一般のクライアントたちに対し、シンプルで効果的なコンディショニングプログラムを作成する方法 パート1/3

史上最高の名レスリングコーチの一人であるカール・ゴッチは、かつて「コンディショニングは君のホールドだ」と言ったことがあります。これは、良いコンディショニングは相手に対して強力な武器になる、という意味です。 しかし、もしあなたが対戦相手に向けてトレーニングをしていなかったらどうでしょうか?もしあなたが、ただビーチで見た目がよくなりたい、または病気や障害なく長生きをしたいだけだったら? それでもあなたはコンディショニング(俗にいう『カーディオ』)が必要でしょうか?もしそうであるなら、できるだけ最善の結果を得るためにとる最善の方法はなんでしょうか? それがまさに、この一般の方々のための究極のコンディショニングガイドで私たちがお話することです。 『カーディオ』から更に先に進む時が来た:なぜ非アスリートにコンディショニングが重要なのか 大事なことをまず第一に:コンディショニングはアスレティックパフォーマンスだけなくそれ以上のものです。たとえば、コンディショニングはあなたやあなたのクライアントを助けることができます: 炎症を低減する。高いレベルのコンディショニングは、身体の持つ最高の抗炎症経路の一つである迷走神経の機能向上を促進させることで、炎症を抑えます。 長生きする。最高のコンディショニングである長距離選手たちは、運動をしていない人たちに比べて最長7年も長生きすることが示されています。 体脂肪を燃やす。コンディショニングは脂肪の燃焼炉であるミトコンドリアの数とその質を向上させ、体組成の改善を支えます。 病気のリスクを下げる。数多くの研究によって、有酸素能力と最大酸素摂取量は、心肺系疾患や脳梗塞、そして他のよく見られる致死性の高い病気のリスクを減少させることが示されています。 記憶力の向上。コンディショニングは認知力を向上させ、記憶力の低下を防ぎ、意思決定に関連する脳の領域における機能のサポートの手助けをすることができます。 唯一の問題は、多くの人々(多くのフィットネス専門家を含む)が適切にコンディショニングをトレーニングしていないということです。彼らは終わりのない高強度のインターバルをするか、もしくはまったく何も行わないかのどちらかです。 しかしながら、心肺系疾患や脳梗塞、その他の病気の上昇を考えるとき、コンディショニングはまさしく生か死かの問題となりうるのです。特に、フルタイムの仕事をもって働き、ストレスに溢れ混沌とした生活を送っている一般のクライアントを指導する時に。 私はすべてのフィットネス専門家が、どのように基本的なコンディショニングプログラムを作成し指導するかを理解すべきだと信じています。私が、一般のクライアントに対して用いる最も効果的なストラテジーだと見つけたものをシェアしたい理由はこのためなのです。 ステップ1:コンディショニングのベースラインを確立する。 一般のクライアント、アスリート、また他のどのような人に対しても、すべてのコンディショニングプログラムを始める最初のスタートは、コンディショニングのベースラインを確立することです。これはしばしば見過ごされる非常に重要なステップですが、このベースラインなしでは、コンディショニングが改善したかどうかを知る真の方法はありません。つまり、クライアントは恐らく進歩がまったくないように感じてしまうために、彼らにとってフラストレーションがたまりやすくなってしまうということです。 コンディショニングをテストし計測するいくつかの異なる方法は存在しますが、一般のクライアントに対しての鍵は、ものごとをシンプルに保つということです。 過度に複雑な、難しい、あるいは時間のかかるテストは、ほぼ不必要であり、シンプルな解答より更に意義深い情報を与えてくれるわきでもありません。 1. 安静時心拍数と(もしくは)バイオフォースHRVスコアを計測する:安静時心拍数と心拍変動は、一般的なコンディショニングの最良の生物測定指標であり、最大酸素摂取量やその他の有酸素的フィットネスの計測値と非常に良く相関します。さらにいいことに、それらの計測は非常に素早く簡単です。時間の経過とともに、安静時心拍数やHRVの傾向は、コンディショニングが向上していることを示す強力な指標です。もし心拍変動になじみがなければ、ここをクリックするとより多くの情報が得られます。 2. 12分間運動能力テストを行う:12分間中に行える最大の運動量は、単に全体のコンディショニングレベルの優れたパフォーマンス指標であるだけでなく、この後詳しく触れますが、目標心拍数範囲を決めるのに非常に役に立ちます。テストを正しく行うための二つの鍵は、適切なエクササイズを選択することと、始める際に正しい説明を与えることです。 フィットネスレベルの低い人たちには、バイク、エリプティカル、またはほかの低強度の運動を選択すべきです。フィットネスレベルが平均またはそれよりも高いレベルの人たちには、ランニングが一般的に選択されます。いったんエクササイズを選択したら、クライアントには、運動している間正しいフォームとテクニックを維持できる中で、できる限り最大ペースで臨むように伝えるべきです。テクニックを維持することは、コンディショニングの非常に重要な要素なので、テストはクライアントがこの環境の中でどれくらいの運動を行うことができるのかを反映すべきです。 3. 平均心拍数と60秒間後の心拍数回復を記録する:12分間テスト中に心拍数の二つの計測値を見ることは、多くの貴重な識見を提供することができます。まず、12分間を通しての平均心拍数は、クライアントの無酸素性作業閾値のおおよその値を与えることができます。その値は正確なものではありませんが、そもそも閾値という単語自体、少々紛らわしいのです。本当は、閾値は常に一つの数字というよりも範囲なのです。テスト中のクライアントの平均心拍数は、この範囲の傾向に関する一般的なアイデアを与えてくれるでしょう。 テストが終わった直後、クライアントを座らせて、60秒の間に心拍数がどれだけ低下するか、60秒間の心拍数回復を記録します。これはクライアントの全体的なコンディショニングレベルの効果的な計測であり、包括的な健康とウェルネスに非常に重要となる副交感神経機能のレベルと関わっています。

