ニュートラルな骨盤とは何か?

大腰筋と腸骨筋の間に存在する筋膜の短縮が、脊椎のポジションにどのような影響を与えるのか?そして骨盤のニュートラルさとは、何を意味するのか?トム・マイヤーズが、多くの人達が注目する大腿骨に対しての骨盤のニュートラリティのみでなく、肋骨に対しての骨盤のニュートラリティにも注目した姿勢分析を解説します。

トム・マイヤーズ 4:48

完全なアスリート構築法

オフシーズン中のアスリートたちがトレーニングの実行によって求める全ての要素を、プレシーズン前にどのように準備するのか?数多くのアスリートたちを指導するストレングスコーチのマイク・ロバートソンがトレーニングプログラムのブロック構築法をわかりやすく解説します。

マイク・ロバートソン 6:32

スクリーニングのアート:失敗、フィードバック、そして成功

スクリーニングにはアートがあります。 スクリーニングは、一切の課題無しに行われなければなりません。私達は、人々がエクササイズやアクティビティを評価する方法を変えようとしているのではありません。人々が医学的処置を評価する方法を変えようとしているわけでもありません。 私達は単に、「あなたがどのように動くか?さらなる機会を経て自分自身でより良くすることできるか?その機会を解釈する手助けが必要か?あなたの問題はどこにあるか?」と尋ねようとしているのです。 スクリーニングを作り上げることで、実際、私達は、場当たり的な失敗となり得るかもしれないものによる残酷な結果を生じさせる可能性のある将来の経験からあなたを守ろうとしているのです。もし、スクリーニングをパスできなければ、それはそれで失敗ですが、何も失ってはいません。あなたは、なぜパスできなかったか、それがどういう意味か、そしてどのようにしてそれを変えることができるかを学ぶ機会を得たのです。 スクリーニングは、非常に単純なムーブメントを行うようにしなければなりません。嘘をついてより悪くできたとしても、嘘をついてより良くする事はできません。 ファンクショナルムーブメントスクリーン(FMS)に含まれる動きは、過度に単純化され、エクササイズの専門家にはほぼ初歩的なもののように思えます。それらはどんな子供でさえも行うことができるべきであるもののように思えます。 これらの推測は、非常に事実に近いものです。 一方で、これらの動きは、高齢者を対象にしている健康管理の専門家にとっては過度で野心的のように思えるかもしれません。なぜでしょうか?それは、私達が、彼らは彼ら自身の若い頃と比較した時にそれほど上手くできないことを理解しているからです。しかし、加齢した目でも視力検査表を読んでもらいます。多くの場合で結果が悪くなることがわかっていますが、その低下の度合いや生涯を通じた変化率についてはわかりません。 視力検査におけるスコアが良くないことで誰かが傷つくわけでもなく、実際には問題を予防することになるかもしれません。同様に、FMSのスコアが悪いことで誰かが傷つくわけではなく、実際には次の動作を基準としたアセスメントのための明瞭さや方向性、そして論理的な判断を作り出せるかもしれません。 私たちを大人にするための動きを学習する土台は、全ての子供が共通して習得している単純な動きに代表されます。成長の発達的順序を見た時、子供は予測可能な段階を経験していきます:ハイハイ、プランク姿勢をとる、膝立ち、ブリッジ、歩く、そして走る。それに加えて、子供たちはジャンプや、ものを運ぶ、そして登るといった動きを形成していきます。彼らはこれらを、マニュアルや説明動画無しに行います。彼らはこれらを、先生やコーチがいなくてもやってしまいます。彼らはそれを非常に一貫した、そして予測可能な方法で行います。予測不可能な要因は、生涯を通じたこれらの能力の低下なのです。 人生にはいろいろなことが起こり、そして優先順位が設定されます。環境は多種多様であり、私達は私たちの周りの人や環境の変化、そしてのチャレンジするという私達自身の内的欲求(またはリスクや失敗への恐れによるチャレンジしないという私達自身の内的欲求)に応じて、皆僅かに異なる道筋を通っていきます。 もし、率直な質問を最も単純な方法で尋ねるとしたら、私達は「この旅路を始めた時に持っていた動きの学習経路を今も持っていますか?」と聞くでしょう。 もし、あなたが「いいえ」と答えたなら、私は何が欠けているかを知りたいのです。それらは、再考する分野を示し、指導が起こることを期待できる前に、学習の土台を再獲得する助けとなります。エクササイズにおける大きな、大きな間違いについて考えてみてください−私達は、皆がエクササイズを教わるべきだと仮定します。もしすでにそれができるのであれば教える理由はありません。もしできないのであれば、それは教わっていないからなのか、それとも学習することができないからなのか?と自問しなければなりません。彼らに学習環境がなかったのか、それとも彼らは補助やフィードバックがないと学ぶことができないのでしょうか。 動きのスクリーニングは、間違った習慣や悪いエクササイズプログラムを受け入れた、単により良い教えを必要とする人たちを、プログラムが良くても周りの人と同じ比率で学ぶことができない他の人たちから区別するようにできています。彼らの現在の学習の状態は公正で、明確で、そして実行可能なフィードバックを与えてはいないのです。 難しくせずに、正直なフィードバックループを作りましょう。人間のパフォーマンスと活動のキャパシティ−特定の環境における人間のスキル−についての質問をする前に、学習プロセスにおける支障に対する測定ツールを用意しておくべきです。あなたが基礎的な運動パターンを完了できないのであれば、あなたには特定のエクササイズや用具、または新しいプログラムでさえも必要であるかはわかりません。なぜなら、あなたには学習障害があるかもしれないからです。私達はその学習障害が長期的なものになるか、それとも短期的なものになるかを調べる必要があります。 動きのスクリーニングは、独学であっても、学習するための十分な動作の機能を有している人たちと、停滞して外からの介入無しにはそれ以上進むことが難しいであろう人たちを区別します。医学的漸進や体重を減少させようとするとき、そしてその他の環境の中で機能しようとする中において停滞してしまった人たちを見かけます。彼らは壁に打ち当たり、それ以上変化することができないのです。時には、外からの介入でさえも大した助けになりません。 ムーブメントの分野、私たちの分野で、私達はもっと上手くできると思います。 人間の脳は究極の学習システムです。私たちがコンピューター工学を使ってする多くのことは、人間の脳の神経ネットワークの素晴らしさを基にしています。それを台無しにすることができる唯一のものは、悪いインプットです−脳はそれに対して何もすることがありません。コンピュータ界の用語で言うと、それは「ゴミを入れたら、ゴミが出る」です。しかし、そのインプットが一貫した、そして有効的なパターンを作り出すことができる限り、脳はそれらのパターンから学ぶことができ、新しい環境に上手く適応できるのです。 人間の学習の最初の実証はムーブメントです。私達はそれをより良くスクリーニングするべきです。 そしてより良くとは、単純に、そして率直にと言う意味です。 適切に反応できるように上手く動きましょう。 応じて適応できるように頻繁に動きましょう。

