マイクロラーニング
隙間時間に少しずつビデオや記事で学べるマイクロラーニング。クイズに答えてXPとKoinを獲得すれば理解も深まります。
中立な脊柱という神話
中立な脊柱とは神話です。 あるいは、少なくとも、現在のこのコンセプトの認識のされ方には多少の欠陥があります。 説明しましょう… 誰かにスクワットやデッドリフトを効果的に行えるようにセットアップするとき、彼らにとってほしい「中立な」ポジションは確実にあります。 健康と長生きのため、または最高のパフォーマンスのためにトレーニングしているかどうかに関わりなく、私はこれが最適なポジションだと信じています。 中立な脊柱のアライメントがどのようなものかという初歩的な知識が必要であれば、このビデオをチェックしてください。 しかし、実は… 中立な脊柱とは、あなたの脊柱が絶対にそこから動かないという一つの静止したポジションであるとは限りません。中立な脊柱とは範囲なのです。そして、これは、ものすごく重いものを持ち上げたり、非常に爆発的であったりしようとするストレングス/パワー系のアスリートを観察するときに特に当てはまります。 このコンセプト全体について少し説明が必要であると思うので、少し深く掘り下げていきましょう。 中立な脊柱を簡単に説明すると 中立な脊柱のコンセプトは最初にパンジャビ(Panjabi)によって紹介されました。 パンジャビ(Panjabi)は、脊柱には脊柱がとりたい適切で中立的なポジションがあるという持論(そして、これは信じられないほどに、意訳され、意味が薄められ、そして質が悪化させられてしまいました)を持っていました。そのことについてはここで読むことができます。 (脊柱が)そのポジションまたは中立なゾーンにある時、すべて上手くいくのです。 問題は、中立からさらに遠くにそれたり、そのゾーンからより遠くに離れたりしてしまうときです。 それについてより良い考え方とは次の通りかもしれません: あなたの脊柱が最初からあるべきである、中立なポジションという最適なポジションがあります。 これはシンプルに「良い」あるいは「最適な」姿勢と定義することができ、そして良いアライメントや前後および左右でバランスの取れた筋の発達などを必要とします。 しかし、この中立なポジションの先に中立なゾーンもあります。 言い換えると、あなたの脊柱がその動作や動きに関して入り込むことのできる可動域の余地があり、これは必ずしも悪いことではありません。 悪いことが起き始めるのはあなたが以下のどちらかを行ったときです: 悪いまたは適切でない開始姿勢/ポジションをとったとき、または、 その中立なゾーンから離れたり、出てしまったりするとき 以上が、画期的な記事の200語での要約です。本題に入っていきましょう… これをどのように私たち自身、クライアントまたはアスリートに当てはめましょうか? よく聞いてくれました! 中立な脊柱と「コレクティブ」の必要なクライアント もしあなたがより多くの「コレクティブ」やリハビリが必要な人をトレーニングするとき、それらの人に対する取り組み方を完璧にしなければなりません。 私の経験から、痛みを伴う(もしくは痛みが取れたばかりの)人に対しては、厳重で、軍の規律に限りなく近いような厳しい基準を保たなくてはなりません。 彼らは中立なポジションを取らなければなりません。 そしてそのポジションを取ったら、そのままそのポジションを実際に維持しなければならない! もし、中立な脊柱を取らせることが難しいときは、上に登場した中立な脊柱についてのビデオで説明されているようにPVCパイプに1ドルを使うことで時間を節約しましょう。 それによって、あなたが1001個のキューを与える必要もなくなり、さらに、運動感覚についてのフィードバックを与えることもできるのです。 しかし、厄介なことであり、そして私たちの多くが間違えることは… 一度中立なポジションを取らせたら、実際にその中立なポジションを維持させなければならないこと!。 良い例が、バードドッグのような簡単で低レベルなエクササイズを行うときです。 苦労して中立なポジションをとらせることができますが、それを維持できない時はそのエクササイズの有効性を完全に失うことになるのです! このビデオを見てください。 繰り返しますが、もし中立ということが静止したポジションに対して「ゾーン」であるなら、その姿勢やポジションに多少の変動があるかもしれません。 しかし、それは痛みを持っている又は最近まで持っていた人に対しては、とても狭い範囲なのです。 このクライアントに対して肝心なことは、安定とコントロールです。彼らにあなたの選択したエクササイズの発展形(または後退形)をさせ、彼らが必ず堅固で安定しているようにしましょう。 以下が、IFASTでクライアントのトレーニングを始める新しいコーチやインターンに対して、私が毎回与える2つのプロによるアドバイスです: 負荷を減らすことを恐れない、そして 可動域を短く/狭くすることを恐れない。 これら2つのルールに従うことで、実質的にすべてのエクササイズにおいて多くの場合で中立なポジションを取らせ、維持させることができるでしょう しかし、これらの2つのシンプルなルールを守れないと、最も優秀なコーチやトレーナでも苦労するでしょう。 さて、これでスペクトラムの一端を補填しました。これからその反対端について考察してみましょう、そしてこれが今回、私が本当に話したかったことです。 中立な脊柱と競技アスリート 私がデッドリフトについての記事を書くたびに巻き起こる論争点です… 最高重量でのデッドリフトにおいて常にある程度脊柱が動くと言及するというような、細かいことで話に割り込みたい人がいます。 正直にいいますが、これは反論しづらいことです。 結局のところ、私が考える最適なテクニックからは程遠いテクニックを用いながらもすごく強いデッドリフターもいるのです そして、さらに私をこの件について反論しがたくするのは、このようなテクニックを用いても、全く大きなけがを負ったことがない人がいるということです(少なくとも私たちの知る限りでは)。 もし、私のように、より中立な脊柱のポジションは健康とパフォーマンスのためだけに最適なのはでないと感じるのであれば、どのようにこの点に反論しましょう? 私はこのように答えます… まず第一に、中立な脊柱とは、私たちの脊柱が最初に取り、そしてリフティング全体を通して維持するポジションではありません。 もし、最大努力でのデッドリフトを見るなら、脊柱はある程度動くでしょう。 もし問題になっているアスリートが非常に腰部を多く使うデッドリフトを用いているのであれば、多くの(脊柱の)動きがあるでしょう。 そして時々、もし股関節/大腿部をより多く使うテクニックであれば、その動きはより微小になるでしょう。 しかし、これらすべてのケースで、最も優れたデッドリフターは、そのほとんどのリフティングで、中立なゾーンを維持すると言えるでしょう。 