ジョール・ジェイミソン 2695字

動作に基づいたアプローチを用いる際に、私が犯した10個の間違い

1. 動く方法が一つしかないと考えること。 以前に私は、‘正しい’運動に関して魔法のような青写真を持っていましたが、事例に基づいた運動のデータに着目すればするほど、(今では退屈な趣味の一つですが)私達すべてが異なる動き方をするということを認識するようになりました。 運動に関する研究はしばしば、異なる対象者から得たデータや同じ対象者から得た同じ運動の多重反復を平均化してしまいます。これは、個体それぞれが一般的に非常に異なる運動をするということを隠し、特に周期運動中に、同一個体がある運動を反復する度に、異なる運動をするということをも隠してしまいます。Bernsteinは、これを“反復なき反復”として雄弁に述べています。 ほとんど実証されていないデータによる‘正しい’運動の理論的モデルは数多くありますが、それらはすべて正しいのでしょうか?何が‘正しい’のかに関する数多くの異なるモデルがあるということは、唯一の正しい方法など無いということを本質的に示しているのかもしれません。 異なる生体構造と異なる運動経験を持っているにもかかわらず、なぜ私達全てが同じ動きをすべきなのでしょうか?私の考えでは、私達がそうすべきで、そうするであろうと期待することは狂気の沙汰だと思います。 2. その一つの動く方法を定義してしまっている。 もしあなたが、誰かが十分な論理的根拠なしに‘最適’、‘標準的’、もしくは‘効率的’な運動を提案することに対してうれしく思うのであれば、もちろん、それはご自由に。かつて、それは私にとってうれしい事でしたが、今はそれほどではなく、これは信頼できる確かなデータという観点から、何を必要とするかによって決まるのかもしれません。 ソーシャルメディアで読んだ私の最近のお気に入りの一つは、“90%の人達は、Xを間違った方法で行っている”です(罪のある人を保護するために、そこに掲載されている内容は省略します)。もしこれが真実であったならば、その実験は恐らく間違っていたでしょう。ほとんどの人達がXをある特定の方法で行ったのであれば、恐らく、それはただ正常であるということです! 現代的な運動データや着想に基づいた運動理論は、厳しい基準に基づいたモデルというよりもむしろ、かなりの正常変動において‘最適’と考えられるものに関して、幅広いパラメーターを定義する傾向があります。 動作はしばしば、疲労時や痛みを伴う際に変化し、‘最適’を定義することをさらに困難にします。 3. 最適な’運動からの逸脱が痛みを引き起こすと考えること。 これも、しばしばうたわれているのを目にしますが、それを支持するデータはほとんどありません。‘’は、‘’を損傷することからの典型的な例です。これを示唆するデータがありますか?損傷が起きていることを示唆する炎症マーカーのような兆候はありますか?私は、特定の定義された‘マイクロムーブメント’は‘マイクロトラウマ’の尺度に関連していることを強調しているいかなる証拠をも進んで取り入れます。 もし私達が、身体が適合できるマクロムーブメントを持っているならば、なぜマイクロムーブメントがそんなに問題なのでしょうか? また、あなたはいったいどうやってそれを知るというのですか?私達はしばしば、人々の運動を痛みが発生した後にだけみる為、痛みが発生する前にどんな運動なのかはわからないのです。 4. 痛みは単一の運動障害に起因する。 可能性としては、そうではありません。私達は、想像できる最善の方法で動くことができるかもしれませんが、やりすぎるかもしれませんし、早過ぎるかもしれません。身体に加えられた外部負荷や速度は、‘誤った’運動から発生する内部負荷よりも一層重要かもしれません。それと同時に、その反対も当てはまるかもしれません。 痛みは多因子的なため、運動の‘問題’が人の痛みの唯一の原因であるというアイデアを否定しなければならないのです。 5. 望ましい結果を‘正しい’動き方を実現することで手に入れること。 あなたがこれまでにクライアントに対してしてきたことの詳細とは無関係で、気分が良くなるかもしれない多くの理由があります。 彼等はあなたのことを信頼しているから。 彼等はあなたのことが気に入っているから。 彼等はあなたに話を聞いてもらっていると感じているから。 彼等は関連のある手助けを得ているから。 彼等は単に動くようになったから。 彼等は耐えられる範囲で動いているから。 彼等は今までにない新しい入力を得ているから。 時間を費やしてきたから。 実際、それが何であれ、入力を変化させれば、痛みの出力に影響を及ぼすかもしれません。期待と状況もまた、人の経験を大きく変化させるかもしれません。 6. 体内で起こっていることを知っていると考えること。 ある人達は‘正しい’筋肉の発火パターンを得ること、またある人達は正しい関節運動学と姿勢を、私は正しい生体力学的反応を。もし誰かが向上したとすれば、それは私がそれらを変えたからです! 実際には、実験室設備無しに体内で何が起こっているのかを知る方法は無く、99%の人達は彼らの日常の労働環境の中で、実験室設備へのアクセスがありません。そのようなことを定義しようと試みることは、捉えどころのないことだと証明されていて、また、研究の際に、変化はしばしば望ましい結果とは関係がありません。 7. 動くことを理解しないことは、その動きよりもより重要かもしれない。 私達は本当に、人々の気分が良くなることが、彼等の運動の変化における実際の変化に起因すると考えることができるでしょうか?全員が変化の前と後での違いを計測しているでしょうか?私達の計測は本当に信頼性があるでしょうか?それが問題なのでしょうか? これは、少し‘強化’に似ています。私達はしばしば、人々が以前にどのくらい強かったか、いかなる治療効果が筋力における実際の変化に起因しているのかを知りません。それはただ、痛みが弱まるにつれて、人々は強さと動きを取り戻すだけなのかもしれません。 人々を動かせることは、実際に恒久的に運動出力を以前の疼痛レベルから変化させるというよりもむしろ、動くことにより脳に入力を提供し、抑制を減少させる、あるいは局部的な生理学的効果を作り出すということかもしれません。私達はただ知らないだけなのです。 そして、筋力や柔軟性の向上などを目的としたエクササイズとは無関係なエクササイズを用いることで腰痛が軽減したことを示唆する証拠があります。 8. 運動の問題を発見する必要性。 私は、問題を見つけられないと、俳優のStan Laurelのように、よく自分の頭を掻いていました。そして今、私は、特に誰かの運動がかなり良い場合に、運動‘テスト’が、プラス面を強調したり、以前の考えを打破するために使用されることもできると認識しています。 もし私の運動に‘欠陥’があり、更なる損害と痛みを引き起こすかもしれないと考えるならば、私はただ動かなくなるでしょうし、特に英知を理解していると思われる人がそう言うのであれば尚更です。これは、私の運動に対する許容範囲のレベルが落ちて、私自身が体調不良で傷つきやすくなるということを意味しているのかもしれません。Louis Giffordが私達に思い出させてくれるように、安心させることは強力な鎮痛剤であり、うまくいけば活動誘導剤にもなるのです。 “あなたは非常にうまく動いています。ただもう少しだけ行う必要があるかもしれません”というように、前向きに運動を捉えることは、人がどのように運動の行為と運動量を知覚することに多大な影響を与えるかもしれません。また、エクササイズに基づくパラダイムから活動に基づいたパラダイムへの移行は、特に人々がエクササイズに好ましくない関係性を持つ場合や、エクササイズを間違って行う可能性が更なる損害を引き起こす場合にも有益かもしれません。 9. 運動の心理的影響を無視すること。 これには大きな影響力があります! どのように私達が運動、あるいは特定の身体部位から動かすことを知覚するのかは、どのように私達がその運動を実現するのかという現実より重要かもしれません。特に、それが動くことを辞めることになるきっかけであったとすれば尚更!思い込みと実際の結果との間にある違いを強調することは、考えを変えるのに極めて重要で、もし私達が 運動経験を通して身体的にそうすることができるのであれば、さらにいっそう強力です。 人々が彼等の問題に対して運動/動くこと/エクササイズの関連性を理解する手助けをすることはまた、実際に彼等にそれを実行させる大きな手助けにもなりますし、もしこれがあなたの運動における介入の大部分ならば、更なる身体的影響から恩恵を受けるでしょう。 10. 運動トレーニングは、厳格で‘正しい’必要がある。 誰かの運動のマイクロマネジメントを通して、適切なフォームを獲得すること、あるいは適切な組織や構造をターゲットとすることはしばしば、‘動き’に焦点を合わせたものに必要不可欠な要素です。 私のこれまでの9個の間違いに注目すれば、動きを用いること、特に治療的に用いるには、変化に富んでいて、楽しいもので、いくらか関連性があるべきだと理解させてくれることでしょう。

