Kaori’s Update #49 - 椅子に座って同じ姿勢を取り続けていませんか?

自宅での仕事の割合が増えると、椅子に座ってコンピューターに向かい時間が必然的に長くなりますよね?同じような姿勢で長時間いることは、健康にとって望ましいことではありません。椅子の上でもできること、椅子に座る代わりにできることのアイデアをチェックしてみてください。

谷 佳織 2:37

トレーニングデータを解釈する際は、何もしないと決める前によく考えよう!

負荷管理とは「アスリートにトレーニングさせない」ということではない! 「負荷管理」はハイパフォーマンススポーツにおいて人気の出てきたフレーズですが、残念なことに、この方法は一般的に、選手に休息を取らせる、練習を休ませる、またはプレー時間を短くすることと関連付けられてしまっています。このフレーズは非常に一般的になってきていて、平均的な「スポーツファン」でさえも負荷管理について意見を持っています。通常、自身の好きな選手を見るために多くのお金を払ったのに、彼らはその選手が「負荷管理」という理由により休まされている事を知るためだけにアリーナにやってくることがあるのがその理由でしょう。 以前の記事の中で、アスリートのトレーニングをモニタリングするいくつかの重要な理由を述べました: (1) 高い慢性的なトレーニング負荷を築き上げ、 (2) 競技の最も強度の高い場面に備え、そして (3) アスリートをこのような高い負荷まで早く、そして安全に漸進させるため。 効果的にアスリートを管理することの明らかなメリットを考慮したとき、負荷管理が単に、スポーツ医学のスタッフが「アスリートをトレーニングから休ませるため」の口実として作り上げた言葉であると、一部のコーチや解説者がいまだに(間違って)信じているのは興味深いことです。 スポーツは進む方向を見失い、私たちはまた同じ方向に進んでいるのでしょうか? 2000年代の初め、研究者らは、特にチームスポーツにおいてトレーニング負荷と怪我の関係性について研究をし始めました。[1,3] この研究は、いくつかのテクノロジーの進歩と同時に起こりました−一つ目は、ウェアラブルな運動センサー(例、GPS)であり、そして二つ目はアスリートのトレーニング負荷を管理するために用いられるデータベースの導入でした。スポーツチームは、所属選手を追跡するためのさらなるリソースに投資し始めました−アスリートを管理するスタッフに支払われる給料は、プレーできない怪我をした「スター選手」にオーナーが支払うものに比べたらほんのわずかなものです。それは賢い投資でした! より多くのテクノロジーの開発者達が、彼らの商品が「怪我を予測し、そして予防する」ために利用できると明言し、メディアがその話を助長して、オーナー達はより興味を駆り立てられるのです。ハイパフォーマンスディレクターは「データ」を活用しているように見せなければならず、おそらくその最も簡単な方法がアスリートをトレーニングから外すことだったのでしょう。トレーニングの「限界」が設定され、アスリートが「走りすぎている」または「トレーニング負荷が高すぎる」ことを恐れるあまり、一部のパフォーマンススタッフはシーズン途中にコーチに練習を止めるように持ちかけることもありました! いくつかのケースにおいては追加のリカバリーはもっともなことかもしれませんが、常にアスリートをトレーニング負荷から遠ざけることは、競技の過酷な要求を切り抜けることができる頑健なアスリートを築き上げるための最良の方法ではないでしょう。[4] 私達はどのようにして頑健なアスリートを育て上げるか? 以前の見解とは正反対に、慢性的なトレーニング負荷の低さが怪我のリスクを増加させることを示すエビデンスが増えてきています。[4] これらの発見は、プレーできる状態のアスリートを増やすためには、トレーニング負荷を減らすよりも、より高い慢性的な負荷へと漸進させることが望ましい方法であることを示唆しています。しかし、スポーツパフォーマンスと医療のスタッフは、アスリートをプレーできる状態に維持することだけが仕事ではありません−これらのアスリートは必要なときにプレーする準備ができていなければなりません。 負荷−怪我についての研究と同様に、最近のエビデンスは、慢性的な負荷が高く、負荷の「スパイク(急激な上昇)」が少ないアスリートは、プレーする準備がよりできていることも示しています。[7] これらの結果は、効果的な負荷管理プログラムがパフォーマンスを向上させることができることを強調しています。トレーニング負荷以外の複数の要因が怪我のリスク [2,5] とパフォーマンス [5,7] の両方に影響を与えるであろうことが認識されている一方で、効果的な負荷設定プログラムの欠如は、目隠しをしながら的を撃つことと同様です。 もし、アスリートのトレーニング歴に関する情報がなければ、スポーツ医学スタッフはいかにしてトレーニング負荷のスパイクを回避することができるでしょうか? もし、トレーニング負荷を計測しないのであれば、アスレティックトレーナーや理学療法士、またはストレングス&コンディショニングコーチはいかにしてより高いトレーニング負荷へと漸進させることができるでしょうか? トレーニング負荷、アスリートの可用性、そしてプレーするための準備度の関係を考慮したとき、もし彼らのトレーニングプログラムが適切な負荷設定の戦略に基づいていないのであれば、どうしてアスリートは彼らの潜在的なパフォーマンスを達成し、怪我をしないでいつづけるための最大の可能性を得ることができるのでしょうか? 「フィットネス」とトレーニング負荷に対する耐性はどうでしょうか? トレーニング負荷のスパイクは怪我の発生に貢献するかもしれませんが、「負荷」のみでは全ての怪我を説明することはできません。さらに、一部の選手はトレーニング負荷のスパイクに対してより耐性がある一方で、他の選手はより影響を受けやすいでしょう。ケースによっては、トレーニング負荷のスパイクは不可避です(例、重要な選手が怪我からすぐに復帰する、プレーオフで複数のダブルオーバータイムの試合を行う)。もし、トレーニング負荷のスパイクが不可避であるならば、怪我のリスクを軽減させ、選手がスポーツで成功するための最大の可能性を与えるために、パフォーマンスとメディカルのスタッフはどのような実用的な手段をとることができるでしょうか? まず、もしメディカルスタッフが、近い将来に負荷が上がる可能性が高いとわかっているならば(例、週に1回の試合から複数回の試合へのスケジュールの変更)、そのスケジュールの変更前の数週において慢性的な負荷を増加させることで、負荷に対する耐性を向上させることができるでしょう。このプリローディングは慢性的な負荷を増加させ、それによって「底」と「天井」の間のギャップを埋めることができます−「底」からよりも「天井」から負荷を急激に上昇させることの方が難しい。なぜなら慢性的な負荷が小さいと、負荷は増加する他にないからです。 