マイクロラーニング
隙間時間に少しずつビデオや記事で学べるマイクロラーニング。クイズに答えてポイントとコインを獲得すれば理解も深まります。
呼吸
今日は呼吸することについて少し時間をかけて考えてみましょう。 呼吸をするとき、あなたは呼吸中に部位全体が拡張しているように感じますか? 理想的には、そうであるべきなのです。呼吸は三次元で起こるべきです。しかし人によってはそうなりません。 クライアントが呼吸をするのを見るとき、彼らは呼吸とともに上下に動いているでしょうか?それとも内外に動いているでしょうか? 理想的には、内外に動いているべきです。私たちは上下呼吸にならなくてもいいはずなのです…少しそうなりはしますが、すべてがそうではありません。 上手に呼吸をするためには、可動性のある肋骨と可動性のある胸椎が必要です。もしその可動性を持っていなければ、どこか別のところで呼吸をしなくてはなりません。身体はたとえ何があろうと呼吸をしようとします。肋骨と胸椎が固定されるとき、何が起こるでしょうか?私たちは肋骨の一番上あるいは首で呼吸をし始めます。クライアントのうち何人の肩が、ただ呼吸をするだけのために動いているでしょうか?クライアントが座っているときに、呼吸している彼らの肩甲骨の上にあなたの手を置いたら、その手は上下に動いていくでしょう。これはよくありません。 理想的には、少しの横方向の動きが見られます。一定数のクライアントが当てはまるでしょうが、もし挙上しか見られないのであれば、何かがおかしいのです。 呼吸は私たちの行動や情動により影響され、そして呼吸が私たちの行動や情動に影響を与えもします。呼吸は自然な活動ですが、呼吸は感情によって変化します。呼吸の活動―ガス交換―は、私たちがそのことを考えることなく起こっています。もし痛みを抱えていれば、それが私たちの呼吸を変化させます。悪い姿勢のようなことが呼吸を変化させる原因にもなり、またその反対に、呼吸の問題が悪い姿勢の原因となることもあります。 呼吸はガスの交換です。身体は酸素を蓄えておくことができないため、私たちは常に酸素を交換しなくてはなりません。幸運なことに、これは私たちが考えなくてもよいことです。自動的に起こります。私たちが注目することのない、シンプルなガス交換です。呼吸は身体の酸素需要に左右されますーエクササイズをするとき、活動によって酸素レベルのニーズは異なります。 呼吸は、私たちが何をしているかによっても影響を受けますーエクササイズをしているか、あるいは座っていたり休んでいるか。呼吸は私たちが怒っている、不安になっている、あるいは幸せであるときに影響されることもあります。マインドは呼吸に影響を及ぼし、そして呼吸はマインドに影響を与えます。 考慮すべき異なる呼吸パターンが存在します。もしあなたがただ座っていて、呼吸をするのに首の筋肉を使わなくてはならないなら、これは恐らく問題でしょう。 あなたが心拍数を最大心拍数の75―90%まで上げるとき、呼吸は変化します。心拍数がそれほど高くなるときには、胸式呼吸をするでしょう。呼吸パターンについて話すと、胸式呼吸が間違っているということではありません;人がリラックスして座っているときに胸式呼吸をしているということが間違っているだけなのです。高強度でワークアウトしているとき、それは息をするための素晴らしい戦略です。 私たちには肋骨呼吸及び横隔膜呼吸があります;どちらか一方が正しいあるいは間違っているということはありません。どちらにもバリエーションがあり、どちらが最適なのかは、その瞬間私たちが何をしているかによります。 呼吸を一つの運動療法として考えてください。私が呼吸について話すとき、それはRDLまたは片脚スクワットについて話していることと何の違いもありません。私の職場では、目に見えている…あるいは見えていない動作パターンを促進するか抑制するかのどちらかの目的で、呼吸は運動療法として使われています。 呼吸は運動を促進します。 運動は呼吸を促進します。 呼吸は安定性を促進します。 安定性は運動を促進します。 それはまさに一つの大きな輪なのです。 息を吸いこむと、肩関節屈曲及び肩甲骨の挙上が起こります。息を吐き出すと、肩甲骨の下制および相対的な腕の伸展が起こります。明らかに伸展状態にはなりませんが、屈曲はより小さくなります。 トレーニングでは時折、昔からの古い“力を入れるときに息を吐く”という考えに至りますが、それはそのような方法である必要はありません。私たちは、可動性あるいは運動を促進するために呼吸を使うことができ、呼吸を促進するために運動を用いることができるのです。何が起こっているかによって、運動を抑制あるいは促進するために呼吸を使うことができます。 呼吸は安定性を促進します。横隔膜を見ると、肋骨上に付着しているのが見えるでしょう。横隔膜は上は第6胸椎から下は第3腰椎まで付着しています;腱中心は横隔膜周辺全域に渡り付着しています。 横隔膜は、呼吸器として、そしてスタビライザーとして機能しなくてはなりません。しかし、それは脊柱に動いてほしくないということではないということを覚えておいてください。もし脊柱が動くように作られていなければ一つの長い骨になっていたでしょう。しかしそうではありません;脊柱は24個の動かせるパーツです。 脊柱は動くように作られています。肝心なのは、それが股関節あるいは肩がすることのできない何かの代償パターンとして動くように作られているのではないということです。股関節を伸展したり肩関節を屈曲したいとき、私は背中を使ってその状態にさせなくてもそれらの動きができるはずなのです。 