マイクロラーニング
隙間時間に少しずつビデオや記事で学べるマイクロラーニング。クイズに答えてポイントとコインを獲得すれば理解も深まります。
治療に関する議論が嫌いな理由
私がネットで見る、あるいは関わるのが最も嫌いな議論は、治療に関するものです。治療が大事なのはわかりますが、これは本当にセラピストの間で最大の争点になっているようです。このテーマは、確かに人々が非常に熱くなり、あえて言うなら、少し身構えているような気もします。これは、議論、あるいは議論になりがちな不確実性の大きな領域です。議論の展開によっては、「何もかも」うまくいかないように思えたり、「何でもかんでも」うまくいくように思えたりして、少し不満や失望を感じることがあるでしょう。 しかし、ここからが私の問題なのです... 私が本当に不思議に思うのは、なぜ人は、問題を抱えた人をどう扱うのかではなく、問題をどう扱うかに熱狂し、アイデンティティを形成してしまうのか、ということです。これらの論議は、クライアントとのセッション中に起こる他のすべてのことを考慮しているようには決してみえません。もし、あなたが治療によって自分を定義し、それが「うまくいかない」としたら、そしてそれはかなりの割合の人にとってそうだとすれば、それから一体どうするのでしょうか? 私としては、これこそが、誤用されがちなBPS(Biopsychosocial/生物心理社会的)モデルのポイントだと考えています。BPSモデルは、問題そのものよりも、問題を抱えた人について考えることを意図しています/していました。 私は痛みを治療するのではなく、痛みを持つ人を治療するのです。それは、痛みがその人の人生や感じ方に大きな影響を与えることを認識すること、つまり、彼らの身に起きていることすべてに対する考えや気持ちを理解することです。それは、私がどのような介入、治療、モダリティなどを使って痛み(またはその他の結果指標)を治療するかということではなく、治療の全プロセスをどのように進めるかということなのです。 これは、もう少しリサーチ・リテラシーを高めるための良い理由になるかもしれません。治療のエビデンスをめぐっては、多くの大きな意見があり、実際に何がどの程度効果があるのか、そして更に重要なことに何が実際に効果があるのか、に関するバランスのとれた見解を得ることは難しいかもしれません。また、臨床で起こることと、コントロールされた研究で集団レベルで起こることは異なるかもしれないということも覚えておく必要があります。これは、研究を臨床に取り入れる際に常に問題となることです。私の臨床実践では、エビデンスを指針にしながらも、必要に応じて変化し、その人に合わせていくようにしています。 医療との出会いの中で、人々が経験するプロセスを考えたとき、アウトカムには実にさまざまなものが関わっているはずです。 それらは下記のようなものかもしれません: アセスメント(病歴&身体所見) コミュニケーションスタイル 私たちの説明と安心感 私たちが提供するサポートとガイダンス 行動変容の実施 治療はセッションのほんの一部に過ぎないことが多く(私にとっては)、これら他のことの全ては、頻繁に治療の寄せ集めの中に関与し、結果に影響を与える可能性があるのです。 実際、私たちがコントロールすることのできない多くのことが結果に影響するため、結果のうちどれだけが実際に私の治療なのかは、よくわからないことが多いのです。私たちに影響を与えるものの多くは、私たちが存在するシステムや社会に根ざしているのです。特定の治療法の結果にこだわるのではなく、私たちがコントロールできること、例えば、その人とどのようなプロセスを経て、どのような働きかけをするかということに、もっと関心を持つべきかもしれません。私は、適用されるものが何であれ、盲信するよりも、その方がずっと安心です。 ある人は健康状態を、ある人は手技を、ある人は基本的な安心感を、またある人は自分の動きに自信を取り戻すことを、あるいは上記のすべてを組み合わせて必要とするかもしれません。痛みの複雑さや人々の個体差を考えれば、なぜすべての人がたった一つのものを必要とすると期待できるでしょうか?