次に、しっかりと発達した身体特性(例、ハムストリングのエキセントリック筋力)は、独立して怪我のリスクを減少させることが示されています。 三つ目に、特定の身体特性(例、下半身の筋力、スピード、そして有酸素性持久力)は、トレーニング負荷と怪我の関係性をコントロールします−有酸素性持久力やスピードそして下半身の筋力がよく発達した選手は、身体特性があまり発達していない選手よりもトレーニング負荷のスパイクに対してより耐性があります [9](図1)。 図1.身体特性(このケースでは、有酸素性持久力)がどのようにトレーニング負荷と怪我の関係性をコントロールするかという例。トレーニング負荷と怪我の関係性はスピードや反復スプリント能力そして下半身の筋力によってもコントロールされる。[8] もし、絶対的な負荷(「底」または「天井」のどちらか)を短期間で変更することができなければ、パフォーマンスやメディカルスタッフはフィジカルテストの結果を用いて、特定の負荷設定パターンに基づいた明確なリスクグループに選手を分類することができます。トレーニング負荷と怪我の関係性の様々な調整因子の例、そして似たようなトレーニング負荷にある2人の異なるアスリートを実用的に管理するための提案を下に記します: 表1.似たようなトレーニング負荷を持つ2人の異なるアスリートに対する実用的な応用方法の例 備考 「トレーニングを変更する」とは必ずしも「より多くの休息を与える」ということではありません。専門家は、アスリートの管理データを解釈し、行動を起こすための実践的手引きとしてこのフリーアクセスの論文 [6] を参照してください。 何もしないと決める前によく考えよう! あらゆるトレーニング日における怪我の絶対的なリスクは非常に低いものです(トレーニング日につき1%未満)。疑心暗鬼になるよりも、専門家は何もしないと決める前によく考えることが推奨されます。 頑健で耐性に優れたアスリートを築き上げることは、良いトレーニングプログラムから始まります。スポーツ医学の専門家は、(1)頑健なアスリートを育てるトレーニングをデザインする自身の能力と、(2)彼らのアスリートは自身が思う以上に耐性があることを信じるべきです。 最後に、効果的なアスリートの管理プログラムでは、選手のトレーニング負荷を許容する能力に影響を与える調整因子を考慮します。これらの調整因子とそれらがトレーニング負荷に対してどのように作用するかといった知識によって、トレーニング負荷のみを独立して測定するよりも、より包括的なアスリートの管理システムを得ることができるでしょう。 参照 Anderson L, Triplett-McBride T, Foster C, et al. Impact of training patterns on incidence of illness and injury during a women’s collegiate basketball season. J Strength Cond Res 2003;17:734-738. Bittencourt NF, Meeuwisse WH, Mendonca LD, et al. Complex systems approach for sports injuries: moving from risk factor identification to injury pattern recognition-narrative review and new concept. Br J Sports Med, 2016;50:1309-1314. Gabbett TJ. Influence of training and match intensity on injuries in rugby league. J Sports Sci 2004;22:409-417. Gabbett TJ. The training—injury prevention paradox: should athletes be training smarter and harder? Br J Sports Med 2016;50:273-280. Gabbett, T.J. (2018). Debunking the myths about training load, injury and performance: empirical evidence, hot topics and recommendations for practitioners. Br J Sports Med 2018: bjsports-2018-099784. doi: 10.1136/bjsports-2018-099784. [Epub ahead of print]. Gabbett TJ, Nassis GP, Oetter E, et al. The athlete monitoring cycle: a practical guide to interpreting and applying training monitoring data. Br J Sports Med 2017;:bjsports-2016-097298. doi:10.1136/bjsports-2016-097298 Hulin, B.T., Gabbett, T.J., Pickworth, N.J., Johnston, R.D., and Jenkins, D.G. (2019). Relationships among PlayerLoadTM, high-intensity intermittent running ability and injury risk in professional rugby league players. International Journal of Sports Physiology and Performance, (in press). Malone S, Hughes B, Doran DA, et al. Can the workload-injury relationship be moderated by improved strength, speed and repeated-sprint qualities? J Sci Med Sport 2018; https://doi.org/10.1016/j.jsams.2018.01.010. Windt J, Zumbo BD, Sporer B, et al. Why do workload spikes cause injuries, and which athletes are at higher risk? Mediators and moderators in workload—injury investigations. Br J Sports Med 2017;51:993-994.