肋骨の位置と腰椎・腸腰筋・股関節の間の直接的な解剖学的コネクションは、すべて繋がっています。これらを孤立させることはできません。呼吸をしながら、横隔膜が両面テープのようになっていると考えてください。息を吸うと、横隔膜は引き下がり、肺が酸素で膨らみます。息を吐くと、横隔膜は上に上がり、肺に二酸化炭素を放出させます。横隔膜は胸郭に影響を及ぼすだけでなく、腹部にも影響を及ぼします。それは当然ながら胸椎と腰椎に影響を及ぼすでしょう。 疑いもなく、横隔膜は私たちが呼吸トレーニングで行っていることの非常に重要な部分です。 ここで、私たちはこれらの解剖学的コネクションを改めて見てみなくてはなりません。斜角筋は第一および第二肋骨に付着し、もしある人が斜角筋を主な呼吸ツールとしてつかっているならば、上の2つの肋骨の挙上が見られるでしょう。 神経血管束は、動脈と共に腕神経叢から出ています。もしこれらの2つの脊椎が挙上されれば、これは脊椎と鎖骨の間のスペースを減らし、胸郭出口症候群の症状を生むでしょう。 スペースが減り、神経血管束を侵害することがあれば、血液循環の問題や腋下の知覚異常につながります。大抵これら斜角筋は、呼吸によって少々過活動状態になっています。心拍数を上げるとき、これらの筋肉は必要ですが、私たちが何もせず座っている間は必要としないのです。これらの筋肉を呼吸の主働筋として使っている場合、他の問題を引き起こす可能性があります。 横隔膜は肋骨から背中に渡って付着しています。悪い呼吸パターンを見かけるとき、身体はその他のニーズよりも呼吸を優先しています。ある人が安定性を失ったとしましょう。この人が呼吸をするときはいつも、背中が少し動きます。これが奇異呼吸です。 横隔膜は、腱中心から上へ下へと動かなくてはなりません。もしそれが起こらなければ、腱中心は固まり、背中と肋骨が大きく開いてしまいます。そこで私たちは腹筋を背中の筋肉、そして横隔膜と繋げるために、息を吐く動作を使うことができます。予備呼気量を使うことができるのです。腹部周辺の安定性をしっかりと促進し、横隔膜をスタビライザーとして働かせるために、あの心地の悪い呼気を使うことができるのです。 呼気動作は、スタビライザーとして、そして呼吸器としての横隔膜の機能を助けています。しかしもし腹部を固めてしまえば、うまく呼吸ができないでしょう。もし腹筋を発火させれば、横隔膜は動けません。膨らむことができないのです。 腱中心が呼吸運動中に上下運動するものとして通常に機能することができるように、横隔膜の遠位端で緊張を得る方法を見つけ出さなくてはなりません。呼吸運動に伴う安定性―呼吸でその安定性を得なくてはなりません。 酸素供給の自然な活動と呼吸以外の目的のための呼吸運動を区別しなくてはいけません。呼吸は身体の酸素需要次第です。 呼吸は私たちの行動や情動に影響を与え、私たちの活動や情動に影響されます。 呼吸作用は自動的に行われます;呼吸は意識的に行われます。 呼吸は運動を促進します。 運動は呼吸を促進します。 呼吸は安定性を促進します。
ストレングスのためのヨガ パート2/2
アーサナは、私たちがヨガという言葉を聞いて一般的に思いつくものです。レッスンで行う姿勢やポーズのことです。アーサナは、違和感を快適にしてくれます。私たちの呼吸と動きを結びつけてくれます。そして、しなやかな軟部組織をつくり、精神と身体を鍛えてくれます。アーサナをエクササイズ療法として患者に利用することもできます。これらのポーズを、クライアントによっては痛みのコントロールのためにコレクティブエクササイズとして利用したり、パフォーマンスのための動的なウォームアップとして使用したりします。私たちは、すでにトレーニングルームやクリニックで毎日アーサナを使っています。ウォーリア3を見てみてください: 見たことありますね? ウェイトを持たない片脚のルーマニアンデッドリフトです。おそらく、私達は、クライアントの誰かに片脚ルーマニアンデッドリフトを毎日とは言いませんが、週1回は使用していると思います。では、タダーサナはどうでしょうか。 臨床家のみなさん、これまでに立位の適正な姿勢について患者と話し合ったことはありますか? それならば、彼らにタダーサナで指導したことになります。 最後にプラーナーヤーマがあります。すでに私の本を読んだことがある皆さんはご存知かと思いますが、私は治療としてのエクササイズに呼吸を取り入れることに魅了されています。私がヨガの道に入り、呼吸だけに専心する支則があることを発見した時の私の大きな喜びは、皆さんの想像にお任せします。呼吸は、臨床家やパフォーマンスの専門家たちが、ここ数年で興味を持ち始めた分野です。これらは、真新しい概念ではないことを私たちは認識する必要があります。私たちは、これらを現在のクライアントや臨床家の心を上手く捉えられるようにパッケージし直しただけです。 バンダ バンダ(バンドハと書いてバンダと発音)という言葉は、“保持する、筋肉を収縮する、ロックする”という意味です。ヨガには3種類のバンダがあります。一つ目は、ムーラバンダまたは根のロックです。骨盤底を収縮させ肛門周囲筋群を介してエネルギーを引き出すのがムーラバンダです。一般的な理学療法の臨床において患者にケーグルを指導する時はいつもムーラバンダを実施していることになります。あらゆるタイプの腰痛の患者に私たちはケーグルを指導します(または、それらについて話をするべきです)。