マイクロラーニング
隙間時間に少しずつビデオや記事で学べるマイクロラーニング。クイズに答えてポイントとコインを獲得すれば理解も深まります。
ケトルベルクリーンまでの 4つのエクササイズ
素晴らしいトレーニングメソッドではあるのですが、トラディショナルな枠組みに収まってしまいがちなケトルベルトレーニングを、目から鱗がポロポロ剥がれるような納得のリグレッション~プログレッションでジョシュ・ヘンキンがご紹介します。
ファンクショナルマッスルファンクション:構造的解剖のその先にあるもの
すべての筋肉の解剖学を学ぶのは大変なチャレンジです。私自身も解剖学に関する知識をテストされることへの不安や、またそのチャレンジに見合うことへのプライドを覚えています。その頃理解できていなかったのは、機能的動作中に筋肉が実際にすることに関しての洞察を提供するには、その知識がいかに限界を持っているのかということでした。解剖学の知識は必要ですが、人間の運動における筋肉の役割を理解するには充分ではないのです。 グレイインスティチュートでは、人間の動きの”真実”を常に探し求めています。この探索はしばしば我々に、教えられたことを再検討することを強いることとなり、結果として過去に私たちがクライアントに行ったことは、最適ではなかったかもしれないと認識することにもなります。下の欄に記載してあるのは、我々がいかにその専門職を”積み重ねていくか”を変えることになる筋肉の機能に関わる幾つかの要因です。 ファンクショナルマッスルファンクション(機能的筋肉機能)は、イコンセントリック(遠心求心性/伸張短縮性)ー 従来の指導は3つのタイプの筋収縮があることを示唆しています:コンセントリック(短縮)、エキセントリック(伸張)、そしてアイソメトリック(等尺)。しかしながら、歩行のようなよくある活動のチェーンリアクションバイオメカニクス(運動連鎖生体力学)を学んでみると、筋肉が同時に伸張しつつ(一つの面、あるいは一つの関節において)短縮し(他の面において、あるいは他の関節において)、長さが変化していない(他の面において、あるいは他の関節において)こともありえることが明確になってきます。グレイインスティチュートにおけるこの筋肉機能の”真実”は、イコンセントリックという言葉で表現されます。 ファンクショナルマッスルファンクション(機能的筋肉機能)は、シナジスティック(相乗的/協働的)ー 構造解剖は筋肉が主働筋と拮抗筋であるという概念を奨励します:一つの筋が他の筋に相反すると。とても孤立した関節における一面動作であれば、これは真実でありえますが、ほとんどの機能的運動においては、この主働筋と拮抗筋という観点は全くの誤りです。相乗作用/協働作用は筋活性の協調されたパターンです。これらの協働作用は一時的に集結し整理され、調整可能な柔軟性を持ちます。すべてのコーディネイトされた動作は、すべての筋肉が同じタスクを達成しようと試みる(競争ではなく協調して)という協働作用を含みます。 ファンクショナルマッスルファンクション(機能的筋肉機能)は、タスク特定 ー 筋肉解剖の学習の成功のために、あらゆる筋肉の機能は普遍であると考えがちです:常に同じであると。しかしながら、筋肉はイコンセントリックでシナジスティックですから、筋肉は特定のタスクで要求される動きに対して調整をすることができ、またしなければならず、そのタスクに対して他のすべての筋肉の貢献も必要となります。筋肉は、スイミングのタスクと比較して歩行のタスクにおいて、またジャンプのタスクにおいては異なる貢献の仕方をしなければなりません。人間という機械は、同じ筋肉群を使って異なったタスクのために異なった協働作用を作り出すことができる能力に恵まれているのです。が、しかし、状況が変化をすれば同じタスクでも異なる協働を要求します。 ファンクショナルマッスルファンクション(機能的筋肉機能)は、状況依存である ー タスクを達成するために身体が成功する協働作用をつくりだすことができ、異なった状況のためにその協働作用を適合させる必要があります。グレイインスティチュートでは、単一のタスクにおいてさえも、そこで作られた協働作用は”状況”に依存する、と言います。この状況を最もわかりやすく考える方法は、タスクが行われる環境や、身体の最初のスタート位置、そしてその他影響する外在の力を考慮することでしょう。協働作用は重力と床反力を利用しなければなりません。協働作用は運動のモメンタム(惰性)を捉えなければなりません。協働作用は、伸張された筋膜と結合組織のエネルギーを利用しなければなりません。これらの環境的な力は常に変化をしています。タスクに対する状況の影響の例の一つは歩行です。スムーズで平坦な表面で歩く、不均等で傾斜した表面で歩く、スイミングプールで歩く、月の上で歩く、これらはそれぞれ異なった環境(状況)をもち、そのタスクをうまく完了させるために協働作用の適合を要求するのです。