ファンクショナルムーブメントシステムズ 2851字

機能のために重要なエビデンス:装具は足と股関節のチェーンリアクションに影響する

Hsu, W-H, Lewis CL, Monaghan GM, Saltzman E. Hamill J, Holt KG. Orthoses posted in both the rearfoot and forefoot reduce moments and angular impulses in the lower extremity joints during walking. Journal of Biomechanics, 2014, 47:2618-2625. Orthoses posted in both the rearfoot and forefoot reduce moments and angular impulses in the lower extremity joints during walking.後足部および前足部に挿入された装具は、歩行中の下肢の関節における関節モーメントおよび角力積を減少させる:Hsu, W-H, Lewis CL, Monaghan GM, Saltzman E. Hamill J, Holt KG. 2014, 47:2618-2625. この論文は、後足部と前足部の内側に挿入された装具によって引き起こされる、歩行中の下肢の動きの変化を調査したものです。著者たちは、足装具の力学的影響についての過去のリサーチは、曖昧なものであると記しています。彼らは、リサーチによる発見の差異のいくつかは、前足部の下側、より具体的には、中足骨頭の下側にまで伸びる装具挿入が不十分であったことに起因するのではないかと提案しています。被験者のうち15名には、前足部の内反が10度以上認められましたが、データ集積時に下肢の痛みは経験していませんでした。被験者のデータは、装具作成時と装具装用後1週間経過した時点において2回収集されました。データは、シューズを履いた状態で前足部の動きを調査することにならないように、サンダルを履いて分節のマーカーが付着している状態で収集されました。 足の生体力学に関しては、装具のコンディションが前足部のピーク外反角の減少と最大外反発生の遅延を示しました。足首においては、ピーク関節内反モーメントと角力積が減少しました。著者たちの予想とはわずかに異なり、膝への影響は「予測したほど強くなかった」が、「股関節への影響は特記すべきものであった。」この記事では、装具による介入に伴う股関節の生体力学の変化に注目をします。前額面において、最大内転角とともに最大内側外転関節モーメントは「有意に減少」しました。これは、装具による内側(前額面)の修正の前額面における運動学および動力学への影響を示しています。 水平面における発見もまた重要なものとなります。なぜなら、これらは足が地面についている時に距骨下関節で起こる、前額面における足の動きの水平面での股関節の動きへのトランスフォーメーション(変革)を証明するものであるからです。最大内旋角は減少し、外旋関節モーメントと角力積は低減しました。足の動きの変化が股関節の動きの変化とともに起こったために、足部への装具による介入は、股関節におけるかなりの修正を引き起こし得るということを示します。距骨下関節の軸の角度がこの「力学的真実」を生み出し、足から股関節へ、そして股関節から足へという両方の関係性が生まれます。この最後のステートメントは、水平面での股関節の動きは、荷重時において前額面での足の反応を引き起こすことを意味しています。 この研究の結果は重要なものです。なぜなら、これは前足部内反グループに対する前足部内側まで伸びる装具の装用による、足装具の足/足首および股関節への有効性を示すものであるからです。この研究は歩行中の前額面、水平面における股関節の動きの記録を提供し、それらがいかに足装具に影響を受けたかの記録も提供しています。膝の動きは股関節よりも影響が少なかったという予測していなかった発見は、Dr.ギャリー・グレイの膝についての解説:多関節の機能による力から、足と股関節に挟まれた膝は「行ける場所が限られていて、隠れる場所がない」と一致するものでもあります。 運動指導者にとって、この研究の結果は(その他の研究と合わせて)、過剰な動きの修正と組織へのストレス低減には、足の構造的変形に「適合した」装具が必要であるということを示唆しています。さらに全体的には、患者の症状と機能不全の原因を発見するにはキネマティックチェーンのどこか他の場所を見ざるを得ないようにするチェーンリアクションの原理原則を思い出させてくれるものでもあります。身体全体を通して、無症状の機能不全は、動きの連鎖のどこであれ、関節の動きや組織へのストレスを変化させます。この事実を理解することで、私達の「可能性のある容疑者(原因)」リストを拡大し、そしてそれとともに、患者やクライアントたちの機能不全修正、症状解消、機能の回復を可能とする戦略を拡大することができます。