ベン・コーマック 3959字

治療がなぜ効くのか知っておくべき3つの理由

マッサージの後、一体なぜ気分が良くなるのでしょうか? または、鍼治療の後、フォームローラーストレッチの後やカイロプラクティックの矯正、キネシオテープ、モビリティドリル、ハムストリングのストレッチの後どうして身体が楽になるのでしょうか? これらの質問にぴったりの答えがいくつかあります。そしてこの記事で指摘したいのは、興味深いことに、セラピストがそのことについて知らないケースが多く見受けられるということ。あるいは、気にもしていないということです! もしかしたら、セラピストはすでに正しい答えを聞いたことがあるにも関わらず、現在科学的に明らかになっていることからかけ離れた、間違った答えを好んでしまうのかもしれません。 よくない説明に関して言えば:フォームローラーに癒着を剥がしたり筋膜を溶かしたりする効果は恐らくないでしょう。カイロプラクティックのマニピュレーションも、“ずれた”関節を元に“戻す”わけではありません。深部組織のマッサージは、毒素や“コリ”を取り除きません。鍼は、ツボや経絡に到達するのではありません―ランダムなところにうった鍼も同様に効果があります。偽手術は、本当の手術の様に成功することもあります。運動制御エクササイズでは、運動制御自体は変化しなくても、しばしば痛みが軽減するこがあります。 ここで、上記のような治療が症状を改善できないと言っているのではありません。ただ、宣伝されているようには作用しないということです。また、すべてが単なるプラセボ(これは明確な意味の提示がないと混乱する用語ですが)であるということでもありません。 一般的に、セラピストのあいだには、自分たちが“組織の問題”を治すのだという考えが根強くあるようです。そして彼らは、身体のもっと複雑なシステム、たとえば神経系、免疫系、自律神経系などにある問題を無視する傾向があります。これらは、小さな入力にでも非常に敏感に反応し、身体がどのように動くか、また感じるかということに大きく影響します。理由として、おそらくこれらの器官は表面上見えにくく、捉えづらいのと同時に、彼らが学生だった頃に教育課程で教わったことではないからかもしれません。 私はロルファーとしてトレーニングを受けていた頃、ロルフィングは筋膜を変えることにより効果があると教わりました。ですからみんな、治療ベッドから立ち上がると、背が高く体が緩んだ感じがする、痛みが軽減した感じがするなどと言っていました。筋膜に何か良い変化が起きたと思っていたからです。 しかし、徒手圧迫に反応する筋膜の変形性能について調べた結果、これはあまりふさわしくない説明であるという結論に至りました。より適切な説明は、神経系に関連づけることです。神経系は、ボディワークによる新奇な知覚情報など、新たな知覚情報に反応する筋の緊張や動きのパターン、知覚、痛覚感受性を継続的に調節しています。 自分の受けた教育の大前提が正しくないというのは、もちろんちょっと残念なことです。しかし、良いニュースとしては、それらの治療で人を治すことができないという意味ではないということです。それとこれとはまったく別の問題です。私の心構えも同様でした。そう、筋膜に関してではないにしても、人を助けてあげられないということではないのです。 ただ多くのロルファーたちにとって、これは筋膜に関わることでなくてはならないのです。また、カイロプラクターにとっては、サブラクセーションでなければならなく、霊気家にとっては、エネルギーについてでなければなりません。その他の人たちにとっては、姿勢である必要があったり、コアストレングス、筋の不均等、動きのパターンであることもあります。 もちろん、“治療がどう効くかなんて気にしない。効果があることだけ知っていれば、理由なんてどうでもいいでしょう?”と言う人は多くいるでしょう。 あなたの治療がなぜ効くのかを知っておくべき理由が3つあります。 1. どのように効果があるのか知っていれば、もっと効果を上げることができます。 これは当然のことです。的が分かれば命中しやすくなります。 では、ストレッチやマッサージが筋を弛緩させることによって可動域を増やす効果があると仮定しましょう。(妥当な仮説ですね? そして、研究によって裏付けられています!)。 しかし、もしそれが癒着を強制的に剥がすとか、物理的に組織を伸ばすことによって効果があると思い込んでしまうと、クライアントがリラックスしているのかどうかという焦点を狂わせます。 私は、だれかを施術している時、いつもこう訊ねます“どう感じますか?”そうすると、筋膜だけが重要であると思っているクライアントからよく返ってくる反応は、“私がどう感じているかは心配いりません。かなりの痛みに耐えられるので、必要があればどんどんやってください”。 そして、独りで考えるのです:“そうではなく、あなたがどのように感じているか知る必要があります。なぜなら、それがこの施術の主な目的のひとつですから”。しかし、もし私の目的が筋膜や筋のコリを取り除くことであれば、きっと私は彼らがどう感じようと気にしないでしょうが、効果をあげることもできないでしょう。 2. 予期せぬ結果 首に痛みがある人がカイロプラクターを訪れたとしましょう。そこで、首が“ズレ”ていますから、ポキッとやって元に“戻し”ましょうと言われ、あっという間にすっかり良くなったとします。そこで、痛みが軽減したのはアライメント(配列)が整ったことによるものと思い込んでしまって何が悪いのでしょうか? 短期的に見れば、害を及ぼさないのかもしれませんが、長期的にとらえると、誤った思い込みがいずれは問題に発展し、悪影響を及ぼすかもしれません。 首の痛みが再発したとします。クライアントは、また首が“ズレ”てしまったに違いない、もう一度ポキッと戻さなくてはならないと思うでしょう。そうなると、そのクライアントはエクササイズや休息、動きに気をつけるなど、他の解決方法を見落としてしまいます。もし、その首の痛みが継続してしまったら、きっと自分の首はズレやすく不安定であると病的な思い込みを抱くようになるかもしれません。ノセボ効果にもなりえます―― より大きな痛みを起こし、健康的な動きさえも避けるようになります。 これに似た誤解を持つクライアントを多く見てきました。これは明らかに時間とお金を無駄にし、不安や混乱をかきたてます。 私は、カイロプラクターのクライアントについてだけ指摘しているのではありません。 いつでも常にストレッチをしているヨガ愛好者を見たことがあります;ピラテス愛好者はいつでも安定化エクササイズをし、コレクティブエクササイズ愛好者は筋の微細なアンバランスにこだわります。関節モビリティーの信奉者は、関節が常に滑液で満たされていなくてはいけないという思い、ひっきりなしにモビリゼーションをします。さもなければ、ほんの少し動かないだけでも筋膜、いわゆる“ケバケバ”がはびこって身体が固まってしまうと感じるのでしょう。サビは決して休むことがないのです! このような病的行動のすべては、過去に効果があった特定の療法がなぜ有効であったのかについて誤った思い込みをしていることがそもそもの原因であるようです。これらの思い込みは、神経系の感受性を一時的に調整することとは対照的に、“組織の問題”を完治したという考えに執着しているのです。 要するに肝心なことは、その思い込みがいくら小さくても、ウイルスのように増殖し、感染し、そして耐性のある害虫のように突然変異して、結果として発病することがあるということです。他の人にまん延させないしないようにしましょう! 3. 真実は重要 真実の実用的な適用は即座にはっきりとわかるものではありませんが、真実には本来の価値があります。知識は、私たちにとってもクライアントにとってもすべての社会において常に強い存在です。 人間が慢性痛を患う理由や、その最適な治療方法は、厳密にはまだ分かっていません。 その知識がまだはっきりとしていなくとも、もう学ぶ必要がないということではないのです。誤報や混乱を回避するために進む一歩一歩は、真実に近づく一歩なのです。 現実を受け止めましょう! 真実はよいことであり、無知は最低なことです。それを示す賢人の言葉があります。 "すべての悪は知識の欠如から起こる" -- David Deustch(デイヴィッド・ドイッチュ) “間違っているかもしれない答えを出すより、解らないまま生きて行く方がずっと興味深いと思う。” -- Richard Feynman(リチャード・ファインマン) "知らないことが問題をおこすのではありません。よく知っていると思ったことがそうでないときに問題が起きるのです。" -- Mark Twain(マーク・トウェイン) “真実はあなたを開放してくれますが、最初はイライラさせられるでしょう。” -- Joe Klaas(ジョー・クラース) 思慮深く、懐疑的で、エビデンスに導かれることを恐れない、私の投稿の読者と私のソーシヤルメディアコミュニティーのみなさんに感謝します。

