ケトルベルスナッチ:2つのアドバイス

ケトルベルスナッチを実行する際に、手にマメやタコができたり、腕の力で無理やり持ち上げようとしてしまうことはありませんか?ケトルベルスナッチの記録保持者の一人であるデーブが、ケトルベルスナッチをより効率よく行うためのアドバイスをシェアします。

ファンクショナル・トレーニング・インスティチュート 3:49

バトルロープコンピュレーション

オーストラリアのファンクショナルトレーニングインスティチュートから、バトルロープを使用した様々なエクササイズの編成をご紹介します。あぁ、こんな使い方もあるのかぁ。という新鮮な驚きがあること間違いなし。

ファンクショナル・トレーニング・インスティチュート 3:05

ケトルベルと自重のコンディショニングサーキット

オーストラリアのFTIが、ケトルベルのエクササイズと自重のエクササイズを組み合わせたコンディショニング目的のサーキットエクササイズの例をご紹介します。まずは30秒オン30秒オフで確実に動けるようにしてみましょう。

ファンクショナル・トレーニング・インスティチュート 2:54

コアの安定のためのバトルロープエクササイズ

バトルロープのエクササイズといえば、全身を使うことで心拍数をあげるメタボリックトレーニングとしての使い方が一般的です。このビデオでは、ファンクショナルトレーニングインスティチュートの提案するコアの安定のためのバトルロープエクササイズをご紹介します。