ファンクショナルマッスルファンクション:イコンセントリック
筋肉の収縮は、コンセントリック(短縮性/求心性)収縮、イセントリック(伸張性/遠心性)収縮、あるいはアイソメトリック(等尺性)収縮のどれかであると学びましたが、実際の機能において筋肉は常にこれらのカテゴリーに収まる働きをしているのでしょうか?グレイインスティチュートGIFTプログラムの学長であるデビット・ティベリオ博士がイコンセントリック収縮のコンセプトを紹介するビデオです。
腋下へのシンプルなアプローチ
腋下の組織への徒手的アプローチは難しい、と思っている方も多いのではないでしょうか?このビデオではレニー・パラチーノが、肩関節のより良い屈曲や水平外転を得ることができる、シンプルでありつつ効果的な腋下の組織へのアプローチ方法をご紹介します。
傷害への抵抗力をつける最良の方法
”この車は3秒間で、0~97km/時まで加速できるんだけど、ブレーキは効かないんだ… ドライブする?” 先日、東京都内でランチを共にしていた友人のアレックス・スガイが、このようなシナリオについて語り始めました。アレックスは優秀なテニス選手であり、テニスコーチであり、疑うことなくスポーツパフォーマンス向上に関してのしっかりとした知識を持っている人です。私たちは、いかに多くの人たちがスポーツにおける加速トレーニングにのみ注目をして、減速の役割に関してはあまり考えることがないか、ということを話し合っていました。 私自身がスポーツパフォーマンスの世界に足を踏み入れ始めた頃(昔々大昔)、NASMのコースで、私たちの身体は、力を発生するためにまず力を縮小しなければならないということを学びました。当時の私の未熟な脳には、その概念はとてつもなく啓発的なものでした:私たちは実際、アスリートがより多くの力を縮小することができるようにトレーニングすることで、つまり、より良い減速能力を生み出すことで、彼らのパフォーマンスを向上させることができる。 我々が減速することができる能力は、意識的レベル、無意識的レベルの両方において、私たちの身体が何をするかの多くの部分を決定づけます。誰かに6インチ(15センチ)の高さのボックスから飛び降りるように頼めば、彼らは顔色一つ変えずに実行するでしょうが、同じ人に6フィート(183cm )のボックスから飛び降りるように頼めば、怪我をせずに着地時に安全に力を吸収できるかどうか、衝撃を安全に減速できるかどうか怪しくなってかなり心配してしまいます。 スポーツや様々な活動では、急速な方向転換が要求され、予期されるストップやカットを実際に素速く減速させることができる能力がないのがわかっていれば、我々の脳は、その動きのスピードを下方制御することになるでしょう。 アレックスと私がランチを食べながら話していたように:もしあなたがテニスボールに向かって素速く走ることができるようになりたいのであれば、そのボールに到達した時に急速に止まることができる能力を持っていた方が良いでしょう。そして私が何年も昔に学んだように、加速に注目するよりも、減速をトレーニングすることがよりスピードの向上を可能にするのです。 現在業界を見渡してみると、このレッスンをしっかりと心に留めて、そのために何かしている人はあまりいないように思えます。正直なところ、私自身も何年間もの間、これといったことはしていませんでした。減速能力発達は、コートやフィールドなどで行われるSAQの一部であり、トレーニングルーム内でそういったトレーニングをするというコンセプトは考慮していなかったのです。 それは数年前にジョシュ・ヘンキンとDVRTシステムに出会ったことによって変わりました。ジョシュがアルティメイトサンドバッグを、様々なポジションや角度からクリーンしたりスナッチしたりするのを見ましたが、ただ単にリフトのコンセントリックの部分が終了したらバッグをドスンと落とすのではなく(バーベルでは通常そのように行いますが)、彼はUSBが通ってきた軌道に沿ってコントロールしながら元の位置まで戻した、つまり減速をしていたのです! 