ティム・ギャベット 3933字

機能のために重要なエビデンス:それはチェーンリアクション

Pozzi F, Snyder-Mackler L, Zeni J. Relationship Between Biomechanical Asymmetries During A Step Up and Over Task and Stairclimbing After Total Knee Arthroplasty(人工膝関節置換手術後のステップアップ、オーバータスク、および階段昇り中の生体力学的非対称性間の関係性). Clin Biomech 2015, 30: 78-85 Nott CR, Zajac FE, Neptune R, Kautz SA. All joint moments significantly contribute to trunk angular acceleration(体幹の角加速度に有意に貢献する全ての関節の動き). Journal of Biomechanics 2010, 43: 2648-2652. この研究の目的は、「一つの関節がより強く体幹を加速する」のか否かを決定する、時に対立する先行の研究を基に構築されています。彼らは、また矢状面の関節モーメントと前額面の体感の加速のカップリングにも注目をしました。計測装置を備えたトレッドミルと3D運動分析を使用し、彼らのモデルは、各関節の体幹への相対的な影響を確認するために、足首、膝、股関節における関節モーメントを計算するものでした。このモデルは、一人の被験者のみを使用しているため、結果の解釈には注意を必要としますが、彼らは検証のために先行の研究による発見を「チェック」しています。 全ての運動指導者にとって重要となるリサーチのアブストラクト(要約)にまとめられている3つの結論があります。最初の結論は、グレイインスティチュートで指導されるトレーニングとリハビリのアプローチ、チェーンリアクションを示しています。彼らは「それぞれの関節モーメントは、全ての身体分節の直線加速度および角加速度を生み出す。」と結論づけています。関節間に直接的連結があることは必要としません。これらの「隣り合わせでない関節」効果は、解剖学的/身体構造的観点からは理解するのが難しいものですが、ムーブメントへのファンクショナルなアプローチは、解剖学的モデルを超えて、筋肉の活動(グレイインスチュートによりファンクショナルマッスルファンクション/機能的筋肉機能とよばれるもの)を理解することを必要とします。これはまた、回旋が平行移動を生み出し、平行移動が回旋を生み出すというような六次元的自由さのアプローチを実証するものです。 2つ目の結論である「足首、膝、股関節の関節モーメントは全て、体幹の角加速度に影響する。」というのもまた重要です。リサーチ文献で前提とされてきたように、ある関節が他の関節よりも重要であるという発見ではなく、彼らの結果は、歩様のサイクル全体を通して、各関節モーメントが増大し減少することの重要性を示唆しています。ムーブメントシステムの複雑性は、運動指導者が実際の活動にできるだけ近い動きのエクササイズを活用することを要求します。もし、私たちの動きのトレーニングが機能により本質的なものであれば、システムは最も効率的な組み合わせの関節モーメントを認識し活用することを学ぶことができます。 著者たちはまた「面の間でのカップリングが存在する。」とも結論づけています。グレイインスティチュートのコースで指導されるチェーンリアクションバイオメカニクスは、この人間の動きの運動学的、運動的真実に基づいています。3Dの原理原則は、1角面における動きをその他の2つの面から切り離すことはできないと述べています。3Dの原理原則は、全ての関節と全ての筋肉が、3津野運動面全てにおいて同時に機能することを必要とします。この3Dのカップリングは、関節の構造に、筋肉の付着部に、筋膜の配列に、そして神経知覚のコーディネーションに見出せます。これが人間の動きの真実なのです。 これが運動指導者にどのように影響すべきなのでしょうか?グレイインスティチュートでは、Principles/原理原則(真実)がStrategies/戦略(計画)をガイドし、それが私たちのトレーニング、リハビリ、障害予防プログラムを作り上げるTechniques/テクニック(エクササイズ/ムーブメント)を決定します。私達はこれを「PSTプロセス」と呼び、これこそがアプライドファンクショナルサイエンス/応用機能科学の基礎としての役割を果たしています。

