マイクロラーニング
隙間時間に少しずつビデオや記事で学べるマイクロラーニング。クイズに答えてポイントとコインを獲得すれば理解も深まります。
パーシャルスクワットがスポーツにうまく移行されないのはなぜか?
パーシャルスクワットは、パーシャルスクワットにおいて個人をより強くはするが、フルスクワットへの移行はない。一方、フルスクワットはフルスクワットにおいて個人をより強くし、かつ(パーシャルスクワットと同様にはいかないが)パーシャルスクワットにおいても個人をより強くする。 これはおそらく、関節角度特有の筋力増加を生み出すメカニズムが、短い筋長におけるトレーニングと比較し、長い筋長におけるトレーニング後では異なるためであろう。長い筋長におけるトレーニングは、より多くの局所肥大を含んでおり、全可動域にわたる筋力へより良く移行されるようである。 それでも多くのコーチは、パーシャルスクワットにおける関節角度は、走行周期の立脚相、もしくはジャンプの際の関節角度と類似しているということに留意している。彼らはこの関節角度間の類似性から、パーシャルスクワットは特定の必要な部位において最大の筋力増加を生み出すはずであり、フルスクワットと比較しより良くスポーツへ移行するはずであると示唆している。 そしてこれには非常に納得がいく。 一方、ほとんどの研究は、パーシャルスクワットと比較し、フルスクワットは多くの点において、特にジャンプにおけるアスレチックパフォーマンスを向上するためにより優れているということを示している。 それではどのメカニズムがこの差違を引き起こしているのだろうか? 背景は何か? 我々は通常、ある1つの関節角度においてより強いということに留意しておけば、あまり多くの問題なくこの記事を理解することができるはずである。我々はその角度を瞬時最大トルク角度と呼んでいる。 この瞬時最大トルク角度は、異なるタイプのトレーニングにより、様々な方法において変化させることが可能である。 全可動域を使用、長筋長を使用、もしくはエキセントリックであるトレーニングプログラムは全て、瞬時最大トルク角度をより長い筋腱長に対応する関節角度へと変化させる傾向にある。対照的に、部分的可動域もしくは短筋長を使用するトレーニングプログラムは、瞬時最大トルク角度を、より短い筋腱長に対応する関節角度へと変化させる傾向にある。 そして最も重要なこととして、瞬時最大トルク角度の変化は、関節角度特有の筋力増強を引き起こすメカニズムの1つであるようである。 しかしながら瞬時最大トルク角度は通常、等尺性テストを使用して測定されており、それらは特に高速における動的収縮の際には異なる可能性がある。 では、これは起こるのだろうか? 瞬時最大トルク角度は角速度により異なるか? 瞬時最大トルク角度が、異なる速度において測定された際に異なるのであれば、全可動域のエクササイズは、部分的可動域のエクササイズと比較し、スポーツへより良く移行できる可能性がある。 これは、エクササイズが従来の高負荷スクワットである場合、ジャンプやスプリントと比較し、さらにより遅い動作速度を含むため、とりわけ関連があることとなる。 そしてこれは起こるのである! 瞬時最大トルク角度は、角速度が上昇する際、短筋腱長に対応した関節角度においてみられるが(モフロイドおよびその他、1969年、クナピクおよびその他、1983年、カヌス&ヤルヴィネン、1991年、ヨーンおよびその他、1991年、カーラフおよびその他、1997年、カーラフおよびその他、2001年、カーラフ&パーニアンポア、2001年、アンダーソンおよびその他、2007年、リッパモンティおよびその他、2008年)、この効果は全ての研究において常に観察されるものではなく、1秒間に180度以上の速度においてはそれほど著しくはない(フライ-ロウおよびその他、2012年)。 ヨーンおよびその他(1991年)により報告されたデータから生成された下のグラフは、瞬時最大トルク角度が角速度の増加と共にどのように変化したかを示している。各線は同じ関節角度可動域内で動く異なる角速度を表している。 これは膝関節屈曲である(左から右へと収縮している): 関節角速度に伴う瞬時最大トルク角度の変化 – ここで見られるように、動作速度の上昇に伴い2つのことが起こっている。 まず、角速度の上昇に伴う力の低下(力—速度の関係のため)により、線が下方へと移動している。 2つめに、瞬時最大トルク角度は、角速度の上昇に伴い、さらに右へと移動している。これは、瞬時最大トルク角度が徐々に短い筋—腱長において発生しているということを意味している。 これは膝関節伸展である(左から右へと収縮している): 関節角速度に伴う瞬時最大トルク角度の変化 なぜ瞬時最大トルク角度は速度の変化により異なるのだろうか? グラフからわかるように、瞬時最大トルク角度は、速度の上昇に伴いより短い筋—腱長に対応する関節角度へと移行している。 これはおそらく、筋—腱長が各関節角度において同じであったとしても、筋肉や腱は異なる収縮速度において同様に長さが変化するわけではないために起こっている。(筋肉が収縮する際、収縮が純粋に筋腱単位の短縮を含むコンセントリック収縮である場合であったとしても、多かれ少なかれ腱は常に伸長するということには留意すべきである) 高速の収縮にはわずかな筋の力が関わっており、収縮の始めに多少腱の伸長をもたらす。 高速の収縮におけるよりわずかな腱伸長は、収縮のコンセントリック段階において、筋肉がより長い時間伸長した状態を維持しているということを意味している。これは筋肉が、長さー張力曲線のプラトーにより長くいることを可能にする。ゆえに瞬時最大トルク角度は、全体の関節角度可動域における更に後方へと移行する(マレーおよびその他、1980年)。 低速の収縮には高い筋の力が関わっており、収縮の始めにより一層の筋伸長をもたらす。 この、より大きな腱伸長は、コンセントリック収縮の際、筋肉はあまり長い間伸長し続けているわけではないということを意味している。そのため長さー張力曲線のプラトーからすぐに下降する。ゆえに、瞬時最大トルク角度は、全体の関節角度可動域のより早い段階において見られる(マレーおよびその他、1980年)。また等尺性収縮は全ての中で最も低速で強い収縮である。 なぜこのことが重要なのだろうか? 瞬時最大トルク角度に関し、なぜ収縮速度が重要であるのか? そこには2つの重要な意味合いが存在する。 第1にそれは、等尺性の瞬時最大トルク角度と比較し、動的動作における瞬時最大トルク角度は、常により短い筋—腱長に対応する関節角度であるということを意味している。 第2にそれは、非常に速い角速度におけるスポーツ動作は、極めて短い筋—腱長に対応する関節角度における瞬時最大トルク角度を持つということを意味している。