フォームローリングの効果 パート2/3

4. フォームローリングはトリガーポイントを取り去るのか? 多くのフォームローリングの支持者が、適切な手順には“トリガーポイント”の発見を伴い、そのポイントでしばらくキープすると説明しています。フォームローリングはトリガーポイントを治す手段なのでしょうか? 注目すべきは、トリガーポイントという言葉は人によって異なったことを意味するということです。ある人にとってそれはただの痛みのポイントであり、他の人にとっては特定の病状を表しています。医学的な定義では、例えば触診において筋の痙攣反応を引き起こす明らかに緊張した帯中の過剰に敏感な小魂などの要素に関わっています。トリガーポイントは局部の化学的炎症の原因となる筋細胞内での何らかの代謝異常や、圧迫した際の他の部位への原因不明の関連痛が原因だと考えられています。 控えめに言っても、トリガーポイントは物議を醸しています。実際に存在するか否かについてかなり論議されています。確実に特定されるか否かは、また別の論議です。そしてそれが効果的に治療されるかどうかもまた別です。沢山の推奨される対処法があります – ストレッチ、PIR、針治療、押圧等。私には、これら全ての論議に対処する時間や、アプローチする知識などはありません。 ですが以上に述べた不確実性をもとにすれば、フォームローリングがトリガーポイント除去に効果があると信じる気にはなれません。あまりに多くのうやむやな疑問があり過ぎるのです。トリガーポイントセラピーの専門家は、全ての痛みのスポットがトリガーポイントというわけではなく、全てのトリガーポイントが臨床的な関連があるわけではなく、そしてその識別や治療には訓練と専門知識を要すると教えてくれるでしょう。ですから私は、点在するトリガーポイントをフォームローラーでショットガン的に対処するのは適切なトリートメントだとは思わないのです (トリガーポイントは存在していて、圧によって対処されると仮定して)。 5. フォームローリングは固有受容器の刺激を促すのか? フォームローリングは固有受容的向上に役立つといった意見をたびたび耳にします – ゴルジ腱器官や筋紡錘、またはルフィニやパチーニ(パチーノやデニーロのようなイタリア人の名前のようですが)のような筋内や筋膜の機械的受容器を刺激するものです。これは筋や筋膜の張力を緩めたり、脳が局所の感覚や動作地図を認識するきっかけとなるプラスの効果を促す可能性があります。 これはとても説得力があり、正しい方向に向いていると思います。ですが、これがなぜ人々がフォームローリングを好きなのかを説明する主なメカニズムであるとは考え難いのです。もしもこれらの機械受容器の刺激がフォームローリングの効果を説明するのなら、なぜファンクショナルムーブメントの一環としてストレッチをして身体を動かし、これらの器官により強い刺激を与えないのでしょうか?ターゲットの筋群や筋膜に対しそれほど多くの動きやストレッチをもたらさないフォームローラーが、スクワットやランジ、またはリーチングよりも多くの固有受容的刺激を供給できるでしょうか?そうは思えません。 おそらくフォームローリングがもたらすものは、今までにない新しい固有受容的刺激です。目新しいことは素晴らしいですし、多くの潜在的利益もあります。もしあなた脳に変化を求めるならば、脳の注意を引きつけることが必要不可欠となるのです。しかし他にも必要なことがあります。脳が注目する何かに関係する情報を脳に与える必要があるのです。脳は、あなたがどうやってスクワットやランジ、そしてヒップヒンジなどのファンクショナルパターンを使って身体を動かすのかに注目します。フォームローリングから送られる情報がこれらのタスクに関連しているのでしょうか?脳は、ただそれが新鮮というだけではその情報に興味を持ちません。その情報はまた、動作の問題解決に役立たなければならないのです。なぜ神経システムは臀部に押し付けたラクロスのボールの感覚に注意を引かれるでしょうか? 6. フォームローリングは広汎性侵害抑制調節に効果があるのか? これは私のお気に入りの見解です。そしておそらくこれは読者が最も精通していないメカニズムでしょう。それが何なのか、その働き、そして私がなぜこれはフォームローリング (そしてその他多くのマニュアルセラピー) の潜在的効果だと考えるのか主な理由をここに説明します。 広汎性侵害抑制調節(DNIC)は脳が侵害受容 (身体から生じる危険信号) の“強度”を調節する“下降性調節”のいくつかあるバリエーションのなかのひとつです。DNICとは脳が脊髄から脳へ向かう侵害受容信号を抑制することです。 DNICは、手を氷水に浸した時のような持続する侵害受容入力によって誘発されます。抑制が拡散すると、局所だけでなく、遠位部からも侵害受容を抑制します。言い換えると、例えば脚が痛い時、手をしばらく氷水に入れれば、結果として生じたDNICはその手と脚の痛みの軽減へと導くのです。痛みのある箇所に別の痛みを作り出して対抗するダイナミクスは多くのセラピストの成功を説明することができるもので、時に反対刺激と呼ばれています。もちろん効果は一時的です。 DNICの効果はどれほど強力なのでしょう?とても強力です。兵士が戦闘で四肢を失った時、緊急事態が続く限りおそらく痛みを感じないのはDNICが主な理由です。デビット•バトラーはDNICを“脳内の薬戸棚”と表現しています。

トッド・ハーグローブ 2320字

“強化”リハビリで最も使われすぎている用語? パート2/2

入力 vs. 筋力 よって、‘強化’のプロセスは、単に治療的要因である筋力の増大というよりも、多くの非特異的影響を持つものなのかもしれません。筋力の回復は、治療的要因の影響による結果ということなのかもしれません。 総じて、私達は今まで以上に、ただ‘行う’ということよりも、‘理由’や‘方法’を理解することに駆られているようです! ある人は、痛みを抱える前から、元々よりも少しは強靭だったのでしょうか?それとも、痛みが弱まるにつれて、彼らの既存の筋力がただ戻っただけなのでしょうか?あるいは、実際にその人は強くなっているにもかかわらず、いまだに痛みを抱えているということなのかもしれません。 弱さは痛みに付随しているようですが、一度痛みが改善すると、筋力も同様に向上するように思えます。特に、膝蓋大腿関節痛における股関節内転の増大のように、筋力低下からの生体力学的影響と関連しているのであれば、痛みの原因要素を筋力低下として見なすことは簡単かもしれません。 同様に、批判的な物の見方をする人はまた、状況を逆に見るに違いありません。その痛みは、筋力の低下を引き起こしているのかもしれないのです。 身体が、庇いたい部位を経由する力の量を減らしたいために、防御目的として、痛みがある際に筋力を縮小することは理にかなっているように思えます。足関節捻挫と跛行という運動の適応にも、同じことが言えます。 運動入力は、生体心理学のスペクトラム全体にわたり、様々な理由で、痛みに影響する可能性があります。これは、運動/エクササイズ、恐怖回避の減少、集中的な入力、異なるニューロタグの活性化、皮質マップの変化、異なる運動学、あるいは動力学、もしくは影響を及ぼしているただの簡素な旧来の鎮痛作用かもしれません。 これらの要因の全てが、問題に対する身体の知覚を変化させ、最終的には、感度レベルと経験する痛みを変化させるかもしれません。 下記はランナーの股関節外側部のための治療的運動の‘入力’のアイデアです。 構成要素: 運動の変動性 多面性 筋肉の協調 関節可動域の制御 求心性収縮と遠心性収縮 ‘強化’のための付加抵抗 直立状態とクローズド・チェーン この低レベルな局所的な運動スキルは、ランジ、ジャンプ、ランニングの様な機能的なランニング運動に組み込まれるという考えです! 筋力はしばしば、最大限で測定されます! 筋力はしばしば、研究領域においてMVIC(最大随意等尺性収縮)として測定されます。最大、あるいはこれに続く筋力の増大におけるこの基準は、ある人が関連する力に耐えることができるのか、あるいは制御できるのかに関する何かを私達に示しているのでしょうか? 最大等尺性収縮の筋力は、例えば膝蓋大腿関節痛、あるいは腸脛靭帯症候群において、前向きに有意に関連しているようには見えません。いまだに不明瞭ですが、股関節内旋や内転の増大のような生体力学的測定には、より良い相関関係があるように見えます。 エクササイズは、特定の筋肉のEMG活動の増大に基づいて選択されるかもしれません。本質的に、これら全てが示すのは、筋力の代わりとして、筋肉がエクササイズの特定の制限の中で、より頑張って働いているということです。 EMGは、筋肉をより懸命に働かすことが、ある人の運動、あるいは痛みのレベルに違いをもたらすということを私達には示してくれません。また、そのエクササイズが、個人の問題のために他のエクササイズよりも優れているということも示してはくれません。 筋力の様々な側面 私達が使用する‘筋力’と言う用語には、各個人とそのニーズにはっきりと適合することができる数多くのサブカテゴリーがあります。 最大筋力: 人が産生、あるいは耐えることができる一番大きな力。1~3回程度の繰り返しが可能な大きな負荷は、これに影響を及ぼします。 筋持久力: 長時間にわたって、筋力のレベルを持続させる能力。持続の要素を持つ充分な負荷。 反応的、あるいは爆発的な筋力: 遠心性収縮から求心性収縮への切り替え。これは、私達がほとんどのスポーツで、特に反復運動として目にするものです。 これはしばしば、ランニング、投球、打撃のように、時間依存性です。 筋力スピード、あるいは加速筋力: どのくらい素早く力を産生できるか、力の立ち上がり率の変化において見られます。これはしばしば、運動方程式F=MA(質量x加速度)のM(質量)ではなく、A(加速度)に関してです! 関連性 実際には、最大筋力は、あなたがこの最大筋力を必須とする物体を克服する必要がある状況下でのみ関連性を持つようになります。スクワットにおけるあなたの1レップでの最大挙上重量が100kgであれば、100kgを拳上する際にだけ、これが要因となります。 もしも私がラグビー選手で、克服したい負荷が非常に大きく、極めて最大能力に近い際、これは非常に関連性の高いものになります。これらの大男のうちの数名は、実際かなりのシフトを受け止めます。 ランナーにとって、最大筋力は、筋持久力、あるいは反応的筋持久力に比べて、それほど重要ではないのかもしれません。とても高い最大筋力を持っていても、あまり優れたランナーではない人達が多く、逆もまた同様です。 ランナーには、インパクト時に体重の3~4倍になる力の量に脚が耐えられる能力が必要でしょう。歩行周期を経る際、これは伸長と短縮の反応的筋力と相まっています。これらすべてが、何千回もの周期が繰り返し行われることを必要としているために、ランナーはまた、このために十分な耐久レベルを持ち合わせている必要があるでしょう。 体重の3~4倍の力を作り出すよりも、繰り返される体重の3~4倍の力に耐えることはより簡単であり、良いことなのです。 腰痛を患っている人は、より多くの筋力の反復(筋持久力)、あるいは姿勢(姿勢の持久力)に耐える能力が必要なのかもしれません。一日中、庭仕事をして過ごすことによって、腰が炎症を起こしている人のことを考えてみてください。 同様に、例年の休日でスーツケースのような重い物を持ち上げる際、誰かが腰を“痛めて”しまうかもしれません。これは、彼らが最大筋力の実際のレベルを上げるために、よりトレーニングを必要としているということを意味しているのかもしれません。 前十字靭帯再建やアキレス腱炎をもつ患者は、爆発的な筋力(力の立ち上がり率)よりも速く最大筋力を取り戻すように見えます。同様に、爆発的で反応的筋力のトレーニングは、リハビリテーション・プロセスの早過ぎる段階で行われれば、アキレス腱炎を刺激するかもしれません。 私見では、筋力という用語と各個人の現状への適用の単純な探求は、より関連性のあるリハビリテーション・プログラムの作り方に有益な指針をもたらします。 筋力は、単に筋肉の協調でしょうか? 筋力はまた、特異的な方法で、筋活動をうまく協調させる能力でもありえます。もしもあなたが筋肉をテストする、あるいは多くの‘治療’エクササイズのように、ある筋肉に特定したエクササイズを行うのであれば、ある人の筋肉は、個々に強いかもしれません。しかし、例として、あなたが彼らを走らせる際に、彼らは、問題を引き起こす内側への膝の運動を減らすために、その筋力を協調する能力を持っていないかもしれません。 特定の運動と結び付かない筋力強化では、運動への伝達、あるいはその動作の運動学を変化させる保証は全くありません。しかし、この記事の最初に議論したように、筋力の増加にかかわらず、‘強化’のプロセスは、痛みに影響を及ぼすかもしれません。 人は最初にオリンピックリフティングのような機能から始めると、短期間で莫大な筋力増加を得ることができます。これは、既存の筋力を特定のスキルの筋肉協調に連動することによるものです。 歩行再訓練や前十字靭帯損傷予防・リハビリテーションは共に、ただ単に筋力を増大させるよりも、特定の運動のスキルや協調に着目しています。 実際に、股関節強化は、ランニングの実際の運動学への転化が疑わしいと示されています。 歩行再教育は、スキルの特異性のため、痛みと運動の変化にとっては成功かもしれません。これは、実際のランニングスキルと関連を持っているのは、運動パターンと筋肉間のタイミングの協調、筋収縮タイプの特異性、速度と力です。 ‘強化’や総合的なリハビリテーション・トレーニングにも、特異的でありえる多くの方法があります。 筋収縮タイプ 運動パターン 運動速度 関節可動域 遠心性収縮力と求心性収縮力 持久力レベル ノルディック・ハムストリング・エクササイズもまたかなり優れているようです。一つには、タイプ(遠心性収縮)の特異性、力のレベル、筋収縮速度によるものかもしれません。 一つの解決策として、ただ‘あなたは○○○を強化する必要があります’と言うことよりも、筋力に関するより良い理解で武装し、関連している可能性がある際には、確実に、より個人に焦点を絞って、より良い結果を得るものを開発することができるでしょう。

