エビデンスに基づいた臨床 - 好きですか、嫌いですか? パート2/2

どのような課題があるのでしょうか。(つづき) イエスかノーかの二者択一ではない もう一つの問題は、この“効果がある”という概念です。これは、フリクエンティスト・アプローチのような、仮説を受け入れるか拒否するかという考え方に由来していると思われます。簡単に言うと、2つの二者択一があるわけで、仮説を受け入れるか拒否するかで、効果があるかないかが決まるのです。 P値はこのような判断をするためにしばしば使われてきましたが、ありがたいことに、今回のような判断の目的にはあまり適していないので使われなくなってきました。P値は、仮説の正しさよりも、統計モデルの正しさについて示してくれます。統計情報は、それを生成するために使用された方法や、なぜ方法論は論文から得られた結論に大きな影響を与えるかという理由次第なのです。 データだけではない また、患者さんの話も、私たちが意思決定をする際に用いるべきエビデンスの重要な部分です。二重盲検法や無作為化法ではありませんが、私たちの助けを必要としている目の前にいる人の体験談です。患者さんの話は、患者さんの話の信頼性の低さを指摘するためによく使われる、彼らがどのような治療を受け、どれだけ成功したかということだけではないのです。 ひとつの論文ではなく数多くの文献を 腰痛を例にとると、このテーマに関するエビデンスは膨大なものになるでしょう。ですから、偏見を裏づけしてくれるようなお気に入りの論文だけでなく、上記のことも考慮する必要があります。こっちの論文がそっちの論文に勝るというのは、トップ・トランプのゲームのようなもので、EBPの本来の活用の仕方ではありません。 前へ進もう EBPを受け入れるか否かを決める前に、EBPとは何か、EBPは何を教えてくれるのかについて、自分なりの考えをまとめておく必要があるかもしれません。この分野における自分なりのアプローチや哲学は何でしょうか?おそらく、この分野や他の分野に関する個人の哲学は、時間をかけて自分自身の哲学を確立するというよりかは、他の人の哲学に影響されることが多いのではないでしょうか? 私の見解は?そうですね、EBPは、目の前の患者さんに対して確固たる答えを与えてくれるわけではありません。2週間後、6週間後、12週間後に何が起こるかを正確に予測することはできませんし、多くの場合、なぜ起こったのかという理由を正確に教えてくれるわけではありません。制御できないことや測定できない事はたくさんあります。しかし、より広い集団レベルで偏りの少ない方法であれば、問題に関する確率や見解を理解するのに役立ちます。自分の患者が反映されていそうなサンプリングが行われ、適切な方法が用いられていれば、何が最も起こりやすいかという予測やパラメータを得ることができるはずです。 統計学者がフィッシャースタイルの仮説検定から、信頼区間を重視した効果推定に移行しつつあるように見えるのは、まさにこのためです。また、私たち人間として当然持っている先入観をある程度制御するのに役立ちます!無作為化や盲検化などは、研究手法の批判として非常に無遠慮に適用されることがありますが、メリットもあります。 EBPが完璧でなく、またすべての答えを提供していないからといって、単純に否定されるべきではありません。それはまさに私たちをここまで導いてきた二者択一的なアプローチであり、EBPを受け入れるか否かは、答えではありません。もし、私たちがアプローチ方法や介入を試す立場でなかったら?と想像してみてください。リハビリの無法地帯になるでしょう。要は、EBPの本質とそこで問われているテーマに関する現在把握できる最良のデータを理解することを含んだエビデンスの賢明な使用に尽きるのです。エビデンスは、多くの場合、私たちに何をすべきかを正確に教えてくれないかもしれませんが、その価値は、何をすべきでないかを教えてくれることにあり、私はこのことに大きな価値があると考えています。 確実性ではなく見込み つまり、研究をベースにすることは、私に意思決定の出発点と絞り込みの方法を教えてくれます。研究を単に拒否してしまえば、理想的なヘルスケアとは決して言えない多くのでたらめなものに置き換えられてしまうのです。EBPはすべてに答えてはくれませんが、私が理解するにそもそもそういうものなのです。 私たちは、セラピーを、研究論文で予測されるような確定されたプロセスではなく、情報に基づいた試行錯誤であると捉える必要があります。研究は情報に基づいた部分であり、応用や結果はもう少し流動的で試行錯誤の部分が多いのです。 結論 このような議論では妥協点に落ち着くあたりに真実が存在するのかもしれません。研究やエビデンスを受け入れ過ぎたり、頼り過ぎたりすると、研究とは何かという大事な点を見失ってしまいます。しかし、完璧ではないという理由で研究を否定したり、効果がないと“証明”されていることが有効であるといった対極的な立場は、前進ではなく、むしろ後退することになってしまうのではないでしょうか。そうではなく、研究が何をもたらし、何をもたらさないかをよく理解した上で、研究を賢く利用することに立ち戻ろうではありませんか。

ベン・コーマック 2208字

スポーツにおいて子供たちを比較すべきではない理由

青少年のスポーツにおいて私が目にしている、憂慮すべきトレンドの一つに、最も年齢の若い子供たちが他の子供たちと比較されることがいかに多いか、ということがあります。これはスポーツへの参加を収益化するプログラムや、技能の向上や確認に責を担うコーチたち、そして自分の子供が落ちこぼれることを心配する両親たちの間で見られる問題です。 最終的にプロのアスリートになっていくであろう12歳の子供の発達過程に関わっていることから、私はこの問題について話をするにあたってある意味ユニークなポジションにあります。そして、更に重要なことに、私は3人の娘の父親でもあります。年長の2人、リディアとアディソンは7歳の双子です。 双子の両親として学ぶ最も重要なレッスンは、人々は常にとんでもなく陳腐な「ダブルトラブル」という言い方を面白いと思って使うということ。それを一旦やり過ごせば、2つめのレッスンは、より実行可能なものです:双子同士を決して比較してはならないということ。 これは彼女たちが子宮内にいた時でさえ明白でした。私達が超音波の診察に行くと、リディアはど真ん中の前側にいて、私達は彼女の顔はガラスに押し付けられているよねとジョークを言っていたくらいでした。一方で、常に「隠れている」アディソンを見つけるのには、技師の力と時間を要する必要がありました。ある時の超音波検査では、彼女の足の裏しか見えなかった時もありました。 彼女たちが生まれた時、オリーブ色の肌でブルネットのリディア(彼女の母親似)が出てきて、ストロベリーブロンドで色の白いアディソン(父親である私同様サンバーンしやすい肌)が出てきました。 リディアは泣き叫びながら世界を相手に戦う準備をして生まれてきました。アディソンは、少し苦労して、NICUで酸素供給と栄養チューブをつけたまま4日間過ごす必要がありました。リディアは元気いっぱいな赤ちゃんで常に母親を求め、アディソンは超メローで、母親がリディアを抱っこしている間、通常は父親の腕の中にいるような赤ちゃんでした。 18ヶ月になった時点で彼女たちは入れ替わりました。リディアはルールに従う子になり、アディソンは態度が悪くなってきたのです。リディアは、私達が用意した食べ物はなんでも食べましたが、アディソンの味蕾は、約5種類程度の食べ物以外の存在を認識することを拒否していました。 リディアはアディソン(少し背が高く体重も重かった)よりも5ヶ月早く歩き始めました。アディソンはリディアよりもスイミングをより早く覚えました。リディアはバットを右利きで、アディソンは左利きでスイングします。アディソンがまだサイトワード(一文字ずつ発音しなくても見た瞬間に認識できるようにしておくべき基本単語)を覚えている間に、リディアは本を読み始めました。これに対してアディソンは、リディアよりも数学が得意でした。 リディアはより速く、アディソンはより強い。リディアは意図を持って傾聴し、テニスやソフトボールや体操のような、より「徹底したコーチング」スポーツを選択しました。これに対してアディソンは、ソフトボールの試合のフィールドなどではボーッとしていて、草を蹴りながら隣のフィールドを眺めていましたが、音楽やアートやダンスといったクリエイティブなことにおいては本領を発揮していました。 私は、アスリートを発達させることを仕事としています、そして躊躇うことなく言えるのは、私の子供たちが来週楽しんで行うのはどのスポーツなのか、更に今から何年も先に楽しむのは何なのかなんて、全くわからないということです。私達の双子は、受胎から今までの人生を99%ともに過ごしてきていますが、今の彼女たちは全く異なっていて、彼らが現在のポイントに至るまでに数々の予測不可能なことの繰り返しを目撃してきています。 私達はスポーツでの成功をうまく予測することもできません。私達は、子供たちがどのスポーツを楽しむのかさえも予測できないのです。どれだけ多くのプロアスリートたちが天才児とか中学レベルのスポーツで目立つような存在でなかったか、皆さんは驚かれるでしょう。現実として認めましょう:思春期は数多くのコーチたちを実際よりもより賢く見せてくれるものです。 言い方を変えるなら、私達にコントロールできる「唯一」のことは、彼らがスポーツに参加している際の、彼らの経験をより豊かなものにすることだけなのです。何が効果的なのか? まず最初に、結果よりも努力を讃えること。チームメイトや友達と何かを行うことに起因する楽しさと、その反復が、重要なことです。私の指導するリトルリーグのゲームから、ある特定のスコアを伝える話はできませんが、物事を深刻に受け止めすぎる嫌なコーチについてなら本を書くこともできます。振り返ってみれば、このコーチは野球に関してもあまりよく理解していなかったようです。 2つめに、目新しさを賞賛すること。新しいことは、子供たちをワクワクさせ、また若い年齢で様々なスポーツに参加することは、後に特化したスキルを構築することができるかけがえのないアスレチックな基礎を培う固有受容感覚の豊富な環境を提供します。この幅広いアスレチックな基礎は、運動面における多様性、動きのスピードと関わる力などを含みます。これらの経験が合わさることで、アスリートに複数の関節にストレスを分散することや特定の部位のオーバーユーズ障害を避けることを教えてくれるのです。 3つめに、スキル獲得に関しては、ランダムな練習は長期的にブロックされた練習よりもより良い結果を生み出すことを理解すること。様々なドリルを組み込んで、それらの順番や継続時間を変化させて、そしてそれらを楽しい競技にまとめていくようにします。 4つめに、インシーズンとオフシーズンの期間を認識すること。このシーズンの変動は、子供たちが特定のスポーツに退屈してしまうことを防ぐのみでなく、ストレス因子に対する段階的な露出も促進することになります。10歳児が、年間12ヶ月間野球のボールを投げ続けるというのは、とんでもないアイデアです;異なる方法での発達を促しつつアクティブな状態を維持するためにサッカーやバスケットをプレーするのは素晴らしい方法でしょう。 5つめに、子供が十分に成熟をしてきたら、できるだけ早めに基礎的なストレングストレーニングプログラムに参加させるようにすること。これは彼らの怪我のリスクを低減させるとともに、様々なアスレチッククオリティに「徐々に浸透する」効果を持つことでしょう。ここでも、他の全てのことと同様に、楽しいものである必要があります! まとめとして、子供たちを比較しないこと;比較するのではなく、彼らは皆それぞれにユニークで、異なる方法で、異なるスピードで発達するということを理解します。青少年のスポーツは、ゲームへの情熱を吹き込み、コミュニティの感覚を楽しみ、エクササイズとの生涯を通したポジティブな関係性を育てることに尽きるのですから。

