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アスリートと腰痛

腰痛を抱えるアスリートや、過去に既往歴のあるアスリートに対してのトレーニングの実践方法や、より安全にトレーニングを行う方法を説明しているコンテンツをまとめました。

リハビリテーション
パフォーマンス

腰痛を抱える人のトレーニングのための7つのコツ パート1/2

私は、このトレーニングというものを20年近く行ってきて、皆さんに一つ言えることがあります: あなたとトレーニングをするほぼ全てのクライアントやアスリートは、何らかの問題を抱えています。 実際、痛みや問題が全くない新しいクライアントやアスリートのトレーニングを行うことは、近所のコーヒーショップでハリー・ポッターに会うようなものです。 それってすごいことじゃないですか?もちろんです! 美味しいアメリカーノを飲みながら、悪のヴォルテモート卿を打ち負かすことについて話したくない人なんていないでしょう? しかし残念ながら、それは(もしあったとしても)滅多にないことなのです。 膝や股関節、肩の機能不全を抱える人々が間違いなくある程度いる一方で、腰部の問題ほど、トレーニングによる成果を押しつぶす怪我は他にないように感じています。 腰部に関する問題は、確かに扱うことが厄介になり得ますが、同時に、それがあらゆるリフティングのキャリアの終了宣告になるべきではありません。 事実、その背景となる可能性のある全ての問題に重点を置いた、全体的なトレーニングプログラムをまとめるときには、クライアントを今までよりも、そしてそれが怪我をした後だとしても、より大きく、より引き締まった、より強い身体にすることができると、私は強く信じています。 先にも述べたように、私はもう長いことこういったトレーニングを行っていますーそれは、私に十分すぎるほどの失敗をさせてもくれました。 今から述べるのは、腰痛を抱えるクライアントやアスリートのトレーニングを助けるだけでなく、そのプロセスを通して、彼らが限りなく良く動き、良く感じることを助けるために、私が長年使ってきた7つの策略です。 はっきりさせておきたいので(そして個人的な責任のために)、これを言わせてください: 腰部に深刻な問題を抱えているクライアントやアスリートがいたら、真剣なトレーニングプログラムを始める前に、資格ある医学の専門家に許可をもらってください。 ではさっさと本題に入りましょう、腰痛に対してどのようなトレーニングができるかについて! #1 矢状面から抜け出せ 私にはパワーリフティングをしていた経歴があり、全ての人がプログラムの中に健全な量の爆発的な、複合的リフトが必要だと強く信じています。 スクワットであれ、デッドリフトであれ、ベンチプレスであれ、これらのリフトは、あなたの強さを増し、筋肉を構築し、体脂肪を削ぐことに役立ちます。 しかし、私が全てのクライアントやアスリートにこれらのリフトのバリエーションや派生的なものを学んで欲しいと思っていても、場合によっては、それが困難な戦いになるとわかっています。 クライアントがやってくるときは大抵、彼らは矢状面の扱い方を理解していません。身体を安定させるための彼らの唯一の戦略は、膝、股関節、そしてもちろん腰部に問題を引き起こし得る、伸展です。 そのため、伸展ベースの戦略に陥ることを許してしまう両側性のスタンスのエクササイズはやらせずに、動きの3面で安定させることを強いるスプリットスタンスやシングルレッグのエクササイズをやってもらいます。 これは、腰部に問題を抱える人に対して、複数の良いことをしてくれています: 動きの3面全てで安定させることを強いる スプリットスタンスのエクササイズの場合、股関節屈筋群の緊張および硬さ(伸展を促進する)を和らげる スプリットスタンスおよびシングルレッグのリフトでは、外的負荷を減らす傾向にあり、それが症状の緩和につながる ここで私は、あなたがクライアントやアスリートにスクワットやデッドリフトをさせることはできないとは言っていません。先に述べたように、私の目標は、最終的には全員がこれらのリフトの何らかのバリエーションを行うようにすることです。 でも初期段階で、誰かが両側性のリフトに相当苦しんでいるとしたら、問題の周囲から取り組み、スプリットスタンスやシングルレッグのエクササイズを使うことを考えてください。 #2 直立姿勢を保つ フロントスクワットは高重量でできるのに、次にヒンジをさせると、クリスマスツリーのように腰が点灯するクライアントやアスリートを抱えたことはありますか? もちろんありますね。 私たちは皆あります。 広い、一般論を述べるのは好きではありませんが、多くの場合、腰部は圧倒的に、剪断力よりも圧縮の力をうまく扱っています。 次のパートは少しわかりにくいかもしれませんが、最善を尽くして簡単にします… 脊柱をまっすぐに保つ時(プレート、ゴブレット、2つのケトルベルを持ったフロントスクワットでするように)、脊柱の椎骨は互いに積み重ねられています。重力が下に引くことを考えると、胴体が直立していれば、力は脊柱を通してまっすぐ下にに向かいます。 対照的に、前屈したり、ヒンジを行う時は、重力は同じく下に引っぱりますが、脊柱は地面に対して平行になります。この場合、椎骨は、互いに”滑る“ことがないように働きます - 椎骨は脊柱の本来の位置を保つために剪断力に対抗しています。 繰り返すと- ほとんどの脊柱は、最初は剪断力よりも圧縮の力を好みます。 これこそが、私が腰部に問題を抱える人にプログラムの初期でスクワットをさせるとすれば、上体を起こした状態で行うバリエーションに留まる理由です。プレートやゴブレットスクワットは、どちらも始めるのにとても良いものです。 #3 本物の腹筋を構築する クライアントやアスリートから下記のような言葉を何度聞いたかわかりません: “私はただ腰が弱いんです。” いや。 いや。 いや、いや、いや、いや、いや、いや。 復唱してくださいーあなたは弱い腰を持ってはいません。 脊柱および骨盤のポジションが悪いと、腹部は安定性を作り出すのに最適ではない位置に置かれ、腰部の筋肉(脊柱起立筋、多裂筋など)が通常の役割以上に働くことを強いられます。 今では、私はこのトピックに関しては、覚えられないほど多くの記事を書いていますので、私のコアトレーニングへのアプローチに関してより学びたい場合には、是非ともこちらの記事を読むことから始めてください。 とにかく、あなたが抱えるクライアントやアスリートが腰部に関する問題に苦しんでいるのなら、プログラミングの初期の段階で、安全に成功するためのコアトレーニングエクササイズを見つけてください。

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腰痛を抱える人のトレーニングのための7つのコツ パート2/2

