マイクロラーニング
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生体心理社会モデルの臨床への応用 パート2/2
原因と治療の焦点 BPSモデルが解釈され、実施される最も一般的な方法は、より伝統的な診断と治療に焦点を当てたものであるようです。おそらくこれは、臨床医と患者の双方に多くの問題を引き起こす可能性があるでしょう。何かを特別に治療するためには、まず何が問題なのかを知る必要があり、それから問題の原因を見つけることに集中するのが一般的です。しかし、今はもっと多くの分野で潜在的な問題があり、それが私たちを混乱させるのです!伝統的な病理学に固執することは、他の分野の専門家にならなくとも、十分に難しいことです。 BPSや人間中心のケアの精神に則り、実際にその人を治療することなく、複数のBPS「要因」を治療することができるのですから、私達はこれをBPSモデルの生物医療的応用出あると主張できるかもしれないと考えています。本当の目的は、人間と痛みに焦点を当てたモデルをうまく導入することでしょう。 痛みに焦点を当てたモデルを実施するために特定する必要がある要因の多くは、いずれにせよ、それを機能させるために人間中心のモデルが必要になります。良好な治療関係、信頼、ラポールがなければ、どうやって人々に私達が必要とする情報を話してもらうことができるのでしょうか?多くの場合必要とされる行動変容の実行を、私たちはどのように支援すればよいのでしょうか?単純な答えは、私達はそれを行わないということです。 原因ではなくきっかけ 常に因果関係のレンズを通して物事を見るのではなく、痛みのきっかけとなる要因や行動を考えることが、より良い見方なのかもしれません。さまざまなことがきっかけとなり、痛みの状態を悪化させたり、変調させたりする可能性があります。これは言い方の問題でしょうか?その可能性はありますが、原因を特定することに重点を置かないほうが、臨床医が一つのことを正確に当てるプレッシャーを軽くし、痛みを解決するためのある一つのことを見つけたい欲望を抑えることになるかもしれません。「椎間板/神経/アライメント」を「ストレス/睡眠/仕事」に置き換えて、「きっかけ」という視点を持つことで、苛立ち、やる気を削ぐことにもなり得る治療法や対処法を探し求めるのではなく、痛みの状況を理解することができるかもしれません。 ここに見られるように、回旋腱板腱症患者の痛み、機能、QOLに関わる心理的要因として9つが確認されました。BPSの見つけて直すモデルが、ほとんどの臨床医にとって深刻な困難であるのも不思議ではありません。 例えるなら、背景で断続的に痛む切り傷のようなものでしょうか。自分では気づかないこともあれば、少し疼くこともあります。でも、何か刺激的なものが加われば、まったく別の話になります。この追加された要素は切り傷と相互作用し、反応を引き起こしました。切り傷がなければ、何も起こらなかったかもしれません。ですから、もしかするとそれ自体、カジュアルな要素とは思えないかもしれません。時に、生体力学的な機能不全を心理社会的な機能不全にすり替えてしまう危険性があります。 BPS要因の相互作用は本質的に厄介なものです。人間は複雑な相互関係システムのウェブのようなもので、システムに作用するものと、システムが起こす反応との間に非線形の反応を示します。つまりこれは、ストレスのような変数には大きな変化があっても、痛みのような対象変数への影響にはわずかな変化しかないかもしれないということを意味します。また、ある変数に大きな変化がなくても、別の媒介変数が変化し、その結果ターゲット変数が変化することもありえます。これは、研究や臨床モデルで見られる、一次アウトカム指標と介入を伴う直線的なアプローチとは異なるかもしれません。 もし直線的な因果関係と機能不全という単純な見方でBPSモデルにアプローチしてしまうなら、これは生物医学的な観点にそのまま戻ってしまいます。 マイナスではなくプラス? BPSモデルの治療によるこの厄介な非直線性には、プラス面もマイナス面もあります。治療が多くの変数にわたって幅広い効果をもたらす可能性があるという点ではプラスですが、そうでないかもしれないという点ではマイナスです!エクササイズは、さまざまな媒介変数を通じて、一般的な健康、精神的健康、痛みに影響を与える可能性があります。BPSモデルにアプローチする一つの方法は、機能不全を直そうとするのではなく、全体的な効果をもたらす可能性がある側面を改善することです。これは、アントノスキーが提唱する、病気ではなくウェルネスに焦点を当てるというサルトジェニック・モデルに合致するものです。 おそらく私たちが直面する問題は、「ただエクササイズをする」ことでその人がOKになると考えることでしょう。 「エクササイズは効果がある」というのが一般的な見方ですが、これではデータを語ることはできません。母集団レベルで「効果がある」かどうかよりも、目の前にいるその人にどれだけ効果があるかが重要なのです。エクササイズが幅広い効果をもたらす可能性があるにもかかわらず、研究(そして多くの場合臨床)において、痛みという成果指標に劇的な効果が見られることはまだありません。 それは、それがどんな問題であれ、エクササイズが自動的にキャリーオーバーすると期待しているからではないでしょうか?エクササイズの筋力、睡眠、精神衛生、そして最終的には痛みに対する効果は、研究ベースではすべて潜在的な効果/媒介物ですが、これらの効果が保証されているわけではありません。この論文によると、筋力やパワーのスコアによって、人々が自動的にプレーに復帰できると感じるようになるわけではないとのことです。肉体的なコンディショニングが人々を精神的に強くなると感じさせることはあっても、それは自動的で直線的な関係性ではありません。 まとめ 私達が物事を効果的に進めるためには、おそらく両方の視点を必要とするでしょう。 これを状況に当てはめてみると、まず、その人についてより多くを発見したことに基づいて、私達は、エクササイズに求めるであろう効果を考える必要があります。私たちは健康を向上させたいのでしょうか?ウェルビーイングを?機能を?晒されることを?これらの異なる目的を達成するために、私たちはいくつかの異なる方法でエクササイズを設定しなければならないかもしれません。次に、私たちがその人とその人の旅路について深く知ることで、このエクササイズをより望ましい効果をもたらす可能性のある別の方法で構成し、説明し、実施することができるかもしれません。 もしBPSのアプローチを使うことが、幅広い効果を与え得るという理由から、ただエクササイズをするだけになってしまうとすれば、BPSのアプローチとは何かを見失ってしまっていると私は考えています。
生体心理社会モデルの臨床への応用 パート1/2
