ストレングストレーニングは運動パターンを変化させるか?パート1/2

私たちの多くは、良い運動パターンは人をより優れたアスリートにし、怪我の可能性を低くすると信じています。そのため当然のことながら、運動パターンを向上させるための多くのプログラムが作られてきました。 当初、これらのプログラムは、主に硬い筋肉をストレッチし、それからより弱い筋肉を特別なエクササイズで強化することを含む傾向がありました。 最近では、危険な運動(ドロップランディングのような)が定期的に行われても、キューを使って徐々に変化させていくというような、フィードバックを用いた運動訓練の効果について多くの調査が行われています。 しかし一歩下がって考えてみると、専門家の介入やストレッチ、フォームロール、特別なエクササイズ、あるいはキューイングさえも全くない標準的な既成のストレングストレーニングプログラムは、あなたの運動パターンをどれほど変えるのでしょうか? さっそく調べてみましょう! “運動パターン”とはどういう意味か? “運動パターン”という表現は、誰もが瞬時に認識するものの、記憶に残る明確な一つの定義を提示した人はこれまで誰もいませんでした。 残念ながら、私はその特定の問題を今日(あるいは近い将来)解決しようとは考えていません。 たとえそうだとしても、運動は一関節角度の回旋で構成され、そして関節における回旋の量(関節可動域あるいはROMと呼ばれる)は、ストレングストレーニングプログラムによって変化することが可能です。 そしてもしある運動中の関節ROMが変化すれば、運動パターンもまた変わらなくてはなりません。 そこでこの記事では、実質主義のストレングストレーニング後、様々なスポーツ運動において最大関節ROMが変化するのかどうかを調べていこうと思います。カバーするのは(私が最もよく知っている)下半身運動の股関節及び膝関節にとどめておきましょう。 “ストレングストレーニング”とは何を意味するのか? ちょっと私にお付き合いください。私たちの誰もがストレングストレーニングとは何かについて知っているものの、文献では少し複雑です。 怪我を予防する方法を見つけ出すために、トレーニングプログラム後の運動パターンの変化を評価する多くの研究が行われてきました。その結果、あらゆるものが試されている傾向があります。 これらの”あらゆるものが含まれた”トレーニングプログラムの中で、被験者は、(キューイング有りまたは無しでの)ストレングストレーニング、バランス、プライオメトリクス、コアスタビリティ、静的ストレッチ、そしてその他研究者が思いつくものがすべてあるストレングスパークのテーマパーク全体を、何らかの傷害予防効果を生むために協力して行うはめになるのです。 私たちは何か効果のあるものを見つけなくてはならないため、もちろんこれはとても理解できることです。 しかしながら、もしストレングストレーニングがどのように運動パターンを変えるのかを解明したいのであれば、これらの類のプログラムを調査している研究を探しても役には立ちません。なぜなら、その他の介入は細部に目をやり全体像が見えないようにしているからです。 はっきりさせておきますが、私が”ストレングストレーニング”  プログラム及び運動パターンにおけるその効果について言及するとき、私は文字通り誰もが自らジムで行うことのできる種類のストレングストレーニングのみを意味しています。 しかし、ストレングストレーニングが怪我のリスクを減らすことができるという証拠はあるのでしょうか? ストレングストレーニングは怪我のリスクを減らすか? 広く研究されてきてはいないものの、1、2個の研究は、標準的なストレングストレーニングプログラム(その他のものを何も含まない)を行うことが、実際一般的に怪我の発生を減らすことを示唆しています。 この記事を読んでいるあなた方の多くが覚えているよりももっと以前に、Hejna et al. (1982)が、ウエイトトレーニングをしている高校生アスリートとしていないアスリートとを比較する症例対照分析を行いました。ウエイトトレーニングを行ったアスリートの受傷率は、行わなかったアスリートと比べ低いものでした(26.2対72.4 %)。 効果が期待された一方で、この結果はあまり追跡されませんでした。 もっと後には、Lehnhard et al. (1996)が男子大学生サッカーチームにおける怪我を、4年間に渡って記録しました。はじめの2年間は、どのアスリートもストレングストレーニングを行いませんでした。3年目と4年目には、すべてのアスリートが一年を通してストレングストレーニングを行いました。受傷件数は1,000件あたり15.2件から8.0件に減少しました。 同じく、効果が非常に期待される一方で、この発見もあまり追跡されませんでした。 更に最近、私たちは同じような調査が出てきたことを見つけました。Zouita et al. (2016)は、若いエリートサッカー選手(13-14歳)における12週間のストレングストレーニングの効果を評価しました。ストレングストレーニングなしのグループでは、ストレングストレーニンググループに起こった4件よりも多い13件の怪我が起こりました。 それはそれとして、ストレングストレーニングがドロップジャンプの関節角度可動域の変化に及ぼす影響について調べることから始めましょう。 なぜドロップジャンプを見るのか? ドロップジャンプは、2つの理由でストレングストレーニングがどのように運動パターンに影響するのかを研究するために役立つ方法です。 まず、固定された高さから着地する運動の難しさは常に同じです。他のジャンプタスクは、距離、スピード、またはジャンプした高さ(これらは筋力の機能であり、明らかにストレングストレーニングで変化します)による影響を受けます。 二つ目に、好ましくないメカニクスのために急性の非接触性外傷がよく起こるのが着地時だとされるため(Mason-Mackay et al. 2015)、研究に有効に使える運動なのです。 ドロップジャンプを見るにあたり、ソフトランディング(柔らかい着地)は有益であると考えられています。 柔らかい着地は堅い着地よりも膝関節屈曲が大きく、より小さい垂直床反力(VGRF)で、股関節及び膝関節によるエネルギー吸収をより大きくします(DeVita & Skely, 1992)。ストレングストレーニングは、実際に筋肉の伸張性収縮におけるエネルギー吸収能力を向上することができるため、ストレングストレーニングがドロップランディングの膝関節屈曲を大きくするということは妥当であるように見えます。 ドロップランディングでの高いVGRFが、前十字靭帯(ACL)の受傷リスクを高める可能性があるため(Yeow et al. 2010; 2011)、これは重要です。そのため、着地をよりソフトにすることは、多分いくらかのACL傷害を予防するために役に立つでしょう。 膝の外反もまた、ドロップジャンプにおける好ましくない運動パターンであると考えられています。 一つの研究が、シングルレッグスクワットにおける股関節外転と膝関節屈曲及び伸展の筋力の低さを膝関節外反の増加と結び付けましたが(Claiborne et al. 2006)、多くのスクワット運動において膝の筋力と膝関節外反の間には関連性がなく、また股関節の筋力と膝関節外反の間においては小さな関連性しかないとする傾向があります(Cronström et al. 2016)。 事実、下半身の筋力ではなく足関節背屈のモビリティ不足が、より膝関節外反を引き起こしやすいようです(Bell et al. 2013; Malloy et al. 2015; Mason-Mackay et al. 2015)。 それゆえに、膝関節外反は一般的にACL損傷及び膝の怪我の危険因子としても考えられていますが(Weiss & Whatman, 2015)、追跡解析の中でストレングストレーニングの結果として膝関節外反の変化は見ないでしょうし、もし私たちが何かしらの効果を見るとしたら、それは恐らくシングルレッグスクワットにおける変化でしょう(Claiborne et al. 2006)。 それではストレングストレーニングがどのように運動パターンを変えるか見てみましょう! ストレングストレーニングはドロップジャンプにおける膝関節屈曲を増加させるか? 標準的なストレングストレーニングは、ドロップジャンプにおいて膝関節最大屈曲角度を増加させるようですが(McCurdy et al. 2012; Kondo & Someya, 2016)、そのような改善がいつも起こるとは限りません(Arabatzi & Kellis, 2012)。 それが起こるときは、地面に接触した瞬間により大きく膝が曲がれば衝撃を吸収するためのより長い関節ROMを生むため、トレーニングする前よりも着地が“より柔らかい”ことを意味しています(Pollard et al. 2010; McCurdy et al. 2012)。 McCurdy et al. (2012)は、4.3年のレジスタンストレーニングの経験を持つ女性アスリートのグループを対象に伝統的なバーベルエクササイズを用いた実験において、下のグラフに示されているように、ストレングストレーニング群においては膝関節最大屈曲の増加が見られた一方、レジスタンストレーニングを研究の間中止したコントロール群においては逆の傾向が見られたことを報告しました。 ストレングストレーニングでドロップジャンプにおける膝関節屈曲は増加する そしてKondo & Someya (2016)は、手持式ダイナモメーターによって負荷を一定にした徒手抵抗での股関節外転(側臥位での股関節外転)及び股関節外旋(側臥位でのクラム)を用いて、膝関節屈曲が最大7.5度増加したことを発見しましたが、下のグラフで見られるとおり、計測されたドロップジャンプの全てのポイントで膝がより大きく曲がっている傾向が見られました。 ストレングストレーニングでドロップジャンプにおける膝関節屈曲は増加する それとは対照的に、Arabatzi & Kellis (2012)は、レジスタンストレーニング(重量挙げ以外)の経験がある男性アスリートのグループにおいて、標準的なストレングストレーニングを行った後、20cm、40cm、そして60cmからのドロップジャンプテストの間に矛盾した傾向を観測し、そして重量挙げの後にも同じような一連の矛盾した傾向を観察しました。 評価がまちまちなのはわかっていますが、Lephart et al. (2005) は膝関節屈曲が8度増加したと報告しましたが、彼らはプログラムの中でストレングストレーニングと併せて1,2個の静的ストレッチ及びバランスエクササイズを用いていました。これは膝関節の正味の最大関節モーメントの減少に付随して起こったものであり、恐らくより長い時間をかけて力積(力x時間)を大きくすることによって、より柔らかい着地をする戦略が衝撃を減らすという考えを立証しました。 最後に、ドロップジャンプと似てはいるものの全く同じではないタスク(水平ストップジャンプ)において、Herman et al. (2008)はレクリエーショナル女性アスリートのグループにおける膝関節最大屈曲角度の変化を見つけられませんでした。しかしながら、アスリートを対象にしたにも関わらず、トレーニングプログラムはリハビリテーションの現場で用いられるのと同様のエラスティックレジスタンスを用いていたため、有意義な適応を生むには十分な負荷が使われていなかったのかもしれません。 参照 Arabatzi, F., & Kellis, E. (2012). Olympic Weightlifting Training Causes Different Knee Muscle–Coactivation Adaptations Compared with Traditional Weight Training. The Journal of Strength & Conditioning Research, 26(8), 2192-2201. Bell, D. R., Oates, D. C., Clark, M. A., & Padua, D. A. (2013). Two-and 3-dimensional knee valgus are reduced after an exercise intervention in young adults with demonstrable valgus during squatting. Journal of Athletic Training, 48(4), 442. Claiborne, T. L., Armstrong, C. W., Gandhi, V., & Pincivero, D. M. (2006). Relationship Between Hip and Knee Strength and Knee Valgus During a Single Leg Squat. Journal of Applied Biomechanics, 22(1). Cochrane, J. L., Lloyd, D. G., Besier, T. F., Elliott, B. C., Doyle, T. L., & Ackland, T. R. (2010). 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ストレングス・コンディショニング・リサーチ 5024字