グレイインスティテュート 2105字

機能のために重要なエビデンス:装具は足と股関節のチェーンリアクションに影響する(ビデオ)パート1

足のことに関しての詳細を話し始めると、どこまでも盛り上がるDr.ギャリー・グレイとDr.デーブ・ティベリオが、今から40年以上前から指導していたチェーンリアクションの考えと、シューズのインソールとして使用する修正用の足装具との関係についてリサーチの結果を基にまとめたシリーズのビデオパート1をご覧ください。

グレイインスティテュート 6:20

機能のために重要なエビデンス:装具は足と股関節のチェーンリアクションに影響する(ビデオ)パート2

足のことに関しての詳細を話し始めると、どこまでも盛り上がるDr.ギャリー・グレイとDr.デーブ・ティベリオが、今から40年以上前から指導していたチェーンリアクションの考えと、シューズのインソールとして使用する修正用の足装具との関係についてリサーチの結果を基にまとめたシリーズのビデオパート2をご覧ください。

グレイインスティテュート 6:03

正しい方法で行うこと

私は、自身のキャリアの約半分を2つの基本的な反応で質問に答えることに費やしていると思います。“状況次第”というのはとても素晴らしいものです。多くの人はストレングストレーニングが何百種類のエクササイズと数多くのツール、そして、それらすべてを組み合わせるとほぼ無限大の方法があるということに気付いていません。NFLのラインマンと70歳の未亡人のニーズは違いますし、彼らの人生で何が起きているかによって、スナッチをすることは完璧な答えかもしれませんし、そうでないかもしれません。 “状況次第”と並列になるものに“もし正しく行えば”があります。フィットネスとパフォーマンスの世界では、おろかで臆病で傲慢であることは骨、組織、腱を破壊しかねません。オリンピックゲームの調整をする時に“ちょっと私のビールを持って、見てね。”となるような場面はありません。私たちは、トレーニングに含まれる動きをマスターする必要があります。通常、それらを難しくさせる方法を発見することで動きは向上します。 私の友人マーク・トゥワイトのジムであるジム・ジョーンズには、高い要求とさらに高いスタンダードがあり、標準的なプッシュアップを“より向上”させる単純な方法があります。それは“適切なプッシュアップ”と呼ばれています。すぐにあなたのトレーニングに追加することができますし、旅行している時、この珠玉の方法を思い出してください。 これは、標準的で一般的なプッシュアップに1つ追加をしたものです。床に胸を近づけるとき、そこで止め、股関節が地面につかないようにします。地面から手を離し(胸の上で“休む”)、そして単純に両手を“T”のポジションに広げます。我々はこれを”磔“ポジションとも呼んでいます。そして、両手を通常のポジションにポップして戻し、トップの位置まで押します。 1分間これらを自身で試してみることは啓蒙的です。あなたが私のようであれば、プッシュアップテストはバスケットボールをバウンドさせているようになります。1分間この「適切なプッシュアップ」をすることで、このエクササイズが影響を与えるすべての筋肉に気づくでしょう。 1つの小さな変化で動きを向上させることができる、他のいくつかの例をご紹介しましょう。片腕のロウは菱形筋を発達させ、左右対称性をテストし、日々の生活で取る多くの姿勢のバランスをとり、恐らく、より若く健康的な見た目にしてくれると考えます。 私達の多くにとって、そしてこのことについては私も含まれますが、私達はリフティングに負荷をかけすぎてしまい、それを“引く/投げる”ことになります。このことを試してみてください:リフトのトップポジションで一休止し、親指を脇のところに保持します。2秒ホールドし、そして引いた腕を真っ直ぐ伸ばした位置に戻します。恐らくすぐに、その高さで負荷を保持するには硬すぎる、あるいは、弱すぎるということに気づくでしょう。重量を軽くし、再度やってみてください。背中の真ん中の“焼けるような感覚”は菱形筋です;それらの筋肉は過小評価されていますが、肩の問題を解消し、1日中より良い見た目にしてくれます。 多くの人は未だにゴブレットスクワットを正しくできていませんし、多くの本やマガジンでは愚かなものが見えます。私たちはそれほど大きく進歩していないことは確かです。しかし、私のためにこれをやってみてください:ボトムのポジションで、両肘で両膝を外側へ押し出す瞬間を作ってください。おー、ストレッチを感じる。そしてじっくりと力を発揮して上に戻ります。 確かに、母親が以前言っていたように、ストレッチはあなたにとって良いことです。しかし、一休止することで、リバウンドすることも防ぎ、絞り出すようにして戻ることができます。 単なる楽しみとして、これら2つのワークアウトのうち1つを試してください。 ワークアウト1 適切な一休止つきゴブレットスクワットのあとに適切なプッシュアップ ゴブレットスクワットには、体重の1/4か1/3の重さを使ってください。1,2あるいは3分間から時間を選び、時間内にできるだけ回数多く行ってください。1週間くらいで、もう一度ワークアウトを行い、1回回数を増やしてください。これを全部で4回行い、地面からポップアップとダウンをすることから、どれだけ調整できるか感じてみてください。 ワークアウト2 適切な一休止付きゴブレットスクワットのあとに10回適切なプッシュアップ それから9-9, 8-8, 7-7, 6-6, 5-5, 4-4, 3-3, 2-2, 1-1 どちらのエクササイズも55回でとなり、部屋の温度を上げる機会にもなります。 これはあなたに効果があるでしょうか?えーと、それは正しく行えているかどうか、それ次第です!

