運動の糧 パート2/3

健康の問題に対してフィットネスによる解決を望んでいる人が多い 機能的な問題に対してフィットネスによる解決を望んでいる人が多い、そして、 技能的な問題に対してフィットネスによる解決を望んでいる人が多い。 動きを見る4つの方法の概要です。 もし不健康であれば、診断をする必要があります。 もし機能不全があれば、疑わしい運動パターンを明確にして、それを修正しようとします。 もし単にゴルフができないということならば、サイドプランクをあとどのぐらい行えばいいのか私には分かりませんが・・・たぶん、ゴルフのレッスンが必要なのでしょう。ゴルフを行うのに身体的な壁がありますか? または技能的な壁? 単純なテストを実施することで、素早く簡単にこれらの疑問に答えてくれます。TPIにいる私の友人に聞いてみてください。 動きの健康:健康的に動くこととその動きによって健康に利することの基本的な要素が、あなたにはありますか? 身体のシステム全体にとって運動の最小有効量はどのぐらいでしょうか? 運動学の問題だけではなく、周囲との触覚によるコミュニケーションでもあります。立ったり、ゴロゴロと転がったりして、周囲の環境に対するときの 身体の“柔らかさ”には、異なる感触や経験があります。私たちは、視覚、聴覚、前庭感覚と同様に、莫大な量の固有受容的経験を得ています。 動きの機能:健康な動きの特性をすべて利用し、そして組織化して動きに有能な学習機械となることができますか? 動きの機能性は、あなたが何かを知っているとか、何かに長けているというわけではありません。単に、フィードバックループを構築するための動きのパターンが備わっているということです。したがって、可動性に特に何の問題もなく、平均台を経験してもらうとします。動きと姿勢の制御以外は、バランスが悪くなる理由はありません。つまり動作を実行するための柔軟性はあるものの、できなかったわけです。このようなフィードバックループの能力に働きかける経験によって、人類の先祖に適応力をもたらした自己運動学習体になるのです。 “ここに床から2.5センチの高さに15.2cm幅の平均台があります。落ちるまで、この上でなるべく多くの回数を前向きで歩いてください。平均台の上を歩いて行き、回転して向きを変え、歩いて帰ってきます。落ちずに5回できたら、今度は無駄なエネルギーを使わず、腰から上の上半身の動きを最低限にとどめ、意図的に腕を振り回し、頭の位置を変な風にして、少し左に傾けて5回行ってみましょう。そう、それでも上手く平均台を渡れるか見せてください。” それが終わったら、目を閉じる代わりに、平均台の上を前向きで歩き、そして後ろ歩きで戻ってもらいましょう。平均台の上ではバランスさえ取れない人がいる、とおっしゃる皆さん・・・まず、可動性の問題を見逃しているに違いありません。二つめに、そのような人を平均台の上に立たせたいなら、杖を持たせたり、手を取ってあげたり、何らかの補助を使いましょう。平均台を壁に寄せて設置し、徐々に壁から離していきます。縮小の仕方にはいろいろあります。つまり、バランスを良くするために、悪いバランスのフィードバックを利用し、効果的な最低限の可動性に取り組むのであれば、それを縮小する必要はありません。彼らに身体のどの部分を収縮するように言う必要はなく、彼らは単に、自分はバランスがとれないということを認識すればよいのです。自分自身の固有受容器系、視覚系、前庭系を使って、その状況をどうやって克服するかを見つけ出せばよいのです。   問題の解決は彼らにさせておきましょう。公式のためのパーツはすべて揃っています:視覚、時間と活動。自然に任せ、フィードバックを提供しましょう。 彼ら自身に答えを見つけてもらいましょう。先に答えを与えてしまってはいけません。幼児でも分かることなので、当然大人にもできるでしょう。バランスを養うための近道はありません―― 本質的な方法が最もうまくいきます。歩く前にハイハイし、走る前に歩くように、単純なことです。 動きのフィットネス:基本的な移動運動または作業に必要なエネルギーを示す許容能力です。基本的に、移動したり物を移動させたりすること(または、自分も移動しながら物も移動させること)です。動きのフィットネスとは、非特異的な身体能力と基本的な物理的リソースです。 動きの技能:これは、何かをする時の能力または複雑性です。あるひとつのことに特化した人もいます;いくつかのことに特化した人もいます。技能とは、特定の作業や活動、目的、試合で身体能力を発揮すること、また有効的かつ能率的な方法で技能的能力と戦術能力を実施することです。他の大多数より秀でていれば、報酬を得ることもできます。 さて、これら4つのレベルを考慮すると、あなたの最良の運動の糧は何ですか? 失った運動能力を取り戻す必要のある人へのエクササイズが不適切であるために、多くの場合において、エクササイズを継続的に計測しては調整しなければならなかったり“指導し過ぎ”になったりしてしまいます。運動を分解するとしたら、“健康になるために十分動いていますか?”または“もっと激しく運動し始めれば、かえって健康を脅かすことになりませんか?”というフレーズを使うことができるかもしれません。 “私は少し太り過ぎているので、ウォーキングとジョギングを始めました。そうしたら、シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)と腰痛になってしまいました”ということをよく耳にしますね? 彼らは運動的に健康であるように見えますが、少しでも運動量が多過ぎると、不健康になってしまいます。そう不健康。なぜなら、シンスプリントや腰痛は、フィットネスではなく(フィットネスと同じように、医療でもめちゃくちゃにされている事実はない限り)医療現場で対応されるべきものだからです。つまり、私たちは原因に対処しているのではなく症状だけを治療していることが多いのです。全体的な動きを見ず、そして“あなたの運動はどのようなものですか?”と尋ねることもせず、動きの悪い部位や痛みの部位に近い筋を治療していることが多くあります。

ファンクショナルムーブメントシステムズ 2607字

運動の糧 パート1/3

“食事を汝の薬とし、薬は汝の食事とせよ”–ヒポクラテス” – Hippocrates この言葉はその時代において、とくにパフォーマンスの強化や医療の奇跡、人体に精力をつける安易な方法を好む風潮があると思われる現代と同様に、とても賢明な助言でした。 食についての知恵と同じように、成功しようとするあまりわれわれは、どのように行動するべきかという基本原則を軽視しがちだとヒポクラテスは述べています。 わかりやすく言い換えれば:自分は問題抱えていると思い込む前に、基礎的なことをチェックすること。たいていの問題は基礎や基本理念を破り、その上で、複合的な解決方法を探しているのです。 どういうわけか、私たちは運動についてよりも食について、より明確な考えます。私の好きな著者のひとり、マイケル・ポーランは、食についての不必要な心配や思い込みを分析することで有名になりました。彼の業績を簡単に説明すると、食べ物とは丸ごとの食材であり自然なものです。本物の食べ物には、多くの付随成分が豊富で、それらを単独で見てみると、有益であったり、有毒であったり、またはバランスを崩してしまうものかもしれません。 しかし、私たちはサプリメントの時代に生きています。緑茶に含まれるいくつかの健康的な成分を検出し、錠剤やパワーバーや風船ガムの製品にして、緑茶は飲まなくてもよくなりなりたい。 食べ物に関しては、そう上手くはいきません。 運動やエクササイズに関しても、そうはなりません。 基本的に還元主義は、問題を解決するというより、より深刻な問題を引き起こします。なぜなら、持続的な解決にはならないからです。人体はすでに、緑茶からどのように有益な成分を抽出するか知っているのですから、製造会社に頼むことはないのです。 もし、自然で本物の食材を丸ごと(意図的に)食べているのであれば、サプリメントを摂取する理由は、自然由来のビタミンと栄養素の吸収障害がある場合のみです。吸収障害を克服するため、または、自然な食材が損なわれていることを解消するには、欠乏している特定の成分を効果的に多めに摂取し正常に戻さなくてはなりません。 ビタミン剤や栄養剤は、強制的に最適な状態に仕向けるために服用されるよりも、機能不全の状態から抜け出すために摂取する方がよいでしょう。この記述に同意されるならば(歴史と科学を復習してみればきっと同意してくれるはずです)、私たちが抱いているビタミンやミネラル、栄養補助食品に関する思い込みがどれだけゆがんでいるかお分かりになるでしょう。何か欠乏しているものをサプリメントで埋めるとすれば、競争優位のようにになってしまいます。パフォーマンスオクタンブースト(オクタン価向上剤)でしょうか? それは違うでしょう。単に、本来であれば、食べることや、休養、再生によって自然に埋められていくはずの穴を埋めているだけです。 運動の例に戻るとしましょう・・・ エクササイズは、運動の糧ではありません。エクササイズは運動のサプリメントです。 エクササイズは、運動のサプリメントです。なぜなら、多くの場合、運動のより良い将来を望んで行うから。さらに、ひとつのエクササイズが人間の運動能力全体をカバーすることはありません。さて、赤ちゃんや乳幼児、子どもたちは、生物学的に遊ぶように促されています。感覚や動きを通して周りの環境を探検するという子ども時代に、私たちの基礎的なパターンと身体能力が発達します。年齢を重ねる毎に、動きの風景の特定の部分に目を向け、そして遊びを続けるのです。 ボールを投げたい人 長距離を走りたい人 壁を登りたい人 水の中へ飛び込む人 いろいろな種類の活動をしてみる人、そして 専門性にこだわる人−地区、地域、国、はたまた世界で一番になるなど。 このような活動を補助するために、たいてい自分に必要だと思うエクササイズを選択しますが、大好きな活動を本当に補強・補填してくれるエクササイズを論理的な分析なしで選んでいることがあります。 動きを探究するために選択する方法に関わりなく、動きを基本的要素まで分析し、運動の糧を探すこともできます。始めるにあたり最も良い方法は、動きを4つの異なるレベルでみることです: 動きの健康動きの機能動きのフィットネス動きの技能 この20年間これらの言葉は考察され、討論され、詳細に論じられてきたこともあり、この先を読み続ける前にこれらの言葉をみなさんも定義してみてください・・・この話の進む方向がお気に召すかどうか。 運動の発達レベル みなさんが行っている運動は、健康的な動きへと導いてくれますか? ヨガや武道、または私たちが最近開設した、インディアン・クラブコースや筋膜リリースポジション、発達神経学的プログレッションの動きを見てみると、さまざまな姿勢や負荷のパターンを身体が経験する素晴らしい方法が多くあります。しかし、その運動は循環系には役に立たないことでしょうか? 組織系には? 内蔵系には? 固有受容覚系には? 前庭系、視覚系、聴覚系には? 身体を動かすときは常に多感覚の経験をしています。その経験は、建設的であったり非建設的であったり、あるいは単に何の効果もないかもしれない・・・みなさんが活動に時間と労力をかけていることが、効果があったか否かは、私には分かりません。 客観的な身体能力テストでは、あなたがエクササイズや活動にどれだけ費やしたかは、ほとんど区別がつきませんね? つまり、例えばあなたがXをトレーニングして何ヶ月も経過していても、そのことに私が気づかないということになります。Xは筋量を増やし、脂肪を燃焼させ、スピードを持たせ、アジリティを上達させ、左右のバランスを整えるとします(リストは延々と続きます)。しかし、これらの項目を計測しようとしても、あなたがしてきた努力の明白な効果が分からないのです。信じてもらえないかもしれませんが、このようなことが頻繁に起こっています。そのような努力がそもそも必要であるかどうか調べるために使用するバイオマーカーに、あなたの努力はほとんど検知されません。 正確に信頼できるテストがあれば、足首の可動性やコアの安定性、肩の安定性、心血管機能全般、作業能力、スローストレングスや爆発的パワーなど特定の問題に対応する方法を複数見つけることができるでしょう。これらのどれが最大の弱点か見つかりさえすれば、あなたの身体的発達レベルでの特定の問題を容易に判断できます。場合によっては、その問題は動きの機能(可動性と安定性を調整する機能)に根差しているかもしれませんね? またはその問題は動きの健康(正常で理想的、または平均以上の成長、回復、休養、再生をするシステムを提供してくれるもの)に存在することもあるでよう。 FMSやSFMA、そして最近紹介されたファンダメンタル・キャパシティ・スクリーンによってこれらの疑問点を解決しようとしています。