ストレングストレーニングは脳震盪の予防に役立つか? パート2/2

トレーニングを通して首の筋力を増大させることは、衝撃中の頭部の加速を減らすか? 長期的なトレーニング調査から、首の筋力をトレーニングで高めることが、頭部に影響を及ぼす衝撃中の頭部の加速を減らすことができるかどうかを知ることができます。しかしながら、これまで、首の筋力トレーニングは頭部の加速の大きさを減少させないようであると研究は示しています(Mansell et al. 2005; Lisman et al. 2012)。 たとえそうだとしても、私たちが席を蹴って立ち去り、脳震盪を予防する別な方法を求めて先に進む前に、いくつか言及することがあります。 第一に、これらの試行で用いられた首の筋力トレーニングプログラムは、実際意図した通りには首の筋力を向上しませんでした。Mansell et al. (2005)の研究では、男性の首の伸展筋力は実際(有意な差ではなかったものの)10%低下しましたが、首の屈曲筋力は向上し、その一方で女性は首の伸展及び屈曲の両方の筋力の向上を示しました。Lisman et al. (2012)の研究では、被験者は首の伸展及び右側屈筋力のみ向上しましたが、首の屈曲あるいは左側屈筋力は向上できませんでした。これは、両方の研究が比較的とても低い負荷を用いていたからかもしれません(Gilchrist et al. 2015)。 対照的に、特定の首の筋力トレーニングを用いた首の筋力及び筋肉の大きさの変化を調査した他の多くの研究は、多数の訓練された基準において、筋力と筋肉の大きさの両方における大きな増加を報告しており(Leggett et al. 1990; Conley et al. 1997; Maeda et al. 1994; Portero et al. 2001; Burnett et al. 2005; Taylor et al. 2006; O’Leary et al. 2007; Kramer et al. 2013)、圧力に基づいた生体フィードバック(バイオフィードバック)をトレーニングで用いることが結果をさらに向上させるだろうという早期指摘があります(Nezamuddin et al. 2013)。 第二に、私はこれらの研究のどれについても、一つ一つのテストデータにおいて、評価された頭部の加速データの信頼性についての言及を見つけることはできません。 Lisman et al. (2012)の試行においては、2つの衝撃間の明らかな差は加速の量を変化するため(私と仲間たちはボクサーのパンチ力の試験再試験信頼度を測る似たような研究をしたことがあり、その信頼度は非常に低いものでした)、試験再試験の信頼度は低いと確信しています。 よりコントロールされていたMansell et al. (2005)の試行では、トレーニング前後の頭部の加速のデータは非常に可変するものであり、それはつまり信頼度はあまりよくなかったということです。そのような変動性は結果をとても“ノイズの多いもの”にし、結果として、私はこれらの首のトレーニングプログラムが頭部の加速を変化させるのに本当に効果的であったのかどうかを判断するのはとても難しいだろうと思います。 そこで、より強い首がより大きな運動エネルギーを吸収することができる理由についての明確な論理的証拠があるとすると、これらの調査は、頭部の加速を顕著に減少させるのに十分なほどの首の筋力は向上しなかったか(特に大きな試験再試験変動性を考えると)、あるいは頭部の衝撃を計測中、頭部の加速を減らすために、被験者が向上した首の筋力をうまく使うことができなかったかのいずれかである可能性が高いでしょう。 つまり基本的に、私はこの問題が終了したとは全く考えていません。私は、首の筋力が実際に向上したところで、頭部の加速のより明らかに信頼性のある結果測定法(尺度)を持つ首のトレーニングの長期的試行をもう少し、そして理想的には、最低一つは首のトレーニング群が衝撃前に首を緊張させる動作練習も行ったような、いくつかの研究を調べたいと思っています。 私たちは将来、動作練習や特定の筋力強化がドロップジャンプ及びストップジャンプ中の膝の内反を減らすために付加的であるのとまさに同じように(Hermann et al. 2009)、それらがこの特定の問題について付加的であることを見つけるかもしれません。 ストレングストレーニングは本当に脳震盪を予防するのに役立つのか? 今のところ、私たちができる最良のことは、衝撃を含むスポーツをプレーするアスリートにおいて、首の筋力の弱さは脳震盪の危険因子の一つであると発言することです。 一つの大きな高校生アスリート群において(サッカー、バスケットボール、あるいはラクロスをプレーする被験者6,704人)、低レベルの首の筋力は、脳震盪発生の増加と関連していました(Collins et al. 2014)。手持式ダイナモメーターを用いて力を計測したところ、首の筋力が1パウンド増加するのに伴い、脳震盪の発生率は5%減少しました。 問題は、首の筋力が大きいことが、首の筋力の増加は必ず脳震盪のリスクを減らすということを意味しているのではないということです。プレーには交絡因子があり、それらが関連性を生み出しているのです。 どのエクササイズが首の筋力を高めるのか? 私たちは、アイソメトリックとダイナミックな方法両方を用い、エラスティックバンド、フリーウエイト、あるいはマシンのいずれかを用いて負荷を加えた首の特定の筋力トレーニングエクササイズすべてが、首の筋力を高めることができることを知っています(Hrysomallis, 2016)。 スクワットやデッドリフト、オリンピックウエイトリフティングの派生種目、そしてベントオーバーロウのような大きなコンパウンドエクササイズをすることによって、同じような首の筋力の向上が得られるだろうと仮定したくなってしまうかもしれませんが、これは真実ではありません。 一つの重要な研究では、2つの長期的なトレーニングプログラムの効果を比較し、片方のプログラムには大きいコンパウンドリフティング(スクワット、デッドリフト、プッシュプレス、ベントオーバーロウ、そしてミッドサイ・プル)のみ、そしてもう片方にはこれらのエクササイズに加え頭部伸展エクササイズが含まれていました(Conley et al. 1997)。 この研究では、ターゲットとされた頭部伸展エクササイズは首の筋力を33.5%向上させ、首の断面積を12.8%(主に頭板状筋、そして頭部半棘筋及び頸部半棘筋)増加させましたが、大きなコンパウンドリフティングだけでは首の筋力も断面積も向上しませんでした。 そうです、私もデッドリフトは好きですが、デッドリフトは分厚く強い首を与えてはくれません。 そのため今のところ、首の筋サイズ及び筋力を向上させるためには特定の首のエクササイズが必要であり、そしてこの種の筋力強化はただスクワットやデッドリフトをするだけでは不可能なようです。 結論 小さくて弱い首を持っていることは、衝撃を伴うスポーツ中に脳震盪を起こすリスクを高めるようです。より高い筋力を持つことによって、筋肉は身体に与えられた力を吸収しやすくなり傷害リスクを低下させるため、このことは納得がいきます。たとえそうだとしても、首の筋力強化がトレーニングにおいて有害な結果をどれほど生じるかについては正式に評価されていないため、実施する際には注意深いリスク評価と用心が必要です。 さらには、首の筋力強化だけでも有益かもしれませんが、それだけを用いた場合、脳震盪を引き起こす頭部の加速の大きさに本当に影響を与えるのには十分ではないかもしれません。現時点では、迫り来る衝突を認知すること、そして首及び僧帽筋の筋肉を衝撃の前に緊張させることは、首の筋力あるいは首の筋力強化よりももっと信頼性のある頭部の加速への効果をもたらすようです。 これらのポイントを合わせて、私たちは、頭部の加速を生じる衝撃時のエネルギー吸収を向上させるために、いくらかの動作練習及び首の筋力強化を、傷害予防プログラムの中に組み込むかどうか考慮しても良いかもしれません。動作練習には、首の筋肉を緊張させること、マウスガードを噛みしめること、あるいは身体の他の部分への力伝達のために好ましい姿勢を練習することなどがあるでしょう。 参照 Barth, J. 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ストレングス・コンディショニング・リサーチ 3567字

