血流制限トレーニングの背景 パート2/2

プログラムデザイン 多くのトレーニング戦略が血流制限トレーニングのための文献において報告されているが、1RMの20-30%の低相対負荷レジスタンストレーニングがおそらく最も一般的に使用されるトレーニング戦略であろう。ウォーキングエクササイズもまた、血流制限と共に一般的に使用されるエクササイズ方法である。ファーズおよびその他(2012年b)は、高負荷レジスタンスエクササイズを行うことが不可能な個人に対し、血流制限トレーニングを効果的な代替案として述べている。一方ホリウチおよびその他(2012年)は、血流制限トレーニングは、有酸素トレーニングおよび高負荷トレーニングの間の矛盾を克服する新しい手段であるかもしれないと示唆している。これは、血流制限トレーニングはストレングスおよび持久系のトレーニングを同時に始めるアスリートに対し、有益であるかもしれないということを示唆している。 安全性 序論 全てのレジスタンストレーニングと同様、血流制限に関連するリスクは存在する。一般的にレジスタンストレーニングに関するリスクは十分に理解されておらず、幅広く研究がなされていない。一般的なレジスタンストレーニングに関するリスクについての基準となる情報の欠如にもかかわらず、特に血流制限トレーニングに関し多くの懸念が示されている。 一般集団における使用 一般集団における血流制限トレーニングの使用は、比較的安全なようである。スコットおよびその他(2014年)は、血流制限の不適切な使用は、点状出血(ひどいあざなど)および目眩を含む有害な影響を引き起こす可能性があると結論付けている。しかしマーターおよびその他(2014年)は、血流制限トレーニング後の一部の健康に関するアンケートにおいて、有意な向上を発見している。しかし彼らは、いかなる臨床的証拠もいかなる有害事象に対する自己報告も発見しておらず、また彼らはいかなる検査パラメーター(クレアチンキナーゼおよびアルドラーゼ)における変化も観察してない。同様に、カラブルトおよびその他(2013年)は、6週間にわたる血流制限トレーニング後、安静時の血清中クレアチンキナーゼおよびインターロイキン-6(IL-6)の値における変化がなかったことを報告している。 特別な条件下での使用 さらなる危険性考察は、特殊な状況下における血流制限トレーニングの適用に関し取り上げられた。例として、無重力環境において、重力のようなストレスを刺激として与える方法として、血流制限トレーニングを使用する余地があるかもしれない(ナカジマおよびその他、2008年)。しかし、下肢の血液貯留およびそれに続く静脈還流の減少によって、微少重力における血流制限トレーニングの際に失神が誘発される可能性があり(ナカジマおよびその他、2008年)、そのことがこのトレーニングを安全上の理由から選択肢としては魅力のないものにしている可能性がある。 負傷者集団における使用 特殊な状況下における血流制限トレーニングの使用に関し、負傷者集団におけるその使用に対する安全性の懸念が持ち上がっている。それにもかかわらず、負傷者集団に関し予備的証拠は、血流制限トレーニングレジスタンストレーニングは、傷害を負った骨の治癒に実際有益であるかもしれない(ロエンネックおよびその他、2013年a)ということを示唆しているが、これらの発見を一般化し、傷害を負った軟部組織に対し血流制限トレーニングを使用することの有効性および安全性に関する結論を引き出すことは不可能である。 不健康な集団における使用 特殊な状況下および負傷者集団における血流制限トレーニングに関し、不健康な集団におけるその使用に対する安全上の懸念が持ち上がっている。それにもかかわらず、血流制限トレーニングは、正常血流でのレジスタンストレーニングによりもたらされるものと同様の運動後低血圧を生み出すと示されている(ネトおよびその他、2015年)。運動後低血圧は、高血圧の個人における安静時の血圧を制御する重要な戦略であるかもしれない(ケニーおよびシールズ、1993年)ということを考慮に入れると、これは、不健康な集団において、確かに血流制限トレーニングの健康上の利益が存在する可能性を示唆している。さらにマデルアメおよびその他(2013年)は、血流制限トレーニングは、運動誘発性凝血および炎症反応に悪影響を及ぼさないようであるという、虚血性心疾患をもつ患者における血流制限トレーニングの安全性に対する有望な発見を報告している。しかし、二重積の増加(心筋酸素需要の指針)は、血流制限無しと比較し血流制限を伴うトレッドミルにおけるウォーキング後、3倍の多さであったという発見は、血流制限トレーニングの使用は、易感染性の心臓疾患をもつ個人においては注意が必要であるかもしれないという結論を導き出した(レンジおよびその他、2010年)。 禁忌 おそらく方法の目新しさ、あるいは血流制限が関わることから、特別な集団において従来のエクササイズトレーニングに加え血流制限トレーニングを導入する際は、さらなる注意が常に喚起されている。例えば、ロエンネックおよびその他(2011年a)、ロエンネックおよびその他(2014年b)の両方は、血流制限トレーニングに対する禁忌は、深部静脈血栓症、妊娠、静脈瘤、高血圧、および心疾患を含むと結論付けている。さらにポープおよびその他(2013年)は、非常に長時間の虚血は筋組織の壊死を引き起こすということを強調している。そのようなものとして、長時間血流制限トレーニングを継続して行うことを避けることは理にかなっているかもしれない。 結論 加圧トレーニングという言葉は、加圧マスター装置が使用された場合のみ使われるべきである。しかしながら、血流制限トレーニングおよび閉塞トレーニングという言葉は通常ほぼ同じ意味で使われる。 血流制限トレーニングは、最も一般的に、低負荷(1RMの20-30%)におけるレジスタンストレーニングを使い、10中7という知覚的圧迫感において巻かれたラップと共に使用される。 血流制限トレーニングは比較的安全なようである。しかしそこには特定の禁忌があり、特別な集団において、特殊な状況下、および長時間の継続した使用に関しては注意が示されるべきである。

