究極のコンディショニングガイド パート2/2

8つの基本的なコンディショニングの原則(続き) 高強度&低強度を使う ここ数年間、“痛みなくして得るものなし”の教義が、カルト的に盛り上がっているようです。これに平行して、強度が高ければ高いほど良いという考え方が出てきました。 反対に、低強度メソッドは評判が悪くなっていきました。高強度を使い、半分の時間で同じ効果を得る事ができるなら、なぜ“低負荷、低速度”でトレーニングするのでしょうか? 高強度、低強度のどちらも使うタイミングと場所があるというのが真実です。 どちらの方法も使用するべきであるだけでなく、高強度と低強度の方法を組織化する方法もまた重要になります。 例えば、低強度トレーニングは、かなり疲れる高強度の日の後の神経系システムの回復を助けてくれますが、それのみをトレーニング手段として使用してしまうと、オーバーユーズ障害を引き起こし、更なる向上の妨げにもなりかねません。 同様に、高強度のトレーニングでは、コンディションを向上させ、無酸素パワーの貯蔵量を増加するために十分な刺激を与える事ができますが、常にそればかりを使用すると、オーバートレーニングになり、パフォーマンスを低下させることもあります。 私は、ロードワーク2.0のような記事や、自書アルティメットMMAコンディショニングによって低強度の方法を再び話題にした者として知られていますが、本当は、どんなスポーツでもストレングス、パワー、持久力のバランスが必要であり、複数のレベルの強度が必要になるのです。 ここ数年、低強度により多くの注目を寄せているのは、単に低強度トレーニングが最も非難を浴びているからです。 後進的に聞こえるかもしれませんが、誰かに持続可能なトレーニングと長期的計画性の重要性を納得させることは、なんとしてでもワークアウトを終了するように盛り上げることよりも難しいことなのです。 ポイントとなるケース:クロスフィットの流行 常に高強度のトレーニングを数ヶ月以上続けると、必然的にプラトーに到達するか、遅かれ早かれ傷害に繋がってしまうため、幸運なことに、この波は後退し、よりバランスのとれたアプローチになってきているようです。 より賢く、より理にかなったトレーニングのアプローチとは、様々な強度を時間をかけて賢く使用し、徐々に身体を壊してしまうことなく強化していくことなのです。 健康でいること まず何よりも、傷害予防の鍵となるのは、多面的なアプローチをすることでそれを達成できるということを理解することです。 フォームローリング、ストレッチ、徒手療法、修正エクササイズなどはどれも重要なパズルのピースの一つですが、全般的なストレス管理、トレーニングのモニタリング、良質な栄養プログラム、十分な睡眠などの価値は、健康でいることと傷害予防に関して言い過ぎることはないでしょう。 傷害予防には本当にこの2つのことが重要ですーすべてを正しい考え方で始め、身体を理解することです。身体がどのようにトレーニング、睡眠、栄養、精神的ストレス、遠征などに反応するのかに注意を払うことで、身体を理解することになります。 すべてのアスリートは、これらの要素を記録し、詳細なトレーニング日誌を時間をかけてつけ続けるべきです。 考え方についてもっとも大きなものは、“より多いことが常に良い”という、かなり多くのアスリートのトレーニングプログラムにこびり付きすぎている考え方を避けることです。適量で十分であり、それを超過した量は、有益というよりむしろ有害になることがほとんどです。 では、“適量”とは正確にどれくらいなのかをどのように知るのでしょうか? それでは、次に話す原則から始めます:モニターし管理する。 モニター&管理 今日、着用可能な機器技術が安価で手に入れやすくなり、急速に広まったため、プログラムをより効果的にするためにすべてのアスリートが自分たちをモニターすることが可能になってきています。 心拍モニター、心拍変動、活動追跡機、GPS、PUSHバンドなどのおかげで、身体について理解し、個人に特化したプログラムを作成するために使用できる不変的なバイドフィードバックをモニターし、管理し、収集することが以前よりも簡易になりました。 この種の技術が機能するためには、2つの真に重要な鍵があります: 最初に、何から何まですべてモニターすることから始めてはいけません。どうするべきかわからない程のデータを収集することは、何よりも更なる混乱へと導きます。時間をかけて、より多くの道具をモニタリングツールボックスに組み入れることができますが、簡単なものから始めましょう。 1つのモニタリングツールを始めたいのであれば、バイオフォースHRVのような心拍変動が始めるのに最も適しています。というのも、それは“トレーニングへのレディネス”を計測し、トレーニングから栄養、睡眠まですべて野影響を1つの数字で正確に計測するのに役立つからです。 そこから、次に追加するツールは、トレーニングセッションの量、強度、ストレスを正確に計測できるものが良いでしょう。PUSHバンドとポーラーRS300のような心拍モニターは、このカテゴリーにおける最良の2つの製品です。 心拍モニターは、すべての心臓血管系のトレーニングの効果を正確に計測できますし、ストレングストレーニングに関しては、PUSHバンドで同じことが言えます。 この種の技術を機能させるための2つ目の鍵は、実際にそれを使い始めることです。 目的地への到達をサポートしてくれるGPSを使用しなければ、全国横断できないのと同じように、実際にいつ結果が現れるのかを思案しながら、毎日漠然とプログラムを行う必要はありません。 チームでも個人でも、多くのデータを収集しているにも関わらず、実際にそれを利用できていないことが多すぎます。費用と時間をかけてデータを収集するのであれば、それを実際に利用することで、結果を向上させたほうがよいでしょう。 ほとんどのトレーニングプログラムで行われている憶測の量を減らすことで、モニタリングと管理戦略が効果的に機能するはずです。今日するべきことを推測する、あるいは、本当に向上するのかどうか迷ったりするべきではありません。 目的地への到達をサポートしてくれるGPSを使用しなければ、全国横断できないのと同じように、実際に結果が現れる時を思案しながら、毎日漠然とプログラムを行う必要はありません。 今あなたがするべきことはこれです。 15年以上、私が上記に記した原則に従うのみで、それ以上のことはせず、すべてのレベルのアスリートのコンディショニングを向上させる手伝いをしてきました。 コンディショニングに関して言えば、魔法の公式も、極秘のエクササイズも、魔法の薬もありません。ただ、これらは本当に必要ではないということが真実です。なぜなら、私が上記に記したアウトラインに沿えば、基本は信じられないくらい効果的なのです。 時間をかけて、ご自身のプログラムに何が足りていないのかを評価してみてください。 あなたが準備する必要のある特別な要求を本当に理解していますか? あなたが使っている方法は確かな科学に基づいていて、身体を正しい方向に適応させていますか? 現在、HRVのような最新技術の有利性を活かして、推測を無くし時間を無駄にしないようにしていますか? これらの質問のどれかに対する答えがいいえであれば、一歩ずつプログラムを変えることから始めてみましょう。コンディショニングを妨げている原因を見つけ、それを改善するために必要なことから変えていきましょう。 目的や能力に関係なく、コンディショニングは改善できることに疑いは無く、この記事の中で記してきた簡単な原則に従うだけで、素早く改善することができます。 さあ、仕事に取りかかる時間です。