生物心理社会的(BPS)モデルは、おそらくあなたがやるべきと感じてはいても、はっきりとどのようにしたら良いかわからない、あるいはそのスキルを持っていないと感じるかもしれないものの一つでしょう。BPSモデルについては、かなりの不確実性とちょっとした不安があるようで、それを論じた論文(こちら)でさえ、実際に定義しているものはほとんどないようです! ダン・アリエリーの「ビッグデータ」の見解の引用は、非常にうまく要約されています(著者に賛辞を送ります)。 腰痛の生物心理社会的管理: 10代のセックスのようなもので、 みんなその話をしているが、 誰もやり方を知らない、 誰もがやっていると思っている、 だからみんなやっていると主張している。 しかし、BPSモデルを完全に定義したり理解したりしなくても、何らかの形で導入することはできるかもしれません。まず最初にすべきことは、それについてもっと知ることです。最近私は、ツイッターで、BPSモデルは「もう古いから、先に進むべきだ。」と言われました。話し合いが少し進むと、相手があまり読んでいなかったことがわかりましたが、これはよくあることだと思います。BPSが何であり、何でないのかについては、人それぞれの解釈があるようですが、私は試みてみました! それは何なのか? これらの全く異なる引用に要約される2つの主な視点があるようです: 「生物心理社会モデルの関心の中心は、病気ではなく、病んだ個人である」Havelka 「生物心理社会的モデルは、1977年にジョージ・エンゲルによって初めて概念化されたもので、人の病状を理解するためには、単に生物学的要因だけでなく、心理学的要因や社会的要因も考慮する必要があることを示唆している。」Physiopedia 前者は治療する人に重点を置き、後者は症状や問題に重点を置いています。つまり、私たちが混乱するのも無理はなく、これらのどちらもが次に何をすれば良いかのガイダンスを与えてくれてはいません。 BPSのモデルに対する見解の中で失われていると感じる視点のひとつは、エンゲルの著作の特徴である、医療の「人間化」に焦点を当てることです。生物心理社会モデルを理解するためには、そもそもなぜそれが必要なのかを理解する必要があります。その理由は、医療を病理学と数値に還元した生物医学モデルから脱却するためでした。 BPSアプローチの成功を、単に成果指標によって定量化するようになったのは、とても興味をそそられると思いませんか? ケアの哲学と人間重視 これがBPSの本当の精神なのかもしれませんね?「ケアの哲学」と人間重視。 素晴らしいのは、これを実践するために広範囲のトレーニングを要求されることはなく、単に必要とされるのは、椎間板や腱など、その人が抱えている問題以上のものがあることを認めるだけでいいということです。また、彼らの感情や考え方、ひいては行動を形成する歴史や経験もあるでしょう。 私にとっては、この引用にうまく集約されています: 「患者の目を通して世界を見て、患者の靴を履いて世界を歩む。」 ジョアン・バークのこの言葉も、私たちがいかにその人よりもその人の持つ痛みに焦点を当ててしまうかを要約しています。 「痛みに苦しむ人ではなく、『痛み』に主体性が与えられている。痛みの出来事は常にその人の人生に属するものであり、その人の人生の物語の一部である。」 BPSモデルの人間的な側面について言えば、私たちはおそらく、私たちが行うすべてのことがより良い結果(例えば、痛みの変化)に結びつかなければならないという考え方にとらわれてしまうかもしれません。つまり、相互作用は痛みの変化によって測定・判断され、共感は痛みの変化によって測定される......わかりますよね。これはまさに、エンゲルが反論していたような実証主義的/経験主義的な視点であり、すべてを問題への過度の集中に還元し、その変化を測定するものなのです!より良い結果の計測を得るためだけでなく、それが正しいことであるから、私達はいかにインターアクションを取るかに気づきを持つべきなのです! エビデンスに基づく医療は重要ですが、人間を犠牲にするものではありません。私達は、小さな部分に分解をして、エンゲルのシステムの階層を下っていくのではなく、頻繁に全体像にズーム・アウトする必要があるのです。 BPSモデルの最も重要な側面は、私たちがどのように考え、どのように行動し、どのように相互作用しているかについて、私たち自身が自省することでしょう。しかし、このことが議論されているのを私はほとんど見たことがありません。コミュニケーションや相手への気遣い、自分自身の行動を振り返るだけでも、非常に価値のあることです。 BPSモデルを効果的な治療手段にしたいのであれば、おそらくここで議論されているような人間的な側面が必要だということです。痛みに関係する心理社会的要因の多くは、行動の変化を必要とします。このような変化には、私たちが言っていることへの信頼と信念も必要で、それが人々が晒されている痛みにまつわる他の概念や考え方に反している場合には、難しいことです。 BPSモデルの、より人に焦点を当てたバージョンを実施するために活用できる点がいくつかあり、それらは直接治療に焦点を当てたものではありませんが、プロセスに影響を与える可能性があります。 感情が痛みに影響を与えるのと同じように、痛みを持つことも感情に影響を与えます。これは双方向モデルです。 社会経済的地位とヘルスリテラシーは、治療プロセス全体に直接影響します。 信念は社会的なレベルで形成される部分があり、それによってかなり厄介なものになることを理解してください。これらはセッションの中で単純に変わるわけではありません。 痛みを抱えることは辛く、回復への意欲や信念を制限することも可能です。 この人は何度も自分の話をしなければならないかもしれず、それはとても苛立たしいことにもなり得ます。 答えを常に探し続けるのは、苛立たしく疲れることであり得ます。現代医学は、あることを絵に描いたようなものです。 不確実性とそれがもたらす心配は、人々の心地を悪化させます。単に彼らの痛みのみでなく、彼らのウェルビーイングまでも。 希望、意欲、楽観主義、自信を植え付けることは、痛みだけでなく人生においても重要です。 これらはいずれも治療法ではありませんが、その人と、その人の関与の度合い、楽観性、将来への見通しを理解するのに役立ちます。また、これらの点を実施するのに膨大なトレーニングは必要ありません。
投球障害−症例研究:減速期−忘れ去られた最後の投球フェーズ
今週は、投球時の肩痛を抱えている水球選手に関する興味深い症例がありました。この痛みは、全力投球時にのみ発生していました。現在、私は多くの水球選手に会う機会がないので、これは挑戦でした。評価に関して、更に一層の課題となるために、私は、身体の上半身と下半身にかかる異なる2つの抵抗(空気と水の抵抗)と同様に、床反力が異なるという事実を脇に置いておくことに決めました。 すぐに私に興味を抱かせたものは、通常、最大出力時だけでなく、最大出力に近づくにつれて、組織の断裂、もしくは炎症部位が痛む可能性が高いのですが、この場合、最大出力時においてのみ発生するということです。私は、身体が対応できない最大限の力を減少させる方法が痛みであると感じました。私達全員が、ヘルスケア業界の中で学び始めているように、痛みは興味深く、絶え間なく変化するものであり、私達が教えられてきた従来の方法で作り出されたり、知覚されたりするものではないのかもしれません。 最初に行ったことは、私が精通していない動作を考察することでした。私にとって水球の投球は、野球の投球にとてもよく似ているように見えました。また、どの投球フェーズ(期)において、痛みが発生しているのかを知りたいとも思いました。