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血流制限トレーニングの背景 パート1/2

目的 この記事は血流制限トレーニングの定義、歴史、および傷害の危険性や適用加圧レベルの影響のような、その使用を取り巻く主な問題を提供している。 定義 序論 血流制限トレーニングは、エクササイズの際、静脈還流を閉塞しながら動脈流入を維持することを目的とした、四肢の近位に巻かれたカフやラップの使用を含む新しいトレーニング戦略である(スコットおよびその他、2015年)。血流制限トレーニングは、様々なエクササイズ方法の中で使用されている。これらはウォーキング、サイクリング、およびレジスタンストレーニングを含む。血流制限を伴うレジスタンストレーニングを行う場合、比較的低負荷ではあるが非常に高圧のカフもしくはラップが最も一般的に使用される。実質的には、血流制限トレーニングは、1RMの約20-30%という低負荷におけるレジスタンストレーニングを使う際、10中7の知覚的圧迫感において巻かれたラップと共に最も一般的に使用される。 加圧 加圧は、佐藤義昭先生により開発された特徴的なトレーニングである。その方法は、働いている筋肉の近位に対し加圧マスター装置として知られる器具を使用した血管の圧迫を含んでいる。 血流制限トレーニング 働いている筋肉の近位における血管の圧迫が、加圧マスター装置の使用以外の手段で達成された場合、一般的には「血流制限トレーニング」という言葉が使われる。この圧力をかけるために使用される最も一般的な代替方法は、伸縮性のある膝ラップの使用によるものである。この方法の簡易さのためにこのタイプの血流制限トレーニングは、較正された圧力を生み出すために膨張したカフが使用される、より注意深く制御されている方法から識別するため、しばしば「実践的な血流制限トレーニング」と呼ばれる。 閉塞トレーニング 閉塞トレーニングという言葉は多くの場合、血流制限トレーニングと同じ意味で使われる。閉塞トレーニング自体もまた、エクササイズの際に四肢の近位に巻かれたカフおよびラップを含むトレーニング戦略である。 低酸素トレーニング 低酸素トレーニングという言葉は、エクササイズの際の酸素利用率を制限したトレーニングを指す。これは通常、低酸素室を使用して達成される。血流制限トレーニングは、局部的な低酸素効果を作り出すことにより達成されるが、低酸素室の使用は低酸素症をもたらす可能性が高い。 歴史 序論 血流制限トレーニングへの興味は、サトウヨシアキによる加圧トレーニングの開発から生じている。伝えられるところによれば、サトウは当初、異なる自転車チューブ、ロープ、またバンドを彼の異なる部位へ巻くことにより、彼自身に対し実験を行った(さらにはKaatsu-global.comを参照)。1994年にサトウは、商業的に入手できる最初の加圧バンドを生産し始めた際、最初の特許を申請した。 血流制限の実践的な適用 序論 レジスタンストレーニング(およびその他の方法)と血流制限の組み合わせには、いくつかの恩恵があるようであるということに基づき、実践的な指針がたびたび求められてきた。しかしいくつかの点において明確な指針を文献から引き出すことは困難である。血流制限トレーニングに対する現在の研究の多くには、血流制限方法の適用に含まれるパラメーターに関する詳細が欠けていることが多い。例えば、使用された正確な圧力は多くの場合公開されておらず、これは重大な問題であると思われる(さらには、ロエンネックおよびその他、2013年b、ロエンネックおよびその他、2014年cを参照)。大きすぎる圧力は危険性を増すが、適応が起こるためには、十分な圧力が必要であると示唆されている。この点においてスガヤおよびその他(2011年)が、筋肉内の無機リン酸塩の蓄積(疲労の指標)は、高圧力レベル(230mmHg)においてのみ達成されることが可能であり、中圧力レベル(180mmHg)においては達成されないということを発見しているということは注目に値するだろう。 人体測定の影響 血流制限カフの圧力に関し、信頼性のある指針の問題をもたらす重要な要因は、人体測定の差違により生じる個人差である(さらにはロエンネックおよびその他、2013年bを参照)。この点においてロエンネックおよびその他(2015年a)は、大腿囲は下半身における動脈閉塞の最大の予測因子であるということを発見している。またカラブルトおよびその他(2011年)は、大腿部組織およびサイズは制限された血流制限圧力に有意な影響を及ぼすということを発見している。さらに筋電図検査(EMG)は、カフの硬さ、また皮膚および皮下脂肪の厚さ(カラブルトおよびその他、2013年)により有意に影響を受ける。これらの発見は、血流制限カフ圧力レベルは実際には、試験における全ての被験者にわたり比較可能な値を得るため、個人の人体測定の差違に従い調整されるべきであるということを示唆している。 圧力レベル 最も強い急性筋反応をもたらす推定の動脈閉塞圧力の割合に対する調査において、ロエンネックおよびその他(2014年a)は、圧力は40-50%の動脈閉塞において筋活性化を増加するようであるが、より高い圧力においてはさらなる増加はもたらさないということを報告している。ゆえに40-50%の動脈閉塞を引き起こす圧力レベルが最適であるようである。しかしウィルソンおよびその他(2013年)は、(圧力を加えるためにラップを使用する際の)実践的な血流制限における10中7というラップの知覚的圧迫感は、完全な静脈閉塞は引き起こすが、動脈閉塞には至らないということを発見している。これは、エクササイズの際に静脈還流を閉塞しながら動脈流入を維持するという血流制限トレーニングの目的と一致している。このラップの圧力レベルは、血流制限トレーニングの有効性を示している調査においても、ラウリーおよびその他(2014年)により使用されている。 素材の種類 血流制限を提供するカフに使用されている素材の種類は、重要ではないようである。(ロエンネックおよびその他、2014年d)。しかしさらに熟考すべきことは、カフの圧力が継続的であるのか、もしくは間欠的であるのかということである。予備的証拠は、急性の血行動態は、継続的もしくは間欠的な圧力が使用されているかどうかに従い変化する可能性があるということを示唆している(ブランドナーおよびその他、2014年)。しかし最新の研究は継続的な血流制限のみを使用している。

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ジャンプスクワットをトレーニングするために最適な負荷とは? パート2/2

何が起こったのか?(続き) 内部(関節)出力 研究者たちは、股関節におけるパワーに対する有意な二次傾向が存在しており、それは1RM の42%の最大値に至るまで増加し、その後減少しているということを発見している。研究者たちはまた、膝関節、足関節におけるパワーは一次傾向に従い、負荷の増加に伴い有意に減少していたということを発見している。 様々な関節の出力は非常に異なるため、絶対値から成るグラフよりそれを見て取ることは非常に困難である。ゆえに私は値を各関節における1RMの0%の出力の割合として表した。これはデータを示す科学的な方法ではないが、傾向における差違をみるためにはこれ以上にわかりやすい方法は無いだろう。股関節のパワーは42%までは曲線状となっているが、膝関節および股関節のパワーは直線的に減少している。 このグラフは一見乱れているように見えるが、股関節のパワー(最も濃い色のグラフ)を切り離して考えると、膝関節および足関節のパワーは同様の反応を示し、負荷の増加と共に、ただ減少しているということがわかる。 研究者たちはどのような結論に達したのか? 研究者たちは、ジャンプスクワットの際の下半身の各関節における出力は、外部負荷に比例して変化するわけではないという結論に至った。研究者たちはまた、負荷の増加に伴い膝関節及び足関節における出力は減少するが、股関節における出力は1RMの42%の負荷に至るまで増加すると結論付けている。さらに研究者たちは、1RMの特定の割合の負荷を使用することは、使用する負荷により、股関節、もしくは膝・足関節のパワーの優先的な向上につながる可能性があるという結論に至った。これは下記のグラフにおいて見ることが可能である。 上のグラフは、股関節及び膝関節のパワーの相対的貢献が、使用する負荷により変化するということを示している。1RMの0%においては、膝関節のパワーは股関節のパワーに比べより一層顕著であり、1RMの42%では、両関節は同様の貢献をしているようである。さらに負荷が増加するにつれ、股関節のパワーは膝関節パワーに比べより急速に減少しており、膝関節の相対的貢献が再び増加している。ゆえにジャンプスクワットにおいて1RMの42%にてトレーニングを行うことは、股関節伸展のパワーを最大化するようであり、一方1RMの0%にてトレーニングを行うことは、膝関節のパワーの相対的貢献を強調するようであり、脚部の筋肉のこの側面をより効果的に強化するようである。 制限要素は何か? 上記のように、エクササイズにより最適なパワーは幅広く異なっているため、関節のパワーもまたエクササイズにより異なるようである。ゆえにこの研究はジャンプスクワットのみの分析であったということが制限であり、ヘックスバージャンプスクワットやオリンピックリフトのバリエーション、またはその他の爆発的なリフトでは異なる結果が得られたかもしれない。 実践的な意義は何か? 総合的な下半身のパワー向上に対して 最適な単一の負荷よりも、広範囲の負荷を用いてジャンプスクワットをトレーニングする方が、より優れているかもしれない。単一の負荷にてトレーニングすることにより、股関節のパワーは最大値に至るまでトレーニングされないようである。1RMの0%および1RMの40%というように、少なくとも2つの負荷が好ましいであろう。 アスリートの垂直跳びを向上させるために アスリートは、股関節主導もしくは膝関節主導どちらかのジャンプスタイルを持つ傾向にある。ゆえにアスリートが好むジャンプスタイルにおけるパワーを向上させることに役立つ、適切な種類のジャンプスクワットの負荷を割り当てることは、彼らの垂直跳びのパフォーマンスを向上させるために重要である可能性がある。 特定のスポーツに対するパワー向上のために ジャンプスクワットに対する負荷を選択する前に、そのスポーツにおいて必要とされるパワーを特定することが重要であるかもしれない。例えば、最大パラレルスクワットにおいては膝関節トルクよりも、比較的より高いレベルの股関節トルクが関係しているということを考慮に入れると、パワーリフターにとって、約40%のジャンプスクワットの負荷において股関節のパワーを鍛えることは、1RMの0%の負荷において膝関節のパワーを鍛えることよりもより有益であるかもしれない。しかしながら、ここにおいてもこれは各個人のスクワットのスタイルに依存するようである。

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ジャンプスクワットをトレーニングするために最適な負荷とは? パート1/2

