マイクロラーニング
隙間時間に少しずつビデオや記事で学べるマイクロラーニング。クイズに答えてポイントとコインを獲得すれば理解も深まります。
動作をスクリーニングするべきか? パート2/2
スクリーニングの事例研究 動作だけでなく、私達の持っている情報を集め、スクリーニングを発展、あるいは調整するために、その情報を利用することができるでしょう。そうすれば、スクリーニング電池のように、身体的資質を反映するスクリーニングを集積していくことができるのです。 前十字靭帯損傷はかなり手に負えないもので、シーズン中で最も重要な時期にスタープレーヤーを外すことになるかもしれないわけですから、前十字靭帯損傷の危険をもたらす可能性のある状況に対応する方法に関して情報を与えてくれる何らかのスクリーニングには行う価値があります。 この分野に関する研究は数多く存在しますから、私達が利用可能ないくつかの基準を得ることは容易なはずです。 では、私達は前十字靭帯損傷について、何を知っているのでしょうか? 前十字靭帯損傷は、片脚に発生する 前十字靭帯損傷は、より高速度/高出力が掛かった際に発生する 前十字靭帯損傷は、膝の三平面全てに作用する力によって発生する 一般的に、着地時、あるいはカッティング/方向転換時に発生する 前十字靭帯損傷の危険性を調べるためのスクリーニングを開始するにあたり、私は動作に基づいたいくつかの基準を持っています。スクリーニングは、迅速かつ簡単に実施でき、できれば複雑すぎる説明、あるいは機器を必要としないものが望ましいですが、これらは必要であれば、後で行う本格的な評価において使用することができます。 始めるにあたり容易であるように、荷重分配の大部分を片脚に置きます。つまり、これは片脚制御の生体運動の分野にあたります。 前十字靭帯損傷が発生する際に反映される、膝に作用する力の向きをいかにうまく制御するのかを見たいと思います。結局のところ、ただ真っ直ぐなラインを上下に、あるいは中へ外へと移動するだけで、膝を負傷にする人は多くはありません。よって、私達は、これらの力を発生させる運動/運動学を取り入れるのです。 基本的な片脚スクワットパターンは、前十字靭帯損傷の原因となる足が地面に着いている状態でのカッティング、あるいは着地動作の際にしばしばみられる、固定された脛骨に対する大腿骨のトップダウンの影響を与えてはくれないでしょう。ここで固めることは好ましいことではありませんが、必然的に経験する関節可動域をどのように制御すれば良いのでしょうか。 選手たちが低速度と高速度において、何を行う能力があるのかを見ることができるようになりたいのです。異なる速度で観察された制御と資質において、大きな差異はあるのでしょうか?また、スポーツにおける傷害や疲労は、しばしば前半と後半の終盤にかけて発生します。 本質的に、スポーツに関連する運動において見られるような、骨盤の運動を経由して膝に作用している、異なるトップダウンの力を提供するように調節された片脚の評価に辿り着くのです。 私達は、膝に作用している力を効果的に減速させる、制御のきいた運動学的な領域を経験することよりも、剛性と硬直を‘制御’として提示することを人々に期待していると、よく思います。 私達は何を期待することができるのでしょうか? 骨盤に対しての膝の位置(第一趾よりもやや内側) 股関節優位の戦略と膝浅屈曲位 − 負荷は下腿の関節に拡散 制御されていない強い膝の外側偏位、あるいは内側偏位 脚/膝の過度な硬直 下腿の運動戦略の過度な変動性 体幹の位置 運動方向が変化する際、必須とされる外反膝制御の度合は著しく変化します。この映像は、前十字靭帯再建術の5年後のものであり、回転力の要素を含む片脚スクワットを制御している際に、明らかな制御の欠如(明らかな内側偏位)が見られます。
動作をスクリーニングするべきか? パート1/2
FMSに関しての多くの議論において、先週、私と同じくらいに自説を曲げない人が、大して価値も無い私のブログに、どうしても干渉せずにはいられないらしいので、このブログを書くことにしました。 かなり以前に、ムーブメントスクリーニングについて書きました(ここをクリックしてください)。 恐らく、私達はスクリーニングがああでもない、こうでもないと話をするのではなく、何のためにスクリーニングをすべきなのかに着目するべきなのです。これは、何かを批判するということではなく、異なる視点を示しているのです。 スクリーニングは迅速に実施できて、特定の部位における身体能力に関する見解を私達に与えるべきものです。私達はしばしば、スクリーニングに期待をし過ぎてしまいます。スクリーニングは何が間違っているとか、時には‘理想’に不具合があることを示すかもしれせんが、恐らく、正確にそれが何であるのか、それを矯正する方法については示していませんし、どうするべきであるのかに関しても示していません。そ、うではなく、スクリーニングは、何かをさらに詳しく評価するきっかけになるべきなのです。もしかすると、何かこのように。 スクリーニングにおける低い得点は、より詳細な評価やビデオやセンサー技術の使用を含む、より深い評価プロセスへと導きます。 動作をスクリーニングするべきか? この記事の要点をまとめるとすれば、答えは、とりあえず、明確な!というところかもしれません。 私の個人的見解では、身体的資質は、恐らく個々の動作よりも重要です。私達が高いレベルの能力で操作する必要があるかもしれない、数多くの資質があり、もしかすると、かなり高い可能性で、これらは傷害の危険性を減少させるかもしれません。これらについては、後ほど説明します。 正しく遂行する運動をいくつも‘選定’することに関る問題は、万人にとっての正しい運動というものは無く、同じ運動を二回繰り返しても、全く同じであるということはほとんどないということです。 あらゆるスポーツの試合をビデオで見て、実際に試合中に行われているバリエーション豊富なスクワットやランジを分析してみると、時には可動域の途中まで、時には最終可動域まで達しますし、またある時には素早く、ある時にはそこまで素早くなかったりします。スクワットやランジは、多様な角度と異なる荷重分配で行われています。 では、制御されたジムの環境下で一般的に行われる動きの、とても厳しく規制され不自然なバージョンの動作を使って、私は実際に何をスクリーニングしているのでしょうか?その動作をその方法で実施することができる能力、そのものをスクリーニングしているのです! もちろん、ウェイトルームが個人の活動において、主要な環境である場合を除いて、個人的には、ウェイトルーム内ではなく、フィールド上で発生する動作をスクリーニングしたいのです。 本質的に、着目すべきいくつかの基準があれば、いかなる運動もスクリーニングなのですが、多くの人にとって、あまりにも多くのものを示し過ぎているかもしれません。ですから、何かより組織的にまとめられたものへのニーズは常にあるでしょう。 毎回あなたが誰かにエクササイズを教えるたびに、本質的に、あなたが出す指示に対する彼らの理解に基づいて、あなたはスクリーニングをし、適正な負荷を選択するでしょう。その通りです…スクリーニングです! もしうまくいけば、ただより重いウェイトを選ぶだけかもしれません。私達は、推測をしないように注意しなければなりませんが、負荷とスピードは、“この研究”からわかるように、運動のパフォーマンスに影響を及ぼします。負荷を増やす理由もまた、スクリーニングそのものなのです。 私の考えでは、危険性と動的活動能力の両方を最も反映する生体運動能力は、下記のとおりです: 方向転換 片脚着地/減速 重心の移動とその減速 三平面にわたる片脚バランス制御 片脚のパワー出力 これらの資質の全てが、傷害、受傷後に影響する資質、あるいは運動能力に必須であるというデータがあります。傷害の既往全てが、今後の傷害に関する最も大きな指標になります。 身体的欠陥をスクリーニングすることによって、今後の傷害の発生、あるいは再発を減らすことができるでしょうか?例として、前十字靭帯損傷を持つ女子サッカー選手の着地時の膝制御のための神経筋トレーニングに関して、これが可能であることは確実に理解できます。 そこで、評価のために、これらの資質それぞれをまとめる必要があります。これは、評価される生体運動スキルにチャレンジするために、適正な力のレベルを提供するホップ、着地、ランジのような運動を通して行うことができます。 また、これらの運動が、疲労感、スピード、負荷、あるいは慣れないポジションの増加のような、さまざまな状況で、どのように行われるのかをみることができる必要があります。 問うべきもう一つの質問は、低負荷で、厳格に行われている動作が、その人が試合の中で傷害の危険に晒されているのかどうか、そして、私達が評価プロセスをより深く掘り下げて調べる必要があるのかどうかということを、如実に示してくれているのか?ということです。
トレーニングプログラムはジャンプの生体力学にどのような影響を及ぼすか? パート2/2