ベン・コーマック 3911字

“強化”リハビリで最も使われすぎている用語? パート1/2

どのくらいの頻度で、療法士やトレーナーが痛みを抱えている人に向かって、問題の解決策として、“○○○を強化するために、○○○エクササイズを10回3セットする必要がある”と言っているのを耳にしたことがありますか? ‘○○○’を、痛みの原因と謳われている体幹、膝、股関節、あるいは人体の他の構成要素にも置き換えることができます。これは、腹横筋、中臀筋、内側広筋、あるいはその他の‘魔法’の筋肉や、それらを強化するための関連した‘治療’エクササイズを含みます。 これはただ私の問題と認めますが、ここでの個人的な問題は、‘強化’という用語はいささか曖昧で、しばしば野心的であり、多くの場合、痛みとは関連していないと思われるということです。 私は、筋力は問題でないと言っているのではなく、詳細を理解することで、より良くできるということを指摘することによって、この記事に着手したいと思います。身体に関わる大抵のことのように、筋力には、各個人と彼らの状況への適用を必要とする様々なバリエーションがあります。 これは、特別な‘治療’エクササイズが痛みのレベルに影響を及ぼすことができないということを意味しているのではありません。私達は、痛みが複数の要因によって、一進一退するということを知っています。痛みの減少は、筋力を増すこと、あるいはエクササイズを始めるには弱かったという事実とは関係が無いのかもしれません。 ‘強化’という発想はまた、痛みの複雑さに関する最新の理解の向上の上で私にはあまり確信が持てない、痛みは単に‘弱い’筋肉、あるいは関連する生体力学的要因と関係しているということを意味してるのでしょうか? 結局のところ、筋力が強い人達でさえ、私達のように、痛みを覚えるのです。 しかし、この記事の本質的な目的は、リハビリのプロセスにおいて、筋力という用語と‘強化’のコンセプトに関して、もう少し考察することです。 では、‘強化’が本当に意味するものは何なのでしょうか? 誰がこの用語を使用するかによって、筋力にはいくつかの意味があるようです。 一つの定義は、“外部抵抗に対して力を発揮すること”、例えば、ウェイトを動かすに充分な強さがあることです。一般的に、私達は動かされた負荷の重さによって、これを定量化します。 この定義は、筋力トレーニングの分野において、伝統的に認識されていたものです。 恐らく、より治療的な解釈で使用されているもう一つの定義は、“力に耐える”ことができるということのようです。よって、ランナーはランニングに関わる反復的な地面反力に耐えることができる強い筋肉を必要とするかもしれません。 すぐに、このような一般的に使用されている用語には、曖昧さがあるように思えます。 力を発揮する基本的な強さ、あるいはランニングに関連するピーク力に耐える能力を持っていないランナーは多くいないように思えます。それは、力の反復とそれが適用される頻度への忍耐力により関わっているようです。 同様に、もう一つの例は、痛みの最も急性期ではない際に、適切な‘脊椎の安定性’を作り出すための基本的な体幹の強さを持っていない人(腰痛を持っている人を含む)も、恐らくそんなにたくさんいないということです。 最初の定義は、私達が作り出すことができる力の量を増やす必要があるということを意味しています。二番目の定義は、繰り返される特定の力のレベルに耐えることを意味しています。 私達の言う‘筋力’と‘強化’と、その後にどのように私達がリハビリの‘強さ’を評価するかはかなり重要ですね? 理想の世界において、この理由づけは、エクササイズ、負荷とセット数、反復数に変換され、(望むべくは)より良い結果に導く、より適切なリハビリのプランを作り出すでしょう。 そこで、どれがそれらを意味していたのでしょうか? 率直に言って、わかるものですか!個人的には、強さとは一般的に力を生成させる能力として考え、‘強化’という用語を聞くと、私が最初に考えるのは、人が痛みの無い状態であるために、どの程度の力を作り出す能力が必要なのかということです。 浮かんでくる他のいくつかの質問は、下記のとおりです: 問題を引き起こしている活動は、現在の筋力レベルの枠を越えているのか? どの程度の筋力がこれらの活動に本当に必要なのか? 力を産生する能力、あるいは力に耐える能力が問題なのか? 筋力の‘健康的な’レベルとはどのくらいで、その個人はこのレベルに達しているのか? それは筋力なのか、それとも技能/協調なのか? 筋力の欠損(もしあるならば)は、痛みの原因、あるいは結果なのか? ‘強化’プログラムは、実際に筋力を強化したのか? 私が考えすぎている可能性もかなり高いですが。。。 エクササイズへの適用 膝に痛みを抱えるランナーの定番である‘側臥位での股関節外転’(かなり長い言葉です)のような、一般的な股関節強化エクササイズを取り上げてみましょう。 では、もしも誰かが5回、あるいは6回しかできないと言うのであれば、私は確実に、これは彼らにとって筋力エクササイズであると言うでしょう。もしも彼らが簡単に15回できるのであれば(しばしば見かけます)、彼らには十分な筋力があり、このエクササイズは彼らの筋力の基盤を向上することはないかもしれないと示唆するでしょう。 昔ながらの10回3セットというのは、かなりお馴染みで、‘事実上の’繰り返しの範囲になっているようです。後に議論するように、これはエクササイズが役に立たないということを意味しているのではなく、ただ筋力増大のせいではないかもれないということです。 エクササイズ・ガイドライン/原則の大多数に着目してください。この一般的に規定として定められた10回~15回の繰り返しの範囲は、筋力を増大させるというよりも、筋肥大や筋持久力により関連していると見ることができます。筋力は、1~6回の繰り返しの範囲で向上します。もちろん、絶対的な規則はありませんし、6回以上では強化にならない、6回以下では筋肥大が起きないということを意味しているのではありません! 人はまた、刺激に対してすぐに適応し、プログレッションはいかなる‘強化’プログラムにおいても鍵になります。もしも誰かがすでに複数回、複数セットを行う能力があるならば、負荷の増加のように力を発生させるための需要に変化がないと、これ以上の‘強化’の可能性は低くなります。筋力の適応を引き起こすために、より強い刺激が必要とされるでしょう。 私達は、実際に人により強い筋力を提供しているのか、この筋力の変化が痛みのレベルに影響を与えているのかを確認するために、どのくらいの頻度でエクササイズ前とエクササイズ後の筋力の測定を行っているでしょうか? これは、組織耐性・腱と筋肉の剛性の増大やパフォーマンス向上のような、非常に多くの恩恵を筋力トレーニングが提供していないということを意味しているのではありませんが、生理学的適応を作り出すためには、関連する力は十分に高いものであるべきです。 個々の筋肉を孤立させることを目的とするエクササイズの10回3セットというのは、その人の能力の範囲内であって、例えばスクワットを最大挙上重量の70%で6回2セット行うのと同様の身体的適応を得ることはありません。 つまり、実際に‘強化する’ためには、ただ単に‘強化’と謳われているエクササイズを行うでのではなく、筋力の増大を引き起こすために、正確に負荷と反復数のような変数を操作する必要があるということを意味しています。