#4 胸郭を解放する 何年もかけて、私が発見したことの一つは、腰部に問題を抱えている人々は、多くの場合、胸郭の動きが少ししか(あるいは全く)ないということです。 私は、この発見に関して全ての賞賛を貰いたいところですが、私の豆サイズの脳の中でこの考えを具体化させたのは、実は2016年のフィジカルプリパレーションサミットでのビル・ハートマンの話でした。 まずはじめに、「胸郭」という単語を恐れないでください。こちらが定義です: “哺乳類の首と腹部の間の身体部分。肋骨に囲まれた腔、胸骨、背側椎骨を含み、循環と呼吸の主要器官を内包する;胸” つまり基本的に、胸と上背部のエリアのことです。 胸郭を解放する際、私は一般的に、胸郭の動きを大まかに二つ考えています: 胸郭を回旋する(より横断面の動き) 胸郭を屈曲する(より前額面の動き) この描写に関して、より詳細または技術的にすることができる人は確実にいると思いますが、レーナード・スキードのように、私はシンプルな男なので、これで行きます! 私達が胸郭を回旋について語る際、腕の動作はより水平に注目しています(前後と考えてください)。 片膝立ちのオルターネーティングケーブルプレスは、素晴らしい例です。私たちの目標は、下半身とコアを固定し、胸郭を通して、上から回旋を引き出すことです。

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脊柱に優しい5つのストレングス&コンディショニング戦略

Dr.スチュアート・マックギルは、彼の著書である背中のメカニックの中で“脊柱のケア”という用語を頻回に使用し、日々の様々な活動や運動タスクの中で、腰痛に対処するためにどのような姿勢を保持すれば良いかが記されています。ほとんどの戦略は姿勢に関することが語られていますが、長時間の活動の中で脊柱を健全に保持するための、ストレングス&コンディショニングプログラム戦略のいくつかを見ておくことは有意義であるだろうと考えています。 1. 重たいダンベルを拾い上げない。 ロウ、プレス、あるいは、片脚エクササイズのためであれ、強くなればなるほど、ダンベルを拾い上げ、ポジションするためにはかなり大きな負担が伴います。最も低い段のダンベルラックから最も重いダンベルをポジションするとき、事態はより深刻になります。我々は、バーベルよりもダンベルのほうが脊柱に優しいと長年洗脳されてきていますが、これは常に単に正しいわけではありません。一旦かなり強いレベルまで発達すれば、胸の高さからおもりを下ろすことと、スイングさせずにダンベルをその位置まで持っていくことは、とても大事なことになります。重いダンベルを使用するなと言っているわけではなく、腰痛を患っているのであれば、このアプローチをする場合にかなり注意を払うべきだと言っているのです。 2. 重い両側負荷は周期的に使用する。 このことについて間違えないでください:圧倒的多数のエクササイズにおけるプログラムの中で、バーベルを使うことで最も重いものを動かすことができます。残念なことに、このことは、バーベルエクササイズをすることで、一般的には脊柱に最大の圧縮力と剪断力がかかっているということも意味しています。それらを削除する必要があるという意味ではなく、多少の休息を与えるためには、周期的にそれらを使用する必要があるということです。私自身のパワーリフティングキャリア絶頂の頃、大会後最初の10-14日は常に、スクワット、デッドリフト、グッドモーニングを行わないようにしていました。とにかくすべて低強度の運動で、数多くの片脚エクササイズとグルート-ハムレイズで十分でした。 3. 同じセッションでスクワットとデッドリフトをどちらも行うなら、デッドリフトの前にスクワットを行う。 デッドリフトが全身的・部分的のどちらにおいても、より疲弊する理由に関して多くの理論があるのですが、そのうちのどれに同意するかに関わらず、スクワットの前にかなり重いものを引くということが、背中を壊してしまうレシピであるといことは確実にわかるでしょう。結局、すべてのパワーリフティングにおいて、常にスクワットを最初に行い、デッドリフトを最後に行うということには理由があるのです。順番に関する私の好きないくつかのアプローチは次のようになります: a. 重いスクワット、反復回数のためのデッドリフト b. 重いスクワット、スピードのためのデッドリフト c. スピードのためのスクワット、重いデッドリフト d. スピードのためのスクワット、反復回数のためのデッドリフト 時折、スクワットの前にスピードのためデッドリフトを軽く行うこともできますが、ある程度のストレングスのレベルに達したら、それほど上手く効果が出ないということに気づくと思います。 4. 上手に動けないのであれば、疲労した状態でトレーニングをしない。 コアのコントロールに優れた経験豊富なリフターは、トレーニング負荷が法外でない限り通常、疲労した状態でもなんとかトレーニングすることができるでしょう。ただ、興味深いことに、典型的な腰痛を抱えたレクレーションランナーを見ると、痛みは、彼らがすでにしばらく走ったあとに起こることが多いようです。疲労が股関節伸展の代替として、腰椎伸展をさせてしまうことで、疲労は状況を変えてしまいます。 このことは、単にランニングプログレッションによる段階的復帰の重要性を強調しているだけではありません;むしろ、腰痛の既往歴がある人たちは、疲労していない状態で完全なテクニックをトレーニングするために、多くの時間が必要であるということを我々に教えてくれているのです。マックギルが話しているように、腹臥位と側臥位のブリッジを1セット60秒間保持するよう試みるよりも、より短く複数セット行うほうが良いでしょう。 時間の経過とともに、これらの良いポジションが習慣化し、“無意識的気づき”として標準的に受け入れられるようになります。悪いポジションで常に過ごすことは、それが空間的気づきに乏しいのであれ、疲労に耐える能力がないのであれ、間違った方向へのステップなのです。 5. スプリットスタンスで行う 片脚での下肢のトレーニングのほうが、両脚でのトレーニングよりも脊柱にかなり優しいように、他のエクササイズを単純にスプリットスタンスで行うことが、望まない脊柱の動きを最小化することに役立ちます。例として、私たちは常にウォールスライドのバリエーションをスプリットスタンスで教えますし、このアプローチがローイングやランドマインプレスのテクニックにも統合されていくのもお分かりになるでしょう。

