マイクロラーニング
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スプリントの生体力学:歩幅および歩数頻度 パート2/2
歩幅および歩数頻度の相互関係 速度の影響 速度は、歩幅、歩数頻度、およびスプリント速度の間を結び付ける関係を決定する重要な役割をはたしているかもしれないと提議されている。ヌメラおよびその他(2007年)は、4m/sから最速スプリントまで8つの異なるスピードの範囲にわたり、25名の持久系アスリートにおける歩幅および歩数頻度を記録した。彼らは、7m/sまでの速度の上昇は、歩幅および歩数頻度の両方を増加することにより達成されるが、7m/s以上においては歩数頻度のみが単独で役割を果たしているということを発見している。同様に筋骨格系のモデリング研究において、ドーンおよびその他(2012年)は、スプリント速度が上昇するに従い、歩幅は7m/sまで速度を上昇するための主なメカニズムであるが、その後変化が起こり、歩数頻度がスプリント速度を上昇するための主なメカニズムとなるということを示している。 個体差の影響 個体差は重要であり、歩幅および歩数頻度の様々な組み合わせを通して、ワールドクラスの速度を達成することが可能かもしれないことは、確かなことであるようである。サロおよびその他(2011年)は、公開されているテレビ放映から、52名の男性エリートレベルにおける100mレースのビデオ映像をレビューし、国際陸上競技連盟(IAFF)のウェブサイトから彼らのタイムを得ることにより、世界トップレベルの100mスプリンターの歩幅および歩数頻度を調査した。幾人かの陸上競技エリート選手のパフォーマンスは、より歩幅に依存しており、一方その他の選手は歩数頻度により依存しており、一部の選手はどちらの変数に対する明白な依存も示していなかった。テイラーおよびベネキ(2012年)は、2009年の世界陸上大会決勝100mにおける上位3名のアスリートにおいて、同様の発見を報告している。60-80mのスプリットにおいて、ウサイン・ボルトは最高速度を示していたにもかかわらず、歩数頻度は最も低く、これは彼のより長い歩幅によるものであった。また、歩数頻度は3名のアスリートにより様々に異なっており、ウサイン・ボルトは4.49Hz、タイソン・ゲイは4.96Hz、アサファ・パウェルは4.74Hzであった。イトウおよびその他(2008年)は、2007年IAFF世界陸上大阪大会における100m決勝において、タイソン・ゲイおよびアサファ・パウェルの2名のアスリートを比較しており、同様の発見が報告されている。これらの発見は、歩幅もしくは歩数頻度が他方の要因を無効にしており、単一である場合、エリートレベルにおいては予期していた以上により広い範囲の歩幅や歩数頻度が存在するということを示唆している。長い脚を持つ背の高いアスリートは、長い歩幅と共に低い歩数頻度が適している傾向にあり、短い脚を持つ背の低いアスリートは、短い歩幅と共に高い歩数頻度が適している傾向にあるといったように、各個人の人体測定学に適する、歩幅および歩数頻度の最適な組み合わせがあるのかもしれない。 歩幅および歩数頻度を向上するためのトレーニング 歩幅 幾人かの研究者たちは、どのトレーニング方法が特に歩幅を向上するために最適であるか、ということを研究することに特化した調査を行った。ロッキーおよびその他(2012年)は、6週間にわたるスプリントトレーニング、レジスタンストレーニング、プライオメトリックス、もしくはレジステッドスプリントトレーニングの全てが、短距離スプリントにおける歩幅の有意な向上を生み出したと発見している。カワモリおよびその他(2013年)は、8週間にわたる、高負荷もしくは低負荷におけるソリ牽引走の、スプリント能力、歩幅、および歩数頻度に対する影響を比較した。高負荷を使用したソリ牽引グループでは、実際に約30%のスプリント速度の減少が起こり、低負荷におけるソリ牽引グループでは10%のスプリント速度の減少が起こった。トレーニングプログラム後、高負荷グループは8.1%歩幅が有意に増加したが、低負荷グループには有意な変化はなかった。興味深いことに、どちらのグループも歩数頻度は向上していた。最後に長期研究ではないが、メロおよびコミ(1994年)は、ホップ、ステップ、バウンドドリルの際の、短期の歩幅のパラメーターを調査した。彼らは、このケースにおいて長期の研究が必要であることは明白であるが、歩幅は、ホップ>ステップ>バウンド>スプリントの順により長く、そのようなドリルもまた歩幅を増加するために有益であるということを示唆している可能性があるということを報告している。 歩数頻度 幾人かの研究者たちは、特に歩幅を向上するためには、どのトレーニング方法が最適であるかということを調査するために特化した研究を行った。モリおよびその他(2007年)は、8週間にわたる高負荷および爆発的なレジスタンストレーニングの組み合わせは、スプリントの最初の3歩における歩数頻度を向上したということを発見している。カワモリおよびその他(2013年)は、負荷付きソリ牽引走の8週間にわたるプログラムの影響を調査した。高負荷もしくは低負荷でのソリ牽引グループのどちらも、歩数頻度は向上しなかった。メロおよびコミ(1986年)は、牽引によるオーバースピード走を調査し、歩数頻度の増加の結果としてスプリント速度の上昇が起こるということを発見している。同様にエベン(2008年)は、2.1,3.3,4.7,5.8,そして6.9度の下り傾斜におけるオーバースピードスプリントの速度を調査し、いくつかの傾斜はより速いスプリント速度を生み出したが、5.8度の傾斜がオーバースピード走に対し最適な傾斜であるということを発見している。最後に、パラディシオおよびクック(2001年)は、上りおよび下り傾斜における、ランニングの際に速度の上昇に貢献している要因を調査し、歩幅の変化が速度の変化に対する第一の貢献要因であるということを発見している。例えば、3度の下り傾斜において、速度は9.2%上昇し、歩幅は7%増加している。しかしながら下り傾斜ランニングの長期の介入後、6週間のトレーニング後の速度の上昇は、歩数頻度の増加が第一の貢献要因であるということを示している(パラディシスおよびクック、2006年)。 トレーニングの影響 個体差があるため、歩幅も歩数頻度のどちらも、全てのアスリートに対し重要な要因であるわけではないということが受け入れられていると想定すると、全ての個人には各自最適な歩幅と歩数頻度の組み合わせがあるということに繋がる。これを基にサロおよびその他(2011年)は、一部のアスリートは速度を上昇するためにより歩幅に依存する必要がある可能性があるため、高負荷トレーニングから恩恵を受けるようであり、一方他のアスリートはスピード上昇のために歩数頻度により依存している可能性があるため、脚の回転速度を向上することから恩恵を受けるようであると示唆している。しかしハンターおよびその他(2004b)は「アスリートの歩幅もしくは歩数頻度を増加するためにトレーニングする際、一方の要因の増加が、他方の要因を同様にもしくは大幅に減少させることにより「相殺」されていないよう、注意する必要がある」と述べている。上記のように、一方の要因の向上が他方の減少によって達成されている限り、スプリント速度の向上のないまま、歩幅もしくは歩数頻度を変化させることも十分にあり得ることである。さらに、個人を彼の強みもしくは弱点に応じてトレーニングすることがより有益であるかどうかは、現在のところ明確ではない。例えば、より優れた筋力をもつアスリートは、高負荷のトレーニング、もしくは高速の動作が大部分を占めるトレーニングを行うべきなのだろうか? スプリントに関する結論 スプリント速度は、歩幅および歩数頻度の産物である。歩幅および歩数頻度の様々な組み合わせにより、ワールドクラスの速度に達することは可能なようである。個人に最適な歩幅および歩数頻度の組み合わせの存在は、ある個人は歩幅を向上するためのトレーニングが必要である可能性があり、一方他の人たちは歩数頻度を向上するためのトレーニングが必要である可能性があるということを示唆している。 長期の研究は、スプリントトレーニング、レジスタンストレーニング、プライオメトリックス、そしてレジステッドスプリントトレーニングの全ては歩幅を増加することができるということを示している。歩幅を向上するための負荷付きソリ牽引走は、より高負荷において最も効果的であるようである。短期の研究は、ホップ、ステップ、もしくはバウンスドリルもまた、歩幅を向上するために有益である可能性があると示唆している。 長期の研究は、レジステッドスプリントトレーニングではなく、レジスタンストレーニングおよびオーバースピード(ダウンヒル)走により歩数頻度を増加することが可能であるということを示している。オーバースピード(ダウンヒル)走は5.8度の下り傾斜を使用する際に最も効果的であるようである。
スプリントの生体力学:歩幅および歩数頻度 パート1/2