ストレングストレーニングは脳震盪の予防に役立つか? パート1/2

脳震盪は、今注目の話題です。議論のほとんどが、防具の使用についてや、あるいは競技の危険性を減らすためにどのようにルールを変更するかということに注目しがちですが、ルールの変更は長年のファンたちを挑発してしまうかもしれないものです。 対照的に、ストレングストレーニングが脳震盪の発生を減らす可能性があると想像する人はあまりいません。しかし、それがまさに一部の研究者たちが調査してきていることなのです。 研究の中には少し分かりにくいものもありますが、私はストレングストレーニングが脳震盪の発生を減らせるかもしれない理由についていくつか考えがあります。 脳震盪とは何か? 見解報告書では、通常脳震盪を以下のように定義しています: 「生体力学的力により引き起こされる、脳に影響を及ぼす複雑な病態生理学的過程(McCrory et al. 2013)」 あなたは「生体力学的力により引き起こされる」という部分を「頭を強く打たれること」と解釈したくなってしまうかもしれませんが、実際にはそれは少し間違っています。 スポーツ医学研究を定期的に読んでいない人が知ったら驚くかもしれませんが、事実、脳震盪を引き起こすには、生体力学的力が直接頭に与えられなくてはならないというわけではないのです。実際に同じ見解報告書の中で下記を知ることができます: 脳震盪は、頭部へ伝達される“衝撃的”力を伴う頭部、顔、首、あるいは身体の他の部位への直接の強打によって引き起こされる(McCrory et al. 2013) 私はスポーツ医師である仲間たちから、実際に多くのスポーツでは頭を打たれることが脳震盪の一般的な原因であると教わっていますが、脳震盪は頭を強く打たれなくてはならないという考えは正確ではないのです。 たとえそうだとしても、このことはあなたに何が脳震盪を本当に引き起こしているのだろうか?と考えさせませんか? 脳震盪を本当に引き起こすものは何か? 脳震盪は、与えられた外力によって頭部が大きく加速または減速をすることで起こります(Broglio et al. 2010; Blennow et al. 2012)。この外力によって頭部のスピードが突然変えられると、脳はそれまで進んでいた方向に進み続け、それによって内的な力が生じることになります(Guskiewicz & Mihalik, 2006)。 先ほど言及したように、これらの外力は、何も装着していない頭部への強打のように直接与えられることもあります。また、それらの外力がむち打ち効果で身体の別な部位に間接的に与えられる、ということも稀にあります(Tucker, 2014)。 生体力学的に、私たちは頭部に与えられた加速または減速を、三つの運動面(矢状面、前額面、そして水平面)に分解して評価することができます。文献では、よくそれらを直線的運動(矢状面または前額面)と回旋的運動(水平面)として分類しています(Meaney & Smith, 2011)。これらの加速または減速によって、剪断荷重と圧力の両方が脳にかかります。 回旋的運動の方が脳内でより大きい剪断力を生み出す能力が高い可能性があるため、回旋的運動は直線的運動よりもわずかながら脳震盪を引き起こす可能性が高いようです。どちらのタイプの運動も脳震盪を引き起こしますが(Broglio et al. 2010)、回旋的運動の方がより大きなダメージを与えると考えられています(Zhang et al. 2004; Kleiven, 2007; Forbes et al. 2012)。 正確なメカニズムが何であれ、私たちに必要なものは、衝撃中にエネルギーを吸収するのを助けることのできる何かのようです。それによって頭部に伝達される運動エネルギーをより小さくし、身体の他の部分でもっと消散されるようにできるでしょう。 もしかしたら、首のストレングストレーニングがその役目を果たせるでしょうか? 首のストレングストレーニングによって、頭部に影響を及ぼす衝撃中により多くのエネルギーを吸収できるようになるだろうか? もしストレングストレーニングが衝撃中にエネルギーを吸収する筋肉の能力を高めることができるのであれば、それはいくらかの脳震盪が起こるのを防ぐのに役立つかもしれません(Barth et al. 2001; Cross & Serenelli, 2003)。 私たちは、下半身のストレングストレーニングが、ドロップジャンプを含む多くの運動動作において筋肉のエネルギーを吸収する能力を高められることを知っています。 また、私たちは、このストレングストレーニングによって向上したエネルギーを吸収する能力は、筋力の向上によって引き起こされること、更に具体的に、特定の伸張性筋力の向上によるものであろうと推測しています。 それでは、特定の首のストレングストレーニングエクササイズは、運動エネルギーが頭部に届く前、あるいは衝撃が直接頭部に与えられたときのいずれかにおいて、それが運動エネルギーを吸収する能力を発達させるのに役立つのでしょうか? その可能性は大いにあります。 研究は、この質問を様々な方法で調査することができます。 第一に、私たちが電極で計測することのできるアクティベーションの度合いは、筋肉が生み出す力の量と関連していることから、筋電図(EMG)調査は、頭部の加速の要因となる衝撃中の首の筋肉の機能を見るための手段を提供してくれます。 第二に、関連性を調査している観察調査は、首の筋力がより強い人たちは、衝撃中に受ける頭部の加速がより小さくなる傾向があるかどうかを私たちに示してくれます(もちろん、首の筋力があるからといってそれが使われているという保証はないのですが)。 第三に、介入を用いた長期的調査は、頭部に影響を及ぼす衝撃中に経験する頭部の加速量を、首の筋力トレーニングが実際に変化させるかどうかを教えてくれます。 首の筋肉のより大きいアクティベーションは、衝撃中の頭部の加速を減らすか? 筋電図調査は、私たちに運動中の筋肉の習性について多くのことを伝え、またそれは頭部に影響を及ぼす衝撃中の首の筋肉を調査するとき特に有益です。 例えば、ハムストリングがスプリントで着地(グラウンドコンタクト)する前にプレアクティベーションをする時と同じように、首の筋肉と僧帽筋は、サッカーボールをヘディングする際、ボールが当たる前にプレアクティベーションをします(Bauer et al. 2001)。 このことは、衝撃時に放出する前に弾性エネルギーを蓄える、首の筋肉の伸張性収縮を伴う準備反応があることを示唆しています(Dezman et al. 2013)。この準備反応は、なぜ差し迫った衝撃への認知が頭部の加速を減らすのかを説明しているかもしれません(Kumar et al. 2000)。 加えて、首の筋肉のより高いアクティベーションは、制御試験での頭部の加速の減少と関連しており(Eckner et al. 2014)、衝撃時に首の筋肉のアクティベーションを高めるためにマウスガードを噛みしめることにより、ラグビーのドリル中(Hasegawa et al. 2014)、そしてサッカーボールをヘディングした時(Narimatsu et al. 2015)の両方において、頭部に与えられた加速が減少しています。 マウスガードを噛みしめることで頭部の加速は減少する 筋肉のアクティベーションはその筋肉により生み出された力に関連することから、これらの発見は、衝撃時に首の筋肉によって発揮されたより大きな力が頭部の加速の減少を導くことを示唆しています。 より大きな首の筋力は衝撃中の頭部の加速を減らすのか? 観察調査では、首の筋力がより高い人は、頭部に影響を与える衝撃中に受ける頭部の加速がより低いのかどうかについて知ることができます(上でも述べたように、単に筋力を持っているからと言ってそれが使われるという保証はないのですが)。 この調査は、一セッション中(横断調査)あるいは競技シーズンを通して(縦断調査)、首の筋力及び頭部の加速についてのデータを記録することによって行うことができます。 Tierney et al. (2005; 2008)は、二つの似たような調査の中で男女のグループを比較し、首の筋活動を事前に始動し、最大能力のより高い割合まで上げていたにも関わらず、女性のピーク加速が男性よりも大きかったことを発見しました。これは女性の首のサイズがより小さいことに加え、首の筋肉の最大等長性(アイソメトリック)筋力がより低いからかもしれません。複数の研究が、女性は男性よりも脳震盪の受傷リスクが高いことを示唆しているように、これは極めて重要なことです(Covassin et al. 2003; Dick et al. 2009)。 他の研究者たちは、一回のテストセッション中の単一被験者グループ内における、頭部の加速と首の筋力との関連性を調査してきました(Dezman et al. 2013; Schmidt et al. 2014; Gutierrez et al. 2014; Eckner et al. 2014)。彼らは相反する結果を報告しており、非アスリートを使った2つの研究では、より大きな首の筋力は頭部の加速の減少と関連していないと報告しており(Dezman et al. 2013; Schmidt et al. 2014)、またコンタクトスポーツのアスリートにおける2つの研究では、その関連性があることを発見しています(Gutierrez et al. 2014; Eckner et al. 2014)。 シーズン開始時の首の筋力を評価し、その後経時的に頭部の加速を測定した別の研究では、2つの変数の間に関係は見つかりませんでした(Mihalik et al. 2011)。しかしながら、調査の対象者が皆同じ数、または同じような性質の衝突を受けているわけではないことは明らかであり、シーズン中のプレー固有の変動性は、これらの調査結果を評価するのを難しくしています。 全体的に見て、このことは、首の筋力は一要素であるとはいえ、常習的に頭部の加速を受けているアスリートの被験者は、衝撃に対し身構えるために首の筋力を十分に使うことがより良くできるということを示唆しているでしょう。その一方で、トレーニングを積んでいない人たちは、頭部の加速に抵抗するために首の筋力を効果的に使うことができない可能性があり、このことが頭部の加速と首の筋力との関連性を減らしてしまうのかもしれません。 参照 Barth, J. T., Freeman, J. R., Broshek, D. K., & Varney, R. N. (2001). Acceleration-Deceleration Sport-Related Concussion: The Gravity of It All. Journal of Athletic Training, 36(3), 253. Bauer, J. A., Thomas, T. S., Cauraugh, J. H., Kaminski, T. W., & Hass, C. J. (2001). Impact forces and neck muscle activity in heading by collegiate female soccer players. Journal of Sports Sciences, 19(3), 171-179. Blennow, K., Hardy, J., & Zetterberg, H. (2012). The neuropathology and neurobiology of traumatic brain injury. Neuron, 76(5), 886-899. Broglio, S. P., Schnebel, B., Sosnoff, J. J., Shin, S., Feng, X., He, X., & Zimmerman, J. (2010). The biomechanical properties of concussions in high school football. Medicine & Science in Sports & Exercise, 42(11), 2064. Burnett, A. F., Naumann, F. L., Price, R. S., & Sanders, R. H. (2005). A comparison of training methods to increase neck muscle strength. Work, 25(3), 205-210. Collins, C. L., Fletcher, E. N., Fields, S. K., Kluchurosky, L., Rohrkemper, M. 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ストレングス・コンディショニング・リサーチ 4522字