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中立な脊柱という神話

中立な脊柱とは神話です。 あるいは、少なくとも、現在のこのコンセプトの認識のされ方には多少の欠陥があります。 説明しましょう… 誰かにスクワットやデッドリフトを効果的に行えるようにセットアップするとき、彼らにとってほしい「中立な」ポジションは確実にあります。 健康と長生きのため、または最高のパフォーマンスのためにトレーニングしているかどうかに関わりなく、私はこれが最適なポジションだと信じています。 中立な脊柱のアライメントがどのようなものかという初歩的な知識が必要であれば、このビデオをチェックしてください。 しかし、実は… 中立な脊柱とは、あなたの脊柱が絶対にそこから動かないという一つの静止したポジションであるとは限りません。中立な脊柱とは範囲なのです。そして、これは、ものすごく重いものを持ち上げたり、非常に爆発的であったりしようとするストレングス/パワー系のアスリートを観察するときに特に当てはまります。 このコンセプト全体について少し説明が必要であると思うので、少し深く掘り下げていきましょう。 中立な脊柱を簡単に説明すると 中立な脊柱のコンセプトは最初にパンジャビ(Panjabi)によって紹介されました。 パンジャビ(Panjabi)は、脊柱には脊柱がとりたい適切で中立的なポジションがあるという持論(そして、これは信じられないほどに、意訳され、意味が薄められ、そして質が悪化させられてしまいました)を持っていました。そのことについてはここで読むことができます。 (脊柱が)そのポジションまたは中立なゾーンにある時、すべて上手くいくのです。 問題は、中立からさらに遠くにそれたり、そのゾーンからより遠くに離れたりしてしまうときです。 それについてより良い考え方とは次の通りかもしれません: あなたの脊柱が最初からあるべきである、中立なポジションという最適なポジションがあります。 これはシンプルに「良い」あるいは「最適な」姿勢と定義することができ、そして良いアライメントや前後および左右でバランスの取れた筋の発達などを必要とします。 しかし、この中立なポジションの先に中立なゾーンもあります。 言い換えると、あなたの脊柱がその動作や動きに関して入り込むことのできる可動域の余地があり、これは必ずしも悪いことではありません。 悪いことが起き始めるのはあなたが以下のどちらかを行ったときです: 悪いまたは適切でない開始姿勢/ポジションをとったとき、または、 その中立なゾーンから離れたり、出てしまったりするとき 以上が、画期的な記事の200語での要約です。本題に入っていきましょう… これをどのように私たち自身、クライアントまたはアスリートに当てはめましょうか? よく聞いてくれました! 中立な脊柱と「コレクティブ」の必要なクライアント もしあなたがより多くの「コレクティブ」やリハビリが必要な人をトレーニングするとき、それらの人に対する取り組み方を完璧にしなければなりません。 私の経験から、痛みを伴う(もしくは痛みが取れたばかりの)人に対しては、厳重で、軍の規律に限りなく近いような厳しい基準を保たなくてはなりません。 彼らは中立なポジションを取らなければなりません。 そしてそのポジションを取ったら、そのままそのポジションを実際に維持しなければならない! もし、中立な脊柱を取らせることが難しいときは、上に登場した中立な脊柱についてのビデオで説明されているようにPVCパイプに1ドルを使うことで時間を節約しましょう。 それによって、あなたが1001個のキューを与える必要もなくなり、さらに、運動感覚についてのフィードバックを与えることもできるのです。 しかし、厄介なことであり、そして私たちの多くが間違えることは… 一度中立なポジションを取らせたら、実際にその中立なポジションを維持させなければならないこと!。 良い例が、バードドッグのような簡単で低レベルなエクササイズを行うときです。 苦労して中立なポジションをとらせることができますが、それを維持できない時はそのエクササイズの有効性を完全に失うことになるのです! このビデオを見てください。 繰り返しますが、もし中立ということが静止したポジションに対して「ゾーン」であるなら、その姿勢やポジションに多少の変動があるかもしれません。 しかし、それは痛みを持っている又は最近まで持っていた人に対しては、とても狭い範囲なのです。 このクライアントに対して肝心なことは、安定とコントロールです。彼らにあなたの選択したエクササイズの発展形(または後退形)をさせ、彼らが必ず堅固で安定しているようにしましょう。 以下が、IFASTでクライアントのトレーニングを始める新しいコーチやインターンに対して、私が毎回与える2つのプロによるアドバイスです: 負荷を減らすことを恐れない、そして 可動域を短く/狭くすることを恐れない。 これら2つのルールに従うことで、実質的にすべてのエクササイズにおいて多くの場合で中立なポジションを取らせ、維持させることができるでしょう しかし、これらの2つのシンプルなルールを守れないと、最も優秀なコーチやトレーナでも苦労するでしょう。 さて、これでスペクトラムの一端を補填しました。これからその反対端について考察してみましょう、そしてこれが今回、私が本当に話したかったことです。 中立な脊柱と競技アスリート 私がデッドリフトについての記事を書くたびに巻き起こる論争点です… 最高重量でのデッドリフトにおいて常にある程度脊柱が動くと言及するというような、細かいことで話に割り込みたい人がいます。 正直にいいますが、これは反論しづらいことです。 結局のところ、私が考える最適なテクニックからは程遠いテクニックを用いながらもすごく強いデッドリフターもいるのです そして、さらに私をこの件について反論しがたくするのは、このようなテクニックを用いても、全く大きなけがを負ったことがない人がいるということです(少なくとも私たちの知る限りでは)。 もし、私のように、より中立な脊柱のポジションは健康とパフォーマンスのためだけに最適なのはでないと感じるのであれば、どのようにこの点に反論しましょう? 私はこのように答えます… まず第一に、中立な脊柱とは、私たちの脊柱が最初に取り、そしてリフティング全体を通して維持するポジションではありません。 もし、最大努力でのデッドリフトを見るなら、脊柱はある程度動くでしょう。 もし問題になっているアスリートが非常に腰部を多く使うデッドリフトを用いているのであれば、多くの(脊柱の)動きがあるでしょう。 そして時々、もし股関節/大腿部をより多く使うテクニックであれば、その動きはより微小になるでしょう。 しかし、これらすべてのケースで、最も優れたデッドリフターは、そのほとんどのリフティングで、中立なゾーンを維持すると言えるでしょう。 そして、もし彼らが中立なゾーンから出てしまうようなときとは、それは最大努力のリフトまたは自己ベストのためでしょう これが、「脊柱に問題なく最適である」ことと「椎間板にダメージを与えないため」に最適であることの違いという私の次の論点につながります。 Dr. Stuart McGillはこのことについて盛んに言及していますが、おそらく脊柱に多くの傷害を引き起こすであろうポジションは、最終可動域での脊柱の屈曲でしょう。 Panjabiに戻るなら、彼は、私の言う「脊柱に問題のない最適」について言及しています。もし、あなたの脊柱が問題なく、さらにあなたの目的がデッドリフトの世界記録を破ることでなければ、あなたのトレーニング時間(そして起きている時間)の99.9%をこのポジションで行う必要があります。 一方で、もしあなたの目的が本当に世界記録を破りたい、またはあなたが通うジムで絶対的で一番強い野獣のような人になりたいのであれば、多少のリスクを伴います。 ここでの秘訣は、「椎間板にダメージを与えないために」最適な範囲に少なくともとどまることです。多くのデッドリフターは、直感的にこの範囲を知っていますし、賢明なため、このポジションから外れたときは単にウェイトを軽くするのです。 もし、デッドリフトの経験が浅く、自体重の2倍を挙上することができなければ、完全に背中が丸まったデッドリフトをすることを考えることすらしないようにしてください。 最後に、私が考える、集団に属さない特殊な人についてです。 そして不運なことに、私たちの多くはこのような人を知っています これは、クロマニョン人のような人で、完全なばかのようにトレーニングし、決してけがをすることなく、そしてもの凄く強いのです。 彼らは、ジムの中で(常に)一番偉そうな口を利くので、私はこのような人が好きではありません。 このような人はノーマルではありません。彼の脊柱、精神状態やその他何であれ、彼は並外れており私たちとは違うのです。 彼は何をやってもどうにかなり、それについて生涯話すことでしょう。 私たちは、彼を畏怖のまなざしで見ることはできますが、かといって彼のトレーニングアドバイスを受ける必要があるという事ではありません。 私の目標を覚えていますか: あなたができるだけ長い間、できるだけ重い重量を挙げ続けていられること。 例外はありません。 要約 要約するにあたって、中立な脊柱を連続体として考えてください。 脊柱のポジションの発展形 理想的な出発点は中立な脊柱のポジションです。これは、静止したアライメントによって決められ、パフォーマンスと健康の両方について、最も多くの自由を与えてくれます。 次のポイントは中立なゾーンです。このゾーンとは、脊柱がいられる、または“滞在”できる、比較的健全で安全な姿勢やポジションの範囲です。 次に、「椎間板にダメージを与えないための」範囲があります。これは、確実にグレーな範囲で、けがのリスク は増加します。もし、あなたの目的が、最大重量をリフトすることであれば、時によってこの範囲に足を踏み入れなければならないでしょうが、しかし、総ボリュームを最小限にし、このようなトレーニングについては賢明になることを強く勧めます。 そして最後に、脊柱が単に「くたばれこの野郎!」というような範囲があります。 この範囲には自己責任で入りましょう。 このトピックについての私のちょっとした見解を紹介しました。中立な脊柱はポジションですが、クライアントやアスリートをトレーニングするときは、彼らの脊柱の中立なゾーンに維持することにより集中する必要があります。

