マイクロラーニング
隙間時間に少しずつビデオや記事で学べるマイクロラーニング。クイズに答えてポイントとコインを獲得すれば理解も深まります。
ストレングスとコンディショニングー組み合わせ、結果につながる一つの独立した賢いプログラムにするための3つのルール パート1/2
「私はストレングスアンドコンディショニングコーチです。」フィットネス業界にいる我々のほとんどは自身をそう呼ぶでしょう。しかし本当のところ、我々の多くはコンディショニング面よりもストレングス面のことの方により自信を持っているのです。 私のバイオフォース認定コンディショニングコーチコースを通して、私は賢いコーチたちが良好なコンディショニングプログラムを作成する能力において100%自信を持てるよう、自分ができる最善の手助けをしています。しかし事実はそのままですーそこにはまだ多くの誤った情報が出回っているのです。 最近私は、記事の役に立たない傾向に気づきました。ストレングスプログラムにコンディショニングワークならなんでも、特に高強度のインターバルを除くあらゆる種類を加えていることを暗示しているように見えるそれらの多くは、アーノルド・シュワルツネッガーをリチャード・シモンズにするための方法なのです。 ばかげています。 本来、賢くプログラムされた場合にコンディショニングワークは実際ストレングスとパワー増大を向上させることができるのです。問題はあなたがスタートからどのようにセットアップするかなのです。 もちろんそこには必ず、できるだけ最善の結果を得るべく、我々が各クライアントのプログラムを個々人に合わせて作るために要求される特異性の適切なレベルが常にあります。 しかし、もしあなたがそうするのであれば、我々がクライアントに向けて最善のストレングス及びコンディショニングプログラムを確実に作成するために従うべき、いくつかのガイドラインやルールもあるのです。 これから挙げるのは、私のトップルール3つです。 ルール1:常にトレーニングゴールの優先順位をつける(もしくは二つのことを同時に行おうとしない) ストレングスとコンディショニングを効果的に組み合わせるために、あなたはトレーニングの優先順位をつけるところから始めなくてはなりません。 本当のところ、あなたが初心者であったり長期の休養から戻ってきたのでない限りは、ストレングスとコンディショニングの両方を同時に向上させることは非常に難しいのです。あなたが腰を据えてプログラムをデザインし始めるとき、まずはあなた自身に一つの質問をすることから始めなくてはなりません。「私はこのプログラムでストレングスとコンディショニング、どちらを優先したいだろうか?」 両方行うことは可能ですが、どちらか一方を優先しなくてはなりません。両方を同時に向上させようとすることは、残念な結果を招く方法であり、多くの人々が誤ってしまう部分です。 これには一つの単純な理由があります。エネルギーです。 大きく強い筋肉を作るのは集中的過程であるため、身体組織を修復し、再構築し、そして再造形するためには多くのエネルギーが使われます。 コンディショニングも同様で、体中の血管網を改善し使っている筋肉により多くの酸素を供給することを可能にするのは、身体が著しい量の供給源を与えない限り起こりません。 エネルギー = 身体の通貨 新しい筋肉あるいは他の組織を構築することはもちろん、身体を動かし続けるためには相当な量のエネルギーが使われます。それがエネルギーは身体の「通貨」と、よく呼ばれるゆえんです。エネルギーを賢く消費しなくてはなりません。なぜならあなたは、その日のうちに限られた分のエネルギーしか生産できないからです。 そのゴールが何であれ、あなたが進展を望むのであれば、最も重要なことは、どのようにエネルギーを消費したいかを選択することです。 もし有酸素コンディショニングを向上する必要があるなら、時間とエネルギーのほとんどを有酸素コンディショニングに費やし、同時にストレングスとパワーに費やす時間とエネルギーはそれらを維持するために必要最低限な分だけにするのです。 もしあなたが大きく、強くなりたいのなら、第一のルールは、すでに持っているものを失うことを避ける程度の量のコンディショニングワークをこなすべきだということを意味しています。 必要以上に多くのことをするというのがよりよいというわけではないのです。 ストレングスとパワーを向上させつつ、コンディショニングを維持するためのいくつかのシンプルなガイドラインを挙げましょう。 このよくある問題を避けるために、すべてを同時に向上させようとするのではなく、コンディショニングレベルを維持するという明確なゴールとともに、ストレングスとパワープログラムにコンディショニングワークを加えるべきです。 一旦向上させたフィットネスクオリティを維持するために、正確にどれくらいのトレーニングが必要かを決める多くの異なった要素がありますが、よい目安は、向上させるために用いるべき全体のボリュームの最低80%をかけることです。 ここで、始めるための簡単なガイドラインをいくつか挙げましょう: 高いレベルのコンディショニング:もしコンディショニングの高いレベルを維持しようとするなら、何らかの形式のコンディショニングワーク30~40分間を、最低でも週4,5日行う必要があるでしょう。 中レベルのコンディショニング:もし比較的中程度のコンディショニングレベルを維持しようとするだけなら、最低30分間のコンディショニングワークを週3,4日行えばよいでしょう。 低レベルのコンディショニング:低いレベルのコンディショニングは、週3日の20~30分間のコンディショニングワークで、レベル低下を避けるのには十分でしょう。しかし、もし非常に低いレベルのコンディショニングレベルから始めるのであれば、ストレングスとパワーに集中する前に、最低でも中程度レベルまで向上させた方がよいでしょう。 簡単なアプローチは、これらのガイドラインに沿って始めて、かつ必要に応じて調整することです。たとえば、もしコンディショニングが衰えてきていると気づいたら、コンディショニングの量を5~10%増やし、それが維持するのに十分であるかどうかチェックします。もしどのようにコンディショニングをチェックすればよいかわからないのであれば、ここに助けとなる記事があります。
ストレングスとコンディショニングー組み合わせ、結果につながる一つの独立した賢いプログラムにするための3つのルール パート2/2
ルール2:補足的なトレーニング方法を使う(もしくは方法同士を対立させない) ストレングスとコンディショニングワークを効果的に組み合わせるために次に非常に重要な要素は、方法同士を互いに競わせるのではなく、互いを補足するように使うことです。 ストレングスプログラムと共に、どのコンディショニング方法を用いるべきか? ストレングスプログラムとともに用いる的確なコンディショニング方法を選ぶことは、複雑なことではありません。どのように的確なコンディショニング方法を選ぶかを理解すること、それにはまずストレングスがどこから得られるのかを理解することが重要です。 ストレングスとパワーの向上は、たった4つの異なる主な要素から得られる結果です: 筋肉が筋繊維動員を増やすためのCNS(中枢神経系)の神経駆動の向上 より大きな力生産を可能にするために筋肉をより大きくすること より高いレベルのホルモンが放出されるための、より強力な交感神経系のアクティベーション テクニックの向上 これらすべてのことが実現されるために適切な環境を築くことは、量よりも質を強調するということを意味します(そして重い重量で爆発的なリフティングを強調します)。 最大努力や動的努力、そしてプライオメトリクスといったトレーニング方法は、すべて神経系システムの機能を向上させるために作られたものであり、反復方法は筋肉のサイズを大きくするためによく補足として用いられるものです。 覚えておきたいのは、これらの方法はすべて、トレーニング中のほとんどのエネルギー生産を主に無酸素非乳酸エネルギー系に頼ったものであるということです。その短く高強度な特質において、非乳酸系は唯一エネルギーを十分速く供給することができます。 しかしながら、非乳酸系はそれ自体ではあまり長い間エネルギーを生産することができないため、有酸素系が無酸素性代謝の副産物を取り除き、非乳酸系が必要とする基質を補充し、再びエネルギーを生産できるようにしています。 このことは、ストレングスとパワートレーニングが主に非乳酸―有酸素性代謝によって行われていることを意味します。 そのため、ストレングスワークを補足するためにコンディショニング方法を選ぶとき、下記のような大まかに同じカテゴリーに属する方法を用いる必要があります: テンポ・インターバル スレッド・ドラッギング GPPサーキット テンポ・リフティング 爆発的反復 非乳酸性インターバル 高強度連続的トレーニング これらのコンディショニング方法は、すべてストレングスやパワートレーニングと同じエネルギーシステムを用いています。つまり、これらは獲得したストレングスやパワーを損なうことなく、有酸素的能力を維持するために用いることができるということを意味しています。 賢くプログラムが組まれた場合、それらのいくつかは、疲労した筋肉への血流を増やし回復を促すことで、ストレングスとパワーの向上を助けることもできるのです。 このことを正しく理解するためには、第3のルールについてお話ししなくてはなりません。 ルール3:トレーニングを効果的に組織化する(もしくはフィットネスレベルによって異なる種類のトレーニングに分ける) トレーニングをどのように組織化するかは、結果に大きな影響を与えます。その理由は、私がはじめに話したことに戻ります:エネルギーです。 同じワークアウト、もしくは同じ日の中で異なるタイプの方法を組み合わせることは、身体がエネルギー、特にグリコーゲンをどのように蓄積し使うかということに影響するでしょう。研究は、そのことがワークアウトの結果として起こる遺伝子シグナリングに影響を与えうるということを示しています。 このシグナリングがフィットネスにおける変化を刺激するのです。そのため、トレーニングプログラムをできる限りもっとも効果的に組織化することが重要なのです。 具体的にこれをどのように行うかということもまた、あなたがどこから始めるかということに大きく関わってきます。なぜなら、現在の状況が、どれくらいのコンディショニングワークが必要として、一般的にトレーニングに対して身体がどのように反応するかということを決定づけるからです。 低いフィットネスレベル:もし低いフィットネスレベルから始めるのであれば、ストレングスワークアウトとコンディショニングを組み合わせることもできますが、コンディショニングはワークアウトの最後に行うべきです。テンポ・インターバル、HICT、スレッド・ドラッギングのような方法は特にこのレベルに良いでしょう。 中程度のフィットネスレベル:中程度のフィットネスレベルにおいては、可能であればコンディショニングは別なワークアウトとして分けられるべきですが、同じ日に行うこともできます。もしスケジュールが許すのであれば、コンディショニングワークアウトは回復を促すためにリフティングセッションの4~6時間後に行います。スレッド・ドラッギングや高強度連続性トレーニングのような、短縮性収縮のみの方法でかなり重めの負荷のエクササイズを用います。 高いフィットネスレベル:ストレングスとパワーを最も高いレベルで向上させる場合、コンディショニングワークとは別な日に分けて行うことが最良です。