ジョール・ジェイミソン 3374字

システム論的視点からの慢性疼痛 パート1/4

慢性疼痛は複雑で紛らわしい問題です。 ケガと深く関わる急性疼痛とは異なり、慢性疼痛は組織の損傷とは無関係なことが多く、睡眠や気分、思考、感情など多様な要因によって誘発されるようです。また慢性疼痛は、肥満症や不安症、うつ病、過敏性腸症候群などほかの健康問題と関連しています。 システム理論について学ぶことにより、慢性疼痛の複雑さと、その他の多症状障害との関連性をより深く理解することができるでしょう。私は最近、システム論的視点から疼痛とストレスについて議論した素晴らしい論文を2点見つけました。これらのリンクでこれら論文の全文を読むことができます。ここ & ここ 基本的な考え方は、ケガに対する防御反応を調整する“スーパーシステム”が調整異常となり慢性疼痛が引き起こされるということです。スーパーシステムは、さまざまなサブシステム、とりわけ神経系、免疫系、内分泌系などの動的相互作用に起因しています。 次に、このシステム論的視点からの慢性疼痛について学べることを簡潔かつ詳細に記述します。何より重要なことは、この慢性腰痛に対して私たちに何ができるかです。 まず、ちょっとした警告として、この論文はやや長めです。しかし、私がこれまで書いた中で最も有意義な記事のひとつと言えます。要点を解説するためにたくさんの写真やぴったりの例を挙げています。ですので、コーヒーでも用意して、人間の健康に関わるあらゆることについて深く理解することができるこの興味深い概念を学んでみましょう。 複雑適応系の定義 体系とは、ひとつの統一体を作るために相互に影響を及ぼし合う要素の集合体です。 複雑系は、相互に作用し合う複数の要素で構成され、それは個々の要素の行動の総和より更に複雑な集団的行動を生み出します。たとえば、経済や生態、気象、交通量、鳥の群れ、魚の群れ、個々の作用因子などの行動は単純ですが、これらが相互に作用し合うことにより、とても複雑にもかかわらず秩序立ったパターンを作り出します。 生命体のような複雑適応系は、環境に反応するだけではなく、目的を持ち主体的に行動するものです。よって、複雑適応系は、ある程度の作用や知性を持っています。 ハチの巣や昆虫社会、免疫系を例にとると、それぞれの場合、一つ一つの個体にはその体系の単純な挙動パターンにロボットのように従う役割がありますが、相互作用によって高い知性と適合性を持つ集団行動を生みます。 知性が体系の個々の要素から生じるのでなければ、この知性はどこから発生するのでしょうか? 中枢制御の出現と欠如 単体系の行動は、中枢コントローラーによって支配されています。たとえば、住宅暖房システムではサーモスタットがヒーターのオンやオフを制御します。 複雑系では、特定の領域で制御されているわけではありませんが、あらゆる異なった部分の複雑な相互作用から制御されます。たとえば、シロアリの巣は、信じられないほど洗練された建築プロジェクトですが、この建築方法を知っているシロアリは1匹もいません。そうではなく、個々の単純な行動のアルゴリズムに従って行動します。 シロアリは、ガウディがいなくても彼らのバージョンのサグラダファミリアを建てることができるのです。 これは、人間の知性の本質に関するダニエル・デネットの見方を思い起こさせます:知性が脳内のどの領域に存在するのかは特定できません。認識のための魔法のパワーや知覚データを受信するホムンクルスが組み込まれた“万能組織”が脳にあるわけではないのです。そうではなく、細菌よりとりわけ賢いわけでもない数十億の小さな細胞における複合体相互作用によって認識は発生するのです。 同様に、痛みの警報システムを調整する知性は、必ずしも神経系に収まっているとは限りません。そうではなく、免疫系や内分泌系など身体の他体系と神経系との相互作用から発生します。痛みを生み出す知性は、身体をはじめ脳の全領域に広く分布しているので、誰かを直ちに痛みから解放してあげられるような中枢制御スイッチはないのです。ですから、体系の全体としての行動を変える必要があります。 ネスト化(入れ子構造) 複雑適応系は、入れ子構造になっています。つまり、それはサブシステムで構成され、それらはさらに小さなサブシステムで構成され、またそれらはそれぞれのサブシステムを持つといったように続きます。たとえば、神経系は、脳や脊髄、末梢神経で構成されていて、これらはそれぞれ異なるタイプの細胞で構成されています。 各々のサブシステムはさまざまなレベルの作用や知性を持っています。たとえば、一つの神経細胞は、隣接するどの神経細胞とシナプスで連結するか、ある意味“決める”ことができます。シロアリが掘る場所を決められるように。 入れ子状になった体系における分類体系のさまざまな階層に注目してみましょう。複雑系のそれぞれの階層にクローズアップしたりズームアウトしてみます。全体の中のごく一部の行動について考察することは、それが単に一部の行動に過ぎないことを念頭に置いておけば、還元主義的でも欺瞞でもありません。 多くの場合、この層ばかり治療されています。 では、痛みの原因を調べる際、仮に侵害受容器に焦点を当てるとします。これらは、痛みの警告スーパーシステムの中でも比較的賢くないロボットのような小さいサブシステムですが、ある程度の知性があり、特定の危険を脳へ報告するかどうか“決める”ことができます。局部的な炎症や過敏性を抑えるために非ステロイド性抗炎症薬を服用することにより、この意志決定行動を変えることができます。 脊髄後角は、もっと動く部分のある複雑なサブシステムですから、より知性と作用があると言えます。ここで侵害受容性シグナルを末梢から受け取り、それから脳へ伝達するか決定します。末梢神経のように、脊髄後角の感度も調整することができます。たとえば、脳は下降調整することで脊髄後角の感度を下げることができるのです。 脳のような上位の階層であるスーパーシステムを見てみると、痛みに対する制御と知性はかなりの高位階層であることに気がつきます。知性が特定の領域に存在するのではなく、素晴らしく複雑に絡み合った連携網にあるという理由から、変化を生み出す際に、単純にスイッチをオンオフするということはありえません。そこで、なぜ複雑系はその行動を変化させるのか?という問いかけに導かれるかもしれません。

トッド・ハーグローブ 2734字

究極のコンディショニングガイド パート1/2

世界中の様々なスポーツのトップアスリートたちと15年以上一緒に仕事をしてきた経験から抽出された8つの基本的なコンディショニングの原則があります。 そのスポーツの要求を知ること これは単純に思えますが、かなり多くの人がそれぞれのスポーツにおいて間違ったエネルギーシステム(このことについては、#5で詳細に話します)のトレーニングに焦点を当てていることには驚かされます。そのスポーツが身体に課す特別な要求はなんでしょうか? それは、主に短時間で爆発的に出力するものか、または、小さなパワーをより長い時間かけて出力するものか、それとも、その両方でしょうか? すべての原則のなかで最初の最も重要なものは、そのスポーツ、または、特定の目的の要求するエネルギーシステムを完全に理解することから始めなければならないということです。 ここにヒントがあります:そのスポーツにおいて60秒以上の活動があるのであれば、それは有酸素の要素を多くもっていることになるでしょう。 すべての原則のなかで最初の最も重要なものは、そのスポーツ、または、目的の要求するエネルギーシステムを完全に理解することから始めるべきだということです。 言い換えれば、格闘家で5分間3ラウンドの準備をするのであれば、なぜ8-10ラウンドのスパーリングを続けてするのでしょうか?8-10ラウンド行いたいのであれば、まず5分間3ラウンドのトレーニングを行い、10-15分、あるいはそれ以上の休息をおいて、また3ラウンドを行うというようなものが、より適した方法でしょう。 総エネルギー必要量と、そのスポーツの環境を完全に理解し、そしてそれに合わせた身体の準備を行えば、さらに大きなトレーニング効果を得られるでしょう。 そのスポーツがなにを要求しているのかを理解すれば、どこを向上させる必要があるのか判別することができます。これが次のポイント2に導いてくれます。 弱点を評価する 私たちは自分たちの優れているところを強化することを好みますが、それではバランスのとれたコンディショニング全体を考慮していることにはなりません。彼らは自分たちのすでに得意なところのトレーニングのみに時間を費やし、最も苦手としている部分を無視してしまうがために、長年成長できていないアスリートがあまりにも多く存在するのです。 これは、厳しいけれど、賢くないトレーニングの為の素晴らしいレシピになってしまいます。 フィットネスを評価することは、非常に重要であり、そのスポーツの範疇における弱点を理解し最小化することができます。 繰り返しになりますが、そのスポーツが要求するものを集中的にトレーニングするべきであり、評価で持久力欠如が見つかったとしても、砲丸投げのトレーニングをしているのであれば、長距離のランニングをすることには、意味がありません。 評価はどのようなものであるべきか? それぞれのスポーツによって異なる、というのが答えになります。しかし、心にとめておく最も重要なことの1つは、その評価がそのスポーツのパフォーマンスに関連がある、あるいは、目標と相関があるべきだということです。結果が現実世界のパフォーマンスと全く関連しなければ、すべてのテストも評価も意味はないのです。 トレーニングプログラムに従う 行きたい場所への計画図なしに、盲目的に進めていくことは時間の無駄です。トレーニングし、望んでいる結果を得るための、はるかに効果的な方法があります。 トレーニングは組織化されるべきであり、そうすることで、それぞれのワークアウトの利点が時間と共に積み重なっていきます。つまり、日々のワークアウトの裏にある理論的根拠と、それがより大きな全体像においていかに適合しているのかを、ジムに行く前に明確に定義するべきであるということです。 ただジムに行き、一生懸命トレーニングして、結果がでることを期待しているだけでは決して十分ではありません。それはまるで、株式市場にお金をやみくもにつぎ込み、ただ投資をしているというだけで、大きな見返りを期待しているようなものです。 成功するには、知的なアプローチをするべきで、お金を増やしたいのであれば、賢くお金を投資する必要があるように、あなたが本当にコンディションを向上させたいのであれば、賢く時間を使う必要があるのです。 どこかの誰かがオンラインにアップしている“すべての人に適した”トレーニングを使用することは、決して最も効果的なトレーニング方法ではありません(そして、多くの場合、危険です)。あなたのプログラムは、シーズンや、身体的制限、傷害歴などを含め、あなたの目的に特異的であるべきなのです。 要するに、あなたのために設計されているプランを立てることです。 方法と目的が合致する 単純な真実です:すべての方法が平等に作られているわけではない。 かなり多くの人達が、プログラムを設計する過程を、エクササイズを選ぶことのように考えていて、エクササイズの魔法のコンビネーションさえあれば、全て上手くいくかのように考えているようです。 しかし、真実としては、エクササイズとは正しく適応されたときにだけ効果的であり、だから、トレーニング方法が有用になるのです。 方法とは、エクササイズをどのように行うべきなのかを定義しており、それはつまり、最終的にそれらが産み出す効果を決定づけます。 パフォーマンスの目的、能力、使用できる道具などにもよりますが、あなたが達成したい目的に対して最も適した方法があると同時に、単純に適していない方法があるのです。 そのトレーニング方法がどのようなものなのか、それが何を変化させるのか、身体がどのように反応するのか、トレーニングプログラムの中にどのように適合するのかなどについて理解するところから始めるべきです。 それだけではなく、これらの方法はどのトレーニング時期であるかによって変化させるべきです。 動きを改善する フィットネス業界ではここ数年の間、基礎的にしっかりとした動きの重要性というものがかなり高まってきています。ほぼ一夜にして、“ファンクショナルトレーニング”という言葉が業界に席巻し始めたようです。 様々な意味で、強調されることが変化したことで、悪いことよりも良いことに繋がったことは疑いありませんが、現実世界におけるパフォーマンスやコンディショニングに移行できない動きの部分に焦点を当てる傾向もあります。 つまり、負荷のない自重での動きを改善するために評価し、トレーニングすることは確かに意味があり、よいフィードバックもありますが、動きの質はまた、高負荷で、疲労度の高い状態で、実際のスポーツの動きの中で評価される必要があります。 すべての動きにおいて、より基本的に正しく、効率的であることがコンディションを改善させることには疑いはありませんが、それらの動きについて最も重要なことは、その動きが実際のスポーツのなかで行われるのかということなのです。 つまり、幅広く一般的な動きのパターンだけでなく、スポーツや目的に本質的に特化した動きを含んだ動きの評価をするべきだということです。 これがもう一つの大きなヒントであり、今後の記事でより多く語ろうとしていること:疲労状態での身体の動きはトレーニング可能である。疲労した状態へ身体を追い込むことは、メンタルタフネスの挑戦だけではなく、むしろ身体が疲労にどのように反応するのかを再検討する機会を与えてくれると考えるべきです。 これはつまり、真の“ファンクショナルトレーニング”とは何なのか、あるいは、少なくともどうあるべきかということになります。