ベン・コーマック 3233字

スプリントの生体力学:歩幅および歩数頻度 パート2/2

歩幅および歩数頻度の相互関係 速度の影響 速度は、歩幅、歩数頻度、およびスプリント速度の間を結び付ける関係を決定する重要な役割をはたしているかもしれないと提議されている。ヌメラおよびその他(2007年)は、4m/sから最速スプリントまで8つの異なるスピードの範囲にわたり、25名の持久系アスリートにおける歩幅および歩数頻度を記録した。彼らは、7m/sまでの速度の上昇は、歩幅および歩数頻度の両方を増加することにより達成されるが、7m/s以上においては歩数頻度のみが単独で役割を果たしているということを発見している。同様に筋骨格系のモデリング研究において、ドーンおよびその他(2012年)は、スプリント速度が上昇するに従い、歩幅は7m/sまで速度を上昇するための主なメカニズムであるが、その後変化が起こり、歩数頻度がスプリント速度を上昇するための主なメカニズムとなるということを示している。 個体差の影響 個体差は重要であり、歩幅および歩数頻度の様々な組み合わせを通して、ワールドクラスの速度を達成することが可能かもしれないことは、確かなことであるようである。サロおよびその他(2011年)は、公開されているテレビ放映から、52名の男性エリートレベルにおける100mレースのビデオ映像をレビューし、国際陸上競技連盟(IAFF)のウェブサイトから彼らのタイムを得ることにより、世界トップレベルの100mスプリンターの歩幅および歩数頻度を調査した。幾人かの陸上競技エリート選手のパフォーマンスは、より歩幅に依存しており、一方その他の選手は歩数頻度により依存しており、一部の選手はどちらの変数に対する明白な依存も示していなかった。テイラーおよびベネキ(2012年)は、2009年の世界陸上大会決勝100mにおける上位3名のアスリートにおいて、同様の発見を報告している。60-80mのスプリットにおいて、ウサイン・ボルトは最高速度を示していたにもかかわらず、歩数頻度は最も低く、これは彼のより長い歩幅によるものであった。また、歩数頻度は3名のアスリートにより様々に異なっており、ウサイン・ボルトは4.49Hz、タイソン・ゲイは4.96Hz、アサファ・パウェルは4.74Hzであった。イトウおよびその他(2008年)は、2007年IAFF世界陸上大阪大会における100m決勝において、タイソン・ゲイおよびアサファ・パウェルの2名のアスリートを比較しており、同様の発見が報告されている。これらの発見は、歩幅もしくは歩数頻度が他方の要因を無効にしており、単一である場合、エリートレベルにおいては予期していた以上により広い範囲の歩幅や歩数頻度が存在するということを示唆している。長い脚を持つ背の高いアスリートは、長い歩幅と共に低い歩数頻度が適している傾向にあり、短い脚を持つ背の低いアスリートは、短い歩幅と共に高い歩数頻度が適している傾向にあるといったように、各個人の人体測定学に適する、歩幅および歩数頻度の最適な組み合わせがあるのかもしれない。 歩幅および歩数頻度を向上するためのトレーニング 歩幅 幾人かの研究者たちは、どのトレーニング方法が特に歩幅を向上するために最適であるか、ということを研究することに特化した調査を行った。ロッキーおよびその他(2012年)は、6週間にわたるスプリントトレーニング、レジスタンストレーニング、プライオメトリックス、もしくはレジステッドスプリントトレーニングの全てが、短距離スプリントにおける歩幅の有意な向上を生み出したと発見している。カワモリおよびその他(2013年)は、8週間にわたる、高負荷もしくは低負荷におけるソリ牽引走の、スプリント能力、歩幅、および歩数頻度に対する影響を比較した。高負荷を使用したソリ牽引グループでは、実際に約30%のスプリント速度の減少が起こり、低負荷におけるソリ牽引グループでは10%のスプリント速度の減少が起こった。トレーニングプログラム後、高負荷グループは8.1%歩幅が有意に増加したが、低負荷グループには有意な変化はなかった。興味深いことに、どちらのグループも歩数頻度は向上していた。最後に長期研究ではないが、メロおよびコミ(1994年)は、ホップ、ステップ、バウンドドリルの際の、短期の歩幅のパラメーターを調査した。彼らは、このケースにおいて長期の研究が必要であることは明白であるが、歩幅は、ホップ>ステップ>バウンド>スプリントの順により長く、そのようなドリルもまた歩幅を増加するために有益であるということを示唆している可能性があるということを報告している。 歩数頻度 幾人かの研究者たちは、特に歩幅を向上するためには、どのトレーニング方法が最適であるかということを調査するために特化した研究を行った。モリおよびその他(2007年)は、8週間にわたる高負荷および爆発的なレジスタンストレーニングの組み合わせは、スプリントの最初の3歩における歩数頻度を向上したということを発見している。カワモリおよびその他(2013年)は、負荷付きソリ牽引走の8週間にわたるプログラムの影響を調査した。高負荷もしくは低負荷でのソリ牽引グループのどちらも、歩数頻度は向上しなかった。メロおよびコミ(1986年)は、牽引によるオーバースピード走を調査し、歩数頻度の増加の結果としてスプリント速度の上昇が起こるということを発見している。同様にエベン(2008年)は、2.1,3.3,4.7,5.8,そして6.9度の下り傾斜におけるオーバースピードスプリントの速度を調査し、いくつかの傾斜はより速いスプリント速度を生み出したが、5.8度の傾斜がオーバースピード走に対し最適な傾斜であるということを発見している。最後に、パラディシオおよびクック(2001年)は、上りおよび下り傾斜における、ランニングの際に速度の上昇に貢献している要因を調査し、歩幅の変化が速度の変化に対する第一の貢献要因であるということを発見している。例えば、3度の下り傾斜において、速度は9.2%上昇し、歩幅は7%増加している。しかしながら下り傾斜ランニングの長期の介入後、6週間のトレーニング後の速度の上昇は、歩数頻度の増加が第一の貢献要因であるということを示している(パラディシスおよびクック、2006年)。 トレーニングの影響 個体差があるため、歩幅も歩数頻度のどちらも、全てのアスリートに対し重要な要因であるわけではないということが受け入れられていると想定すると、全ての個人には各自最適な歩幅と歩数頻度の組み合わせがあるということに繋がる。これを基にサロおよびその他(2011年)は、一部のアスリートは速度を上昇するためにより歩幅に依存する必要がある可能性があるため、高負荷トレーニングから恩恵を受けるようであり、一方他のアスリートはスピード上昇のために歩数頻度により依存している可能性があるため、脚の回転速度を向上することから恩恵を受けるようであると示唆している。しかしハンターおよびその他(2004b)は「アスリートの歩幅もしくは歩数頻度を増加するためにトレーニングする際、一方の要因の増加が、他方の要因を同様にもしくは大幅に減少させることにより「相殺」されていないよう、注意する必要がある」と述べている。上記のように、一方の要因の向上が他方の減少によって達成されている限り、スプリント速度の向上のないまま、歩幅もしくは歩数頻度を変化させることも十分にあり得ることである。さらに、個人を彼の強みもしくは弱点に応じてトレーニングすることがより有益であるかどうかは、現在のところ明確ではない。例えば、より優れた筋力をもつアスリートは、高負荷のトレーニング、もしくは高速の動作が大部分を占めるトレーニングを行うべきなのだろうか? スプリントに関する結論 スプリント速度は、歩幅および歩数頻度の産物である。歩幅および歩数頻度の様々な組み合わせにより、ワールドクラスの速度に達することは可能なようである。個人に最適な歩幅および歩数頻度の組み合わせの存在は、ある個人は歩幅を向上するためのトレーニングが必要である可能性があり、一方他の人たちは歩数頻度を向上するためのトレーニングが必要である可能性があるということを示唆している。 長期の研究は、スプリントトレーニング、レジスタンストレーニング、プライオメトリックス、そしてレジステッドスプリントトレーニングの全ては歩幅を増加することができるということを示している。歩幅を向上するための負荷付きソリ牽引走は、より高負荷において最も効果的であるようである。短期の研究は、ホップ、ステップ、もしくはバウンスドリルもまた、歩幅を向上するために有益である可能性があると示唆している。 長期の研究は、レジステッドスプリントトレーニングではなく、レジスタンストレーニングおよびオーバースピード(ダウンヒル)走により歩数頻度を増加することが可能であるということを示している。オーバースピード(ダウンヒル)走は5.8度の下り傾斜を使用する際に最も効果的であるようである。