この分別は、あらゆる負の影響を避け、重いストレングスとパワーワークの効果を最大限にするために重要です。マックスの90%以上のストレングスと、より低い負荷のコンディショニングワークを、週の中で交互に行う高・低アプローチを用いることがもっとも効果的なアプローチです。 ご覧の通り、フィットネスレベルが高いほど、異なる種類のトレーニングを互いから分けることがより重要になります。 これはなぜなら、フィットネスが向上するにしたがって、より多くのエネルギーがトレーニングセッションとその後の回復の両方に向けられることを必要とするからです。 スクワット重量を400~500パウンドから増やすのにどれくらいのトレーニングとエネルギーがかかるかと、200~300パウンドから増やすのにどのくらいかかるのかを比べると、そこには大きな違いがあります。 より高いフィットネスチェーンに進むにつれて、あなたが向上させようとしていることの特有の要求に対し、できる限り多くのエネルギーを集中することがより重要になります。 しかしながら、これはあなたのトレーニングが完全に一次元的になる必要があるという意味ではありません。単に、異なる種類のトレーニングを互いから分けるということが、特に最も高いレベルにおいては、これまで以上により重要になるということを意味しているのです。 次に行うこと 最も必要とされているところで身体がエネルギーを消費していることを確実にするために、トレーニングゴールに優先順位をつける。ストレングスとパワーを増強しながらコンディショニングを維持することが可能なように、コンディショニングを増強させながらストレングスとパワーを維持することは可能です。残念なことに、多くのコーチたちは両方を同時に向上させようとするか、もしくは片方を無視してもう片方だけに集中しています。 補足的トレーニング方法を用いる。ストレングスとパワートレーニングは主に非乳酸―有酸素代謝によって行われます。それは、用いる最良のコンディショニング方法は同じカテゴリーに属するものであるということを意味しています。(例えばテンポ・インターバル、スレッド・ドラッギング、GPPサーキット、など) あなたの(もしくはあなたのクライアントの)フィットネスレベルに合わせる。同じワークアウト、もしくは同じ日の中で異なる種類の方法を組み合わせることは、あなたの身体がどのようにエネルギーを蓄積し使うかに影響を与えます。フィットネスレベルによって、完全な回復ができるようにトレーニングプログラムを組織化する必要があるでしょう。
一般のクライアントたちに対し、シンプルで効果的なコンディショニングプログラムを作成する方法 パート3/3
ステップ4:適切な量と強度を用いる。 疑うことなく、週ごとに適切な量と強度を用いることは、効果的なプログラミングにおいてもっとも重要でありながら、同時に努力を要する部分でもあります。これが極めて重要な理由は、エネルギー恒常性と呼ばれるコンセプトのためです。 エネルギー恒常性は、脳が身体に起こるすべての他のことより優位に、エネルギーの生産と利用を調節するという原則です。体のエネルギー通貨であるATPのコンスタントな供給なしでは、数分以内に細胞もあなたも死んでしまうでしょう。脳が働きのすべては、生存を中心に働き、これが決して起こらないようにしているのです。 脳はエネルギー生産とエネルギー消費の両方をしっかりと調節し、運動やトレーニングはその日にどれくらいのエネルギーを消費したかの大きな構成要素になります。脳がエネルギー恒常性の危険を感じ取った場合(例えば、過剰なエネルギーが使われたとき)、脳の最初の反応は、運動と消費を続けるモチベーションを下げ、同時に食欲とより多くのカロリーを摂取する欲求を上昇させることです。 近年のありとあらゆる高強度トレーニングにおいて、よりよい結果を得るためのキーは単純にもっとやることだと考えることが非常に多くみられるようになりました。より多くの量、より高い強度=よりよい結果…あるいは、そう考えられています。 このアプローチの問題は、しばしばプラトーに陥ることと、典型的な一般のクライアントにとっては単に長期的に持続することが不可能なトレーニングプログラムを作ってしまうことです。 遅かれ早かれ、過剰な量と強度が用いられ、エネルギー恒常性は困難になり、そして脳はモチベーション低下と残念な結果で抵抗することになるのです。 このようなことが起きないようにするためには、まずはじめに、効果的でなおかつ持続可能な週ごとのトレーニングプランを作成することです。用いられる的確な量と強度は様々な要素によって変わりますが、クライアントの現在のコンディショニングやフィットネスレベルに基づいて、非常に多くのクライアントに対して当てはまるシンプルなガイドラインがいくつかあります: 低いコンディショニングレベルのクライアント:30~45分間のアクティベーションゾーンを週3~4日、20~30分間の閾値ゾーンを週1日。 中程度のコンディショニングレベルのクライアント:45~60分間のアクティベーションゾーンを週3~4日、30~40分間の閾値ゾーンを最大週2日まで、15~20分間の酸素摂取ゾーンは週1日以上行わないこと。 高いコンディショニングレベルのクライアント:60分間のアクティベーションゾーンを週2~3日、30~45分間の閾値ゾーンを最大週1~2日まで、20~30分間の酸素摂取ゾーンは週2日以上行わないこと。 これらのガイドラインを頭において、効果的かつ持続可能な週ごとのトレーニングプログラムを構築することは、比較的複雑ではありません。異なるゾーンを週のどの日に集中するのかを決めて、それに従ってワークアウトを計画しましょう。 もちろんストレングストレーニングも組み入れられる必要がありますから、この記事の中で私が設計した原則を使って行いましょう。 最終ステップ:個別化と漸進の熟練者になる 過去10年間、世界中の数えきれない世界級のコーチやトレーナーたちを観察したり一緒に話したりする機会をもち、彼らが皆行っていることで、他の人たちと一線を画していることに一つ気づきました。 彼らが他の人々が知らないようなトップ・シークレットのテクニック、方法、またはエクササイズを使っているというのではありません。そうではなく、彼らはどのように各トレーニングセッションを個別化するか、そして経時的にアスリートやクライアントがどのように絶えず漸進していくかを理解しているのです。 もしあなたが真剣に現場に出ようとしていているならば、これらの二つのスキルを完璧にマスターしなくてはなりません:個別化と漸進です。 これらはあなたが周りに差を付ける能力です。 注意を払い適切な質問をする。各セッションを始める前に、クライアントに調子はどうか、よく眠れたか、食生活はどうか、ストレスレベルはどのような感じか、などを聞きましょう。ウォームアップの間は、彼らのボディーランゲージに注意を払いましょう。疲れて見えますか?よく話しますか?もしくはほとんど何も言わない状態でしょうか?最良のコーチやトレーナーたちは、見て、聞いて、そして知り、あらかじめ計画していたワークアウトを確固として行うのではなく、むしろこの情報を用いてトレーニングセッションを個別化するのです。 テクノロジーを味方につける。どのように効果的にテクノロジーを使うかを知ることは、結果に非常に大きな影響を与えうるあなたのコーチングに一つ層を加えることができます。テクノロジーの役目は、あなたが得られることがなかった情報を提供することであるべきです。その情報を用いることで、より精通したトレーニング判断をすることができます。心拍変動のような強力なツールは、あなたにクライアントの回復に関する識見を与え、量や強度を個別化する手がかりとなります。PUSHバンドのような他の高技術ツールは、バーのスピードやパワーについての有効な識見を与えることができます。テクノロジーは無くなるものではなく、もしあなたがクライアントに出来る限り最善の結果を得てほしいと考えているのならば、テクノロジーを取り入れ、あなたの強みとして用いることを学びましょう。 プログラムを変更することを恐れない。しかし変更する理由を持ちましょう。現場に出たての経験の少ないトレーナーたちは、しばしば流れにまかせてワークアウトを作成実行し、本来の計画やプログラムがないことがあります。平均的なコーチたちは、トレーニングプログラムを作成するために時間を割き、その文字通りに沿って実践します。最高のコーチやトレーナーたちは、データによって補強された彼らの識見や経験を用い、何が働き何が働いていないのかを判断し、その上で必要に応じて変更をします。トレーニングプログラムは道路地図のように考えられるべきですが、もしクライアントを正しい方向に導いていないのであれば、左折することを恐れてはいけません。ただなぜあなたがそうしたかを理解しましょう。 各セッションの中での小さな漸進に注目する。もしあなたが一般のクライアントについてきてほしいと思うならば、避けられない真実として、彼らは漸進をみなければならないということがあります。彼らは一生懸命働いて得たお金と大事な時間をあなたに投資しているのです。もし結果が行き止まり、何も起こっていないと感じるようであれば、彼らが去るのは時間の問題です。私たちは皆、結果が直線であることはほとんどないことを知っています。しかし漸進は、たとえそれが小さな程度であっても、各ワークアウトの中で様々な形で得られるのです。たとえそれがこれまでよりたった5パウンド多く、2回多く、またはもう1セット多く持ちあげられただけでも、どのような漸進の感覚でも、まったくないよりよいのです。ワークアウトを通して、そして最後に、得られた漸進を振り返り、各ワークアウトから次回にかけていつも小さな進歩を得る努力をしましょう。 次に行うこと 1. コンディショニングは誰にでも重要だと理解する。心循環系疾患や脳梗塞、そしてその他の病気の疾患率が空前の高さにある中、フィットネスの専門家がどのように効果的なコンディショニングプログラムを作成し指導するかを理解することは必須です。 2. 成功するコンディショニングプログラムを作成するための4つの主なステップに従う: 心拍数(もしくはHRV)を計測し、12分間コンディショニングテストを実施し、運動後60秒間の心拍数回復を計測することで、コンディショニングのベースラインを確立する。 モチベーションと従順を高めるために、成果のゴールと過程に駆動されるゴールの両方を立てる。 目標心拍数ゾーントレーニング、具体的にはアクティベーションゾーン、閾値ゾーン、そして酸素摂取ゾーンを取り入れ、コンディショニングプログラムを個別化する。 クライアントを次に挙げるフィットネスレベルごとにグループ分けをし、適切な量と強度を用いる:低、中、高レベル。
一般のクライアントたちに対し、シンプルで効果的なコンディショニングプログラムを作成する方法 パート2/3