ファンクショナルムーブメントシステムズ 2945字

あなたは‘魔法の筋肉’に心を奪われていますか? パート2/2

筋肉‘発火’(続き) 腹横筋 腹横筋はしばしば、発火しないと非難されたり、痛みを引き起こす不十分な脊椎の安定性の原因とされたりする筋肉です。発火の遅延を示しているいくつかの初期の研究が確かにありますが、明確に定義された発火遅延と腰痛の間に因果関係はありません。EMGとMモード超音波の両方を用いた後期の研究*ここをクリックしてください*では、発火遅延は腰痛患者において一貫性のある結果ではないということと共に、健常者と腰痛患者における筋肉発火に関する変数を示しています。 Vasseljenおよびその他は、“今後の研究において、被験者内と被験者間における変化が認識される必要がある”と述べています。この研究論文では、深層腹筋群の発火開始時間の変化と腰痛の間に関連性はないことが発見されました。 この研究成果は、Mannionおよびその他の研究*ここをクリックしてください*とよく似ています。彼らは、トレーニング前後、両方における腹横筋活性化能力と臨床転帰の間に関連性がないことを発見しました。 臀筋群とほぼ同様、腹横筋の筋肉組織の活動の開始は、タスクによって変化しやすいということが示されています。よって、素早い腕の動作のような特定の動作を用いている一つの研究の中で起こったことを一般化することを、人間の機能の一般的な筋肉モデルを作り出すために使用することはできません。 Morrisおよびその他は、腹横筋の役割は、行われている行動の方向と大きさに左右される筋肉の活性化を伴う、より機能特化されたものであるを発見しました*ここをクリックしてください*。以前から、腹横筋は単独で(機能依存的ではなく)、両側性に脊椎を安定させるコルセットのような役割を果たすという仮説があります。オリジナルの研究は、(腕の動きと)反対側の腹横筋にだけ着目したものですが、これを両側性の活動と推定したのです。 Morrisおよびその他は、(7名という明らかに少ない被験者数の中ではあるが)誰も片側性の腕の動作に対して、両側性の活性化戦略を使用せず、腹横筋は相互的かつ非対称的に作動したことを報告し、著者は、腹横筋を両側性に作動させるためのトレーニングは、実際には、正常な動作を抑制するかもしれないということを示唆しました。 これもやはり、それほど単純なものではなく、理論自体をさらに少し深く探れば、筋肉にタイミング戦略を伴う特定の働きを与えることは、問題のある思考の道筋である可能性があります。 回旋腱板 回旋腱板(RC)もまた、仮説立てられた、より早い発火開始時間と、関節の安定性を提供するための共収縮を伴い、関節窩上腕関節を安定させる役割を与えられています。回旋腱板の安定の特徴に関するこの系統的レビュー*ここをクリックしてください*は、テストされた10種類の動作の内、たった4種類の動作においてのみ、RC発火開始時間が、肩関節周辺の‘広範囲の’筋肉よりも早かったということを発見しました。同時活性化はまた、異なる動作にわたっての一貫性はありませんでした。 著者はここで、RC筋肉群が単に安定筋として理解するための、明らかな科学的根拠はないが、方向特異的に作用していると結論付けました。これは、棘上筋と棘下筋のどちらかと肩甲下筋間よりも、棘上筋と棘下筋の間での更なる共収縮によって支持されています。RCの安定化の役割は、方向特異的な関節内における移動の制限なのかもしれません。 このことは、肩甲下筋が肩関節伸展時により活発で、棘上筋と棘下筋が肩関節屈曲時により活発であることを発見したこの研究論文*ここをクリックしてください*によって支持されています。興味深いことに、外部負荷のレベルは、筋肉活性化レベルを変化させることはありませんでした!それはまた、筋肉の役割に影響を及ぼす肩のエクササイズにおける様々なバリエーションでも支持されています*ここをクリックしてください*。 Boettcherおよびその他は、わかりやすく、彼らの結論を研究論文のタイトル“肩の筋肉群の役割は、特定のタスクを行うことである”に組み込みました。彼等は、RC筋群がはっきりと区別できる回旋筋、あるいは安定筋なのかどうかを調べたかったのです。タイトルがそうではなかったことを示唆しているように、特定のタスクでの活性化が明らかであると研究論文の中で立証されました。*ここをクリックしてください* 筋線維タイプ 筋肉における主な線維タイプは、‘安定筋’あるいは‘主動筋’として筋肉が分類されるべき理由として挙げられています。主動筋はタイプⅡ線維とタイプⅡA線維の割合が多い一方、安定筋はタイプⅠ線維の割合が多いでしょう。 しかし、私達が、筋肉内における線維タイプの優位性を目にすることがあるでしょうか? 体幹の筋肉群はしばしば、理論的に‘インナー’と‘アウター’に分けられ、深層筋群を含むインナーユニットは、タイプⅠ線維の割合が多いはずです。以前から着目しているように、インナーマッスルユニットには、反射的な活性化と非依存的な活性化、あるいは動作戦略があるようには見えません。では、それらの線維タイプはどうでしょうか?その線維タイプは安定化に適しているのでしょうか? この研究*ここをクリックしてください*は、腹直筋、腹横筋、腹斜筋を調査するために、生体検査法を使用しました。そして、彼等は、被験者間において、かなりのバラツキがあるものの、個体内の筋肉における差異がほとんど無いことを発見し、実際に、“(差異は)わずか、あるいは存在しない”という言葉を使って表現しました。そのため、彼等は、実際には筋肉は、同様の機能的能力を有していると結論付けました。 この研究論文*ここをクリックしてください*は、比較的若い被験者36名の筋肉に着目しました。そして、彼等は、“調査された筋肉のほとんどは、緊張性機能と相動性機能の両方を遂行することで知られていたが、どちらかのの線維タイプが圧倒的多数ではないことを示した”と述べました。 高齢者人口における回旋腱板に関して、この研究論文*ここをクリックしてください*もまた、タイプⅠ線維とタイプⅡ線維の間で、最大60/40の割合で線維が混在していることを示しました。また、背筋群においてタイプⅠ線維とタイプⅡ線維がほぼ同様の割合であったことを発見した、この古い研究論文*ここをクリックしてください*においても明白でした。確かに、筋肉を特定の役割に分類することを正当化するには十分ではありません。 更に最近の系統的レビューの研究論文*ここをクリックしてください*もまた、健常者と腰痛患者の多裂筋と脊柱起立筋における、相互間、あるいは内部の線維タイプの区別はほとんどなかったことを示唆しています。 タイプⅠ線維の圧倒的優位であるように見える二つの筋肉*ここをクリックしてください*は、より‘姿勢に関与している’線維を約80%持つヒラメ筋と前脛骨筋です。私達はこれら二つの筋肉について同様に話されているとは思いませんが、明らかにこれらの筋肉は持久力タイプの仕事を行っています。 結論 研究が私達に何を伝えているのか? 筋肉発火パターンは、しばしば議論され、エクササイズの処方に影響を及ぼしている理論と一致しているようではありません。 何度も繰り返し行われる実験に着目する際に、筋肉発火は個体間、個体内において変動するようであり、‘機能不全’を基盤とする特定の筋肉戦略を支持していません。 筋肉は、単純に、行われている行動から独立した‘役割’を持っていないようであり、一貫して明確にされています。 共収縮レベルは、関節を安定させる唯一の役割を支持するには十分に一貫していないようです。 一つのタスクからそのタスクの域を超えて、活性化パターンを一般化することは、事実に基づいていないようです。 割合が完璧な50/50ではありませんが、線維タイプは安定筋、あるいは主動筋への分類を可能にしている筋線維の優位性を実際には示していません。運動データもまた、このことを支持していません。

ベン・コーマック 3409字

あなたは‘魔法の筋肉’に心を奪われていますか? パート1/2

身体には、‘魔法’だと考えられている筋肉がいくつかあります。 これらの‘魔法の筋肉’は、身体の他の筋肉とは異なった役割を果たすように見え、‘機能不全’や‘準最適’な活性からの痛みへの避けられない負担を防ぐために、私達は、それらの筋肉を刺激し駆り立て、あるいは‘発火’させるために、奇抜なエクササイズを行うことによって、何としてでも動かせるようになる必要があるようです。 これらの筋肉とそれらに関連する‘機能不全’の例として、腹横筋と腰痛、回旋腱板と肩痛、臀筋群と膝から腰部や肩にかけての全ての痛みがあります。 時折(ここではしばしばという意味)、私達はいかなるテストをすることもなく、ただ自動的に筋肉のせいにしてしまいます。 “あなたの腰痛は、腹横筋が発火していないせいです”と単純に述べてしまう。 ‘魔法’の筋肉が、いつ、どのように活性化されるべきなのか、それらの筋肉が、関節を動かす筋肉なのか、それとも安定させる筋肉なのか、関節においてどのような役割を果たしているのかに関するいくつかの理論があります。 股関節の他の‘主動筋’である浅層筋が活性化されるよりも先に臀筋群が活性化されるべきである一方で、腹横筋や回旋腱板のように身体を動かす手助けをするというよりも、安定性を提供するために、行われている動作からは独立して、まずいくつかの深層筋が最初に活性化されるべきであると示唆されています。 筋肉は、線維のタイプによって特定の働きがあるかもしれないという仮説も立てられています。遅筋線維優位の筋肉は、タイプⅡ線維の割合が多いと提唱されている動作筋よりも、姿勢における役割、あるいは‘安定筋’としての役割により向いているということを意味しています。時に私達はそれらを、局所性と全体性、あるいは、よりしゃれた感じだと…緊張性と相動性と呼びます。 これは、治療とジムの両方の環境において、人々が行う非常に多くの事に影響を及ぼします。私達は、これらの一般的な実践を支持するための、理論を凌駕する根拠を持っているのでしょうか? これが、筋肉に関するこの一連の理論と実際に研究されていることが対照をなすのかどうかに関して、このブログで答えるべき三つの疑問を与えてくれます。 ‘魔法’の筋肉は、特定の発火パターン、あるいは発火開始時間を持つのか? ‘魔法’の筋肉は、安定化のような特定の役割を遂行するために、独立した行動を取るのか? ‘魔法’の筋肉は、それらの筋肉が動作筋、あるいは安定筋のような特定の役割を果たすことを意味する、はっきりと異なる線維タイプの優位性を示しているか? 筋肉‘発火’ 臀筋群 あなたは“私の臀筋群が発火していないと言われた”と誰かが言っているのを聞いたことが何度ありますか?最初に発火しない、あるいは活性化されていない臀筋群は、腰痛、仙腸骨痛、膝痛、私のお気に入りである反対の肩痛(真実です…筋膜のスリングですよ)などの原因とされています。 この‘発火’の欠如の理由と言われているものがいくつかあります。 受傷後の筋の“抑制” 抑制を引き起こす過剰な座位 特定の発火順序があるべきかどうかを判断するために、どのように健常者が筋肉を活性化させているかを客観的に着目することが重要です。そうすれば、私達は、特定のパターン、あるいは健康であるために私達が目指すべき活動レベルがあるのかどうか、そして、抑制があるのかどうか、または理論が間違っているかどうかを見ることが可能です。 腹臥位での股関節伸展テストは常に、これを行うためのお気に入りの方法でしょう。ご存知のように、人をうつ伏せにして、治療家、あるいはトレーナーの指が筋電計(EMG)であるかのように装い、どの筋肉が最初に活性化するかを見分けることが可能だと!これは、腹臥位股関節伸展テスト(PHT)として知られています。 もし痛みが臀筋群における一貫した抑制因子であるならば、PHTにおいて、傷害の既往がある人達におけるEMG(指ではなく実際の機器)での出力の減少を目にするはずです。この研究論文*ここをクリックしてください*は実際に、以前に傷害(この場合はハムストリングス)を経験した患者は、EMGにおいて、より大きな出力があることを発見しました。これは、腰痛を患っていない対照群と比較すると、慢性腰痛群はPHTにおけるEMGの信号がより大きかったという、この研究論文*ここをクリックしてください*でも同様です。実際、いかなる筋肉‘抑制’も、受傷後、かなり素早く解決するように見えます*ここをクリックしてください*。 1990年まで遡って、私達は、彼等がPHTにおいて、筋肉発火がかなり変動するものであることを発見したことを知っていたわけです*ここをクリックしてください*。健常者20名が、右側の臀筋群、大腿二頭筋、脊柱起立筋と左側の脊柱起立筋の発火開始時間を計測するために、EMGを着けた状態で30回腹臥位股関節伸展を行いました。筋肉間での発火開始時間と対象者内と対象者間での筋活動における変動性に有意差は見られませんでした。よって、同一人物が活動を異なった方法ですることが可能で、別の人達もまた異なる活動をするのです。このことが‘機能不全’の土台を作る客観的な発火順序を実に困難にしています。 この研究論文*ここをクリックしてください*は、客観的な筋肉発火の順序を発見しました。彼等は、研究の必要性の論理的根拠を非常にうまく述べています。 “腰痛の発生は、腹臥位股関節伸展における筋肉発火の順序の変化によるものとみなされている。腰部と股関節の筋肉組織において、認識変化に対する根拠を提供するための、筋肉発火の順序に関する規範的なデータは無いようである” 彼らは15名の健常者を採用し、若干異なる臀筋群を対象としてよく似た試験方法を実施しましたが、実際には、大臀筋は最初ではなく、最後に活性化されたことを発見しました。 この研究*ここをクリックしてください*は、50名(腰痛患者群30名、対照群20名)という、より大きなサンプルサイズに支持されています。彼らは発火開始時間と活性化の量の両方に着目し、臀筋活動は有症状群と無症状群において共に、有意に遅延していることを発見しました。そして、PHTは腰痛有症状者と無症状者の間で、区別することができないと結論付けました。 彼らはまた、腹臥位で起こることを立位、あるいは歩行に一括化するのは困難であるという重要な点も強調しました。この研究論文*ここをクリックしてください*は、股関節外転の変化が、臀部の筋肉組織において、活性順序と活性化の量(EMGの振幅)を変えたということを発見しました。股関節外転15~30度において、大臀筋の発火時間は、ハムストリングスと比較して、遅延0度へと向上しました。 腹臥位における股関節位置の若干の変化が、発火順序を変化させたのです!身体の方向(腹臥位、仰臥位、立位)の変化、あるいは実際の動作、そして異なるスピードでは何が起こるのでしょうか?異なる地形が、腰幅に影響を及ぼすかもしれません*ここをクリックしてください*。そして、このことが恐らく、脚の方向に基づいて発火順序を変えるでしょう。 歩行時と走行時の臀筋群に着目したLiebermanの研究*ここをクリックしてください*において、二つの活動の間に発火時間の変化とかなりの活性化の変化が見られます。これは、単一検査では、恐らく、異なる発火時間と活動レベルを必須とするかもしれない複数の活動に転嫁できないであろうということ示唆しています。 私が知る限り、長時間の座位による臀筋群の抑制に関しては研究されていません。どれだけこの理論が広くいきわたっているかを考えれば、これはかなり驚くべきことです。よって、この理論を裏付けることは困難です。しかし、このことを支持する科学的根拠は存在せず、私達が臀筋群において、無痛の個人における発火の遅延を目にするのであれば、この主張を支持する前に、更なる科学的根拠の出現を待つ必要があります。 あなたが本当に指先で筋肉活性化における、マイクロ秒の差異を感じ取れるのかという、ちょっとした問題もあります。指先が非常に繊細であるとしても、それが重要なのでしょうか? ‘臀筋群が発火していません’という一節は魅力的で、問題に対するシンプルな説明のように聞こえますが、実際の科学は、そのようなシンプルな回答を本当は支持していないのです。