ストレングス・コンディショニング・リサーチ 3791字

スプリントの生体力学:歩幅および歩数頻度 パート1/2

目的 この記事は、歩幅および歩数頻度に関する研究を提示している。 背景 序論 歩幅は1つの歩行周期において進む距離であり、100mの陸上短距離競技でのエリート陸上短距離選手における平均は、約2.3-2.4mである。これに対して歩数頻度は、1秒間に行われた歩数であり、Hzで表される。100mの陸上短距離競技での、エリート陸上短距離選手における歩数頻度は、平均して約4−5Hzである。ゆえにスプリント速度は歩幅と歩数頻度の産物である。歩幅もしくは歩数頻度のどちらか、または、その両方を変化させずにスプリント速度を変化することは不可能である。しかし、歩幅もしくは歩数頻度を変化させ、かつスプリント速度が変化しないことは、一方の要因における増加が、他方の同等で反対となる減少と適合している限り十分にあり得ることである。現在のところ、全ての人におけるスプリントパフォーマンスを決定するために、2つの要因のうちどちらがより重要であるのか、もしくは各個人に対し最適であるコンビネーションは単にひとつなのかどうか、ということは明確ではない。ある研究者たちは、個人差は重要である可能性があり、ワールドクラスの速度は、様々な歩幅と歩数頻度の組み合わせにおいて達することが可能であるのかもしれないと提議している。 歩幅とスプリント速度の関係 序論 ランニング速度の変化に伴う歩幅の変化の影響を分析するにはいくつかの方法がある。第一に歩幅は、個人のグループにより行われた異なる定速走行速度において測定することが可能である。第2に、また同様に、歩幅は個人のグループにおいて、加速スプリントのいくつかの段階において測定することが可能である。(これら両方のアプローチは「個人内」と呼ばれている。)歩幅とランニング速度の関係の性質を評価するために、相関関係を引き出すことは可能である。そのような相関関係は我々に、より高速のランニングはより長い歩幅を含んでいるか否かを伝えてくれる。第3に、歩幅は集団における個人の間で、最大スプリント速度において測定することが可能である(「個人間」と呼ばれている)。そこから、歩幅とランニング速度の関係の特性を評価するために、相関関係を引き出すことができる。これは我々に、より高速のランニングはより長い歩幅を表すのか否かを伝えてくれる。両方のアプローチは断面的であるため、より長い歩幅は、より高速のランニングの副産物であるのか、もしくは、より長い歩幅を使い走ることが可能であるということは、より速く走ることを可能にしているのかどうかを評価する助けにはならない。 個人内 各個人におけるランニング速度を比較した調査において、多くの研究者たちは、加速スプリントを行う際、歩幅は概してランニング速度の上昇と共に増加するということを発見している(ディベーレおよびその他、2013年、ナガハラおよびその他、2014年a、ナガハラおよびその他、2014年b)。更に研究者たちは、同じ個人のグループにおいて、異なるランニングスピードにおける歩幅を測定する際、ランニング速度の上昇と共に歩幅は増加するということを頻繁に観察している(メロおよびコミ、1986年、Kyröläinenおよびその他、2011年、ドーンおよびその他、2012年)。 個人間 個人間におけるランニング速度を比較した調査において、幾人かの研究者たちは、より大きな歩幅を示している個人は、より高速のランニング速度を示していたということを発見している(ハンターおよびその他、2004年b、ブログヘリおよびその他、2011年、ロッキーおよびその他、2013年)。しかしながら、他の研究者達はこの関係性の観察に成功をしていない(モリン及びその他、2012年)。ゆえに、大きな歩幅が、明白にスプリントランニングのパフォーマンスに優位であるか否かは明確ではない。 歩数頻度とスプリント速度の関係 序論 ランニング速度の変化に伴う歩数頻度の変化の影響を分析するためには、いくつかの方法が存在する。第1に、歩数頻度は、個人のグループにより行われた異なる定速ランニング速度において測定することが可能である。第2に、歩数頻度は、個人のグループの中で、加速スプリントのいくつかの段階において測定することが可能である(これら両方のアプローチは「個人内」と呼ばれる)。歩数頻度とランニング速度の関係の特性を評価するために、相関関係を引き出すことは可能である。そのような相関関係は我々に、より高速のランニングはより高い歩数頻度を含んでいるか否かを伝えてくれる。第3に、歩数頻度は集団における個人の間において、最速スプリント速度にて測定することが可能である(「個人間」と呼ばれる)。そこで、歩数頻度とランニング速度の関係の性質を評価するために、相関関係を引き出すことは可能である。これは我々に、より高速の走者はより高い歩数頻度を示しているのか否かを伝えてくれる。しかし両方のアプローチは断面的であるため、実のところはどちらも、より高い歩数頻度はより速いランニングの副産物であるのか、もしくはより高い歩数頻度を使って走ることができるということは、より速く走れるということであるのかということを評価する助けにはならない。 個人内 加速スプリント 個人内における、加速スプリントの際のランニング速度を比較する調査において、幾人かの研究者たちは、歩数頻度は最初の10m以降はスプリント速度の上昇に伴い大幅に増加するわけではないということを発見している(ナガハラおよびその他、2014年a、ナガハラおよびその他、2014年b)。にもかかわらず、高レベルの陸所短距離選手のトレーニングおよび競技におけるパフォーマンスを比較した際、オオツカおよびその他(2015年)は、競技におけるパフォーマンスの方がより高速であり、これは歩数頻度の増加の結果であり、歩幅の増加はなかったということを発見している。これは、その個人のランニング速度が、既に最大限もしくは最大限近くまで達している際、更にランニング速度を向上するための手段として歩数頻度を増加するということを示唆している。オオツカおよびその他(2015年)は、これは、アナエロビック運動の際、交感神経系活動の増加とそれに続くアドレナリンの放出が観察されているため(キンダーマンおよびその他1982年)、高い覚醒により引き起こされた可能性があり、筋力生成の向上と関連がある(フレンチおよびその他、2007年)と提議している。 定速走行 各個人における定速ランニング速度の異なる試験を比較した調査において、ほとんどの研究者たちは、歩数頻度は低速のランニング速度と比較し、より高速のランニング速度において大幅に高かったということを発見している(メロおよびコミ、1986年、Kyröläinenおよびその他1999年、Kyröläinenおよびその他2001年、ベリおよびその他、2001年、キヴィおよびその他2002年、ブリューゲリおよびその他、2011年、ドーンおよびその他、2012年)。これは同様に、すでに最高速度もしくは最高に近い速度においてランニングを行う際、個人はさらにスプリント速度を向上する方法として、歩数頻度を使用するということを示唆している。 個人間 幾人かの研究者たちは、個人間における歩数頻度およびスプリントパフォーマンスの間に有益な関係が存在すると報告している。(マンおよびハーマン、1985年、モリンおよびその他、2012年)マンおよびハーマン(1985年)は、オリンピック200mの際の1位、2位、8位の間の差違は、歩数頻度と有意な相関関係があったということを報告している。しかしながら、他の研究者たちはこの関係を発見していない。(ハンターおよびその他、2004年b、ブリューゲリおよびその他、2011年、ロッキーおよびその他、2013年)。ゆえに、1個人を他の個人と比較した場合、より高い歩数頻度が必ずしもより速いスプリントパフォーマンスと関係があるか否かは、現在のところ明確ではない。この関係性の欠如は、より長い脚を持つアスリートは低い歩数頻度を使用することが可能であるというように、人体測定学における差違により引き起こされているようである。これは、テイラーおよびベネキ(2012年)により提供された、2009年の世界陸上大会決勝100mの分析においてみることができる。彼らは、ウサイン・ボルトは60-80mのスプリットにおいてより速かったにもかかわらず、彼はタイソン・ゲイ(4.96Hz)およびアサファ・パウェル(4.74Hz)と比較し、最も低い歩数頻度 (4.49Hz)であり、これは彼の歩幅が長かったためであったということを観察している。

