マイクロラーニング
隙間時間に少しずつビデオや記事で学べるマイクロラーニング。クイズに答えてXPとKoinを獲得すれば理解も深まります。
フィボナッチ、螺旋と人間の動き
フィボナッチ数列は、数学的連続としてよく知られている数列です。フィボナッチ数列とは、数字が直前の二つの数字の合計になっている数字の連続です:0, 1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34....というように。これらの数字は、自然界、建築、銀河系、そして、この後述べる動きなど、多くの形で出現していることがわかっています。 フィボナッチの本名は、レオナルド・ピサノで、12世紀の終わりにイタリアのピサで生まれました。1400年代の学者が、レオナルドの、現代は有名な本である「算盤の書(原題:Liber Abaci)」の手書きのコピーを間違って解釈したために、彼はフィボナッチとして知られるようになりました。フィボナッチが、今では有名な数字の連続の発見のきっかけになった、ウサギの群れの成長に関する疑問を思いついたのもこの本でした。偶然にも、「算盤の書」は、私たちが今日も使っている数字のシステムについて、彼が初めて述べた本でした。彼は、旅の途中で似たような法則に気がつき、その0-9の数字のシステムが、商人が共通性を持つために使ったり、異なる地域の異なるシステムで利用したり、より複雑なその時代のローマ数字を使ったり、様々な方法で使えることを説明しました。 フィボナッチ数列は、数字の連続それ自体の重要性を超えて、図表的に、幾何学的形状の連続として表すことができ、相互に組み合わせていくと「黄金長方形」、つまり審美的に最適な比率の長方形の連続が創り出されます。さらに一歩踏み込み、それぞれの長方形から四分円を描くと、螺旋ができます。これは完璧な螺旋ではありませんが、自然界において様々な形で見ることができるものです:カタツムリや貝殻の殻の形、ゼンマイ、波、竜巻、そして銀河系それ自体にさえ!そして、この長方形の縦横比が「ファイ(φ)」の数—1.61803…(無限)と同じになる、つまりは「黄金比」がありますが、これについては、まとめて全く違う投稿ができるでしょう。 フィボナッチ螺旋 - 自然界のDNAの螺旋の鎖から竜巻、広がり続ける銀河系まで! では、これがどのように人間の動きと関連しているのでしょうか?フィボナッチ螺旋を単に全てのものの上に置きたくないことは承知の上で、これが非常にうまく当てはまるものがあります。これから述べる例は、これまでにはこのような解釈では考えられたことがない、真の機能的構造を正しく認識することに役立つツールであり、リハビリやトレーニングの際にどのようにキューを与えるかの助けにもなるかもしれません。 波は周期的な螺旋の素晴らしい例です まず、私の娘のナタリーが水から髪をかっこよく引き上げている写真(数年前のもの)から始めましょう。間違いなく、この写真の色彩とかっこよさが、この写真をを楽しいものにしています。 この写真を見ることを、これほど心地いいものにしているものは何なのでしょう? この写真に螺旋を加えてみたらどうでしょう?この側面を考えると、何がこの写真を「黄金」にしているのかの説明に役立ちそうです。 幾何学を重ね合わせた時、多分これが、この写真をめちゃくちゃカッコよくしているものなのでしょう。 では次にスプリントを見てみましょう。特にスタートの時です。この写真のアスリートは、はっきりと、スタートブロックから飛び出すのに非常に良い直線を描いており、レースのスタートにおいて、可能な限り効率的で強い、素晴らしい身体のポジションを取っています。 間違いなく、彼はこのスタートの練習をしてきています… 彼は小さく丸まったクラウチングポジション—コイルのように巻き込んだポジションからスタートし、ピストルスタートの音が鳴る瞬間に潜在的なエネルギーを創出しようとしています。ここで、彼の「コア」を中心にして、スタート時の腕と脚の動きを螺旋の小さい渦巻きとし、レースに入っていくに連れ、より大きな螺旋へと漸進していくのを表し、フィボナッチ螺旋を適応してみると何が起こるかを見てみましょう。彼の凝縮された渦巻き構造から、徐々に運動エネルギーが放出され、本質的にスリングショットのように彼の身体をトラックに押し出すのを助けています。 肋骨が前方、下方、後方へ回旋し、腕と脚が前方、下方、後方へ、押し出される 同じスプリンターを例にして、今度は内部ではなく、外部に注力して考えてみると、同様の螺旋を地面とスプリンターの関係性から描く—地面がスプリンターの下で回旋し、本質的に彼を前方へと推進する手助けしている--ことができます。もし彼がこれを視覚的に「見る」ことができれば—トラックの前方をまっすぐ見つめると同時に、固有受容的に地面が彼の下から転がるように上がってくるのを見る--、スプリントの技術を助ける他の感覚の活用にも非常に役立つでしょう。 地面が下から上がってくると同時に、地面を押し離す これと同じ法則を頭において、人間の機能をより深く見てみましょう。その良い例は、横隔膜であり、無意識の安息時の周期性呼吸(安静時の通常の呼吸)、無意識の能動的な呼吸(エクササイズ時に起こる)、意識的な周期性及び能動的呼吸(意識をして能動的に呼吸のメカニクスを変える時に起こる)の際に、側方への理想的な胸郭膨張が起こるように、どのように横隔膜が位置されているべきかということです。腹筋群は、横隔膜のこの引く力に相対する為に、能動的に肋骨を下方、後方の位置に維持できるべきです。これは、理想的な呼吸のメカニクスを維持するのに役立つだけでなく、相互に機能的な関係性を保つ理想的な胸郭と骨盤のポジションを維持するのにも役立ちます。フィボナッチの原則をこの仕組みに応用すると、自己完結型の、活動の巡回螺旋が出来上がります。この紫の矢印を見ると、これら全てが同じ方向へ向かってはいないことに気がつきます。息を吐き出し始めると、横隔膜が上がり、あるいは半球形に膨らみ、まずはより後方に、それからより前方へと動き、渦巻きが巻き上がり始め、前側/外側の層は、呼気のサイクルを終えるために、下方、後方へと下がってきます。これがどのように見えるかの例としては、あなたが柔軟なテープメジャーを持っていて、そのメジャーを戻して、しっかりと巻き上げたい場合に、巻き上げていく過程で、巻かれた中身または中心の部分を回旋させ、下記の図の外側の矢印と同様に、外側の部分を実際に反対方向へ引いて、きつく締め、最終的にまとめ上げることです。これはより完全に近い、深い呼気であり、再度吸気が起こる際に、外側の層(例 腹部と肋骨/骨盤のポジション)がこの状態を保つことを可能にします。理想的な呼吸機能の重要な構成要素です。
なぜ私は機能不全の状態で強化するのか
