絶対に欠かせない長時間・低強度の心血管系運動 パート3/4

ロングスロートレーニング時間の連鎖 皆さんは、映画『8-Mile』の中で、エミネムがMCバトルで宿敵を倒す、あのシーンを覚えていますか? 彼は、対戦相手が何も言えない状態にして去りましたが、それが私の目指すところなのです。 皆さんが何を考えいそうなのかは想像がつくので、この話はここまでとしましょう: “長時間・低強度の心血管系運動は、動作を遅くさせる” 仮に、皆さんが、この地球上で最速、最強で最も爆発的な選手を担当しているとしましょう。そして、彼の運動能力と回復の向上を図るために心拍出量向上トレーニングを始めたとします。 言いたくはありませんが、我々の動きは自然発生的にスーパースローになったりはしません。 皆さんは、マラソンランナーを継続的にトレーニングして、見た目もパフォーマンスも、大きな遅筋繊維になるように形態を変えようと考えることはないでしょう。 覚えておいてください。身体で起こる適応は、ひとつのトレーニングだけではなく、実践しているすべてのトレーニングが基となります。 現行のトレーニングプログラムの一環で、速く走ったり、高く跳躍したり、重い重量を持ち上げたりしているならば、これらすべてが、COスタイルトレーニングの欠点を相殺または軽減してくれます。 もうひとつ素晴らしいことに、いったん心臓のコンディションが良くなったら、この同じトレーニングを延々に繰り返す必要がないということなのです! カギとなるのは、適応した状態を維持するということ。時々COスタイルトレーニングに戻るだけです。ただし、獲得した適応を維持するために、是非とも、より強度の高い有酸素トレーニングを実行してください。 “特定のスポーツに限定していない” 私は、まず真っ先に、あなたがプレーしている「スポーツ」の定義は何かと問うでしょう。 ほとんどのチームスポーツ(サッカー、バスケットボール、バレーボール、フットボールなど)は、有酸素系エネルギー供給機構に驚くほど頼っています。PubMed(無料で公開されている医療文献検索システム)で、時間-運動の分析に関する文献を検索してみれば分かると思いますが、同じ結論に至ると思います。 課題としては: スポーツ観戦をする際、単に始終ボールばかり追っていたら、大忙しです。選手たちは、頭を切り落とされた鶏のように走り回っています。 ボールを見ているようではいけないのです。私たちは選手を見てなくてはならないのです。 もちろん、頭を切り落とされた鶏のように、ボールを追いかけて走り回っているだけの選手もなかにはいますが、多くの選手は高強度の動きの合間に低強度で動いていたり、まったく動かず立っていたりします。 科学的な裏付けが必要であれば、私の理念を強固に支えてくれる、以下のような研究論文を読んでみてください: Repeated Sprint Ability #1 Repeated Sprint Ability #2 Aerobic Endurance Training もちろん、これら以外の研究論文はたくさんありますが、ここに挙げた論文は、議論の出発点として適していると思います。 優れた有酸素系エネルギー供給機構の構築は、常に高強度ではないとしても、「特定のスポーツに限定した」ものです。有酸素系の発達が乏しいのであれば、CO向上トレーニングは、有酸素系の基礎を再構築するための素晴らしいトレーニング方法であるということを覚えておいてください。 これは私が言わなければならないもう一つの言い分です。どうすればいいかというと: 「特定のスポーツに限定した」トレーニングは一年中実施する必要はありません!また、すべてを高強度にする必要もないのです。 実際、私が担当しているプロ選手達は、チャンスがあればいつでもオフシーズン用の低強度エクササイズの練習に緩めます。 次のことを考えてみてください:プロのサッカーシーズンは、9-10ヶ月間もあります。彼らがキャンプにまた戻る前には、せいぜい6-8週間しかありません。 NBAもそれほどよくありません。試合がいつ終わるかにもよりますが、10-12週間のオフシーズンしかありません。 そんな彼らをジムに送り込む前に、休養と回復のために、まずは2-3週間のダウン時間を設けます。 低強度エクササイズは、トレーニングに戻ってからのケガのリスクを軽減するだけではなく、休暇中に失われた基礎を再構築するためでもあります! ごく簡単に言ってしまえば、有酸素系の土台が大きく安定してしっかりしていればいるほど、シーズンに臨んだ時、回復力はより優れたものになるということです。私のお気に入りの、チャーリー・ワイングロフ氏の引用句があります: 「高い有酸素系能力は、身体運動能力への耐性向上をもたらす。」 簡単に言えば、高強度と低強度のエクササイズのバランスをとる必要があるということです。 “解糖系トレーニングは、有酸素系発達を促す” なぜこのようなおかしなことになるのか、私もまったく分かりませんが、できる限り解説します。 単刀直入に言えば: 有酸素系トレーニングは、無酸素系トレーニングと直接競合します。 適応の仕方は完全に相異する。 心臓は異なる適応をする。 身体が産生する酵素は異なる適応をする。 細胞のミトコンドリアは異なる適応をする。 重要なので何度も繰り返しますが、適応の仕方は、正反対なのです。 最大の問題のひとつは、とりわけトレーニング不足の個人を対象とした研究にあります。トレーニング不足の個人の場合、すべてのことをいっぺんにさせても、何らかの改善はみられるのです。 文字どおり、月・水・金をパワーリフティングのルーティンにし、火・木・土をクロスカントリーランニングにしても、おそらくストレングスもコンディショニングも向上するでしょう。 しかし、これらのことを長期にわたり実施していたら、成果はおそらく頭打ちになることでしょう。クライアントや選手が成長するにしたがって、より正確なプログラム作りをしていかなくてはならないのです。そして、各プログラムに競合しないものをひとつ、もしくはふたつ組み込むようにします。 そうなると、みなさんの中にはこう考える人がいるでしょう。「でもマイク、タバタ研究をどう思うのですか? タバタトレーニングでは、無酸素系トレーニングで有酸素系能力を向上させました。」 それはそうなのですが、研究全体を読んでいただくとお分かりのとおり、高強度グループでも定常状態トレーニングを含む低強度トレーニングを週に1日行っていました。この場合、タバタグループでは、30分間の定常状態サイクリングを、VO2max(最大酸素摂取量)の70%で毎週行ったということになります。 さらに、彼らはタバタトレーニングの前に毎日、ウォームアップとして10分間の低強度サイクリング運動をしていました。1週間に換算すると70分間の低強度エクササイズとなります。 研究を少し取り違えて理解していたかもしれませんね? CO向上トレーニングには多くの効果があること、そしてたいていの場合、欠点より利点の方が大きいということを、なんとかわかっていただけたでしょうか。 さて、ではだれがCO向上トレーニングを必要としているかを調べるにはどうすればよいか、また、いくつかのトレーニング方法の選択肢について見ていきましょう。

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絶対に欠かせない長時間・低強度の心血管系運動 パート4/4