目的 この記事は、歩幅および歩数頻度に関する研究を提示している。 背景 序論 歩幅は1つの歩行周期において進む距離であり、100mの陸上短距離競技でのエリート陸上短距離選手における平均は、約2.3-2.4mである。これに対して歩数頻度は、1秒間に行われた歩数であり、Hzで表される。100mの陸上短距離競技での、エリート陸上短距離選手における歩数頻度は、平均して約4−5Hzである。ゆえにスプリント速度は歩幅と歩数頻度の産物である。歩幅もしくは歩数頻度のどちらか、または、その両方を変化させずにスプリント速度を変化することは不可能である。しかし、歩幅もしくは歩数頻度を変化させ、かつスプリント速度が変化しないことは、一方の要因における増加が、他方の同等で反対となる減少と適合している限り十分にあり得ることである。現在のところ、全ての人におけるスプリントパフォーマンスを決定するために、2つの要因のうちどちらがより重要であるのか、もしくは各個人に対し最適であるコンビネーションは単にひとつなのかどうか、ということは明確ではない。ある研究者たちは、個人差は重要である可能性があり、ワールドクラスの速度は、様々な歩幅と歩数頻度の組み合わせにおいて達することが可能であるのかもしれないと提議している。 歩幅とスプリント速度の関係 序論 ランニング速度の変化に伴う歩幅の変化の影響を分析するにはいくつかの方法がある。第一に歩幅は、個人のグループにより行われた異なる定速走行速度において測定することが可能である。第2に、また同様に、歩幅は個人のグループにおいて、加速スプリントのいくつかの段階において測定することが可能である。(これら両方のアプローチは「個人内」と呼ばれている。)歩幅とランニング速度の関係の性質を評価するために、相関関係を引き出すことは可能である。そのような相関関係は我々に、より高速のランニングはより長い歩幅を含んでいるか否かを伝えてくれる。第3に、歩幅は集団における個人の間で、最大スプリント速度において測定することが可能である(「個人間」と呼ばれている)。そこから、歩幅とランニング速度の関係の特性を評価するために、相関関係を引き出すことができる。これは我々に、より高速のランニングはより長い歩幅を表すのか否かを伝えてくれる。両方のアプローチは断面的であるため、より長い歩幅は、より高速のランニングの副産物であるのか、もしくは、より長い歩幅を使い走ることが可能であるということは、より速く走ることを可能にしているのかどうかを評価する助けにはならない。 個人内 各個人におけるランニング速度を比較した調査において、多くの研究者たちは、加速スプリントを行う際、歩幅は概してランニング速度の上昇と共に増加するということを発見している(ディベーレおよびその他、2013年、ナガハラおよびその他、2014年a、ナガハラおよびその他、2014年b)。更に研究者たちは、同じ個人のグループにおいて、異なるランニングスピードにおける歩幅を測定する際、ランニング速度の上昇と共に歩幅は増加するということを頻繁に観察している(メロおよびコミ、1986年、Kyröläinenおよびその他、2011年、ドーンおよびその他、2012年)。 個人間 個人間におけるランニング速度を比較した調査において、幾人かの研究者たちは、より大きな歩幅を示している個人は、より高速のランニング速度を示していたということを発見している(ハンターおよびその他、2004年b、ブログヘリおよびその他、2011年、ロッキーおよびその他、2013年)。しかしながら、他の研究者達はこの関係性の観察に成功をしていない(モリン及びその他、2012年)。ゆえに、大きな歩幅が、明白にスプリントランニングのパフォーマンスに優位であるか否かは明確ではない。 歩数頻度とスプリント速度の関係 序論 ランニング速度の変化に伴う歩数頻度の変化の影響を分析するためには、いくつかの方法が存在する。第1に、歩数頻度は、個人のグループにより行われた異なる定速ランニング速度において測定することが可能である。第2に、歩数頻度は、個人のグループの中で、加速スプリントのいくつかの段階において測定することが可能である(これら両方のアプローチは「個人内」と呼ばれる)。歩数頻度とランニング速度の関係の特性を評価するために、相関関係を引き出すことは可能である。そのような相関関係は我々に、より高速のランニングはより高い歩数頻度を含んでいるか否かを伝えてくれる。第3に、歩数頻度は集団における個人の間において、最速スプリント速度にて測定することが可能である(「個人間」と呼ばれる)。そこで、歩数頻度とランニング速度の関係の性質を評価するために、相関関係を引き出すことは可能である。これは我々に、より高速の走者はより高い歩数頻度を示しているのか否かを伝えてくれる。しかし両方のアプローチは断面的であるため、実のところはどちらも、より高い歩数頻度はより速いランニングの副産物であるのか、もしくはより高い歩数頻度を使って走ることができるということは、より速く走れるということであるのかということを評価する助けにはならない。 個人内 加速スプリント 個人内における、加速スプリントの際のランニング速度を比較する調査において、幾人かの研究者たちは、歩数頻度は最初の10m以降はスプリント速度の上昇に伴い大幅に増加するわけではないということを発見している(ナガハラおよびその他、2014年a、ナガハラおよびその他、2014年b)。にもかかわらず、高レベルの陸所短距離選手のトレーニングおよび競技におけるパフォーマンスを比較した際、オオツカおよびその他(2015年)は、競技におけるパフォーマンスの方がより高速であり、これは歩数頻度の増加の結果であり、歩幅の増加はなかったということを発見している。これは、その個人のランニング速度が、既に最大限もしくは最大限近くまで達している際、更にランニング速度を向上するための手段として歩数頻度を増加するということを示唆している。オオツカおよびその他(2015年)は、これは、アナエロビック運動の際、交感神経系活動の増加とそれに続くアドレナリンの放出が観察されているため(キンダーマンおよびその他1982年)、高い覚醒により引き起こされた可能性があり、筋力生成の向上と関連がある(フレンチおよびその他、2007年)と提議している。 定速走行 各個人における定速ランニング速度の異なる試験を比較した調査において、ほとんどの研究者たちは、歩数頻度は低速のランニング速度と比較し、より高速のランニング速度において大幅に高かったということを発見している(メロおよびコミ、1986年、Kyröläinenおよびその他1999年、Kyröläinenおよびその他2001年、ベリおよびその他、2001年、キヴィおよびその他2002年、ブリューゲリおよびその他、2011年、ドーンおよびその他、2012年)。これは同様に、すでに最高速度もしくは最高に近い速度においてランニングを行う際、個人はさらにスプリント速度を向上する方法として、歩数頻度を使用するということを示唆している。 個人間 幾人かの研究者たちは、個人間における歩数頻度およびスプリントパフォーマンスの間に有益な関係が存在すると報告している。(マンおよびハーマン、1985年、モリンおよびその他、2012年)マンおよびハーマン(1985年)は、オリンピック200mの際の1位、2位、8位の間の差違は、歩数頻度と有意な相関関係があったということを報告している。しかしながら、他の研究者たちはこの関係を発見していない。(ハンターおよびその他、2004年b、ブリューゲリおよびその他、2011年、ロッキーおよびその他、2013年)。ゆえに、1個人を他の個人と比較した場合、より高い歩数頻度が必ずしもより速いスプリントパフォーマンスと関係があるか否かは、現在のところ明確ではない。この関係性の欠如は、より長い脚を持つアスリートは低い歩数頻度を使用することが可能であるというように、人体測定学における差違により引き起こされているようである。これは、テイラーおよびベネキ(2012年)により提供された、2009年の世界陸上大会決勝100mの分析においてみることができる。彼らは、ウサイン・ボルトは60-80mのスプリットにおいてより速かったにもかかわらず、彼はタイソン・ゲイ(4.96Hz)およびアサファ・パウェル(4.74Hz)と比較し、最も低い歩数頻度 (4.49Hz)であり、これは彼の歩幅が長かったためであったということを観察している。
なぜ両膝立ちなのか? パート2/2
このポジションホールドをしている最中にまず行わなければならないのは、経験をするということです。――障害や問題がどこに存在しているのかを気づかせてくれます。この静的なホールドができたら、頭を回し首の可動域を調べてみます。目で動きをリードするようにして、ケトルベルや両肩を動かさないように、振り向ける限り後ろを見てみます。 両サイドでこれを行い、左右ほぼ等しいと感じたならば次に進みます。左右等しくなく、痛みを感じたならば、中止します。ほとんどのトレーニングをはるかに下回る強度で、すでに痛みがある場合、検査を受けた方が賢明でしょう。 では、首がこわばっていて一方にだけ回旋しにくい場合、これまでに呼吸について学習してきたすべてのことをここで応用できます。 呼吸をゆっくり行うようにします。 吸う息よりも吐く息をずっと長く行うようにします。 吐く息でさらに可動性を広げ、吸う息で元の姿勢に戻します。 そしてもう一度、数回動いてみましょう。 “何でこんなに硬いのか?”と問いかける頃には既に、呼吸を行うだけでかなりほぐれてるかもしれません。 硬いのは、しばらくその方向に動かしていなかったからかもしれません。または、コンピューターの画面を左に置いて仕事をしていたからかもしれません。実際のところ原因は分かりませんし、質問する暇もなく5分ほどでほぐれてくるのであればそれほど重要ではありません。質問ばかりしていないで動いてみましょう。 次に、これまでとまったく同じ動きに肩の回旋を加えます。左右対称でなければ回旋が少ない側のトレーニングをします。