マイクロラーニング
隙間時間に少しずつビデオや記事で学べるマイクロラーニング。クイズに答えてポイントとコインを獲得すれば理解も深まります。
コーキネティックの“運動ニューロマトリックス” パート2/2
私達の運動は、生涯にわたって集められた、これまでの内在的、外在的経験によって構成されています。身体を純粋な機械的構造物として見ることは、‘運動ニューロマトリックス’と脳の役割、私達の運動においての神経系と記憶の役割の構成要素となる経験の奥深さを見落とすことになります。脳と脳の様々な入力をみることによって、運動制御レベルでの今後の問題に関しての、これまでの運動の問題の影響を理解することができます。研究が、今後発生するかもしれない傷害の予測のための大きな判断材料は、過去に発生した傷害であると示しています。 “痛みへの順応は、短期間の利益がありますが、潜在的な長期の影響を伴います。” Hodges (2011年) 私達の日々の要求と姿勢、これまでの運動における問題と感覚入力は、私達の今後の運動において何が起こるかを決定する際に、大きな役割を果たしています。既往痛は、脳内の運動皮質と感覚皮質に変化を引き起こし、私達の運動潜在能力を制御します。痛みを取り除くことがリハビリテーションの黄金律ですが、これまでの運動が評価されたり、復元されたりすることは滅多になく、私達は症状、あるいは痛みを軽減するアプローチをとります。この変化した運動は、後になって局所的、あるいは全体的に、潜在的な運動における問題と痛みを作り出す可能性があります。これは、身体が経験している問題の原因として、足のような特定の構造に目を向けるように、より生体力学的、あるいは姿勢に関する先入観にとらわれたモデルから離れることを意味しています。発表されている研究は、経験した痛みに関連する特定の病理学的機序を一貫して支持しているわけではありません。 “痛みは、痛みのある、あるいは損傷部位を保護するために、運動戦略を変更しようと強い刺激を与えますが、痛み、あるいは傷害の解決は、必ずしも初期パターンに戻るための刺激を与えることではありません。” Hodges (2011年) 実際に、痛みは実際の損傷というより、ニューロマトリックスの中に含まれている全ての情報に基づいた、体組織の健康に対する身体の見解なのです。 治療用ベッドのように、閾値の低い方法で評価することは、傷害、あるいは制限に関連する運動の問題を発見するため、環境要因を作り出すことを可能としないかもしれない、ということを意味しています。 私達コーキネティックでの、評価におけるSAIDの原則は、身体は私達に“課された要求への特異的な答え”を与えてくれるということを表現しています。評価の要求が変化するにつれて、要求への反応も変わるでしょう。これは、エリートレベルの競技者において特に重要であり、競技者全体において、より重要なものです。 私達は下記のモデルを模範として、脳が機能すると信じています: パターン − 状況の認識記憶 知覚 − 感覚フィードバックの解釈 予測 − 反応‐低下した運動と痛みを含む 身体に、運動における本質的な運動ニーズに由来する、正しい感覚情報のパターンを与えることによってのみ、機能的な状況における、評価/治療の状況から離れた、機能的な状況において起こる、身体からの真の反応、あるいは予測を得ることを期待することができます。問題はしばしば、単に運動指令/計画、あるいは運動状況に応えて起こるであろうことへの意見、あるいは予測なのです。感覚処理の観点から起こることのほとんどは、単に毎分毎に変化可能な解釈、あるいは知覚なのです。神経信号は、“運動ニューロマトリックス”内に含まれている他の要因に従って、中枢レベルにおいて増幅され、あるいは減衰されます。 “痛みは、ただ単に傷害に対する反射的反応というより、生命体の健康状態に関する見解です。疼痛受容器から脳内の‘痛覚中枢’への直接のホットラインは存在しません。” VS Ramachandran 私達の感覚系はまた、‘運動ニューロマトリックス’における中心的存在です。 私達の感覚の全ては、その環境においてナビゲートする必要がある利用可能で大量な情報をうまく処理するために、私達の動き方に影響を及ぼします。この感覚情報における不整合は、準最適運動と痛みを引き起こす可能性があります。感覚系は、単に私達の運動情報のみでなく、より重要であるかもしれない視覚系情報や前庭系情報も含みます。 “神経障害痛のような感作、阻害された神経系において、感覚運動不調和は痛みに寄与、もしくは痛みを維持する可能性があります。” Moseley and Flor (2012年) ストレスホルモンのレベル、食事、水分補給状態、呼吸を含む体内の健康状態はまた、私達の運動レベルと疼痛レベルに影響を及ぼします。また、運動能力を考慮する際には、‘運動ニューロマトリックス’も含まれます。 本物の環境の中で、効果的な運動、感覚系、健康を通して、‘運動ニューロマトリックス’と関わることによってのみ、私達は個人と彼らの運動潜在能力を本当に理解することができるのです。 参照文献 Blakeslee S, The body has a mind of its own, Random house, Sept 2008 Hodges P Walker K, Moving differently in pain, PAIN 152 (2011) S90–S98 Jackie Yuanyuan Hau et al, “Regulation of axon growth in vivo by activity based competition” Nature, 2005 Vol. 434 21 Kandel E et al, Principles of Neural science, fifth edition, November 2012 Lederman E, The fall of the postural–structural–biomechanical model in manual and physical therapies: Exemplified by lower back pain, CPDO Online Journal (2010), March, p1-14. http://www.cpdo.net Melzack R, Pain and neuromatrix in the brain, J Dent educ, 2001 Dec, 65(12):1378-82. Moseley G, Flor H, Targeting cortical representations in the treatment of chronic pain, Neurorehabilitation and neural repair, XX (X) 1-7 Moseley L et al, Cortical changes in chronic low back pain: Current state of the art and implications for clinical practice, 3rd International conference on movement dysfunction 2009 Moseley L, A pain neuromatrix approach to patients with chronic pain, Manual therapy 2003, 8(3) 130-140 Ramachandran VS et al, Touching the phantom limb. Nature. 1995;377:489-490. Ramachandran VS and Blakeslee S, Phantoms in the brain, New York: William Morrow, 1998