しかし同一人物において測定された際であっても、これらはより低速のバーベルエクササイズ、もしくは等尺性テストと同様の瞬時最大トルク角度ではない。これらの瞬時最大トルク角度は、さらにより長い筋—腱長において起こる。 これは、全可動域における高負荷レジスタンストレーニングが、同様の負荷における可動域の一部を使ったエクササイズと比較し、多くの高速運動動作に、より良く移行する理由であるのかもしれない。 ジャンプに関してこれは何を意味するのか? 大腿四頭筋はジャンプにおける鍵であり、ジャンパーもチームスポーツ選手も、テイクオフ前にフルスクワットの際に見られる深さまで膝を屈曲させているため、ほとんどのジャンプは中程度の大腿四頭筋長における瞬時最大トルク角度を必要としている。 このことは、それらが同様の関節角度付近での最大収縮を含むようであるため、一部のコーチたちが、パーシャルスクワットは有益であろうと仮定することにつながっている。 しかし、これは理論的に思われるが、動作速度に伴い瞬時最大トルク角度がどのように変化するのかということを無視している。 低速の高負荷スクワットの際、瞬時最大トルク角度は長筋長において観察される。一方、ジャンプは非常に高速の動作であることは明確であり、ゆえに対応する瞬時最大トルク角度は、さらにより短い筋長において観察されるということになる。 もし我々が大腿四頭筋の長い筋長で、ディープスクワットのようなトレーニングを行ったとすると、瞬時最大トルク角度をより長い筋長へ移行することとなる。しかし、動作速度を上昇することは瞬時最大トルク角度をより短い筋長へと移行するため、高速において測定した場合、これは中程度の筋長における瞬時最大トルク角度に相当することとなる。 これがまさにジャンプに必要なところなのである。 もしパーシャルスクワットのように、大腿四頭筋の短—中筋長においてトレーニングするとしたら、瞬時最大トルク角度はより短い筋長へと移行する。しかし動作速度の上昇は、瞬時最大トルク角度をより短い筋長へと移行するため、高速において測定した際、これは極めて短い筋長における瞬時最大トルク角度に相当する。 これはジャンプに関して望むことではない。 そしてこれが、パーシャルスクワットと比較し、ディープスクワットがより良くジャンプへ移行する理由である(ワイスおよびその他、2000年、ハートマンおよびその他、2012年、ブルームクイストおよびその他、2013年)。 スプリントに関して入手できる研究はより少ないが、同様の理論が適応できる。 結論 一部の人は、同様の関節角度が含まれるため、パーシャルスクワットはフルスクワットと比較し、より良くスポーツへ移行されるはずであると提議している。しかしフルスクワットは間違いなくより優れており、ジャンプとの関連性においてこれは非常に明確である。 この差違の理由は、瞬時最大トルク角度が動作速度に伴い変化するためである。最大トルク発揮速度は、低速において測定された際と比較し、高速で測定された際により短い筋—腱長において発見されている。 これはおそらく、筋—腱長は各関節角度において同様であるにもかかわらず、筋肉や腱は異なる速度において同等には伸長せず、腱伸長量は高速の収縮においてより少ないことが、筋肉が長さー張力曲線のプラトーにより長く居続けることを可能にするためである。 フルスクワットのような高負荷で低速のエクササイズは、長筋長において最大収縮を生み出す。腱長の変化量における差違により、これらの瞬時最大トルク角度は、ジャンプの際にみられるような、より短い筋—腱長に対応する関節角度におけるアスレチック動作の中の最大収縮に非常に良く対応している。 参照文献 Anderson, D. 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内側筋間中隔
手の薬指と小指が痺れたり、チクチク感を感じる時、手根管症候群ではなく、尺骨神経障害ではないか?と判断する方法や、その解決方法に関してDr.ドゥーリーがシェアします。
より良いモビリティーを即効的に得る
より良いモビリティーを即効的に、というのは高遠な約束のようですが、これはインフォマーシャルではなく科学なのです。これは、私自身が過去5年間に4回受けた脊椎外科手術からの回復という経験の後に発見したメソッドです。 私が手術を受けることになったのは、質の悪いトレーニングの結果ではなく、幾らかの遺伝的な問題と何十年ものスポーツのために必要となったからです。遺伝的な問題とスポーツの組み合わせは、私の上半身、下半身のモビリティーにかなりの欠如を残しました。まず最初、私は多くの人たちが行うであろうプランのように、ストレッチしてストレッチしてストレッチしまくりました。ストレッチで心地よくなることはできましたが、モビリティーは決して向上させることができなかったのです。 もし今であれば、何かがうまく効を奏さない場合に、いつまでもそれを繰り返すことはしないでしょう!もちろん変化は必要としていましたが、いったい何をしたら良いかがわからなかったのです。全てをリサーチしてみました。そして理学療法士のグレイ・クックと脊椎専門家のDr.スチュアート・マクギルの本を読んでいるうちに閃きが生まれたのです。クックもマクギルも共に、理学療法の概念であるPNF (固有受容的神経筋促通)に言及していました。このクラッシックな治療的アプローチは、筋肉にフォーカスをおくのではなく、神経系のパワーにフォーカスをおいています。 ”近位のスタビリティーによる遠位のモビリティー”が、私のスローガンとなりました。今この意味がよくわからなくても、これはあなたのトレーニング方法を変化させることになるでしょう。この概念は、脊椎が不安定性を知覚しているとすれば、保護のために四肢のモビリティーを低減させるという考えに基づいています。これは肩や股関節においてかなりよく見られます。私は、毎回ハムストリングスのストレッチをするたびに、今まで一度もストレッチをしたことがなかったかのように感じていました。私の問題は、筋肉ではなく神経系と不安定性にあったということは明白です。この概念を使用することが私のモビリティーとトレーニングの方法を完全に変化させました。ストレッチをするのではなく”アクティベーション/活性化”するという概念が私のモビリティーとストレングストレーニングを劇的に向上させたのです。そして、その効果があったのは私だけではありませんでした。 世界中飛び回って指導をするうちに、私は人々にまるでマジシャンであるかのように思われるようになりました。アクティベーションの概念を使うことで、長年モビリティーの問題を抱えてきた人達を、あっと言う間に変身させることができたのです。