたらす。しかしながら、過負荷と回復との間のバランスが適切に管理されていない場合、有益なトレーニング反応は起こらず、パフォーマンスは向上しないと考えられている。この好ましくない反応に関する調査は、オーバートレーニングを研究する研究者たちの焦点となっている。これらの研究者たちは、合意声明および指針書を作成しており(ミューゼン2006年、クレーハー2012年、ミューゼン2013年)、その中では下記のような定義が提唱されている。 オーバートレーニングは、機能的(もしくは短期的な)オーバーリーチング、非機能的(もしくは極度の)オーバーリーチング、あるいはオーバートレーニング症候群という結果を引き起こす可能性のある、増強されたトレーニングの過程である。 機能的オーバーリーチングは、レスト後におけるパフォーマンス向上を伴う、一時的なパフォーマンス低下につながる増幅されたトレーニングの過程である。 非機能的オーバーリーチングは、長期のパフォーマンス低下につながる増幅されたトレーニングの過程であるが、レスト後の完全な回復において、ある心理的および/もしくは神経内分泌的症状が付随して起こる。 オーバートレーニング症候群 - 非機能的オーバーリーチングと一致するコンディションであるが、さらに(1)より長期間にわたるパフォーマンスの低下(2ヶ月以上)、(2)より重度な症状や生理機能不適応(心理的、神経的、内分泌的、免疫的な)、および(3)他の疾患では説明がつかない更なるストレス要因を伴う。 上記のように、他の疾患も同様の原因不明のパフォーマンスの低下を引き起こす可能性があるため、オーバートレーニング症候群の正確な診断を引き出すためには、非伝染性疾病(例:甲状腺もしくは副腎に関わる疾病、糖尿病、鉄欠乏症、貧血症)、感染性疾患(例:心筋炎、肝炎、腺熱)および他の主要な疾患や摂食障害(例:拒食症および過食症)の存在を排除する必要がある。 2013年)は、オーバートレーニング症候群と関連がある、血液バイオマーカー、および生理的また心理的な測定における、定量的所見の概要を提供するために行われた。下記は彼らの調査結果である。 血液バイオマーカー – 評論家たちは、グルタミン、グルタミン酸塩、コルチゾール、IL-6、テストステロン、コレステロール、ブドウ糖、レプチン、ヘマトクリット、ヘモグロビン、副腎髄質ホルモン、エピネフリン、およびクレアチンキナーゼを評価した研究に関し報告している。彼らは、影響の規模はグルタミン、グルタミン酸塩、コレステロール、IL-6、およびブドウ糖に対してのみ大きく(事実、グルタミン、グルタミン酸塩、およびIL-6に対する影響は非常に大きかった)、一方テストステロンおよびクレアチンキナーゼに対する影響はわずかあった(クレアチンキナーゼ以外は全て減少)ということを発見している。 生理的測定 – 評論家たちは、心拍変動ではなく、安静時心拍数、安静時収縮期血圧、および安静時拡張期血圧を評価した研究について報告をしている。彼らは、安静時心拍数および安静時収縮期血圧の両方に対する影響は大きく、これらの変量はオーバートレーニングされたアスリートにおいて減少するということを示しているにもかかわらず、この研究は相反する結果を生み出したということを記述している。この発見は以前の総評の結果とも相反している。 心理的測定 – 評論家たちは、緊張、疲労、混乱、活力、怒り、鬱に関する気分状態は研究においてかなり変化してきたが、その方向性に明確な傾向はなかったということを発見している。このような変化は、オーバートレーニングに対する心理的反応の、非常に個体差のある特質を反映している。しかし彼らは確かに、睡眠パターン障害、覚醒状態の増加、睡眠の質の低下と安定性、およびストレスレベルの増加に対する明らかな傾向を観察していた。 要約すると、オーバートレーニング症候群を患っているアスリートは、ストレスに対する自己認識の増加、睡眠の質および量の減少、睡眠障害、自己認識および気分の混乱、免疫抑制、交感神経活動の変化を示すようである。 何らかの理由により、評論家たちは、この系統的レビューにおいて心拍変動(HRV)を考慮に入れていない。安静時心拍数に関してのみ、研究はオーバートレーニングされたアスリートにおける心拍間隔の変動の様々な測定において、増加と減少の両方を示していた。しかしながら研究者たちは、これはオーバートレーニングの状態に至るまでの異なる経路を反映していると提議している。マキビック(2013年)は、系統的レビューを行い、エクササイズ強度の増加と関連するオーバートレーニングは、副交感神経優位につながる一方、エクササイズ量の増加と関連するオーバートレーニングは、交感神経優位につながるという結論に至っている。更に彼らは、非機能的オーバーリーチングの段階もまた、交感神経優位を特徴としているかもしれないということを記述している。現代のスマートフォンは、心拍モニターと連動して、HRVを簡単にかつ正確に測定するために使用することが可能であるため、HRVはコーチにとって非常に魅力的なツールとなっている。