もし痛みが伴うようであれば、痛みの原因を探ってみます。最後に頭と肩、そしてケトルベルを順に回旋します。股関節の位置を変えずに肩を可動域の最大限まで回旋します。 可動域の最終に達すると呼吸が楽にできなくなります。1インチ(2.5cm)ほど手前で動き、呼吸を何回か繰り返します。たいてい片側で“これ以上このポジションをキープしたくない”と感じるでしょう。それは、ちょうど誰かに締め付けられているような感じで、深い呼吸がしにくくなります。不快であるというより、不自然と感じるでしょう。 もし、この感覚を痛みと区別できるのであれば、そのポジションであと数回の呼吸をしても害はありませんね? パニック呼吸とは正反対のコントロールされた呼吸を約10回行った後、改善が少しでもあれば、さらに10回呼吸します。 両膝立ちで、フロントキャリーポジションができ、回旋が左右対称にできるようになったら、強度を上げていきます・・・ただし、重さを上げるわけではありません。 ケトルベルを身体の後ろに回し、常にケトルベルを床に押し付けるように持つことを覚えておきましょう。すべての異なるポジションを通して、床に押すようにホールドすることを忘れないようにします。特にケトルベルを後ろに回す時、肩をすくめる傾向がありますが、そうしないためにも床に押すようにすることが最良です。これは、肩をすくめないようにするためですが、ポジションを真っすぐにリセットするための対策でもあります。 ケトルベルを後ろに回したら、統合性を保ちながら股関節をできるだけ伸展できるように筋を収縮させます。腹筋と股関節屈筋群の活動が早すぎると、防御のために股関節を屈曲したくなるのです。不必要な緊張を持つことなしに統合性を得ることができます。 辛抱強く。時間をかけて。すぐにできるようになります(たぶん私たちにとってはすぐではないかもしれませんが)。無理に行っているからではなく、時間をかけて呼吸が楽になるにつぃれて、統合性も良くなるからです。 投手やゴルファーを考えてみてください――片側に偏ったアスリートです。彼らには、まだ試したことのない可動性があります。彼らには姿勢を矯正するようなエクササイズを薦め、正常な姿勢の統合性を取り戻すようにします。 このような姿勢はリセットされるべきで、どんなときも必ず中心を取り戻すようにします。両側で複雑な動きをする必要はありません。両側の基本的な動きで十分です。これは、呼吸や胸椎の可動性を確認するとてもよいチャンスです。 両膝立ちのホールドの後、プレスや肩のトレーニングがよくなったと感じる人もいます。これは、ヤンダの上位交差症候群で確認できます。下位交差症候群では、腹筋群が働かない不足分を股関節の屈筋群がどのように補ったり、臀筋群が働かない不足分を腰の筋群がどのように補ったりするのかを説明しています。 同様のことは、上半身でも起こります。統合性がなければ、肩をすくめてばかりで、僧帽筋や首を不適切に使ってしまいます。しかし、この膝立ちのホールドポジションを保つにはアライメントが重要なのです。アライメントが崩れていると、きちんと行うことができません。アライメントが整っていれば、 “たいしたことないよね?” と、周りを見て言うことでしょう。 姿勢筋は1日中ずっと活動していることを忘れないでください。姿勢筋がアライメントを制御する一方で、主導筋は関節角度を変え、こうしてパターンを作り出しているのです。姿勢筋と主導筋が共にに働けば、効率よく動くことができます。両方がなければ効率性は得られません。まずは姿勢筋のトレーニングで、その次にパターンを構成する筋群です。 これらのポジションで胸椎の可動性を調べます。胸椎の右と左への回旋が、より対称に近づいたら、胸椎の伸展が改善したことになり、肩甲骨の安定や腕を頭上に上げることが楽にできるようになります。 もし、オーバーヘッド動作を行っている時に肩の統合性や腰椎のアライメント、骨盤の高さが整っていないのであれば、両膝立ちホールドをすることによってターキッシュゲットアップやミリタリープレスをより向上させることができるでしょう。大腿四頭筋やハムストリングスの活動やしっかりとした強い足と足首を除外したうえで、膝立ちしてみて何が残っているか見てみましょう。 とても力がある人にとって両膝立ちは、謙虚であり屈辱的なこともあるポジションです。それでも、しっかりと注目し、呼吸を活用すれば、ただのエクササイズではなく経験をすることができるでしょう。
なぜ両膝立ちなのか? パート1/2
私がなぜニーリングホールド(膝立ち姿勢の保持)を開発したか、どのようにその利用が功を奏したか、どういう場面で役に立つのかという背景をここで説明しましょう。 まず初めに、私たちはこれまでの長い間、両膝立ちや片膝立ち動作をコレクティブエクササイズとして利用してきました。なぜか? このポジションはパターンと同じ位に重要だからです。ポジションは姿勢を構成し、パターンは動きを構成します。 ポジションと姿勢には統合性が必要であり、動きのパターンには経済性、または効率性が要求されます。しかし、姿勢を考慮することを忘れ、パターンにばかり関心が寄せられていることに、私は気づきました。 動きのパターンの合間にとる姿勢やポジションは、ちょうど音と音の間に起こる空白のようではありませんか? もし音がすべてつながっていたならば、はっきりと音は聞こえてきません。もしすべてが空白であれば、何も聞こえません。 静と動のブレンドが、実は動きのパターンを形成するのです。 私見ではありますが、膝立ちをすることが重要な理由は、生活の中で不可欠だからではなく、これが四つん這いやローリングパターンよりも重要であると思うからです。もし、ローリングパターンをリセットする必要がある場合や、簡単な腰部のエクササイズ、また時にはベアークロールのように複雑なエクササイズをして、しばし四つん這いの姿勢で脊椎に負荷がかからないようにする必要がある場合はよいのですが、発達段階において両膝立ちは、脊椎に実質的に荷重がかかる最初の動作なのです。 幼児が床をハイハイするのを観察してみてください。彼らがハイハイからいきなりスクワットをすることはありません。まずは、膝立ちを試みて、たくさん膝で立つことによってコアや安定性に照準を合わせます。足首や足部、膝はまだここでは大きな役割を果たしていません。主に働いているのは股関節、骨盤、脊椎、体幹といったコアです。腕は補助的に使われ体重を支えたりバランスをとったりします。 これらの膝立ち姿勢は素晴らしくもあり、謙虚でもあります。両足で立つ状態でなくなると、間違いが見つけやすくなります。世界中の多くの宗教で、ある種の膝立ち、もしくは服従姿勢があるのはそれが理由かもしれません。 たとえば、ある立位の姿勢で、両足で立っている時には上手く姿勢がとれていないが、膝立ちでは素晴らしく姿勢が良いとします。だとすれば、少し演繹的に推論してみましょう。もしかしたら、大きな問題が膝より上ではなく膝より下に潜在しているのかもしれません。しかし、もし立位で問題が隠れていて見えず、膝立ちになった時に表面化した場合、問題は‘股関節’にある、‘コア’にある、そして‘安定性’にあると考えます。 両膝立ちの姿勢は、股関節や脊椎、上部胸椎をターゲットにする最善の方法です。 両膝立ち この特定のドリルにおける両膝立ちでは、両膝が広く開いていることが重要です。そうすることで土台がそれほど安定していなければ試すことができないような(補助輪のようなものです)動きを試すことができます。そうすれば楽になるということではなく、実際には、とてもやりがいがあるものです。 両膝立ちでは、能動的機能不全(主導筋がもうこれ以上短縮できない時)と受動的機能不全(拮抗筋がもうこれ以上伸張できない時)が起こります。これらの定義を考えてみましょう。大腿四頭筋が伸ばされすぎてしっかり働くことができない時やハムストリングスが短縮しすぎていてしっかり働くことができない時は、臀筋群や骨盤、腹筋群を使うしかありません。ブラディミア・ヤンダが述べている下位交差症候群を、ここでの動きの中で試してみたいと思います。 まずケトルベルを正面に持ち、それから自分の身体の後ろに回します。ここで大きな注意点があります: もし、ファンクショナルムーブメントスクリーンで肩の可動性またはアクティブストレートレッグレイズが‘1’だった場合、それは、運動制御や安定性のトレーニングに可動性の問題を持ち込むことを意味するのです。 そうしないように。 なぜそれが問題なのか? 可動性が不足しているということは、感覚が遮断されており、このエクササイズでは、ありったけの感覚情報を処理する方法を最大限に引き出すように要求するからです。 もし数分間のフォームローリングやちょっとしたストレッチでより多くの感覚情報が得られるのであれば、なぜそんなに不完全な情報を処理しようとするのでしょうか? 股関節の伸展角度でたった3~4度の変化でも、新しいポジションでの運動制御のためのトレーニングできる負荷を追加することになります。 これはウォームアップでもあり、スーパーセットでもあります。トレーニングの開始や終了時に、このように股関節が伸展位で腰椎が真っすぐになるポジションでも、コアの姿勢やポジションにある程度の統合性があることを確認する最適な手段です。 両膝立ちをもっと詳しく見てみると、三角形の姿勢になっています――足は内側に向け、膝は楽な範囲で大きく広げます。きつくなるぐらい広げても構いませんが、股関節はしっかり伸展位になっている必要があります。正面でケトルベルを持ち上げるところから始めます。そして、単にそれを1~2分間ホールドしていられるかやってみます。頑張ってみましょう。両肩を下げ、ケトルベルを常に床に押すようにします。こうすれば、自分の中心を意識することができるでしょう。 約1分間その姿勢のままでいると、かなりの負荷を感じます。肩をすぼめたり、ケトルベルをきつく握りすぎたりしてはいけません。この点においては、常に効率的であってほしいのです。そうすれば、“必死になってケトルベルを10分間ホールドしてください”と指示することができますし、みなさんにはそれをできるようになってもらいたいのです。みなさんをグッタリさせようというわけではありません。グッタリする人がいたとしても、それを意図しているのではありません。