同じことを自分で試してみようとしてみて、リフトの減速部分をうまく行うのがいかに難しいのかに驚かされました。ローテーショナルクリーンでUSBを肩の高さまで持ち上げることはできましたが、同様に回旋しながら元の位置に戻そうとした時に思わず倒れそうになりました。ローテーショナルクリーンがDVRTレベル2コースに含まれる動きであるのには理由があるようです…この動きが正しく実施されるには、それ以前にできるべきことの必須条件が沢山あるのです。 レベル1コースに於いては、コース参加者は、これと似たような感覚をMAXランジで経験します。身体の片側でゆっくりとこの動作のドリルを始めるあたりはOKなのですが、左右交互の動きになりスピードを加え始めた途端、身体はあちこちに引っ張られ始めます…減速をする能力がまだ充分ではないから。 この辺りで頭の良い読者の皆さんは、”ケトルベルはどうなのかな?減速をトレーニングする動きでしょう?”とお考えでしょう。もちろん、それは間違いありません。ケトルベルスイングは、私が指導する多くの人たちにとっての定番のエクササイズの一つで、批判を恐れず敢えて言うなら、これはほとんどのコーチたちが、負荷のかかった循環的な力縮小と力発生をアスリートに指導するメソッドにもなっているでしょう。 ただ、スイングがこれに十分でないのは、バイラテラル(両側性)のスタンスで通常バランスのとれた負荷であるベルを用い、動きのほとんどの部分は支持基底面内で減速をしているというところ。もちろん、シングルアームスイングにして、抵抗しなければならない回旋力を生み出すことはできますが、それでも、USBでのローテーショナルスナッチやローテーショナルクリーン、あるいはMAXランジと同じようなチャレンジは与えてくれません。USBでのこれらのリフトは(減速を伴うもの)、支持基底面の外側で起こり、足元をぐらつかせる負荷の力に対して抵抗することが要求されます。これはスポーツや日常生活へのより大きなキャリーオーバーを持つのです。 何か新しいクオリティーやスキルを発達させるケースの一つとして、減速能力も徐々に控えめにアプローチをするべきです。MAXランジは、スタートポイントとして素晴らしいエクササイズではありますが、スタートしてすぐに100回繰り返してしまうというようなことはしないでください…そして決してクライアントやアスリートに最初からそのようなことを提供しないでください。動きが正しくパターンとして定着していなければ、ただ単に良くない動きを強調することになってしまいますし、負荷のレベルが組織の許容量を超えていれば組織を損傷するリスクもあります。 何セッションかの時間をかけて、動きのパターンをよく学習し、段階的に相反的な動作に発展させるようにしましょう。何週間か練習をしていい感じに動けるようになれば、力の減速から力の発生への移行の練習ができるようになるでしょう。
アスレティックスピードを向上させる6つの驚くべきエクササイズ
エクササイズ#1 メディスンボールサイドスロープログレッション: A. 立位でのサイドスロー:アスリートはアスレティックスタンスでボールを胸の高さで持ち、肘を外に開き、壁に対して横向きに立ちます。(ボールの機み具合によりますが、大体10-12フィート(3-3.6m)離れて立ちます) 後ろ側の脚を使って股関節を前方へ押し出し、前側の脚を壁に向って小さくステップします。 爆発的にボールを壁に向って押し出しますが、後ろの肘を上方に保持することで肩に傷害を起こさないようにします。 このエクササイズの焦点は、投げること自体ではなく、側方シャッフルのように後ろ脚を前方に押し出すために最良なスタンスを理解することにあります。 アスリートのスタンスが狭すぎる、あるいは、高く立ちすぎてしまうと、パワーの産出に制限がかかってしまうでしょう。 このエクササイズは両サイド行う必要があります。 B. 正方向シャッフルサイドスロー:アスリートは壁からさらに約6-8フィート( 1.8m ~2.4m )離れます。このエクササイズは立位サイドスローと同じことを行いますが、強調することは側方へのスピードに変わります: アスリートは良いスタンスを保ちながら、1、2回シャッフルし、そして、後ろ足を前方へ押し出し、そのスピードをスロー(投げる動作)に伝達します。 アスリートは後ろ足を使って下方、後方に押すことで、スロー(投げる動作)により早いスピードを産み出さなければなりません。 