マイクロラーニング
隙間時間に少しずつビデオや記事で学べるマイクロラーニング。クイズに答えてポイントとコインを獲得すれば理解も深まります。
あなたのトレーニングは本当にファンクショナルですか?
過去の7年間、私はダイナミックバリアブルレジスタンストレーニング(DVRT™) プログラムのほぼすべてのエクササイズを、かなり興味深い反応が得られる、1つの単純な質問でスタートしてきました。これは、フィットネス業界について多くのことを語ってくれます。 ”ファンクショナルトレーニングとは何を意味するのでしょう?” この質問には多くの異なった答えが帰ってきます:“現実世界のためのトレーニング。”“全身のトレーニング”。“動きのトレーニング”。 そこにはいつも多くの答えがあり、フィットネス業界は、“ファンクショナルトレーニング”の普遍的な定義を実は持っていないことを示しています。どうしてでしょう?少なくとも20年間、業界に存在している用語をなぜ定義していなかったのでしょうか?最大筋力、筋持久力、そして、フィットネス要素の大部分は教科書に定義されているのに。 しかし、そんなこと誰が気にしますか?私がいつも“ファンクショナルトレーニングとはなんですか”と問いかける本当の理由はなんでしょうか?“ワークアウトやプログラムにどのようにファンクショナルトレーニングを使用するのか?”という、より重要な問いかけへのセットアップができるからです。フィットネス業界では、本当に多くの”もの“に”ファンクショナル“というラベルが貼られていて、人間の動きの効率性を向上させるという命題に、本当に効果的で有益なものが何であるがを判別することが非常に難しくなっています。人間の動きの効率性を向上させることが、DVRTにおけるファンクショナルトレーニングの定義になります。 現実として、ほとんどの“ファンクショナルトレーニングプログラム”はあまりファンクショナルではないため、この考え方を理解することはとても重要です!これらのプログラムは、動きの中の大きな側面が抜けていたり、また、そのいくつかを教えていても、それらの動きのプログレッションや、全体的な動きは、どちらかと言えば制限されています。ファンクショナルトレーニングを理解しているコーチやプログラムを最も簡単に見つける方法の1つが、回旋を基盤にしたトレーニングのシステムを教えているかどうかになります。 なぜ私は、この特定の側面を選ぶのでしょうか?なぜ回旋トレーニングがファンクショナルトレーニングプログラムの中でそれほど重要なのでしょうか?パンチング、スローイング、キッキングやパワー系の動きのほとんどが、回旋の要素をかなり多く含んでいるからです。私たちの身体は、身体の様々な連鎖を通して回旋を利用することで、より大きなパワーを産み出せるようにデザインされているのです。 例えば、ボールを拾うとか、何かを投げるとかです。体幹を後ろに倒して、腕をしならせるだけで投げてみてください。何に気づきますか?おそらく腕が外れそうな感覚があり、大した距離は投げられないでしょう。では、ボールを掴み、地面から強くピボットし、力強い回旋の動きを産み出すように身体を使ってください。より力強く、腕のストレスはより小さく、地面から動きが始まっているような感覚といった違いを感じることができるはずです。 ファイト科学というタイトルのナショナルジオグラフィックの番組で、あらゆるコンバットスポーツを調査し、普遍的に動きの成功は、力強いピボット運動から産まれることを発見しました。より強く、よりパワフルになりたいのであれば、なぜもっと回旋トレーニングを教えないのでしょうか? いくつかの異なった理由があると思いますが、正しいプログレッションを知らない、あるいは、股関節を使うかわりに背中を使ってしまうことに関する懸念等を含む、正当な理由もあるでしょう。