ジャンプスクワットは、あらゆる種目のアスリートに対し、爆発的なパワーを向上させるために付加される、ほとんどのストレングス&コンディショニングプログラムへにとって人気のあるエクササイズである。また、大抵の研究者やコーチたちは、ジャンプスクワットの出力に対する最適な負荷が存在し、それは通常バックスクワットの1RMの0%である(無負荷、つまり自重のみ)ということを知っている。しかしながら、全体的な総脚力は1RM の0%において最大であるかもしれないが、それが股関節、膝関節、足関節のパワーが同じ負荷においてすべて最大であるということを意味しているわけではない。この論説ではクリス・ベアスリー(@SandCResearch)が、まさにこの論点を調査している研究論文の再考察を行う。 研究論文:ジャンプスクワットの際の身体および下半身の動力学に対する負荷の影響、モワール、ゴリー、デービス、グアーズ、ウィトマー、スポーツ生体力学、2012年 背景 パワーはスポーツパフォーマンスの重要な決定要因であり、エクササイズ、レップ及びセット数、回復期間、また1RMに対し使用する負荷により変化する。 使用される負荷に関して研究者たちは、一般的にこれはエクササイズにより幅広く異なるということを発見している。従来のレジスタンスエクササイズに関してシーゲル(2002年)は、スクワットの1RMの50-70%の負荷における最大出力、およびベンチプレスの1RMの40-60%の負荷における最大出力を報告している。同様にコーミア(2007年)は、ジャンプスクワットに対する最適な負荷は1RMの0%、スクワットに対しては1RMの56%、またパワークリーンに対しては1RMの80%であったということを発見している。 パワーを測定する際、ほとんどの研究は外部負荷に対し働く力に焦点を当てており、それは身体とバーベルの変位特性を参照することにより測定される。しかしながら、個々の関節もまた独自の出力を備えており、バーベルエクササイズに対する様々な関節トルクの相対的貢献が、負荷の増加に伴い変化するのと同じように、これらは外部負荷に正比例して変化するわけではない可能性がある。 研究者たちは何を行ったのか? 研究者たちは、ジャンプスクワットの際、股関節、膝関節、及び足関節における出力が、外部負荷の変化により同様に影響を受けるかどうかを調査したいと考えた。そこで彼らは、前年の間に定期的にレジスタンストレーニングプログラムに参加しており、また、フットボール、サッカー、野球を含むスポーツに携わっていた、レジスタンストレーニングを行う12名の男性を集めた。 研究者たちは、2つのテストセッションにおいて被験者からの様々な測定値を記録した。最初のセッションにおいて被験者は、1RMのパラレルバックスクワットを行った。次のセッションにおいて被験者は、彼らのバックスクワットの1RMの0%、12%、27%、42%、56%、71%、85%に相当する負荷のジャンプスクワットを、セット間に2-3分のレストを入れながら行った。 テストの際、研究者たちはフォースプレートを2台使用し床反力を測定した。彼らはまた、様々な主要な解剖学的指標に付けられた16の逆反射マーカーの動きを観察するようデザインされている、3次元(3D)動作分析システムを使用し、バーベルと関節の動きを測定した。 何が起こったのか? 強度テスト 研究者たちは、被験者のバックスクワットの平均1RMは181.8 ± 40.4kgであったと報告した。彼らはこれを平均体重と比較し、それが体重の1.81 ± 0.32倍であるということを発見している。ゆえに被験者たちは、決してストレングスアスリートというわけではなかったが、比較的よくトレーニングされていると見なされた。 ジャンプの高さ 研究者たちは、下記のグラフで示されているように、平均のジャンプの高さは負荷の増加に伴い有意に減少したということを報告している。これは予期されていたことであり、以前の研究結果と一致している。 外部出力 研究者たちは、下記のグラフで示されているように、平均の外部出力は負荷の増加に伴い有意に減少したということを報告している。これもまた、予期されていたことであり、以前の研究結果と一致している。 内部(関節)トルク 研究者たちは、股関節、膝関節、足関節におけるモーメントは、負荷の増加に伴い全て有意に増加したということを発見している。彼らは、股関節、膝関節、足関節のトルクの増加における有意な差違は記述していない。下記のグラフで示される通り、全ての関節トルクは同様に増加しているようである。 この結果はブライアントン(2012年)およびロレンツェッティ(2012年)による近年の調査と対比するものであった。両者はスクワットの負荷の増加に伴い、股関節および足関節のトルクは膝関節トルクに比べ、より急速に増加するということを発見している。

ストレングス・コンディショニング・リサーチ 2201字

筋限界に至るまでのトレーニングは更なる筋肥大につながるか? パート2/2

筋力強化に対する筋限界の効果は何か? 下記のトレーニング研究は、様々な異なるアプローチを用い、同じエクササイズを筋限界に至らぬよう(もしくは少々の疲労程度まで)行った量を適合させたグループと比較して、筋限界(もしくは単に重度の疲労)に至るまでエクササイズを行ったグループの筋力への影響について調査している。 イスキエルド (2006年) – 研究者たちは身体的に活発な42名の男性において、11週間に渡るレジスタンストレーニングと、それに続く5週間の全く同じ最大筋力及びパワートレーニングを、限界に至るまで行うこと、もしくは限界に至らぬよう行うことによる効果を評価した。最初の11週間の段階では、研究者は、両方のグループが1RMのベンチプレスとスクワットにおいて同等の向上を示し、スクワットの際の最大レップにおいて同等の向上を示したが、限界に至るまでトレーニングを行ったグループは、ベンチプレスの際の最大レップにおいてより大きな向上を示したということを発見した。しかしながら5週間のピーク段階では、限界にまで至らなかったグループが、下半身における下肢のより大きな筋出力を示し、ベンチプレスを行う際の最大レップにおいてもより大きな向上を示した。研究者たちは、限界に至るまでのトレーニングが筋持久力を高める可能性があるのに対し、限界にまで至らないトレーニングには最大筋力とパワーへの恩恵があるかもしれないと示唆している。 ドリンクウォーター (2006年) – 研究者たちは、エリートジュニアアスリートにおいて、6RMのベンチプレスと40キロでのベンチスローパワーに対する、レップの限界に至るまでのトレーニングの効果について評価した。2つのグループの被験者は、6週間に渡り週に3回のベンチプレストレーニングを同量行った。一方のグループは260秒毎に6レップを4セット行うことで、レップの限界に至るまでトレーニングを行い、他方のグループは113秒毎に3レップを8セット行うことにより、総合的には同量のレップ数ではあるが、限界にまでは至らぬようトレーニングを行った。研究者たちは、限界までトレーニングを行ったグループがレップの筋力とベンチスローのパワーの両方においてより大きな向上を示したことを発見した。 ロートン (2004年) – 研究者たちは、26名の男性エリートジュニアバスケ選手とサッカー選手における2つのトレーニング方法の影響について比較した。2つのグループにおいて被験者は、6週間に渡り6レップを4セット、もしくは3レップを8セットのベンチプレスを行った。より疲労度が大きかった6レップを4セット行ったグループは、3レップを8セット行ったグループ(4.9%)に比べ、6RMの筋力が著しく向上した(9.7%)が、パワーの向上に関しては2つのグループの間で著しい違いは無かった。 フォランド (2002年) – 研究者たちは、健康な23名の成人における2つのトレーニング方法の効果を比較した。一方のグループはセット間に30秒のレストを挟んで10レップを4セット(より大きな疲労のグループ)、他方のグループは各レップ間に30秒のレストをとりながら、40レップ(より少ない疲労のグループ)の両側ニーエクステンションマシーンを使用したトレーニングを、平均1RMの73%で週に3回行った。9週間に渡るトレーニングの後、研究者たちは、最大等尺性膝伸展筋力の測定において両方のグループで類似した向上が見られたということを発見した。 ルーニー (1994年) – 研究者たちは、量を適合させたプログラムの中において、42名の健康な被験者に対しセット内のレストが筋力に及ぼす影響を評価した。被験者たちは、レスト無しグループ、レストグループ、コントロールグループへと振り分けられた。2つのトレーニンググループは6週間に渡り、週に3回、6RMの負荷にて6-10回のカールを行うことにより上腕二頭筋のトレーニングを実施した。レスト無しグループは全てのレップをレスト無しで行い、レストグループは各レップ間に30秒のレストを入れた。研究者たちは、限界に至るまでトレーニングを行ったグループは著しく大幅な筋力の増加を示したと発見している。しかしコントロールグループと比較すると両方のトレーニンググループともに、筋力は増加していた。 ショット (1995年) – 研究者たちは、7名の被験者において、14週間に渡り週に3回、最大随意等尺性収縮(MVIC)の70%での、短く断続的な筋収縮(より少ない疲労のグループ)と長く継続的な筋収縮(より大きな疲労のグループ)という2つのタイプの等尺性ストレングストレーニングによる適応を比較した。右脚のトレーニングとして、各筋収縮の間に2秒のレストとセット間に2分のレストを入れた、3秒間の筋収縮が10回4セット行われ、左脚のトレーニングとして、セット間に1分のレストを入れた30秒の筋収縮が4セット行われた。研究者たちは、短い断続的な筋収縮よりも、長く継続的な筋収縮の方がより著しくMVICを向上させると発見した。 研究プロトコールと結果の評価基準のばらつきにより、結論を出すことは多少困難ではあるが、要約すると、限界まで至らぬよう(もしくはより少ない疲労)トレーニングを行った際に比べ、限界まで(もしくはより大きな疲労)トレーニングを行った際の方が、ほとんどの測定値において、その筋力は、より大幅に向上しているようである。しかしながら、全ての研究が全ての筋力の測定値に対してこれを示しているわけではない。例えばフォランド(2002年)は、2つのトレーニング方法においてMVICの筋力に差異はないと報告しており、イスキエルド(2006年)は1RMの筋力に関する限りでは違いはないと発見している。 加えてドリンクウォーター(2007年)は、4x6,8x3,もしくは12x3(セットxレップ)のベンチプレスを週に3回、6週間に渡りトレーニングを行った22名のチームスポーツ選手において、限界を超えたトレーニングが限界に至るまでのトレーニングよりも優れた結果を生み出すかどうかを評価した。8x3のプログラムと比較し、4x6のプログラムにはより長いインターバルが含まれており、12x3のプログラムにはより多いトレーニング量が含まれていた。ゆえにこれら両方のプログラムは、望ましいレップ数を完了するためにより多くの強制的なレップを行うようデザインされていた。研究者たちは、レップの限界には達したものの、追加の強制的なレップも追加のセット量も、基本の8x3のプログラムに比べ、更に大きな筋力の獲得へは繋がらなかったということを発見した。 *** 実践的な意義は何か? ストレングスアスリートに対して ストレングスのアスリートに対しては、限界に至るトレーニングを組み込むことが、より筋力の増加につながり得るという根拠のあるエビデンスがある。しかし、限界までのトレーニングは回復に影響を及ぼし得ることから、各アスリートにふさわしい限度内で慎重に使われるべきである。 ストレングスアスリートとボディビルダーに対しては、限界に至るトレーニングを組み込むことは、より大きな筋肥大につながる可能性があるといういくつからの限られたエビデンスがある。しかしながら、おそらくトレーニング量がより重要な要素であるため、筋限界は回復が確実に行われることができる範囲で使われるべきである。