ベン・コーマック 3575字

HRVスコアを向上させる5つの秘訣 パート2/2

秘訣4:有酸素性運動能力を向上させる HRVと最大酸素摂取量(VO2 max)、そして無酸素性作業閾値に直接的な関連があるのには理由があります。なぜならミトコンドリア(細胞の中にあるエネルギー生産所)の量が増え、機能が向上すると、HRVスコアも高くなるからです。 これは、有酸素性能力の高い持久系スポーツのアスリートが、高いHRVスコアを持っている所以でもあります。 あなたは持久系スポーツのアスリートになることを望んでないかもしれません、しかし疑問の余地なく、HRVを向上させる最速の方法は、コンディショニングを向上させることなのです。 多くの人が沢山のウェイトを持ち上げるようなストレングスやパワーの向上とコンディショニングの向上を同時にすることができると考えていることには、考慮の必要があります。全くの初心者以外において、これはうまくいきません。 フィットネスレベルがある程度のものになれば、トレーニングプログラムはより特化したものになる必要があります。HRVスコアを向上させようとしているのであれば、ストレングスは維持をする程度が好ましいでしょう。多くの方にとって、一般的に週3日40分~60分のストレングストレーニングで、これが可能となります。 フィットネスの能力のエリアを全て同時に向上できると言う人は、座ってばかりの怠け者をトレーニングしてきたか、またはあなたに何かを売りつけているかのどちらかでしょう。人間の身体はそのように単純に働くシステムではないのが真実だからです。 私たちの身体は遺伝子学的に、トレーニングのターゲットが、ストレングスと持久力の連続体のどちらか片方のサイドに絞られた時、より早く能力を向上できるようにできています。もしあなたのゴールがHRVスコアを向上させることなら、一旦、ストレングスをメンテナンスモードにして有酸素性能力の向上に集中した方がいいでしょう。 秘訣:1を参考にするのに加えて、コンディショニングを向上させる方法について書かれている、『The Ultimate Conditioning Guide/究極のコンディショニングガイド』を読んでみてください。 秘訣5:リラックスする 最終的に、より良いフィットネス、より大きい筋肉、より少ない体脂肪などに繋がる、すべての生理学的変化について考えてみれば、これらはトレーニングをしている時に起こるのではなく、休息をとっている時に起こることです。多くの人がトレーニングにどれほどの努力をつぎ込んでいるにもかかわらず、休息や回復に気を配っている人がいかに少ないのかを考えると驚くべきものがあります。 このため、どのような目的のためのトレーニングにおいても、黄金律の一つとして、トレーニングと同じくらいに休息をとることに気を配るべきです。HRVを向上させる場合には、回復を向上させるために一週間のうち少なくとも数時間費やす努力をする必要があるということを意味します。 では、それをどのように行いましょうか? まず最初に、精神的にリラックスできる方法を見つけてください。朝静かに瞑想をしてみたり、気持ちいマッサージを受けたり、暖かいお風呂に入ってみることかもしれません。 重要なのは、リラックスは自然におきることではないということを認識することです;リラックスをするためには、実際に努力をすることが必要であり、それを実際に行っている人がいかに少ないのかに驚かされてしまいます。 まず、あなたが個人的にとてもリラックスできることを3つか4つあげてリストを作ってください。次にスケジュールを見て、いつワークアウトをするのか計画をするように、回復のためのセッションのスケジュールを立ててください。 もしスケジュールの中で、回復のための時間を取っておかなければ、実際に行うことはないでしょう。休息をとることをオプションとして考えるのではなく、トレーニングのセッションと同じくらい重要なものとして考える必要があります。実際、同じように重要なものなのです。 トレーニングでのストレス、もしくは日常生活からの全般的ストレスかどうかに関係なく、過度なストレスは将来、極めて有害なものになるに違いありません。ストレスを減らし、回復と休息を増やすことは単にHRVスコアのために重要なだけではなく、あなたの人生において重要なことなのです。 あなたのHRVスコアはどうあるべきでしょうか? 数え切れないほどのアスリートにHRVを使い、実際に何千もの心拍変動の計測を15年行ってきた経験からはっきりしているのは、HRVスコアはあなたの設定するゴールによって決定されるものだということです。全ての人に違いがあり、全ての人が同じ範囲に入るわけではありませんが、ここにあなたのバイオフォースHRVスコアがどれくらいであるべきかを示す一般的なガイドラインを提示します。 トレーニングゴール バイオフォース HRV 範囲 持久系スポーツ 90 – 100 格闘技系スポーツ 85 – 95 チームスポーツ 80 – 90 身体組成改善 75 – 85 健康増進 75 – 85 ストレングススポーツ 70 – 80 これらはあなたの平均HRVスコアが、ほぼここにあるべき、あくまで一般的な範囲だということを覚えておいてください。日々のスコアに変動があることは正常であり、範囲外になることもありますが、平均値は常にこの範囲内に留まっているべきです。 もしあなたのHRVスコアがすでにこの範囲にあるのであれば、スコアを落とさず維持をしながらパフォーマンスのストレングスやパワーのエリアを向上させるべきです。しかしながら、常にこの範囲を下回っているのであれば、他のことにフォーカスを置く前に、平均値をできる早く適切な範囲にもっていくことが最も重要です。 これまでの5つの秘訣に従いHRVスコアとともに、素早く向上していくその結果を見ていてください。 まだHRVを使っていない方、もしくはどうすれば良い結果を出せるのかをもっと学びたい方は、モーフィアスをご覧ください。

ジョール・ジェイミソン 2652字

HRVスコアを向上させる5つの秘訣 パート1/2

フィットネスのテクノロジーは、とてつもなくパワフルでより良い結果をもたらすものにもなりえ、あるいは完全なる時間とお金の浪費ともなりえるでしょう。その違いは、自分にとってそれが役立つものにする方法を理解することによって生まれます。世にあるフィットネスのテクノロジーの中でも最も価値のある物の一つである、心拍変動(HRV)を最大限に活用するために、これから述べるシンプルで効果的な5つの秘訣に従い、あなたのフィットネスが内側から変革するのを観察してみてください。 秘訣1:強度よりも頻度 フィットネスを向上させようとするとき、ほとんどのフィットネスの専門家はただ単純に”もっとハードにトレーニングを”と提案します。トレーニング強度の増強は、適切に用いれば重要なツールになりますが、多くの人は完全にトレーニング”頻度”の重要性を軽視しています。 HRVの向上において、特にもしあなたが特定のスコアの幅から数値を変えることができない状態なのであれば、解決する最も簡単な方法の一つは、トレーニングの”頻度”を増やすということです。一旦、あなたの平均HRVスコアが80台前半あたりになれば、少なとも1週間のうち5回(6回が好ましい)トレーニングすることでスコアの継続した向上がみられるでしょう。 それほどの頻度でトレーニングすることは難しいことだ、と思われがちですが、それはおそらく、今までのトレーニング強度が高すぎるからでしょう。 多くのクロスフィッター達が辛い思いをして発見したように、1週間のうちの5日または6日間、高強度でトレーニングすることは、単に不可能です。ここでお話したように、強度の高い運動と低い運動を組み合わせることが、答えになります。 トレーニング強度を低減させながら、頻度を増加させることを試してみてください。HRVスコアを数週間で少なくとも4~6ポイント向上させる見込みは十分にあります。 秘訣2:炎症のサイクルを打破するために栄養学を用いる もしあなたが努力しているにもかかわらず、低いHRVの数値(70以下)のまま停滞しているなら、少なくとも幾らかの慢性的な炎症が起きている可能性があります。 これは、HRVによって計測される副交感神経の働きの一つには、交感神経系によってもたらされる炎症を抑え、制御するということがあるからです。 交感神経によって大きすぎる炎症が引き起こされれば、その結果としてHRVスコアは慢性的に低くなります。これは、HRVスコアが、私たちの健康状態、そして寿命をも予測し得る強力な指標である所以の大きな部分です。 慢性的な炎症は、心臓血管系疾患や脳卒中、そして、体重増加や肥満に至るまで、私たちの身体にとっての殺害者となり得るものだからです。 高いHRVスコアを持つ人は、炎症を制御し鎮静するための能力が良好な状態を意味しており、より健康な状態で、より長生きできる可能性を示す指標となります。 適切なトレーニング管理に加えて、HRVスコアを向上させるもうひとつのシンプルな方法は、栄養の力です。まず分かりきったことですが、まずは高脂肪、高糖質なジャンクフードを減らすもしくは排除し、それらをより健康的なものにおき変えてください。 多くの人は、少量であったとしても、よくない反応を示す食べ物の影響に対して気づいていないようですが、これらを排除することで、即座にHRVのスコアを向上させることができるのです。 何らかのタイプの排除ダイエットや、間欠的なファスティングからスタートしてみるのも良いでしょう。 次に、オメガ3脂肪酸やウーブエンザイム(Wobenzyme)といった抗炎症作用のあるサプリメントを試してみるのもいいでしょう。これら2つのサプリメントを一緒に摂取することで、炎症の軽減を助けることができ、食餌法とともにHRVスコアの向上を刺激してくれるでしょう。 HRVスコア向上させるもう一つの必要不可欠な要素である、ミトコンドリアの機能向上に働きかける幾つかの重要なサプリメントもあります。 秘訣3:睡眠の質を向上させる 毎日の睡眠の量と質がHRVスコアに影響する最も大きな影響であることに疑いの余地はありません。“もっと睡眠をとるように”という当たり前のお説教以外にも、睡眠量にかかわらず、睡眠の”質”を向上するためにできることはたくさんあります。 まず最初に、寝室を完全に暗くすることのできる遮光ブラインドを購入することを強く推奨します。これらは、高価でもなく、簡単につけることができます。もしあなたの寝室がたくさん朝日の入る部屋なら、遮光ブラインドをつけることで睡眠の質をかなり違ったものに変えることができるでしょう。 次に、これもまた分かりきったことかもしれませんが、驚くほど少数の人しか試していないことです。あらゆる手段を用いて、あなたを目覚めさせる可能性のある騒音を最小化すること。私はいつも、コンピューターのボリュームをオフにして、携帯電話もサイレントモードに設定しています。 一晩中なり続ける小さなお知らせ音ほど、睡眠を妨げるものはありません。たとえその音で完全に起こされなくても、睡眠をより浅いものにしHRVスコアを減少させます。”サイレントモード”を毎晩の通過儀礼にしてください。 最後に、これは重要な事ですが、質の良いベッドにできるだけの投資をしてください。 多くの方がトレーニングやサプリメント、トレーニングウェア、ジムの会費、食べ物など、見ためや感覚などには沢山の投資をするにもかかわらず、8時間もしくはそれ以上の時間を、質の悪い安価なマットレスの上で費やしているということには驚かされます。 考えてみてください:人生の3分の1近くは、ベットに横たわって過ごしているのです。適切なベットは人生を変えるような違いを生み出し、健康とフィットネスのための最大の投資となるでしょう。