評価手順 IFASTでは、身体の効率性を調べるのにいくつものチェックをします。こちらが要となる3つのチェック方法です: 安静時心拍数 ワンミニットゴーテスト 修正版クーパーテスト これらのテストによって、選手の心臓の効率性と心拍数の回復を調べることができ、嫌気性閾値を推測することができます。 もし、長時間・低強度トレーニング(つまり、CO/心拍出量向上トレーニング)が必要かどうかを調べるには、安静時心拍数が最も手っ取り早い手掛かりとなるでしょう。 ほとんどのクライアントや選手のための私たちの目的は、彼らの安静時心拍数を60回/分未満にすることです。簡単に聞こえますが、良くコンディショニングされた(たとえば、体脂肪が少ない)選手でも安静時心拍数が60後半から70前半から抜け出せないことがよくあります。 クライアントや選手の安静時心拍数が高い場合、交感神経が優位(継続的な闘争・逃走状態)であることが考えられます。これは、エクササイズやセット間のみならずトレーニング間の回復にも影響します。 さらに、そのような選手やクライアントは、良く眠れていないことが多く、これもまた回復に悪影響を及ぼすと考えられます。 このような選手を担当する際、CO向上トレーニングが、彼らを救う手段のひとつとなるのです。 心拍出量をどのように向上させるのか さて、そろそろ核心に入ります。まずひとつ明確にしておきたいことがあります: 心拍出量向上トレーニングは、有酸素系エネルギー供給機構を発達させる唯一の方法ではありません。 先述しましたように、アルティメットMMAコンディショニングの8つの異なる方法についてジョエル・ジェーミソン氏は、言及しています。 8つも! 心拍出量向上トレーニングはそのなかの一つで、必要であれば実践します。重複しますが、心血管系のコンディションが不十分である(安静時心拍数が60より高い)場合、有酸素系機構の再構築を促進するための一つの方法として、COトレーニングを使います。 心拍出量向上トレーニングの実施 心拍出量を向上させる際の基本的なエクササイズ手順は下記のとおりです: 120-130回/分で30-90分間行う。 そして、お決まりの次の質問は、「何をすればよいでしょうか?」でしょう。 私の親しい友人、エリック・オッター氏は、「心筋はまぬけだよ」とよく言います。 ですから、目標としている心拍数の範囲内であれば、この時間内に何をするかはまったく重要ではありません。 筋肉オタクは、スレッドドラッグ、プロウラープッシュ、その他のエクササイズやモビリティドリルの組み合わせなどを好むでしょう。 選手であれば、低強度の技術的なトレーニングのために、このエクササイズを取り入れるかもしれません。デイブ・テニー氏が担当しているサッカー選手は、競技に関連した感覚を得るためにドリブルをするそうです。 バスケットボール選手であれば、コート内でのフットワークやボールハンドリング、特定な動きなどの動作の確認をするのもよいでしょう。 心拍数を120/130-150回/分の範囲に維持さえしていれば、うまくいきます。 どんな人達に有効か? この種のトレーニングで最も顕著に効果が現れる代表的な人達は、スポーツをしていてもすぐにガス欠になる選手です。 有酸素系の基礎が乏しいと、単純に長時間の競技ができなくなるだけでなく、高強度エクササイズの繰り返しからの回復能力にも悪影響を及ぼします。 フットボール、バスケットボール、サッカーのような有酸素系優勢型のスポーツをする選手にも顕著に表れます。もう少し大ざっぱな回答としては: ほとんどの人に、心拍出量向上トレーニングは有効であると私は思います。 考えてみてください。近年、私たちはいつでもせわしなく行動しています。 ジムに行き、せき立てるようにトレーニングする。 遅くまで起きていて、十分な睡眠を取らない。 通勤、仕事、私生活さえも過度のストレスを生じる。 これらすべては、交感神経系とストレス反応の慢性的な過活動を引き起こします。 私たちが健康と生活のために毎日できる最良のことが2つあります。まず毎日完全な深呼吸を10回行い、そして低強度エクササイズを週2回行うことです。 やってみてください。心拍数を15-20回/分低下させることができたら、きっと見た目にも気分的にも改善するに違いありません。 HITT(高強度インターバルトレーニング)はもう行わないということ? この大作を書き終える前に、最後のパンドラの箱をあけておきましょう: マイク、つまり、もう高強度トレーニングは必要ないということですか? 私は、決してそんなことを言ってはいません。時と場合によって、高強度トレーニングは当然必要となります。 目的が脂肪燃焼である場合、高強度インターバルは、手っ取り早く脂肪の減少を確実にします。しかし、これには議論があります。中には体調がまったく整っていないクライアントもいます。彼らの暮らしぶりを本格的にケアするのであれば、生理学的観点からして、有酸素系の基礎と土台をまず作る方が、理屈に合っていると思います。 高強度インターバルをロングレスト(長めの休息)インターバルと組み合わせても、有酸素系エネルギー供給機構の向上を促進します。強調しておきたいのですが、CO向上トレーニングは、有酸素系トレーニングのひとつの例に過ぎません!他にも爆発的効果を生む性質のトレーニング方法はたくさんあります。私たちの最も重要な仕事は、この運動と休息の比率をコントロールすることです。 基本的に無酸素系の特徴が強いスポーツ(レスリング、総合格闘技など)を行っているのであれば、トレーニングプログラムの最後に、解糖系エネルギー供給機構の構築のために時間を割くべきでしょう。覚えておいてください。しっかりした有酸素系の土台ができていれば、それよりさらに大きな解糖系エンジンをその上に搭載できるのです。さらに、高強度のトレーニングの合間の回復が速くなります。 ジョエルの文献やタバタの研究を読んでみると理解できますが、トレーニング開始後の4−6週間で解糖系エネルギー供給機構に大半の適応が起き、8週間になると限界近くまで適応が生じます。 だとすれば、それ以上続けて限界に挑戦する必要があるのでしょうか?適応の起こり方が速いのは結構ですが、私達に必要な適応なのでしょうか? クライアントにとって? 選手にとって? 今後大きな前進を遂げるためにも、一歩後退してみるのも賢明かもしれません。 まとめ クライアントや選手の目的が、トップアスリートになることであっても、また単に気持ち良く身体を動かすことであっても、心拍出量向上トレーニングは、ほとんどすべてのプログラムに組み入れることができます。 心拍出量向上トレーニングは、高強度トレーニングと比べあまり格好よくありません。激しくハードコアでもありませんが、その効果は計り知れないほど広範囲に及びます。 皆さんの目的が、気持ちよく動けて、回復が速く、ストレスや不安を抑えることであれば、トレーニングプログラムに欠けているのは、CO向上トレーニングなのかもしれません。

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私が推奨するアスレチックストレングストレーニングのトップ5 パート1/2