コーキネティックの“運動ニューロマトリックス” パート1/2
運動への多元的アプローチ ‘動作ニューロマトリックス’モデルは、単なる骨、関節、筋肉の機械的操作以上のものとして、私達の運動を表現するように作られています。私達が下記のモデルにおいてリストしている入力のすべては、どのように私達の脳が運動を認識し、反応するのかに影響します。 身体の運動は、脳の‘出力’である神経系の過程の肉体的表現として見られるはずです。下記の図表の中央にある絵は、運動の‘出力’を表し、周囲の‘入力’によって影響されています。私達はしばしば、運動を、脳が受け取り使用する多くの‘入力’によって影響され私達の動作、あるいは運動の‘出力’を決定するためのものとしてよりも、純粋に身体の‘出力’として見ています。 このモデルは、痛みと痛みの経験の形成に多く寄与する‘入力’の多元的モデルを導入しているMelzack氏の“ニューロマトリックス”によって影響されています。痛みに関する従来の考え方からの最も大きな脱却の一つは、ニューロマトリックスにおいて、痛みは、単に‘入力’、あるいは身体からの信号ではなく、脳の‘出力’であるということです。 Melzack氏は、下記のように説明しています: 私はネットワーク全体を分類していて、それらの空間分布とシナプスの結びつきは、最初は遺伝的に決定され、後にニューロマトリックスとして、感覚入力によって形作られていきます。 私達の‘ニューロマトリックス’を通って流れる全てのものは、感覚入力によって形作られています。‘入力’は、根源で‘神経信号’を作り出している‘入力’というより、ただ‘ニューロマトリックス’からの‘神経信号’、もしくは‘出力’パターンを引き起こすだけなのです。この例は、‘ニューロマトリックス’からの痛みの‘神経信号’と結果として起こる痛みの‘出力’を引き起こしている感覚入力というより、末梢で作り出され、脳と‘ニューロマトリックス’に伝達された痛みなのです。ストレスレベルのような‘ニューロマトリックス’への他の‘入力’は、痛みの‘神経信号’‘出力’に影響を与え、調節することができます。私達はまた、身体組織と構造からの感覚‘入力’の代わりに、痛みの‘出力’を持っているかもしれません。 私達の“運動ニューロマトリックス”は、ニューロマトリックスのひとつの出力、運動を強調するように作られています。それは、補正、順応、置換というよりも、むしろ‘ニューロマトリックス’からの多くの出力の中の一つにおける焦点と見解なのです。タイトルに‘運動’を添加した理由は、この焦点を強調するためです。 実際、私達が痛みのプロセスを知覚する方法とは反対のものとして、‘運動出力’の背後にあるプロセスをみることさえできます。痛みは、実際には‘出力’である場合にも、主に‘入力’としてみられます。運動は、しばしば多くの‘入力’と要因を無視して‘出力’としてみられます。 同様に、私達の独特な運動を作り出すために、運動は脳によって調節された、数多くの要因によって影響されていると、私達は信じています。 経験(脳) 過去の運動傷害既往歴 意欲 価値観と信条 感情 論理 痛み 皮質マップ 潜在意識 意識 外因 外部の脅威 環境 三次元空間 娯楽、スポーツ、職業 姿勢 重力 床反力 質量とモメンタム 構造 筋肉系 骨格系 神経系 結合組織 異常性 健康状態と活力 呼吸 栄養 水分補給 細胞エネルギー ストレス 習性 睡眠/覚醒サイクル 消化器官の健康状態 解毒器官の健康状態 感覚 視覚 前庭 聴覚 運動感覚 嗅覚 味覚 触覚 このモデルは、私達の運動において、脳が制御因子であるということを前提として機能します。実際に、私達の脳は、脳自身を再配線することが可能で、脳が通常使用する結合を強化していて、使用しない結合を低下させています。これが、神経剪定として表現されるプロセスです。 “神経伝達物質の放出がより不活発な軸索分岐が後退する一方で、神経伝達物質の放出がより活発な軸索分岐は、特定の神経筋部位において持続し、多ニューロン神経支配の標準的な除去を引き起こします。” Jackie Yuanyaun Hau他 これは、私達の神経連絡の観点から、“使わなければ、失われる”ということを難しく表現しているわけですが、脳科学と神経可塑性の主要原理の一つなのです。 この再配線は、私達の特有な‘はっきりとした運動特徴’、あるいは個人の運動の潜在能力を定義する神経回路を作り出す、私達の記憶、構造、感覚系、活力、環境を含む複数の入力に基づいています。この全ては、良好な運動を行い、生きるために、感覚系と運動系がお互いに依存し合い活動する大脳皮質において起こります。これらの皮質領域は、現在、私達の運動と痛みの両方を理解するために、必要不可欠なものとして考えられています。 “感覚地図からの一定で正確なフィードバック無しには、運動地図は役目を果たすことができません。そして、相互退化のフィードバック・ループがセットアップされます。感覚地図が悪化すると運動地図も悪化し、そして、感覚地図はより悪化します。” The Body Has a Mind of its Own(邦題:脳の中の身体地図~体は独自のマインドを持っている~) Sandra and Matthew Blakeslee著 “痛みが持続する際に発生する変化の一側面に、一次感覚皮質における痛みを伴う身体部位の固有感覚表現があります。これらの表現は、脳が動作の計画を立て、遂行するために使用する地図であるため、運動調整に影響を与えるかもしれません。身体部位の地図が不正確になると、運動調整は阻害されるかもしれません。皮質の固有感覚地図の実験的混乱が、運動計画を邪魔するということは認識されています。” Lorimer Moseley:南オーストラリア大学健康科学学部 臨床神経科学科教授・理学療法学科長
ACL再建術後の早期リハビリテーション 6つの重要なポイント パート2/2