ダン・ジョン 2035字

グルテンにまつわる症状・病気を知ろう!

前回の栄養の記事でセリアック病のことについてお話ししました。   しかし、それ以外にもグルテンにまつわる病気があること、知っていましたか?   セリアック病ではなくても、グルテンが原因で胃腸の調子が悪くなってしまう人が最近増えているため、セリアック病以外のグルテンにまつわる病気をご紹介します!   非セリアック病グルテン過敏症(Non-Celiac Gluten Sensitivity): セリアック病ではないのに、グルテンを含む食べ物を食べてしまうと、お腹が張ってしまう、胃腸の調子がおかしいというような方は、自分自身または周りにいるのではないでしょうか?   「私の胃腸、グルテンは受け付けないのかな?」と思う人も、少なくないと思います。   これらの場合、セリアック病を持ってない限り、非セリアックグルテン過敏症と診断されます。セリアック病と似ていて、腹痛、膨満、ガス、吐き気、頭痛、疲労などの症状も引き起こすこともあります。この病気は最近よく出てきていて、グルテンを食べるとなぜかお腹が痛くなるため、避けている人のことを表します。まだこの病気の研究は少なく、原因やメカニズムが明確ではないため、NCGSを特定するためのテストやバイオマーカーはありません。しかし、過敏症の一つの研究では、過敏症を持っていると思っている患者さんの86%がグルテン摂取可能だったという研究結果が出ていて、(Capannolo, A. 2015) もしかしたら、これはSNSなどのグルテンフリートレンドや栄養知識の誤解をしている人たちの行動が影響なのではないか、という議論もあります。   グルテン過敏症を診断するには、まずセリアック病、小麦アレルギー、その他の症状の原因を除外する必要があり、 グルテンフリーの食事療法を行ったときに改善が見られた場合、グルテン過敏症と診断されます。   グルテンはセリアック病のように厳守制限する必要はないですが、できるだけ取らないことにより症状が改善される人がよく見られます。   小麦アレルギー 小麦アレルギーはセリアック病の免疫反応とは異なり、小麦に含まれる何百個のタンパク質に対するアレルギー反応になります。B細胞と呼ばれる白血球が免疫グロブリンE(IgE)抗体を送り、小麦を攻撃します。体の組織は、問題があることを体に警告するため、自然科学メッセンジャーを送り、結果、アレルギー反応を起こします。症状は、数分から数時間以内で吐き気、腹痛、痒み、唇や舌のはれ、呼吸困難、アナフィラキシー(生命を脅かす反応)まで様々な症状を伴うことがあるため、小麦アレルギーを持っている人は小麦摂取を厳守制限しなければなりません。   小麦は何に入っているの? 小麦やグルテンを厳守制限しなければならない人たちは、何を避けるべきなのか?   ケーキ、クッキー、パン、パスタ、クラッカーなどの食べ物は小麦やグルテンが入っていることが明白ですよね。しかし、いくつかは隠れて含まれている場合があります。例えば醤油、コロッケや天ぷらの衣、ソース、ハムやソーセージの加工食品、サラダドレッシングにも使われている場合が多々あります。そのため、商品を買う場合は、ちゃんと原材料名をチェックしてグルテンが含まれていないかチェックする必要があります。   また、外食時には、レストラン側にグルテンアレルギーのことを報告しないでいると、交差汚染をする可能性もあります。例えば、揚げ物は、グルテンフリーのはずのポテトフライなど頼んでも、違う揚げ物(パン粉を使うコロッケ)を揚げた油で一緒にしてしまうと、交差汚染をしてしまい、グルテンフリーではなくなってしまいます。   また、シェフなどがグルテンフリーの重要さを知らないと、グルテンフリー製品を不適切に取り扱ったりしてしまう可能性もあるため、外食時には、しっかりとレストランのシェフに報告することをお勧めします。 Autoimmune Disease(セリアック病) Wheat Allergy(麦アレルギー) Non Celiac Gluten Sensitivity(非セリアックグルテン不耐性) 何か 遺伝的な自己免疫障害で、グルテンが小腸を損傷する引き金となる 小麦に含まれているタンパク質が免疫反応を起こす(グルテンも含まれる可能性あり) グルテンや他の小麦成分の不耐性があるが、小腸は損傷しない 症状 下痢、膨満、腹痛 吐き気、嘔吐、下痢、膨満、口や喉のイガイガ感 下痢、膨満、腹痛 腸外所見 減量、栄養失調、鉄不足、虫歯、骨量減少、肌問題、神経障害、肝障害、関節痛、脱毛、疲労など 蕁麻疹、発疹、鼻詰まり、目の炎症、呼吸困難 物忘れ、神経障害、関節痛、疲労 陽性抗体検査 ある なし 変動する 異常な腸生検 ある なし なし 治療 グルテンフリーのライフスタイルを厳守 小麦フリーのライフスタイルを厳守 小麦フリー・グルテンフリーの食事を実践(人によって厳守レベルは変わる) ジョコビッチとグルテンフリー 皆さんは、プロテニス選手のノバク・ジョコビッチさんがグルテンフリーダイエットを従っていることは知っていますか?   