グレイインスティテュート 1979字

機能のために重要なエビデンス:それはチェーンリアクション(ビデオ)パート1

グレイインスティチュートの機能のために重要なエビデンスシリーズから。体幹の角加速度に貢献するのは、下肢のどの関節か?を検証しようとしたリサーチの結果に基づいて、全ての関節がそれぞれのタイミングで関わること=チェーンリアクションの重要性についてまとめたシリーズのビデオパート1をご覧ください。

グレイインスティテュート 5:18

機能のために重要なエビデンス:それはチェーンリアクション(ビデオ)パート2

グレイインスティチュートの機能のために重要なエビデンスシリーズから。踵骨が地面にぶつかると同時に距骨下関節に起こる前額面の動きは、距骨下関節の軸によって水平面の動きを引き起こします。そしてその動きは下腿部から大腿部へ、骨盤へ体幹へと3Dにつながっていくチェーンリアクションについて、デーブ・ティベリオ博士がわかりやすく解説するビデオのパート2。

グレイインスティテュート 3:21

腹直筋鞘モデルと胸腰筋膜モデル

先日ウェビナー配信をした「骨盤底の健康」でも紹介をされたビデオを編集しました。骨盤底の健康を維持するためには、骨盤底のみでなくその他の身体機能との連動が重要です。腹直筋鞘の構造と骨盤底、胸腰筋膜と骨盤底のコネクションについてDr.キャシー・ドゥーリーが解説をします。