エリック・クレッシー 2947字

機能的動作の評価…わたしたちは一体何を評価しているのか? パート1/2

動作のスクリーニングは、フィットネスコーチたちが彼らのクライアントに合った運動を処方し、トレーニング中に怪我をする可能性を減少させることができるという期待から、フィットネス業界にとって不可欠なものとなっています。 この記事では、実際のスクリーニングの適用、そしてトレーニング前にスクリーニングを介入し高リスク要因を特定する方が、点数化されたリスク要因なしでトレーニングするよりも良いのかについて分析します。 怪我のリスクを強調するよりもむしろ、安全で効果的なエクササイズ処方を導くことに主眼を置いていますが、動作の質の評価が運動の現場において重要な役割を果たすという別の見解も提示したいと思います。 わたしたちが本当にスクリーニングしているものは何か? スクリーニングは、ある個人がある病態特有の症状を示す前に、その病態を特定するために用いる戦略を説明してくれます。 しかしそれが機能するためには、観察された機能不全と関連する怪我との間に明らかな関係性があり、早期発見が可能な段階がなくてはなりません。また、機能不全を修正するためのトレーニングを行うことで、傷害発生の可能性が低くなるということ、そしてその機能不全には早期の介入が必要なのか、またはトレーニング周期の後半で介入すればよいのかについても示す必要がありますが、いずれも複数の系統的文献レビューによるエビデンスで強く支持されているものではありません。 ある人の動き方がその人の怪我のリスクに影響するというのは論理的に思えますが、怪我のメカニズムは非常に複雑で多因子的です。 身体の組織にかかる物理的負荷が、その組織の負荷に耐える能力を上回ったときに、怪我が起こります。急性の怪我の場合、この能力は内在的及び外在的要因が出会うところであり、それらの要因が、特定の行動またはタスク中のある瞬間に、組織の負荷を調整する能力を圧倒してしまうのです。 ランナーのハムストリングスの怪我を例にとってみましょう:ランナーがハムストリングを損傷する可能性は、筋力、可動域、持久力、現在の行動(例えばハイスピードでのランニングや方向転換)、彼らの急性または慢性疲労の度合い、神経筋の協調性、バランス、動作の質、そして左右非対称性などの外在的要因が重なって決まります。そして、年齢、性別、過去の怪我など、トレーニングの影響では変えることのできないものが、アスリートの内在的要因にあたります。 上の表は、上記の要因を用いた受傷リスクの仮想ピラミッドです。これらの要素は、単独では怪我にあまり寄与しませんが、組み合わされることによって怪我のリスクがより高くなります。あなたのアスリートにこれらの要因を積み重ねれば積み重ねるほど、怪我のリスクは高くなるのです。 『怪我のリスクのスクリーニング』から『エクササイズ処方を提供するための動作の質評価』への移行 人間の健康状態の大部分は複雑です。スポーツ傷害の多因子的で複雑な特性は、単独因子と予測因子間の線形相互作用からではなく、網目のように存在する決定因子同士の複雑な相互作用から生じるものです。 (論文はこちらへ) したがって、怪我のリスクの単独因子をスクリーニングしてそのリスクを防ぐ行為は、機能不全を解決することなく、あなたを再発のループに陥れてしまうでしょう。 ご覧の通り、上にあるのが発生する怪我、下にあるのが怪我の発生を左右する様々な影響です。単独の要素(例えば臀筋の弱さや動的な膝関節外反)をスクリーニングしてトレーニングし、それらを要素のウェブ(決定因子)に戻せば、通常のトレーニングやスポーツを再開したとたんに怪我が再発することは免れないことがおわかりでしょう。 動作の質の重要性 良い動作の質とは、バランスと協調性をうまくとりながら基本的な動作を遂行することによって定義されます。逆に、動作の質が悪いというのは、一般に正しいとされる理論的基準に従ってこれらと同じ動作課題を達成できないということです(例:ランジ中の過剰な膝関節外反)。 最適なテクニックを優先することは、エクササイズプログラムを処方し提供する際、コーチたちの重要な考慮事項です。不十分なテクニックでエクササイズを継続して行うことは、望ましくない運動パターンや筋肉の不均衡、そして姿勢の偏向の発展につながる可能性があり、それらはすべて危険因子を増加させ助長させるものです。