筋が張っていると感じるのはなぜ? パート2/2
筋の緊張にどのように対処すればいいか? (続き) 単純に張りを感じるケースのほとんどの場合、原因ははっきりしています。長時間同じ姿勢で固まっていたり同じ動きを繰り返したりしていると、部位によっては侵害疼痛を引き起こす血流不足や代謝ストレスを緩和させるために姿勢を変えたり筋の休息が必要となります。たとえば、車または飛行機の中やパソコンの前で何時間も過ごすとします。本能的に、ストレッチをしたり動いたりせずにはいられなくなります。そうすることにより、たいてい張り感や不快感は軽くなります。 当然のことながら慢性の張りを訴えるクライアントの多くは、このような簡単な対策はすでに試していて効果が得られなくなっています。張り感は何時間も何日もずっと続いたり、いつでも構わず現れたり消えたりし、姿勢や動きとの関係は少ないようです。 このようなケースでは不快感の要因は、その部位への血流を増やそうとする必要性に応じて末梢性または中枢性感作になる神経系がより深く関与しているのかもしれません。これらは、局部的な炎症、副腎感受性、後角の感受性の上昇を通して起こりうることで、もしかしたら、ある特定の環境(たとえばコンピューター)とある特定の感覚(最悪の気分)の結びつきを学習したことによって起こるのかもしれません。 では、どのようにこの感受性を下げればよいのでしょうか? この質問に対する簡単な回答はありません。もしあるのであれば、慢性疼痛の問題はすでに解決されているはずですが、まだ誰もどうすればよいか分からないのです。しかし、仮に張り感が痛みの軽症型であるという私の考えが正しければ、その扱いは少し楽になるはずです。 慢性の張り感に取り組むためによく使用されるいくつかの方法を下記に列挙します。そして、各方法について上記に述べてきた観点からの考察を添えています。推奨しているいくつかの事柄は多くの人が行っていることと正反対であることに気がつくでしょう。 ストレッチ 私たちは、しばらく縮めていた筋を本能的にストレッチし、それはたいてい瞬時に楽にしてくれます。 しかし前述のように、慢性の張りに苦しんでいる多くの人は、すでにこれを試みており解決には至っていません。このことは、悪い力学というよりは感受性の亢進の問題であるということを示唆しています。 ここで問題になるのは、簡単なストレッチが効かないならばもっと激しいプログラムが必要であると多くの人や多くのセラピストさえも考えてしまうことです。 このどうしようもない股関節屈筋群はまだ張っている感じがする。 これは、もし問題の根源が組織の短縮や癒着であれば理解できます。しかし、もし問題の根源が実際は感受性の上昇であれば、激しいストレッチはかえって問題を悪化させてしまうかもしれません。一方で、ストレッチは鎮痛や弛緩作用があるとされています。 結局、ストレッチは張りを治す良い方法でしょうか? 何事も共通して言えますが、もし気持ち良いのであればやってみればいいし、そうでなければやめればいいというのが私の考えです。 張りに対する軟部組織アプローチ 短縮した軟部組織を伸ばしたり、癒着を剥がしたり、筋膜を緩めることなどを目的にする多種多様の軟部組織治療(深部組織マッサージ、フォームロール、グラストン、ART、IASTM)が存在します。これはほぼ不可能であることは、私も他の多くの人たちも指摘しています。 しかし、これらの療法で感受性を下げ、張り感を軽減することはできるでしょうか? 当然、侵害刺激の下行性抑制を活発化させることにより軽減できます。これは、健康利益をもたらすと期待される疼痛刺激の効果として広く知られています。 しかし、もちろんこれらの療法自体が侵害刺激を生み出し、感受性を上昇させてしまう傾向もあるのです。個人のもつ体質やその他さまざまな要素による絶妙なバランスです。繰り返しますが、もし気持ち良いのであればやってみればよいのです。これはひとつの選択肢であって必須ではありません。一時的なものであり、実施する理由を忘れないでいるべきです。 筋の張りのための運動制御 さまざまな種類の運動療法は、基本的に運動制御へのアプローチです。つまり、動きや姿勢、呼吸パターンを改善することにより、より効率よくなり、ずっと居座り続ける緊張を取り除き、弛緩方法などを修得します。 習慣を変えることは難しいですが、特に緊張が特定の姿勢や動きに関係するような時には、この対策は試す価値があります。もちろん、状況がより複雑であれば、運動制御のみで問題を解決するとは期待できません。 エクササイズとレジスタンストレーニング ストレングストレーニングを筋の緊張と関連づける傾向があります。エクササイズの最中に筋はもちろんかなりの緊張状態になります。遅発性筋肉痛により次の日になって身体のこわばりを感じる人もいるでしょう。ストレングストレーニングが筋を短縮させ柔軟性を低下させるという(誤った)考え方もあります。 これらは、根も葉もない話です。実際、全可動域を使ったストレングストレーニングは、おらくストレッチ以上に柔軟性を増加させます。筋内の局部的な適応が起こることで、持久力を向上し、代謝ストレスに耐え易くすることもできます。また、エクササイズには鎮痛効果もあり、神経系を過敏にする炎症を抑えることもできます。 個人的な逸話になりますが、私がヨガを行っていた頃、今よりもっと柔軟性がありましたが、常にハムストリングスは張っていると感じていました。その後、ヨガをやめケトルベルスウィングをかなりやり始めました。私の前屈はやや減り、ハムストリングスをかなり使っていたにもかかわらずハムストリングスの張り感は消えていました。その代わりに得たのは機能的な強さと能力の感覚です。これが、ハムストリングスが伸ばされることに関する危機感を減らしたのではないかと思います。 もちろん、ストレングストレーニングで筋を酷使した後、回復させなければ、それらは過敏になり、こわばり、痛くなります。しかし、適切なトレーニング量(適応が起きるのに十分であり、また完全な回復を妨げたりケガを引き起こしたりしない程度)であれば、より健康的で強くなれるでしょう。そうです、もちろんこわばりも少なくなります。 結論 こわばりを感じたならば、それは単なる感覚であり、積極的な構造的解決が必要な組織の短縮という物理的状態では必ずしもないこと覚えておいてください。他の感覚と同様に、過敏であればより強く感じることになります。また、他の種類の感受性と同じように、体調全般や筋力、気づき、運動制御、健康を改善すれば感受性も下がるでしょう。
筋が張っていると感じるのはなぜ? パート1/2
なぜ筋が張っているように感じるのでしょうか? それは筋が短いということ? リラックスできないということ? 私たちはこれに対して何ができるのでしょうか? 筋が張っていると感じる理由とその対応の仕方について、いくつかの私見を紹介します。 張りは力学的状態だけではなく感覚である 誰かが、ある部位に張りを感じると言う場合、異なるいくつかの訴えを指しているかもしれませんから、それを探るように心がけます。 可動域の悪さのことを言っているのか? または、可動域は正常でも動きの最終域で違和感を覚えるのか、それとも動かすために余計な力が必要なのか。 または、実際の問題は動きにあるわけではなく、その部位がまったく弛緩してくれないかんじがあるのかもしれません。 もしくは、その部位は基本的に弛緩しているにもかかわらず、はっきりしない違和感、つまり痛みとまでは言えない不快感があるのかもしれません。 この曖昧さは、張っていると感じるのは単なる感覚であって、過度の緊張やこわばり、短縮という物理的または力学的性質ではないということを意味しています。これら一方がなくてももう一方が存在することもあり得るのです。 たとえば、ハムストリングの張り感を訴えるクライアントが大勢いますが、前屈してみると簡単に手の平を床につけることができるのです。一方、ハムストリングに張り感をまったく感じなくても、前屈してみると手が膝すら越えることができないクライアントもいます。張り感は可動域の正確な測定にはなり得ません。 また、筋の実際の緊張や硬さ、または“こり”の存在を正確に反映しているわけでもありません。クライアントが張っていると感じている部位を私が触診すると(仮に上部僧帽筋とします)、たいてい彼らは「すごく張っているのが分かりますか?!」訊ねてきます。 たいてい私は次のように言います: うーん・・・いいえ、周りの組織と同じ感じですよ。 そうは言っても、その部位が張ったように感じて不快な思いをされていることは十分理解しています。 私も張り感は好きではありませんので、それを改善するお手伝いをしたいのです。しかし、張り感があるということは、ある部位が本当に物理的に張っているということとは異なるのです。このことは納得していただけますね? 実際、ほとんどの人は納得してくれます。