ストレングス・コンディショニング・リサーチ 3185字

筋限界に至るまでのトレーニングは更なる筋肥大につながるか? パート1/2

限界に至るまでトレーニングを行うべきか否か、というフィットネス業界における大きな議論にもかかわらず、研究者たちはこの問題を十分に調査していない。実際に多くの人が信じてはいることとは裏腹に、限界(もしくは重度の疲労)に至るまでのトレーニングが筋力強化や筋肥大にとって望ましいかどうかということに関する、量を適合させた長期のトレーニングの研究は、非常に希である。下記のものは我々の知識の要約である。 背景 瞬間的な筋限界までのトレーニングは、フィットネス業界における一般的な概念であり、ほとんどのトレーニング中級、上級の人たちは、セットを行っている際に限界に近づいていることを本能的直感により感知する。また、多くのアスリートが定期的に限界に至るトレーニングを行っているが、パワーリフターやボディビルダーなどを含むかなりの割合の人たちは、ワークアウトにおいて常に限界に至るまで行っているわけではない。 しかしながら、ある一定期間のトレーニング後の筋力と筋肥大を調査した研究論文においては、一般的に全てのセットが限界に至るまで行われている。研究論文が伝えていることと、トレーニングを行う人達によって実際に行われているであろうことの間で矛盾が生じている。 それに加え上述の通り、一方のグループが限界までセットを行い、他方のグループが同量のプログラムを限界以前で行うという量を適合させたトレーニング方法の比較をした研究は希である。ゆえに、この短い総括には、これらの研究と量を適合させたプロトコールでの異なる疲労度合いの違いについて調査したものがいくつか含まれている。これは理想的ではないかもしれないが、より充実した全体像を提供しており、下記に詳細が述べられているサンドストラップ(2012年)の発見に基づいて、有効なものであると思われる。 幾人かの研究者と限界までトレーニングを行うことの支持者は、限界に至るまでトレーニング行うことは、全ての運動単位を動員するために必要であると提言しているが、研究者たちはその見解を十分に支持しているわけではない。サンドストラップ(2012年)は、限界に至るまで行われた15RMでの各レップにおけるラテラルレイズの筋電図活動を調査した。彼らは、筋活動のプラトーへは15RMの負荷での10-12レップで達するということを発見し、それは少なくともトレーニングを行っていない個人においては、全ての運動単位を完全に動員するために完全なる限界までトレーニングする必要はないということを意味すると解釈した。 *** 筋限界の筋肥大に対する効果は何か? 下記のトレーニング研究は、多様な異なる方法を用い、量を適合させた同じエクササイズを筋限界へ至らぬ程度まで行った(もしくはより少ない疲労)グループと比較し、筋限界(もしくは多大な疲労)までエクササイズを行ったグループの筋力に対する効果を調査している。 ゴトウ (2005年)は同量の大腿四頭筋のレジスタンストレーニングの組み合わせの中での、大腿四頭筋の筋肥大に対する限界の効果を調査した。各トレーニンググループが、ラットプルダウンとショルダープレスを10RMで3セットと、両脚でのニーエクステンションを10RMで5セット行ったが、一方のグループは、エクササイズ実行中にはレストを取らず、各エクササイズの間、及びセット間に1分のレストを入れ、もう一方のグループは1分のレストに加え、各セットの半分のところで、更に30秒のレストを取った。研究者たちは、セットの間にレストを入れたグループはレストを取らなかったグループに比べより少ない筋肥大を示しており、それは筋限界が筋肥大の重要な修正因子であるかもしれないということを示していると発見した。しかしながら、このような結果が起こった正確なメカニズムは明確ではない。 ショット (1995年) - 研究者たちは7名の被験者において、14週間に渡り週に3回、最大随意等尺性収縮(MVIC)の70%での、短く断続的な筋収縮(より少ない疲労グループ)と、長く継続的な筋収縮(より大きな疲労グループ)という2つのタイプの等尺性ストレングストレーニングによる適応を比較した。右脚のトレーニングとして、各筋収縮の間に2秒のレストとセット間に2分のレストを入れた、3秒間の筋収縮が10回4セット行われ、左脚のトレーニングとして、セット間に1分のレストを入れた30秒の筋収縮が4セット行われた。研究者たちは短く断続的な収縮よりも長く継続した収縮での方が、筋肉の断面積の増加が著しく大きいことを発見した。 研究の少なさにより結論を出すことは多少困難ではあるが、要約すると、限界まで至らないトレーニングに比べ、限界に至るトレーニングでは筋肥大に著しい向上がみられるようである。しかしながら筋肥大の追求において、より多くのトレーニング量をこなすことを支持するエビデンスがとても多く、トレーニングの量と筋力がたびたび互いに相反しているため、現在のエビデンスは、適切な回復が可能な範囲での筋限界を伴う、より多量のアプローチを支持しているようである。

ストレングス・コンディショニング・リサーチ 2198字

脚の最大の発達のために“ただスクワット”すればいいのか?

