マイクロラーニング
隙間時間に少しずつビデオや記事で学べるマイクロラーニング。クイズに答えてポイントとコインを獲得すれば理解も深まります。
トレーニングを漸進させる時、全ての負荷が等しいとは限らない
どれくらいが十分でどれくらいが多すぎるのか? 強健なアスリートを作り上げるためには、慢性的(長期的)負荷を増加させ、急激な負荷の変化を最小限にする必要があることが明らかになっています。エリートアスリートであれ「週末戦士(週末にだけ運動を行う人)」であれ、コーチやスポーツ医学の従事者からの質問は多くの場合で同じです−「私の受け持つアスリートが、怪我のリスクを増やすことなくベストのパフォーマンスを出すにはどのようにしてトレーニングの負荷を増加させるべきでしょうか?」。アスリートが、適応し、最終的に能力を向上させるためにはトレーニング負荷がその能力を上回らなければなりません。しかし、もしトレーニング負荷の漸進が急激過ぎ、そしてかけられた負荷が組織の許容範囲を大きく超えた場合には、怪我につながります。 しかし、自身の受け持つアスリートが、処方された負荷を受け止める準備ができているかどうかをどのように評価できるでしょうか?少し前に急性的:慢性的(短期的:長期的)の負荷比率(ACWR)について書きました−安全に負荷を前進させるためのエビデンスベースの方法です(1)。この方法は、長い期間のトレーニング負荷(慢性的負荷)に対する直近のトレーニング負荷の大きさ(急性的負荷)を使って、アスリートの負荷に対する許容量を増加させます。この方法以前は、「10%ルール」が、トレーニング負荷を漸進させるために有効な方法として常に推奨されていました(いくつかのスポーツや身体活動では今も推奨されています)。この記事では、トレーニング負荷の漸進についての研究を検証し、負荷に対する許容量を安全に増加させるための実用的な情報を提供します。 「10%ルール」は実際に存在するか? スポーツ医学やストレングス&コンディショニングの教科書を読んだことがある人ならば、「トレーニング負荷を週に10%以上増加するとけがのリスクが上昇する!」といった文言を読んだことがあるでしょう。トレーニング負荷の増加を週に10%以下に制限することは「10%ルール」と呼ばれています。持久系スポーツ、特にランニングにおいては非常に普及しています。これが意味することは、トレーニング負荷を週10%以上増加することでけがのリスクを増加させ、一方で、トレーニング負荷の増加を週に10%以下に制限することで、アスリートをけがから守ることができるというものです。しかし、どれだけのエビデンスがこの「10%ルール」を支持しているのでしょう? Buistら(2)は、初心者のランナーにおけるトレーニンング負荷の「通常の」または「小さな(週に10%以下)」増加が怪我に与える影響を研究しました。トレーニング負荷の増加が小さいグループは、13週間の期間にわたってトレーニング負荷を漸進させ、一方で「通常の」トレーニング負荷のグループは、同じ量のトレーニング負荷の漸進をより短い期間(8週)で達成しました。トレーニング期間終了後において、ゆっくりとトレーニング負荷を漸進させたグループと(21%)と通常にトレーニング負荷を漸進させたグループ(20%)の間に怪我の発生数の違いはありませんでした。Nielsenら(3)もまた、初心者のランナーにおけるトレーニング負荷の漸進について研究を行いました。彼らは、週に30%以上トレーニング負荷が増加したランナーは、トレーニング負荷の増加がより小さかったランナーよりもけがをしやすい傾向にあることを発見しました。しかしながら、初心者のランナーは、週に20~25%の負荷の増加に対して耐性があることも示しました−少なくとも短い期間は。 これらの結果は、私たちに何を示しているのでしょうか?まず、非常に大きな(~30%)トレーニング負荷の増加はけがのリスクを増加させるかもしれません。次に、初心者のランナーにとってトレーニング負荷を週に10%以上増加させることは珍しくありませんし、少なくとも短い間は、このようなトレーニング負荷の漸進を許容できるでしょう。 あらゆる科学の原則において、状況が重要である チームスポーツのアスリートについて、トレーニング負荷を10%以下に制限すると、怪我の可能性が低いこと(~7.5%の怪我の可能性)を前述しました(1)。しかし、怪我の可能性は、トレーニング負荷の増加が週に15%以上になると3倍になります(~21%の怪我の可能性)。週のトレーニング負荷の増加が50%になると、怪我の可能性が38%まで高くなります(図1)。 図1.トレーニング負荷の異なる変動率と怪我の可能性。