どのような人に対しても、骨盤底に取り組むことなくコアや腰痛に取り組むことは、困難です。 二つ目のバンダは、ウディアナバンダで、腹部のロックのことです。腹部のドローインのように腹筋を収縮することで腹部を介してエネルギーを引き出します。この概念は時間とともに変化しています。ウディアナバンダもこれまではドローインとして論じられていましたが、この腹筋の使い方は脊椎を安定化させるためは最善の方法ではない可能性がある、と新しい研究結果が示しました。スチュワード・マッギルによる多くの研究の業績によって、アブドミナルブレイシングがより認められる考え方となりました。伝統的な思い込みを進歩させ、それを導くために科学があるのでしょう。これが近代医学の利点です。 最後は、ジャーランダラバンダで顎のロックのことです。上肢の患者に、頚椎の伸展を行ったり頚部の深部屈筋群を活性化したりする際、日常的に指導していることです。ブラディミア・ヤンダ氏が1990年の中頃、これらの概念を論じ、頚部の深部屈筋群が継続的に抑制されていることを示しています。ジャーランダラバンダがこれらの頚部の深部屈筋群を活性化することを、ヤンダが近代の西洋世界において明るみに出しました。 この3つのバンダは、アーサナまたは姿勢を保持する能力に顕著に影響します。私たちは患者に骨盤や腹部、頚椎の安定性を築かせるためにも日々これらを指導します。皆さんは、このようにヨガを指導していても、そうしていることに気づいていなかったのです。 ヨガの種類 ヨガには、様々な理由で使われている、数多くの訓練法があります。“私はヨガが嫌い”と言っている人たちは、本当はヨガのある一つの種類が嫌いなのかもしれません。ヨガのクラスに行って、あまり良い経験ではなかったとしたら、たいていそれは彼らのニーズに合っていないヨガかもしれません。私は、数タイプのヨガを試してみて、その時のその人のニーズにぴったり合うものを試してみるよう患者や臨床家に勧めます。皆さんが最近よく目にするようになってきたヨガは以下の通りです: ビンヤサヨガは、呼吸と動きを結びつけることに集中します。全ての動きには、動きを深めることができたり解放できたりする関連性のある呼吸があります。ひとつの姿勢から次の姿勢へ移るのが比較的速いペースで行われ、フィットネスの分野でよく見られます。 陰ヨガは、瞑想や受け身のものが多く、さまざまなポーズで緊張を解き、腱や筋膜、軟部組織に深いストレッチを施します。姿勢は、だいたい3-20分間保持します。 リストラティブは、さまざまな姿勢を一定の時間保つのを補助するボルスターやストラップ、ブランケットなどの小道具をよく使用します。姿勢を作るのにゆっくりと動き、呼吸と身体のセンタリングに集中します。 ビクラムヨガは、速いペースで90分間動き、筋力や柔軟性を高めます。華氏約105度(摂氏約40.5度)に暖められた部屋で毎回同じ26ポーズを行います。 アシュタンガヨガでは、漸進的な一連の姿勢と呼吸を同調させることにより、内部に激しく熱を生産し、筋や内臓をデトックスするような浄化作用のある汗をたっぷりかきます。順を追って進めていくものなので、受講生には、無理してまでも自分が出来る範囲を超えて行わないように指導します。それぞれのポーズは、次のレベルや次のポーズの準備になります。 アイアンガーヨガは、すべて正確なアライメントと目的のある連続した動きに関するものです。小道具を使うことによって身体の最高のアライメントを達成できるようになります。 あなたは、この業界にどのぐらい長くいますか? これまでに流行っては消えていった流行モノをどのぐらい見てきましたか? 私たちが毎日行っていても時代を超えて残ることがないものはいくつあるでしょうか? ヨガは、 時の試練に耐えてきました。5000年もの間、実践されており、これからもすぐには消えることはないでしょう。
ストレングスのためのヨガ パート1/2
私は、2013年10月から2014年10月まで長期有給休暇をとりました。毎日の単調な仕事から解放され、自分自身どこで何をしたいのかを考えるための休暇でした。多くの継続教育やさまざまな講義に参加しました。 また、私はヨガをたくさん行いました。 ストレングスのためのヨガ この間、私たちの業界の多くの素晴らしい人たちの、いろいろな“ゲットアップ”(床でのムーブメントと移行動作)トレーニングの取り組みを観察しました。それらの多くは、“最新のムーブメント”として賞賛されていました。 私は観察しながら、これらの多くの動作はヨガに根差していると思ったのです。彼らは、ストレングスにもコンディショニングにもヨガを利用していたのです! 私たちがウェイトトレーニングルームや臨床現場で日々利用している、これらの動作の原点についてもっと学びたいと思い、ヨガティーチャートレーニング200時間をやってみることに決めたのです。 ヨガという言葉で、人はそれぞれたくさんの異なるイメージを思い浮かべます。ヨガはエクササイズの単なるひとつのスタイルと思う人もいますし、宗教的な修行と関連づける人もいるでしょう。さらに、ヨガがひとつのリラクゼーションの形と信じている人もいます。 インドの賢者、パタンジャリが、約2,000年前にヨガの実践をヨガ・スートラに編纂したと信じられています。ヨガ・スートラは、現在実践されているほとんどのヨガの哲学的ガイドブックとして提供される195節の声明をまとめたものです。 ヨガに関して、いくつかの定義が存在します。ウェブスター辞典によると、ヨガとは“身体と精神の制御と健康を得るためのエクササイズ方法である”と定義しています。