ストレングス・コンディショニング・リサーチ 2851字

腕が痛い?ありがとうリトルリーグ、AAU、フォールボールコーチ パート2/2

投球するたびにアスリートは危険に晒されているかもしれませんが、痛みの出現パターンは異なります。手をやけどすれば、すぐに気づきます。投球傷害は出現するまでに時間がかかります。投球するたびに、尺骨側副靭帯に微小なダメージをおっているかもしれません。そして、それが完全に再生される前に再び投球します。あるいは、肩関節内旋の低下と肩甲骨の運動不全を無視し、何年もかけてそれらが悪化しているかもしれません。最終的に、手術台の上で関節唇、または、腱板の修復術を受ける時まで。これらの問題は、10代のころに痛みがあれば(あるいは、痛みがなければ発見されないまま)、保守的に管理されるかもしれないのですが、子供が18、19歳になると、肘や肩の手術をうけることが自動的に“社会的に容認”されるようになってしまっているようです。 もちろん、これは、9−14歳をみているコーチのみに当てはまるわけではありません。高校や大学でも“犯罪的”な投球数カウントをみることがあります。彼らは、9−14歳の選手よりも身体的にかなり成熟しているでしょうが、だからといって、短期的・長期的な結果を除外していいということではないのです。 ですから、最年少のレベルで一流のコーチが必要になるのです。投球のメカニクスを教えることと同じくらい、あるいはそれ以上に、“投球を管理する”ことを理解しているコーチが必要になる理由もここにあります。そして、1年のなかで、年齢別に、それぞれのタイミングで、それぞれの子供たちがなにをできるのかについて、コーチが大きな視点で理解することが必要になるのです。 両親は、若い投手に対してプロアクティブである必要があります。もしコーチが投球イニング数をカウントしていなければ、そして、9歳の子供がカウントできることを期待できないのであれば、両親が率先してそれをする必要があります。17−21歳で傷害を起こしてしまった子供を持つ両親にたくさん出会ってきましたが、そのほとんどが振り返ってみると、小さいころに投げすぎてしまったことに対してコーチに怒りをもっています。あとから考えても後の祭りですが、先見の明が腕を救うのです。何か言うことを恐れないでください。コーチの仕事の仕方について口を出しているわけではないのです。ただ子供を守っているのであって、夜ドアの鍵を閉めたり、歯を磨いたかどうか確認していることと同じなのです。 競技年の計画に関しては、9−14歳の子供が、1年で4−5ヶ月野球をプレーすることに問題はなく、残りの7−8ヶ月では、少なくとも2種類の違ったスポーツに専念させるべきです。長期的な運動神経の発達のための、基本的な“3のルール”で、3つのスポーツを4ヶ月ごとで行います。子供たちは1年を通してストレングストレーニングをすることができます。 15−16歳では、変更を加えて、2つのスポーツをさせて良いと思います。7−8ヶ月野球に費やしても良いですが、準備をしっかりと行わせることにフォーカスすべきです。11月にキャッチボールを始め、3月に高校のシーズンが始まり、7月の終わりまでサマーボールでプレーするかもしれません。8月から11月までを秋のスポーツに費やし、フォールボールをすべて不参加にしましょう。ロッキー5を製作するよりもさらに悪い考えですから。もちろん、子供たちは1年を通してストレングストレーニングを行います。 17歳以上では、野球に特化したいのであれば、それで問題ないと思いますが、1年間野球をすべきであるという意味ではありません。私は、1年で(多くても)8−9ヶ月しか子供に投球しないよう実際に提唱しています。それはほとんどのプロ選手が投球している期間と同等です。違うとすれば、1年でシーズンがすこし早く始まること。高校のシーズンは通常プロ野球が始まる数週間前に始まります。プロ選手は10月半ばに終了し、11、12月の間は全く投球しません。“特別”な高校生は8月に終了し、9月と10月はオフになります(繰り返しですが、フォールボールは救命ボートの落とし戸の ほども役に立ちませんから)。1年を通してストレングストレーニングを行います。 オフシーズンにショーケースでプレーすることが1銭にもならないことに気づくでしょう。思いがけぬ不備ではないのです。どうしても参加したいのであれば、6月から8月上旬の間で1つ選んで参加してください。 メジャーリーグベースボールの“スカウト革命”の次の目玉は、選手が若いころ何をしていたのかを注意深く分析することであると確信しています。若手をドラフトで指名するなら、プロ野球に入る前にオーバーワークしていないか知っておきたいのです。大学野球会でも、推測に基づいて、このことが起こっていることをすでに目にしているでしょう。北部出身の選手が、南部でプレーする機会がより多くあります。理由は、才能ではなく、北部の選手はあまり腕を消耗していないだろうという推測で、コーチがリクルートをするからです。 この記事にいら立つ方もいるかもしれません。子供達は1年を通してプレーしたいのです。親は子供に幸せにしたいし、子供がプレーしているところを見て楽しんでいます。子供はチョコレートが大好きで、親は子供が幸せなところを見たい。しかし、それは子供が制限なくチョコレートを食べるということを意味している訳ではありません、そうでしょう?節度を強調するために、今週はイースターのキャンディーをしまって、長期的な健康に注意するでしょう。 コーチたちはコーチングを楽しんでいますし、勝ちたいのです。そして彼らはこのようなコメントを個人攻撃に受け取としるかもしれません。なぜなら彼らが9歳の子供に1年で120イニング以上投球させ、今になって肘の手術を受けるしてしまった張本人だからです。選手に1試合で160球以上投球させて、あと3年で肩の手術を受けるだろうということがチームにわかったために、ドラフトのチャンスをつぶしてしまッ他大学のコーチかもしれません。間違っていることを認めることはとても難しいことですが、間違いを認め、その間違いから何かを学び、それを将来の子供に活かすことはさらに難しいことでしょう。しかし、これはさらに価値のあることなのです。 この投稿は誰かの気分を害することを意図したものではなく、腕のケアについて考えた場合、間違いなく最も考慮すべきであると私が考える問題(投球量)に光を当てています。身体的な準備に関しては、我々はすべて正しく行うことができますが、特に身体がまだ強くない年齢で、あまりに多く投球しすぎてしまえば、それは全て意味をなさなくなってしまいます。