アスリートが良いアスレチックスタンス(基盤)をもっていなければ、効果を得るために十分な力を産み出せないでしょう。 C. 逆方向シャッフルサイドスロー:同様のエクササイズですが、ここではアスリートは壁から離れるように逆方向にシャッフルします。壁から6-8フィート( 1.8m ~2.4m )だけ離れた場所からスタートしてください。 アスリートは壁から離れるように1-2回アグレッシブにシャッフルし、ボールを投げるために強く足を踏み込みます。 これはアスレティックスタンスと踏み込み脚の角度の重要性を強調させるために、すべてのエクササイズのなかで最も重要になります。 止まろうとする時に、踏み込み脚である後ろ脚の幅が狭すぎると、投げる力は弱くなるでしょう。 アスリートは投げる時も、まだ前方へ動いていたいのです。それぞれのサイドで3-5回を2-4セット行わせます。このエクササイズは高強度で行わなければなりません。ボールの重さ、アスリートの経験値、スキルレベルによって、セット数と回数を決定します。 これはサイドメディスンボールスローの静止状態からのバリエーションです。正方向・逆方向シャッフルスローはどちらも、アスリートはこのポジションに戻ってくることになります。逆方向スローは減速角度を教えるためにとても重要になります。踏み込みが上手に行われなければ、スローに現れます。素晴らしいフィードバックドリルです。 エクササイズ#2 片腕片脚チューブロウ 加速・減速(アスレティックスピードにおいて、最も素早いアスリートがそれ以外のアスリートよりも優れて行えるもの)の両方にフォーカスしているため、これはとても優れたスピードエクササイズです a. 最初のポジションは、アスリートに片脚をスクワット/曲げた状態にさせ、チューブが引っ張る強さに抵抗させます。減速に必要な筋肉群が働きます。 b. それからアスリートは素早く立ち上がり、膝を上方に引き上げながらチューブを引っ張ります。これは加速する筋肉群を動員します。 c. このエクササイズのプラスの利点は、バランスと安定性のトレーニングになるということです。 私たちは通常それぞれのサイドで5-8回を2-4セット行わせます。ゆっくりとスクワット/膝を曲げさせ、爆発的に伸ばします。 エクササイズ#3 リアクティブシャッフルとクロスオーバー この写真では、アスリートはコーチが示す方向へ素早く反応し、シャッフルかクロスオーバーをする準備をしています。これはアスリートにスキルを向上させるためとコーチが優れたフィードバックを利用するための実際のセッティングです。 a. アスリートは体重をかけたアスレティックスタンスに入り、シャッフル、または、クロスオーバーの準備をして(コーチがすでにどちらにするか決定しています)、コーチの指示したポイントに反応します。 b. このタイプのエクササイズは、アスリートが無作為に反応しなければならないため、アスレティックスピードを向上させるためには優れています。アスリートは彼、または彼女の生まれ持った能力を使うことになります。間違えても、コーチが簡単に修正し、回数を重ねることでアスリートによりよいパターンを再獲得させることができます。 通常は3-5回を2-3セット行わせます。アスリートができる限り素早く反応してコーンまでいき、もとの位置に帰ってくるまでを1回とします。スピードを追求しているため、しっかりと休息させ、完全に疲弊させないようにします。 エクササイズ#4 抵抗をかけたパワースキップ 私はスピードの向上のために抵抗をかけたパワースキップを好みますが、それは力の産出と股関節の伸展を増大することができるからです。 a. アスリートはチューブに抵抗しながら進むためにかなり強く押し出し、かつ加速のための良い姿勢を保持することを身につけなければなりません。 b. アスリートはこのエクササイズで腕と脚の協調動作を学ぶでしょう。最初は簡単ではありません。 c. このエクササイズのもっとも大きな利点は、パワースキップを試みるときに、より多くの筋繊維を動員することになることです。これが加速スピードをより産み出すための目的なのです。 20mを3-6回行わせます。十分な質のプッシュオフを得るためにはこの距離で十分であり、あまり距離が長すぎると疲れ過ぎてしまい、メカニクスを変えてしまいます。 エクササイズ#5 純粋な加速スタート 様々なスタートから加速のメカニクスと効率を向上させるためには、これらのことを練習しなければなりません。 a. 