Yoga.com.nzでは、ヨガは“鍛錬を補完するものではあるが宗教ではない。身体と心と精神の成長を調和させるシステムに基づいた古代芸術である。ヨガの実践を継続することで、平和と健康の感覚を学び、環境との一体感を育む”と定義しています。 ヨガは多くに人にとってさまざまな意味を持ちえます。私たちの理学療法士の臨床では、ヨガを実施することにより身体の調整を促し、筋力、柔軟性、バランスの向上や、動きと呼吸の協調性を高めたりするために使用します。 ヨガは約5,000年以上も前にインドで発祥しましたが、アメリカ合衆国に入ってきたのは、ヨガマスターたちが西洋に旅するようになったおおよそ1930年代に入ってからでした。1960年代、ドクターたちは、ストレスの対処法として、しばしばヨガを処方しました。最近では、ヨガはさまざまな理由で利用されています; ヨガの原理によって、患者はストレングスや安定性、バランス、柔軟性、身体制御、心的制御、リラクゼーション、呼吸への意識、瞑想によるストレス管理などが得られるとされています。臨床家や患者は、これら一部または全ての理由からヨガを選択することができます。その経緯は人それぞれで、個人のニーズは各々の状況によってさまざまなかたちで満たされます。 ヨガを取り巻く誤解は、数多くあります。よくある誤った考えは、ヨガがヒンドゥー教に由来するというものです。そのため、ヒンドゥー教を信仰していない人たちは、自身の信念や宗教への干渉を好まず、ヨガに懸念を抱くこともあります。これはまったくの誤解です。実際、ヨガの方がヒンズー教よりも何世紀も前に記録が残されています。実際、多くの宗教が、ヨガの原理を取り入れたとされ、その逆ではないのです。ヨガは宗教ではないので、信経や型にはまった信念、崇拝する偶像があるわけではありません。ヨガを実践している人たちは、内面的にも外面的にも相反することなく、さまざまな異なる宗教や信念体系に従っています。 ヨガはまた、ビーガニズム(絶対菜食主義)やベジタリアニズム(菜食主義)と関連付けられることもあります。ヨガの効果を得るために食事において特別な摂取方法をする必要はありません。肉類を摂取する人たちの多くも、着実にヨガを実践することで多くのメリットを感じています。 ヨガに威迫を感じる人もいます。ヨガを受講している人たちは、まるでシルク・ド・ソレイユから出てきたように見えることもあります。ヨガのインストラクターは、現在は使われていないあまり馴染みのないサンスクリット語(ご存知の通り、ラテン語も同様で、現在は使用されていませんが医学や解剖用語では常に使われています)を使用します。ポーズは難しく、ポーズをとることでおかしな格好になると感じ、ためらう人もいます。 このことを心に留めておきながら次に進みましょう:真のヨガは、このような通説や、心配や不安を払拭してくれます。 また、ヨガを実践するためにスタジオに行く必要はありません。自宅のリビングでパーソナルトレーニングのように誘導してくれる素晴らしいポットキャストや電子書籍、ウェブサイトなどがたくさんあり、自分の周囲の人と自身を比べる必要性がありません。周囲を見渡してみてください。 ヨガの8支則 ヨガは正に8支則によって定義されます:ヨガという言葉を包括的にまとめた8つの異なるセクションで、次のようなものがあります。 ヤマ(禁戒):これは人生で“慎むべき行為”のことです。ヤマは一般的に道徳、倫理、社会的指針で、偽りのない豊かな生活を送るためのヨガを実践する上での基礎となります。 ニヤマ(勧戒):これは人生で“すると良い行為”のことです。ニヤマは、健康な生活のための習慣を自分自身と約束することです。 アーサナ(坐法):これは、ヨガのクラスで行われる典型的な姿勢やポーズのことです。ヨガに興味を持つのがこのようなポーズであることは多いと思います。しかし、これは真のヨガの8分の1にしか過ぎません。 プラーナーヤーマ(呼吸・調気):呼吸を意味します。鍛錬としての呼吸、近年、私たちは呼吸とそれがストレス対処や痛みのマネジメント、運動、可動性、安定性などすべてにどのように関係しているのかを探求しています。ヨガにおいて呼吸はとても大切です。呼吸は、すべての動き、同時にすべての静止において強調されています。 プラティヤーハーラ(制感):感覚の制御や抑止のことです、これを実施することにより、深いリラクゼーションや自己認識、精神的安定の状態を導きます。 ダーラナー(集中):内部の知覚的気づきを養ったり一つのことに集中したりすることです。 ディヤーナ(瞑想):神聖な献身と瞑想。 サマーディ(三昧):神との合一または究極の悟り。 これらの8支則を探求する時、まず外の世界での自分の行動を洗練することから始めます。それから、サマーディ(解放、悟り)に達するまで心の内面に集中します。ヨガの後半の4支則は、いわばヨガの実践を深めようとしている人、ヨガの次のレベルに挑戦しようとしている人のためのものです。また一方、前半の4支則は、1日もヨガを経験したことのない人にもかなりぴったりです。 人生で良い人間であり、社会の一員として貢献したいのであれば、最初の2支則、つまりヤマスとニヤマスは、とても簡単に従えるルールです。ヤマスは、害を及ぼさない人生を生き、誠実な人生を送ることやお互いに盗みを働かない、瞬間的な満足感を得るためにエネルギーの無駄使いをしない、人が持っているものを欲しがらないなどについて説明しています。ニヤマスは、自分自身や周囲環境が清らかであること、すでにあるものや現在の人生のステージに満足すること、自己学習、自己認識、自分より超越した何かに囲まれているということについて説明しています。皆さんがある宗教に従っていても、何の宗教にも従っていなくても、これらのことが良いことで、生きていく上で一般的な規則であることは、たいていの人は同意できると思います。