ファンクショナル・トレーニング・インスティチュート 1868字

機能的動作の評価…わたしたちは一体何を評価しているのか? パート2/2

動作の質のスクリーニングがどのようにエクササイズ処方を導くのか? すべての動作評価ツールは、一つの重要な類似点を共有しています:それらは基本的な動作を評価し、動作の質の尺度を提供しています。少なくともこれによって、ワークアウトのルーティンに参加するまたはそれを始めるための能力水準を得ることができます。そして、コーチは、その人が特定のエクササイズやほかのエクササイズのバリエーション、さらに後々その他のより複雑なエクササイズを行えるようにするために必要な補足的運動を行うのにふさわしいかを見なすことができるのです。 まず最初に、アスリートが何をよくできて、何をあまり上手にできないのかを特定することが重要です。 しかし、動作の質の評価は、エクササイズの現場においてさらなる価値を提供します。 ワークアウト中に動作の質を評価することは、個々の関節、筋肉、動作評価からは得ることのできない情報を提供してくれます。疲労やより重い負荷、神経筋制御、異なるレベルの注意力などの中で、動作の質がどのように持続されているのかがわかるでしょう。この評価データから、コーチは機能不全をより深く理解し、適切に自信をもってそれを防ぐことができるようになります。 例えば:スクワット中に膝関節が外反するクライアントが、初期の評価中では非常に軽度の外反しか見られなかったのに、トレーニングでは、そのアスリートがある疲労度に達すると、膝関節外反が増加し高リスクな機能不全になることに気が付きました。ここから、その機能不全がフィットネスの問題、あるいは筋持久力の問題に絞られ、それらの問題が、低衝撃で最大酸素摂取量を改善するためにロウワーを使用した付加的なHIITを追加し、筋持久力のためにウォールシットを加えることによって阻止できることがわかりました。そうではなく、もしわたしたちがただ初期の評価だけを用いれば、そのアスリートは、問題点はフィットネスの欠如の中にあるかもしれないのに、筋力及び神経筋制御を改善するための「膝関節内側」修正エクササイズを永遠にプログラムされてしまうことでしょう。 動作の質を評価し、エクササイズ処方を提供するための簡単な思考プロセスは次のとおりです: アスリートが現在良い動作の質で行うことのできる動作をリストアップし、それらの動作を漸進的な過負荷によりトレーニングする。 アスリートが現在良い動作の質で行うことのできない動作をリストアップし、それらを機能的動作の目標に向けて漸進させるような介入を設定する。 基本的な人間の動作全体で質の高い動作が達成されたら、機能不全が再び生じる前に、どこにある何が限界点なのかを見出すためにトレーニングをきつくすることができる。それによって再発は指摘され阻止されることになる。 アダプティブ・(適応可能な)トレーニングシステムへの適用 FTIのアダプティブ・(適応可能な)ファンクショナルトレーニングシステムにより、コーチたちは、簡単に期分けをしたり、彼らのクライアントに安全で効果的なワークアウトプログラムを案内することができます。 それは5つの柱からなる漸進的なシステムによって機能します。初期の動作の質評価から始め、そこからコーチは、パフォーマンスのためにプログラムする動作と後退させる動作とを強調させて、質の向上を目指すことができます。 1つ目は、「機能及び動作の可動性の回復」の柱です。これは、クライアントが動作の質の基礎能力を達成するために必要な、すべての補足的運動をプログラムすることです。 そこから、2つ目の柱は「自重の適用」、アスリートに外部荷重なしで基本的な動作の実行を教えます。 第三の柱は、「負荷をかけた動作」です。アスリートがすでに十分できる動作で彼らをトレーニングするのはもちろん、彼らがあまりできない、まだ負荷をかける準備ができていない動きにも取り組むところです。 第4の柱は、「筋力とパワーの発展」です。良い動作の質が達成されたら、その動作パターンは漸進的な過負荷によって進展させることができます。第4の柱では、動作の質の評価で、ある関節内の弱さや、トレーニング量の増加や疲労などに対し彼らがどのように良いテクニックを維持して行うかというような、初期の評価では見つからなかったかもしれないさらなる問題が浮き彫りになるでしょう。 第5の柱は、アスリートを「運動制御及び複雑性」へと導きます。アスリートが無意識で有能に基本動作をできるようになったら、今度は複雑なバリエーションを実行することができます。これにより、神経筋制御の問題を浮き彫りにすることができます。その問題は後で改善させるために書き留めておきましょう。 このアダプティブ・(適応可能な)トレーニングモデルによって、アスリートが上手にできることや向上させるべきこと、そしてアスリートが潜在的な怪我を避けるためにさらに取り組むべき部分を絶えず評価すると同時に、あなたの得意な部分や改善の必要な部分もさまざまなトレーニングの側面を通して漸進させることができます。 まとめ スポーツ傷害の多因子的で複雑な特性は、単独因子と予測因子の線形結合によって生じるのではなく、組み合わされた複数の要素の相互作用によって生じます。そのため、動作の評価は、単純に怪我のリスクを点数化して、トレーニングでその点数を改善させようとするための最良のプラットフォームを与えるものではないかもしれません。 その代わり、エクササイズの現場における動作の評価は、アスリートがパフォーマンスや修正処置が必要なエクササイズ、そして適切な修正処置の性質を特定するために取り組むことのできるエクササイズをプログラミングするためのデータを提供してくれます。この情報は、エクササイズ処方を導き、トレーニングの安全性を高め、長期的な機能的効果及びパフォーマンス成果を向上させるために使うことができます。

ファンクショナル・トレーニング・インスティチュート 2503字

股関節置換手術に関する全てのこと

両側の股関節全置換手術を経験しているストレングスコーチ、ダン・ジョンに届いた質問に対して彼が自分自身の経験をシェアします。痛みの要因も手術後の状況も個人差があるのは当然ですが、参考になるポイントは必ずあるのではないでしょうか?