重要でありながら、あまり明白ではない文言からスタートしましょう。 アスリートは、リフティングのプロではない。 ストレングスは、実際のフィールドやコートでの活動に役立つのでしょうか? もちろん。 では、それは選手の成長にとって最も重要なことなのでしょうか。 絶対に違います。 選手育成のための包括的なプログラムを充実させる際、お気に入りのトレーニングを手当たり次第プログラムに放り込めばいいというものではありません。 何で戦うか、選ばなくてはなりません。 ストレングストレーニングに関して、私は常に、ある一握りのエクササイズに頼っています。年齢や能力に関係なく、おそらくこれらのリフティングのプログレッション(漸進)もしくはリグレッション(後退)を行うことになるでしょう。 どのようにトップ5のリストを選んだか? 私の選んだトップ5を紹介する前に、これらは純粋な、抑えられないようなストレングスを発達させるためのベストなリフティングである、と言いたいのではないことを念頭においてください。 とんでもなく強くなることが目的であれば、パワーリフト(すなわち、バックスクワット、ベンチプレス、デッドリフト)に対して異論をとなえるのは難しいでしょう。また、オーバーヘッドプレスについて論証することもできるでしょう。 ただ、選手は強くなるだけのためにトレーニングをしているのではないということを、覚えておいてください。次のようなエクササイズを選択することの方がはるかに重要であると思うのです: 試合や練習では達成できない筋の発達と運動パターンの向上を図る。 フォールドやコートでのパフォーマンスに最大限に活かせるエクササイズ。 トレーニング中のケガの確率を最小限に減らす。 指導しやすく、キューイングを与えやすい。 その場その場で状況は異なりますが、オフシーズン中の選手で8~12週間しかなければ、これらの事が頭に浮かびます。 そのことを踏まえて、アスレチックストレングスのトップ5についてお話しましょう。 #5 – チンニング 5番目でチンニングがリスト入りしました。 チンニングは、素晴らしい全身強化の動きです。可動域全体を通して自分の体重を動かさなくてはならないところが気に入っています。 さらに、チンニングは、上背部の筋群(広背筋、下部僧帽筋など)を発達させ、引く筋力全般を向上させます。 チンニングのマイナス面としては、広背筋が固く張ってしまうと、姿勢に問題が発生するということ。広背筋は、肩を内旋するだけでなく、骨盤と胸腰筋膜への付着により、骨盤の前傾と腰椎前弯を強調することがありえます。 さらに、広背筋が固いと腕を頭上に伸ばした時、肩の可動域が制限されるか、または腰椎がさらに伸展し、骨盤も前傾してしまいます。 (注:このトピックをもっと詳しく知りたい場合は、私の過去の投稿「広背筋:味方か敵か?」をご参照ください)。 #4 – プッシュアップ プッシュアップは、リストの4番目にはいりました。次のような質問がくると思いますので先に答えておきましょう: でもマイク、なぜベンチプレスではなくプッシュアップをランクインしたんだい? 誤解して欲しくないのですが、上半身のストレングスにはベンチプレスは素晴らしいエクササイズです。 ペンチプレスで私があまり好きではないのは、持ち上げる動作中ずっと仰向けに横たわっていることです。さらに、パワーリフターに指導されない限り、コアと下半身がほとんど動員されずにリフト動作が行われてしまいます。 一方、プッシュアップでは、全身が一体化します。上半身は効果的にプッシュアップするのに充分以上の強さがあるのに、コアが弱く不安定であるというような人もよく見かけるでしょう。 このような場合、ベンチプレスを続けることは、問題を大きくするだけかもしれません。 プッシュアップの場合、上半身のみをトレーニングしているのではなく、ひとつの滑らかで均一な動きをするためにコアや下半身にも固く力を入れているのです。 上半身に注目した場合、プッシュアップがアスリートにとって優れている理由が他にも3つあります: クローズドチェーン(閉鎖運動連鎖)の性質上、回旋腱板の動員を増やし、肩の安定性を高める。 肩甲骨に動的安定性が強いられるので(一方、ベンチプレスなどでは、肩甲骨を下後方に固定)、よりスポーツの実際の動きのポジションに似ている。 リーチングは前鋸筋をトレーニングするだけではない。多くのスポーツの動きに欠かせないのがリーチングである(たとえば、バレーボールやバスケットボールのブロックなど)。 ここで、プッシュアップのテクニックの短い簡単なデモをご覧ください:

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私が推奨するアスレチックストレングストレーニングのトップ5 パート2/2

#2 – フロントスクワット ここでフロントスクワットの話を始める前に、バックスクワットが大のお気に入りであることをまず公言させてください。 パワーリフターとして、バックスクワットは私の一番苦手なリフトとしてスタートしました。でも、スクワット向きではないテコを持つ体格でありながら、何年間も一生懸命努力をして、正しいスクワットを行うことができるようになりました。 私はバックスクワットを大好きでありながら、アスリートに対してはあまり好んで実施しません。デイブ・テイトとルイ・シモンズがこれを聞いたら、きっと私のパワーリフディングカードを解約してしまうのではないでしょうか。 冗談は抜きにして、以下の理由から、私は(アスリートに対して)バックスクワットよりもフロントスクワットの方が適していると思っています: フロントスクワットは、コアの前方がより強化される。 脊柱にかかる剪断負荷が比較的少ない。 指導しやすく、問題を起こしにくい。 バーベルをアスリートの背中に乗せると、ほとんどの場合、安定性を生むために背を反らす傾向にあります。 そして、バランスを失ったり、不安定になったりするとどうなるのでしょう? それ以上に背を反らし、バランスをとろうとします。 フロントスクワットでは、コアや脊柱はより「伸長」されます。つまり、コアの前方に負荷がかかります。私見ですが、コアの前方トレーニングは、幾らやっても足りないものだと思います。 背骨を健康に保つということに関して言えば、アスリートのほとんどは、剪断負荷よりも圧迫負荷に耐性があります。分かりやすい言葉で言うと、より垂直に身体を起こした状態であればあるほど、背骨には優しくなります。 最後に大切な事として、フロントスクワットでは選手のセットアップさえ完了してしまえば、その後のコーチングやキューイングはバックスクワットほど必要ありません。 特にプログラムの最初の段階で、スクワットかスウィング、脛骨が垂直か角度を持つかに関して、両極のパターンでしっかり指導します。 言い換えれば、スクワットは「スクワッティー=スクワットらしく」、デッドリフトやヒップヒンジは「ヒンジー=ヒンジらしく」見えるようにしたいのです。 言葉を作ってしまいました!

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ケトルベルアームバーの正しい方法

ケトルベルを使ったエクササイズである、アームバーは、肋骨や胸椎を開くのみでなく、胸筋から反対側の股関節までの筋膜のラインもリリースできる効果的なエクササイズです。正しく安全なケトルベルアームバーの実践方法を、マイク・ロバートソンがご紹介します。