ジョール・ジェイミソン 2504字

ジム内・外におけるパフォーマンス効率の為の呼吸 パート2/2

ケリー・スターレットは “Becoming a supple Leopard(しなやかなヒョウになる)”の著者であり、ウェブサイト“Mobility WOD(モビリティWOD)”を運営しています。ケリーが効果的な呼吸や腹部の運動について尋ねられた時、彼は “Belly Wack”テストというテストを戦略として使っています。このテストは一日を通じて友達に腹部を軽く叩いてもらい、常に身体の軸を感じながら腹部の圧を保つというものです。 どれくらいの腹部の収縮が必要なのかは一日を通して変わります: 立位の場合や歩行の場合、だいたい15~30パーセントの収縮が必要になります。 プッシュアップや近隣でのジョギングでは、腹部複合体全体に40~60パーセントの収縮が必要になるでしょう。 50メートルの全力失踪やマックスのデッドリフトでは、100パーセントの腹部の固定力が必要です。 ですから、私達の呼吸レートや深さに必要とされる異なる腹部圧の範囲は、これらの要求に応じて変化するのです。 呼吸レートは効率性の向上の為、私達が直面する環境に応じて頻繁に変化します。スイマーを例にとってみた場合;ジムで活用しているような一般的な呼吸パターンは、彼らには適応しません。これを少し考えてみましょう;スイマーは、顔が水上に出ている時よりも、より多くの時間を顔が水中にある状態で過ごしています。これは彼らの呼吸に多大な影響を与えます。能力の高いスイマーはたいてい、パワフルな2秒間の吸気と、頭が水中にある間に6~8秒間の呼気をおこなっています。もしプールで活動するスイマーに効果的なトレーニングをジム以外でおこないたいのなら、これは考慮すべき問題でしょうか?-もちろんです! 呼吸の鍛錬、あるいは呼吸のラダーはロブ・ローレンスによって開発されました。少し考えてみましょう;高強度のケトルベルスイングをおこなった後に次のセットにいくまでの間に、決められた呼吸数しかできません。このアプローチはあなたの呼吸数と生理機能をスローダウンするように鍛錬するのです。これで基本的にパニックを免れることができますし、休む時間内でより確実に回復することができます。 下にある動作別/強度別の呼吸パターンガイダンスを見てみましょう: 注意:異なった場面や幾つかの特異的な動作には、最大力を作り出す為に呼吸を止めるバルサルバ法が必要とされます。もしもクライアントが心臓や循環器機能不全、または高血圧の履歴があるならば、上に記したような高強度の運動への関わりを慎重に進めていくことを推奨します。 生体力学的な例:ケトルベルスイングの際、下げる時に鼻から短く強く息を吸って上がる時に何かを打つような感覚で息を吐く。生体力学的呼吸には様々な形があります。 呼吸パターンを向上させる効果的な練習やガイダンス: 今までに挙げてきたような呼吸法は、もしあなたがスイマーなら、ヨガをするなら、ウェイトをスイングしたり持ち上げるなら、といったように、その状況に合った安全で効率的、そして効果的なエクササイズを行うことを可能にしてくれます。これら全てのトレーニンングには適切な割合のコアの収縮を伴う呼吸レートが要求されます。 呼吸の生理学的な利点に加えて、ストレスの軽減という心理学的要素もあります。興味深いことに、ストレスは私達の健康に身体的、心理的両方の側面で影響を与えます。もしそうであれば、呼吸は確かに私達の神経システムや精神状態へ沈静効果をもたらすはずです。 あなたの精神状態にプラスに働き、安定したリズミカルな呼吸パターンがいくつか(これがすべてではない)あります: 歩行瞑想 これは歩行量に合わせてシンプルに呼吸をする、禅仏教の教えです。例えば6歩歩いたら、最低でもその倍息を吐く、この場合12歩分息を吐きます。これは集中力と心を静めるのに素晴らしい方法で、スイマー等身体の機能的観点で見た場合にも、最高の身体準備となるのです。 これを実行すると、腕を自由に動かし、“悪しきストレス”に繋がる短くて小刻みな胸式の浅い呼吸ではなく、横隔膜を使った深い呼吸を与えてくれます。 静的呼吸 両膝を曲げて仰向けに寝ます。片手をお腹に乗せてもう片方の手は胸の上に乗せます。息を吸うと同時に、胸を膨らませてお腹も空気で蒸留されたら、お腹からゆっくりと息を吐きながら胸に残った息も吐き出していきます。一定のペースでこれを10回繰り返して下さい。 これによってコアの固定筋群が刺激され、激しいエクササイズをする前にスイッチをオンにする一方で、日常やエクササイズから生まれるストレスに対してリラクゼーション効果を与えてくれるのです。これは、ヨガにおいて、セッションの最後に行われる“シャバアサナ”として知られています。

ファンクショナル・トレーニング・インスティチュート 2042字

ジム内・外におけるパフォーマンス効率の為の呼吸 パート1/2

呼吸は生存のためにだけでなく、効果的なコア機能やスタビリティのためにも必要不可欠です。ポール・チェックをご存知の方は、呼吸は生存のトーテムポールの1番頂上に来る事をご存知でしょう。 フィットネス業界において、エクササイズ中におけるベストな呼吸法は、たいてい曖昧になってしまっています。ヨガにおいては数百年もの間、呼吸と身体に課された要求に対応する神経システム能力の重要性が理解されています。30年のヨガ指導歴を持つジュリアン・カルボは呼吸についてこのように話しています: ‘息を吸いながら、ポーズの中にスペースを作り、息を吐きながら、そのスペースの中に入っていく’ ポーズをとりながら息を止めることで身体は硬くなり、筋が適切な長さを得たり、関節が最適な可動域に必要なモビリティを獲得することを妨げてしまいます。 呼吸の認知というものはヨガにおいては必須の訓練であり、身体の内外から心にアプーチし、ヨギが美しくバランスのとれたポーズをおこなうことを可能にするのです。 呼吸のレートは興奮させることもあれば、落ち着かせることもできます。あなたはクライアントに効果的な呼吸パターンをどの程度強調して教えていますか? フィットネス業界における呼吸の典型パターンとしては、力を入れる時に息を吐き、運動における回復期の一環として息を吸っています。ここで少し難しいのは効果的な呼吸と共に、脊柱を守る為にどのように腹腔内圧を保持するかということです。 ストロングマンや吊り輪を使う体操選手などを見たとき、長時間最大限のテンションを維持していることに気がつくでしょう。彼らは上手に呼吸をするということをマスターしているのです。彼らのようなアスリートは、腹腔内圧を保ちながら、かなり小刻みな横隔膜呼吸をしています。 呼吸についてわかっているのは、様々なエクササイズ強度や異なる環境において、適応しなければならないということです。 オリンピックのウェイトリフティングのように、エクササイズで高いサポート能力を必要とされる程より高い腹腔内圧が必要となります。それゆえより少ない呼吸となるのです。もし最大下有酸素能力、例として自覚的運動強度が6/10でバイクを漕いだ場合、呼吸は比較的スムーズでしょう。おそらく3秒で息を吸い、少し止めてから3秒で吐くかもしれません。強度を上げ始めると、呼吸のレートは変わり始めます;自然とより強い力で息を履くようになります。 ストレスは呼吸の仕方に関して、とても大きな役割を担っています。ストレスを受けたとき、呼吸が短く小刻みになったり、もしくは過呼吸になっていることに気づいた事はありませんか?常にある程度のストレスを受けている人もいるのです!ですから場合によっては、理学療法士のような方達に診てもらい、横隔膜式呼吸を学ばなくてはならない時もあります。はよく、患者が仰向けになって片手は胸、もう片方の手はお腹に乗せるといった、横隔膜呼吸をご覧になったことがあるかもしれません。そして腰部(腰椎)を床につけたまま、呼吸のサイクルに合わせて腹部を膨らませたりへこませたりします。この方法で肩が上がる呼吸の癖や胸郭が過剰に広がることを防ぎます。 他にも沢山の要素が私達の呼吸に影響しています。寝ている赤ん坊を見るとお腹を動かしているのがわかると思いますが、これは生まれながらに横隔膜を使っての呼吸がプログラムされているからです。成長して、身体を気にし始めると、人々は見た目の美しさの為に首や肩、肋骨での呼吸を始めます。問題なのは、このパターンを繰り返し続けてしまうと身体にこの呼吸パターンが自然と染み付き - 酸素摂取や筋骨格系システムにおいて非常に非効率的になっていくということです。息の吸い方も、酸素摂取に影響を与える可能性のあるものです。 90年代に行われたシドニー大学の研究によると、ヴェントリンに依存する喘息持ちの人々は頻繁に口から呼吸する傾向があることを示しています。そのリサーチではその患者の人達の口にテープを貼り、鼻呼吸を促進させました。食事の時にのみテープを外し、そのテストは24時間に渡り続けられました。結果は驚くべきものでした。被験者のヴェントリン依存が3/2にまで減少したのです!つまり実験で鼻呼吸をした被験者のヴェントリンの使用量が口から呼吸する時と比べて1/3の量になったのです。 これを持久性という観点から考えてみましょう。もし鼻からの呼吸を習った場合、私達はより多くの酸素と少ない二酸化炭素を摂取することになり、私達の呼吸システムは口腔よりも鼻腔から吸い込むほうが呼吸機能にとっては最適であると結論づけられます。 過去20年以上もの間、呼吸はケトルベルのようなファンクショナルツールにおいてベストとなる方法解明の為に多くの科学的研究がなされてきました。パベル・タソリンのようなマスターはケトルベルスイングにおける生体力学的呼吸を紹介しています。ケトルベルが両脚を通ってヒップヒンジに向かう時に、短く小刻みに息を吸い股関節の伸展と同時に短く小刻みに息を吐きます。フィニッシュポジションが脊柱の過伸展を防ぐ為に体幹部の固定を再構築させてくれます。 サンドバッグなどのツールでオーバーヘッドスナッチを行うことを考慮した場合、大抵多くの人々がパワーバックを腕の高さまで引き上げる際に体幹を固定するのを見かけるでしょう。問題はこの人達がオーバーヘッドのフィニッシュポジションに到達したとき、彼らの体幹がスイッチオフになることがあり、腰椎過伸展の原因となってしまうことです。