ジョール・ジェイミソン 3315字

スプリントのためのプライオメトリックトレーニング パート2/2

メタ分析 趣味としてトレーニングを行うアスリート 序論 プライオメトリックスは、スプリント速度を向上するために広く調査されているため、様々な研究のメタ分析が可能である。ルンプおよびその他(2014年)は、趣味としてのアスリートにおける、スプリントパフォーマンス向上のための異なるトレーニング方法の影響に関し、メタ分析を行った。最初に彼らは、トレーニング方法を特異(スプリントもしくはレジステッドスプリント)、および非特異(プライオメトリック、レジスタンストレーニング、及びバリスティックトレーニング)へと分類した。彼らは、この集団において、スプリント速度を向上するために、特異および非特異両方のトレーニングは同様に効果的であったということを発見している。さらに彼らは、プライオメトリックスは(レジスタンストレーニングやバリスティックトレーニングを含む)全ての非特異な方法の中でも最も効果的であったということを発見している。さらに、サエス・ヴィラリアルおよびその他(2012年b)は、プライオメトリックトレーニングの効果を評価するメタ分析を行ったが、この調査はトレーニングされていない個人とトレーニングされた個人の両方において行われており、トレーニングされた被験者およびアスリートに対するサブグループ分析が報告されていなかった。また、トレーニング経験の程度は、研究者により正式に調査されておらず、結果の不均一性に貢献していた。ゆえに、アスリートのためにこれらの研究結果から強い結論を引き出すには慎重である必要がある。とはいえ、このメタ分析において、下記に提示してあるように、サエス・ヴィラリアルおよびその他(2012年b)は、趣味としてトレーニングを行うアスリートに関連する可能性のある、いくつかの興味深い研究結果を報告している。 プライオメトリックスの影響 最初にサエス・ヴィラリアルおよびその他(2012年b)は、プライオメトリックスは、トレーニングされている個人、およびされていない個人の両方において、確かにスプリントパフォーマンスを向上するという結論を出した。サブグループ分析の実行も、含まれていた被験者の経験のレベルから生じた異質性の分析も無かったが、趣味としてトレーニングを行うアスリートにおける影響は、より具体的なアスレチック集団において、より明確に定義されたメタ分析である他の入手可能な文献の総説から確認することができる。(例:ルンプおよびその他、2014年)プライオメトリックスと他の方法の間の比較は下記において論じられている。 プライオメトリックスの用量反応 次にサエス・ヴィラリアルおよびその他(2012年b)は、トレーニングされている、およびされていない個人の両方において、スプリント能力を向上するためにプライオメトリックスを使用することは用量反応であるという結論に至り、過不足がある場合と比較し、適正な用量も適用することは、より有意に優れていると提議した。彼らは、2週間でおおよそ3回のセッション、1セッションにつき80回以上のジャンプが最適な用量であると提議している。これらの研究結果は、臨床試験によりある程度支持されている。これもまたトレーニングされていない被験者のみにおいて行われてはいたが(サエス・ヴィラリアルおよびその他、2008年)、1週間に2セッション、1セッションにつき60回のジャンプが最適な量であると発見されていた。これらの発見は、幅広い対象者全般に確固としているように見えるが、趣味としてトレーニングを行う成人に関しての正確な用量反応は明確ではない。 プライオメトリックスの際のエクササイズ選択 3番目にサエス・ヴィラリアルおよびその他(2012年b)は、トレーニングされている個人、およびされていない個人の両方において、プライオメトリックスの際のエクササイズ選択は重要であると結論付けた。特に彼らは、様々な異なるプライオメトリックス、もしくは単にスクワットジャンプおよびドロップジャンプの組み合わせのどちらかを使用することは、単独のスクワットジャンプもしくはドロップジャンプのみの使用と比較し、より大きな影響を及ぼすということを発見している。これに対する正確な理由は明確ではないが、それぞれのエクササイズ選択によりトレーニングされる質の差違と関係があるかもしれない。さらに、趣味としてトレーニングを行うアスリートにおいても同様の影響が観察されるかどうかは明確ではない。 高度にトレーニングされたアスリート 上記のようにメタ分析は、プライオメトリックスは、趣味としてトレーニングを行うアスリートにおいて、明確にスプリント能力を向上することが可能であるということを報告している。高度にトレーニングされたアスリートにおいては明確さに欠ける。ルンプおよびその他(2014年)は、高度にトレーニングされたアスリートにおける、スプリントパフォーマンスに対する様々なトレーニングタイプの影響に関し、メタ分析を行った。最初に彼らはトレーニング方法を、特異(スプリントもしくはレジステッドスプリント)および非特異(プライオメトリックス、レジスタンストレーニング、そしてバリスティックトレーニング)に分類した。彼らは、特異および非特異な両方のトレーニング方法は効果的であるということを発見している。しかし彼らは、趣味としてトレーニングを行うアスリートと比較し、高度にトレーニングされたアスリートに対しては、プライオメトリックスのような非特異な方法は効果が低く、(スプリントもしくはレジステッドスプリントのような)より特異な方法の方がより良いということを記述している。彼らは、高度にトレーニングされたアスリートにおいては、既に筋力、パワー共に発達した基板を持ち、これは、追加のプライオメトリックスにより更に向上しなかったことに起因している可能性があると示唆している。 アスリートにおけるプライオメトリックスのスプリント速度への影響 研究選択基準 集団 – 趣味としてトレーニングを行う、もしくは高度にトレーニングされた成人アスリート 介入 – プライオメトリックス 比較 – ベースライン、ノーマルトレーニングコントロール、ノートレーニングコントロール 結果 – 100m以下の距離におけるスプリントパフォーマンス 結果 以下の研究が選択基準に適合していると確認された:ウィルソン(1993年)、ワグナー(1997年)、リマー(2000年)、キメラ(2004年)、ムーア(2005年)レイメント(2006年)、ドッド(2007年)、インペリゼリ(2008年)、トーマス(2009年)、シェリー(2010a年)、セダーノ(2011年)、アラジ(2011年)、ナカムラ(2012年)、ロッキー(2012年)、シェリー(2014年)、ブリット(2014年)。これらの研究のほとんどは、プライオメトリックスは、アスリートにおけるスプリントパフォーマンスを向上するということを発見している。使用されたプライオメトリックスの種類は、従来のデプスジャンプからハードルジャンプおよび標準のカウンタームーブメントジャンプにまで及んでいた。