エリック・クレッシー 2789字

腕が痛い?ありがとうリトルリーグ、AAU、フォールボールコーチ パート1/2

私は自分の書くものに関してポリシーを持っています: 仮に物議をかもすことになり、潜在的に読み手にマイナスの反応を与えるようであれば、私はその議題に対し24時間“待ち”ます。その間に、公共にむけて私が書いた何かが、より良い結果を招くのか、つまり、彼らの失敗を短期的に認識させてしまったとしても、長期的に助けることができるか否かに関して熟考します。 過去に私の野球コンテンツのページを多く購入したことがあれば、野球ボールを投げるということが非常に不自然であり、全くもって危険な動きであるという事実を隠そうとはしないことことが分かっているでしょう。それはすべてのスポーツの中で、飛び抜けて最速の動作であり、毎日身体的に準備不足のアスリートが外に出て、スピードガンを光らせようとするたびに、あるいは単にキャッチボールをするたびに危険に晒されます。 驚くことでもありませんが、準備不足の身体に、間違いなく地球上でもっとも危険なスポーツ(パンプロナの人々、スペインは私と議論するでしょうが、それは別の日のブログで紹介します)に挑戦させれば、アスリートは怪我をします。“あまりアスレチックではないアスリート”がハイリスクのスポーツに参加しているからだけでなく、リトルリーグオールスターチーム、AAUチーム、フォールボール、プライベートピッチング機関、野球ショーケース業界の激増のおかげで、彼らが常に高い頻度で試合に参加しているため、腕の傷害(若年層のスポーツ傷害のような)は指数関数的に増加しています。2006年のオルセンらによる素晴らしい研究(野球業界に関わっている人はすべてこれを読むべき)によると、手術適応の傷害と“1年でより多い月投球する、1年でより多くの試合に投球する、1試合でより多いイニング投球する、1試合でより多く投球する、1年でより多く投球する、試合前のウォームアップ投球をより多く行う”こととの間に強い相関があること、また青少年期におけるショーケースへの登場との間にも強い相関があることが明確に証明されました。このメッセージはとても明確で:特に若いうちに多く投球しすぎると、結果的に傷害が起こってしまうということです。 残念なことに、多くの人々は研究の数値をぼんやりと眺めていて(仮に彼らがそれらを読むことがあるとすれば)、“使い過ぎが悪いことである”というメッセージは受け取ったとしても、本当の使い過ぎが実はなんであるのか分かっていません。特に、それが年齢別であるからです。幸運なことに、2011年2月にフレイシグらの研究で、9歳から14歳で1年に100イニング以上投球すると、肘や肩の手術のリスク、または、完全にリタイヤするリスクが3.5倍高くなることが示されました。 このことを背景に当てはめて、まず最初に質問します:リトルリーグシーズンに100イニング投球させることが、どれほど困難か認識していますか?4月の第1週に野球(リトルリーグ)が始まったとしましょう。そして、なんとか7月の終わりまで続く夏のシーズンをプレーするとします。これは4ヶ月シーズンになります:私が成長過程で慣れ親しんだものとまったく同じです。。 イニング投球数に関するメジャーリーグベースボールリーダーを見ると、リストの上部に載っている選手は1ヶ月で約35イニング投球しています(それぞれ4-5回先発)。言い換えると、世界中でもっとも優れた野球リーグにおいて、高いパフォーマンスを発揮する、骨格的にも成熟した投手が、1年の最初の4ヶ月でおおよそ平均140イニング投球していることになります。しかし、11歳の選手にそれと比類するイニング数を投げさせることを大丈夫であると、実際に考えている親やコーチがいるのです。高学年の選手に比べて、低学年の選手はいつもイニングでの投球数が多くなってしまうことに、特に問題があります。というのも、彼らにはあまりよい作戦がなく、打たせてとるかわりに全員三振を狙うことに固執してしまうからです。 これがどれだけ大変が考えてみてください。メジャーリーグの投手は5日間ローテーションで投げます。リトルリーグの試合は多くて2週間に1回です。4ヶ月間で週に1回しか投球できないなら、すべての試合で完投したとしても(念のために言うと、私は推奨しません)、ようやく100イニングに到達するくらいです(16回先発×7イニング=112イニング)。ちぇっ!シーズンがコントロールされていれば、子供たちに投げ過ぎをさせることは、実際には困難なのです。 ですから、その代わりに、彼らはシーズンを加えているのです。AAUチームに1つ(あるいは7つ)参加します。フォールボールでプレーすることで、各週末に7イニングずつ多く投げることができます。土曜日の大学キャンプにどんどん参加し、できるだけハードに投げるように。そうすれば、外気温25度の日曜日はさらに悲惨になります。フォールボールが終わったらすぐにブルペンでピッチングコーチにみてもらってください。1月の最初の週にあるショーケースになるべく早めに登録してもらってください。バンドトレーニングといくつかの適当なストレッチをしていれば大丈夫でしょう。その通り。。。良い考えですよね。。。 傲慢に聞こえてしまうリスクもありますが、私は自分のしていることに自信があります。私は自分の人生を野球選手が健康にいられることに捧げています。彼らは、クレッシーパフォーマンスのクライアントの85%を占めていますし、毎オフシーズンに数百万ドル稼いでいる投手と一緒に働き、9歳から50歳以上の選手を見ています。私は、ストレングス&コンディショニング、リハビリテーション、そして、試合内外のスキル専門トレーニングにおいて、最も優秀な人々に囲まれて最善を尽くしています。メジャーリーグの歴史のなかで、最初に胸筋下上腕二頭筋腱固定術の世話をしました。私は一流のピッチングコーチが周りにいても投球メカニクスについて話しますし、ストレングス&コンディショニング、スローイングプログラムを作成しますし、ストレッチをしますし、それ以外にもなんでもします。オフィスには素晴らしいセラピストが二人いて、マッサージ、ART,グランストン、カイロプラクティック調整、それ以外の様々なマニュアルセラピーを行い、近くには、難しい症例を手がける優れた理学療法士がいます。そこまでしても、私が、我々が、あるいは、他の地球上にいる誰もがコントロールできない唯一のことは何でしょうか? アスリート、その両親やコーチによる不適切な判断 そして、疑う余地もなく、それが子供たちが傷害を起こす主な原因なのです。私たちが、あらゆるストレングストレーニング、モビリティワーク、そして軟部組織のトリートメントを行ったとしても、使い過ぎてしまえば役に立たないでしょう。私は時間を戻して、歴史を変える方法が分かっているほど聡明ではないのです。彼らが変化球を投げていたのか、その投球メカニクスは完璧であったのか心配していますか?すでにかなり多くのイニングを投球してしまっているのであれば、それも関係ないでしょう。

エリック・クレッシー 2984字

クライアントが嫌う6つのこと パート2/2

クライアントが欲していることの代わりにあなたが欲していることを行わせる 主役はあなたではありません。シンプルな概念ですが、大切な出発点です。 たとえば、クライアントが来て、「キネシオテープをするとかなり良く感じる」と言ってきたとしましょう。それに対して、あなたが、「肩の痛みは脳からの信号から来ています。キネシオテープは、その信号に対して何もできませんし、特に効果はないのです」と返したら、クライアントはどんな反応をするでしょう。うーん、おそらく残念なことになりますね。 あなたは、キネシオテープは「何もしない」と言って、クライアントは、「とても効く」と言う。これでは連携ではなく、対立のように聞こえます。 正直に言って、私達は、自分で考えているほど、人間の体について知らないのです。私は、その施術に害や、長期的影響、効果的ではないと裏付ける確かな研究が出ていない限りは、キネシオテープのような施術をすることにも抵抗はありません。もちろん、その施術が効果的でないと完璧に示す科学的根拠があれば、話は別です。 誤解しないでください。私は、クライアントに対して私が行いたい治療も行いますが、キネシオテープも施すかもしれません。おそらく、そうすることで私の施術はさらに効果的になるかもしれないのです。 フィットネスの世界における、他の良い例は、動きへのフォーカスと矯正エクササイズです。これらは大切なことですが、ポイントを見失わないようにしましょう。クライアントが脂肪を減らしたいという目的であなたのところに来たのに、あなたはクライアントの動きが悪いことを説明し、FMSのストレートレッグレイズにおける非対称のポイント1を矯正したいと言っているとしたら、それではクライアントにあなたのやりたいことを押し付けて、彼らの要求を見失ってしまっています。クライアントは、ストレートレッグレイズがどう見えるかなんて全く気にしていないのですから。 繰り返しますが、動きのパターンの改善には取り組むべきです。でもそれはプログラムの主要点ではないのです。まずは、クライアントの目標に合わせなければなりません。もちろんそのプログラムに、私たちの目標もこっそり組み込みますが、注意して行ってください。 クライアントに理解できないことを話す おわかりのように、コミュニケーションや人間力は、私たちの職業にとても重要です。私がよく問題だと感じているのが、専門家が話をクライアントのレベルに合わせていないことです。 クライアントのエネルギーレベルに合わせる努力をするべきなのと同様に、私は、話のレベルをクライアントのレベルに合わせるようにしています。 学生や若い治療家は、いくつかの理由でここに問題があります。 自分が行っていることを教授に正当化するために、科学的に話すことに慣れている。 とっさに使える例え話のデータベースが蓄積できていない。 残念なことに、エゴイスティックで自分がどれだけ知っているかを自慢しようとしてしまう。 相手に理解できないことを話し、混乱させることで、相手を感心させることはできません。科学的なことを詳細に聞きたい人もいますが、そういったことは全く聞きたくない人もいます。どう話すかは、クライアントの反応をみて、調節する必要があります。それぞれのクライアントと良い関係を築けるようにポイントやメッセージを伝える能力は、人々を感心させることができます。 私はこれを実現するために、会話がどう進んでいるかに応じて、異なる方法を用意していますが、定番の方法は下記の通りです。 評価の中で、写真や動画を使う。 複雑なポイントをクライアントがわかる例で比較する。車の例えは有効です!たとえば、「タイヤが整列していない状態で運転していれば、タイヤはやがて不均等に擦り減っていきます。」というように。 ホワイトボードを使って考えを表現する。これは必ずしも絵を描くということではありません。文字を書いたり、リストを作成するのにも使います。視覚からより多くの情報を得る人もいます。終わったときに、携帯電話を取り出して、ホワイトボードを写真に取る人がいたら、彼は視覚から学ぶ人だと言えるでしょう。 科学的根拠を示すことは大事ですが、そこで終わらずに、クライアントが理解できる例で理解を補足しましょう。 クライアントの他のヘルスケアの専門家や過去の経験を批判する 私たちの業界において、このような批判が、いかに頻繁に起こっているのかに驚かされます。多くのクライアントから、これまでに施術を受けた専門家が、過去に関わった他の専門家の人達全ての批判していたということを聞きます。パーソナルトレーナーが理学療法士を批判する、理学療法士がカイロプラクターを批判する、というのがその一例です。クライアントは長年をかけてそういった専門家との信頼や尊敬を構築してきていて、あなたとはまだその蓄積がないということを忘れないでください。 批判することは、批判された人が自分の過去の選択に対して気分を害するだけでなく、あなたが誰かをけなすことで自分を良く見せようとしているだけなのが明らかです。 私には、多くの「名声のある」人々が、こういった過ちをおかすのを見てきた中から作り上げた経験則があります。他の人を悪く見せることで自分を良く見せてはいけません。短期的には有効にはたらくかもしれませんが、後で必ず痛い目をみます。 何が失敗したかをわかった上で対処する能力があれば、天才になれます。何かを振り返るときには、どんなことであれ、より鮮明にできます。クライアントがかかっている、あるいは過去にかかった他の専門家を敬いましょう、あなたがいつも正しいわけではないのです。 実際のところ、ここにもう12個くらいリストを付け足すこともできますが、ここで挙げた6つは良い出発点になります。クライアントが嫌うこれら6つのことを避け、クライアントとのいい関係を築き、声を聞き、時間をかけ、クライアントの目標達成における過程の中で、その効果を最大限に発揮できるようにしてください。