ストレングスのためのヨガ パート2/2

アーサナは、私たちがヨガという言葉を聞いて一般的に思いつくものです。レッスンで行う姿勢やポーズのことです。アーサナは、違和感を快適にしてくれます。私たちの呼吸と動きを結びつけてくれます。そして、しなやかな軟部組織をつくり、精神と身体を鍛えてくれます。アーサナをエクササイズ療法として患者に利用することもできます。これらのポーズを、クライアントによっては痛みのコントロールのためにコレクティブエクササイズとして利用したり、パフォーマンスのための動的なウォームアップとして使用したりします。私たちは、すでにトレーニングルームやクリニックで毎日アーサナを使っています。ウォーリア3を見てみてください: 見たことありますね? ウェイトを持たない片脚のルーマニアンデッドリフトです。おそらく、私達は、クライアントの誰かに片脚ルーマニアンデッドリフトを毎日とは言いませんが、週1回は使用していると思います。では、タダーサナはどうでしょうか。 臨床家のみなさん、これまでに立位の適正な姿勢について患者と話し合ったことはありますか? それならば、彼らにタダーサナで指導したことになります。 最後にプラーナーヤーマがあります。すでに私の本を読んだことがある皆さんはご存知かと思いますが、私は治療としてのエクササイズに呼吸を取り入れることに魅了されています。私がヨガの道に入り、呼吸だけに専心する支則があることを発見した時の私の大きな喜びは、皆さんの想像にお任せします。呼吸は、臨床家やパフォーマンスの専門家たちが、ここ数年で興味を持ち始めた分野です。これらは、真新しい概念ではないことを私たちは認識する必要があります。私たちは、これらを現在のクライアントや臨床家の心を上手く捉えられるようにパッケージし直しただけです。 バンダ バンダ(バンドハと書いてバンダと発音)という言葉は、“保持する、筋肉を収縮する、ロックする”という意味です。ヨガには3種類のバンダがあります。一つ目は、ムーラバンダまたは根のロックです。骨盤底を収縮させ肛門周囲筋群を介してエネルギーを引き出すのがムーラバンダです。一般的な理学療法の臨床において患者にケーグルを指導する時はいつもムーラバンダを実施していることになります。あらゆるタイプの腰痛の患者に私たちはケーグルを指導します(または、それらについて話をするべきです)。どのような人に対しても、骨盤底に取り組むことなくコアや腰痛に取り組むことは、困難です。 二つ目のバンダは、ウディアナバンダで、腹部のロックのことです。腹部のドローインのように腹筋を収縮することで腹部を介してエネルギーを引き出します。この概念は時間とともに変化しています。ウディアナバンダもこれまではドローインとして論じられていましたが、この腹筋の使い方は脊椎を安定化させるためは最善の方法ではない可能性がある、と新しい研究結果が示しました。スチュワード・マッギルによる多くの研究の業績によって、アブドミナルブレイシングがより認められる考え方となりました。伝統的な思い込みを進歩させ、それを導くために科学があるのでしょう。これが近代医学の利点です。 最後は、ジャーランダラバンダで顎のロックのことです。上肢の患者に、頚椎の伸展を行ったり頚部の深部屈筋群を活性化したりする際、日常的に指導していることです。ブラディミア・ヤンダ氏が1990年の中頃、これらの概念を論じ、頚部の深部屈筋群が継続的に抑制されていることを示しています。ジャーランダラバンダがこれらの頚部の深部屈筋群を活性化することを、ヤンダが近代の西洋世界において明るみに出しました。 この3つのバンダは、アーサナまたは姿勢を保持する能力に顕著に影響します。私たちは患者に骨盤や腹部、頚椎の安定性を築かせるためにも日々これらを指導します。皆さんは、このようにヨガを指導していても、そうしていることに気づいていなかったのです。 ヨガの種類 ヨガには、様々な理由で使われている、数多くの訓練法があります。“私はヨガが嫌い”と言っている人たちは、本当はヨガのある一つの種類が嫌いなのかもしれません。ヨガのクラスに行って、あまり良い経験ではなかったとしたら、たいていそれは彼らのニーズに合っていないヨガかもしれません。私は、数タイプのヨガを試してみて、その時のその人のニーズにぴったり合うものを試してみるよう患者や臨床家に勧めます。皆さんが最近よく目にするようになってきたヨガは以下の通りです: ビンヤサヨガは、呼吸と動きを結びつけることに集中します。全ての動きには、動きを深めることができたり解放できたりする関連性のある呼吸があります。ひとつの姿勢から次の姿勢へ移るのが比較的速いペースで行われ、フィットネスの分野でよく見られます。 陰ヨガは、瞑想や受け身のものが多く、さまざまなポーズで緊張を解き、腱や筋膜、軟部組織に深いストレッチを施します。姿勢は、だいたい3-20分間保持します。 リストラティブは、さまざまな姿勢を一定の時間保つのを補助するボルスターやストラップ、ブランケットなどの小道具をよく使用します。姿勢を作るのにゆっくりと動き、呼吸と身体のセンタリングに集中します。 ビクラムヨガは、速いペースで90分間動き、筋力や柔軟性を高めます。華氏約105度(摂氏約40.5度)に暖められた部屋で毎回同じ26ポーズを行います。 アシュタンガヨガでは、漸進的な一連の姿勢と呼吸を同調させることにより、内部に激しく熱を生産し、筋や内臓をデトックスするような浄化作用のある汗をたっぷりかきます。順を追って進めていくものなので、受講生には、無理してまでも自分が出来る範囲を超えて行わないように指導します。それぞれのポーズは、次のレベルや次のポーズの準備になります。 アイアンガーヨガは、すべて正確なアライメントと目的のある連続した動きに関するものです。小道具を使うことによって身体の最高のアライメントを達成できるようになります。 あなたは、この業界にどのぐらい長くいますか? これまでに流行っては消えていった流行モノをどのぐらい見てきましたか? 私たちが毎日行っていても時代を超えて残ることがないものはいくつあるでしょうか? ヨガは、 時の試練に耐えてきました。5000年もの間、実践されており、これからもすぐには消えることはないでしょう。

スー・ファルソニ 2688字

ストレングスのためのヨガ パート1/2

私は、2013年10月から2014年10月まで長期有給休暇をとりました。毎日の単調な仕事から解放され、自分自身どこで何をしたいのかを考えるための休暇でした。多くの継続教育やさまざまな講義に参加しました。 また、私はヨガをたくさん行いました。 ストレングスのためのヨガ この間、私たちの業界の多くの素晴らしい人たちの、いろいろな“ゲットアップ”(床でのムーブメントと移行動作)トレーニングの取り組みを観察しました。それらの多くは、“最新のムーブメント”として賞賛されていました。 私は観察しながら、これらの多くの動作はヨガに根差していると思ったのです。彼らは、ストレングスにもコンディショニングにもヨガを利用していたのです! 私たちがウェイトトレーニングルームや臨床現場で日々利用している、これらの動作の原点についてもっと学びたいと思い、ヨガティーチャートレーニング200時間をやってみることに決めたのです。 ヨガという言葉で、人はそれぞれたくさんの異なるイメージを思い浮かべます。ヨガはエクササイズの単なるひとつのスタイルと思う人もいますし、宗教的な修行と関連づける人もいるでしょう。さらに、ヨガがひとつのリラクゼーションの形と信じている人もいます。 インドの賢者、パタンジャリが、約2,000年前にヨガの実践をヨガ・スートラに編纂したと信じられています。ヨガ・スートラは、現在実践されているほとんどのヨガの哲学的ガイドブックとして提供される195節の声明をまとめたものです。 ヨガに関して、いくつかの定義が存在します。ウェブスター辞典によると、ヨガとは“身体と精神の制御と健康を得るためのエクササイズ方法である”と定義しています。Yoga.com.nzでは、ヨガは“鍛錬を補完するものではあるが宗教ではない。身体と心と精神の成長を調和させるシステムに基づいた古代芸術である。ヨガの実践を継続することで、平和と健康の感覚を学び、環境との一体感を育む”と定義しています。 ヨガは多くに人にとってさまざまな意味を持ちえます。私たちの理学療法士の臨床では、ヨガを実施することにより身体の調整を促し、筋力、柔軟性、バランスの向上や、動きと呼吸の協調性を高めたりするために使用します。 ヨガは約5,000年以上も前にインドで発祥しましたが、アメリカ合衆国に入ってきたのは、ヨガマスターたちが西洋に旅するようになったおおよそ1930年代に入ってからでした。1960年代、ドクターたちは、ストレスの対処法として、しばしばヨガを処方しました。最近では、ヨガはさまざまな理由で利用されています; ヨガの原理によって、患者はストレングスや安定性、バランス、柔軟性、身体制御、心的制御、リラクゼーション、呼吸への意識、瞑想によるストレス管理などが得られるとされています。臨床家や患者は、これら一部または全ての理由からヨガを選択することができます。その経緯は人それぞれで、個人のニーズは各々の状況によってさまざまなかたちで満たされます。 ヨガを取り巻く誤解は、数多くあります。よくある誤った考えは、ヨガがヒンドゥー教に由来するというものです。そのため、ヒンドゥー教を信仰していない人たちは、自身の信念や宗教への干渉を好まず、ヨガに懸念を抱くこともあります。これはまったくの誤解です。実際、ヨガの方がヒンズー教よりも何世紀も前に記録が残されています。実際、多くの宗教が、ヨガの原理を取り入れたとされ、その逆ではないのです。ヨガは宗教ではないので、信経や型にはまった信念、崇拝する偶像があるわけではありません。ヨガを実践している人たちは、内面的にも外面的にも相反することなく、さまざまな異なる宗教や信念体系に従っています。 ヨガはまた、ビーガニズム(絶対菜食主義)やベジタリアニズム(菜食主義)と関連付けられることもあります。ヨガの効果を得るために食事において特別な摂取方法をする必要はありません。肉類を摂取する人たちの多くも、着実にヨガを実践することで多くのメリットを感じています。 ヨガに威迫を感じる人もいます。ヨガを受講している人たちは、まるでシルク・ド・ソレイユから出てきたように見えることもあります。ヨガのインストラクターは、現在は使われていないあまり馴染みのないサンスクリット語(ご存知の通り、ラテン語も同様で、現在は使用されていませんが医学や解剖用語では常に使われています)を使用します。ポーズは難しく、ポーズをとることでおかしな格好になると感じ、ためらう人もいます。 このことを心に留めておきながら次に進みましょう:真のヨガは、このような通説や、心配や不安を払拭してくれます。 また、ヨガを実践するためにスタジオに行く必要はありません。自宅のリビングでパーソナルトレーニングのように誘導してくれる素晴らしいポットキャストや電子書籍、ウェブサイトなどがたくさんあり、自分の周囲の人と自身を比べる必要性がありません。周囲を見渡してみてください。 ヨガの8支則 ヨガは正に8支則によって定義されます:ヨガという言葉を包括的にまとめた8つの異なるセクションで、次のようなものがあります。 ヤマ(禁戒):これは人生で“慎むべき行為”のことです。ヤマは一般的に道徳、倫理、社会的指針で、偽りのない豊かな生活を送るためのヨガを実践する上での基礎となります。 ニヤマ(勧戒):これは人生で“すると良い行為”のことです。ニヤマは、健康な生活のための習慣を自分自身と約束することです。 アーサナ(坐法):これは、ヨガのクラスで行われる典型的な姿勢やポーズのことです。ヨガに興味を持つのがこのようなポーズであることは多いと思います。しかし、これは真のヨガの8分の1にしか過ぎません。 プラーナーヤーマ(呼吸・調気):呼吸を意味します。鍛錬としての呼吸、近年、私たちは呼吸とそれがストレス対処や痛みのマネジメント、運動、可動性、安定性などすべてにどのように関係しているのかを探求しています。ヨガにおいて呼吸はとても大切です。呼吸は、すべての動き、同時にすべての静止において強調されています。 プラティヤーハーラ(制感):感覚の制御や抑止のことです、これを実施することにより、深いリラクゼーションや自己認識、精神的安定の状態を導きます。 ダーラナー(集中):内部の知覚的気づきを養ったり一つのことに集中したりすることです。 ディヤーナ(瞑想):神聖な献身と瞑想。 サマーディ(三昧):神との合一または究極の悟り。 これらの8支則を探求する時、まず外の世界での自分の行動を洗練することから始めます。それから、サマーディ(解放、悟り)に達するまで心の内面に集中します。ヨガの後半の4支則は、いわばヨガの実践を深めようとしている人、ヨガの次のレベルに挑戦しようとしている人のためのものです。また一方、前半の4支則は、1日もヨガを経験したことのない人にもかなりぴったりです。 人生で良い人間であり、社会の一員として貢献したいのであれば、最初の2支則、つまりヤマスとニヤマスは、とても簡単に従えるルールです。ヤマスは、害を及ぼさない人生を生き、誠実な人生を送ることやお互いに盗みを働かない、瞬間的な満足感を得るためにエネルギーの無駄使いをしない、人が持っているものを欲しがらないなどについて説明しています。ニヤマスは、自分自身や周囲環境が清らかであること、すでにあるものや現在の人生のステージに満足すること、自己学習、自己認識、自分より超越した何かに囲まれているということについて説明しています。皆さんがある宗教に従っていても、何の宗教にも従っていなくても、これらのことが良いことで、生きていく上で一般的な規則であることは、たいていの人は同意できると思います。