でもこれはマジックではなく科学です。 素晴らしいことに、これらのアクティベーションドリルのほとんどは、ケトルベルとアルティメイトサンドバッグで行うことができます。モビリティーを劇的に変化させる3つのお気に入りのドリルをご紹介しましょう。 ケトルベルデッドバグ 多くの人たちがデッドバグはコアのみのエクササイズであると思っているようですし、これは間違いなく強力なコアのエクササイズです!が、このエクササイズを使う際に目指すゴールが、他のコアエクササイズとの違いを生むことになります。 デッドバグのエクササイズは、クロスパターンの考え方の理解とともに、骨盤のコントロールという価値ある概念を教えてくれます。クロスパターンは、私たちが歩く時、走る時、そして反対側の四肢が動く必要のあるすべての動きに置いて重要なものです。私たちは、この自然な反対側の四肢のパターンを様々な理由で使ってはいますが、それでもさらにトレーニングされる必要があります。残念なことに、怪我や運動不足のライフスタイルによって、私たちはクロスパターンのような自然な人間の動きを失ってしまうからです。 ケトルベルを使ったデッドバグは、反射的に働く深部のコアの筋群とともに、コアの筋力とクロスパターンを向上させます。反射的な深部のコアの筋群を意識することはないかもしれませんが、これらは脊椎の安定性に大きな影響力を持つのです。でも、ここで多裂筋を収縮させるように言われても、よくわからない感じがするでしょう。デッドバグのようなエクササイズは、これらの反射的な筋肉をトレーニングすることを助けてくれますから、骨盤底を見つけようと努力したりしなくても良いわけです。 動作にケトルベルを加えることは、抵抗と重要なフィードバックを提供します。デッドバグをウエイトからのフィードバックなしで行うことは、エクササイズの安定性の側面を取り逃がしてしまいます。このドリルの価値をより良く得るためには、シンプルなプログレッションが十分に役立ってくれます。 ケトルベルのヘイローとアルティメイトサンドバッグのアラウンドザワールド これらの妙なドリルを以前に見たことがあるかもしれません。これらは、モビリティーと筋力を向上させるための”最良の方法”の一つかもしれないのです。ほとんどの皆さんが、ウエイトを動かすことにフォーカスをおきがちですが、動かさない部分にフォーカスをおいて行う必要があります。 ケトルベルのヘイローも、アルティメイトサンドバッグのラウンドザワールドも、身体の周りをウエイトが円を描くように動きます。これらの動きはどちらも、ウエイトから受ける動きに体が”抵抗すること”へのチャレンジとなります。コアに360度でチャレンジをすることをイメージしてみましょう。これは、コアのエクササイズのほとんどが身体を制限された可動域や方向でトレーニングするのみであるために、とても重要なことになります。 両エクササイズともに、トールニーリング、またはハーフニーリングのポジションで、コアをよりアクティベーションして行うことができます。ドリルが立った状態でも行えるように、足が地面を押して活性化することを指導する必要もあります。アクティブな足部は、コアにとって重要な筋肉であるハムストリングスと臀筋を活性化します。シンプルに足を使うようにキューイングをすることで、ドリルを大きく変化させトレーニングにおけるリフティングをより強化することへのキャリーオーバーが期待できます。 ケトルベルのヘイローとアルティメイトサンドバッグのアラウンドザワールドの違いは何でしょうか?ケトルベルのヘイローは小さめの可動域を持ち、体幹の安定性に制限があり肩関節の可動域が制限されている人にとってのより良い選択です。アルティメイトサンドバッグのアラウンドザワールドは、可動域がより大きいため、より重い重量を使うことなくプログレッションをするのに優れた選択です。 ケトルベルプレスまたはアルティメイトサンドバッグMAXグルートブリッジ グルートブリッジは、股関節を適切に伸展をする方法を指導するために、RKCで長年使用されてきました。適切な股関節伸展は、スイングやスナッチ、クリーンのようなバリスティックなパフォーマンスを向上させます。より重要なことして、いかに股関節を使って重りを持ち上げるかを教えてくれるのです。 最近のフィットネスの考え方の中で最も重要なことの一つは、筋肉とともに靭帯、腱、筋膜に注目をするということです。筋膜は全てを包む軟部組織のタイプの一つであり、身体全体いたるところに存在する、コミュニケーションとコネクションのシステムでもあります。2つの缶が糸でつながれている、手作りの”糸電話”のおもちゃをイメージしてください。この糸は、筋膜のコミュニケーションにおける役割をよく現しています。 筋膜は、かなり特化されたコネクションを作り上げます。最も重要なコネクションの一つは、理学療法士のダイアン・リーが、ポステリアオブリークシステムと表現するものです。これは、右脚が左腕と、左脚が右腕とつながるというクロスパターンにも関わります。ポステリアオブリークシステムは、歩行やランニングといった不安定な活動時に安定性を生み出し、より効率的に身体が動くことを助けるために働きます。 ポステリアオブリークシステムを、どのようにしてトレーニングに加えれば良いでしょうか?RKCでは、スイングやその他のバリスティックな動きにおいて、肩をパッキングして広背筋を活性化することを学びます。事実、臀筋と共に広背筋を使わないことは機能的ではないということに関して議論をすることもできるでしょう。 ケトルベルやアルティメイトサンドバッグを使用したグルートブリッジで、広背筋、コア、臀筋を容易にコネクトすることができます。ケトルベルやアルティメイトサンドバッグを加えることで、このシンプル且つパワフルなドリルの効果をより大きくすることができるのです。 指導をする際にいつも伝えるのは、私たちのゴールは、よりたくさんのエクササイズを教えることではなく、身体がいかに動くのかを指導することであるということです。ユニークなエクササイズを指導することが私たちの”マジック”の源なのではなく、マジックは私たちの身体がいかに自然に動くのかを再教育するときに起こるのです。結果が全てを物語るのですから!
より良いモビリティーを即効的に得る(ビデオ)
同タイトルの記事でも紹介された、ケトルベルやアルティメイトサンドバッグを用いた反射的なコアとスリングシステムの連鎖を利用したアプローチの数々を実際のエクササイズドリルでご紹介します。
足首捻挫を予防する
ハイキングをするときに、足首の保護をするようなシューズを着用するのではなく、より自由な動きの可能なミニマルシューズを着用して足首の捻挫を予防するには、どのようなチェックとプロセスが必要なのでしょうか?