マイク・ライノルド 2579字

クライアントが嫌う6つのこと パート1/2

経験を通してしかできないことに対して、何年もかけて考えを蓄積していくというのは面白いことです。古くからある言い草で「今ならわかることをあの時わかっていたら」というのは、まさにその通りでしょう。私はよく、自分が昔やっていたことをおかしく思い、クライアントに、当時の私が経験不足だったことを伝えます。先日、チャンピオン(著者が運営するトレーニング施設)で学んでいる学生とこのような会話をしていて、これはキャリアの発展における通常の過程であると思いました。 自分の個人的な経験を振り返り、治療やトレーニングに反映するのに加えて、クライアントが伝えてくれる、彼らの過去に関わった他の専門家達との経験から学べることもたくさんあります。 私は、過去に他のヘルスケアやフィットネスの専門家を試してみて、何らかの理由で、望んだ結果を達成できなかったクライアントによく出会います。これまでの経験から、その原因には、以下のようなことがあげられると思います。 クライアントの言葉を聞かなかった クライアントとのコミュニケーションが欠けていた クライアントに十分な時間をかけなかった これらの理由は、本質的に「臨床的」ではないことに注目してください。私のクライアントのうち、きちんと診断されず、適切な扱いを受けなかった人も少なくはありませんが、現実として、私自身も完壁ではありません。でも私は、クライアントの言葉をしっかり聞いて、コミュニケーションを取り、時間をかけます。そのため、間違った方向に向かっているかもしれないと感じたら、クライアントに聞いて話し合うことができます。クライアントは私を信じています。クライアントが私を信じていなければ、彼らは次の臨床家を探しに行くでしょう。 最近、私がクライアントから聞いた、過去の他の専門家との経験についての下記の2つのコメントについて考えてみてください。 「セラピストが私に言うことは全て、私が何を間違って行っているかでした。間違って行っているのはわかっています、だから治療に行っているのです。」 「最後にかかっていたセラピストのところを出るときは、いつも自分自身に対して落ち込んでいました。セラピスト達によって私は自分自身を悪く感じるようになりました。」 若い治療家に(経験のある治療家にも!)、私が長年をかけてわかったクライアントが嫌っていることをいくつかシェアしたいと思います。忘れないでください、クライアントに最善を尽くすためには、コミュニケーションを大切にしなければなりません。私の失敗やエラーから学んで、あなたがやってしまっている、でも実はクライアントは嫌っている下記の6つのことをしないようにしてください。 デバイスを凝視する 質問を聞きながら、コンピューターを凝視してタイピングをすることは、クライアントが、ヘルスケアの専門家と初めて接するときに直面する態度として最悪だと思います。これは、クライアントとのコミュニケーションとしてもそうですし、クライアントにあなたが親身になって考えていると感じてもらうためにも良くないことです。クライアントは、あなたがただ評価という「タスク」を終わらせようとしていると感じるでしょう。私は今でも紙と鉛筆で簡単なノートを取り、あとでパソコンに記録します。たしかに、こうすることでより多くの時間がかかりますが、これは正しい方法だと思っています。 セッションの間、携帯電話を眺めることも同様です。急を要するメールや、仕事関係のメールに返信しているのかもしれませんが、クライアントは、あなたがフェイスブックに子猫の写真を投稿していると思っているかもしれません。急を要するメールに返事をしなければいけない場合は、クライアントにしっかり断ってから行い、その場合にもクライアントの目の前では行わないようにしてください。こういった行為は、あなたにとってクライアントが大切ではないように見えます。急用でなければ、携帯電話はポケットにしまっておきましょう。 アップルウォッチは、私たちにとって助けとなるのか、それとも悪影響と働くかはわかりませんが、それはこれからわかるでしょう! セッション中は、クライアントが、あなたにとって世界で一番大切な人だと感じられるようにするべきです。 クライアントの言葉を聞かない クライアントと最初にするやり取りは、複数の理由からとても大切です。もちろん、何から始めるかを決める必要もありますが、最初のやり取りは、クライアントとの関係を築くのに非常に大切です。 まず、クライアントに話してもらうことから始めます。彼らの話を聞きましょう。すぐに核心に入りたい人もいれば、時間をかけたい人もいます。流れに従いましょう。できるだけ邪魔をせず、クライアントに会話をリードさせます。 経験を重ねるうちに、私の行う初期評価の主観的な部分は、たった30秒くらいしかかからなくなりました。でも同時に、クライアントとの関係を築くのに重要なことは、クライアントの主張を聞くことだと学びました。クライアントがあなたに期待していることを話せる、適切な環境を提供しなければなりません。 できていないことのみをすべて伝え、できていることを伝えない アセスメント、評価をしていく中で、「欠陥」を見つけることに夢中になってしまいがちです。良くあることではありますが、気をつけなければいけないのは、それをクライアントにどのように伝えるかです。 小さなことを気にしすぎる人もいれば、ただ純粋に落ち込んでしまう人もいます。 全てのクライアントが、あなたの施設を出るときに、気分がよくなり、楽観的になり、いい気分でいられるようにするべきです。あなたとの時間が、クライアントの一日の中で、最もいい経験の一つになれるようにしましょう。