チームスポーツのアスリートよりデータを収集。 怪我のリスクを最小限にするには、全てのアスリートが週のトレーニング負荷の増加を10%以下にすればよい、と提案することは簡単でしょう。しかし、ほとんどの科学的な発見において、状況が重要なのです。一般的な総意では、トレーニング負荷の急激な変動は怪我のリスクを増加させるとしていますが、トレーニング負荷の変動はアスリートの慢性的負荷との関係に基づいて解釈されるべきです。慢性的負荷が低いアスリートは、トレーニング負荷の増加に対してより大きな余地がありますが、一方で慢性的負荷の高いアスリートは、トレーニング負荷の増加に対する余地が小さくなります(図2)。慢性的負荷が「天井」に近い時よりも「底」に近い時の方が、週のトレーニング負荷を増加させることが容易なのです。 表1.アスリートの慢性的トレーニング負荷に対する週のトレーニング負荷の変動量の推奨 身体の状態 慢性的負荷 週のトレーニング量の変動量 低体力 低い 10%以下 健康だがトレーニングをしていない 中程度 10%以上 エリートアスリート 高い 10%以下 トレーニング負荷の急激な変動を避けることは一般的に推奨できることですが、コーチやスポーツ医学の従事者は、トレーニングを漸進させる際に常識の範囲内で行うことが推奨されます。10マイルのレースを走ることが目標である、トレーニングをしていない人(現在の慢性的負荷が週に1マイル)を例にとってみましょう。もしこのような人がトレーニングの負荷の増加を週に10%に制限すると、2週目には1.1マイルに漸進し、3週目には1.21マイルになります。10マイルを走りきれるようになるには26週かかることになります。これについては、「ゼロ」の10%はいずれにせよゼロなのです。 もしかしたら「10%ガイドライン」の方がより適した表現かもしれない! もし、「10%ルール」が実際に一つのルールであれば、10%以下の週ごとのトレーニング負荷の増加は常により少ない怪我の発生につながり、そして10%以上のトレーニング負荷の増加では常に高い怪我の発生率を示すでしょう。週ごとのトレーニング負荷の9%の増加は安全で、週に11%の増加は安全ではなくなってしまいます!明らかに、そうではないでしょう。トレーニング負荷を漸進させるとき、10%以下の増加は「ルール」というよりも「ガイドライン」として考えるべきです。 10%の増加が十分かそれとも多すぎるかをどのように判断するか? データの解釈やトレーニング処方を行う時は、一つ以上の情報を用いることが推奨されます。週のトレーニング負荷を漸進させるときに慢性的負荷を考慮するように、トレーニングに対する「反応」も定期的に評価されるべきです。例として、もしアスリートが、過度な疲労や睡眠の阻害、気分障害、筋肉痛を、朝や夜を通して感じると訴えてきた場合、トレーニング負荷の変動がそのアスリートにとっての許容範囲を超えているかもしれません。一方で、もしアスリートが適用されたトレーニング負荷を問題なく受け入れているようであれば、より大きな負荷の増加を処方することが適当かもしれません。ある程度のは、トレーニングに対する適応を引き起こすために必要です;もし刺激が適切でない場合、アスリートは上達しないでしょう。トレーニング負荷を増加させるとき、週に10%の増加は「ガイドライン」として用いることができますが、それでも状況(例:慢性的負荷、トレーニングフェーズ、負荷への耐性)が鍵となるのです。 参照 Gabbett TJ. The training—injury prevention paradox: should athletes be training smarter and harder? Br J Sports Med 2016;50:273-280. Buist I, Bredeweg SW, Mechelen van W, et al. No effect of a graded training program on the number of running-related injuries in novice runners: A randomized controlled trial. Am J Sports Med 2008;36:33–9. doi:10.1177/0363546507307505 Nielsen RO, Cederholm P, Buist I, et al. Can GPS be used to detect deleterious progression in training volume among runners? J Strength Cond Res 2013;27:1471-1478.