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パワートレーニングプログラムの組み方 パート2/2

プログラムのどこにパワートレーニングを組み込むのか? そろそろ核心に入ります。パワートレーニングが重要であるということはお分かりいただけましたね。では、プログラムのどこに組み込めばよいのでしょうか? このような質問すべてに対する究極の答えは:「状況による」です。 純粋にパワーを追求する目的ならば、プログラムのなかの、できるだけ早い段階に組み込みます;ウォームアップの直後や、レジスタンストレーニングの要素の前(オリンピックウェイトリフティングの場合)に入れます。 このタイプのトレーニングは、神経系に支配されていますので、神経学的にも生理学的にも身体の態勢が整っている時、しかも疲れていない最も回復している時にトレーニングするのがよいでしょう。 明らかなパワー向上がみられたならば、向上のための次の特質は、パワー持久力です。 パワー持久力は、純粋なパワーというよりもむしろエネルギー供給機構ですから、トレーニングセッションのR6(Resiliency:弾力性)コンポーネントに入ります。ここでは、スレッドやプロウラースプリント、ケトルベルジャンプなどの、ある一定の長い時間パワーを生産することを目的とするエクササイズを繰り返し行います。 最後になりましたが大切な事に、どんなルールにも必ず例外はあるものです。私の親しい友人、ジョー・ケンの「ティアシステム」では、パワートレーニングを中間、もしくはトレーニングの最後に組んでいます。 このような場合、目的は、疲労時のパワー発揮、あるいはパワー産生ということになります。 スポーツでは、体力が消耗していない時に爆発的または素早く見えたりすることはあっても、疲労時となると状況はまったく異なります。 したがって、ジョーの意見には、まったく同感ですが、特記しておきたい決定的な特徴があります: ジョーは、ゲームのルールを理解しており、その上で各スポーツの必要性と需要に応じてルールを曲げているのです。 ただし、ルールを曲げたり壊したりする前に、それらをしっかり理解しているかを確認してください。 さて、基礎的な要素を述べましたので、次にパワートレーニングのバリエーションを見ていきましょう。 パワートレーニングのバリエーション 私がパワートレーニングのプログラムを作成する際、2通りの方法があります: 一般的なスポーツ技量/パワー向上トレーニングプログラム、または 特異的な特質やクオリティに焦点を絞ったパワートレーニングプログラム この点について、私の今月の動画「エリートトレーニングメンターシップ」で、プログラムデザインを中心に踏み込んだ議論をしています。簡単な概要は: 目的が一般的なスポーツ技量向上の場合、エクササイズのサーキットを作り、上半身と下半身の力の発生、神経系の準備、運動能力の向上を指導します。 一方、ベテランでキャリアが長い選手は、たいてい与えられたセッション(垂直パワー、水平パワー、加速、方向転換など)の中で、特異性の高い動きやクオリティを追求するでしょう。 お分かりの通り、これは大変複雑なトピックで、スピードとアジリティトレーニングとも重複し始めてしまうので、ここまでにしておきます。 さて、パワートレーニングが神経系に大きく負担をかけることは分かりましたね。下記のグラフをご覧いただくと、「神経」トレーニングと「代謝」トレーニングには顕著な差がみて取れます。 なによりもまず、セットとレップは、反比例の関係にあります。1セットで多数のレップをしたり(代謝トレーニング)、または、1セットで数少ないレップ(神経トレーニング)をしたりします。 Iこの場合、パワートレーニングは、連続体の左側に属します。最大パワーの向上を追求するのであれば、通常、私は1セットで5回を超えるレップを行いません。どちらかと言えば、エクササイズによっては1~3回の範囲でレップを抑えておくのを好みます。 この点、レップに関してはややどちらともいえないところがあります。私がプログラムを組む時、エクササイズは3~5セットにしますが、自己調整にし、またパフォーマンスによって調整します。 もし、メディスンボールスローやジャンプのバリエーションなどを行うならば、高さや距離の最大努力値を測ることできます。そして、下降ポイントに達したらエクササイズを終了します。 オリンピックリフティングをする際、テンドユニットを利用できるならば、先ほどと同樣に行います。バーのスピードが設定した下降ポイントに達したら、セットを終了します。 これが自己調整の良いところです。ある与えられたセッションに対して適切な量のトレーニングをすることになります。 調子が良いと感じ、素早く動ける日には、量を増やしてもよいでしょう。 また、力が抜けて疲労を感じる日であれば、下降ポイントに早めに達するので、早めに終了し、次の日のために温存するのもよいでしょう。 パワートレーニングにおける筋の緊張時間に関しては、至ってシンプルです。エクササイズのどの部分においても、ゆっくり行うことはしたくありません。ですから、私はいつもDYN(ダイナミックに)やEXP(爆発的に)と表記するのです。 次に考えなくてはならないのは、休憩時間です。これに関して、私はセットとセットの間にとる休憩時間を少なくとも2分間にしています。多くの場合、セット間に3~5分間の範囲で休憩をとります。 判断に迷う場合、休憩をとり過ぎでしまう方が、休憩が少なすぎるよりましであると考えます。慌てることに理はありません。純粋にパワフルで爆発的になることが目的ならば、神経系に十分な回復時間を与えなくてはなりません。 まとめ これで要領が分かりましたね。パワートレーニングに関しての全般的な概説であり、パワートレーニングプログラムを私がどのように作成していくかの説明です。 お分かりのように、これは幅広いトピックですが、ここで十分に説明できていれば幸いです。

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パワートレーニングプログラムの組み方 パート1/2

ディフェンダーをフェイントでかわしたり、タッチダウンねらいのランを阻止したり、野球で400フィート(122メートル)打球したり、バスケットボールでスラムダンクしたりするためにも、すべてのトレーニングコーチにとって、パワートレーニングはプログラムの要となる構成要素です。 しかし、やみくもにデプスジャンプ100レップに飛びついたり、オリンピックリフティングのマックス(限界負荷)を上げようと試みたりする前に、パワートレーニングとは何か、どのようにプログラムを組めばよいかを理解する必要があるでしょう。 まず、パワートレーニングとは何かということについて簡単に復習することから始めましょう。それから、最終的にプログラムのバリエーションに焦点を絞っていきます。 パワートレーニングを構成する要素とは? パワーは次の公式で定義されます: パワー = 力 X 速度 簡単に説明すると、力は基本的にどれくらい強いか、どのくらいの重さを動かすことができるか、を示しています。 しかし、パワーと最大筋力はイコールではありません。大きな違いは、パワーには、速度という構成要素があることです。つまり、速くなければパワフルではないのです。 私のR7(7つのR:Release、Reset、Readiness、Reactive、Resistance、Resiliency、Recovery)というトレーニングを組むためのテンプレートを聞いたことがありますか。パワートレーニングは、これらの2つのカテゴリー/セクションのどちらかに入ります: R4 – Reactive (リアクティブ) あるいは、 R5 – Resistance(レジスタンス) スプリントやジャンプ、スローなどのエクササイズは、どちらかといえば「リアクティブ」のセクションに入ります(アジリティ/多方向のスピード練習の類いも同様)。 一方、オリンピックリフティング(比較的スピードがゆっくりで、負荷が大きい)は、R5(レジスタンス)セクションの代表的なトレーニングです。 基本的に、爆発的に動くことや、素早い力を発揮することが目的のエクササイズは、パワートレーニングを構成するひとつの要素です。 パワートレーニングがなぜ重要なのか? パワートレーニングがなぜ重要なのか、とよく質問されます。 選手たちにとって最大筋力は、より爆発的になるための基礎力もしくは潜在力になります。 しかし、最大筋力のためのトレーニングのみでは十分ではありません。ある時点で、その筋力をパワーへ変換することに取り組まなくてはなりません。 スポーツでは、最大の力を出すに十分な時間がないのが普通です。リフトを完成させるまでにどれだけ時間をかけても良いパワーリフティングと異なります。 その代わりに、競技における目的は、力を素早く発揮することです。科学者達はこれを力産出の速度(RFD)と呼んでいます。 私見ですが、パワートレーニングこそが優秀な選手と平均的な選手を分けるのだと思います。分離を生み出し、素早く方向を変え、相手の上を跳び越えて差を生み出す能力があれば、絶対に反撃を受けることはないのです。 最適なパワートレーニングとは? 頻繁にたずねられる他の質問は: 「パワー向上のために取り組むべきエクササイズは何ですか?」 そのような時、いつも次のような質問を投げかけます: 行っているスポーツの必要性と需要は何ですか? 身体的に不足しているものは何ですか?そして、改善のために特に何が必要ですか? もっと優先的にパワー産出のために改善したいクオリティの向上はありますか?(たとえば、動きのクオリティ、最大筋力など) 最終的に、個人にとって何が最も大切な身体的特性なのかを理解する必要があります。それによって、プログラムを組み立てます。 オフェンスラインマンであれば、ストレングス-スピードが最も重要なクオリティでしょう。ですから、オリンピックリフティングの利点の多くをパフォーマンスに活かせることになります。 爆発的な動きを要求されるのと同時に、重いウェイト(大柄な人間)を素早く動かそうともしているのです。 その反面、サッカー選手は、自重またはとても軽い抵抗に対して爆発的になることによって、かなり多くのメリットを得られます。彼らの場合、多種のジャンプとスローなどから最大の利点を得られるでしょう。 残念ながら、白黒はっきりしたひとつの答えはありません。選手個人とそのスポーツを少し深く探求し、一層理解することができれば、より適切な判断のもと、プログラムを組んでいくための選択ができるでしょう。