ステップ2:スタートから正しいゴールを定める。 一旦ベースラインが確立されたら、次のステップはそれらのベースラインの数値を使ってクライアントのための具体的なゴールを定めることです。ここで用いる戦略は、二つの種類のゴールを含んでいます:成果に基づくものと、過程に駆動されるものです。 成果に基づくゴール 成果に基づくゴールはまさにその通り、クライアントが達成したいと願う具体的な成果のことです。効果的な成果に基づくゴールを定めるために2つの重要な要素があります:まず成果に基づくゴールは、あいまいでおおざっぱというより、計測が可能で具体的である必要があります。『コンディショニングを改善する』というゴールを立てる代わりに、より良いゴールは、『安静時心拍数を67ではなく62にする』や『12分間テストで1.2マイルではなく1.5マイル走れるようになる』というようなものになるでしょう。 クライアントにこれらのゴールをワークシートやワークアウトバインダー、もしくは毎回トレーニングセッションに持って行く何かに書かせましょう。このような、具体的な目標を達成するための計測可能で成果に基づくゴールのタイプは、クライアントのトレーニングに対するモチベーションをより維持する傾向にあります。 (ここでもう1つのポイントは、ゴールがクライアントにとって実現することが現実的であることを常に確かめることです。実現不可能なゴールを立てることほど、大きなモチベーションキラーはありません。ですから、何が達成可能で何が達成不可能かについて、現実的でありましょう。実現不可能だと知っていながら、相手が聞きたいと思っていることを伝えることは決してしないことです。) 過程に駆動されるゴール もう1つ定める必要のあるゴールのタイプは、過程に駆動されるものです。これらのゴールのタイプは、しばしば見過ごされています。なぜなら、皆求めている成果にただ集中したいからです。 過程はクライアントのゴールにたどり着くための道すじであり、日々クライアントをゴールに向かって駆動するものです。その過程には、週何回のトレーニングセッションが行われるべきか、どのような種類の栄養戦略に沿うべきか、などのことがらが含まれています。クライアントがゴールを達成するためになされなければならないトレーニングや栄養、また生活習慣に関係するすべてのことは、過程の一部として見なされるべきです。 一般のクライアントにとって、3つの最も重要な過程の要素は: 必要とされる週当たりのトレーニングセッションをこなすこと 適切な量の高品質の食事をとること、そして 十分な睡眠を取ること クライアントに、『毎週5日、60分間のトレーニングを行う』や『毎晩最低8時間の睡眠をとる』というような過程に駆動されたゴールを立てさせることは、単にどこに向かって行きたいのかということよりもむしろ、実際どのようにたどり着くかということに確実に集中させることに成功するでしょう。 ステップ3:『目標心拍数範囲トレーニング』でコンディショニングプログラムを個別化する。 コンディショニングにおいて、もし人々がしばしば困惑するものが一つあるとしたら、それは心拍数ゾーントレーニングでしょう。すべての異なる心拍数モニター、そして異なる専門家や器具製造会社による様々なゾーンの体系を見ると、なぜそれほど困惑するのか容易に理解できます。 本当は、多くのこれらのゾーンに基づくシステムは30~40年前に開発されたもので、ほぼ時代遅れなのです。 繰り返しますが、最善の戦略は物事をシンプルに保つことです。そして私からのアドバイスは、よく使われている5つのゾーンを避け、その代わりに3つのゾーンのみに絞ることです。多すぎるゾーンを用いてそれぞれのゾーンが何をするかを説明しようとし、それを中心にプログラムを構築しようとすることは、99%の時間をかける価値があるというよりもむしろ問題です。 一般の人たちのコンディショニングプログラムを立てるために、私は典型的に下記の3つのゾーンを用います: ゾーン1:アクティベーションゾーン。この第一のゾーンは最も低い心拍数で、心拍出量やテンポ・インターバルのような低強度の方法を用いるときに主にいるゾーンです。より多い量を用いることが可能なように、心拍数が十分低いものでありながら、低すぎて実際のトレーニング効果がなくならないようにするということです。各個人の年齢やフィットネスレベルにもよりますが、このゾーンはほとんどの人にとって通常約120~150の間にあります。フィットネスレベルの低い人たちは、もちろん範囲の下の方寄りにトレーニングをし、フィットネスレベルの高い人たちは、範囲の上の方寄りにトレーニングをする必要があるでしょう。およそRPE(自覚的運動強度)6くらいのペースで行いましょう。このペースでは会話をし続けることが可能なはずです。 ゾーン2:閾値ゾーン。このゾーンはアクティベーションの上にあり、おおよそ、その人の無酸素性作業閾値範囲くらいまでを指します。もしクライアントが正しく12分間テストを行ったのであれば、最低でもテストで行ったエクササイズに関しては、あなたはこの範囲がどこに当たるか大体の見当が付くはずです。 個人の閾値を推定するもう一つの方法は、RPE(自覚的運動強度)を用いて、運動中に話す能力を見ることです。もしその人が閾値ゾーンにいるならば、彼らは会話のやりとりを維持することはできなくなるペースで運動しているはずです。いくつかの単語をつなぎ合わせたり質問に答えたりはできるはずですが、もしそれ以上のことができるのであれば、彼らの心拍数は低すぎるということです。 閾値ゾーンはRPEの7~8あたりで、平均的なフィットネスレベルの人たちのほとんどに対しては、一般的に心拍数150代から160代半ばほどでの運動になります。もちろん、もっと高いフィットネスレベルや閾値を持つ人々はもっとより高いところになることもあり得るでしょうが、一般のクライアントの中ではまれです。 ゾーン3:酸素摂取ゾーン。これは心血管系全体が最大量の酸素を身体中に送るため最大限に働く、最も高いゾーンです。この地点にたどり着くには、たくさんの量の筋肉量が使われ、数多くの筋繊維がすべてが活動し酸素を要求していることが必要です。このことは、酸素摂取ゾーンが最大心拍数の90%以上であることを意味します。 最大心拍数が200である人の場合、酸素摂取ゾーンは180から最大200までとなります。このくらい高い心拍数でのトレーニングは非常に疲労するため、RPE(自覚的運動強度)は9~10となるでしょう。 一般のクライアントに対して必要な酸素摂取ゾーントレーニングは、ほんのわずかな量です。(そしてまったく体力のない人には、酸素摂取ゾーントレーニングをする必要はまったくありません。)また、クライアントがこのゾーンにいるときには常に適切なテクニックに注意を払うことが、安全と効果的なコンディショニングの発達の両方にとって重要です。
一般のクライアントたちに対し、シンプルで効果的なコンディショニングプログラムを作成する方法 パート1/3
史上最高の名レスリングコーチの一人であるカール・ゴッチは、かつて「コンディショニングは君のホールドだ」と言ったことがあります。これは、良いコンディショニングは相手に対して強力な武器になる、という意味です。 しかし、もしあなたが対戦相手に向けてトレーニングをしていなかったらどうでしょうか?もしあなたが、ただビーチで見た目がよくなりたい、または病気や障害なく長生きをしたいだけだったら? それでもあなたはコンディショニング(俗にいう『カーディオ』)が必要でしょうか?もしそうであるなら、できるだけ最善の結果を得るためにとる最善の方法はなんでしょうか? それがまさに、この一般の方々のための究極のコンディショニングガイドで私たちがお話することです。 『カーディオ』から更に先に進む時が来た:なぜ非アスリートにコンディショニングが重要なのか 大事なことをまず第一に:コンディショニングはアスレティックパフォーマンスだけなくそれ以上のものです。たとえば、コンディショニングはあなたやあなたのクライアントを助けることができます: 炎症を低減する。高いレベルのコンディショニングは、身体の持つ最高の抗炎症経路の一つである迷走神経の機能向上を促進させることで、炎症を抑えます。 長生きする。最高のコンディショニングである長距離選手たちは、運動をしていない人たちに比べて最長7年も長生きすることが示されています。 体脂肪を燃やす。コンディショニングは脂肪の燃焼炉であるミトコンドリアの数とその質を向上させ、体組成の改善を支えます。 病気のリスクを下げる。数多くの研究によって、有酸素能力と最大酸素摂取量は、心肺系疾患や脳梗塞、そして他のよく見られる致死性の高い病気のリスクを減少させることが示されています。 記憶力の向上。コンディショニングは認知力を向上させ、記憶力の低下を防ぎ、意思決定に関連する脳の領域における機能のサポートの手助けをすることができます。 唯一の問題は、多くの人々(多くのフィットネス専門家を含む)が適切にコンディショニングをトレーニングしていないということです。彼らは終わりのない高強度のインターバルをするか、もしくはまったく何も行わないかのどちらかです。 しかしながら、心肺系疾患や脳梗塞、その他の病気の上昇を考えるとき、コンディショニングはまさしく生か死かの問題となりうるのです。特に、フルタイムの仕事をもって働き、ストレスに溢れ混沌とした生活を送っている一般のクライアントを指導する時に。 私はすべてのフィットネス専門家が、どのように基本的なコンディショニングプログラムを作成し指導するかを理解すべきだと信じています。私が、一般のクライアントに対して用いる最も効果的なストラテジーだと見つけたものをシェアしたい理由はこのためなのです。 ステップ1:コンディショニングのベースラインを確立する。 一般のクライアント、アスリート、また他のどのような人に対しても、すべてのコンディショニングプログラムを始める最初のスタートは、コンディショニングのベースラインを確立することです。これはしばしば見過ごされる非常に重要なステップですが、このベースラインなしでは、コンディショニングが改善したかどうかを知る真の方法はありません。つまり、クライアントは恐らく進歩がまったくないように感じてしまうために、彼らにとってフラストレーションがたまりやすくなってしまうということです。 コンディショニングをテストし計測するいくつかの異なる方法は存在しますが、一般のクライアントに対しての鍵は、ものごとをシンプルに保つということです。 過度に複雑な、難しい、あるいは時間のかかるテストは、ほぼ不必要であり、シンプルな解答より更に意義深い情報を与えてくれるわきでもありません。 1. 安静時心拍数と(もしくは)バイオフォースHRVスコアを計測する:安静時心拍数と心拍変動は、一般的なコンディショニングの最良の生物測定指標であり、最大酸素摂取量やその他の有酸素的フィットネスの計測値と非常に良く相関します。さらにいいことに、それらの計測は非常に素早く簡単です。時間の経過とともに、安静時心拍数やHRVの傾向は、コンディショニングが向上していることを示す強力な指標です。もし心拍変動になじみがなければ、ここをクリックするとより多くの情報が得られます。 2. 12分間運動能力テストを行う:12分間中に行える最大の運動量は、単に全体のコンディショニングレベルの優れたパフォーマンス指標であるだけでなく、この後詳しく触れますが、目標心拍数範囲を決めるのに非常に役に立ちます。テストを正しく行うための二つの鍵は、適切なエクササイズを選択することと、始める際に正しい説明を与えることです。 フィットネスレベルの低い人たちには、バイク、エリプティカル、またはほかの低強度の運動を選択すべきです。フィットネスレベルが平均またはそれよりも高いレベルの人たちには、ランニングが一般的に選択されます。いったんエクササイズを選択したら、クライアントには、運動している間正しいフォームとテクニックを維持できる中で、できる限り最大ペースで臨むように伝えるべきです。テクニックを維持することは、コンディショニングの非常に重要な要素なので、テストはクライアントがこの環境の中でどれくらいの運動を行うことができるのかを反映すべきです。 3. 平均心拍数と60秒間後の心拍数回復を記録する:12分間テスト中に心拍数の二つの計測値を見ることは、多くの貴重な識見を提供することができます。まず、12分間を通しての平均心拍数は、クライアントの無酸素性作業閾値のおおよその値を与えることができます。その値は正確なものではありませんが、そもそも閾値という単語自体、少々紛らわしいのです。本当は、閾値は常に一つの数字というよりも範囲なのです。テスト中のクライアントの平均心拍数は、この範囲の傾向に関する一般的なアイデアを与えてくれるでしょう。 テストが終わった直後、クライアントを座らせて、60秒の間に心拍数がどれだけ低下するか、60秒間の心拍数回復を記録します。これはクライアントの全体的なコンディショニングレベルの効果的な計測であり、包括的な健康とウェルネスに非常に重要となる副交感神経機能のレベルと関わっています。