ノーマネードリルを使わなくなった理由
胸椎後弯の姿勢の人達によく処方されるノーマネードリル、あるいはスタンディングWドリルと呼ばれるドリルを、近年エリックが投手達に対して使わなくなってきた理由とは?
ハーフニーリング
片膝を床についたハーフニーリングのポジションでのエクササイズを行う際、そのセットアップ方法をしっかりと確認できていますか?ストレングスコーチのマイク・ロバートソンが、彼の施設でのセットアップ方法をシェアします。
Kaori’s Update #39 - ティム・ギャベット教授登場
オーストラリア出身のスポーツ科学研究者であるティム・ギャベット教授が、キネティコスのコンテンツ提供者チームに加わりました。慢性(長期)トレーニング負荷:急性(短期)トレーニング負荷の割合をテーマにしたリサーチの数々の結果を基にしたアプローチとは?
パートナープルのバリエーション
ロープでのプルエクササイズを行いたいけれど、アンカリングできる場所がない。。。どうしよう?と悩んだことはありませんか?パートナー組で楽しみながら行えるプルのエクササイズのバリエーションをご紹介します。
テニスのためのスプリットステップ
ベースラインに立って相手のボールを待ち受けるテニス選手が、スプリットステップを踏み出すとき、理想的な幅はあるでしょうか?相手からのボールがどこに戻ってくるかによって異なる反応となるスプリットステップについてリー・タフトが解説します。
負荷、けが、そしてパフォーマンスについて誰が「責任を負う」のか?
称賛と非難合戦! 個々のアスリートやチームが競技での成功を収めた時、コーチやサポートチーム(パフォーマンスコーチやスポーツ医学の従事者)がその業績を祝うのは自然なことです。最終的に、成功は多くの場合で猛練習や鍛練、粘り強さの上に成り立ちます-そしてサポートチームは、アスリート達がそれぞれのスポーツの頂点に立つために様々なものを犠牲にしてきたのを直接見てきたのです。私達は、また、けがはスポーツの一部であり、そして怪我をしない選手の方が大会で優勝するという成功を掴む可能性があることも知っています(1)。 しかし、チームや個々の成功のどの程度が、コーチやスポーツ医学スタッフ、またはストレングス&コンディショニングコーチに帰するのでしょうか?もし、チームが成功したのであれば、それは良いコーチや良い選手のおかげでしょうか?もし、チームが「上手くいかない時」、それが「フィットネス」のせいだとどれだけ耳にしたことがあるでしょうか?同様に、パフォーマンスまたはスポーツメディカルチームはけがについてどれだけ非難されるでしょうか?アスリートが「壊れる」時、それはストレングス&コンディショニングスタッフがトレーニングを「しすぎた」か、メディカルスタッフによるリハビリが「十分でなかった」かのどちらかなのです! 高いトレーニング負荷の利点と欠点について多くの異なる意見があるため、屈強なパフォーマンスを築き上げるための最適な方法についてスポーツコーチやパフォーマンスおよびメディカルスタッフ、そしてさらにはアスリート自身の意見が食い違うのは当然のことでしょう。この記事では、屈強でけがをしないアスリートを作り上げることについての研究を検討して、統合され、協力し合ったハイパフォーマンスチームを作り上げるための実践的な秘訣をお教えします。 誰が負荷調整の「責任を負う」のか? 高校、大学、そしてプロのスポーツチームでは、「負荷管理」の大切さを今では認識しています。しかし、誰が負荷管理の「責任を負う」のでしょう?コーチ、パフォーマンススタッフ、それともメディカルチームでしょうか?もし、プログラムの目的が競技で成功するための身体特性を伸ばすことであれば、多くの場合でストレングス&コンディショニングスタッフがトレーニングと競技の負荷を管理するでしょう。もし、プログラムの目的が負荷に関連した(オーバーユースの)けがを減らすことであれば、メディカルスタッフがこのデータを収集して報告する責任を持つことが多いでしょう。しかし、これらの答えは誰が負荷やパフォーマンス、そしてけがに対する責任を負うかということを部分的にしか説明していないのです。 誰がけがの「責任を負う」のか? パフォーマンスやメディカルチームか? 「ストレングス&コンディショニングスタッフがアスリートを壊して、メディカルスタッフが彼らを治す」というフレーズがよくスポーツで使われます!図1は不適切なストレングス&コンディショニングプログラムが、アスリートにおけるけがのリスクをどれだけ増加させるかということを示しています(2)。トレーニング負荷が急激に増えすぎた時、けがのリスクが増加し、パフォーマンス不振につながります。しかし、全てのけがが負荷の急激な増加によって起こるわけではなく、したがって、全てをストレングス&コンディショニングスタッフの「せい」にすることはできません。