ファンクショナルトレーニングとは何か?:対談 パート2/2
スー: 後でこれらの問題を抱えることになるからこれはOKではないということを示す、動作の観点から私たちが目を向ける物事とは何でしょうか?人々がこれらのことを明確にすることができないというのは驚くべきことです。誰もそれらについて合意できないのです。それにもかかわらず、高齢者を見るとき、彼らは何を見ていますか?“立ち上がって進む”までの時間、そうでしょう?どれくらい素早く椅子から立ち上がり10ヤード歩けるか?床から立ち上がることができない人々と、彼らの死亡率の間には、大きな相関があります。 最近実家に帰ったとき、母が私に対して苛立ったんですー彼女は75歳なのですが、床に座って犬と遊んでいて、立ち上がらなくてはならなくなったら、彼女はまるで床から立ち上がれなくなるような様子だったのです。彼女はカウチまではっていきました。私は「カウチを触わらずに今すぐ床から立ち上がらなくてはだめよ」と言いました。私は彼女が器具を使うことなく床から立ち上がれることを確かめなくてはならなかったのです。 グレイ: . . . そしてそれとは逆に、私はいくつかの調査をしてきて、世界保健機関が運動に関して唯一合意していることは、人生の初めの21か月と運動経路であるということを発見したんだ。 スー: 運動発達経路ですね。 グレイ: あなたがしゃがんだり立ったりしていようと、あるいは初めて立ち上がろうとしていようと、すべての主な姿勢、そして仰臥位または腹臥位から立位へと動くために不可欠な土台であるパターンは、床から立ち上がろうとしている高齢者、あるいは歩くことを学んでいる子供。どちらにおいても示されている。私たちは立ち上がってこの土台に足を踏み入れ、そして最後の最後まで立ち上がれるたくましい状態でこの世を去る。 中間にある全てのくだらないものーウルトラマラソンや臀部のアクティベーション、背屈のモビリティ、よりよいヒールストライク、ミッドフットランナー、ケトルベルスナッチーそれら全ては発達過程の結果です。そしてそれら全てがなくなったら、あなたには「座ってからまた立ち上がれるか?」ということが残る。 あなたがしているどのような活動も、もしそれがうまくいっているのならいい。しかしこれまで私たちがムーブメントスクリーンについて言った唯一のことは、もしあなたがこのテストに合格することができず、あなたがそれまでやってきていることを“機能”と考えるのであれば、私はあなたの権限を傷つけることのない丁重な方法で、それに対し疑問を投げかけるでしょう。 スー: そしてそれは私が人々に、あなたの名前の後ろにどの文字が付いているか気にしない、どの資格を持っているか気にしない、と伝える理由です…関係ないのです。あなたの標準規格、測定基準、終盤である、試合前である、そしてあなたがそこにどのようにたどり着いたかはどうでもいい。それは、私たちの科学に基づいて私たちが行うことの臨床の技なのです。それがあなたの臨床の技なのです。 グレイ: そしてそれが、私たちが調査すべきもの。そうではなく、人々は、私たちが膝、股関節…その他諸々に対し何をすべきか教えてくれる革新的なものを調査するつもりだと思っている。 スー: そして、私たちは皆まったく同じことをしなくてはならないのか?いいえ、それはうまくいかないでしょう。 グレイ: 調査がしていくことは、私たちがすでに行い成功していることの正当性を立証すること、そしてもし可能であれば、私たちが失敗するときなぜそれらの失敗が起こるのか説明すること。そのため、もし私たちが膝を伸張させるための素晴らしいプロトコルを得たとしたら、調査はなぜ私たちが80/20動作を獲得できたのか証明することができる。それは私たちに膝を伸張させるために何をすべきかを教えてはくれない;それを教えてくれるのは、現場での臨床的革新、そして人々の知識に基づいた推測になるだろう。 そしてそれが臨床的革新。その部分は研究室では見えない。それは現場の第一線で見えているもの。それは早期導入者たちに効果を示した10年後に、研究室で確認され検査されるだろう。 スー: そしてそれが、医学解析及び系統的レビューに反対する博士たちの大きなグループが存在する理由です。なぜなら、それらのことのすべての結果は「より多くの調査が必要である」となっているからです。 私たちが専門性を前進させなくてはならないのはここです。系統的レビューや医学解析は非常に興味深いものですが、それらは一つの結論にまとまらず、もっと調査が必要だという最終結果になる。これらの人々は浮世離れしていて、臨床あるいは現場にいる人たちではありません。 私たちは科学に基づいた臨床技術なのですから、私たちが、この専門職を前進させるためにしていくことは、症例シリーズや症例報告です。もし私たちが臨床技術の正当性を立証し、承認し、高く評価し始めなければ、そして科学がその方程式の最も重要な部分であるようにふるまわなければ、私たちは終わりです。 私たちは、臨床の技を承認し、高く評価し、そして立証しなくてはなりません。 グレイ: 最近の世界ゴルフフィットネスサミットで、私はこれまで私たちがK-vest上で見てきた中で最高レベルの回旋スピードを持つ、前途有望なゴルファーのケーススタディを発表した。