そして、もし彼らが中立なゾーンから出てしまうようなときとは、それは最大努力のリフトまたは自己ベストのためでしょう これが、「脊柱に問題なく最適である」ことと「椎間板にダメージを与えないため」に最適であることの違いという私の次の論点につながります。 Dr. Stuart McGillはこのことについて盛んに言及していますが、おそらく脊柱に多くの傷害を引き起こすであろうポジションは、最終可動域での脊柱の屈曲でしょう。 Panjabiに戻るなら、彼は、私の言う「脊柱に問題のない最適」について言及しています。もし、あなたの脊柱が問題なく、さらにあなたの目的がデッドリフトの世界記録を破ることでなければ、あなたのトレーニング時間(そして起きている時間)の99.9%をこのポジションで行う必要があります。 一方で、もしあなたの目的が本当に世界記録を破りたい、またはあなたが通うジムで絶対的で一番強い野獣のような人になりたいのであれば、多少のリスクを伴います。 ここでの秘訣は、「椎間板にダメージを与えないために」最適な範囲に少なくともとどまることです。多くのデッドリフターは、直感的にこの範囲を知っていますし、賢明なため、このポジションから外れたときは単にウェイトを軽くするのです。 もし、デッドリフトの経験が浅く、自体重の2倍を挙上することができなければ、完全に背中が丸まったデッドリフトをすることを考えることすらしないようにしてください。 最後に、私が考える、集団に属さない特殊な人についてです。 そして不運なことに、私たちの多くはこのような人を知っています これは、クロマニョン人のような人で、完全なばかのようにトレーニングし、決してけがをすることなく、そしてもの凄く強いのです。 彼らは、ジムの中で(常に)一番偉そうな口を利くので、私はこのような人が好きではありません。 このような人はノーマルではありません。彼の脊柱、精神状態やその他何であれ、彼は並外れており私たちとは違うのです。 彼は何をやってもどうにかなり、それについて生涯話すことでしょう。 私たちは、彼を畏怖のまなざしで見ることはできますが、かといって彼のトレーニングアドバイスを受ける必要があるという事ではありません。 私の目標を覚えていますか: あなたができるだけ長い間、できるだけ重い重量を挙げ続けていられること。 例外はありません。 要約 要約するにあたって、中立な脊柱を連続体として考えてください。 脊柱のポジションの発展形 理想的な出発点は中立な脊柱のポジションです。これは、静止したアライメントによって決められ、パフォーマンスと健康の両方について、最も多くの自由を与えてくれます。 次のポイントは中立なゾーンです。このゾーンとは、脊柱がいられる、または“滞在”できる、比較的健全で安全な姿勢やポジションの範囲です。 次に、「椎間板にダメージを与えないための」範囲があります。これは、確実にグレーな範囲で、けがのリスク は増加します。もし、あなたの目的が、最大重量をリフトすることであれば、時によってこの範囲に足を踏み入れなければならないでしょうが、しかし、総ボリュームを最小限にし、このようなトレーニングについては賢明になることを強く勧めます。 そして最後に、脊柱が単に「くたばれこの野郎!」というような範囲があります。 この範囲には自己責任で入りましょう。 このトピックについての私のちょっとした見解を紹介しました。中立な脊柱はポジションですが、クライアントやアスリートをトレーニングするときは、彼らの脊柱の中立なゾーンに維持することにより集中する必要があります。
バンドを使った股関節牽引:パート2
バンドを使った股関節の牽引パート2では、バンドの牽引の力がかかる方向を変化させた方法をご紹介します。コアを働かせた状態での実行方法を是非試してみてください。
バンドを使った股関節牽引:パート1
股関節の牽引を行うことで筋テストにより良く反応する人に対して、自宅で行うことができるバンドでの牽引を処方するという理学療法士のアダム・ウルフが提案する、簡単な実行方法のパート1をご紹介します。
スポーツにおいて子供たちを比較すべきではない理由
青少年のスポーツにおいて私が目にしている、憂慮すべきトレンドの一つに、最も年齢の若い子供たちが他の子供たちと比較されることがいかに多いか、ということがあります。これはスポーツへの参加を収益化するプログラムや、技能の向上や確認に責を担うコーチたち、そして自分の子供が落ちこぼれることを心配する両親たちの間で見られる問題です。 最終的にプロのアスリートになっていくであろう12歳の子供の発達過程に関わっていることから、私はこの問題について話をするにあたってある意味ユニークなポジションにあります。そして、更に重要なことに、私は3人の娘の父親でもあります。年長の2人、リディアとアディソンは7歳の双子です。 双子の両親として学ぶ最も重要なレッスンは、人々は常にとんでもなく陳腐な「ダブルトラブル」という言い方を面白いと思って使うということ。それを一旦やり過ごせば、2つめのレッスンは、より実行可能なものです:双子同士を決して比較してはならないということ。 これは彼女たちが子宮内にいた時でさえ明白でした。私達が超音波の診察に行くと、リディアはど真ん中の前側にいて、私達は彼女の顔はガラスに押し付けられているよねとジョークを言っていたくらいでした。一方で、常に「隠れている」アディソンを見つけるのには、技師の力と時間を要する必要がありました。ある時の超音波検査では、彼女の足の裏しか見えなかった時もありました。 彼女たちが生まれた時、オリーブ色の肌でブルネットのリディア(彼女の母親似)が出てきて、ストロベリーブロンドで色の白いアディソン(父親である私同様サンバーンしやすい肌)が出てきました。 リディアは泣き叫びながら世界を相手に戦う準備をして生まれてきました。アディソンは、少し苦労して、NICUで酸素供給と栄養チューブをつけたまま4日間過ごす必要がありました。リディアは元気いっぱいな赤ちゃんで常に母親を求め、アディソンは超メローで、母親がリディアを抱っこしている間、通常は父親の腕の中にいるような赤ちゃんでした。 18ヶ月になった時点で彼女たちは入れ替わりました。リディアはルールに従う子になり、アディソンは態度が悪くなってきたのです。リディアは、私達が用意した食べ物はなんでも食べましたが、アディソンの味蕾は、約5種類程度の食べ物以外の存在を認識することを拒否していました。 リディアはアディソン(少し背が高く体重も重かった)よりも5ヶ月早く歩き始めました。アディソンはリディアよりもスイミングをより早く覚えました。リディアはバットを右利きで、アディソンは左利きでスイングします。アディソンがまだサイトワード(一文字ずつ発音しなくても見た瞬間に認識できるようにしておくべき基本単語)を覚えている間に、リディアは本を読み始めました。これに対してアディソンは、リディアよりも数学が得意でした。 リディアはより速く、アディソンはより強い。リディアは意図を持って傾聴し、テニスやソフトボールや体操のような、より「徹底したコーチング」スポーツを選択しました。