ハラスカのアダクションドロップテストの考察 パート2/2
AFとFAの両方における動きの質を評価するのに役立つHADT 評価のためのポジショニングをとることが簡単だったり難しかったりすることや、また、評価を行っているときに患者をリラックスさせるのが困難だったりすること、患者が何をしようとしているかなどは、患者の状態を知るための貴重なヒントになります。 臨床家は、これによってその人がそのパターンをどのぐらい強くもっているかのフィードバックが得られます。 患者やクライアントへの指導の道具としてのHADT 同一対象にこのテストを1、2回行った場合、最初に陽性を示した人が、リポジショニングの後に行ったら陰性になったとします。彼らは、バランスの整ったポジションがいかに重要であるかをよりよく理解しています。その違いを感じ認識することができるのです。 在宅プログラムの順守に劇的な改善があります。 ペルビックアセンションドトップテストと共に使われるとき、患者は適切なポジションを保てているか自分で把握できることもあります。 PADT www.posturalrestoration.com 股関節に潜在しているかもしれない病理を評価するHADT HADTを実施中、患者が訴える痛みや圧迫感、弾けるような音、引っかかる感じなどの症状と臨床家が評価する骨性エンドフィールやゴリゴリした音、関節の摩擦音などは、すべて関節内の損傷や他の病理の潜在の関与を示唆していると考えられます。 もし、右側の骨盤片側に陰性が示されても(特にPECパターンを軽減するための手技を施した後)、右側が適正なポジションにあるという意味ではありません。結果が陰性ということは、単にその股関節が内転できるということを示します。しかし、右側に過剰な内転と内旋があれば、腸骨大腿靭帯と関節包の上部が伸ばされているということかもしれません。 PRIテストの範疇で、最終ポジションがよりオープンエンドフィールである場合特に、陰性というのは必ずしも良い結果であるとは限りません。過度の陰性もありえます。そのような場合、パソ(病理的状態)と言います。 いろいろな人と会話する中で、また、これまで読んできた文献への反応として、何度か耳にしたコメントに次のようなことがあります:“時に、左側に陽性の結果を出そうとしているような気がします。” 実際その通りだと思います。つまり、何か問題があるのであれば、それを見つけ出したいものなのです。治療の順序は、次の段階に進む前にクリアすべき一定の基準を基に組み立てられます。次の段階に進む前に適切な姿勢を保たなければ、患者の反応やその結果もまた、影響を受けてしまうでしょう。 HADTの臨床におけるその他の利用方法: その人に合った靴をはいているかどうか、また正しい靴を選ぼうとしているかどうかを調べるのに役立ちます。新しい靴を持って来た人に、靴を履く前と履いた後でHADTを実施し結果に変化があるか調べてみます。 しかし、これはパズルのひとつのピースに過ぎません。その結果はHADTには影響を及ぼさず、他の所見に影響するかもしれません(たとえば、HG IR、水平外転など)。またはその逆かもしれません。 位置の測定をヴィジュアルインテグレーションストラテジーと共に利用した場合、環境の改善、周辺処理が制定されたかを見極めることを助けます。 一定の運動をした後に行うテスト結果に変化があることによって、在宅プログラムをなぜしなくてはならないのか、患者やクライアントに分かってもらうための素晴らしい教材になります。 臨床家が組み立てたプログラムで、その人が中立を維持しているかどうか、治療やトレーニングセッションの最後に、これを利用することによって素早くチェックできます。 セッション中に、リポジショニングのエクササイズが正しくおこなわれているかどうか、最も適切なものを行なっているかどうかを知るためにも使えます。全ての要素が取り扱われ、適切な神経可塑性が確立されるまで、さらに一貫したリポジショニングのエクササイズが必要か否かをはっきりさせるのに役立ちます。 パフォーマンストレーニングやウェイトトレーニング中、運動している間ずっと“ニュートラル”を維持しない方がいい選手もいるかもしれません。最も重要なことは、運動後の高揚した交感神経優位の状態を抜け、休息と回復できる状態に戻って来られるかということです。 これは決してHADTの効用についての総記ではありません。いくつものPRIテストと同じように、コース教材に載っている事柄のみではなく、更に他の利用方法から与えられる恩恵があります。同時に、患者/クライアントの症状やニーズが何であるのかを洞察するのに役に立ちます。
ハラスカのアダクションドロップテストの考察 パート1/2
ハラスカのアダクションドロップテスト(HADT)は、ポスチュラル・リストレーション・インスティチュート®で最も認知度が高く、最も広く使用されている評価方法のひとつです。骨盤に対する股関節の位置、とりわけAF(大腿骨の上で動く寛骨臼)/FA(寛骨臼の中で動く大腿骨)の位置や整合性に関する有用な情報を与えてくれます。これは、骨盤のニュートラリティ(中立性)や寛骨臼に対する大腿骨の関節の中心性、軟部組織の張りの異常を調べるのに役立つポジションテストです。両側または片側の大腿骨が寛骨臼に最適に位置していない場合、悪いフォースカップリング(偶力)を生み出し、骨盤の片側に更なる機能障害を引き起こしやすくします。疼痛や損傷、機能低下、パフォーマンス低下などが結果として生じるかもしれません。正確に実施すれば、テストとしてだけでなく他の多くの根拠から、PRI(ポスチュラル・リストレーション・インスティチュート®)の臨床家の引出しの中でも非常に役立つツールのひとつになるはずです。 HADTに熟練すれば、セットアップや動きの質、エンドフィールから得られる情報は臨床家にとって有用になるでしょう。さらに付け加えられた観察は、より主観的で実験的な要素がありますが、一方で骨盤の状態全般の貴重なデータを提供してくれます。特に、他のテストの所見と相互関係を比較すれば、随伴運動や異常運動、内在する全体的な軟部組織の張り、脊柱の関与の度合い、関節に起こっているかもしれない損傷などの情報が収集できます。HADTを実施することによる成果の最適化と、この有用な評価が提供できる他の情報について注目し考えてみたことを下記に述べます。 ポジションテストとしてのHADT テストにはいくらかの機微があり、これが結果の質に違いを生み出すようです。 “患者は左右どちらかを下に横になり、下腿部と股関節を屈曲します(90°)。患者の後方に立ち、上になった方の膝を90°の屈曲に保ちながら、股関節を他動的に屈曲、外転、伸展、そして中立位に動かします。” 上になった骨盤の片側を安定させておくのが困難である場合や、患者が脚に力を入れてしまうようであれば、陽性と考えられます。 下腿部が90°の屈曲を保てない場合や、上になっている脚を動かしていると伸展し始める場合、陽性と考えられます。 “中立位まで股関節を伸展” していく時、これはセットアップ時の上になった骨盤と相対的に見てということなので、0°または“中立位”を見極めるために身体の面を基準にするため、厳密にはどちら側をテストしているかによって異なることもあります。内転する前に右股関節を中立位まで動かすということは、左脚と同じように右脚も身体の面まで達するとは限りません。これは、左側よりすでに伸展位になっている右側の寛骨臼の位置によるものです。 “患者が後方へ転がったり、大腿が内旋したりしないように、他動的に骨盤を安定させます。” 患者の骨盤が後方へ転がらないように、自分の身体を患者の上になっている側の骨盤の後面に密着させる方が良いでしょう。あまり支えようと押し過ぎても、かえって骨盤を前方へ転がす結果になってしまうので注意すべきです。患者によって、または患者の臨床家の身体の大きさや体力によって支持の強さを変化させることにより上手くいきます。 大腿骨は内旋しがちですが、そうならないように・・・ www.posturalrestoration.com “上になっている側の寛骨が下になっている寛骨の真上に位置していることを確実にし、前頭面のスタートポジションンで偽陽性(上になっている側の寛骨が頭方へずれている)や偽陰性(上になっている側の寛骨が尾方へずれている)にならないようにします。” 股関節を適切な位置に揃えるために、右側と左側は多少異なるセットアップや固定が必要かもしれないことを覚えておいてください。 右側の脚をテストするために左側を下に横になっている人は、骨盤の右片側が側方へ傾き後方へ転がりやすいので(特に強いパターンがある場合)、それを安定させなくてはならないでしょう。 左側の脚をテストするために右側を下に横になっている人は、骨盤片側が通常の休息ポジションよりも前方へ回旋しやすく、また胸郭が内転/外転しやすいので、それを防ぐために固定しなくてはならないでしょう。骨盤を(これ以上)前方へ傾けないように、または胸部を(これ以上)伸展させないように支持する注意が必要です。 HADT陽性 HADT陰性 エリザベス・ノーブルによるイラストはポスチュラルリストレーションインスティトゥート®が所有します。ポスチュラルリストレーションインスティトゥート®2014より著作権使用の許可を取得しております。 www.posturalrestoration.com ”寛骨臼縁の前下部、横靭帯、梨状筋の制限や後下部の寛骨臼縁と大腿骨頭の後下面の衝撃(可能性として、左右どちらかの骨盤が前方に回旋、つまり前傾に伴う)などは、陽性結果を示します。特に左のエクステンションドロップテストで、左AICの変位が陽性の患者において、左側によく見られます。” 偽陰性は、偽陽性よりも起こりやすいことがあります。そして、結果としてそれ以降の治療計画に大きな影響を与えることになるのです。時間をかけて確実にセットアップをし、最適な状態でテストを行うことが必須です。 正確な結果を導き出せたか臨床家が確信を持てない場合、何回か繰り返しテストを行うことは珍しくありません。 上になっている方の骨盤を固定することはきわめて重要であり、たいていどちら側をテストしているかによって、または、骨盤の位置やパターンの強さによって、支える力を加減しながら安定させる必要があるでしょう。 上に置く手は単に支えているだけでなく、上になっている骨盤や大腿でどのようなことが起きているか(つまり随伴運動)を評価しています。 テストを行ってもまったく確信が持てなかった場合、骨盤を少し前方へ転がし再度実施してください。それから、少し後方へ転がし同様に行い、その結果を比較します。ここでは、動きの質とエンドフィールの評価が役立ちます。 また、ここで他のテストの結果とこれらの所見を比較することが重要になります。 骨盤が大きい人は、左右どちらかはベッドまで完全に下げることができないかもしれませんが、そのような場合でも検査の結果を自動的にPECとはしません。 どのような評価の結果でも、単なる陽性と陰性の両極端ではなく変動幅があります。しかし、いくつかの結果を比較して区別する能力をつけるには、他のどの特殊な整形外科的検査と同様に、繰り返しさまざまな体格の人を検査し練習する必要があります。