膝屈曲の動きを徐々に改善 膝の屈曲制限は伸展制限より一般的でない傾向ではありますが、起こり得ることであり、屈曲への取り組みも見過ごさないようにしたいものです。屈曲と伸展の間にシーソーのような関係があることが多くあります。一方の方向に取り組めば取り組むほど、もう一方の方向がより硬くなる傾向にあるのです。これは、慎重に、しかし漸進的に、関節可動域の向上に頻繁に取り組むことにより解決されます。 また、膝の屈曲を回復させるために、ストレッチと同時に浅いスクワットや、ゆくゆくはランジなどの機能的動作のトレーニングを行うようにします。可動域のエクササイズの漸進性を自分自身で制御できれば、知覚的脅威は減少し、動作は回復しやすくなります。 膝の約90度までの屈曲は、1週間ほどでゆっくり回復します。それから徐々に改善し、4~6週間かけて完全に屈曲できるようになります。 膝蓋骨の可動性を維持 可動域減少の原因のひとつに、膝蓋骨の可動性が失われていることがあります。膝の屈曲と伸展には、膝蓋骨の充分な可動性を必要とします。膝に痛みと腫れがあり、動かしづらくなると、瘢痕組織が形成され、膝蓋骨の動きを制限します。これは特に、膝蓋腱を移植腱として用いたACL再建術でよく起こります。膝蓋骨の可動性に注意を払わなければ、可動域減少の可能性は著しく高くなるでしょう。 膝周囲の軟部組織と膝蓋骨のモビリゼーションは、術後すぐに実施します。また、患者には、これらを自分自身で出来るように指導し、家でも行うよう促しています。 大腿四頭筋の随意制御の回復 前述の通り、術後の疼痛や炎症、腫脹によって膝周囲の筋調整に反射性抑制が起こります。これらの要因への対処に加えて、大腿四頭筋の随意制御の回復のために実施するテクニックがあります。 デラウェア大学のリン・スナイダー・マクラー氏は、ACL手術後に大腿四頭筋に神経筋電気刺激(NMES)を使用することについて多くの論文を発表しています。NMESを使用しないで単にエクササイズした場合に比べ、NMESを使用することで大腿四頭筋の筋力と機能のより早い回復を促します。 当然、NMESはACLリハビリテーションの初期段階の重要な構成要素になります。最も早い段階で大腿四頭筋セット、ストレートレッグレイズ、ニーエクステンションなどの大腿四頭筋のエクササイズにNMESを併せて実施するでしょう。 大腿四頭筋を収縮させるこれらのトレーニングは、膝の伸展可動域の回復にも役立つという付加効果もあります。 独立歩行の回復 さて、これまでに疼痛と腫脹に取り組み、膝の動きや膝蓋骨の可動性は回復し始め、大腿四頭筋を活性化できるようになったところで、これらすべてを統合し、制限や跛行することなく歩行できるようにします。前述した、焦点を置くべき分野でのひとつでも対処されていなければ、独立歩行はたいてい困難になるか、少なくとも正常には機能しません。 他の組織が損傷していたり保護する必要がある場合を除いて、私は通常、ほぼ1週間で耐えられる範囲で体重をかけられるようにします。2週目までは松葉杖を使用するかもしれませんが、松葉杖に頼ってしまうのではなく、あくまでも補助的に利用し歩けるようにします。 体重をかけるエクササイズ、たとえば体重を移動させるウェイトシフトや膝をロックする練習などが、初期段階では役に立つことが分かりました。また、体重移動と片脚立ちへの移行パターンを定着させるために、コーンを用いたウォーキングドリルもよく利用します。さらに、コーンを跨ぐ後ろ向き歩行も、足部の上で身体が後方に揺れ膝の伸展に役立つことが分かりました。 ACL再建術後の早期リハビリテーションの6つのポイントについて述べてきました。患者とのセッションの際、これらひとつひとつに注意を払うようにしています。この6つのポイントは非常に重要ですから、全てにしっかり取り組むためにもリハビリテーション過程の初期には、むしろセッションを増やし、その後、(保険の限度回数により)ペースを緩めていく方が良いでしょう。
ACL再建術後の早期リハビリテーション 6つの重要なポイント パート1/2
ACL(前十字靭帯)再建術後のリハビリテーションは、この25年間で大きく進歩してきました。膝をギプスで固定することから、術後すぐに膝を動かし、さらに短時間であれば体重をかけるといった方向に進化しています。リハビリテーションの概念に対する理解が進歩するにしたがい、ACL再建術後の効果を最大限にするために不可欠である、機能的なエクササイズや漸進的リハビリテーションに、私たちの焦点はシフトしてきています。 最近では、術後リハビリテーションに100%集中するプロ選手達をみるようになってきました。エイドリアン・ピーターソンがACL断裂を負い、再建術のあと数ヶ月足らずでナショナル・フットボール・リーグで勝利をおさめ、MVPに選ばれたということから、彼は、現在ACL再建術後のスポーツへの復帰の象徴となりつつあります。もちろん、彼の症例は特別ではありますが、術後リハビリテーションは、手術後の回復度合いを大きく左右する要因です。 アドバンスエクササイズやスポーツへの復帰は誰もが望んでいることではありますが、合併症を避け、やがて難易度を上げたアドバンスドリルを可能にするためにも、早い段階でのリハビリテーションが確実かつ適切に実施されることは何よりも重要でしょう。ACLの早期リハビリテーションが不十分であれば、リハビリテーション期間は長期化してしまいます。 これに関連して、ACL再建術後の早期リハビリテーションの6つのポイントについて議論したいと思います。これらの基礎をマスターすれば、アドバンス期は容易になります。 疼痛と炎症の緩和 まず、ACLリハビリテーションのひとつめのポイントは、手術にともなう痛みと炎症を抑えるという単純なものです。これは考えるまでもないことですが、なぜ重要なのかを復習する価値はあります。実際、痛みや腫れを処置しなければ、下記に挙げるACLリハビリテーションの6つの重要なポイントを遂行するのは難しくなります。いくつかの重要な考察すべき事柄をご紹介しましょう: 疼痛と腫脹は、基本的に膝周りの筋群、特に大腿四頭筋をシャットダウンしてしまうことが、数多くの研究で示されています。腫れによる液体がわずかに関節に存在しても、大腿四頭筋の収縮能力を低下させることが分かっています。 大腿四頭筋なしでは、機能するのは困難で、膝が曲がり固まった状態で歩くようになります。 疼痛と腫脹は、関節可動域の改善を妨げてしまうのです。 このように、概念的には単純だとしても、痛みと炎症を軽減することは、術後すぐに焦点を当てるべき分野なのです。圧迫やアイシング、間欠性圧迫、挙上、アンクルパンプ、電気刺激、活動をしすぎないようにすることなど、すべてが役に立ちます。 術後の患者への最も重要なアドバイスは、アイシングを充分行うことです。 完全な膝伸展の動きを回復させる 膝の伸展の可動域を完全に回復させることは、おそらくACL再建術後に行うリハビリテーションの最優先事項になるでしょう。