これに対してアディソンは、ソフトボールの試合のフィールドなどではボーッとしていて、草を蹴りながら隣のフィールドを眺めていましたが、音楽やアートやダンスといったクリエイティブなことにおいては本領を発揮していました。 私は、アスリートを発達させることを仕事としています、そして躊躇うことなく言えるのは、私の子供たちが来週楽しんで行うのはどのスポーツなのか、更に今から何年も先に楽しむのは何なのかなんて、全くわからないということです。私達の双子は、受胎から今までの人生を99%ともに過ごしてきていますが、今の彼女たちは全く異なっていて、彼らが現在のポイントに至るまでに数々の予測不可能なことの繰り返しを目撃してきています。 私達はスポーツでの成功をうまく予測することもできません。私達は、子供たちがどのスポーツを楽しむのかさえも予測できないのです。どれだけ多くのプロアスリートたちが天才児とか中学レベルのスポーツで目立つような存在でなかったか、皆さんは驚かれるでしょう。現実として認めましょう:思春期は数多くのコーチたちを実際よりもより賢く見せてくれるものです。 言い方を変えるなら、私達にコントロールできる「唯一」のことは、彼らがスポーツに参加している際の、彼らの経験をより豊かなものにすることだけなのです。何が効果的なのか? まず最初に、結果よりも努力を讃えること。チームメイトや友達と何かを行うことに起因する楽しさと、その反復が、重要なことです。私の指導するリトルリーグのゲームから、ある特定のスコアを伝える話はできませんが、物事を深刻に受け止めすぎる嫌なコーチについてなら本を書くこともできます。振り返ってみれば、このコーチは野球に関してもあまりよく理解していなかったようです。 2つめに、目新しさを賞賛すること。新しいことは、子供たちをワクワクさせ、また若い年齢で様々なスポーツに参加することは、後に特化したスキルを構築することができるかけがえのないアスレチックな基礎を培う固有受容感覚の豊富な環境を提供します。この幅広いアスレチックな基礎は、運動面における多様性、動きのスピードと関わる力などを含みます。これらの経験が合わさることで、アスリートに複数の関節にストレスを分散することや特定の部位のオーバーユーズ障害を避けることを教えてくれるのです。 3つめに、スキル獲得に関しては、ランダムな練習は長期的にブロックされた練習よりもより良い結果を生み出すことを理解すること。様々なドリルを組み込んで、それらの順番や継続時間を変化させて、そしてそれらを楽しい競技にまとめていくようにします。 4つめに、インシーズンとオフシーズンの期間を認識すること。このシーズンの変動は、子供たちが特定のスポーツに退屈してしまうことを防ぐのみでなく、ストレス因子に対する段階的な露出も促進することになります。10歳児が、年間12ヶ月間野球のボールを投げ続けるというのは、とんでもないアイデアです;異なる方法での発達を促しつつアクティブな状態を維持するためにサッカーやバスケットをプレーするのは素晴らしい方法でしょう。 5つめに、子供が十分に成熟をしてきたら、できるだけ早めに基礎的なストレングストレーニングプログラムに参加させるようにすること。これは彼らの怪我のリスクを低減させるとともに、様々なアスレチッククオリティに「徐々に浸透する」効果を持つことでしょう。ここでも、他の全てのことと同様に、楽しいものである必要があります! まとめとして、子供たちを比較しないこと;比較するのではなく、彼らは皆それぞれにユニークで、異なる方法で、異なるスピードで発達するということを理解します。青少年のスポーツは、ゲームへの情熱を吹き込み、コミュニティの感覚を楽しみ、エクササイズとの生涯を通したポジティブな関係性を育てることに尽きるのですから。
機能的動作の評価…わたしたちは一体何を評価しているのか? パート1/2
動作のスクリーニングは、フィットネスコーチたちが彼らのクライアントに合った運動を処方し、トレーニング中に怪我をする可能性を減少させることができるという期待から、フィットネス業界にとって不可欠なものとなっています。 この記事では、実際のスクリーニングの適用、そしてトレーニング前にスクリーニングを介入し高リスク要因を特定する方が、点数化されたリスク要因なしでトレーニングするよりも良いのかについて分析します。 怪我のリスクを強調するよりもむしろ、安全で効果的なエクササイズ処方を導くことに主眼を置いていますが、動作の質の評価が運動の現場において重要な役割を果たすという別の見解も提示したいと思います。 わたしたちが本当にスクリーニングしているものは何か? スクリーニングは、ある個人がある病態特有の症状を示す前に、その病態を特定するために用いる戦略を説明してくれます。 しかしそれが機能するためには、観察された機能不全と関連する怪我との間に明らかな関係性があり、早期発見が可能な段階がなくてはなりません。また、機能不全を修正するためのトレーニングを行うことで、傷害発生の可能性が低くなるということ、そしてその機能不全には早期の介入が必要なのか、またはトレーニング周期の後半で介入すればよいのかについても示す必要がありますが、いずれも複数の系統的文献レビューによるエビデンスで強く支持されているものではありません。 ある人の動き方がその人の怪我のリスクに影響するというのは論理的に思えますが、怪我のメカニズムは非常に複雑で多因子的です。 身体の組織にかかる物理的負荷が、その組織の負荷に耐える能力を上回ったときに、怪我が起こります。急性の怪我の場合、この能力は内在的及び外在的要因が出会うところであり、それらの要因が、特定の行動またはタスク中のある瞬間に、組織の負荷を調整する能力を圧倒してしまうのです。 ランナーのハムストリングスの怪我を例にとってみましょう:ランナーがハムストリングを損傷する可能性は、筋力、可動域、持久力、現在の行動(例えばハイスピードでのランニングや方向転換)、彼らの急性または慢性疲労の度合い、神経筋の協調性、バランス、動作の質、そして左右非対称性などの外在的要因が重なって決まります。そして、年齢、性別、過去の怪我など、トレーニングの影響では変えることのできないものが、アスリートの内在的要因にあたります。 上の表は、上記の要因を用いた受傷リスクの仮想ピラミッドです。これらの要素は、単独では怪我にあまり寄与しませんが、組み合わされることによって怪我のリスクがより高くなります。あなたのアスリートにこれらの要因を積み重ねれば積み重ねるほど、怪我のリスクは高くなるのです。 『怪我のリスクのスクリーニング』から『エクササイズ処方を提供するための動作の質評価』への移行 人間の健康状態の大部分は複雑です。スポーツ傷害の多因子的で複雑な特性は、単独因子と予測因子間の線形相互作用からではなく、網目のように存在する決定因子同士の複雑な相互作用から生じるものです。 (論文はこちらへ) したがって、怪我のリスクの単独因子をスクリーニングしてそのリスクを防ぐ行為は、機能不全を解決することなく、あなたを再発のループに陥れてしまうでしょう。 ご覧の通り、上にあるのが発生する怪我、下にあるのが怪我の発生を左右する様々な影響です。単独の要素(例えば臀筋の弱さや動的な膝関節外反)をスクリーニングしてトレーニングし、それらを要素のウェブ(決定因子)に戻せば、通常のトレーニングやスポーツを再開したとたんに怪我が再発することは免れないことがおわかりでしょう。 動作の質の重要性 良い動作の質とは、バランスと協調性をうまくとりながら基本的な動作を遂行することによって定義されます。逆に、動作の質が悪いというのは、一般に正しいとされる理論的基準に従ってこれらと同じ動作課題を達成できないということです(例:ランジ中の過剰な膝関節外反)。 最適なテクニックを優先することは、エクササイズプログラムを処方し提供する際、コーチたちの重要な考慮事項です。不十分なテクニックでエクササイズを継続して行うことは、望ましくない運動パターンや筋肉の不均衡、そして姿勢の偏向の発展につながる可能性があり、それらはすべて危険因子を増加させ助長させるものです。