多忙な人のための4×15アスレティックワークアウト パート1/2
事実#1:現代の人は皆忙しい。 事実#2:事実#1は恐らく変わることはない。 事実#3:例え事実#1と#2を受け入れたとしても、素晴らしいトレーニングセッションを行う方法を探す必要がある。 長年、“完璧な”ワークアウトの概念について頭を悩ませてきました。 もし1.5-2時間のトレーニングをする時間がなければ、トレーニングする価値は全くなかったのです。 しかし、人生においてトレーニング以外(例えば子ども、仕事など)のことが自身のトレーニングよりも優位を占めるにつれ、すぐに何かを変える必要があることに気づきました。 無制限でトレーニングできる時間を持っていた日々は単に過ぎ去り、私は自身のトレーニングセッションと共に、トレーニングに対する考え方を進化させることが必要になりました。 4×15ワークアウトは、今や2年間断続的に取り組んできたものです。それは一つ一つのトレーニングセッションの組み合わせ方法ではなく、身体の準備に関して、素早く簡単に大まかな項目すべてを確認する方法です。 では、4×15ワークアウトとは何でしょうか?質問してくれてありがとう。 要するに4×15のワークアウトとは 結局のところ、私はほぼ毎日、60分トレーニングする時間があればラッキーです。 昔は、そのうちの10分間をウォームアップに使い、残りの50分でウエイトを持ち上げていました。 しかし、私の考え方が進化するにつれ、トレーニングも進化していきました。 今では、単にウエイトを挙げるということではなく、あらゆるアスレティシズムを持つということです。 見た目も感覚も良いということ。 そして、日々の生活における需要に見合うエネルギーを持っているということ! つまり、すべての時間と労力をウエイトリフティングにフォーカスする代わりに、シンプルかつ柔軟であり、動きやパフォーマンスに関してそれぞれの大きな項目すべてをチェックできるシンプルな枠組みを作ったのです。 私の中では、次の4つの項目があります: 可動性と動きの準備 スピードとパワーの向上 筋力、そして コンディショニング では、これらすべての項目をどのように組み合わせるのでしょうか? 結局のところ、1時間はそれほど長い時間ではありません。 しかし、物事を適切に組み立て、ジムについてすぐにフォーカスを持って取り組めば、たった60分でも多くのことをすることができるのです。 これら4つの項目をチェックするために、4×15のワークアウトを4つのトレーニングブロック、またはセクションに分け、それぞれに15分ずつを割り当てました。 このような感じです: ブロック#1−ウォームアップ、リセット、可動性トレーニング ブロック#2−スピードとパワーの向上 ブロック#3−ストレングス ブロック#4−コンディショニングとリカバリー 恐らく、皆さんも、すでにこれに似たような感じでトレーニングを組み立てているでしょう。もしそうであれば、素晴らしいです! もっとも大きな要素は、不必要を少しずつ省くことであり、何が何でも60分ですべてのワークアウトを終了させることなのです。 一方で、それらのエリアのうちの1つか2つのみにフォーカスしているのであれば、このプログラムがアスレティシズムのすべての項目をどのようにチェックすることができるのかを気に入ると思います。 プログラムの概観がわかったところで、この枠組みを使って、どのようにあなた自身に、クライアントに、アスリートに素晴らしいワークアウトを作成するのか見ていきましょう。 ブロック#1−ウォームアップ、リセット、可動性トレーニング 幾分“古い”リフターとして、私はこのようにお伝えします: この段階において、ウォームアップをすることや身体的にトレーニングの準備をすることに交渉の余地はありません。 昔は2つ3つの可動性ドリルで身体をゆるめ、動く準備ができましたが、年齢を重ねるに連れて確実により多くの過程があります。 私にとって、これは通常2~3個のポジショナル呼吸ドリル、あるいは、始めるためのリセットが含まれます。そうすることで、空気を必要な場所へ送り、その日身体をどのように動かしていくのかの目安を与えてくれます。 そこから、余分を省いた残りの時間を使って、可動性と動きのサーキットを始めます。 15-20分の孤立化したウォームアップをするよりも、しっかりと全身を動かし、振動させることのできる効率の良い組み合わされた動きが必要であると強く信じています。(私の膨大な量の投稿であるウォームアップが理解を助けてくれるでしょう) 最後に重要なこととして、可動性とパフォーマンスの“ギャップを埋める”エクササイズと可動性のドリルをよく一緒に行います。つまり、単にニーハグを行う代わりに、ニーハグとAスキップを組み合わせて行うのです。 ただラテラルランジをするだけでなく、ラテラルランジに続けて、ラテラル・ディフェンシブシャッフルを行います。 このようにウォームアップを組み合わせることで、素早く終了できるだけでなく、アスレティックボキャブラリーの再構築もできるのです。
多忙な人のための4×15アスレティックワークアウト パート2/2
ブロック#2−スピードとパワーの向上 長年、私はスピードとパワーの向上を無視していました。 私は筋力に焦点を当てていたので、それらの質を取りこぼしてきましたが、今になってその失った時間を取り戻そうと試みています。 そして実は...それは私だけではないのです。 出会ってきた多くのリフター達は、ストレングストレーニングのみに集中し、結局、子どもの頃に楽しんだ“自然の”アスレティシズムの質がゆっくりと失われていたことに気づくのです。 もしこれがあなたのことのように聞こえるなら、間違いを認め、それについて何かを起こす時です。 再びスピードとパワーについて取り組み始める時に鍵となることは、ゆっくりと、そして、段階的に行うということです。 言い換えれば、1日目に最大垂直跳びと40ヤードのタイムを測定したりしないこと! 誰かを再教育するとき、私はこのようなことから始めるでしょう: 縄跳びと低強度プライオメトリクス 下半身の減速と衝撃吸収ドリル かなり短距離のスプリント 1-2ヶ月はここから始め、その過程を楽しみます。 身体に、素早く、爆発的であることを再度教えている、という事実を楽しみます。 そして、身体がそれに反応していくにつれて、ゆっくりと量と強度を上げ始めることができます。 今では、これが4つのトレーニングブロックの中での、私の一番のお気に入りかもしれません。 アスレティシズムが戻ってきているように、また、私自身が若いアスリートであった時よりも良く動けていると実際に感じます。 少なくとも、いくつかのスピードとパワートレーニングをプログラムに再導入し始めてください。楽しめることを保証します! ブロック#3−ストレングストレーニング 皆さんはおそらく、長年ウエイトを持ち上げているでしょうから、この部分はもっとも簡単にプログラムできるはずです。 ここにある問題を提起します−“ウエイトトレーニングをする”ために60分あるとしたら、やりたいことをすべて行うことは簡単です。しかし、たった15分しかなかったらどうしますか? まず最初に、これはプログラムに入れているエクササイズについて批判的に考えさせることになります。 そこにあるものすべてに理由はあるのでしょうか? そして、もしそうであれば、重複しているもので、ほとんど(あるいはまったく)影響なしに除外できるものは何ですか? 例えば、スピードとパワートレーニングを始めれば、“筋力”という目的で、スプリットスタンスや片脚でのストレングストレーニングを多く行う必要はおそらくないでしょう。 これを皆さんにとって簡単にするために、私がしていることをお伝えしましょう:私はその日の“どでかい”エクササイズを1つ選び、15分間全てをそのトレーニングに使うことがよくあります。 スクワットバリエーション デッドリフトバリエーション。 ベンチプレスバリエーション。 1つの得るものが多いエクササイズを見つけ、15分間それをハードに行います。 下半身ウエイトでは、これが完璧に機能します−そして、それを変更させる理由は特に見つけられません。 例外があるとすれば、上半身にフォーカスする日でしょう。1つのエクササイズに全てを投入する代わりに、反対の動きのパターンとのスーパーセットを考慮します。 幾つかの例になります: ベンチプレス/ダンベルロウ チンアップバリエーション/ショルダープレスバリエーション 不安定な面(UST)でのプッシュアップ/USTインバーティッドロウ アイデアとオプションは限りありませんし、スーパーセットを行えば、当然より多くのトレーニングをすることができます。 しかし、ここが鍵になります−15分間でこれを行わなければならない−言い訳なし! これが最後のブロックに繋がっていきます…。 ブロック#4−コンディショニング 17年間これを行ってきた今、私は賢いコンディショニングトレーニングの大いなる支持者であると言っても大丈夫でしょう。 “賢い”という単語をかなり強調して。 なぜなら、トレーニングを早く、激しく行うからといって、コンディショニングについて間抜けでなければならないわけではありません。 事実、30:30の脂肪燃焼インターバルにのみ頼ることなく、その過程で水素イオンに全身を浸すこともなく、“高強度”にすることはできるのです。 私は非乳酸有酸素インターバル、あるいは、ジョール・ジェイミソンが“爆発的反復”と説明しているもののほうがはるかに好きです。 この非乳酸有酸素の範囲で運動するためには、最低でも1:5の運度:休息比率に、1:9、あるいは1:10に近いインターバルを付随させて行うでしょう。 あなたは今、こう考えているに違いないと思います。“いったいどうやってやるの?”と。 そして、もしそうであるなら、ヒントとなる例をここにいくつか列挙します。 プロウラースプリント、6秒間オン、54秒間オフ エアダインバイクスプリント、8秒間オン、52秒間オフ バトルロープ、10秒間オン、50秒間オフ もし計算すれば、これらの例のそれぞれの“ラウンド”でぴったり1分間運動しているので、すべての人がコンディショニングセッションの間に、15“ラウンド”できることになります。 かなり賢いでしょう? これはプログラミングを簡潔にする、コンディショニングをセットアップするための一つのシンプルな方法ですが、何よりも重要なのは、すべてが素晴らしく効率的だということです。 10-15回、質の良い呼吸をゼイゼイとしたら、そのセッションを終わりにしてください。 まとめ これで、4×15のワークアウトの要領が分かりましたね。 時間がない、しかし、完璧な全身のトレーニングセッションをしたいのであれば、これがその方法です。 そして、何よりも重要なこととして、本当の“若さの源泉”を利用することを求めているなら、そして、失われたアスレティシズムを取り戻したいのであれば、これはスタートするための素晴らしい方法です。 がんばって、良いトレーニングを!