マイク・ライノルド 2442字

フォームローリングと自己筋膜リリース パート2/2

ローラーや他の用具を使用して、感覚を目覚めさせることができることはお分かりいただけたと思いますが、よくフォームローラーは筋膜に効果があるとうたわれているために、筋膜へのローリングの効果についてたくさんの質問を受けます。多少の反感を買うのは承知の上で、次のように考えます: ジムへいくと必ずと言ってよいほど隅のマットの上で、痛みで顔をゆがめながら腸脛靭帯を上下にローリングをしている人を見かけます。控えめに言っても、これでは効果が限られてしまいます。 腸脛靭帯や胸腰筋膜、足底筋膜など広く強靭な筋膜は、フォームローラーでは到底“伸長”することができないので、伸長できると思い込まないことと、そしてクライアントにそう指導しないようにしてください。確かに足底にフォームローリングを行えば気分良くリフレッシュされ、炎症が(たいていは、一時的に)軽減されるかもしれませんが、毎日何千歩も歩いても伸長されていない足底が、フォームローラーを数回転がしただけで伸長されるわけがありません。確かに、水和や感覚は向上できます。そして、おそらく筋膜の端にある結合を‘ゆるめる’ことができ、もっと自由な動きを確保できるでしょう。しかし、全長に顕著な変化を及ぼすほどの圧力は、クライアントを絶叫させ、当然ながら立ち去られることになるでしょう。これは意見ではなく数学です。 次に、ある一点を長時間圧迫し続けることに価値があるとは思いません。それが、エネルギーの観点から継続的な圧が必要な経絡点や“ツボ”であれば話は別です。大半の用途において、静的な圧迫よりゆっくりと動かす動作の方がよいでしょう。トリガーポイントへの圧迫は、有効です(帯状の緊張部分の感覚的核心に圧迫できていれば、という条件付きですが)。正しい点が圧迫されれば、最長でも20~30秒でその組織を水和でき、トリガーポイントの消滅を促すはずです。秒数がこれよりも長ければ良いということではなく、圧迫点がより正確なことに意味があります。 次に、圧迫点では必ずしも筋膜面と面の間の癒着(これは最も一般的な動きの制限です)を取り除くために必要な‘剪断’力は発生していません。たとえば、ITBとその直ぐ下にある外側広筋の筋外膜を離すためには、ローリングでは目的が果たせないでしょう。もし、ローラーの表面に十分な‘ひっかかり’があれば、床の上で手やブロック(または半円のローラー)で動かないように押さえておき、それから身体をその上に滑らせます(繰り返しますが、ゆっくり注意深く)。焼けるような感覚(子供の頃、お兄ちゃんが弟に意地悪したインディアンロープのやけどのように)が起きるかもしれませんが、この焼けるような感覚は二つの筋膜面が剥がれるからです。これはマイナスの兆候ではありませんから、この感覚を加減しながら引き続きゆっくり行います。 練習をすることで、皮膚とその下の筋群の間、または筋群と筋群の間、胸腰筋膜のように多層な筋膜の膜と膜の間に剪断を発生させることはできます。これが“ローリング”に欠けている一番の要素なのです。この重要な剪断効果を得るには、ローラーを動かさずに、クライアントの身体をその上で動かす必要があります。 もちろんのことですが、40年以上もボディーワークをしてきた者としては、身体内の変化を感知するツールとして経験を積んだ手を未知のものに当てることを大切にしています。剪断は、クライアントの身体のポジショニング、そして私の手による圧迫とそのポジションを、感覚フィードバックを介して常に調節することによって作ることができますから、私はフォームローラーより優れていると言えますね。本人が気づくこともない ‘隠れている’緊張部位を感知し、見つけ、それらを目覚めさせたり、和らげたりすることができます。全体的なパターンを把握することにより、これらの癒着を徐々に全体的に開放することができます。‘開放が終了’するのも私には感じ取れます。 しかし、誰もがボディーワークを利用できるわけではありません。用具を使えば、似たような効果が手軽に楽しく得られます。そちらを選ぶ場合、次のようなアドバイスがあります: 1) ゆっくり動かすこと。速いローリングは‘スポンジを絞る’効果が減少するばかりか、不必要な筋の緊張やアザ、受容器へのダメージを生じさせる結果になりかねません。より深部にアプローチするならば、よりゆっくりと動かなければなりません。 2) ‘気づいていない’部位を探すこと。同じローリングプログラムを続けて行っていると、直ぐに効果が激減します。身体の他の部位にもローリングしましょう。一度も触ったことのないような部位を探し、ローリングしてみましょう。例えば、側臥位で上側の脚の内側をローリングしたり、脇の下の前後へのローリングをしたり。背中にはとても多くの層があり、深層にもローリングが役立ちますが、マンネリ化すれば反応も鈍くなります。 3) ローラーや用具を固定し動かないようにすること。それから、‘剪断’が生じるようにその上で身体を動かし筋膜の面と面の癒着を取り除きます。 ローリングするべきか、せざるべきか? 答えはハムレットの別の言葉の中にあります:“物事に良いも悪いもない。考え方によって良くも悪くもなる。” 注意深くゆっくり知覚を働かせてローリングすることは、メールをしながら、音楽を聴きながら、ジムの向こう側にいる魅力的な女性を眺めながらせわしなく行う痛いローリングよりも、ずっと有効です。