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パフォーマンス向上のためのコアスタビリティトレーニング : 裏付けるエビデンスは本当に存在するのか?(パート1/2)

“良い” コアの安定性は、特に腰痛治療に必要であるといった概念が、悪性の風邪が蔓延するがごとく過去15年以上流行しています。 なかなか治らずいつまでも長引くうっとうしい風邪と同じようなものです。この仮説やトレーニング神話を裏付ける画期的または際立ったエビデンスは今日まで得られていません。 トップレベルのスポーツクラブから近所のジムまで、パフォーマンス向上のための‘コアスタビリティ’トレーニングを実施しています。ランニング雑誌やトレーニング雑誌を手に取れば、やはり‘コアスタビリティ’を取り上げていますし、ネット上では‘コアスタビリティ’に関する情報量があふれています。たいていその内容は、月並みな仮説とその適用であり、確固たるエビデンスという点では、ほとんど何の情報提供もしていません。 多くのトレーニングやセラピーの概念が事実として盛り上げられてしまうように、エビデンスがないにもかかわらず、この見解はまだ多くの人たちや専門家、‘研究所’の基本的な概念を形成しています。 このブログでは、コアスタビリティトレーニングに時間と労力をかける価値が本当にあるのか、またそれが実際有益なのかどうかを、パフォーマンスの観点からとらえていきます。いつもの通り、たくさんの意見の寄せ集めではなく、有用なエビデンスをレビューしていきます。これを美的観点からのコアトレーニングと混同しないようにしたいと思います。もし、腹筋がどのように機能するか、またはどのようにパフォーマンスの向上につながるのかを気にすることなく、だた外観的にかっこいい腹筋を手に入れたいということであれば、ここでの議論はあまり意味を持たなくなります。 “コアスタビリティトレーニング:スポーツのコンディショニングプログラムへの適用”(ここをクリック)でウィラードソンは、次のように述べています: “コアスタビリティエクササイズをスポーツコンディショニングのために推奨する人もいますが、この主張を裏付けする科学的根拠はほとんどありません。” これに対する反対意見の参考文献もチェックしてみてください!(9, 12, 18, 38, 42) ここで一つ念頭に置いておかなくてはならないことは、そもそもしっかりしたコア“スタビリティ(安定性)”が備わっているかどうかを究明するのは現実的には難しいということです。つまり、正確に測定できない事柄と関連づけることは困難だということです。 この論文(ここをクリック)では、コアスタビリティに関する6つの臨床試験は、異なる評価者同士でも(評価者間)、また同一評価者による2度に及ぶ試験(同一評価者内)でも信頼性がないということを示しています。スポーツ環境においても、より信頼度が高いと証明されてはないと思います。 このトピックを研究するためのいくつかの制約があります。 コアスタビリティを測定する信頼性の高い基準がない。 コアスタビリティは、他のエクササイズと併用される。 アスレチックパフォーマンスは主観的なので、そのかわりにアスレチックパフォーマンス測定が用いられる。 エビデンス このことに留意して、まず、“アスレチックパフォーマンス測定における単独および複合での「コアスタビリティ」トレーニングの効果”(ここをクリック)をみてみましょう。 この体系的レビューは、コアスタビリティ、パフォーマンス測定、アスレチックパフォーマンスの関連を検討しています。彼らは、179の特定された記事中24の記事を含みました。 これらの研究者らが発見したのは、効果を上げるための主な目的として、特にコアに焦点を当てた研究論文では、一貫した結果が得られなかったことでした。彼らは、コアスタビリティトレーニングは、限界利益しかもたらさないと結論づけました。限界利益しかもたらさないものにどれだけの時間を費やすか、私たちは考慮しなくてはなりません。 次は、シャーロックらの論文 “コアスタビリティとアスレチックパフォーマンスの試験的研究:これらに関連性はあるのか?”(ここをクリック)です。 この論文は、関連性があると考えられるという結論づけをしましたが、そう確信を持っていない私には少し疑問が残ります。特に、文頭でこうした結論を示しながらも、それを十分に裏付けできるエビデンスを提示しないのですからなおさらです。 “この仮説の中で、コアスタビリティとアスレチックパフォーマンスは相互に関連することを認めたわけですが、最近の文献はこの関係性を支持していません。” この記述は、他のすべてのコアスタビリティに関する仮説をうまく総括しています。口ばかりで行動が伴っておらず、多くの主張と複雑な仮説ばかりで証拠に欠けています。 コアスタビリティを測定するにあたってダブルレッグローワリングテストを採用し、40ヤード(36.5メートル)ダッシュ、メディスンボール投げ、Tテストや垂直跳びといったパフォーマンスのテストと関連付けました。 コアスタビリティ測定と顕著な相互関係があるとされたのは、メディスンボール投げのみであったことが分かりました。他のすべてのテストとの相関性は低く、顕著なものではなく、もちろん明確に支持する結果ではありませんでした。ここでは見るべきものは何もないので、次に行きましょう。 良いコアスタビリティとはそもそもなんであるのか、それを測るための、信頼できる測定方法がないということは主な制約として先述しました。 著者らは警告しています: “コアスタビリティを測定することは、基準となるテストや測定法がない限り難しい作業となる。ダブルレッグローワリングは、コアストレングスの測定方法として有効で信頼性があるとする文献がある。” 個人的には、コアスタビリティとコアストレングスとの間に関連性を見いだすことは難しいと感じています。前者は筋活性のタイミングに基づいており、後者は力を産生する能力なのです。 この論文(ここをクリック)は、FMS、コアスタビリティ、パフォーマンステストとの間にみられる相関性に注目しました。ここで分かったことは、コアスタビリティテストとパフォーマンステストの間には低~中程度の関連性しかなかったことでした。また、コアスタビリティとFMSスコアーとの間にも顕著な相互関係は見つからなかったのです。FMSでは、コアスタビリティに重点を置いているようでしたが、コアスタビリティはFMSのスクリーニングには無関係であり、これらのスクリーニングのタスクを実施するために要求されるレベルのコアスタビリティのレベルは非常に低いことをこの論文は明らかにしています。 彼らの結論 “フィットネスのプロフェッショナルが、パフォーマンスを向上するためにファンクショナルムーブメント(機能的動作)とコアトレーニングに重点を置いてきたにも関わらず、私たちの研究結果は、それとは逆を示唆している” 同意します!またもや失敗。 また彼らは、FMSとコアトレーニングは、ケガの予防に活用されるべきだと結論づけています(あまりしっくりときませんが)。しかし、この論文の記述、参考文献のどこを探してみても、この結論に対する正確なエビデンスは見当たりませんでした! 事実、シシックの論文では、パフォーマンスやケガの予防、腰痛のためのコアトレーニングに関しての科学界における主張や大衆文化に対して、彼は明確な見方をしています。(ここをクリック) “これらの主張にも関わらず、この文献はコアトレーニングのメリットについてとても決定的とは言えません。” ウィラードソンの論文に戻りましょう。“コアスタビリティトレーニング:スポーツのコンディショニングプログラムへの適用”と題する論文の中で、次のように引用しています: “裏付ける科学的根拠がほとんどないまま、コアスタビリティエクササイズをスポーツコンディショニングのために推奨する人達がいる。”(9, 12, 18, 38, 42) つまり、この主張のエビデンスがないにも関わらず、それでも彼はコアスタビリティトレーニングを支持しているようです。 “コアスタビリティの向上は、すべてのスポーツコンディショニングプログラムでの優先事項であるべき。” 彼は律儀に理論を展開し、EMG測定値の上昇やコアスタビリティ測定の向上で、どのエクササイズがコアにより大きな影響を及ぼすかというエビデンスを提供しています。しかし彼には、スポーツのコンディショニングプログラムにおいてコアスタビリティトレ―ニングの妥当性を証明するために、コアスタビリティトレーニングによって実際に、アイスホッケーの滑走スピードやランニングまたは水泳に改善がみられたなどの具体的な意味を持つエビデンスを提示するということができていませんでした。公平な精神に則れば、彼は具体性の必要性について議論はしているのですが。