予測的コーディング、なぜ期待が運動と疼痛に重要なのか パート1/2
予測的コーディングは、最近私が勉強している新しい知覚のモデルです。ある意味、これは常識的で直感的なことですが、とても難しく思考を広げるものでもあります。この投稿では、私が学んだことと興味深く実践的なことを説明します。 その前に、なぜこのトピックが、運動と疼痛に関連している人たちに興味あるべきものなのかをみてみましょう。 はじめに、良い運動は良い知覚を必要とします。身体を協調して動かす技術は、空間のどこに身体がありどのように動いているのかを知覚する技術と切り離せません。私たちは動くために知覚し、知覚するために動くので、動きが見事な人を“身体感覚”や“固有感覚”が素晴らしいとよく言うのです。 二つ目に、疼痛は知覚の性質に含まれています。身体が危険に陥っているのか、そして身体を保護するために何をするべきか、脳の判断によって疼痛は変化します。もし足が痛ければ、それが正しくても間違っていても、脳が足のケガを知覚しているということを意味します。身体に関する知覚は(他の全てと同様に)誤っている場合もあり、そのため損傷のない部分が痛かったり、損傷している部分が痛くなかったりするのです。知覚の科学についてさらに学ぶことで、疼痛と疼痛の治療方法を必然的に学ぶことになります。 従来の知覚モデル:ボトムアップ 従来の知覚モデルは、おおよそ以下の通りです。私達は、目、耳、皮膚、筋などにある神経終末から知覚情報を集めます。この情報が脳に伝達され、そこで情報が処理され、意味が解釈され、さらに原因についての知覚が作り出されます。 例えば、私の妻の顔を目の前に見るとき、彼女の顔に光が反射し、その光のパターンを私の目が認識して脳に送られ、私の脳はそのパターンが妻の顔から来ているものだと認識し、そのため彼女がそこにいるのだという知覚を作り出すのです(私が誰の指図を受けたらいいのかわかるように)。 あるいは、もし誰かが足を踏み出して膝に痛みを感じたとき、それは、その一歩からの機械的な力が侵害受容(痛覚)を刺激し(損傷の可能性に関する神経シグナル)、そのシグナルが脳に届きます。脳は膝への脅威があると判断し、保護を促すために疼痛を作り出したのです(足を引きずって歩くかもしれません)。 ですから、このモデルは、非常に“ボトムアップ”あるいは“外側から内側”のものです。外の世界から身体の末梢までの情報の流れ、そして身体の末梢から脳までの情報の流れを強調しています。 このストーリーには何が欠けているでしょうか?このモデルがうまく説明できないのは、入ってくる感覚情報の意味を脳が判断するときの、過去の経験の役割に関してです。そこで予測的コーディングのモデルに価値が加わります。このモデルは“トップダウン”の要因がどのように入ってくる感覚情報を修正するのかを説明します。 予測的コーディング:期待は重要 予測的コーディングモデルによると、脳は外の世界(および私たちの身体)の表象やモデルを常に作り、改良しています。私たちの知覚は単に入ってくる感覚データだけではなく、これらのモデルに大きく左右されます。 例えば、私の家の内面モデルは、私の犬のリーバイという四つ足の動物を一匹だけ含んでいます。もし薄暗いリビングを歩いていて、狼をちらっと見たとすれば、実際にはたぶん自分の犬リーバイを見るでしょう。つまり、私の知覚は実際に私の目からの知覚データよりも私の期待によって決定されているのです。 期待が知覚をどのように決定しえるのか、いくつかの例を以下の写真で見てください。 最初の二つの写真では、あなたの目が伝えたことと非常に異なるものを知覚しました。これは言葉が通常どう綴られているかに関する、あなたの今までの推測に基づいています。3つ目の写真では、今までの経験に基づいた顔の部位がある一定に配置されている 、二つの正常な顔を見ました。(写真を逆さまから見ると非常に違う配置が見えます) これは他の種類の感覚でもよく見られます。悪魔のメッセージが歌詞に隠されていると考えていると、レッド・ゼッペリンの“天国への階段”を逆に演奏するとそれが聞こえてきます。後ろから誰かの腕に氷をのせ、同じタイミングで“熱い!”と言えば、その人は熱を感じます。 プラシーボの鎮痛効果は、それが疼痛を軽減するだろうという期待に純粋に基づいているのです。ノセボは、その逆の作用で、疼痛を予期することが疼痛を促します。ある程度、私たちは予測していることを知覚しているのです。 トップダウンとボトムアップの比較 予測的コーディングモデルは、期待が知覚にどのように影響するのかを正確に説明できます。神経系は、脳の皮質が一番上で神経終末が一番下というように、序列的に整理されています。神経系のより高いレベルでは、下のレベルから入ってくる感覚データの流れを常に予測しています。これらの予測は、入ってくる感覚データ(ボトムアップ)に見合う下方に流れる神経活動(トップダウン)を作ります。神経活動がすれ違うと、予測されたことと感じられたことが比較され、それによって予測エラーが発生します。言い換えれば、トップダウンがボトムアップと“握手”をし、相違が話し合われ、妥協に行き当たるのです。 エラー(あるいは相違)が比較的小さければ、ランダムな騒音か、“かなり近いもの”として無視されます。神経系のさらに高いレベルには予測エラーは伝達されず、予期していたその通りの世界が知覚されます。エラーが大きければ、さらに高いレベルまでミスが伝達され、世界のモデルを更新できるようにします。驚くことや重要なことが起こったという主観的な感情が生まれ、入ってくる感覚データの方へ自動的に注意がシフトし、知覚と行動がそれに応じて調整されます。 予測の強さや自信は、予測エラーの扱われ方に大きく影響します。入ってくる感覚データの予測の確信が非常に高ければ、(たくさんの過去の経験に基づいているかもしれない)有意なエラーであっても無視されます。しかし予測の確信が低ければ(状況が新しく、エラーが予想されているかもしれない)、ボトムアップの感覚情報が神経系の高いレベルまで上がる可能性は高く、知覚の変化を促します。注意力もまた、予測エラーの処理のされ方と重要な関係を持っています。もし私が、ある感覚情報の流れに注意を払えば、予測エラーを無視するのではなく、エラーに気づく可能性が高くなります。そのため、システムは、相対的な確信のレベルやどちらかへの注意力に基づいて、知覚にトップダウンあるいはボトムアップの要因を支持する偏見をもたらします。 例えば、私の世界のモデルによると、私のガレージの中にある黒いSUVは私の車のみです。違う車に交換したとしても、私はたぶん気づかずに車に乗ってしまうでしょう。私の知覚は、目からくる情報ではなく予想によってコントロールされています。しかし、トップダウンの予測よりもボトムアップの感覚がはるかに私の知覚をコントロールしている混んだ駐車場では、同じ錯覚に苦しまないでしょう。 このモデルがどう働いているのか基本的なことが理解できたところで、これからこのモデルが知覚に関連している一般的な現象とあまり一般的ではない現象をどのように説明するのか見ていきましょう。
予測的コーディング、なぜ期待が運動と疼痛に重要なのか パート2/2
疼痛 予測的コーディングの枠組みは、なぜ疼痛がただ組織の損傷のみでなく、過去の経験、考え、予想、感情に影響されるのかを説明するのに役立ちます。 例えば、腰部の屈曲が疼痛を引き起こす経験をたくさんしていれば、屈曲すると痛みが伴うと予測する腰部の内的モデルを作り始めます。これは、実際に腰部が侵害受容を生み出してないのにもかかわらず、屈曲するたびに痛みを感じさせる強い先入観を作ります。 腰部のモデルを更新することで、トップダウンの要因の痛みへの影響を軽減できます。これを行うには屈曲すると痛くなる予想にそむき、予測エラーを促す必要があります。いい方策として屈曲する時どう感じるか注意を払い、腰椎の屈曲を例えば四つ這い位や背臥位など、何らかの新しい方法で行い、予測エラーを無視できなくします。要するにこれは、運動療法の大半のように聞こえますね。 より積極的で危険な方策は、重いデッドリフトのような背筋群が屈曲を防ぐために非常に強く働かなければいけない運動を行うことです。屈曲を防ぎながら正しいフォームでデッドリフトを行うかもしれません。少し痛むけれど、予想していたほど痛くはなかった。実際に、自分がどれだけ強く感じるのかに、心底驚きます。これは、腰が弱すぎてかなりの力を扱うにはもろいという予想を覆した証拠です。そして、あなたの腰の地図は予測エラーのために更新されます。良い兆しですね! 肝心なのは、短期的に疼痛を和らげてくれるものは、痛みを促すという予想を覆していることが多いということです。それにはたくさんの方法があるでしょう。マッサージ、デッドリフト、キャット・カウ、ストレッチ、等尺性抵抗エクササイズ、自動的あるいは介助関節可動性エクササイズなどです。これらに全て共通していることは(もし痛みが和らいだ場合)、予想しているよりもそれほど痛くないということです。 よりよく動く、予測と行動 予測的コーディングモデルによると、知覚と運動には深いつながりがあります。なぜなら、それぞれが予測エラーの修正に役立っているから、そして全てのシステムが最も注目していることは予測エラーを最小限にすることだからです。システムが予測エラーに直面すると、次の二つのうちのどちらかが起こります。新しい情報を反映するためにモデルを更新する(知覚を変化する)か、あるいは予測と一致した感覚情報を集めるように行動を変化するかどちらかです(運動を変化する)。 例えば、バーベルを背中に乗せた状態でボックスへ向かってスクワットを行うとしましょう。ある程度の深さまでスクワットをすると、ボックスにタッチダウンしたことを示すお尻からくる感覚フィードバックを期待します。しかし、ここで、私の尻が何も伝えてこないという予測エラーがありました。ここで私ができることは二つ。ボックスの位置の知覚を変えることができます(あれ、ボックスをそこに置くのを忘れていた!)。あるいは、予測されていたフィードバックが起きるまでさらにお尻を下に降ろし、行動を変えることができます。 どちらにせよ、主要な目標は、常に予測エラーを軽減することであり、それができれば知覚を変えても行動を変えてもどちらでも構わないのです。重要なのは、バーベルを背中に乗せたまま床に落っこちないことです。どちらにしても、良い内的モデルと正しい予測が機能的知覚と行動を生み出す基盤になっています。 ですから、運動を改善することは、運動の内的モデルや運動中に感じられる感覚フィードバックの予測を向上することなのです。より良い知覚と行動を通して、間違いを認識し修正するためには、多くの経験を必要とし、ミスをし、そして正しい感覚情報の流れに注意する必要があります。もちろん、私たちはこれらほとんどについてどうせ知っていますが、予測的コーディングの枠組みの応用が正しい答えに導いてくれることは素晴らしいと思います。 次に、他のモデルでは簡単に説明できない、予測的コーディングのまだ知られていない部分から学べる素晴らしい情報をご紹介します。 統合失調症、自閉症、そして赤ちゃん このアルバート・アインシュタインの写真をみてください。彼の鼻はあなたに近づいていますか、それとも遠ざかっていますか? 私達は、鼻はこちらに近いと予想するので、ほとんどの人はこのマスクが凸形に見えますが、実は凹形です。面白いことに、統合失調症の人(そしてマリファナでハイになっている人)では、実際にこのような間違いが少ないのです。なぜなら、彼らの世界に対する知覚はトップダウンモデルよりもボトムアップの感覚によってコントロールされているからです。そして、このために彼らは妄想症になる傾向があるのかもしれません。 統合失調症は、毎日の出来事が顕著で信じられないほど重要だと錯覚を起こしてしまいます。混雑した喫茶店に座っていて、近くの会話であなたの名前が聞こえてきたと想像してみてください。これはあなたの注目を引くかもしれませんが、多分あなたの意識にはそれほど驚くものとしては捕らえられていないでしょう。しかし、予測しなかった入力感覚情報の関連性が、かなり大幅に誇張されるという問題を持っていれば、あなたの名前を挙げられることは非常に重要に感じられ、もしかすると言及や妄想などの錯覚に貢献するかもしれません。ですから、妄想的錯覚は、些細な予測エラーに重要性を置きすぎているのかもしれません。 自閉症もまた、トップダウンの予測以上にボトムアップの感覚が優勢である状態だと理解することができます。ほんのわずかな予測エラーでも重要だと捉えられます。ですから、入ってくる感覚情報は全て“報道価値のある”ものであり、自閉症を持つ人たちは“感覚の奴隷”として、洋服のラベルやランダムな騒音などの些細な入力によって常に取り乱されたりイライラしたりしてしまうのです。 興味深いことに、自閉症を持つ人たちは反復的でリズミカルな運動を行うことで自分を落ち着かせることをよく行います。これらの運動は非常に予測しやすい感覚情報の流れを生み出します。より良い予測は、圧倒されてしまうような感覚情報を抑制することを可能にします。 赤ちゃんがリズミカルな運動を好んだり、いつも抱っこされたり、包まれることを好むのはこのせいなのかもしれません。なぜなら、彼らは世界での経験が少なく、入ってくる感覚データについて自信を持って予測するような強い内的モデルを持ち合わせていないため、予測できない腕や脚の運動、背中がチャイルドシートと触れる変化、そしてテレビや交通が生み出すランダムな騒音など、全ての情報にびっくりしてしまっているのです。大人もこれらの情報全てにさらされていますが、私たちは簡単に予測できるので、これらを無視することもできます。しかし世界の内的モデルをしっかり持っていない赤ちゃんにとっては、全てが活発でざわめいて混乱しているのです。赤ちゃんは、予測できるリズミカルな感覚情報のいい流れによって落ち着かされるのかもしれません。 私たちみんなそうではないでしょうか?