ストレングス・コンディショニング・リサーチ 4006字

スプリントのためのプライオメトリックトレーニング パート1/2

目的 この記事は、趣味としてトレーニングを行う、もしくは高度にトレーニングを行う成人アスリートのいずれかにおいて、プライオメトリックスは、スプリントスピードを向上するためにどの程度効果的であるかということを提示している。 背景 序論 スプリントとの関連において、プライオメトリックスは、伸張・短縮サイクルを含む爆発的な下半身の複合動作である(マルコヴィッチおよびミクリック2010年による論説を参照)。それらは常に一般的に無負荷もしくは非常に低い負荷にて行われており、そこがバリスティックレジスタンストレーニングとの相違点である。周知のように、「プライオメトリックス」という言葉は最初、ロシアのジャンプコーチ、ベルコシャンスキーにより広められた。ベルコシャンスキーは、ジャンプ練習とレジスタンストレーニングから成る当時の標準の方法を使用し、既に有意な成果を得たアスリートのジャンプ能力を向上する方法を探究したいと考えた。ベルコシャンスキーは、短い接地時間と、三段跳びにおけるよりよいパフォーマンスとの間に相関関係があるらしいことから、これは、より高い剛性(もしくは、弾性エネルギーを貯蔵し、放出するより優れた能力)は、ジャンプ能力を向上するための鍵であり得ると示唆している可能性があると結論付けた。ゆえに彼は、エキセントリック筋収縮動作からコンセントリック筋収縮動作へのより早い切り替えができる能力を向上し、接地時間を短縮するために(ファッキオーニ2001年による論説を参照)、彼らのアスリートに対しデプスジャンプの使用を開始した。 幾人かのコーチたちは未だこのような観点からプライオメトリックスを考えているが、現代の文献における使用のされ方は大幅に変化し、その意味はいくらか広がっている。 動作のメカニズム 序論 スプリントは、エキセントリックおよびコンセントリック筋収縮動作を含んでいるため、ランニングの際の最大力を生成する能力もまた、伸張・短縮サイクルおよび下半身の剛性の作用に依存している。多くの場合、そのようなプライオメトリックスは、筋力とパワー、もしくはその他関連のある筋力の高速表現の質を橋渡しするための鍵であると述べられている(例として、マクリーニー、2005年による論説を参照)が、これがどのように正確に介在しているのかは明確ではない。それはベルコシャンスキーが予測したように、剛性の変化により介在しているのかもしれない。あるいは、高速エキセントリックおよびコンセントリック筋収縮の際の、弾性エネルギーを貯蔵、放出するための能力の向上を引き起こす、他の生理的な適応が起こるのかもしれない。 速度および加速度の影響 スプリントの速度、およびアスリートが加速しているか否かが、弾性エネルギーの貯蔵および・もしくは剛性の程度に影響を及ぼす可能性があるということは、スプリントパフォーマンスにとって重要なことである。速度に関しカヴァーニャ(2006年)は、スプリントの遊脚相終期における、股関節伸筋、および膝関節屈筋の伸張速度の増加は、速度の上昇と共に増加するということを発見している。これは、筋腱単位の弾性要素は、より速いランニング速度において力生成により貢献すると示唆している。ゆえに弾性エネルギー貯蔵の向上を助けるトレーニング方法は、低速に比べ、高速において、よりいっそうスプリントパフォーマンスの向上を助ける可能性があると期待できるかもしれない。さらにロバート(2002年)は、いくつかの動物実験が、一定の速度でのランニングの際、腱が順次に大幅に長さを変化させている間、筋肉はわずかに長さを変えるが、大体が等尺性に収縮していると報告しているということを発見している。これは、コンセントリック収縮において筋肉が大幅に短縮する加速走とは大きく異なっており、筋腱単位の弾性要素は、加速スプリントと比較し、一定速度のスプリントにおいてより力生成に貢献するということを示唆している。ゆえに、弾性エネルギー貯蔵を向上することを助長するトレーニング方法は、加速スプリントの際と比較し、最大速度スプリントの際によりいっそうスプリントパフォーマンスを向上する助けになる可能性があると期待できるかもしれない。 ドロップジャンプの有益な影響 プライオメトリックスが効果的である方法のメカニズムに関する現在の理解から、プライオメトリックスは最大速度スプリントに対し最も効果的であろうということを前提とすると、ある研究が、ドロップジャンプの高さは、様々な水平および垂直ジャンプテストの中においても、最大スプリント速度を予測する最も効果的な方法であると報告している(ビサスおよびハーヴェネティス、2008年、ケールおよびその他、2009年、マッカデイおよびその他、2010年)のは、興味深いことである。ドロップジャンプは、剛性の増加により、弾性エネルギー貯蔵を増幅し、反応性の高い筋力を向上する最も効果的な方法であると信じられている。バランスのために、他のある研究が、ドロップジャンプのパフォーマンスはスプリントパフォーマンスと強い相関関係があるわけではないということを発見している(例:サライおよびマルコヴィッチ、2011年)ということに留意することは重要なことである。またいくつかの研究は、水平ジャンプはスプリントパフォーマンスと高い相関関係があり(例:ホルムおよびその他、2008年、ハドギンスおよびその他、2012年)、垂直跳びと比較し、スプリント能力のよりよい予測因子である(例:マウルダーおよびクローニン、2005年、メイランおよびその他、2009年、ハビビおよびその他、2010年、ロビンズ、2012年、ロビンズおよびヤング、2012年)ということを発見していることも注目すべきことである。全体的には、ドロップジャンプは、接地時のエキセントリック段階において貯蔵されるエネルギーの量の増加により、最大スプリント速度を上昇させるために効果的なトレーニング方法であるようである。

ストレングス・コンディショニング・リサーチ 2515字

伝統 パート1/2

伝統はもはや役に立たない。そうです。そう言いました。 伝統は、独立した持続可能な文化を築けない場合、役に立たなくなります。 革新は伝統の敵ではありません。実際、伝統は革新するための安定した基盤を提供してくれます。また、伝統は、探究心を刺激する知識を与えてくれます。 まず、 “私たちは目標位置に立てているのか?”と自問してみます。伝統的な道をたどっていて、伝統的な方法を開発していないのであれば、あなたは今分岐点に来ています。進歩させてくれない伝統をとがめますか? それとも、伝統的な方法に対応し適応できないあなた自身を責めますか? これは、生物または環境を表すしゃれた言い方です。 特定の人たちや集団にはもはや有効でない伝統を保存するのか、それとも変化していく環境のニーズに伝統が合わなくなるかのどちらかです。 伝統をどう分析するのでしょうか? 文化をどう分析するのでしょうか? 西洋ではテストを行います・・・たいていの場合、それが間違いの元になのですが。 西洋におけるヘルスケアで私たちが行う対策のほとんどは、長生きすることに焦点を合わせます。つまり、生きていくことに喜びや貢献の意欲を持ち続けている高齢者に社会との繋がりを持たせ活動的にすることです。 では、伝統的にこの水準を満たしている文化を研究してみてはどうでしょうか?西洋モデルでは、病人の研究ばかりで健人の研究はされていません。なぜならその方が簡単ですし、西洋モデルでは病気や症状がない状態に着目してしまうからです。 私たちのシステムは、病気や疾病、障害に対する恐怖の上に築かれています。本来の健康モデルは、長寿で活動的な営みのある生活に焦点を当てるべきです。西洋の伝統は、要は快適さと便利さがすべてなのです。そしてその結果がこれです。 世界地図の青いゾーンは、百歳以上の人が珍しくない地域です。これらの人口分布から気づく幾つかの点があります: 家族との繋がりが深い。 ダイエットをしない。 エクササイズをしない。 食べ物の選択は、文化に根差しており、彼らの活動量は健康と体調を維持できるレベルです。彼らは活動的であり忙しく生活しています。(私たちが考えているような)フィットネスの習慣はありません。 私たちがダイエットやエクササイズに取り憑かれている傍ら、どうすれば、このようなたくましい百歳が生活できる文化を取り入れることができるでしょうか? パレオダイエットが再発見されたとき、数千ものブログで「パレオとは何か?」や「パレオではないダイエットとは何か?」について意見が交わされました。ひとつ私が言えることは、パレオは、毎日3回の肉中心の食事ではないということです。パレオ的狩猟採集民は、通常断食から満腹へを行き来します。断食/満腹をしっかり理解したいのであれば、オリ・ホフメクラーのウォリアーダイエットを調べてみてください。 パレオ式ダイエットが悪いと言っているのではありませんが、重要なのは除外であって、必ずしも包含ではないということです。しかし、西洋文化は抜け道を見つけます。弁護士が憲法の抜け穴を探し、学生が勉強しないで試験に合格する方法を模索するように。 教師達も大したことはありませんが、彼らの批判に飛びつくのはやめておきましょう。かつて教えることの焦点は、学習の向上と問題解決スキルを身につけることでした。残念ながら現在の環境下では、多くの場合、“学習水準”テスト(そうです、バージニア州ではSOLsと呼ばれています)があるために、先生は単にテストのためだけに教えることを強いられます。本当の意味での問題解決や批判的思考に専念する時間はほとんどありません。 フィットネスも同様です。私たちは、フィットネスにおけるバイオマーカーを定め、そして、そのバイオマーカーを達成できるように、それまでのプログラムを完全にひっくり返してしまうのです。例を挙げてみましょう: もし、サイドプランクで左右等しく45秒間完全に静止できなければ、体幹が減弱しているか、またはバランス不良と考えられます、という最新の研究を発表したとします。そうなると、フィットネス業界とアスレチック産業のお決まりの反応として、エクササイズに45秒間のプランクを取り入れるようになるでしょう。 ここで自問しなくてはなりません:この無作為なサイドプランクの実施時間は、問題そのものや問題の原因と関連しているのかどうか? 握力に関連する統計を見てみましょう。握力は信じられないほど体力全体を反映しています。そして、生涯を通しての体力を予測するよい指標です。高齢の入院患者のうち握力の強い方がより早く退院するという研究もありました。 握力はバイオマーカーでしょうか? もちろんそうです。これは、良いことに関連するバイオマーカーのようです。では、だからといって早速、握力強化を図る必要があるということでしょうか? 違います。整った身体を維持する生活習慣こそが、首や肩、肘、手首、手を健康に保ち、握力の強化を促進するような姿勢を保つのです。 握力の問題は、単に手や前腕の筋群にとどまる問題ではありません。握力測定器を使ってひどく悪い姿勢やポジションで測定すれば、誰の握力にも影響を及ぼします。試しにやってみてください。握力は、環境に対して本質的に自立的に持続性のある関わり合いやつながりを持っているかどうかを見極めるバイオマーカーのようです。