スイング側とサポート側、そして同側バターンと対側パターン
みなさん、こんにちは!前回の投稿から少し時間が開いてしまい、あっという間に夏になってしまいましたね。 前回はPRI的に見る関節の動きの捉え方について考えていきました。股関節で言うとFAとAFという考え方で、大腿骨が(安定した)寛骨臼に対して動くのがFA、寛骨臼が(安定した)大腿骨に対して動くのがAFでした。実はこのコンセプトに合わせてDNSに似たようなコンセプトがあるので一緒に書こうと考えていましたが、書き終わるころにはすっかりPRIの話で終わってしまっていました笑 ですから、今回はその似たようなコンセプトである同側パターン・対側パターンについて考えていきたいと思います。 PRIとDNSのコンセプトは一緒に語られることが多く、事実ぼく自身させて頂いているワークショップでもほぼ並列でお話ししています。混ぜて話すとPRIとDNSのコンセプト自体ぼやけてしまうので、そうしていませんが、似ている部分が多い為に同じワークショップで2つのコンセプトを話してもある程度つなげて理解していけるような気がします。特に呼吸が大切である、という部分に関しては双方一致しており、呼吸という共通点があるからこそKinetikosフォーラムでこのセクションがあるんだと思っています。今回は呼吸に関しては世界のTK氏もぼくも書いてきたのでひとまず置いておいて、同側・対側パターンについて考えたいと思います。 そして同側・対側パターンについて考えるとき欠かせないのが、サポート側(Support Side)とスイング側(Phasic/Stepping Forward Side)というコンセプトです。例えば歩行についてサポート側とスイング側を考えてみましょう。左足が地面についている時(=立脚期)右足は地面から離れていますよね(=遊脚期)。この際左はサポート側で、右はスイング側となります。左脚には地面からのサポートがあり、それによって左脚が残りの身体のサポートになっているという事です。逆に右脚は左側からのサポートのおかげである程度自由に動くことが出来ます。もちろん右足が立脚期にあるときは右がサポート側になりますし、この際左はスイング側となります。言い換えるとスイング側をオープンキネティックチェイン(OKC)、サポート側をクローズキネティックチェイン(CKC)とも言えそうですが、個人的には少しニュアンスが違うと考えています。 サポート側とスイング側が大切なコンセプトであるのは、それぞれの側の筋肉の使い方が違うからです。続けて歩行を例にして、最初にスイング側の股関節を考えてみましょう。スイング側の脚は安定している寛骨に対して大腿骨が動いています。ですから、股関節の屈曲時には屈曲筋は大腿骨から骨盤方向に引っ張り、大腿骨を動かします。 スイング側というコンセプトを関節で考えたときに重要なのは、遠位の骨が近位の骨に対して動く、という事なのです。そしてスイング側の動きをトレーニングに置き換えて言うと、一般的なトレーニングはほとんどスイング側の動きをしています。フィットネスジムで見かけるマシントレーニングやダンベルを使ったトレーニングなどはスイング側の動きをトレーニングしているものだと言い換えることが出来ますね。もちろん「近位の安定性が遠位の動作性を生む」という言葉にあるように、スイング側の近位の骨が安定しているというのが前提です。 ではサポート側の動きを考えてみましょう。歩行時には右脚が立脚期の時は右側がサポート側です。再び股関節を見てみると、右脚は地面についているので安定している大腿骨に対して寛骨が動きます。ですから股関節の屈曲時には屈曲筋は骨盤から大腿骨方向に引っ張り、骨盤を動かします。 サポート側のコンセプトで関節を考えると、近位の骨が遠位の骨に対して動く、という事になります。歩行の場合で考えると、地面に足が着地した後、着地した側の股関節は内旋方向に動いていきます。大腿骨に対して寛骨が内旋していく動きです。 なかなか想像しにくいですよね。というのも、ほとんどのトレーニングだったり、エクササイズというのはサポート側というコンセプトはあまり考えられていなかった訳ですから仕方がありません。もう一歩深く考えると今まではトレーニングやエクササイズの際に動いている部分には注目してきましたが、「動いていない部分」と言うのがサポート側の役割であり、重要な課題なのです。 例えば、スプリットスタンス、またはランジの姿勢になり、片手でケーブルを手前に引くエクササイズをするとします。この際前足の股関節は閉じたり開いたりしますが、この部分はまさにサポート側の動きです。安定した大腿骨に対して骨盤が動いている(遠位の骨に対して近位の骨が動く)ので、まさにサポート側です。こういったエクササイズの場合、一般的にトレーナーはどの様にケーブルを引くか、広背筋を使っているかどうか注目しますよね?肩がすくんでいないか、あごは上がっていないかなどチェックするかもしれません。体がぶれてほしくないので、しっかりとプルの動きに集中出来るように下半身の動きを固定、または制限していたかもしれません。ですが、サポート側というコンセプトを考えると大腿骨に対して骨盤を動かすというトレーニングにはこの片手のケーブルプルは最適でしょう。個人的にはどんどん股関節を動かしていいと思います。 もうお分かりかもしれませんが、ケーブルプルをしている際、ケーブルを持っている方の腕はスイング側の動きです。安定した胸郭、または肩甲骨に対して上腕骨が動いていますから(遠位の骨が近位の骨に対して動く)、スイング側の動きです。 写真はケーブルを引っ張っていますが、同時に股関節は外旋している状態です。彼の安定した左の大腿骨に対して骨盤が外旋したパターンですね。 こういった考え方をしながらトレーニングを再考すると今までとは少し違った景色が見えてくると思います。それでは次のアーティクルではこのスイング側とサポート側のコンセプトを元に同側・対側パターンについて考えていきましょう!