機能的動作の評価…わたしたちは一体何を評価しているのか? パート2/2
動作の質のスクリーニングがどのようにエクササイズ処方を導くのか? すべての動作評価ツールは、一つの重要な類似点を共有しています:それらは基本的な動作を評価し、動作の質の尺度を提供しています。少なくともこれによって、ワークアウトのルーティンに参加するまたはそれを始めるための能力水準を得ることができます。そして、コーチは、その人が特定のエクササイズやほかのエクササイズのバリエーション、さらに後々その他のより複雑なエクササイズを行えるようにするために必要な補足的運動を行うのにふさわしいかを見なすことができるのです。 まず最初に、アスリートが何をよくできて、何をあまり上手にできないのかを特定することが重要です。 しかし、動作の質の評価は、エクササイズの現場においてさらなる価値を提供します。 ワークアウト中に動作の質を評価することは、個々の関節、筋肉、動作評価からは得ることのできない情報を提供してくれます。疲労やより重い負荷、神経筋制御、異なるレベルの注意力などの中で、動作の質がどのように持続されているのかがわかるでしょう。この評価データから、コーチは機能不全をより深く理解し、適切に自信をもってそれを防ぐことができるようになります。 例えば:スクワット中に膝関節が外反するクライアントが、初期の評価中では非常に軽度の外反しか見られなかったのに、トレーニングでは、そのアスリートがある疲労度に達すると、膝関節外反が増加し高リスクな機能不全になることに気が付きました。ここから、その機能不全がフィットネスの問題、あるいは筋持久力の問題に絞られ、それらの問題が、低衝撃で最大酸素摂取量を改善するためにロウワーを使用した付加的なHIITを追加し、筋持久力のためにウォールシットを加えることによって阻止できることがわかりました。そうではなく、もしわたしたちがただ初期の評価だけを用いれば、そのアスリートは、問題点はフィットネスの欠如の中にあるかもしれないのに、筋力及び神経筋制御を改善するための「膝関節内側」修正エクササイズを永遠にプログラムされてしまうことでしょう。 動作の質を評価し、エクササイズ処方を提供するための簡単な思考プロセスは次のとおりです: アスリートが現在良い動作の質で行うことのできる動作をリストアップし、それらの動作を漸進的な過負荷によりトレーニングする。 アスリートが現在良い動作の質で行うことのできない動作をリストアップし、それらを機能的動作の目標に向けて漸進させるような介入を設定する。 基本的な人間の動作全体で質の高い動作が達成されたら、機能不全が再び生じる前に、どこにある何が限界点なのかを見出すためにトレーニングをきつくすることができる。それによって再発は指摘され阻止されることになる。 アダプティブ・(適応可能な)トレーニングシステムへの適用 FTIのアダプティブ・(適応可能な)ファンクショナルトレーニングシステムにより、コーチたちは、簡単に期分けをしたり、彼らのクライアントに安全で効果的なワークアウトプログラムを案内することができます。 それは5つの柱からなる漸進的なシステムによって機能します。初期の動作の質評価から始め、そこからコーチは、パフォーマンスのためにプログラムする動作と後退させる動作とを強調させて、質の向上を目指すことができます。 1つ目は、「機能及び動作の可動性の回復」の柱です。これは、クライアントが動作の質の基礎能力を達成するために必要な、すべての補足的運動をプログラムすることです。 そこから、2つ目の柱は「自重の適用」、アスリートに外部荷重なしで基本的な動作の実行を教えます。 第三の柱は、「負荷をかけた動作」です。アスリートがすでに十分できる動作で彼らをトレーニングするのはもちろん、彼らがあまりできない、まだ負荷をかける準備ができていない動きにも取り組むところです。 第4の柱は、「筋力とパワーの発展」です。良い動作の質が達成されたら、その動作パターンは漸進的な過負荷によって進展させることができます。第4の柱では、動作の質の評価で、ある関節内の弱さや、トレーニング量の増加や疲労などに対し彼らがどのように良いテクニックを維持して行うかというような、初期の評価では見つからなかったかもしれないさらなる問題が浮き彫りになるでしょう。 第5の柱は、アスリートを「運動制御及び複雑性」へと導きます。アスリートが無意識で有能に基本動作をできるようになったら、今度は複雑なバリエーションを実行することができます。これにより、神経筋制御の問題を浮き彫りにすることができます。その問題は後で改善させるために書き留めておきましょう。 このアダプティブ・(適応可能な)トレーニングモデルによって、アスリートが上手にできることや向上させるべきこと、そしてアスリートが潜在的な怪我を避けるためにさらに取り組むべき部分を絶えず評価すると同時に、あなたの得意な部分や改善の必要な部分もさまざまなトレーニングの側面を通して漸進させることができます。 まとめ スポーツ傷害の多因子的で複雑な特性は、単独因子と予測因子の線形結合によって生じるのではなく、組み合わされた複数の要素の相互作用によって生じます。そのため、動作の評価は、単純に怪我のリスクを点数化して、トレーニングでその点数を改善させようとするための最良のプラットフォームを与えるものではないかもしれません。 その代わり、エクササイズの現場における動作の評価は、アスリートがパフォーマンスや修正処置が必要なエクササイズ、そして適切な修正処置の性質を特定するために取り組むことのできるエクササイズをプログラミングするためのデータを提供してくれます。この情報は、エクササイズ処方を導き、トレーニングの安全性を高め、長期的な機能的効果及びパフォーマンス成果を向上させるために使うことができます。
股関節置換手術に関する全てのこと
両側の股関節全置換手術を経験しているストレングスコーチ、ダン・ジョンに届いた質問に対して彼が自分自身の経験をシェアします。痛みの要因も手術後の状況も個人差があるのは当然ですが、参考になるポイントは必ずあるのではないでしょうか?