しかし、ここで私が第2項目目に挙げることになった理由は、疼痛と腫脹への対処が、本稿で議論するすべてに密接に関係しているからです。しかし実際のところ、やはり膝の伸展を可能な限り早く回復させるというとことに、私は常に重点を置いています。ACL手術後の比較的一般的な合併症のひとつは、動きの減少ですが、屈曲よりも伸展に制限があることの方が大きな問題が生じます。 疼痛や腫脹があると、膝が軽度に屈曲している方が楽です。ただし、この肢位をあまり長く保っていると、瘢痕組織の形成や関節線維化のリスクが生じます。いったん硬くなってしまったら、動きを回復させることが難しくなるため、術後直ちに膝の伸展を確保することは、非常に大切です。硬くさせてしまってから動きを改善するために激しく努力するより、私は、初期の段階で膝の伸展を回復させ、それからゆっくり動きを回復させることに集中します。 膝の完全な伸展が多少なりとも損なわれると、膝は適切に機能できません。さらに、可動域の減少は、ACLの術後に起こりうる関節炎への進行に関わる重大な要因のひとつであることが研究で示されています。 幸いなことに、適切なリハビリテーションによって、可動域の減少は回避できます。 可動域と軟部組織モビリゼーション、徒手治療に加えて、家での可動域のトレーニングとストレッチエクササイズを十分に、基本的に1時間毎に実施するように必ず指導します。ハムストリングのストレッチとタオルを利用したふくらはぎのストレッチを紹介しています。これは、ハムストリングやふくらはぎの柔軟性を高めることが本来の目的ではなく、これによって同時に膝の伸展をトレーニングするためです。そのため、焦点は膝の伸展に置かれます。 可動域の減少が問題化した場合、私は躊躇なく低負荷で長めのストレッチを指導し始めます。術後1週間で完全な膝の伸展を回復することが目標です。生体力学の研究では、膝の伸展時にかかるACLの移植組織への負荷は、一般的な機能的活動から加わる力よりも低いことが示されています。よって、この動きを避ける必要はありません。
座位での頸部肩エリアへのアプローチ パート1/2
2014年10月8日&9日、東京で開催中のグレイインスティチュートFSTT 機能的軟部組織の変容 上肢コースより。座位のクライアントの頸部、肩上部を中心としたエリアの軟部組織の、前面、側面、後面、全ての方向に向かって、圧縮、張力の組み合わせを使い分けながらアプローチします。
限界に至るまでのトレーニングは筋力の増加に影響を及ぼすか? パート2/2
限界までトレーニングを行うことの筋力強化に対する効果は何か?(続き) ロートン (2004年) – 研究者たちは、26名の男性エリートジュニアバスケ選手とサッカー選手における、2つのトレーニング方法の効果について比較した。2つのグループにおいて被験者は、6週間に渡り6レップを4セット、もしくは3レップを8セットのベンチプレスを行った。より疲労度が大きかった6レップを4セット行ったグループは、3レップを8セット行ったグループ(4.9%)に比べ、6RMの筋力が著しく向上した(9.7%)が、パワーの向上に関しては2つのグループの間で有意な差違は無かった。 フォランド (2002年) – 研究者たちは、健康な23名の成人における2つのトレーニング方法の効果を比較した。一方のグループはセット間に30秒のレストを挟んで10レップを4セット(より大きな疲労のグループ)、他方のグループは各レップ間に30秒のレストをとりながら、40レップ(より少ない疲労のグループ)の両側ニーエクステンションマシーンを使用したトレーニングを、平均1RMの73%で週に3回行った。9週間に渡るトレーニングの後、研究者たちは、最大等尺性膝伸展筋力の測定において両方のグループで類似した向上が見られたということを発見した。 ルーニー (1994年) – 研究者たちは、量を適合させたプログラムの中において、42名の健康な被験者に対しセット間のレストが筋力に及ぼす影響を評価した。被験者たちは、レスト無しグループ、レストグループ、コントロールグループへと振り分けられた。2つのトレーニンググループは6週間に渡り、週に3回、6RMの負荷で6-10回のカールを行うことにより上腕二頭筋のトレーニングを実施した。レスト無しグループは全てのレップをレスト無しで行い、レストグループは各レップ間に30秒のレストを入れた。研究者たちは、限界に至るまでトレーニングを行ったグループは著しく大幅な筋力の増加を示したと発見している。しかしコントロールグループと比較すると両方のトレーニンググループともに、筋力は増加していた。 ショット (1995年) – 研究者たちは、7名の被験者において、14週間に渡り週に3回、最大随意等尺性収縮(MVIC)の70%での、短く間欠的な筋収縮(より少ない疲労のグループ)と長く継続的な筋収縮(より大きな疲労のグループ)という2つのタイプの等尺性ストレングストレーニングによる適応を比較した。右脚のトレーニングとして、各筋収縮の間に2秒のレストとセット間に2分のレストを入れた、3秒間の筋収縮が10回4セット行われ、左脚のトレーニングとして、セット間に1分のレストを入れた30秒の筋収縮が4セット行われた。研究者たちは、短い間欠的な筋収縮よりも、長く継続的な筋収縮の方がより著しくMVICを向上させると発見した。 これらの研究をどのように分析することができるか? 研究プロトコルと結果の評価基準のばらつきにより、結論を出すことは多少困難ではあるが、要約すると、限界まで至らぬよう(もしくはより少ない疲労)トレーニングを行った際に比べ、限界まで(もしくはより大きな疲労)トレーニングを行った際の方が、ほとんどの測定値において、その筋力はより大幅に向上しているようである。しかしながら、全ての研究が全ての筋力の測定値に対してこれを示しているわけではない。例えばフォランド(2002年)は、2つのトレーニング方法においてMVICの筋力に差異はないと報告しており、イスキエルド(2006年)は1RMの筋力に関する限り違いはないと報告している。下記の表は上記の実験の結果を表したものである。 ドリンクウォーター(2007年)は、4x6,8x3,もしくは12x3(セットxレップ)のベンチプレスを週に3回、6週間に渡りトレーニングを行った22名のチームスポーツ選手において、限界を超えたトレーニングが限界に至るまでのトレーニングよりも優れた結果を生み出すかどうかを評価した。8x3のプログラムと比較し、4x6のプログラムにはより長いインターバルが含まれており、12x3のプログラムにはより多いトレーニング量が含まれていた。ゆえにこれら両方のプログラムは、望ましいレップ数を完了するためにより多くの強制的なレップを行うようデザインされていた。研究者たちは、レップの限界には達したものの、追加の強制的なレップも追加のセット量も、基本の8x3のプログラムに比べ、更に大きな筋力の獲得へは繋がらなかったということを発見した。 実践的な意義は何か? ストレングスアスリートに対しては、限界に至るトレーニングを組み込むことが、より筋力の増加につながり得るという十分な科学的根拠がある。しかし、限界までのトレーニングは回復に影響を及ぼし得ることから、各アスリートにふさわしい限度内で慎重に使われるべきである。