スー・ファルソニ 3280字

ファンクショナルトレーニングとは何か?:対談 パート2/2

スー: 後でこれらの問題を抱えることになるからこれはOKではないということを示す、動作の観点から私たちが目を向ける物事とは何でしょうか?人々がこれらのことを明確にすることができないというのは驚くべきことです。誰もそれらについて合意できないのです。それにもかかわらず、高齢者を見るとき、彼らは何を見ていますか?“立ち上がって進む”までの時間、そうでしょう?どれくらい素早く椅子から立ち上がり10ヤード歩けるか?床から立ち上がることができない人々と、彼らの死亡率の間には、大きな相関があります。 最近実家に帰ったとき、母が私に対して苛立ったんですー彼女は75歳なのですが、床に座って犬と遊んでいて、立ち上がらなくてはならなくなったら、彼女はまるで床から立ち上がれなくなるような様子だったのです。彼女はカウチまではっていきました。私は「カウチを触わらずに今すぐ床から立ち上がらなくてはだめよ」と言いました。私は彼女が器具を使うことなく床から立ち上がれることを確かめなくてはならなかったのです。 グレイ: . . . そしてそれとは逆に、私はいくつかの調査をしてきて、世界保健機関が運動に関して唯一合意していることは、人生の初めの21か月と運動経路であるということを発見したんだ。 スー: 運動発達経路ですね。 グレイ: あなたがしゃがんだり立ったりしていようと、あるいは初めて立ち上がろうとしていようと、すべての主な姿勢、そして仰臥位または腹臥位から立位へと動くために不可欠な土台であるパターンは、床から立ち上がろうとしている高齢者、あるいは歩くことを学んでいる子供。どちらにおいても示されている。私たちは立ち上がってこの土台に足を踏み入れ、そして最後の最後まで立ち上がれるたくましい状態でこの世を去る。 中間にある全てのくだらないものーウルトラマラソンや臀部のアクティベーション、背屈のモビリティ、よりよいヒールストライク、ミッドフットランナー、ケトルベルスナッチーそれら全ては発達過程の結果です。そしてそれら全てがなくなったら、あなたには「座ってからまた立ち上がれるか?」ということが残る。 あなたがしているどのような活動も、もしそれがうまくいっているのならいい。しかしこれまで私たちがムーブメントスクリーンについて言った唯一のことは、もしあなたがこのテストに合格することができず、あなたがそれまでやってきていることを“機能”と考えるのであれば、私はあなたの権限を傷つけることのない丁重な方法で、それに対し疑問を投げかけるでしょう。 スー: そしてそれは私が人々に、あなたの名前の後ろにどの文字が付いているか気にしない、どの資格を持っているか気にしない、と伝える理由です…関係ないのです。あなたの標準規格、測定基準、終盤である、試合前である、そしてあなたがそこにどのようにたどり着いたかはどうでもいい。それは、私たちの科学に基づいて私たちが行うことの臨床の技なのです。それがあなたの臨床の技なのです。 グレイ: そしてそれが、私たちが調査すべきもの。そうではなく、人々は、私たちが膝、股関節…その他諸々に対し何をすべきか教えてくれる革新的なものを調査するつもりだと思っている。 スー: そして、私たちは皆まったく同じことをしなくてはならないのか?いいえ、それはうまくいかないでしょう。 グレイ: 調査がしていくことは、私たちがすでに行い成功していることの正当性を立証すること、そしてもし可能であれば、私たちが失敗するときなぜそれらの失敗が起こるのか説明すること。そのため、もし私たちが膝を伸張させるための素晴らしいプロトコルを得たとしたら、調査はなぜ私たちが80/20動作を獲得できたのか証明することができる。それは私たちに膝を伸張させるために何をすべきかを教えてはくれない;それを教えてくれるのは、現場での臨床的革新、そして人々の知識に基づいた推測になるだろう。 そしてそれが臨床的革新。その部分は研究室では見えない。それは現場の第一線で見えているもの。それは早期導入者たちに効果を示した10年後に、研究室で確認され検査されるだろう。 スー: そしてそれが、医学解析及び系統的レビューに反対する博士たちの大きなグループが存在する理由です。なぜなら、それらのことのすべての結果は「より多くの調査が必要である」となっているからです。 私たちが専門性を前進させなくてはならないのはここです。系統的レビューや医学解析は非常に興味深いものですが、それらは一つの結論にまとまらず、もっと調査が必要だという最終結果になる。これらの人々は浮世離れしていて、臨床あるいは現場にいる人たちではありません。 私たちは科学に基づいた臨床技術なのですから、私たちが、この専門職を前進させるためにしていくことは、症例シリーズや症例報告です。もし私たちが臨床技術の正当性を立証し、承認し、高く評価し始めなければ、そして科学がその方程式の最も重要な部分であるようにふるまわなければ、私たちは終わりです。 私たちは、臨床の技を承認し、高く評価し、そして立証しなくてはなりません。 グレイ: 最近の世界ゴルフフィットネスサミットで、私はこれまで私たちがK-vest上で見てきた中で最高レベルの回旋スピードを持つ、前途有望なゴルファーのケーススタディを発表した。彼は痩せていたから、ひょろっとしていたから、速筋タイプで非常に“バスケットボール”向きの運動能力を持つだけでなくゴルフの才能もあったから、審査された後に「私たちはあなたを15パウンド太らせなくてはならない」と言われたんだ。 ストレングスコーチとしてそれを何度も言ってきたけれど、私は決してそういうことを意味していたわけではないんだ。私が本当に意味していたのは、いくらか筋力をつけなくてはならないということ。 スー: 彼にはいくらかの筋力、そしていくらかのパワーが必要ですね。彼に本当に必要なのは15パウンドの体重ではない。 グレイ: 私たちは筋力をつけ、彼は15パウンドの副作用を得る。 スー: まったくもって正しい。それは副作用なんですよね。 グレイ: しかし、もし私がただ15パウンド増やさなくてはならないと考えるならば、私はすでに競技特性によって証明された高精度の回旋マシンである人に対し、勝手に重いリフティングを行うことになってしまう。 さて何が起こったか?その選手は世界中の最高の助言すべてに従い、首を強化し、肩を強化し、股関節を強化し、ゲームを強化し、筋量を増やす一方で回旋スピードを失ってしまった。本質的な欠陥は、私たちが賢い筋肉ではなく頭の悪い肉から始めてしまったこと。賢い筋肉は大きくなる前に強くなる。頭の悪い肉は強くなる前に大きくなってしまう。 スー: 私たちはそれを野球でいつも見ています。彼らに一日複数個のチーズバーガーを食べさせようとしても同じなのかもしれない。 グレイ:「あと15パウンドあったらなあ」と言うことで、私自身その問題の一部となってしまったけれど、それは私が意味していたことではないんだ。もっとデッドリフトが上手だったらなあと思う。もっと動作スクリーンが上手だったらなあ。片脚立ちがもっと上手だったらなあ。もっといい胸郭モビリティを見せられたらなあ。もっとオープンチェーン背屈がうまくできたらなあ。 全部もっと良ければいいのにと思っているのだけれど、私は何と言ったのか? 「この子がもう少しがっしりしていたらいいのになあ。」 動作が左右対称であるとき、動作が可能なとき、動作が表現されたとき、そこで私たちは進歩していると知る。 スー: 重要な点ですね:動作が可能である。私たちの仕事は、生命体があらゆる環境においてタスクを実行するためにできるだけ多くの自由度を与えることです。それがファンクショナルトレーニングです。 もし私たちが、神経系が与えられた環境において必要な動作パターンを選択できるように動作の可能度を向上していないのであれば、私たちはちゃんと仕事をしていなかったということです。 それが私たちの仕事です:神経系が与えられたタスク及び環境で適切な動作パターンを選択することができるように、生命体にできる限り多くの自由度を与えること。 それがファンクショナルトレーニングなのです!