ファンクショナル・トレーニング・インスティチュート 1:58

バックスクワットのバイオメカニクス パート1

スクワットは、膝と股関節の筋群のためのよく知られたエクササイズであり、リハビリのプログラムにもよく使われます。バイオメカニクス的に、スクワットはクローズドチェーンの動作であり、足関節、膝関節及び股関節を同時に伸展させる必要があります。スクワットは、足幅(相撲スクワット)や、足のポジション(片足やブルガリアンスクワット)、負荷をかける場所(フロントスクワット、シッシースクワット)、深さ(フルスクワット、浅いスクワット)などのバリエーションを含む、様々な方法で行うことができます。しかし、これらのバリエーションは、どれも膝関節にかかる力や筋の動員パターンに影響を与えることを気に留めておくことが重要です。例えば、ディープ(フル)スクワットの安全性については、多くの議論がされています。コーチ達は、膝の可動域(120〜140度)や大腿の角度(床と平行以下)を見る事によってフルスクワットを定義することが多いようです 。 スクワットの深さは、多くの議論の対象になっていて、一部の研究者は、フルスクワット中の膝への圧縮力の大きさについて懸念を示していますが、この懸念は、ストレングス&コンディションニングの第一人者である全米ストレングス&コンディションニング協会(NSCA)により払拭されています。NSCAのスクワットエクササイズについての方針書では、これらの懸念を払拭し、フルスクワットは膝関節を危険な圧縮力にさらさないことを証明した強力な科学的なエビデンスを提示しています。興味深い事に、研究者は、スクワット中の膝関節の屈曲角度が90〜100度の時に膝蓋大腿関節への力が最大になることから、膝関節への圧縮力はパーシャルスクワットの方が高いという報告もしています(1)。NSCAの方針書(5)によれば、スクワットは、その深さに関係なく、正しく実施され、なおかつ適切な監督下にあれば、安全性が高いだけでなく、膝関節への障害を著しく予防できるとしています。しかしながら、重要な事に、方針書の著者は、スクワットのボトムポジションから、上昇動作を助けるために反動をつけて(弾むように)立ち上がる事で、膝関節への機械的な負荷が増加すると報告しています。これは、典型的に下降動作(エキセントリック)から上昇動作(コンセントリック)への移行時に、スクワット中の力と筋への張力が最大になるためで、 筋の伸長は一般的にフルスクワットにおいてより大きくなります(1)。スクワットスタイルのケトルベルスイング(股関節のヒンジ動作パターンのスイングではなく)が、膝関節をケガの危険にさらし、膝関節の障害を有するクライアントに対して使用するべきではない理由が、まさにこれなのです。要するに、良いテクニックと適切な監督下で行われるフルスクワットは、膝関節に損傷を与えるものではないと思えます。 フルスクワットかパーシャルスクワットかという議論は、運動競技のパフォーマンスにも及んでいます。一部の研究者は、フルスクワットの方がパーシャルスクワットよりもより垂直跳びのパフォーマンスに有効であると信じています(1-3)。これと対照的に、他の研究者は、パーシャルスクワットにおける最大筋力は、スプリントや垂直跳びのパフォーマンスの強力な決定要因であると示しています(4)。フルスクワットと比較した時、レアその他、(6)は、パーシャルスクワットが、スプリント及び跳躍能力の両方により大きな効果の転移をもたらし、また、パーシャルスクワットを含むワークアウトは、スポーツスキルのより大きな向上につながったと報告しています。しかし、この研究(6)の著者は、一般的なスポーツのコンディションニングのプログラムに、フルスクワットが有益であるとも認識しています。