私はよく、ジョコビッチさんのグルテンフリーダイエットのことについて聞かれることがあるので、そのサイエンス的な真実についてお教えしたいと思います。   ジョコビッチさんは、今では有名なテニス選手ですが、2009年までは複数のオープン戦などで断念し、敗退などもしてきました。当時の彼は、疲労や怪我がとても多かったそうです。2010年に、たまたまテレビでジョコビッチさんが出場しているオーストラリアオープンの試合を見ていた医者がジョコビッチさんの異変に気づき、検査をしたところ、セリアック病と診断されました。具体的に言うと、グルテンと乳製品と少しトマトの不耐性という結果でした。実は、彼の実家はピザ屋を営んでいたので、家族はとてもびっくりしたそうです。   しかし、それからグルテンフリーの食事に変えたら、2週間でポジティブな変化が起きたそうです。その後、現在2020年までにタイトル10回優勝、グランドスラム3回優勝、43回連勝など数々の成績を残していきました。   ジョコビッチさんの体にはいったい何があったのか?   彼はセリアック病でグルテンを摂取していたため、栄養が胃腸から漏れ、吸収されず、エネルギーが不足し、常に体のガソリンが低い状態で試合に望んでいました。その結果、疲労などパフォーマンスに悪影響を及ぼしていったのです。   しかし、セリアック病だとわかり、グルテンフリーの食事にしたことにより、体の炎症を起こす引き金がなくなり、症状の改善が見られ、栄養が行き渡り、パフォーマンスにいい影響が出たといえます。   ジョコビッチさんは、セリアック病だったからグルテンフリーの食事法を厳守したことによって心身ともに変化をしました。もしもセリアック病がなく普通の健康な人であったら、グルテンフリーの食事法を守る必要はない。といわれています。   さらに、ジョコビッチさんはグルテンフリーの食事法だけではなく、マインドフルなこと(ヨガを毎日やり、食べる時は食事のみに集中する、など)や健康的でバランスの良い食事を心がけました。   その結果、ジョコビッチさんの本のタイトルでもある「ジョコビッチの生まれ変わる食事」のように、セリアック病を持っていたジョコビッチさんだったからこそ、グルテンフリーの食事法を取り入れたことで、生まれ変わることができたのだと思います。   最後に改めて言いますが、セリアック病・小麦アレルギーをもっていない人はグルテンフリー食事法に従っても、ジョコビッチさんのようなパフォーマンス向上に繋がるとは限らず、メリットはそれほどありません。   アスリートへの影響 小麦を含む食べ物は炭水化物が豊富なものばかりで、アスリートがこういった症状を持っていたら、大切な燃料が摂取しにくくなってしまいます。強度の高い運動などは炭水化物が主なエネルギーになり、アスリートのパフォーマンスには必要不可欠になります。幸いなことに、グルテン厳守制限をしなければならない人が食べられる、グルテンの含まれていない炭水化物が豊富な食材はたくさんあります。例えば、豆類、乳製品、果物、果物・野菜ジュース、根菜類(じゃがいも、サツマイモ、ゴボウなど)、糖類(はちみつ、砂糖、果糖、メープルシロップなど)もグルテン厳守制限の人でも安心して食べられます。   胃腸の不快感があり、グルテン不耐性かもしれないと思った場合には、スポーツ栄養士に相談して、食事からグルテン摂取を除去する必要があるかもしれません。小麦アレルギーは、アレルギーテストで診断できます。こういった症状などが出た場合は、栄養士に相談して、食事と運動のメニューの改善が必要になっていくかもしれません。

讃井 友香 3291字

エクササイズの組み合わせ方法 VOL 3

リハビリにおいてもパフォーマンス向上においても、トレーニング効果を最大限に引き出すためには、適切なエクササイズの組み合わせをすることがとても重要です。 エクササイズの組み合わせ方法は、クライアント、患者、アスリート、その対象者が誰であれ、彼らが達成しようとするゴールへの到達をサポートするためのものでなければなりません。 組み合わせるエクササイズは何か? スクワット(ケトルベルゴブレット、USBフロントホールド、バーベルフロント)