ファンクショナル・トレーニング・インスティチュート 2346字

なぜ遠心性のトレーニングは筋挫傷を防ぐことに役立つのか? パート2/2

ハムストリングの筋挫傷はいつ起こるのでしょうか? ハムストリングのケガは遊脚期の終期(股関節と膝関節でハムストリングがアクティブに伸張している時)または立脚期の初期(接地でハムストリングが大きな力を吸収している時)に起こるようです。 初期の研究によれば、接地でかかる高い力がケガの原因であるかもしれないと報告されていましたが(Mann, 1980; Mann & Sprague, 1980)、立脚期の早期ではハムストリングは延長されないようであり、(Yu et al. 2008; Chumanov et al. 2011; Nagano et al. 2014)そのため、立脚期で筋挫傷を負うというアイディアを受け入れることは難しいのです。 その後の研究では遊脚期の終期でハムストリングの筋と腱が最長になることが発見されています(Heiderscheit et al. 2005; Thelen et al. 2005a; Thelen et al. 2005b; Yu et al. 2008; Schache et al. 2012; Schache et al. 2013)。この大きい度合いのひずみは高いレベルの筋力に伴っており(Chumanov et al. 2007; Schache et al. 2010; Nagano et al. 2014)、これが大きなエネルギーの吸収につながっています。 重要なことは、ランニングのスピード(特に非常に早い速度)が速くなるにつれてひずみそのものは増加しないということです。事実、ランニングのスピードが速くなってもひずみは増加しないことを報告している研究は数多く存在します(Thelen et al. 2005a; Thelen et al. 2005b; Chumanov et al. 2007; 2011; Schache et al. 2013)。 一方、ランニングのスピードが速くなるにつれ、遠心性の力は大きくなり続けます。そのため、吸収されるべきエネルギーの量が大きく増え続ける原因になります(Chumanov et al. 2007; 2011)。これはランニングのスピードが速くなればなるほど、さらに大きなエネルギーを吸収する必要があることを意味します。 バランスをとってみると、ハムストリング筋挫傷の筋−腱の長さの変化の研究を特に分析すると、ひずみの度合いよりも吸収されるエネルギーが筋挫傷を促す鍵であるようです。 スポーツではどうなるのでしょうか? スポーツの中で、どの筋に挫傷が起こるのかを考えることは、吸収されるエネルギーのモデルがまだ理にかなうものかチェックすることに役立ちます。このために、少なくとも2通りの方法があります:最もよく筋挫傷になりやすい筋群の状況を見ることと、どの筋群が筋挫傷になりやすいのかを考慮することです。 まず初めに、筋挫傷はかなりのモメンタムを生み出し、それを維持する状況でよく起こるようです。ほとんどのハムストリング筋挫傷は高速のランニングに起因し、歴史的にボールをバウンスするようなモデルとして扱われています(Cavagna et al. 1964)。アスリートはそれぞれの地面接地期(グランド・コンタクトフェーズ)で運動エネルギーを吸収してリリースし、摩擦やシステムの不効率な部分によるエネルギーの消費を補うためにのみ使われます。このエネルギーは同じ筋群の受動的な要素、あるいはその他の筋群の近位部から遠位部への優先順位付けによって、蓄積され戻されます(Jacobs & Van Ingen Schenau, 1992; Jacobs et al. 1996)。 これは吸収されたエネルギーモデルが実に理にかなっていることを意味しています。 次に、最も一般的にケガをしやすい筋群は、常に体の1分節から他の分節へエネルギーを伝達することに深く関わっている筋、つまり2関節筋群です。ハムストリングでは、ほとんどの場合大腿二頭筋の長頭がケガをします(Opar et al. 2012)。大腿四頭筋の中では、2関節筋である大腿直筋が最もケガをしやすいものです(Mendiguchia et al. 2013)。 また、これも吸収されたエネルギーモデルが成立していることを意味しています。 遠心性のトレーニングはエネルギー蓄積を高められるのでしょうか? はい、間違いなくそれは可能です。 遠心性のトレーニングはエネルギーを吸収する能力で、筋の構造と受動的な要素を変化させることで、遠心的な筋力が特異的に向上されます(Kay et al. 2016)。それに伴い、遠心的な過負荷のトレーニングは力を生産し吸収する能力やカッティング・方向転換中のインパルス(力積=力x時間)を高めます。それ以上に、遠心的な過負荷のトレーニング後の力とインパルス(力積)は推進期よりも吸収(制動)期でより大きく向上します。 では何がこのエネルギー吸収を向上させているのでしょうか? 最近の研究によると、エネルギー吸収能力の向上は関節可動域の増加と、中程度~強く関与しています (r = 0.59) (Kay et al. 2016)。これは、エネルギー蓄積の増加と筋束の長さの増加には関連性があることを示唆します。ストレス−ひずみ曲線の下の面積がエネルギー蓄積であり、遠心性のトレーニングが筋束長を増加させることから、この関連は予測されるものです。 しかし、エネルギー吸収能力の向上は、計測されている受動的モーメントの頂点とより親密に(r = 0.92)関連しています(Kay et al. 2016)。これは遠心的な力を生産する特異的能力がエネルギー蓄積能力の大きな関与因子であり、遠心性のトレーニングによる特異的な遠心的筋力増加が主要因子であることを示唆しています。 これらの特異的な遠心性筋力強化は、筋の受動的要素(細胞外基質とタイチン)が硬化したため、および神経的制御の変化のためでもあります。これらの変化は筋の伸張に抵抗し、伸張するたびにさらに大きなエネルギーを蓄積します。 このアイディアに沿い、一つの研究はタイチン(受動的な要素の一つ)がエネルギーを吸収し、ひずみにさらされた時に筋の断裂を防ぐ筋内の物質であるかもしれないことを示しています。しかし、この研究は、通常の運動よりも伸張された筋長においてのみ行われているものです(Leonard et al. 2010)。 単に普通のトレーニングを代わりに行ってはなぜいけないのか? 通常の筋力トレーニングはリフティング・持ち上げる(求心性)と下ろす(遠心性)段階から成り立っていることから、特に制御しながらウェイトを下ろしている場合、遠心性トレーニングが必要ないと考えてしまいがちです。 しかし、筋挫傷のエネルギー吸収モデルが正しければ、これは間違っています。 普通の筋力トレーニング(どちらの段階も同じ負荷がかかっている)を行っていれば、遠心性対求心性の筋力比率を増加させることは決してないでしょう。なぜなら、最大能力に対しての同じ負荷を動かすために発揮する力は、求心性の段階と比較して、遠心性の段階でかなり低く、これはともに、慣性と二つの段階の筋力の違いによるものです。 発揮する力が筋力を強化させるため(筋肥大でなくとも)(Schoenfeld et al. 2014)、これは、遠心性対求心性筋力比率が自然に下向きに横滑りしていくことを意味しています。 では、遠心性トレーニングはどのように筋挫傷を防ぐのでしょうか? 最終的に、私のここでの提案は(他にも同じく提案されているかもしれません)求心性や通常の筋力トレーニングを行えば、次第に遠心性対求心性筋力の比率が下がり、減速能力よりも加速能力が向上するでしょう。すると、伸張—短縮サイクルを含むスポーツの運動(例えばスプリント)を始める場合に、安全に吸収できる運動エネルギー以上のエネルギーを蓄積してしまえることを意味しています。 また一方で、遠心性のトレーニングを使えば、自然と遠心性対求心性の筋力比率が増加し、それによって減速能力は加速能力よりも、より大きく向上します。これは、自分が蓄積できる運動エネルギー以上により大きい運動エネルギーを吸収できるということです。そう考えてみると、これがなぜ筋挫傷のリスクを下げるかを理解するのは難しいことではありません。 まとめ 遠心性のトレーニングは遠心性の筋力を特異的に向上し、これには、筋を硬化させる筋の受動的要素を強化することも含まれます。このため筋はより減速能力を高め、エネルギーを吸収できます。このエネルギーを吸収できる高度な能力が、遠心性のトレーニングの筋挫傷リスクを軽減することへとつながるのかもしれません。 参照文献 Askling, C., Karlsson, J., & Thorstensson, A. (2003). Hamstring injury occurrence in elite soccer players after preseason strength training with eccentric overload. Scandinavian Journal of Medicine & Science in Sports, 13(4), 244-250. Asmussen, E., & Bonde‐Petersen, F. (1974). Storage of elastic energy in skeletal muscles in man. Acta Physiologica Scandinavica, 91(3), 385-392. Azizi, E., & Roberts, T. J. (2014). Geared up to stretch: pennate muscle behavior during active lengthening. The Journal of Experimental Biology, 217(3), 376. Blazevich, A. J., Cannavan, D., Horne, S., Coleman, D. R., & Aagaard, P. (2009). Changes in muscle force-length properties affect the early rise of force in vivo. Muscle & Nerve, 39(4), 512. Bohm, S., Mersmann, F., & Arampatzis, A. (2015). Human tendon adaptation in response to mechanical loading: a systematic review and meta-analysis of exercise intervention studies on healthy adults. Sports Med Open, 1(1), 7. Bourne, M. N., Opar, D. A., Williams, M. D., & Shield, A. J. (2015). Eccentric Knee Flexor Strength and Risk of Hamstring Injuries in Rugby Union: A Prospective Study. The American Journal of Sports Medicine, 43(11), 2663. Brooks, S. V., Zerba, E., & Faulkner, J. A. (1995). Injury to muscle fibres after single stretches of passive and maximally stimulated muscles in mice. The Journal of Physiology, 488(2), 459-469. Brooks, S. V., & Faulkner, J. A. (2001). Severity of contraction-induced injury is affected by velocity only during stretches of large strain. Journal of Applied Physiology, 91(2), 661. Brughelli, M., & Cronin, J. (2008). Preventing hamstring injuries in sport. Strength & Conditioning Journal, 30(1), 55-64. Butterfield, T. A., & Herzog, W. (2006). Effect of altering starting length and activation timing of muscle on fiber strain and muscle damage. Journal of Applied Physiology, 100(5), 1489-1498. Cavagna, G. A., Saibene, F. P., & Margaria, R. (1964). Mechanical work in running. Journal of Applied Physiology, 19(2), 249-256. Chumanov, E. S., Heiderscheit, B. C., & Thelen, D. G. (2007). The effect of speed and influence of individual muscles on hamstring mechanics during the swing phase of sprinting. Journal of Biomechanics, 40(16), 3555-3562. Chumanov, E. S., Heiderscheit, B. C., & Thelen, D. G. (2011). Hamstring musculotendon dynamics during stance and swing phases of high speed running. Medicine & Science in Sports & Exercise, 43(3), 525. Cronin, J., Ogden, T., Lawton, T., & Brughelli, M. (2007). Does Increasing Maximal Strength Improve Sprint Running Performance?. Strength & Conditioning Journal, 29(3), 86-95. De Hoyo, M., Sañudo, B., Carrasco, L., Mateo-Cortes, J., Domínguez-Cobo, S., Fernandes, O. & Gonzalo-Skok, O. (2016). Effects of 10-week eccentric overload training on kinetic parameters during change of direction in football players. Journal of Sports Sciences, 1-8. Duchateau, J., & Enoka, R. M. (2016). Neural control of lengthening contractions. Journal of Experimental Biology, 219(2), 197-204. Edouard, P., Branco, P., & Alonso, J. M. (2016). Muscle injury is the principal injury type and hamstring muscle injury is the first injury diagnosis during top-level international athletics championships between 2007 and 2015. British Journal of Sports Medicine. Ekstrand, J., Hägglund, M., & Waldén, M. (2011). Injury incidence and injury patterns in professional football: the UEFA injury study. British Journal of Sports Medicine, 45(7), 553. Ekstrand, J., Waldén, M., & Hägglund, M. (2016). Hamstring injuries have increased by 4% annually in men’s professional football, since 2001: a 13-year longitudinal analysis of the UEFA Elite Club injury study. British Journal of Sports Medicine, bjsports-2015. Engebretsen, A. H., Myklebust, G., Holme, I., Engebretsen, L., & Bahr, R. (2008). Prevention of Injuries Among Male Soccer Players A Prospective, Randomized Intervention Study Targeting Players With Previous Injuries or Reduced Function. The American Journal of Sports Medicine, 36(6), 1052-1060. Esteve, E., Rathleff, M. S., Bagur-Calafat, C., Urrútia, G., & Thorborg, K. (2015). Prevention of groin injuries in sports: a systematic review with meta-analysis of randomised controlled trials. British Journal of Sports Medicine, 49(12), 785. Fousekis, K., Tsepis, E., Poulmedis, P., Athanasopoulos, S., & Vagenas, G. (2010). Intrinsic risk factors of non-contact quadriceps and hamstring strains in soccer: a prospective study of 100 professional players. British Journal of Sports Medicine, 45(9), 709. Freckleton, G., & Pizzari, T. (2013). Risk factors for hamstring muscle strain injury in sport: a systematic review and meta-analysis. British Journal of Sports Medicine, 47(6), 351-358. Gabbe, B. J., Branson, R., & Bennell, K. L. (2006). A pilot randomised controlled trial of eccentric exercise to prevent hamstring injuries in community-level Australian Football. Journal of Science and Medicine in Sport, 9(1), 103-109. Garrett, W. E., Safran, M. R., Seaber, A. V., Glisson, R. R., & Ribbeck, B. M. (1987). Biomechanical comparison of stimulated and nonstimulated skeletal muscle pulled to failure. The American Journal of Sports Medicine, 15(5), 448-454. Gao, Y., Wineman, A. S., & Waas, A. M. (2008). Mechanics of muscle injury induced by lengthening contraction. Annals of Biomedical Engineering, 36(10), 1615-1623. Goode, A. P., Reiman, M. P., Harris, L., DeLisa, L., Kauffman, A., Beltramo, D., & Taylor, A. B. (2015). Eccentric training for prevention of hamstring injuries may