ダン・ジョン 4:37

評価において重要な追加10項

しばらく前に私が書いた「評価において重要な10項」という記事は、その年の最も人気のある記事の一つでしたー今回はその続編です!頭に浮かんだいくつかのことを書いてみます。 1.トレーニングと同じように、アセスメントもより専門的になってきている スポーツパフォーマンス、そしてパーソナルトレーニングの世界までもがより専門的になるにつれ、わたしたちがクライアントに用いるべきアセスメントは、目の前にいる人々に正しくマッチさせたものである必要があります。例えば、ローテーターカフの筋力テストは、野球の投手にとっては大きな意味を持ちますが、サッカー選手にとっては比較的重要ではありません。バスケットボール選手にとってのシングルレッグ・スクワットテストの結果は、カヤック選手にとっての結果よりもより重要なものとして”重きをおく“でしょう。クライアントの目標と彼らの競技の機能的要求ーの両方が、どのテストを行うのか、そしてその結果をどのように評価するかという観点からアセスメントを導くのです。 しかしながら、すべてをテストすることはできないという難点があるため、優先順位をつけることが重要です。もしこの世のすべてのアセスメントを使用したら、評価は一日中続きーそして一つのセッションを丸ごと費やして誰かの問題点をすべて指摘することになるでしょう。私はそれよりも、信頼関係を築くためにこの時間を使いたいですね。 VO2maxテストは、たとえ野球選手の有酸素能力をいくらか明らかにする可能性があるとしても、私の野球選手の優先事項においては優先度が高いものではありません。恐らく、安静時心拍数をさっと測定することにより、必要な情報を同じくらい簡単にーそしてはるかに手ごろな金額でー得ることができるでしょう。 2.良いテストは、好ましくない結果が出たらすぐにもっと有効な再テストを提示してくれる アセスメントによって、ある人の動き方で間違っているまたは正しいかもしれない部分を垣間見ることができます。もっと重要な質問は:どのような介入が違いを生むのか?前方にカウンターバランスを与えると彼らのスクワットパターンは改善するか?コアの動員をいくらか追加すると彼らの股関節内旋は改善するか?マッサージ・セラピストが斜角筋に取り組むと、彼らの肩の痛みはなくなるのか? セレクティブ・ファンクショナル・ムーブメント・アセスメント(SFMA)(によるスクリーニング・)システムの一つの信条は、常に機能不全で痛みを伴わないパターンから始めるということです。どのような介入が、痛みのない領域における異常な動きを整え、“楽な”適応を生み出すのでしょうか?これは私たちの動作のレパートリーを広げるだけでなく、アスリートやクライアントの積極的な取り組みも促進してくれるのです。 3.ムーブメントスクリーンを行う際には、必ず最初に徹底的な既往歴及びクライアントの“問診”を行うこと 参加前に行う評価がトレーニングでのけがの可能性を劇的に低下しうるということは、誰もが賛同するところだと思います。そして、この評価で最も重要な部分は、動作スクリーンの部分を始める前に行う既往歴及び彼らとの会話であると私は考えています。 例えば、外科的治療を受けていない深刻な肩関節前方不安定性の既往歴のある、関節過可動の女性クライアントがいると想像してください。もしあなたが徹底的に書類を確認し、彼女と詳細な会話をすれば、肩関節外旋を含む動きには注意が必要であることがすぐにわかるでしょう。しかし、もしそのような導入作業をしなければ、基本的な肩関節外旋可動域の検査をして、彼女の肩をひどく脱臼させてしまうかもしれません。 まとめ:書類が第一次に会話、動きは三番目! 4.痛みや低い運動能力のために特定のテストを実行できない人たちには、アセスメントを退行させる 私は胸椎の回旋を評価するのに、Titliest Performance Instituteのスクリーンー腰椎をロックした状態での回旋―を使うのが好きです。しかしそのテストでは、被験者は膝を大きく屈曲させなければなりません。そのため、大腿四頭筋が極端に短縮している人―あるいは人口膝関節置換術を受けてその動きを永久に失ってしまった人がいる場合、これは確実なテストではありません。 そのような人には、座位での胸椎回旋スクリーンを行った方がよいでしょう。 確かな経験則として、一般的なスクリーン(関与する関節や運動制御の課題がより多い)には、特定のアセスメント(関与する関節や運動制御の課題がより少ない)よりも多くの代替案が必要になるでしょう。ですから、アセスメントのアプローチに目を通しながら、物事が計画通りに行かない場合にどのようにテストを退行させるか検討し始めましょう。 5.アセスメントの手段として、トレーニング・テクニックを評価することを見逃さない 痛みやパフォーマンスに悩む人(まさにすべての人ですが)のほぼすべての評価において、私は彼らがよく行っているエクササイズのテクニックを見ます。投手であれば、腕のケアのためのエクササイズ、またはブルペンでのビデオでしょう。パワーリフターであれば、スクワット、ベンチプレス、またはデッドリフトのテクニックかもしれません。アセスメントのプロトコルをどれだけ完璧にしても、彼らが実際にトレーニングするのを見ることから得られる特異性を完全に提供することは決してできないでしょう。 6.人に恥をかかせるためにテストを使わない 先述のポイントの延長ですが、もしその人があるスクリーンでひどく失敗することがわかっているならば、そのテストをするのはやめましょう。もし200パウンド(90.7㎏)痩せたいという350パウンド(158.8㎏)の女性がいるとしたら、彼女は腕立て伏せのテストはあまりうまくできないでしょう。彼女の上半身の筋力及びコアの安定性が、彼女の体重を扱うには十分でないことは推測できますよね。 私が繰り返し思い出すのは: 「アセスメントとは、信頼関係を築き、あなたが気にかけていることを示すチャンスである。誰かに不可能なテストを連発することは、相手に自分は無力だと感じさせてしまうだけである。」 7.緊張をよく見る これは、私がこれまで見た中で最高のマニュアルセラピスト(徒手療法治療家)の一人であり、私のビジネスパートナーであるシェーン・ライ氏のそばで時間を過ごしてから、ここ数年より注意深く見るようになったことです。彼は人々の動きを見て、その人がどこに緊張をため込む傾向があるかを見抜く達人です。例えば、ローテーターカフの筋力テストをするときに歯を食いしばることや、またはアクティブ・ストレートレッグレイズを測定しているときに拳を強く握りしめることなどです。付帯的な緊張の変化を観察することは、あなたの徒手療法施術で最大の利益を得られる場所―そしてトレーニング中どのように指導方法を変えればよいかについて垣間見ることができます。 8.アセスメントの最良の成果とは、実はより精密なアセスメントへの紹介かもしれない 少なくとも年に一度、私はアセスメントを引き受けますがートレーニングをせずに、彼らを精密検査に送ります。それは大抵、実際にとても“病的な”何かが見られ、彼らとワークアウトを始める前に医療専門家に診てもらった方がよいと感じるからです。頻繁に起こることではありませんが、私は目の前にいる人を助けるために、私よりも他の人の方が装備が整っていると感じたときは、“委ねること”を決してためらいません。 9.体重についての彼らの言葉を鵜吞みにしてはいけない 以前、ある身長6フィート8インチ(203.2㎝)の投手が、自分の体重は235パウンド(106.6 kg)だと言ってきたことがあります。翌日、彼は部屋に入ってきて言うのです、「コーチ、今朝実際に体重を測ったら、253パウンド(114.8 kg)でした」。身長6フィート8インチ(203.2㎝)、体重253パウンド(114.8 kg)の青年における18パウンド(8.2 kg)は、110パウンド(50.0 kg)の14歳女子における18パウンド(8.2 kg)ほどは大きな体重比ではありませんが、それでも彼が感じることさえなく18パウンド(8.2 kg)という重さを勘違いしていたことからは、いろいろなことがわかります。それは、身体認知が低く、栄養制御が不十分(間違いなく良い18パウンド(8.2 kg)ではない)なアスリートのサインです。ただ尋ねるよりも、計測した方がよいですよ。 補足:これが適用されるのは男性アスリートのみです;明らかな理由により、私は女性アスリートの体重は絶対に測定しません。 10.綿密なメモをとる 私はよく、長期のクライアントに関するメモを振り返り、彼らの動き(そして処方されたトレーニング)が何年にもわたってどのように進化してきたかを見ることがあります。これは、私があまり詳細にメモをとっていなかったらできないことでしょうーわたしたちは自分たちのビジネスに持続可能なシステムを作り出したいと考えているので、向上するために私は常にこのことに努めています。 従業員の異動により、クライアントのプログラミングの責任が他のスタッフに移されることもあるでしょう。スポーツ医学の専門家は、わたしたちのメモのいくらかを元に取り組みたいと思っているかもしれません。チームや代理人が、わたしたちが選手について発見したことや、それらにどのように対処する予定かという情報が欲しいこともあるかもしれません。文書で記録すればするほど、こうしたコラボレーションが必要な状況により備えることができるでしょう。 ですが最も重要なことは、クライアントのために新しいプログラムを作成するときはいつも、彼らの評価フォームと以前のプログラムをコンピュータ上に開いておくということです。私がはじめに気付いたことを確かめ、それを最新のプログラムと並べて、わたしたちの進捗を確認するためです。このような記録のおかげで、わたしたちの施設だけでなく、国内外にいる何十人ものアスリートに対してプログラムを作成することができるのです。

エリック・クレッシー 4289字

アナトミーエンジェル:股関節圧縮

股関節は、三軸関節で膨大な動きのポテンシャルを持つ球関節です。大腿骨(腿の骨)が、寛骨臼(骨盤のランドマーク)と関節を形成し、股関節は屈曲、伸展、外転、内転、内旋、外旋へと動きます。 健康で適切に動くシステムにおいて、股関節は空間で動くにつれて自然に圧縮し減圧します。 歩行において下肢がスイングをすると、股関節は自然に圧縮します。サスペンションでの十分な圧縮に向けて、ヒールストライク(踵接地)において股関節は減圧します。この段階は股関節の屈曲、内旋、内転あるいは十分な圧縮を伴います。 このアクションは、数多くの筋肉によって引き起こされますが、健康な股関節においてはその2/3が中臀筋によるものです。 サスペンションからプロパルジョン(推進)へと動く際、股関節は伸展、外旋、外転へ向かうために減圧されなくてはなりません。 ここに問題があります。人々は、数々の理由からこの移行にかなり苦労をするのです。よくあるいくつかの要因は下記のようなものです: 右側の腹部安定性不足 回内時の踵骨の外反不足がプロパルジョン(推進)への移行を制限する 大臀筋のような股関節の推進にかかわる筋群の活性不足 転倒や事故などにより大腿骨が内旋し内転したポジションに押し込まれている これらの要因は、左右非対称な横隔膜/肝臓の位置から右手の優位性、そして一日中座るというような全てのことに関わっています。 これは股関節の間違った運動パターンという結果となり、関節を圧縮されたポジションで維持してしまうこともあります。 関節を十分に減圧することができなければ、股関節はモビリティに飢えることになります。また栄養や潤滑にも飢えさせてしまうことにもなります。 これが、鼠蹊部から股関節外側そして臀筋群へとアルファベットの「C」の形状の痛みという結果となる人たちもいます。彼らが、この「C」の形状を描くように説明すると、私はいつも「圧縮」ということを考えます。その人が前に向かって推進するための股関節の減圧が十分できないために、痛みは歩行によってより悪化することもあり得ます。 また痛みは、足関節の底屈を伴って股関節が適度な屈曲をする座位やしゃがむ動作を過剰に行うことでも悪化するかもしれません。 その人は、股関節の詰まった感覚を解消するために、下肢を単に引っ張ってほしいと周りにいる人誰彼なく懇願するでしょう。 でも引っ張ったりしないでください。 その人が転倒やトラウマ的外傷を経験したのでない限り、股関節の圧縮は間違った運動パターンの結果であり、骨盤から下肢を引っ張り出すようにしたとしても改善されるものではないのです。 最も多くの場合において、股関節は緊張に欠けた腹部のために安定性を生み出そうと試みて圧縮をしているのです。このエネルギー漏れに取り組むことなく股関節を引っ張れば、引っ張ることをやめた途端にその人は、更に股関節が詰まるような可能性を生み出そうとするでしょう。 グレイ・クックは、これについて「スタビリティの問題にモビリティを持ち込む」と呼んでいます。 緊張に欠けた腹部は、大腿骨と骨盤をつなぐ股関節内転筋である恥骨筋のような筋肉を動員して更に股関節が圧縮されたポジションを促進します。 この内旋し内転した股関節は、深部に位置する閉鎖筋をエキセントリックに伸長した状態でロックし、表層の臀筋の機能を下行制御する病理学的圧縮を生み出すようになります。 結局のところ閉鎖筋はより関節に近い位置にあるわけで、位置を感じとるシステムとして他の臀筋群に「圧縮は私達がここでやってますから。あなた方が健康的な圧縮(中臀筋)や、減圧(大臀筋)をする必要はないですよ。」と伝えます。 というわけで、より表層の臀筋の機能による健康的な股関節の圧縮と減圧が、関節表面により近い位置にあるサイズの小さい、やる気がありすぎる安定させるための筋肉群による不健康な圧縮とトレードされてしまうわけです。 お願いします。お友達や家族に股関節を引っ張ってとリクエストするのはやめてください。あなたは、更なる圧縮という結果を引き起こし得る長期的な不安定性を生み出しているのです。そして圧縮が強くなればなるほど、骨関節炎的変化へとつながり得るのです。 私のYouTubeページでは、ハーフニーリングやデッドリフト、ケトルベルスイング、3面的安定性、プロパルジョン(推進/股関節減圧)そして腹部と臀筋群の活性化ドリルを紹介しています。 どのドリルが自分自身に適しているかわからないかもしれませんね。もし痛みを感じているのであれば、分析に加えて治療も必要となるかもしれません。 もしあなたがこの問題を経験しているのであれば、腹部のエネルギー漏れそして股関節の圧縮の要素に関して、この通りの順番で取り組むことができるムーブメントスペシャリストを訪問してください。 いつも通り、どうするかはあなた次第です。