パーシャルスクワットによってスプリントと跳躍パフォーマンスの向上が見られた理由は、スプリントと跳躍における股関節と膝関節の可動域が(パーシャルスクワットに)類似しているためでしょう。しかし、パーシャルスクワットにもデメリットがないわけではありません。例えば、最近のケーススタディにおいて、甲谷その他(1)はバレーボール選手に、パーシャルスクワットをより高重量(体重の1〜1.2倍)で処方した場合、腰や膝の不快感が増すとの訴えがあったため、女性のバレーボール選手にはフルスクワットを選択すると報告しています。まとめると、これらの研究の結果は、フルスクワット及びパーシャルスクワット両方にメリットがあることを示唆しています。 フルスクワットは、一般的なコンディションニングに関するメリットがあり、垂直跳びのパフォーマンスを向上させるためにも有効かもしれません。対して、パーシャルスクワットは、スプリントと垂直跳びの両方のパフォーマンスに対して明確なメリットがあるようですが、4分の1の可動域でより高重量を扱えるため、股関節と膝関節に更なるストレスがかかるというデメリットもあるでしょう。ファンクショナルトレーニングの指導者には、パーシャルスクワットかフルスクワットかの選択するにあたって、クライアントの過去のトレーニング歴や、現在の可動域の制限、そしてトレーニングの目標を考慮することを勧めます。 参照 Kotani, Y & Hori, N. From the Field – Directed Topic – The reasons why athletes squat deep in japan volleyball women’s national team. Journal of Australian Strength and Conditioning. 25(3). 2017. Bloomquist, K., Langberg, H., Karlsen, S., Madsgaard, S., Boesen, M.& Raastad, T. Effect of range of motion in heavy load squatting on muscle and tendon adaptations. European Journal of Applied Physiology. 113: 2133-2142, 2013. Hartmann, H., Wirth, K., Klusemann, M., Dalic, J., Matuschek, C.& Schmidtbleicher, D. Influence of squatting depth on jumping performance. Journal of Strength & Conditioning Research. 26: 3243-3261, 2012. Wisloff et al. Strong correlation of maximal squat strength with sprint performance and vertical jump height in elite soccer players. British Journal of Sports Medicine. 38. 2013. N.S.C.A Position Paper: The Squat Exercise in athletic conditioning: A position statement and review of the literature. こちらへ Rhea et al. Joint-angle specific strength adaptations influence improvements in power in highly trained athletes. Human Movement. 2016.17(1).