私は倒れながらのスタート、起き上がり、ボックススタート、平行スタンスからのスタート、それ以外にも数多くのバリエーションを使うでしょう。そうすることで、アスリートに適切なテクニックを指導することができます。 b. 目的は加速時の姿勢と共に、手と脚の動きが一貫しているということです。 c. アスリートがフォームを崩すようであれば、すぐにフォーム修正に取り組むことができます。 私は2-3つの異なったスタンスで、それぞれ3-4回行わせることを好みます。フォームを正しく教えるために充分な時間があります。 エクササイズ#6 カッティングスキル カッティングスキルを教えることは、アスリートにアスレティックスピードの効率を向上させるとても優れた方法です。ほとんどのコート、フィールドスポーツでは、方向転換という点において多くのことを要求するので、それを取り扱うことは重要です。 a. カッティングについてアスリートに理解してほしい最初のことは、それがが反応的性質であるということです。切り返しについて考える時間は十分にありません。自然に起こる動きを行い、ミスが起きれば、それを修正することです。 b. アスリートは、身体の幅の外側にある切り返した脚を再方向転換することで次の切り返しをすることを学ばなければなりません。素早い切り返しでなければならず、それほど鋭い切り返しでないのであれば、私はアスリートが故意に股関節を下に落としてほしくありません。 c. 切り返しが鋭ければ、アスリートは一度元の姿勢に戻り、そして、重心をコントロールするのに十分なだけ股関節をやや下げなくてはならないでしょう。 d. カッティングの鍵は、オフェンスのプレーヤであれば距離を作ることであり、ディフェンスのプレーヤーであれば、ギャップを埋めることになります。ボディーポジションと足の位置が良ければ、より良い結果が得られます。 2-3つの異なったカッティングバリエーションを3-6回行わせるのを好んでいます: a. スピードカット b. シャープカット c. リハーサルカット d. ランダムカット e. ジャンプストップカット f. スピンカット g. もっと・・・ Yours in Speed, Lee Taft
股関節の動きのドライブ:その方法の数を数えてみよう
AFS: アプライドファンクショナルサイエンス(応用機能科学)の重要な基本原則の一つは、動きはドライブされている=動きは駆動されている、ということです。動きは、重力、床反力、モメンタム(惰性)などの物理学的環境によって引き起こされます。動きはまた、手、足、目や骨盤などを含む我々の身体部分によって引き起こされます。動きはまた、痛みや恐怖、目標などの行動学的要素によっても引き起こされます。 この記事では、運動を指導する皆さんが特定の関節の動きを生み出すための動きを可能にする、身体部分のドライバーに注目をします。例えばある特定の股関節の動きがゴールだとすれば、AFSの実践者は、股関節の動きを駆動する身体部分を選択する戦略を使います。より具体的にするために、ここでは右股関節に注目してみましょう。 右股関節に動きを起こすための分かりやすい一つの方法として、クライアントに右脚でランジを行ってもらいます。 アンテリア(前方)ランジは、右股関節の屈曲を起こします。 ポステリア(後方)ランジは、右股関節の伸展を起こします。 同側へのラテラル(側方)ランジは、まず右股関節の外転を、そして着地減速時に内転を起こします。 反対側へのラテラル(側方)ランジは、右股関節の内転を起こします。 同側へのローテーショナルランジは、右股関節の外旋を起こします。 反対側へのローテーショナルランジは、右股関節の内旋を起こします。 しかし、これら6つの股関節の動きは左脚でのランジでも同様に起こすことができます。 左脚のアンテリアランジは、右股関節の伸展を起こします。 左脚のポステリアランジは、右股関節の屈曲を起こします。 左脚の同側へのラテラルランジは、右股関節の外転を起こします。 左脚の反対側へのラテラルランジは、右股関節の内転を起こします。 左脚の同側へのローテーショナルランジは、右股関節の外旋を起こします。 左脚の反対側へのローテーショナルランジは、右股関節の内旋を起こします。 ランジを使う代わりに、両腕のスイングやリーチでも同じ動きを作ることができます。 両腕を後ろに向かって頭上にスイングすると、右股関節の伸展を起こします。 両腕を後ろに床に向かって下にスイングすると、右股関節の屈曲を起こします。 