限界に至るまでのトレーニングは筋力の増加に影響を及ぼすか? パート1/2
ストレングストレーニングの際、筋限界に至るまで行うべきかどうかは、フィットネス業界における意義深い議論の源である。しかしながら、一般紙における関心度の高さにもかかわらず、研究者たちはこの分野における詳細な研究をあまり行っていない。そのため、量を適合させた長期のトレーニング研究は数少なく稀である。その結果として、限界に至るまでのトレーニングが、筋力の増加を最大化するために有益であるかどうかを知ることは困難である。 背景 限界までのトレーニングに関する全ての議論は困難な問題を伴っており、それは下記のように要約することができる。 コーチ間における合意の欠如 – 瞬間的な筋限界に至るトレーニングは、フィットネス業界においてよくみられる議題であるが、それが筋力の増加を最大化するために必要かどうかについて、ストレングスコーチ、パワーリフティングコーチ、及びパーソナルトレーナー間で一致した良好な意見は存在しない。その結果として、トレーニングを行っているかなりの割合の人が定期的に筋限界までトレーニングを行っているが、同様にかなりの割合の人が一定のワークアウトにおいて限界まで行くことは稀である。 研究プロトコルでは一般的に常に限界まで行う – トレーニング期間中の筋力の増加を調査している研究論文においては、一般的に全てのセットが限界に至るまで行われている。ゆえに研究論文が伝えていることと、トレーニングを行う人達によって実際に行われているであろうことの間で矛盾が生じている。これは、多くの人に対して一部の研究情報の適応性を制限してしまう可能性がある。 限界の定義が微妙である – 一部の人たちにとっては、彼らのトレーニング限界の定義が非常に単純なものであるということが明白であるように思えるかもしれないが、全ての人がその言葉の意味に対して同意しているわけではない。一般に、関わっている筋肉(これが多関節運動における複合問題であるかもしれないことを受け入れ)の瞬間的な筋限界、そして、もはやそのエクササイズを必要条件である厳密なセットまで行うことが不可能なポイントである技術的運動限界という、2つの主な定義がある。 全ての運動単位を動員するために限界は必要でないかもしれない – 一部の研究者たちと、限界までトレーニングを行うことの支持者たちは、限界に至るまでトレーニングを行うことは、全ての運動単位を動員するために必要であると提言しているが、研究はこの見解を完全に支持しているわけではない。サンドトラップ(2012年)は15RMの負荷で限界まで行われた各レップにおいて、ラテラルレイズの筋電図活動を調査した。彼らは、筋活動のプラトーへは15RMの負荷において10-12レップで達するということを発見し、それは少なくともトレーニングを行っていない個人においては、全運動単位を全て動員するために完全な限界までトレーニングを行う必要はないということを意味すると解釈した。 要約すると、記憶しておくべき重要なことは、筋限界の効果(そして意味をなすために正確にどの筋限界を使うべきか)に関する研究は、限界までのエクササイズを含むプロトコルを使用した研究が、どれほど頻繁に行われているかを考慮すると、驚くほどに数が少ない。 限界までトレーニングを行うことの筋力強化に対する効果は何か? 下記のトレーニング研究は、様々な異なるアプローチを用い、同じエクササイズを筋限界に至らぬよう(もしくは少々の疲労程度まで)行った、量を適合させたグループと比較し、筋限界(もしくは単に重度の疲労)に至るまでエクササイズを行ったグループの筋力の増加への影響について調査している。 イスキエルド (2006年) – 研究者たちは身体的に活発な42名の男性において、11週間に渡るレジスタンストレーニングと、それに続く5週間の全く同じ最大筋力及びパワートレーニングを、限界に至るまで行うこと、もしくは限界に至らぬよう行うことによる効果を評価した。最初の11週間の段階では、研究者たちは、両方のグループが1RMのベンチプレスとスクワットにおいて同等の向上を示し、スクワットの際の最大レップにおいて同等の向上を示したが、限界に至るまでトレーニングを行ったグループは、ベンチプレスの際の最大レップにおいてより大きな向上を示したということを発見した。しかしながら5週間のピーク段階では、限界にまで至らなかったグループが、下半身において下肢のより大きな筋出力を示し、ベンチプレスを行う際の最大レップにおいてもより大きな向上を示した。研究者たちは、限界に至るまでのトレーニングが筋持久力を高める可能性があるのに対し、限界にまで至らないトレーニングには最大筋力とパワーへの恩恵があるかもしれないと示唆している。 ドリンクウォーター (2006年) – 研究者たちは、エリートジュニアアスリートにおいて、6RMのベンチプレスの筋力と40キロでのベンチスローパワーに対する、レップの限界に至るまでのトレーニングの効果について評価した。2つのグループの被験者は、6週間に渡り週に3回のベンチプレストレーニングを同量行った。一方のグループは260秒毎に6レップを4セット行うことで、レップの限界に至るまでトレーニングを行い、他方のグループは113秒毎に3レップを8セット行うことにより、総合的には同量のレップ数ではあるが、限界にまでは至らぬようトレーニングを行った。研究者たちは、限界までトレーニングを行ったグループがレップの筋力とベンチスローのパワーの両方においてより大きな向上を示したことを発見した。
股関節前面から肩のモビリゼーション パート2/2
2014年10月8日&9日、東京で開催中のグレイインスティチュートFSTT 機能的軟部組織の変容 上肢コースより。トゥルーストレッチステーション内でゴムチューブを使用したポジションで、ハンズオンテクニックを適用するモビリゼーションをご紹介します。
股関節前面から肩のモビリゼーション パート1/2
2014年10月8日&9日、東京で開催中のグレイインスティチュートFSTT 機能的軟部組織の変容 上肢コースより。トゥルーストレッチステーションを使用し、クライアントの呼吸に合わせて、股関節前面から肩にかけての軟部組織複合体のモビリティーを高める方法をご紹介します。
腕立て伏せ パート4/4