一日おきに、誰かが、フォーラムに下半身のトレーニングを作成する一番の方法についての質問を掲示します。 少なくとも一人の善意あるリフターが、「ただスクワットをしなさい」という薦めを回答します。 しかし、スクワットのみで本当に最適な脚の筋発達のために十分なのでしょうか? ただスクワットをするとはどういう意味ですか? 誰かが“ただスクワットをする”という時、彼らがどういう意味で言ったのかははっきりしているわけではありません。 もしあなたがそのアドバイスを文字通り読むならば、それはあなたのレッグトレーニングのすべてとして“ただスクワットをする”という意味になるでしょう(なのであなたはその他のレッグエクササイズを何もしません)。しかし、人々は時々、ハムストリングスを除くすべてのエクササイズとして“ただスクワットをする”ことを意味しています(なのであなたはいくらかのハムストリングカールもします)。そして時には、人々が“ただスクワットをする”と言っているのに、あなたは後で彼らがデッドリフトやヒップスラストもしていて、基本的に彼らの“ただスクワットをする”という助言が、本当は大腿四頭筋だけに当てはまるのだと知るのです。 上のような混乱に関係なく、私はこの記事で二つの問題に注目したいと思います: スクワットはハムストリングスの発達のために良いエクササイズかどうか、 そしてスクワットは大腿四頭筋すべてに効果的なのかどうか。 明らかに、これは臀筋(Bret氏、ごめんなさい!)と内転筋の議論を除きますが、それらの筋肉はまったく独自の別な記事にする価値があると私は思います。 #1. ハムストリング:ただスクワットをする、でもデッドリフトもする? 知識のあるフィットネスプロフェッショナルとして、あなたはスクワットが大腿四頭筋、大内転筋、そして大臀筋に非常に効果的であるが、ハムストリングスにはそれほど効果がないことをほぼ確実にすでに理解していることでしょう(Wright et al. 1999)。 基本的に、それがポステリアチェーンのための良い筋力トレーニングプログラムの中にデッドリフトバリエーション(そして他のエクササイズ)がいつも含まれている理由です。ハムストリングスのアクティベーションは、一般的にスクワットでは低いのです。 しかしながら、ハムストリングスがスクワット中に働いているという考えを却下する次のような他の理由もあります: スクワットのバーベル負荷の増加は、ハムストリングスのアクティベーションを増加させないが、大腿四頭筋及び大臀筋両方のアクティベーションが顕著に上昇する要因となる(Li et al. 2013) スクワットの力とハムストリングスのアクティベーションの間の相関関係は、ハムストリングスでは低~中程度だが、大腿四頭筋では強い線形相関がある(Luera et al. 2014) スクワットの深さを同じバーベル負荷で増加させることは、ハムストリングスのアクティベーションを増加させないが、大腿四頭筋及び大臀筋のアクティベーションの大きな増加の要因となる(Gorsuch et al. 2013; Contreras et al. 2015b) 筋骨格系モデルは、ハムストリングスが大臀筋と同じくらいの度合で貢献する股関節伸展のストラテジーを用いることは、そのストラテジーが膝関節でのコ・アクティベーション(同時活性化)を増加させて大腿四頭筋をより使わせることから、非効率的であると示唆している(Bryanton et al. 2015) なぜハムストリングスはスクワットで活性しないのか? 身体力学的に、スクワットにおけるこの乏しいハムストリングスのアクティベーションは、恐らく4つのハムストリングスの筋肉のうち3つが二関節筋であるからです。 それゆえに、これらは股関節伸展筋及び膝関節屈曲筋として働きます。 そのため、身体が下に下がる(股関節屈曲及び膝関節屈曲をしながら)につれて、筋肉は膝関節で短縮し、股関節で伸張しようとして、結局ほとんど同じ長さのままになります。そして上に上がる(股関節伸展及び膝関節伸展をしながら)につれて、筋肉は膝関節で伸張し、股関節で短縮しようとし、また結局ほぼ同じ長さのままになるのです。 これはハムストリングスをスクワットでの股関節伸展筋として極めて非効率的にします。 もしあなたがまだ信じていないのであれば、今この瞬間も、研究がハムストリングスのアクティベーション不足について何といおうが気にしない、だってスクワットをしているとき脚の裏側が働いているのを感じることができるから、と考えているかもしれません。 私が偉そうに反論できるでしょうか? あなたはスクワット中に、太ももの後面が働いているのを感じるはずなのです。それはあなたの大内転筋がある場所です。 奇妙なことに“内転筋”と呼ばれていますが、大内転筋は実際、スクワットにおいて非常に重要で大きな股関節伸展筋で、ハムストリングスのかなり近くにあります。 しかしその脚の後ろの感覚は、多くの場合恐らくハムストリングスによってもたらされたものではありません。 #2. 大腿四頭筋:4つすべての筋肉 それでは、質問のより難しい部分に取り組みましょう。大腿四頭筋です。 最近、研究者のグループが、中間広張筋(tensor of the vastus intermedius)と呼んでいる新たな大腿四頭筋の筋肉を発見しましたが(Crob et al.2016)、大腿四頭筋は太ももの前面にある4つの筋肉で作られています。これは解剖学的命名にとって非常に厄介な意味あいを持っています。 それはさておき、4つの主な大腿四頭筋は: 外側広筋 内側広筋 中間広筋 大腿直筋 その4つの筋肉のリストのうち、はじめの3つは膝関節の伸展筋としてのみ機能する単関節筋です。大腿直筋は、ハムストリングのように二関節筋で、股関節屈曲筋及び膝関節伸展筋として働きます。 全体的に、外側広筋は最も大きい筋量を持ち(674㎤)、次に中間広筋(580㎤)、内側広筋(461㎤)、最後に大腿直筋(339㎤)が続きます。 筋肉の力の生産能力を駆動する生理学的筋断面積の観点から見ると、下のチャートでも示されている通り、これらは実際驚くほど類似しています(Erskine et al. 2009)。 ここで私たちが取りあげるべきなのは、もし私たちが脚のサイズをその最大範囲まで発達させたければ(そしてただスクワットが上手になるだけでないなら)、用いているエクササイズが4つの大腿四頭筋すべてに働いていることを確かめなくてはならないということ。 そうしなければ、私たちは筋肉の発達をいくらかのやり残してしまうでしょう。 スクワットは大腿直筋を発達させるか? 従来、スクワットは大腿四頭筋全体を最も発達させるものだと考えられてきました。 この考えは、大腿四頭筋の単関節筋を解析した研究によって、間違いなく支持されてきました。例えば、Signorile et al. (1994)は、外側広筋と内側広筋のスクワットにおけるアクティベーションを筋電図(EMG)で調査し、それをニーエクステンションと比較しました。彼らはスクワットの方が優れていることを発見しました。同じように、Ebben et al. (2009)は、外側広筋にはニーエクステンション、ステップアップ、そしてデッドリフトよりもスクワットの方がよかったことを発見しました。 一方で、“ただスクワットをする”というのは、大腿直筋にはあまりよく効果がないように見えます。 これは、ニーエクステンションエクササイズにおける大腿直筋のアクティベーションレベルが、スクワットと比較してより高いことを示す筋電図の研究(Ebben et al. 2009)からのみでなく、長期的試行からも見ることができます。 ある重要な研究、Fonseca et al. (2015)は、スクワットのみを行う2つのグループと、様々なエクササイズ(スクワット、レッグプレス、デッドリフト、ランジ)を行う2つのグループの、4つの異なるグループを、長期的トレーニングプログラムに渡り比較しました。様々なエクササイズを行った2つのグループは、大腿四頭筋のサイズが4つすべての筋肉(大腿直筋を含む)において増加しましたが、ただスクワットだけを用いた2つのグループでは、3つの単関節筋のみ大腿四頭筋のサイズが増加しました。 スクワットトレーニング後の大腿直筋の成長不足は、恐らくこの筋肉が股関節屈曲筋と膝関節伸展筋の両方であるからです。 身体が下に下がる(股関節屈曲及び膝関節屈曲をしながら)につれて、大腿直筋は膝関節で伸張し、股関節で短縮しようとして、結局ほとんど同じ長さのままになります。そして上に上がる(股関節伸展及び膝関節伸展をしながら)につれて、筋肉は膝関節で短縮し、股関節で伸張しようとし、また結局ほぼ同じ長さのままになるのです。 これは大腿直筋をスクワット中極めて非効率的にし、そのためこの筋肉は恐らく(ハムストリングスのように)通常それほど使われないのです。 大腿直筋を発達させるエクササイズは何か? 上で述べた通り、ニーエクステンションエクササイズでは、スクワットに比べより高いレベルの大腿直筋のアクティベーションがあります(Ebben et al. 2009)。これは、長期的なトレーニング研究による証拠で支持されています。 事実、下のチャートで示されているように、大腿直筋は単関節の、マシンによるニーエクステンショントレーニングによって、他の3つの大腿四頭筋よりも比較的成長するように見えます(Ema et al. 2013): ここでマシン・ニーエクステンションに表れされているように、同時に(そして同じような大きさで)股関節屈曲及び膝関節屈曲動作をさせないエクササイズにおいて、大腿直筋を非常に効率的に鍛えることができるように見えます。 まとめ もしあなたがスクワットを上手になりたいのであれば、もちろん“ただスクワットしましょう”。 一方で、もしあなたが完全な脚の発達を臨むのであれば、あなたは“主にスクワットをする”と言いつつも、さらにいくつか追加でハムストリングスのエクササイズ、そして大腿直筋のエクササイズを一つ加える方がよいでしょう。 これに関して、いくらかのトレーナーには無視されがちですが、ニーエクステンションは少なくともボディビルダーにとっては恐らく理想的なエクササイズなのです。 参照 Bryanton, M. A., Carey, J. P., Kennedy, M. D., & Chiu, L. Z. (2015). Quadriceps effort during squat exercise depends on hip extensor muscle strategy. Sports Biomechanics, 14(1), 122-138. Contreras, B., Vigotsky, A. D., Schoenfeld, B. J., Beardsley, C., & Cronin, J. (2015). A Comparison of Gluteus Maximus, Biceps Femoris, and Vastus Lateralis EMG Amplitude in the Parallel, Full, and Front Squat Variations in Resistance Trained Females. Journal of Applied Biomechanics. Ebben, W. P., Feldmann, C. R., Dayne, A., Mitsche, D., Alexander, P., & Knetzger, K. J. (2009). Muscle activation during lower body resistance training. International Journal of Sports Medicine, 30(1), 1-8. Ema, R., Wakahara, T., Miyamoto, N., Kanehisa, H., & Kawakami, Y. (2013). Inhomogeneous architectural changes of the quadriceps femoris induced by resistance training. European Journal of Applied Physiology, 113(11), 2691-2703.] Erskine, R. M., Jones, D. A., Maganaris, C. N., & Degens, H. (2009). In vivo specific tension of the human quadriceps femoris muscle. European Journal of Applied Physiology, 106(6), 827-838. Fonseca, R. M., Roschel, H., Tricoli, V., de Souza, E. O., Wilson, J. M., Laurentino, G. C., & Ugrinowitsch, C. (2014). Changes in exercises are more effective than in loading schemes to improve muscle strength. The Journal of Strength & Conditioning Research, 28(11), 3085-3092. Gorsuch, J., Long, J., Miller, K., Primeau, K., Rutledge, S., Sossong, A., & Durocher, J. J. (2013). The effect of squat depth on multiarticular muscle activation in collegiate cross-country runners. The Journal of Strength & Conditioning Research, 27(9), 2619. Grob, K., Ackland, T., Kuster, M. S., Manestar, M., & Filgueira, L. (2016). A newly discovered muscle: The tensor of the vastus intermedius. Clinical Anatomy, 29(2), 256-263. Li, Y., Cao, C., & Chen, X. (2013). Similar electromyographic activities of lower limbs between squatting on a reebok core board and ground. The Journal of Strength & Conditioning Research, 27(5), 1349. Luera, M. J., Stock, M. S., & Chappell, A. D. (2014). Electromyographic amplitude vs. concentric and eccentric squat force relationships for monoarticular and biarticular thigh muscles. The Journal of Strength & Conditioning Research, 28(2), 328-338. Signorile, J. F., Weber, B., Roll, B., Caruso, J. F., Lowensteyn, I., & Perry, A. C. (1994). An Electromyographical Comparison of the Squat and Knee Extension Exercises. The Journal of Strength & Conditioning Research, 8(3), 178-183. Wright, G. A., Delong, T. H., & Gehlsen, G. (1999). Electromyographic Activity of the Hamstrings During Performance of the Leg Curl, Stiff-Leg Deadlift, and Back Squat Movements. The Journal of Strength & Conditioning Research, 13(2), 168-174.