頸椎と肩帯の分化
レニー・パラチーノが、首が肩から独立して回旋することができるように、肩帯から頸椎を分化することの重要性を語り、また、テーブル上でのアセスメントの方法と、頸部の張力による統合性の確認の方法をデモでご紹介します。
肩帯前部の組織へのアプローチ
レニー・パラチーノが、肩帯前部の構造へのアプローチの方法をデモでご紹介します。頸椎と肩帯の分化のアセスメントに引き続いて行うことも、また単独のアプローチとしても行うことが可能です。
立位での股関節外旋アセスメント
立位で荷重を受けている状態での股関節外旋能力のアセスメント方法を、ベン・コーマックがご紹介します。このようなタイプのアセスメントは、大腿骨に対して骨盤が回旋することを必要とする日常生活での機能により関連性を持つものです。
ムーブメント"コレクション"における問題点
モーシェ・フェルデンクライスは “コレクト(修正)はインコレクト(間違い)である”と語っています。彼は人々のムーブメントパターンをコレクトしようとする労力のことを語っているのですが、これは人々のムーブメントをより効率的にするためのメソッドを掲げていた人の言葉としては、少し変にきこえるかもしれません。ムーブメントをコレクトする労力とは、彼にとってどういった意味があり、何を示唆していたのでしょう?私は、彼のメッセージはクライアントに今の動きが間違いで修正が必要であると伝えるよりも、クライアントに違った動きのオプションや選択肢を教えるものなのだと理解しています。 以下にコレクションを処方するよりも、より好ましい、選択肢を与える3つの方法の解説を簡潔にお話します。 1. ある人にとっての“正解”は、他の人にとって“不正解”である 私達が勘違いしているかもしれない最初の問題は、ムーブメントには正解と不正解があるという私達の考え方です。 誰かのムーブメントパターンを見て、どこかにぎこちなさや違和感を感じたとしても、そこに、その人特有の身体構造における最適な運動解決策を見いだすことはできるでしょう。 最近目にした、極度のO脚のランナーのことを思い出します。もちろん彼の歩行は普通ではないパターンでしたが、その身体構造で可能な限りスムーズに動いていた彼のランニングは、私に何かを考えさせるものでした。感心させられました。 しかし、もしも彼がランニングフォームを技術的にコレクトするのに私の目に見えないような関節、筋肉または神経システムの怪我や疾患といった障害を持っていたとしたらどうでしょうか?その場合には、彼にはコーディネーションがかなり必要である、と私は考えていたことでしょう。しかし、これは間違いとなっていたはずなのです! 私は、ほとんどの人は動作をかなり向上させることができると信じています。もしそうでなければこの記事も書かないでしょう!ですが、もし全てに関連する変数要素を知ることがなければ、特定の動作に対して向上が可能であるかどうかを判断する事はとても難しいということに気づきました。 例えば、制限や違和感があるように見えるかもしれない特定の動作は、動作スキルが悪いのではなく、身体組織へダメージを与える可能性に対しての、神経システムの一部の知的な判断なのです。バレット・ドルコは、普通でない動作を病理的と分類することの問題を説明するのに、素晴らしい表現をしています — 私達は ”防衛反応”を見ているのか”欠点”を見ているのか?それを知ることはとても困難かもしれません。 このような不確実なことを踏まえて私が考える(そしてフェルデンクライスが主張している)優れた解決策は、修正を指示してそれが効果的であると推測するのではなく、よりオプションと多様性を提供し、その結果をテストするというアプローチをすることです。もしも新しい動作オプションが前の動作よりも本当に改善されているのであれば、セラピストの判断に関わりなく、クライアントの神経システムがそれを好んでいるというサインを示すでしょう。 2. “機能不全”の識別は動作への恐怖心とノーシーボ効果を生み出す “機能不全”の認識と修正の処方におけるもう1つの落とし穴は、本来役立つ動作パターンに対する説明できない恐怖の要因になってしまうことです。 キネスフォビア(動作への恐れ)は、慢性痛における良くない結果に繋がります。その理由を理解するのは簡単です。痛みは恐怖の認識の結果であり、脳が恐怖を分析するのに考慮する入力の1つは認識能力–特定の動作が安全かどうかに関する思考と信念です。もしもクライアントが、専門家からその動作は危険であるというメッセージを受け取った場合、その動きにたいする恐怖、つまりその動きが痛みの原因になるという思い込みの要因となるでしょう。 何を恐れるかを決定するのは脳内の知性、意識性、合理的な部分だけではないということを忘れないでください。これは同時に愚かさ、無意識、原始的な部分でもあるのです。それゆえ、もしあなたがクライアントに特定の動作は病理的であると意見した場合、クライアントの脳の愚な部分が間違った理解をし、極端に対応してしまうかもしれません。 私はスチュアート・マクギルの本を呼んだ後、多少ではありますが腰椎の屈曲にたいする不健全な恐怖を抱いたことを告白します。同じ事を報告した少なくとも数人のセラピストと話をしました。ポイントは、これらの素晴らしい本に問題があるわけではなく、身体を守ることを目的にした善意のアドバイスが、予想外の形で動作への恐怖へ発展してしまうということです。 この問題は、クライアントに特定の動作が間違っているとか病理的だと伝える前に、充分に注意を払う事で防げると私は考えます。重点はオプションや違う方法の提案、そして効果を生み出せたかどうかを見極めることです。 3. 信憑性欠如 動作を修正する次の落とし穴は、修正された動作パターンは強制的で不自然、そして信憑性の欠如を感じることにあります。例えば、クライアントは自分達の姿勢を変えるためにセラピストのアドバイスを実行するかもしれませんが、その新しいフォームを維持するにはぎこちなさと意識的な注意が必要とされます。問題はクライアントの意識的な脳は働いていても、動作をコントロールする深層の無意識な部分はしっかりと使われていないことです。 クライアントのほとんどは、どんなに推奨されるムーブメントパターンであっても、もしそれが不自然だったり意識的な注意なしで継続できなければ、単に諦めるでしょう。しかし非常に強い意志を持っている人達はその不自然なムーブメントパターンが病理的な習慣に変わってしまうくらい長い期間をかけて順応するように継続してしまうのです。そして本物の動作との繋がりは失われてしまいます。 どちらのケースにおいても、もしクライアントの神経システムの深層で無意識な部分が、その新しい動作パターンを効果的であると受け入れなければ試みた修正法は失敗するでしょう。ゆえに、繰り返しますが、クライアントに何をすべきかを伝えるのではなく、彼らに自らの利益として使えるリソースや情報を与えることに重点を置く方向性を持つアプローチがより望ましいのです。 修正することは間違っているのでしょうか?それはクライアントをより動きやすくする為の助けとなる素晴らしい方法であり、私が目指していることでもあります。ただそれをどういったスタイルで行うかは大切です。私は修正を指示して現状のパターンを敵扱いするのではなく、オプションを提案するという方法で考えたいと思います。
ACL損傷の機能的戦略 パート1A