腕立て伏せの変換 残念なことに、様々な理由により床での腕立て伏せを、すぐに行うことができない人たちがいます。下記は、腕立て伏せという素晴らしいエクササイズを最大限に活かせるよう、IFASTで私たちが行っている簡単で効果のある変換です。 インクライン 対 標準 まず最も明白に提供する必要のある変換や調整は、床で腕立て伏せを行うのに十分な筋力がない人への指導です。この場合、私は、膝をついて行うよりも、インクラインの腕立て伏せを好みます。 この腕立て伏せは、次のレベルへのスムーズな漸進につながるだけでなく(単純にラックをさげていき、傾斜を減らす)、私たちが求めている、コアの安定性に対する要求がより通常の腕立て伏せに近いからです。 プッシュアップバー 私たちが普段から使う変換方法の一つとして、プッシュアップバーがあります。 肩の回旋、肘、手首などに問題があり、標準的な腕立て伏せを不快感なく行うことができない人々がいます。 プッシュアップバーは、肩の外旋を可能にするだけでなく、上肢を通してグリップをニュートラルな状態にでき(ニュートラルグリップ=両側の手のひらが向かい合っている状態)、手首も、よりニュートラルな状態に保つことができます。 標準的な腕立て伏せは、手首が大きく伸展し、これは多くのクライアント、およびアスリートにとって問題となり得ます。ただ単にプュアップバーを使うことによって、手首にかかる痛みや不快感を減らし、より定期的に腕立て伏せを行ってもらうことができます。 腕立て伏せのプログラム ここまで、腕立て伏せの方法、目的に応じて自由に使えるたくさんのバリエーション、そして腕立て伏せを指導する際に起こる大きな間違いについて説明してきました。 最後に、この素晴らしいエクササイズをどのようにプログラムに組み込むかを知れば、準備は完璧でしょう。 私がプログラムを作るとき、最初に考えることは、プログラムの主な目的は何かということです。 そこから、筋肉量の増加、脂肪減少、強化、パワーの発達などに分けていきます。 どのエクササイズを選ぶかは、最後の方の選択です。私は、様々なアスリートを指導していますが、腕立て伏せは、トレーニングの基本を多くカバーしているため、多数のプログラムに取り入れています。 腕立て伏せを組み込むときに、私が自分自身にする質問は次の通りです。 プログラムに腕立て伏せを取り入れることによって、この人に何を得て欲しいのか? その答えは大体次の2つのうちの1つです。 上半身、および全身の筋力向上 上半身、および全身の安定性の向上. これは、大切な識別で、どのエクササイズを選択するか、回数、セット数をどうするかを決めるのに役立ちます。 筋力強化が主な目的であれば、回数は少なめに設定します(4~8回)。パワーリフターや強化優位のアスリートにとっては、この数は少なくないかもしれませんが、腕立て伏せは重い1回、2回、3回を行うのに最適な選択肢ではありません。 安定性やコントロールを求めているのなら、回数は少し多めに設定します(6~12回)。でも覚えておいてください、やたら回数を増やさなくとも、メディシンボールなど不安定な表面を使った腕立て伏せを選べば、何回行うかにかかわらず、安定筋群を疲労させるのです! 最後にこれも大切なことですが、もし目的が脂肪燃焼だとしたら、セットごとの回数は多めに設定したほうがいいでしょう(大体8~15回)。ただし、疲れてきても、動きの質は高く保つよう心がけてください。 まとめ さあこれで皆さんは、腕立て伏せについて知っておくべきことを、ほぼ全て学びました。 このような記事を書くには、たくさんの時間と労力がかかりますから、この記事を楽しんでいただけたのなら、ぜひ周りの皆さんにも広めてください。 Facebookでシェアしたり、ツイッターで広めたり、単純に記事のリンクを送るでも、どんな形であれ、この記事を広めていただけるとありがたいです。 良い一日を、そしてぜひ何らかの腕立て伏せをやってみてください!
腕立て伏せ パート2/4
腕立て伏せのバリエーション ここまでで、適切な腕立て伏せの方法についてカバーしました。ここからはバリエーションとプログレッションについて見ていきましょう。 当たり前ですが、通常の自重の腕立て伏せのみでは、長い間、モチベーションを維持し、やり続けることは難しい。ですから、ここでは、これから先何年も、腕立て伏せをより難しく、面白くできる様々なバリエーションについて説明します。 標準的な腕立て伏せ 下記のビデオは、標準的な腕立て伏せの例です。何も面白いところはありませんが、適切に行うことができれば、投資に対する大きな効果が得られます。 このエクササイズの最大の利点は?どこでもできて、器具も全くいらないことです。 足を高くした状態での腕立て伏せ 腕立て伏せを漸進させる簡単な方法は、単純に足を高くすることです。これにより、相対体重が増し、上半身およびコアにより過負荷をかけられます。 このバリエーションのもう一つの利点は、肩甲骨の上方回旋が少し増すことです。肩甲骨を後退、下制した常態で固定してしまいがちな人にとっては、心地よく、とても役立ちます。 足の位置を高くすればするほど、より多くの体重を押し上げる必要が出てくるので、最初は少しから始めましょう。IFAST(訳注:著者のトレーニング施設)では、4インチから6インチ(10cmから15cmほど)のボックスから始めて、だんだん高さを上げていきます。 Xベストを用いた腕立て伏せ 標準的な腕立て伏せを簡単にアレンジする別の方法として、何らかの外的負荷を加える方法があります。 背中にプレートの重りを乗せることもできますが、これは扱いづらいて、やりにくかったりします。 それに対して、ウエイトベストは準備も簡単で、動きの間中、同じ負荷を保つことができます。これに鎖やバンドを加えるはかっこいいですし、トップポジションでかかる負荷の調整ができますが、それは必要ないかもしれません(特に初期の段階では)。 とにかく、Xベストのような外的負荷を加えることは、標準的な腕立て伏せをよりレベルの高いものにする方法として有効です。 鎖抵抗の腕立て伏せ 次にバンドや鎖を用いて負荷を与えるバリエーションです。腕立て伏せを行ったことがあれば分かると思いますが、腕立て伏せで一番楽な部分は、てこが有利な状態にあるトップポジションです。 基本的に、ボトムポジションから上がってくることができれば、トップポジションまで持っていくことができます。では、この動きをどうやってより難度の高いものにできるでしょうか? また、自然な筋力曲線をよりきれいに描くにはどうしたらいいでしょう? 簡単です。腕立て伏せのトップポジションで負荷を与えることのできる器具を使えばいいのです。 鎖抵抗の腕立て伏せでは、身体を下げていくにつれ、鎖が重なり合い、負荷が確実に減少します。床を押して戻ってくるときには、その重なりがほどけて、トップポジションで大きな負荷がかかります。 忘れてはいけないのが、鎖を使用すると、テスタステロン、攻撃性、カッコ良さが27.8653%上昇するということ。これは証明された、科学的事実です。 バンド抵抗を加えた腕立て伏せ 鎖抵抗のバリエーションと同様に、バンド抵抗の腕立て伏せは、動きのトップポジションで与える負荷を調整することができます。 鎖抵抗のバリエーションは、移行/抵抗が少し微細であるのに対し、バンド抵抗は、負荷を与えるという観点ではより積極的に行うことができます。 