軽い重さでエクササイズをしたくないというのは、正当な理由にはなりません。 プログラムの中で、いかに適切な回旋トレーニングを構築していくかを教える前に、この方法を試すときに、多くの人が犯してしまう間違いに焦点を当ててみましょう。 間違い#1:腰部からの動き ロシアンツイストのような昔からののエクササイズでのみ、腰部からの動きが見られると思うかもしれませんが、単純なメディシンボールドリルでも、股関節の代わりに腰部を動かしている人がどれだけいるか、数えきることもできません。回旋トレーニングとは胴体を回旋させるトレーニングではないでしょう? 私たちの多くは、早い段階で、回旋の動きは腰ではなく、実際には股関節で起こっているのを教えられているはずです。事実、腰椎は最低限しか動かず、とても可動性の高い球関節である股関節のちょうど真上にあるのです! このピボットの動きが、強くパワフルな回旋の動きを産み出すことを助けています。ですから“回旋トレーニング”のあとに、腰部がボロボロになったような、あるいは、固まってしまったような感覚があるとすれば、あなたはこの間違いを犯しているはずです。 間違い#2:股関節の可動性低下 腰部を動かしてしまう大きな理由の1つとして、股関節を内側に回旋させる能力、つまり股関節内旋の可動性を確保していないことがあります。事実、悪いトレーニングプログラム、1日のほとんどの時間座っていること、あるいは、傷害のどれかが原因で、多くの人は股関節内旋の可動性が低下しています。 十分な股関節内旋の可動性を確保することで、腰を守ることができます。多くの研究で、腰痛と股関節内旋可動域欠如の間に、強い相関があることが指摘されています。 負荷を加える、パワフルになろうとする前に、股関節を十分に動かせる能力が必要になります。では、十分な股関節内旋の可動性があるかどうかどのように判断するのでしょうか?単純なセルフテストがあるので、試してみてください: 90度90度の姿勢で座ってください。その姿勢で快適に真直ぐ体幹を起こして座れないのであれば、股関節内旋に問題がある可能性があります。左右差がある人も多いので、両側を必ず確認してください。実はその左右差が痛みや機能不全に繋がる、より大きな問題なのです。 間違い#3:かなりパワフルになろうとする メディスンボールを投げるような回旋エクササイズをかなりパワフルに行おうとする際に、なぜ回旋トレーニングを順番に築き上げようとしないのかが、私にはまったく理解できません。回旋も他のすべての身体の動きと同様、パワーのトレーニングを始める前に、ストレングスの基礎を強化するべきです。これは、異なった負荷角度において回旋をトレーニングし、動きに小さな複雑性を加えて行くということを意味しています。 DVRT の回旋シークエンスを見て、どのように回旋の動きの強さとパワーを漸増的に向上させていけるのか確かめてください。 あなたがトレーニングのなかで動かしていない、すべての様々な動きについて考えてくれることを本当に願っています。この種のトレーニングは簡単にできないので、フラストレーションを感じる人もいるかもしれませんが、実際にはエキサイティングなことだと思います。自分自身の動きの限界にまだまだ近づいていないということを意味しているのですから! これらのフログレッションを試してみてください。そして、これらをより上手く行えるようになることがより重要です。そうすれば、いかに生活やパフォーマンスが向上するかを理解することができるでしょう。
システムに基づいたアプローチの提供
クライアントの依存ではなく、自立を目指して、評価から、改善、パフォーマンス向上までを、しっかりとしたシステムに基づいて提供するベストパフォーマンスラボラトリーを青山に運営する桂良太郎さんに、お話を伺いました。
ハムストリングの肉離れはもうおしまい!