トッド・ハーグローブ 3896字

スクワットで内側広筋のアクティベーションを強調することはできるのか? パート2/2

スクワットにおいてROMは内側広筋にどのように作用するのか? 全体的に見て、スクワットでの内側広筋と外側広筋のアクティベーションレベルは、少なくともエクササイズの全ROM(可動域)に渡り計測した場合、非常に似ています(Signorile et al. 1994; Wilk et al. 1996; Ninos et al. 1997; Mirzabeigi et al. 1999; Escamilla et al. 2001a; Andersen et al. 2006)。 しかし、内側広筋と外側広筋のアクティベーションレベルは、エクササイズのROM全体の各パートでも似ているのでしょうか? そのようです。 内側広筋と外側広筋のアクティベーションは、膝関節角度の変化に伴い互いに一致して変化するように見えます。例えば、バーベルバックスクワット中の大腿直筋、外側広筋、内側広筋のそれぞれが各々のピークEMG振幅に達する点は、89-95度の間の同じ膝関節角度になるときなのです(Escamilla et al. 2001a)。 そしてその他の関節角度における各大腿四頭筋のアクティベーションの間には、ほとんど差がないようです。例えば、Andersen et al. (2006) は、バーベルバックスクワット中に膝関節角度10度から100度の間を10度間隔で内側広筋及び外側広筋のEMG振幅を計測し、そして各関節角度における両者の比率を計算しました。比率は膝関節角度の増加では変化せず、およそ1:1のままでした。これは、内側広筋を外側広筋よりアクティベートされた状態にするスクワットの膝関節角度はないことを表しています。 同様に、Ninos et al. (1997) は、バーベルバックスクワットでは異なる膝関節角度に渡り内側広筋のアクティベーションが外側広筋と全く同じような反応を示し、やはりボトムポジションでピークアクティベーションに達することを示しました。 下の図で、膝関節屈曲角度の変化に伴う内側広筋と外側広筋の平行した変化を見ることができます: つまり、内側広筋はスクワットにおいて外側広筋と根本的に違うことは全くしておらず、ボトムポジションでその他の大腿四頭筋よりも相対的により重要であるということは決してないのです。 これは、膝伸展において、膝関節角度が内側広筋の優位なアクティベーションにどのように影響するかを調べ、何も効果がなかったとする詳細な研究によって支持されています(De Ruiter et al. 2008)。 従って、内側広筋がスクワット中のボトムポジションにおける筋力のために特別重要であるという可能性は低そうです。 そもそも内側広筋は優位にアクティベートされることができるのか?(パート1) 私が先に説明したように、理学療法の研究者たちは、しばしば内側広筋を外側広筋のアクティベーションよりもより大きく増加させることができるエクササイズやテクニックを特定しようと試みてきました。 これは、膝蓋骨のトラッキング不良が膝前面痛のバイオメカニクス的一因であることが明らかにされ、内側広筋と外側広筋が膝蓋骨を異なる方向に引っ張ると思われることから、これらの筋肉のバランスが膝蓋骨のトラッキング不良を左右するかもしれないからです。また、内側広筋の選択的筋委縮は、歴史的に膝前面痛に苦しむ人々において見られてきたため、内側広筋を鍛えることが問題を解決するだろうと考えられてきました。 二つの分野の新しい調査がこのセオリーに水を差しました。 第一に、非活動性筋萎縮は膝の痛みを持つ人々の内側広筋だけではなく、大腿四頭筋の全てに渡り見られました(Giles et al. 2013; 2015)。 次に、外側広筋と内側広筋は実際神経支配の大部分を共有しているようです(Laine et al. 2015)。これは内側広筋を外側広筋と別々にアクティベートさせることを難しくさせるだけでなく、実際現実的には不可能なのです! 実際に、たくさんの異なるエクササイズを調べてきた研究者たちは、膝関節伸展動作を含むエクササイズにおいて内側広筋のアクティベーションを外側広筋のアクティベーションよりも大きく増加させることは、スタンスの幅、股関節の角度、あるいは足の角度をどう変えるかに関わらず、非常に難しいと結論づけました(e.g. Cerny, 1995; Laprade et al. 1998; Mirzabeigi et al. 1999; Tang et al. 2001)。 例えばスクワット中の等尺性股関節内転のような、いくつかの研究で外側広筋の振幅に比べより大きな内側広筋のEMG振幅を引き起こすように見られたもっとも有望なアイディアのいくつかでさえも(Hyong, 2015)、実際は誤った種類の電極を使ったことにより起こった単なる人工的産物なのかもしれません(Wong et al. 2013)。 従って、20個以上のそのような研究のレビューが、恐らく大腿四頭筋が同じような神経支配を共有しているために(Laine et al. 2015)「下肢の関節の向きを変えることは…内側広筋のアクティベーションを外側広筋以上に優位に増強しない」と最終的に結論付けていることは驚くべきことではありません(Smith et al. 2009)。 そもそも内側広筋は優位にアクティベートされることができるのか?(パート2) もしもなんらかの理由で、あなたが内側広筋のアクティベーションを外側広筋のアクティベーションよりも増加させようとすることが可能であるとまだ信じており、それを試してみようと断固として決めているならば、次のテクニックの一つを試してみることもできるでしょう: ワブルボードのような、より不安定な表面を使用してスクワットをする(Hyong & Kang, 2013; Park et al. 2015) より遅いスピードでスクワットをする(Yoo, 2015) これは異論が多いが(De Ruiter et al. 2008)、膝関節完全伸展前の膝関節伸展ROM最後の30度を強調するエクササイズあるいはテクニックを用いる(ことも可能である)(Duffell et al. 2012) 筋電図に基づいたバイオフィードバックを採用し、内側広筋に注目する(Ng et al. 2008) スクワットで前額面の膝の距離を縮めやすくするために視覚的フィードバックを採用する(Hwangbo, 2015) なぜ内側広筋を優位にアクティベートしようとするのか? しかしながら、最終的には、もしあなたのゴールが脚のサイズの増進、またはスポーツでもっと上手になりたいかのどちらかであるならば、内側広筋をターゲットとする計画的な努力をすることはほぼ確実に必要ありません。 もしあなたの主なゴールが脚の肥大であるなら、長期間の試行によって示されているように(Fonseca et al. 2015)、スクワットは大腿四頭筋のうち3つの単関節筋全てを極めて効果的に使います。その一方で、スクワットは二関節筋である大腿直筋にはさほど効果的ではないため、あなたはただスクワットをするだけではいけません。大腿直筋のために別なエクササイズを加えなくてはなりませんが、ニ―エクステンションはとても良い選択です。 もしあなたの主なゴールがスポーツでもっと上手になりたいということであれば、スクワットはそのゴールのためにも大いに役立つでしょう。これに加えて、あなたの主な考慮はポステリアチェーンをもっとも効果的に発達させる方法を見出すことであるでしょうが、時間が迫ってきていますので、それについては別な日にお答えしましょう。 結論 スクワット中に内側広筋のより大きい相対的アクティベーションを狙うことは、恐らくワイドスタンスの代わりにナロースタンスを用いても、平らな表面でスクワットをする代わりに踵を高くしても不可能でしょう。スタンスの幅は大腿四頭筋のどの筋肉のアクティベーションにも効果がなく、踵を上げることは恐らく全ての大腿四頭筋に全く同じように影響を及ぼします。これは多分大腿四頭筋が類似した神経支配を共有しているからであり、それらの筋肉を個別にターゲットにすることは非常に困難です。 加えて、スクワットのボトムポジションでは、全ての大腿四頭筋があなたを深い位置から抜け出させるためにとても一生懸命働いています。しかしながら、上記の分析に基づき既に予測されるように、内側広筋が他のどの大腿四頭筋よりももっと重要であるということはないのです。 参照 Alves, F. S. M., Oliveira, F. S., Junqueira, C. H. B. F., Azevedo, B. M. S., & Dionísio, V. C. (2009). Analysis of electromyographic patterns during standard and declined squats. Brazilian Journal of Physical Therapy, 13(2), 164-172. Andersen, L. L., Magnusson, S. P., Nielsen, M., Haleem, J., Poulsen, K., & Aagaard, P. (2006). Neuromuscular activation in conventional therapeutic exercises and heavy resistance exercises: implications for rehabilitation. Physical Therapy, 86(5), 683-697. Cerny, K. (1995). Vastus medialis oblique/vastus lateralis muscle activity ratios for selected exercises in persons with and without patellofemoral pain syndrome. Physical Therapy, 75(8), 672-683. Chae, W. S., Jeong, H. K., & Jang, J. I. (2007). Effect of Different Heel Plates on Muscle Activities During the Squat. Korean Journal of Sport Biomechanics, 17(2), 113-121. Charlton, J. M., Hammond, C. A., Cochrane, C. K., Hatfield, G. L., & Hunt, M. A. (2016). 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ストレングス・コンディショニング・リサーチ 3656字