スー・ファルソニ & ファンクショナルムーブメントシステムズ 3517字

ファンクショナルトレーニングとは何か?:対談 パート1/2

グレイ: スー、私は「Bridging the Gap」の本をとても楽しく読ませてもらい、この本を書くよう駆り立てたものは何だったのか…そしてなぜ今?ということについて、君にいくつか質問するのを楽しみにしてきたんだ。私が本から得た重要な情報の一つは、リー(バートン)と私がシステム(ファンクショナルムーブメントシステム)を使ってやろうとしていることのように、あなたは現実の客観的評価をその人が持つ主観的自信に対して提供し、それらがどれくらい、どの方向に離れているのかを明らかにしようとしているということ。 あなたは脳と身体の繋がり方を過大評価または過小評価しているのか?そしてあなたの最大の動作障害物は何なのか? もし私が第一にやらなくてはならないことが、アスリートの自信対現実比を調整することであれば、Functional Movement SystemsまたはSFMAのルールや規則を引用してそれを行うことはしないでしょう。「つま先を触ることは運動動作ではないーそれは世の中のほとんどの人ができること」だと言います。 スー: それは人間の動作ですからね。 グレイ: そして事実、ある人がそれをできないということは、その他の多くのことは顕著な代償運動や不必要なエネルギー消費なしではできるはずがないことを意味している。つまり、今後人生はあなたにとって同じではなくなっていくということ。多くの人々や多くのトレーニングプログラムがあなたは持っているだろうと仮定している動作パターンが、あなたには得られない。あなたの経験は異なるものになっていくわけです。 フィットネスにおいて基準を定めなくてはならないとき、私たちは「簡単になってきたらすぐそれを難しくしよう」と言って物事を難しくしてきた。そうすれば、アスリートの仕事はそれをより簡単にすることであり、私たちの仕事はそれをより難しくすることになる。 これが真の適応です。 スー: その通りです。どれだけ多くの人々が自分の哲学、あるいは自分の評価基準が何なのかを知らないということは、驚くべきことです。人々は自分のツールを自分の哲学と誤解しているのです。それが、私がBridging the Gapでしたように、人々のために一つの組織的なシステムを開発したかった理由の一つです。 どのようなテクニックを行っても構いません。インディアンクラブ、ケトルベル、あるいはTRXを使おうと。 それらはあなたのツールなのです。あなたの哲学は何ですか?あなたの専門的な評価基準は何でしょうか?あなたはいつも何に戻っていますか? あなたが私をツールのない状態で何もないフィールドに置いても、あるいは私にEXOSが作り出せる最も複雑なジムを与えようとも、関係ありません。私の哲学は変わらないのです。あなたは私に鍼を与えることも、インディアンクラブを与えることもできますーなんでも構いません。 それらは私の哲学を表現するツールであり、そのことは私が変化していくのを見たいと思っている事柄の専門的評価基準に基づいています。変化することが重要であると私が考えているものは何でしょうか?あなたが動作を変えたり、あるいはあなたの生命体を変えるのに、何が重要でしょうか?それを行うために私が手元に置いておくツールはなんでもいいのです。 グレイ: もし私たちがライフスタイルコーチ、栄養士、睡眠/覚醒/ライフスタイル/感情マネジメントの人に話していて、「もしあなたが地球上で最高のライフスタイル・マネジメントコーチだとしたら、あなたを評価するのにどの測定基準を使ってほしいですか?」と聞いたとしよう。もし彼女が自尊心や自尊感情のようないんちきくさいことを言ったら、私たちは、うーん、あなたはそれを測定できるかもしれないよね、と思うでしょう。 これは体組成ではない。私は人々にエクササイズしなさいと伝えたり、あるいはするなと伝えるつもりはない。私は彼らのライフスタイルをコントロールしていく。彼らのレム周期をコントロールし、彼らにいくつかの呼吸の情報を与えるー私はただ日常生活をより簡単にするためにいくつかのことをしようとしているだけ。 私たちがエクササイズと呼ばないような活動も盛り込むかもしれないけれど、私の言うことを10週間行った最後に、もしあなたが体組成に期待しているとしたら、私たちがシステムを協調させられたかどうかを知るために見るのにはとても良いものになるだろう。 それでは、もし栄養士あるいはライフスタイルコーチが体組成のためにそれができるとしたら、ムーブメントコーチがあなたに鏡に向かってやってくださいというテストは何だろうか? 私にとっては、それはオーバーヘッド・ディープスクワットのようなものだと思う。そしてもしそれがあまりうまくいかなかった場合には、その半分ほどで行うだろう。それからインラインランジ。そしてそれがうまくいかなければ、片足で立ってぐらつかないようにさせるかもしれない。そしてそれがあまりうまくいかなかったら、プランクを見たいと思う。もしそれがうまくいかなかったら、相互的クローリングをしているのを見せてほしい。 もしそれがうまくいかなかったら、あなたの上半身に硬さがあるかどうか見て、それがうまくいかなかったら、下半身に硬さがあるか見たいと思う。そしてもしあなたの股関節と骨盤が制限されていたら、まずそれを修正することなく、あなたに何も問題ないとは仮定しないでしょう。 ディープスクワットでしゃがんだりレッグレイズで脚を上げることから始まる、まさにそれが動作トレーニングなのです。 フィットネス環境において、もしあなたが痛みを持っていなければ、私はあなたの骨盤を安定させ、動く土台を与えるでしょう。何か医学的に問題があるとは仮定していないけれど、SFMAではまず首と肩をチェックする…もし何か問題があれば、何も正しく働くことはできないから。 FMSはボトムアップアプローチでSFMAはトップダウンアプローチである、と人々はかなり固着しているけれど、医学的に、トップダウンは安全な手段です。そしてもしあなたが痛みを持っていないのであれば、ボトムアップが安全な手段です。 スー: それはこれまで私が聞いてきたあなたのファンクショナルムーブメントスクリーンの説明の中でも、最高の説明の一つですね。 グレイ: まさに薬局にある血圧計カフのような、生涯に渡って使う一つのツールなんだ。 動作スクリーンは成功を予測しない;それは単純に、失敗が起こる準備中であることを展示している。FMSの‘F’は、あなたができることなら避けたいと望む当然の結果と非常に関連している。 スー: そうですね。私は教授であり、いまだATでもあります…私はアスレティックトレーニング博士課程の中で、コレクティブアセスメントとコレクティブムーブメントコースを教えています。私たちのアセスメントコースでは、第一週にあなたはどのように評価するか、あなたのファンクショナルムーブメントの定義は何か?またそれがあなたに何を意味するか?について議論します。 そしてその質問が人々にとっていかに難しいものかというのは、私にとって非常に驚くべきことなのです。私は常にこれを心臓の健康のように関連付けています;私たちは血圧を見て、心拍を見ます。血圧がとても高い場合、それは心臓に問題があるという測定基準です。 それでは、健康の観点から高すぎる血圧が示すものは何でしょうか?心拍が高すぎる。コレステロールが高すぎる。これらのことは全てOKなことではなく、私たちは今介入しなくてはなりません。なぜなら、もし私たちが介入しなければ、あなたはのちに心循環系の問題を抱えることになるからです。