そしていささか興味深く思うでしょう。みなさんにこのことを理解してもらいたいのです。なぜなら、張りを治すつもりですでに立てた見当違いの計画、つまり強引なストレッチや筋膜の圧壊、癒着剥離などを再検討するきっかけになるかもしれないからです。そうすれば、ラクロスボールを胸郭の途中まで押し付けるようなことよりも、もう少し控えめなアプローチを考慮したいと思うでしょう。 筋は実際張っていないのに、なぜ張り感を感じるのか? では、筋は物理的に弛緩しているにも関わらず、なぜ張り感を感じるのでしょうか? 例えとして、痛みをとりあげられると思います。組織の損傷がなくても痛みが存在することがあります。なぜなら、痛みは脅威の知覚から生まれ、その知覚は必ずしも現実と一致するとは限らないからです。痛みは本来、警告であり、そこに本当の危険が存在しなくても作動してしまうことがあるのです。 同様の論理が張り感にも通用するかもしれません。その感覚は、身を脅かす状況が筋に起きていて、動きを正す必要があるということを無意識に私たちが知覚している時(それが正しいか間違っているかは別に)発生します。 では、この張り感が私たちに警告しようとする身を脅かすような状況とは何でしょうか? 確かに、緊張があるということだけではないようです。むしろ筋は緊張を作り出すようにできています。また、筋がほぼ完全に弛緩しているにも関わらず、筋に張り感を覚えることがしばしばあります。 ですから、緊張自体は身を脅かすものではなく、適切な休息や血流の欠如こそが、身を脅かすもので、それが代謝的負荷を起こしたり侵害受容器を化学的に活性化してしまったりすることがあります。張り感が私たちに警告しようとしているのは、緊張の存在ではなくて、緊張の頻度または血流不足(特に血液を必要とする神経において)なのです。 私はこの点を考慮して、張り感とは、痛みとまで呼べない軽い痛み、つまり痛みのバリエーションとしてとらえています。実に煩わしいものです。そして張り感には、明らかな特性や特徴があり、休息中の姿勢を変えてみたり、体を動かしてみたり、ストレッチしてみたりなどの動機を与えます。これは、じっとして動かないようにしていようと思わせる痛みは異なります。おそらく、痛みはその部位を動かすなという警告で、張り感は動きなさいという警告といえるのかもしれません。 筋の緊張にどのように対処すればいいか? 身が脅かされていると神経系に知覚させる多くの“入力”、つまり痛覚や思考、感情、記憶などのひとつを変えることによって、痛みを治療するのと同じように張り感も治療できると考えます。 痛みのなかには、動きや姿勢の癖との関連性がとても明らかなものがあります。これは「こうすると痛いです。そして、もっとこうするとさらに痛くなります。これをしなくなれば、痛みも減ります」などと言われれば分かりやすく、このような場合には、動きや姿勢を改善することによって、痛み(動きによって起こる機械的侵害疼痛)の主な要因を減らせるため効果的であることが多いのです。 一方、ほかにも痛みの原因はたくさんあります。特にもっと複雑な慢性疼痛では、痛みが特定の動きや姿勢にさほど関係しない代わりに、時間帯や睡眠時間、情緒状態、ストレスレベル、食事、日々の運動、あるいは原因不明な要因の変動に関係します。このような時は、動きによって起きる機械的侵害疼痛が痛みの主な要因ではなさそうです。それよりも末梢性と中枢性の感作がより関与している可能性があります。 張り感についても同じように捉えることができると思います。
熟練 パート2/2
ムーブメントスクリーンを紹介すると、エクササイズの専門家の多くは、とても躍起になって、動きの完璧さを求め、動きが完璧でない限り負荷やストレスについては考慮しません。これは決して私たちが伝えようとしたことではないのです。 私たちは、最低限の到達レベルと動きの障害に対する戦略的注目について主張してきましたが、多くの人々は、ムーブメントスクリーンを、きついワークアウトや、抵抗、衝撃、三面的動きを体系的に減らすことに使いました。人間の身体を腫れ物に触るように扱い、詳細なコレクティブエクササイズを使って、恐らくは正す必要のない動きまで矯正しようとしていました。 これは残念なことです。なぜなら私たちは、生まれたその日から、決して完璧に動いたことはないからです。将来も、私たちが完璧に動くことはないでしょう。私たちには常に改善できる何か小さなことがあり、ここで問いかけなければいけないのは、「それは障害なのか?」ということです。動作不全は、あなたが到達したいレベルへの前進を妨げていますか? ムーブメントスクリーンに問題がないなら、何か別の問題があるかもしれません。それが私の最後のポイントに繋がります。 全てを正しく行っているとすれば-正確なムーブメントスクリーンができ、根元的な医学的問題も何もないが、クライアントやアスリートにコレクティブエクササイズがうまく働いていないとすれば、するべきことは一つです。 身体に、進行中の医学的問題や構造的異常の既往歴がない状態で、特定のパターンに焦点をおいて、正確に実行されたムーブメントスクリーンの戦略が効果を発揮していないとすれば、そこにはまだ、適応されるべき論法があります。 もしかしたら、環境? グレッグ・ローズと私は、この夏、パフォームベターと共にアメリカ合衆国の異なるタイムゾーンに渡ってツアーをし、Three Principles You Can Apply to Any Movement (どんな動きにも応用できる3つの原則)という、環境から生命体を離すことを徹底的に調べた内容で、カンファレンス前のシンポジウムを行いました。生命体に関わる仕事をする私達は、生命体そのものを問題にしがちです。 私たちは理学療法士であり、カイロプラクターであり、アスレチックトレーナーであり、そして医者です。私たちの前に、戦略的に環境を設計して、人々の身体的概要を形成し、決定づけたのは、コーチ、トレーナー、インストラクター、そして戦術的、および、技術的達人たちです。 私たちが行っていることが環境設計のみであれば、その環境に反応していない生命体が存在するにもかかわらず、私たちは環境設計を続けるでしょう。同様に、環境よりも生物に馴染みのある人々は、環境が壊れていても常に生命体を手直ししようとするでしょう。 グレッグと私は、非常に生物科学的側面からこの課題にアプローチしました。患者やクライアント、そしてアスリートを生命体と呼ぶことは恐らく適切ではないでしょう。そして、我々が触れる全てのものを環境として単純化することは、単純化しすぎです。しかし、ここは私に合わせて、科学的になってみましょう。 動きの健康が確立されていても、動きの機能、環境との相互作用、動きの能力が損なわれてしまっているとすれば、あなたは誤った方向に順応し始める環境に身を置いてしまっている(あるいは誰かに置かされてしまっている)かもしれません。 骨棘、腱炎硬化、機能的脊柱側湾、足底筋膜炎などはすべて誤った方向への順化です。忘れないでください、疲労骨折の一番の原因は人間の脳なのです。自然界において疲労骨折はめったにありません。人間の脳だけが構造的枠組みに疲労骨折を起こすほど愚かなのです。なぜでしょう?量を追求する前に、質を求める尺度がないからです。そのくらい単純なことなのです。 本の通りにすべてを行ったとすれば、-ムーブメントスクリーンがとても良くて、スコアリングも正しく、コレクティブエクササイズの処方も素晴らしいのであれば、原因はあなたにはないかもしれません。あなたは、目の前にいるその人にできる全てのことをしているのかもしれません。あなたがまだ行っていないことは、環境をチャレンジングにすることなのかもしれません。もし彼らが、合計2時間の睡眠で、レム睡眠のサイクルを1回しか得ていないとすれば、身体化学、休息、再生は完全に虐げられています。 もし、彼らの食生活がとても偏っていたり、完全に間違ったサプリメントを摂取しているのなら、感情ストレスがとんでもなく高かったり、目標が現在の能力からかけ離れたものであったり、ワークアウトの指標が、弱点とは180度間逆の方向に向けられているとすれば、問題を正すより、より複雑な状況にしているかもしれません。 次回あなたが、コレクティブエクササイズがもう少し早く効果を発揮しないかと悩むことがあれば、まずは正しいコレクティブエクササイズを行っているかを確認し、次に正しい土壌に種を蒔いているかを確認してください。以前、記事で、農夫は種の質のみに専念しているわけではないというのがありました。農夫は土壌の質にも注意を払っています。生命体を環境から切り離して考えることは絶対にできません。 西洋の医学モデルはそれを試みました。医者が生活習慣を問題にすることはほぼなく、するときは、月並みなきまり文句として、「タバコをやめろ」「体重を減らせ」と言うだけで、誰も直接的な行動はできませんでした。ですから薬を処方するだけの方が、簡単だったのです。健康に相関する数字を探してくれば、合成的にその数字を作って、その数字の効果や生物学的マーカーを減らしますよと。 生命体と環境を同じ硬貨の2つの側面として考えるようにしてみてください。たとえその片面しか見ていなくても、もう一つの面が確実に存在し、その二つを分けることはできないことをよく理解してください。熟練したコーチになりたいのなら、熟練したコーチを模範としてください。コレクティブエクササイズに精通したいのなら、見落としているものがないか十分に確かめてください。 コレクティブエクササイズにおいて、見落とされがちなトップ3の障害は以下の通りです。 不適切に処置されている、あるいは誤って診断されている根源的な医学的問題 機能レベルとフィットネスの独立性と持続性を困難にする休息と再生の習慣 機能的フィードバックのループを度外視して、短期的、またはプロトコール優先になり、実際には問題を複雑化させているワークアウトとエクササイズプログラム