もし、メディカルスタッフが負荷の変動方法について保守的であれば、不十分な負荷でもけがが起きることもあり、その結果として低調なパフォーマンスにつながるのです。明らかに、パフォーマンスとメディカルスタッフの両方がアスリートをけがから守るための役割を担っているのです。 コーチングスタッフか? コーチ達はよく次のような発言をします;「私のパフォーマンススタッフとメディカルチームがアスリートのトレーニング負荷を管理します。私はコーチです–それが私の仕事です。」コーチングは非常にプレッシャーがかかるものです–「毎日炎の中に頭を突っ込む」ことは特別な人しかできません!コーチがコーチングから気を逸らさないようにするのは重要ですが、負荷は様々な要因から起こること–スキルに取り組む場合も含めて、ということを認識することも大切です。コントロールが不得意な野球のピッチャーのことを考えてみてください。試合の後に行う最初のセッションでは、おそらく多くのピッチング練習を行うことでしょう。もしピッチャーがこのピッチング負荷の「急激な上昇」に対して準備ができていなければ、けがの可能性が増加してしまうでしょう。その結果として、先発投手がそろわない場合、チームのパフォーマンスにマイナスの影響がでる可能性があります。これらのことから、コーチもアスリートをけがから守るために一役担っているのです。 アスリートか? トレーニング負荷に関係したけがによってアスリートが故障した時、めったに言及されることのない最後の一人(または集団)がいます-それはアスリート自身です。オフシーズンの休暇からコンディションを落として戻ってくるアスリートを想像してください。パフォーマンスとメディカルチームがトレーニングプログラムを提供したのでしょうが、彼らの「賢い考え」よって、アスリートはビーチでピナコラーダを飲むことの方が良い考えだと判断したのです!もし、彼らがプリシーズンの一日目に故障したのであれば、間違いなくパフォーマンスやメディカル、またはコーチングスタッフが全責任を負うことはできないでしょう?この側面において、アスリートはトレーニングできる状態でトレーニングに現れるという重要な役割を担うのです。彼ら自身のキャリアであり、優れた業績は彼ら自身の「所有するもの」であり、したがって、自身のフィットネスを維持し、けがを防ぐための必要不可欠な役割があるのです。 誰がパフォーマンスについての「責任を負う」のか? 「非難合戦」をするよりも、ハイパフォーマンスチームはトレーニング負荷やけが、そしてパフォーマンスに対する見識を変える機会を持っています。あなたが、コーチとして、ストレングス&コンディショニングコーチとして、スポーツ医学の従事者として、またはアスリートとして何を達成したいのか?なぜハイパフォーマンススポーツに携わっているのか?これらの質問に対する答えはシンプル-ハイパフォーマンスです!大会で優勝することや、ただ単に以前にできなかったことができるようになること-人々は良い結果を残したいのです。高いレベルのパフォーマンスを達成するために、アスリートはコンディションを良くする必要があります。どのようにしてアスリートはコンディションを良くするのでしょうか?トレーニングしなければなりません!このことについて、スポーツのコーチ、ストレングス&コンディショニングスタッフ、スポーツ医学の従事者、そしてアスリートは皆、パフォーマンスについて「責任を負う」のです。 解決策は? もしけがへの恐怖に支配されていないとすれば、どのようにトレーニングするでしょうか?もし、現時点での最適な方法を用いるのであれば、アスリートは徐々に、そして体系的に高い慢性的(長期的)なトレーニング負荷にさらされることになります。高い負荷はより良く発達した身体要素につながるため、結果としてさらによいパフォーマンスにつながるでしょう。 参照 Drew, M.K., Raysmith, B.P. and Charlton, P.C. (2017). Injuries impair the chance of successful performance by sportspeople: a systematic review. Br J Sports Med, 51:1209-1214. Gabbett, T.J. and Whiteley, R. (2016). Two training-load paradoxes: Can we work harder and smarter, can physical preparation and medical be team-mates? Int J Sports Physiol Perform, 12:S250-S254.