ストレングス・コンディショニング・リサーチ 4510字

ファンクショナル・ムーブメント・スクリーン(FMS)の使用はエビデンスに支持されているか? パート2

ファンクショナル・ムーブメント・スクリーン(FMS)は最近人気のある話題であり、多くの議論を引き起こしている。これは、これらの議論をより建設的にするための論文の総括である。 概要(続き) FMSの得点は外傷のリスクを予測するか? FMSの基本原理は、有害である代償パターンの保有率を測定するというものである。少なくとも18の研究が、FMSの得点が外傷率を予測することができるのかどうかを評価している。これらの18の研究のうち11の研究が、FMSの得点が14点を超える人と比較し、14点以下の個人における外傷に対する相対的な危険性を評価した。これらの11の研究のうち4つの研究が、FMSの得点は外傷の危険性を予測することはできないということを発見した。残りの7つの研究では、14点以下の個人の外傷に対する相対的な危険性は1.65から11.67倍であり、これは、FMSが個人の外傷の危険性の大小を、区別することができるかもしれないということを示唆している。 FMSの得点はアスレチックパフォーマンスを予測するか? FMSの背景にある概念のひとつは、非効率であると考えられる代償パターンの発生率を測定することであり、ゆえにパフォーマンスの低下度合いを予測する、というものである。アスレチックパフォーマンスとFMSの総合得点の相関関係を評価した8つの試験において、2つのみがアスレチックパフォーマンスとFMSの得点の相関関係を発見した。この2つの試験両方において、カウンタームーブメントジャンプのパフォーマンスとFMSの総合得点の間に、ある程度の相関関係が見いだされた。これは、FMSが有害となる代償パターンを発見することができないか、もしくは見つけられた代償パターンがパフォーマンスへ悪影響を及ぼさないかのどちらかであるということを示唆している。 エクササイズトレーニングはFMSの得点を向上させるか? もしFMSが有益であるのならば、基準テストの結果を基に行動を起こし、後のテストにおける得点を向上させることが大切である。少なくとも9つの研究が様々な集団において、FMSの得点を向上させるための異なるエクササイズプログラムの能力について評価している。9つの研究のうち8つが、ある種のエクササイズがFMSの得点を向上させることができたと報告している。しかしながら、コレクティブエクササイズやファンクショナルエクササイズと従来のレジスタンストレーニングを比較した2つの研究において、研究者たちは両方のケースで、2つの方法の間にFMSの得点の向上に対し著しい違いはなかったことを発見している。 ボディ・マス・インデックス(BMI)はFMSの得点に影響を及ぼすか? いくつかの研究がFMSの得点に対するBMIの影響について報告している。FMSの得点に対するBMI指数の影響についての報告をした全ての研究は、より高いBMI指数がより低いFMSの得点と関連していることを発見している。 ある研究でもまた、FMSの得点が身体活動に積極的に関係していると発見されていることから、BMIとFMS得点の間の逆相関関係は、過体重/肥満の人が身体活動をあまり行わないという傾向によりもたらされている可能性がある。 FMSの得点と他のテスト結果との関連性はあるか? FMSは、肩関節の内旋や外旋の可動域の計測とは関連性が無いようである。しかし、スター・エクスカーション・バランステスト(SEBT)の結果と、FMSにおいても乏しいパフォーマンスが予測される、片脚垂直跳びでの高い非対称性とは関連性をもつようである。 FMSについて他に何がわかっているか? 他にも様々な研究がFMSに関して行われている。研究者たちは単にFMSを行うことは自己知覚近位安定性の低下に繋がると観察した。研究者たちはまた、FMSの得点が悪かった(14点未満)人と良かった(14点超え)人の間で、腰部にかかる負荷に著しい差異は無かったと記述している。 キーポイントは何か? FMSは、ある程度外傷の危険性が高いアスリートを識別する予測能力のある、比較的信頼性の高いフィールドテストであるようだが、アスレチックパフォーマンスとの関連性は無いようである。加えて、多くのエクササイズ、トレーニング、そして身体活動はFMSの得点を向上させることができる可能性が高いようである。しかしながら、テスト基準に関する知識と発達段階がテストの結果に影響を及ぼすようであること、テスト動作が高速で行われ負荷がかけられた場合、同様に行われることができなくなること、総合得点を構成する個々の要素に相関性がないことから、総合得点による外傷リスクの予測は、適切ではなく、テストの有効性に関しては深刻な懸念がある。

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ファンクショナル・ムーブメント・スクリーン(FMS)の使用はエビデンスに支持されているか? パート1

ファンクショナル・ムーブメント・スクリーン(FMS)は最近人気のある話題であり、多くの議論を引き起こしている。これは、これらの議論をより建設的にするための論文の総括である。 概要 ファンクショナル・ムーブメント・スクリーン(FMS)とは何か? ファンクショナル・ムーブメント・スクリーン(FMS)とは、標準化された複合的な動きから成る7つの個々のテストにより構成された、スポーツ参加前のスクリーニング手段である。各テストは試験者により0から3に評価され、総合得点が与えられる。これには、ディープスクワット、ハードルステップ、インラインランジ、ショルダーモビリティ、アクティブストレートレッグレイズ、トランクスタビリティプッシュアップ、ロータリースタビリティが含まれる。痛みがある場合は0、対象者が動作を行うことが不可能な場合は1と評価される。また、対象者が動作を行うことは可能であるが、代償動作を伴う場合は2と評価され、対象者がその動作を正しく行うことができた場合は3と評価される。各動作に対するそれぞれの得点は、21満点中の最終的な得点として集計され、この総合得点が外傷のリスクを予測すると考えられている。このテストを研究した研究者たちは、得点が14点以下の個人は、14点を越える個人に比較して、外傷のリスクがより高いと示唆している。 標準的なFMSの得点は何点か? 健康ではあるが、トレーニングを行っていない人たちにおける標準的なFMSの得点は、14.14 ± 2.85 点から to 15.7 ± 1.9 点の範囲である。トレーニングを行っていない人たちのほとんどが、代償パターンを示していることが考えられ、また外傷のリスクの増加とパフォーマンスの低下が予測できると思われている14点以下という区切りの得点を多少上回っている、ということを示唆している。 FMSは信頼性の高いテストか? テストが有効であるためには、それが信頼性の高いものである必要がある。信頼性とは、テストが多少異なった時間に同人物によって(評価者内)、もしくは、同時に違う人たちにより(評価者間)繰り返されることができ、同じ結果を生み出すことができるかどうかということを示す。少なくとも14の研究が、FMSの評価者間の信頼性、または評価者内の信頼性を調査している。14の研究の内、13の研究がFMS総合得点の評価者間の信頼性についての報告をしており、8つの研究がFMS総合得点の評価者内の信頼性に対しての報告をしている。FMS総合得点の評価者間の信頼性について調査した13の研究の内1つの研究のみが、信頼性が中等度以下であったことを報告している。この唯一の研究では、相関関係を分析する為に他とは異なった統計的方法を用いていたこと、また、かなり多種多様の背景をもつ評価者を採用していたということは注目に値する。評価者内の信頼性について報告をしている8つの研究の内、1つの研究が学生評価者によるテストが低い信頼性を示したということを発見したが、7つの研究では少なくとも中等度の信頼性が報告されている。これは、FMSはおそらくほとんどの人に対し、フィールドテストとして許容できる程度の信頼性があるということを示唆している。 FMSは有効なテストか? テストが有益であるためには、それが有効である必要がある。有効性とは、テストが測定するべきものだけを実際に測定しているのかどうかということを表す。FMSの場合、テストの目的は、スポーツで同じ動作を行う際の代償パターンを特定することである。いくつかの研究が、FMSが有効かどうか、またスポーツの動きの中で行われる際の代償パターンのみを測定しているのかどうかを評価した。1つの研究は、テスト基準に関する知識がテストの結果に著しい影響を及ぼすと報告しており、これはテストのパフォーマンスがアスリートからの影響を受ける可能性があるということを示唆しているかもしれない。他の研究は、発育段階もまたテストの結果に影響を及ぼすと報告しており、テストが若いアスリートには適していないということを示唆している可能性がある。その他の研究では、様々なテストの結果間での相関関係が乏しいと報告されており、外傷の危険性を予測するために各テストの得点を合計して総合得点を出すことに対する有効性が疑問であるということを意味している。最後に、ある研究では、高速で高い負荷をかけて行われた類似するエクササイズでは、異なる動作特徴が現れたと報告されており、FMSを行う際にアスリートによって示される代償パターンが、スポーツの動きの中で示される代償パターンとは異なるかもしれないということを示唆している。結果として、これらの研究はFMSの有効性を疑問視している。