キャシー・ドゥリー 2151字

あなたの姿勢をリセットする

姿勢は反射的なものです。実に姿勢は、あなたの神経系の状態を表現しています。また、姿勢は動的なものでもあり、あなたがしていること、考えていること、そして感じていることに応じて刻々と変化します。つまり、姿勢はあなたが保持する体勢ではなく、あなたが表現する体勢なのです。これはまた、真の姿勢には認知的努力が関わらないということも意味します。 では、“姿勢の悪い”人はどうでしょうか?というか、彼らの姿勢は本当に悪いのでしょうか?または、彼らの身体が通常行うことにおいて、それは最適な姿勢なのでしょうか?もし後者であれば、彼らの悪い姿勢は実際には良い姿勢ということになります。あなたが悪いと判断するであろう姿勢は、彼らが生きてきたライフスタイルにとっては最適なのかもしれません。 しかし、もしある人が自分の姿勢を改善したい、またはより美しく見えるようにしたいと思っているならどうでしょう?従来、このようなことを望む人は、認知的努力を用いて自分が適切だと信じる体勢を保持しようとします。これには二つの問題があります: それには多大な精神的エネルギー及び注意力を用いる相当な認知的努力を要します。真の姿勢は反射的なのですから、認知的努力を用いて望ましい姿勢を達成することは非常にストレスがたまるでしょう。 姿勢を一定に保つには、安定筋が姿勢を流動的に“保持”しながら主働筋が動くべき場面で、主働筋群に求められる姿勢を保持させるのが一般的です。これもかなりのエネルギーを必要とします。主働筋群は安定筋群よりもはるかに速く疲弊します。 壁に背中をつけて“完璧な”姿勢を見つけ、その姿勢を壁から離れてからも保持しようとしたことはありませんか?あなたの意識が集中を欠くまで、あるいは筋肉がその姿勢を保持することに疲れてしまうまで、どれくらいこの姿勢を保っていましたか? それでは、どのように姿勢を変化、あるいは改善するのでしょうか? もし日常生が強く求めていることを超えて姿勢が改善されるべきなら、その日常生活を変える必要があるかもしれません。例えば、ある人が毎日8時間以上椅子に座って過ごし、あまり身体活動に取り組んでいないとしたら、なぜその人が槍投げや100メートル走に最適な姿勢を必要とするでしょうか? 日々の生活を営み、頻繁に動くことは、実際にその人の姿勢を変え始めるでしょう。日々の生活の中で生命と共に動くということは、それに適応すべき筋力の要求や身体の使い方を要求します。これだけでも姿勢の変化をもたらすことができるのです。 また、頻繁に四つ這いになることで姿勢の”リセットボタンを押す“こともできるでしょう。子どもの頃にしたように四つ這いになることは、実は完璧な頸椎及び腰椎のカーブを整えてくれるものなのです。手と膝をついて前後に揺らす/ロッキングする、または子供のように手と膝をついてハイハイ/クローリングをすることは、反射的に”完璧な”直立姿勢を構築します。このような運動は脊柱のカーブを再構築し、動作に関わる筋群が身体を動かす方法を学ぶ一方で、安定筋群に脊柱を維持する方法を教えてくれるのです。重要なのは、頭と視線を水平線上に“上げて”保つことです。 実際のところ、より良い姿勢や今とは異なる姿勢を望むのであれば、身体のデザインに取り組むことによって身体に要求しなくてはならないのです。頻繁に動くことや頻繁に床の上で動くことは、身体が反応してくれる”要求”です。ロッキングやクローリングは、神経系に栄養を与え、身体のすべての動くパーツがどこにあるかを脳に思い出させます。これらの運動に頻繁に取り組むことにより、最終的には、認知的努力なしで、望ましい体勢の達成のために誤った筋肉を使うことなく、身体は美しく流動的な動的姿勢を表現し維持することができるようになるのです。 ロッキングやクローリングはまた、気分をリセットするのにも役立ちます。あなたの感じ方や気分は、あなたの思考や姿勢に影響を与えます。これらの二つの運動は、精神や感情を落ち着かせ、その結果あなたの姿勢をより流動的で動的なものに解放してくれます。気分が良くなればなるほど姿勢も良くなり、そして姿勢が良くなればなるほど気分も良くなるのです。 繰り返しになりますが、姿勢はあなた、そしてあなたが生きている人生の反射的な表現なのです。もしあなたがそれを変えたいまたは改善したいのなら、つまりあなたが自分の生きている人生を改善したいのなら、姿勢のリセットボタンを押しましょう。 一日二分間、手と膝をついてロッキングしましょう。行うときには、頭を水平に保ち、視線は水平線上を見上げましょう。背中は“平らに”維持し、丸まらないようにしましょう。 そして、またあるいは、一日二分間床に手と膝をついてクローリングしましょう。ここでも同様に、頭は水平に上げたまま、下がらないようにしましょう。 これら2つのシンプルな運動で、姿勢をリセットすることができるのです。思いがけない方法で、人生の多くのことをより良い方向にリセットすることにつながるかもしれません。 でも、単に私を信じないでください。体験してみてください。一日二分間、できれば一日二回、ロッキングしてみましょう。一日二分間、できれば一日二回、クローリングしてみましょう。これを30日間行ってみてください。私が言っていることが本当かどうか、あなた自身で見つけてください。姿勢は保持するのではなく、思い通りに表現するのです。