彼は痩せていたから、ひょろっとしていたから、速筋タイプで非常に“バスケットボール”向きの運動能力を持つだけでなくゴルフの才能もあったから、審査された後に「私たちはあなたを15パウンド太らせなくてはならない」と言われたんだ。 ストレングスコーチとしてそれを何度も言ってきたけれど、私は決してそういうことを意味していたわけではないんだ。私が本当に意味していたのは、いくらか筋力をつけなくてはならないということ。 スー: 彼にはいくらかの筋力、そしていくらかのパワーが必要ですね。彼に本当に必要なのは15パウンドの体重ではない。 グレイ: 私たちは筋力をつけ、彼は15パウンドの副作用を得る。 スー: まったくもって正しい。それは副作用なんですよね。 グレイ: しかし、もし私がただ15パウンド増やさなくてはならないと考えるならば、私はすでに競技特性によって証明された高精度の回旋マシンである人に対し、勝手に重いリフティングを行うことになってしまう。 さて何が起こったか?その選手は世界中の最高の助言すべてに従い、首を強化し、肩を強化し、股関節を強化し、ゲームを強化し、筋量を増やす一方で回旋スピードを失ってしまった。本質的な欠陥は、私たちが賢い筋肉ではなく頭の悪い肉から始めてしまったこと。賢い筋肉は大きくなる前に強くなる。頭の悪い肉は強くなる前に大きくなってしまう。 スー: 私たちはそれを野球でいつも見ています。彼らに一日複数個のチーズバーガーを食べさせようとしても同じなのかもしれない。 グレイ:「あと15パウンドあったらなあ」と言うことで、私自身その問題の一部となってしまったけれど、それは私が意味していたことではないんだ。もっとデッドリフトが上手だったらなあと思う。もっと動作スクリーンが上手だったらなあ。片脚立ちがもっと上手だったらなあ。もっといい胸郭モビリティを見せられたらなあ。もっとオープンチェーン背屈がうまくできたらなあ。 全部もっと良ければいいのにと思っているのだけれど、私は何と言ったのか? 「この子がもう少しがっしりしていたらいいのになあ。」 動作が左右対称であるとき、動作が可能なとき、動作が表現されたとき、そこで私たちは進歩していると知る。 スー: 重要な点ですね:動作が可能である。私たちの仕事は、生命体があらゆる環境においてタスクを実行するためにできるだけ多くの自由度を与えることです。それがファンクショナルトレーニングです。 もし私たちが、神経系が与えられた環境において必要な動作パターンを選択できるように動作の可能度を向上していないのであれば、私たちはちゃんと仕事をしていなかったということです。 それが私たちの仕事です:神経系が与えられたタスク及び環境で適切な動作パターンを選択することができるように、生命体にできる限り多くの自由度を与えること。 それがファンクショナルトレーニングなのです!
ファンクショナルトレーニングとは何か?:対談 パート1/2
グレイ: スー、私は「Bridging the Gap」の本をとても楽しく読ませてもらい、この本を書くよう駆り立てたものは何だったのか…そしてなぜ今?ということについて、君にいくつか質問するのを楽しみにしてきたんだ。私が本から得た重要な情報の一つは、リー(バートン)と私がシステム(ファンクショナルムーブメントシステム)を使ってやろうとしていることのように、あなたは現実の客観的評価をその人が持つ主観的自信に対して提供し、それらがどれくらい、どの方向に離れているのかを明らかにしようとしているということ。 あなたは脳と身体の繋がり方を過大評価または過小評価しているのか?そしてあなたの最大の動作障害物は何なのか? もし私が第一にやらなくてはならないことが、アスリートの自信対現実比を調整することであれば、Functional Movement SystemsまたはSFMAのルールや規則を引用してそれを行うことはしないでしょう。「つま先を触ることは運動動作ではないーそれは世の中のほとんどの人ができること」だと言います。 スー: それは人間の動作ですからね。 グレイ: そして事実、ある人がそれをできないということは、その他の多くのことは顕著な代償運動や不必要なエネルギー消費なしではできるはずがないことを意味している。つまり、今後人生はあなたにとって同じではなくなっていくということ。多くの人々や多くのトレーニングプログラムがあなたは持っているだろうと仮定している動作パターンが、あなたには得られない。あなたの経験は異なるものになっていくわけです。 フィットネスにおいて基準を定めなくてはならないとき、私たちは「簡単になってきたらすぐそれを難しくしよう」と言って物事を難しくしてきた。そうすれば、アスリートの仕事はそれをより簡単にすることであり、私たちの仕事はそれをより難しくすることになる。 これが真の適応です。 スー: その通りです。どれだけ多くの人々が自分の哲学、あるいは自分の評価基準が何なのかを知らないということは、驚くべきことです。人々は自分のツールを自分の哲学と誤解しているのです。それが、私がBridging the Gapでしたように、人々のために一つの組織的なシステムを開発したかった理由の一つです。 どのようなテクニックを行っても構いません。インディアンクラブ、ケトルベル、あるいはTRXを使おうと。 それらはあなたのツールなのです。あなたの哲学は何ですか?あなたの専門的な評価基準は何でしょうか?