気候も良くなってきて見込めることは: ジムに何かに取り付かれたかのようにトレーニングを始める人が増える 多くの人が「身体を鍛えるために走る」そして 地元の整形外科クリニックに、新たなハムストリングの肉離れが山ほど! というのは冗談ですが、私は実際にこういう状況を目にしてきました。 去年、私たちがインディイレブン(National American Soccer Leagueに所属するプロサッカーチーム)のサポートを始めてから、少なくはない数の扇子達がハムストリングや鼡頸部の肉離れを受傷しました。 ここで疑問となるのが、なぜハムストリング挫傷が起きるのか、です。 そしてそれと同じくらい大切なのが、どのようにこの肉離れの原因となる問題に働きかけ、再び肉離れが起きないようにするのか、です。 ここで、IFAST(著者のトレーニング施設)での私たちの活動に大きなインパクトを与えた哲学と考え方を提供する、ポスチュラルリストレーションインスティチュート(PRI)について言及しておかなければなりません。 もしまだPRIについて調べたことがなければ、今がその時です。ですが、ここではこのくらいにしておいて、ハムストリングについて語りましょう! ハムストリングの謎 還元主義者になって、ハムストリングの肉離れが起きる理由は一つしかない(筋力が不十分、柔軟性が貧しい、など何でも)と言うのは簡単ですが、ただそうではないのです。 実際には、ハムストリングの損傷のほとんどは、複数の理由から起こっています。下記は損傷の要因となりうる影響の一例です。 ハムストリング挫傷の既往歴 加齢 ハムストリングの遠心性収縮力の弱さ(多くの場合、未熟なスタートポジションと同時に起こる) 疲労 私は理学療法士ではありませんし、テレビでそんな真似をすることもありません。私はパフォーマンスコーチですから、急性のハムストリング損傷のリハビリ方法ではなく、ハムストリングの肉離れに対する予防の側面を中心にお話します。 ここでは、あなたのアスリートがハムストリングを損傷する可能性を減らすために、4つの方面からのアプローチを紹介します。 解決策#1−姿勢とポジションを改善する より健康なハムストリングを保つための最初のポイントは、姿勢とポジションの改善です。 姿勢からでは、痛みや機能障害を予測できないと言ってくる人もいるでしょうが、それは、ある意味では確かに正しいでしょう。 鍛えあげられた、深い腰部のカーブを持ち、骨盤が前傾した人で、全く痛みの徴候がないアスリート達もいます。 でもこうも言えます。今問題ではないからと言って、今後も問題にならないとは限らないと。 むしろ、問題にならない可能性の方が低く、そのままの状態を続ければ、あるいは、コアや骨盤の前面の安定性を向上させなければ、それは、ハムストリング(または鼡頸部、大腿四頭筋)の肉離れが起きるのを待っているようなものです。 IFASTにトレーニングに来たら、まず最初に、骨盤の位置を正しい位置に戻すことから始めます。個々の評価をすることの良さは、その人に効果的な、的確なアライメント調整のエクササイズを考えることができることです。 もう一つ注意ですが、ここでの目標は、必ずしも「完璧な」姿勢(それがどういったものであれ)になることや、骨盤の前傾を取り去ってしまうことではありません。 爆発系のパワーを要するアスリートには、伸展は必ずしも悪いことではありません。伸展は、より速く、より力強く、より爆発的な力を発揮するのに役立ちます。 これは、抑制と均衡のシステムであり、アスリートが伸展をコントロールできるようにする必要があるのです。姿勢やポジションを改善することは、伸展のコントロールに大いに役立ちます。 解決策#2−ハムストリングを強化する ポジションが改善されたら、次は実際にハムストリングを強化します。 サッカー界に属している人には、ノルディックハムストリングカールは有名でしょう。 サッカー界に属していない人にとっては、ノルディックハムストリングカールは、ただ単に、遠心性収縮のみのグルートハムレイズでしょう。多くのアスリートは、グルートハムレイズマシンにアクセスがありませんから、パートナーに足首の上に座ってもらう方法で、身体をコントロールしながらゆっくり下げるようにして行います。 しかし、ノルディックハムストリングには、ほとんど議論されていない二つの問題があります: ほとんどのアスリートは、肉体的にこの動きに対する準備ができていない ほとんどのアスリートは、このエクササイズを正しく行っていない 私たちは、昨年から、インディイレブンで、ノルディックハムストリングを用い、とてもいい結果が得られています。事実、去年のシーズン終了時には、ハムストリングの問題を抱えていた選手は一人しかいませんでした。 でも、私たちは、何も考えずに、すぐにノルディックハムストリングをやらせたわけではありません。私たちがチームのトレーニングを始めたのは、競技シーズンが始まってからでしたから、なおさらです。 どんなバージョンであれ、グルートハムレイズを行ったことがある人なら、それが簡単な動きではないことは知っているでしょう。たとえ、3−5回を2−3セットでも数日間の筋肉痛になることもあります。 そのため、私たちは8週間をかけて、ゆっくり、でも確実にハムストリングの筋力と弾性を構築しなければなりませんでした。 