理学療法で一般的に認められている原理は、機能不全の状態で強化しないということです。その背景にある考えは、間違いなく多数の異なる方法で見ることができますが、私はいつも、もし誰かが痛みを持っていたら、ただそれを無視して無理をしながら一生懸命トレーニングをするのではなく、潜在的な痛みの原因であるものを、それがなんであれ“治そう”とするべきだと意味していると解釈してきました。 動作の質の世界では、もし誰かが膝の痛みを抱えていたら、それは彼らの呼吸パターンやコアの“運動制御”を“修正”すべきだとか、動作パターン/運動学を変えるべきだとか、臀部を活性化すべきだということを意味するかもしれません。根本的に、それは局所的相互依存の臨床症状なのです。もしある人が“下手に”動いているなら、彼らのゴールである活動(ランニング、ストレングストレーニング、など)を始めるために、その下手な動きは修正されなければならないということを意味しているのです。 私は多くの部分において(例外はあるはずだと認めています)、そうする必要はないと主張します。人々が痛みに打ちのめされ、彼らを敏感にさせているものを無視すべきだと言っているのではなく、私たちは順応することができ、私たちが動作において欠陥だと考えるものは痛みと無関係であるかもしれないと主張しているのです。その人が一番やりたいこと(例:ランニングやストレングストレーニング)は、彼らが”治る”まで避けられなくてもよくて、彼らはそれらのことを今すぐに始めることができると言いたいのです。 誰もが機能不全の状態で強化をしても良いいくつかの例を挙げましょう。 1. 膝蓋大腿痛症候群:たしかにあなたは誰かの歩容を変えたり、どのように階段を上るかを変えたり、あるいはスクワットパターンを変えることができます。これらはすべて一時的に感作を減らすもので、膝の痛みを“落ち着かせる”ことができますが、あなたはこれらのことをしなくてもよいし、それらが永遠にされなければならないわけではありません。これらを行いながら、さっそく膝に負荷をかけ始めるべきです。痛みのある場所とそこから離れた場所の両方にシンプルなストレングスエクササイズを用います(こちらをご覧ください)。シンプルなローディングが膝の痛みの助けになり、これらの効果が動作パターンの変化には関係しないことを示しているたくさんの良い研究があります。それは、ある人がかなりの膝関節外反を伴っても走ることができ、痛みを解消してもう悩まされないようにするために、膝関節外反が変えられる必要はないことを意味しているのです。治療家が感作を引き起こすその他の要因に対処したり治療をすることで、感作が減り負荷耐容性を改善しました。 2. 腱障害:この機能不全は強化するべきです。動作の質を変えることよりも、負荷のマネジメント(すべての生物学的及び心理社会的ストレッサーを意味する)が、これらのコンディションを治療するために重要だという非常に多くの証拠があります。もしあなたのアキレス腱が痛いのであれば、それに対して毎日ストレングスエクササイズで負荷をかけ、頑張らせ、順応するよう求めるのです。あなたが無理をさせすぎて、より多くの痛みをもつことを“学ばなければ”、スポーツをし続けることができます。ストレングストレーニングは、腱が負荷に耐える許容量を改善し、鎮痛剤としても機能する上に、その人に有意義な活動をし続けさせることは、感作を減らすものと考えることもできます。私たちは動作の現存について必要以上に騒ぎませんが、その代わり、身体はストレッサーに順応するという事実を患者に納得させます。痛みとは正常なもので、損傷を示しているわけではないのです。痛みがないというのは変なのかもしれません。私たちは痛みを抱えながら運動に参加し続けることができ、順応するにつれてよくなっていくでしょう。私たちは、彼らの生活の中にあるすべての感作要因(ストレス、睡眠、感情的健康、痛みについての信条)を探し、それらに対処することも考えます。 3. ACL傷害予防でさえも:組織にかかる負荷がその組織の耐性を超える高負荷の活動は、生体力学と動作の質がもっとも重要となるエリアです(IMO)。屋根から飛び降りるよりも、もっといい方法がありますが、動作のテクニックが重要となるこれらの例においてさえも、まだ基礎的な筋力が重要だといういくらかの驚くべき(推測するに、何人かにとっては)研究があります。神経筋系トレーニングがACL傷害のリスクを下げうるといういくつかの証拠は存在しますが、これが被験者の動作の質が変わったということを必ずしも意味するわけではないのです!衝撃ですね。Zebis氏(2015)による研究を見ると、動作に関連する運動学も運動力学も介入後に変化していなかったことがわかります。ですから、ここでもまた、介入は、私たちがしばしば重要だと考えている変数を変える効果を持っていなくとも、よい治療上の成果があるのです。 4. 肩:肩甲骨の運動学を修正することは、ただ忘れてしまいましょう。全く必要ありません。もしローテーターカフが痛むなら、それを鍛えましょう。肩甲骨に焦点をあてたエクササイズをすべきですか?もちろんです。なぜそれらが助けになるのかわかっていますか?もちろんわかりません。それらは一貫して運動学を変えますか?いいえ。それらは一貫して発火パターンを変えますか?いいえ?それらに治療上の効果を得られなければなりませんか?いいえ。素晴らしい。痛い部分を局所的に、そして離れたところに負荷をかけ始めましょう。これは治療的です。いくつか他のこともするかもしれません。それはあなたにおまかせします。 それでは、動作パターンはどうなのか? 私は、その人がどう動くかを変えるなと言っているのでしょうか?いいえ。それには意味がありますが、多くの人があなたに信じさせたことよりもっと単純です。もし何かが痛むなら、私たちには4つの選択肢があると言っていいでしょう: 1. それを避けて、痛い箇所にニュートラルで負荷をかける 2. 動作を変更し、動かし続ける(例:リフティングで肩の痛みのために胸部の位置を変える)*これは機能不全の状態で強化をしないこととよく調和したアプローチでしょう。 3. ゆっくりと動作を試し、その人に感作を減少させるよう求める(“エッジワーク”と呼ばれる、習慣性を利用した段階的な露出アプローチ) 4. かなりの負荷をかけて肩に順応するよう求める(恐らく低感受性コンディションに最も適切でしょう) これらのケースで動作を変更させるものを用いると、多くの人は、私たちが動作パターンを“理想的”あるいはより良い動作の質に変えているに違いないと言うでしょう。しかし、ただ何か違うことをしているだけだと私は主張します。私たちは新しい動作の選択を築いていて、それが身体の脱感作につながるのです。これは、多次元的な感作の本質を扱う他の治療と連携して行われるかもしれません。しばらくしたら、あなたは新しい動作パターンを行う必要などなくて、かつては過敏だったけれども今はそうでない古いパターンに戻ることができるでしょう。このアプローチは認知機能療法の文献の中でもっともよく説明されています。動作の習慣は変えられていますが、永遠に行われるものではありません。いくつかの良い例は、このサイトとこのサイトをご覧ください。ロウワーの例はとても興味深いものです。それは、痛みがやわらげられて、有意義なタスク(ロウイング)中の、多くの人が間違っていると考えるかもしれない脊椎の動きの習性には、何の変化もないことを示しています。 