(パート1Bはこちらへ) 最近、ACL(前十字靭帯)損傷は、多くの注目を集めています。2部構成のこの記事のパート1では、ファンクショナル・ムーブメントの観点からリハビリテーションと予防プログラムに影響を与えるために、ACL損傷に関連する運動学と動作、そして、どのように私達がこの情報を利用することができるのかということに着目していきます。パート2では、この情報をいくつかの具体的な動作とエクササイズのアイデアへと進めていきたいと思います。 2部にわたって、下記の事に着目していきます: ACL損傷に関連する運動学 ACL損傷に関連する動作 運動連鎖の影響 避けるべきトレーニングとトレーニングすべき動作(神経筋技能)とは? 筋力と力発生率 皮質再現とタスク特定の神経可塑性 段階的な進行 疲労時の動作 反応トレーニングと意思決定 リハビリテーションと傷害予防における映像に基づいた動作のアイデア。初期段階から後期段階へ。 漸進的なプログラム イギリスの国民保健サービス(National Health Service, NHS)によると、イギリスでは、100,000人中約30人がACL損傷を負っていると発表しています。ACL損傷は、スポーツ傷害全体の約40%を占めています。 アメリカでは、年間175,000件のACL再建術が行われ、推定見積額は$2,000,000,000にも及ぶと推測されています(Gottlobおよびその他 1999年)。 60%~70%のACL損傷は、非接触型の性質があります(Boden 2001年, Kobyashi 2010年)。これらの傷害は予防可能だったのでしょうか? しばしば、傷害や痛みの正確なメカニズムを究明することは困難です。正確に指摘される特定の事象は無いのかもしれません。痛みはしばしば、数多くの要因によって調節されている可能性のある多要因的な事象で、組織の状態や病理と常に一貫した関係があるわけではありません(Moseley 2007年)。 しかし、ACL損傷のような、特定の組織への特定の外傷性の事象を伴う傷害に関しては、これは少しだけ他よりもはっきりしていることが多いかもしれません。利用可能な研究によれば、これはいくつかのかなり一貫した機序に関連しているように見えます。ある特定の動作が、ACL帯に対して、更なる機械的張力をかけるという情報はリハビリテーションの過程において、関連する組織への負荷を減少させたり、増大させたりするのに利用されるかもしれません。組織への適切な負荷を管理することは、治癒過程において不可欠です。同様に、傷害予防でもこれらの特定の動作に焦点を合わせるでしょう。 ACLの傷害機序に関する利用可能な情報、スポーツにおける必要性、競技復帰のためのプログラムの間にはギャップが存在するかもしれません。エリートレベルのスポーツにおいて増幅される動的側面と多面的側面においては、特にそうかもしれません。この記事では、スポーツ環境における機能的な必要性に基づいた、いくつかのリハビリテーションのアイデアを提供することを目指しています。跳躍テストや等速性筋力テストのようなファンクショナルテストは、競技復帰のための最も一般的なファンクショナルテストです(Abramsおよびその他 2014年)。しかし、通常、競技復帰が行われる術後6~9ヶ月目において、健側と患側の間の著しい左右差がまだ見られます(Abrams 2014年)。跳躍は、等速性筋力テストよりも機能を反映していますが、それが矢状面における動作に偏っているならば、カットのような多面的な動作の必要性を反映しないかもしれません。カットは、ACL損傷が頻発する多くのスポーツにおける基本要素であり、ACL損傷に関連している動作です。 これらのテストと関連するリハビリテーションプログラムは、競技復帰に必須とされる真の機能性が反映されているのでしょうか?再受傷率は12%と報告されていて、競技復帰は重大な再受傷の危険性を示しています(Myklebust 2005年)。 傷害に対するリハビリテーションと傷害予防のプロセスに関して、二つの考え方があるかもしれません。一つは、ACL損傷に影響がある動作を回避するトレーニングをすることであり、もう一つは、特定の動作、関連する運動パターンとメカニズムを使用することによってコントロールするトレーニングをすることかもしれません。これは、身体が免疫システムの構築に必要なメカニズムを作り出すために、患者に対して管理され、漸増する量を与える免疫療法と比較できるかもしれません(この場合は、神経筋系を介してですが)。 ここでのカギになる質問は、もし私達が強い力を含むある動作を回避するトレーニングするならば、ACLにダメージを与えるような動作に耐えるための関節モーメントを作り出すことができるのかということです。膝関節の外反動作は正常で、これに関連した運動学を経験することがなければ、それはスポーツパフォーマンスを大幅に制限するかもしれません。膝関節動作の速度と可動域の制御能力は、最も重要な要因かもしれないのです。 私達が運動学的範囲のピークを減少させようとする際に、筋力はカギとなる変数ではないかもしれないということを後ほど見ていきます。 ファンクショナル・ムーブメントに基づいたアプローチを用いる際に、私達はリハビリテーションと傷害予防のための漸進的なプログラムを作るために、利用可能なデータを使用するでしょう。 ACL損傷に関連する膝関節の運動学 ACLを最大限のストレスにさらす運動学を最初に理解することが重要です。 Marklof (1995年)は、膝関節における脛骨の前方剪断力(脛骨−大腿骨伸展の関節運動学において見られるように)が、ACLへの有意な荷重を産出することを発見しました。純粋な内旋・外旋、あるいは純粋な外反・内反モーメントのどちらも、ACLに有意な負荷をかけませんでした。純粋な脛骨の前方剪断力よりも、脛骨の前方剪断力が膝関節の外反モーメントと同時に発生する際に、有意な負荷がかかるという結果になりました。 内反モーメントと内旋の組み合わせもまた、外旋や外転のような動作単体よりも、さらに大きな負荷をACLにかけました。Marklofおよびその他は、膝の屈曲角度が減少する際に、これらのモーメントが全て増大することを示しています。 Kiapour (2013年)は、死体モデルを使用して、ACLに最大負荷がかかるような動作の、高速ダイナミック着地での生体内の様子に着目しました。これらの動作においては、まず脛骨の前方変位が起こり、続いて、膝関節の外転と脛骨の内旋が起こる事が発見されました。 Marklofの研究における重要な発見の一つは、ACLのストレスをテストするために用いられた浅い膝関節屈曲角度でした。これは、次のセクションで議論される傷害機序に関連する動作についての他の研究でも繰り返し見られます。Kiapourの研究では、膝関節の角度は25度に固定され、着地時の動的性質、あるいは25度よりも浅い異なる膝関節屈曲角度でのACLへのストレスの差異を反映していないかもしれません。個々に行われたこの研究は、異なる動作における異なる力に関しては反映していないかもしれませんが、大きく見れば、複数の情報源から得ることができる総意を支持するものです。 両脚ジャンプタスクにおける膝関節外転の高負荷と動的な外反の増大は、ACL損傷の予測要因に関係があるとされています。膝関節の外転は確かに危険因子ではありますが、その他の負荷との組み合わせであるも要因かもしれません。ACL損傷に関連する運動学のパズルのたった一つのピースを減らすことを目標とすることは、複合的な動作にわたる多面的戦略に比べて効果は弱いかもしれないのです。 MCL(内側側副靭帯)は、膝内側空間の開口部を止める主要構造体であることが示されています(Matsumoto 2001年)。これは、膝関節の外反モーメントそれ自体が、ACL損傷を引き起こす可能性は低ということを意味しています。MCLが無傷の状態での外反モーメントにおけるACL緊張は最小限ですが、MCL断裂後は顕著です(Mazzocca 2003年)。Fayad (2008年)は、84件のうちたった5件が接触時によるもので、非接触時に起こるACL損傷は、MCLの完全断裂に付随して起こるということを示しました。 研究からの重要な情報: 膝関節における多面的な運動学が、ACLをより大きなストレスにさらし始める。 膝関節伸展と脛骨の前方変位(伸展に関連する)が、膝を最大の単一負荷にさらす。 伸展時のストレスの増大は、内旋・外旋動作や内反・外反動作のような付加的な動作によって増大する。 これがどのように私達を導くのか? 荷重は多面的にわたって発生し、リハビリテーションプログラムに反映されるべきである。 多面的張力に勝る単独の運動学変数は存在しない。 組織と運動系を段階的に露出するために、リハビリテーションにおいて、単一面的張力から多面的張力へと漸進することが重要である。 