キャシー・ドゥリー 3:38

ドライニードリング(乾性穿刺)の6つの事実

私の臨床の現場において、ドライニードルは、使用頻度が最も高い治療法のひとつになってきました。様々なテクニックや生理学、損傷へのアプローチ、パフォーマンスとリカバリーなど学べば学ぶほど、さらに使用頻度が増し、その効果も上がり続けています。 ドライニードリングに関して、いくつもの誤解や一般的な誤報があるようですが、この投稿が少しでもこれらのエリアの理解に役立てれば幸いです。 1) ドライニードリングと鍼とは異なります。 Zhouらの記事である「ドライニードリング vs 鍼治療:継続的な議論」[1]に目を通すと、伝統的な鍼治療には多くの分野があり、西洋医学鍼治療(WMA)もそのひとつであることが分かります。また、WMAの中にも、さまざまな種類のドライニードルを含むサブセットがさらにあります。 Karel Lewit 医師は、1979年に「筋筋膜痛におけるニードルの効果」[2]というタイトルの論文を書きました。これは、鍼灸師ではない専門家によって書かれた、ドライニードリングに関する言及では最初に認知されたものです。あるツールを使用することが、特定の分野の専門家になるということではありません。 ハンマーを使って絵画を壁に掛けても、それによって大工にはなれません。電卓を使用しても、それによって公認会計士にはなりません。マニピュレーションを施しても、それによってカイロプラクターにはなりません。心肺蘇生法(CPR)ができても、それによって救急救命士にはなりません。そして、糸状の細い針を使っても、鍼灸師になるわけではないのです。 医療において、さまざまなツールは常にオーバーラップしています。細い糸状の針も同じです。 2) ドライニードルを安全に行うために必要なことをすべて学ぶには、25時間の授業では収まりません。 ドライニードリングを使用している医療従事者は、だいたい4~10年間の学士および修士課程を修めており、さらに数百時間から数千時間に及ぶ他の卒後教育を受講しています。 私は解剖学、生理学、筋骨格機能障害、神経系、運動、触診、医学的評価、整形外科的評価、および怪我のマネージメントの研究に10,000時間以上費やしてきました。 この教育と経歴(そして、私の免許を発行している州の医療行為の法令)によって、私(および私の仲間である理学療法士、アスレチックトレーナー、カイロプラクティックドクター、医師、看護師など)は、ドライニードリングを施すことができるのです。 3) ドライニードルはまったく何も治療しない!にも関わらず全てに驚異的効果があるのです! 針が組織に穿刺される時に起こる生理学的変化は、きわめて複雑ですが、ここで抑えておきたい3つのポイントがあります:私たちが針を体内に穿刺すると、局所的、部位的、中心的な治癒反応が得られます。 局所的には、針が穿刺されるとカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)、ヒスタミン、ブラジキニン、サブスタンスPが局所的に放出されます[3]。これらは、血管拡張や血管新生を促進し、局部組織の損傷からの回復を促進します。 部位的には、針が身体の細い有髄神経(Aベータ、Aデルタ)と無髄線維(C線維)を刺激し、後角を介して上行性疼痛経路の刺激を作動させ、視床、視床下部、および中脳水道周囲灰白質(PAG)に到達します[3]。下行性の痛みの経路が誘発され、脊髄の後根神経節でエンケファリンが放出され、GABAとグリシンとともに各神経が始まる脊髄レベルで疼痛伝達を制御します。 そして最後に、全身的には、脳の中脳水道周囲灰白質(PAG)からβエンドルフィン、エンドモルフィン、ダイノルフィンなど(オピエート神経ペプチド)が分泌され、体内に総合的な鎮痛効果が得られます。これは、脊椎マニピュレーションを受けたときに分泌されるオピオイドと同様、モルヒネと同族に属します。 これでお分かりですね:この治療法がこれほどまでにパワフルなのは、局所的、部位的、そして全身的な効果があるからなのです。 4) 私の意見ですが、証拠、研究、科学とは相互置き換えが不可能な用語だと思います。 私の臨床の中で、疑問が湧いてくるとき、それを調べるために研究に目を向けます。私たちの周りには今や圧倒されるほど多くの研究があります。ある療法に効果がないという研究を見つければ、必ず効果があるという研究を見つけます。研究は豊富すぎるのですが、エビデンスはそうではありません。 いくつかの研究が同じ方向を示しているならば、私たちは臨床を推進するエビデンスがあるということになります。そのエビデンスが分かるまでは、ある介入法にメリットがあるかどうかを判断するために科学に目を向ける必要があるのです。 ドライニードリングを裏付ける多くの科学があります。エビデンスは常に臨床と科学に遅れをとります。あなたは、エビデンスがない場合、自分の考えを裏付けできる研究がいくつかありますか、または。少なくとも自分の臨床を推進する科学がありますか?もしあるのであれば、合法的かつ倫理的である限りそれは価値のある介入法であると私は思います。 客観的に物事を見ましょう。あなたの介入法の反応の出現は、即効型ですか、それとも遅延型ですか?それらの反応は測定可能ですか? ドライニードリングでは、私の患者の反応は客観的で測定可能です。そして、それらは一般的に顕著に示されます。 5) ドライニードリングにも“絶対に正しいひとつのテクニック”はありません。 他の徒手療法やエクササイズの処方と同様です。人体にドライニードルを使用するには芸術性(アート)が必要です。理論や見解が異なるいくつかのテクニックがあります。単に異なるというだけで、優劣はつきません。 先ほども述べましたが、何事も正しい方法がひとつだけならば、私たちはみなそのようにするでしょう。ドライニードリングも例外ではありません。有効なテクニックはたくさんありますから、私はいつも学生に、複数のアプローチ方法を学ぶように伝えています。そうすれば、自分の臨床や哲学にぴったりの方法が見つけられるからです。 6) 訓練を受けていない人がドライニードリングを使用すると、危険を伴います(危険を伴う車の運転も同様ですね)。 この危険性というものは、正しい知識と臨床経験で緩衝することができます。人体解剖学に忠実に、危険ゾーンを熟知し、そしてドライニードリングの適応と禁忌を知っておくことが重要です。 訓練を受けた専門家が使用する場合、大惨事は最小限に抑えられます。有害作用が記録されていている文献があります[4, 5, 6]。すべてのツールが、すべての患者のためにあるわけではなく、また、すべてのツールがすべての臨床医のためにあるわけでもありません。患者と臨床家の安全のために、適切な普遍的予防策が適用されなくてはなりません。 ますます多くの査読された文献が公開されており、未だ解明されていない事柄を明らかにする試みの研究が行われています。現在はドライニードリングの分野でエキサイティングな時代であり、私はこの素晴らしい療法についてこれからも教えることに興奮しています。 参照 Zhou K, Ma Y, Brogan MS. Dry needling versus acupuncture: the ongoing debate. Acupunct Med. 2015:acupmed–2015. White P, Lewith G, Hopwood V, Prescott P. The placebo needle, is it a valid and convincing placebo for use in acupuncture trials? A randomised, single-blind, cross-over pilot trial. Pain. 2003;106(3):401-409. Cagnie B, Dewitte V, Barbe T, Timmermans F, Delrue N, Meeus M. Physiologic Effects of Dry Needling. Curr Pain Headache Rep. 2013;17(8). doi:10.1007/s11916-013-0348-5. Kim M-R, Shin J-S, Lee J, et al. Safety of Acupuncture and Pharmacopuncture in 80,523 Musculoskeletal Disorder Patients: A Retrospective Review of Internal Safety Inspection and Electronic Medical Records. Medicine (Baltimore). 2016;95(18):e3635. doi:10.1097/MD.0000000000003635. Brady S, McEvoy J, Dommerholt J, Doody C. Adverse events following trigger point dry needling: a prospective survey of chartered physiotherapists. J Man Manip Ther. 2014;22(3):134-140. doi:10.1179/2042618613Y.0000000044. Zhang J, Shang H, Gao X, Ernst E. WHO | Acupuncture-related adverse events: a systematic review of the Chinese literature. WHO. http://www.who.int/bulletin/volumes/88/12/10-076737/en/. Accessed July 27, 2016.