ファンクショナル・トレーニング・インスティチュート 2166字

バックスクワットのバイオメカニクス パート2

前回の記事では、パーシャルスクワットとフルスクワットの違いに注目しましたが、今回の記事では、スクワットの、下肢の関節にかかる力に与える影響に注目します。スクワットのバイオメカニクスについてのレビュー論文のなかで、Escamilla(2001年)は、スクワットのバリエーションにおける力や筋活動について述べています。スクワットが膝関節に与える影響を理解することは、FTI指導者や実践者が、リハビリ目的でのスクワットの使用を、詳細な情報を得た上で決断するための助けになるでしょう。 せん断力 膝関節に直接的に影響するせん断力には、前方せん断力と後方せん断力という二つのタイプがあります。後方せん断力は、脛骨を後方に引っ張り、後十字靭帯(PCL)に負荷をかけ、前方せん断力は、脛骨を前方に引き出し、前十字靭帯(ACL)に負荷をかけます(Abernethy 2013)。脛大腿関節にかかるせん断力を計算した研究は数多く存在します(Lutz et al. 2003、Wilk et al. 1996)。重要なのは、過度のせん断力が膝の靭帯にとって有害になり得るということです(Escamilla 2001)。ある研究は、スクワット中に中程度の負荷がPCLにかかり、その負荷は膝が屈曲するにつれ上昇すると示唆しています。PCLへの力は、1000~2000ニュートンの範囲の大きさで、膝屈曲角度が60度を超えると−大腿四頭筋が関節に後方せん断力を加える時−表れます(Escamilla 2001)。PCLへの最大の負荷は、4000ニュートンと推測されていて(Race et al. 1994)、そのため、スクワットは、健全なPCLを持つクライアントにとって十分に耐えられるはずのものです。PCLのけがから回復している人には、動作の可動域を、PCLの負荷がかかり始める60度以下の膝の屈曲に制限するべきでしょう(Escamilla 2001)。PCLとは反対に、ACLへの力は、大腿四頭筋が関節に前方への力を加える0から60度の膝屈曲角度で発生します。しかしながら、ACLへの負荷は小さく、最大で500ニュートンです。ACLへの最大負荷がおよそ2000ニュートンと考えると、スクワットがACLにかける負荷は小さいと考えられ、そのため、ACL患者のプログラムに組み込むことは安全と言えるでしょう。スクワット中に体幹の前傾を強めることによって(インクラインボード上でのスクワットがよく膝のリハビリプログラムに組み込まれるのはこのためです)、ハムストリングの活動が増加することにより関節への後方せん断力が増すため、ACLへのストレスが大きく軽減されます。しかし、膝の前方への動作が増すことによって、せん断力も大きくなるため、リハビリを行うクライアントは、膝をつま先より後ろに維持することによってこのような(膝が前に移動する)ポジションを避けるべきです。最後に、エクササイズを行うスピードもせん断力に影響します。ある研究(Hattin 1989)は、速いリズムでのスクワット(上昇1秒、下降1秒)が遅いリズムのスクワット(各局面を2秒ずつ)に比べて、最大で30%も大きいせん断力を生み出していると報告しています。したがって、ゆっくりとコントロールされたテクニックは、十字靭帯を保護すると言えるでしょう。 興味深いことに、挙上する重量が増しても、ACLやPCLにかかる力には、圧力と同様には影響しません。例として、Nisell(1986)がパワーリフターの最大250kgのスクワットの上昇局面における膝関節の負荷試験によると、関節への圧力と大腿四頭筋の発揮筋力がかなり高かった(8000 N)にも関わらず、ACLとPCLへのせん断力は上述の正常の範囲でした。このデータは、せん断力をコントロールするための関節の安定性にとって、より大きな関節圧力が重要であるかもしれないことを示唆しています。スクワット中の足幅も関節圧力を増加させるようで、より広いスタンスは関節圧力を15%増加させます(Escamilla 2001)。足幅はせん断力への影響はありませんが、せん断力はスクワットの上昇局面においてより大きくなります。重要なこととして、実用レベルでは、疲労が増すにしたがって、脛大腿関節へのせん断力と圧力も増加します。ほとんどのバイオメカニクス的な研究(Lutz et al. 2003、Wilk et al. 1996、Dahlkvist et al. 1982)は、少ないレップ数での分析ですが、実際には、患者やアスリートは多数のレップ数を数セット(例:4セット×8回)行います。以前に、Hattin(1989)は(スクワットの)リズムが膝関節へ与える影響を調査する研究を行いました。この研究では、最大で50回のスクワットを異なる負荷(1RMの15~30%)で行いました。その結果、せん断力と圧力が、最初のレップから最後のレップにかけて25~80%増加したと報告しています。これは、膝関節への負荷が、最後の数セットの終盤にかけてより大きくなることを示唆しています。新規または機能的なトレー二ングを行ったことがないクライアントに対しては、処方したスクワットの量を徐々に増加していくことが大切なのはこのためです。 圧力 研究者達は、スクワット中に脛大腿関節にかかる圧力の計算も行いました(Dahlkvist et al. 1982、Escamilla 1998)。膝蓋大腿関節への圧力は、膝蓋の内側と膝蓋と大腿骨との関節結合部の間の接触によって起こります。この負荷は、脛骨と大腿骨が接合している表面にかかります(Escamilla 2001)。このような圧力の計算結果は、500から8000 Nに及び、スクワットでは負荷が増すにつれて圧力も増加します。