ストレングス・コンディショニング・リサーチ 3653字

なぜ両膝立ちなのか? パート2/2

このポジションホールドをしている最中にまず行わなければならないのは、経験をするということです。――障害や問題がどこに存在しているのかを気づかせてくれます。この静的なホールドができたら、頭を回し首の可動域を調べてみます。目で動きをリードするようにして、ケトルベルや両肩を動かさないように、振り向ける限り後ろを見てみます。 両サイドでこれを行い、左右ほぼ等しいと感じたならば次に進みます。左右等しくなく、痛みを感じたならば、中止します。ほとんどのトレーニングをはるかに下回る強度で、すでに痛みがある場合、検査を受けた方が賢明でしょう。 では、首がこわばっていて一方にだけ回旋しにくい場合、これまでに呼吸について学習してきたすべてのことをここで応用できます。 呼吸をゆっくり行うようにします。 吸う息よりも吐く息をずっと長く行うようにします。 吐く息でさらに可動性を広げ、吸う息で元の姿勢に戻します。 そしてもう一度、数回動いてみましょう。 “何でこんなに硬いのか?”と問いかける頃には既に、呼吸を行うだけでかなりほぐれてるかもしれません。 硬いのは、しばらくその方向に動かしていなかったからかもしれません。または、コンピューターの画面を左に置いて仕事をしていたからかもしれません。実際のところ原因は分かりませんし、質問する暇もなく5分ほどでほぐれてくるのであればそれほど重要ではありません。質問ばかりしていないで動いてみましょう。 次に、これまでとまったく同じ動きに肩の回旋を加えます。左右対称でなければ回旋が少ない側のトレーニングをします。もし痛みが伴うようであれば、痛みの原因を探ってみます。最後に頭と肩、そしてケトルベルを順に回旋します。股関節の位置を変えずに肩を可動域の最大限まで回旋します。 可動域の最終に達すると呼吸が楽にできなくなります。1インチ(2.5cm)ほど手前で動き、呼吸を何回か繰り返します。たいてい片側で“これ以上このポジションをキープしたくない”と感じるでしょう。それは、ちょうど誰かに締め付けられているような感じで、深い呼吸がしにくくなります。不快であるというより、不自然と感じるでしょう。 もし、この感覚を痛みと区別できるのであれば、そのポジションであと数回の呼吸をしても害はありませんね? パニック呼吸とは正反対のコントロールされた呼吸を約10回行った後、改善が少しでもあれば、さらに10回呼吸します。 両膝立ちで、フロントキャリーポジションができ、回旋が左右対称にできるようになったら、強度を上げていきます・・・ただし、重さを上げるわけではありません。 ケトルベルを身体の後ろに回し、常にケトルベルを床に押し付けるように持つことを覚えておきましょう。すべての異なるポジションを通して、床に押すようにホールドすることを忘れないようにします。特にケトルベルを後ろに回す時、肩をすくめる傾向がありますが、そうしないためにも床に押すようにすることが最良です。これは、肩をすくめないようにするためですが、ポジションを真っすぐにリセットするための対策でもあります。 ケトルベルを後ろに回したら、統合性を保ちながら股関節をできるだけ伸展できるように筋を収縮させます。腹筋と股関節屈筋群の活動が早すぎると、防御のために股関節を屈曲したくなるのです。不必要な緊張を持つことなしに統合性を得ることができます。 辛抱強く。時間をかけて。すぐにできるようになります(たぶん私たちにとってはすぐではないかもしれませんが)。無理に行っているからではなく、時間をかけて呼吸が楽になるにつぃれて、統合性も良くなるからです。 投手やゴルファーを考えてみてください――片側に偏ったアスリートです。彼らには、まだ試したことのない可動性があります。彼らには姿勢を矯正するようなエクササイズを薦め、正常な姿勢の統合性を取り戻すようにします。 このような姿勢はリセットされるべきで、どんなときも必ず中心を取り戻すようにします。両側で複雑な動きをする必要はありません。両側の基本的な動きで十分です。これは、呼吸や胸椎の可動性を確認するとてもよいチャンスです。 両膝立ちのホールドの後、プレスや肩のトレーニングがよくなったと感じる人もいます。これは、ヤンダの上位交差症候群で確認できます。下位交差症候群では、腹筋群が働かない不足分を股関節の屈筋群がどのように補ったり、臀筋群が働かない不足分を腰の筋群がどのように補ったりするのかを説明しています。 同様のことは、上半身でも起こります。統合性がなければ、肩をすくめてばかりで、僧帽筋や首を不適切に使ってしまいます。しかし、この膝立ちのホールドポジションを保つにはアライメントが重要なのです。アライメントが崩れていると、きちんと行うことができません。アライメントが整っていれば、 “たいしたことないよね?” と、周りを見て言うことでしょう。 姿勢筋は1日中ずっと活動していることを忘れないでください。姿勢筋がアライメントを制御する一方で、主導筋は関節角度を変え、こうしてパターンを作り出しているのです。姿勢筋と主導筋が共にに働けば、効率よく動くことができます。両方がなければ効率性は得られません。まずは姿勢筋のトレーニングで、その次にパターンを構成する筋群です。 これらのポジションで胸椎の可動性を調べます。胸椎の右と左への回旋が、より対称に近づいたら、胸椎の伸展が改善したことになり、肩甲骨の安定や腕を頭上に上げることが楽にできるようになります。 もし、オーバーヘッド動作を行っている時に肩の統合性や腰椎のアライメント、骨盤の高さが整っていないのであれば、両膝立ちホールドをすることによってターキッシュゲットアップやミリタリープレスをより向上させることができるでしょう。大腿四頭筋やハムストリングスの活動やしっかりとした強い足と足首を除外したうえで、膝立ちしてみて何が残っているか見てみましょう。 とても力がある人にとって両膝立ちは、謙虚であり屈辱的なこともあるポジションです。それでも、しっかりと注目し、呼吸を活用すれば、ただのエクササイズではなく経験をすることができるでしょう。

ファンクショナルムーブメントシステムズ 2635字

なぜ両膝立ちなのか? パート1/2

私がなぜニーリングホールド(膝立ち姿勢の保持)を開発したか、どのようにその利用が功を奏したか、どういう場面で役に立つのかという背景をここで説明しましょう。 まず初めに、私たちはこれまでの長い間、両膝立ちや片膝立ち動作をコレクティブエクササイズとして利用してきました。なぜか? このポジションはパターンと同じ位に重要だからです。ポジションは姿勢を構成し、パターンは動きを構成します。 ポジションと姿勢には統合性が必要であり、動きのパターンには経済性、または効率性が要求されます。しかし、姿勢を考慮することを忘れ、パターンにばかり関心が寄せられていることに、私は気づきました。 動きのパターンの合間にとる姿勢やポジションは、ちょうど音と音の間に起こる空白のようではありませんか? もし音がすべてつながっていたならば、はっきりと音は聞こえてきません。もしすべてが空白であれば、何も聞こえません。 静と動のブレンドが、実は動きのパターンを形成するのです。 私見ではありますが、膝立ちをすることが重要な理由は、生活の中で不可欠だからではなく、これが四つん這いやローリングパターンよりも重要であると思うからです。もし、ローリングパターンをリセットする必要がある場合や、簡単な腰部のエクササイズ、また時にはベアークロールのように複雑なエクササイズをして、しばし四つん這いの姿勢で脊椎に負荷がかからないようにする必要がある場合はよいのですが、発達段階において両膝立ちは、脊椎に実質的に荷重がかかる最初の動作なのです。 幼児が床をハイハイするのを観察してみてください。彼らがハイハイからいきなりスクワットをすることはありません。まずは、膝立ちを試みて、たくさん膝で立つことによってコアや安定性に照準を合わせます。足首や足部、膝はまだここでは大きな役割を果たしていません。主に働いているのは股関節、骨盤、脊椎、体幹といったコアです。腕は補助的に使われ体重を支えたりバランスをとったりします。 これらの膝立ち姿勢は素晴らしくもあり、謙虚でもあります。両足で立つ状態でなくなると、間違いが見つけやすくなります。世界中の多くの宗教で、ある種の膝立ち、もしくは服従姿勢があるのはそれが理由かもしれません。 たとえば、ある立位の姿勢で、両足で立っている時には上手く姿勢がとれていないが、膝立ちでは素晴らしく姿勢が良いとします。だとすれば、少し演繹的に推論してみましょう。もしかしたら、大きな問題が膝より上ではなく膝より下に潜在しているのかもしれません。しかし、もし立位で問題が隠れていて見えず、膝立ちになった時に表面化した場合、問題は‘股関節’にある、‘コア’にある、そして‘安定性’にあると考えます。 両膝立ちの姿勢は、股関節や脊椎、上部胸椎をターゲットにする最善の方法です。 両膝立ち この特定のドリルにおける両膝立ちでは、両膝が広く開いていることが重要です。そうすることで土台がそれほど安定していなければ試すことができないような(補助輪のようなものです)動きを試すことができます。そうすれば楽になるということではなく、実際には、とてもやりがいがあるものです。 両膝立ちでは、能動的機能不全(主導筋がもうこれ以上短縮できない時)と受動的機能不全(拮抗筋がもうこれ以上伸張できない時)が起こります。これらの定義を考えてみましょう。大腿四頭筋が伸ばされすぎてしっかり働くことができない時やハムストリングスが短縮しすぎていてしっかり働くことができない時は、臀筋群や骨盤、腹筋群を使うしかありません。ブラディミア・ヤンダが述べている下位交差症候群を、ここでの動きの中で試してみたいと思います。 まずケトルベルを正面に持ち、それから自分の身体の後ろに回します。ここで大きな注意点があります: もし、ファンクショナルムーブメントスクリーンで肩の可動性またはアクティブストレートレッグレイズが‘1’だった場合、それは、運動制御や安定性のトレーニングに可動性の問題を持ち込むことを意味するのです。 そうしないように。 なぜそれが問題なのか? 可動性が不足しているということは、感覚が遮断されており、このエクササイズでは、ありったけの感覚情報を処理する方法を最大限に引き出すように要求するからです。 もし数分間のフォームローリングやちょっとしたストレッチでより多くの感覚情報が得られるのであれば、なぜそんなに不完全な情報を処理しようとするのでしょうか? 股関節の伸展角度でたった3~4度の変化でも、新しいポジションでの運動制御のためのトレーニングできる負荷を追加することになります。 これはウォームアップでもあり、スーパーセットでもあります。トレーニングの開始や終了時に、このように股関節が伸展位で腰椎が真っすぐになるポジションでも、コアの姿勢やポジションにある程度の統合性があることを確認する最適な手段です。 両膝立ちをもっと詳しく見てみると、三角形の姿勢になっています――足は内側に向け、膝は楽な範囲で大きく広げます。きつくなるぐらい広げても構いませんが、股関節はしっかり伸展位になっている必要があります。正面でケトルベルを持ち上げるところから始めます。そして、単にそれを1~2分間ホールドしていられるかやってみます。頑張ってみましょう。両肩を下げ、ケトルベルを常に床に押すようにします。こうすれば、自分の中心を意識することができるでしょう。 約1分間その姿勢のままでいると、かなりの負荷を感じます。肩をすぼめたり、ケトルベルをきつく握りすぎたりしてはいけません。この点においては、常に効率的であってほしいのです。そうすれば、“必死になってケトルベルを10分間ホールドしてください”と指示することができますし、みなさんにはそれをできるようになってもらいたいのです。みなさんをグッタリさせようというわけではありません。グッタリする人がいたとしても、それを意図しているのではありません。