何が起こったのか?(続き) スクワットジャンプおよびカウンタームーブメントジャンプの関節角度の動き スクワットジャンプに対し、従来のレジスタンストレーニンググループが股関節角度変位の有意な減少を示した一方、オリンピックウェイトリフティンググループは膝関節角度変位の有意な増加を示していた。カウンタームーブメントジャンプに対しては、オリンピックウェイトリフティンググループが股関節角度変位の有意な増加を示していた。ジャンプの際のこれらの関節角度における変化は関節の硬さに影響を及ぼし、ゆえにジャンプの際の全体の垂直剛性に影響を及ぼす。スクワットおよびカウンタームーブメントジャンプの際の、各トレーニングプログラムの結果としての全ての変化は、下記のグラフに示されている。 実際にはこのグラフは、特にこれを上記の垂直跳びの高さにおける増加と比較した際、研究が明らかにした最も明確な傾向の一つを示していると思われる。上のグラフからは、オリンピックウェイトリフティンググループは主に、プログラムの結果として、股関節および膝関節両方における関節角度変位の増加を示していた。関節角度変位におけるこれらの大幅な増加は、垂直跳びの高さ及びパワーにおける大幅な増加と並行して起こり、それはジャンプパフォーマンスにおける関節角度の動きの優れた全体的な協調性を示唆している。 一方、従来の高負荷レジスタンストレーニンググループは、膝関節変位のわずかな増加を示すのと同時に股関節変位の大幅な減少を示すと共に、垂直跳びの高さおよびパワーにおけるより少量の増加を示し、これらはジャンプパフォーマンスにおける関節角度の動きのより不十分な協調性を示唆している。 使用されたトレーニングプログラム(マシンニーエクステンション、マシンニーフレクション、マシンレッグプレス、ベンチプレス、およびハーフスクワット)の、極めて膝関節主導の特性を考慮に入れると、これは、従来の高負荷レジスタンストレーニンググループは、股関節の筋力と比較し、膝の筋力をよりいっそう発達させ、同時に膝関節可動域の増加および股関節可動域の減少により、より協調性が少なく、より膝関節主導のジャンプスタイルへと移行したということを示唆している。しかしながら、これは単なる推測にしかすぎず、より股関節主導の高負荷レジスタンストレーニングプログラムにおいても同様の結果が得られるかどうかは明確ではない。 ドロップジャンプにおける関節角度の動き 20cmからのデプスジャンプにおいて、従来のレジスタンストレーニンググループが股関節角度変位の増加を示したのに対し、オリンピックリフティンググループは膝および股関節変位の減少を示した。40cmからのデプスジャンプに関する限りでは、関節角度変位における差違は存在しなかった。60cmからのデプスジャンプにおいては、従来のレジスタンストレーニンググループは股関節角度変位の減少を示した。これらの変化が正確に何を示唆しているのかは明確ではない。しかしながら、ジャンプの際の関節角度の変化は関節の硬さに影響を及ぼし、それゆえジャンプの際の全体の垂直剛性に影響を及ぼす。各トレーニングプログラムの結果としての、異なるドロップジャンプの際の全ての変化は下記のグラフに示されている。 剛性 研究者たちは、両方のトレーニングプログラムは、スクワットおよびカウンタームーブメントジャンプの際の垂直剛性を増加させたと報告している。彼らはまた、20cmおよび60cmからのドロップジャンプに対しては、オリンピックウェイトリフティンググループのみが垂直剛性を増加させたと記述している。 共収縮 研究者たちは、共収縮指数は両方のプログラム後、スクワットジャンプの活性化以前の段階において減少したと報告している。彼らはまた、共収縮指数は、オリンピックウェイトリフティンググループに対し、コンセントリックの段階において減少しているが、従来のレジスタンストレーニンググループに対しては変化がなかったと報告している。研究者たちはまた、共収縮指数は両方のトレーニンググループに対し、カウンタームーブメントジャンプの活性化以前およびコンセントリック段階において増加したと報告している。しかしながら彼らは、従来のレジスタンストレーニンググループに対しては、コンセントリックの段階においてのみ増加したと記述している。デプスジャンプの際の共収縮指数の変化は混在しており、あるものは増加し、あるものは減少したということを示している。概して研究者たちは、オリンピックウェイトリフティンググループは大抵の場合、共収縮指数の減少もしくは維持を示し、一方、従来の高負荷レジスタンストレーニンググループはほとんどの場合、共収縮指数の増加をもたらしたということを観察した。しかしながらこれらの傾向はかなり大まかなものであり、実際にはかなり混合した結果が見られる可能性がある。 *** 制限要素は何か? この研究は、従来のレジスタンストレーニングプログラムを行っている被験者が、主にマシンでのエクササイズを行ったらしいという点において制限があった。ゆえにこの研究は、スクワット、デッドリフト、フロントスクワット、ベンチプレス、およびロウから構成される従来のフリーウェイトプログラムと比較し、オリンピックウェイトリフティングプログラムがどのように機能するかについては示されていない。研究はまた、研究者たちが筋力の増加を追跡しなかったという点において制限があり、ゆえに、各プログラムがどの程度筋力を向上させたかは明確ではなく、それゆえ垂直跳びの高さの向上が筋力の増進と関係があるのかどうかは明確ではない。さらにこの研究には、研究者たちは共収縮指数および剛性測定における変化に関する傾向を特定することはできたが、グラフにおいても明らかなように、その結果は実際には非常に多様であり、一様に一方向を指しているわけではなかったという点において制限があった。 *** 実践的な意義は何か? オリンピックウェイトリフティングトレーニングは、特に伸張・短縮サイクルが多大に関与しているカウンタームーブメントジャンプの際の垂直跳びの高さ、およびパワーを向上させるためにより有益であるようである。 従来の高負荷レジスタンストレーニングは共収縮指数、そして傷害予防として有益であるかもしれない関節の安定性を向上するためにより適しているようである。 主に膝関節主導の下半身エクササイズを含む従来の高負荷レジスタンストレーニングは、スクワットおよびカウンタームーブメントジャンプの際の股関節可動域の減少と膝関節可動域の増加を引き起こすようである。これは、アスリートおよび彼らのジャンプスタイル次第で、望ましくも望ましくなくもなり得るものである。
トレーニングプログラムはジャンプの生体力学にどのような影響を及ぼすか? パート1/2
一般的に、垂直跳びのパフォーマンスを向上させるためには、従来の高負荷レジスタンストレーニングと比較し、オリンピックリフトがより適していると考えられている。しかし多くの場合研究は、それぞれの方法を使用したプログラム間の顕著な差違を示すことができず、また一部の研究は垂直跳びのパフォーマンスにおける向上を全く示すことさえできていない。何故このようなことがあり得るのかを調査するために我々は、オリンピックウェイトリフティング、もしくは従来の高負荷レジスタンストレーニングどちらかのプログラム後の垂直跳びの際、正確にはどのような適応が起こるのかを理解する必要がある。結局のところ、2つの異なるタイプのトレーニングが、異なる質を発達させることにより、ジャンプパフォーマンスを向上させることは可能なのである。この論説ではクリス・ベアスリー(@SandCResearch)が、幾つかの洞察を提供している研究論文の再考察を行う。 研究論文:従来のウェイトトレーニングと比較し、オリンピックウェイトリフティングトレーニングは、異なる膝の筋肉共収縮の適応を引き起こす、アラバッツィ、ケリス、ストレングス&コンディショニングリサーチジャーナル、2012年 背景 オリンピックウェイトリフティングおよび高負荷レジスタンストレーニングは、共に標準のアスレチックトレーニングプログラムにおいて幅広く使用されている。そのようなプログラムは、垂直跳びのパフォーマンスおよびスプリントを含む運動能力を向上させることを目的としている。しかしながら、オリンピックウェイトリフティング、および従来の高負荷レジスタンストレーニングの影響を比較した以前の研究考察において見られたように、垂直跳びを向上させることに関し、オリンピックリフト、もしくは従来の高負荷レジスタンストレーニングを行うことの間に有意な差違があるかどうかは明確ではない。一般的にはオリンピックリフトに優位性があるようではあるが、これが明らかではないことは確実である。さらに、前回の研究論説において記述されていたように、行われたストレングストレーニングの方法がオリンピックリフトであったのか、もしくは従来の高負荷レジスタンストレーニングであったのかということに関わりなく、どちらにしてもストレングストレーニングの結果としてジャンプパフォーマンスにおける優位な向上が起こらないということは多くある。 より大きなインパルスを生むために、力生産能力の増加が明らかに必要であるにもかかわらず、垂直跳びのパフォーマンスがストレングストレーニングにより常に向上するわけではない理由に関する1つの可能性として、垂直跳びが様々な体節および筋肉の間における複雑な相互動作を含んでいるということがある。それは協調的かつ高度な動作であるため、この付加的な力生産能力を使う方法を習得するまでに時間がかかる可能性がある。実際にボバート(1994年)はシミュレーション研究を行い、垂直跳びのパフォーマンスに対する筋力増加の影響を最大化するためには、かなりの量のジャンプ練習が必要なようであるという結論に至っている。 