トム・マイヤーズ 2306字

フォームローリングと自己筋膜リリース パート1/2

ローリングするべきか、せざるべきか? それが問題だ。 自己筋膜リリース(SMR)に用いるフォームローラーやボール類、他の用具を使用してローリングすると、体内でどのようなことが起るのでしょうか。 まずは、筋膜だけを単独にフォームローリングすることはできないということです。他のすべての細胞(神経、筋、上皮など)も“ローリング”されます。 上皮と筋組織では、圧力が組織を通過する時または通過後に、水分は組織から絞り出されたり組織に再吸収されたりします。流し台でスポンジを絞った後で、鍋釜を洗う時に再びスポンジに水を満たしたりするのと同じイメージです。昔のベドウィンの箴言に “溜まった水は毒!流れている水は生命!”とあります。 16世紀の著名な医師であったパラケルスス曰く、“病気はひとつしかない。その病名は鬱滞である”。鬱滞してしまった組織に対してローラーを転がせば、その分、鬱滞に流れをつくり分散してくれるでしょう。 筋を強化することはできませんが、動脈の弾性を向上することができるかもしれないという初期エビデンスがあります。 神経の反応に注目してみると、ローリングは確かに‘感覚に満ちている’かもしれません。痛すぎれば筋の収縮や細胞の退縮を引き起こすのでマイナスに働きますから、私は痛いローリングは好きではありません。心地良い範囲、または‘快楽レベル’(快感と痛みの中間)の範囲でクライアントに行ってもらいます。 しかし、痛みを辛抱してローリングすることは、過去に外傷を負った部位に役立つこともあります。たとえば、昔骨折した跡にローリングするなど。しかし、ローリングが終わったら痛みもなくなっていて欲しいですし、アザを残したり、更にトラウマ化させたくありません。私見ですが、基本的にアザは治癒過程ではなく、ほぼ常に組織へのダメージを示唆しています。痛い部位には、用具をゆっくり動かすことが重要です。 もちろん、ローリングによって‘感覚運動性健忘症’の部位を目覚めさせることもできます。日常生活では動かさない部位に感覚を呼び起こすのです。これについての2つのポイントは: 1)腸脛靭帯(ITB)は、感覚運動性健忘症の部位ではありません;外界と接しており日々刺激を受けています。‘健忘’に最もなりやすい部位は、見つけにくくローリングしにくいのです――大腿内側部の内転筋全体や、分かりにくく小さい(しかし重要な)股関節後面の深部外旋筋群、後頭部のすぐ下の上部頸椎エリアなど。 2)自分自身の身体の健忘部位を見落としがちです。これは、単にこれらの部位を感知しないのでどこにあるのか分からないという理由からです。クライアントが、ITBや浅層の背部筋群のように分かりやすく表層に出ている部位ばかりを繰り返しローリングするのではなく、ローリングが必要な部位にローリングできるように私たちが手助けしましょう。 これを実践するには、臀部やITBの分かりやすい部位ばかりをローリングするのではなく、ローラーやその他の用具を腸骨稜縁の下部(縁の遠位部または下部で、ちょうど臀筋の上端)に敷き、試してみてください。骨の縁の下側に用具を敷いてロールし、骨から離れるように2~3cm下方へロールします。このように骨の縁に沿って、前の骨の出っぱりから後ろの骨の出っぱりまで(上前腸骨棘から上後腸骨棘まで)全体をローリングします。ボディーワークでも自己筋膜リリースでも見落としがちな部分ですが、新たな結果、新たな感覚、新たな水和作用が期待できます。 また、ITBのもう一端で、膝の外側、ちょうどITBが停止する脛骨顆と腓骨頭の間にローラーを当て、ゆっくりローリングし、ローラーの上で下肢を少しずつ動かして回旋しましょう。そうすることにより腓骨頭が開放され、スポーツ中、特にテニスやフットボールのように足が地面に接地中に捻る動作のあるスポーツでの回旋運動に対応できるようになります。

トム・マイヤーズ 1661字

痛みの科学について知るべき7つのこと パート2/2

4. 脳はたびたび、そうでない時も身体が危険だと “思い込む” これの最も極端な例が、被害者が失った身体の一部に痛みを感じるという幻肢痛です。痛みのある四肢は何年も前に失っていて、もう脳にシグナルを送れないにも関わらず、四肢を感知する脳の一部は残存し、近隣の神経活動との混同によって誤った形で痛みが誘発されてしまうのです。これが生じた場合、被害者は失った四肢から信じられない程鮮明な痛みの感覚を経験することがあります。驚くことに、幻肢痛での腕の痛みは残った手をミラーボックスに置き、失った腕は問題なく存在していると脳を騙して思い込ませることにより、時折治癒することがあるのです!!これは痛みの緩和の本当のターゲットは大抵脳であり、身体ではないという事実の驚くべき例です。 この他にも、脳が身体の中で何が起きているのか理解できず、明らかに安全なのに痛みの原因となってしまっている箇所など、他にも沢山の例があります。あらゆる種類の関連痛、痛みが感じられる場所と実際の問題箇所とは離れているというのがこの例であり、異痛症はもう1つの例です。 5. 痛みは痛みを繁殖させる 痛みの生理学の残念な一面は、痛みが長引くにつれて痛みを感じやすくなるということです。これは長期増強と呼ばれる、とても基本的な神経処理の結果であり、基本的には脳が特定の神経経路を何度も使う度に、その経路をより簡単に活性化するようになるという意味です。スキーで山を下りながら、雪の中に溝を掘っていくような感じです – 何度も同じ溝を通る回数が多い程、同じ溝にはまりやすくなるのです。これは私達が習慣を学び、技術を磨くのと全く同じ過程です。痛みに関しては、特定の痛みを頻繁に感じる程、少ない刺激で痛みを誘発できるのです。 6. 痛みは物理的傷害に関わらず誘発される もしかすると“共に繋がっている神経は、同時に活性する”というフレーズを耳にしたことがあるかもしれません。この原則の最も有名な例はパブロの実験で、彼は愛犬がエサを食べるたびにベルを鳴らしていたら、後に、わずかなベルの音で犬のよだれがでる原因になったことを発見しました。神経レベルで何が起こったのかというと、ベルを聞く為の神経がよだれを出す為の神経と繋がるようになったのです。なぜならこれらの神経はしばらくの間、常に同時に活性していたからです。痛みにおいても同じことが起こりえます。例えば、あなたが仕事に行く度に、コンピューターと向かい合ったり、腰痛を起こすような方法で箱を持ち上げたりというようなストレスのある活動に従事するとします。しばらくすると、あなたの脳は、ただ仕事に行くだけで、もしくは仕事の事を考えるだけで痛みを感じるくらいに、仕事の環境と痛みを結びつけるようになります。仕事の不満は、腰痛の大きな予測因子であるというのも驚きではありません。 さらに、怒りや鬱状態、そして不安などの感情の状態も痛みの耐性を低下させることが証明されています。信じ難いことですが、研究は、大部分の慢性腰痛は実際の組織への肉体的ダメージよりも、感情や社会的要因が原因となっているという強力な証拠をもたらしています。長年戻っていなかった場所に帰った時、永遠に忘れ去ったと思っていた昔の話し方や姿勢、振る舞いにあっという間に戻ることに気づいたことがあるかもしれません。痛みも同様で、痛みに関連のある特定の社会的状況や感覚、または思考によって引き起こされたり、呼び戻されるのです。休暇中は無くなっていた痛みが、帰って来たら戻ってきたことに気づいたことはありませんか? 7. 痛みの感度を変えられるCNS CNSが、身体からの刺激に対して感度を増減できるメカニズムは多岐にわたります。脱感作の最も極端な例は、前述のように、身体からの痛みのシグナルが脳に届くのを完全に遮断させる緊急事態のなかで起こります。 大抵の場合怪我は、恐らく脳がダメージを受けたと感知した部位をより簡単に守れるように、感度のレベルを上げるでしょう。その部位が敏感になった時、痛みはより速く強く感じられることが予測され、通常は害のない機械的圧力でさえ痛みの原因となるのです。感度レベルの増減など、この記事で取り上げる範囲を大きく超える複雑なメカニズムが山程あります。私達の目的として、重要なポイントは、CNSが様々な要因による痛みのシグナルに対してコンスタントにボリュームレベルを調整しているということです。何らかの理由で、慢性痛のある人々の多くは、その音量があまりにも大きく上げられて、あまりに長く放置されているようです。これは中枢性感作と呼ばれ、恐らく多くの慢性痛の状態に少なくとも何らかの役割を果たしているでしょう。これは慢性的な痛みが、必ずしも身体への継続的、あるいは慢性的な傷害できるとは限らないもう1つの例です。 まとめ 身体がうまく機能している時、傷ついた組織は数週間もしくは数ヶ月以内に可能な限りの範囲で回復し、痛みは無くなるべきです。もし身体が回復の為にベストを尽くしたのであれば、なぜ痛みが続くのでしょう?傷害やダメージが長引く実際の原因も無く痛みが長期間続いた場合、ひょっとしたら身体そのものではなく、痛みを処理するシステムが問題なのかもしれません。言い換えれば、もしあなたに慢性痛があったとして、実際は痛めていない可能性が、少なくともあるということなのです。リサーチは、ある人達にとってこれは励みとなる考え方であり、痛みを悪化させる不安とストレス、そして脅威を軽減する働きをすると証明しています。