1RMの70%の負荷でのバーベルスクワットでは、膝蓋大腿関節への圧力の計算から、関節にかかる力は体重の4から7倍になると示しており、これは約4000から5000 Nに相当します(Escamilla 1998)。 これらは、一般的にリハビリプログラムの初期において多くの患者が行う重量より大きく、患者の怪我が癒えて筋力を再獲得するまでは、リハビリの中でこれほどの負荷を関節にかけることはないでしょう。最大圧力がかかるのは、膝の屈曲角度が最も大きくなった時で、一般的には90度以上です。膝蓋大腿部に障害を持つ患者(例:膝蓋軟骨軟化症)は、負荷が適切である0-50度の範囲でスクワットを行う必要があります。これらのデータから、圧力を極力低くしたい時は、広いスタンスよりも狭いスタンスでのスクワットが適していると推測されます。加えて、圧力はスタンスを広げるにつれ増加します。例えば、Escamilla(1997)は、広いスタンスでのスクワットにおいて、下降中の膝蓋大腿関節への圧力が15%増加したと報告しています。さらに、スクワットを、バーベルを肩峰より下で保持するローバーのポジションで行うと、動作中により大きな体幹と股関節の屈曲が起き、膝蓋大腿関節へかかる力が減少します。このデータは、膝痛または膝の障害を持つクライアントは、膝蓋大腿関節への圧力を最小限にするために、狭いスタンスのローバースクワットを行うべきであることを示唆しています。最後に、スクワットにおいてバーベルを保持する位置は膝への圧力に影響します。Escamilla(1997)は、スクワットをローバーポジションで行う事で、膝への圧力が減少すると報告しており、したがって、この方法が、過去に膝の痛みや障害があったクライアントがスクワットを行う時に適していると言えます。加えて、体幹の前傾を増加させるローバーポジションのスクワットは、より大きなハムストリングの活動とより少ない大腿四頭筋の活動が部分的な要因となって、ACLへの負荷を減らし(Ohkoshi et al. 1991)、このことからACL損傷からの回復過程にいるクライアントにとってもこの方法がさらに適していると言えます。 実践への応用方法 FTIのインストラクターと実践者に向けて、これらの研究の実践への応用方法は: スクワット中は、膝関節の屈曲が0から60度の間において低レベルのせん断力がかかります。従って、スクワットをACL損傷歴があるクライアントに処方する時は;スクワットの深さを膝関節の屈曲が最大でも60度になるように管理することが重要です。 膝関節への圧力は、スクワットの深さとともに増加し、したがって、過去に膝の痛みや障害を持っていたクライアントにスクワットを処方する時は、スクワットの深さを膝の屈曲角度で50度以下にすることが推奨されます。 スクワットを狭いスタンスで行うことは、膝関節への圧力をさらに減らし、そのため、この方法が、過去に膝の痛みや障害を持っていたクライアントにスクワットを処方する時にも推奨されます。 ローバーポジション(肩峰より低い位置)でスクワットを行うことで、膝関節への圧力とACLへの負荷が減少します。そのため、過去に膝痛を持っていたり、ACLの損傷歴があったりしたクライアントにスクワットを処方する場合にも、ローバーポジションで行うことが推奨されます。 参照 Escamilla, R. F. (2001). Knee biomechanics of the dynamic squat exercise. Medicine & Science in Sports & Exercise, 33(1), 127-141. Lutz, G. E., Palmitier, R. A., An, K. N., & Chao, E. Y. (1993). Comparison of tibiofemoral joint forces during open-kinetic-chain and closed-kinetic-chain exercises. JBJS, 75(5), 732-739. Wilk, K. E., Escamilla, R. F., Fleisig, G. S., Barrentine, S. W., Andrews, J. R., & Boyd, M. L. (1996). A comparison of tibiofemoral joint forces and electromyographic activity during open and closed kinetic chain exercises. The American journal of sports medicine, 24(4), 518-527. Abernethy, B., Kippers, V., & Hanrahan, S. (2013). Biophysical foundations of human movement. Human Kinetics. Race, A., & Amis, A. A. (1994). The mechanical properties of the two bundles of the human posterior cruciate ligament. Journal of biomechanics, 27(1), 13-24. Nisell, R. (1986). Joint load during the parallel squat in powerlifting and forces analysis of in vivo bilateral quadriceps tendon rupture. 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ファンクショナル・トレーニング・インスティチュート 3848字