ゆえにこれらの線に沿って考えると、オリンピックウェイトリフティング及び従来の高負荷レジスタンストレーニング両方のプログラム後の、垂直跳びパフォーマンスの際に起こる、正確な神経筋の適応を調査することは理にかなっているということになる。そのような適応は、主動筋群及び拮抗筋群の共収縮、関節およびシステム全体の硬さ、システムの出力、そして関節角度の動きにおける変化を含んでいる可能性がある。主動筋および拮抗筋の筋グループの共収縮は、関節の硬さを増すために作用しながら、関節の力のバランスをとることによって関節を安定させるために、多関節クローズドキネティックチェーン運動の際に起こる。関節の硬さにおける変化は、カウンタームーブメントおよびドロップジャンプの際の伸張・短縮サイクルの貢献を変化させる可能性があり、よって垂直跳びパフォーマンスを向上させる可能性がある。 *** 研究者たちは何を行ったのか? 研究者たちは、オリンピックリフティングプログラムによりもたらされた、最大垂直跳びの際の筋肉の共収縮における変化を、従来の高負荷レジスタンストレーニングプログラム後の変化と比較したいと考えた。研究のために研究者たちは、少なくとも1年間のレジスタンストレーニングの経験があり、体重の約2倍の1RMハーフスクワットを行うことが可能な、身体的に活発な26名の体育学部の男子学生を集めた。彼らは被験者を無作為に、コントロールグループ、およびオリンピックウェイトリフティンググループと従来の高負荷レジスタンストレーニンググループの、2つのトレーニンググループへと振り分けた。 トレーニングの介入の前後に研究者たちは、1RMスクワット、ハーフスクワット、スクワットジャンプの高さ、デプスジャンプの高さ、およびカウンタームーブメントジャンプの高さをテストした。彼らはまた、筋電図活動(平均筋電図および共収縮)、垂直剛性、出力、そして関節角度の動きを測定した。筋電図は表面電極を使用し測定され、関節角度の動きは、主要な解剖学的指標に付けられたマーカーの位置を測定するために、ビデオカメラを使用し記録され、出力はフォースプレートを使用し測定された床反力を基に計算された。 全ての被験者が、24のトレーニングセッションを含む8週間にわたるトレーニングプログラムを完了した。オリンピックトレーニングプログラムは、スクワットポジションからのスナッチ、ハイプル、パワークリーン、ハーフスクワット、およびクリーン&ジャークを含む、5つのオリンピックスタイルのウェイトリフティングエクササイズから構成されていた。従来の高負荷レジスタンストレーニングプログラムは、マシンニーエクステンション、マシンニーフレクション、マシンレッグプレス、ベンチプレス、およびハーフスクワットを含む5つのエクササイズから構成されていた。両方のプログラムにおいて同様の負荷区分が使用された。1-2週目において被験者は、セット間に3分のレストを入れ、1RMの75%で各エクササイズに対し4レップを4セット行った。3-4週目において被験者は、1RMの80%で6レップを4セット行い、5-8週目においては、1RMの80-90%で4レップを4セット行った。 *** 何が起こったのか? スクワットジャンプ、カウンタームーブメントジャンプの高さおよびパワー 研究者たちは、オリンピックリフティンググループにおいてのみ、スクワットジャンプおよびカウンタームーブメントジャンプの高さが有意に向上したということを報告している。同様にオリンピックリフティンググループにおいてのみ、カウンタームーブメントジャンプのパワーが向上している。下記のグラフは各測定において各グループにより達成された向上を示している。 以前に考察した研究において、オリンピックリフティンググループと比較し、垂直跳びのパワーがより向上したのは、従来の高負荷レジスタンストレーニンググループであったということは興味深いことである(ここを参照)。この差違は統計的には有意ではなかったが、これらの研究において発見される結果の多様性を強固なものにしている。 ドロップジャンプの高さおよびパワー 研究者たちは、オリンピックウェイトリフティンググループにおいてのみ、20cmおよび40cmからのドロップジャンプの高さが有意に向上したということを報告している。しかし、60cmからのドロップジャンプの高さにおける向上は、両方のグループにおいて観察されていた。どの高さの箱からのドロップジャンプパワーも有意に向上したのは、オリンピックウェイトリフティンググループのみであった。下記のグラフは各測定においてそれぞれのグループにより達成された向上を示している。
クアドラン(四象限)パート2/2
私のところに来る成人の大半は、エリートレベルの800mランナーではありません。ショックかもしれませんが、私に電話をかけてくる人々の多くは、トップレベルではないのです。これを誰よりも打破できる男は、バリー・ロスです。バリー・ロスはとても興味深い人です。ティム・フェリスの新しい本は、バリーがこれからの6ヶ月間に沢山稼ぐことを不可能にしてしまったと思います。なぜなら、バリー・ロスについて知りたいことの全てがその本に書かれているからです。バリー・ロス以外の全てがね。速いスプリンターになりたいですか?可動性のワークをしましょう。重いデッドリフトをしましょう。なんらかの押す動きを行ってください。外に出て、疲労が限界に達して止まってしまうまで、できる限り速く走ってください。なぜかって?これが、クアドラン4だからね。 クアドラン4-誰もあなたがどれだけ頑張っているかは気にしていません。私たちが気にするのは答え-ゴールライン-解決法だけです。クリーンアンドジャークはどのように達成しますか?600パウンド?今まで誰も成し遂げたことはありませんが、それをできる人は正しい答えを知っています。それ以外の私たちはただ間違っているだけなのです。、 ほとんどの人はクアドラン3に属しています。ほとんどの人はクアドラン3に属しているのです。ストレングス…ジョシュによると、体脂肪を減らすのに必要な性質の数はとても少ないのです。これについても後ほど詳しく説明します…そう…これは食事の記録をつけることとなんらかの運動です。カリフォルニア州立大学チコ校にいたときに、トム・ファヒーが私に言ったのは。「体脂肪を減少させる方法は何年も前から知ってるよ。木に縛り付けて数日放置すればいいのさ。」これは毎回必ず成功します。あなたにぴったりな業界がありますよ。器具は全て捨てましょう。ここに木を置いて、ロープを用意します。これで全ての人の疑問に答えられますよ。 私たちの道具箱の4つ目の道具がクアドランです。さて、ここでわれわれの業界の問題がここにあります。ある女性が20年来の同窓会のために20パウンド(9kg)痩せたいとします。そこであなたは、スナッチやクリーン&ジャーク、体操の動き、宙返りの方法などを教えます…ところで、これらは全て有効です。実施すれば疲れさせることができます。さらに、10km、5km、3kmと走らせます。インターネットも使って、毎日、新しく見つけることができる7000ほどのケトルベルの動きを学習してもらいます。私達は彼女の肩を痛めて、彼女は20年来の同窓会にギブスをつけて行くようになるのです。 これが私達の業界の問題なのです。私達のほとんどが、この辺りにいますが、実は私たちは、ここにいるべきなのです。こここそ私たちがいるべき場所です。だから、4つ目の、おそらく私が今日伝える中で最も重要な道具で…、正しく手助けができるよう、クライアントを正しいクアドランに位置させるようにしてください。言い換えれば、こう考えてみてください。12歳の子を指導しているとすれば、彼らはクアドラン1に属します。その子に基礎の動きを教えるのに多くの時間をかけても大丈夫です。一週間に3回、20人の子供を集めて、基礎の動きを教えるクラスを持っても全く問題ありません。これは体系的な教育であり、考え方は同じです。アルファベットもこのようにして学んだでことしょう。音階も同様に。全てのことを体系的に学んできたのです。 もしエドナがここに来て、6週間で9kg減量したいとしても、それは彼女の目指すべきものではありません。ラルフィーは、より優秀なフットボール選手になりたいとして…もし彼が今ここに来て、秋のシーズン開始のプレイを目指すとすれば、ここまで到達する必要があります。もし一流の短距離走者が来て、あなたにこう尋ねたとしたら「700mを9本走っていますが、9秒69で走れるようになれますか?」こう答えてください。「いいえ、私はあなたを助ける方法を知りません」と。知らない。それが正直な答えです。あなたは知らないのです。誰もその方法を知らないのです。 これは私が電話で伝えようとしていることです。ここで一つ。私はその人に最初にいくつか質問をする中で「目標は何か?」を聞きます。クライアントをメンタルに正しいクアドランに位置させることで、彼らの目標達成の手助けがかなり楽になります。もし彼らがNFLでプレイしたいとして、私に「ダン、一週間指導してください」と言ってきたとしたら、私はその週、彼らがクリーンや、スナッチ、スクワットをするのをしっかりみる必要があります。ベンチプレスのサポートも必要です。ケトルベルの動きを教えるかもしれないし、TRXのエクササイズを教えるかもしれません。他にも…彼をNFLに行かせるために一週間でいったいいくつのことを教えたらいいのでしょう?何十にもなるでしょう。これをやらなければ。あれをやらなければ。これをやらなければ。あれをやらなければ。 エドナは同窓会に向けて9kg痩せたいと思っています-これはそんなに難しくありません。クライアントを正しいクアドランに位置させることによって…ほぼ例外なく、みんなクアドラン3です…秘密の情報を漏らしてしまいました…これは私のメソッドです…そこにジムがあります。人々を正しいクアドランに当てはめれば、解決への方法はとても簡単になります。そうすれば、私がやるべきことは、彼らが何を知っていて、基礎的な人間の動作において、どのような能力を持っているのかを知り、どのように助けられるかを考えることになるのです。