次に、全てのエクササイズと同様に、アスリートのためにプログラムを作るだけではなく、実際にどのように指導をするかがそのプログラムをより効果的に(あるいは、効果的でなく)します。 アスリートにノルディックハムストリングを行うときは、まず「腹筋を働かせろ」と指示します。そのために、アスリートには、息を吐いて、肋骨を下げ、骨盤を肋骨の下に置くイメージを持たせます。 こうすることで、骨盤がよりニュートラルな位置に戻り、ハムストリングが力を発揮するのに良いポジションに持っていくことができます。 動きに対して、アスリートのハムストリングを、正しい段階を踏みながら準備し、そこにより良いコーチングスキルを加えれば、結果としてアスリートはより健康になれると保証します。 解決策#3−コアを安定させ、強化する ハムストリングの怪我の予防には、ハムストリングの強化が大切なのは明らかです。骨盤の後部を「引き下げる」ことが、骨盤のアライメントをよりニュートラルな状態に戻します。 しかし、指導者が重視していることが、これだけになっていることが多いと思います。後面と同じくらいに、骨盤の前面をコントロールすることも重視するべきです。 アスリートが、上から下まで伸展のポジションにあるとすれば、骨盤の前面は前に傾いています。 骨盤の前面が前に傾いていると、腹筋は伸びた状態になり、力を発揮できません。 ここで覚えておいてください。アスリートは、花崗岩を彫ったような腹筋を持っているかもしれません。特に腹直筋、いわゆる6パックの筋肉は。 でも、見栄えのいい腹筋と、骨盤と腰部のポジションをコントロールできる腹筋は、ほとんどの場合、二つの全く異なるものなのです。 ここで必要なのは、前側から骨盤のコントロールを助ける腹斜筋(内腹斜筋と外腹斜筋のどちらも)と、腹横筋です。 どうすればよいかって?その質問を待っていました! まず、全ては息を吐くところから始まります。ノルディックハムストリング同様に、息を吐ききることで、肋骨の下部が下がり、骨盤が肋骨の下に「収まり」ます。 このポジションで行うと、私が今までに紹介した全ての腹筋エクササイズ(レッグロワーリング、デッドバグ、プランクなど)は、さらに効果的になります。 (これが私のお気に入りの入門レベルのエクササイズです:グランドベースのコアトレーニング。) 一方で、これらのエクササイズを伸展のポジション(吸気の状態)で行うと、ピントのずれたエクササイズを行うことになってしまいます。 解決策#4−疲労を撃退する 私のよき友人であり、ビジネスパートナーのビル・ハートマンが良く言うのは: 「疲労は全てを変える」 一番大きな問題は、疲労が姿勢やポジションに影響することであり、悪い姿勢やポジションは、代償動作へとつながる可能性があります。 サッカーでは、ハムストリング損傷の発生は、それぞれのハーフの終了間際で増加することが示されています。 ジムでいくら正しいことをして、骨盤の位置を戻し、ハムストリングを強化し、コア/骨盤を安定させても、疲労に勝てなければ、怪我をしてしまうのです。 このことについては、これだけで別の投稿にできますので、このエントリーでは詳しくは触れません。しかし、私は、アスリートの健康を保ちたいのなら、エネルギーシステムのトレーニングと発達の組み合わせが必要だと、固く信じています。 私の一般的なお薦めは、まず、低強度の基盤を作り、それから、より高強度の方法で、有酸素の枠を広げることです。 戦略的な見解からすると、全てのスポーツにおいて、賢い置き換えパターンがあれば、大きな違いを生むことができます。 つまり、これだけは覚えておいて欲しいのですが、全体的なハムストリングの健康を考えるプログラムは、適切なコンディショニングの議論なしには語れないということです。 ボーナス解決策#5−ハムストリングのストレッチをしない! 私たちはみな、どこかの時点で、「ハムストリングストレッチ」や「固いハムストリング」という流行にはまったことがあると思います。 なぜなら一見、これは理にかなっているからです。ワイヤーケーブルよりも固かったら、ストレッチをする必要がある。そうですよね? 骨盤のポジションについては、うんざりするほど話してきました。今日、これだけは確実に理解して欲しいのですが、 姿勢とポジションは重要です。 もしあなたが伸展状態(骨盤の前傾、深い腰椎のカーブ、前側への体重移動、など)にあるアスリートを指導しているのなら、彼らのハムストリングは伸ばされた、神経的に弱ったポジションにあります。 ストレッチがどんな影響を与えるかわかりますか。 その通りです、ハムストリングを長く、弱くするのです。 では、ハムストリングを強化し(骨盤をニュートラルな位置に戻し)て、ストレッチをする(骨盤を前傾状態に戻す)意味はあるのでしょうか? その答えはあなたに委ねますが、もうその答えはおわかりでしょう。
モビリティーと知覚
ファンクショナルムーブメントスクリーンでチェックするモビリティーのコンセプトの背景にあるのは、ただどれだけ関節が動くのか、組織が動くのか、ということではない。モビリティーと知覚の関連性に関して述べるグレイ・クックのレクチャーからの抜粋をお楽しみ下さい。
内的キューイングは有益であるか?