動きを間違っていると見るかわりに、多分私たちはそれらを過敏であると見るべきなのでしょう。 ここでの全体的なテーマは: 動作準備は動作の質に勝る 例外があることはたしかにわかってはいますが、大概私は身体を強く、たくましく、そして順応できるものとして見ています。ゆっくり、段階的に準備すれば、彼らは私たちが与える要求に順応できるのです。 言い換えれば、誰も走る権利を得る必要はないのです。もし何か修正する必要があるとしても、ランニングを再開していいと許可をするというのはめったにないでしょう。もしあなたが彼らに、ひどい動作パターンを持っていますよ、呼吸が下手ですね、モビリティがひどいです、などと伝えるなら、恐らくあなたは彼らを過敏であり続けるように仕向けることになるでしょう。そうではなく、彼らのトレーニングやライフスタイル、そして彼らのストレッサーすべてを見ることができます。生態系を過敏にさせうるものすべてです。シンプルに問いかけてみます: 「何があなたをより健康にできるでしょう?」 順応には時間がかかる(そのため痛めつけることはしない)ことを尊重していますが、私たちが生体力学的な“修正”がまず必要だと伝えることなく、人々は有意義なことを始めることができます。それらの生体力学的“修正”のいくつかは、確かに役に立つでしょう。私はそれらが助けにならないとは言っていません。ただそれらが常に必要だというわけではないのです。時には十分でしょうか?間違いありません。そしてそれらは、生態系の脱感作のための全体的なアプローチの一部でさえあるのです。しかし私は、もしあなたがそれらを行いたいのなら、有意義な活動への段階的な露出アプローチと共に行うことができると主張します。 そしてあなたはおそらく、修正しなくてはならないという感覚から、代わりに私たちが手助けすることがより重要であるという考えへと移行することができるでしょう。
バックスクワットのバイオメカニクス パート1
スクワットは、膝と股関節の筋群のためのよく知られたエクササイズであり、リハビリのプログラムにもよく使われます。バイオメカニクス的に、スクワットはクローズドチェーンの動作であり、足関節、膝関節及び股関節を同時に伸展させる必要があります。スクワットは、足幅(相撲スクワット)や、足のポジション(片足やブルガリアンスクワット)、負荷をかける場所(フロントスクワット、シッシースクワット)、深さ(フルスクワット、浅いスクワット)などのバリエーションを含む、様々な方法で行うことができます。しかし、これらのバリエーションは、どれも膝関節にかかる力や筋の動員パターンに影響を与えることを気に留めておくことが重要です。例えば、ディープ(フル)スクワットの安全性については、多くの議論がされています。コーチ達は、膝の可動域(120〜140度)や大腿の角度(床と平行以下)を見る事によってフルスクワットを定義することが多いようです 。 スクワットの深さは、多くの議論の対象になっていて、一部の研究者は、フルスクワット中の膝への圧縮力の大きさについて懸念を示していますが、この懸念は、ストレングス&コンディションニングの第一人者である全米ストレングス&コンディションニング協会(NSCA)により払拭されています。NSCAのスクワットエクササイズについての方針書では、これらの懸念を払拭し、フルスクワットは膝関節を危険な圧縮力にさらさないことを証明した強力な科学的なエビデンスを提示しています。興味深い事に、研究者は、スクワット中の膝関節の屈曲角度が90〜100度の時に膝蓋大腿関節への力が最大になることから、膝関節への圧縮力はパーシャルスクワットの方が高いという報告もしています(1)。NSCAの方針書(5)によれば、スクワットは、その深さに関係なく、正しく実施され、なおかつ適切な監督下にあれば、安全性が高いだけでなく、膝関節への障害を著しく予防できるとしています。しかしながら、重要な事に、方針書の著者は、スクワットのボトムポジションから、上昇動作を助けるために反動をつけて(弾むように)立ち上がる事で、膝関節への機械的な負荷が増加すると報告しています。これは、典型的に下降動作(エキセントリック)から上昇動作(コンセントリック)への移行時に、スクワット中の力と筋への張力が最大になるためで、 筋の伸長は一般的にフルスクワットにおいてより大きくなります(1)。スクワットスタイルのケトルベルスイング(股関節のヒンジ動作パターンのスイングではなく)が、膝関節をケガの危険にさらし、膝関節の障害を有するクライアントに対して使用するべきではない理由が、まさにこれなのです。要するに、良いテクニックと適切な監督下で行われるフルスクワットは、膝関節に損傷を与えるものではないと思えます。 フルスクワットかパーシャルスクワットかという議論は、運動競技のパフォーマンスにも及んでいます。一部の研究者は、フルスクワットの方がパーシャルスクワットよりもより垂直跳びのパフォーマンスに有効であると信じています(1-3)。これと対照的に、他の研究者は、パーシャルスクワットにおける最大筋力は、スプリントや垂直跳びのパフォーマンスの強力な決定要因であると示しています(4)。フルスクワットと比較した時、レアその他、(6)は、パーシャルスクワットが、スプリント及び跳躍能力の両方により大きな効果の転移をもたらし、また、パーシャルスクワットを含むワークアウトは、スポーツスキルのより大きな向上につながったと報告しています。しかし、この研究(6)の著者は、一般的なスポーツのコンディションニングのプログラムに、フルスクワットが有益であるとも認識しています。パーシャルスクワットによってスプリントと跳躍パフォーマンスの向上が見られた理由は、スプリントと跳躍における股関節と膝関節の可動域が(パーシャルスクワットに)類似しているためでしょう。しかし、パーシャルスクワットにもデメリットがないわけではありません。例えば、最近のケーススタディにおいて、甲谷その他(1)はバレーボール選手に、パーシャルスクワットをより高重量(体重の1〜1.2倍)で処方した場合、腰や膝の不快感が増すとの訴えがあったため、女性のバレーボール選手にはフルスクワットを選択すると報告しています。まとめると、これらの研究の結果は、フルスクワット及びパーシャルスクワット両方にメリットがあることを示唆しています。 フルスクワットは、一般的なコンディションニングに関するメリットがあり、垂直跳びのパフォーマンスを向上させるためにも有効かもしれません。対して、パーシャルスクワットは、スプリントと垂直跳びの両方のパフォーマンスに対して明確なメリットがあるようですが、4分の1の可動域でより高重量を扱えるため、股関節と膝関節に更なるストレスがかかるというデメリットもあるでしょう。ファンクショナルトレーニングの指導者には、パーシャルスクワットかフルスクワットかの選択するにあたって、クライアントの過去のトレーニング歴や、現在の可動域の制限、そしてトレーニングの目標を考慮することを勧めます。 