ストレングストレーニングは動きのパターンを変えるか? パート3/3
ストレングストレーニングはラテラルカッティングにおける膝の屈曲を増加するか? ドロップジャンプから一旦離れ、ラテラルカティングに話題を移そう。コクランら(2010)は、あらかじめ計画した状況下と突発的な状況下の両方で、30度と60度のサイドステップと30度のクロスオーバーカティングと直線ランを実施する時の膝の動きに対し4つの異なるトレーニングプロトコルを作り、その効果を評価するという野心的な計画を立てたことがわかる。 それでも、膝の最大屈曲に関する唯一の発見は、フリーウェイトトレーニング(マシーンウェイトトレーニング以外)は実際、カッティング動作での膝の屈曲を減少させた、ということである。この結果によって、ストレングストレーニングは、ラテラルカッティング中のケガにつながるような動きのパターンにとって不利であると推測できるが、ひとつの研究のみをもとにこれを評価するのは難しい。 ストレングストレーニングはドロップジャンプにおける膝の外反を低減するか? 予測したように、ストレングストレーニングだけでは、ドロップジャンプにおける膝の外反は低減しないようだ。少なくとも、キューイングをしてもらえない状況やガイドしてくれるコーチがいない場合にはそうである(マッギンら、2006;マッカーディら、2012;近藤&染谷、2016)。理由として、それが気づかないほどの小さな変化だったのか、または純粋に効果がまったくなかったのかは、明らかではない。 同様に、ドロップジャンプに似ている水平ストップジャンプのストレングストレーニング後でも、膝の外反には効果がなかった(ハーマンら、2008)。 一方、適切な動きに関するフィードバックを伴う時(一種の熟考練習)、ストレングストレーニングは、股関節の外転角度の増加に効果的である。また、水平ストップジャンプでは膝の外反に減少傾向が見られる。興味深いことに、フィードバックだけでは効果的ではない(ハーマンら、2009)。 このことは、ストレングストレーニング、ジャンプ練習の両方とも、ドロップジャンプにおける膝の外反などの主要な動きのパターンを改善するという明確な役割を果たす可能性を示している。 よくよく考えてみれば、これは、ストレングストレーニングと比較してなぜプライオメトリックス(フィードバックの有無に関わらず)の方が、一般的にジャンプ動作における動きのパターンを改善する信頼性が高いのかを説明できる(レファートら、2005;スターンス&パワーズ、2014;ナイマン&アームストロング、2015)。本質的に、それらはストレングストレーニングといくつかの動きの練習を統合し、ひとつのエクササイズにしたものである。 ストレングストレーニングは片脚スクワットにおける膝の外反を低減するか? ドーソン&へリントン(2015)のとても上手く構成され、彼ら自身も誇りに思うべき研究では、グラウンドベースでのストレングストレーニング(大臀筋と中臀筋)の効果と片脚スクワットでの膝の外反のための動きのトレーニングの効果を比較した。どちらのトレーニンググループでも前額面の投射角度は約6.5度減少した。そして、股関節の内転角度も約4.0度改善し、グループ間の差はなかった。 このことは、ストレングストレーニングがドロップジャンプでの膝の外反に効果がないようであっても、簡単な股関節のストレングス(四つん這いの股関節伸展や側臥位での股関節外転)でさえ、片脚スクワットでの膝の外反を改善できるかもしれないことを示唆している。 これはまた、股関節と膝の筋力を片脚スクワットでの膝の外反と関連付けたクレイボーンら(2006)の、発見をある程度証明することとなる。しかし、上記の分析に基づき、着地や両脚スクワットに同じことが当てはまると仮定してしまうのは慎重でなければならない。 最後に、これらの所見の裏付けとして、ウィリー&デイヴィス(2011)の片脚スクワットでの股関節の内転角度に関する研究とオルソンら(2011)の片脚ステップダウンでの前額面の投射角度の研究で、同様の結果を報告した。しかし、どちらのケースにおいても、ストレングクトレーニングだけではなく、ストレングスとレーニングと視覚的フィードバックプログラムのコンビネーションを使用した後だった。 ストレングストレーニングはランニングにおける膝の外反を低減するか? 現在まで、研究ではかなり明確に、ストレングストレーニングは持久力が必要なアスリートにとってランニング効率を改善する効果があるとする一方で、ランニング中の膝の外反には何の影響もないとされている(スナイダーら、2009;ウィリー&デイビス、2011;アール&ホック、2011;ファーバーら、2011;シーリンら、2012)。 ここでその謎に取り組み解明しようとは思わないが、ストレングストレーニングは、片脚スクワットでは効果を発揮するのに、なぜランニング中の膝の外反には効果をもたらさないのかは、とても興味のある疑問である。 これら全てをどのようにまとめるか? ストレングストレーニングの動きのパターンへの影響は、いくつかあるが、我々がどの動き(ドロップジャンプ、片脚スクワット、ラテラルカッティング、ランニング)を測定するかによってその効果は異なるようである。 すでに予想されたことかもしれないが、知っての通り、アスリートの関節可動角は、片脚着地や片脚スクワット、両側着地、両側スクワットなど異なるテスト全てにおいて、必ずしも相互に関係するとは限らない(ドノヒューら、2015)。 つまり、ある動き(より柔らかいドロップランディングなど)のストレングストレーニングプログラムの成果として、関節可動角に有益な変化が自動的に起きるかもしれないが、その一方で、他の危険性のある動きのパターン(外反膝など)は、プライオメトリックスや動きのトレーニング、さまざまなフィードバックを利用するなど何らかの方法で取り組む必要があるだろう。 また、ドノヒューらの示唆の通り、“検査するタスクが異なれば、一人ひとりさまざまなケガのリスクの様相を示すようだ。”ということは理解でき、また、ひとつのテストでストレングストレーニングがたとえ膝の屈曲や外反を改善したとしても、同じことが次のテストで起こるとは限らない。動きのパターンのテストを、ひとつだけではなくいくつも実施する必要がある! 結論 イエス、ストレングストレーニングは、動きのパターンを変えると言える。すくなくとも、いくつかの競技運動で関節の最大角度を変えることにより変えられる。しかし、どの動きをテストしているかによって効果は異なる(たとえば、ドロップジャンプ、片脚スクワット、ラテラルカッティング、ランニングなど)。 ストレングストレーニングで、ドロップジャンプでの股関節と膝屈曲の最大角度は増加し衝撃吸収も増加することで、着地をより“柔らかく”できるようだ。ドロップジャンプでもランニングでも膝の外反は低減しないようだが、片脚スクワット中の膝の外反は低減するかもしれない。 参照文献 Arabatzi, F., & Kellis, E. (2012). Olympic Weightlifting Training Causes Different Knee Muscle–Coactivation Adaptations Compared with Traditional Weight Training. The Journal of Strength & Conditioning Research, 26(8), 2192-2201. Bell, D. R., Oates, D. C., Clark, M. A., & Padua, D. A. (2013). Two-and 3-dimensional knee valgus are reduced after an exercise intervention in young adults with demonstrable valgus during squatting. Journal of Athletic Training, 48(4), 442. Claiborne, T. L., Armstrong, C. W., Gandhi, V., & Pincivero, D. M. (2006). Relationship Between Hip and Knee Strength and Knee Valgus During a Single Leg Squat. Journal of Applied Biomechanics, 22(1). Cochrane, J. L., Lloyd, D. G., Besier, T. F., Elliott, B. C., Doyle, T. L., & Ackland, T. R. (2010). Training affects knee kinematics and kinetics in cutting maneuvers in sport. Medicine & Science in Sports & Exercise, 42(8), 1535. Cronström, A., Creaby, M. W., Nae, J., & Ageberg, E. (2016). Modifiable Factors Associated with Knee Abduction During Weight-Bearing Activities: A Systematic Review and Meta-Analysis. Sports Medicine, 1-16. Dawson, S. J., & Herrington, L. (2015). Improving single-legged-squat performance: comparing 2 training methods with potential implications for injury prevention. Journal of Athletic Training, 50(9), 921-929. DeVita, P., & Skelly, W. A. (1992). Effect of landing stiffness on joint kinetics and energetics in the lower extremity. Medicine & Science in Sports & Exercise, 24(1), 108-115. Donohue, M. R., Ellis, S. M., Heinbaugh, E. M., Stephenson, M. L., Zhu, Q., & Dai, B. (2015). Differences and correlations in knee and hip mechanics during single-leg landing, single-leg squat, double-leg landing, and double-leg squat tasks. Research in Sports Medicine, 23(4), 394-411. Earl, J. E., & Hoch, A. Z. (2011). A proximal strengthening program improves pain, function, and biomechanics in women with patellofemoral pain syndrome. The American Journal of Sports Medicine, 39(1), 154-163. Ferber, R., Kendall, K. D., & Farr, L. (2011). Changes in knee biomechanics after a hip-abductor strengthening protocol for runners with patellofemoral pain syndrome. Journal of Athletic Training, 46(2), 142-149. Gokeler, A., Benjaminse, A., Welling, W., Alferink, M., Eppinga, P., & Otten, B. (2015). The