ストレングス&コンディショニングコーチやリハビリテーションの専門家は両者共に、アスリートや患者たちがエクササイズをより良く行うために、異なるタイプのキューイングを使用する。多くの専門家は、研究者たちが、外的キューイングは内的キューイングと比較し運動能力をより向上させると発見しているため、外的キューイングのみを使用するよう助言している。しかしながら他の研究者たちは、内的キューイングは複合エクササイズの際、特定の筋肉の動員を増加させることが可能であるとも報告している。更にボディビルダーは長年にわたり、内的キューイングおよび「マインドと筋肉のつながり」という内的焦点を使用している。それでは、内的キューイングはボディビルダーおよびフィジークアスリートに対し有益であるのだろうか?この論説ではクリス・ベアスリー(@SandCResearch)が、その回答を提供する助けとなる研究論文の再考察を行う。 研究論文: ベンチプレスエクササイズの際の、口頭指示の筋活動に対する影響、スナイダー&フライ、2011年 *** 背景 ストレングス&コンディショニングコーチおよびリハビリテーションの専門家は、アスリートや患者たちがより良くエクササイズを行うために、頻繁にキューイングを使用する。キューイングは、彼らがどのようにアスリートの注意の焦点を向けるかにより、主に2種類に分けられる。アスリートの注意を環境に対する動作の影響に向けさせるキューイングは、外的焦点を持つとされ、一方、トレーニングを行う人の注意をその動作自体に向けさせる指示は、内的焦点を持つとされている。多くの研究者たちは、内的焦点もしくは注意の焦点がないことと比較し、外的焦点はパフォーマンスおよび運動学習の両方を向上させるため、外的焦点を使用することは常により良いことであるという結論に至っている。しかしながらその他の研究者たちは、特定の状況においては内的キューイングを使用することが有益である可能性があるということを発見している。例として、内的焦点は複合的運動の際に、特定の主動筋の筋活動を向上させることが可能なようである。 パルメルド (1995年) — 研究者たちは、彼らがフィードバックを与えることにより、被験者の姿勢を変化させることなく、様々な肩の筋肉(棘上筋、棘下筋、前部および中部三角筋、僧帽筋)の筋動員を変化させる助けとなることが可能であったということを発見している。 パルメルド (1998年) — 研究者たちは、視覚的フィードバックを提供することにより、6つの異なる腕の位置において、様々な中背部の筋肉組織の動員を変化させることができたということを発見している。彼らは、被験者は意識的に大、小菱形筋、および僧帽筋横行部の動員を増加することが可能であり、平均的な彼らの活動を、フィードバックなしで行った際の200%まで増加させたということを発見している。そのような筋活動の変化は姿勢を変化させることなく行われた。 カルスト (2004年) — 研究者たちは、トレーニングされていない被験者たちに、腹直筋活動もしくは腹斜筋活動に集中するよう内的キューイングを与えることにより、被験者はトランクカールエクササイズの際、どちらの筋肉においても相対的な活動を増加することが可能であったということを発見している。 ルイス&シャーマン (2009年) — 研究者たちは、腹臥位ヒップエクステンションの際、キューイングが与えられなかった場合と比較し、臀筋を使うための口頭での内的キューイングは、(ハムストリングの筋電図活動の減少と同時に)臀筋の筋電図活動の増加につながったということを報告している。 スナイダー (2009年) — 研究者たちは、トレーニング初心者に対しラットプルダウンの際、広背筋をさらに使うための口頭での内的キューイングを与えることは、キューイングなしと比較し、広背筋活動の増加につながったということを発見している。 マーチャント (2009年) — 研究者たちは、等運動性肘関節屈曲動作の際、内的な注意の焦点は外的な注意の焦点と比較し、より良い上腕二頭筋の筋電図活動につながったが、同時に力およびトルクの測定値を減少させたということを発見している。 