参照 Kotani, Y & Hori, N. From the Field – Directed Topic – The reasons why athletes squat deep in japan volleyball women’s national team. Journal of Australian Strength and Conditioning. 25(3). 2017. Bloomquist, K., Langberg, H., Karlsen, S., Madsgaard, S., Boesen, M.& Raastad, T. Effect of range of motion in heavy load squatting on muscle and tendon adaptations. European Journal of Applied Physiology. 113: 2133-2142, 2013. Hartmann, H., Wirth, K., Klusemann, M., Dalic, J., Matuschek, C.& Schmidtbleicher, D. Influence of squatting depth on jumping performance. Journal of Strength & Conditioning Research. 26: 3243-3261, 2012. Wisloff et al. Strong correlation of maximal squat strength with sprint performance and vertical jump height in elite soccer players. British Journal of Sports Medicine. 38. 2013. N.S.C.A Position Paper: The Squat Exercise in athletic conditioning: A position statement and review of the literature. こちらへ Rhea et al. Joint-angle specific strength adaptations influence improvements in power in highly trained athletes. Human Movement. 2016.17(1).
バックスクワットのバイオメカニクス パート2
前回の記事では、パーシャルスクワットとフルスクワットの違いに注目しましたが、今回の記事では、スクワットの、下肢の関節にかかる力に与える影響に注目します。スクワットのバイオメカニクスについてのレビュー論文のなかで、Escamilla(2001年)は、スクワットのバリエーションにおける力や筋活動について述べています。スクワットが膝関節に与える影響を理解することは、FTI指導者や実践者が、リハビリ目的でのスクワットの使用を、詳細な情報を得た上で決断するための助けになるでしょう。 せん断力 膝関節に直接的に影響するせん断力には、前方せん断力と後方せん断力という二つのタイプがあります。後方せん断力は、脛骨を後方に引っ張り、後十字靭帯(PCL)に負荷をかけ、前方せん断力は、脛骨を前方に引き出し、前十字靭帯(ACL)に負荷をかけます(Abernethy 2013)。脛大腿関節にかかるせん断力を計算した研究は数多く存在します(Lutz et al. 2003、Wilk et al. 1996)。重要なのは、過度のせん断力が膝の靭帯にとって有害になり得るということです(Escamilla 2001)。ある研究は、スクワット中に中程度の負荷がPCLにかかり、その負荷は膝が屈曲するにつれ上昇すると示唆しています。PCLへの力は、1000~2000ニュートンの範囲の大きさで、膝屈曲角度が60度を超えると−大腿四頭筋が関節に後方せん断力を加える時−表れます(Escamilla 2001)。PCLへの最大の負荷は、4000ニュートンと推測されていて(Race et al. 1994)、そのため、スクワットは、健全なPCLを持つクライアントにとって十分に耐えられるはずのものです。PCLのけがから回復している人には、動作の可動域を、PCLの負荷がかかり始める60度以下の膝の屈曲に制限するべきでしょう(Escamilla 2001)。PCLとは反対に、ACLへの力は、大腿四頭筋が関節に前方への力を加える0から60度の膝屈曲角度で発生します。しかしながら、ACLへの負荷は小さく、最大で500ニュートンです。ACLへの最大負荷がおよそ2000ニュートンと考えると、スクワットがACLにかける負荷は小さいと考えられ、そのため、ACL患者のプログラムに組み込むことは安全と言えるでしょう。スクワット中に体幹の前傾を強めることによって(インクラインボード上でのスクワットがよく膝のリハビリプログラムに組み込まれるのはこのためです)、ハムストリングの活動が増加することにより関節への後方せん断力が増すため、ACLへのストレスが大きく軽減されます。しかし、膝の前方への動作が増すことによって、せん断力も大きくなるため、リハビリを行うクライアントは、膝をつま先より後ろに維持することによってこのような(膝が前に移動する)ポジションを避けるべきです。最後に、エクササイズを行うスピードもせん断力に影響します。ある研究(Hattin 1989)は、速いリズムでのスクワット(上昇1秒、下降1秒)が遅いリズムのスクワット(各局面を2秒ずつ)に比べて、最大で30%も大きいせん断力を生み出していると報告しています。したがって、ゆっくりとコントロールされたテクニックは、十字靭帯を保護すると言えるでしょう。 興味深いことに、挙上する重量が増しても、ACLやPCLにかかる力には、圧力と同様には影響しません。例として、Nisell(1986)がパワーリフターの最大250kgのスクワットの上昇局面における膝関節の負荷試験によると、関節への圧力と大腿四頭筋の発揮筋力がかなり高かった(8000 N)にも関わらず、ACLとPCLへのせん断力は上述の正常の範囲でした。このデータは、せん断力をコントロールするための関節の安定性にとって、より大きな関節圧力が重要であるかもしれないことを示唆しています。スクワット中の足幅も関節圧力を増加させるようで、より広いスタンスは関節圧力を15%増加させます(Escamilla 2001)。足幅はせん断力への影響はありませんが、せん断力はスクワットの上昇局面においてより大きくなります。重要なこととして、実用レベルでは、疲労が増すにしたがって、脛大腿関節へのせん断力と圧力も増加します。ほとんどのバイオメカニクス的な研究(Lutz et al. 2003、Wilk et al. 1996、Dahlkvist et al. 1982)は、少ないレップ数での分析ですが、実際には、患者やアスリートは多数のレップ数を数セット(例:4セット×8回)行います。以前に、Hattin(1989)は(スクワットの)リズムが膝関節へ与える影響を調査する研究を行いました。この研究では、最大で50回のスクワットを異なる負荷(1RMの15~30%)で行いました。