床の上でのストレングストレーニング
床の上で自分自身の身体がどう動けるかを感じながら動くだけ。自分の動きの可能性を探りながら楽しく動くことで強化ができるとしたら、動くことが楽しくなりますね?
より良いコアの筋力構築法:キャリーのための骨盤コントロール
骨盤のコントロールのためのエクササイズといえば、思いつくのはデッドバグやバードドッグなど床の上で行うエクササイズがほとんどではないでしょうか?立位で、そして歩行などの活動においての骨盤の安定へと応用するための方法とは?
機能のために重要なエビデンス:脊柱側湾症のためのエクササイズ
Kwan KYH, Cheng ACS, Koh HY, Chiu AYY, Cheung KMC. Effectiveness of Schroth exercises during bracing in adolescent idiopathic scoliosis: results from a preliminary study. (思春期特発性側湾症におけるブレース装用中のスクロースエクササイズの効果性:予備研究からの結果。)Scoliosis and Spinal Disorders 2017; 12: 1-7(脊柱側湾症と脊椎疾患2017;12:1-7) 脊柱側湾症の治療における、ブレース装用に追加してのエクササイズの使用、あるいはブレース装用の代わりとしてのエクササイズの使用は、数多くの研究者たちによって調査をされています。20世紀における治療的介入と比較して、初期の結果は、かなり期待できるものです。これはおそらく、従来のアプローチと比較して、湾曲に特化した運動を使用したことによるものでしょう。突発性脊柱側湾症を持つティーンエイジャーたちの多くは、外科的手術による安定化を必要としないという明るい見通しがあります。 この論文では、ブレース装用のみとブレース装用を伴うスクロースメソッドに基づいた理学療法のプログラムの結果を比較しています。スクロースメソッドは、始めにドイツのカタリーナ・スクロースによって開発され、彼女の娘であるクリスタ・レネート・スクロースによって、数多くのケースにおいて望む効果を作り出すことができなかった側湾症のブレース装用を避けるための「単独プログラム」として、さらに発展をされたものです。脊椎の生体力学に基づいたこのプログラムは、呼吸と立位での身体位置(ほとんどの部分において)で行われるコレクティブムーブメントに注目しています。 上記の論文は、ブレース装用のみのコントロールグループと、エクササイズを追加した治療を受けた24名の患者の比較を報告しています。平均18ヶ月間の治療後、脊柱湾曲のレントゲンによる計測が比較されました。被験者の湾曲の改善、変化なし、悪化を指定する数値として、脊柱湾曲の6度の変化が使用されました。この研究の結果は、スクロースエクササイズの追加により湾曲の計測数値が改善したことを示しています。エクササイズを行なったグループにおいて、17%は改善し(コントロールグループの4%に対して)、62%は変化なし(コントロールグループの46%に対して)、21%が悪化(コントロールグループの50%に対して)しています。彼らは、エクササイズグループ中、よりエクササイズに準拠した13名の患者の分析も行い、31%が改善し、69%が変化なし、悪化はゼロという結果を発見しています。 グレイインスティチュートにおいて、全ての機能的活動や医療的診断を超越する人間の運動の真実、あるいは原理原則が脊柱側湾症の治療にも適用されます。