トラビス・ジョンソン & 谷 佳織 2551字

トレーニングにバウンスを加える方法

元気な子供達を見ていると、走り回って弾んで、まるでゴムボールのように動いていますよね。大人になって、このゴムボールのように弾む能力を失ってしまってはいませんか?バウンスする能力を取り戻すための簡単な方法をティムがご紹介します。

オリジナルストレングス 4:00

ランニングテクニックを最適化する方法

多くのスポーツにおいて、フォームに対してしっかり取り組む必要があります。体操やゴルフ、またはテニスでは、ジュニアのトップ選手はプロを良く観察し、彼らの動き方を真似しています。彼らは、さらにコーチからの特別な技術的アドバイスも取り入れます。もちろん、これは動作が複雑で直感的でないスポーツで必要不可欠なことですが、ランニングのような自然とできるアクティビティではどうでしょうか?私たちは自身のストライドを分析する、または足の着地や、歩調または姿勢について専門家のアドバイスを用いるべきでしょうか? ランナーが、走動作のメカニクスへの変化が怪我の発生率を低下させたり、パフォーマンスを向上させたりすることができるかどうか、に興味を持ちだしたのは最近のことです。伝統的な取り組み方ではテクニックを無視し、十分な距離を走ることや、多様性練習、そしてもしかしたらAスキップやBスキップによってテクニックが最適化されると思い込んでいました。しかし、今ではランナーは、ポーズランニングやチーランニングといった形式モデルを含め、正確にどう走るかついての多くのアドバイスを見つけることができます。これらは、旧式の「ただ走るだけ」の方法に比べて何か効果があるでしょうか。ランニングに対する修正方法が流行になっているにも関わらず、これらは質の高いエビデンスによって強く支持されているわけではありません。以下は、関連した研究や理論考察のレビューであり、多くは私の新刊「Playing With Movement」から翻案したものです。 一部の動きは自然とできるようになるものでしょう。子供は、教えられることなく歩き方や走り方、スクワットの仕方を学び、そして上手によじ登ります。しかし、バックフリップやトップスピンをかけるフォアハンドストローク、またはピアノを演奏することのような、より直感的ではないスキルに対してはそうではありません。私たちは走るために生まれますが、ドリブルからスリーポイントシュートを打つために生まれたわけではありません。 移動運動は、あらゆる動物にとって非常に基礎的な生き残るためのスキルであり、そのため、それを調整するための神経システムの構造は原始的で、やや反射的で、非常に効率的で、そして多くの場合で無意識的です。一部の動物においては、移動運動のパターンは単純に脊柱の「中枢パターン発生器」を刺激することで引き出すことができます(1)。人間は歩行に対する中枢パターン発生器を有していますが、バックフリップに対してはなく、それが、子供が外で遊んでいるときにこの動作が自然と発生しない理由です。これに対して、もし子供がA地点からB地点へ速くたどり着こうと意欲的であるならば、彼らは教わることなくある程度のランニングテクニックを身につけるでしょう。彼らに必要なのは、様々な走り方‐速い、遅い、左や右、ターゲットを追ったり避けたり、様々な坂道や地形の上、で遊びまわることです。これによって、彼らの運動制御システムにランニングのあらゆる可能性を探求させ、それが最も効率的な答えを導き出し始めるために必要な全てのことなの です。 大人は子供ほどの可塑性はありませんが、時を経るにつれ、十分に多様的なランニングによって、そのことを考えることなく、無意識のうちにより上手い走り方を学びます。身体はエネルギーを節約し怪我を防ぐことに大きな優先権をおいており、そしてそれ故に別なことを考えているときにも、常に無意識により効率的に、そして安全に走ろうとしています。 しかし、意識的にテクニックのアドバイスを取り入れることで、学習プロセスを早めることはできるのでしょうか?例えば、ランナーはよく、ストライドを短くし、ストライドの頻度を多くし、かかとから着地しないようにと教えられます。一部の高いレベルのランナーはこれらのルールを守らないかもしれませんが、教科書のフォームに従うことでパフォーマンスが向上すると言われています。 この万人受けするアドバイスを懐疑的に思う一つの理由は、身体構造は皆異なるということです。したがって、私達はパフォーマンスと安全性を最適化させるためには、人々は異なる方法で走る必要があると予測すべきです。例えば、ウセイン・ボルトは微妙に非対称なストライドで走りを学びました‐彼は一方の足よりももう一方の足を少しだけ強く使ってスプリントをします。専門家は、このテクニックは、彼の身体の構造の小さな非対称性に対する賢明な(そして意図的でない)代償動作であると考えています。教科書を真似るためにそれを「修正する」ことは、おそらく彼を遅くしてしまうだけでしょう。この教訓は、具現化された「ボトムアップ」で、身体は移動動作の問題に対する巧妙な解決策を見つけるということであり、私達はトップダウンでの修正することによってパフォーマンスを向上させようという自身の能力について謙虚になるべきです。この見解は、人はその人にとって機能するランニングのスタイルを選択することが結構上手であるという研究の結果によって支持されています。 かかと着地についての研究 かかと着地はよくばかにされますが、それは怪我の発生率の増加とは関係しておらず、またそれはほとんどの人にとって、走るための最もエネルギー効率の良い方法なのです(2、3、4)。これが、エリートハーフマラソンランナーの75%を含む、大多数のランナーがかかと着地をする理由です(3、5)。さらに、ランニングフォームを修正しようとすることは怪我を予防することではなく、多くの場合でランナーを遅く、そして非効率にしてしまうでしょう(3)。いくつかの研究では、ランナーに対して、習慣的なストライド長を変えるよう依頼したところ、同じペースで走るためにはより多くの酸素が必要であることが発見されました(6、7)。例えば、16名のトライアスロンの選手が、かかと着地から前足部着地への変更を推奨するポーズ走法について専門家による監督を受けました。12週間後において、前足部着地は依然としてより効率が悪いものでした(8)。それどころか、変化させようという努力なく、単にランニングフォームへ注意を向けることは効率性の低下と関係していたのです(9)。これは、意識的に身体を意識することは硬くぎこちない動作を作り出すという運動制御についての一般的なルールにのっとっていて、よく分析麻痺と呼ばれます。