評価において重要な追加10項
しばらく前に私が書いた「評価において重要な10項」という記事は、その年の最も人気のある記事の一つでしたー今回はその続編です!頭に浮かんだいくつかのことを書いてみます。 1.トレーニングと同じように、アセスメントもより専門的になってきている スポーツパフォーマンス、そしてパーソナルトレーニングの世界までもがより専門的になるにつれ、わたしたちがクライアントに用いるべきアセスメントは、目の前にいる人々に正しくマッチさせたものである必要があります。例えば、ローテーターカフの筋力テストは、野球の投手にとっては大きな意味を持ちますが、サッカー選手にとっては比較的重要ではありません。バスケットボール選手にとってのシングルレッグ・スクワットテストの結果は、カヤック選手にとっての結果よりもより重要なものとして”重きをおく“でしょう。クライアントの目標と彼らの競技の機能的要求ーの両方が、どのテストを行うのか、そしてその結果をどのように評価するかという観点からアセスメントを導くのです。 しかしながら、すべてをテストすることはできないという難点があるため、優先順位をつけることが重要です。もしこの世のすべてのアセスメントを使用したら、評価は一日中続きーそして一つのセッションを丸ごと費やして誰かの問題点をすべて指摘することになるでしょう。私はそれよりも、信頼関係を築くためにこの時間を使いたいですね。 VO2maxテストは、たとえ野球選手の有酸素能力をいくらか明らかにする可能性があるとしても、私の野球選手の優先事項においては優先度が高いものではありません。恐らく、安静時心拍数をさっと測定することにより、必要な情報を同じくらい簡単にーそしてはるかに手ごろな金額でー得ることができるでしょう。 2.良いテストは、好ましくない結果が出たらすぐにもっと有効な再テストを提示してくれる アセスメントによって、ある人の動き方で間違っているまたは正しいかもしれない部分を垣間見ることができます。もっと重要な質問は:どのような介入が違いを生むのか?前方にカウンターバランスを与えると彼らのスクワットパターンは改善するか?コアの動員をいくらか追加すると彼らの股関節内旋は改善するか?マッサージ・セラピストが斜角筋に取り組むと、彼らの肩の痛みはなくなるのか? セレクティブ・ファンクショナル・ムーブメント・アセスメント(SFMA)(によるスクリーニング・)システムの一つの信条は、常に機能不全で痛みを伴わないパターンから始めるということです。どのような介入が、痛みのない領域における異常な動きを整え、“楽な”適応を生み出すのでしょうか?これは私たちの動作のレパートリーを広げるだけでなく、アスリートやクライアントの積極的な取り組みも促進してくれるのです。 3.ムーブメントスクリーンを行う際には、必ず最初に徹底的な既往歴及びクライアントの“問診”を行うこと 参加前に行う評価がトレーニングでのけがの可能性を劇的に低下しうるということは、誰もが賛同するところだと思います。そして、この評価で最も重要な部分は、動作スクリーンの部分を始める前に行う既往歴及び彼らとの会話であると私は考えています。 例えば、外科的治療を受けていない深刻な肩関節前方不安定性の既往歴のある、関節過可動の女性クライアントがいると想像してください。もしあなたが徹底的に書類を確認し、彼女と詳細な会話をすれば、肩関節外旋を含む動きには注意が必要であることがすぐにわかるでしょう。しかし、もしそのような導入作業をしなければ、基本的な肩関節外旋可動域の検査をして、彼女の肩をひどく脱臼させてしまうかもしれません。 まとめ:書類が第一次に会話、動きは三番目! 4.痛みや低い運動能力のために特定のテストを実行できない人たちには、アセスメントを退行させる 私は胸椎の回旋を評価するのに、Titliest Performance Instituteのスクリーンー腰椎をロックした状態での回旋―を使うのが好きです。しかしそのテストでは、被験者は膝を大きく屈曲させなければなりません。そのため、大腿四頭筋が極端に短縮している人―あるいは人口膝関節置換術を受けてその動きを永久に失ってしまった人がいる場合、これは確実なテストではありません。 そのような人には、座位での胸椎回旋スクリーンを行った方がよいでしょう。 確かな経験則として、一般的なスクリーン(関与する関節や運動制御の課題がより多い)には、特定のアセスメント(関与する関節や運動制御の課題がより少ない)よりも多くの代替案が必要になるでしょう。ですから、アセスメントのアプローチに目を通しながら、物事が計画通りに行かない場合にどのようにテストを退行させるか検討し始めましょう。 5.アセスメントの手段として、トレーニング・テクニックを評価することを見逃さない 痛みやパフォーマンスに悩む人(まさにすべての人ですが)のほぼすべての評価において、私は彼らがよく行っているエクササイズのテクニックを見ます。投手であれば、腕のケアのためのエクササイズ、またはブルペンでのビデオでしょう。パワーリフターであれば、スクワット、ベンチプレス、またはデッドリフトのテクニックかもしれません。アセスメントのプロトコルをどれだけ完璧にしても、彼らが実際にトレーニングするのを見ることから得られる特異性を完全に提供することは決してできないでしょう。 6.人に恥をかかせるためにテストを使わない 先述のポイントの延長ですが、もしその人があるスクリーンでひどく失敗することがわかっているならば、そのテストをするのはやめましょう。もし200パウンド(90.7㎏)痩せたいという350パウンド(158.8㎏)の女性がいるとしたら、彼女は腕立て伏せのテストはあまりうまくできないでしょう。彼女の上半身の筋力及びコアの安定性が、彼女の体重を扱うには十分でないことは推測できますよね。 私が繰り返し思い出すのは: 「アセスメントとは、信頼関係を築き、あなたが気にかけていることを示すチャンスである。誰かに不可能なテストを連発することは、相手に自分は無力だと感じさせてしまうだけである。」 7.緊張をよく見る これは、私がこれまで見た中で最高のマニュアルセラピスト(徒手療法治療家)の一人であり、私のビジネスパートナーであるシェーン・ライ氏のそばで時間を過ごしてから、ここ数年より注意深く見るようになったことです。彼は人々の動きを見て、その人がどこに緊張をため込む傾向があるかを見抜く達人です。例えば、ローテーターカフの筋力テストをするときに歯を食いしばることや、またはアクティブ・ストレートレッグレイズを測定しているときに拳を強く握りしめることなどです。付帯的な緊張の変化を観察することは、あなたの徒手療法施術で最大の利益を得られる場所―そしてトレーニング中どのように指導方法を変えればよいかについて垣間見ることができます。 8.アセスメントの最良の成果とは、実はより精密なアセスメントへの紹介かもしれない 少なくとも年に一度、私はアセスメントを引き受けますがートレーニングをせずに、彼らを精密検査に送ります。それは大抵、実際にとても“病的な”何かが見られ、彼らとワークアウトを始める前に医療専門家に診てもらった方がよいと感じるからです。頻繁に起こることではありませんが、私は目の前にいる人を助けるために、私よりも他の人の方が装備が整っていると感じたときは、“委ねること”を決してためらいません。 9.体重についての彼らの言葉を鵜吞みにしてはいけない 以前、ある身長6フィート8インチ(203.2㎝)の投手が、自分の体重は235パウンド(106.6 kg)だと言ってきたことがあります。翌日、彼は部屋に入ってきて言うのです、「コーチ、今朝実際に体重を測ったら、253パウンド(114.8 kg)でした」。身長6フィート8インチ(203.2㎝)、体重253パウンド(114.8 kg)の青年における18パウンド(8.2 kg)は、110パウンド(50.0 kg)の14歳女子における18パウンド(8.2 kg)ほどは大きな体重比ではありませんが、それでも彼が感じることさえなく18パウンド(8.2 kg)という重さを勘違いしていたことからは、いろいろなことがわかります。それは、身体認知が低く、栄養制御が不十分(間違いなく良い18パウンド(8.2 kg)ではない)なアスリートのサインです。ただ尋ねるよりも、計測した方がよいですよ。 