それは、コッキング期かもしれません、加速期かもしれません、それとも、減速期かもしれません。多くの場合、私達は、ゴルフ・ショットのバック・スウィングにより焦点を当てる傾向があるのと同様に、投球の初期段階に注目します。これら両方の機能はまた、技能と痛みの観点から軽視され得る減速期を有しています。身体が動作を減速できないのであれば、身体は減速を見越して、その加速を変化させるかもしれません。身体は、防御疼痛反応を作り出すことによって、どのくらい加速するかをも制限しているのかもしれません。野球の投球中のピーク力は、トルクにして27,000インチ/ポンドと見積もられています。これは、サッカーのキックの力の4倍です。 この症例で、その水球選手は左利きで、左腕が右脚の上で投球を終えるということを意味しています。これは、右脚が投球時の力の減速に極めて重要であるということを意味しているでしょう。投球動作中に部分を制限することによって、投球中の部分的寄与の考察をし、加速期間と減速期間の両方で必要とされる力と運動エネルギーの観点から、身体の他部位からの多大な寄与について議論している研究もいくつかあります。投球に関する多くの研究はいまだに、医療従事者からの肩損傷プロトコルを行うように、主に肩に重点的に取り組んでいます。私が言えることは、肩損傷が野球界で多発していることから、医療従事者は肩だけを見ることから離れ、より身体の全体を考え始めるべきかもしれないということです。とても大きな力に直面すると、人体のような賢い生命体は、身体の一部分だけではなく、身体全体にわたって力を消散しようとするでしょう。私達は、それが起こっていないかもしれない理由を考えるべきであり、より全体的なアプローチを用いるべきかもしれません。 この知識を持って、私は最初に患者の運動歴を掘り下げて考えました。するとすぐに、右脚にかけて坐骨神経痛の既往歴があることが分かりました。私見ですが、後部構造として、坐骨神経はしばしば、硬直した後部の伸展筋群によって影響を受けます。坐骨神経の問題を示す人たちはしばしば、下に手を伸ばす際に、股関節屈曲位になっているときに痛みを覚えます。これは、他の機能的連鎖が寄与しないため、主に腰椎から屈曲を得る必要があるからかもしれません。これにより即座に警鐘が鳴らされます。 歩行を見ることが、評価の次の部分でした。私は、他の機能において、彼がどのように動くかを見たかったのです。彼が彼の右側に踏み出した際に、私は彼が右股関節/右脚を十分に屈曲させていないことに気がつくことができました。特に動作が大きくなった時に、脊柱を通しての動きがどの位みられるのかは、良い指標になります。これは、身体に働いている床反力のためです。下方で力が軽減されないのであれば、運動連鎖の上方において軽減される必要があります。私達の身体は、骨と組織の動きを通して、これを行い、それによって私達は過度な動作を見ることができます。これは、前額面、もしくは矢状面(脊柱後弯)においてかもしれません。この症例では、右脚が床に接地した際に、上方向への運動連鎖における力の増大を示している、過度の右への側屈がみられました。これはボトムアップ(上昇型)の加力であり、また投球中下半身へのトップダウン(下降型)の伝達ができないということも意味しているでしょう。前額面における股関節内転(前額面における歩行中の前脚の動作)をみてみると、明らかに制限されています。これは、力が上方に押されているということを意味しているでしょう。 では、もし投球から右脚を取り除いたら、何が起こるでしょうか?私は、彼に以前に左脚一本で立っていたときに痛みを引き起こしたのと同様の力で、片脚での投球を行ってもらいました。これは、痛みを引き起こさず、彼にとっては驚きでしたが、私にとっては、かなり理にかなうことでした。そして、今度は同じ投球を右脚で立ってもらうと、痛みが再発しました。 これら全ては、痛みの犯人は、左肩ではなく、右脚であると指し示していました。また、右足を見て、代償性の後足部内反(後足部の内反位)があることも発見しました。これは回内力の増加を作り出し、力の減速にあまり寄与しない足を作り出すでしょう。これはまた、運動連鎖の下から上への力の転移も作り出すでしょう。トップダウンの動作の間、足の変形のような、本質的に不均衡で不安定な構造への力の転移を止めるために、股関節は固くなります。身体は不安定な状況にさらされたとき、安定性/硬直を作り出すでしょう。それが、BOSUの上でうまく動けない理由なのです!!私はしばしば、増強した力に直面するとき、股関節のボトムアップの駆動とトップダウンの駆動の両方の構造を保護するために、身体が固有感覚的に股関節動作を休止することを選択するのに気づきます。
アキレス腱痛:あなたは正しい方の足を見ていますか?
この記事は、私が最近扱い、コーキネティックにおける思考過程のアイデアを提供したいと思った症例に起因しています。症状と問題の原因は常に一つというわけでも、同じというわけでもありません。 この症例の患者は、左アキレス腱に問題を抱えていて、同側足の外側痛もあります。興味深いことに、速く走れば走るほど、痛みは減少するのですが、これについては後でより詳しく述べます。 私が最初に行ったことは、足への体重負荷をみることで、患側足から始めました。私は、その足の動作能力と、取り組もうとしている足のタイプを感じ取りたかったのです。視覚的には右側足とほぼ同様で、ハイアーチと尖足(前足部の底屈位)をみることができました。もう一つの明確な兆候は、偏平足というより凹足(ハイアーチ)の足部に対しての膝の外旋でした。その足は明らかに問題として、早急に私に警告を発していました。 これは、裸足での立位においてでさえかなり明白でした。私は足の動作と、足が固まって柔軟性に欠けるのか、過可動的なのかを感じ取りたいので、彼にベッドに乗ってもらい、足がどうなっているのかをみるために、揺らすように動かしてみました。間違いなく柔軟性に欠けるタイプでした!それだけではなく、回内と回外に関しても見てみたいと思いました。回内を作り出すために、前額面に対して踵骨を外反させ、横断面に対してSTJ(距骨下関節)外転を作り出すように距骨を内転させました。回外時よりも回内時の方が回内の背屈構成要素を必要としないので、私は回内の背屈構成要素に関してはあまり気にかけていません。回内の欠如が、特に回外位(ハイアーチ)で固定された足において、アキレス腱痛の原因の可能性があるのかどうかを見たかったです。とはいえ、固まっている側の足はかなり回内しているようにみえます。そして、回外にも着目してみました。このために、回外時に背屈の必要性がかなり高いため足を背屈位にし、踵骨を内反位に持っていき、アーチを上げつつ、脛骨/距骨を外旋させます。この場合も先と同様に足はよく動いたため、私は問題の原因は他にあると考え始めました。先に述べたように、コーキネティックにおける思考過程は、人体において損傷の原因と症状は、お互いに離れたところにあるということなのです。 では、右足をチェックしてみましょう。こちら側の方がより固まっていて、背屈が少ない、状態の悪い足のように感じました。足に背屈の需要が与えられると、回内位にこっそりと戻りたがっているようでした。