クアドラン(四象限)パート1/2
クアドラン(四象限)の概念を説明すると、クアドラン1は、基礎的な体育のクラスのようなものです-以前、お話したような体育のクラスです。体育のクラスではいくつのスポーツを学ぶべきでしょうか?3年間という期間では、たくさん学ぶべきでしょう。高校を卒業して、NCAA(全米大学体育協会)のバスケットボールの試合でフリースローライン上に立って、誰からも邪魔されない場合、それは1点です。3ポイントラインの内側にいて、相手に邪魔される状況では2点、ラインの後ろにいて、相手に邪魔される状況では3点です。私は、ある選手がタッチダウンを決めた試合後のスーパーボウル(アメリカンフットボールのチャンピオンを決める試合)パーティーに行ったことがあります…世界の人口の51%をいじめたくはありませんが、一人の女性が私のほうを向いて、こう言いました。「これは何点に値するの?」責めるつもりはありませんが、スーパーボウルパーティーに来るのでしたら、タッチダウンは6点の価値があることは知っているべきです。ここで言いたいのは、彼女の教育課程で、誰かがちゃんと教えていなかったということです。 基本の可動性、基本の柔軟性、腕立て伏せの方法についての知識は、みな知っているべきです。懸垂を25回できることは、すごいことだと理解しているべきです。そうでしょう?高校の体育のクラスでは尚のことですよね?また、一分間に60回腕立てをすることは、とても大変です。こういったことは知っていますよね?これらの知識はハイレベルでしょうか。そんなことないですよね。もし中学3年生のときに、体育のバスケットボールトーナメントで優勝しても、大学のトップレベル(ディビジョン1)やNBAでプレーをする準備ができているわけではないでしょう。もう一日必要なのかもしれません。いくつの技能や戦術を学ぶべきでしょうか?それはもう、考えられる限り数多くでしょう。 クアドラン2は、衝突するスポーツ。これは、高校のアメリカンフットボールや、大学のディビジョン1、ディビジョン2、ディビジョン3、そしてNFLです。一番高いレベルに到達するために身につけなければならない技能の数は、まさに圧倒的です。高校のアメリカンフットボール…現在、高校でアメリカンフットボールをプレイするために必要なストレングスレベルは多くの人にとって驚くべきものでしょう。地元のジムで、人々がこれがどれくらいできたとか、あれがどれくらいできたとか自慢しあっているのを見かけることがありますが、いつも最初に思うことは、「それは底辺レベルの高校のストレングスレベルだな」ということです。 クアドラン3…私はこれを陰陽と呼んでいます…私たちが、あまりやっていないか、あまりうまくできていないこと。ところで、クアドラン3は、私たちのほとんどが属しているクアドランです。クアドラン3のほとんどは、陸上競技です。クアドラン3は脂肪減少です。体脂肪を減らすには、いくつのスキルが必要でしょうか。私の友人のジョシュ・ヒリスは、食事の記録をつけることと何らかの運動が必要だと言うでしょう。これは大したスキルではありません。レベルとしてはどのくらい高いでしょうか?女性のフィジーク競技優勝者達と話した時、誰かが同窓会に向けて20lb(9kg)痩せたいと言うことについて、彼女達は笑っていました。なぜなら、女性が体脂肪14%から7%や8%になるということは、しばらくの間、食べ物の匂いをかぐことさえできないようなものだからです。 クアドラン4は、物事のとても、とても狭い、狭い領域です。陸上の100m走、一回のみのパワーリフト、たとえばデッドリフトのスペシャリストやバックスクワットのスペシャリスト…でも実際これは正しく、今ではこういったイベントのスペシャリストたちがいます。彼らは、パワーリフトの大会で1つの動きのみを行うのです。オリンピックリフトもクアドラン4に属するかどうか、議論の必要があるかもしれません。優秀なオリンピックリフターになるためには…世界でトップ10に入るようなリフターになるためには…ほかの事はできません。世界で最も優秀なオリンピックリフターを見て、誰かが「あれは不健康ではないか?」と尋ねてくるとします。それは、その通りです。でも彼は、その競技にはとても適しているのです。このくらいの身長で、265lb(120kg)、脚の長さはこのくらい、とね。そうですね。でも、ここで、女子体操選手を考えてみてください。2mの女子体操選手や155cmのディビジョン1の女子バレーボール選手を見たことはありますか?けれどもクラブの指導者たちはいつも「158cmなら奨学金がもらえるかもしれない」といいます。これは、このクアドランへの紹介にすぎないのです。 クアドランについては、様々な場所で何回も講演してきましたが、多くの人々が理解していないことは、クアドランは、我々の道具の一部であるということです。最初はわりと全体的に捉えるところから始めていることにお気づきでしょう。最初の3つは、人生を通して本当に考えるべきことです。健康な人はこういったことに気を使います。これは、基本的に、クアドラン3にあたります。「よし、ウエイトをあげろ。これはいいことだから。」これはまあ悪くはないでしょう。もし、「こっちへ来いよ。少し強くなるんだ」とだけ聞いているとしたら、それだけですがね。私は、あなたを今より少し強くすることによって、生涯を通じた目標のお手伝いができるとわかっている。本当なのです。 基本的に私が話したことは…はじめに戻ると…私が人を助けようとする方法は2つあるということです。一つ目は、中学レベルで、4つの基本的なウエイトリフティングの動き、3つの基本的なケトルベルの動き、それから基本的な宙返り、基本のこれ、基本のスポーツ、基本の目標を見せます。高校へ上がると、こういった技術をどんどん、どんどん高めていきます。衝突スポーツをやっているのであれば、NFLに入れてあげよう。これは、ユタ州の学校で働いていると、とてもよくあることです。 ほとんどの人はここです。私たちの業界の問題は、ほとんどの人がここにいることです(クアドラン3)。今では、みんなが総合格闘技のファイターなのです。実は数年前、私はボディビルダーとしてトップランクにいました。「そうあのボディビルダーですよ…でも実際みな鍛えるべきだ」私は考えています「ウエイトリフトをやるのか?」「やる」「本当にもっとやるべきだ」気を遣っているんですよ。気を遣っている。脂肪減少だけではないのです。一年かそこら前に、ここでワークショップを行いました。「私が総合格闘技のファイターを助けるためにできることは、これとこれとこれとこれとあれをやれば、良い状態に持っていけるということを自覚させることです。それがあなたをより良い格闘家にするわけではない。」より良い格闘家にしてくれるわけではないんです。ここには私がけなす格闘家もいますけれどね。
オーバートレーニングを発見することができる診断ツールはどれか? パート3/3
(パート 2/3はこちらへ) 研究者たちは何を行ったのか? 上記のように、オーバートレーニング状態のアスリートにおける研究の結果に基づくと、非機能的オーバーリーチングもしくはオーバートレーニング症候群を示しているアスリートは、自己認識ストレスの増加、睡眠量および質の低下、睡眠障害、自己認識および気分の変化、免疫抑制、および交感神経系活動の変化を示す可能性があるようである。この研究において研究者たちは、下記のようなこれらの特性の1つもしくはそれ以上を測定する能力により、非機能的オーバーリーチングの評価を行う能力に関し、下記のツールを比較している。 アスリートに対するリカバリーストレスアンケート(RESTQ-sport)- これは各分野4つの質問からなる、19分野の構造化アンケートであり、活動に関連し感じたストレス要因および回復の頻度を確立するために、各質問は7点スケールにて回答される。トレーニング負荷の変化に対するアスリートの反応を監視することに関し、この方法は既に正当性が立証されている。 気分状態のプロフィール(POMS)- これは、鬱状態(8項目)、怒り(7項目)、疲労(6項目)、緊張(6項目)および活力(5項目)を評価している合計32項目からなる、5分野にわたるもう一つの構造化アンケートであり、各質問は5点スケールにより回答されている。 反応時間 - 幾人かの研究者たちは(例:ネダロフ2006年)は、非機能的オーバーリーチングもしくはオーバートレーニングであるアスリートにおいて、精神運動機能が損なわれていた可能性があると提議している。これは反応時間の低下または減少により明確にすることが可能である。これは複数回測定し記録することが非常に簡単なツールである。 