両腕を右に向かって頭上にスイングすると、右股関節の外転を起こします。 両腕を左に向かって頭上にスイングすると、右股関節に内転を起こします。 両腕を肩の高さで左に回旋すると、右股関節に外旋を起こします。 両腕を肩の高さで右に回旋すると、右股関節に内旋を起こします。 目や骨盤、膝のような他の身体部分のドライバーも、同様に使うことができます。どのドライバーが使われるかによって違いはあるでしょうか?どのドライバーが最良かもしれないのでしょうか? AFSの実践者は、望む股関節の動きを作り出すために、多くの異なるドライバーを使うことを利用したいことでしょう。多くの場合、選ばれた戦略に基づいて特定のドライバーが選択されます。”動きはドライブされている”というような基本原則は戦略を生み出し、その戦略が使用される特定の運動やテクニックを決定づけます。 ドライバーの選択で考慮されることは、真正性、痛み、成功などを含みます。ゴルファーの右股関節に注目するとすれば、ゴルフのバックスイングに適用されるのは下記のようなことになります。 真正性 ー 股関節の動きを起こすために両手を一次ドライバーとして使うことは、ゴルフスイングにとって最も真正性がある。 痛み ー もしゴルファーが股関節の制限に起因する腰痛を持っているなら、ランジのドライバーとしてどちらかの脚を使うことは、痛みのある腰を通して”ドライブをかける”ことを避けることができる。 成功 ー バックスイング時の右股関節の動きは、右大腿骨に対して骨盤が動く動作であるため、右脚でランジを行うよりも左脚でランジを行う方がより真正性が高いが、アセスメント中に、右脚でのランジに股関節がよりよく反応することが判明するかもしれない。
股関節の動きにドライブをかける
望む股関節の動きを生み出すために、どの身体部位をドライバーとして使うことができるのか?ボトムアップドライバーとは?トップダウンドライバーとは?どのようなドライバーがより望ましいのか?GIFT学長のデビット・ティベリオ博士が解説します。
競技への復帰の目安や評価とは?
怪我や手術後のリハビリ後、スポーツ選手が競技に復帰できる準備ができていることを客観的に測る指標は存在するのでしょうか?エリートレベルのアスリートたちを指導する理学療法にのロビー・オオハシへのインタビューです。
オブリークスイッチング
回旋に左右差がある場合、腹斜筋の働きに左右差があるかもしれません。アクティブに腹斜筋を働かせることで左右差を整えるためのユニークなエクササイズを、Drドゥーリーがご紹介します。
アジリティーラダーのドリル
アジリティーラダーの使い方を正しく理解して活用しているでしょうか?着地した途端に素早く硬めて安定させる方法を学ぶことで、怪我の予防を目指すためのラダードリルをリー・タフトがご紹介します。
欠落しているリハビリテーションにおけるエクササイズの変数…それは用量!
用量!これは、頻繁に議論されるテーマではありませんが、リハビリテーション時の動作とエクササイズの使用の成功において、かなり大きな変化をもたらすかもしれないものです。恐らく、エクササイズそのものよりも大きな! 研究論文を一見したところ 用量は重要である 強度、量、頻度の全てが用量に影響を及ぼす 用量過多、用量不足のどちらも問題である 最小有効量を見つける試みをすること 最小有効量は常に漸進する 共通の意思決定は、許容量/有効量を見つける手助けをする 適正用量がもたらす感覚を明確に定義する 後退と漸進を提供する 用量を管理するためのサポートを提供する 用量とは何か? 単純にいえば、それは強度と量と頻度です! 強度は、私達が使用する重量、あるいはその重量をどのくらい速く移動させるかによって影響を受けるでしょう。そして、その両方が組織に掛かる力の量に影響を与え、これは単純にF = MA(力=質量x加速度)として表されます。個人の強度の測定は、その個人の現在の許容範囲によって調節されるでしょう。 反復回数とセット数が、量を決定づけます。これは、操作されるものであり、全体的な過負荷に影響を及ぼすでしょう。 頻度はもう一つの側面です。あなたは最も適切なエクササイズを行っている可能性がありますが、もしそのエクササイズを一日に10回行うのであれば(皆さん、そういう人を指導したことありますよね)、いくら良いものでも、それは過剰である可能性があります。