その結果、せん断力と圧力が、最初のレップから最後のレップにかけて25~80%増加したと報告しています。これは、膝関節への負荷が、最後の数セットの終盤にかけてより大きくなることを示唆しています。新規または機能的なトレー二ングを行ったことがないクライアントに対しては、処方したスクワットの量を徐々に増加していくことが大切なのはこのためです。 圧力 研究者達は、スクワット中に脛大腿関節にかかる圧力の計算も行いました(Dahlkvist et al. 1982、Escamilla 1998)。膝蓋大腿関節への圧力は、膝蓋の内側と膝蓋と大腿骨との関節結合部の間の接触によって起こります。この負荷は、脛骨と大腿骨が接合している表面にかかります(Escamilla 2001)。このような圧力の計算結果は、500から8000 Nに及び、スクワットでは負荷が増すにつれて圧力も増加します。1RMの70%の負荷でのバーベルスクワットでは、膝蓋大腿関節への圧力の計算から、関節にかかる力は体重の4から7倍になると示しており、これは約4000から5000 Nに相当します(Escamilla 1998)。 これらは、一般的にリハビリプログラムの初期において多くの患者が行う重量より大きく、患者の怪我が癒えて筋力を再獲得するまでは、リハビリの中でこれほどの負荷を関節にかけることはないでしょう。最大圧力がかかるのは、膝の屈曲角度が最も大きくなった時で、一般的には90度以上です。膝蓋大腿部に障害を持つ患者(例:膝蓋軟骨軟化症)は、負荷が適切である0-50度の範囲でスクワットを行う必要があります。これらのデータから、圧力を極力低くしたい時は、広いスタンスよりも狭いスタンスでのスクワットが適していると推測されます。加えて、圧力はスタンスを広げるにつれ増加します。例えば、Escamilla(1997)は、広いスタンスでのスクワットにおいて、下降中の膝蓋大腿関節への圧力が15%増加したと報告しています。さらに、スクワットを、バーベルを肩峰より下で保持するローバーのポジションで行うと、動作中により大きな体幹と股関節の屈曲が起き、膝蓋大腿関節へかかる力が減少します。このデータは、膝痛または膝の障害を持つクライアントは、膝蓋大腿関節への圧力を最小限にするために、狭いスタンスのローバースクワットを行うべきであることを示唆しています。最後に、スクワットにおいてバーベルを保持する位置は膝への圧力に影響します。Escamilla(1997)は、スクワットをローバーポジションで行う事で、膝への圧力が減少すると報告しており、したがって、この方法が、過去に膝の痛みや障害があったクライアントがスクワットを行う時に適していると言えます。加えて、体幹の前傾を増加させるローバーポジションのスクワットは、より大きなハムストリングの活動とより少ない大腿四頭筋の活動が部分的な要因となって、ACLへの負荷を減らし(Ohkoshi et al. 1991)、このことからACL損傷からの回復過程にいるクライアントにとってもこの方法がさらに適していると言えます。 実践への応用方法 FTIのインストラクターと実践者に向けて、これらの研究の実践への応用方法は: スクワット中は、膝関節の屈曲が0から60度の間において低レベルのせん断力がかかります。従って、スクワットをACL損傷歴があるクライアントに処方する時は;スクワットの深さを膝関節の屈曲が最大でも60度になるように管理することが重要です。 膝関節への圧力は、スクワットの深さとともに増加し、したがって、過去に膝の痛みや障害を持っていたクライアントにスクワットを処方する時は、スクワットの深さを膝の屈曲角度で50度以下にすることが推奨されます。 スクワットを狭いスタンスで行うことは、膝関節への圧力をさらに減らし、そのため、この方法が、過去に膝の痛みや障害を持っていたクライアントにスクワットを処方する時にも推奨されます。 ローバーポジション(肩峰より低い位置)でスクワットを行うことで、膝関節への圧力とACLへの負荷が減少します。そのため、過去に膝痛を持っていたり、ACLの損傷歴があったりしたクライアントにスクワットを処方する場合にも、ローバーポジションで行うことが推奨されます。 参照 Escamilla, R. F. (2001). Knee biomechanics of the dynamic squat exercise. Medicine & Science in Sports & Exercise, 33(1), 127-141. Lutz, G. E., Palmitier, R. A., An, K. N., & Chao, E. Y. (1993). Comparison of tibiofemoral joint forces during open-kinetic-chain and closed-kinetic-chain exercises. JBJS, 75(5), 732-739. Wilk, K. E., Escamilla, R. F., Fleisig, G. S., Barrentine, S. W., Andrews, J. R., & Boyd, M. L. (1996). A comparison of tibiofemoral joint forces and electromyographic activity during open and closed kinetic chain exercises. The American journal of sports medicine, 24(4), 518-527. Abernethy, B., Kippers, V., & Hanrahan, S. (2013). Biophysical foundations of human movement. Human Kinetics. Race, A., & Amis, A. A. (1994). The mechanical properties of the two bundles of the human posterior cruciate ligament. Journal of biomechanics, 27(1), 13-24. Nisell, R. (1986). Joint load during the parallel squat in powerlifting and forces analysis of in vivo bilateral quadriceps tendon rupture. 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バックスクワットのバイオメカニクス パート3