スクワットで内側広筋のアクティベーションを強調することはできるのか? パート1/2

一部のストレングスコーチたちは、ナロースタンスで、あるいは踵を高くしてスクワットをすると、内側広筋優位な筋肥大を引き起こすことができると示唆してきました。 彼らは、スクワットのボトムポジションでは、内側広筋がその他の大腿四頭筋よりもより重要であると信じているため(それが本当に真実かどうかは別な問題ですが)、内側広筋をトレーニングすることは必須であると主張しています。 しかし、私たちはスクワットで内側広筋のアクティベーションを強調することができるのでしょうか? そしてもしそうならば、スタンスの幅を変えたり、あるいはヒールリフトを加えることによってできるのでしょうか? 見てみましょう! ナロースタンスは内側広筋のアクティベーションを増加させるのか? 過去20年以上に渡り、複数の研究がナロースタンス・スクワットとワイドスタンス・バーベルバックスクワットの間には一般的に大腿四頭筋のアクティベーション(特に内側広筋のアクティベーション)の差がないことを筋電図(EMG)振幅を用いて発見しています(McCaw & Melrose 1999; Escamilla et al. 2001a; Paoli et al. 2009)。 さらには、Ninos et al.(1997)は、2つの異なる股関節回旋角度(つま先が外側を向いている・つま先が前方を向いている)を用いたバーベルバックスクワットにおいて、両者の間に内側広筋のアクティベーションの差はなかったことを発見しました。そしてMurray et al.(2013)は、3つの異なる股関節回旋角度(つま先が外側を向いている・つま先が前方を向いている・つま先が内側を向いている)での負荷がかかったマシンスクワットを調査した際、内側広筋のアクティベーションには差がなかったことを発見しました。 つまり、私たちが純粋なワイドスタンス・スクワットについて話しているにしろ、あるいはただつま先を真正面にするのではなく足部を外側に回旋させるということについて話しているにしろ、バーベルバックスクワットのスタンスの幅によって内側広筋のアクティベーションが変わることはないのです。 事実、股関節回旋角度が内側広筋対外側広筋のアクティベーション比率に及ぼす影響を調べるとき、「影響なし」以外のものを見つけるには、自重スクワットに関する研究例のある理学療法の文献をかなり深く掘り下げなくてはなりません。 それでも、ニュートラルポジションの有益な効果を報告している研究もあれば(Kim & Song, 2013)、内側に回旋されたポジションがもっともよいと報告している研究もあることに気が付くでしょう(Lam & Ng, 2001)。つまり、明確な答えはないのです、実際のところ。 従って、スタンスの幅は、恐らく内側広筋のアクティベーションには影響を与えないでしょう。 踵を高くすることは大腿四頭筋のアクティベーションを増加させるのか? スクワットで踵を高くすることが内側広筋を優位にアクティベートさせることができるかどうかを見る前に、まずヒールリフトを加える、あるいはデクラインボードを用いると大腿四頭筋のアクティベーション全体に何が起こるかを見てみましょう。 研究の中には1,2個のヒントがあります。 複数の研究が、片脚エキセントリックデクラインスクワット(25度という急な傾斜のデクラインボードがもっともよく用いられた)について調査してきましたが、その多くはそのエクササイズが膝蓋腱障害を治療するためにより優れた治療効果があるかどうかを見出すことが目的でした(Purdam et al. 2004; Young et al. 2005)。 これらの研究の結果として、私たちは片脚スクワット中に傾斜(デクライン)を用いることが膝関節伸展モーメントを増加(そして大腿四頭筋EMG振幅を増加)させる傾向があり、同時に股関節伸展モーメントを減少させ、エクササイズをより膝優位なものにすることを見ることができます。これは、大腿四頭筋がより働かなくてはならないことを意味しています(Kongsgaard et al. 2006; Zwerver et al. 2007; Frohm et al. 2007)。 それゆえに、私たちはデクラインボード(つまり高くなった踵)が、両脚スクワットにおいてもより大きな大腿四頭筋アクティベーションを生み出すと予測するでしょう。 次に、異なる種類のフットウェアを比較したバーベルスクワットの研究から、踵の挙上が膝屈曲をより大きくすることを可能にしているのを見ることができます(Sato et al. 2013; Sinclair et al. 2014; Southwell et al. 2016)。より大きな膝関節屈曲ピーク角度は、その他の条件が同じである場合、大腿四頭筋をより働かせる(そのためにより高いアクティベーションを表す)ことになるでしょう。そしてより高い踵のフットウェアは、より平らなフットウェアと比べ、より大きな純膝関節伸展関節モーメントを生み出すようです(Southwell et al. 2016)。 つまり、デクラインボード(つまり高くなった踵)は大腿四頭筋がより働くことにもつながりそうです。実際、バーベルバックスクワット中に踵を高くすることに注目した最近の研究は、体幹の傾きがより小さいため、より小さな股関節屈曲ピーク角度を伴ってより大きな膝関節屈曲ピーク角度を生み出しているように見えます(Charlton et a. 2016)。 異なる種類のフットウェアかヒールウェッジのどちらかを用いての大腿四頭筋のEMG振幅に実際注目した研究はほとんどありませんでしたが、デクラインボードを用いて踵を高くすることは大腿四頭筋のアクティベーションを高めているようです(Edwards et al. 2008; Ki et al. 2014; Yu et al. 2014; Lee et al. 2015)。ただ、1、2個の例外はあります(Chae et al. 2007; Alves et al. 2009; Dionisio et al. 2013)。 しかしながら最終的には、膝関節屈曲における効果、そして全体的な身体の動作パターンの変化によって生じる股関節から膝関節への明確なシフトを考慮すると、デクラインボードあるいは高くされた踵が、スクワット中の全体的な大腿四頭筋のアクティベーションの増加を導くだろうということは非常に論理的であるようです。 トレーニングプログラムを計画する時にそのことを知っておくとよいでしょう。 踵を高くすることは内側広筋のアクティベーションを増加させるのか? それでは、スクワット中踵を高くすることが大腿四頭筋のアクティベーションを全体的に増加させるようであることはわかりますが、内側広筋、そして外側広筋のEMG振幅はどうでしょうか? それらは同じような反応を示すのでしょうか?あるいは、踵を高くすることが内側広筋対外側広筋のアクティベーション比率を変えるのでしょうか? 現在のところ、ヒールリフトが大腿四頭筋のアクティベーションに及ぼす影響について調べた研究の大多数(Chae et al. 2007; Edwards et al. 2008; Alves et al. 2009; Dionisio et al. 2013; Ki et al. 2014; Yu et al. 2014; Lee et a. 2015)は、ヒールリフトを高くすることにより内側広筋と外側広筋のEMG振幅が互いに対してどれだけ変化したかについて、大きな差がなかったことを発見しています。 その二つの筋群が、ヒールリフトの変化によりとても互いに似た傾向を表すことが、下の表で見ることができます(Ki et al. 2014)。 更に最近では、Slater & Hart (2016)がトレーニングをしていないが健康な被験者において、自重スクワットで踵を上げる(つま先立ちで)ことによる影響を評価しました。彼らは踵を上げることが内側広筋のアクティベーションを減少させると同時に、外側広筋のアクティベーションを増加させることを発見しました。つま先立ちになることはインクラインスロープの効果を計測することとは同様でないものの、もし内側広筋のより大きなアクティベーションを意図するのであれば、踵を高くすることは望ましい結果を達成しないだろうとその研究は示唆しています。 つまり、内側広筋と外側広筋の間のアクティベーションのバランスは、スクワット中に踵を上げることでは変わらないようです。 スクワットにおいてROMは大腿四頭筋にどのように作用するのか? 私が先に触れたように、一部のコーチたちはボトムポジションにおいて内側広筋が重要であると信じているため、スクワット中の内側広筋のアクティベーションによく関心が持たれています。 スクワットにおける足首、膝、そして股関節の外的モーメントアームの長さを注意深く見ると、スクワットはボトムポジションでもっともきつく、よりトップに近いところでもっとも楽であることがわかるでしょう(Escamilla et al. (2001b)。下の図で股関節及び膝関節の関節モーメントアームの長さを見ることができます: もしあなたがこれまで重いバーベルでスクワットをしたことがあるのならば、すでにこのことをご存知でしょう。  エクササイズのボトムが近づくにつれて全ての主働筋がアクティベーションを増加させることは完全に納得がいきますし、事実これがまさに起こっていることなのです(Escamilla et al. 1998)。 しかし、内側広筋はそのアクティベーションを更に増加させるのでしょうか? 参照 Alves, F. S. M., Oliveira, F. S., Junqueira, C. H. B. F., Azevedo, B. M. S., & Dionísio, V. C. (2009). Analysis of electromyographic patterns during standard and declined squats. Brazilian Journal of Physical Therapy, 13(2), 164-172. Andersen, L. L., Magnusson, S. P., Nielsen, M., Haleem, J., Poulsen, K., & Aagaard, P. (2006). Neuromuscular activation in conventional therapeutic exercises and heavy resistance exercises: implications for rehabilitation. Physical Therapy, 86(5), 683-697. Cerny, K. (1995). Vastus medialis oblique/vastus lateralis muscle activity ratios for selected exercises in persons with and without patellofemoral pain syndrome. Physical Therapy, 75(8), 672-683. Chae, W. S., Jeong, H. K., & Jang, J. I. (2007). 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ストレングス・コンディショニング・リサーチ 4164字