スー・ファルソニ 3045字

ランプデーをいつ、どう使うのか?

トレーニングウィーク中のオフの日をどう過ごすのか?休みの日をどう過ごすかによって、翌週からのトレーニングにどのような影響が出るのか、考えてみたことはありますか?より回復を高めるためのレスト日の重要さをマイクが解説します。

マイク・ロバートソン 4:14

腸脛靭帯のリストア方法

腸脛靭帯は、結合組織であるため、伸びるとか剥がれるとかしてはいけない構造ですが、ローラーなどで延々と「リリース」しようとする人々の姿は、今も見ることが多いですよね。このエリアをより効果的に気持ちよく動かすために、どんな方法があるのでしょうか?

オリジナルストレングス 5:02

テニスドリルのグランドスラム

この記事は、動きの基礎的なスキルをどのように特定のスポーツの要求を満たすものにすることができるかを示す素晴らしい例です。私はテニスの試合と 、それがもたらす運動競技性の大ファンです。 テニス選手のスピードを向上させるためには、多くの変数があることは間違いありません;その一つは筋力です。選手の筋力が強いほど、地面に素早く伝える力が大きいほど、潜在的に発揮できるスピードは高まります。そうは言っても、テニスは生産的なプレーヤーであるためにフットワークとポジショニングが重要なスポーツの一つです。 あなたが、世界クラスの陸上競技選手にテニスボールの打ち方を習熟させたとしても、それは、彼女がショットを返すのが上手くなることを意味はしません、ショットが上手な選手が相手の場合は特に。テニス選手は、コートに対する気づき、反応速度、減速のスピード、フットワークのタイミングを発達させる必要があります。 テニス選手が、深いグラウンドストロークを強く打った後に幅広くステップするとき、彼はただ加速しているのではありません。もちろん、それは彼がボールに到達するためのスピードの主要な部分ではありますが、同時に彼はボールを打ち返し、相手のコート上の特定の領域に落とすことができるようにフットワークを使う準備をしているのです。そのためには、ラケットを振り、ショットをコントロールできるポジションに上半身を位置することを可能にする、適切なフットワークを使わければなりません。 ものすごく速くはないように見えても、いつも難しいショットに対応できるテニス選手を見かけることが多くあります。これは、彼らがコート上で動くのが上手く、試合をする上でどのように動くべきかを理解しているからです。 ここでは、試合中にテニス選手に必要とされるショットの例をいくつか紹介します。テニス選手の動きの能力の一部にしなければならない様々なフットワークのスキルを示すためです。 ワイドグラウンドストローク:テニス選手は、幅広くスプリントし、かつ、適切にボールを打ち、止まり、次のショットのためにコートの中心に戻ることができる必要があります。 ドロップショット:これは、テニス選手がコートの後ろから、時にはベースラインより5~8フィート(約1.5~2.4メートル)後ろから、コートの前付近で収束しそうな短めのショットに追いつかけなければならないときです。これは、ネットの近くのどの角度でもあり得ます。 ロブショット:プレーヤーがネットのところにいる時に、相手がプレーヤーの頭上を越えてコートの深い場所に向かう高いショットを打つとき、プレーヤーは、相手のコートに的確に打ち返す(可能であれば)ブラインドショットを打とうとして、振り返ってボールを追いかけて走らなければなりません。 サーブのワイドリターン:サーブが時速130マイル(時速209km)で迫ってきて、それがプレーヤーの右または左に伸びて離れていくとき。ボールが通り過ぎてしまう前にボールに到達するためには、とてつもなく素早い反応と最初の一歩が必要です。 これら可能性のあるショットをすべて見てみると、それぞれが異なる形のフットワークを必要としますが、ショットを決めるためには、いずれも素早い反応の後に素晴らしいフットワークが必要になります。 ここでは、これらの4つのショットを返そうとするときに、コートでのスピードを向上させるために使用する私のお気に入りのドリルをいくつか紹介します。 ワイドグラウンドストローク これは、ワイドグラウンドストロークができるように、経験豊富なテニス選手に私が使っているドリルのプログレッションです。 リアクト&ラン 私はサービスボックスに立って、右または左を指します。フォアハンドとバックハンド側のダブルライン上にコーンを置きます。テニス選手は、私の動きの指示を予測して、いつでも動けるように、母趾球の上でバウンスしていなければなりません。私は右または左を指し、選手は、そのコーンに向かってダッシュし、想像上のグランドストロークを行い、1つまたは2つの動きのためのクロスオーバーステップをした後、素早くシャッフルバックして真ん中のコーンに戻り、次の合図のための準備をします。これは、コート上で、選手を素早く加速させ、ショットの後に減速し、最初の位置に戻るための素晴らしいドリルです。 ドロップショット ドロップショットに到達し、打ちながら相手から遠ざかるのは、テニスの試合において最もタフなショットの一つかもしれません。 