要約すると、内的な注意の焦点もしくはボディビルダーが「マインドと筋肉のつながり」として言及しているであろうものへつながる内的キューイングは、多関節エクササイズの際、特定の筋肉の筋動員を増加するために使用することが可能であるという科学的根拠は存在する。 *** 研究者たちは何を行ったのか? 研究者たちは、1RMの50%および80%におけるベンチプレスの際の、筋動員に対する内的キューイングの影響を調査したいと考えた。ゆえに彼らは、被験者が1RMの50%と80%を交互に、3レップのベンチプレスを6セット行う際、大胸筋、上腕三頭筋、前部三角筋、上腕二頭筋、および後部三角筋における筋電図活動を測定するために表面電極を使用した。筋電図データは、最大随意等尺性収縮(MVCs)の際に生み出されたデータに対し正規化された。 最初の2セット(例:1RMの50%および80%における1組のエクササイズ)はキューイング無しで行われた。2回目の2セットは胸筋に集中するための内的キューイングと共に行われた。最後の2セットは腕の筋肉へ集中するための内的キューイングと共に行われた。研究者たちは研究のために、少なくとも6ヶ月のベンチプレスによるレジスタンストレーニングの経験を持つ、11名の男性3部リーグフットボール選手を集めた。 *** 何が起こったのか? 1RMの50%における胸へのキューイング 研究者たちは、胸筋へ集中するためのキューイングはキューイングなしと比較し、22%の筋電図活動における有意な増加を引き起こしたということを発見している。前部三角筋もしくは上腕三頭筋、あるいは拮抗筋群の活動に対してはキューイングの有意な影響は存在しなかった。 1RMの50%における腕へのキューイング 研究者たちは、腕に集中するためのキューイングは、キューイングなしの状況と比較し、26%の上腕三頭筋活動の増加をもたらしたが、大胸筋もしくは前部三角筋の活動においては変化がなかったということを発見している。下記のグラフは1RMの50%における、胸へのキューイング及び腕へのキューイング両方の影響を示している。 1RMの80%における胸へのキューイング 研究者たちは、胸筋へ集中するためのキューイングは、キューイングなしと比較し、13%の筋電図活動における有意な増加を引き起こしたということを発見している。上腕三頭筋、もしくは拮抗筋群の活動に対する有意な影響は存在しなかった。しかしながら、前部三角筋の活動もまた有意に17%増加していた。 1RMの80%における腕へのキューイング 研究者たちは、腕へ集中するためのキューイングは、キューイングなしの状況と比較し、17%の前部三角筋活動の有意な増加をもたらしたということを発見している。しかしながら大胸筋および上腕三頭筋の活動のどちらへも影響を及ぼしてはいなかった。下記のグラフは、1RMの80%における胸へのキューイングおよび腕へのキューイング両方の影響を示している。 *** 研究者たちはどのような結論に達したのか? 研究者たちは、レジスタンストレーニングを既に行っている被験者は、複合エクササイズの際、内的キューイングに反応し、主動筋の筋動員を変化させることが可能であるという結論に至った。彼らは、被験者は胸へのキューイングに反応し胸筋の活動を増加することが可能であり、また腕へのキューイングに反応し上腕三頭筋の活動を増加することが可能であったという結論に至った。しかしながら研究者たちは、胸へのキューイングの状況において上腕三頭筋活動の減少は見られず、腕へのキューイングの状況においても大胸筋活動の減少は見られなかったため、これは筋肉の「機能的分離」が起こらなかったということを示唆しているという結論にも達している。 研究者たちは、「特定の筋活動の増加が望ましい結果である場合、外的焦点と比較し内的焦点の方がより適している可能性があり、一方運動課題パフォーマンスにより関心がある場合は、外的な注意の焦点がより望ましい可能性がある」と結論付けた。つまり、内的焦点はパフォーマンスに役立つ(例えば、より大きな力もしくは力産出につながる)わけではないようであるが、より大きな筋電図活動にはつながるようである。