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パフォーマンス向上のためのコアスタビリティトレーニング : 裏付けるエビデンスは本当に存在するのか?(パート2/2)

エビデンス(続き) この論文(ここをクリック)では、コアスタビリティパフォーマンスとショルダープレスを検証しています。ここでもグループ間での有意な差はみられませんでした。彼らが出した結論は、コアスタビリティは“比較的高いレベルの課題特異性を示す。”そして、“動的な多関節運動に比べ、静的な単関節エクササイズとの関連性は高くない”としていますが、こんなことは既に分かっていたことですよね? ネッセルら(ここをクリック)は、3つのストレングス変数と4つのパフォーマンス変数において“フットボールのディビジョン1の選手のパフォーマンスとコアスタビリティの関連性”を検証しました。ここでも、中程度の関連性しかみられず、結局、著者らは、トレーニングでコアスタビリティに焦点を当てる十分な根拠はないと結論付けました。 “下肢のパワー測定に与えるコアストレングスの影響”(ここをクリック)におけるコアストレングスについて、私たちはやや異なる捉え方をしています。 メディスンボール投げが、単にコアストレングスを測るひとつの手段であるという考えはしっくりきませんが、ここでは実際、統計学的に有意な相関性が見て取れます。コアが力の総和の主な発生元であるとするなら、動きの中のパワー増大はより強いコアにかかっていると結論づけられるのでしょうか? パワー測定は、メディスンボールが飛んだ距離で行われましたが、これは他の要因にも左右されたかもしれませんし、6回のメディスンボール投げテストのうち、回旋に関与したものはひとつもありませんでした。 この最後の記述に私は同意します。しかし: “最近プランクエクササイズが、アスリートがコアストレングスとコアスタビリティを向上するための適切なコアトレーニング方法と考えられています。これは問題です。プランクエクササイズは、アスリートを、実際のスポーツ活動で要求される動きを再現することがほとんどない、機能的ではない静的なポジションにおくのです。コアは、身体のほとんどの運動連鎖の中心ですから、そのようにトレーニングされるべきなのです。” ランナーのトレーニングプログラムの一貫としてコアスタビリティはよく推奨されますが、ここでも本当のエビデンスはないのです。この論文(ここをクリック)で、スイスボールトレーニングはコアスタビリティ測定に顕著な影響を与えたが、ランニングパフォーマンス測定には何の効果もなかったとされました。またも特異性の呪いにやられました! よって、多くの仮説、システム、専門家に示唆されているコアスタビリティは確たる影響をパフォーマンスに与えるという考え方は、研究にはあまり反映されていません。せいぜい弱い相関性がみつかる程度です。このようなエビデンスをもとに、スポーツ強化の正当な理由として私たちは最近のコアトレーニングの流行と実施を心から支持できるのでしょうか? この結論が、都合の悪い証拠は無視して、支持する証拠だけ選び出したものではなく、入手できる証拠の総体に基づいているものであることを望みます。 いくつかの意見 何をしてもコアはトレーニングされていることを忘れてはなりません。コアは骨盤、胸郭、脊椎、さまざまな部位に付着していますから、これらが動けばコアの筋群も動くのです。頭上に手を伸ばしたり、屈んで靴ひもを締めたりする動作は、どちらもコアエクササイズです。骨盤と脊椎を逆方向に回旋させるランニングも、素晴らしいコアトレーニングのひとつです。 おそらく、コアのパワーとは、それがどれだけ変化に対応できるかという能力かもしれません。コアを発火させることについてよく議論されますが、時には筋が発火し過ぎて動きを制限していることもあります。動作に準じて柔軟性レベルを変化させる能力の欠如は、腰痛を患っている人に見ることがあります。卵が先か鶏が先か?と同じようにこれは結果なのでしょうか、それとも原因なのでしょうか? これに答えがあるのか、また両方の可能性があるのかは分かりません。痛みはここでの焦点ではないのですが、腰痛で苦しんでいるのであれば、このエリアのトレーニングへのアプローチのにおいyて考慮に入れなくてはなりません。 急性腰痛を患っている人の脊椎は、筋活動により実際、安定性を増しているということがあります(ここをクリック)。さらに、人々の筋活動パターンに2つとして同じものはありませんでした。これは、ある研究(ここをクリック)によって裏付けされています。この研究では、制御された運動(フリーダイナミックリフティング)をする腰痛を患っている患者のグループは、無症状(痛みなし)のグループに比べ、圧迫負荷が26%大きく、剪断負荷が75%大きかったと示しています。体幹の筋活動の分析では、体幹の筋に同時活性の増加が見られたとが分かりました。 ファリャらは、次の論文(ここをクリック)の腰痛グループは、健康なグループと比べ、リフティング動作時に筋内活性の多様性が減少していることを発見しました。 次に、多くの人は、運転や座りっぱなし、同じ姿勢で長時間メールを打ったりと、多様性のある動きをあまりしなくて済む生活をしています。ちょっとプランクエクササイズのようですね! 体幹の多様性のある動きを練習しなければ、上手く行うことができないかもしれません。孤立化された安定性のために、特別に、かなり不自然にデザインされたエクササイズではなく、コアは運動連鎖の中心として力を減速したり総計したりしなければなりません。 たとえば、頭上に手を伸ばすには、伸展をするために体幹の硬さを緩めるか、そのエリアの柔軟性レベルを上げる必要があります。コアにおける大変多くの動きが考案されています。解剖学を見てみればわかるように、進化はコアのエリアにかなり沢山の動きを与えたのであれば、なぜ静止させておきたいと思うのでしょうか? 動きの向上させるためのスタビリティという考え方、特にプランクのようなエクササイズには、少し違和感を覚えます。 次に、スポーツで特異的な反応を得たいのであれば、特異的な機能に留意して、コアトレーニングをした方が良いでしょう。これは前述の“下肢のパワー測定に与えるコアストレングスの影響”の研究とコアスタビリティパフォーマンスとショルダープレスを論じた研究の結論でもありました。 機能に関連した動作に関わる運動連鎖の一部として、特定の動きに関与する筋の相互作用、連鎖、タイミングは、特異的なモーターパターンの一部と言えます。シンプルに、もしテニスの試合で、コアをもう少し上手く働かせたいのであれば、コアがテニスの試合でいったいどのような働きをするのかを考える必要があります。コアスタビリティトレーニングの問題点は、トレーニングそのものがスポーツと化していることです。次のステップは、さらなる研究において、ある機能に対する特定のコアトレーニングが、その機能のパフォーマンスを向上するのかどうかを見ていくことです。 このブログのトピックではありませんが、トレーニングの特異性は、多くの研究で示されています。