バックスクワットのバイオメカニクス パート3

我々のスクワットについての最後の記事では、スクワットの深さ、足のポジション、そしてバーの保持位置の違いが、下肢の筋活動にどう影響するかに注目していきます。スクワットや、その他のエクササイズ中にどの筋が活動しているかを見るために、研究者らは「筋電図法」またはEMGと呼ばれる機器を使用します。EMGは、骨格筋の電気活動の評価と記録を行います。スクワットは非常に多様性に富むエクササイズで、パフォーマンスおよびリハビリの両方の目的のために、特定の筋群をターゲットにできます。スクワットのバリエーションが、どのように筋の動員パターンに影響するかという知識を持つことは、FTIのインストラクターが、リハビリと筋力増加のためのプログラムの両方において、特定の筋群をターゲットにするためにスクワットのやり方を変更する役に立ちます。 ふくらはぎの筋群 スクワット中のふくらはぎの筋群の活動と筋力を調査したEMGの研究では、スクワット中にふくらはぎの筋群に中程度の筋活動が見られました。ふくらはぎの筋肉の活動(腓腹筋)は、下降中に膝が徐々に屈曲するにつれ増加し、上昇中に膝が伸展するにつれ減少していきます(Escamilla 1998)。ふくらはぎ(腓腹筋)の活動は、下降中の足関節の背屈の度合いをエキセントリックにコントロールするために、60度から90度の膝関節屈曲位で最大になるようです(Escamilla 1998)。最後に、ウォールスライドスクワット中に、足を股関節の真下に位置することで、ふくらはぎの筋群の活動が増加することが明らかにされています(Blanpied 1999)。 大腿四頭筋 スクワットでは、大腿四頭筋、特に大腿直筋よりも有意に大きな活動を示す広筋群が主動筋となっています。大腿四頭筋の活動のピークは、スクワットの80度から90度で起こり、これよりも大きな膝の屈曲でも増加しません(Escamilla 2001)。このデータは、ハーフスクワット(膝屈曲角度が90度まで)において四頭筋の活動が最大となることを示しています。90度の膝屈曲角度を超えて下降し、パラレルスクワットのポジションに近くなることで、四頭筋の発達を高めることはないかもしれません(Escamilla 2001)。最後に、肩甲骨のサポートを伴うウォールスクワットと比較したとき、大腿四頭筋の活動が増加するとしています(Blanpied 1999)。 内側広筋斜走線維(VMO) 内側広筋斜走線維は、内側広筋の最も遠位部に位置する部分です。この部分に特化したトレーニングは、膝蓋骨のポジションを維持するという重要な役割を持ち、膝への障害を制限します。VMOの弱さ、タイミング及び機能不全は、膝蓋骨の軌道の乱れを引き起こし、その結果、周囲の構造に損傷を与え、それにより膝への力が増加し、多くの場合傷害につながります(Lefebvre 2006)。さらに、外側広筋(VL)とVMOの不均衡は、膝蓋大腿痛のリスクを上昇させます(Karst & Willit 1995)。このデータは、膝への受傷後の早期のVMOのトレーニングの重要さを示しています。スクワット中のVMOの活動に関する研究において、パーシャルスクワットにおける大腿部の活動の30.88%をVMOが担っており、パラレルとフルスクワットにおいてはそれぞれ18.85%と20.23%でしかないと報告しています(Caterisano et al. 2002)。その他の研究(Anderson et al. 1998)では、スクワット中に足幅を広げることよるVLの筋活動に対するVMOの筋活動を調査しています(VMO:VLの割合)。研究者らは、足幅を広げることによってVMOの活動は増加しないとしています。しかしながら、VMOは90度までの範囲でより活発であり、膝の屈曲角度が大きくなるにつれVLに対するVMOの活動量が増加するとあります。まとめると、これらの発見は、膝屈曲角度が90度を超えないスクワットが、VMOに対して最適な深さであることを示唆しています。 ハムストリングス 二関節筋(股関節と膝関節にまたがっている)という形態から、ハムストリングスは下降中にエキセントリックに活動し、上昇中はコンセントリックに活動します。しかし、下降中に膝が屈曲するにつれ股関節も屈曲するため、ハムストリングスの長さはスクワット中維持され、その結果ハムストリングスの長さの変化は最小限になります。これにより長さ−張力の関係性は、力の発揮に傾きます(Escamilla 2001)。ある研究では、ハムストリングの活動がスクワットの上昇段階で最大になり、拳上重量に比例していると示唆しています(Wilk et al. 1996)。これとは対照的に、自体重のスクワットにおいては、ハムストリングの活動は最小限で、12RMの負荷が用いられるまでは著しくなく、これは膝の安定性を向上させるためだと思われます。スクワット中のハムストリングの活動は、膝関節屈曲角度の50度から70度で最大になります。最後に、研究者らは(Blanpied 1999)、ハックスクワットマシーンを用いてのスクワット及び、肩甲骨のサポートを伴い足のポジションを重心より前にして行うウォールスクワットにおいて、ハムストリングの活動が有意に増加することを発見しました。