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女性アスリートのトレーニングに関する考察 パート2/2

プログラムとトレーニングについての考え 女性には、テクニックに磨きをかけることに集中するという素晴らしい面があることは、先ほど述べました。 でも、これも時には善し悪しなのです。 ウェイトリフティング 2006年、地元の高校で強化コーチをしていました。そこには、優秀な女子バスケットボールチームがあり、一年を通して週2日ほど彼女たちを担当していたのですが、その中に一人、ずば抜けて優れた選手がいました。 彼女はチームでも最も優秀なプレーヤーであり、スクワットのテクニックも素晴らしかった。ところが、彼女がジムでスクワットの練習をする際のウエイトは、毎回75ポンド(34キロ)の同じ重さだったのです! ついにしびれを切らした私は、セッション中ずっと彼女の脇に付き添い、ウェイトを上げていくよう励まし続けました。その日、彼女は最終的に95~100ポンド(43~45キロ)、つまり自己記録を25ポンド上げることができたのです。 ジムといえば、多くの女性は未だに、サイズが大きくなりすぎるとか筋肉隆々になるとかいう考えを持ち続けているようです。 更に言えば、彼女たちの多くは、テクニックに注目し過ぎて、せっかくのテクニックが崩れてしまうことを恐れるために、決して、そして絶対にウェイトを増やそうとはしません。 このような場合の適切な指導としては、躊躇しないで彼女たちを少しだけ後押ししてみることです。確実に漸進性過負荷を目指すようにすれば、もっともっとトレーニングの成果が得られるでしょう。 プログラムを組む 漸進性過負荷が重要であるのと同時に、本物のストレングスとパワートレーニングも重要な要素です。 担当しているのが女性アスリートであっても、重いウェイトリフティングを避けないでください。 2001年、私がボールステイト大学の女子バレーボールチームのトレーニングを引き継いだ当時、選手たちは、片脚やスプリットスタンスでのトレーニングをかなり多く行っていましたが、ちゃんとした重さのウェイトリフティングを実施しているのを見たことはありませんでした。 コーチに就任し、彼女たちをテストしてみたところ、筋力がひどく弱いことが分かりました。だれに訊いてもエリートアスリートのはずの彼女たちは、およそ体重の1.1倍の重さでしかスクワットしていなかったのです。 そこで、試合シーズンのまっただ中であるにもかかわらず、毎週2回のスクワットを始めました。 クレージーでしょう? とはいえ、3週間のうちに垂直跳びが平均1インチ(2.5センチ)も増えたのです! (ちなみに、バレーボールコーチを狂喜させるには、選手の垂直跳びを向上させることが一番です。冗談ではなく、そうすれば一生親友になります。) ここに込められたメッセージは単純:女性アスリートにスクワットとデッドリフトをさせることを躊躇しないでください。 それだけではなく、さらにパワートレーニングをすることを強く推奨します。 ストレングストレーニングはとても重要ですが、筋力が十分についたならば、その筋力を今度はパワーに変換しなくてはなりません。 更に言えば、女性アスリートの多くは、パワーの産出や爆発力に関して指導されたことがないのです。 これは、大きな未開拓の能力です。いかに素早く腕を動かすことができるか、または、伸張-短縮サイクルの効率的な使用方法を、女性アスリートに教えることができたならば、彼女の爆発力に強い影響力を即座に与えることができるでしょう。 プログラムにもっと腹筋とハムストリングス、リーチングの強化を取り入れよう 何年にもわたり言い続けていることのひとつです。事実、IFAST(インディアナポリス・フィットネス&スポーツ・トレーニング)でプログラムを組むすべてのアスリートは、もっと多くのコアとハムストリング、リーチングに関わる筋群の強化が必要です。 コアは言うまでもなく重要です。ほとんどのアスリートは伸展位に固定される傾向にあるため、息の吐き出し方を指導し、適切にコアを使うことが試合の流れを変えることにつながります。 ハムストリングスも、欠かせない要素のひとつです。ご存知の通り、強いハムストリングスはACL傷害を予防する一方、骨盤を後傾させる(もっと厳密に言えば、骨盤をニュートラルに戻してくれます)ことができ、これによって正常な股関節の動きが保たれます。 競技の世界では、強いハムストリングスは、より早く走ること、より高く跳ぶことを助けます。これは決して悪いことではないですよね! 最後になりましたが大事なことに、身体にはリーチングのための筋群があります。これまで「アッパーバック(上背部)」と表現していましたが、ここでは呼び方を変えます。 アスリートの中でも特に女性アスリートに見られる傾向は、深く前弯した腰椎と真っすぐな胸椎です。 平坦な胸椎の場合、ローイングやチンニングを継続的に行うことは、問題を悪化させてしまいます。 その代わりに、現在私が力を入れていることは、強制的なリーチングを伴うエクササイズです。つまり、腕立て伏せ、ランドマインプレス、そしてオーバーヘッドプレスです。 アスリートにリーチングを指導することができれば、上背部を適切な姿勢に回復でき、それに伴い肩だけでなく、腰や股関節、骨盤をより良い位置に保つことができます。 楽しいトレーニングを 最後ですが大切なことに、正直なところ、私が担当する女性アスリートは、トレーニングを楽しく行いたいという願望を男性アスリートよりも強く持っています。 どうでしょう、私たち男性はつまらないですね。私たちは、ひたすら壁に向かいスクワットやデッドリフト、ベンチプレスをいつまででもできるのです。しかも、飽きずに。 一方、女性は、たとえそれがほんの少しであったとしても、色々なことを組み合わせるのを好みます。 そのようにして、楽しくトレーニングできれば、それに越したことはありませんね? この記事を読んでいる女性も何人かはいるでしょう。そして、憤慨しているところかもしれません。繰り返しますが、これはひとりの男性の考えにしか過ぎないのです。 もし、女性アスリートに望ましい結果を出し、しかも彼女がトレーニングを楽しめるようなプログラムを組めたならば、きっと彼女のコーチとしての関係は長続きするものになるでしょう。 まとめ 女性アスリートのトレーニングを始めて15年以上経ちますが、これは絶えず進化し、常に進行中の過程であることは言うまでもありません。 常に、私自身も向上していると思っていますが、これは決して終わりのないストーリーのひとつであることも理解しています。