ゆえに今後の研究は、内的焦点の結果としての筋電図活動の増加が、実際により大きな筋肥大性適応をもたらすのかどうかを示す必要がある。 *** 制限要素は何か? この研究には下記のような制限があった。 キューイング条件の順序は被験者にわたり無作為化されておらず、疲労もしくは活動後増強どちらかの結果としての交絡効果があった可能性がある。 この研究は、1RMの50%および80%の条件において、主動筋間の相対的な動員における差違を説明することができていなかった。 *** 実践的な意義は何か? 内的焦点を使用することは、多関節エクササイズの際、特定の主動筋の筋活動の増加に役立つ可能性がある。例として、ベンチプレスの際に胸の筋肉を使うことに集中することは、エクササイズの際の胸筋活動を増加することに役立つ可能性がある。
Kaori's Update #2 - 筋膜リリース
お待たせいたしました。今回のKaori’s Update では、セルフ筋膜リリースに関してのシンプルな解説をお届けします。自分で行う筋膜リリースのプロセスで、実際何が起きるのか?何が期待できるのか?
スクリーニングの技術:シンプルな質問
スクリーンは良い考えです。 スクリーンは、投資時間も専門性もあまり必要とせず、潜在的な次の決定と効果的な優先順位に関して、質の高い情報を提供してくれる状況を産み出してくれます。最高のスクリーンは、たとえ時間が短くても情報源が乏しくてもうまくできます。 便利になり、テクノロジーが発達しても、歴史と科学に基づいた操作手順を行うという標準に私たちをとどめておいてくれるので、スクリーンはさらに重要です。スクリーンによって、次の新しい“輝かしいこと”が、すでにある基準値に対しそれ自身を証明してくれるのです。 つまり、スクリーンは方向を示してくれます。これは評価ではありません。ある特定の方向に関する未来の評価が必要であるかどうかを、私たちに教えてくれます。FMSに関する健康・フィットネス業界における最も大きな誤解は、これが評価であると思っていることです。 ムーブメントスクリーニングについて考える時、私たちが自分達のムーブメントスクリーンに組み入れたい特定の動きについて考える前に、よいスクリーニングについて考える方が良いでしょう。自分達の動きの偏見、動きの方法、動きの嗜好、そして動きの能力から自分たちを守らなくてはなりません。 簡単に述べると、ムーブメントスクリーニングの唯一の指針は、“スクリーンを受けた個人が、次のレベルに進めるほど上手に動けていますか?”という質問であるべきです。 “動きのバイタルサインを満たしていますか?”はい。であれば、次の何かに進みます。 人間をスクリーニングする場合、行動の予想というのはとても重要になります。一般的な行動は、多くのことを教えてくれるでしょう。一般的な行動が分からない限り、特定な行動に関して質問することは、最も有効な時間の使い方にはならないかもしれません。心理学者もこれらすべてを良くわかっています。 ムーブメントスクリーンが初めて紹介されたとき、サッカー選手のスクリーン、野球選手の、あるいは、中学生、軍隊のスクリーンなどについての質問を矢継ぎ早に受けました。私の答えは:ムーブメントスクリーンはスポーツ、活動、あるいは、年齢ではなく、種に特化するべきだということ。私は常に、このことを言及しています。当然ですが、異なった分布、学年、持っている本質を持っていたとしても、動きは動きなのです。生まれてから死ぬまでの間、私たちには動きが必要です。 あるレベルでは全生涯に渡る動きの存在に対して、全体に共通する動きための基準があるべきです。生涯を通してのスクリーンは、明快さと方向性をつくり出します。 文字を認識し始めた時から、視力検査表を経験します。ある程度の視力と読み書きの能力があれば、視力検査表は視力が次のレベルの動きに対応できるかどうか、さらに徹底した評価が必要であるかどうか私たちに教えてくれます。もし次のレベルが読むことや書くことであれば、あなたは準備できているかもしれません。もし自動車を運転したいのであれば、周辺視野や色盲について認知していることは役にたちますし、必須なこともあります。