あなたはいつも何に戻っていますか? あなたが私をツールのない状態で何もないフィールドに置いても、あるいは私にEXOSが作り出せる最も複雑なジムを与えようとも、関係ありません。私の哲学は変わらないのです。あなたは私に鍼を与えることも、インディアンクラブを与えることもできますーなんでも構いません。 それらは私の哲学を表現するツールであり、そのことは私が変化していくのを見たいと思っている事柄の専門的評価基準に基づいています。変化することが重要であると私が考えているものは何でしょうか?あなたが動作を変えたり、あるいはあなたの生命体を変えるのに、何が重要でしょうか?それを行うために私が手元に置いておくツールはなんでもいいのです。 グレイ: もし私たちがライフスタイルコーチ、栄養士、睡眠/覚醒/ライフスタイル/感情マネジメントの人に話していて、「もしあなたが地球上で最高のライフスタイル・マネジメントコーチだとしたら、あなたを評価するのにどの測定基準を使ってほしいですか?」と聞いたとしよう。もし彼女が自尊心や自尊感情のようないんちきくさいことを言ったら、私たちは、うーん、あなたはそれを測定できるかもしれないよね、と思うでしょう。 これは体組成ではない。私は人々にエクササイズしなさいと伝えたり、あるいはするなと伝えるつもりはない。私は彼らのライフスタイルをコントロールしていく。彼らのレム周期をコントロールし、彼らにいくつかの呼吸の情報を与えるー私はただ日常生活をより簡単にするためにいくつかのことをしようとしているだけ。 私たちがエクササイズと呼ばないような活動も盛り込むかもしれないけれど、私の言うことを10週間行った最後に、もしあなたが体組成に期待しているとしたら、私たちがシステムを協調させられたかどうかを知るために見るのにはとても良いものになるだろう。 それでは、もし栄養士あるいはライフスタイルコーチが体組成のためにそれができるとしたら、ムーブメントコーチがあなたに鏡に向かってやってくださいというテストは何だろうか? 私にとっては、それはオーバーヘッド・ディープスクワットのようなものだと思う。そしてもしそれがあまりうまくいかなかった場合には、その半分ほどで行うだろう。それからインラインランジ。そしてそれがうまくいかなければ、片足で立ってぐらつかないようにさせるかもしれない。そしてそれがあまりうまくいかなかったら、プランクを見たいと思う。もしそれがうまくいかなかったら、相互的クローリングをしているのを見せてほしい。 もしそれがうまくいかなかったら、あなたの上半身に硬さがあるかどうか見て、それがうまくいかなかったら、下半身に硬さがあるか見たいと思う。そしてもしあなたの股関節と骨盤が制限されていたら、まずそれを修正することなく、あなたに何も問題ないとは仮定しないでしょう。 ディープスクワットでしゃがんだりレッグレイズで脚を上げることから始まる、まさにそれが動作トレーニングなのです。 フィットネス環境において、もしあなたが痛みを持っていなければ、私はあなたの骨盤を安定させ、動く土台を与えるでしょう。何か医学的に問題があるとは仮定していないけれど、SFMAではまず首と肩をチェックする…もし何か問題があれば、何も正しく働くことはできないから。 FMSはボトムアップアプローチでSFMAはトップダウンアプローチである、と人々はかなり固着しているけれど、医学的に、トップダウンは安全な手段です。そしてもしあなたが痛みを持っていないのであれば、ボトムアップが安全な手段です。 スー: それはこれまで私が聞いてきたあなたのファンクショナルムーブメントスクリーンの説明の中でも、最高の説明の一つですね。 グレイ: まさに薬局にある血圧計カフのような、生涯に渡って使う一つのツールなんだ。 動作スクリーンは成功を予測しない;それは単純に、失敗が起こる準備中であることを展示している。FMSの‘F’は、あなたができることなら避けたいと望む当然の結果と非常に関連している。 スー: そうですね。私は教授であり、いまだATでもあります…私はアスレティックトレーニング博士課程の中で、コレクティブアセスメントとコレクティブムーブメントコースを教えています。私たちのアセスメントコースでは、第一週にあなたはどのように評価するか、あなたのファンクショナルムーブメントの定義は何か?またそれがあなたに何を意味するか?について議論します。 そしてその質問が人々にとっていかに難しいものかというのは、私にとって非常に驚くべきことなのです。私は常にこれを心臓の健康のように関連付けています;私たちは血圧を見て、心拍を見ます。血圧がとても高い場合、それは心臓に問題があるという測定基準です。 それでは、健康の観点から高すぎる血圧が示すものは何でしょうか?心拍が高すぎる。コレステロールが高すぎる。これらのことは全てOKなことではなく、私たちは今介入しなくてはなりません。なぜなら、もし私たちが介入しなければ、あなたはのちに心循環系の問題を抱えることになるからです。
頭、首、肩、および胴部における問題 パート2/2