補足:これが適用されるのは男性アスリートのみです;明らかな理由により、私は女性アスリートの体重は絶対に測定しません。 10.綿密なメモをとる 私はよく、長期のクライアントに関するメモを振り返り、彼らの動き(そして処方されたトレーニング)が何年にもわたってどのように進化してきたかを見ることがあります。これは、私があまり詳細にメモをとっていなかったらできないことでしょうーわたしたちは自分たちのビジネスに持続可能なシステムを作り出したいと考えているので、向上するために私は常にこのことに努めています。 従業員の異動により、クライアントのプログラミングの責任が他のスタッフに移されることもあるでしょう。スポーツ医学の専門家は、わたしたちのメモのいくらかを元に取り組みたいと思っているかもしれません。チームや代理人が、わたしたちが選手について発見したことや、それらにどのように対処する予定かという情報が欲しいこともあるかもしれません。文書で記録すればするほど、こうしたコラボレーションが必要な状況により備えることができるでしょう。 ですが最も重要なことは、クライアントのために新しいプログラムを作成するときはいつも、彼らの評価フォームと以前のプログラムをコンピュータ上に開いておくということです。私がはじめに気付いたことを確かめ、それを最新のプログラムと並べて、わたしたちの進捗を確認するためです。このような記録のおかげで、わたしたちの施設だけでなく、国内外にいる何十人ものアスリートに対してプログラムを作成することができるのです。
アナトミーエンジェル:股関節圧縮
股関節は、三軸関節で膨大な動きのポテンシャルを持つ球関節です。大腿骨(腿の骨)が、寛骨臼(骨盤のランドマーク)と関節を形成し、股関節は屈曲、伸展、外転、内転、内旋、外旋へと動きます。 健康で適切に動くシステムにおいて、股関節は空間で動くにつれて自然に圧縮し減圧します。 歩行において下肢がスイングをすると、股関節は自然に圧縮します。サスペンションでの十分な圧縮に向けて、ヒールストライク(踵接地)において股関節は減圧します。この段階は股関節の屈曲、内旋、内転あるいは十分な圧縮を伴います。 このアクションは、数多くの筋肉によって引き起こされますが、健康な股関節においてはその2/3が中臀筋によるものです。 サスペンションからプロパルジョン(推進)へと動く際、股関節は伸展、外旋、外転へ向かうために減圧されなくてはなりません。 ここに問題があります。人々は、数々の理由からこの移行にかなり苦労をするのです。よくあるいくつかの要因は下記のようなものです: 右側の腹部安定性不足 回内時の踵骨の外反不足がプロパルジョン(推進)への移行を制限する 大臀筋のような股関節の推進にかかわる筋群の活性不足 転倒や事故などにより大腿骨が内旋し内転したポジションに押し込まれている これらの要因は、左右非対称な横隔膜/肝臓の位置から右手の優位性、そして一日中座るというような全てのことに関わっています。 これは股関節の間違った運動パターンという結果となり、関節を圧縮されたポジションで維持してしまうこともあります。 関節を十分に減圧することができなければ、股関節はモビリティに飢えることになります。また栄養や潤滑にも飢えさせてしまうことにもなります。 これが、鼠蹊部から股関節外側そして臀筋群へとアルファベットの「C」の形状の痛みという結果となる人たちもいます。彼らが、この「C」の形状を描くように説明すると、私はいつも「圧縮」ということを考えます。その人が前に向かって推進するための股関節の減圧が十分できないために、痛みは歩行によってより悪化することもあり得ます。 また痛みは、足関節の底屈を伴って股関節が適度な屈曲をする座位やしゃがむ動作を過剰に行うことでも悪化するかもしれません。 その人は、股関節の詰まった感覚を解消するために、下肢を単に引っ張ってほしいと周りにいる人誰彼なく懇願するでしょう。 でも引っ張ったりしないでください。 その人が転倒やトラウマ的外傷を経験したのでない限り、股関節の圧縮は間違った運動パターンの結果であり、骨盤から下肢を引っ張り出すようにしたとしても改善されるものではないのです。 最も多くの場合において、股関節は緊張に欠けた腹部のために安定性を生み出そうと試みて圧縮をしているのです。このエネルギー漏れに取り組むことなく股関節を引っ張れば、引っ張ることをやめた途端にその人は、更に股関節が詰まるような可能性を生み出そうとするでしょう。 グレイ・クックは、これについて「スタビリティの問題にモビリティを持ち込む」と呼んでいます。 緊張に欠けた腹部は、大腿骨と骨盤をつなぐ股関節内転筋である恥骨筋のような筋肉を動員して更に股関節が圧縮されたポジションを促進します。 この内旋し内転した股関節は、深部に位置する閉鎖筋をエキセントリックに伸長した状態でロックし、表層の臀筋の機能を下行制御する病理学的圧縮を生み出すようになります。 結局のところ閉鎖筋はより関節に近い位置にあるわけで、位置を感じとるシステムとして他の臀筋群に「圧縮は私達がここでやってますから。あなた方が健康的な圧縮(中臀筋)や、減圧(大臀筋)をする必要はないですよ。」と伝えます。 というわけで、より表層の臀筋の機能による健康的な股関節の圧縮と減圧が、関節表面により近い位置にあるサイズの小さい、やる気がありすぎる安定させるための筋肉群による不健康な圧縮とトレードされてしまうわけです。 お願いします。お友達や家族に股関節を引っ張ってとリクエストするのはやめてください。あなたは、更なる圧縮という結果を引き起こし得る長期的な不安定性を生み出しているのです。そして圧縮が強くなればなるほど、骨関節炎的変化へとつながり得るのです。 私のYouTubeページでは、ハーフニーリングやデッドリフト、ケトルベルスイング、3面的安定性、プロパルジョン(推進/股関節減圧)そして腹部と臀筋群の活性化ドリルを紹介しています。 どのドリルが自分自身に適しているかわからないかもしれませんね。もし痛みを感じているのであれば、分析に加えて治療も必要となるかもしれません。 もしあなたがこの問題を経験しているのであれば、腹部のエネルギー漏れそして股関節の圧縮の要素に関して、この通りの順番で取り組むことができるムーブメントスペシャリストを訪問してください。 いつも通り、どうするかはあなた次第です。
あなたの姿勢をリセットする
姿勢は反射的なものです。実に姿勢は、あなたの神経系の状態を表現しています。また、姿勢は動的なものでもあり、あなたがしていること、考えていること、そして感じていることに応じて刻々と変化します。つまり、姿勢はあなたが保持する体勢ではなく、あなたが表現する体勢なのです。これはまた、真の姿勢には認知的努力が関わらないということも意味します。 では、“姿勢の悪い”人はどうでしょうか?というか、彼らの姿勢は本当に悪いのでしょうか?または、彼らの身体が通常行うことにおいて、それは最適な姿勢なのでしょうか?もし後者であれば、彼らの悪い姿勢は実際には良い姿勢ということになります。あなたが悪いと判断するであろう姿勢は、彼らが生きてきたライフスタイルにとっては最適なのかもしれません。 しかし、もしある人が自分の姿勢を改善したい、またはより美しく見えるようにしたいと思っているならどうでしょう?従来、このようなことを望む人は、認知的努力を用いて自分が適切だと信じる体勢を保持しようとします。これには二つの問題があります: それには多大な精神的エネルギー及び注意力を用いる相当な認知的努力を要します。真の姿勢は反射的なのですから、認知的努力を用いて望ましい姿勢を達成することは非常にストレスがたまるでしょう。 姿勢を一定に保つには、安定筋が姿勢を流動的に“保持”しながら主働筋が動くべき場面で、主働筋群に求められる姿勢を保持させるのが一般的です。これもかなりのエネルギーを必要とします。主働筋群は安定筋群よりもはるかに速く疲弊します。 壁に背中をつけて“完璧な”姿勢を見つけ、その姿勢を壁から離れてからも保持しようとしたことはありませんか?あなたの意識が集中を欠くまで、あるいは筋肉がその姿勢を保持することに疲れてしまうまで、どれくらいこの姿勢を保っていましたか? それでは、どのように姿勢を変化、あるいは改善するのでしょうか? もし日常生が強く求めていることを超えて姿勢が改善されるべきなら、その日常生活を変える必要があるかもしれません。