我々のスクワットについての最後の記事では、スクワットの深さ、足のポジション、そしてバーの保持位置の違いが、下肢の筋活動にどう影響するかに注目していきます。スクワットや、その他のエクササイズ中にどの筋が活動しているかを見るために、研究者らは「筋電図法」またはEMGと呼ばれる機器を使用します。EMGは、骨格筋の電気活動の評価と記録を行います。スクワットは非常に多様性に富むエクササイズで、パフォーマンスおよびリハビリの両方の目的のために、特定の筋群をターゲットにできます。スクワットのバリエーションが、どのように筋の動員パターンに影響するかという知識を持つことは、FTIのインストラクターが、リハビリと筋力増加のためのプログラムの両方において、特定の筋群をターゲットにするためにスクワットのやり方を変更する役に立ちます。 ふくらはぎの筋群 スクワット中のふくらはぎの筋群の活動と筋力を調査したEMGの研究では、スクワット中にふくらはぎの筋群に中程度の筋活動が見られました。ふくらはぎの筋肉の活動(腓腹筋)は、下降中に膝が徐々に屈曲するにつれ増加し、上昇中に膝が伸展するにつれ減少していきます(Escamilla 1998)。ふくらはぎ(腓腹筋)の活動は、下降中の足関節の背屈の度合いをエキセントリックにコントロールするために、60度から90度の膝関節屈曲位で最大になるようです(Escamilla 1998)。最後に、ウォールスライドスクワット中に、足を股関節の真下に位置することで、ふくらはぎの筋群の活動が増加することが明らかにされています(Blanpied 1999)。 大腿四頭筋 スクワットでは、大腿四頭筋、特に大腿直筋よりも有意に大きな活動を示す広筋群が主動筋となっています。大腿四頭筋の活動のピークは、スクワットの80度から90度で起こり、これよりも大きな膝の屈曲でも増加しません(Escamilla 2001)。このデータは、ハーフスクワット(膝屈曲角度が90度まで)において四頭筋の活動が最大となることを示しています。90度の膝屈曲角度を超えて下降し、パラレルスクワットのポジションに近くなることで、四頭筋の発達を高めることはないかもしれません(Escamilla 2001)。最後に、肩甲骨のサポートを伴うウォールスクワットと比較したとき、大腿四頭筋の活動が増加するとしています(Blanpied 1999)。 内側広筋斜走線維(VMO) 内側広筋斜走線維は、内側広筋の最も遠位部に位置する部分です。この部分に特化したトレーニングは、膝蓋骨のポジションを維持するという重要な役割を持ち、膝への障害を制限します。VMOの弱さ、タイミング及び機能不全は、膝蓋骨の軌道の乱れを引き起こし、その結果、周囲の構造に損傷を与え、それにより膝への力が増加し、多くの場合傷害につながります(Lefebvre 2006)。さらに、外側広筋(VL)とVMOの不均衡は、膝蓋大腿痛のリスクを上昇させます(Karst & Willit 1995)。このデータは、膝への受傷後の早期のVMOのトレーニングの重要さを示しています。スクワット中のVMOの活動に関する研究において、パーシャルスクワットにおける大腿部の活動の30.88%をVMOが担っており、パラレルとフルスクワットにおいてはそれぞれ18.85%と20.23%でしかないと報告しています(Caterisano et al. 2002)。その他の研究(Anderson et al. 1998)では、スクワット中に足幅を広げることよるVLの筋活動に対するVMOの筋活動を調査しています(VMO:VLの割合)。研究者らは、足幅を広げることによってVMOの活動は増加しないとしています。しかしながら、VMOは90度までの範囲でより活発であり、膝の屈曲角度が大きくなるにつれVLに対するVMOの活動量が増加するとあります。まとめると、これらの発見は、膝屈曲角度が90度を超えないスクワットが、VMOに対して最適な深さであることを示唆しています。 ハムストリングス 二関節筋(股関節と膝関節にまたがっている)という形態から、ハムストリングスは下降中にエキセントリックに活動し、上昇中はコンセントリックに活動します。しかし、下降中に膝が屈曲するにつれ股関節も屈曲するため、ハムストリングスの長さはスクワット中維持され、その結果ハムストリングスの長さの変化は最小限になります。これにより長さ−張力の関係性は、力の発揮に傾きます(Escamilla 2001)。ある研究では、ハムストリングの活動がスクワットの上昇段階で最大になり、拳上重量に比例していると示唆しています(Wilk et al. 1996)。これとは対照的に、自体重のスクワットにおいては、ハムストリングの活動は最小限で、12RMの負荷が用いられるまでは著しくなく、これは膝の安定性を向上させるためだと思われます。スクワット中のハムストリングの活動は、膝関節屈曲角度の50度から70度で最大になります。最後に、研究者らは(Blanpied 1999)、ハックスクワットマシーンを用いてのスクワット及び、肩甲骨のサポートを伴い足のポジションを重心より前にして行うウォールスクワットにおいて、ハムストリングの活動が有意に増加することを発見しました。結論として、これらの結果はハックスクワット、肩甲骨のサポートを伴うウォールスクワット及び、ディープとハーフの両方のスクワットが、効果的にハムストリングの活動を刺激することを示しています。 殿筋の活動 スクワットの深さが大殿筋に与える影響を検証した研究では、大殿筋の活動量が深さと共に増加していました(Caterisano et al. 2002)。しかしながら、これらの結果は異なる負荷(1RMの%)によって変化すると思われます。他の研究者らは、大殿筋の動員がスクワットのスタンスを広げるにつれ増加することを発見しました。最後に、AspeとSwinton(2014)は、バックスクワットとオーバーヘッドスクワットの分析を行い、バックスクワットにおいてオーバーヘッドスクワットよりもより大きな大殿筋の活動を報告しています。興味深いことに、フロント、フル、またはパーシャルのスクワットを比較したとき、フルスクワットの場合でも大殿筋の活動は増加せず、これはフロント、フル、またはパーシャルのどのスクワットでも大殿筋の発達には同等に効果的だということを示唆しています(Contreras et al. 2016)。 結論として、これらの研究の結果は、スクワットが下肢筋群の筋力向上に大変効果的なエクササイズだということを示唆しています。また、スクワット中の筋活動は、足のポジション、深さ、サポートの種類または負荷によって影響を受けます。異なる負荷が処方されていたことを含む、これらの研究の制限にも関わらず、スクワット中の筋活動については、次のように普遍化することができます: ふくらはぎの筋活動を最大にするためには、スクワットの深さを大腿部が床と平行になるように処方し、足を股関節の真下に位置するようにします。 スクワット中に大腿四頭筋をターゲットにするためには、大腿部がパラレルになるようなスクワットを処方し、リハビリ目的ではサポート用のパッドを股関節の高さにおいたウォールスクワットを処方します。 VMOをターゲットにするとき、大腿がパラレルになるスクワットを処方します。 ハムストリングスをターゲットにするとき、ハムストリングスすべてを同様に刺激するために、ディープスクワットまたは大腿部がパラレルになるスクワットを最低でも12RMの負荷で処方します。