トッド・ハーグローブ 2333字

痛みの科学について知るべき7つのこと パート1/2

痛みの科学は過去50年間で多くの事を学んできましたが、これらの情報のほとんどは、一般的な痛みの対処においてわずかな影響しか与えていないようです。もし痛みがあるのであれば、これはあなたが知るべき内容です。この記事を読み終える頃には、あなたは痛みのメカニズムについて他の医療従事者達よりも多くの事を学ぶでしょうし、もしかすると結果として少し楽に感じるかもしれません。なぜなら痛みに関しての教育は、結果を改善することを研究が証明しているからです。痛みの科学の基本的な考えは以下の通りです。 1. 痛みとは身体の保護を目的とした生き残る為のメカニズムである 痛みとは、通常、脳がダメージを受けたと考える(正しいか否かに関わらず)身体部位を守る為に、あなたに何かをするよう働きかけることを目的とした不快で主観的な経験として定義づけられます。もし痛みを感じるならば、それはあなたの中枢神経系システム(CNS)が、あなたの身体は危険にさらされていて、それに対して何か行動を起こさなくてはならないと考えているということです。こういった意味でも、痛みは根本的に重要な生き残るメカニズムなのです。痛みを感じる能力を持たずに生まれて来た人達は(そう、実際に存在します)長くは生きられません。あなたのCNSがその痛みを作り出す作業をしっかりと引き受け、それによりいつ身体が傷つけられるのかを予測し、それが何か行動を起こすのにこれ以上ない程はっきりとした刺激を与えるのです。 2. 痛みは脳の出力であり、身体からの入力ではない これは痛みの科学において近年起こった根本的なパラダイムシフトです。痛みは身体から届くあらかじめ形成された感覚として、脳に受動的に受け取られるわけではなく、脳で作られるのです。身体部位が傷つけられた時、神経終末が脳にダメージの性質を含む情報をシグナルとして送ります。しかし、脳がこの情報を読み取り、痛みがダメージを保護して治癒に役立つ行動を起こす良い方法だと判断するまで、痛みは感じられません。脳はこの判断を下す為に膨大な量の要因を考慮し、同じ判断は2度と下しません。感情の支配や過去の記憶、そして未来への意図等を含む脳の様々な部分が痛みの反応を処理する手助けとなるのです。それゆえ、痛みは組織のダメージの度合いを測る正確な尺度にはなりません。行動を促すシグナルなのです。プロのミュージシャンが手を怪我した場合、彼の脳は同じ怪我をしたサッカー選手とは全く異なる行動を考えるかもしれません。それをふまえると、その個人が全く違った疼痛反応を起こすかもしれないということが理解できるでしょう。 3. 肉体的危害と痛みは異なる。逆もまた同様である。 もしあなたが痛みを抱えていても、必ずしも怪我をしているとは限りません。そしてもしあなたが怪我をしていても、必ずしも痛みを感じるとは限りません。痛みのない組織の損傷の極端な例として、戦闘中の戦士の負傷やサーファーがサメに腕を噛みつかれるといったことが挙げられます。こういった状況において、被害者は緊急事態が過ぎるまで痛みを全く感じない可能性が十分にあるのです。痛みとは生き残る為のメカニズムであり、痛みが生存をより困難する場合において痛みがないのは、驚くべきことではありません。私達のほとんどが腕をサメに噛み付かれた経験などないでしょうが、試合が終わるまで気づかなかった試合中の衝突や転倒、ちょっとした事故ならば経験があるでしょう。さらに、腰や肩、膝に腰椎ヘルニアや回旋筋腱板の断裂等のMRIで確認されるような、深刻な組織のダメージを抱えている人々の大半が無痛であるという沢山の研究報告があります。 どうやって痛みなしでダメージを受けるのでしょう?どういうわけか、脳はダメージが行動を起こすとは考えないのです。可能な説明の1つとして、ダメージは脳が危険として捉えないないように長い時間をかけてゆっくり起こる、もしくは、脳はダメージの回復が非常に順調であり、痛みはこれ以上効果的な機能ではないと結論づけたのかもしれません。もしどのような行動も効果なく必要なければ、もしくは行動がすでに起こされていれば痛みの理由はなくなります。診察室に入ったとたんに消えてしまうような痛みで医者に行ったことはありませんか?おそらくこれは、行動を起こすシグナルが集積され、修正措置が実行されたと結論づけた後に脳がリラックスした結果なのです。 その一方で、組織の損傷が全くないのに痛みに苦しんでいる人々も沢山います。異痛症と呼ばれる恐ろしい状態で、例えば軽く皮膚を触る程度の通常の刺激でさえも激しい痛みの原因になります。これはより一般的な範囲でも頻繁に起こり得ることの極端な例です –脳が無害な感覚情報を組織のダメージの原因として誤解し、不必要な痛みの原因となってしまうのです。