例えば、ある人が毎日8時間以上椅子に座って過ごし、あまり身体活動に取り組んでいないとしたら、なぜその人が槍投げや100メートル走に最適な姿勢を必要とするでしょうか? 日々の生活を営み、頻繁に動くことは、実際にその人の姿勢を変え始めるでしょう。日々の生活の中で生命と共に動くということは、それに適応すべき筋力の要求や身体の使い方を要求します。これだけでも姿勢の変化をもたらすことができるのです。 また、頻繁に四つ這いになることで姿勢の”リセットボタンを押す“こともできるでしょう。子どもの頃にしたように四つ這いになることは、実は完璧な頸椎及び腰椎のカーブを整えてくれるものなのです。手と膝をついて前後に揺らす/ロッキングする、または子供のように手と膝をついてハイハイ/クローリングをすることは、反射的に”完璧な”直立姿勢を構築します。このような運動は脊柱のカーブを再構築し、動作に関わる筋群が身体を動かす方法を学ぶ一方で、安定筋群に脊柱を維持する方法を教えてくれるのです。重要なのは、頭と視線を水平線上に“上げて”保つことです。 実際のところ、より良い姿勢や今とは異なる姿勢を望むのであれば、身体のデザインに取り組むことによって身体に要求しなくてはならないのです。頻繁に動くことや頻繁に床の上で動くことは、身体が反応してくれる”要求”です。ロッキングやクローリングは、神経系に栄養を与え、身体のすべての動くパーツがどこにあるかを脳に思い出させます。これらの運動に頻繁に取り組むことにより、最終的には、認知的努力なしで、望ましい体勢の達成のために誤った筋肉を使うことなく、身体は美しく流動的な動的姿勢を表現し維持することができるようになるのです。 ロッキングやクローリングはまた、気分をリセットするのにも役立ちます。あなたの感じ方や気分は、あなたの思考や姿勢に影響を与えます。これらの二つの運動は、精神や感情を落ち着かせ、その結果あなたの姿勢をより流動的で動的なものに解放してくれます。気分が良くなればなるほど姿勢も良くなり、そして姿勢が良くなればなるほど気分も良くなるのです。 繰り返しになりますが、姿勢はあなた、そしてあなたが生きている人生の反射的な表現なのです。もしあなたがそれを変えたいまたは改善したいのなら、つまりあなたが自分の生きている人生を改善したいのなら、姿勢のリセットボタンを押しましょう。 一日二分間、手と膝をついてロッキングしましょう。行うときには、頭を水平に保ち、視線は水平線上を見上げましょう。背中は“平らに”維持し、丸まらないようにしましょう。 そして、またあるいは、一日二分間床に手と膝をついてクローリングしましょう。ここでも同様に、頭は水平に上げたまま、下がらないようにしましょう。 これら2つのシンプルな運動で、姿勢をリセットすることができるのです。思いがけない方法で、人生の多くのことをより良い方向にリセットすることにつながるかもしれません。 でも、単に私を信じないでください。体験してみてください。一日二分間、できれば一日二回、ロッキングしてみましょう。一日二分間、できれば一日二回、クローリングしてみましょう。これを30日間行ってみてください。私が言っていることが本当かどうか、あなた自身で見つけてください。姿勢は保持するのではなく、思い通りに表現するのです。
「休息をとる」&「活動を維持する」と言うアドバイスが両方とも少し的外れかもしれない理由
以前は、ベッドレストは腰痛の治療の重要な一部であり、実際に多くの人がいまだにそうだと信じています!今はガイドラインとなるアドバイスは「活動を維持する」であり、休息は古い考え方で、一部の臨床医にとっては「悪い」ものでさえあるように思えます。 筋骨格系の痛みや怪我の分野は、非常に速く二極化することがありえます。もし、あるものが優れていないとなれば、それがそうではなくとも、すぐに劣っているということになってしまいます。例として体幹の安定性のエクササイズのことを考えると、それは筋骨格系の断崖から奈落へと落ちて行ってはしまいましたが、それについての注釈が無意味であったとしても、依然として他の腰痛を治療する方法と同じように効果があるものです。 そのため、休息をとることと活動を維持するというアドバイスは共に、おそらく一概的に決めつけた発言のように少し価値のないものかもしれません。臨床医の役割の一つは、人々が自身の痛みをより深く理解し、そしてうまく管理することを助けることであるべきです:この人の個々の症状や制限は何か?同じように分類されたとしても、全ての腰痛が同じではありません。これは、もちろん新事実でもなければ、特に新らしい情報ではなく、Maitlandによる「悪化要因」は今でも痛みの問題を理解し、また人々に自身の痛みの問題を理解させるための重要な要素です。 このような実際に問題を悪化させるものを明確にすることで、私たちは、それらからはもう少し休息とり、一方で問題をそれほど悪化させることのない他のことにおいては活動を維持することができるかもしれません。これは、本来は私の思う基本的な常識以上のことではないのですが、多くの人々がしっかりとした分析なしに休息をとるか、または痛みのあることをやり続けるよう言われていることを考えると、この常識は時折欠如しているのかもしれません。 例 例として、私は最近、ジムのセッション後の夜に悪化する坐骨神経痛の痛みのひどい人を受け持ちました。明らかに、これを続けることは問題であり、ある程度の休息は理にかなっているように思えました、少なくとも私には。より大きな問題の一つは、心理的な対処の観点からは、完全な休息は本当の選択肢ではないことであり、これは一部の非常に活動的な人たちにとってはそうなりえるものです。ここでは、悪化させないように強度とボリュームのレベルを下げるという目標を絞った方法が役に立ち、一方でその人に運動も続けさせ、(適度に)満足させます。時には、頑固/永続的な習慣は非常に根深く、これは完全な休息を基本とした方法に対して難しいものになるでしょう。 ガイダンス もしかしたら、ここがガイダンスの必要とされるところであり、悪化するものを監視して順応させるためのツールを人々に与えることで、問題に対処するための彼らの能力(そして自身に対する自信)に大きな影響を与えることができます。繰り返しになりますが、これは新しいことではなく、90年代のIndahlの文献まで振り返ると、問題や痛みに対処することについての基本的な情報は、彼のグループのアプローチの主要な柱であったことがわかります。 さて、もし痛みが多くの様々な活動において本当に悪いものであれば、最大の痛みが引くまで待つ(一般的にはそうなるでしょう)ために数日間の完全な休息をとることは、私は全く間違っているとは思わず、また同様に、もし痛みが非常に弱い、または特定の運動でしか現れないのであれば完全な休養を取る特段の必要性はないと考えます。実際の微妙な違いは、その中間にある痛みの症状の大半にあります。制限したり今後悪化したりするに十分な痛みがあるが、代償が伴うこともある完全な休息をとる根拠とするにはおそらく十分なものではないのです。 私は非常にシンプルな「視覚的アナログスケール(VAS)」を用いた採点のスケールを使用しますが、問題の過敏性も考慮すべきもう一つの要因です。願わくは、身体活動介入のU字の特性を考慮してほしいものです。 シンプルなスケール(VAS) 8-10-休息 4-7-活動の変更 1-3-活動の維持 活動を変更するための私たちの医学的な理由づけのために自身に問いかけたいいくつかの質問があります: 全く違うことをしてもよいか? ボリュームを変えられるか? 強度をかえられるか? 頻度を変えられるか? これによってどのような影響があるか? 将来的な回避行動の可能性を作り出すことを避けるために、痛みが変化するにつれて元の活動への復帰を必ず段階的にすることも非常に重要です。何かをすることを止めるように言われ、二度とそれを再開しなかった人達がどれほど多くいるでしょうか?私の経験ではかなり多いのです。 キーポイント 一概的に決めつけるようなアドバイスは少しばかげている 優れていないということは劣っているということではない 基本的な痛みの管理のアドバイスは役に立つ 悪化させる運動にいかに順応/調整できるか?