尖足は、地面に足をついているだけで背屈を使い切ってしまっているため、回外時に脛骨傾斜角が増大する際、尖足は、足のロック解除、もしくは回内によってアクセス可能となる背屈のリソースを得ようとします。これは、動きの順序の後半での後ろ足の回内と、しばしば反対側への体重移動を引き起こします。効果的な回外の重要な構成要素である第一趾もかなり硬直していて、背屈が制限されていました。警鐘は鳴ってていますが、評価の残りの部分を終わらせたいと思います。 私は、彼が体重負荷での回内/回外を行う際、何ができるかもみてみたいと思いました。ですから、立位で、足を回内、回外するために、反対側の脚・足を使ってもらいました。左側は効果的に回内と回外することができました。これは、私に左足は問題ではないということを信じ始めさせるものでした。しかし、右足は、背屈/脛骨傾斜角の需要が増加した際に、必死で回外しようとして、回内位に戻っていきました。 次に、歩行時に何が起きるのかをみたかいと思いました。先にも述べたとおり、右足は、歩行周期終盤に回内していました。何が起こっているのかについて、かなり素晴らしい手掛かりが得られました。右足が回外できなかったことが、骨盤の右経の回旋を妨げていました。後ろ側の足であり、回内している右足は、右足が回外し脛骨が外旋すべき時に、右脛骨を内旋させてしまっていました。ボトムアップの駆動が、トップダウンの駆動よりも強いため、これは大腿骨と骨盤が右に回旋するのを妨げていて、実際に、前額面において足の左側への横方向体重移動を作り出していました。これは明らかに左足の外側への圧力とその後の痛みを引き起こします。骨盤の回旋を抑制することは、足の回内に大腿骨と脛骨が反応するのを妨げるでしょう。距骨下関節運動の欠如によるボトムアップ駆動が原因ではなく、後ろ側の足からの連鎖反応の欠如によるトップダウン駆動により回内の問題が引き起こされていたのです。歩行時のように動作において足が連動する際、連鎖のいかなる部分も問題を引き起こす可能性があります。 これは、彼が速く走れば走るほど痛みが緩和される理由を説明しています。私達は速く走れば走るほど、片脚で費やす時間が長くなり、左右の足の運動を連動させる時間が短くなります。右足はもはや、痛みなく十分な関節可動域を持つ左足に影響を及ぼすことがないのです。 私は彼に左足を前にして立ってもらった状態で、左膝を曲げて(骨盤が右に回旋するはず)低くランジをしてもらい、動作を注視すると、左足の回内と骨盤の右回旋が起こることなく、左側への体重移動が明白でした。この機能的に本質的な姿勢で、右足の回外を補助してあげると、左足が回内し無痛の関節可動域を通ることを可能にしました。この症例における治療のカギは、左足の痛みを緩和させるために、右足を回外させることであり、それは患者のための宿題の大部分を形成していました。 この症例での教訓は、“多くの場合、私達は症状を治療しても、結果が得られない”ということです。カギは、“症状に惑わされない評価を行い、真の大きな問題を探す”ことです。私達は足が個別に、そして連動したときに何をすることができるのかを分析する必要があります。また、歩行のような機能的活動で連動したときに、足が何をすることできるのかも分析する必要があります。
筋肉の活性化−筋肉は単に骨と関節運動に“反応するもの”なのでしょうか?
これまで私は、“筋肉は反応するものである”というギャリー・グレイ氏の見解に関しての、さまざまなバリーションを目にしています。その通りだと思います。“筋肉は反応するもの”なのです。 ギャリー氏が言わんとする“筋肉は反応するもの”というのは、我々は一般的に、筋肉を求心性収縮の力の産生者として見ている、ということを意味しているのだと思います。実際には、運動中、まず遠心性収縮によって、動作の減速をする必要があります。歩行について考えてみると、動くための力を作り出す前に、最初に重力、床反力、質量、モメンタムを弱力化するために屈曲します。つまり、私達は求心性収縮の力を作り出す前に、身体に作用している力に反応しているのです。 このテーマに沿って、骨と関節が動作を感知し、筋肉はこの動作によって必然的に決定されるというバリエーションを加える人達もいます。 コーキネティックでは、その見解は全体像ではないと感じています。“筋肉は反応するもの”ですが、骨と関節にではなく、“脳に反応するもの”なのです。動作はただのフィードバック・モデルではなく、フィードフォワード・モデルであることも忘れてはなりません。 骨とそれに関連する関節運動は、脳が筋肉の伸長、短縮、もしくは同じ長さでありえることを選択する情報に基づいて、脳への機械受容器の求心性(フィードバック)信号を作り出すでしょう。よって、実際には、筋肉が骨に指示をするかもしれません。これは、関節可動域が欠如している際に、私達がいつも目にすることです。筋肉は減速の制限を選択することができます。身体に作用している力に直面する際、筋肉はただ反応するのではなく、減速を制限する選択することができるのです。 筋紡錘は、単にフィードバック機構だけでなく、フィードフォワード(遠心性)機構でもあります。紡錘内線維の張力は、脳からのフィードフォワードによって制御されています。これは、筋紡錘の張力が遠心的に変化するのであれば、筋紡錘の張力は筋紡錘増幅率を変化させ、求心性フィードバック情報(長さ変化と長さ変化の割合)に影響を及ぼすということを意味しています。脳は、脳自身から受け取る情報の感受性を変化させることができるのです。驚きです! 私達が異なる地面を走るとき、この恒常的な剛性調整を経験します。地面の剛性は変化しますが、脚のバネの剛性は一定のままです。これは、生体力学的な骨運動は極めて一定のままであるにも関わらず、筋紡錘増幅率における遠心性変化を介して、筋緊張の変化を作り出すことができるということを意味しています。ファーリー氏は、この分野において素晴らしい研究を行っています。研究論文を読む場合は、ここをクリックしてください(英語)。 脳は骨および関節運動に筋肉の“反応”を指示するでしょう。それは、単に動くことによって反応するのではありません。実際に、私達は、筋肉の活性化パターンは、単に骨運動への反応で変化するのではなく、痛みによっても変化することを知っています。私達は傷害に対応するために防御的運動パターンを発達させ、多くの場合、傷害前の運動能力に完全復帰することはありません。実際、生涯にわたって、特にスポーツをしているのであれば、私達は運動パターンの変化をもたらし、個性的な動作の特徴を作り出す、数えきれないほど多くの傷害を経験します。 “痛みのある、あるいは傷害のある部位を保護するための運動戦略を変化させるために、痛みは強力な刺激を提供するが、痛み、もしくは傷害の解消は、必ずしも初期パターンに回帰するための刺激を提供するとは限らない。” ホッジス 2011年 ホッジスは、痛みと運動制御の変化に関する素晴らしい研究を行っています。 “痛みへの適合は、多くの短期的な効果があるが、長期的な影響を及ぼす可能性を伴う。” ホッジス 2011年 よって、私達は、脳によって知覚される、望まれていない骨運動に対して保護するために、筋紡錘増幅率の変化のようなフィードフォワード制御を使用することができます。