プロフェッショナルの成長:プロセス vs. アウトカム
何度か、ニューバランスのエリアコードゲームズで、カリフォルニア州ロングビーチに足を運んだことがあります。全国の高校野球のトップ選手230人が一堂に会するイベントです。2016年、私はオープニングセレモニーの一部として講演を行いました。 簡潔に伝えたい、そんな思いから、プロセスとアウトカムを区別することの重要性を強調することにしました。これは、クレッシースポーツパフォーマンスで指導するアスリート全員に叩き込むように試みていることですが、すべてのプレーヤーにとって重要な差別化であると感じています。 アウトカムとは、(他にもっと良い表現がないのですが)結果です。それは、4打数4安打であったり、オールスターチームに選ばれたり、期末試験で「A」を取ったりすることです。また、ネガティブな場合もあり得ます:4打席0安打であったり、チームから外れたり、期末テストで落第したり。結果のみの中に成長があるわけでは決してなく、成長とはすべての仕事を終えた後に起こるものです。残念ながら、私の経験では、非常に多くの人々、特に若くして大きな成功を収めた若いアスリートたちは、結果志向になりすぎています。彼らは、そこに至るまでのプロセスを認識するのではなく、成功の喜びを味わうことに時間とエネルギーを費やし過ぎています。 これに対して、プロセスとは、アウトカムにつながるすべての習慣や行動を構成するものです。これら4打席の前に、ケージでスイングの微調整をした時間なのです。そのオールスター選考の判断よりも前の、あなたの努力や態度なのです。そして、最終的な試験の準備度(または準備不足度)に結実するのは、あなたの学習習慣です。 驚くなかれ、結果重視の育児は、プロセス重視の育児よりも劣ったアプローチであることを示唆する証拠があります。結果を褒めるよりも努力を褒める方が一層良いのは、そのような努力の積み重ねが、子供に将来のあらゆる場面で頑張ることを思い出させてくれるからです。Tボールの頃からの倫理と振る舞いは、税金納付のシーズンがきた時、会計士としてのあなたの仕事を何十年間も助け続けてくれるものですが、20年前のトロフィーが、大人になってから困難な状況に陥ったときに、あなたを助けてくれるとは思わないでください。 しかし、興味深いことに、このメッセージは、私が長年フィットネス業界に関して行ってきたいくつかの会話と重要な類似性を持っています。実際、その年の夏、シカゴで105名のトレーナー、ストレングス&コンディショニングコーチ、リハビリの専門家を集めて肩のセミナーを開催した際に、詳しく取り上げたのを覚えています。 イベントのまとめの段階で、何人かの若いトレーナー達から、「どうして今の私があるのか」と聞かれました。実際、ある人は「私が10年後にあなたのようになるためにはどうすればいいのか」と質問した人もいました。私はこれらの質問に答えることが難しいと感じていました。というのも、私は成功について考えることがほとんどなく、正直なところ、自分が成功したと決めるには早すぎると思ったからです。さらにより有意かもしれないことに、私は、5年後(10年後は言うまでもなく)の自分の姿を鮮明に描くことができないのです。自分がどこに向かっているのかがはっきりしないのに、新進気鋭のフィットネスプロフェッショナルに、10年後の自分がどうありたいかを語ることができるでしょうか? そう考えると、私の答えは必然的に曖昧になるのが常です: プロセスを受け入れ、結果は成るに任せること。 問題は、フィットネス業界の特徴として、これらのプロセスのどれもが明確に定義されていないことです。別の言い方をするなら、この分野の多くの仕事が完全に基礎となっている厳密な基盤がないのです。このような業界はあまり多くありません。 例えば、私の妻は検眼医ですが、医師になるまでに学部教育4年、その後検眼学校4年(臨床ローテーションを含む)、そして医師会試験を経ています。カリキュラムが決まっていて、そのカリキュラムで重視される分野の能力を判断するための指標があったのです。そして、その熟練した技術を確立した後も、アンナはさらに1年間、角膜とコンタクトレンズを専門とするレジデントを経験しました。ある日突然、自分は検眼士であると宣言してキャリアをスタートさせることはできませんが、パーソナルトレーニングでは、参入障壁が全くないため、そういうことをする人が多くいます。 では、この教訓を、本当に偉大になりたいと願うフィットネス関係者にどう生かせばいいのでしょうか。まずは、キャリアを築くための土台となる最低限の教育を重視することが必要だと思います:基礎の上にキャリアを構築することができるのです。 NFLのストレングス&コンディショニングコーチとして成功するために必要なスキルセットは、臨床運動生理学の場で心臓や肺のリハビリテーションを行うために必要なものとは明らかに異なりますが、これらの領域(そしてその間のすべて)には多くの共通点があることは確かです。ここでは、フィットネスに携わるすべての人が、確かな土台を作るために知っておくべきと思うことをいくつか紹介します: 1. 解剖学、キネシオロジー、バイオメカニクス:構造が機能を決定します。良い動き(機能)を作る、維持する、あるいは再確立するためのプログラムを構成する前に、良い動き(機能)が何であるかを知る必要があるのです。 2. 生理学:クレブスサイクルを暗唱できる必要があるとは言いませんが、エネルギーシステムの発達、運動に対する内分泌反応、さまざまな疾病状態が運動に与える影響、クライアントが服用しているさまざまな薬物の役割、その他多くの生理学的考察について明確に理解している必要があります。 3. コーチング・アプローチ:率直にいきましょう:私は、まず他の複数の資格のあるコーチのもとでインターンシップを経験した人でなければ、誰かをトレーニングすることは許されないと思います。マッサージセラピストは、独立する前に何百時間(時には何千時間)もの時間をこなす必要があります。