ファンクショナルムーブメントシステムズ 2320字

フォームローリングの効果 パート3/3

6. フォームローリングは広汎性侵害抑制調節に効果があるのか? (続き) 痛みの専門家であるロリマー•モズリーは下降性調節とDNICは脳にとって、末梢がある特定の刺激によってもたらされる危険を“勘ぐる”方法であると見なしています。例えば、もしも末梢が特定の部位に大量の機械的脅威があるという情報を伝達したら、実際末梢に何が起きているかさらに豊富な情報にアクセスできる脳が、その問題はあまり深刻ではないと判断するかもしれず、そのために脳への侵害受容信号の伝達の抑制します。 線維筋痛、過敏性腸症候群、そして顎関節症などの多くの慢性痛はDNICメカニズムの不全に関係した特徴があることを証明する重要な研究があります。 痛みの抑制というDNICの有効性は、反対刺激は鎮痛作用があるという期待に大きく依存しています。この興味深い研究のなかで、研究者達は被験者の手を氷水の中に浸し、電気刺激で腓腹神経にショックを与え、そして本人の痛みのレベル報告に加えて脊柱の侵害受容活動レベルを計測しました。重要なのは、被験者は2つのグループに分けられたことです。最初のグループは “鎮痛グループ”と呼ばれ、氷水に浸すことが電気ショックの痛みを軽減させると教えられました。もう1つのグループは“痛覚過敏グループ”と呼ばれ全く逆の話をされました –氷水への浸水は脚の痛みを悪化させると。 鎮痛グループは、ほとんど痛みや脊髄の侵害受容活動に変化のなかった痛覚過敏グループに比べ、77%痛みの軽減を報告し、脊髄の侵害受容活動の低下も報告しました。言い換えれば、緩和の期待はDNICが機能するか否かを決定する非常に大きな要素だったということです。 ではこれらをまとめてみましょう。DNICはパワフルではありますが、別の部位に痛みを起こすことによって1つの部位の痛みを軽減する一時的な方法です。身体からの危険信号を無視する脳からの判断に依存しています。不快な刺激からの効果の期待が重要な役割を担っているのです。 フォームローリングには、その主要な効果はDNICを作り出すことによって起こるという仮説に合致するいくつかの側面があります。フォームローリングのルールその1は、痛みのあるポイントを見つけて、しばらくそのポイントでキープするということ。いくらかの痛みを作る必要があるのです。もちろんその痛みはたいてい、不快感が何かしらの形でプラスになるという脳の判断と一致するタイプの感覚となる “良い痛み”であり、それがDNICを促すのです。 フォームローリングは圧がかかる範囲だけではなく、他の範囲も同様に痛みの緩和を起こします。人はまた筋性防衛や拘縮、そして動作の代償パターンを作りやすい侵害受容活動の抑制によって容易に説明できる、動きやすさを感じやすくなります。 さらに、フォームローリングはしばしば一時的なものであり、繰り返しおこなわれる必要があります (そしてしばしば、次回は強度を上げることになります。脳内の薬棚に依存してしまうのでしょうか?)。これはCNS調停されたメカニズムであることを示しています。 これが、私のフォームローリングについてのお話です。フォームローラーを臀部に置き、有意な侵害シグナルを起こしします。脳がこれを受け取り “OK”というような答えをする。臀部は私に、今身体で危険が起きていると伝えてきます。しかし私はこれは治療的状況であるということがわかっています。トレーナーが言っていたから。そこで、危険に関するこれら全ての会話をブロックするため脊髄に何らかの薬を流し込んでみましょう。そしてこの感覚を怪我ではなく“良い痛み”にします。薬が痛みを軽減し、その結果動作も一時的に向上するのです。 納得できますか? フォームローリングの実践的な意味合い さて何人かはこれを読み、“誰もフォームローリングがどのように働くかは関係ない、興味があるのはこれが効果的であるということだけだ”と仰るでしょう。そしてある意味それで良いのですが、この(どのように働くかということに対する)興味の欠如は、効果をもたらす本来のメカニズムを理解することで達成されるセラピー効果のポテンシャルを無視しているということなのです。 もしフォームローリングが本当にDNICによってのみ効果があるとするならば、おそらく自分でつねったり、手を冷水に浸けたりして同じ効果を得る方が簡単でしょう。もしかすると、これによって、効果を得るために重要な期待を台無しにしてしまうかもしれません。 フォームローラーが純粋にDNICに基づいて効果をもたらすかもしれないと考慮した場合、ここにもう一つの興味深い疑問が沸き上がります。もし結果が一時的な効果だけだとすると、なにか段階的な効果はあるのでしょうか?答えは「時と場合による」だと私は考えます。痛みの緩和と動作向上は、向上できるかもしれないチャンスの扉を開きます。もしあなたが一時間でも調子が良くなったなら、それは通常では行えない動作トレーニングや新しい技術の習得、あらたな容量の構築、そして特定の動作に関連して認知された危険の回避に十分な時間を与えてくれるでしょう。これは永続的な効果をもたらすかもしれませんが、もちろんあなたが怠けてしまうと、この効果はおそらく一時的になってしまうでしょう。 フォームローリングについてもう1つ質問があります。もしフォームローリング効果の主な要因が脳内の薬棚を解放することならば、これには依存性があるのでしょうか?証拠はありませんが、本当に憂慮すべきパターンを見てきています。ある人がフォームローラーによって緩和を経験すると、それが次はラクロスボールを使うようになり、木製ボールを使うようになり、ついには緩和を達成するため鋼鉄を使い、青アザが出来るまで行うようになってしまう!このようなケースを防ぐにためにも、フォームローリングがどのように効果をもたらすかを知るのは良いことなのです。

トッド・ハーグローブ 2502字

伝統 パート2/2

私が大学に通っていた頃、なぜリストラップを巻かなくてはならない選手がいるのか疑問に思いました。握力のせいでラットプルダウンがこれ以上できないのならば、それ以上ラットプルダウンをする必要は全くないのではないか? システムのうち握力が最も弱い要素であるならば、システム全体がバランスを取れるようになるまで、その状態でのトレーニング効果を得ればよいのではないか? と私は自問しました。 西洋ではどうするでしょうか? 最も弱いリンクを見つけ、フィットネスやエクササイズの器具が豊富にあるために、その対策を練るのです。 大学1年生のほとんどが受講する運動学入門講座では、身体の筋の分布を学び、同時に私達がぬぐい去ることができない筋への孤立化したアプローチの背景を作ってしまいます。 “学んだことは忘れなさい” とヨーダは言います。身体を解剖学的に見ることが問題なのではありません。その解剖学的知識でフィットネスへの取り組みやパフォーマンス向上への対策を短絡的に作ることが問題なのです。 個々の筋の働きを理解したと思ったとたん、構造や機能を生み出す多くの補助的な課題の周囲に壁を作り、その筋が持つ相乗効果や、その拮抗筋が強く収縮しているときの筋への影響などが理解できなくなってしまうかもしれません。 新しいテストを採用し、そのテストのためだけに教えたがる西洋文化の傾向が直接の原因である有効性の低下を、かなり憂慮しています。ある意味、私はテスト会社を設立しました。なぜ私たちはテストをするのでしょうか? それは、次のステップに進むにあたって達成可能なレベルにいるのかどうかを見極めるためにです。 テストへの取り組み方が正しくても、テストの不合格が続けば、それは、次の段階や強度や難易度がさらに高い環境でうまくいかないであろうことをかなり良く予測できることになります。つまりテストは単に予測のために使われているのです。 テストのためになぜ指導するのでしょうか? ファンクショナル・ムーブメント・スクリーンや Yバランステストなどいくつかのパフォーマンス測定は、たいていすでに独自のテスト方法を持ち合わせている人たちに実施されています。私たちは決して彼ら独自のテストを止めさせるつもりはありません。 実際のところ、プロ選手チームや軍隊など特有の文化を持つ集団を対象に、機能性や身体運動能力をテストする時、何かを変えたいとは思いません。彼らが物差しのどのレベルにいるかを把握したいのです。機能障害や欠如が見つけられても、その問題に修正を加え、単にその人がテストをもっとうまくできるように矯正するようなことが目的ではありません。 何も加えないようにしています。身体文化の不要な側面を取り除くことで、そうした行為から生じるマイナスの副作用から解放されるだけではなく、真の効果を生み出すことに集中する有意義な時間を得ることができるのです。 リハビリテーションや訓練、指導、教育の旅路に乗り出すにあたり、テストを使わなければプロフェッショナルとは言えません。また、テストのための指導を行うのはプロフェッショナルとしてとても“青い”と言えます。テストのために教えるのであれば、文化を変えることはできません。かつて利用価値があったバイオマーカーを単に破壊してしまうのです。 製薬会社が血圧やコレステロール値に対して何をしたかに注目してみましょう。これらの値を下げる方法を与えてくれましたが、生活習慣を変えてはくれませんでした。これらの値を下げたところで、私たちはこのままでは肥満や糖尿病、心疾患、癌の罹患率の世界記録に突入してしまうでしょう。 数値を合成的に調整することは、その完全な文化から良いテスト結果を生み出す文化的環境を作ることとは、全く異なったことです。クリストファー・マクドーガルは、このことについて彼の著書『BORN TO RUN 走るために生まれた』で触れています。『ナチュラル・ボーン・ヒーローズ』では、しっかりとした文化的伝統の概念まで掘り下げて触れています。 もし、みなさんが現在、あまり良い結果を出せない伝統の中にいるならば、文化を変えるタイミングかもしれません。偉大な業績を上げた伝統をみれば(デ・ラ・サル・フットボールチームやジョン・ウッデン野球チームなど継続的に勝利を納めているチーム、または、世界中のブルーの地域で見られる長寿)、そこではテストのための指導以上のことを行っていることに気がつくでしょう。 彼らは、継続的に彼らの文化を調整しているために、私たちが発案するテストで欠点を検出することはまずないでしょう。このように、たったひとつの評価基準で良い結果を求めるのとは対照的に、彼らは私たちのテストで調べられるすべての要素の総合的な相互のつながりに注目し、すべての要素をつなぐ共通の変数を見つけるのです。 私の会社、ファンクショナルムーブメントシステムは、動きや身体能力、パフォーマンスのバイタルサインとなるべきものをテストすることに貢献しています。 テストの心配をすることなく人々を漸進させることを可能にする、自由な文化的体験の流れをもたらす練習の焦点やトレーニングへの適応を獲得。 そうすれば、テストされることがあっても大丈夫です。