トッド・ハーグローブ 2001字

運動の変動性と痛みやリハビリテーションへの関連 パート2/2

リハビリテーションに必要不可欠なもの では、いったいなぜこれがリハビリテーションにとって重要なのでしょうか? 簡単に言えば、痛みは運動を変化させるのです。 私達が重要な関係性を発見した、運動の変動性に対する痛みの影響に着目することから始めましょう。いかなるリハビリテーションプログラムも、個人のその後の機能における痛みの影響に着目すべきです。研究によって浮き彫りにされた機能性の欠如を対象にすることは、リハビリテーションにおいて、‘最良の実践’と考えられるべきです。 痛みのある状態での運動への適合は、しばしば有益です。足を引きずることは、運動パターンの変化を通して、傷害組織への負荷を軽減させる絶好の例です。これらの変化は、回避の特異的パターンにおける場合だけではなく、運動のスピード、範囲、変動性においてもみられるかもしれません。身体のシステムは、傷害部位とそれに関連する部位に起こる、機械的剛性の増大、運動の変動性の減少を通して、‘防御’を作り出します。  これらの変化における概要をより詳しく述べたHodgesの新しい研究論文は、*ここをクリックしてください*。 下記は、私のお気に入りの引用文の一つです: “痛みへの適合は多くの短期的な効果をもたらすが、長期的な影響をもたらす可能性がある” ~P Hodges - Moving differently in pain ( 2011年)より 短期的な効果がもはや有益でなくなる際に、問題は発生します。これは、不適合と称されるかもしれません。防御の目的は必要なくなりましたが、誰もシステムに対して、もう充分だと知らせていないのです!特に、もしこの戦略が不変になるのであれば、組織レベルにおける運動の不適合による長期的な影響は、特定の組織への負荷の増大と、あまり使われなくなった組織における失調となり、従って、過負荷のリスクは増大します。 認知レベルにおいて、私達は、恐怖回避行動のような要因が人の運動の変動性を縮小するのを理解し始めるかもしれません。トップダウン(認識)に基づいたアプローチもまた、再度、より変動的になる手助けをするのに有益かもしれません。トップダウンとボトムアップ(身体運動に基づいたもの)が一体化したアプローチは、良好なリハビリテーションに関係する2つの要因に取り組むための、成功を期待できる方法です。 Zusmanは、この研究*ここをクリックしてください*で、優れたプロセスの概要を説明しています。使用される新しい、異なる、今までにない記憶を作り出すことは、この一体化したプロセスを使用しているリハビリテーションの目的なのです。Nijsおよびその他もまた、この研究*ここをクリックしてください*において、同様の概要を説明しています。 不変の戦略はまた、疼痛経験とその痛みの維持を強調する神経系レベル(神経タグ)において、痛みと特定の運動が一体となっている反復的な固有感覚情報を引き起こすかもしれません。私は、‘痛みの記憶’の概念について、この記事*ここをクリックしてください*で考察しています。 Moseley と Hodgesは、運動の変動性は認知的要因と関連があるということを発見しました。そして彼らは、実験的な痛みを経験した後の姿勢の変動性の低下を経験した人たちにとって、元の姿勢の戦略における正常な解決が起こらず、腰痛に関する認知的効果にも関連していたことを発見しました。 これは、腰痛の存続と再発の両方に影響を与える可能性があり、慢性腰痛の発生における潜在的な危険因子に関する研究論文において議論されています*ここをクリックしてください*。また、Jacobsおよびその他による研究論文*ここをクリックしてください*においてもみることができます。 一貫して文献で述べられているように、運動の変動性の低下は慢性痛と関連しています。よって、私はこのことに関して、下記でより詳しく検証してみたいと思います。急性痛は運動の変動性の増加と関連しています。これは、痛くない運動の変化を見つけようとしている運動系によるものであると、理論化することができます。もしある人のシステムが、その運動を変化させる能力を持っていなければ、代わりの戦略を見つけることには、問題があるかもしれませんし、これが慢性化の原因になるかもしれません。 傷害の慢性化における潜在的な素因として、私達は、慢性傷害において鍵となるリハビリテーションの構成要素として、そして、慢性化への移行を阻止する手助けをするための予防対策としても、その素因を見なければなりません。確実にその素因は、既往症が今後の類似した傷害に影響を与える理由に関するいくらかの洞察を私達に与えてくれるでしょう。 Debra Fallaのグループ*ここをクリックしてください*は、19名の慢性腰痛患者を集め、彼らを同年代同性からなる対照群と、箱の持ち上げ作業の繰り返しで比較しました。慢性腰痛群は、脊椎部硬直の増大に起因しているものと仮定される、脊椎からの運動減少を含む運動の変化を示しました。彼らが用いたもう一つの評価基準は、腰部脊柱起立筋の異なる部分の筋電図の活動です。彼らは、慢性腰痛群は、筋肉の同じ部分を使って作業を行っていたことを発見しました。その一方で、対照群は作業の間、筋肉の異なる部位を異なるタイミングで活性化させていました。慢性腰痛群の不変の戦略は、腰部における圧痛感受性の増大と関連していました。彼らは、下記のように仮説を立てました: “筋活動の変動性の低下は、腰痛の誘発と再発に関して重要な意味を持つであろう” この研究論文*ここをクリックしてください*において、著者は12名の慢性アキレス腱障害群と12名の健康なランナーの対照群における、ランニングの運動学に着目しました。彼らは、アキレス腱障害群の全員が、“荷重の独特で一致したパターン”を示した一方、対照群はレベルが増加するにつれて、著しく異なる変動パターン、本質的により高い変動性を示すことを発見しました。 この研究*ここをクリックしてください*において、著者は、以前に脛骨疲労骨折を経験したことのある女性ランナーに着目し、走行距離が同じで脛骨疲労骨折を経験していない女性ランナーからなる対照群と比較しました。彼らは、女性ランナーの両脚間の変動性(協調的変動性)に着目しました。既往症のあるランナーは、健側と比較した際に、患側において股関節−膝関節、膝関節−足関節(最大の影響)の変動性低下を示しました。対照群は両脚間の差異を示しませんでした。 変動性の低下は、潜在的に痛みの原因と結果の両方でありえます。Stergiouは、彼の研究論文“Human movement variability, nonlinear dynamics, and pathology: Is there a connection?(人間の運動の変動性、非線形力学、病理学:関連性はあるのか?)”において、この疑問を検証しました。既往傷害が無い場合の原因要素としての変動性の低下は、今後の前向き研究を通しての調査を確実に必要としています。この研究論文*ここをクリックしてください*は、画一的な職業活動における運動の変動性と、変動の低下がもたらすかもしれないリスクに着目しました。 多様性を持つために、恐らく私達は、固有受容感覚系や大脳皮質の運動野のような正しく機能していて、かなり正確な基本運動ハードウェアを必要とするでしょう。研究論文には、これら両方が痛みに影響されているということがよく解説されています。そして、私達はこれを運動経験の記憶の貯蓄と、私達が変動的で異なる状況と変動する刺激に適合する手助けを可能にする、私が基本的な‘運動の語彙’と称しているものを形成する機能と一体化する必要があります。特に慢性傷害や痛みを持つ人達においては受傷後、これらの基本的な運動の技能もまた、しばしば欠落しているのです。

ベン・コーマック 3373字