スー・ファルソニ & ファンクショナルムーブメントシステムズ 3270字

世界中のお尻の筋肉が沈黙したのか? パート2/2

臀筋抑制の背景にある考えは妥当なのか? 臀筋抑制の一つの見解は、相互抑制と呼ばれるものにより、硬い股関節屈筋が臀筋の発火を阻害していると考えられています。これは本質的には、筋肉が発火するために「スイッチが入ると」同時に、神経系が拮抗筋の発火を抑制しようとするという反射現象です。この現象は、恐らく歩行時に最も顕著に現われます。歩いているときは、筋収縮により関節を安定させたい一方で、非効率にならないように、筋肉同士が「喧嘩する」ことがないようにしたいからです。 臀筋に関して、この考え方が破綻するのは、筋肉や関節の可動域が減少しているため(例 股関節屈筋が「硬い」)、これらの筋肉が何らかの過剰な筋活動をして、それが硬さにつながり、結果、拮抗筋(すなわち臀筋)を抑制するというものです。これは全くサポートされていない考えで、理にかなっていません。「硬い」筋肉は通常、過剰な筋活動(またはより多くの筋活動)はしません – 特に休息時や短縮時は。これはスクワットの際に確認することができます。多くの人が、スクワットをする際には、「硬い」腰筋が大臀筋を抑制するからこれが問題だと言うため、スクワットはこのテーマに関わっています。しかし、スクワットをする際は、股関節屈筋は緩んだ状態になります。股関節屈筋は、股関節を屈曲するために働いてはいないのです。重力がそうさせているのです。股関節屈筋ではなく、重力が股関節を「屈曲している」から、臀筋は本質的にあなたを地面に向かって「下げているのです」。「硬い」股関節屈筋は、スクワットのメカニクスには影響せず、とても可動性の高い股関節を有していたとしてもそれ以上「活性する」ことはありません。   痛みに関する臀筋抑制の概念に対する別の批判は、私たちが臀筋を本来の役割以上に重要視しているということです。「たとえもし臀筋が抑制されていたとして、何が問題なのか?」と自分自身に問いかけてみてください。日常生活のほとんどのタスクを行うのに、大臀筋の活動はそんなに必要なものではありません。短距離走や、クライミング、重いものを持ち上げることを考えてみてください。歩いたり、ましてや走ったりする際にも、臀筋の活動はそんなに必要ありません。ランニングに関する2012年のDornの論文を見てください。ランニングを本当に駆動しているのは、ふくらはぎの筋肉群です。股関節伸展筋は、それほど関わってないのです。これは、全体の運動のサポートモーメントの大半は足首や膝から来ていて、股関節は少ししか寄与していないという、より最近のリッチ・ウィリーの研究でも支持されています。 ウィリー他 2017 ブレット・コントレラスのスクワット時の臀筋の活動に関する研究でも確認することができます。このような高い負荷の活動においても、臀筋の最大活性は見られません。 この議論に伴うバイアスと困難の免責 1. 臀筋は確実に弱くなることはある 多くの筋肉と同様に、痛みや活動をしないことにより、弱くなることはあります。弱さは、いくつかの怪我の要因であり、確かにパフォーマンスにおいて強調するべき大切なものです。 2. 臀筋の抑制という概念を救うことはできるか? できると思います。それには、私たちが、人々の動き方を機能不全と表現することから脱却し、不要な複雑性を避けることが求められます。私は、あまり多くの臀筋の活動を必要としない方法で動くことは可能だと思います。つまりは、より脊柱優位、膝優位のパターンで、床からものを持ち上げることができるという意味です。選択したければ、より股関節を使うテクニックを磨き上げることも間違いなくできます。他のパターンが潜在的に間違っているということではなく、それはただ違う動きのパターンであるということです。これらのパターンが痛みを起こしやすいのならば、より股関節優位のパターンで動くことを学ぶのは確かに理にかなっています。そう、単純なことなのです。ここに機能不全の理由付けは必要ありません。 より複雑で非常に議論の余地のある例は、短距離走のような高負荷の活動の際に見ることができるかもしれません(私の専門ではありません)。高負荷の状態では、ハムストリングは高いストレスを経験します。臀筋は、短距離走中には正に股関節伸展筋であり、股関節伸展のトルクを作り出すことが臀筋のより大きな役割によるものとするランニングテクニックの変化があると私は予測しています(これはテストされていないため)。潜在的にこれはハムストリングのストレスを減少するかもしれません。このことはハムストリングの怪我に関連のあることかもしれません。「かもしれません」という言葉はもう十分でしょうか? 上記のシナリオが関係ないときは、高いレベルの力や実際の組織損傷が機能不全や痛みの原因ではない、痛みのある状態です。これはジョギングやウォーキングのようなときです。ジョギングの際は臀筋の活動はそれほど必要なく、臀筋の活動の欠如が痛みの問題を引き起こしているということはほぼありません。股関節の弱さは関係しているかもしれませんが、痛みを抱えている人がジョギングをしているときに、股関節伸展を作り出す潜在能力にうまく「アクセス」できてていないと考える理由はありません。  3. 臀筋の強さを強調することは有益か? 「死んでいるお尻シンドローム」が生み出した実践は、確実に多くの人を救うことができることは、繰り返し強調したいと思います。一般的に、これは、身体活動の増加、股関節、脊柱、脚部のレジスタンストレーニング、そして多くの場合、姿勢/動作を変化させ、症状を改変することにつながっています。こういったことに何ら悪いことはありません。股関節のストレングストレーニングは、膝の痛みのある人の助けになるという実際的な証拠があります。これはやるべきことなのです。   しかし、臨床の成功はメカニズムを証明してはいません。抑制された臀筋を有していると考える代わりに、別の方法でトリートメントアプローチを見ることができます。屈曲に伴う腰痛を持っている人がいるとすれば、短期的に腰椎屈曲を少なくして動く方法や、物を持ち上げたりする方法を教えることは意味のあることです。これには、より股関節(ヒップヒンジ)を大きく使って動くことが求められ、この新しい動きのパターンは、脊柱をあまり動かさずに臀筋を使うヒップエクササイズによって強調することができます。とても良いですね。素晴らしい、私たちは、痛みを引き起こす可能性のあるポジションを避けることを教え、痛みを感じない状態で負荷を与え、痛みをコントロールする方法を与えた上で、活動プログラムを始めています。全てのことが痛みを助けるのです。人に異なる動き方を教え、股関節伸展筋を優先させようとすることは、膝にかかる負荷を減らし、脊柱にかかる負荷を減らし、痛みなしに違った方法で動くことを助ける素晴らしい方法です。臨床的に行うことは助けになりますが、臀筋に関する病理学を証明はしていません。 しかし、またこれも臀筋の発火パターンの機能不全があることを意味するわけではありません。ただ痛みを起こすポジションを一時的に避けて、エクササイズを処方しているだけです。簡単なことです。   この概念は新しいものではありません。私たちは、ほぼ全ての関節(ここでは肩)において、単純に症状の改変をして、機能を最大化することにより、この想定された機能不全を「直す」ことからの転換を見てきたのそうです。 まとめ 終わりに、健康のため、生活のため、パフォーマンスのため、助けになると考えるのなら股関節の強化をしてください。股関節全体です。そこには、何らかの助けになるという実際的な証拠があります。しかし、恐らく私たちは、人々がどれほど機能不全であるかを伝えるのを避けたほうが良いでしょう。繰り返しますが、人々を落ち込ませるのではなく、鍛え上げましょう。

グレッグ・リーマン 3322字

世界中のお尻の筋肉が沈黙したのか? パート1/2

私のかなり非科学的な観察からすると、私のクライアントの67-74%は、臀筋が抑制されていて、適切に働いていないと言われたことがあるようです。まるで伝染病のようです。臀筋抑制に関する膨大な記事は気の滅入るものだったので、その対処法として、避けることを選び、Runner’s Worldの定期購読を中止しなければなりませんでした。 フィットネス雑誌を開けば、こんな文章を目の当たりにします。 私たちは一日中お尻の上に座っているため、走りに行く時にお尻をどう使えばいいかを時に忘れてしまいます。ここに元の文章があります。 聞きましたか?臀筋が何をするか「忘れる」?こういった概念は、フィットネスおよび健康業界で、非常に横行しています。このことをサポートする多くの研究結果があると思うでしょう。長すぎて読まなかった – いや、そんな研究はありません。 大臀筋は抑制されやすいい筋肉だという考えがあります。つまり、テストをして弱かったとしても、どのように「活性する」かを学ぶことができれば、強くなる可能性があるのです。また、抑制はいずれ弱い筋肉を誘発することが共通して示唆されています。 こういった考え方は、数十年前にブラディミア・ヤンダから始まり、下位交差症候群(lower crossed syndrome)と呼ばれる姿勢のポジションに現れると推測されています。この状況では、「硬い」股関節屈筋、硬い脊柱起立筋、「長く」、弱い腹筋、および、弱い大臀筋が見られます。基本的に、人々は、(大臀筋が働いていない)など何かの存在を機能不全姿勢理論(下位交差症候群)と共に議論しますが、どちらも存在しません。それはまるで、私の5歳の娘から歯の妖精に起因するユニコーンのパレードの話を聞くようなものです。
 多くの人が抑制された臀筋を抱えているという考え方は、本質的に真理になりつつありますが、それを支持する研究は多くありません。私は二つのことを議論したいと思います: 臀筋は、私たちが持つ他の筋肉よりも抑制されやすいということはない 臀筋は、他の股関節伸展筋に比べて、より大切ということはない 私たちは一つの筋肉の大切さを他の筋肉に比べて強調する必要はなく、存在しない病理を作り出す必要もないと考えています。想像上の機能不全を加えなくても、多くのクライアントは十分に壊れていると感じているのです。 うんざりしているように聞こえるかもしれませんが、そうではなく、ただ疲れているのです。私はこの仮定された機能不全に2004年から頭を悩ませているのです!15年も!私たちは、大臀筋が抑制されるという概念について考察した論文(こことブログはここ)を書き、すべての人において大臀筋は「抑制され」ているか、発火が遅いことを発見しました。つまり、人々が機能不全と呼んでいるものは、ごく一般的なことなのです。 
診断:人間 とにかく、このブログの要点は、抑制された臀筋という概念の裏側にある考えを探ることです。いくつかの研究を見てみて、この考えが痛みのある人々に有益になるかもしれない状況を探してみてください。 大臀筋の活動の少なさは痛みや怪我に関係しているか。 痛みや怪我が存在する場合に、より高い大臀筋の活動が見られる研究論文は多くあります。ここにいくつか掲載します:
 仙腸関節の症状改変手順をした時の大臀筋の活動低下と痛みのあるグループの大臀筋の活動増加。論文はこちら 伏臥位での脚挙上の際に大臀筋の活性が常に遅れることを示した、私の古く創造性に欠けた研究(2004)。その後も多く繰り返されている。 サブエリートアスリートの足関節捻挫は発火の遅れを誘発しないことを示した偶然の前向き症例研究(私の妻が患者であり、私たちは彼女の「通常の」筋電図を有しており、幸運にも彼女は私のために捻挫をした )- これこそ真実の愛 腰痛の人々の発火時間に関して、大臀筋に遅れはなかった。論文はこちら 立位時の痛みの増加に関連する中臀筋の活動の増加。論文はこちら 股関節の変形性関節症とともに見られる中臀筋の活動増加。論文はこちら ちょっと待って、これはクレイジーだ。実験的に誘発された中臀筋の弱さは、膝の内転モーメントの増加には繋がらない(時に関節の変性進行と結びつけれらるが、必ずしも痛みはない)。論文はこちら 腰痛患者の大臀筋の活動に差はない…再び。論文はこちら ハムストリングの肉離れ患者の大臀筋の活動増加。論文はこちら 前向き研究では、ハムストリングの損傷のリスク増加には、ハムストリングの発火の遅れが関係していた。論文はこちら 
異議を唱える研究 - 臀筋の抑制が存在することを示唆 敏感な股関節の関節包に液体を注入すると、股関節のブリッジエクササイズの際の臀筋の活動減少につながるという非常に興味深い研究 上記の研究に関して、股関節に液体が注入される前には、痛みのない股関節に比べ、痛みのある股関節により高い活動が見られています。関節因性抑制が起こる一方で、本質的には、活動が「標準化」されているのです(それでも、筋電図の振幅を異なる人や身体の両側で比較する際には常に慎重になるべき…この素晴らしい論文に関わることができて幸運でした)。筋活動は、通常の股関節のそれに近似しているようでした。では、この研究は実際に、臀筋の抑制が存在することを示唆しているのでしょうか。これはまた、痛みのある股関節では、より多くの筋活動が見られるかを議論することに使えます。 股関節注射のあとで、ヒップブリッジの際の大臀筋活動に低下が見られる (Freeman et al 2013) 別の前向き研究。この論文の著者は、スイング期の後半において、大臀筋の活動がより大きい短距離走者は、ハムストリングの肉離れを起こしにくいと提唱しています。