よって、細胞レベルで起こるポジティブな適合に時間を必要とする、組織への負荷を重視したエクササイズよりも、運動技能、あるいは質(それが何であれ)の変化を重視したエクササイズが、潜在的に頻繁に行われるかもしれません。 私達は、望ましい反応を獲得するために、これら三つ全てを操作することが可能です。10回3セットよりも。皆さんが同意してくれるだろうと確信しています。動作/エクササイズの背後にある論理的思考のプロセスは、リハビリテーションに関する他のいかなる側面と同様に重要ですが、常時考慮されているわけではありません。 これは、強度を増やし量を減らしている、量を増やし強度を減らしている、あるいは強度と量は同様のままで頻度を変化させているのかもしれません。過負荷の大小の変化のために用量を操作するには、非常に多くの方法があります。 用量における大きな変化は、反対の後ろ向きな結果をもたらすかもしれず、より小さな変化は、前向きな効果を得るために明らかに重要である可能性があります。私は、量を減らさずに、負荷の観点から強度を変化させることによって、何度か後ろ向きな結果を得てしまったことがあります。 用量不足であること もし用量不足であるならば、真の適合を得ることはないでしょう。もしあなたが、目ざしている、標的となる側面においての変化を期待するのであれば(仮に筋力、あるいは荷重耐性として)、そして、もしあなたの変数に関する操作が不適切であるならば、十分な適合は得られないでしょう。 ここでの警告は、目標とする側面を変える必要がないということかもしれません。多くの研究が、痛みの変化以外、運動学、姿勢、関節可動域、あるいは筋力に変化が無かったことを示しています。 警告に対する警告は、私達はしばしば、研究において際立った痛みの変化における短期間の功を奏する結果を得ますが、長期にわたる傷害の軌跡を評価しない、つまり、多くの人々は未だにより長期にわたって傷害の再発に苦しんでいるということかもしれません。それは継続的ではなく、そのため、しばしば急性、あるいは慢性のように、痛みを伴う問題を単純に定義することが困難なのかもしれないため、これは慢性化とは異なります。私達は、長期にわたってこれらの事に影響を与えるために、いくらかの適合を必要とするのかもしれませんが、私はただ考えを声に出しているだけです。 恐らく、私達は局所的な生理学、細胞順応、神経生理学(侵害装置)、あるいは感覚表象や運動表象を司る皮質において発生する可能性がある中枢的な変化のように測定不可能なことを変化させているのかもしれません。 用量不足は、問題に影響を与える可能性が低く、快適と感じるプロセスを加速させないため(仮に私達にできたとしても!)、フラストレーションが貯まるかもしれません。これが、私達が用量不足になる可能性が低い、より大きな負荷を伴う筋力トレーニングの増加を目にしている潜在的な理由でしょう。 用量過多であること スペクトラムの対極にあるのが、度を越した用量を与えることです。感作されたシステムに対して、これは間違いなく問題であり、逆の反応を引き起こすかもしれません。そしてこれが、多くの治療エクササイズにおいて、最低限の自重、あるいはセラバンドの使用で、過負荷の危険性をかなり低くしている理由なのかもしれません。 人の痛みを悪化させることは、どのように彼等が、あなたの与えるケア、あなたの能力、治療関係、信頼関係を認識するかにおいて、真の影響を及ぼす可能性があるかもしれません。またこれは、彼等にとって、非常にフラストレーションが貯まることでもあります。人々は楽しんでいる活動に戻りたい、希望が欲しいと考え、そして、これはしばしば漸進によって促進されるものです。 残念ながら、誰かの反応を計測することは、非常に困難です。痛みそのものと同様に、ストレスから睡眠、感情の状態まで、その人の生活の、今その時に起こっている多くの要因に左右されるでしょう。 皆誰もが、本当に最小限の用量で、誰かを悪化させてしまい、また一線を超えるような大き過ぎる用量を与えたと考えつつも、実はその人は問題なく対応できていたことを発見したことがあるでしょう。 実際には、どこがその一線なのか、私達には知る由もないのです! 最小有効量 最小有効量は、単純に、あなたが効果もたらそうとしていることに対し過負荷を引き起こすしつつも、副作用の可能性が最小になる用量のことです。常に、用量の段階的な増減が可能であるということを忘れないでください。 20粒のイブプロフェンは、あなたの頭痛を取り除いてはくれるでしょうが、他の潜在的な合併症に晒すことにもなるでしょう。