私は、悪いフィットネスの専門家は、悪いマッサージセラピストよりもずっと早く人を傷つけることができると主張します。優れたコーチは、効果的なコーチングの指示を提供するだけでなく、最も効率的な方法でそれを行う方法を理解しています。そのためには、あらゆる分野の個人を指導し、期待通りにいかなかったときに微調整していくしかないのです。 4. 対人関係:私はいつも、フィットネスのプロを目指す人たちが、一般的な運動科学のカリキュラムの中で、心理学の正式なトレーニングをほとんど受けていないことに驚いてきました。そして、正直なところ、「典型的な」大学の博士が教室で教える心理学の授業は決して軽蔑的な意味ではなく)、何十年も顧客を抱えている成功したパーソナルトレーナーや、何世代も大学のウェイトルームで繁栄してきたストレングス&コンディショニングコーチから学ぶものとは、かなり異なる可能性が高いと思います。モチベーションというのは、非常に複雑なテーマです。私のキャリアの中で何度も、クライアントが入ってきて、(下記のような言葉)でセッションを始めたことがあります:「そう、離婚するんですよ。」リバースランジとブルガリアンスプリットスクワットのどちらを選ぶかは、ちょっと二の次になルカもしれませんよね? これらが私にとって意味したこと この4つの基礎的な教育プロセスを見ると、私はこの業界に入ったとき、#1、#2ともに本当によく準備できていたと感じます。学部の学生時代の経験として肉眼的解剖学のクラスがあったことは考え方を大きく変えてくれましたし、また、キネシオロジー、バイオメカニクス、運動生理学の教授達にも恵まれ、単純な暗記を超えるような授業を受けることができました。 しかし、最初の頃、私はコーチングのアプローチに苦労しました。私は早口で、指示を数多く出しすぎてしまい、多くの選手を混乱させてしまったようです。コネティカット大学の偉大なコーチたちの仕事ぶりを見て初めて、私はもっと明瞭で簡潔であること、そしてアスリートにとって複雑なものをシンプルに見せることを学んだのです。 成長期の夏休みに8年間テニスクラブで働き、複数の年齢層の会員と常に交流していたためか、対人関係は自然に身に付いていたようです。しかし、実はこの3~4年、これが私の最大の勉強分野であり(特に今は雇用者を抱えているので)、リーダーシップ、コミュニケーション、モチベーション、および関連分野に関しては、常にオーディオブックを聞いています。 あなたにとってこれらの意味するのは フィットネスの分野では、誰もが特有な準備をしています。技術指導は上手でも、コミュニケーションは苦手な人もいます。トレーナーの中には、そのきれいな動きを支配する正確な解剖学的構造を知らなくても、動きをきれいに見せるコツを知っている人もいます。専門家の中には、根本的な生理的変化を説明できなくても、優れた結果を出している人もいます。こうした成功(結果)があるからといって、常に改善(プロセス)を求めるべきでないというのではなく、ぜひ「自己監査」をして、最大の成長分野を見極めることをお勧めします。 このような知識不足の多くは、本やDVD、オンラインのメンターシップ・プログラムなどで補うことができます。しかし、私は、4つの構成要素の情報を拾い、それらがどのように組み合わされているかを確認できる、最も速い学習方法は常に対面指導であると信じています。インターンシップやメンターシップは、リアルタイムで応用やフィードバックがあるため、この点において素晴らしいものです。セミナーも素晴らしいものです。特に、講義と実践(実習)の両方がある場合は、なおさらです。
人生を掌握する
握力はアルツハイマー病を抑えるのに役立つのでしょうか? そうかもしれません。 著書「Outlive」の中で、Dr.ピーター・アティアは、握力と認知症発症率の間に関連があることを示す研究結果について説明しています。握力が弱い人ほど、認知症になる可能性が高くなります。握力が強いからといって、必ずしも認知症にならないとは限りませんが、統計的にはそうならない確率の方が高いようです。あるいは、そうなったとしても、人生の後半になるのでしょう。Dr.アティアの本では、運動が神経や認知機能の低下に対する最善の防御策の一つであることも語られています。実は、運動はすべての生命を脅かす病気に対する最高の防御策の一つなのです。 皆さんはどうかわかりませんが、私にとっては、認知症で自分を見失うというのは、この世で最悪なことのひとつです。その人だけでなく、周りの人たちにとっても。現在、アルツハイマー病の患者数は670万人以上と推定されています。この数字は、アルツハイマー病に影響されている人の数には遥かに及びません。精神的な衰えや自分らしさの喪失は、友人や家族に多大な傷を与えるのです。愛する人が目の前でゆっくりと消えていく姿は、誰だって見たくないものです。それは、誰にとっても拷問に近いものです。 しかし、もし認知症を予防したり、遅らせたりすることができるとしたらどうでしょうか?運動は病気から身を守るのに役立ち、強い握力は神経学的退行から脳を守る可能性があるとすれば、一種の生活保険として、毎日の簡単な運動計画を立ててみてはいかがでしょうか?自分のためではないとしても、自分を愛してくれる人のために? 私は、私たちが強い握力を身につけることで、人生をよりよく把握し、生きている時間を最適化できる可能性があることは、みんなの最善の利益だと思います。握力の強さを活用し、鍛えるための日々のシンプルな運動計画は、私たちにとって、少しの時間の投資で大きな利益を得ることができる、最良の時間投資のひとつとなり得るでしょう。 その一助になればという望みを込めて、そのような運動計画がどのようなものかを提供します。何から手をつけていいかわからないなら、ここから始めればいいのです...。 これを毎日実行しましょう 舌を口蓋につけて鼻呼吸をする練習をします。肺を下から上へ満たすように試みます。