テクニック(ムーブメント)を生み出す戦略は、1世紀以上前に始まった;そして英語で2007年に初版となった「Three-Dimensional Treatment For Scoliosis(脊柱側湾症のための三次元的治療)に詳細を記されているスクロースメソッドとかなり一致するものです。 変形を修正し、改善された姿勢のアライメントを維持するための筋肉の強化のためのムーブメントは、脊柱の湾曲の生体力学に基づいてデザインされています。湾曲の場所はまたクライアントに特化したプログラムの選択に影響を与えます。アプライドファンクショナルサイエンス(AFS ) の戦略は、湾曲の上端、及び下端を共に修正することができるトップダウンとボトムアップのドライバーを利用します。より重要なのは、「S字」の湾曲の下側の湾曲を下から、上側の湾曲を上から攻めて治療をする能力であるかもしれません。AFSの原理原則の一つである「駆動」が、脊柱側湾症治療にも利用されています。 3Dの原理原則を利用したアクティブな、あるいはスタティックな修正は、側方への湾曲のために前額面を組み合わせた後弯、肋骨と椎骨の回旋のために横断面を組み合わせた後弯など、あらゆるタイプの後弯のための矢状面を含みます。これら3つの面全てにおいて同時にスタティックにホールドして修正することもできます。アクティブな修正は、1つの面で動きながら、残りの2つの面でスタティックに修正をホールドすることもできます。ゆっくりとしたアクティブな修正は3つの面全てにおいて同時に実行することも可能です。 ロード・トゥ・エクスプロード=ローディングから力の発揮へ、という原理原則は、ムーブメントの強化をガイドするものであるため、修正には「ゆっくり」という言葉が使用されています。ローディングの動きは、筋肉を伸長し活性しムーブメントを減速した後で、そのムーブメントをリバースします。もし修正のためのムーブメントが素早く実行されると、適切ではない筋肉群が活性されてしまうでしょう。この理由のために、湾曲を悪化させる動きを強化するムーブメントではなく、湾曲を修正するために筋肉群を活性するようにします。修正されたポジションにおいてスタティックの強化も使用することができますが、ローディングの力の向かう方向は、修正を「元に戻す」方向に向かうものでなければなりません。 ファンクショナルなムーブメントによる脊柱側湾症湾曲の低減という、最初の勇気付けられる結果は、グレイインスティチュートにおいて、私たちの介入を最大化するために学ばなければならないことがどれほど沢山あるのかを思い出させてくれます。グレイインスティチュートのGIFTフェローでありオステオパスであるエド・パジェットは、彼自身がGIFTプログラム(グレイインスティチュートのAFSを学ぶ40週間のメンターシッププログラム)で学んだAFSの基礎と、原理原則・戦略・テクニックのプロセスに基づいて、これらの戦略とムーブメントを用い、各クライアントに基づいた側湾症プログラムを構築しました。GIFTの旅路を経験した後で、あなたのキャリアはどのような新しい道に向かうことになるでしょうか?
機能のために重要なエビデンス:脊柱側湾症のためのエクササイズ(ビデオ)パート1
脊柱側弯症の治療としてブレーシングを装用することに加えて、エクササイズを処方した患者において、改善が見られる、または症状の維持が見られる、といったリサーチの結果をもとに、エクササイズの持つ可能性を探るビデオのパート1。
機能のために重要なエビデンス:脊柱側湾症のためのエクササイズ(ビデオ)パート2
脊柱側弯症の治療において、ブレーシング装用に加えてエクササイズを適用することで、弯曲の改善、または維持に繋がるというリサーチの結果に基づいて、Cカーブの弯曲の改善へのアプローチのアイデアをご紹介します。