肩のモビリゼーションテクニック

モンスターバンドを使った動きのコントーロール方法に関わるアイデアや、アイソメトリック収縮を用いた深い可動域の強化方法、近位から遠位に向かって動かす強化方法など、様々に応用できる関節可動域の幅広い強化方法をレニー・パラチーノがご紹介します。是非試してみてください。

レニー・パラシーノ 6:36

肩甲胸郭関節の動きの強化

肋骨の上で肩甲骨が動く。この動きを強化するためには、ただ組織をパッシブにストレッチするのではなく、テンションをかけることが必要です。安定した外部環境を活用して、より効果的に、段階的に強化を行う方法をレニー・パラチーノがご紹介します。

レニー・パラシーノ 6:50

最も達成困難なこと・・・しかも、みんながしたいこと!

人間の身体のために行う最も難しい2つのことは、脂肪を減らすことと筋肉をつけることです。そして実際に、脂肪も減らし筋肉もつけたいというのが、成人男性から常に問われる課題でもあります。 これは、誰もが理解していることです。まったく正反対な2つのことを同時に進行しようとすることのプロセスを、じっくりと考える人はほとんどいないでしょうが、より可動性と柔軟性(ストレッチ!)を得るためにお金を払う人はまずいないでしょう。 もし、ウエストラインが身長の半分を超えていると気がついたら、あなたは身体組成のクライアントとなるでしょう。そんなあなたに2つの簡単なツールを紹介します。 カロリー制限(なんらかの種類の) 非効率なエクササイズ 率直に言って、どんなダイエットでも効果はあります。順守が問題ではありますが、実際“悪いものよりもより良いもの”を継続的に選択し続ける習慣を学ぶことです。私たちの専属の栄養士であるマーク・ハルパーンは、右を指している簡単な矢印スケールで説明しています。矢印が指し示している方向は、“完璧”ですが、マークによるとルールその1は、“完璧は忘れなさい!”ということです。反対側の左端は、ソーダやチップスなどのジャンクフードです。野菜やたんぱく質、汚染されていない水、汚染されていない自然なホールフード(丸のままの食品)を選択することにより“右へ移動します”。 完璧にしなくてはいけないと心配する必要はありません。 すべての食べ物と飲み物を文字通り“ハンズオン(手を置いてみる)”方法で選択しているという男性にオーストラリアで会いました。彼は、すべての食べ物と飲み物に外から両手を当ててみるようクライアントに指導しています。左手は“ゴールから離れる”そして、右手は“ゴールに近づく”ことを示します。今、決定しようとしている選択は、自分をどちらの方向に移動させるのか?これは単純なやり方ですが、効果があります。 非効率なエクササイズとは、たくさんの動きと呼吸を伴う割には、たいした結果がでない運動のことです。もし、水泳やダンスが苦手であれば、水泳やダンスをしましょう。 非効率なエクササイズの大部分は、かなり大きな動きであるべきです。そうすることで、自然に身体は深呼吸するでしょう。鞴(ふいご)としての肺のトレーニングにもなるはずです。KBスウィングやゴブレットスクワット、バーピー、あるいは身体を上下や前後に動かすトレーニングなら何でもよいでしょう。 私は、トレーニングのためのスティーブ・マフェトンの指標をお勧めします。とても簡単です。彼は、心拍数の高域を求めるために180から年齢数(いくつか変則はあります)を引くという公式を使います。心拍数が、「160 - 年齢数」の値を下回ったら、運動を再開するタイミングです。トレーニングプログラムを制御するために心拍数モニターを使用する場合、反復数とセット数は変化するでしょう。心拍数が「180 - 年齢数」の値を上回ったら、ストップ。また、「160 - 年齢数」の値を下回ったら、ゴーサインです。 これはスキップでもできますし、ランニングや縄跳び、ハイキング、ブレードなど、自分が好きなことならなんでも行うことができます。私は、ケトルベルスウィングを制御するのが好きで、ブザーが鳴ったら、ストップするかスタートするかしますが、人は皆それぞれ異なっています。 非効率なエクササイズとして、標準的な心血管系トレーニングマシーンの使用を促すこともあります。約2分間のエクササイズを数回行えば、ストレングスやパワーなど他の要素にそれほど影響を与えることなく、心拍数と体温、呼吸の促進に良い影響を与えそうです。今のところ、心血管系トレーニングの器具を使って約2分間ずつ2回行うのは、毎日繰り返し行うことができそうです。この2つの取り組みを加えることにより、残りのトレーニングをより非効率的なものにできます。 下記は、素晴らしいトレーニングです: スウィング 100回 500m ローイング スウィング 100回 500m ローイング スウィング 100回 先に挙げた栄養の矢印スケール(および、手を当てて選択する方法)を実施しながらの非効率なエクササイズは、脂肪を減らすというゴールに導いてくれるでしょう。週3日、余分なカロリーを燃焼しましょう。ただ、シックスパックの腹筋は台所(食生活)で作られるもの、であることを常に覚えておいてください。 筋の増量のためには、まず脂肪を減らすように私は指導します。それから、筋増量をします。ひとつのパターンを一日おきに繰り返し行うことが私は好きです: 週に2日または3日 ワークアウトA ベンチプレス 懸垂 バックスクワット ワークアウトB ミリタリープレス ローイング フロントスクワット 非効率なエクササイズを行い、時間があれば、これら2つのトレーニングを同じ日に行っても、交互に行っても良いでしょう。 セット数と反復回数に関しては、ジョシュ・ヒリスの楽しいプログラムを試してみてください: 最初のワークアウトとして、各エクササイズを1セットX20回(つまり、ベンチプレス1X20、懸垂を合計20回、バックスクワット1X20)。Aを行ったら、1日か2日間休み、それから1X20でBを行う。 次のワークアウトでは、2X12。そして、また1日か2日間休み、それからワークアウトBを行う。 3回目では:3X8。そして、また1日か2日間休み、それからワークアウトBを行う。 4回目では:4X5。そして、また1日か2日間休み、それからワークアウトBを行う。 その次には、1X20に戻る。負荷は、セット数が減るたびにウェイトを増やしましょう。ワークアウトを繰り返すたびに、前回よりも少し負荷を増やします。 これらを行うことはとても単純ですが、簡単ではないかもしれません。 これは、合理的で、単純なプログラムなだけに行いやすく、脂肪を減らすだけではなく筋肉をつけるという目標を達成させてくれるでしょう。