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ケトルベルが一部のリフターに対しては腰痛を引き起こし、他の個人にとってはリハビリの助けとなるのは何故だろうか? パート1/2

ケトルベルは、アスリートや趣味でリフティングを行う人たちに頻繁に使われている。それゆえその使用については、多くの逸話が存在している。 ケトルベルの使用に関する逸話的特徴のひとつに、他の股関節伸展エクササイズを多く行っているにも関わらず、股関節伸展強度の増加や機能の向上がアスリートにより頻繁に報告されるということがある。他の逸話的特徴として、一部の人が、他の股関節伸展エクササイズを行う際には痛みを感じないが、ケトルベルスイングでは腰の痛みを感じるということがある。 下記の研究は、よく見られるこれらの2つの報告の背景にある理由を調べようと試みたものである。 研究論文:ケトルベルスイング、スナッチ、ボトムスアップキャリー:背中と股関節の筋肉の活性化,動作、腰への負荷、マッギル、マーシャル、ストレングス&コンディショニングリサーチジャーナル、2012年 *** 背景 ケトルベルは現在、唯一のトレーニングツールとして、また、バーベルや徒手体操と併用して、より多くのウェイトリフターやフィットネス愛好家によって使われるようになってきている。しかしながら、ウェイトリフターによる事例証拠は混在しているようである。 ウェイトリフターの中には、同じ目的の為に他の動作を行っているにも関わらず、スイングが腰部損傷後のリハビリの助けになる、または、股関節伸展強度の増加の助けになるとして、ケトルベルのエクササイズを賞賛ている人たちがいる。一方、他のウェイトリフターたちは、バーベルリフトは無痛で行えるが、ケトルベルの動き、特にスイングは腰を悪化させる動きの一つであると示している。 更に、一部のケトルベルの専門家は、革命的な武道家であるブルース・リーに由来する技術を使いスイングを実践している。「キメ」と呼ばれるこの技術は、筋肉の収縮と弛緩を訓練する為の短時間の筋肉の振動である。これはスイングの動きの頂点で行われる。 研究では、MMA(混合武道家)ファイターは攻撃する際、一撃の効果を強めるため、実際に素早い筋肉の収縮と弛緩を使うということが確認されている。しかしながら、一般的なケトルベルエクササイズを行う際の力学や、腰への負荷を数値で表そうとした研究はこれ以前には存在していない。 *** 研究者たちは何を行ったのか? 研究者たちは、ケトルベルスイング、キメを伴うケトルベルスイング、ケトルベルスナッチ、ケトルベルボトムスアップキャリー、ケトルベルラックキャリーといった、ケトルベルエクササイズを行う際の脊椎への負荷と、体幹、脚、背中の筋肉の様々な活動を数値で表そうと試みた。 研究者たちは、ある人にとっては治療的または有益であるが、他の人にとっては不快であるといったような、ケトルベル特有の特徴が存在するのかどうかを発見したいと考えた。彼らはまた、キメにどのような効果があるのかを発見しようとした。研究者たちはスイングとスナッチに7名の被験者、キャリーに5名の被験者を使った。 研究者たちはまた、パベル・サッソーリン が行うスイングの特徴を記録する許可を得た。この研究には16キロのケトルベルが使用され、解剖学的目印に置かれた反射マーカーと、9台のカメラモーションキャプチャーシステムを使用し、3D身体部位の運動学が評価された。床反力は、2つのフォースプレートをそれぞれの足の下に一枚ずつ使用し測定された。 筋電図のデータが表面電極を使用して記録され、研究者たちはその筋電図のデータを最大随意等尺性収縮(MVIC)へと正規化した。大臀筋に対して使われたMVICのポジションは、Bierring-Sorensen ポジションや、テーブルに腹臥位で膝関節を90度に屈曲させ股関節を伸展したポジションよりも高かった。中臀筋に対して正規化されたポジションは、横臥位で、股関節を少し外旋させ、45度に外転した状態で抵抗に耐えるポジションであった。 *** 何が起こったのか? 筋電図活動:スイング 研究者たちは、スイングの中で様々な筋肉の活動が最も活発な位置を調べた。彼らは下記のグラフで示されているように、スイングの際、最も活発な筋肉は、大臀筋、中臀筋、広背筋、そして脊柱起立筋であるということを発見した。 研究者たちはまた、臀筋の活性化のピークはスイングサイクルの後半で起こり、股関節伸展の最終ポイントと密接に関係していたと記述している。このことは次に挙げる2つの理由により有益である。第一に、スイングを行う際の臀筋活動のピークは、臀筋の活動が最大になり得るところ(すなわち股関節のフル伸展)の股関節の屈曲角度において起こる。これはケトルベルスイングが、股関節屈曲位において臀筋を最大に活性化する他のエクササイズよりも、より多く臀筋を活性化するかもしれないということを示唆している。 第二に、ケトルベルスイングにおけるこの臀筋活動のピークは、そのポイントにおいて股関節伸展トルクが最大であるため、臀筋の活動が股関節の大きい屈曲角度において最大であると信じられている、スクワットやデットリフトのような軸方向のエクササイズを行う際の臀筋活動のピークとは対照的である。このことは、ケトルベルスイングは股関節の異なる角度において臀筋を活性化するため、スクワットやデットリフトの補助的なエクササイズとして有益であるかもしれないということを示唆している。 *** 筋電図活動:キメを伴うスイング 研究者たちは、スイングにキメを加えることは、外腹斜筋において起こっている活性化の向上(右外腹斜筋において101%、左外腹斜筋において140%の向上)を伴い、主に腹筋に影響を及ぼすと報告した。下記のグラフは様々な筋肉間での差異を示している。 *** 筋電図活動:スナッチ 研究者たちは、スナッチは右外腹斜筋、右大腿直筋、左内腹斜筋の3つの筋肉の活性化を向上させることを発見した。これはケトルベルを高く振り上げる必要性があるからであろうと思われる。下記のグラフは様々な筋肉間での違いを示している。 しかしながら、スイングやスナッチを行っている被験者の写真を確認したところ、使われたフォームは標準的なヒップヒンジではなく、スクワットスタイルに近いものであった。これは、この研究での結果に影響を及ぼし、大腿直筋のより高い活動につながった可能性がある。これに対して、ヒップヒンジスタイルでのスナッチは、大腿二頭筋の活動をより大きく生み出すかもしれなかったが、更なる研究なくして、これを知ることは不可能である。 *** 筋電図活動:ケトルベルキャリー 研究者たちは、筋活動は全てのウォーキングエクササイズにおいてとても低かったと記述している。実際、大臀筋の活動の平均値は、いかなるウォーキングエクササイズにおいてもMVCの1%以上に達したことはなく、中臀筋の活動の平均値はMVCの3%以上に達したことはない。このことは、これらの筋肉においてトレーニング効果を得るためには16kgよりも更に重い負荷が必要だということを示している。しかしながら、研究者たちは、その他のウォーキングテストと比較した場合、左外腹斜筋以外の全ての筋肉の筋電図活動は、ボトムアップキャリーを行う際により高かったと記述している。 ***