マイク・ロバートソン 2901字

女性アスリートのトレーニングに関する考察 パート1/2

コーチをすることは、私の血に流れる気質です。 ストレングス&コンディショニングまたは「パフォーマンス」コーチになろうと決意する前、私は将来、バスケットボールかバレーボールのコーチになろうと思っていました。 十代の頃、古いVHSテープに録画した試合を繰り返し観ては、力学や動き、競技を分析していたことを覚えています。 私がコーチングを始めたのは、14歳以下の女子バレーボールチームのアシスタントコーチをしていた1996年でした。 偶然にも、その女子バレーボールチームを指導していたのは、スティーブ・ションデル(米国インディアナ州のバレーボール界のトップコーチのひとり)で、そのチームは同年、ナショナルチャンピオンシップで優勝を果たしました。 そう、つまり、彼女たちは大変強いチームだったのです! それからというもの、さまざまな体力レベル、体格、年齢、能力、の女性アスリート達を指導する光栄な機会を持つことができました。 今日の記事は、女性アスリートのトレーニングについて私の考えをまとめたものです。その過程で、ある程度の一般化は避けて通れません。人口の50パーセントに対して、いくつかの憶測を立てないというのも無理な話です。 しかし、これに関して悪く受け取らないでください。 ここでの唯一の目的は、女性アスリートを指導するにあたり考慮すべきことや意見を提供することであり、願わくば私の経験が皆さんのお役にたてばと思っています。 コーチングについての考え これまでに、トレーニングすることを楽しめなかった女性アスリートはいなかったのではないかと思います。 もしかしたらあったかもしれませんが、現時点で記憶に残っているのはありません。 では、初めにリフティングテクニックについてお話しましょう。 リフティングテクニックの指導は簡単! 理由は定かではありませんが、女性アスリートは、トレーニングプログラムにとても集中して取り組みます。これには、彼女たちの聞き取る能力が大きく関わっています。 (男性の聞き取る能力がどれくらい乏しいのかという、男性に対するジョークのニュアンスが含まれているのでしょうが、これは、私の胸にしまっておきます!) 彼女たちの聞き取る能力もさることながら、もっと重要なことに、女性は全般的に男性よりもテクニックに関しては細部重視です。 若い女性アスリートをコーチし始める時に、スクワットの仕方を見せたとすると、彼女はきっと正確に行えているかどうかを確実にするため、労を惜しまずテクニック向上に励むでしょう。 彼女は、テクニックを正しく行いたいのであって、バーにどれだけ重いウェイトを乗せられるかは気にしていないのです。 男性の場合、完全にY染色体に束縛された彼らは、スタート時点から自分がどれだけ強いか、また優れているかを見せたがります。 「スクワットの仕方を見せてくれたわけですよね? では、バーに315ポンド(143キロ)を乗せ、私がどれだけ強いかをお見せしましょう!」 ですから、女性はテクニックに集中しやすく、正しく行うのが早いというメリットがあるのは明らかです。もちろん、コーチング過程はこれだけではありませんが。 言葉によるキューイングをより多く使用する。 アスリートを指導する際、彼らが新しいスキルを習得する方法、または、指導される方法の好みには、主に3つのタイプがあります: 視覚的(例:見せる) 聴覚的(例:キューイングを与える) 運動感覚的(例:実施してもらう) 私の経験から、女性アスリートの大半は、2番目のタイプに分類され、残りの2タイプを足しても2番目が圧倒的に多いくらいです。 さらに一歩踏み込んでみると、女性アスリートは、セットの前と後で上手くできたかどうか口頭による説明を好みます。そうすることによって、言われたことを消化し、次のセットに活かすのです。 もちろん、アスリート一人ひとりがどのような指導に反応するか見つけ出す必要はありますが、多くの女性アスリートが、視覚的または運動感覚的アプローチよりも聴覚的キューイングに好反応を示すことに気づくでしょう。 指導の個人的な側面 女性アスリートを何年も指導している経験から、コーチとの個人的または感情的つながりの必要性が男性よりも高いことが分かりました。 私が長年トレーニングをしている男性アスリートの何人かは、私を慕ってくれますが、もし、私のことを好きでなかったとしても、彼らの求める結果を引き出すことができれば、彼らは、まったく気にしないはずです。 一方、私が何年間もトレーニングしている女性アスリートの中で、コーチとの個人的なつながりが構築されるまでは、なかなかパフォーマンスを次のレベルまで上げることができなかった人達を何人も思い出すことができます。 ポジティブな指導とキューイング どのような戦術またはアプローチを使おうと、結果を出すことができるすべてのコーチに、私は敬意を払います。 そして更に、結果を出せる素晴らしいコーチであれば、誰からでも学びたいと願っています。 しかし、結局のところ私はポジティブなコーチなのです。 わたしの競技人生のなかで、それなりに「否定的な」コーチにも出会いました。彼らは、確かに試合の技術的な面は理解していていても、精神面や感情面を理解してはくれませんでした。 自分のことを非難し気分を沈ませる人のために、最大限の努力をしたいと思いますか? あるいは、この理不尽な壁を乗り越えますか? そうではなくて、アスリートとしての私の能力を最大限に引き出してくれたコーチは、ポジティブ過ぎるほどの人でした。後押しするタイミングを知っていて、一気に世界が変わるような後押しをしてくれるのが彼らのスタイルでした。 最近では、女性アスリートをガミガミと叱ってやる気をくじくコーチを、うんざりするほど多く見かけて、腹立たしくてなりません。 彼らは、どうしてこのアスリートとは折り合いが悪いのだろうか、なぜ彼女は自分の持っている能力を最大限に発揮しないのだろうか、と疑問に思うでしょう。 彼らは、原因が自分自身にあるという思いには至らないのです。 私は、担当しているすべてのアスリートに対してポジティブに接していますが、特に女性アスリートには、さらにもう少しポジティブに接するようにしています。 彼女たちにトレーニングを楽しんでもらいたいからです。 私との個人的なつながりを築いてもらいたいからです。 最も大切なのは、ジムの内でも外でも、彼女たちが、自分が努力したことに対して気分良く過ごしてもらいたいということです。長い目で見るとこれこそが、アスリートとして成功する重要なことだと切に思うからです。 すべてのアスリートをトレーニングするのに、過剰に楽観的な見方をする必要はありませんし、彼女たちが意図的に目標を低く設定したり、コーチの指導に従わない、といった場合にまで誤った褒め方をすると言っているわけでは決してありません。 それでも、女性アスリートを指導する上では、ネガティブ過ぎるよりもポジティブ過ぎるコーチングの手法の方が成功するでしょう。