単純な骨運動の変化(特に施術者の手のような外因によって受動的に作り出された)は、運動パターンの長期的適合を作り出すでしょうか?私の経験によると、常にそうであるというわけではありません。 私達はまた、それが運動パターン、感情パターン、もしくは化学パターンのいずれにせよ、痛みが脳内の一連のパターンへの反応であることを知っています。ロリマー・モーズリー氏が唱える‘ニューロタグ’の概念のように、それは痛みと身体の一部分に関連しているニューロンの発火を介しているのみなのかもしれません。これは、ただ単純に痛み、あるいは慢性痛に関連している身体の一部分についての話をするだけでも起こるかもしれません。 私達は骨に筋肉の反応を作り出させることができます。これは、身体に蓄積された運動パターンと単純な生体力学的運動よりもさらに複雑な以前の経験に基づいて、 身体が自身の運動を制御する必要がある際には起こらないかもしれません。 身体は一つの巨大なフィードバック・ループです。脊髄と小脳より更に脳の上位にある系統はまた、どのように筋肉が反応するかを決定づけるでしょう。これらは、眼、前庭、感情、痛みの知覚と、そして以前に蓄積されたパターンと反応なのかもしれません。 最後の見解です。もし身体が単純に生体力学的で、力に基づいたモデルであるならば、構造的な問題を持つ人達は皆、痛みに苦しみ、“良い”構造を持った人達は皆、痛みに苦しむことはないでしょう。私達はこれが真実ではないことを知っています。学術的に優れない足型や明らかな脚長差を持っていても、人々は素晴らしい事や痛みの無い生活を成し遂げています。研究がこれを証明しています。 では、一体何が彼らの痛みや動作の反応を調節しているのでしょうか?もちろん、脳です。よって、僅かな脚長差をもつことが、ある人の痛みの原因の可能性でもありえ、他の人にとっては、明らかな脚長差をもつことが痛みを引き起こさない可能性もありえるということを意味しています。個々の脳と中枢神経系の反応が、これを決定づけているのです。これが、多くの科学的研究が、治療方法と構造的異常が身体に及ぼす影響についての結論に達していない理由なのかもしれません。“常にというわけではない”という表現は、“絶対にそうならない”ということを意味しているのではありません。私達は、身体に関して決定的な何かを持つことができるのでしょうか?科学的根拠に基づくアプローチは、適切な人への適切なアプローチを無視してしまうかもしれません。それはただ、常に万人に適したものなど無いということを意味しているのです。でも、そんなことは分かっていなしたよね?これが、私がとても尊敬する人達が、身体の治療や異なる様々な分野の専門家からの学習に対して多面的なアプローチをする理由なのです。 これは、あなたの脚長差が痛みの原因であると言っている人達は、50%正しいかもしれない、あるいはあるある種の足型が腰痛の原因になるだろうというのもまた正しいかもしれないということを意味しています。その筋膜がすべてのカギであるというのもひょっとしたら時には正しいかもしれません。しかし、それらの確実性の背後には、先入観によって曖昧になった個人的経験以外には、何も本当のものは存在しないかもしれません。私自身を含む全員が、先入観によって曖昧になっています。 かの有名なイギリスの哲学者バートランド・ラッセル氏が“この世界での問題は、聡明な人々が疑問をたくさん抱えている一方で、愚かな人々が確信に満ち溢れていていることである。”と引用していますが、人々は確信的であると同時に聡明でもあるので、私はこれが文字通りに真実であるとは思いません。私達はただ、自分たちの方法論により多くの疑問を抱き、身体へのその他の影響、その痛みとパフォーマンスを意識する必要があります。 別のアプローチは、脳内の影響力の大きい構造に目を向け始めることかもしれません。そして、脳が身体にとって“危険”であると知覚するかもしれない脳領域の確実性と制御を向上させるかもしれません。これは、局所の関節レベル、より上位の皮質レベル、あるいは両方で少しずつ発生するかもしれません。
プロスポーツ界に入り込むための5つの重要なステップ
コーキネティックにおいて、私達はしばしば、どのようにして多くの一流のスポーツ団体と関わりを持てるのかを尋ねられます。先週、私はこの質問を尋ねられ、考えさせられることになりました。そして、私は、スポーツ界に入り込もうとしている人達の熱意を実現するために、いくつかのポイントを書き留めてみることを決めたのです。 トレーナー、あるいは治療家として、多くの人達が彼らのキャリアの中で達成したいことの一つは、プロスポーツ界で働くこと、あるいは一流の競技者と働くことです。そういった環境で働くことは、独特の栄誉をもたらし、試合や競技会のような胸が高鳴る瞬間に満ちています。実際に、彼らに携わることは恐らく、競技することの次に素晴らしいことでしょう。それは、胸が躍ることであり、良い事も悪いことも分かち合うことです。そして、団結心や競技者と絆を築くことでもあります。遠征で各地を回る機会を得ることもまた、刺激的な経験でしょう。 コーキネティックでは、幸運にも、プロスポーツ界において十分な成功を納めています。私達は、フットボールやラグビーのプレミアシップ、およびそれらのナショナルチームの広域において、数多くの医療スタッフ・トレーニングスタッフの教育を行っています。私の個人的なお気に入りのいくつかは、スカイスポーツで生中継されるタイトルマッチ(での勝利と引き分けのみ)や単独大西洋横断ロウイングを行う人達と働くことでもあります! そして、このブログでは、皆さんに成功のための5つのレシピを差し上げようと思いました。 1.教育を受けること。 もしあなたがプロスポーツなどに関わりたいのであれば、あなた自身に‘技能があるかどうか’を問いかける必要があります。もしあなたが必要な基準に達していないのであれば、空いている限られたポジションを狙う他の人達と同等に競える段階ではないでしょう。これは、あなたの夢を実現するために、最初にすべき、そして恐らく最も重要なステップなのです。選択した分野における確かな知識基盤なしに、次の段階を行動に移すことは、とても困難です。これは、その他全てのものを築き上げるための土台です。それがあなたの就いている役割であれ、仕事であれ、学べば学ぶほど、より多くのことを成し遂げることができるでしょう。失うかもしれない職業とは異なり、身につけた知識は決して失うことはありません。あなた自身への投資は、常に成果をもたらすのです。 2.要求を満たすこと。専門家になること。 専門分野とその分野の専門知識は、非常に求められる商品です。ただ‘他の人達より優れている’、あるいは‘結果を出している’と、口で言うだけでは十分ではありません。もしあなたの目の前に、同じ基準を持った20人がいたとしたら、異なる技能や特別な何かを持っている人を選びませんか?良い表現をすれば、‘異なる強みを持つこと’です。どれだけ多くの人達がトレーナー、ストレングス&コンディショニング、理学療法の経歴を持っているでしょうか?そう、無数にいます。そこで、あなた自身に問いかけるのは、‘自らを他者と異なるものにするために、必要とされるために、注目されるために、既存の技能に何を加えることができるのか?’ということです。