参照文献 Abrams G, Review Functional Performance Testing After Anterior Cruciate Ligament Reconstruction: A Systematic Review, The Orthopaedic Journal of Sports Medicine, 2(1) 2014 Boden BP, Dean GS, Feagin JA Jr, et al. Mechanisms of anterior cruciate ligament injury. Orthopedics. 2000;23:573-578. Fayad L Anterior cruciate ligament volume: analysis of gender differences, J Magn Reson Imaging. 2008 Jan;27(1):218-23 Gottlob CA, Baker CL Jr, Pellissier JM, et al. Cost effectiveness of anterior cruciate ligament reconstruction in young adults. Clin Orthop Relat Res 1999;(367):272–82. Hewett T et al, Biomechanical Measures of Neuromuscular Control and Valgus Loading of the Knee Predict Anterior Cruciate Ligament Injury Risk in Female Athletes - A Prospective Study, The American Journal of Sports Medicine, Vol. 33, No. 4 2005. Kiapour A,Timing sequence of multi-planar knee kinematics revealed by physiologic cadaveric simulation of landing: Implications for ACL injury mechanism, Clinical Biomechanics 29 (2014) 75–82 Kobayashi et al, Mechanisms of the anterior cruciate ligament injury in sports activities: A twenty-year clinical research of 1,700 athletes, Journal of Sports Science and Medicine (2010) 9, 669-675 Markolf KL, Burchfield DM, Shapiro MM, et al. Combined knee loading states that generate high anterior cruciate ligament forces. J Orthop Res 1995;13:930–5. Matsumoto H, Suda Y, Otani T, et al. Roles of the anterior cruciate ligament and medial collateral ligament in preventing valgus instability. J Orthop Sci 2001;6:28–32. Mazzocca AD, Nissen CW, Geary M, et al. Valgus medial collateral ligament rupture causes concomitant loading and damage of the anterior cruciate ligament. J Knee Surg 2003;16:148–51. Moseley L, Reconceptualising pain according to modern pain science, Physical Therapy Reviews 2007; 12: 169–178 Myklebust G, Bahr R, Return to play guidelines after anterior cruciate ligament surgery, Br J Sports Med 2005 39: 127-131 Olsen, O.E., Myklebust, G., Engebretsen, L., Bahr, R., 2004. Injury mechanisms for anterior cruciate ligament injuries in team handball: a systematic video analysis. Am. J. Sports Med. 32, 1002–1012.
ACL損傷の機能的戦略 パート1B
(パート1Aはこちらへ) (パート2Aはこちらへ) ACL損傷に関連する動作 ACL損傷の傷害機序を解明するために使用されている二つの方法は、映像解析や既往に関する問診です。どちらも限界はありますが、実にいくつかの共通する特徴を示しているのです。 ACL損傷は主に、プラントやカット、ジャンプ後の着地、ランニング時の急な減速や方向転換のような非接触型の機序によって発生します。傷害予防の観点から、これらは最も予防可能なものでしょう。 膝関節が内旋、あるいは外旋を伴い、外反に入ってしまった。 膝関節屈曲角度が浅かった(20度、あるいはそれ以下)。 患側の足が地面と接触した際に、傷害が発生した。 スピードが速かった。 体重配分が100%患側だった。 Olsen (2004年)は、ハンドボール選手を被験者とした彼の研究において、受傷時の状況を二つの大きなグループに分類しました。プラントとカットが機序のものが最も一般的で12件、そのうち4件が両足での蹴り出し時、8件が片足での蹴り出し時でした。全ての傷害が、蹴り出し側の膝に発生していました。1件を除く全件で、方向転換のための蹴り出し時に、膝が膝の軸の内側へ入っていました。膝関節は、内旋、あるいは外旋を伴うほぼ真っ直ぐな状態でした。 片脚着地が次に一般的で4件でした。足がしっかりと地面に着いていて、外旋の状態でした。 上記は、Olsen (2001年)の研究 'Injury mechanisms for anterior cruciate ligament injuries in team handball: a systematic video analysis(ハンドボールチームにおけるACL損傷の傷害機序:系統的映像解析)'からの表です。 Kobayashiおよびその他 (2010年)は、日本で1,700人のアスリートを対象に20年間にわたる臨床研究を行いました。彼等は、非接触型が全ACL損傷の60.8%を占め、それらの症例の51.9%が、ニーイン・トーアウトの動的アライメントを伴うものであることを発見しました。この報告された動的アライメントは、膝関節の外転と外旋に関連している可能性があります。 Boden (2000年)は、100件のACL損傷のうち72%が非接触型であることを発見しました。ここでも、膝はほぼ完全伸展の状態であったことが確認されました。機序は、方向転換直前の急な減速、あるいは外反を伴う着地での膝関節からの崩れでした。 Olsenはまた、アスリートが同様の動作をこれまでに何度も繰り返しているかもしれないのにも関わらず、ACL損傷が発生してしまう理由について詳しく研究しました。多くの場合の、押された、掴まれた、著しく幅広い足の位置といったものと同時に、摂動が報告されました。予期せぬ出来事に対処するための運動能力は常に、特別手当みたいなもので、リハビリテーションや傷害予防の考慮に入れることが可能なもう一つの変数です。 ここでは、ACL損傷を引き起こす、道理にかなっていて一貫性のある運動変数と位置の一連について見てみましょう。このデータを持つポイントは、私達は利用可能な情報に基づいて、リハビリテーションと傷害予防の戦略の土台を築かなければならないということです。 