depend on intervention compliance: a systematic review and meta-analysis. British Journal of Sports Medicine, 49(6), 349-356. Goossens, L., Witvrouw, E., Vanden Bossche, L., & De Clercq, D. (2015). Lower eccentric hamstring strength and single leg hop for distance predict hamstring injury in PETE students. European Journal of Sport Science, 15(5), 436-442. Hägglund, M., Waldén, M., & Ekstrand, J. (2013). Risk factors for lower extremity muscle injury in professional soccer the UEFA injury study. The American Journal of Sports Medicine, 41(2), 327-335. Hasselman, C. T., Best, T. M., Seaber, A. V., & Garrett, W. E. (1995). A threshold and continuum of injury during active stretch of rabbit skeletal muscle. The American Journal of Sports Medicine, 23(1), 65-73. Heiderscheit, B. C., Hoerth, D. M., Chumanov, E. S., Swanson, S. C., Thelen, B. J., & Thelen, D. G. (2005). Identifying the time of occurrence of a hamstring strain injury during treadmill running: a case study. Clinical Biomechanics, 20(10), 1072-1078. Herzog, W. (2014). The role of titin in eccentric muscle contraction. The Journal of Experimental Biology, 217(16), 2825-2833. Jacobs, R., & Van Ingen Schenau, G. J. (1992). Intermuscular coordination in a sprint push-off. Journal of Biomechanics, 25(9), 953-965. Jacobs, R., Bobbert, M. F., & van Ingen Schenau, G. J. (1996). Mechanical output from individual muscles during explosive leg extensions: the role of bi-articular muscles. Journal of Biomechanics, 29(4), 513-523. Kay, A. D., Richmond, D., Talbot, C., Mina, M., Baross, A. W., & Blazevich, A. J. (2016). Stretching of Active Muscle Elicits Chronic Changes in Multiple Strain Risk Factors. Medicine & Science in Sports & Exercise. Kelly, S. B., Brown, L. E., Hooker, S. P., Swan, P. D., Buman, M. P., Alvar, B. A., & Black, L. E. (2015). Comparison of concentric and eccentric bench press repetitions to failure. The Journal of Strength & Conditioning Research, 29(4), 1027-1032. Leonard, T. R., Joumaa, V., & Herzog, W. (2010). An activatable molecular spring reduces muscle tearing during extreme stretching. Journal of Biomechanics, 43(15), 3063-3066. Lieber, R. L., & Friden, J. (1993). Muscle damage is not a function of muscle force but active muscle strain. Journal of Applied Physiology, 74(2), 520-526. Liu, H., Garrett, W. E., Moorman, C. T., & Yu, B. (2012). Injury rate, mechanism, and risk factors of hamstring strain injuries in sports: A review of the literature. Journal of Sport and Health Science, 1(2), 92-101. Macpherson, P. C., Schork, M. A., & Faulkner, J. A. (1996). Contraction-induced injury to single fiber segments from fast and slow muscles of rats by single stretches. American Journal of Physiology, 271(5), C1438-C1446. Mair, S. D., Seaber, A. V., Glisson, R. R., & Garrett, W. E. (1996). The role of fatigue in susceptibility to acute muscle strain injury. The American Journal of Sports Medicine, 24(2), 137-143. Mann, R. V. (1980). A kinetic analysis of sprinting. Medicine & Science in Sports & Exercise, 13(5), 325-328. Mann, R., & Sprague, P. (1980). A kinetic analysis of the ground leg during sprint running. Research Quarterly for Exercise and Sport, 51(2), 334-348. McCully, K. K., & Faulkner, J. A. (1986). Characteristics of lengthening contractions associated with injury to skeletal muscle fibers. Journal of Applied Physiology, 61(1), 293-299. Mendiguchia, J., Alentorn-Geli, E., Idoate, F., & Myer, G. D. (2013). Rectus femoris muscle injuries in football: a clinically relevant review of mechanisms of injury, risk factors and preventive strategies. British Journal of Sports Medicine, 47(6), 359-366. Nagano, Y., Higashihara, A., Takahashi, K., & Fukubayashi, T. (2014). Mechanics of the muscles crossing the hip joint during sprint running. Journal of Sports Sciences, 32(18), 1722-1728. Opar, M. D. A., Williams, M. D., & Shield, A. J. (2012). Hamstring strain injuries. Sports Medicine, 42(3), 209-226. Opar, D. A., Williams, M., Timmins, R., Hickey, J., Duhig, S., & Shield, A. (2014). Eccentric hamstring strength and hamstring injury risk in Australian footballers. Medicine & Science in Sports & Exercise, 46. Petersen, J., Thorborg, K., Nielsen, M. B., Budtz-Jørgensen, E., & Hölmich, P. (2011). Preventive effect of eccentric training on acute hamstring injuries in men’s soccer a cluster-randomized controlled trial. The American Journal of Sports Medicine, 39(11), 2296-2303. Rack, P. M., & Westbury, D. R. (1974). The short range stiffness of active mammalian muscle and its effect on mechanical properties. The Journal of Physiology, 240(2), 331. Ryan, J., DeBurca, N., & Mc Creesh, K. (2014). Risk factors for groin/hip injuries in field-based sports: a systematic review. British Journal of Sports Medicine, 48(14), 1089. Schache, A. G., Kim, H. J., Morgan, D. L., & Pandy, M. G. (2010). Hamstring muscle forces prior to and immediately following an acute sprinting-related muscle strain injury. Gait & Posture, 32(1), 136-140. Schache, A. G., Dorn, T. W., Blanch, P. D., Brown, N. A., & Pandy, M. G. (2012). Mechanics of the human hamstring muscles during sprinting. Medicine & Science in Sports & Exercise, 44(4), 647. Schache, A. G., Dorn, T. W., Wrigley, T. V., Brown, N. A., & Pandy, M. G. (2013). Stretch and activation of the human bi-articular hamstrings across a range of running speeds. European Journal of Applied Physiology, 113(11), 2813-2828. Schache, A. G., Brown, N. A., & Pandy, M. G. (2015). Modulation of work and power by the human lower-limb joints with increasing steady-state locomotion speed. Journal of Experimental Biology, 218(15), 2472-2481. Schoenfeld, B. J., Wilson, J. M., Lowery, R. P., & Krieger, J. W. (2014). Muscular adaptations in low-versus high-load resistance training: A meta-analysis. European Journal of Sport Science, 1-10. Silder, A., Reeder, S. B., & Thelen, D. G. (2010). The influence of prior hamstring injury on lengthening muscle tissue mechanics. Journal of Biomechanics, 43(12), 2254-2260. Talbot, J. A., & Morgan, D. L. (1998). The effects of stretch parameters on eccentric exercise-induced damage to toad skeletal muscle. Journal of Muscle Research & Cell Motility, 19(3), 237-245. Thelen, D. G., Chumanov, E. S., Best, T. M., Swanson, S. C., & Heiderscheit, B. C. (2005a). Simulation of biceps femoris musculotendon mechanics during the swing phase of sprinting. Medicine & Science in Sports & Exercise, 37(11), 1931. Thelen, D. G., Chumanov, E. S., Hoerth, D. M., Best, T. M., Swanson, S. C., Li, L., & Heiderscheit, B. C. (2005b). Hamstring muscle kinematics during treadmill sprinting. Medicine & Science in Sports & Exercise, 37(1), 108. Tidball, J. G. (2011). Mechanisms of muscle injury, repair, and regeneration. Comprehensive Physiology. Timmins, R. G., Bourne, M. N., Shield, A. J., Williams, M. D., Lorenzen, C., & Opar, D. A. (2015a). Short biceps femoris fascicles and eccentric knee flexor weakness increase the risk of hamstring injury in elite football (soccer): a prospective cohort study. British Journal of Sports Medicine. Timmins, R. G., Ruddy, J. D., Presland, J., Maniar, N., Shield, A. J., Williams, M. D., & Opar, D. A. (2015b). Architectural Changes of the Biceps Femoris After Concentric or Eccentric Training. Medicine & Science in Sports & Exercise. Timmins, R. G., Shield, A. J., Williams, M. D., Lorenzen, C., & Opar, D. A. (2015c). Biceps femoris long head architecture: a reliability and retrospective injury study. Medicine & Science in Sports & Exercise, 47(5), 905-913. Timmins, R. G., Shield, A. J., Williams, M. D., Lorenzen, C., & Opar, D. A. (2016). Architectural adaptations of muscle to training and injury: a narrative review outlining the contributions by fascicle length, pennation angle and muscle thickness. British Journal of Sports Medicine. Tsuang, Y. H., Lam, S. L., Wu, L. C., Chiang, C. J., Chen, L. T., Chen, P. Y., & Wang, C. C. (2007). Isokinetic eccentric exercise can induce skeletal muscle injury within the physiologic excursion of muscle-tendon unit: a rabbit model. Journal of Orthopaedic Surgery and Research, 2(1), 1. Van der Horst, N., Smits, D. W., Petersen, J., Goedhart, E. A., & Backx, F. J. (2015). The preventive effect of the nordic hamstring exercise on hamstring injuries in amateur soccer players: a randomized controlled trial. The American Journal of Sports Medicine, 43(6), 1316. Van Dyk, N., Bahr, R., Whiteley, R., Tol, J. L., Kumar, B. D., Hamilton, B., & Witvrouw, E. (2016). Hamstring and Quadriceps Isokinetic Strength Deficits Are Weak Risk Factors for Hamstring Strain Injuries A 4-Year Cohort Study. The American Journal of Sports Medicine. Warren, G. L., Hayes, D. A., Lowe, D. A., & Armstrong, R. B. (1993). Mechanical factors in the initiation of eccentric contraction-induced injury in rat soleus muscle. The Journal of Physiology, 464, 457. Whittaker, J. L., Small, C., Maffey, L., & Emery, C. A. (2015). Risk factors for groin injury in sport: an updated systematic review. British Journal of Sports Medicine, 49(12), 803-809. Yu, B., Queen, R. M., Abbey, A. N., Liu, Y., Moorman, C. T., & Garrett, W. E. (2008). Hamstring muscle kinematics and activation during overground sprinting. Journal of Biomechanics, 41(15), 3121.