結論として、これらの結果はハックスクワット、肩甲骨のサポートを伴うウォールスクワット及び、ディープとハーフの両方のスクワットが、効果的にハムストリングの活動を刺激することを示しています。 殿筋の活動 スクワットの深さが大殿筋に与える影響を検証した研究では、大殿筋の活動量が深さと共に増加していました(Caterisano et al. 2002)。しかしながら、これらの結果は異なる負荷(1RMの%)によって変化すると思われます。他の研究者らは、大殿筋の動員がスクワットのスタンスを広げるにつれ増加することを発見しました。最後に、AspeとSwinton(2014)は、バックスクワットとオーバーヘッドスクワットの分析を行い、バックスクワットにおいてオーバーヘッドスクワットよりもより大きな大殿筋の活動を報告しています。興味深いことに、フロント、フル、またはパーシャルのスクワットを比較したとき、フルスクワットの場合でも大殿筋の活動は増加せず、これはフロント、フル、またはパーシャルのどのスクワットでも大殿筋の発達には同等に効果的だということを示唆しています(Contreras et al. 2016)。 結論として、これらの研究の結果は、スクワットが下肢筋群の筋力向上に大変効果的なエクササイズだということを示唆しています。また、スクワット中の筋活動は、足のポジション、深さ、サポートの種類または負荷によって影響を受けます。異なる負荷が処方されていたことを含む、これらの研究の制限にも関わらず、スクワット中の筋活動については、次のように普遍化することができます: ふくらはぎの筋活動を最大にするためには、スクワットの深さを大腿部が床と平行になるように処方し、足を股関節の真下に位置するようにします。 スクワット中に大腿四頭筋をターゲットにするためには、大腿部がパラレルになるようなスクワットを処方し、リハビリ目的ではサポート用のパッドを股関節の高さにおいたウォールスクワットを処方します。 VMOをターゲットにするとき、大腿がパラレルになるスクワットを処方します。 ハムストリングスをターゲットにするとき、ハムストリングスすべてを同様に刺激するために、ディープスクワットまたは大腿部がパラレルになるスクワットを最低でも12RMの負荷で処方します。自体重のスクワットを処方する場合、肩甲骨にサポートパッドをおいたウォールスクワット処方し、足を重心よりも前方に位置します。 殿筋群をターゲットにするときは、パラレルまたはフルスクワットの処方は、同等に効果的です。バリエーションとして、フル可動域のフロントスクワットを殿筋群の活動を刺激するために用いることができます。 筋活動の違いにもかかわらず、フルスクワットが、一般的な筋力向上及び運動能力の発達のために効果的なスクワットのバリエーションであるといえるでしょう。 参照 Escamilla, R. F. (2001). Knee biomechanics of the dynamic squat exercise. Medicine & Science in Sports & Exercise, 33(1), 127-141. Caterisano, A., Moss, R. E., Pellinger, T. K., Woodruff, K., Lewis, V. C., Booth, W., & Khadra, T. (2002). The effect of back squat depth on the EMG activity of 4 superficial hip and thigh muscles. The Journal of Strength & Conditioning Research, 16(3), 428-432. Lefebvre, R; Leroux, A; Poumarat, G; Galtier, B; Guillot, M; Vanneuville, G; Boucher, JP (2006). “Vastus medialis: anatomical and functional considerations and implications based upon human and cadaveric studies”. Journal of Manipulative and Physiological Therapeutics. 29 (2): 139–144. Anderson, R., Courtney, C., & Carmeli, E. (1998). EMG analysis of the vastus medialis/vastus lateralis muscles utilizing the unloaded narrow-and wide-stance squats. Journal of Sport Rehabilitation, 7(4), 236-247. Wretenberg, P. E. R., Feng, Y. I., & Arborelius, U. P. (1996). 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ファンクショナル・トレーニング・インスティチュート 3463字