ファンクショナルムーブメントシステムズ 2536字

LSD vs HIIT討論に終止符を打つ パート2/2

低強度と高強度メソッドの間には心臓の特異的な適応に違いがあります。LSDトレーニングのように、長い時間をかける低強度の方法では、心臓の左心室肥大が起きます。これにより、心臓が一回の拍動でより多くの血液を送りだすことを可能にし、結果、筋肉が働くために血液と酸素を懸命に運ぶ必要はなくなります。この適応は偏心心肥大として知られています。 一方で、高強度メソッドでは心臓の筋繊維を強化するよう作用し、結果として心臓壁が厚くなります。この適合は同心心肥大と呼ばれ、偏心心肥大とはことなった方法で、一拍毎に心臓がより多くの血液と酸素を送り出すことを助けます。これらの適応はそれぞれ、有酸素能力の向上に作用し、どちらも重要なのですが、コンディショニングにおける影響に違いがあることを理解することが重要です。 低強度メソッドでは、同量の血液を運ぶのにそれほど心臓が懸命に働く必要はなく、結果有酸素持久力がより順応していきます。つまり、幅広い範囲の強度でエクササイズをしても、心拍数は低いまま維持でき、長い時間そのエクササイズを継続できるということになります。これに対して、高強度メソッドでは、より高い心拍数で、より多くの血液と酸素を送り出し続けることに適しているため、完全に疲弊し、オールアウトするまで、長い時間高い心拍を維持させることができます。 このことはまさに、MMAにとって有利になりますが、試合中、低い心拍数を維持できればできるほど、コンディションはより良くなるでしょう。筋肉そのものに関しては、LSDはHIITよりもかなりの優位性を持っています。長く、ゆっくりとしたトレーニングは、動いている筋肉に心臓から酸素を運ぶ役割をもつ毛細血管の発達に役立ちます これには、HIITよりもボリュームを多くすることが必要で、この発達なしでは、筋肉は多くの酸素を利用することができず、持久力は上がらないでしょう。MMAでは、ストレングス、パワー、スピード、そして持久力すべてが要求され、身体が持つ3つのエネルギーシステムすべてに特化した緻密な発達が必要になります 総合的に強いファイターになりたいのであれば、レスリングスキル、関節技スキルとヒットスキルをバランスよくするためにどうしたらよいかを学ぶ必要があり、戦いのなかで必要になるエネルギーを生産するために、身体の異なったシステムすべてが細かく調整され、共に働けた時、コンディションとパフォーマンスは最大になるでしょう。これらの考えに沿って、LSD,HIITのどちらもが、異なった方法でエネルギーシステムを発達させているということを理解することが重要になります。 どちらが優れているのかという討論ではなく、それぞれが異なった適応を導き、特有の利点があるのです。LSDは低強度であり、故に関節にそれほど衝撃を与えず、頻繁に行うことができます。心臓がより多くの酸素を運搬することで、心拍は低く抑えられます。一方、HIITでは、有酸素パワーを向上させ、高い心拍数で長い時間動くことを可能にします。 戦いに勝つためのコンディショニングを求めているなら、LSDとHIITのどちらもトレーニングプログラムに入れるべきです。あなたが教わったことに反して、LSDによって弱く、遅くなることはありませんし、一流のボクサー、レスラー、MMAファイターでさえ、多くのアスリートがトレーニングプログラムにLSDを取り入れています。LSDを効果的に行い、コンディションを向上させるには、豊富な種類のエクササイズを使用して、60-90分のセッションを行うことを勧めます ただ単に走るのではなく、そり引きからメディスンボールエクササイズ、ジャンプロープ、シャドーボクシング、関節技のフロードリルまですべてを、それぞれ1回に10-15分行います。最良の結果のためには、心拍を130-150の間で維持するよう努めなければなりません。HIITでは、豊富で様々なフォームと正確に行うことが必要です:休息比率と総運動量は経験値、運動能力、特異的なトレーニングの目的によって決定されるべきです。 初心者では、高強度トレーニングを週1-2回行うところから始めるのが良いでしょう。運動能力が上がるにつれて、HIITのトレーニング量を上げ始めることができ、コンディションの必要性に応じて、長い運動を短い休息で行うこともできます。研究はスポーツ科学とトレーニング全体の進歩には非常に重要なものですが、それぞれの研究を単体で見て、安易に結論づけてしまうと、トレーニングを失敗させてしまいます。 昨今のペースの速い社会では、皆少ない運動で、素早い効果が出る方法を探します。1日に4分間高強度のトレーニングをするだけで、最高の結果とコンディションの向上が得られるのであれば、それはすばらしいことでしょうが、現実はそれほど簡単ではありません。正しい時間、正しいコンビネーションでLSDとHIITを使用する繊細な計画と熟考したトレーニングプログラムが、MMAのコンディショニングを究極に高めるための本当の鍵となります。LSDが何世紀にもわたって存在してきたのは、効果があるからであり、特別で重要な目的に適っているからです。 本当にMMAのコンディションを向上させたいのであれば、討論を忘れて、トレーニングプログラムにLSDとHIITの両方を取り入れてください。結果は保証します。

ジョール・ジェイミソン 2260字

LSD vs HIIT討論に終止符を打つ パート1/2

過去数年、総合格闘技(MMA)界のコンディショニングでは、すべての長い・ゆっくりとしたタイプのトレーニングを捨て、高強度のインターバルトレーニングを選ぶ傾向が強くなってきています。専門家は様々な研究を指摘し、ファイターがトップコンディションになるために、従来のどんなタイプのロードワークも必要ではないという証明として、高強度ワークの利点を証明しようとしています。 格闘技は爆発的なスポーツであり、そのため、ランニングやかなりゆっくりとしたペースでのトレーニングでは、MMAで必要な高強度のエネルギーシステムの要求には見合わないと彼らは主張しています。この種のワークアウトでは爆発的な力を発揮できなくなり、弱くさせてしまうため、まったくするべきではないと極言する人さえ大勢います。 しかし、本当にそうなのでしょうか?高強度のインターバルトレーニングがすべての人にとってコンディショニングプログラムの真の答えでしょうか? 高強度のインターバルトレーニングは間違いなく効果的なコンディショニングツールであり、ファイターのトレーニングプログラムに入るべきものですが、一方で、長く、ゆっくりとしたトレーニングの負の効果がかなり誇張され過ぎであり、コンディショニングプログラムの中にもその役割はあるということを、この記事のなかで主張していきたいと思います。 まず始めに、長い距離をゆっくりとしたペースで走る(LSD)トレーニングは、ほとんどの格闘技スポーツのコンディショニングプログラムとして、どのような形にせよスタートし、存在してきたということに言及することは重要です。ボクシングやレスリングでは、この種のトレーニングはロードワークとして一般的に知られています。ロッキー・バルボアはフィラデルフィアの道でインターバルスプリントをしていたのではなく、ジョギングをしていたのです。 歴史を通して、一流のボクサーの大多数はトレーニングにロードワークを取り入れていたといって間違いないでしょう。アメリカでは皆、この高強度インターバルトレーニング(HIIT ) の流れに飛び乗っているようですが、アメリカ以外の国のMMAファイターのほとんどは、今もトレーニングにLSDを使っているということも指摘しておくべきでしょう。ヒョードルが故郷ロシアでロードワークをしているオンラインビデオが複数あり、爆発力やコンディションに悪影響をあたえているようなことは一切ありません。 リッチ・フランクリン、桜井速人、クリス・リーベン、マット・ブラウン、スペンサー・フィッシャーなど多くのトップファイターに長年LSDを使ってトレーニングしてきましたが、誰もパワーやノックアウトに関して問題はないようです。しかし、HIITがどれほど効果的であるかを示したすべての研究はどうでしょうか?LSDを批判する人たちは、HIITが低強度のメソッドよりも、有酸素・無酸素フィットネスの両方をかなり効果的に向上させていることを示している研究を指摘したがります。 特に、日本の田畑泉先生の研究は、この点について他のどの研究よりも多く参考にされているでしょうし、結果田畑プロトコルを大流行させ、ネットのいたるところで見かけることができます。この問題点は、LSDとHIITを比較した研究の多くと同じで、その制限をかなり超えた推測によるものであり、きちんとした根拠に基づいていません。例えば、田畑先生の元々の研究では、14人の被験者のみが使われ、全員が比較的トレーニングされていない者であり、体力に劣り、VO2Maxの平均は40代後半か、50代前半の数値でした。 比較的トレーニングされていない被験者に見られる結果は、トレーニングを積んでいるアスリートのそれとはかなり違った結果になることが多いのです。2つ目に、この研究におけるすべてのトレーニングは、低い衝撃と抵抗しか与えないバイクでのみ行われています。そうであるにも関わらず、現在では人々が、神経システムや関節に実際どれだけ多くの要求がかかっているのか理解することなく、ストレングストレーニングからスプリント,MMAの特殊エクササイズまでに至る、あらゆる種類のトレーニングに対して、研究のプロトコルを適用しています。 田畑では、被験者は1週間に5回トレーニングをし、これらのうち1日は30分のLSDのセッションが含まれます(決して言及されることがありませんが)。このトレーニング頻度を1週間にバイクよりも要求の高いエクササイズと3-5回のMMAセッションの混合に変えれば、これは、オーバートレーニングと関節痛のレシピになってしまいます。最後になりますが、田畑ではまた、VO2maxと無酸素能力テストを使用し、LSDとHIITの結果を比較しています。 このため、高強度メソッドがより良い結果を導きだしたとしても驚くべきことではありません。VO2maxも無酸素能力も共に強度がかなり高く、心拍数もかなり高い状態でテストを行います。これらのテストを使った場合には、当然高強度でのトレーニングがより効果的になるでしょう。これらの結果は、もし田畑先生が、低強度で実施する他の有酸素測定方法を使用したとしたら、おそらく違うものになっていたでしょう。これは1RM 最大筋力測定を行ってから、1つのグループは高強度の1-5回、別のグループは10-12回を行わせているのと同じことになります。 当然ですが、テストに近い高重量で行ったグループは他のグループよりも1RM 最大筋力は向上するでしょうが、といって、みんながトレーニングで5回以上上げるという理由がないということではありません。でも、なぜLSDが重要なのでしょうか?HIITよりもかなり少ない時間でより良い結果を出せますか?今まで何を読んだかに関わらず、単に高強度の方法からでは得られない効果がLSDには実際にあるのです。