自体重のスクワットを処方する場合、肩甲骨にサポートパッドをおいたウォールスクワット処方し、足を重心よりも前方に位置します。 殿筋群をターゲットにするときは、パラレルまたはフルスクワットの処方は、同等に効果的です。バリエーションとして、フル可動域のフロントスクワットを殿筋群の活動を刺激するために用いることができます。 筋活動の違いにもかかわらず、フルスクワットが、一般的な筋力向上及び運動能力の発達のために効果的なスクワットのバリエーションであるといえるでしょう。 参照 Escamilla, R. F. (2001). Knee biomechanics of the dynamic squat exercise. Medicine & Science in Sports & Exercise, 33(1), 127-141. Caterisano, A., Moss, R. E., Pellinger, T. K., Woodruff, K., Lewis, V. C., Booth, W., & Khadra, T. (2002). The effect of back squat depth on the EMG activity of 4 superficial hip and thigh muscles. The Journal of Strength & Conditioning Research, 16(3), 428-432. Lefebvre, R; Leroux, A; Poumarat, G; Galtier, B; Guillot, M; Vanneuville, G; Boucher, JP (2006). “Vastus medialis: anatomical and functional considerations and implications based upon human and cadaveric studies”. Journal of Manipulative and Physiological Therapeutics. 29 (2): 139–144. Anderson, R., Courtney, C., & Carmeli, E. (1998). EMG analysis of the vastus medialis/vastus lateralis muscles utilizing the unloaded narrow-and wide-stance squats. Journal of Sport Rehabilitation, 7(4), 236-247. Wretenberg, P. E. R., Feng, Y. I., & Arborelius, U. P. (1996). 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スクワットの問題解決 パート1:運動学的キューイング
基礎的動作でありつつ、指導することが難しくなりがちなスクワット動作をより効率的に指導するために必要な、身体構造の連鎖を理解することの重要性と、効果的なキューイングの方法をジョシュ・ヘンキンがシェアするスクワットシリーズのパート1。
スクワットの問題解決 パート2:プレスアウトスクワット
負荷を加えることで、全身のテンションとカウンターバランスを利用し、自重で行うよりもより容易にスクワットの動作パターンを学ぶ方法とは?ジョシュ・ヘンキンのスクワットシリーズのパート2をご覧ください。
スクワットの問題解決 パート3:ゴブレットスクワット&ベアハグスクワット
ケトルベルを身体の前に引き寄せるようにして行うゴブレットスクワットの効用と、同じメリットを持ちつつ、さらなる負荷の増量を可能にするアルティメイトサンドバッグでのベアハグスクワットのポイントをご紹介します。
スクワットの問題解決 パート4:フロントスクワット
ジョシュ・ヘンキンによるスクワットの問題解決シリーズの最後のビデオでは、アルティメイトサンドバッグを使用したフロントホールドスクワットと左右非対称な重さのケトルベルを使用したフロントスクワットをご紹介します。何をするか、よりもなぜ、どのように行うのかを理解することが重要であるという基本概念を理解してください。
コーチング理念の開発の方法
スピードガイことリー・タフトが、若手のコーチ達に提案するのは、自分自身のコーチング理念を開発することの重要性を理解すること。様々な学びの積み重ねから、自分自身にとって正しいと感じることを集積することの大切さです。
多種スポーツのバックグラウンドはアスリートの成功ための機会を改善するか?
すべてのチャンピオンシップゲームやメジャースポーツのドラフトの後には、多種スポーツのバックグラウンドのメリットを支持するデータが浮かび上がります。 高校における多種スポーツのアスリートが、二、三十年前のようには普及していない一方で、専門化に対するサンプリングの長所に関する声や逸話は増えています。 ジョン・スモルツやウェイン・グレツキーのような殿堂入りしているアスリートは、早期のスポーツ専門化への反対を主張するために大きなプラットフォームを使っています。有名な外科医であるジェームス・アンドリュース医師は、両親と子供たちに、一つのスポーツをプレーする危険性に対し警告し、啓発構想の後援さえもしています。 マスターズの勝者、そしてゴルフの次の大スターになる前、ジョーダン・スピースはポイントガードとしてプレーし、素晴らしいピッチャーでもありました。トム・ブレディは高校を出て、モントリオール・エクスポスにキャッチャーとしてドラフトされました。レブロンは、二年生にして州代表のワイドレシーバーの栄誉を得ました。サイズやスピード、爆発性、コーディネーション、そして運動感覚的気づきのような身体特性は、スポーツからスポーツに転移します。 多種スポーツアプローチの正当化は理にかなっている一方で、データは恐らくの維持が多いということを認めることは重要です。これらのアスリートたちは複数のスポーツをプレーしたから偉大になったのでしょうか?あるいは、彼らは素晴らしいアスリートだったから複数のスポーツをプレーしたのでしょうか?恐らく両方の要素が少しずつあるでしょう。考えてみてください。もしワイドレシーバーが、フットボールフィールドでディフェンシブライン脇をを走っていたら、陸上のコーチは恐らく彼を4x100mチームに入れようと興味を持つでしょう。バレーボール選手がネットの上でプレーできるサイズや運動神経は、バスケットボールコートで役に立つかもしれません。サッカーをプレーして発達した持久力は、クロスカントリーに持ち越されるでしょう。などなど…。恵まれたアスリートたちは早期に成功し、それがより多くの競技参加やリクルートメントを促進するのでしょう。 とはいえ、私たちは幅広いスポーツのバックグラウンドを持つことには、FMS理念に関連するメリットがあると信じます。 1) オーバーユースに関連する怪我 早期専門化に関わるすべての潜在的な落とし穴の中で、オーバーユース障害にさらされることが恐らく最も危険でしょう。