熟練 パート1/2
コーチングの熟練は芸術です。それは、何をすべきかを知っていることと同時に、何をせぬべきかを知っているということです。 コレクティブエクササイズを指導し、利用することは、全くもって新しい取り組みです。ここで、全くもって新しい、という表現を使っているのは、おそらく歴史上、現代の私たちが最も多くの動作不全を認識しているからです。現代社会における私たちの身体的退化は、多くの人たちから指摘されてきました。私たちは、いまだかつてないほどに運動不足で、動作不全は問題となっています。 従来のコーチング法では、うまくいかないことがありますが、それはそのコーチング法が悪いからではありません。これらのコーチング法は、機能不全に悩まされている人々を対象にはしていませんでした。または、その機能不全は最小限で、優良なコーチング戦略(そしておそらく次のステップを紹介する必要もない)が、システムに過剰負荷がかかることを防ぐのに十分だった可能性もあります。 もう一つ、考慮するべき重要なことがあります。西洋社会は、忍耐強くありません。従来の身体のコンディショニングは、個人個人が常に、自立、才覚、決意、とりわけ忍耐を振り絞って行われるものでした。 私たちはもはや、こういった資質を持っていないことが多く、中でも忍耐は最も大きな欠損です。その欠損に、より大きくなった機能不全が加わると、「ワークアウトをできるような状況にはとてもなれない。矯正するべきことが山のようにある。」ということになるのです。 これが、私たちがファンクショナルムーブメントスクリーンを紹介したときに経験した事実でした。私たちが最も避けたいことは、人々の、身体文化に対する熱心な追求、スポーツへの情熱、身体、そして身体的なライフスタイルを再編する必要性を損なわせてしまうことです。 ファンクショナルムーブメントスクリーンの創設者達はそれぞれ、身体文化に関して多大な献身をしてきています。私たちは、ワークアウトを前進させたいと願っています。アスリート達にさらに漸進してほしいと考えています。人々が賢く楽しむことができる若いときの身体を取り戻してほしいと願っています…しかし、その理想は、必ずしも私たちが最初に経験したことではありませんでした。私たちが鏡を、観点を、機能の測定法を提供したとき、世界は唖然としていました。 人々の動きがこんなに良くないなんてありえない。 あなたが目の検査票を、世の中に最初に紹介した人だと想像してください。どれくらいの人が、認識していたよりも少ない視覚しかない生活に苦しんでいたかを垣間見ることができたでしょう。それを理解していれば、個人間の意思疎通の失敗や、貧しい決断を、今より理解できるようになるかもしれません。フィルターが曇っているため、彼らにとっては視覚にたよるもの全てが困難になるのです。 動作に関してはどうでしょう? 私たちが、ムーブメントスクリーンを紹介すると、始めは反発を受けます。なぜでしょう?それは、多くの人々が下降状態にあり、動きのスキルが非常に長い期間にわたって、浸食されてきているからです。これはとても悲惨な発見ですが、機能不全に対してしっかりしたフィルターを紹介すれば、必ず直面することです。 ここで、コレクティブエクササイズが助けとなります。コンディショニングではなく、エクササイズと自助努力に的を絞り、与えられたパターンの中で最低限必要な動きの質を取り戻すのです。まずこれができなければ、身体のことを学び、再編する旅路の障害となり、また、それ以上のことは、競争的優位を与えるかもしれないし、与えないかもしれません。全ては、あなたが何を目指しているか次第でしょう。 動きの質を考えるときには、最小限の要求で済みますが、環境によっては、さらに上のレベルのパフォーマンスが求められます。ファンクショナルムーブメントスクリーンは、各パターンにおける最低限必要な動きの質を保ち、認識や動作経験のフィードバックを変える質の悪いフィルターによる不利益なしに、動作を自然な生物学的資源、環境資源によって形作ることを可能にします。 あなたが視力検査でかなり悪い結果をだし、メガネを与えられても、結果が変わらないとすれば、そこでの最初の仮説は、問題がより複雑であるとか、あなたが頑張っていないとかではないでしょう。多分、正しい処方箋が与えられていなかったのです。その場合は、視力検査票と視力矯正の知識を駆使して、あなたの視力がそれまでよりも格段に良くなり、良くなったことをあなた自身が客観的にわかるメガネを与えるようにします。 ですから基準がとても大切なのです。 コレクティブエクササイズのフィードバックループもこれと同様です。コレクティブエクササイズを提供するとき、そのエクササイズは、あなたのために戦略的にデザインされたものです。ルールに従い、スコアを適切に用いれば、驚くほど短時間で、劇的に動きが改善されます。 短い期間というのは、残念ながら相対的なものです。あなたが、ごく最近、動きの低下を経験しているのであれば、矯正にはあまり時間がかからないかもしれません。でももし人生の3分の1の期間、動きに問題を抱えているとすれば、コレクティブエクササイズがあなたの動きの全体像を再建、再構築し始めるまでに、一ヶ月か二ヶ月は待ってほしいとお願いするでしょう。辛抱強く続けてください。
片脚トレーニングにおける5つの利点 パート2/2
#3 – 抑制 私がスプリットスタンスエクササイズを好んで使用するもう1つの主な理由として、抑制があります。 我々のゴールはコアを“シリンダー”のようなポジション安定させることです:胸郭下部が下がり、骨盤は上を向きます。この姿勢では、横隔膜と骨盤底がお互いに向き合い、身体全身で空気の流れを最適な状態にすることができるポジションになります。 しかし、多くのアスリートは、開いたはさみような姿勢で歩き回っています。胸郭下部は上方向に広がり、骨盤は前傾したポジションにあります。 私たちはこの状態を過剰膨張とも呼びますが、さらにシンプルには、伸展位姿勢とも呼びます。 これは筋肉的にも問題を引き起こします。股関節屈筋群や背中の筋肉群は常に“オン”の状態になり、身体に次の呼吸を引き込もうとします。 この伸展位姿勢に取り組むためには、呼吸の機能不全自体のみでなく、異なった身体のポジションにおいても、“シリンダー”を選手が維持できるようにチャレンジすることにも目を向けなければなりません。 正しく行えれば、スプリントスクワット、ランジ、後ろ足挙上/ブルガリアンスプリットスクワットのようなスプリットスタンスのエクササイズは“後ろ”脚の大腿直筋を抑制し、我々のエクササイズのなかでも、それらを効果的なものにしています。 ここでのフォーカスは、その実行です。かなり高頻度で、選手に足を大きく前後に開かせているのを目にしますが、それでは選手をさらに伸展方向に導いてしまいます(前方関節包も伸張しますが、その話については後日にします)。 そうではなく、中程度の幅に足を開き、前足裏全体を感じつつ、同時に肋骨を下に、骨盤を上向きの位置に維持できるようにします。 これは信じられないくらい単純なことかもしれませんが、選手にこの方法を正しく行わせることができれば、想像している以上にかなり厳しいチャレンジになるでしょう。 #4 – 環境 ずいぶん前にIFASTにおいて、ニック・ウィンクルマンがウォールスプリントドリルをなぜ好むのかについて話をしていました。そのドリル自体がかなり好きだということではなく、選手に加速時の姿勢を教えるための環境を造り出してくれるからだということでした。 個人的に片側性のエクササイズが好きな理由の1つとして、低負荷の環境でアスリートをコーチングできる機会を与えてくれるということあります。 スクワットやデッドリフトのような高重量のトレーニングに関しては、使用している重さのほうにすぐに夢中になってしまいがちです。 技術が正確であったとしても、動きを教える最良の機会を与えてはくれません。 一方で、片側性エクササイズは通常低負荷であり、特異的な姿勢やポジション、あるいは、概念(例えば、重心を改善する)でエクササイズすることができ、選手にすでに備わっている運動能力をより引き出させることが可能になります。 例えば、“足裏全体”という概念について話すことが最近多くあります。これらのパターンは、システムのなかで身体に組み込まれているために、スクワットやデッドリフトのような大きな動きのパターンのなかでチュ木するのはかなり難しいものです。 しかし、クライアントにオフセットのスクワット(ビデオももうすぐ発表です!)、あるいは、ステップアップを行わせることで、彼らに簡単にその概念を獲得させることができます。 コーチとしての私の目標は、まずアスリートの動きを上達させることであり、片側性エクササイズはそれを達成するための絶好の機会なのです。 #5 – 可変性 運動能力の向上に関して、スポーツは3つの面における動きで行われるということは皆知っています。 しかし、ウエイトルームにおいては、スクワットやデッドリフトのような高重量で複合的なトレーニングに夢中になりがちです。 これらが、選手を大きく強くするための素晴らしい方法であるということは紛れもない事実です。 しかし、だからと言ってこれらが、ウエイトルームでするべき唯一のエクササイズであるということではありません。 