グレッグ・リーマン 2464字

目の動きと臨床テスト パート1/2

眼球を動かす外眼筋の6つの筋肉の働きを理解するのは、とても混乱しがちで難しいことではありませんか?ドクター・ドゥーリーが、それぞれの筋肉の2つの軸での働きと、短縮時、そして他の軸に置いて伸張している時の筋肉の働きを確認する方法をご紹介するビデオのパート1。

キャシー・ドゥリー 5:21

目の動きと臨床テスト パート2/2

眼球を動かす外眼筋の6つの筋肉の働きを理解するのは、とても混乱しがちで難しいことではありませんか?ドクター・ドゥーリーが、それぞれの筋肉の2つの軸での働きと、短縮時、そして他の軸に置いて伸張している時の筋肉の働きを確認する方法をご紹介するビデオのパート2。

キャシー・ドゥリー 4:07

なぜ筋力の増加は安定性に特異的なのか?(筋力は特異的である)パート4/4

バランスの必要性は安定性に特異的な筋力の増加を引き起こすか?(パート1) あるエクササイズを行うのにマシンを使うとき、そこに含まれるバランスのチャレンジは、とても似ているエクササイズをフリーウエイトで行うよりも小さくなります。同じように、不安定な表面を使うとき、バランスのチャレンジは、同じエクササイズを安定した表面で行うときよりも大きくなります。 より安定している = バランスをとる必要が少ない;より不安定 = よりバランスをとる必要がある 異なる安定性要求でのベンチプレス バランスの必要性は安定性に特異的な筋力の増加を引き起こすか?(パート2) 驚くことに、バランストレーニングだけでも筋力を向上させることができます。 これは、不安定な表面でのトレーニングにおいてバランスをとるという側面が、用いられた負荷に関わらず筋力の増加をもたらすことを意味しているでしょう。 研究は、バランストレーニングが筋力トレーニングの併用なしでも筋力の増加をもたらすことを示しています(Heitkamp et al. 2001; 2002; Bruhn et al. 2006; Myer et al. 2006; Beurskens et al. 2015; Cug et al. 2016)。そのような増加は、恐らくより速い運動単位発火率を使った(Gruber & Gollhofer, 2004)初期の神経駆動の向上によって引き起こされる、力の発生率の向上と関連があるようです(Gruber & Gollhofer, 2004; Bruhn et al. 2006; Gruber et al. 2007; Behrens et al. 2015)。 これらの変化の背景に何があるのかは明らかではありません。 筋力トレーニング後の神経駆動の向上は、一つには皮質脊髄の興奮性(Beck et al. 2007; Griffin & Cafarelli, 2007; Kidgell et al. 201)、そしてまた一つには皮質脊髄の抑制の低下(Latella et al. 2012; Weier et al. 2012; Christie & Kamen, 2014; Rio et al. 2015)によってもたらされるようです。 一見、バランストレーニングがバランステストにおける皮質脊髄の興奮性の低下を生じるために(Taube et al. 2007; Beck et al. 2007; Schubert et al. 2008)、全く異なる神経的順応を生み出すように見えるかもしれません。 しかしながら、これらの皮質脊髄の興奮性の低下は、ちょうどバランスの向上のように非常に課題特異的なものです(Kümmel et al. 2016)。事実、皮質脊髄の興奮性は、バランストレーニング後、筋力テストなどを含む練習していなかったテストにおいて上昇しています。 この共有メカニズムは、筋力トレーニングがバランストレーニングの前に行われるときや(Bruhn et al. 2006)、そしてバランストレーニングプログラムを筋力トレーニングプログラムと一緒に行うときに(Manolopoulos et al. 2016)、なぜ付加的な筋力の増加が生じないのかを説明してくれるでしょう。それはまた、筋力トレーニングがさまざまな集団においてどのようにバランスを改善することができるか(Heitkamp et al. 2001; Anderson & Behm, 2005; Orr et al. 2008; Manolopoulos et al. 2016)、さらにどのように協調性を向上させるかについても説明しているかもしれません(Carroll et al. 2001)。 この神経駆動の変化による筋力の増加の共有メカニズムは、一部、不安定な表面上でのトレーニング後の予想以上の筋力の増加の原因であるかもしれませんが、バランストレーニング後と筋力トレーニング後の変化の類似性を考えると、恐らく安定性に特異的な筋力の増加は説明することができません。 バランスの必要性は安定性に特異的な筋力の増加を引き起こすか?(パート3) バランスの必要性は、多関節エクササイズ中の筋肉の協調性パターンに影響を与えるようです。これは特定の動的運動中にどれくらいの力が生み出されるかに影響を与えます。 不安定な環境でエクササイズを行うことは、より安定した状況下で行われた全く同じエクササイズと比較して、主働筋の活性化が同じようであっても、協働筋および拮抗筋のより大きな活性化を生じます(Cacchio et al. 2008; Schick et al. 2010; Ostrowski et al. 2016; Signorile et al. 2016)。 さらに重要なこととして、不安定な環境でのトレーニングは拮抗筋の活性化を減少させ、安定筋の活性化を増加させます。 これらの変化は、不安定な状況下での特定の動的運動において、筋収縮のより効率的なパターンをもたらし、安定性に特異的な方法で筋力を非常に大幅に向上させます。 例えば、ケーブルマシンでのトレーニングとバー軌道が固定されているマシンでのトレーニングを比較したとき、Cacchio et al. (2008)は、ケーブルマシンでのテスト中、ケーブルマシンでのトレーニングが安定筋のEMG振幅の増加、そして拮抗筋のEMG振幅減少を引き起こした一方で、バー軌道が固定されているマシンでのトレーニングではそれらが見られなかったことを発見しました。 不安定な環境でのトレーニングは筋肉の協調性を向上する バランスを課題とするパフォーマンスが非常に課題特異的であること(Kümmel et al. 2016)、そしてバランストレーニング後の神経駆動における変化もまた非常に課題特異的であることを考えると(Beck et al. 2007; Schubert et al. 2008)、特定の動的運動中の筋肉間の協調性のこのような変化が、安定性に特異的な筋力の増加を引き起こす根本的なメカニズムであるようです。 (バーベルスクワットのような)地面で行うフリーウエイトのエクササイズは、安定性の条件の観点から、(垂直跳びのような)アスレティック能力テストにもっとも似ているため、これもまた、なぜフリーウエイトが外的負荷の安定性の観点からまさに“ちょうどよい”とされ、ゆえにスポーツにもっとも効果的に移行されるのかを説明しています。 まとめ より安定した環境(つまりフリーウエイトよりもマシン、あるいはダンベルよりもバーベル)でのトレーニングは、より大きな外部からの力を含んでいます。これらのより大きな外部からの力は、不安定な環境でのより大きな拮抗筋および安定筋の活性化のため、より大きな筋内の力に(恐らくよりトレーニングを積んでいない個人において)部分的にだけ反映されます。 このことは、安定性が一要素ではない場合、より安定性があることは力生産の増強のためにはよりよいことを示唆しています。たとえそうだとしても、力生産のレベルは恐らく安定性に特異的な筋力の増加を起こす重要なメカニズムではないのかもしれません。 バランストレーニングおよび筋力トレーニングは、少なくとも部分的には共通のメカニズムによって筋力の増加を生じます。これは、安定性に特異的な筋力の増加を説明してはいないものの、トレーニングを積んでいない個人における不安定な表面上でのトレーニング後の予想以上の筋力の増加をいくらか担っているかもしれません。 不安定な環境でのバランスの必要性は、多関節エクササイズの筋の協調性パターンに影響を及ぼし、協働筋および拮抗筋の活性化を高めます。協働筋および拮抗筋の活性化は、力がどれだけ生産されるかに影響を及ぼします。不安定な環境でのトレーニングは拮抗筋の活性化を減少させ、協働筋の活性化を安定性に特異的な方法で向上させます。これらの変化は、特定の安定性の状況下でのより効率的な筋収縮のパターンを引き起こし、その結果として安定性に特異的な方法で筋力を向上させます。 床の上で行われるフリーウエイトのエクササイズは、安定性要求に関してはアスレティック能力テストにもっとも似ているため、これが恐らく伝統的なフリーウエイトトレーニングがスポーツにもっとも効果的であるという理由なのでしょう。 参照 Andersen, V., Fimland, M. 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