ここで間違えないように気をつけてください。たとえ小さいバンドでもトップポジションで更なる負荷を与えるという点で、大きな役割を果たします。 腕立て伏せからダウンワードドッグへ そうです、私もついにやりました-私のウェブサイトでヨガのポーズを紹介しています! 冗談抜きで、ルルレモンで全身を固める必要なしに、この素晴らしいエクササイズの利点を享受できます。 腕立て伏せからダウンワードドックを行うと、通常の腕立て伏せの利点に加え、2つの補助的な利点があります。 押すときに、肩甲骨の上方回旋が促され、リーチのメカニクスが得られる。これは肩、および上背部に良い効果をもたらす。 トップポジションに押し上げるときに、ポステリアチェーン全体に素晴らしいストレッチ/モビリゼーションとして働く。(私のように)伸展位で固まってしまっているアスリートがいるなら、屈曲を体系的に促すことは、とても有効である。 コーチングに関しては、とてもシンプルです。トップポジションに力強く上がってくる、でも完全に上げる代わりに、臀部を高く上げて、「V」の字を作ります。 トップポジションでは、床を押し離して、能動的にリーチするという意識を持ち、膝はまっすぐ、踵は地面に向けて押すように指示します。 これは、ヨガのインストラクターが教える方法と100%同じではないでしょうが、私の指導方法に関する批判メールがたくさんこないことを祈りましょう。私はこの動きが好きですし、トレーニングとして行うにも、エクササイズプログラムの中のウォームアップとして行うにも、素晴らしいエクササイズだと思います。 インクライン腕立て伏せ IFASTでは、「女の子」腕立て伏せを行わないことをご存知ですか? まずそもそも、この言葉は失礼だと思います。多くの男子、男性も従来の腕立て伏せを適切に行うことができませんが、だからといって彼らに「女の子」腕立て付せをやらなければいけないと言うのでしょうか。 そんなはずありません。 次に、この腕立て伏せは、指導するのがバカらしいエクササイズだと思います。(つま先の代わりに)膝をつけば、てこを効果的に短くし、コアの安定性に対する要求が減少します。 最後に、これも重要なことですが、「膝をついた」バリエーションは、理想的な脊柱/骨盤のニュートラルな位置を維持するのがとても難しいため、このバリエーションは封印することにしました。 私は腕立て伏せを指導する際には、いつもインクラインの傾斜を使います。指導するのが簡単で、ポイントも伝えやすい上に、漸進させるのも非常に簡単だからです。強くなって、より安定してきたら、単純に止め具の位置を少し低くして傾斜を低くしてしまえばいいのです! ここで、指導者として注意するべきことは、アスリートの足の位置をラックから適切な距離にセットアップすることです。アスリートの胸の下部がバーに触れる位置まで下がることが理想ですが、同時につま先で立ち、脊柱のニュートラルなポジションを維持できるようにします。 最後に、これはバーをつかんだ状態でのバリエーションですので、私がこれを指導するときは、小指をパワーリングに置いた状態で始めて、徐々に調整していくようにしています。 腕立て伏せから片手支持にする 片足のトレーニングが非常に有効であることは周知の事実ですが、片手のトレーニングはどうなのでしょう? 腕立て伏せから、片手支持にすることには、多くの利点があります。 働かせている側の腕/肩の負荷が増す 中背部と肩(特に回旋筋腱板)の安定筋群の活性が高まる コアと胴部の安定性に対する要求が高まる このエクササイズを行うための準備は、標準的な腕立て伏せと同じです。足幅を通常より少しだけ広く取って支持基底面を大きくするようにしましょう。 動きの開始時と終了時に、床またはバーから片手を離します。この動きと呼吸を伴わせるようにして、手を上げて、床から身体を押し離す時に息を吸い、息を吐いて、手を戻す、そして、両手をつき、次の回を行います。 不安定な基盤での腕立て伏せ 「安定性」対「強さ」というテーマに即して、不安定な基盤で行う腕立て伏せは、安定性とコントロールを一つ上のレベルに引き上げます。 動きの始め方は、標準的な腕立て伏せと同じですが、今回は手を不安定な基盤を提供する器具に置きます(IFASTではブラストストラップ、TRX、ジャングルジムなどを使っています)。 動き自体は、標準的な腕立て伏せと全く同じですが、あちこちにぶれてしまうため、難易度は格段に上がります。 そのため、私たちが行うときは、まず、インクライン腕立て伏せのような胴/身体の角度になるように高い位置から始めて、徐々に角度を下げていくようにしています。 メディシンボールを使った腕立て伏せ 腕立て伏せのバリエーションの最後は、昔からあるものですが、楽しい、メディシンボールを用いるものです。ここではまた、動物的強さではなく、安定性とコントロールに重点を置いています。 不安定な基盤を提供する器具のバリエーションと同様に、身体の下に不安定な表面を作れば、安定筋群の機能にかかる要求は高まります。この場合、コアや肩により大きな負荷を感じるでしょう。 まず、標準的な腕立て伏せのポジションを取りますが、手を床に置く代わりに、同じ大きさの二つのメディシンボールを用意し、それぞれのボールに手を置きます。動きの実践方法は標準的な腕立て伏せと同じです。 もし、二つのメディシンボールを用いるのは、不安定性要素が高すぎるという場合には、ボール一つを片手の下に設置した状態で始めてください。セットの半分をその状態で行い、半分終わったら、腕を入れ替えて、目的の回数をこなします。
腕立て伏せ パート3/4
腕立て付せのテクニックエラー:欠陥と手がかり ここまで腕立て伏せの様々なバリエーションについて説明してきました。ここでは、ジムでよく目にするフォームやテクニックのエラーについて細かく見て行きましょう。 脊柱のニュートラルな状態の欠如 脊柱のアライメントをニュートラルに保つことは、クライアントやアスリートを指導する中で直面する大きな課題の一つです。全くニュートラルな状態に入れない人もいれば、セットの途中でニュートラルな状態を保てなくなる場合もあります。 下記は、クライアントが理想的なポジションをとれる(そして維持する!)ように、どこでニュートラルなポジションが崩れてしまうかによって、私が使い分けている指導方法です。 首 私が、脊柱のニュートラルな状態を保つことができない人に最初に行うことは、塩化ビニールパイプを背中に置くことです。これにより、即時にフィードバックが与えられ、問題を正すことができます。 セット中、疲れているときは特に、頭や首が前方向に「さまよう」人がいます。クライアントに合わせて、頭や首を後ろに「引く」という指示を好んで使っています。 もうひとつ効果的な指示方法としては、「長い首」というのがあります。頭を後ろに引き、脊柱からまっすぐ伸ばした線上に頭が位置するよう意識できるからです。 