effects of attentional focus on jump performance and knee joint kinematics in patients after ACL reconstruction. Physical Therapy in Sport, 16(2), 114-120. Herman, D. C., Weinhold, P. S., Guskiewicz, K. M., Garrett, W. E., Yu, B., & Padua, D. A. (2008). The effects of strength training on the lower extremity biomechanics of female recreational athletes during a stop-jump task. The American Journal of Sports Medicine, 36(4), 733-740. Hejna, W. F., Rosenberg, A., Buturusis, D. J., & Krieger, A. (1982). The prevention of sports injuries in high school students through strength training. Strength & Conditioning Journal, 4(1), 28-31. Herman, D. C., Oñate, J. A., Weinhold, P. S., Guskiewicz, K. M., Garrett, W. E., Yu, B., & Padua, D. A. (2009). The effects of feedback with and without strength training on lower extremity biomechanics. The American Journal of Sports Medicine, 37(7), 1301. Kondo, H., & Someya, F. (2016). Changes in ground reaction force during a rebound-jump task after hip strength training for single-sided ankle dorsiflexion restriction. Journal of Physical Therapy Science, 28(2), 319-325. Lehnhard, R. A., Lehnhard, H. R., Young, R., & Butterfield, S. A. (1996). Monitoring Injuries on a College Soccer Team: The Effect of Strength Training. The Journal of Strength & Conditioning Research, 10(2), 115-119. Lephart, S. M., Abt, J. P., Ferris, C. M., Sell, T. C., Nagai, T., Myers, J. B., & Irrgang, J. J. (2005). Neuromuscular and biomechanical characteristic changes in high school athletes: a plyometric versus basic resistance program. British Journal of Sports Medicine, 39(12), 932-938. Malloy, P., Morgan, A., Meinerz, C., Geiser, C., & Kipp, K. (2015). The association of dorsiflexion flexibility on knee kinematics and kinetics during a drop vertical jump in healthy female athletes. Knee Surgery, Sports Traumatology, Arthroscopy, 23(12), 3550-3555. Mason-Mackay, A. R., Whatman, C., & Reid, D. (2015). The effect of reduced ankle dorsiflexion on lower extremity mechanics during landing: A systematic review. Journal of Science and Medicine in Sport. McCurdy, K., Walker, J., Saxe, J., & Woods, J. (2012). The effect of short-term resistance training on hip and knee kinematics during vertical drop jumps. The Journal of Strength & Conditioning Research, 26(5), 1257-1264. McGinn, P., Mattacola, C. G., Malone, T. R., Johnson, D. L., & Shapiro, R. (2006). Strength training for 6 weeks does not significantly alter landing mechanics of female collegiate basketball players. Journal of Orthopaedic & Sports Physical Therapy, 37(2), A24. Myers, C. A., Torry, M. R., Peterson, D. S., Shelburne, K. B., Giphart, J. E., Krong, J. P., & Steadman, J. R. (2011). Measurements of tibiofemoral kinematics during soft and stiff drop landings using biplane fluoroscopy. The American Journal of Sports Medicine, 39(8), 1714-1722. Nyman, E., & Armstrong, C. W. (2015). Real-time feedback during drop landing training improves subsequent frontal and sagittal plane knee kinematics. Clinical Biomechanics, 30(9), 988-994. Olson, T. J., Chebny, C., Willson, J. D., Kernozek, T. W., & Straker, J. S. (2011). Comparison of 2D and 3D kinematic changes during a single leg step down following neuromuscular training. Physical Therapy in Sport, 12(2), 93-99. Palmer, K., Hebron, C., & Williams, J. M. (2015). A randomised trial into the effect of an isolated hip abductor strengthening programme and a functional motor control programme on knee kinematics and hip muscle strength. BMC Musculoskeletal Disorders, 16. Pollard, C. D., Sigward, S. M., & Powers, C. M. (2010). Limited hip and knee flexion during landing is associated with increased frontal plane knee motion and moments. Clinical Biomechanics, 25(2), 142-146. Sheerin, K. R., Hume, P. A., & Whatman, C. (2012). Effects of a lower limb functional exercise programme aimed at minimising knee valgus angle on running kinematics in youth athletes. Physical Therapy in Sport, 13(4), 250. Snyder, K. R., Earl, J. E., O’Connor, K. M., & Ebersole, K. T. (2009). Resistance training is accompanied by increases in hip strength and changes in lower extremity biomechanics during running. Clinical Biomechanics, 24(1), 26-34. Stearns, K. M., & Powers, C. M. (2014). Improvements in hip muscle performance result in increased use of the hip extensors and abductors during a landing task. The American Journal of Sports Medicine, 42(3), 602-609. Weiss, K., & Whatman, C. (2015). Biomechanics associated with patellofemoral pain and ACL injuries in sports. Sports Medicine, 45(9), 1325-1337. Welling, W., Benjaminse, A., Gokeler, A., & Otten, B. (2016). Enhanced retention of drop vertical jump landing technique: A randomized controlled trial. Human Movement Science, 45, 84-95. Willy, R. W., & Davis, I. S. (2011). The effect of a hip-strengthening program on mechanics during running and during a single-leg squat. Journal of Orthopaedic & Sports Physical Therapy, 41(9), 625-632. Yeow, C. H., Lee, P. V. S., & Goh, J. C. H. (2010). Direct contribution of axial impact compressive load to anterior tibial load during simulated ski landing impact. Journal of Biomechanics, 43(2), 242-247. Yeow, C. H., Kong, C. Y., Lee, P. V. S., & Goh, J. C. H. (2011). Correlation of axial impact forces with knee joint forces and kinematics during simulated ski-landing. Journal of Sports Sciences, 29(11), 1143-1151. Zouita, S., Amira, Z. B., Kebsi, W., Dupont, G., Ben, A. A., Salah, F. B., & Zouhal, H. (2016). Strength Training Reduce Injury Rate In Elite Young Soccer Players During One Season. The Journal of Strength & Conditioning Research.