マイク・ロバートソン 3122字

若いアスリートへの5つの教訓 パート2/2

レッスン3 – しっかりとした基礎が必要 ストレングスコーチとしてアスリートに教えることとしては、これが一番素晴らしいことかもしれません。 あなたが中高生の子供たちに指導しているのなら、この時期は、子供たちと接するのに、ほぼ間違いなく一番いい時期です。この時期の子供たちは、可動性、安定性、筋力など何に対しても、驚くほどの順応性があります。 しかし、多分それよりも大切なのは、この時期の子供たちは、私たちが接する大人の世代のクライアントに比べ、ほとんど偏見がなく、「精神的に柔軟」であることです。子供たちは、持っているべき可動域や、持っているべき強さなどといった偏見を持っていないため、エクササイズプログラムを教えるときの抵抗が、とても少ないのです。 この年代には、驚くほどしっかりとした動きの基礎を教えることができ、私はこれこそがトレーニングの一番のポイントになるべきだと主張します。 それは、成長する過程で、できるだけ多くのスポーツを行うことから始まります。これを表す言葉が、長期間にわたる運動能力の発達(LTAD - long-term athletic development)であり、私たちが子供たちに伝えていることです。 1年中行うスポーツや、遠征チーム、その他、ただ自分を優位に感じたり、誇りに感じたりするだけの諸々はやめるべきです。 7歳以下の遠征チームでプレイしていたことなど、30代、40代になったら誰も覚えていません。でも、結果としてトミージョン手術を行うことになったら、そのことを忘れることはないでしょう。 ジムではまず、動きの基本を教えます。スクワット、ランジ、ヒンジ、腕立て伏せ、ロウイング、懸垂などの正しい方法を教え、人間の身体の素晴らしさを楽しんでもらいます。 最初は、負荷やパフォーマンスなどは重要ではありません。自分の身体で何ができるのかを、発掘し、感じさせることが大切なのです。 実際、3年ルールの大いなる支持者であるZatsiorsky教授の教えに従うのなら: アスリートの発達における最初の3年間は、外的負荷は使いません。 何よりも、子ども達には上手に動く方法を教え、それから重りを動かしたり、長い時間運動したりする方法を教えるのです。 忘れないで下さい、その身体は彼らが一生付き合っていく身体です。私たちの目標は、生涯にわたって続く安定した基礎を築いてあげることなのです。 レッスン4 – 呼吸方法を学ぶ IFASTで評価する大切な項目の一つに、呼吸方法があります。 驚くことでもありませんが、最近は、実に多くの人々が粗末な呼吸をしています。こういった人々が、空気を押し込むことができる二つの場所は、お腹と、斜角筋や胸鎖乳突筋のような補助筋肉を使って空気を「引き込んでいる」首です。 これは、フィールドやコート上でのパフォーマンスの問題だけではなく、フィールド外での生理学的問題にもつながってきます。心配事やストレスが増えたり、寝つきが悪くなったり、夜の間、眠り続けることができなくなったりと、どんな問題にせよ、呼吸の仕方を見直す必要があります。 私たちがIFASTで行っているR7アプローチでは、質の高い呼吸に高い優先順位を置いています。ウォームアップのときもそうですが、更に大切かもしれないのがワークアウトの最後に行う呼吸です。 あなた自身が行ったことがなくても、セッションの最後に、アスリートを、膝を曲げて足を床につけた状態で、仰向けに寝かせてみてください。 約5秒かけて、鼻から息を吸い込むよう指示してください。 そして、約10秒くらいかけて、息を口から完全に吐き出します。 完全に吐き出した状態で3-5秒保持して1呼吸を終えます。これを8-10回繰り返します。 些細なことに感じるかもしれませんが、若いアスリートに呼吸方法を教えることは、良い動きを教えることと同じくらい基礎的なことです。フィールド上でのパフォーマンスに向上が見られるだけでなく、ストレスや心配事も少なくなるでしょう。 レッスン5 – ウエイトルームは教室である 私が若いアスリートに教えるのが好きな教訓の最後の一つは、ウエイトルーム(特に私のウエイトルーム)は教室であるということです。 いんちきに聞こえるかも知れませんが、教室なのです。私が子供たちに人生を教えるクラスです。 あなたが真剣に、身体の改善、パフォーマンスの向上に献身しているとして、学ぶことができる全ての教訓を考えてみてください。 労働倫理 熱望 献身 目標設定 忠誠 良い特性のリストは、どこまでも続きます。 アスリートがウエイトルームに入ってくるとき、私は内心いつも2つのことを考えています。 一つ目は、私と一緒にトレーニングをする子供たちには、いつも楽しんでもらいたいということです。ウエイトトレーニングを、子供たちがやらなければいけないことのひとつではなく、子供たちがやりたいことにしたいのです。 二つ目に、私が指導する子供たちには、私を模範、あるいは尊敬でき、信頼できる人間としてみて欲しいと思っています。私は、自分が完璧であるとか、非の打ち所のない人間であるとかは思っていませんが、常に高いレベルの品性と自尊心を持って行動するよう心がけています。 この記事を読んでいるのなら、あなたは正直で、ちゃんとした人でしょう。あなたに賞賛を。 しかし周りを見てみると、私たちが接する子供たちがみな、安定した社会的基盤を持っているわけではありません。 このような子供たちには、彼らがより良い人間になることができるよう、尊敬し、信頼できる、強くて、ぶれない人が必要なのです。 大人が若い人々に関して良くない話をしているのを耳にすると、どうしようもないほどいらいらします。いつだって悪いものはあります。成長する中で、私も周りに悪影響を与える人達に出会いました。 しかし、この世代を全部まとめてけなすのは、とんでもない言い逃れです。 ただ単に「あの子達はわかっていない」と決めつけたり、今の子供たちは与えられすぎていると文句を言う代わりに、そういった子供たちが立派な青年になるために、私たちになにができるのかを、長い目で、しっかりと見て、考えることの方がずっと有益です。 肉体的にも心理的にも、時間をかけて若いアスリートたちを育ててあげてください。 肯定的な環境において、安心して、成功体験ができる場を提供してあげて下さい。 そして、ウエイトルームが人生にとってどれだけ力強い存在となりうるかを教えることも忘れないで下さい。私は、ウエイトルームで学んだ教訓がなければ、今のような、夫であり、父であり、経営者であり、アスリートにはなれなかったと断言できます。 まとめ 私は自分をとてつもなく幸運だと思っています。何年にもわたり、多くのアスリート達と接してきましたが、私がこれまでに培ってきた知識のいくらかが、彼らにちゃんと伝わっていることを願っています。 あなたが若いアスリートと関わっているのなら、または、あなたの家に若いアスリートがいるのなら、この記事を心に留めておいてください。そして、他にも私のメッセージが役に立つかもしれない人に伝えてください。 何よりも大切なことは、私たちが、子供たちの人生に与えることのできる影響の大きさを忘れないことです。一日一日、変化をもたらすことができます。より良い変化をもたらすために最善を尽くしましょう。