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我々はスプリットスクワットについて何を知り得ているか? パート3/3

急性試験では何が発見されたか? (つづき) 筋電図活動 スプリットスクワットと従来のバックスクワットの際に、筋電図活動に関する有意な差違があるかどうかについての研究は相反している。マッカーディ(2010年)は、同様の相対負荷(3RM の85%)を使用した、後ろ足を挙上したスプリットスクワット、および従来のバックスクワットを行う女性アスリートの中臀筋、ハムストリングス、大腿四頭筋の筋電図活動を調査した。彼らは中臀筋とハムストリングの筋電図活動は従来のバックスクワットの際に比べスプリットスクワットの際に有意により高く、大腿四頭筋の筋電図活動はスプリットスクワットに比べ、従来のバックスクワットの際に有意により高かったということを発見した。しかしジョーンズ(2012年)は、持久系のトレーニングを行っている男性アスリートにおいて、同様の相対負荷(10RM) を使用し、後ろ足を挙上したスプリットスクワット、および従来のバックスクワットを行う際の大腿二頭筋、脊柱起立筋、中臀筋、外側広筋の筋電図活動を測定したが、2つのエクササイズの間に筋電図活動におけるいかなる差違も認識しなかった。マッカーディ(2010年)もまた、同様の相対負荷(3RMの85%)を使用し、後ろ足を挙したスプリットスクワットと従来のバックスクワットを行う女性アスリートの外腹斜筋の筋電図活動を調査した。彼らは、外腹斜筋の筋電図活動は、スプリットスクワットの際に非有意により高かったということを発見している。これらの発見は、スプリットスクワットの際にハムストリングスがより効果的に刺激され、大腿四頭筋に対しては、あまり効果的に刺激されない可能性があるという条件付きで、下半身の様々な筋肉の筋力を同様に向上させるためには、スプリットスクワットは従来のバックスクワットの代替になり得るということを示唆している。しかしながら、これらの発見を確認するためにはさらなる研究が必要である。 エクササイズに対するホルモン反応 レジスタンストレーニングは運動後、特に筋肥大のために作られるワークアウト後の内分泌性ホルモン値を変化させる可能性がある。この観察はホルモン仮説として知られるものに通じる。ホルモン仮説は、運動後の急性なホルモン分泌は筋肥大の過程の助けとなると提議している。しかし、この仮説は何年にもわたり強い支持を受けていたにもかかわらず、近年になり疑問視されてきている(詳細はショーンフェルド2013年参照)。ワークアウトに両側性の下半身のエクササイズを取り入れることは、運動後のタンパク同化ホルモンの増加を生み出す、ということはリナーモ(2005年)から知り得ていたが、ミギアーノ(2010年)は、片側、両側両方での上半身レジスタンストレーニングは、運動後のタンパク同化ホルモンを増加させることができなかったということを発見している。ゆえに片側性の下半身レジスタンストレーニングは、上半身のエクササイズと同様に、運動後のホルモン上昇を生み出さない可能性があると示唆されている。 しかしながらジョーンズ(2012年)は、持久系トレーニングを行っている男性アスリートにおいて、同様の相対負荷及びセット・レップ数を使用した後ろ足を挙上したスプリットスクワット、もしくは従来のバックスクワットを行ったワークアウト後のテストステロン濃度を測定し(セット間に90秒のレストを入れた10RMを4セット)、スプリットスクワットおよび従来のバックスクワットのワークアウトの両方とも、運動後にテストステロン濃度が上昇したということを発見している。ゆえにホルモン仮説が支持している程度までは、スプリットスクワットと従来のバックスクワットは、運動後のホルモン環境に対して同様に有益な影響を及ぼすようである。 慢性試験は我々に何を伝えているのか? マッカーディ(2005年)は2つの8週間にわたるレジスタンストレーニングプログラムを比較した。被験者は1週間に2日、両脚もしくは片脚どちらかのスクワットトレーニングを行った。両脚グループは従来のバックスクワットとフロントスクワットを行い、片脚グループは後ろ足を挙上したスプリットスクワット、ランジ、およびステップアップを行った。両グループとも同様の負荷と量のプロトコルを実行した。従来のバックスクワットにおける向上においても、スプリットスクワットの向上においても、グループ間に有意な差違は存在せず、それは両方のエクササイズとも、両側、片側両方の下半身の強度を向上させるために適しているということを示唆している。 実践的意義は何か? スプリットスクワットの試験・再試験測定は非常に信頼性が高いことが報告されているため、スプリットスクワットは下半身の強度を評価するために自信を持って使用することが可能である。 筋電図研究の結果は、スプリットスクワットと従来のバックスクワットの間にわずかな差違しかないということを示していたため、下半身の強度を向上させるために、スプリットスクワットが従来のバックスクワットの代替となることは可能である。 スプリットスクワットは、より大きな股関節と膝関節モーメントの比率、より大きなハムストリングの筋電図活動、より少ない大腿四頭筋の筋電図活動を含んでいる可能性がある。ゆえに股関節主導のエクササイズに重点を置く必要のあるプログラムに対しては、スプリットスクワットは従来のバックスクワットの代替として有益であるかもしれない。 スプリットスクワットは低い胴体角度を伴う。スクワットの際の低い胴体角度は腰椎モーメントの減少と関連している。ゆえに腰椎負荷の減少が望まれる場合、スプリットスクワットは従来のバックスクワットの代替として有益であるかもしれない。 スプリットスクワットおよび従来のバックスクワット両方のエクササイズ後、テストステロン濃度は同様に上昇するため、両タイプのスクワットは、運動後のホルモン環境およびその結果として生じる筋肥大に対し同様に有益な影響があるようである。 パワーリフターにとって、バックスクワットは、トレーニングでありながら同時にイベントそのものであるということを留意することは重要なことである。ゆえに特異性およびイベント練習がここでは必要になってくる。そのため一部のパワーリフターにとっての補助的な運動としては、スプリットスクワットは有益かもしれないが、パワーリフティングプログラムにおいてスプリットスクワットが従来のバックスクワットに取って代わることができる可能性は極めて低い。