視床下部-下垂体-副腎系(HPA)軸機能 - 上記のように、オーバートレーニング症候群を患うアスリートにおいては、同日に2回行われた特定の種類の最大エクササイズテストに対する、コルチゾールおよび副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)反応の機能不全が存在する。自転車エルゴメーターによる段階的なエクササイズテスト(120Wから始まり、極度の疲労に至るまで3分ごとに30Wずつ増加)の前後に、各テストに対しコルチゾールおよびACTH濃度が測定された。 ゆえにこれらの4つのテストはストレスに対する自己認識、自己認識および気分の変化、交感神経系活動の変化、および精神運動機能の変化を評価している。研究者たちは、被験者として3名の女性スピードスケート選手へアクセスした。1名は健康なコントロール被験者であり、2名は後に様々な段階の非機能的オーバーリーチング(NFO)と診断され、そのうち1名は現在も非機能的オーバーリーチングの状態にあり、1名は非機能的オーバーリーチングからの回復途中であった。NFOを患うアスリートは2週間トレーニングを控えており、NFOから回復中のアスリートは12週間トレーニングを停止していた。 *** 何が起こったのか? アスリートに対するリカバリーストレスアンケート(RESTQ-スポーツ) 研究者たちは、コントロール被験者は、一般およびスポーツに特化したストレススケールにおいて低い値を示し、一般およびスポーツに特化した再生スケールにおいて高い値を示したと記述している。NFOを患うアスリートは一般およびスポーツに特化したストレススケールにおいて高い値を示し、一般的な再生スケールにおいて低い値を示し、またスポーツに特化したサブスケールのいくつかにおいて低い値を示した。NFOから回復中のアスリートは、これら2極端の中間の値を示していた。 気分状態のプロフィール(POMS) 研究者たちは、コントロール被験者は、抑鬱気分スケールにおいて低い値を示し、活力に対しては高い値を示したと報告している。NFOを患うアスリートは、疲労スケールにおいて高い値を示し、活力を含むその他の気分のスケールに対しては中から低程度の値を示していた。NFOから回復中のアスリートは全てのスケールにおいて中程度の値を示していた。 反応時間の課題 研究者たちは、NFOから回復中のアスリートは最速の反応時間を示し、現在NFOを患っているアスリートは最長の反応時間を示したということを発見している。 ホルモン反応 研究者たちは、コントロール被験者は両方のエクササイズテスト後、コルチゾール濃度のわずかな減少を示したということを報告している。NFOから回復中のアスリートは、最初のテスト後わずかな減少を示したが、2回目のテスト後はわずかな増加を示した。NFOを患っているアスリートは、最初のテスト後わずかな増加を示し、2回目のテスト後に大幅な増加を示した。 *** 研究者たちはどのような結論に達したのか? 研究者たちは、RESTQ-スポーツ(一般およびスポーツに特化した自己認識ストレスを測定する)、反応時間テスト(精神運動性速度を測定)、およびダブルエクササイズプロトコルに対するコルチゾール反応は、非機能的オーバーリーチングの存在を監視するために有望なツールであるという結論に至った。しかしながら彼らは、POMSテスト(気分状態を測定)は、NFOを患っているアスリートとNFOから回復中のアスリートを有効的に区別することが不可能であったため、このテストはそれほど有益ではなかったと記述している。 *** 制限要素は何か? この研究の主な制限は、被験者が3人のみであり、そのうち1人はコントロールであったということである。ゆえに、個人差により他のアスリートにおいては全く異なる状況が観察される可能性がある。その他の主要な制限は、データが1点でのみ集められており、非機能的オーバーリーチングの診断がなされた期間中に集められた情報のみを反映しているということであった。もし研究者たちが同じアスリートに対し、彼らが非機能的オーバーリーチングになる前のデータを集めることが可能であったならば、アスリート個人における大きな変動を示していた可能性があるという点で、POMSテストはより有益であったかもしれない。 *** 実践的な意義は何か? 原因不明のパフォーマンス低下は、非機能的オーバーリーチングもしくはオーバートレーニングに対する確立した測定方法である。規定のトレーニングプログラム及びリカバリーを行っているにもかかわらず、持続的なパフォーマンスの低下を示すアスリートは、非機能的オーバーリーチングもしくはオーバートレーニングに対し評価されるべきである。 オーバートレーニングの診断にあたり、非伝染性疾病(例:甲状腺や副腎に関わる疾病、糖尿病、鉄欠乏症、および貧血症)、感染性疾病(例:心筋炎、肝炎、および腺熱)、またその他の主要な疾病もしくは摂食障害(例:拒食症と過食症)の存在を除外する必要がある。 オーバートレーニング症候群を患うアスリートは、ストレスに対する自己認識の増加、睡眠量および質の低下、睡眠、自己認識、および気分の障害、免疫抑制、および交感神経系活動の変化を示す可能性があるようである。 潜在的に有益な非機能的オーバーリーチングもしくはオーバートレーニングの早期警告に対する指標は、気分状態の変化(POMSスケールを使用することが可能)、免疫マーカーの低下、反応時間の減少、パフォーマンスの低下、HRVの増加もしくは減少、および同レベルのエクササイズの際の最大下乳酸濃度の減少を含む。 RESTQ-スポーツ(一般およびスポーツに特化した自己認識ストレスを測定)、反応時間テスト(精神運動性速度を測定)、およびダブルエクササイズプロコトルに対するコルチゾール反応(エクササイズに対するHPA-軸反応を測定)は、非機能的オーバーリーチングの存在を監視するために有望なツールである。
オーバートレーニングを発見することができる診断ツールはどれか? パート2/3
(パート 1/3はこちらへ) (パート 3/3はこちらへ) 背景(続き) 何がオーバートレーニングを引き起こすのか? オーバートレーニング症候群の正確な原因は明確ではなく、それは主に次の2つの主要な理由から研究を行うことが非常に困難であるためである。第1に、倫理的にアスリートに対してオーバートレーニングを誘発することは不可能であり、いかなる研究も定義上、回顧的でなくてはならない。第2に、現在オーバートレーニングは、長期の観察後、また多くの他の可能な原因を除外した後にのみ診断することが可能であり、何ヶ月もパフォーマンスの低下が継続しているアスリートは時に引退を選択してしまうため、実際には非機能的オーバーリーチングであったのか、もしくはオーバートレーニングに達していたのかを評価することが困難となる。それでもなお、研究者たちの様々なグループ間で支持されているメカニズムが幾つか存在しており、クレハー(2012年)は下記の見出しに関する要約をしている。 グリコーゲン仮説 – このモデルにおいては、グリコーゲンの減少が疲労を引き起こし、その結果としてパフォーマンスを低下させると信じられている。しかしながら、スナイダー(1995年)は、正常なグリコーゲン値にもかかわらず、アスリートがオーバートレーニングの状態になることは可能であるということを発見しており、この仮説を非常に支持しがたいものとしている。 中枢疲労仮説 – このモデルにおいては、トリプトファンの脳への取り込みの増加が、神経伝達物質セロトニン(5-HT)値の上昇へとつながり、これが有害な気分症状を生み出すということを提議しているのが原案である。ミューゼン(2006年)は、この仮説の改訂版において、ドーパミンに対するセロトニンの比率の増加は、疲労感や倦怠感を引き起こすと説明している。 グルタミン仮説 – このモデルにおいては、グルタミンの減少が免疫機能障害、および感染に対する感受性の増加を引き起こすと提議されている。しかしながら、オーバートレーニング症候群は感染が存在せずとも起こり得ると考えられており、この仮説を魅力のないものとしている。 酸化ストレス仮説 – このモデルにおいて研究者たちは、過度の酸化ストレスは筋損傷および疲労へとつながると提議している。 自律神経系仮説 – このモデルにおいて、副交感神経優位は様々な症状を引き起こすと考えられている。しかしながら、心臓自律神経バランスを測定するために心拍変動を使用した研究は、トレーニング負荷の増加後、交感神経および副交感神経の優位性の増加を記述しており(例:ハイネン2006年)、ほとんどの場合、心臓自律神経系バランスに対する増強されたトレーニングの影響は1週間以内に是正される可能性があるようである(例:ピコット2000年)。 視床下部仮説 – このモデルにおいては、視床下部-下垂体-副腎系、および/もしくは視床下部-下垂体-性腺軸の異常調節は、コルチゾールもしくはテストステロンを明らかなターゲットとし、オーバートレーニング症候群の様々な症状を引き起こしているかもしれないということが提議されている。しかしながらこの研究は、副腎ホルモン値における上昇、低下、もしくは無変化のいずれかは示しているものの、オーバートレーニングの期間中、これらのホルモンに対し何が起こるのかに関しては結論に達していない(例:リーマン1992年、フーパー1993年、ユーホーセン1998年、マッキノン1997年、ウッシタロ1998年)。