これは、神経系を和らげ、さらには体内の炎症に対抗するのに役立ちます。これを5~10分ほど行います。 床に手と膝をついて前後にロッキングします。水平線に視線を向け、頭を上げておきます。これにより、前庭系が活性化され、脳の両半球が活性化されます。脳に「健康的」で安全な情報を「与える」のです。これはまた、神経系を和らげます。また、両手をついてロッキングすることで、手の感覚受容器や筋肉が刺激されます。この刺激は、実は手や肩の健康や強さに寄与しているのです。これを3~5分ほど行います。 ぶら下がる練習をします。ドア枠に安全に設置された懸垂棒は、大きな健康投資となるかもしれません。毎日のぶら下がりに、とても実用的な方法を提供してくれます。ぶら下がりにはとても多くのメリットがあります。背骨の減圧をし、肩関節の回復を助け、ぶら下がることで握力が強くなるので、脳を守る可能性もありそうです。全体重でぶら下がることができない場合は、単に足を床につけたまま、体重を一部かけて握力に挑戦してください。足をつけた状態でぶら下がることには大きなメリットがあるのです!また、足が浮いている状態でのぶら下がりにも大きなメリットがあります。できることを、そして両方やりましょう!これを1日3~5分程度行ってください。1回30秒のぶら下がりを5回くらいやってみるかもしれません。それが簡単にできるようになったら、それぞれのぶら下がりに10秒ずつ追加してください。2分までできるようになったら、それを2-3セット行うだけです。1日を通してぶら下がりを行うことも可能です。 ぶら下がれない場合はもちろん、ぶら下がれる場合でも、重いスーツケースキャリーを行います。重いウエイト(重いというのは相対的なものですよね)を手で体側に抱えて、時間や距離を歩きます。片方の手で体重の20%-30%を目安にします。30秒から1分ほど歩いたら、手を入れ替えます。これを総歩行時間10分程度行います。歩きながら、舌を口蓋につけて鼻呼吸をする練習をします。これは呼吸を良くすることを助けるのみでなく、握力を増幅させます。スーツケースキャリーは体幹も素晴らしい強さを構築し、握力は体幹の強さにつながるものです。 これは、20分から30分程度でできる超簡単な日々のルーティンです。好きなものを加えたり、取り除いたりすることができます。大切なのは、日々の積み重ねの部分です。毎日実行することで、自分の脳と身体に「お願い」をするのです。この「お願い」は、神経経路の強さと身体組織の強さの適応で応えられます。基本的には身体を使うわけですが、身体を使えば、身体を使うことを怠った場合よりも長く身体を維持することができるようになるのです。 老後も脳を健康に保つことを助けるために、さらに身体を動かしたいのであれば、毎日早足で散歩をしましょう。できれば、毎食後に1回行ってください。8,000-10,000歩を目安に頑張ってください。そして、舌を口蓋につけて鼻呼吸の練習をしたり、股関節の動きに合わせて肩を揺らしたりしましょう。歩くときは四肢を使います!これは本当に脳全体を活性化させ、健康維持に役立ちます。 あまりに単純に思えるかもしれませんが、これが出発点なのです。もしそうしたければもっと動いて良いのですが、毎日これだけやっていれば、気分が最高に良くなるだけでなく、身体的にも精神的にも、そして感情的にも、内側も外側も健康になるでしょう。そして、あなたの大切な人やあなたを必要とする人たちのために、あなたが心身ともに健全な状態で、人生の後半に立ち会うことができる可能性は十分にあるのです。このような理由から、また、その希望のためだけでも、毎日の運動計画を持つことには間違いなく価値があります。毎日、自身の握力を動かし、使い、挑戦します。長い人生の中で、これほど大切なことはそれほど多くはないかもしれません。
痛みからパフォーマンスへ
(フィットネストレーニングへの回帰のためのフィットネスコーチのガイド) イントロ クライアントやアスリートが怪我をしたとき、あるいは怪我をしてやってきたときの手順を決めていますか?あなたはパーソナルトレーナーとして、目標に向けたトレーニングに影響を与えないようにと、単に痛いことを避けていませんか? フィットネスコーチとして、それが、たとえ他の適切な専門家に紹介することだとしても、人々の問題の解決策を見つけることが私たちの責任です。もしあなたが、痛みを抱えたクライアントに対する手順を持っていないのであれば、このガイドを読めば必ず始められるでしょう。このような手順が整っていることは、絶対に譲れないことです。 私たちはヘルス&フィットネス業界にいることを忘れないでください...フィットネスの前に健康があります。 タイムライン まず最初に見る必要があるのは、その人が痛みからパフォーマンスへのタイムラインのどの位置にいるかということです。以下のアウトラインは、ある人が経験するであろう様々な段階を示す基本的な観点です。彼らが、このタイムラインのどこに位置するかで、どの程度リスクが高いか、どの健康専門職との連携が必要なのか、ワークアウトトレーニングの焦点は何かが決まります。 怪我をして障害がある:エクササイズや日常業務が実行できない。 炎症性または神経性の痛み:関節や筋肉の痛みが出たり消えたりするので、定期的にジムを休んでいる。 大したことはないがなかなか治らない痛み:関節や筋肉の痛みに悩まされ、ジムに通うのをためらうけれど通うことはできる。 機能不全の動作パターン:痛みはないが、すぐに怪我につながりそうな動きをしている。 パフォーマンスを上げるためのトレーニング:怪我もなく、機能不全の動きも最小限。パフォーマンスのためのトレーニングができる。 最悪のケースから始めると、怪我による障害で、痛みの解決策が見つけられておらず、ジムを休んだり、生活に影響を与えたりしている人です。日常生活での作業が苦痛であったり、完全に不可能であったりします。これはフィットネスコーチとしての業務範囲を大きく逸脱しているため、適切な専門家を紹介する必要があります。 