ファンクショナルムーブメントシステムズ 2234字

フォームローリングの効果 パート1/3

フォームローリングはとても人気があります。アスレティックトレーナーはこれをウォームアップの1つとして取り入れています。理学療法士はこれをよく“短縮した”組織の伸張性を改善する為にトリートメントプランの一環として使っています。 フォームローリングが与える効果があるとして、その効果に関してのエビデンスは、わずかしか実証されていません。しかし筋力の低下を伴わない短期間での可動域の改善を導くことはいくつかの研究で明らかになっています。(これはとても興味深いことです。なぜならストレッチングの介入は可動域の改善と共に筋力とパワーの低下が見られる傾向にあるからです)。 この記事の目的はフォームローリングが何に効果的であるか否かを問いかける為ではありません。何らかの形で誰かに役立つことを推測できると思っています。それが何かしらにおいて良い効果がない限り、マイク•ボイルのような知性のある数多くのトレーナー達がそれを誉め称えていることは信じ難いことですから、この記事の目的の為に、疑わしいことは好意的に解釈していこうと思います。 この記事における問いかけは以下の通りです:もしフォームローリングが実際に痛みを軽減したり可動性を改善できるのであれば、そのメカニズムは何なのでしょうか?私には説得力のある一般的な解釈は見つかりませんが、私がとても好きな (あまり一般的ではないですが) 解釈がひとつあります。なぜフォームローリングに効果があるのか、私のお気に入りも含め様々な見解における批判的分析を挙げていきます。 1. フォームローリングは“組織の質を高める”のか? これはたいてい、組織のどの“質”についてなのかの特定なしでよく耳にする質問です。フォームローリングはピザ生地を伸ばすロールスティックのように、組織のコブを拡げられるものを想像している人達がいるのだと思います。この見解は科学者ではなく、たいていは一般の人達へ向けられたものなので、細かい部分が欠けていることについて大目にみることはできます。おそらく向上される質には筋膜の癒着、またはトリガーポイントが関与しているのでしょう。こういった、特に以下のような主張を取り上げてみたいと思います。 2. フォームローリングは筋膜を伸ばすのか、または“溶かす”のか? どういうわけか人々は、フォームローリングは組織を変化させることで働くと思い込む傾向があります。正直なところ、なぜか理由はわかりません。フォームローラーは身体にある他の全ての組織に圧をあたえ、そしてそれら全てが動きや感覚を制御しているCNS (中枢神経系)と繋がっているのです。CNSこそフォームローリングの後に目を向けるべき最も明らかな場所だとは思いませんか? いえ、常に筋膜でなければならないのです。 ですが筋膜は手強い組織です。もちろん興味深い順応特性はありますが、結局のところ目的は身体の丈夫な構造を形成するためです。フォームローラーに多少よりかかっただけで構造を劇的に変化させることに、本当に説得力があるのでしょうか?私達は、それよりももっと強いもので作られているはずです。もし筋膜が多少の圧を受けるたびにゆるんできたり、伸張されたり、または “溶ける”のであれば私達はかなり壊れやすい生物となるでしょう。岩の上に座るたびに私達のポステリアチェーンは伸びてしまうでしょう。ですから私にとってフォームローリングが身体の重要な構造組織を伸ばしたり、溶かしたりするというアイデアは、常識テストに合格するものではないのです。 そして、さらに重要なことは、リサーチもこのアイデアを支持していないということです。成熟した人の結合組織の永続的な変形を引き起こすのに必要な圧の度合いを見つけ出そうとしたリサーチもいくつかあります(リンク&リンク)。結論として、もしあなたが永続的な変化を求めるならば(ポール・イングラムが記しているように)“拷問をする”準備をしなければいけません。スチームローラーであればひょっとするとですが、フォームローラーでは無理でしょう。フォームローラーが一般的によく使われる場所、たいてい身体の最も強い部位 – 腸脛靭帯、腰筋膜、足底筋膜等 –の部位ではこういった変化は起こりません。 3. フォームローリングは筋膜の癒着をはがせるのか? おそらくフォームローラーは鋼鉄よりも強い腸脛靭帯を伸ばすことはできないでしょうが、異なる筋群の滑走を妨げる筋膜癒着をはがすことはできるでしょうか?先程引用した研究では、マニュアルでの圧は鼻の筋膜を変化させるのに十分だろうということです。鼻にフォームローリングをしている人はあまりいませんが、大筋群の間にも鼻の筋膜と同じくらい弱くて変化が起こせるような、ほんの小さな癒着があるかもしれません。 これもまた、非常に推測的に思えます。それらの癒着がどこにあるのか?どの角度がそれをはがす為に有効なのかをどうやって知るのでしょうか?フォームローラーは筋膜に拡散的な方法で力を伝達する、非特異性の道具です。粉砕!筋膜の作用の1つは力の拡散ですから、ここで特定のポイントをターゲットにするのは難しいでしょう。加えて、圧の角度は常に真っすぐです。フォームローラーには、組織の層を他の組織の層からスライドできるような、正確な斜めの力の供給する能力があまりないのです。 フォームローリングが筋膜の癒着をはがすという考え方のもう1つの問題は、たいてい、その効果が一時的なことです。フォームローリングをした後、しばらくの間は効果を実感できますが、翌日や下手をするとその日中に、同じ部位に再びロールが必要だと感じるのです。もしも効果のメカニズムが筋膜癒着を取り除くことであるならば、何故その作業を繰り返す必要があるのでしょうか?筋膜が再びくっついてしまったのでしょうか?一時的効果の性質は、構造的なものではなく、神経システムが関係しているメカニズムを強く示唆しています。