ラン&キャッチ 選手がアクティブにベースライン上でバウンドしている状態で、私は約5フィート(1.5m)離れたネットの反対側に立ちます。私はコート上のどこかにテニスボールをトスします。選手はボールに向かって走り、ラケットを持たせていない場合は手で、またはラケットを使ってボールを打たなければなりません(ワンバウンド後)。選手はドロップショットを予想して前に出始めるので、私は必ずしもドロップショットを与えることはせず、ワイドショットやディープショットも投げます。このドリルをよりコントロールの高いものにするため、私は、選手にラケットの網でボールをキャッチし、落とさないようにさせます。これによりタッチと柔らかさを教えることができます。 ロブショット ロブショットが攻撃的か防御的かにかかわらず、選手の頭上を通過する場合は常に返すのが難しいショットになります。 ターン&ラン このドリルを実行するとき、私は選手にサービスボックスの「T」からスタートしてもらい、私は約5フィートほど離れたネットの反対側に立ちます。私が「GO」と言うと、選手はスプリットステップとボレーの準備をしてネットに近づきます。私はボールをワイドに投げるか、ズルをさせないために選手に向かってボールを投げます。そして、私が彼らの頭上を越えて深くボールを打つとき、彼らは素早いヒップターンを使ってボールに向かって走り、セカンドバウンドの前にキャッチまたは打たなければなりません。重要なのは、素早いヒップターンを使って、すぐに加速モードに入ることです。ボールの位置を探して、適切な角度を取ります。もし選手が手でボールをキャッチするように指示された場合は、できるだけボールに近づくか、さらにボールを少し越えてキャッチをしてほしいと考えています。これは、彼らが180度(進行方向とは逆方向)にボールを打たなければならないからです。 サーブのワイドリターン 選手が、優れたサーバー、特にスピードと角度の付け方に長けている相手と対峙するとき、これは大変なタスクになります。 リアクト&カットオフ このドリルでは、私はネットの近くに立ち、選手は自身の快適さに応じて、ベースライン上、後ろ、またはすぐ前に立ちます。私は、右または左に広くテニスボールを打つ、または投げ、選手は素早くスプリットステップから動き出し(私の打つ、または投げるアクションに合わせて)、ボールがさらに横に広がって行ってしまう前に止めるように、ボールを打つか、またはキャッチするためにわずかに前方の角度に迅速に爆発的に動く必要があります。十分に横に移動できなかったために、角度が急になりすぎてはいけません。しかし、選手が角度を付けずに横にステップすれば、ボールは手の届かないところへ行ってしまいます。これは、圧倒的に、最も爆発的な反応ドリルです。ほんの少ししか時間はかかりませんが、ワイドに打たれたサーブを返すことができるためにはこれが非常に重要です。外側へ角度を取ってください。 これらのドリル全てにおいて、コーチはアグレッシブなフットワークと効率的な動きに注目する必要があります。もし選手が、よく指導されるように、加速の初期段階で小さすぎるステップを取っていると、選手は素早く距離を稼ぐことができません。 ボールを打つつもりがなくても、ボールに辿り着いたらストロークを打つことができるように、プレーヤーが良い位置にいることを確認してください。 これは、私がこれらのドリルのために使用する基本的なデザインです。 リアクト&ラン 左右に4-6回 試合のペースに合わせて最大30秒のリカバリー、またはより速いスピードトレーニングの場合は60秒 軽めの長いレジスタンスバンドを使用して、ステップを踏み出す際の抵抗を作ります。戻ってくるときは引っ張らないようにします。チューブがプレーヤーのウエストの周りで回旋するようなバンドを使用するようにしてください。ランニングフォームに影響を与えない程度の軽さであるべきです。 ドロップショット 8-10回 試合のペースに合わせて最大30秒のリカバリー、またはより速いスピードトレーニングの場合は60-75秒 十分な長さがあり、経験者が持つのなら、抵抗のために軽めのチューブを使用することができます。チューブは最初の加速ポジションに影響を与えることはできません。チューブは地面からの力を増加させることを意図しています。 ロブショット 6-8回 試合のペースに合わせて最大30秒のリカバリー、またはより速いスピードトレーニングの場合は60秒 ワイドリターンショット 片側8~10回 試合のペースまたは2回目のサーブのペースに合わせて最大5-10秒のリカバリー、またはより速いスピードトレーニングの場合は30秒 これらのドリルは、全体のワークアウトの最初の部分に統合するべきです。私は上記のドリルの中から1日に1~2つを選んでトレーニングします。このドリルは、より神経系のトレーニングになるので、その日の目標がありのままのスピードであれば、あまり多くのドリルを実行する必要はありませんが、疲労状態で素早く動くことを目的とする場合(試合のシミュレーション)には、1回のワークアウトですべてのドリルを実行するか、休息の計画に合わせてドリルを操作することもできます。 これらの4つのドリルをマスターすれば、グランドスラムに出場できるかもしれません!