オリジナルストレングス 2306字

「休息をとる」&「活動を維持する」と言うアドバイスが両方とも少し的外れかもしれない理由

以前は、ベッドレストは腰痛の治療の重要な一部であり、実際に多くの人がいまだにそうだと信じています!今はガイドラインとなるアドバイスは「活動を維持する」であり、休息は古い考え方で、一部の臨床医にとっては「悪い」ものでさえあるように思えます。 筋骨格系の痛みや怪我の分野は、非常に速く二極化することがありえます。もし、あるものが優れていないとなれば、それがそうではなくとも、すぐに劣っているということになってしまいます。例として体幹の安定性のエクササイズのことを考えると、それは筋骨格系の断崖から奈落へと落ちて行ってはしまいましたが、それについての注釈が無意味であったとしても、依然として他の腰痛を治療する方法と同じように効果があるものです。 そのため、休息をとることと活動を維持するというアドバイスは共に、おそらく一概的に決めつけた発言のように少し価値のないものかもしれません。臨床医の役割の一つは、人々が自身の痛みをより深く理解し、そしてうまく管理することを助けることであるべきです:この人の個々の症状や制限は何か?同じように分類されたとしても、全ての腰痛が同じではありません。これは、もちろん新事実でもなければ、特に新らしい情報ではなく、Maitlandによる「悪化要因」は今でも痛みの問題を理解し、また人々に自身の痛みの問題を理解させるための重要な要素です。 このような実際に問題を悪化させるものを明確にすることで、私たちは、それらからはもう少し休息とり、一方で問題をそれほど悪化させることのない他のことにおいては活動を維持することができるかもしれません。これは、本来は私の思う基本的な常識以上のことではないのですが、多くの人々がしっかりとした分析なしに休息をとるか、または痛みのあることをやり続けるよう言われていることを考えると、この常識は時折欠如しているのかもしれません。 例 例として、私は最近、ジムのセッション後の夜に悪化する坐骨神経痛の痛みのひどい人を受け持ちました。明らかに、これを続けることは問題であり、ある程度の休息は理にかなっているように思えました、少なくとも私には。より大きな問題の一つは、心理的な対処の観点からは、完全な休息は本当の選択肢ではないことであり、これは一部の非常に活動的な人たちにとってはそうなりえるものです。ここでは、悪化させないように強度とボリュームのレベルを下げるという目標を絞った方法が役に立ち、一方でその人に運動も続けさせ、(適度に)満足させます。時には、頑固/永続的な習慣は非常に根深く、これは完全な休息を基本とした方法に対して難しいものになるでしょう。 ガイダンス もしかしたら、ここがガイダンスの必要とされるところであり、悪化するものを監視して順応させるためのツールを人々に与えることで、問題に対処するための彼らの能力(そして自身に対する自信)に大きな影響を与えることができます。繰り返しになりますが、これは新しいことではなく、90年代のIndahlの文献まで振り返ると、問題や痛みに対処することについての基本的な情報は、彼のグループのアプローチの主要な柱であったことがわかります。 さて、もし痛みが多くの様々な活動において本当に悪いものであれば、最大の痛みが引くまで待つ(一般的にはそうなるでしょう)ために数日間の完全な休息をとることは、私は全く間違っているとは思わず、また同様に、もし痛みが非常に弱い、または特定の運動でしか現れないのであれば完全な休養を取る特段の必要性はないと考えます。実際の微妙な違いは、その中間にある痛みの症状の大半にあります。制限したり今後悪化したりするに十分な痛みがあるが、代償が伴うこともある完全な休息をとる根拠とするにはおそらく十分なものではないのです。 私は非常にシンプルな「視覚的アナログスケール(VAS)」を用いた採点のスケールを使用しますが、問題の過敏性も考慮すべきもう一つの要因です。願わくは、身体活動介入のU字の特性を考慮してほしいものです。 シンプルなスケール(VAS) 8-10-休息 4-7-活動の変更 1-3-活動の維持 活動を変更するための私たちの医学的な理由づけのために自身に問いかけたいいくつかの質問があります: 全く違うことをしてもよいか? ボリュームを変えられるか? 強度をかえられるか? 頻度を変えられるか? これによってどのような影響があるか? 将来的な回避行動の可能性を作り出すことを避けるために、痛みが変化するにつれて元の活動への復帰を必ず段階的にすることも非常に重要です。何かをすることを止めるように言われ、二度とそれを再開しなかった人達がどれほど多くいるでしょうか?私の経験ではかなり多いのです。 キーポイント 一概的に決めつけるようなアドバイスは少しばかげている 優れていないということは劣っているということではない 基本的な痛みの管理のアドバイスは役に立つ 悪化させる運動にいかに順応/調整できるか?

ベン・コーマック 2142字

10代における筋力:見過ごされている長期的な運動発達の競争優位性

数年前にこんなツイートを投稿したところ、かなり大きな反響がありました: 大学生アスリートから聞く最大の後悔とは?それは、もっと早く筋力トレーニングを始めるべきだったということである。より強くなることは、パフォーマンスそして新しいスキルを習得する能力に大きな変化をもたらす。もしあなたが21歳で、16歳の時に得ているはずだった筋力をようやく身につけているところだとしたら、かなり遅れをとっていることになる。 ですが私が特に注目したのは、一つの返信です: 「発達上にある若いアスリートが一番やってはいけないことは、一つの生体運動能力を最大値にすることで、すべての能力を発達させることを妨げてしまうことです。長期的なプログラムは、ただ筋力だけでなく、すべてを発達させなければなりません。筋力、持久力、スピード、柔軟性...。搾取はゆるされないのです。」 これは長期的な運動発達に関する最も明白な誤解の一つであり、詳細な返答が必要だと思います。 はっきり言って、私は若い年齢で多くの生体運動能力に優先順位をつけ、運動寿命を通してそれらの能力を発達させ続けることに大賛成です。単にアスリートをパワーリフターにするわけにはいきません。 しかしながら、私がこの発言に同意できないのは、これらの異なる性質はすべて独自の領域であり、別々にトレーニングされなければならないとほのめかしてているところです。実際には、それらの性質を個別のサイロの集まりとしてではなく、一つのピラミッドとして見なければなりません。そのピラミッドの基盤は、間違いなく最大筋力です。 このことについては、私の電子書籍『The Ultimate Off-Season Training Manual(究極のオフシーズン・トレーニングマニュアル)』の中でとても詳しく触れています。以下は、パワーの発達についてさらっと抜粋したものです: 「…最大相対筋力は、あらゆる運動において“じわじわと浸透する”効果をもたらします。もしあなたがスクワットの最大重量を200 lb.(約91 kg)から400 lb.(約181 ㎏)に伸ばしたら、一回の自重スクワットははるかに楽に感じるのではないでしょうか?単発の垂直跳びはどうでしょう?典型的な垂直跳びテストにおいては、力発揮をする時間は約0.2秒間です;RFD(Rate of Force Development;力の立ち上がり率)がどれだけ優れていても、持っている筋力をすべて使うことは決してないでしょう。」 「しかしながら、(仮に)その短時間の中で最大筋力の50%を働かせることができるとしましょう。もしそのパーセンテージが常に一定なのだとしたら、より大きな最大筋力を持つアスリートは自動的に極めて有利な立場にありますよね?200 lb.(約91 ㎏)のスクワットをできる人は、100 lb.(約45 ㎏)の力を地面に対して及ぼすことができる;400 lb.(約181 ㎏)のスクワットをできる人は、200 lb.(約91 ㎏)の力を及ぼすことができる。誰がより高くジャンプできるか、明確ですよね?」 この主張は、研究の世界で一貫して立証されてきました:最大筋力の不足は、その人のパワーの潜在能力を制限するのです。筋力の基盤を持つことで、プライオメトリック、スプリント、そしてアジリティの発達を最大限に活かすことができます。 連続体の持久力端との関わりもあります。 「それでは、このことをスペクトラムの持久力端へとさらに一歩進めてみましょう。もしあなたのスクワットの最大挙上重量が200 lb.(約91 kg)から400 lb.(約181 ㎏)になれば、1セット20回の自重スクワットはより容易に感じるのではないでしょうか?」 「もし100 lb.(約45 ㎏)のダンベルを両手に持ってランジができるなら、ただ自分の体重だけで5マイル(約8 ㎞)走ることはより容易に感じるのではないでしょうか?考えたことがなかったかもしれませんが、あらゆる運動持久力活動は、実際には一連の最大下努力での運動にすぎないのです。」 明らかに、これらの筋力の数値は、圧倒的多数の高レベルな持久系アスリートにとっては非現実的ですが、筋力、パワー、そして持久力の混合を必要とする他のスポーツの競技アスリートにとっては現実的な数値です。 筋力は、アスリートがどれほどうまく動けるかにも関わります。はじめの返信が言及していた柔軟性とは、ウィキペディアによると、「関節または一連の関節における可動域」のことです。これは静的な尺度であるのに対し、運動での成功は可動性、その人がある体勢または姿勢をとる能力にもっと左右されるものです。その違いは与えられた状況下での安定性の有無であり、そしてそれは筋肉の制御に影響を受けます。事実、現に私は、最大筋力の最大の“じわじわ損等する”効果は関節の安定性であり、それが可動性に影響を及ぼすと考えています。 すべての運動能力が重要ではありますが、それらが常にすべて平等に訓練されるべきだと言うのはー特に適応の大きなチャンスを目の前にした若いアスリートたちにおいてはー極めて近視眼的です。言語スキルを習得する前に、数学、科学、そして歴史の講座を受講しようとした子供を想像してみてください。もし読み書きができなければ、これらのより高度な課題を習得するのに苦労するでしょう。筋力はこれと同じように基礎を成すものであり、私はそれをこのピラミッドのように考えています: より底辺に近い項目ほど、筋力による影響がより大きくなります。これらの項目がそれぞれピラミッドのどこに位置づけられるべきか議論することはできますが(そしてそれは問題となっているアスリートによるでしょう)、筋力がこれらの他の性質すべての重要な基盤だということについては誰も議論できません。それは多くのエリートコーチの逸話的な経験だけでなく、非常に数多くの研究にも根差しています。 最後に、しばらく前に、私はマイク・ボイル氏の素晴らしいリソースである『Complete Youth Training(完璧なユース世代のトレーニング)』のレビューをしました。そのレビューの後、私はマイクに、ストレングス&コンディショニングコーチとしてだけではなく双子の娘を持つ親としても楽しませてもらったよと伝えました。そのリソース全体の中でマイクが示した最も説得力のある発言は、彼が自分の娘(大学一部リーグの優秀なアイスホッケー選手)にしたことの中で最も影響力のあったことの一つは、彼女が11歳の時から最低週2日筋力トレーニングをしたことだった、という部分だと思います。若い年齢で筋力を得た場合―そしてそれを何年もかけて維持し増強することでー残りのトレーニングははるかにより生産的なものになるのです。