ジョール・ジェイミソン 2459字

筋が張っていると感じるのはなぜ? パート2/2

筋の緊張にどのように対処すればいいか? (続き) 単純に張りを感じるケースのほとんどの場合、原因ははっきりしています。長時間同じ姿勢で固まっていたり同じ動きを繰り返したりしていると、部位によっては侵害疼痛を引き起こす血流不足や代謝ストレスを緩和させるために姿勢を変えたり筋の休息が必要となります。たとえば、車または飛行機の中やパソコンの前で何時間も過ごすとします。本能的に、ストレッチをしたり動いたりせずにはいられなくなります。そうすることにより、たいてい張り感や不快感は軽くなります。 当然のことながら慢性の張りを訴えるクライアントの多くは、このような簡単な対策はすでに試していて効果が得られなくなっています。張り感は何時間も何日もずっと続いたり、いつでも構わず現れたり消えたりし、姿勢や動きとの関係は少ないようです。 このようなケースでは不快感の要因は、その部位への血流を増やそうとする必要性に応じて末梢性または中枢性感作になる神経系がより深く関与しているのかもしれません。これらは、局部的な炎症、副腎感受性、後角の感受性の上昇を通して起こりうることで、もしかしたら、ある特定の環境(たとえばコンピューター)とある特定の感覚(最悪の気分)の結びつきを学習したことによって起こるのかもしれません。 では、どのようにこの感受性を下げればよいのでしょうか? この質問に対する簡単な回答はありません。もしあるのであれば、慢性疼痛の問題はすでに解決されているはずですが、まだ誰もどうすればよいか分からないのです。しかし、仮に張り感が痛みの軽症型であるという私の考えが正しければ、その扱いは少し楽になるはずです。 慢性の張り感に取り組むためによく使用されるいくつかの方法を下記に列挙します。そして、各方法について上記に述べてきた観点からの考察を添えています。推奨しているいくつかの事柄は多くの人が行っていることと正反対であることに気がつくでしょう。 ストレッチ 私たちは、しばらく縮めていた筋を本能的にストレッチし、それはたいてい瞬時に楽にしてくれます。 しかし前述のように、慢性の張りに苦しんでいる多くの人は、すでにこれを試みており解決には至っていません。このことは、悪い力学というよりは感受性の亢進の問題であるということを示唆しています。 ここで問題になるのは、簡単なストレッチが効かないならばもっと激しいプログラムが必要であると多くの人や多くのセラピストさえも考えてしまうことです。 このどうしようもない股関節屈筋群はまだ張っている感じがする。 これは、もし問題の根源が組織の短縮や癒着であれば理解できます。しかし、もし問題の根源が実際は感受性の上昇であれば、激しいストレッチはかえって問題を悪化させてしまうかもしれません。一方で、ストレッチは鎮痛や弛緩作用があるとされています。 結局、ストレッチは張りを治す良い方法でしょうか? 何事も共通して言えますが、もし気持ち良いのであればやってみればいいし、そうでなければやめればいいというのが私の考えです。 張りに対する軟部組織アプローチ 短縮した軟部組織を伸ばしたり、癒着を剥がしたり、筋膜を緩めることなどを目的にする多種多様の軟部組織治療(深部組織マッサージ、フォームロール、グラストン、ART、IASTM)が存在します。これはほぼ不可能であることは、私も他の多くの人たちも指摘しています。 しかし、これらの療法で感受性を下げ、張り感を軽減することはできるでしょうか? 当然、侵害刺激の下行性抑制を活発化させることにより軽減できます。これは、健康利益をもたらすと期待される疼痛刺激の効果として広く知られています。 しかし、もちろんこれらの療法自体が侵害刺激を生み出し、感受性を上昇させてしまう傾向もあるのです。個人のもつ体質やその他さまざまな要素による絶妙なバランスです。繰り返しますが、もし気持ち良いのであればやってみればよいのです。これはひとつの選択肢であって必須ではありません。一時的なものであり、実施する理由を忘れないでいるべきです。 筋の張りのための運動制御 さまざまな種類の運動療法は、基本的に運動制御へのアプローチです。つまり、動きや姿勢、呼吸パターンを改善することにより、より効率よくなり、ずっと居座り続ける緊張を取り除き、弛緩方法などを修得します。 習慣を変えることは難しいですが、特に緊張が特定の姿勢や動きに関係するような時には、この対策は試す価値があります。もちろん、状況がより複雑であれば、運動制御のみで問題を解決するとは期待できません。 エクササイズとレジスタンストレーニング ストレングストレーニングを筋の緊張と関連づける傾向があります。エクササイズの最中に筋はもちろんかなりの緊張状態になります。遅発性筋肉痛により次の日になって身体のこわばりを感じる人もいるでしょう。ストレングストレーニングが筋を短縮させ柔軟性を低下させるという(誤った)考え方もあります。 これらは、根も葉もない話です。実際、全可動域を使ったストレングストレーニングは、おらくストレッチ以上に柔軟性を増加させます。筋内の局部的な適応が起こることで、持久力を向上し、代謝ストレスに耐え易くすることもできます。また、エクササイズには鎮痛効果もあり、神経系を過敏にする炎症を抑えることもできます。 個人的な逸話になりますが、私がヨガを行っていた頃、今よりもっと柔軟性がありましたが、常にハムストリングスは張っていると感じていました。その後、ヨガをやめケトルベルスウィングをかなりやり始めました。私の前屈はやや減り、ハムストリングスをかなり使っていたにもかかわらずハムストリングスの張り感は消えていました。その代わりに得たのは機能的な強さと能力の感覚です。これが、ハムストリングスが伸ばされることに関する危機感を減らしたのではないかと思います。 もちろん、ストレングストレーニングで筋を酷使した後、回復させなければ、それらは過敏になり、こわばり、痛くなります。しかし、適切なトレーニング量(適応が起きるのに十分であり、また完全な回復を妨げたりケガを引き起こしたりしない程度)であれば、より健康的で強くなれるでしょう。そうです、もちろんこわばりも少なくなります。 結論 こわばりを感じたならば、それは単なる感覚であり、積極的な構造的解決が必要な組織の短縮という物理的状態では必ずしもないこと覚えておいてください。他の感覚と同様に、過敏であればより強く感じることになります。また、他の種類の感受性と同じように、体調全般や筋力、気づき、運動制御、健康を改善すれば感受性も下がるでしょう。