リー・タフト 4227字

身体的活動と痛みの詮索

変形性関節症に悩む人達の多くは、痛みのある活動を控えることによって、徐々に身体活動の良が低下してしまっていることがほとんどではないでしょうか?変形性関節症の改善のために不可欠である運動、活動の再開がいかに重要なのかについて、グレッグ・リーマンが解説します。

グレッグ・リーマン 4:54

セリアック病の紹介:セリアック病ってなーに?

セリアック病は小腸に影響する自己免疫障害で、別名、 “セリアックスプルー”(Celiac sprue)、またはグルテン過敏性腸症(gluten sensitive enteropathy)とも呼ばれ、グルテンが含まれている食品を摂取してしまうと、小腸にダメージを起こしてしまいます。   セリアック病を持っている人は、腸の粘膜にある絨毛が平らになり、吸収不良を引き起こしてしまいます。この病気は世界人口の約1%に影響を与え、セリアック病のいくつかの病状には、腹部の膨満や痛み、下痢、疲労、体重減少、貧血が含まれ、他にも深刻な健康上の問題を引き起こす可能性もあります。一般成人には、貧血、骨塩密度の低下、疱疹状皮膚炎、口内潰瘍、頭痛、関節痛などの症状も見られます。それ以外でも、吸収不良が原因で、特定のビタミンやミネラル不足に関連してしまう可能性もあります。そのため、セリアック病と診断された場合は、グルテンフリーの食事を厳守する事が非常に重要です。現在セリアック病の治療法はありませんが、症状はグルテンフリーの食事で管理することができ、腸の治療も促進することができます。   セリアック病のリスク要因と診断方法 セリアック病のリスク要因には以下のようなことがあります: 自分の家族内でセリアック病を持っている人がいる 既存の自己免疫障害、ダウン症候群、アジソン病、がある セリアック病は普段、血液検査や内視鏡検査によって診断され、小腸の絨毛の扁平化が視察されます。偽陰性がないことを確認するために、血液検査の前に個人が最低2週間ほどグルテンを継続的に摂取することは非常に重要です。 グルテンが存在しないか、継続的に摂取されていない限り、身体は免疫応答を持たないため、テストで正確に結果が出ません。   グルテンを避けるためのアドバイス: グルテンを含む食材は:小麦、ライ麦、大麦。グルテンフリーの穀物はたくさんあり、セリアック病の人でも摂取することができます。お米はもちろん、キヌア、きび、とうもろこし、ソルガム、そば、アマランス、などもグルテンフリーの穀物に入ります。多くの製品、特に加工食品は、予想外にグルテンが含まれている可能性があるため、食品を購入する場合、注意深く見る必要が重要です。レストランのサーバーにセリアック病であることを通知して、キッチンでの相互汚染を防ぐことも非常に重要です。セリアック病の一部の個人は、他の人よりも交差汚染に対して遥かに敏感である可能性があります。   アスリートへの影響 高強度の運動は胃腸(GI)にストレスをかける可能性があるため、セリアック病のアスリートには非常に厳密なグルテンフリーダイエットを実施し、GIにストレスがかからないようにすることが重要です。 上記のように、小麦、大麦、ライ麦の代わりに摂取できるグルテンフリーの穀物がたくさんあります。 リストされているグルテンフリーの穀物はすべて、私たちの激しい運動をサポートするのに役立つ炭水化物の優れた供給源です。 繊維、ビタミン、ミネラルが多いので、全粒穀物を消費することが重要です。 アスリートの誰かがセリアック病を患っており、運動のために適切に燃料を補給するのに苦労している場合、 彼らを効果的に助けることができるように、彼らにスポーツ栄養士を紹介してください。 参照 “Celiac Disease.” Mayo Clinic, Mayo Foundation for Medical Education and Research, 16 Sept. 2019, www.mayoclinic.org/diseases-conditions/celiac-disease/symptoms-causes/syc-20352220.

讃井 友香 1402字