私達の専門分野は、身体の機能的運動であり、それがどのように痛み、評価、リハビリテーション、パフォーマンスに利用されているのかに関することです。これにより、クラブの持つ技能に、あなたの専門知識を加味すること、あるいは必要時に知識を授けてくれるコンサルタントを雇用することに関心を向けている多くのクラブからのコンタクトを、私達にもたらしてくれます。たとえ周囲の専門知識・技能に多少圧倒されるようなことがあったとしても、その国の最高のトレーニング施設に招聘されることは、素晴らしい経験です。 3.コネクションを作ること。 必ずしもあなたが何を知っているかが重要ではなく、あなたが誰を知っているかが重要なのでしょうか?実際には、両方共に重要なのです。Linkedinのようなオンライン・ツールは最適です。うってつけの場所にいるふさわしい人物を素早く、効率的に対象とすることができます。ツイッターやフェイスブックは、もう少し一般的なものです。ファイスブックは、主にあなたの友人とユーモアのある写真に関してのものように見えます。もしあなたが時間と努力を費やすのであれば、ツイッターもまた、本当に的を絞った繋がりを築き上げるのに良い手助けになるでしょう。 4.意見を持つこと。 では、支持者を得た時点で、あなたは何を彼らに発信しますか?科学的根拠に基づいた実践がしばしば王道なトップレベルのスポーツ界において、あなたがどのくらい素晴らしいかをただ伝えるだけでは、要求される基準を満たしていません。ぐるっと一回りして最初の2つのポイントに戻ってくるのです。あなたは適切な教育と専門分野を用いて、彼らが強い興味を示し、彼らのクラブに、あるいは個人競技者のためのトレーニング・チームの一部として、必要かもしれないと感じるようなものを発信・実践をすることができます。これを記事、ブログ、映像、ツイート、講演、勉強会、プレゼンテーションといった形で発信することができます。人々の関心を引くには、スポーツ環境に関連している適切なテーマを用いるのが最適です。クラブや競技者に履歴書を送付することは、結局、その他大勢が送った履歴書の山に積まれて終わってしまうということを意味するかもしれません。人々はあなたをグーグルで検索し、情報を得ることができるでしょうか?現在のテクノロジー指向の世界では、インターネットにおいて、存在感を持つことは非常に重要です。これによって、人々は実際に知り合いになる前から、あなたに関する情報を得ることができるのです。そして、それはこちらから彼らに近づいていくのではなく、彼らをあなたに近づけることになるかもしれないのです。コーキネティックから、クラブにコンタクトを取ったことは一度もありません。私達の全ての仕事は、インターネット上に掲載した情報と、いくつかの控えめな広告によって支えられています。もし誰かが見て注意を向ければ、それがインターネット検索に至り、あなたのコンテンツとのコンタクトをもたらすことができます。だからこそ、あなたの連絡先リストが非常に重要な理由であり、それがあなたの広告の的を絞るすることを可能にしてくれます。過去2年のイングランド・フットボール・プレミアリーグチャンピオンの2チームは、ファーストチームの医療スタッフと共に、私達の教育サービスを利用しました。これらのほとんどは、口コミによるものです。適切なことをしていれば、人々はそれを話題にします。スポーツ界は、かなり緊密な関係性をもっています。最も素晴らしい補完は、人々があなたに関して他の誰かに話し、それがまた、彼らのためでもあると決めたという話をしてくれる時です。これは、良い仕事の証です。そして、これはまた、クライアント、あるいは患者の紹介にも当てはまります。 5.励み続けること。 ローマは一日にしてならず。教育、連絡リスト、情報ライブラリーを構築するには時間が掛かります。つぎ込んできた大変な努力の見返りを、すぐに得ることはできないでしょう。人々に伝えようとすることを信頼してもらうためには、情報の断片だけでなく、全体をみる必要があります。あなたの情報は、きちんとしていて、首尾一貫していて、考え抜かれていて、適切な人々に伝わる必要があります。そして、常にあなたの言うことを酷評し、コンテンツにコメントを残す人々がいるでしょう。これは実に健全なことであり、見解を説明することを通して、テーマに関する自身の理解を構築する手助けをし、他者の知識基盤との情報のやり取りを通して、知識基盤を拡大する手助けにもなります。
オーバープロネーション(過回内)
オーバープロネーション(過回内)は、フィットネス界において最も頻繁に耳にする用語の一つです。これは、トレーナーとクライアントの両方から聞かれます。大量のプロネーション・コントロール・シューズが、プロネーション(回内)という単語を解剖学、生理学、生体力学の世界から日常の用語へ引き抜いたのです。 その用語は幅広く使われていますが、幅広く理解されているわけではありません。過回内は様々な理由で、様々に起こりえますが、総称として一般的に使用されていて、それ以上には注目されていません。 まずは、回内を定義してみましょう。回内は、後足部の背屈、外反、外転による三平面動作です。これらの関節動作は、閉鎖性運動連鎖(クローズド・チェーン)の状況下における主動骨である、距骨の骨動作と関連しています。この後足部の動作はまた、相対的な前足部の背屈、内反、外転を作り出します。前足部は、後足部の回内にかなりの影響を与えます。詳しくは、このブログ内で後ほどお話します。 では、過回内を引き起こす様々な方法をみてみましょう。 1. 可動域−これは、過回内の“典型的な”定義だと、私は考えます。可動域とは、関節が動く距離のことです。明らかに大きすぎる可動域は、下肢の運動連鎖(キネティック・チェーン)をとおして、関節と筋肉に負担を掛けます。関連する組織は、過度な可動域を制御するために、一生懸命働かなければなりません。これによって生じる一般的な問題は、後脛骨筋症候群、アキレス腱の問題、腸脛靭帯の問題です。 2. 変化量−可動域と共に、回内の変化量、あるいは速度/加速度があげられます。可動域が大きければ大きいほど、加速する距離は大きくなります。同様に、これは、増大した加速度を減速させるのに必要な筋肉/組織に問題を引き起こします。 3. 順序−これは、過回内に関して、最も見過ごされている要因です。回内は、最初の踵接地において発生し、その後に回外が続いて発生しなければなりません。もし可動域と変化量が過度であれば、足は、動作を反転して回内させる充分な時間がありません。これは、歩行時の立脚中期と加速期をとおして、回内してしまうかもしれないということを意味しています。回外に関連する何らかの動作が制限されるならば、歩行順序の後半で、回内への回帰をも引き起こすかもしれません。これはまた、様々な足のタイプの病理的構造によって作り出される不安定性のせいである可能性があります。回外の過程が作り出す硬直した推進装置になることなく、足がアンロックされた可動的な状態にある際には、足底筋膜の問題と外反母趾を引き起こすかもしれません。 回内の問題において、最も見過ごされている疑問は、“なぜ?”ということです。足の機能不全に関しての詳しい知識が、この疑問に本当に答えるために必要とされています。私の見解において、回内の問題の原因に関して、最も見過ごされる領域は、後足部に対しての、個体発生的な(発育的な)前足部の位置づけです。