タイムラインの次は、神経痛や炎症性の痛みを感じているものです。このタイプの痛みは、肉体労働から完全な休養まで、常にその間を行ったり来たりします。これもまだフィットネス業界の業務範囲外ですが、あなた自身の専門分野によっては、連携する健康専門職と連携して、ジムへの復帰の道筋を計画するようになるかもしれません。 炎症がひどくなったり、神経が痛んだりする前に、クライアントは、大したことはないが気になる痛み、ちょっとした挟まる感覚、硬さ、ちょっとした挟まるような感じ、詰まるような感じを経験するかもしれません。痛みはフラストレーションを引き起こしますが、必ずしも一日のうちで時間を作って直すほどの痛みとは限りません。これは通常、抗炎症剤の服用、ジムの小休止、特定の動作の回避、マッサージセラピーのセッションなどで対処されます。フィットネス業界では最も多く見られる段階です。 何らかの不快な痛みが実際に発生する前に、動作に機能不全があることに気づくかもしれません。これらの動作機能不全は、痛くはないのですが、テクニックが悪いように見えます。 これらは、エクササイズを難しくし、関節に過度の負担をかけ、クライアントのフィットネスゴールを達成することを難しくしてしまいます。 最後に、痛みがなく、動作パターンが技術的な規範の範囲内にある場合、ワークアウトはパフォーマンスまたは結果に焦点を当てたものになります。これは、ほとんどの人がそうなりたいけれど、まだなっていないところです。 専門職 この10年間、フィットネス業界を観察していると、重要なステップを飛ばし、人々がジムに通い始める時の状態がどうなのかをほとんど無視しているように思います。フィットネス業界の業務範囲では、私たちは「健康な対象者を想定して」指導しているとされていますが、これは、より低い基準のエントリーレベルの資格を認め、あらゆるリスク(どんなに予測可能で予防可能でも)をクライアントやアスリートに押し付けるものです。 より良いサービスを提供するために、フィットネスに向かう各段階において、どのような健康専門職と協力すべきかを考えてみましょう。 怪我をして障害がある:外科医、理学療法士 炎症性または神経性の痛み:外科医、理学療法士、運動生理学者 大したことはないがなかなか治らない痛み:理学療法士、運動生理学者、スペシャリストストレングスコーチ、マッサージセラピスト 機能不全の動作パターン:運動生理学者、運動科学者、スペシャリストストレングスコーチ、マッサージセラピスト パフォーマンスを上げるためのトレーニング:スペシャリストストレングスコーチ、一般ジム/フィットネスコーチ 怪我をして身体が不自由な場合は、外科医や理学療法士が主にその人の治療にあたります。より高いレベルの力を発揮する前に、通常の日常生活に戻れるようにする必要があるのです。 炎症性疼痛や神経痛のある方は(診断によっては)外科医、理学療法士、あるいは運動科学者や生理学者と連携することになります。 クライアントが関節の大したことはないけれどなかなか治らない痛みや軟部組織の損傷を解決する場合、その問題はほとんどの場合、ジムで修復されるか、クリニックとジムの組み合わせで修復されるでしょう。この段階では、理学療法士やマッサージセラピスト、リハビリ専門のストレングスコーチや動作回復コーチなどの専門家の協力が必要になることがほとんどでしょう。 もし誰かが、怪我のリスクが高いことを示す機能不全の動作パターンを提示した場合、大したことはないけれどなかなか治らない痛みの提示との主な違いは、痛みそのものでしょう。このクライアントに携わる専門家は、ほとんどがスペシャリストストレングスコーチ、運動科学者、マッサージセラピスト(臨床的介入はほとんどない)でしょう。 クライアントが痛みや機能不全の動きを見せなければ、かなり自由に誰とでも仕事ができますし、一般のジム/フィットネスコーチにもより向いています。 トレーニングの焦点 これらの段階には、ジムやクリニックでトレーニングする際の特定のフォーカス、または意図があります。 ステップを飛ばしたり、急いだりすると、クライアントがタイムライン上で間違った方向に進んでしまう可能性があります。 怪我をして障害がある:非常に専門的なリハビリを行い、軽負荷から無負荷、回復に重点を置いている。 炎症性または神経性の痛み:非常に専門的なリハビリ、40%未満の負荷、広範囲なウォームアップ、ワークアウトはウォームアップの小さな延長に過ぎない。 大したことはないがなかなか治らない痛み:コレクティブエクササイズに特化したワークアウトにマッチした特別なウォームアップを行う。負荷と強度は痛みによって決定される。 機能不全の動作パターン:コレクティブエクササイズに特化したワークアウトにマッチした特別なウォームアップを行う。負荷と強度は、正しい技術によって決定される。 パフォーマンスを上げるためのトレーニング:一般的な、非特異的なウォームアップ。ゴールやパフォーマンス重視のワークアウト。回復に大きく注目する。 怪我で休んでいるときは、トレーニングの焦点はあくまでリハビリ、低負荷、低強度で、痛みなく、最小限の代償で日常生活動作に戻ることを目指します。 炎症性疼痛や神経痛は、上記と同様に低負荷・低強度です。ワークアウトは、ジムスタイルの設定の場合、非常に広範なリハビリのウォームアップからのちょっとした延長線上にあるものになります。 大したことはないけれどなかなか治らない痛みを抱えるクライアントには、コレクティブの強化やモビリティワークアウトに完璧に合致する、長くよく考えられたコレクティブ重視のウォームアップを行います。処方されるすべての運動には、痛みを回復させ、より強い運動パターンを回復させる意図があります。 痛みがなくても、明らかな動きの偏位がある場合、従来のワークアウトを思わせるようなワークアウトになるでしょう。 しかし、ウォームアップもワークアウトも、パフォーマンスの結果を追求するよりも、より強い動作パターンを回復させることに重きを置いています。