ダン・ジョン 2577字

スピードデッドリフトを筋力トレーニングプログラムに使用する5つの理由

2008年に私の最初の本が出版されたとき、私がスピードデッドリフトを取り上げたことに多くの人達が驚きました。なぜなら彼らは、それは「簡単すぎる」と感じたり、「重くない」デッドリフトは生産性がないと考えたりしたからです。興味深いことに、4ヶ月のプログラムを完了後、彼らのデッドリフトが必ずと言っていいほど向上したとき、誰もスピードデッドリフトが含まれたたことに疑問を持つことはありませんでした。そこで今日は、スピードデッドリフトを筋力トレーニングに取り入れるべき5つの理由を紹介します。 しかし、まず、スピードデッドリフトとは何かということを概説することが重要だと思います。デッドリフトのあらゆるバリエーションを、より軽い割合で実行するだけです。ワンレップマックス(1RM)の35-80%を1-5レップでセットします。パーセンテージが高いほどレップ数が低くなり、その逆も然りです。例えば、1RMの80%で8x1、1RMの50%で6x3、1RMの35%で4x5などです。チェーンやバンドが手に入るなら、エクササイズに追加することも可能です。セット間は30秒から120秒の間で休むことになります。 しかし、最も重要な要素は、完璧なテクニックと優れたバースピードとなります。 バーが床から爆発するような感覚で、ロックアウトまでまっすぐ上がるようにします。

エリック・クレッシー 3575字

硬い筋肉を伸ばすべきではない理由

身体には、私たちが常に理解しているわけではない知恵が詰まっています。 身体は、最適に動き、機能するように設計され、脅威の時代を生き抜き、平和な時代に繁栄するように設計されています。 あなたの身体は何をすべきかを知っているし、もっと重要なことは、身体が何をしているのかを知っているということです。 でも、多くの場合そうではありません。 知恵ではなく、現代の論理で身体にアプローチすることが多すぎるのです。 例えば、身体が痛ければ、なぜ痛いのかを身体に問うのではなく、感じている痛みを和らげたり取り除いたりするためにNSAIDsを服用することがあります。 痛みは、私たちの注意を引くための身体からの信号であることは、多くの人が同意するところです。 身体が私たちに何かを伝えようとしているのです(通常は、私たちがしていることを止めなさいということです)。 身体は、これ以上害を作らないように、あるいは害が起こるのを防ぐために、痛みのシグナルを出すかもしれません。 身体が痛みを感じているとき、身体は鎮痛剤を要求しているのではありません。 何かを変える必要があることを教えてくれているのです。少なくとも、そこから学ぶために耳を傾けなさいということを伝えているのです。 同様に、身体が硬いとき、身体は私たちを守ろうとしているのです。 多くの人は、論理的に、硬い筋肉は伸ばす必要があると推測します。 結局のところ、そうやって緩めて緊張を取り除くことができるのです(まれに、実際にそれがうまくいくこともありますが、それは論理が破綻していることを示す当然の指標となるはずです)。 しかし、身体の知恵では、筋肉が硬いということは、保護を意味します。あなたを守り、自分を保とうとしているのです。 身体は、脅威の時代を生き抜くために設計されていることを忘れないでください。 緊張して筋肉が硬くなるのは、身体が自分を守るために、動くことをガードしたり抑制したりする方法なのです。 基本的に、身体(脳)は安全を感じないと、危険な領域に移動しないように、筋肉を緊張させて身体に制限をかけます。 筋肉が硬いのは防御のメカニズムです。 筋肉が固いということは、脳が何か危険なものを感じて、身体を守ろうとしているのです。 ハムストリングスが硬いとき、身体はストレッチしてくれとリクエストしているわけではありません。 それは、「あなたは安全ではない、どこかに対処すべき危険がある」ということを教えてくれているのです。 硬いハムストリングスを緩めるためにストレッチをするのは、怪我をしないように保ってくれる身体の安全プロトコルを上書きしようとするようなものです。 緊張感、筋肉の硬さには理由があるのです。 脳は、あなたを守ると同時に、あなたの注意を引こうとしているのです。 それだけでなく、硬くなった筋肉を伸ばすということは、ある意味、攻撃的なアプローチであり、力ずくなものです。 誰だって、押しつけられたり、無理強いされるのは嫌なものであり、あなたの身体も例外ではありません。 力ではなく、優しさが脳に安全を感じさせるのです。 多くの場合、筋肉が硬くなるのは、脳が求めている情報が得られなかったり、得ている情報が脳に危険を伝えていたりして、安全でないと感じているからです。 例えば、胸の上の方で呼吸をしていて、お腹に向かって呼吸をしていない人は、横隔膜ではなく、緊急の呼吸に関わる筋群を使っていることになります。 胸の上の方で呼吸をすることで、脳に "危険が迫っている "ということを伝えているのです。 脳は危険を感じると、身体のハッチを閉め、より緊張が必要だと判断した部分(ハムストリングスなど)に緊張(恐怖)と締め付けを与えます。 これが身体の知恵なのです。 私たちには、このメッセージに耳を傾け、この例のように横隔膜を適正に使って呼吸するように、穏やかな行動で対処することで、自ら知恵を働かせるチャンスがあるのです。 要は、痛みや緊張といった身体の警告信号に無理やり反応することは、ベストな行動とは言えず、かえって身体をより危険な状態に導いてしまう可能性があるということです。 それよりも、身体の知恵に耳を傾け、理解することで、何が安全でないと感じさせているのかを見極めようとすることが大切です。 それが決まれば、優しさこそが適切な方法です。 身体が危険だと感じる理由が特定できないとしても、やはり優しさが正しい方法です。子どものように呼吸をし、子どものように動くことで、脳が求めている情報、安心するために必要な情報を優しく与えることができるのです。 前後に揺らすロッキングのような動きは、脳を落ち着かせ、また、全身の関節、筋肉、組織の位置を脳に知らせるのに役立ちます。どこに何があるかわかると、脳は安心して恐怖を手放し、身体は最適に動くことができるようになるのです。 とにかく、緊張とは、身体がストレッチしろとか、無理やり緩めろとリクエストしているのではありません。身体が、あなたを傷つけないように守ろうとしているのです。 硬くなった筋肉を伸ばす前に、もっと優しく、もっと賢い方法を試してみてはいかがでしょうか。

オリジナルストレングス 2199字

怪我を予測する:筋力のみで怪我のリスクを減少させるのに十分か?