1,500名の高校生を対象とした、ウィスコンシン州の広く公表された研究では、1種のスポーツに特化したアスリートは、シーズン中に複数のスポーツをプレーする人たちに比べて70%高く怪我に苦しむ傾向があることを発見しました。潜在的な怪我は、野球やゴルフのような回旋するスポーツでよりいっそう高くなります。しかしながら、研究の大部分は、アスリートが一年間にプレーした試合の数や、彼らがどのようにトレーニングをしているかを考慮していないことは言及されるべきでしょう。これらはとても大きな要素です。賢いトレーニングプログラムと正当な競技期間は、オーバーユース障害のリスク減少を成功させることができます。 2) 動作能力 ある動作パターン所有の前駆は、それらの動作パターンを探求することです。広くいろいろな活動に参加する子供たちは、1種のスポーツに特化した(あるいは、さらに悪いことにあまり動かない)子供たちと比べると、広くいろいろな動作パターンにさらされます。動作の多様性と動作能力の関係性は、幼い年齢でも見られます。2016年の研究では、新体操のような動作トレーニングが、平均年齢8歳の子供たちの安定性と物体制御能力を向上したことを発見しています。 加えて、可動性や安定性の制限は、スキルの習得を妨げるかもしれません。マイケル・シーバース博士はこう述べています: 「もし学ぶスキルに含まれる関節に構造的、そして/あるいは生理学的な欠損があるとすれば、モーターラーニングの過程は最大限に起こることができません。スキルの習得は、スキルの反復可能な象徴的な表現を体に覚えさせることではありません。それは、まず身体的な許容量を構築し、それからコーチングとスキルに基づいた認知学習の技術的適用が習得課程を手助けすることができるのです」 3) 運動許容量 垂直跳びを向上させたいですか?もっとジャンプしてみましょう。40ヤード走のタイムを縮めたいですか?研究は、スプリントのスピードを向上させる最良の方法は、スプリントを練習することだと示唆しています。ここでもまた、鶏が先か、卵が先かの謎のようですが、バスケットボール選手がよくジャンプできる理由の一つは、彼らが沢山ジャンプするからです。たとえあるアスリートが、競技としてのバスケットボールをプレーすることがなかったとしても、彼らはそこで培った爆発性からメリットを得ることができるでしょう。たとえそれが、まったく似ているように見えないスポーツであったとしても。例えば、グレッグ・ローズ博士とTPIは、垂直跳びがゴルフの潜在的なスイングスピードの運動徴候の一つであることを発見しました。プロゴルフの長距離打者達の何人かに共通する一つのことはなんでしょうか?彼らは皆バスケットボールのバックグラウンドを持っているのです。 結論として、若いアスリートたちに複数のスポーツをプレーするよう促すことは、成功や怪我の排除を保証しないかもしれませんが、子供たちに複数のスポーツをプレーするよう促すことは、動作の質を向上し、オーバーユースを制限し、運動能力を上げる可能性を持っているのです。
アルカリ性ダイエット:良いのか、悪いのか、その基本
最も新しいダイエットブームの一つは、体のpHレベルをアルカリ性に保つことのできる食品を食べることに焦点を当てた、アルカリ性ダイエットです。アルカリ性ダイエットは実は体重減少に焦点を当てているわけではなく、炎症や癌といった病気のリスクを下げることをより考慮しています。このダイエットの提唱者は、この食餌法は身体への適切な機能を促進し、より酸性に傾ける傾向がある一般的な西洋の食餌とは反対の食生活であると提言しています。 しかし、ここに真の問いかけがあります:実際に効果があるのでしょうか?その答えにあなたは驚くことになるかもしれません。 酸性あるいはアルカリ性? アルカリ性ダイエットについての考え方は、代謝された食品は酸性かアルカリ性のどちらかになり、この食餌法の支持者は80%をアルカリ形成食品に、20%を酸形成食品になるような割合の食事を行うというものです。アルカリ性ダイエットを行う人達は、酸形成食品は病気や疾病に繋がる代謝的アンバランスを産み出すので、身体にとって有益なものではないと信じています。 しかし、これは食品の副次的なpHレベルを調べているであって、食品自体を調べているのではありません。例えば、レモンはpH2(酸性)ですが、この食餌法では実はアルカリ性であると考えられています。レモンの分解方法のために、尿の解読に基本pHレベルを与えます。したがって、レモンのPRAL値もマイナスになるのです。PRALとは、潜在的腎臓酸負荷の略であり、酸性食品がどのように尿を生成しているかということを参照しています。 ほとんどの果物と野菜のPRAL値はマイナスであり、アルカリ性ダイエットに適しています。穀物類、動物性たんぱく質、乳製品のような食品のPRAL値はプラスであり、アルカリ性ダイエット法を実施している人にとって摂取してはいけないものになります。 しかし、尿のpHレベルは、すぐにそして簡単に変化してしまうため、身体の健康の良い指針とはなりません。アルカリ性ダイエットでは、酸性の食品は身体の血中pHレベルに影響を与えるとも主張しています;しかし、このことは身体の精密な緩衝システムを説明していることにはなりません。身体は、食事制限の必要なしに自身で血中pHレベルを修正し、7.35-7.45の間になるように設計されています。特定の食品を摂取した後に、血液は若干アルカリ性か酸性に傾くかもしれませんが、自然と前記した通り健康なpHレベルを維持することになります。 しかし、アルカリ性ダイエットがすべて悪いわけではありません。 アルカリ性ダイエットは主に植物由来であり、一般的に塩分、添加砂糖や脂肪が低いのです。これらの理由から、心臓血管系の健康を促進し、肥満の予防になるかもしれません;このことが血液や尿のpHの変化に関係してはいないのですが、果物や野菜の摂取が増加することで癌の発現のリスクを下げることも示されています。しかし、明確に言うと、アルカリ性ダイエット自体が癌を予防することを証明するエビデンスはありません。 十分な量の栄養素の摂取を確保するためには、バランスのとれた多様な食餌を楽しむことです。食品群全体(例えば、穀物製品、肉と代替品、牛乳と代替品)を除外することは、たんぱく質、カルシウム、ビタミンBや鉄分のような重要な栄養素を容易に取りそこなうことになります。アルカリ性ダイエットをしている人々、その他の食品群全体を制限しているダイエットをしている人々は、栄養不足を呈するリスクが増大するかもしれません。 では、評決は? アルカリ性ダイエットは野菜と果物をより多く、そして塩分、脂肪、添加砂糖をより少なく摂ることを奨励しているので、これらの食習慣は健康に良い影響を与えるでしょう。しかし、これらの健康への恩恵は血液や尿のpHレベルとは何の関係もありません。幸いなことに、これは、アルカリ性ウォーターで財布を空にすることなく、もとの水道水に戻して良いことを意味しています。食品群全体を制限しているときに、バランスのとれた食事を取り続けることは困難であるということも、心に留めておいてください。pHレベルのように、バランスが鍵となるのです!