それはそれとして、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の研究者たちは何年もの間、視床下部-下垂体-副腎系の全く同じ問題に直面している(例:詳しくはピットマン2012年によるこの総説全文を参照)。 サイトカイン仮説 – このモデルにおいて(詳しくはスミス2000年参照)、炎症およびサイトカインの分泌は、知られている限りほとんどのオーバートレーニング症候群の影響や症状を引き起こすと提議されている。このモデルの強みは、他に提議されたメカニズムの多くと関連している可能性があるということである。主な弱点は、わずかな研究しかオーバートレーニング状態のアスリートにおけるサイトカイン上昇の有症率を評価しておらず、そのような研究は良い結果を生み出してきていないということであった(例:ハルソン2003年)。 要約すると、現在一般に認められたオーバートレーニングの起こるメカニズムは存在しない。これは、発生前にオーバートレーニングが起こっているのかどうかを評価することを非常に困難なものにしている。 *** オーバートレーニング症候群を診断するために使用可能なツールは何か? オーバートレーニングのメカニズムに関する理解の欠如にもかかわらず、それらが部分的にしか検査されていないとしても、コーチやアスリートたちはこれを回避する助けになるかもしれない手段を実行しようとすることに熱心である。ユーホーセン(2002年)は、有益かもしれない現在入手可能な診断ツールをリストアップおよび再考察し、またネダロフ(2006年)は精神運動機能という形の更なるツールを提議している。下記は安静時に検査することが可能なこれらの変数の要約リストである。 安静時心拍数 心拍変動(HRV) 気分状態のプロフィール(POMS) 血中代謝マーカー ホルモン 免疫学的パラメーター 精神運動機能(反応時間など) 下記のさらなる変数は、エクササイズ中のオーバートレーニングのマーカーとして提議されている。 パフォーマンスの低下 血中代謝マーカー ホルモン 心拍数 自覚的運動強度 これらの多くのマーカーは有益であるが、どれも決定的ではない。概して、非機能的オーバーリーチングもしくはオーバートレーニングの有益な指標は、気分の変化(POMSスケールを使用)、免疫マーカーの低下、反応時間の減少、パフォーマンスの低下、HRVの増加もしくは減少、そして同レベルのエクササイズの際の最大下乳酸濃度の減少を含んでいるようである。 ***
オーバートレーニングを発見することができる診断ツールはどれか? パート1/3
(パート 2/3はこちらへ) アスリートにおけるオーバートレーニングおよびオーバーリーチングは、発生前に予測することは言うまでもなく、診断することが非常に困難である。現在、初期症状を監視するために現在多くのコーチや研究者たちが注目しているのは、心拍変動(HRV)のようである。しかし他にも選択肢はある。この論説ではクリス・ベアスリー(@SandCResearch)が、少人数のアスリートにおける非機能的オーバーリーチングを評価するための、4つの診断ツールの能力を調査した興味深い研究論文の再考察を行う。 研究論文: 非機能的オーバーリーチングに対する異なる診断ツール、ネダロフ、ズイヴァー、ブリンク、ミューゼン、レミンク、国際スポーツ医学ジャーナル、2008年 背景 オーバートレーニングはどのように定義されるか? アスレチックトレーニングは、過負荷とその後の回復を伴う。このような過負荷は、単一の激しいトレーニングセッション後、または激しいトレーニング期間後において、疲労感やパフォーマンスの急性な低下を引き起こす可能性がある。しかしトレーニングと回復という通常の流れにおいてこの過負荷は、有益なトレーニング反応、適応、そしてその結果として生じるパフォーマンスの向上をもたらす。しかしながら、過負荷と回復との間のバランスが適切に管理されていない場合、有益なトレーニング反応は起こらず、パフォーマンスは向上しないと考えられている。この好ましくない反応に関する調査は、オーバートレーニングを研究する研究者たちの焦点となっている。これらの研究者たちは、合意声明および指針書を作成しており(ミューゼン2006年、クレーハー2012年、ミューゼン2013年)、その中では下記のような定義が提唱されている。 オーバートレーニングは、機能的(もしくは短期的な)オーバーリーチング、非機能的(もしくは極度の)オーバーリーチング、あるいはオーバートレーニング症候群という結果を引き起こす可能性のある、増強されたトレーニングの過程である。 機能的オーバーリーチングは、レスト後におけるパフォーマンス向上を伴う、一時的なパフォーマンス低下につながる増幅されたトレーニングの過程である。 非機能的オーバーリーチングは、長期のパフォーマンス低下につながる増幅されたトレーニングの過程であるが、レスト後の完全な回復において、ある心理的および/もしくは神経内分泌的症状が付随して起こる。 オーバートレーニング症候群 - 非機能的オーバーリーチングと一致するコンディションであるが、さらに(1)より長期間にわたるパフォーマンスの低下(2ヶ月以上)、(2)より重度な症状や生理機能不適応(心理的、神経的、内分泌的、免疫的な)、および(3)他の疾患では説明がつかない更なるストレス要因を伴う。 上記のように、他の疾患も同様の原因不明のパフォーマンスの低下を引き起こす可能性があるため、オーバートレーニング症候群の正確な診断を引き出すためには、非伝染性疾病(例:甲状腺もしくは副腎に関わる疾病、糖尿病、鉄欠乏症、貧血症)、感染性疾患(例:心筋炎、肝炎、腺熱)および他の主要な疾患や摂食障害(例:拒食症および過食症)の存在を排除する必要がある。 2013年)は、オーバートレーニング症候群と関連がある、血液バイオマーカー、および生理的また心理的な測定における、定量的所見の概要を提供するために行われた。下記は彼らの調査結果である。 血液バイオマーカー – 評論家たちは、グルタミン、グルタミン酸塩、コルチゾール、IL-6、テストステロン、コレステロール、ブドウ糖、レプチン、ヘマトクリット、ヘモグロビン、副腎髄質ホルモン、エピネフリン、およびクレアチンキナーゼを評価した研究に関し報告している。彼らは、影響の規模はグルタミン、グルタミン酸塩、コレステロール、IL-6、およびブドウ糖に対してのみ大きく(事実、グルタミン、グルタミン酸塩、およびIL-6に対する影響は非常に大きかった)、一方テストステロンおよびクレアチンキナーゼに対する影響はわずかあった(クレアチンキナーゼ以外は全て減少)ということを発見している。 生理的測定 – 評論家たちは、心拍変動ではなく、安静時心拍数、安静時収縮期血圧、および安静時拡張期血圧を評価した研究について報告をしている。彼らは、安静時心拍数および安静時収縮期血圧の両方に対する影響は大きく、これらの変量はオーバートレーニングされたアスリートにおいて減少するということを示しているにもかかわらず、この研究は相反する結果を生み出したということを記述している。この発見は以前の総評の結果とも相反している。 心理的測定 – 評論家たちは、緊張、疲労、混乱、活力、怒り、鬱に関する気分状態は研究においてかなり変化してきたが、その方向性に明確な傾向はなかったということを発見している。このような変化は、オーバートレーニングに対する心理的反応の、非常に個体差のある特質を反映している。しかし彼らは確かに、睡眠パターン障害、覚醒状態の増加、睡眠の質の低下と安定性、およびストレスレベルの増加に対する明らかな傾向を観察していた。 要約すると、オーバートレーニング症候群を患っているアスリートは、ストレスに対する自己認識の増加、睡眠の質および量の減少、睡眠障害、自己認識および気分の混乱、免疫抑制、交感神経活動の変化を示すようである。 何らかの理由により、評論家たちは、この系統的レビューにおいて心拍変動(HRV)を考慮に入れていない。安静時心拍数に関してのみ、研究はオーバートレーニングされたアスリートにおける心拍間隔の変動の様々な測定において、増加と減少の両方を示していた。しかしながら研究者たちは、これはオーバートレーニングの状態に至るまでの異なる経路を反映していると提議している。マキビック(2013年)は、系統的レビューを行い、エクササイズ強度の増加と関連するオーバートレーニングは、副交感神経優位につながる一方、エクササイズ量の増加と関連するオーバートレーニングは、交感神経優位につながるという結論に至っている。更に彼らは、非機能的オーバーリーチングの段階もまた、交感神経優位を特徴としているかもしれないということを記述している。現代のスマートフォンは、心拍モニターと連動して、HRVを簡単にかつ正確に測定するために使用することが可能であるため、HRVはコーチにとって非常に魅力的なツールとなっている。
腕が痛い?ありがとうリトルリーグ、AAU、フォールボールコーチ パート2/2