しかし、もしあなたが動作の目的に集中を保てば、身体は自身をより上手に自己組織化できます(17)。動きをコーディネートする知能の多くは無意識であり、これは、移動動作のような基礎的な動作において特に当てはまります。 回内についての研究 回内についてはどうでしょうか?足の過度な回内はよくないものであり、足や膝、股関節さらには腰のオーバーユース傷害に貢献するかもしれないと長くにわたって主張されてきました。しかし、数十年の研究の末、過度な回内はけがのリスクと有意に関係していないようであり、もしそうであるとしても、走動作の修正によってリスクが減少するかどうかには疑問が残ります(11、12)。もし回内傾向が足と足関節の骨格の構造によって起こっているのであれば、これは変えることができるものではありません。もしかしたら、回内は装具によって改善できるでしょうか?装具がけがのリスクを減少できるということは事実です。しかし、装具が特注品か既製品であるかは関係がないようです(13)。 回内を和らげるように、特別に設計されたシューズを買おうとすることもできます。しかし、シューズが常に設計者が意図したバイオメカニクス的な効果を持たないということを研究は示しています。例えば、クッション性の高いシューズは地面からの衝撃力を和らげることはなく、何故なら、身体は地面からの一定量のフィードバックを「欲して」いるようであり、身体はクッションを通してもそれを得るためにより一層頑張ろうとします(14)。ランニングシューズ、走動作、そしてけがの関連性についての第一人者であるBenno Niggによれば、これは足に「好ましい動きの軌道」があるからだそうです(15)。したがって、ランナーが異なるシューズを履くとき、通常は、彼ら自身が好む軌道をたどり続けます(12)。この理論通りであれば、けがを予防するための最良のシューズは、好ましい軌道を促すシューズであり、単に最も快適な靴を選ぶことで決めることができます。Niggの研究の一つでは、快適さに基づいてインソールを選んだランナーは、対照群と比較して怪我が少なかったのです(16)。この研究、およびこの問題の複雑さを研究してきた40年以上の経験に基づくNiggのランナーに対する実践的なアドバイスはシンプルです:4つか5つのシューズを試し、店の中をジョグし、そして最も快適であったものを選びましょう。 ランニングでいろいろと試す この研究には、共通するテーマがあります:身体は安全で効率的な走り方に対する非常に良い直感的な感覚を持ち合わせているということ。身体は試行錯誤によって学習し、そして早く学習するためにあなたができる最良のことは、多くのボリュームと十分な多様性の中で多くの試行錯誤を行うことです。 これは、走り方についてのバイオメカニクス的なアドバイスを無視するべきだということを意味するのでしょうか?私はそうではないと思います。それを新しいランニングの実験に、あなたの身体をさらすための方法に対するアイディアの情報源として利用しましょう。意識的に新しいテクニックを5分間試し、その後それを忘れて自然に走りましょう。もし、新しいフォームについて何か使えるものがあれば、次の数マイルにわたって無意識的に取り入れる「感覚」を与えてくれるかもしれません。例えば、中足部での着地やステップ数を多くしたランニングは、必ず試さなければならないというものではありませんが、それらは間違いなく合理的な選択肢です。これは、あなたに膝痛があるならば特に当てはまることであり、何故なら前足部での着地は力学的なストレスを膝から遠ざける傾向があるからです。一方で、より多くのストレスをアキレスや足に移すため、一方が他よりも良いとは思い込まないでください(10)。 ここでの教訓は、多くの様々な走り方があり、そしてそれらにはすべて異なる短所と長所があるということです。あなたにとって何が最もよく機能するかを見つける最大のチャンスは、異なる地形や異なるスピードや疲労度、異なる靴など、可能な限り多く試すことで得られます。向上するにつれ、あなたの走動作は実に「教科書」のように見えてきますが、これらの変化は、意識的に「良いフォーム」で走ろうとすることではなく、具現化され根拠があり、より強固で持続可能といった方法で進化するのです。 参照 Kiely J, Collins DJ (2016). Uniqueness of Human Running Coordination: The Integration of Modern and Ancient Evolutionary Innovations. Front Psychol, 7(APR). Warr et al. (2014). Footstrike Patterns Do Not Influence Running Related Overuse Injuries in U.S. Army Soldiers. Medicine & Science in Sports & Exercise, 46, 812. Hamill et al. (2017). Is Changing Footstrike Pattern Beneficial To Runners? Journal of Sport and Health Science, 6(2), 146–153. Gruber et al. (2013). Economy and Rate of Carbohydrate Oxidation During Running with Rearfoot And Forefoot Strike Patterns. Journal of Applied Physiology, 115(2), 194–201. Hasegawa et al. (2007). Foot Strike Patterns of Runners at the 15-Km Point During an Elite-Level Half Marathon. Journal of Strength and Conditioning Research. 21(3), 888-893. Cavanagh et al. (1982). The Effect of Stride Length Variation on Oxygen Uptake During Distance Running. Medical Science and Sports Exercise, 14(1), 30-35. Hunter et al. (2017). 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トッド・ハーグローブ 4509字