バトルロープトレーニングの効果

バトルロープは、だんだんと人気が出てきたトレーニングの一つです。現在、民間のジムやブートキャンプで一般的になり、多くのパーソナルトレーナーによって利用されています。 バトルロープのデザインは、とてもシンプルです。マニラ麻や塩化ビニールからできている文字通りのただのロープです。太さや長さは様々であり、これらは難易度を変化させる方法の一つです。より長いロープは引く動作により理想的で、一方でより太いロープはパワーや握力を鍛えるのにより効果的です。握る部分がある方がよく、劣化させないための保護束があるものもあります。ロープは、固定ポイントに巻きつけるようにして、両側が同じ長さになるようにします。 バトルロープのトレーニングシステムは、かの有名なジョン・ブルックフィールドによってアメリカで考案されました。ジョンはプロアスリートに対する型にはまらないトレーニング方法で有名です。バトルロープトレーニングの発想は、彼が埠頭でボートをつないでいたロープを眺めていた時に生まれました。彼は、ロープの波のような動きに魅了され、それを再現しようとしたのです。 もしバトルロープトレーニングを行っているところを見たことがあるならば、それがとても印象的であるのがわかりますが、果たして効果的なのでしょうか?答えは明確に「Yes」であり、正しい使用方法を知っている場合は特に効果的です。バトルロープトレーニングの主な効果のリストを紹介します。 1. 制限された時間の中で驚くほど代謝系の能力を向上させる 新しいトレーニングツールであるため、まだバトルロープについて多くの研究が成されていません。しかしながら、実施された研究においては我々の推測が実証されてきました。バトルロープトレーニングはより多くの酸素を必要とし、多くの一般的なトレーニング方法よりも運動後の酸素摂取を上昇させます。これが意味することは、バトルロープは、筋力を向上させ、より健康にさせ、よりパワフルにすることすべてを同時に達成させる、驚くべき脂肪減少のためのツールであるということです。これは、スポーツのより良いパフォーマンス、より引き締まった体格、そして運動能力の向上につながります。 2. 多目的に使用できる バトルロープは持ち運びができ、場所を選ばずにどこででもトレーニングできることも素晴らしいポイントです。少しのスペースがあれば公園やビーチ、ジムなどでトレーニングできます。 ほとんどの人がバトルロープを使って両手または交互のウェーブを行いますが、他にももっと数多くのことができます。独特の方法で上半身、下半身及び体幹に負荷を与える30を超えるウェーブベースの動作があります。パワー、有酸素的持久力、無酸素的持久力、そして筋持久力に特化したエクササイズもあります。エクササイズはパートナーと共に、または一人でも行えます。時間的にも素晴らしく効率が良く、10分もあれば、全身をトレーニングする激しいワークアウトを行うことができます。 様々なテクニックを用いて、バトルロープの難易度を漸進または後退させるのは、とても簡単なことです。これにはアンカーに対しての身体の位置、グリップ、テンポやセットの継続時間の長さが含まれます。 3. 楽しい クライアントたちが、バトルロープのダイナミックな性質、エクササイズの種類の多さやユニークさを面白く、楽しいものだと感じることで、バトルロープに即座にひきつけられていきます。バトルロープは、一般的なトレーニングからの大きな変化であり、これがクライアントにとってエキサイティングであり、また多様性を与えることにもなります。 4. ポステリアチェーンと体幹に効果的である これは、バトルロープのトレーニングが上半身主体のように見えることから、驚くかもしれません。バトルロープを適正に使用すれば、上半身主体にはなりません。波状の動きを起こすためのパワーは股関節のヒンジ動作から始まります。これはハムストリング、臀筋群及び脊柱起立筋を動員するのに最適です。バトルロープの非常にユニークな要素の一つとして、ロープを通して力が返ってくることが挙げられます。この力を吸収し、バランスを保つことは体幹の動員に最適です。返ってくる力を吸収できず、ロープに引っ張られてしまう人をよく目にします。 5. マインドのトレーニングにも最適である これはジョン・ブルックフィールドのトレーニングの主な特色の一つです。最初の数回は、バトルロープのエクササイズを20秒間行うことが、非常に長い時間に感じます。しかし、この時間を達成できるように、筋の痛みや肺が焼けつくような感覚を克服しようとマインドを常に追い込む必要があります。不屈の精神力によって、20分間のバトルロープも不可能ではありません。これは、どのスポーツの分野にもつながります。 6. 衝撃が少ない バトルロープは、ランニングやジャンプのような衝撃の強い運動の代わりにもなります。最小限の衝撃で心拍数を上昇させることができることから、関節の問題を抱えるクライアントにも最適です。 これらは、この素晴らしいトレーニングツールを用いることで得られる数多くの効果の内の6つにすぎません。誰もがバトルロープを使用でき、そして驚くべき結果を得ることができるでしょう。

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