投球するたびにアスリートは危険に晒されているかもしれませんが、痛みの出現パターンは異なります。手をやけどすれば、すぐに気づきます。投球傷害は出現するまでに時間がかかります。投球するたびに、尺骨側副靭帯に微小なダメージをおっているかもしれません。そして、それが完全に再生される前に再び投球します。あるいは、肩関節内旋の低下と肩甲骨の運動不全を無視し、何年もかけてそれらが悪化しているかもしれません。最終的に、手術台の上で関節唇、または、腱板の修復術を受ける時まで。これらの問題は、10代のころに痛みがあれば(あるいは、痛みがなければ発見されないまま)、保守的に管理されるかもしれないのですが、子供が18、19歳になると、肘や肩の手術をうけることが自動的に“社会的に容認”されるようになってしまっているようです。 もちろん、これは、9−14歳をみているコーチのみに当てはまるわけではありません。高校や大学でも“犯罪的”な投球数カウントをみることがあります。彼らは、9−14歳の選手よりも身体的にかなり成熟しているでしょうが、だからといって、短期的・長期的な結果を除外していいということではないのです。 ですから、最年少のレベルで一流のコーチが必要になるのです。投球のメカニクスを教えることと同じくらい、あるいはそれ以上に、“投球を管理する”ことを理解しているコーチが必要になる理由もここにあります。そして、1年のなかで、年齢別に、それぞれのタイミングで、それぞれの子供たちがなにをできるのかについて、コーチが大きな視点で理解することが必要になるのです。 両親は、若い投手に対してプロアクティブである必要があります。もしコーチが投球イニング数をカウントしていなければ、そして、9歳の子供がカウントできることを期待できないのであれば、両親が率先してそれをする必要があります。17−21歳で傷害を起こしてしまった子供を持つ両親にたくさん出会ってきましたが、そのほとんどが振り返ってみると、小さいころに投げすぎてしまったことに対してコーチに怒りをもっています。あとから考えても後の祭りですが、先見の明が腕を救うのです。何か言うことを恐れないでください。コーチの仕事の仕方について口を出しているわけではないのです。ただ子供を守っているのであって、夜ドアの鍵を閉めたり、歯を磨いたかどうか確認していることと同じなのです。 競技年の計画に関しては、9−14歳の子供が、1年で4−5ヶ月野球をプレーすることに問題はなく、残りの7−8ヶ月では、少なくとも2種類の違ったスポーツに専念させるべきです。長期的な運動神経の発達のための、基本的な“3のルール”で、3つのスポーツを4ヶ月ごとで行います。子供たちは1年を通してストレングストレーニングをすることができます。 15−16歳では、変更を加えて、2つのスポーツをさせて良いと思います。7−8ヶ月野球に費やしても良いですが、準備をしっかりと行わせることにフォーカスすべきです。11月にキャッチボールを始め、3月に高校のシーズンが始まり、7月の終わりまでサマーボールでプレーするかもしれません。8月から11月までを秋のスポーツに費やし、フォールボールをすべて不参加にしましょう。ロッキー5を製作するよりもさらに悪い考えですから。もちろん、子供たちは1年を通してストレングストレーニングを行います。 17歳以上では、野球に特化したいのであれば、それで問題ないと思いますが、1年間野球をすべきであるという意味ではありません。私は、1年で(多くても)8−9ヶ月しか子供に投球しないよう実際に提唱しています。それはほとんどのプロ選手が投球している期間と同等です。違うとすれば、1年でシーズンがすこし早く始まること。高校のシーズンは通常プロ野球が始まる数週間前に始まります。プロ選手は10月半ばに終了し、11、12月の間は全く投球しません。“特別”な高校生は8月に終了し、9月と10月はオフになります(繰り返しですが、フォールボールは救命ボートの落とし戸の ほども役に立ちませんから)。1年を通してストレングストレーニングを行います。 オフシーズンにショーケースでプレーすることが1銭にもならないことに気づくでしょう。思いがけぬ不備ではないのです。どうしても参加したいのであれば、6月から8月上旬の間で1つ選んで参加してください。 メジャーリーグベースボールの“スカウト革命”の次の目玉は、選手が若いころ何をしていたのかを注意深く分析することであると確信しています。若手をドラフトで指名するなら、プロ野球に入る前にオーバーワークしていないか知っておきたいのです。大学野球会でも、推測に基づいて、このことが起こっていることをすでに目にしているでしょう。北部出身の選手が、南部でプレーする機会がより多くあります。理由は、才能ではなく、北部の選手はあまり腕を消耗していないだろうという推測で、コーチがリクルートをするからです。 この記事にいら立つ方もいるかもしれません。子供達は1年を通してプレーしたいのです。親は子供に幸せにしたいし、子供がプレーしているところを見て楽しんでいます。子供はチョコレートが大好きで、親は子供が幸せなところを見たい。しかし、それは子供が制限なくチョコレートを食べるということを意味している訳ではありません、そうでしょう?節度を強調するために、今週はイースターのキャンディーをしまって、長期的な健康に注意するでしょう。 コーチたちはコーチングを楽しんでいますし、勝ちたいのです。そして彼らはこのようなコメントを個人攻撃に受け取としるかもしれません。なぜなら彼らが9歳の子供に1年で120イニング以上投球させ、今になって肘の手術を受けるしてしまった張本人だからです。選手に1試合で160球以上投球させて、あと3年で肩の手術を受けるだろうということがチームにわかったために、ドラフトのチャンスをつぶしてしまッ他大学のコーチかもしれません。間違っていることを認めることはとても難しいことですが、間違いを認め、その間違いから何かを学び、それを将来の子供に活かすことはさらに難しいことでしょう。しかし、これはさらに価値のあることなのです。 この投稿は誰かの気分を害することを意図したものではなく、腕のケアについて考えた場合、間違いなく最も考慮すべきであると私が考える問題(投球量)に光を当てています。身体的な準備に関しては、我々はすべて正しく行うことができますが、特に身体がまだ強くない年齢で、あまりに多く投球しすぎてしまえば、それは全て意味をなさなくなってしまいます。
腕が痛い?ありがとうリトルリーグ、AAU、フォールボールコーチ パート1/2
私は自分の書くものに関してポリシーを持っています: 仮に物議をかもすことになり、潜在的に読み手にマイナスの反応を与えるようであれば、私はその議題に対し24時間“待ち”ます。その間に、公共にむけて私が書いた何かが、より良い結果を招くのか、つまり、彼らの失敗を短期的に認識させてしまったとしても、長期的に助けることができるか否かに関して熟考します。 過去に私の野球コンテンツのページを多く購入したことがあれば、野球ボールを投げるということが非常に不自然であり、全くもって危険な動きであるという事実を隠そうとはしないことことが分かっているでしょう。それはすべてのスポーツの中で、飛び抜けて最速の動作であり、毎日身体的に準備不足のアスリートが外に出て、スピードガンを光らせようとするたびに、あるいは単にキャッチボールをするたびに危険に晒されます。 驚くことでもありませんが、準備不足の身体に、間違いなく地球上でもっとも危険なスポーツ(パンプロナの人々、スペインは私と議論するでしょうが、それは別の日のブログで紹介します)に挑戦させれば、アスリートは怪我をします。“あまりアスレチックではないアスリート”がハイリスクのスポーツに参加しているからだけでなく、リトルリーグオールスターチーム、AAUチーム、フォールボール、プライベートピッチング機関、野球ショーケース業界の激増のおかげで、彼らが常に高い頻度で試合に参加しているため、腕の傷害(若年層のスポーツ傷害のような)は指数関数的に増加しています。2006年のオルセンらによる素晴らしい研究(野球業界に関わっている人はすべてこれを読むべき)によると、手術適応の傷害と“1年でより多い月投球する、1年でより多くの試合に投球する、1試合でより多いイニング投球する、1試合でより多く投球する、1年でより多く投球する、試合前のウォームアップ投球をより多く行う”こととの間に強い相関があること、また青少年期におけるショーケースへの登場との間にも強い相関があることが明確に証明されました。このメッセージはとても明確で:特に若いうちに多く投球しすぎると、結果的に傷害が起こってしまうということです。 残念なことに、多くの人々は研究の数値をぼんやりと眺めていて(仮に彼らがそれらを読むことがあるとすれば)、“使い過ぎが悪いことである”というメッセージは受け取ったとしても、本当の使い過ぎが実はなんであるのか分かっていません。特に、それが年齢別であるからです。幸運なことに、2011年2月にフレイシグらの研究で、9歳から14歳で1年に100イニング以上投球すると、肘や肩の手術のリスク、または、完全にリタイヤするリスクが3.5倍高くなることが示されました。 このことを背景に当てはめて、まず最初に質問します:リトルリーグシーズンに100イニング投球させることが、どれほど困難か認識していますか?4月の第1週に野球(リトルリーグ)が始まったとしましょう。そして、なんとか7月の終わりまで続く夏のシーズンをプレーするとします。これは4ヶ月シーズンになります:私が成長過程で慣れ親しんだものとまったく同じです。。 イニング投球数に関するメジャーリーグベースボールリーダーを見ると、リストの上部に載っている選手は1ヶ月で約35イニング投球しています(それぞれ4-5回先発)。言い換えると、世界中でもっとも優れた野球リーグにおいて、高いパフォーマンスを発揮する、骨格的にも成熟した投手が、1年の最初の4ヶ月でおおよそ平均140イニング投球していることになります。