マイク・ロバートソン 3273字

若いアスリートへの5つの教訓 パート1/2

ここ数週間は、とても楽しいアスリートたちを指導して、長い時間をジムで過ごし、あわただしく過ぎていきました。 そんな中で、私が、これまでに若いアスリートに伝えようとしてきた教訓を思い返していました。子供たちは、皆それぞれ少しずつ違い、アスリートとして(または人として)成長し、持っている潜在能力を十分に発揮できるようになるために必要なアドバイスはそれぞれに違います。 以下は、若いアスリートと接する際に、私たちが指導者として伝えるべきだと感じる5つの教訓です。 レッスン1 – 休息はとても重要である 十代のころを思い出してみてください。 夜更かしして、友達と馬鹿なことをやって、今のように立派な人間ではなかった、という場合がほとんどでしょう。 それでいいのです。私たちは、そうやって学び、成長します。 しかし、今の子供たちは、多くの面で、私たちが経験したよりも大変な生活をしていると思います。 学校や、スポーツ、課外活動など今でも似たようなことはたくさんありますが、昔と今では、一つ大きく異なる違いがあると思います。 今の子供たちは社会的重圧や期待という面で、とてつもない重荷を背負っています。 私たちもスポーツをしたり、学校へ行ったり、様々なことをしましたが、今の子供たちに課せられている重圧の大きさには遠く及びませんでした。 だからこそ、子供たちには休息と回復の価値を教える必要があります。 子供たちは、毎晩5、6時間の睡眠では不十分であり、最低でも7、8時間は眠るべきです。 また、リラックスしたり、くつろいだりしてもいいことを教える必要があります。しばらくの間、携帯電話の電源を切り、iPadやノートパソコンの電源を切り、リラックスする時間を作りましょう。(私はいつも、そうやってしばらく電源を切ると、これほどまでにくつろげ、リラックスできるのかとショックを受けます。) そしてもちろん、トレーニングのエネルギーとなる食事をすることが大切です(これについては後述します)。 重要なことは、休息はとても大切であるということです。教室、グラウンド、毎日の生活の中で、高いレベルのパフォーマンスを要求するのは構いませんが、実行と休息のバランスは欠かせないのです。 レッスン2 - 栄養は燃料である これは、1つ目のポイントとも関係していますが、栄養は回復にとって、とても大事な要素です。 最適な例として、以前私が指導していた「ジュース」という子供の話を紹介します。 ジュースは、私が働いていた高校で、バスケットボールをしていました。彼は元気すぎるくらい元気で、一緒にいるのが楽しかったので、他愛のない会話をして冗談を言い合い、かなりの時間を過ごすこともしょっちゅうでした。 ある日、私がチームを指導するため、午後3時に体育館を訪れたら、ジュースが、とても疲れていると訴えてきました。 私:「今日は何を食べた?」 ジュース:「何も。マウンテンデュー(カフェインを多く含む炭酸ジュースの一種)を飲んだから、気合いが入っていて、練習の準備は万全です!」 私:「そうじゃなくて真剣に。朝食と昼食で何を食べた?」 ジュース:「何も。学校に遅刻したから、朝食は食べませんでした。それで、昼食のときは、やらなければいけない宿題があったから、食べるのを忘れました。」 冗談ならよかったのですが、それが真実でした。この子は、その日一日、600mlほどのマウンテンデューだけで、ウエイトリフティングをして、バスケットボールの練習をしようとしていたのです。 アスリートは栄養に関しては、何をするか分からないので、ちゃんと考えてしっかり栄養を取らせることは大変です。どんなものでも全て食べ、それでやり過ごせるアスリートもいれば、食べ物がパフォーマンスにもたらす影響よりも、身体や体格にもたらす影響に敏感なアスリートもいます。 女性アスリートには、さらに多くの時間と注意と配慮が必要です。 女性と食べ物となると、様々な社会的重圧やストレスが関わってくるので、私がかかわる女性アスリートが、食べ物に関して問題を抱えていると感じたときには、すぐに適切な専門家のところに送るようにしています。 それでも、若いアスリート達に、なぜ適切な栄養を取ることが大切なのかの基本的理解ができるよう教える必要はあります。 一番いい方法は、アスリートに食べ物は燃料であると思い出させることです。食事の際に身体に取り入れるものが、コートやフィールドで良いパフォーマンスができるかを決めます。 そのツインキー、チョコレートバー、ポップタルト(アメリカで人気のあるお菓子)が本当にパフォーマンスを改善すると思いますか? 食事の分量を気にしたり、「食事のプラン」(このあたりは栄養士など専門家の知識に頼るべきところ)を決めるのではなく、子供たちとは、栄養学の基本をいくつか話し合うようにしています。 全ての食事で脂肪分の少ないタンパク質を摂取する 全ての食事で野菜や果物を摂取する 炭水化物は悪者ではないが、過剰摂取が起こりやすい 脂肪も悪者ではなく、食事には良質な脂質が必要である 水分摂取は重要である、毎日体重1パウンド(0.45kg)につき1/2オンス(15ml)の水分摂取を目標に このような栄養の基本原則に従うことができれば、そのアスリートは、同世代の仲間の多くよりもずっと優れた身体を手に入れることができるでしょう。

マイク・ロバートソン 2404字

腕立て伏せ パート4/4

腕立て伏せの変換 残念なことに、様々な理由により床での腕立て伏せを、すぐに行うことができない人たちがいます。下記は、腕立て伏せという素晴らしいエクササイズを最大限に活かせるよう、IFASTで私たちが行っている簡単で効果のある変換です。 インクライン 対 標準 まず最も明白に提供する必要のある変換や調整は、床で腕立て伏せを行うのに十分な筋力がない人への指導です。この場合、私は、膝をついて行うよりも、インクラインの腕立て伏せを好みます。 この腕立て伏せは、次のレベルへのスムーズな漸進につながるだけでなく(単純にラックをさげていき、傾斜を減らす)、私たちが求めている、コアの安定性に対する要求がより通常の腕立て伏せに近いからです。 プッシュアップバー 私たちが普段から使う変換方法の一つとして、プッシュアップバーがあります。 肩の回旋、肘、手首などに問題があり、標準的な腕立て伏せを不快感なく行うことができない人々がいます。 プッシュアップバーは、肩の外旋を可能にするだけでなく、上肢を通してグリップをニュートラルな状態にでき(ニュートラルグリップ=両側の手のひらが向かい合っている状態)、手首も、よりニュートラルな状態に保つことができます。 標準的な腕立て伏せは、手首が大きく伸展し、これは多くのクライアント、およびアスリートにとって問題となり得ます。ただ単にプュアップバーを使うことによって、手首にかかる痛みや不快感を減らし、より定期的に腕立て伏せを行ってもらうことができます。 腕立て伏せのプログラム ここまで、腕立て伏せの方法、目的に応じて自由に使えるたくさんのバリエーション、そして腕立て伏せを指導する際に起こる大きな間違いについて説明してきました。 最後に、この素晴らしいエクササイズをどのようにプログラムに組み込むかを知れば、準備は完璧でしょう。 私がプログラムを作るとき、最初に考えることは、プログラムの主な目的は何かということです。 そこから、筋肉量の増加、脂肪減少、強化、パワーの発達などに分けていきます。 どのエクササイズを選ぶかは、最後の方の選択です。私は、様々なアスリートを指導していますが、腕立て伏せは、トレーニングの基本を多くカバーしているため、多数のプログラムに取り入れています。 腕立て伏せを組み込むときに、私が自分自身にする質問は次の通りです。 プログラムに腕立て伏せを取り入れることによって、この人に何を得て欲しいのか? その答えは大体次の2つのうちの1つです。 上半身、および全身の筋力向上 上半身、および全身の安定性の向上. これは、大切な識別で、どのエクササイズを選択するか、回数、セット数をどうするかを決めるのに役立ちます。 筋力強化が主な目的であれば、回数は少なめに設定します(4~8回)。パワーリフターや強化優位のアスリートにとっては、この数は少なくないかもしれませんが、腕立て伏せは重い1回、2回、3回を行うのに最適な選択肢ではありません。 安定性やコントロールを求めているのなら、回数は少し多めに設定します(6~12回)。でも覚えておいてください、やたら回数を増やさなくとも、メディシンボールなど不安定な表面を使った腕立て伏せを選べば、何回行うかにかかわらず、安定筋群を疲労させるのです! 最後にこれも大切なことですが、もし目的が脂肪燃焼だとしたら、セットごとの回数は多めに設定したほうがいいでしょう(大体8~15回)。ただし、疲れてきても、動きの質は高く保つよう心がけてください。 まとめ さあこれで皆さんは、腕立て伏せについて知っておくべきことを、ほぼ全て学びました。 このような記事を書くには、たくさんの時間と労力がかかりますから、この記事を楽しんでいただけたのなら、ぜひ周りの皆さんにも広めてください。 Facebookでシェアしたり、ツイッターで広めたり、単純に記事のリンクを送るでも、どんな形であれ、この記事を広めていただけるとありがたいです。 良い一日を、そしてぜひ何らかの腕立て伏せをやってみてください!

マイク・ロバートソン 1848字