フィットネスへと進むこの段階では、どの動作がコレクティブエクササイズを必要とし、どの動作がパフォーマンスのために駆動できるかを分けることができます。例えば、肩のパターンが悪く、注意が必要な人がいれば、パフォーマンスの成果のために下半身のエクササイズを処方することができるのです。 しかし、パフォーマンスのためのトレーニングは誰もが望むところであり、すべての痛みのポイントがクリアになり、動作パターンが技術的な規範に近づけば、このスタイルのトレーニングが可能になります。ウォームアップは、パフォーマンスや目標の成果に向けて駆動するワークアウトで、非常に基本的でダイナミックな印象です。ここから怪我をしないためには、回復の方法、適切な運動処方、健康的な食事と生活習慣が重要です。 結論 フィットネス業界は今、大きな転換期を迎えようとしています。私たちの消費者は、想像を絶する激しいトレーニングで最高のパフォーマンスを発揮したいと望んでいますが、販売されているフィットネスシステムが持続可能でないことに気づいています。フィットネス業界はこれまで、「痛みは身体から外に出ていく弱点」という考え方で、「壊れるまで鍛える」という文化を育んできました。 その結果、ジム通いの人たちは、実際に怪我をしてジムの会員権を解約して理学療法士や外科医に診てもらうまで、痛みを無視するようになりました。 人間の動きのパターンの変化を評価するシステムを導入することで、その変化を早期に察知することができ、「リハビリ」のように見えることなく、プログラムを「コレクティブに」変化させることができるのです。人々が壊れてしまうまで壊れているように感じさせるのではなく、これがベターな選択だと思います。「大したことはないけれどなかなか治らない痛み」や「機能不全の動き」の段階を飛ばしたり無視したりせず、評価プロトコルと、クライアントの現在の状態に合わせてフィットネスプログラムを適応させるシステムを持ってください。そうすれば、一生涯の顧客と、他の誰も受け取らないような証言を得ることができると約束します。
コンディショニングでミトコンドリアの魔法を解き明かし、代謝を最適化する方法 パート1/2
正直なところ、大学時代は生物学、生理学、有機化学の授業をこなすだけで精一杯でした。 テストに合格できるように、情報を暗記したのです。そして仕事に戻って、筋力トレーニングや身体組成の改善に関するあらゆることを学びました。 クレブスサイクルのようなものと、トレーニングの方法との間に、何の関連性も見いだせませんでした。 もしタイムマシンで当時の自分に話しかけられるとしたら、バカだなぁと自分に言い聞かせていることでしょう。 健康やフィットネスに関する本当の答えは、筋肉雑誌の記事や、トレーニングに関するほとんどの本にさえも載っていないということを理解するのに、何年もかかりました。 それらではなく、答えは私が当時ほとんど無視していた細胞生物学や生化学の教科書のページの奥深くに見つけられるものなのです。 なぜなら、DNAが環境(トレーニングも含む)とどのように相互作用して、私達の健康やパフォーマンスへと駆させるのか、あるいは遠ざけているのかを本当に理解することで、身体の真の可能性を引き出すことができるからです。 私は、大学の教科書でほとんど読み飛ばした科学と、世界のトップアスリートたちが人生で最高のシェイプになるのを手助けした方法、ひいてはそれがあなたの健康とフィットネスにとってどういう意味を持つのか、それらの点を結びつけることに全力を尽くすつもりです。 私達の知る生命の起源が、トレーニングのあり方にいかにつながっているのか 15億~20億年前のどこかで、酸素を使ってエネルギーを生み出すことができる古代のバクテリアの一種が、そうでない原始的な単細胞に飲み込まれました。細胞によって消化されるのではなく、細菌が常駐するようになり、私達が知っているような生命が可能になったのです。 そして、この細菌は時を経て、現在ミトコンドリアとして知られるものへと進化していきました。現在、あなたの身体には約1,000万億個のミトコンドリアが充満しています。合わせると体重の10%程度を占めています。 ほとんどの細胞には数百から数千個のミトコンドリアがあり、最も多いのは心臓の細胞で、1細胞あたりおよそ5,000個のミトコンドリアを持っています。 さらに興味深いのは、ミトコンドリアはもともと独立した細菌であったため、細胞核とは別に独自のDNAを持っていることです。 ミトコンドリアは生命維持に欠かせない存在であり、多くの人が知っているよりもさらに多くの理由があります。ミトコンドリアは、健康からパフォーマンスまで、あらゆる面で最も重要なカギを握っています。 それは、多くの人がミトコンドリアを単に「細胞の発電所」と考えているにもかかわらず、真実はもっと興味深いものだからです。 確かに、あなたが生み出すエネルギーの大部分はミトコンドリアで生成されますが、ミトコンドリアはそれ以上の働きをしています。 ミトコンドリアは、ATP(身体のエネルギー通貨)を生産する主要な場所であるだけでなく、以下を含む、全身の様々な重要な機能を担っています: テストステロンやエストロゲンなどのステロイドホルモンの合成 コルチゾールのようなグルココルチコイドの合成 細胞核と直接通信して遺伝子発現を制御 炎症プロセスおよび免疫機能の制御 カルシウムシグナリングと筋収縮の制御 フリーラジカルの生成 長寿に関連するサーチュイン酵素の活性化 細胞の成長・増殖 細胞死(アプトポス) 熱生産 なぜ、細胞の一つの構成要素が、代謝や生命維持に不可欠な多くの機能を駆動しているのでしょうか? 一言で言えば、「効率」です。 エネルギーの生産と、エネルギーの使われ方(エネルギー消費)の調節を、細胞の同じ構成要素の中で結びつけることは、非常に効率的です。 それが、ミトコンドリアを代謝のパフォーマンス、健康、長寿の重要な一部とします。 ミトコンドリアは、単なる無心なエネルギー生産工場ではありません。 