つまり、多面での動きが起こるスポーツをするのに、ジムに行ったときには、なぜ1つの面(例えば、矢状面)での動きのみを選手にトレーニングさせるのでしょうか? 片側性のエクササイズは、動きの可変性や、多様な姿勢、ポジション、動きの面で自由に動くという能力を維持・体現させてくれます。 このことについての私の考えは:スポーツでは混沌としたことが起こります。誰かが私達に向かって走ってきて、妙な身体のポジションになってしまったり等。 こういった場面で、事態はかなり悪い方向に、急速に向かうことがありえます。 もしあなたが、矢状面でのトレーニングしか行っていないのであれば、かなり堅くこわばり、可動域の制限もあるでしょう。ハイレベルのパワーリフターを想像してください。彼らはパラレルのポジションからさらに下がって特異的な姿勢をとるのに“十分”な可動域を持っていますが、でも、それだけです。 この堅さや可動域制限は、彼らが、そのスポーツでの成功のために作り出した、特異的適応です。 しかし、アスリートは単なる強さだけではなく、様々な身体能力を必要とします。必要なときに曲げられる能力、多面で自由に動ける能力などを必要とするのです。 基本的に、動きに関しては、ある程度の余裕(あるいは、エラーの余地)が必要になります。 動きの可変性向上と安定性と制御の向上を組み合わせた時、片脚、スプリットスタンストレーニングの最大限の利点を得る事ができることは間違いないでしょう。 まとめ 片脚・スプリットスタンスのエクササイズには数々の利点があり、選手により高いレベルでのパフォーマンスを発揮させ、同時に、彼らの健康維持のための質を向上させてくれます。 質の高いプログラムの鍵は、両側性と片側性トレーニングの組み合わせ方を見つけることで、選手に両方のスタイルのトレーニングの効果を獲得させることです。
片脚トレーニングにおける5つの利点 パート1/2
片側性(片脚)トレーニン対両側性(両脚)トレーニングの討論は、ほぼ10年近く繰り広げられてきました。 あるグループでは、片脚トレーニングと両脚トレーニングは(すべての点において)同等であるとかなり本当に信じているコーチがいます。 一方で、選手に片脚スクワットやルーマニアンデッドリフトのようなサーカスのスタントをさせることなど考えもしないというコーチもいます。 だからなんなのでしょう? 片脚やスプリットスタンスのエクササイズは、トレーニングで一番大切なものでしょうか? そうでないのであれば、プログラムにどんな役割を持っているのでしょうか? 私の経験に基づくと、運動能力向上プログラムにおいて、これらのエクササイズの役割は確かにあります。片脚、あるいは、スプリントスタンスでのエクササイズをプログラムに含むべき5つの潜在的な理由をここに挙げます。 (注:読み進むにつれ、手短に表現するために、シングルレッグとスプリントスタンスエクササイズをそれぞれ“片側性”エクササイズと言及していきます。科学的に100%正しいのはわかっていますが、より良い執筆のためにその名前を使用することを許していただけると幸いです。) #1 – 筋力 まずはこれを片付けておきましょう。 両側性と片側性のエクササイズにおける筋力向上の効果を比較することはできません。それはまるでリンゴとオレンジを比べているようなものです。両脚でのエクササイズが常に勝るのです。 私は過去にこのことについて広範に話しています:基本的なバイオメカニクスは、両側性のエクササイズから片脚、あるいは、スプリンットスタンスのエクササイズに移行すれば、即座に主動筋の出力が低下することを教えてくれます。 支持基底面が狭くなるということは、主動筋の出力が下がり、固定筋の機能が上がるということを意味しています。 さらに、両側性のエクササイズでかかる負荷は、スポーツの活動中に見られるものにかなり似ています。そのため、今はその討論は一区切りさせようと思います。 しかし、そこにはメリットがありますから、それぞれの脚を独立して強化するという考え方を捨てることはしません。 運動制御プログラムは独特なものなので、片脚の状態で身体を強化する事は間違いなく有益であると考えます。 しかし、おそらくより重要な事として、私たちは完全な左右対称の生物ではないということは周知の事実でしょう。 身体内部構造、傷害、積み重ねてきた代償動作、あるいは、それぞれのスポーツのバックグラウンドによって、私たちは左右非対称なのです。 片側性トレーニングのもっとも大きな利点の1つは、それぞれの脚で独立して筋力強化することができるということなのです。両側で行うトレーニングと同程度の筋力をつけることができないとしても、それだけで価値がないということにはなりません。 そして事実、次の4つのポイントがスプリットスタンスや片脚エクササイズをするべきだと考える本当の理由になります。 #2 – 安定性 前述の通り、両側性から片側性のエクササイズへ移行すると、支持基底面(BOS)は小さくなります。 支持基底面が小さくなることで起こる問題は、高重量を動かすことができないということです。主動筋の出力が下がり、固定筋の機能が上がります。 次のシナリオを想像してみてください: あなたが背中にバーベルを背負って高重量のスプリットスクワットをしています。セットアップしようとすれば、常時倒れないようにバランスをとる努力をします。 セットアップを“ちょうどよく”しようとして、頻繁に足の位置を直そうとするでしょう。 まず、このことがまさに両側性のエクササイズと同等の負荷をこれらのエクササイズではかけることができないということです。ここでの主な目的はおもりを上げることではありません。ばたんを倒れないようにすることが目的なのです。 しかし、ここにこのエクササイズの本当に利点があります。 スプリットスタンスや片脚でのエクササイズをすることで、効率よく身体を安定させ、制御する方法を身につけさせることができます。 これはまた片側性のトレーニングに関して、特に早い段階では負荷に主な焦点を当てるべきではない理由です。繰り返しますが、負荷をかけたいのであれば、スクワットやデッドリフトのバリエーションのような両側性の高重量のトレーニングを使用します。 そうではなく、安定性と制御に焦点を当てたいのです。高重量のスクワットやデッドリフトのように魅惑的ではありませんが、選手の動きが良くなり、回復力が上がれば、結果は明白でしょう。 私の意見ですが、コア、股関節、膝関節、足関節、足部を効果的に安定させる方法を身につけることが、片側性トレーニングの大きな利点であり、見落とすべきではないのです。
血流制限トレーニングの背景 パート2/2
プログラムデザイン 多くのトレーニング戦略が血流制限トレーニングのための文献において報告されているが、1RMの20-30%の低相対負荷レジスタンストレーニングがおそらく最も一般的に使用されるトレーニング戦略であろう。ウォーキングエクササイズもまた、血流制限と共に一般的に使用されるエクササイズ方法である。ファーズおよびその他(2012年b)は、高負荷レジスタンスエクササイズを行うことが不可能な個人に対し、血流制限トレーニングを効果的な代替案として述べている。一方ホリウチおよびその他(2012年)は、血流制限トレーニングは、有酸素トレーニングおよび高負荷トレーニングの間の矛盾を克服する新しい手段であるかもしれないと示唆している。これは、血流制限トレーニングはストレングスおよび持久系のトレーニングを同時に始めるアスリートに対し、有益であるかもしれないということを示唆している。 安全性 序論 全てのレジスタンストレーニングと同様、血流制限に関連するリスクは存在する。一般的にレジスタンストレーニングに関するリスクは十分に理解されておらず、幅広く研究がなされていない。一般的なレジスタンストレーニングに関するリスクについての基準となる情報の欠如にもかかわらず、特に血流制限トレーニングに関し多くの懸念が示されている。 一般集団における使用 一般集団における血流制限トレーニングの使用は、比較的安全なようである。スコットおよびその他(2014年)は、血流制限の不適切な使用は、点状出血(ひどいあざなど)および目眩を含む有害な影響を引き起こす可能性があると結論付けている。しかしマーターおよびその他(2014年)は、血流制限トレーニング後の一部の健康に関するアンケートにおいて、有意な向上を発見している。しかし彼らは、いかなる臨床的証拠もいかなる有害事象に対する自己報告も発見しておらず、また彼らはいかなる検査パラメーター(クレアチンキナーゼおよびアルドラーゼ)における変化も観察してない。同様に、カラブルトおよびその他(2013年)は、6週間にわたる血流制限トレーニング後、安静時の血清中クレアチンキナーゼおよびインターロイキン-6(IL-6)の値における変化がなかったことを報告している。 特別な条件下での使用 さらなる危険性考察は、特殊な状況下における血流制限トレーニングの適用に関し取り上げられた。例として、無重力環境において、重力のようなストレスを刺激として与える方法として、血流制限トレーニングを使用する余地があるかもしれない(ナカジマおよびその他、2008年)。しかし、下肢の血液貯留およびそれに続く静脈還流の減少によって、微少重力における血流制限トレーニングの際に失神が誘発される可能性があり(ナカジマおよびその他、2008年)、そのことがこのトレーニングを安全上の理由から選択肢としては魅力のないものにしている可能性がある。 