しかし、私はまた、距骨下関節(STJ)軸の空間的位置にも、とても興味があります。距骨下関節の内側偏位は、回内に関連する床反力のモーメントアームを増大させ、回外筋のモーメントアームを減少させるでしょう。そして、それは力が加えられた際に発生する回内を引き起こす、距骨下関節の外側の部位を増大させます。外側偏位は、より大きな筋内部の回外力と、回内力が発生する減少した床反力と、回外を引き起こす足の内側部の増大を用いて正反対のことをします。 さて、前足部に話を戻しましょう。前足部の内反位は、後足部において、過度な回内によって代償されます。もう一つのシナリオは、足は回外位になることができますが、内反した前足部の過剰な不安定性は、前足部を地面につけ、安定性を作り出すために、回内反応を引き起こします。これは、歩行周期の順序を外れて、後の方で起こるでしょう。そして、これは多くのプロネーション・コントロール・シューズが行うように、ただ縦足弓を制御することでは、期待される制御を得られないことを意味しています。 これまでに何度も、ショートタイプ、あるいはハーフタイプの矯正用インソールをみてきました。これらの矯正用インソールはアーチコントロールを提供しますが、前足部における安定性を提供してくれるわけではありません。足が地面を探すことないように、地面を足に近づけているのです。前足部のコントロールが無い状態では、アーチコントロールがあるために、足は回内で代償することができないため、横断面を利用して回旋することで前足部に向かって足を傾けるようにするのが分かりますこれが、踵部内側ウィップの原因なのかもしれません。距骨下関節軸の角度が大きい場合、あるいは前額面上の動作よりも横断面上の動作を優先する場合に、同様のことが起きる可能性があります。距骨下関節軸の角度は、横断面から約42度で、わずかに前額面上の動作を優先するべきです。
裸足でのトレーニング/ランニング:万能でなない
最近、私は裸足でのトレーニング/ランニングと足の驚くべき能力に関する多くの記事を読んでいます。私が読んだ多くのものは、多くの科学的事実の要素を有してる一方、それらの記事の著者たちは、全体としてのシステムに与える足の影響について、常に理解しているわけではないように思います。 裸足でのトレーニングは、“万能のもの”として、人々の抱えているどんな問題でも修正するかのように歓迎されているように思われます。突如、シューズが人間の機能の邪魔者になってしまっています。身体の部位の機能を理解することは重要ですが、私達はこれを“理想的な”感覚の中でしか行っていないように見えます。もしA+B=Cであるならば、全ては上手くいき、私達はシューズを脱ぎ、もう二度と問題は起こらないでしょう。しかし、過去10年以上にわたって私達に投げ掛けられてきた、その他全ての素晴らしい解決方法を振り返り、評価してみると、人々はいまだに問題を抱え、救いを求めているのです。 機能障害を理解することが、手がかりなのかもしれません。足の成功を妨げることに影響を与える可能性のある、多くの事に関する知識を持つことによってのみ、私達は本当の答えを見つけることができるのです。では、一つの例を見てみましょう。局所的なレベルにおいて、足は、足そのものを上手く動かせる環境を作り出すでしょう。しかし、これは全体のシステムにとっては、良好なものではないかもしれません。前足部の内反変形は、99%の確率で、足底弓の崩れを引き起こし、もし足が代償できるのであれば、前足部は、身体が足へのトップダウンの影響力を持つことを阻止するでしょう(それはまた、ボトムアップの抑制も引き起こします)。これは、前足部における安定性獲得の成功を作り出しますが、機能的連鎖の他の場所で、動作を減少させます。そこで、質問は、“シューズを脱ぐことが、問題を解決する手助けになるかどうか?”ということです。 この質問(私は答えを持っている確信が全くない)に答えるために、いくつかのポイントがあります。まず最初に、シューズは、前足部が床に着くことで関節の始動位置、動作、全身への影響を向上させる、距骨下関節の可動域を制限するかもしれません。固有感覚において、多くのことがシューズのクッション効果によって作られています。これが真実かもしれませんが、前足部内反の例において、関節位置、あるいは骨による制限のせいで、筋肉による減速を介して、力の弱力化をすることができないシステムにとって、力の減少は好都合なのかもしれません。これによって、シンスプリント、疲労骨折や機能的連鎖のより上部の構造によって力が吸収されることを引き起こす可能性があります。一歩先に進めば、矯正用インソールのような、より高度な介入に関連します。そこで、システムの成功を増進するために、一人ひとりに合わせた安定性を作り出すことによって、私達は、裸足でのトレーニングが行うことのできない足周辺の環境を向上させます。これは、足の機能障害がそれを許さないからです。もし私が単純に、裸足でのランニングやトレーニングをするように、人々に言って、これら全ての問題が解決するのであれば、間違いなく、そう言うことでしょう!!!私達は、全てに万能なものはない、という個別性の原則に立ち返る必要があります。個別の評価と物事がうまくいかない理由と方法を理解することによってのみ、私達は、適切な解決策を見つけることができるのです。 私のお気に入りのBetrand Russelの格言を紹介しましょう: “この世の中で困ったことは、愚かな人々が自信に満ち溢れていて、知的な人々が多くの疑問を持っているということである。” このブログのトピックの内容に関わる誰かを“愚かな人々”とみなしているわけではありませんが、時折、機能障害の理解に欠けている人達が、“万能”なトレーニングの方法に関して、大胆で“自信過剰”な発言をする傾向があるのです! このとりとめのないブログにおける、第2のトピックに移りましょう。これは、とても知識豊富なオステオパシー治療家の友人と、最近交わした会話に関連しています。私達は、システムにおける機能障害と矯正用インソールのような介入の使用について話をしていました。彼は、そのようなものの必要性に関して、納得していないようでした。私は確かに、身体がある程度まで、自己“治癒”力を持っているということに同意します。しかし、私の信条は、脚長差のような状況(私のお気に入りのトピックである)というような、場合によっては(一般的に問題を抱えた人達の場合)身体が克服することのできないケースを考慮に入れる際や、トレーニングの変化(例としてマラソンを走ること)を考慮に入れる際には、これがシステムにとっては、過度になり痛みにつながる傾向があります。そして、組織への要求は過大になり、機能の変化に対応するためには、身体にとってより良い環境を作り出すこと、あるいは活動の増加をやめる必要があるのです。 重要な質問は、私達は施術者として、施術やエクササイズをとおして、目の前の構造上の変形に対処することができる、全身の変化を作り出すことができるかということだと思います。もちろん、いくつかの例において、答えは“はい”かもしれません。そして、質問は、それにはどのくらいの時間が掛かるのか、どの程度のレベルの活動を彼らは継続することができるのかということです。多くの場合、答えは“いいえ”だと、私は思っています。足の変形が良い例です。局部的な問題は、これ以上“代償”されることのできないシステムの連鎖反応に大きな影響を及ぼす可能性があり、私達にそのシステムのトレーニングのような要求を増大をさせるのです。私達は、骨の配置、あるいは骨の長さを変化させることはできず、筋肉と結合組織は、これ以上要求に対処することができません。これが、私達が様々な慢性的な症状を引き起こすシステムにおける問題を見つけるまで、多くの慢性的な症状を(何年にもわたり)持っている理由なのです。多くの場合、このような構造的な問題を解決するたった一つの方法は、構造的な介入を取り入れることなのです。