エリック・クレッシー 2874字

HIITはあなたを病気にしている?それとも健康にしている?

フィットネス業界には、実際はあなたにとって良くないことを美化したり、研究結果を実施されたパラメーターをはるかに超えて誇張したりする悪い習慣があります。 運動科学者たちが高強度インターバルトレーニング、別名HIITの有益性を初めて確立し始めた時、ワークアウトの聖杯を発掘したかのような気がしました。 より高い脂肪燃焼効率と筋肉をつけるパワーを、わずかな時間で?(Daussin et al., 2008)―ぜひ、お願いします! 非常に多くのメリットから、HIITの人気や、より多くの人々がそれをエクササイズ計画に取り入れている理由はわかります。 しかしながら、HIITに溺れることはいつでもすべての人に有益なのでしょうか?それとも、利益となるよりも害になりえる場合もあるのでしょうか? それに取り掛かる前に、わたしたちはHIITとは何か、そしてそれが、見捨てられたいとこである定常状態トレーニング(Steady State Training:SST)とどのように違うのかを理解しなくてはいけません。 HIITワークアウトは、サイクリング、ウォーキング、水泳などすべての運動形態において、そして多くのグループエクササイズクラスにおいて行うことができます。それはしばしば、脂肪を減らしたり筋肉増強を達成するために効果的なワークアウトとして、市場に出回っています。 HIITワークアウトでは、非常に高強度の運動(最大心拍数の80%以上)のピリオドの後に、回復するまでより強度の低い運動をする、または全く運動をしないピリオドが続きます。およそ30分間続くワークアウトでは、約10-15分間最大心拍数の状態になるでしょう。“運動”のセットは、あなたの「闘争・逃走」反応を招き、ストレスホルモンであふれさせるためにあなたを限界まで追い込みますが、それは要するに、脂肪を燃焼させ、筋肉をつける手助けをしています。 HIITをやってみようとするときによくある誤りは、休憩ピリオド中に十分回復していないことです。時間制限を設けてのグループトレーニングはすべてのフィットネスレベルに対応するものではなく、心拍数を下げさせないことはワークアウトを高強度トレーニング(HIT)にしてしまいます。このHITでは、非常に重要な”インターバル”の要素が取り除かれ、怪我や疾患のリスクがより一層高まります。 一方、定常状態トレーニング(SST)は、20分間以上続く、ワークアウト全体を通して一定の強度で行われる運動(例えばランニング、サイクリング、水泳、など)と定義されます。 近年、この方法は、より時間がかかるために持久系アスリートだけが必要なものだと仮定されたり、または筋量の増加を失うかもしれないという懸念から、あまり使われなくなってしまいました。 これは真実とまるでかけ離れています。 HIITと持続的持久系エクササイズの、心血管系、骨格筋、そして代謝的適応について考察し、比較してみましょう。 心血管系適応 Daussin et al. (2007)は、8週間のHIIT及び持続的な有酸素トレーニングプログラムに参加した男女の最大酸素摂取量反応を計測しました。最大酸素摂取量の増加は、持続的な有酸素トレーニング(9%)と比較し、HIITプログラムでより高く(15%)、その差は6%でした。 骨格筋の適応 ミトコンドリア(細胞のエネルギー工場)のサイズ及び数の増加は、HIITへの適応の顕著な特徴となりつつあります(Gibala, 2009)。有酸素運動中、ミトコンドリアは酸素を使い、炭水化物及び脂肪の分解を通してATP(筋細胞のエネルギー分子)を高レベルで製造します。ミトコンドリア濃度が増加することにより、働いている筋肉がより大きな力を、より長い時間にわたって生み出すために利用できるエネルギーが増えます。これらのミトコンドリアにおける酸化酵素の増加は、燃料供給のためのより効率的な脂肪及び炭水化物の分解をもたらします。 6週間のトレーニング研究では、Burgomaster et al.(2008)が、HIITプログラムを週3日行った被験者及び65%VO2maxの一定強度でのサイクリングを週5日遂行した被験者において、酸化酵素レベル(ATPを放出するミトコンドリア中のタンパク質)の増加が同程度だったことを示しました。 代謝系適応 ミトコンドリア濃度の増加は、骨格筋および代謝系の適応と考えることができるでしょう。代謝系適応の重要な点は、運動中の燃料となる脂肪代謝にあります。 Perry et al. (2008) 及び Talanian et al. (2007)はどちらも、6週間のインターバルトレーニング後、脂肪の酸化、すなわち脂肪燃焼は有意に高く、炭水化物の酸化(燃焼)は有意に低かったことを示しました。 HIITトレーニングのもう一つの代謝的利益は、運動後過剰酸素消費量(E.P.O.C. : Excess Post-exercise Oxygen Consumption)と呼ばれる運動後のエネルギー消費の増加です。エクササイズセッションの後、働いている筋細胞が細胞内の生理学的及び代謝的レベルを運動前のレベルに復元するため、酸素消費(カロリー消費)は上昇したままになります。これがより高く、より長い運動後カロリー消費につながるのです。LaForgia, Withers, & Gore (2006)は、彼らの運動強度研究が、HIITトレーニングは持続的な有酸素トレーニングと比較してより高いE.P.O.C.値を示していることを明らかにしました。 多くのジム利用者の主な目標は、身体の心血管系、代謝系、そして骨格筋機能を向上させることです。長年、持続的な有酸素運動がこれらの目標を達成する方法として選ばれてきました。しかしながら、研究は、HIITが似たような効果をもたらすこと、そしていくつかのケースではより短い期間により向上させることを示しているのです。HIITを(適切な強度及び頻度で)クライアントの心血管系トレーニングに組み込むことで、運動愛好家は非常に時間的に効率よく目標を達成することができます。そして、HIIT及び持続的有酸素運動プログラムは両方とも、このような人体の有意義な生理学的及び代謝的機能をすべて向上させるため、両方のプログラムをクライアントのトレーニングにバランスよく組み込むことは、明らかに心血管系エクササイズ向上とパフォーマンスを成功させる“win-win(双方に利益をもたらす)”アプローチなのです。 それでは、もしHIITに望むのがこれらの向上なのであれば、どれくらい実行すべきなのでしょうか?やればやるほど、より良い結果が得られるものなのでしょうか? 恐らくそうではないでしょう。HIITの分子的効果に関するこの研究によると、毎日激しいワークアウトをしたほぼすべての人において、ミトコンドリア機能、代謝的健康、そしてグルコース耐性における深刻な低下が生じました。しかも、彼らはただ、ステーショナリースプリントバイクでの4-8分間インタ0バルで行う運動を、36分間から、4週目までに152分間に増加させただけなのです。それでも、糖尿病を発症している人と似たようなインスリン抵抗性や、ミトコンドリア呼吸が1週目から平均40%低下したという結果が出ました。 一週間のワークアウトの数を減らすと、彼らの代謝的問題は解消しました。これが示唆するのは、HIITの有益性は、実はどれくらい行うかによるのかもしれないということです。 高強度のワークアウトを中強度または低強度のワークアウトと比較したこの研究の、最も注目すべき(しかし恐らく驚くことではない)発見の一つは、8週間のトレーニング期間を通して、タバタ式HIITプロトコルに参加した人々の楽しみの水準が有意に低下したことです。 エクササイズトレーニングプログラムがどれくらい効果的であろうと、楽しくないプログラムでは、適切な期間を通して順守するのはまず不可能です。 Les Mills(レズミルズ)でさえも、オーバートレーニングに関する独自の研究をしています。そこでは、一週間あたりに最大心拍数90%以上で30-40分間行うのがHIITの推奨される目安だと示しています。レズミルズの研究の背後にいる研究者、ペンシルベニア・ステート大学の准教授であるジンジャー・ゴットシャル氏はまた、週5日の事前トレーニングを6か月間行った場合のみHIITを導入することを勧めています。それを経て、HIITは週1-2回、2回の睡眠サイクルを間に挟んで導入することができるでしょう。 これらの結果はこのような少なめのHIITの実施回数を示唆していますが、プロのアスリートはそれだけですむでしょうか?もちろん彼らは2回以上の高強度ワークアウトを4週間以上行うでしょう。 結局のところ、HIITはしばしばプロ・アスリートのワークアウト・ルーティンのように見せて市場に出されています。問題は、プロのアスリートがトレーニングセッションの前後で行うすべてのことまたはセッションの長さは、一般人の水準で示されたり話されたりしていないことです。 アスリートは、そのような高いレベルのパフォーマーでいることのリスクを知っており、競技のために長期的な健康を犠牲にすることをいといません。40歳を過ぎても健康的に暮らしていると聞くアスリートが何人いますか?!高いリスクがあるとは言え、燃え尽き症候群や怪我を減らし、トレーニングを最適化するために大規模な対策が講じられています。 アスリートが多くの時間を費やすフィットネスの要素は、リカバリー戦略です。これらの高強度ワークアウトから回復することは大変で、フルタイムの仕事です!それは一般人が深刻に欠いているものでもあります。効果的な回復がなければ、フィットネスは低下し、ジムでの大変な努力は人々を前進させるよりも後退させていくのです。平均的なアスリートは、トレーニング1時間あたり、様々な回復方法を使って4時間を費やします。 しかしその次にくるのは実際のトレーニングです。フィットネスの向上は、それを維持することとは全く異なります。”プレシーズン”またはトレーニングの大会準備段階というのを聞いたことがあるかもしれません。これはアスリートがフィットネスを向上させるためにHIITできついワークアウトをするものの、怪我や燃え尽き症候群の危険性が非常に高いために、フィットネスを維持するための低強度ワークアウトを中止するという限られた時間です。つまり、アスリートが4-12週間に渡り週に数回行うことを、一般人は一年を通して毎日、時には一日複数回行っているのです。 ワークアウト中やライフスタイルで身体にかかるストレスを理解すること、そして効果的に回復する方法を理解すること、すべてはそのバランスに帰結するのです。 がむしゃらにではなく、賢く運動しましょう。 一例として: 週2回のHIIT 週2回の低強度の筋力トレーニング 週2回の低強度の動作に基づいた運動 そしてもちろん、たくさんの休息を…。