上背部 上背部でよく起こる問題は、動きの終了時でフォームが乱れるか、トップポジションへの到達の仕方が不適切なことです(両方とも後述します)。 上背部を極端に丸めることで腕を伸ばそうとすることがよくみられます。これらの動きは全く違うものです! 何かにリーチしようとするとき、多くの人が、ただ背中を丸めているだけであることが多いのですが、そうではなく、脊柱のアライメントが、よりニュートラルで、上背部の後弯を保った状態で、腕と前鋸筋を使ってリーチをするのです。 塩化ビニールパイプはここでも効果的に働きます。もしパイプが常に上背部にだけ接してしまっている人がいたら、リーチの方法を教えてあげてください。 腰部 ここでも塩化ビニルパイプが大活躍します。ほぼニュートラルなポジションがとれているけれど、コア、および腹筋群がたるんでいるとします。さてどうしましょう? この場合の、一番いいキューイングの方法は、息を強く、完全に吐ききる方法を教えることです。こうすることにより、コア、および腹筋群が働き、腰椎の前弯が減少します。そこから先は、とにかくコアの活性を保つことが大事です。 指示の方法がもっと必要ならば、息を吐いて、肋骨を下げ、また息を吐いて骨盤を引き上げるように指示します。 開始時、および、終了時を適切に行えていない 上背部に関してよくある大きな問題は、クライアント、またはアスリートが、誤った動きの終え方をしていることかもしれません。 肩甲骨が、いつも後ろでギュッとしぼめられている状態の人を見かけると思いますが、これは望ましいことではありません。 ここでの考え方、指示の方法は単純です。脊柱のニュートラルな位置を保った状態で、地面から自分自身を「押し」あげてほしいのです。 下記は、これを行うために使えるいくつかの異なる指示方法です。 リーチする 押し離す 地面から押し離す 腕を長くして・・・など クライアント/アスリートが、あなたの指示にしたがって全てを行っているのに、それでも完璧に見えないことがあります。もしこういった状況なら、プログラムの中に矯正エクササイズを取り入れ、身体の後面に空気を送り込み、後方縦隔(上背部など)を空気で満たす方法を教えるべきです。 膝が曲がっている 他に良くありがちな問題として、膝を曲げてしまうということがあります。この場合、矯正方法は簡単です。脊柱/骨盤のアライメントをニュートラルに保った状態で膝を伸ばすように指示してください。 広背筋の過剰動員 私たちは、より大きくて強い広背筋が全てという段階を通り抜けてきました。 広背筋には確かに役割がありますが、全てのウエイトトレーニングで広背筋を使いたくはありません。(概要が知りたい方は、この記事を読んでください:広背筋:味方か敵か?) 広背筋の過剰動員は、肘が身体にとても近い状態で、身体を床に向けて下ろしているときによく見受けられます。 そうではなく、動きを通して、肘を少し広げた状態に保つことを意識してください。もう一度言いますが、身体に対して35-45度の角度が良いでしょう。 肘が広がりすぎている 身体の真横で肘がすぼめられている状態を避けるべきであるように、肘が90度の角度に広がるのも避けるべきです。 あなたと同じジムに通う、70歳のボディビルダーがどう言っていようが関係ありません。肘を広げることで、大胸筋や三角筋を、より効果的に働かせるのに役立つかもしれませんが、それは長期にわたる肩の健康状態と引き換えです。ちょうど良い肘の角度を見つければ、それでいいのです。 (余談:もし70歳のボディビルダーからのクレームメールがいっぱい来たら感心します。どうか一生嫌ったりしないで下さい!) 肩甲骨をお互いに「引き寄せる」 広背筋の過剰動員と同様に、トレーニングを行う際に、肩甲骨を後ろに「引き寄せる」ことをクライアントに教えることも、肩に負荷がかかり、問題になる可能性があります。 この前提は必ずしも悪いわけではありません。主要な機能に関する指示を与えたり、伸張性の動きを促進するために短縮性の動きを教えることは理解しています。 問題は、多くの人の、その方法なのです。 身体が下がると共に、肩甲骨が自然に近づいてくるようにするのではなく、クライアントが即座に肩甲骨をくっつけて、腕立て伏せのボトムポジションに到達する前に、動きの遊びをなくしてしまう、ということが起こりがちです。 肩甲骨を既に最大限に後退させてしまっているため、その後の可動域は肩関節(関節窩上腕関節)の受動的抑制により産み出されます。 これを行ってしまっている人がいたら、私の指示はシンプルです:アスレチックに。笑われるかもしれませんが、10回に9回はこれで大丈夫です。 こういった人は通常、肩甲骨を引き寄せることを考えているので、リラックスするように促し、考えずアスレチックに、と言えば問題は解決するのです。 ボトムポジションでの 前弯の増加 最初は、コアや腰椎のポジションが完璧でも、動作のどこかで、特に動作の一番下の位置で姿勢が崩れてしまうことがよくあります。 息を吐ききることについては上述しましたが、セットを通してニュートラルなポジションを保つためには、ただ単に、より強い腹筋が必要です。 下記の記事は、私の好きなコアエクササイズをカバーしています。もし基本的なコアトレーニングを必要としているなら素晴らしい効果を発揮するでしょう。エクササイズをバランスよく行い、私が説明している通りに行うよう心がけてください。 地面を基盤としたコアトレーニング シュラッグ vs リーチ 先ほども少し話しましたが、ここではより深くみていきましょう。 トップポジションでは、クライアントやアスリートにリーチをしてほしいのです-ここでの目標は脊柱のアライメントをニュートラルに保ち、肩甲骨が後ろ側から外側へすべるようにすることです。 しかし、もし前鋸筋が弱かったり、この動きをどう行うかを理解できていなかったりすれば、リーチをする代わりに肩をすぼめてシュラッグしてしまうことはよくあります。 これを直すためには、一旦エクササイズをやめさせて、話す時間を設けます。どのような動きを感じて欲しいかを説明し、立った状態でそれを見せます。これは単純に腕を長く伸ばしてもらい、胸を張った状態で、前鋸筋を感じることができるかを聞く、というような単純なことでもあり得ます。 私が求めている感覚が、どのようなものかがクライアントにわかれば、またエクササイズを試します。感覚がわかっていても、負荷がある状態ではできない、という場合には、負荷を減らして、エクササイズの難易度も下げる必要があります。 こういったときこそ、インクラインの腕立て伏せが役立ちます。インクラインの腕立て伏せは、ほぼ同じ動きでありながらも負荷を減少します。 心配な場合は、塩化ビニールパイプを使って、脊柱のニュートラルな状態を強調し、トップポジションでリーチをさせるようにします。もしシュラッグしてパイプがお尻を離れてしまったら、まずはトップポジションの取り方を、わかるまでしっかり時間を使って教える必要があるかもしれません。