負傷者集団における使用 特殊な状況下における血流制限トレーニングの使用に関し、負傷者集団におけるその使用に対する安全性の懸念が持ち上がっている。それにもかかわらず、負傷者集団に関し予備的証拠は、血流制限トレーニングレジスタンストレーニングは、傷害を負った骨の治癒に実際有益であるかもしれない(ロエンネックおよびその他、2013年a)ということを示唆しているが、これらの発見を一般化し、傷害を負った軟部組織に対し血流制限トレーニングを使用することの有効性および安全性に関する結論を引き出すことは不可能である。 不健康な集団における使用 特殊な状況下および負傷者集団における血流制限トレーニングに関し、不健康な集団におけるその使用に対する安全上の懸念が持ち上がっている。それにもかかわらず、血流制限トレーニングは、正常血流でのレジスタンストレーニングによりもたらされるものと同様の運動後低血圧を生み出すと示されている(ネトおよびその他、2015年)。運動後低血圧は、高血圧の個人における安静時の血圧を制御する重要な戦略であるかもしれない(ケニーおよびシールズ、1993年)ということを考慮に入れると、これは、不健康な集団において、確かに血流制限トレーニングの健康上の利益が存在する可能性を示唆している。さらにマデルアメおよびその他(2013年)は、血流制限トレーニングは、運動誘発性凝血および炎症反応に悪影響を及ぼさないようであるという、虚血性心疾患をもつ患者における血流制限トレーニングの安全性に対する有望な発見を報告している。しかし、二重積の増加(心筋酸素需要の指針)は、血流制限無しと比較し血流制限を伴うトレッドミルにおけるウォーキング後、3倍の多さであったという発見は、血流制限トレーニングの使用は、易感染性の心臓疾患をもつ個人においては注意が必要であるかもしれないという結論を導き出した(レンジおよびその他、2010年)。 禁忌 おそらく方法の目新しさ、あるいは血流制限が関わることから、特別な集団において従来のエクササイズトレーニングに加え血流制限トレーニングを導入する際は、さらなる注意が常に喚起されている。例えば、ロエンネックおよびその他(2011年a)、ロエンネックおよびその他(2014年b)の両方は、血流制限トレーニングに対する禁忌は、深部静脈血栓症、妊娠、静脈瘤、高血圧、および心疾患を含むと結論付けている。さらにポープおよびその他(2013年)は、非常に長時間の虚血は筋組織の壊死を引き起こすということを強調している。そのようなものとして、長時間血流制限トレーニングを継続して行うことを避けることは理にかなっているかもしれない。 結論 加圧トレーニングという言葉は、加圧マスター装置が使用された場合のみ使われるべきである。しかしながら、血流制限トレーニングおよび閉塞トレーニングという言葉は通常ほぼ同じ意味で使われる。 血流制限トレーニングは、最も一般的に、低負荷(1RMの20-30%)におけるレジスタンストレーニングを使い、10中7という知覚的圧迫感において巻かれたラップと共に使用される。 血流制限トレーニングは比較的安全なようである。しかしそこには特定の禁忌があり、特別な集団において、特殊な状況下、および長時間の継続した使用に関しては注意が示されるべきである。
血流制限トレーニングの背景 パート1/2
目的 この記事は血流制限トレーニングの定義、歴史、および傷害の危険性や適用加圧レベルの影響のような、その使用を取り巻く主な問題を提供している。 定義 序論 血流制限トレーニングは、エクササイズの際、静脈還流を閉塞しながら動脈流入を維持することを目的とした、四肢の近位に巻かれたカフやラップの使用を含む新しいトレーニング戦略である(スコットおよびその他、2015年)。血流制限トレーニングは、様々なエクササイズ方法の中で使用されている。これらはウォーキング、サイクリング、およびレジスタンストレーニングを含む。血流制限を伴うレジスタンストレーニングを行う場合、比較的低負荷ではあるが非常に高圧のカフもしくはラップが最も一般的に使用される。実質的には、血流制限トレーニングは、1RMの約20-30%という低負荷におけるレジスタンストレーニングを使う際、10中7の知覚的圧迫感において巻かれたラップと共に最も一般的に使用される。 加圧 加圧は、佐藤義昭先生により開発された特徴的なトレーニングである。その方法は、働いている筋肉の近位に対し加圧マスター装置として知られる器具を使用した血管の圧迫を含んでいる。 血流制限トレーニング 働いている筋肉の近位における血管の圧迫が、加圧マスター装置の使用以外の手段で達成された場合、一般的には「血流制限トレーニング」という言葉が使われる。この圧力をかけるために使用される最も一般的な代替方法は、伸縮性のある膝ラップの使用によるものである。この方法の簡易さのためにこのタイプの血流制限トレーニングは、較正された圧力を生み出すために膨張したカフが使用される、より注意深く制御されている方法から識別するため、しばしば「実践的な血流制限トレーニング」と呼ばれる。 閉塞トレーニング 閉塞トレーニングという言葉は多くの場合、血流制限トレーニングと同じ意味で使われる。閉塞トレーニング自体もまた、エクササイズの際に四肢の近位に巻かれたカフおよびラップを含むトレーニング戦略である。 低酸素トレーニング 低酸素トレーニングという言葉は、エクササイズの際の酸素利用率を制限したトレーニングを指す。これは通常、低酸素室を使用して達成される。血流制限トレーニングは、局部的な低酸素効果を作り出すことにより達成されるが、低酸素室の使用は低酸素症をもたらす可能性が高い。 歴史 序論 血流制限トレーニングへの興味は、サトウヨシアキによる加圧トレーニングの開発から生じている。伝えられるところによれば、サトウは当初、異なる自転車チューブ、ロープ、またバンドを彼の異なる部位へ巻くことにより、彼自身に対し実験を行った(さらにはKaatsu-global.comを参照)。1994年にサトウは、商業的に入手できる最初の加圧バンドを生産し始めた際、最初の特許を申請した。 血流制限の実践的な適用 序論 レジスタンストレーニング(およびその他の方法)と血流制限の組み合わせには、いくつかの恩恵があるようであるということに基づき、実践的な指針がたびたび求められてきた。しかしいくつかの点において明確な指針を文献から引き出すことは困難である。血流制限トレーニングに対する現在の研究の多くには、血流制限方法の適用に含まれるパラメーターに関する詳細が欠けていることが多い。例えば、使用された正確な圧力は多くの場合公開されておらず、これは重大な問題であると思われる(さらには、ロエンネックおよびその他、2013年b、ロエンネックおよびその他、2014年cを参照)。大きすぎる圧力は危険性を増すが、適応が起こるためには、十分な圧力が必要であると示唆されている。この点においてスガヤおよびその他(2011年)が、筋肉内の無機リン酸塩の蓄積(疲労の指標)は、高圧力レベル(230mmHg)においてのみ達成されることが可能であり、中圧力レベル(180mmHg)においては達成されないということを発見しているということは注目に値するだろう。 人体測定の影響 血流制限カフの圧力に関し、信頼性のある指針の問題をもたらす重要な要因は、人体測定の差違により生じる個人差である(さらにはロエンネックおよびその他、2013年bを参照)。この点においてロエンネックおよびその他(2015年a)は、大腿囲は下半身における動脈閉塞の最大の予測因子であるということを発見している。またカラブルトおよびその他(2011年)は、大腿部組織およびサイズは制限された血流制限圧力に有意な影響を及ぼすということを発見している。さらに筋電図検査(EMG)は、カフの硬さ、また皮膚および皮下脂肪の厚さ(カラブルトおよびその他、2013年)により有意に影響を受ける。これらの発見は、血流制限カフ圧力レベルは実際には、試験における全ての被験者にわたり比較可能な値を得るため、個人の人体測定の差違に従い調整されるべきであるということを示唆している。 圧力レベル 最も強い急性筋反応をもたらす推定の動脈閉塞圧力の割合に対する調査において、ロエンネックおよびその他(2014年a)は、圧力は40-50%の動脈閉塞において筋活性化を増加するようであるが、より高い圧力においてはさらなる増加はもたらさないということを報告している。ゆえに40-50%の動脈閉塞を引き起こす圧力レベルが最適であるようである。しかしウィルソンおよびその他(2013年)は、(圧力を加えるためにラップを使用する際の)実践的な血流制限における10中7というラップの知覚的圧迫感は、完全な静脈閉塞は引き起こすが、動脈閉塞には至らないということを発見している。これは、エクササイズの際に静脈還流を閉塞しながら動脈流入を維持するという血流制限トレーニングの目的と一致している。このラップの圧力レベルは、血流制限トレーニングの有効性を示している調査においても、ラウリーおよびその他(2014年)により使用されている。 素材の種類 血流制限を提供するカフに使用されている素材の種類は、重要ではないようである。(ロエンネックおよびその他、2014年d)。しかしさらに熟考すべきことは、カフの圧力が継続的であるのか、もしくは間欠的であるのかということである。予備的証拠は、急性の血行動態は、継続的もしくは間欠的な圧力が使用されているかどうかに従い変化する可能性があるということを示唆している(ブランドナーおよびその他、2014年)。しかし最新の研究は継続的な血流制限のみを使用している。