ストレングス・コンディショニング・リサーチ 3716字

なぜ遠心性のトレーニングは筋挫傷を防ぐことに役立つのか? パート1/2

たくさんの研究が遠心性のトレーニングが筋挫傷のリスクを下げることに役立つことを証明しているにも関わらず、現在研究者たちの間で遠心性のトレーニングが厳密にどう働いているのかに関する明確な意見の一致はありません。 なぜこれが役立つのか、私はこのように考えています。 筋挫傷は本当によくあることなのでしょうか? 筋挫傷は、個人やチームスポーツにおいてよくある問題です。 国際的なハイレベルのアスリート達において、筋のケガは競技中におきるケガのカテゴリーの中でも一番大きく、総合的なケガの41%を占めており、筋のケガのほとんどは筋挫傷です (Edouard et al. 2016)。フットボールにおいては、下肢の筋挫傷はケガの大半を占め、最も発生しやすい場所はハムストリング、大腿四頭筋、股関節内転筋群、およびふくらはぎとなっています。(Hägglund et al. 2013) 。 ある前向きコホート研究の、566,000時間におけるサッカー選手から記録されたデータによると、4,483件のケガが確認されました(Ekstrand et al. 2011)。最もよく起こるケガのタイプは大腿の筋挫傷(ハムストリングか大腿四頭筋)で、全てのケガのうち17%を占めています。これらの大腿の筋挫傷のうち3分の1は大腿四頭筋の筋挫傷で、3分の2はハムストリングの筋挫傷でした。 当然、そのために、ほとんどの筋挫傷の研究は、特にハムストリングに関連したもので行われています。 この点に関して、遠心性のトレーニングは非常に効果的であるようです。 遠心性のトレーニングは本当にハムストリングの筋挫傷を防げるのでしょうか? つい先ごろ、遠心性のトレーニングプログラムがハムストリングの筋挫傷へどのように影響しているか評価するために、系統的レビューが行われました(Goode et al. 2015)。校閲者は遠心性のトレーニングを行ったグループと行わなかったグループの選手を比較しました。そして、それぞれのグループの中でハムストリングの筋挫傷が何件発生したかを調査しました。 二つのグループを比べるにあたって、遠心性トレーニングのグループで実際に遠心性のトレーニングを行った選手達は対照群に比べてハムストリングの筋挫傷を負った件数は少なかったことを発見しました。最終的な結果として、準拠したアスリートがハムストリングの筋挫傷を負う可能性が0.35倍に減りました。 違う言い方をすれば、遠心性のトレーニングを行わなければハムストリングをケガしてしまう確率が3倍も増えるのです! Goode et al. (2015)によるレビューが実際に書かれた当時、関連する研究は4つしかありませんでした(Askling et al. 2003; Gabbe et al. 2006; Engebretsen et al. 2008; Petersen et al. 2011)。それ以来、最低1つの研究が発表され (Van der Horst et al. 2015)この研究結果も似た結果を報告しています。 これは、かなり決定的なことだと、本当に思います。 それでは、もしすでに高い遠心性筋力を持っていれば筋挫傷を負うリスクが少なくなるのでしょうか? まあ、そんなにシンプルではありません。 高い遠心性の筋力は筋挫傷を防げるのでしょうか? 少なくとも等速性検査の場合、求心性と遠心性のハムストリングの筋力は明白なハムストリングの筋挫傷のリスクファクターではないのです(Opar et al. 2012; Freckleton & Pizzari, 2013; Van Dyk et al. 2016)。 より最近の研究では、ノルディックカールエクササイズによる遠心性の膝関節屈曲の筋力は、ハムストリング筋挫傷を予知できるかもしれないと報告されていますが(Opar et al. 2015; Timmins et al. 2015a)、すべての研究は厳密に同じ結果を報告していません(Bourne et al. 2015)。 ノルディックカール(パートナー無しのバリエーション) 同様に、大腿四頭筋においても、求心性や遠心性の膝関節伸展筋力は明白な大腿四頭筋の筋挫傷のリスクファクターではありません(Fousekis et al. 2010)。股関節内転筋の弱化は、鼠径部の筋挫傷のリスクファクターですが(Ryan et al. 2014; Whittaker et al. 2015)、さらに試験が行われるにつれ同じストーリーを校閲者たちが語るか否かは、それほど明確ではないのです。 それでは、もし筋力(遠心性の筋力も)が完璧に信頼できるリスクファクターでないにもかかわらず、遠心性のトレーニングが筋挫傷のリスクを軽減するのであれば、実際何が起こっているのでしょうか? ただ高いレベルの遠心性の筋力を持っていることではなく、遠心性のトレーニングを行うことがリスクを減らすと私は思います。 ただ全体的に強いことも含め、いろんな理由でアスリートは遠心性のフェーズで強さを発揮するかもしれません。しかしそれは、遠心性のトレーニング後の様々な適応をしてきたことを意味するわけではないのです。これらの適応はもちろん遠心性の筋力生産を高めますが、その他の影響もあります。 アスリートが非常に強いため、高いレベルの遠心性筋力を持っていることもあれば、また、遠心性のトレーニングを行ったために高い遠心性の筋力を持つアスリートもいる、というような矛盾する結果を推定するかもしれません。。 実際、Goossens et al. (2015)によると、高い等尺性対遠心性のハムストリング筋力の比率はハムストリングの筋挫傷のリスクを将来的に高める関連性があります。被験者たちが全般的に強かったとしても、これは必ずしも保護的な要因ではありません。そうではなく、鍵となったのは等尺的に筋力を生産できることよりも遠心的に筋力を発揮できることでした。このような比率を獲得するには遠心性のトレーニングに触れることが必要です。 筋挫傷を防ぐために遠心性のトレーニングは役立ちますが、この一部の理由は様々な特異的な変化が遠心性のトレーニングの後に起こるからです。ただ全体的な筋力強化だけではなく、等尺性や求心性の筋力に比べて遠心性に特化した筋力強化が大切です。 これがまとまったところで、筋挫傷がなぜ起こるのかを見てみましょう。 しかし、“筋挫傷”はともかく何を意味しているのでしょうか? “筋挫傷”はともかく何を意味しているのでしょうか? 筋挫傷の原因に関する定理を理解するには、下記のような基本的な工学専門用語への手引きが必要です: ストレスは一単位の面積における力で、この状況では単に加わる力として考えるのが最も簡単でしょう。この力はランニングやジャンプする時の衝撃を吸収する時に、通常床から体にかかります。 ひずみは相対的な長さの変化で、筋束が最初の長さに比べてどのくらいストレッチされているかを意味しています。筋の“挫傷”とは全く別の意味なので、混乱しないようにしましょう。ひずみは通常パーセンテージで考えられており、安静時の長さに比べての延長をパーセンテージが示しています。アクティブなひずみとは筋が力を発揮している時のひずみを意味しており、長さの変化に抵抗しています。 弾性ひずみの吸収されたエネルギーとはストレス−ひずみ曲線の下の面積です。ですから、ストレス(力)やひずみ(長さの変化)が大きければ大きいほど、吸収されるエネルギーも大きくなります。 それではこれらの用語が筋挫傷とどう関係しているのでしょうか? 筋挫傷はなぜ起こるのでしょうか? 筋挫傷はほぼ常に、筋がアクティブな時、伸張しながらの筋収縮中に起こります(Liu et al. 2012)。筋挫傷はアクティブなひずみの度合い(つまり相対的な筋長の変化)あるいは吸収されるエネルギーによって引き起こされるようですが、どちらがより重要な原因であるかはまだ意見がまとまっていません。 いずれにせよ、この二つのコンセプトは深く関連しています。どちらも伸張しながらの筋収縮が特徴であり(Asmussen & Bonde‐Petersen, 1974)、ストレス−ひずみ曲線の下の面積が吸収されるエネルギーです。ちなみに、ストレス−ひずみ曲線の傾度は物質の硬さと呼ばれ、適用された一単位の力による長さの変化を示しています。 ストレス−ひずみの関係は以下に現されています。 ストレス−ひずみの関係 筋挫傷のメカニズムの研究のほとんどは、一つの筋線維ごとに行われており、力は人工的に刺激され、研究の多くは矛盾した結果を報告しています。 ほとんどの研究は、アクティブなひずみが最も重要な要因だと示していますが(Garrett et al. 1987; Lieber & Friden, 1993; Talbot & Morgan, 1998; Brooks & Faulkner, 2001; Butterfield & Herzog, 2006)、他の研究ではアクティブなひずみのみが原因ではないと示しています(Tsuang et al. 2007)。その他、力が重要な要因であったり(McCully & Faulkner, 1986; Warren et al. 1993; Hasselman et al. 1995)、また違う研究では吸収されたエネルギー(マイナスの仕事とも呼ばれる)が最もよく予知する要因だと報告しています(Brooks et al. 1995; Macpherson et al. 1996; Mair et al. 1996)。 これに加え、筋全体のレベルでは、筋の構造が筋挫傷のリスクにとって重要だと思われていますが、正確にどのように筋挫傷のリスクに影響しているかははっきりしていません(Timmins et al. 2016)。例えば、より短くより羽状形の筋束を持つ人は、ハムストリングの筋挫傷のリスクが高いのですが(Silder et al. 2010; Timmins et al. 2015a; Timmins et al. 2015c)、インビトロでの研究は、羽状の筋は紡錘状の筋に比べてよりひずみに耐えられると示しており(Garrett et al. 1988)、より大きいひずみに対する保護的なメカニズムとして、筋の羽状の角度は実際に回旋することを示しています(Azizi & Roberts, 2014)。これらの矛盾している結果を和解することや、メカニズムを理解するのは難しいことです。 厳密な原因がなんであれ、筋挫傷は筋をアクティブに伸張する際に引き起こされ、吸収されたエネルギーあるいはひずみの度合いによって促されることが、研究の全体的な結果から推定できます。 よりハムストリング筋挫傷の研究を入念に見れば、これはより明確になってくるのかもしれません。