腸脛靭帯の痛み
今回のブログは、マラソンランナーである私の友人との会話に基づいています。多くのランナーのように、彼も10マイル地点を超えると、腸脛靭帯の痛みで動きが取れなくなってしまうのです。 理学療法士に相談すると、体重をかけずに行う一般的な股関節内転などの、いくつかの典型的なストレッチを教えられました。これが私に、筋肉の機能に関する一般的な見方と、ある筋肉をストレッチしたり強化したりすれば、デフォルトとしてこうなるであろう、という見方に関して考えさせることになりました。 最初に、腸脛靭帯と、それに付着する筋肉群は個々には問題ない場合であっても、ストライドスタンスのような機能的姿勢において、それらが足と相互に作用する際に、変化するのかもしれません。 偏平足、あるいはハイアーチは、腸脛靭帯と関連する筋肉群の過度の伸長、あるいは伸長の欠如を引き起こすかもしれません。しかし、これらの筋肉群を孤立化して伸長、あるいは強化したとしても、それらの筋肉が、機能的連鎖の中で働く際には、足を始めとした連鎖内の他の部分によって制限、あるいは影響されるのです。単独で、重力の影響を差し引いた状況において、これらの筋肉はストレッチされるでしょうが、ランニング中のように機能的姿勢に戻った際、その能力には、ほとんど違いがないかもしれないということを意味しています。 多くの場合、私は、孤立した方法で、フォームローラーを使ったり、ありとあらゆる種類のストレッチをしている人達を治療しています。ひとたび、症状ではなく、原因を見つけると、筋肉はかなり改善します。 ここでの本当のポイントは、筋肉の伸長、あるいは短縮に時間を費やしたからといって、筋肉は、機能的な状況の中で与えられた動作や強度を選択、あるいは使用することはできないかもしれないということです。身体の他の部分がその役目を果たしていないために、システムの他の部分が、筋肉や筋肉群に本来の働きをさせない、あるいは他の役割を遂行する必要があるのかもしれません。 これに関するもう一つの例は、脊柱後弯症でしょう。上背部の筋肉を‘強化する’ために、肩甲骨を後退させることに何時間も費やしても、彼らの姿勢は、決して変わることがありません。これは、股関節や足関節のような、より下部の連鎖が、効果的に屈曲することができず、床反力、あるいは重力を弱力化することができないからなのかもしれません。これは、頸部と頭部が相対的な直立姿勢を維持できるように、上背部は脊椎の前屈を減速させるために、伸長する必要があるということを意味しています。この状況下において、相対的な胸椎上部と頸部の伸展を作り出すために、これらの筋肉は伸長し、動作を減速することを選択するか、短縮し、頸部における上位及び遠位部が伸長し、頭部/目の機能の機能を妨害することを選択するでしょう。筋肉に与えている‘強度’にかかわらず、私は後者の説を信じます。私達が‘打ち負かす’ことのできない、あるいは免れることのできないことの一つは、重力と床反力です(もちろん、あなたが宇宙船を持っている場合を除いては…)。 これが、胸椎の運動制限を持つ人達が、頭部前方突出となる理由なのかもしれません。脊椎の相対的な伸展不能は、頸部の筋肉が力を減速させる必要があり、関節可動最終域で伸長してしまうことを意味しています。
ACL パート1:ニーサークル(ビデオ)
(パート2はこちらへ) 2015年2月後半に初来日予定のベン・コーマックが、膝のサークルの動きを通して、関節周囲の可動制と運動スキル、コントロールの共存の重要性を、分かり易いドリルをつかって解説します。
全ては評価次第
しばしば引用されるように、“評価をしなければ、あなたは推測しているに過ぎない”のです。今回のブログは、全て“仮定”に関するものです。 フィットネス業界において、私達はしばしば、機能障害の一つのタイプが他の機能障害を引き起こす、あるいはある姿勢を作り出すと思い込んでしまうという罪を犯しています。私は、間違いなく、人々の運動と運動機能障害に傾向とパターンが存在すると信じていますが、それらが真実であると信じ始める時が、クライアントや患者を失望させ始めている時なのです。 私はしばしば、身体の一部分をただみることで驚くべきことが分かると唄っている人々の宣伝文句を目にします。私が長年にわたって身体の問題に取り組んできて、学んだことの一つは、身体は、人が想像するよりも多くの、機能障害を代償するための方法を持っているということです。私は、身体のそれぞれの部位で、正確に何が起こっているのかを知るために、綿密なテストで推測を裏付けることに、いつも時間を掛けています。私がとても尊敬する人は、膨大な数の推測を立てますが、それらが正しいと証明することに従事しています。彼は、綿密なテストを通して、それを行うのです。もし間違いが証明されたのなら、次の推測へと移りますが、それを事実として証明することなしに、推測の段階のままにしておくようなことは決してしません。 もう一つ昔から良くあるのは、慢性障害について聞くと、筋肉のせいにしてしまうことです。“それは、ハムストリングスです”や、関節動作“背屈”は私が気にいっているものです。私はしばしば、運動歴に関して聞く際に、その人が問題を抱えている理由に関する事柄を考え、それが正しいと証明されたことも、間違っていたことも何度もありました。私は、評価を通してこれを行っています。 スポーツ傷害に取り組んでいる人が持ち得る、道具箱の中の最大の道具は、機能に基づいた、確かな評価プロセスです。これは、私達の技術の全てを使うための基盤となります。組織を治療するとして、症状に注目しますか?多くの場合、傷害部位は、発生源から遠く離れています。大胆に言えば、実際、連鎖の中でより良く機能している関節ほど、しばしば被害を受けている関節なのです。、症状のみの治療のアプローチをとることが、慢性の問題が慢性にしてしまうのです。痛いところを指し示すことは簡単です。難しい部分は、組織が痛む理由を正確に見つけるための評価方法を持つことです。通常、問題になっている関節の上下に目をやる必要があり、多くの場合、痛みを発生させている両端が問題である可能性があります。それを知るためのたった一つの方法は、テストをすることであって、推測することではありません。
ACLパート2:重心移動(ビデオ)
(パート1はこちらへ) (パート3はこちらへ) カッティング時の方向転換や着地時に前十字靭帯を怪我することが多いのは、動作のコントロール、減速と加速が上手く行われていないことが原因です。コントロールと減速、そして重心のシフトの重要さをベン・コーマックが解説します。