これがどのように私達を導くのか? リハビリテーションにおいて、張力を変化させるために膝関節屈曲角度を利用することが可能。 浅い膝関節屈曲角度を使用するリハビリテーションと傷害予防は、高レベル、あるいは後半段階での戦略に利用できる可能性がある。 同時に起こる多面的運動学と動作を含む運動が必要不可欠。 脚全体の動作の順序と力の散逸。 リハビリにおいて動作の速度を段階的に上げていく。 リハビリにおいて片脚荷重の比率を段階的に上げていき、傷害予防においては片脚荷重を100%の比率で行う。 着地動作、減速動作、カット動作が、リハビリテーション後期と競技復帰には必要不可欠。 摂動、あるいは反応的要素のような付加的なトレーニング変数が重要。 いかなるダイナミックなスポーツにおいても、私達は、減速や力の合成をするために運動連鎖全体の使います。多くのACL損傷においては、膝が動きの三面全てにおいて、かなり動きを起こしているのがみられます。 私達はまた、膝関節に限局した動作と力の必要性を削減するための適切な動作を提供するために、同側における股関節と足関節の能力を探らなければなりません。足がしっかりと地面に着いた状態でのカット動作では、反対側の脚が反対の方向に動くことによって、地面に着いている脚の近位から始まります。この同時に起こる股関節の外旋と外転が、大腿骨を経由して、膝関節における動的な外反と関連する外旋を減少させるかもしれません。 制御された状態で、足関節の外反する能力と相対的に外転(回内に関連する動作)する能力もまた、脛骨を経由して膝関節の動作を制御するかもしれません。脛骨の内旋は、足が効果的に回内の可動域、あるいは速度を制御できないことが原因で引き起こされるのかもしれません。膝関節における外旋モーメントは、回内できない足が、大腿骨と密接に関連する脛骨の内旋を減少させることが原因で引き起こされているのかもしれません。 足関節背屈と股関節屈曲の減少はまた、膝関節屈曲角度を減少させるかもしれず、それがACL損傷に関連する膝関節の浅い屈曲角度につながる可能性があります。 脚全体の巧みな動作に焦点を合わせることは、プラント、カット、着地に関わる三つの構成要素を統合するために、有益な戦略なのかもしれません。複雑な協調、および複数の関節と筋動作の順序は、ACL断裂を引き起こすのに必須とされる強い力の散逸において必要不可欠です。 機能に関連する動作における巧みな、順序立てられた脚の動作。 部分的貢献のための三次元全てを通しての股関節と足関節の優れた能動的可動域。 ただ個々の筋肉の強化よりも、特定の動作の集合的な協調と制御に焦点を合わせること。 ここでは、 特定のリハビリテーションと傷害予防プログラムの作成を始めるために、 スポーツの機能的な必要性に関する研究と私達の知識から得られる多くのポイントをみてきました。スポーツにおいて必要とされる特定の動作を反映する、より機能に関連した競技復帰テストにおける研究、特に、高額な臨床機器を使用することなく実践できるものが必要とされています。 第2部では、私達が集めた情報を漸進的なリハビリテーションプログラムと操作可能な関連する変数に組み入れることに着目していきましょう。 参照文献 Abrams G, Review Functional Performance Testing After Anterior Cruciate Ligament Reconstruction: A Systematic Review, The Orthopaedic Journal of Sports Medicine, 2(1) 2014 Boden BP, Dean GS, Feagin JA Jr, et al. Mechanisms of anterior cruciate ligament injury. Orthopedics. 2000;23:573-578. Fayad L Anterior cruciate ligament volume: analysis of gender differences, J Magn Reson Imaging. 2008 Jan;27(1):218-23 Gottlob CA, Baker CL Jr, Pellissier JM, et al. Cost effectiveness of anterior cruciate ligament reconstruction in young adults. Clin Orthop Relat Res 1999;(367):272–82. Hewett T et al, Biomechanical Measures of Neuromuscular Control and Valgus Loading of the Knee Predict Anterior Cruciate Ligament Injury Risk in Female Athletes - A Prospective Study, The American Journal of Sports Medicine, Vol. 33, No. 4 2005. Kiapour A,Timing sequence of multi-planar knee kinematics revealed by physiologic cadaveric simulation of landing: Implications for ACL injury mechanism, Clinical Biomechanics 29 (2014) 75–82 Kobayashi et al, Mechanisms of the anterior cruciate ligament injury in sports activities: A twenty-year clinical research of 1,700 athletes, Journal of Sports Science and Medicine (2010) 9, 669-675 Markolf KL, Burchfield DM, Shapiro MM, et al. Combined knee loading states that generate high anterior cruciate ligament forces. J Orthop Res 1995;13:930–5. Matsumoto H, Suda Y, Otani T, et al. Roles of the anterior cruciate ligament and medial collateral ligament in preventing valgus instability. J Orthop Sci 2001;6:28–32. Mazzocca AD, Nissen CW, Geary M, et al. Valgus medial collateral ligament rupture causes concomitant loading and damage of the anterior cruciate ligament. J Knee Surg 2003;16:148–51. Moseley L, Reconceptualising pain according to modern pain science, Physical Therapy Reviews 2007; 12: 169–178 Myklebust G, Bahr R, Return to play guidelines after anterior cruciate ligament surgery, Br J Sports Med 2005 39: 127-131 Olsen, O.E., Myklebust, G., Engebretsen, L., Bahr, R., 2004. Injury mechanisms for anterior cruciate ligament injuries in team handball: a systematic video analysis. Am. J. Sports Med. 32, 1002–1012.