ストレングス・コンディショニング・リサーチ 4675字

コンディションを向上させたいなら、止めるべき3つのこと パート2/2

2. 筋力と持久力を同時に向上させようとすることを止める 次の“禁止”はもっとも一般的に間違って利用されているもので、どのように身体がトレーニングに適応していくのかについての誤った情報が多くありすぎることが主な原因です。 無尽蔵に持久力を伸ばしながら、同時に除脂肪筋肉量を増やせると信じたくない人がいるでしょうか?売りやすいアイデアですよね。 ここに問題があります:身体はそのように働かない。 ワークアウトする時、そのトレーニングは身体の反応を惹起させる信号として作用します:遺伝子発現を変化させます。どの遺伝子を“発現”させる、あるいは、抑制させるかの変化が、最終的に身体の適応として現れます。 これは、関与する細胞の過程をかなり単純化してはいますが、その問題を示すには十分です: 持久力トレーニングとレジスタンストレーニングからの信号は、異なった反応と異なった適応を起こします。 それぞれを独立してトレーニングすると、レジスタンストレーニングでは信号のカスケードが起こり、遺伝子発現を変化させ、結果としてプロテインの分解と比べてプロテイン合成の割合がかなり高くなります。最終結果として筋肉は肥大します。 持久力トレーニングは、独自の信号カスケードにより有酸素適応を促進させます:新しいミトコンドリアの生成、あるいは、ミトコンドリアの発生。 持久力・レジスタンストレーニングの両方を高いボリュームで行うと、そのどちらの適応も効果的には起きずに、結果が折衷されてしまいます。言い換えると、同時並行のトレーニングでは、初心者以外のすべての人にとって両方の信号の通り道が最適下での活性になっててしまいます。 次のように考えてください。回復と身体の新しい組織の再構築には莫大なエネルギーがかかり、身体が作ることができるエネルギーには限りがあります。身体が、大量の新しい筋組織を構築し、同時により良い血管系ネットワークを構築し、ミトコンドリア数を増加させるためのエネルギーを持つことを期待することはできません。 身体は単に、一度にすべてのことを改善させることができないのです。そのため、初心者でない限り、どちらかを選ぶ必要があります。 コンディションを向上させるという目的で、これは何を意味しているのでしょうか:筋力とパワーを増加させ、同時に持久力を伸ばすことは期待しないでください。コンディションを向上させようとする時、目標はシンプルに筋力の維持にするべきです。それだけです。 一般的に、筋力とパワーを改善させるために必要になるトレーニングボリュームの60-70%で、それらを維持することができます。つまり、コンディショントレーニングをしているのであれば、筋力トレーニングをやり過ぎてはいけません。そして、可能であれば、コンディショニングとは切り離して筋力とパワーのトレーニングセッションをするよう試みてください。 トレーニングの研究で分子反応のレビューを掘り下げたいのであれば、ここからPDFをダウンロードすることができます: Molecular responses to strength and endurance training: are they incompatible? (Hawley 2009)
 行動:同時にすべてを向上させようとするよりも、それぞれからより多くの効果を得るために、できる限り筋力トレーニングと持久力トレーニングを切り離してください。コンディショニングを向上させようとするのであれば、筋力とパワートレーニングよりも有酸素運動に多くの日をさくべきです。 覚えておいてください、ストレングストレーニングの目標は、持久力を向上させながら、現在の筋力レベルを維持することなのです。このことは、通常筋力向上に必要なボリュームの60-70%で達成することができます。 3. “高地トレーニング”マスクの使用を止める 最後の“禁止”は、もしそれを行っているのであれば、最も簡単に変えることができるものです。 始めるにあたり、そもそもなぜ“高地トレーニング”(低酸素)マスクを装着するのでしょうか? 理論的根拠としては、マスクによって呼吸できる酸素の量を減少させることで、高地における低酸素濃度の状況を模擬することになります。従って、身体をだまして、高地トレーニングによって起きる有益な適応すべてのシグナルを送らせることになります。 十分に立証されている適応は以下の通りです: 赤血球生成促進因子(赤血球数を刺激して酸素運搬能力を上げる)の増加 最大酸素摂取量(運搬される酸素量の最大値)の向上 キャピタリゼーションの増加が筋肉への酸素運搬の向上に繋がる 細胞の酸化を中和する能力と、無酸素エクササイズに耐える能力が上がる 全血液量が増える しかし、この考え方には2つの部分に問題があります: まず、高地でのトレーニングが真に実際に持久力を向上させたのかどうかの結果は、かなり混在している。 パフォーマンスの向上が見られたと報告している研究もありますが、海抜0メートルでのトレーニングと差異はないとしている研究もあり、また、パフォーマンスが低下したと報告しているものさえあります。 それらの減少は一般的に、酸素が少ない状態で高強度のトレーニングすることはかなりきついことであり、長時間高度の高い場所に晒されると筋肉量が減少するという事実に起因すると考えられています。 しかし、高地トレーニングによる個人のパフォーマンスの差異の原因は遺伝によるところが大きいのです。つまり、マイナスな反応であったとしても、身体が反応する方法を変化させることはほとんどできないということです。 そのため、たとえ必死に運動したとしても、高地トレーニングによって身体にパフォーマンスを上げる変化を与えられるのか保証はありません。 たとえ、高地トレーニングに対してパフォーマンスを上げる可能性を身体が持っていたとしても、その利点を制限する、あるいは、打ち消してしまう他の要因がいくつかあります。例えば: 生活 vs トレーニングに使われる正確な高度 高地に滞在する期間 高地トレーニングの種類、量、質 プレーしているスポーツやポジション 高地トレーニング後に低地に戻り費やした時間 それらの要因がダイヤルインされ、適切な遺伝的を持っていない限りは、高地で過ごした時間が海抜0メートルで過ごしたものとほぼ同じになるでしょう。低地トレーニングよりも良いとは言えないまでも、結果は大差ないでしょう。 2つ目の問題は、そしてそれが大きい問題なのですが、呼吸を制限するマスクを装着することでは、そもそも高地での環境を擬態することにはならないということです。 呼吸を困難にさせるマスクを単純に装着することと、高度が上がることによって起こる酸素分圧の変化の間には雲泥の差があるのです。 空気圧の違いは別にして、気温、湿度、紫外線露出の変化などがあります。 言い換えると、“高地トレーニングマスク”は高地の擬態とは何の関係性もなく、あなたを化学兵器による攻撃から生き抜くためのトレーニングしている人のように見せる以外には何の効果もないのです。 次のように考えてみてください:それら間抜けなマスクが本当にコンディションを向上させるものであるなら、地球上のすべての持久系アスリートは何年もそれらを使用していたでしょう。ハイレベルのアスリートが100ドルのマスクの代わりに、本物の低酸素テントに数千ドル費やすことには理由があるのです。 結局のところ:“高地トレーニング”マスクは高地トレーニングの代替としてより便利なものであるように見えますが、高地のコンディションの複製には程遠いものです。仮にできたとしても、高地トレーニングに対する個人の反応は、極端に個体差があるのです。 行動:身体から酸素を奪うよりも、ミトコンドリアのエネルギー産生をサポートするサプリメントを摂ることで、酸素を利用する能力を向上させましょう。それらのサプリメントはユビキノールコエンザイムQ10、ピロロキノリンキノン(PQQ)、そしてニコチン酸アミドリボシド(NR)を含みます。 結論として コンディショニングの向上は常に、正しいことをしているかを確認することだけではありません。間違ったことをすることで貴重なトレーニングの時間を無駄にしていないかを確認することでもあります。結局のところ、1日には限られた時間しかなく、そして、身体が回復できるトレーニング量にも限りがあるのです。 プロアスリートのように身体を良い状態にするためにあなたがしなければならないのは、マスクを着けて、毎日高強度インターバルトレーニングをするだけという考え方、あるいは、筋肉を肥大させると同時にコンディションを向上できるという考え方を受け入れるのは簡単ですが、真実は、それほど簡単なものではないのです。 それだけが本当に必要なものであれば、プロファイターは決して燃料切れにならないでしょうし、ジムで常に限界まで追い込んでいるようにみえる人々は世界レベルのアスリートになってしまうでしょう。 コンディショニングとは、ロケット科学のような難しいものではありませんが、まず他のなりよりも、一貫性が必要なのです。 あまりにも多くの人が受け入れている、巧妙で宣伝過剰なトレーニング方法を避けながら、様々な強度を使い分け、トレーニングを管理し、筋力トレーニングを過度にやり過ぎないようするなど、正しいことに一貫して時間を費やさなければなりません。 ここで私が紹介した3つのことを避け、一貫してコンディショニングワークを行うことで、皆さんが、より少ないことは本当に効果的であるということを発見することを保証します。

ジョール・ジェイミソン 4153字

コンディションを向上させたいなら、止めるべき3つのこと パート1/2

コンディションを改善したいと望む動機が何であろうとも、より良いシェイプになるために何をすべきなのかを正確に理解しようと試みて、インターネットや8weeks Outのようなサイトを調べまわっていることでしょう。そして、山のような情報を見つけているのは間違いないと思います。 コンディションを改善するためにするべきだと、私が伝えたことのすべては、時間もかかり、圧倒されてしまいやすいのは分かっています。 そのため、コンディションをピークに持っていくための、さらなるヒント、トリック、そしてルールを教えるよりも、今日はその反対のことをしようと思います。 この記事では、あなたがコンディションを改善したいのであれば、止めるべきことを正確に伝えています。コンディショニングに関しては、時にはより少ない事がより良いという真実があるのです。 では、始めましょう。 1. 高強度インターバルトレーニング(HIIT)のみを行うことは止める ここ数年にわたって、HIITはトレーニング業界での主流になってきました。信奉者たちは見ればわかります:トレーニングの半分くらいは心臓がいまにも爆発しそうで、本人たちは、死にそうに感じています。 痛み無くして、得るもの無し、でしょう? これを少し聞き慣れ過ぎているのかもしれません。 HII のみのトレーニング提案者達は、彼らの信念とトレーニング方法を次のような論理的根拠で説明することが多いようです: 研究では、高強度インターバルトレーニングによってより良い結果が得られた事が示されています。 ゆっくりとした方法では時間がかかり過ぎてしまう;努力に見合う最良の結果が欲しい。 私がしているスポーツや運動は、ゆっくりとした有酸素的なものではなく、爆発的で無酸素的なことが要求される。 この主題については数多くのよい研究があり、さらに少し深く掘り下げると、次のことが分かります: はい、HIITは有酸素フィットネスを向上させる素晴らしい方法であると言えます(ほとんどのケースでは最大酸素摂取量の計測がされています)。しかし、 それらの上昇は、あまり長く続きません。 このことを実証する私のお気に入りは、低・中強度の方法の重要性を軽視する情報として、真っ先に引用されるものの1つである、悪名高いタバタリサーチに由来します。 タバタの研究によると、インターバルトレーニンググループは、定常状態で有酸素運動をしたグループと比べて、最大酸素摂取量の改善がより早く見られたと報告されています。 しかし、それらの向上はたった3週間後に横ばいになりました。一方、定常状態のグループでは、実験期間全体を通して最大酸素摂取量の増加を継続してみることができたのです。 この研究が、他の何かと同様に、結果のまとめ方の背景にあるものの重要性に関しての議論でもありますが、長期間HIITのみを使用することの欠陥を証明するものでもあります。 このトレーニング方法の継続した使用は、プラトーと停滞という結果となるでしょう−たとえあなたが、自分で限界まで追い込んだと感じていたとしても。 私は、ハードにトレーニングするべきではないと言っているわけではなく、インターバルトレーニングを使用するべきでないと言っているわけでもありません。ただ、それのみをコンディションのために行うのであれば、止める必要があると言っているのです。テンポインターバルのような中等度の運動や、心拍出量法のようなさらに低強度な方法をトレーニングに導入することから始めましょう。 より長い期間コンディションの向上を楽しむだけでなく、限界を超えてオーバーリーチングやオーバートレーニングへと押しやってしまう疲労蓄積の影響の回避を促すことにもなるのです。 そのことが“ゆっくりした方法では時間がかかりすぎる”という不満に対する私の答えにつながります。低・中強度の方法はHIITよりも時間がかかりますが、そのことが、より長期間にわたり、より一貫した向上をみることができる理由の一部分になります。 コンディショニングを継続して漸進させるためには、時間と労力が必要です。1日に数分で身体を最高の状態へもっていくことができると提言している人は誰であれ、あなたに何かを売りつけようとしています。 あなたがしているスポーツが爆発的な力を要求しているため、低・中強度の方法を使用すべきでないという考え方は理にかなっているようですが、実はそうではありません。 大部分のスポーツでは、瞬発的で爆発的な一瞬の動きの後に続く、アクティブな“レスト”を必要とします。このような場合、有酸素、無酸素エネルギーシステム両方を十分に発達させること必要になります。 例えば、MMAのファイターは、すべての打撃を全力で放つことはありません。パンチやキックはかなりの回数繰り返しますし、最大下の力で放ちます。 すべての打撃を全力で打ち込んでしまうと、1ラウンド中に燃料切れになってしまうでしょう。 短距離走のように、完全に爆発的なスポーツであったとしても、低・中強度のエクササイズは必要になります。それらのエクササイズをすることで、著しい疲労を蓄積することなく、仕事量を増加することができるでしょう−競技シーズンを通して健康で高いパフォーマンスを維持したいのであれば必須になります。 要するに私は、すべてのワークアウトを毎回全力で行わないためのフリーパスを差し上げているのです。トレーニング週の中で、高強度メソッドを使用する場面があるように、低・中強度メソッドにもその場面があるのです。 鍵となるのは、トレーニングセッション間でしっかりと回復させながら漸進させ続けていくためにバランスをとることです。私は未だに、HIITのみでこのバランスをとることに成功した人物に出会ったことがありません。 行動: もし現在高強度インターバルトレーニング以外何も行っていないのであれば、それらを削減し、まず下記の2つの方法を加えることから始めてください。たとえトレーニングで常に死にそうな感覚がなくても、突然コンディションが改善され始めることに驚くことを約束します。 心拍出量 (Cardiac Output) 心拍数 130-150 30-90 分 自重や低負荷のエクササイズをサーキット形式で行う テンポインターバル (Tempo Intervals) 最大努力の70%のレベルで 8-10 秒ワーク後、60 秒のレスト(レスト中にできるだけ心拍数を低下させる) 8-16 反復 ランニング、バイキング、スイミング

ジョール・ジェイミソン 2818字