SLAP損傷(上方関節唇損傷)はどのようにして起こるか:上方関節唇の傷害のメカニズム

SLAP損傷が起こる原因であると推測されている傷害のメカニズムは、複数あります。これらのメカニズムには、外傷性の転倒から、時間をかけての磨耗、野球選手のようなオーバーヘッドアスリートに見られる特定の傷害などがあります。 外傷性SLAP傷害 腕を外側に伸ばした状態での転倒や、自動車事故の際に自身を支えようとして、などの外傷性の出来事は、上方関節表面の圧迫が上腕骨頭の亜脱臼と重なった結果、SLAP損傷を生じることがあります。Snyderはこれを傷害のピンチングメカニズムとして言及しました。他の外傷性損傷のメカニズムには、直接的な打撃、肩先からの落下、上肢の強制的な牽引による傷害が含まれます。 正直に言うと、これが本当にSLAP損傷の根本的な原因かどうかはわかりません。私は過去にこの理論に疑問を持ったことがあり、答えはわかりませんが、少なくともある一面で、私は、これらの患者はすでに上方関節唇に何らかの症状を抱えていて、急性の損傷がMRIの撮影につながり、SLAPの断裂と診断されたのではないかと思っています。 本質的には、MRIによって古いSLAP断裂が見つかったのかもしれません。 反復的なオーバーヘッド運動 野球やその他のオーバーヘッドスポーツのような反復的なオーバーヘッド運動は、SLAP傷害を引き起こす原因であることが多い、もう一つの一般的なメカニズムです。 これは、私たちのアスリートにも最もよく見られるSLAP損傷の種類です。1985年、Dr. Andrewsが最初に、オーバーヘッドの投球を行うアスリートにおけるSLAPの病理学は、オーバーヘッド投球をする際の腕の減速期とフォロースルー期における上腕二頭筋の高い遠心性運動の結果であるという仮説を立てました。これを見極めるために、彼らは関節鏡検査評価中に上腕二頭筋に電気刺激を加え、上腕二頭筋の収縮が関節唇を関節窩の縁から引き上げることを発見しました。 BurkhartとMorganはその後、オーバーヘッドアスリートにおけるSLAP損傷を生み出す「ピールバック」メカニズムという仮説を立てました。彼らは、肩が外転と最大外旋の位置あるときに、その回旋が上腕二頭筋の付け根に捻転を生じさせ、付着部に捻転力を伝達すると提唱しています。 このメカニズムは多くの注目を集めており、複数の研究でその正確性が示されているようです。 Pradhanは、献体(遺体)モデルを用いて、投球動作の各段階における上方関節唇の歪みを測定しました。彼らは、投球の後期コッキング期に上方関節唇の歪みの増加が起きたことを指摘しています。 ASMI(アメリカスポーツ医学研究所)による別の研究では、献体モデルを使用してこれらの各メカニズムのシミュレーションを行いました。献体モデルの9組の肩の上腕二頭筋の付着部の複合体に、直線的な負荷(投球の減速期に似た負荷)またはピールバックメカニズム(オーバーヘッド投球のコッキング期に似た負荷)のいずれかを模倣した負荷を、損傷に至るまでかけました。結果は、直線的荷重のグループでは、8体中7体が上腕二頭筋腱の中間位で損傷し、8体中1体が関節上結節で骨折していました。しかし、ピールバックのグループでは、8体全てがII型SLAP損傷を起こしていました。2つの荷重法を比較したとき、上腕二頭筋付着部の極限強度には有意な差がありました。上腕二頭筋付着部は、ピールバック荷重メカニズムで観察された極限強度(202N)と対比して、直線的荷重で有意に高い極限強度(508N)を示しました。 以下に研究の写真を見ることができます。1枚目の写真は、正常な関節窩とそこに付着する上腕二頭筋の長頭です。2枚目の写真は、上腕二頭筋の牽引と遠心性収縮のシミュレーションです。最後の写真はピールバック損傷のシミュレーションです。最後の写真は、ピールバック損傷のシミュレーションです。 理論的には、SLAP損傷は、先に説明したこれら2つの力によりオーバーヘッドアスリートに最も起きやすいものです。減速期の上腕二頭筋の遠心性運動は、上腕二頭筋-関節唇複合体を弱める可能性がある一方で、ねじれのあるピールバック力は、関節唇付着部の後方上方剥離につながる可能性があります。

マイク・ライノルド 1805字