そうではなく、常に細胞核に指示を出し、調整し、協力して、入ってくるすべての情報を統合し、身体全体でエネルギーを消費する方法を調節しているのです。 これが、ミトコンドリアをストレス反応管理の中心的な存在とし、遺伝子が環境と相互作用し、自分という人間を形成する方法を管理するものとします。 このプロセス全体と、その役割を果たす様々な遺伝的経路は、ある特定のタスクを達成するための終わりなき努力の一部です:環境におけるストレスに常に適合することで生命を維持するというタスクを。 この適合は、様々な形で行われます。 身体にかかるストレスの種類と時間によって、これらの適合は、筋力、免疫力、認知力などの重要な機能を駆動する、より効率的で高エネルギーな代謝につながる非常にポジティブな変化まで様々なものがあります。 あるいは、身体が耐えられる限界を超えた慢性的なストレスに直面すると、逆の方向に進んでしまうこともありえます。 ストレスが大きすぎると、時間の経過とともに、代謝やミトコンドリアの機能不全、筋力や筋肉の低下、炎症の増加、様々な一般的疾患のリスク増加などの問題が発生します。 だからこそ、超強力なミトコンドリア・マシンを作ることが、心身のあらゆるパフォーマンスを向上させるだけでなく、人生のストレスから身を守る唯一最善の方法となるのです。 といったところで、そのマシンを確実に作る方法についてお話しましょう。 ミトコンドリアの量と質を高めるために、メタボリックトレーニングが重要な理由 過去20年以上にわたり、研究とフィットネスにおける私自身の個人的な経験の両方において、メタボリックコンディショニングが、より長く健康的な生活とより良いパフォーマンスを推進するためのミトコンドリアマシンを構築するための、唯一で最も強力かつ重要なツールであることを一貫して示しています。 なぜなら、このようなトレーニングは、細胞が運動するために必要なエネルギー量を劇的に増加させるため、細胞に高い代謝ストレスを与えるからです。 次に、このストレスは、代謝効率とエネルギー生産能力を向上させる遺伝子発現の変化をもたらすシグナル伝達経路を誘発します。 驚くなかれ、ミトコンドリアはこのような変化の中核を様々な方法で担っているのです。 メタボリックトレーニングは、細胞内のミトコンドリアの数を増やすことは多くの人が知っていますが、その質も高めるということはあまり知られていません。 これは、ミトコンドリア品質管理(MQC)と総称される、以下のような複雑なプロセスによって起こります: ミトコンドリアの融合が進み、筋繊維にまたがる細長いミトコンドリアの広大なネットワークが形成される(下図参照) ATPの大部分が作られる電子伝達系(ETC)の効率を向上させる遺伝子を制御するサーチュイン酵素の活性化 機能低下したミトコンドリアのマイトファジー(分解・リサイクル)の増加 画像の出典はこちら:Rafael A. Casuso, Jesús R. Huertas, The emerging role of skeletal muscle mitochondrial dynamics in exercise and ageing, Ageing Research Reviews, Volume 58, 2020, 101025, ISSN 1568-1637 これらの変化は、ミトコンドリアのマシンをより良く、より高性能にするものです。同じエネルギーを作るのに、より少ない酸素で済むようにします。 これはまた、必要なときにエネルギー生産をさらに高いレベルに引き上げる能力を持っていることを意味します。この能力は代謝予備と考えることができ、フィットネスの目標が何であれ、非常に価値のあるものです。 またさらに、より良いインスリン感受性、脂肪酸化の促進、炎症レベルの低下、DNA損傷(核とミトコンドリアの両方)の減少など、長寿やパフォーマンス向上のためのさまざまな利点が得られます。 しかし、ここで重要なのは、これらの非常に重要な変化は、代謝性ストレスの量を適切に設定することによってのみ起こるということです。 スーパーミトコンドリアを作るのに威力を発揮する代謝ストレスも、やり方を間違えると逆にミトコンドリア機能不全を引き起こすことがあります。 最近の論文では、高強度のメタボリックトレーニングを、身体が回復できる量以上に行った場合に、どのようなことが起こるかを調べています。 研究の最初の3週間、研究者達は高強度トレーニングの量を増やし、同時にミトコンドリアと代謝機能全般に関するさまざまなマーカーを測定しました。 4週目には、回復のためにボリュームを大幅に減らしました。 この図からも明らかなように、高強度のメタボリックトレーニングが多ければ多いほど良いというわけでは決してありません。身体が必要とする量には上限があり、それを超えるとミトコンドリアや代謝全体に影響が出ます。 そのため、ミトコンドリアと代謝性能を高めるためには、全体的に適切な量の代謝トレーニング、すなわちボリュームと強度の配分を得ることが絶対に重要なのです。
腰痛を助けることができるエクササイズ
慢性的な腰痛に悩む人や脊柱側弯症のある人の助けともなり得るDVRTのエクササイズを理学療法士のジェシカ・ベントがご紹介します。左右差のある側弯症の人の場合左右対称のエクササイズを選択するよりもこれxらのオプションを提供することはより安全で効果的ですね。
コンディショニングでミトコンドリアの魔法を解き明かし、代謝を最適化する方法 パート2/2