トッド・ハーグローブ 2494字

フォームローリングの効果 パート2/3

4. フォームローリングはトリガーポイントを取り去るのか? 多くのフォームローリングの支持者が、適切な手順には“トリガーポイント”の発見を伴い、そのポイントでしばらくキープすると説明しています。フォームローリングはトリガーポイントを治す手段なのでしょうか? 注目すべきは、トリガーポイントという言葉は人によって異なったことを意味するということです。ある人にとってそれはただの痛みのポイントであり、他の人にとっては特定の病状を表しています。医学的な定義では、例えば触診において筋の痙攣反応を引き起こす明らかに緊張した帯中の過剰に敏感な小魂などの要素に関わっています。トリガーポイントは局部の化学的炎症の原因となる筋細胞内での何らかの代謝異常や、圧迫した際の他の部位への原因不明の関連痛が原因だと考えられています。 控えめに言っても、トリガーポイントは物議を醸しています。実際に存在するか否かについてかなり論議されています。確実に特定されるか否かは、また別の論議です。そしてそれが効果的に治療されるかどうかもまた別です。沢山の推奨される対処法があります – ストレッチ、PIR、針治療、押圧等。私には、これら全ての論議に対処する時間や、アプローチする知識などはありません。 ですが以上に述べた不確実性をもとにすれば、フォームローリングがトリガーポイント除去に効果があると信じる気にはなれません。あまりに多くのうやむやな疑問があり過ぎるのです。トリガーポイントセラピーの専門家は、全ての痛みのスポットがトリガーポイントというわけではなく、全てのトリガーポイントが臨床的な関連があるわけではなく、そしてその識別や治療には訓練と専門知識を要すると教えてくれるでしょう。ですから私は、点在するトリガーポイントをフォームローラーでショットガン的に対処するのは適切なトリートメントだとは思わないのです (トリガーポイントは存在していて、圧によって対処されると仮定して)。 5. フォームローリングは固有受容器の刺激を促すのか? フォームローリングは固有受容的向上に役立つといった意見をたびたび耳にします – ゴルジ腱器官や筋紡錘、またはルフィニやパチーニ(パチーノやデニーロのようなイタリア人の名前のようですが)のような筋内や筋膜の機械的受容器を刺激するものです。これは筋や筋膜の張力を緩めたり、脳が局所の感覚や動作地図を認識するきっかけとなるプラスの効果を促す可能性があります。 これはとても説得力があり、正しい方向に向いていると思います。ですが、これがなぜ人々がフォームローリングを好きなのかを説明する主なメカニズムであるとは考え難いのです。もしもこれらの機械受容器の刺激がフォームローリングの効果を説明するのなら、なぜファンクショナルムーブメントの一環としてストレッチをして身体を動かし、これらの器官により強い刺激を与えないのでしょうか?ターゲットの筋群や筋膜に対しそれほど多くの動きやストレッチをもたらさないフォームローラーが、スクワットやランジ、またはリーチングよりも多くの固有受容的刺激を供給できるでしょうか?そうは思えません。 おそらくフォームローリングがもたらすものは、今までにない新しい固有受容的刺激です。目新しいことは素晴らしいですし、多くの潜在的利益もあります。もしあなた脳に変化を求めるならば、脳の注意を引きつけることが必要不可欠となるのです。しかし他にも必要なことがあります。脳が注目する何かに関係する情報を脳に与える必要があるのです。脳は、あなたがどうやってスクワットやランジ、そしてヒップヒンジなどのファンクショナルパターンを使って身体を動かすのかに注目します。フォームローリングから送られる情報がこれらのタスクに関連しているのでしょうか?脳は、ただそれが新鮮というだけではその情報に興味を持ちません。その情報はまた、動作の問題解決に役立たなければならないのです。なぜ神経システムは臀部に押し付けたラクロスのボールの感覚に注意を引かれるでしょうか? 6. フォームローリングは広汎性侵害抑制調節に効果があるのか? これは私のお気に入りの見解です。そしておそらくこれは読者が最も精通していないメカニズムでしょう。それが何なのか、その働き、そして私がなぜこれはフォームローリング (そしてその他多くのマニュアルセラピー) の潜在的効果だと考えるのか主な理由をここに説明します。 広汎性侵害抑制調節(DNIC)は脳が侵害受容 (身体から生じる危険信号) の“強度”を調節する“下降性調節”のいくつかあるバリエーションのなかのひとつです。DNICとは脳が脊髄から脳へ向かう侵害受容信号を抑制することです。 DNICは、手を氷水に浸した時のような持続する侵害受容入力によって誘発されます。抑制が拡散すると、局所だけでなく、遠位部からも侵害受容を抑制します。言い換えると、例えば脚が痛い時、手をしばらく氷水に入れれば、結果として生じたDNICはその手と脚の痛みの軽減へと導くのです。痛みのある箇所に別の痛みを作り出して対抗するダイナミクスは多くのセラピストの成功を説明することができるもので、時に反対刺激と呼ばれています。もちろん効果は一時的です。 DNICの効果はどれほど強力なのでしょう?とても強力です。兵士が戦闘で四肢を失った時、緊急事態が続く限りおそらく痛みを感じないのはDNICが主な理由です。デビット•バトラーはDNICを“脳内の薬戸棚”と表現しています。

トッド・ハーグローブ 2320字

“強化”リハビリで最も使われすぎている用語? パート2/2

入力 vs. 筋力 よって、‘強化’のプロセスは、単に治療的要因である筋力の増大というよりも、多くの非特異的影響を持つものなのかもしれません。筋力の回復は、治療的要因の影響による結果ということなのかもしれません。 総じて、私達は今まで以上に、ただ‘行う’ということよりも、‘理由’や‘方法’を理解することに駆られているようです! ある人は、痛みを抱える前から、元々よりも少しは強靭だったのでしょうか?それとも、痛みが弱まるにつれて、彼らの既存の筋力がただ戻っただけなのでしょうか?あるいは、実際にその人は強くなっているにもかかわらず、いまだに痛みを抱えているということなのかもしれません。 弱さは痛みに付随しているようですが、一度痛みが改善すると、筋力も同様に向上するように思えます。特に、膝蓋大腿関節痛における股関節内転の増大のように、筋力低下からの生体力学的影響と関連しているのであれば、痛みの原因要素を筋力低下として見なすことは簡単かもしれません。 同様に、批判的な物の見方をする人はまた、状況を逆に見るに違いありません。その痛みは、筋力の低下を引き起こしているのかもしれないのです。 身体が、庇いたい部位を経由する力の量を減らしたいために、防御目的として、痛みがある際に筋力を縮小することは理にかなっているように思えます。足関節捻挫と跛行という運動の適応にも、同じことが言えます。 運動入力は、生体心理学のスペクトラム全体にわたり、様々な理由で、痛みに影響する可能性があります。これは、運動/エクササイズ、恐怖回避の減少、集中的な入力、異なるニューロタグの活性化、皮質マップの変化、異なる運動学、あるいは動力学、もしくは影響を及ぼしているただの簡素な旧来の鎮痛作用かもしれません。 これらの要因の全てが、問題に対する身体の知覚を変化させ、最終的には、感度レベルと経験する痛みを変化させるかもしれません。 下記はランナーの股関節外側部のための治療的運動の‘入力’のアイデアです。 構成要素: 運動の変動性 多面性 筋肉の協調 関節可動域の制御 求心性収縮と遠心性収縮 ‘強化’のための付加抵抗 直立状態とクローズド・チェーン この低レベルな局所的な運動スキルは、ランジ、ジャンプ、ランニングの様な機能的なランニング運動に組み込まれるという考えです! 筋力はしばしば、最大限で測定されます! 筋力はしばしば、研究領域においてMVIC(最大随意等尺性収縮)として測定されます。最大、あるいはこれに続く筋力の増大におけるこの基準は、ある人が関連する力に耐えることができるのか、あるいは制御できるのかに関する何かを私達に示しているのでしょうか? 最大等尺性収縮の筋力は、例えば膝蓋大腿関節痛、あるいは腸脛靭帯症候群において、前向きに有意に関連しているようには見えません。いまだに不明瞭ですが、股関節内旋や内転の増大のような生体力学的測定には、より良い相関関係があるように見えます。 エクササイズは、特定の筋肉のEMG活動の増大に基づいて選択されるかもしれません。本質的に、これら全てが示すのは、筋力の代わりとして、筋肉がエクササイズの特定の制限の中で、より頑張って働いているということです。 EMGは、筋肉をより懸命に働かすことが、ある人の運動、あるいは痛みのレベルに違いをもたらすということを私達には示してくれません。また、そのエクササイズが、個人の問題のために他のエクササイズよりも優れているということも示してはくれません。 筋力の様々な側面 私達が使用する‘筋力’と言う用語には、各個人とそのニーズにはっきりと適合することができる数多くのサブカテゴリーがあります。 最大筋力: 人が産生、あるいは耐えることができる一番大きな力。1~3回程度の繰り返しが可能な大きな負荷は、これに影響を及ぼします。 筋持久力: 長時間にわたって、筋力のレベルを持続させる能力。持続の要素を持つ充分な負荷。 反応的、あるいは爆発的な筋力: 遠心性収縮から求心性収縮への切り替え。これは、私達がほとんどのスポーツで、特に反復運動として目にするものです。 これはしばしば、ランニング、投球、打撃のように、時間依存性です。 筋力スピード、あるいは加速筋力: どのくらい素早く力を産生できるか、力の立ち上がり率の変化において見られます。これはしばしば、運動方程式F=MA(質量x加速度)のM(質量)ではなく、A(加速度)に関してです! 関連性 実際には、最大筋力は、あなたがこの最大筋力を必須とする物体を克服する必要がある状況下でのみ関連性を持つようになります。スクワットにおけるあなたの1レップでの最大挙上重量が100kgであれば、100kgを拳上する際にだけ、これが要因となります。 もしも私がラグビー選手で、克服したい負荷が非常に大きく、極めて最大能力に近い際、これは非常に関連性の高いものになります。これらの大男のうちの数名は、実際かなりのシフトを受け止めます。 ランナーにとって、最大筋力は、筋持久力、あるいは反応的筋持久力に比べて、それほど重要ではないのかもしれません。とても高い最大筋力を持っていても、あまり優れたランナーではない人達が多く、逆もまた同様です。 ランナーには、インパクト時に体重の3~4倍になる力の量に脚が耐えられる能力が必要でしょう。歩行周期を経る際、これは伸長と短縮の反応的筋力と相まっています。これらすべてが、何千回もの周期が繰り返し行われることを必要としているために、ランナーはまた、このために十分な耐久レベルを持ち合わせている必要があるでしょう。 体重の3~4倍の力を作り出すよりも、繰り返される体重の3~4倍の力に耐えることはより簡単であり、良いことなのです。 腰痛を患っている人は、より多くの筋力の反復(筋持久力)、あるいは姿勢(姿勢の持久力)に耐える能力が必要なのかもしれません。一日中、庭仕事をして過ごすことによって、腰が炎症を起こしている人のことを考えてみてください。 同様に、例年の休日でスーツケースのような重い物を持ち上げる際、誰かが腰を“痛めて”しまうかもしれません。これは、彼らが最大筋力の実際のレベルを上げるために、よりトレーニングを必要としているということを意味しているのかもしれません。 前十字靭帯再建やアキレス腱炎をもつ患者は、爆発的な筋力(力の立ち上がり率)よりも速く最大筋力を取り戻すように見えます。同様に、爆発的で反応的筋力のトレーニングは、リハビリテーション・プロセスの早過ぎる段階で行われれば、アキレス腱炎を刺激するかもしれません。 私見では、筋力という用語と各個人の現状への適用の単純な探求は、より関連性のあるリハビリテーション・プログラムの作り方に有益な指針をもたらします。 筋力は、単に筋肉の協調でしょうか? 筋力はまた、特異的な方法で、筋活動をうまく協調させる能力でもありえます。もしもあなたが筋肉をテストする、あるいは多くの‘治療’エクササイズのように、ある筋肉に特定したエクササイズを行うのであれば、ある人の筋肉は、個々に強いかもしれません。しかし、例として、あなたが彼らを走らせる際に、彼らは、問題を引き起こす内側への膝の運動を減らすために、その筋力を協調する能力を持っていないかもしれません。 特定の運動と結び付かない筋力強化では、運動への伝達、あるいはその動作の運動学を変化させる保証は全くありません。しかし、この記事の最初に議論したように、筋力の増加にかかわらず、‘強化’のプロセスは、痛みに影響を及ぼすかもしれません。 人は最初にオリンピックリフティングのような機能から始めると、短期間で莫大な筋力増加を得ることができます。これは、既存の筋力を特定のスキルの筋肉協調に連動することによるものです。 歩行再訓練や前十字靭帯損傷予防・リハビリテーションは共に、ただ単に筋力を増大させるよりも、特定の運動のスキルや協調に着目しています。 実際に、股関節強化は、ランニングの実際の運動学への転化が疑わしいと示されています。 歩行再教育は、スキルの特異性のため、痛みと運動の変化にとっては成功かもしれません。これは、実際のランニングスキルと関連を持っているのは、運動パターンと筋肉間のタイミングの協調、筋収縮タイプの特異性、速度と力です。 ‘強化’や総合的なリハビリテーション・トレーニングにも、特異的でありえる多くの方法があります。 筋収縮タイプ 運動パターン 運動速度 関節可動域 遠心性収縮力と求心性収縮力 持久力レベル ノルディック・ハムストリング・エクササイズもまたかなり優れているようです。一つには、タイプ(遠心性収縮)の特異性、力のレベル、筋収縮速度によるものかもしれません。 一つの解決策として、ただ‘あなたは○○○を強化する必要があります’と言うことよりも、筋力に関するより良い理解で武装し、関連している可能性がある際には、確実に、より個人に焦点を絞って、より良い結果を得るものを開発することができるでしょう。