プロゴルファーになりたいのですか?距離を読む能力もまた、重要になります。 常に、そしていつも視力検査表から始まります。事態が変化し、不透明になる、あるいは、隠れているものがあるとき、基準値は科学を応用し、客観的に事実にたどり着くための最良の方法になります。 もし私が、基本的で一般的な行動を予想する心理学的スクリーニング質問表を作成するのであれば、それらに正直に答えなくてはならない状況を作りだしながら、シンプルな質問を尋ねなければならないでしょう。これはとても難しい課題です。 最初のジレンマを見てみましょう:シンプルな質問をする。シンプルな質問とは、誰が質問しているかに関わらず、解釈を誤ったり、誤解することのできない質問です。これが、スクリーンの最初で最も重要な部分:異なった状況で異なったスキルレベルの人が再現できる質問であること。シンプルな質問、願わくは、質問に対する答えが、コミュニケーションと責任の両方を改善させることを意図としたものであり、それはまた、2つ目のジレンマを産み出します:その質問に対する答えが、正直であった場合にのみ意味があるということです。 動きに関して尋ねることのできる最もシンプルな質問とは、“できますか、できませんか?”というものです。答えに関わらず、動きを選び、それを実行するように尋ねます。もし相手に選ばせてしまうと、常に上手くいかないでしょう。しかし、正しい質問ができれば、能力以上のことをすることはできません。 一連の質問をすることで、将来の行動を予想しようとするとき、成功と失敗のどちらを予想したいのか決めなくてはなりません。自然の法則に従うのであれば、自然は必ずしも成功する機会を与えてくれるわけではありません。自然は、我々に失敗しない機会を与えてくれます。失敗でも、失敗でない場合でも、私たちは自分自身とその環境について学びます。正しく学べば成功します。そうでなければ、成功しません。 実際、私たちは、失敗しないことからよりも、失敗を通して多くのことを学び、だからこそ、自然に従うことはとても重要なのです。いくつかの失敗は時に受け入れがたい、残酷な結果をもたらすこともあります。生き残れないこともあります。ほんの少しの思慮と学習を、前もってインストールする必要があり、それが異なった環境において自分たちの能力を適応させてくます。 いつも成功するわけでないでしょうが、素早く明確に失敗から学ぶ機会を産み出すことはできます。同じタスク(環境)において同じ方法(行動)で、二度失敗する必然性はありません。望んだ結果が見られないのであれば、常に行動、あるいは環境を修正してください。同時にそれら両方を修正することはフィードバックループを破壊することを忘れないでください。世界中で最も成功している人々の中には、数えきれない失敗をしてきた経歴のある人物もいるでしょうが、その情報を利用し修正したことが、彼らを次のレベルへ導いてくれたのです。
腹壁の収縮促進
エクササイズ中に必要な腹壁の収縮を、無意識に実現することができる為のちょっとしたトレーニングのアイデアを、ストレングスコーチのダン・ジョンがシェアしてくれます。
壁を使ったスクープトス
壁を使ったメディシンボールのスクープトスの実施の方法を、エリック・クレッシィがわかりやすくまとめたビデオクリップ。回旋のコントロールと、可動性の共存が鍵となります。
臀筋群へのアプローチ
今年10月に再来日が決定しているレニー・パラチーノの昨年のセミナーから、臀筋群のエリアへのアプローチをご紹介します。圧を変化させつつ深部の組織に沈むようにしてアクセスをした後、クライアントの動きを利用して更に深く組織に入り込むテクニックをご覧ください。
動作の非対称
ファンクショナルムーブメントスクリーンに関する、セミナーのビデオからの抜粋。グレイ・クックが動作の中の非対称性に関して、様々な例と共に詳細な解説をします。
壁に背をつけた肩屈曲
壁を背にして立った状態での肩関節の屈曲パターンのエクササイズを行う際、特に気をつけるべき姿勢のパターンと、それぞれのパターンに対して効果的なキューイングの方法を、エリック・クレッシィが、シンプルに的確にシェアします。