ストレングス・コンディショニング・リサーチ 2828字

我々はスプリットスクワットについて何を知り得ているか? パート2/3

急性試験では何が発見されたか? (つづき) スプリットスクワットパフォーマンスとバランスの相関関係 一部の研究者たちは、下半身の強度とバランスは密接に結び付いていると提議している。フカガワ(1995年)は、老人ホームの入居者により行われたバランステストのパフォーマンスに対する、強度の独立した影響を報告した。しかしスプリットスクワットパフォーマンスは、特定のバランス課題とは相関関係が無いようであった。マッカーディ(2006年)は、トレーニングを行っていない男女において、スプリットスクワットの1RMの強度と、片脚立ち及びコンピューター制御されたバランスボード上でのバランス能力の間の関係を調査した。彼らは男女両方において、コンピューター制御されたバランスボード上のバランスとスプリットスクワットの1RM強度の間にも、片脚立ちのバランス得点とスプリットスクワットの1RM強度の間にも、いかなる有意な相関関係は発見しなかった。ゆえにバランスの向上が必要な場合にスプリットスクワットの強度を向上させることは有益ではないかもしれない。 関節モーメント スプリットスクワットの関節モーメントは、従来のバックスクワットのものとは異なるようである。メイヤー(2005年、未発表の修士論文)は男性アスリートにおいて、後ろ足を挙上したスプリットスクワットにおける関節モーメントを調査し、それを従来のバックスクワットにおける関節モーメントと比較した。アスリートたちは従来のバックスクワットを低、中、高負荷(1RMの60、70、80%)にて行い、スプリットスクワットを低、中、高負荷(従来のバックスクワットの1RMの20、25、30%)にて行った。メイヤーは、同様の相対負荷(323 ± 89Nm 対 288 ± 97Nm)において、スプリットスクワットにおける股関節伸展トルクは従来のバックスクワットよりもより大きかったということを報告している。さらに彼らは、同様の相対負荷(118 ± 26Nm 対186 ± 30Nm)において、スプリットスクワットは従来のバックスクワットよりもより小さな膝関節伸展モーメントを示していたということを発見している。その結果は下記のグラフに示されている。 これらの数字から我々は、股関節と膝関節の伸展モーメントの比率は、従来のバックスクワットに比べスプリットスクワットにおいてより高かったということを計算することが可能である(1.57 ± 0.53 対 2.80 ± 0.71)。ゆえにスプリットスクワットは、従来のバックスクワットよりも1.8倍より股関節主導である。この研究は未発表であったため再考察はされていないが、従来のバックスクワットの比率が、ブラントン(2012年)により報告されたもの、つまり同様の相対負荷において1.2-1.5の範囲であった、という比率と非常に類似しているため、これらのデータに関してはいくらかの安心を得ることができるであろう。それゆえ、プログラムが股関節主導のエクササイズに重点を置く必要がある場合は、従来のバックスクワットの代替としてスプリットスクワットが有益であるであるかもしれない。 関節角度 スプリットスクワットの際の胴体角度は従来のバックスクワットにおける角度よりもより小さいようである。マッカーディ(2010年)は女性アスリートにおいて、同様の相対負荷(3RMの85%)を使用し、後ろ足を挙上したスプリットスクワット、および従来のバックスクワットを行っている際の関節角度モーメントを調査した。彼らはスプリットスクワットの際の最大胴体角度は、従来のバックスクワットの際のものよりも小さかった(33.68 ± 7.6度対40.65 ± 7.0度)ということを発見している。メイヤー(2005年、未発表の修士論文)もまた、後ろ足を挙上したスプリットスクワットと従来のバックスクワットの際の関節角度を調査し、スプリットスクワットにおける胴体の前傾は、従来のバックスクワットにおけるものよりも少なかったということを観察している(25 ± 12度対35 ± 6度)。その結果は下記のグラフに示されている。 メイヤーは、胴体角度におけるこの差違は、脊柱負荷の程度の減少を暗示しているかもしれないと提議している。これが同様のケースであるかどうかは明確ではないが、スウィントン(2012年)は従来のスクワット、パワーリフティングスクワット、およびボックススクワットの差違を調査し、ボックススクワットが従来のスクワットに比べ有意により低い胴体角度(26.9 ± 3.8 度対33.5 ± 4.6度)を示し、同時に有意に低いL5/S1のモーメントを示したということを発見している。従って胴体角度の減少は実際には腰椎負荷の減少を暗に意味している可能性がある。ゆえに、腰椎負荷の減少が必要である、もしくは望ましい場合は、スプリットスクワットは従来のバックスクワットの代替として有益であるかもしれない。 力、パワー、力産出の速度 特定の力に関する変数は、スプリットスクワットのテクニックを使ったジャンプスクワットと、従来のバックスクワットのテクニックを使ったジャンプスクワットの間で異なる。スレイバート(2004年)は男性アスリートにおいて、従来のバックスクワット、およびスプリットスクワットのテクニックの両方を使用し、ジャンプスクワットの出力を検査した。1RMの30-70%の出力に対する最適な負荷が各ケースにおいて比較された。彼らは最大出力および平均出力において、従来のバックスクワットとスプリットスクワットのテクニックの間で有意な差違はなかったということを報告している。しかしながら彼らは、最大力はスプリットスクワットの際に有意により大きく(19.10 ± 3.25N/kg 対 14.88 ± 2.22N/kg)、力産出の最高速度はスプリットスクワットの際に有意により高かった(41.10 ± 12.59N/s/kg 対 33.04 ± 8.74N/s/kg)が、最高速度はスプリットスクワットの際に有意に低かった(1.64 ± 0.17m/s 対 1.97 ± 0.13m/s)ということを報告している。彼らは、スプリットスクワットの際の、より大きな力と低い速度は、パワーに対する最適な負荷における両方のスクワットテクニックにおいて、同様の出力に繋がったということを記述している(測定は1RMの30-70%においてのみしか行われていないが)。しかしながら、そのような差違がスプリットスクワット、従来のバックスクワット、およびスプリットスクワットと従来のバックスクワットのテクニックを使用して行われたジャンプスクワットにおいて同様に存在するかどうかは明確ではない。

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我々はスプリットスクワットについて何を知り得ているか? パート1/3

比較的最近まで、従来のバックスクワットは下半身の筋力増進のための選択肢であった。しかしながら、現在はスプリットスクワットが支持率を上げてきており、多くのストレングス&コンディショニングコーチたちにより使用されている。しかし我々は、スプリットスクワットについて実際に何を知り得ており、それは従来のバックスクワットと比較しどうなのだろうか?この論説ではクリス・ベアスリー(@SandCResearch)が研究論文の再考察を行う。 背景 スプリットスクワットは、後ろ足を床につけたまま、もしくは後ろ足をベンチや箱の上に乗せて行うことが可能である。スプリットスクワットには、ブルガリアン(スプリット)スクワット、後ろ足を上げたスプリットスクワット、ピッチャースクワットまたは調整された片脚スクワット、として知られるバリエーションが含まれている。これは従来のバックスクワットの代替としてストレングス&コンディショニングコーチにより頻繁に使われている。しかし、従来のバックスクワットは幅広く研究されている一方(ショーンフェルド2010年参照)、スプリットスクワットは同様の綿密な調査が行われていない。 スプリットスクワットは、矢状面における身体の重心を両脚でまたぐようにして行われる。バックスクワットポジションで上部僧帽筋の上に置かれたバーベル(マッカーディ2010年)、身体の両脇に腕を伸ばして持たれたダンベル、もしくは前足の下と肩の上をまわし輪にしたレジスタンスバンド(ジャコブソン2012年の中で行われたランジのように)を使用し、行うことが可能である。 前述のように、スプリットスクワットは通常後ろ足を箱やバーの上に乗せて行われる(マッカーディ2010年)が、後ろ足を床について行うことも可能である。マッカーディ(2010年)は、後ろ足を箱の上へ乗せた場合、負荷のおおよそ85%は前足によって支えられていたということを発見している。少数の研究がスプリットスクワットの際の急性の生体学的変数を調査しており、1つの研究がスプリットスクワットを含むトレーニングのプログラムの長期的効果を調査している。 急性試験では何が発見されたか? 運動能力の信頼性 鍵となる強度測定における向上を評価するために使用される場合、信頼性はレジスタンストレーニングエクササイズの重要な特性である。マッカーディ(2004年)はトレーニングを行っていない男女の被験者において、同等の相対負荷(1RMおよび3RMの負荷)を使用し、従来のバックスクワットと、後ろ足を挙上したスプリットスクワットの信頼性を検査した。彼らは、スプリットスクワットにおける1RMおよび3RMの平均負荷は、(初回/2回目)男性においてはそれぞれ114.6 ± 17.9/121.6 ± 17.7kg および 98.6 ± 21.5/103.0 ± 21.5kgであり、女性においてはそれぞれ44.0 ± 9.9/45.76 ± 10.7kg および35.9 ± 10.4/39.77 ± 10.4kであったことを発見している。その結果は下記のグラフに示されている。 研究者たちは、試験・再試験測定法は非常に信頼性が高く、ゆえにスプリットスクワットは下半身の片側性強度を評価するために、自信を持って使用することができるということを報告している。 利き脚と非優位脚の間におけるスプリットスクワット強度の差違 片側性のエクササイズに関する一般的な仮説は、利き側は非優位側よりもより強いと証明されるであろうというものである。実際に一部の研究は、下半身の課題における利き側と非優位側の間の差違を報告している(ハンター2000年)。しかしながらマッカーディ(2005年)は、トレーニングを行っていない男女において、利き脚と非優位脚におけるスプリットスクワットの1RM強度の差違を調査し、男女ともに利き脚は非優位脚よりも非有意にごくわずかに強かったが、それぞれの脚間におけるスプリットスクワット強度に有意な差違は発見しなかった。男性のスプリットスクワットの強度は(利き脚/非優位脚)、107.0 ± 5.2  /106.0 ± 5.2kgであり、女性のスプリットスクワットの強度は45.3 ± 2.5/45.0 ± 2.5kgであった。その結果は下記のグラフに示されている。 グラフは、トレーニングを行っていない被験者における利き脚と非優位脚の強度は非常に類似しているということを示している。これが、活動脚における総関節トルクが同様であるということを示唆しているのかどうかは明確ではないが、フラナガン(2007年)は、従来のバックスクワットの際の左右の総関節トルクは同等ではなかったいうことを発見している。ゆえにトレーニングを行っている被験者において、スプリットスクワットにおける利き脚と非優位脚の強度の類似性を確認するため、また、総関節トルクは同様の負荷にもかかわらず左右の脚において差違があるということを解明するためには、さらなる研究が必要である。しかしながら両側の強度が同等であるということが、同じフォームが使用されたということを意味するわけでも、また大腿四頭筋とポステリアキネティックチェーンが同等の割合で使われていたということを意味しているわけでもない、ということに留意することは重要なことである。

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