10代における筋力:見過ごされている長期的な運動発達の競争優位性
数年前にこんなツイートを投稿したところ、かなり大きな反響がありました: 大学生アスリートから聞く最大の後悔とは?それは、もっと早く筋力トレーニングを始めるべきだったということである。より強くなることは、パフォーマンスそして新しいスキルを習得する能力に大きな変化をもたらす。もしあなたが21歳で、16歳の時に得ているはずだった筋力をようやく身につけているところだとしたら、かなり遅れをとっていることになる。 ですが私が特に注目したのは、一つの返信です: 「発達上にある若いアスリートが一番やってはいけないことは、一つの生体運動能力を最大値にすることで、すべての能力を発達させることを妨げてしまうことです。長期的なプログラムは、ただ筋力だけでなく、すべてを発達させなければなりません。筋力、持久力、スピード、柔軟性...。搾取はゆるされないのです。」 これは長期的な運動発達に関する最も明白な誤解の一つであり、詳細な返答が必要だと思います。 はっきり言って、私は若い年齢で多くの生体運動能力に優先順位をつけ、運動寿命を通してそれらの能力を発達させ続けることに大賛成です。単にアスリートをパワーリフターにするわけにはいきません。 しかしながら、私がこの発言に同意できないのは、これらの異なる性質はすべて独自の領域であり、別々にトレーニングされなければならないとほのめかしてているところです。実際には、それらの性質を個別のサイロの集まりとしてではなく、一つのピラミッドとして見なければなりません。そのピラミッドの基盤は、間違いなく最大筋力です。 このことについては、私の電子書籍『The Ultimate Off-Season Training Manual(究極のオフシーズン・トレーニングマニュアル)』の中でとても詳しく触れています。以下は、パワーの発達についてさらっと抜粋したものです: 「…最大相対筋力は、あらゆる運動において“じわじわと浸透する”効果をもたらします。もしあなたがスクワットの最大重量を200 lb.(約91 kg)から400 lb.(約181 ㎏)に伸ばしたら、一回の自重スクワットははるかに楽に感じるのではないでしょうか?単発の垂直跳びはどうでしょう?典型的な垂直跳びテストにおいては、力発揮をする時間は約0.2秒間です;RFD(Rate of Force Development;力の立ち上がり率)がどれだけ優れていても、持っている筋力をすべて使うことは決してないでしょう。」 「しかしながら、(仮に)その短時間の中で最大筋力の50%を働かせることができるとしましょう。もしそのパーセンテージが常に一定なのだとしたら、より大きな最大筋力を持つアスリートは自動的に極めて有利な立場にありますよね?200 lb.(約91 ㎏)のスクワットをできる人は、100 lb.(約45 ㎏)の力を地面に対して及ぼすことができる;400 lb.(約181 ㎏)のスクワットをできる人は、200 lb.(約91 ㎏)の力を及ぼすことができる。誰がより高くジャンプできるか、明確ですよね?」 この主張は、研究の世界で一貫して立証されてきました:最大筋力の不足は、その人のパワーの潜在能力を制限するのです。筋力の基盤を持つことで、プライオメトリック、スプリント、そしてアジリティの発達を最大限に活かすことができます。 連続体の持久力端との関わりもあります。 「それでは、このことをスペクトラムの持久力端へとさらに一歩進めてみましょう。もしあなたのスクワットの最大挙上重量が200 lb.(約91 kg)から400 lb.(約181 ㎏)になれば、1セット20回の自重スクワットはより容易に感じるのではないでしょうか?」 「もし100 lb.(約45 ㎏)のダンベルを両手に持ってランジができるなら、ただ自分の体重だけで5マイル(約8 ㎞)走ることはより容易に感じるのではないでしょうか?考えたことがなかったかもしれませんが、あらゆる運動持久力活動は、実際には一連の最大下努力での運動にすぎないのです。」 明らかに、これらの筋力の数値は、圧倒的多数の高レベルな持久系アスリートにとっては非現実的ですが、筋力、パワー、そして持久力の混合を必要とする他のスポーツの競技アスリートにとっては現実的な数値です。 筋力は、アスリートがどれほどうまく動けるかにも関わります。はじめの返信が言及していた柔軟性とは、ウィキペディアによると、「関節または一連の関節における可動域」のことです。これは静的な尺度であるのに対し、運動での成功は可動性、その人がある体勢または姿勢をとる能力にもっと左右されるものです。その違いは与えられた状況下での安定性の有無であり、そしてそれは筋肉の制御に影響を受けます。事実、現に私は、最大筋力の最大の“じわじわ損等する”効果は関節の安定性であり、それが可動性に影響を及ぼすと考えています。 すべての運動能力が重要ではありますが、それらが常にすべて平等に訓練されるべきだと言うのはー特に適応の大きなチャンスを目の前にした若いアスリートたちにおいてはー極めて近視眼的です。言語スキルを習得する前に、数学、科学、そして歴史の講座を受講しようとした子供を想像してみてください。もし読み書きができなければ、これらのより高度な課題を習得するのに苦労するでしょう。筋力はこれと同じように基礎を成すものであり、私はそれをこのピラミッドのように考えています: より底辺に近い項目ほど、筋力による影響がより大きくなります。これらの項目がそれぞれピラミッドのどこに位置づけられるべきか議論することはできますが(そしてそれは問題となっているアスリートによるでしょう)、筋力がこれらの他の性質すべての重要な基盤だということについては誰も議論できません。それは多くのエリートコーチの逸話的な経験だけでなく、非常に数多くの研究にも根差しています。 最後に、しばらく前に、私はマイク・ボイル氏の素晴らしいリソースである『Complete Youth Training(完璧なユース世代のトレーニング)』のレビューをしました。そのレビューの後、私はマイクに、ストレングス&コンディショニングコーチとしてだけではなく双子の娘を持つ親としても楽しませてもらったよと伝えました。そのリソース全体の中でマイクが示した最も説得力のある発言は、彼が自分の娘(大学一部リーグの優秀なアイスホッケー選手)にしたことの中で最も影響力のあったことの一つは、彼女が11歳の時から最低週2日筋力トレーニングをしたことだった、という部分だと思います。若い年齢で筋力を得た場合―そしてそれを何年もかけて維持し増強することでー残りのトレーニングははるかにより生産的なものになるのです。