ファンクショナル・トレーニング・インスティチュート 4701字

ロッキングで身体を統合し回復する方法

もし、あなたの身体の潜在能力を引き出すことができる一つの動作があると伝えたらどうでしょう?それと同じ動作が、姿勢、肩、腰、膝、足首、そして足部を回復させることにも役立つとしたらどうでしょう?そして、それと全く同じ動作が、より明瞭に物事を考え、神経を落ち着かせ、不安レベルを下げることにも役立つと言ったらどうでしょう?もし、これらすべてを可能にする一つの動作があるとしたら、あなたはそれをしますか? あなたは生まれながらにして、この動作を神経系の中にあらかじめプログラムされていて、発育途上の子供だったころには、この動作をかなりの回数行っていたはずです。その当時、この動作は、あなたの身体を繋ぎ合わせ、肩や股関節に動く方法を教え、背骨のカーブを整え、笑いやふくみ笑いをすることにさえも影響を及ぼしました。もし、あなたが今日、この動作をすれば、それは子供の時と同じ、あるいはその時以上に素晴らしいことをもたらしてくれるでしょう。その動作とは、両手と膝をついて前後にロッキングすることです。 この動作は四つ這いのロッキングと呼ばれたりします。世界的に有名なストレングスコーチであるダン・ジョンは、シックスポイント(6点支持)ロッキングと呼んでいます。私はロッキングと呼んでいます。しかし、どう呼ぶかは重要ではなく、やることが重要なのです。 ロッキングは、あなたに与えられた最も素晴らしい動作の一つです。神経系を育み、身体とそのすべての構成要素に、ひとつの身体として、流動的に動く方法を教えてくれます。 ロッキングは、あなたが独立した部位や関節と考えているものを、流れるようなダンスへと組み合わせ、各関節に他のすべての関節と一緒に動く方法を教えてくれます。ロッキングを行う中で、身体は、リズム、協調性、安定性、可動性を身につけます。言い換えれば、身体は動くように設計されているため、動く方法を学ぶのです。ロッキングはまた、損傷した関節を再教育し、その関節を身体の全体性の中に戻す、素晴らしい方法です。例えば、肩や腰、膝を痛めた時や、外科的な修復手術を受けなければならない時にさえ、ロッキングは、その関節を素早く身体の流れの中に再統合することができます。ロッキングをしている状態では、関節を安定させる筋肉は安定させる方法を学び、主動筋は関節を動かすために自由な状態になっています。 ロッキングのもう一つの素晴らしい利点は、成人の姿勢を回復するのに役立つことです。先ほども述べましたが、ロッキングは、子供の時に頸椎や腰椎のカーブを整える動作であり、成人でも、その同じ動作が脊柱のカーブを回復することに役立ちます。ロッキングは、骨盤から腰部を自由にし、構造間の可動性を回復し、腰の痛みを和らげることもできます。 すべての関節が自由かつ一体となって動くと、脳は身体にかけていたかもしれない制限を取り払うことを十分に安全だと感じます。痛み、硬さ、弱さなどの制限は、脳が身体のすべてのものの位置を知ることで、しばしば解消されることがあります。ロッキングは脳に全てのものがどこにあるのかを知らせてくれます! ロッキングのもう一つの素晴らしい効果は、身体全体を美しい流れで一体化させることに加え、全人格、内面と外面をも一体化させることです。ロッキングは魂を癒します。脳が安全だと感じるとき、探しているすべての情報を得たとき、神経系は副交感神経優位の状態にあり、休息、消化、成長、笑顔、快感状態にあります。脳が安全だと感じると、感情や思考も平和でリラックスしたものになります。ロッキングは、比喩ではなく本当に、心配事を取り除き、身体の緊張を解し、魂からストレスを取り除く素晴らしい方法なのです。 繰り返しになりますが、この素晴らしい動作は、あなたの神経系にあらかじめプログラムされています。この動作は遺伝子に組み込まれており、これまで一度も失ったこともなければ、失うこともできません。ロッキングはいつでも行うことができ、そこに意図された治癒と構築作業を実行し始めます。毎日ではないにしても、頻繁に、両手と両膝をついて、数分間身体を揺らすべきです。3分間のロッキング休憩は、身体全体を癒す強力な方法であり、明晰な思考と創造性への入り口にもなります。 これを1回3分間、1日に1-3回毎日やってみてください。 両手と両膝をつきます。 目線と頭を上げ、水平方向を見ます。 スーパーマンのように胸を「高く」または「気高く」保持します。 口を閉じ、硬口蓋に舌をつけて休ませ、鼻から息を吸って吐きます。 優しく、骨盤を足の方向へ揺らし、それから手の方向へ揺らすのを繰り返します。 動いている間中、胸を高く保ち、頭を下げないようにします。 様々な足のポジションを探索しましょう。 靴紐を床に向けます (足の甲の部分を床につけます)。 足の指の付け根の部分を床につけます。 かかとを内側に向けたり、かかとを外側に向けたりします。 探索しましょう、優しく、好奇心を持って。強引にはならないように。 このロッキングの動作は、あなた自身の身体、精神、そして魂を素晴らしい状態にすることのできる最高の動作の一つになり得ます。ロッキングは、人生をより良く生きることを助ける、驚くべきパワーを秘めた、あなたに与えられた数少ない動作の一つです。あなたはそれを行うために生まれてきたのです。

オリジナルストレングス 2293字