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ケトルベルが一部のリフターに対しては腰痛を引き起こし、他の個人にとってはリハビリの助けとなるのは何故だろうか? パート2/2

何が起こったのか? (続き) 脊椎の動き:スイング ケトルベルスイングを行う際、脊椎は動きのボトムポジションで26度屈曲し、頂点では6度伸展するといったように、合わせて32度の屈曲、伸展が起こったということは記述しておくべきである。より高度なケトルベルの熟練者が、スイングの際に同じようなレベルの脊椎の動きになるのか、それとも違うレベルでの動きになるのかを判明するには更なる調査が必要である。 *** 脊椎負荷:スイング、キメとスナッチを伴うスイング 最も重要なこととして、研究者たちは、圧縮負荷に対する剪断負荷の比率は一般的なバーベルエクササイズに比べ、スイングやキメとスナッチを伴うスイングにおいてより大きく、そのことが、個人が時としてケトルベルエクササイズを不快に思う理由であるかもしれないと観察した。 研究者たちはまた、剪断負荷や圧縮負荷はスイングの始めに最も高かったと報告している。彼らはスイングやキメを伴うスイングにおいて、スイングの頂点では、キメを伴うスイングでは剪断負荷と圧縮負荷が高いまま維持され、通常のスイングでは著しく減少したが、スイングの頂点以外では、剪断負荷と圧縮負荷が似通っていたことを発見した。下記のグラフはそれぞれのタイプのスイングとスナッチにおける剪断負荷と圧縮負荷を示している。 上記のグラフは、3つのエクササイズ全てにおいて、動きの最初から中間までの間に、どのように剪断負荷が減少するかを示している。(注意:スナッチに対しての中間部分の測定は行われていない)しかしながら、このグラフはまた、通常のスイングに比較してキメを伴うスイングでは、いかに剪断負荷の高さが維持されているかも示している。研究者たちはより少ない剪断負荷の方が望ましいと考えられると記述している。腰痛や外傷の既往歴がある人においては、キメを伴わないスイングの方がより良い選択肢であるかもしれない。 このグラフはまた、スイングやスナッチにおける圧縮負荷は、動きの漸進と共に減少することを示している。しかしながら、キメを伴うスイングにおいての圧縮負荷は、高いまま維持されている。脊椎の硬さを高め、より高い剪断力による悪影響を減少させる為に、腹筋の活性化が促進されることによってこのような圧縮負荷の上昇が起こっているようであるが、これをこの研究から確実に証明することは不可能である。 *** 脊椎負荷:ケトルベルキャリー 研究者たちはまた、関節の圧縮負荷や剪断負荷はラックポジションや通常のウォーキングに比べて、ボトムアップポジションで著しく大きかったと報告している。 *** 事例研究 研究者たちは、パベル・サッソーリンが32キロのケトルベルを右手、及び両手で持ちスイングを行う際の筋電図活動を記録した。この実験の間、パベルは左の脊柱起立筋においてMVCの150%の活性化、また、左臀筋において100%以上の活性化を示した。 この事例研究は、それほど熟練してはいない被験者が、ケトルベルスイングを行う際に記録した筋電図活動のデータの結果、すなわち全ての筋肉の中で臀筋の活動が最も活発であったという結果とは著しく異なっている。臀筋はケトルベルスイングにおいて明らかに大切な筋肉である。しかし、パベルはスイングを行う際、コアスタビリティを確保するため、より一層脊柱起立筋を硬くすることもできたのである。 ヒップヒンジスタイルのスイングを習得することに集中したケトルベルのトレーニングの前後に、様々な負荷を使いながら、トレーニングされていない被験者グループの股関節の伸筋とコアの筋電図活動を記録し、改善されたフォームと訓練を通じて、より大きな活動を得ることができるのかどうかを観察することは興味深いでことであろう。 *** 制限要素は何か? この研究は、全ての動きにおいて軽量のケトルベルのみが使用され、被験者はほとんどが未経験者であったことに制限があった。更に、写真に示されているこの研究で使われたフォームは、理想的なヒップヒンジスイングではなかったようである。このことが、より大きな股関節屈筋、大腿四頭筋、脊柱起立筋の活動、そして、腹筋、臀筋、ハムストリングの活動の低下へとつながったのかもしれない。 最後に、この研究には脊柱負荷に関するデータが含まれておらず、そのデータがあれば、正しいヒップヒンジスイングのフォームと臀筋の活性化ができるアスリートを指導しているコーチたちにとって、より有益であったかもしれない。 *** 研究者たちはどのような結論に達したのか? 研究者たちは、ケトルベルスイングは、かなり大きな筋肉の素早い活性化と弛緩というパターンと共に股関節を軸にしたヒップヒンジの動きを生み出すようだという結論に達した。 しかしながら、研究者たちはまた、ケトルベルスイングは、圧縮負荷に対して剪断負荷がとても高いという、腰椎における独特な圧縮負荷と剪断負荷の比率を生み出すようであるとも記述している。それゆえ、この動きに対する恩恵を痛みなしに受けるためには、後方の剪断負荷に対する剪断安定性と剪断応力が必要である。 *** 実践的な意義は何か? アスリートと趣味でリフティングを行う人たちに対して: 脊椎の剪断負荷の圧縮負荷に対する比率は、バーベルエクササイズよりもケトルベルスイングの方がはるかに大きく、このことは、剪断負荷に対して抵抗力の低い個人は、軸方向に負荷がかかるバーベルエクササイズを心地よく行うことができるにも関わらず、ケトルベルスイングを不快だと感じる可能性があるということを意味するかもしれない。 一部のリフターたちがリバースハイパーやケトルベルスイングのような動きを有益だとみなすという事実は、腰椎におけるわずかな伸展によるものであろう。この多少の伸展は正しいフォームで行われている限り問題はない。 剪断負荷は、一般的なスイングに比べ、キメを伴うスイングにおいては高いまま維持される。腰痛や外傷の既往歴がある人にとっては、キメを伴わないスイングの方がより良い選択肢であろう。 スイングにおける臀筋の活動は股関節完全伸展近くでピークとなり、これによりケトルベルスイングは、股関節屈曲において股関節の伸展トルク(そして臀筋の活動量も同様に)が最大となるスクワットやデットリフトの補足トレーニングとして有益なエクササイズであるとみなされる。 ***