よって、2粒、あるいは200㎎が、効果的かつ合併症を減少する用量と考えられています。 残念なことに、薬物療法の生化学は、人口全体に対してより一般化され、あるいは、大規模臨床試験を用いて幅広く研究されているように見えます。エクササイズの用量は、いまだに、研究に基づいてさらに定量化される必要があるものです。 私達は、同じ傷害の慢性化、あるいは頻度、時間や負荷のように彼等の問題を悪化させるかもしれない刺激の量、問題発生後、それが落ち着くまでどのくらいの時間がかかるのかといった、その人の既往歴への着目を通して、用量を決めることができる可能性があります。もしボールペンを拾う際に急に腰痛が発生し、落ち着くまでに3日かかるとしたら、特に初期において、用量はそれを反映するべきです。 それから、私達は、重量、スピード、反復数、エクササイズを行う頻度の観点から、強度を適合させることができます。 どのようにしたら用量をより効果的にすることができるか? 最初に、共通の意思決定と操作される変数における潜在的結果に関して議論することを考えるべきです。 特に、彼ら感じていることは、なぜそう感じているのか、それが彼等にとって実際に何を意味しているのかを説明する場合において、これは、彼等に、起こっていることに関しての、より良い情報を与え、合理的に考える手助けになります。これによって、望むべくは、間違った情報やネット検索などによってうまれる不確実さを避けることにもなるでしょう。 リハビリテーションは直線的ではなく、私達は正しい用量がどうあるべきなのかを常に知っているわけでないということ、そして、なぜ彼等がこのプロセスにおける積極的な参加者である必要があるのかということを説明してください。 うまくいけば、これら全てがより大きな内的制御部位になるでしょう。 実際に、彼等と共にその用量、あるいは新しい用量を行って、彼等がどう感じるのか、そして、どの程度容易にこなせるのかを見つけだしてください。もし私達がある用量に適合しているのであれば、強度、量、頻度を増加させても、より快適と感じるかどうかを彼らに尋ねてください。時に、彼等は反復回数、セット数を増やすよりも、更に負荷を増やすことに前向きかもしれず、また時にはその反対かもしれず、もしかするとそれらを一日おきに行うよりも、毎日行う方を好むかもしれません。 次に、自立的に用量を操作する能力は大変重要です。しばしば、次回の面会までに数週間空く場合があるので、効果の無い、あるいはさらに悪化させる用量が、長い間チェックされない場合もあります。 ここに私の自己管理における5つのポイントがあります。 痛みが増大しているにもかかわらず、それでも多くの人達は、彼等が行っているエクササイズを続けます。彼等はそれでより良くなれると盲目的に信じています。従って、もし私達が、彼等がどう感じるべきなのかに関して、ある程度の知識で彼等を武装させてあげれば、彼等が行っていることを制限、あるいは適合する可能性があり、副作用を最小限に抑えられるかもしれません。 あらゆるエクササイズ処方(ところで、私はエクササイズに関して、この言葉が好きではありません)の一部は、意見が一致するレベルでの不快感(例えば、エクササイズが原因の筋肉痛、または実際の痛み)に基づいて、後退、あるいは漸進が可能であるべきです。これは、視覚的アナログ尺度(VAS)の点数、あるいはその他の個人的な評価基準に基づいているかもしれません。 もしあるエクササイズが本当に痛みを引き起こす(即座に、または24時間以内の反応)のであれば、アイソメトリックまで後退しますか?それとも、もしすでにアイソメトリックを行っているのであれば、さらに低いレベルの試み、あるいは頻度にしますか? もし十分な過負荷(恐らく筋肉痛によって評価される)が無ければ、更なる重量、あるいは反復回数やセット数、頻度を増やしますか?これは、人々により大きな内的制御部位を提供するでしょう。 予約と予約の間にサポートを提供することは、用量をより良く管理するもう一つの方法であり、これは電話やメールを使用して行われます。 結論 用量は大変重要である 強度、量、頻度の全てが用量に影響を及ぼす 用量過多、用量不足のどちらも問題である 最小有効量を見つける試みをすること 最小有効量は常に漸進する 共通の意思決定は、許容量/有効量を見つける手助けをする 適正用量がもたらす感覚を明確に定義する 後退と漸進を提供する 用量を管理するためのサポートを提供する