筋力とは、外的な負荷を克服するために力を発揮する能力です。筋力が、日常活動の正常な機能にとって重要であり、死亡率の改善に関連していることが研究によって示されています(Ruiz et al, Philips, Fujita et al, Laukkanen, Heikkinen & Kauppinen)。要するに、より筋力が強ければ、より長生きする可能性があり、そして健康面の問題がより少ないということなのです。 筋力トレーニングは、多くの場合で筋骨格系の怪我のリハビリや予防を助けるために処方されます。怪我を減少させるためにレジスタンストレーニングを用いた特有の適応は、靭帯、腱、腱と骨及び靭帯と骨の接合部の強さ、関節軟骨、そして筋中の結合組織鞘の構造的な統合性の成長及び増加です(Fleck, S. J. & Falkel, J. E.)。 筋量の減少とそれに伴う筋力の減少は機能的な能力の喪失だけでなく、筋骨格系の怪我のリスクを増加させることにつながります。多くの急性的な筋挫傷は、突発的で大きな力のかかる筋活動のエキセントリック局面に起こると考えられています。 Journal of Sports Medicineのある研究では、より大きな力を発揮できる筋力の強いアスリートである、アメリカンフットボール選手における怪我の予測について考察しました。FMS(ファンクショナルムーブメントスクリーン)を用いて、低い能力でムーブメントテストを実行し、そして関節の非対称性を示した選手がより高い怪我のリスクを示したことを発見しました。 その論文からの引用;「この研究は、プロのフットボールプレーヤーにおけるプレシーズン中のプレー機会を遺失する怪我に対する特定できるリスク要因が、基礎的な動きのパターンとパターンの非対称性であることを示唆している。」 ファンクショナルムーブメントスクリーン(FMS)を使用した別の研究では、433名の消防士を調査し、彼らのエントリーレベルの動きの能力を評価し、柔軟性と体幹の安定筋またはコアの筋群の筋力を向上させることを目的としたフィットネスプログラムを処方しました。 結果は特筆すべきものでした:12ヶ月の期間にわたって、トレーニンググループは、怪我によって仕事ができない時間を62%減少させ、怪我の総数は42%減少しました。これらの発見は、体勢の悪い姿勢をとることのある仕事に従事する人に対する怪我を防ぐための、コアの筋力とファンクショナルムーブメントの向上プログラムが正当化されることを示唆しています。 このような筋力のより強いアメリカンフットボール選手や消防士が、FMSで非常に低いスコアを記録したのは、柔軟性が欠如していたからでしょうか? 異なる柔軟性を有した様々なアスリートや、それに関連した怪我の発生率については多くの文献があります。一つの例は、(大多数よりも)硬い大腿四頭筋やハムストリングスを持つプロのサッカー選手は、シーズンを通して筋挫傷や肉離れをする可能性がより高いということです。 しかし、「過可動」と分類される、または単に柔軟性がかなり高いアスリートは、足関節捻挫のような関節にかかわる怪我のリスクがあります(C. Decoster, N. Bernier, H. Lindsay, C. Vailas) 一般的な見解であるにも関わらず、いくつかの研究はストレッチすることでは怪我のリスクが減少しないことを発見しました。ストレングス&コンディショニングジャーナルからの複数の結果では、ストレッチは絶対に全てのアスリートのトレーニングプログラムの一部であるべきだと結論付けていますが、ストレッチすることが怪我を減少させることができるという証拠は存在しません。最もよく怪我の起こる筋肉、ハムストリングス、を調査した時、彼らはハムストリングスの筋挫傷の原因は筋の筋力不足であることを発見しました。 そうです、柔軟性の欠如はFMSに影響しますが、ストレッチすることではスコアは向上しないでしょう。 しかし、もしあなたが何らかの理由で隣の人よりも柔軟性が高くても、あなたが怪我をしにくいということではありません。Nicholas Institute of Sports Medicine and Athletic Trauma に所属するG.GleimとM.McHughによる「柔軟性とそれがスポーツの怪我とパフォーマンスに与える影響(Flexibility and Its Effects on SportsInjury and Performance)」というタイトルの論文では、柔軟性とスポーツ傷害の関係性についての断定的な見解は樹立できないことを発見しました。その代わりに、特有の柔軟性のパターンが特有のスポートと、さらにはスポーツのポジションが関連していました。柔軟性とスポーツのパフォーマンスとの関係性はスポーツに依存する可能性が高いのです。 適切な神経筋のコントロールの欠如が、怪我を予測するための最も顕著なリスク要因であるようです。 私たちは、正確な怪我の予測因子として、動きのパターンの質をテストすべきです。 神経筋のコントロールとは、正しい筋を適切な順番で、私たちが達成しようとしている目標に対して最適な正しい力の量で発揮するという神経系の能力です。 過去の研究では、レジスタンストレーニングの重大な効果は、筋力を増加させることよりも、様々な筋群を協調させることを学習することであることを示しました。これは、協調している筋は、筋それ自体が弱くても、関節の動作をスムースに減速させることができることを示唆しています。 関節のアンバランスさや非対称性があったり、もしくは良いFMSのスコアを出すために自身の身体を調整できない/姿勢を取れなかったりしたのは、上記の研究のアメリカンフットボール選手でした。柔軟性のトレーニングとコアの安定性のためのドリルの組み合わせが、消防士が自身の身体を安定させる方法を向上させ、そしてそれが彼らのFMSスコアも向上させたのです。必ずしも筋力や柔軟性の問題ではありません。 筋力は必要不可欠なものであり、これからも常にそうあり続けるでしょう。しかし、怪我のリスクを減少させるためのトレーニングは、筋/関節の協調性、モビリティ、固有受容器、バランス/安定性、そして複雑な動きのパターンを向上させるドリルを含まなくてはならないようです。

ファンクショナル・トレーニング・インスティチュート 2722字

セラピストと膝関節内側の痛み

金曜日の朝、私はストレスフルな状況に置かれていました。片手に40ポンド(約18kg)のケトルベルを持ち、もう片方の手で50ポンド(約23㎏)のスーツケースを引きずりながら、空港内を走り回っていたのです。 この非効率的な荷重と支持されていないシステムが速度と合わさったとき、私がめったに経験しないあることが現れました:膝関節内側の痛みです。 ああ!たしかにーセラピストは完璧ではありません。 私は痛みを恐れはしませんー痛みで落胆することもありません。痛みはある種のギフトであり、知覚された脅威や不耐性がある可能性を警告する、システムの求心性表現なのです。 その島にはしっかりしたリハビリテーションの専門家がいなかったため、私は自力で何とかしなくてはなりませんでした。 私は、膝の痛みを抱える患者にいつも行う基本的なチェックリストを、一通り行いました。私はいつも、まずは局所的な部分から始め、それから全体的に、という順序でチェックします。 利用可能な運動面上において、膝及び股関節で大腿骨は何をしているか? とりわけ膝において、大腿骨が動きを持たない面で大腿骨が動こうとしているか? 足部―特に後足部―は、それら運動面に対し何をしているか? コアと反対側の肩は、それら利用可能な運動面と正常に同期して動いているか? 股関節では大腿骨は3つの運動面を持つため、私はまず股関節での大腿骨を評価しました。私は前額面上、すなわち横方向の動きに制限があることに気が付きました。 そこで同じ前額面上において膝で動きを出そうと、大腿骨が固定点を作り出したのだと悟りました。 唯一の問題は、膝は前額面では動かないということです。膝には前額面上の機能はありません。そのため、膝を前額面上で動かそうとすると、脛骨内側顆及び大腿骨内顆を走行する腱(それらの腱は滑液包によって骨から離されている)を傷める傾向があるのです。 これらの腱はすべて膝を屈曲させるため、膝関節屈曲の終末可動域は非常に痛むでしょう。また、ここには伏在神経膝蓋下枝があるため、この神経の炎症により、膝関節前方や膝蓋骨の下に広がる膝関節内側の痛みを生じる可能性があります。 さっそく私は仕事に取り掛かりました。 片脚の膝を立てたハーフ・ニーリングになり、膝関節を前額面上に固定した状態で、股関節の大腿骨内転に取り組みました。 私は足部をチェックし、よくコントロールされた後足部の回内によってこの動きが適切に支持されていることを確かめました。 それから、夫と一緒に長い散歩に出かけました。散歩中、膝を屈曲させすぎないようにしながら、股関節を3つの面上でうまく動かすことに集中しました。 翌日、私の不快感は95%なくなり、(膝関節屈曲を多く含む)ピストル・スクワットを再開させました。 評価と認知は、バイオメカニクス的な不一致によって生じる痛みを本当に改善することができます。 自分自身―またはほかのだれかーの膝の痛みを評価するセラピストのために、あといくつかヒントを挙げましょう: 股関節と足部がうまく動いているか、そして膝が動かないはずの面に入ろうとしていないかを確認しましょう。 股関節をしっかり意識してゆっくり歩くことにより、膝関節及び足部に対する股関節の動作パターンをより良くすることができます。 痛みを打ち消そうとしないでください。身体の現在の許容範囲を自分に教えるためのガイドとして、痛みを用いましょう。 膝関節の滑液包に直接圧力をかけないようにしましょう。滑液包にはすでに十分な圧力がかかっています。触ると痛いからと言って、それをわざわざ押す必要はないんですよ! 膝関節内側の痛みを、『内側半月板の痛み』と呼ぶのはやめましょう。内側半月板は線維軟骨性で、侵害受容器(痛みの受容器)はほとんどありません。あなたや患者の不快感が強いのは、滑液包炎または滑膜炎が原因である可能性がはるかに高いでしょう。 膝関節やその滑液包、そして伏在神経膝蓋下枝の解剖学的構造を見てみましょう。滑液包炎は、10段階中最も高い10程度の痛みを示すかもしれませんが、その診断は深刻なものではなく、良い動作によって比較的簡単に改善できるものであることを理解しましょう。 評価及び修正を裸足で行うことを検討しましょう。足部のダイナミズムが膝の動作にどのように影響するか、よく見てください。 すべての診療評価ツールを駆使して、原因となるものを特定しましょう。膝や膝の痛みの症状以外のものに目を向けることを恐れてはいけません。おかしくなんかありませんよ!

キャシー・ドゥリー 2001字