トッド・ハーグローブ 2845字

筋が張っていると感じるのはなぜ? パート1/2

なぜ筋が張っているように感じるのでしょうか? それは筋が短いということ? リラックスできないということ? 私たちはこれに対して何ができるのでしょうか? 筋が張っていると感じる理由とその対応の仕方について、いくつかの私見を紹介します。 張りは力学的状態だけではなく感覚である 誰かが、ある部位に張りを感じると言う場合、異なるいくつかの訴えを指しているかもしれませんから、それを探るように心がけます。 可動域の悪さのことを言っているのか? または、可動域は正常でも動きの最終域で違和感を覚えるのか、それとも動かすために余計な力が必要なのか。 または、実際の問題は動きにあるわけではなく、その部位がまったく弛緩してくれないかんじがあるのかもしれません。 もしくは、その部位は基本的に弛緩しているにもかかわらず、はっきりしない違和感、つまり痛みとまでは言えない不快感があるのかもしれません。 この曖昧さは、張っていると感じるのは単なる感覚であって、過度の緊張やこわばり、短縮という物理的または力学的性質ではないということを意味しています。これら一方がなくてももう一方が存在することもあり得るのです。 たとえば、ハムストリングの張り感を訴えるクライアントが大勢いますが、前屈してみると簡単に手の平を床につけることができるのです。一方、ハムストリングに張り感をまったく感じなくても、前屈してみると手が膝すら越えることができないクライアントもいます。張り感は可動域の正確な測定にはなり得ません。 また、筋の実際の緊張や硬さ、または“こり”の存在を正確に反映しているわけでもありません。クライアントが張っていると感じている部位を私が触診すると(仮に上部僧帽筋とします)、たいてい彼らは「すごく張っているのが分かりますか?!」訊ねてきます。 たいてい私は次のように言います: うーん・・・いいえ、周りの組織と同じ感じですよ。 そうは言っても、その部位が張ったように感じて不快な思いをされていることは十分理解しています。 私も張り感は好きではありませんので、それを改善するお手伝いをしたいのです。しかし、張り感があるということは、ある部位が本当に物理的に張っているということとは異なるのです。このことは納得していただけますね? 実際、ほとんどの人は納得してくれます。そしていささか興味深く思うでしょう。みなさんにこのことを理解してもらいたいのです。なぜなら、張りを治すつもりですでに立てた見当違いの計画、つまり強引なストレッチや筋膜の圧壊、癒着剥離などを再検討するきっかけになるかもしれないからです。そうすれば、ラクロスボールを胸郭の途中まで押し付けるようなことよりも、もう少し控えめなアプローチを考慮したいと思うでしょう。 筋は実際張っていないのに、なぜ張り感を感じるのか? では、筋は物理的に弛緩しているにも関わらず、なぜ張り感を感じるのでしょうか? 例えとして、痛みをとりあげられると思います。組織の損傷がなくても痛みが存在することがあります。なぜなら、痛みは脅威の知覚から生まれ、その知覚は必ずしも現実と一致するとは限らないからです。痛みは本来、警告であり、そこに本当の危険が存在しなくても作動してしまうことがあるのです。 同様の論理が張り感にも通用するかもしれません。その感覚は、身を脅かす状況が筋に起きていて、動きを正す必要があるということを無意識に私たちが知覚している時(それが正しいか間違っているかは別に)発生します。 では、この張り感が私たちに警告しようとする身を脅かすような状況とは何でしょうか? 確かに、緊張があるということだけではないようです。むしろ筋は緊張を作り出すようにできています。また、筋がほぼ完全に弛緩しているにも関わらず、筋に張り感を覚えることがしばしばあります。 ですから、緊張自体は身を脅かすものではなく、適切な休息や血流の欠如こそが、身を脅かすもので、それが代謝的負荷を起こしたり侵害受容器を化学的に活性化してしまったりすることがあります。張り感が私たちに警告しようとしているのは、緊張の存在ではなくて、緊張の頻度または血流不足(特に血液を必要とする神経において)なのです。 私はこの点を考慮して、張り感とは、痛みとまで呼べない軽い痛み、つまり痛みのバリエーションとしてとらえています。実に煩わしいものです。そして張り感には、明らかな特性や特徴があり、休息中の姿勢を変えてみたり、体を動かしてみたり、ストレッチしてみたりなどの動機を与えます。これは、じっとして動かないようにしていようと思わせる痛みは異なります。おそらく、痛みはその部位を動かすなという警告で、張り感は動きなさいという警告といえるのかもしれません。 筋の緊張にどのように対処すればいいか? 身が脅かされていると神経系に知覚させる多くの“入力”、つまり痛覚や思考、感情、記憶などのひとつを変えることによって、痛みを治療するのと同じように張り感も治療できると考えます。 痛みのなかには、動きや姿勢の癖との関連性がとても明らかなものがあります。これは「こうすると痛いです。そして、もっとこうするとさらに痛くなります。これをしなくなれば、痛みも減ります」などと言われれば分かりやすく、このような場合には、動きや姿勢を改善することによって、痛み(動きによって起こる機械的侵害疼痛)の主な要因を減らせるため効果的であることが多いのです。 一方、ほかにも痛みの原因はたくさんあります。特にもっと複雑な慢性疼痛では、痛みが特定の動きや姿勢にさほど関係しない代わりに、時間帯や睡眠時間、情緒状態、ストレスレベル、食事、日々の運動、あるいは原因不明な要因の変動に関係します。このような時は、動きによって起きる機械的侵害疼痛が痛みの主な要因ではなさそうです。それよりも末梢性と中枢性の感作がより関与している可能性があります。 張り感についても同じように捉えることができると思います。

トッド・ハーグローブ 2547字

熟練 パート2/2

ムーブメントスクリーンを紹介すると、エクササイズの専門家の多くは、とても躍起になって、動きの完璧さを求め、動きが完璧でない限り負荷やストレスについては考慮しません。これは決して私たちが伝えようとしたことではないのです。 私たちは、最低限の到達レベルと動きの障害に対する戦略的注目について主張してきましたが、多くの人々は、ムーブメントスクリーンを、きついワークアウトや、抵抗、衝撃、三面的動きを体系的に減らすことに使いました。人間の身体を腫れ物に触るように扱い、詳細なコレクティブエクササイズを使って、恐らくは正す必要のない動きまで矯正しようとしていました。 これは残念なことです。なぜなら私たちは、生まれたその日から、決して完璧に動いたことはないからです。将来も、私たちが完璧に動くことはないでしょう。私たちには常に改善できる何か小さなことがあり、ここで問いかけなければいけないのは、「それは障害なのか?」ということです。動作不全は、あなたが到達したいレベルへの前進を妨げていますか? ムーブメントスクリーンに問題がないなら、何か別の問題があるかもしれません。それが私の最後のポイントに繋がります。 全てを正しく行っているとすれば-正確なムーブメントスクリーンができ、根元的な医学的問題も何もないが、クライアントやアスリートにコレクティブエクササイズがうまく働いていないとすれば、するべきことは一つです。  身体に、進行中の医学的問題や構造的異常の既往歴がない状態で、特定のパターンに焦点をおいて、正確に実行されたムーブメントスクリーンの戦略が効果を発揮していないとすれば、そこにはまだ、適応されるべき論法があります。 もしかしたら、環境? グレッグ・ローズと私は、この夏、パフォームベターと共にアメリカ合衆国の異なるタイムゾーンに渡ってツアーをし、Three Principles You Can Apply to Any Movement (どんな動きにも応用できる3つの原則)という、環境から生命体を離すことを徹底的に調べた内容で、カンファレンス前のシンポジウムを行いました。生命体に関わる仕事をする私達は、生命体そのものを問題にしがちです。 私たちは理学療法士であり、カイロプラクターであり、アスレチックトレーナーであり、そして医者です。私たちの前に、戦略的に環境を設計して、人々の身体的概要を形成し、決定づけたのは、コーチ、トレーナー、インストラクター、そして戦術的、および、技術的達人たちです。   私たちが行っていることが環境設計のみであれば、その環境に反応していない生命体が存在するにもかかわらず、私たちは環境設計を続けるでしょう。同様に、環境よりも生物に馴染みのある人々は、環境が壊れていても常に生命体を手直ししようとするでしょう。 グレッグと私は、非常に生物科学的側面からこの課題にアプローチしました。患者やクライアント、そしてアスリートを生命体と呼ぶことは恐らく適切ではないでしょう。そして、我々が触れる全てのものを環境として単純化することは、単純化しすぎです。しかし、ここは私に合わせて、科学的になってみましょう。 動きの健康が確立されていても、動きの機能、環境との相互作用、動きの能力が損なわれてしまっているとすれば、あなたは誤った方向に順応し始める環境に身を置いてしまっている(あるいは誰かに置かされてしまっている)かもしれません。 骨棘、腱炎硬化、機能的脊柱側湾、足底筋膜炎などはすべて誤った方向への順化です。忘れないでください、疲労骨折の一番の原因は人間の脳なのです。自然界において疲労骨折はめったにありません。人間の脳だけが構造的枠組みに疲労骨折を起こすほど愚かなのです。なぜでしょう?量を追求する前に、質を求める尺度がないからです。そのくらい単純なことなのです。 本の通りにすべてを行ったとすれば、-ムーブメントスクリーンがとても良くて、スコアリングも正しく、コレクティブエクササイズの処方も素晴らしいのであれば、原因はあなたにはないかもしれません。あなたは、目の前にいるその人にできる全てのことをしているのかもしれません。あなたがまだ行っていないことは、環境をチャレンジングにすることなのかもしれません。もし彼らが、合計2時間の睡眠で、レム睡眠のサイクルを1回しか得ていないとすれば、身体化学、休息、再生は完全に虐げられています。 もし、彼らの食生活がとても偏っていたり、完全に間違ったサプリメントを摂取しているのなら、感情ストレスがとんでもなく高かったり、目標が現在の能力からかけ離れたものであったり、ワークアウトの指標が、弱点とは180度間逆の方向に向けられているとすれば、問題を正すより、より複雑な状況にしているかもしれません。 次回あなたが、コレクティブエクササイズがもう少し早く効果を発揮しないかと悩むことがあれば、まずは正しいコレクティブエクササイズを行っているかを確認し、次に正しい土壌に種を蒔いているかを確認してください。以前、記事で、農夫は種の質のみに専念しているわけではないというのがありました。農夫は土壌の質にも注意を払っています。生命体を環境から切り離して考えることは絶対にできません。 西洋の医学モデルはそれを試みました。医者が生活習慣を問題にすることはほぼなく、するときは、月並みなきまり文句として、「タバコをやめろ」「体重を減らせ」と言うだけで、誰も直接的な行動はできませんでした。ですから薬を処方するだけの方が、簡単だったのです。健康に相関する数字を探してくれば、合成的にその数字を作って、その数字の効果や生物学的マーカーを減らしますよと。 生命体と環境を同じ硬貨の2つの側面として考えるようにしてみてください。たとえその片面しか見ていなくても、もう一つの面が確実に存在し、その二つを分けることはできないことをよく理解してください。熟練したコーチになりたいのなら、熟練したコーチを模範としてください。コレクティブエクササイズに精通したいのなら、見落としているものがないか十分に確かめてください。 コレクティブエクササイズにおいて、見落とされがちなトップ3の障害は以下の通りです。 不適切に処置されている、あるいは誤って診断されている根源的な医学的問題 機能レベルとフィットネスの独立性と持続性を困難にする休息と再生の習慣 機能的フィードバックのループを度外視して、短期的、またはプロトコール優先になり、実際には問題を複雑化させているワークアウトとエクササイズプログラム

ファンクショナルムーブメントシステムズ 2790字