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地面を基盤としたコアトレーニング パート1/2

「スポーツは立ってプレイするものだ!」 「立っていなければ、機能的ではない!」 「生活は3次元 - 回旋動作を忘れるな!」 ある程度の期間トレーニングを続けている人ならば、上記の一つ(あるいは全て)のようなを言葉を聞いたことがあるでしょう。 誤解しないでください – これらの文章には間違いなく正しい部分があります。 でも全てが正しいわけではなく、これは誰にでも当てはまることです。 では、なぜ地面を基盤としたコアトレーニングが多くのアスリートにとって良い考えであるのか、そして、ジムで今日から使えるエクササイズをいくつか紹介していきます。 コアトレーニングのプログレッション 私たちすべてにとって、最終的な目標は、実生活に役立つ「コア」エクササイズをすることです。 スクワット デッドリフト オーバーヘッドプレス これらについては議論の必要はないでしょう。でも、次のような疑問が浮かびます: クライアントは身体的にこのエクササイズをする準備ができているのか? クライアントはコアを安定させるのに最適な方法を身につけているか? 股関節屈筋や脊柱起立筋を主要筋として使い、伸展位に固まってしまっていないか? この状況は、「オープン」や「はさみ」姿勢と呼ばれるもので、身体の後面の筋群のみを使っているだけではなく、身体を安定させようとして、脊椎の後面(椎骨と椎間板)を押しつぶしてしまうため、理想的ではありません。 あなたやあなたのクライアントがこれに当てはまるのなら、コアを安定させる技術をしっかり築く必要があります。 典型的な、プログレッションの段階は下記のように表せます。 伏臥位/仰臥位  ・ 四つん這い ・ 片膝立ち/両膝立ち ・ 直立 見ればわかる通り、最終的な目標は立つこと、または、スクワット、デッドリフト、オーバーヘッドプレスのように垂直姿勢でのコアエクササイズを行うことです。同様の記事をこちらからも読むことができます。 でも、もしこれらのエクササイズにより痛みが生じるとしたらどうでしょう? あるいは単純に、効率が悪く、全然進歩できていないとしたら? そのときは、進めてきた段階を逆戻りするときだと思います。 片膝立ち、および、両膝立ちの姿勢は、代償動作を避け、最適な安定性のパターンを築かせるための素晴らしいポジションです。こちらは、両膝立ちのポジションや、片膝立ちのポジションが良く分からない方のための短いビデオです。 これでも上手くできない人がいます。指導をする際に、しつこくポイントを指導し続けなければならず、それでもなおできないという場合には、四つん這いのポジションに戻ります。 もし、四つん這いのポジションでもできないとしたら?それが、最初の一歩:うつ伏せと仰向けのエクササイズに戻るときです。 なぜうつ伏せや仰向けでのコアエクササイズをするのか? うつ伏せや仰向けでのコアエクササイズは、地面を通じて、外部からの安定性がかなり得られるため、理想的です。 考えてみてください。立位では、身体が空間のどこにあるかを感じることができる唯一の「外部」からの手がかりは、足です。足で感じることができなければ、身体がどこにあるかわかりません! 上記で紹介したプログレッションを逆向きに遡っていくと、身体が空間のどこに位置しているのかを理解するのに役立つ、外部から得られるフィードバックがどんどん増えていきます。 うつ伏せや仰向けのポジションは、外部からのフィードバッグがたくさん得られるだけでなく、外部からの安定性も得ることができるため、その際たるものです! 上記で述べたプログレッション(垂直姿勢、両膝立ち、片膝立ちなど)は、赤ん坊が最初の一年で経験する成長の過程にも当てはまります。私は、この分野の専門ではありませんので、詳細ついては、ビル・ハートマンやグレイ・クック、チャーリー・ウェイングロフらに任せたいと思います。 ここでのポイントは、まず矢状面の動きを習得することです。たとえば、テーブル上で、クライアントやアスリートを評価するとき、股関節の内旋が不足していたとします。 従来のアプローチでは、単純に内旋を増やすためのストレッチをして、動きを取り戻そうとします。これは、可動域は増えるかもしれませんが、靭帯や関節包のような受動的な制限を取り払った代償としてかもしれません! 私たちはよく、可動域の制限を見ずに、動きを制限している悪いスタートポジションだけを見てしまっています。 そこで、ストレッチをする代わりに、まずエクササイズの開始位置を変える、または、「リセットする」ことを試みてみます。これは、骨盤や腰椎をより理想的な位置に持っていくためです。こうすることにより、すぐに可動域が変わるのであれば、まずポジションを正す必要があるということがわかります。 かなり遠まわしな言い方になりましたが、関節(この場合、骨盤と腰椎)を通じて、理想的な矢状面の機能がなければ、前額面や水平面の可動域を十分に得ることは難しいでしょう。 次回の記事では、コアの前面を発達させるのに有効な、仰向けのエクササイズに重点をおきます。多くのクライアント(およびアスリート)は、様々な角度の、腰椎伸展/前傾がありますが、コアの前面が強く安定していれば、これを正し、伸展をうまくコントロールすることができるようになります。

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地面を基盤としたコアトレーニング パート2/2

地面を基盤としたコアエクササイズ 一週間少し前に、IFAST(著者のトレーニング施設)で、新しい遠距離のクライアントのトレーニングを見ていました。彼女には、まず矢状面の動きを習得してもらいたかったため、常に仰向け/地面を基盤としたコアエクササイズを、かなり多くプログラムに取り入れていました。

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