ゾーンベースの心拍トレーニングの価値 量、強度、回復のバランスを取る最も簡単な方法は、すべてのメタボリックトレーニング中に心拍計を使用することです。 心拍数ゾーンは、1980年代前半から定常状態の代謝トレーニングの指針として用いられてきました。特に持久力の世界では、その傾向が顕著です。 ここ2、3年、「ゾーン2トレーニング」についての議論が活発になっています:これは過去15年近くに渡り私が広範囲に著述している重要なトピックです。 これは良いニュースです、メタボリックトレーニングは、単に高強度のインターバルを何度も繰り返すだけではありませんから。 しかし、遺伝や代謝、体力のレベルに応じて「ゾーン2」が異なることは一般的に理解されていますが、それが高強度トレーニングのやり方に反映されていないのが現状なのです。 定常状態トレーニングに限らず、あらゆるタイプのトレーニングは、自分自身の遺伝、代謝、フィットネスレベル、回復力に合わせて構築する必要があるために、これは問題になります。 それが、私がゾーンベースド・インターバル・トレーニング(ZBIT)という枠組みを作った最大の理由なのです。このモデルは、様々な強度のメタボリック・トレーニングを適切に行うために、より効果的で、より個別化されたアプローチを提供するために設計しました。 スタートポイントとして、低強度から最大心拍数まで、12種類のZBITメソッドを作成しました。 ゾーンベースド・インターバル・トレーニング(ZBIT)メソッド 3つの心拍数ゾーンは、私のモーフィアス・トレーニング・システム(詳しくはこちらをご覧ください)に基づくものです。 なぜ、高強度のみでなく、それ以上のものが必要なのでしょうか? 先ほど引用した研究とは別に、すべての心拍数ゾーンで幅広い強度と量を取り入れることが重要である理由はたくさんあります。効率的な代謝エンジンを構築し、パフォーマンスと長寿の両方を推進するためには、すべての細胞や組織の中にあるミトコンドリアを開発する必要がある、というのが最大のポイントの一つです。 低強度では、主に遅筋繊維と支持組織のミトコンドリアをターゲットにしています。強度を上げ、より多くの筋繊維を動員するようになると、より多くのミトコンドリアが適合し改善するために必要な代謝ストレスを受けることになります。 また、トレーニング中に直接働く筋肉以外にも、脳や心臓、肺などにあるミトコンドリアも、メタボリックトレーニング中はしっかり働いています。また、これらは容量も異なり、細胞の種類に特化して作られているため、様々な量や強度に反応します。 メタボリックトレーニングがパワフルなのは、筋肉だけでなく、全身の様々な細胞にポジティブな影響を与える可能性があるからだと考えることには価値があるでしょう。 メタボリックトレーニングや一般的な運動が、認知機能、健康な免疫システム、病気の予防、健康寿命の延長などと密接に関係しているのは、このような理由からなのです。 メタボリックトレーニングの量と強度がどれくらい必要かは、膨大な数の変数に依存しますが、それでも一般的なガイドラインを示すことができます。 数千人のモーフィアスユーザーの50万回以上のワークアウトとデータポイントを分析した結果、フィットネスレベルが異なる複数のセグメントの人々に共通する点があることがわかりました。 12週間にわたり心拍変動が増加し、安静時心拍数が減少した人は、代謝エンジンが改善したことを示すポジティブな兆候であり、一貫して以下の範囲のどこかに収まっていました: ブルーゾーン:200~300分/週 グリーンゾーン:40~50分/週 レッドゾーン:11~14分/週 もう1つ、私たちのデータが示した非常に重要な教訓は、12週間の間に測定値が悪化した人は、改善した人よりも高い強度で過ごす時間が長かったということです。 例えば、改善が見られたフィットネスレベルが中程度の人は、レッドゾーンで過ごす時間が週15分弱でした。一方、数字が下がった人は、同じゾーンに20分近くも滞在していました。 さらに、もともと最も高レベルの体力の人は、最も少ない時間(1週間あたり11分強)を最も高い強度で使っていたのです。 先ほどの論文や、20年以上にわたる私のコーチとしての知見を総合すると、高強度に関しては、多くを達成するために必要なのはほんの少しであり、多ければ良いというわけではない、というシンプルな真実が浮かび上がってきます。 ピースを組み合わせる:ミトコンドリアがあなたを助ける方法 ここまでのところで、もしあなたがまだ何らかの形でメタボリック・コンディショニングを一貫して行っていないのであれば、行うべきだということを納得していただけたと思います。 パフォーマンス、健康、長寿を大切に考えるなら、メタボリックコンディショニングは、単に筋力トレーニングの最後に加えるだけのものではありません。 たとえあなたのゴールが、単に筋力やパワーをつけることが目的であったとしても、そのためにはミトコンドリアが駆動する効率的でハイパワーな代謝エンジンが必要なのは明らかでしょう。 生命の根幹にあるのは、環境に適合する能力であり、それはミトコンドリアの魔法とその働きから始まります。 適合力が低下し始めると、すべてが衰え始め、老化現象が貨物列車のように加速していきます。多くの点で、老化とは、順応性が徐々に失われ、私たちの細胞の完全性が失われ、真に生きる能力が失われることにほかならないのです。 加齢とともに筋肉量や筋力が低下するのは、単にウエイトルームにいる時間が短かったからではなく、代謝能力が低下すると、筋肉量を支える能力も失われるからだという研究結果もあります。 筋肉は維持するために代謝的費用の高い組織であるため、代謝機能が低下すると、私たちの身体はそれを補うために筋肉量と筋力を落とし始めるというのは理にかなっています。 これはストレングストレーニングが重要でないということを意味するのではなく、間違いなく重要なものではあるのですが、生物学の全体像と水面下で起こっていることを理解することは、正しいトレーニングやライフスタイルを決定する上で非常に重要な鍵なのです。 世の中の研究やアドバイスの多くは、パズルのごく小さな1つのピースしか見ていないのですが、私達はすべてのピースがどのように組み合わされているのかを知る必要があります。 それが私がスタートし始めた理由なのです。 今後もご期待ください...
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