しかし、11歳の選手にそれと比類するイニング数を投げさせることを大丈夫であると、実際に考えている親やコーチがいるのです。高学年の選手に比べて、低学年の選手はいつもイニングでの投球数が多くなってしまうことに、特に問題があります。というのも、彼らにはあまりよい作戦がなく、打たせてとるかわりに全員三振を狙うことに固執してしまうからです。 これがどれだけ大変が考えてみてください。メジャーリーグの投手は5日間ローテーションで投げます。リトルリーグの試合は多くて2週間に1回です。4ヶ月間で週に1回しか投球できないなら、すべての試合で完投したとしても(念のために言うと、私は推奨しません)、ようやく100イニングに到達するくらいです(16回先発×7イニング=112イニング)。ちぇっ!シーズンがコントロールされていれば、子供たちに投げ過ぎをさせることは、実際には困難なのです。 ですから、その代わりに、彼らはシーズンを加えているのです。AAUチームに1つ(あるいは7つ)参加します。フォールボールでプレーすることで、各週末に7イニングずつ多く投げることができます。土曜日の大学キャンプにどんどん参加し、できるだけハードに投げるように。そうすれば、外気温25度の日曜日はさらに悲惨になります。フォールボールが終わったらすぐにブルペンでピッチングコーチにみてもらってください。1月の最初の週にあるショーケースになるべく早めに登録してもらってください。バンドトレーニングといくつかの適当なストレッチをしていれば大丈夫でしょう。その通り。。。良い考えですよね。。。 傲慢に聞こえてしまうリスクもありますが、私は自分のしていることに自信があります。私は自分の人生を野球選手が健康にいられることに捧げています。彼らは、クレッシーパフォーマンスのクライアントの85%を占めていますし、毎オフシーズンに数百万ドル稼いでいる投手と一緒に働き、9歳から50歳以上の選手を見ています。私は、ストレングス&コンディショニング、リハビリテーション、そして、試合内外のスキル専門トレーニングにおいて、最も優秀な人々に囲まれて最善を尽くしています。メジャーリーグの歴史のなかで、最初に胸筋下上腕二頭筋腱固定術の世話をしました。私は一流のピッチングコーチが周りにいても投球メカニクスについて話しますし、ストレングス&コンディショニング、スローイングプログラムを作成しますし、ストレッチをしますし、それ以外にもなんでもします。オフィスには素晴らしいセラピストが二人いて、マッサージ、ART,グランストン、カイロプラクティック調整、それ以外の様々なマニュアルセラピーを行い、近くには、難しい症例を手がける優れた理学療法士がいます。そこまでしても、私が、我々が、あるいは、他の地球上にいる誰もがコントロールできない唯一のことは何でしょうか? アスリート、その両親やコーチによる不適切な判断 そして、疑う余地もなく、それが子供たちが傷害を起こす主な原因なのです。私たちが、あらゆるストレングストレーニング、モビリティワーク、そして軟部組織のトリートメントを行ったとしても、使い過ぎてしまえば役に立たないでしょう。私は時間を戻して、歴史を変える方法が分かっているほど聡明ではないのです。彼らが変化球を投げていたのか、その投球メカニクスは完璧であったのか心配していますか?すでにかなり多くのイニングを投球してしまっているのであれば、それも関係ないでしょう。
クライアントが嫌う6つのこと パート2/2
クライアントが欲していることの代わりにあなたが欲していることを行わせる 主役はあなたではありません。シンプルな概念ですが、大切な出発点です。 たとえば、クライアントが来て、「キネシオテープをするとかなり良く感じる」と言ってきたとしましょう。それに対して、あなたが、「肩の痛みは脳からの信号から来ています。キネシオテープは、その信号に対して何もできませんし、特に効果はないのです」と返したら、クライアントはどんな反応をするでしょう。うーん、おそらく残念なことになりますね。 あなたは、キネシオテープは「何もしない」と言って、クライアントは、「とても効く」と言う。これでは連携ではなく、対立のように聞こえます。 正直に言って、私達は、自分で考えているほど、人間の体について知らないのです。私は、その施術に害や、長期的影響、効果的ではないと裏付ける確かな研究が出ていない限りは、キネシオテープのような施術をすることにも抵抗はありません。もちろん、その施術が効果的でないと完璧に示す科学的根拠があれば、話は別です。 誤解しないでください。私は、クライアントに対して私が行いたい治療も行いますが、キネシオテープも施すかもしれません。おそらく、そうすることで私の施術はさらに効果的になるかもしれないのです。 フィットネスの世界における、他の良い例は、動きへのフォーカスと矯正エクササイズです。これらは大切なことですが、ポイントを見失わないようにしましょう。クライアントが脂肪を減らしたいという目的であなたのところに来たのに、あなたはクライアントの動きが悪いことを説明し、FMSのストレートレッグレイズにおける非対称のポイント1を矯正したいと言っているとしたら、それではクライアントにあなたのやりたいことを押し付けて、彼らの要求を見失ってしまっています。クライアントは、ストレートレッグレイズがどう見えるかなんて全く気にしていないのですから。 繰り返しますが、動きのパターンの改善には取り組むべきです。でもそれはプログラムの主要点ではないのです。まずは、クライアントの目標に合わせなければなりません。もちろんそのプログラムに、私たちの目標もこっそり組み込みますが、注意して行ってください。 クライアントに理解できないことを話す おわかりのように、コミュニケーションや人間力は、私たちの職業にとても重要です。私がよく問題だと感じているのが、専門家が話をクライアントのレベルに合わせていないことです。 クライアントのエネルギーレベルに合わせる努力をするべきなのと同様に、私は、話のレベルをクライアントのレベルに合わせるようにしています。 学生や若い治療家は、いくつかの理由でここに問題があります。 自分が行っていることを教授に正当化するために、科学的に話すことに慣れている。 とっさに使える例え話のデータベースが蓄積できていない。 残念なことに、エゴイスティックで自分がどれだけ知っているかを自慢しようとしてしまう。 相手に理解できないことを話し、混乱させることで、相手を感心させることはできません。科学的なことを詳細に聞きたい人もいますが、そういったことは全く聞きたくない人もいます。どう話すかは、クライアントの反応をみて、調節する必要があります。それぞれのクライアントと良い関係を築けるようにポイントやメッセージを伝える能力は、人々を感心させることができます。 私はこれを実現するために、会話がどう進んでいるかに応じて、異なる方法を用意していますが、定番の方法は下記の通りです。 評価の中で、写真や動画を使う。 複雑なポイントをクライアントがわかる例で比較する。車の例えは有効です!たとえば、「タイヤが整列していない状態で運転していれば、タイヤはやがて不均等に擦り減っていきます。」というように。 ホワイトボードを使って考えを表現する。これは必ずしも絵を描くということではありません。文字を書いたり、リストを作成するのにも使います。視覚からより多くの情報を得る人もいます。終わったときに、携帯電話を取り出して、ホワイトボードを写真に取る人がいたら、彼は視覚から学ぶ人だと言えるでしょう。 科学的根拠を示すことは大事ですが、そこで終わらずに、クライアントが理解できる例で理解を補足しましょう。 クライアントの他のヘルスケアの専門家や過去の経験を批判する 私たちの業界において、このような批判が、いかに頻繁に起こっているのかに驚かされます。多くのクライアントから、これまでに施術を受けた専門家が、過去に関わった他の専門家の人達全ての批判していたということを聞きます。パーソナルトレーナーが理学療法士を批判する、理学療法士がカイロプラクターを批判する、というのがその一例です。クライアントは長年をかけてそういった専門家との信頼や尊敬を構築してきていて、あなたとはまだその蓄積がないということを忘れないでください。 批判することは、批判された人が自分の過去の選択に対して気分を害するだけでなく、あなたが誰かをけなすことで自分を良く見せようとしているだけなのが明らかです。 私には、多くの「名声のある」人々が、こういった過ちをおかすのを見てきた中から作り上げた経験則があります。他の人を悪く見せることで自分を良く見せてはいけません。短期的には有効にはたらくかもしれませんが、後で必ず痛い目をみます。 何が失敗したかをわかった上で対処する能力があれば、天才になれます。何かを振り返るときには、どんなことであれ、より鮮明にできます。クライアントがかかっている、あるいは過去にかかった他の専門家を敬いましょう、あなたがいつも正しいわけではないのです。 実際のところ、ここにもう12個くらいリストを付け足すこともできますが、ここで挙げた6つは良い出発点になります。クライアントが嫌うこれら6つのことを避け、クライアントとのいい関係を築き、声を聞き、時間をかけ、クライアントの目標達成における過程の中で、その効果を最大限に発揮できるようにしてください。