ベン・コーマック 3911字

“強化”リハビリで最も使われすぎている用語? パート1/2

どのくらいの頻度で、療法士やトレーナーが痛みを抱えている人に向かって、問題の解決策として、“○○○を強化するために、○○○エクササイズを10回3セットする必要がある”と言っているのを耳にしたことがありますか? ‘○○○’を、痛みの原因と謳われている体幹、膝、股関節、あるいは人体の他の構成要素にも置き換えることができます。これは、腹横筋、中臀筋、内側広筋、あるいはその他の‘魔法’の筋肉や、それらを強化するための関連した‘治療’エクササイズを含みます。 これはただ私の問題と認めますが、ここでの個人的な問題は、‘強化’という用語はいささか曖昧で、しばしば野心的であり、多くの場合、痛みとは関連していないと思われるということです。 私は、筋力は問題でないと言っているのではなく、詳細を理解することで、より良くできるということを指摘することによって、この記事に着手したいと思います。身体に関わる大抵のことのように、筋力には、各個人と彼らの状況への適用を必要とする様々なバリエーションがあります。 これは、特別な‘治療’エクササイズが痛みのレベルに影響を及ぼすことができないということを意味しているのではありません。私達は、痛みが複数の要因によって、一進一退するということを知っています。痛みの減少は、筋力を増すこと、あるいはエクササイズを始めるには弱かったという事実とは関係が無いのかもしれません。 ‘強化’という発想はまた、痛みの複雑さに関する最新の理解の向上の上で私にはあまり確信が持てない、痛みは単に‘弱い’筋肉、あるいは関連する生体力学的要因と関係しているということを意味してるのでしょうか? 結局のところ、筋力が強い人達でさえ、私達のように、痛みを覚えるのです。 しかし、この記事の本質的な目的は、リハビリのプロセスにおいて、筋力という用語と‘強化’のコンセプトに関して、もう少し考察することです。 では、‘強化’が本当に意味するものは何なのでしょうか? 誰がこの用語を使用するかによって、筋力にはいくつかの意味があるようです。 一つの定義は、“外部抵抗に対して力を発揮すること”、例えば、ウェイトを動かすに充分な強さがあることです。一般的に、私達は動かされた負荷の重さによって、これを定量化します。 この定義は、筋力トレーニングの分野において、伝統的に認識されていたものです。 恐らく、より治療的な解釈で使用されているもう一つの定義は、“力に耐える”ことができるということのようです。よって、ランナーはランニングに関わる反復的な地面反力に耐えることができる強い筋肉を必要とするかもしれません。 すぐに、このような一般的に使用されている用語には、曖昧さがあるように思えます。 力を発揮する基本的な強さ、あるいはランニングに関連するピーク力に耐える能力を持っていないランナーは多くいないように思えます。それは、力の反復とそれが適用される頻度への忍耐力により関わっているようです。 同様に、もう一つの例は、痛みの最も急性期ではない際に、適切な‘脊椎の安定性’を作り出すための基本的な体幹の強さを持っていない人(腰痛を持っている人を含む)も、恐らくそんなにたくさんいないということです。 最初の定義は、私達が作り出すことができる力の量を増やす必要があるということを意味しています。二番目の定義は、繰り返される特定の力のレベルに耐えることを意味しています。 私達の言う‘筋力’と‘強化’と、その後にどのように私達がリハビリの‘強さ’を評価するかはかなり重要ですね? 理想の世界において、この理由づけは、エクササイズ、負荷とセット数、反復数に変換され、(望むべくは)より良い結果に導く、より適切なリハビリのプランを作り出すでしょう。 そこで、どれがそれらを意味していたのでしょうか? 率直に言って、わかるものですか!個人的には、強さとは一般的に力を生成させる能力として考え、‘強化’という用語を聞くと、私が最初に考えるのは、人が痛みの無い状態であるために、どの程度の力を作り出す能力が必要なのかということです。 浮かんでくる他のいくつかの質問は、下記のとおりです: 問題を引き起こしている活動は、現在の筋力レベルの枠を越えているのか? どの程度の筋力がこれらの活動に本当に必要なのか? 力を産生する能力、あるいは力に耐える能力が問題なのか? 筋力の‘健康的な’レベルとはどのくらいで、その個人はこのレベルに達しているのか? それは筋力なのか、それとも技能/協調なのか? 筋力の欠損(もしあるならば)は、痛みの原因、あるいは結果なのか? ‘強化’プログラムは、実際に筋力を強化したのか? 私が考えすぎている可能性もかなり高いですが。。。 エクササイズへの適用 膝に痛みを抱えるランナーの定番である‘側臥位での股関節外転’(かなり長い言葉です)のような、一般的な股関節強化エクササイズを取り上げてみましょう。 では、もしも誰かが5回、あるいは6回しかできないと言うのであれば、私は確実に、これは彼らにとって筋力エクササイズであると言うでしょう。もしも彼らが簡単に15回できるのであれば(しばしば見かけます)、彼らには十分な筋力があり、このエクササイズは彼らの筋力の基盤を向上することはないかもしれないと示唆するでしょう。 昔ながらの10回3セットというのは、かなりお馴染みで、‘事実上の’繰り返しの範囲になっているようです。後に議論するように、これはエクササイズが役に立たないということを意味しているのではなく、ただ筋力増大のせいではないかもれないということです。 エクササイズ・ガイドライン/原則の大多数に着目してください。この一般的に規定として定められた10回~15回の繰り返しの範囲は、筋力を増大させるというよりも、筋肥大や筋持久力により関連していると見ることができます。筋力は、1~6回の繰り返しの範囲で向上します。もちろん、絶対的な規則はありませんし、6回以上では強化にならない、6回以下では筋肥大が起きないということを意味しているのではありません! 人はまた、刺激に対してすぐに適応し、プログレッションはいかなる‘強化’プログラムにおいても鍵になります。もしも誰かがすでに複数回、複数セットを行う能力があるならば、負荷の増加のように力を発生させるための需要に変化がないと、これ以上の‘強化’の可能性は低くなります。筋力の適応を引き起こすために、より強い刺激が必要とされるでしょう。 私達は、実際に人により強い筋力を提供しているのか、この筋力の変化が痛みのレベルに影響を与えているのかを確認するために、どのくらいの頻度でエクササイズ前とエクササイズ後の筋力の測定を行っているでしょうか? これは、組織耐性・腱と筋肉の剛性の増大やパフォーマンス向上のような、非常に多くの恩恵を筋力トレーニングが提供していないということを意味しているのではありませんが、生理学的適応を作り出すためには、関連する力は十分に高いものであるべきです。 個々の筋肉を孤立させることを目的とするエクササイズの10回3セットというのは、その人の能力の範囲内であって、例えばスクワットを最大挙上重量の70%で6回2セット行うのと同様の身体的適応を得ることはありません。 つまり、実際に‘強化する’ためには、ただ単に‘強化’と謳われているエクササイズを行うでのではなく、筋力の増大を引き起こすために、正確に負荷と反復数のような変数を操作する必要があるということを意味しています。

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