首と肩の機能(続き) 首の近くで目立っている筋肉は、全体的な動きに関わります。胸鎖乳突筋、僧帽筋…全て馴染みのある大きな筋肉ばかりです。 ここは、緊張に関して大きく関わるエリアです。人々は「緊張型頭痛がある」、「ここがただ硬く感じる」などと言うでしょう。私たちはフォームローラーを使い、マッサージスティックを使い、トリガーポイントを使ってアプローチしますーそこにはただ緊張があるのです。どれだけストレッチをしても、どれだけマッサージをしても、その緊張はなくなりません。または、30分くらい気持ち良くなり、その緊張がいつも戻ってくるように感じます。 緊張は、動きに対する誤った解釈にすぎません。緊張は、身体が動くと感じ始めたけれど、動きが起こらなかった時に作り出されますーこれが緊張なのです。 立ち上がることを考えてみてください。何をしますか?足を自分の身体の下に位置します;少しの緊張を作り出し始めますが、椅子から身体を持ち上げません。これが緊張です;これと同じことが首や肩で起きているのです。私達は、緊張を生み出したのです;身体が、安定性のないエリアに安定性を作り出そうとしているのです。 これが身体の素晴らしさです。身体は、どのように事を成し遂げるのかを見出します。だからこそ素晴らしいアスリートは素晴らしいアスリートなのです。彼らは代償動作に優れています;彼らは、どうすれば何かができるのかを見つけるのです。身体がそうするのと同じように。 消化管について考えると - 私たちは、口から食道、胃、腸...その先の大腸、直腸にかけて一つの長い管を持っています。どこか一つの部分に緊張がない場合、遠位の可動性のために近位の安定性が必要なため、その反対側に緊張が生み出されます。 神経学的に損なわれていなければ、近位の安定性を持つために、遠位の可動性を持つことが必要なのです。 あなたのクライアントのうち、優れた腰椎の安定性を有していない人はどのくらいいるでしょうか?たくさんいますよね。もし腰椎に安定性がなければ、その上か下で安定性を作り出そうとします。歩くためには安定したポイントが必要で、それが今度は肩になるのですー肩を使って安定させて、歩けるようにするのです。馬鹿げていますが、こういうことが起こるのです。身体は緊張を作り出そうとします。 そのため、首や肩の軟部組織への働きかけ、トリガーポイントや他の治療を行うことが必要なだけではなく、胴部の安定性に対する働きかけが必要なのです。 ピラー(柱)の強さは非常に大切です。私たちは胴部に適切な安定性を有していなければなりません。もし胴部に適切な安定性がなければ、身体のあちこちに問題が起こります。そしてそれは、真ん中、コアに戻ってきます。頚椎のエリアに対する可動性と軟部組織へのアプローチに加えて、胴部の安定性から始めましょう。 何よりもまず先に、呼吸の方法を教えましょう。 姿勢のアライメント 理想的な姿勢のアライメントを見る時は、全体のその全てが綺麗に整列された状態を考えます ...肩、股関節、膝、足首...伸筋群と屈筋群、外転筋群と内転筋群、外旋筋群と内旋筋群の良好な同時活性化があるように。 しかし、人が頭を前に突き出すと、休んではいても安定していた全ての筋肉が、突然パニックモードになります:「頭が落ちる!発火だ!落とすな!発火しろ!発火しろ!頭が落ちるぞ!」 この感覚を改善するために、私たちはマッサージスティックに期待します。ダメです!身体は、頭が落ちるのを恐れているのです。だからこそこのような緊張が見られるのです。これらの緊張を軟部組織への働きかけによって取り除くことはしません。自然なアライメントを取り戻すことに取り組まなければなりません。 自然なアライメントは、すべてが共同して働いている時に達成されます。 直立姿勢の理想のアライメント 屈筋筋と伸展筋の共活性 内転筋と外転筋の共活性 内旋筋と外旋筋の共活性 これは、人それぞれに少しずつ異なったものです。屈曲の最終範囲があり、伸展の最終範囲があり...その真ん中のどこかにニュートラルな脊柱の位置があります;ニュートラルな脊柱とは、ただそういうものですー中間のどこか。 パベル・コーラーは、発達運動学の中で「古いシステム」について話しています。全てのものは、私たちを古いシステムへと連れ戻します。赤ちゃんが生まれる時は、丸まった状態で出てきます。これが古いシステムー屈曲方向に丸まっている状態です。それから、赤ちゃんはその環境で物を見たり、聞いたりするにつれ、伸展し、平らになっていきます。物を見たり、物に近づいたりしようとして、倒れたり、転がったりします。これが、赤ちゃんが伸筋群を発達させる仕組みです。 生まれてきたときは、大きな一つのボールです:大きな脊柱後弯状態です。私たちの背中の中部に見られる後弯は、一次弯曲です。仙骨の後弯は、一次弯曲です。首と腰椎の前弯は、二次弯曲です;これらのカーブは二次的に発達するものです。 最初に起こることは、ボールの状態一次弯曲で出てくることです。前弯は、伸筋群を活性し始めたあとで発達しますー前弯は二次です。 身体の中でバランスが乱されると、「古いシステム」が台頭します。これは、怪我や、中枢神経の機能不全、疲労、また恐怖からでさえ起こります。私たちに係る全てのことは、古いシステムへと私たちを連れ戻します:それが私たちにプログラムされていることです。 痛みがあるとき... 疲れているとき... 脳卒中を患ったら... 脳性麻痺があるなら... 恐れていたら... 全てが、私たちを一次的なシステム、その古いシステムに戻すのです。全てが、屈曲、内転、内旋へと連れ戻します。 それが神経的なものであれ、整形外科的なものであれ、感情的なものであれ、また、疲労やエネルギーレベルであれ、全てが、屈曲、内転、内旋という古いシステムに、私たちを連れ戻します。 これが、私たちのワークアウトまたはリハビリテーションのとても多くが、新しいシステムに注目している理由です。根源的に、私たちが本能的に屈曲、内転、内旋に戻ろうとするため、伸筋群、外旋筋群、外転筋群の再プログラムをする方法を考えます。プログラム作成は、本能的にやりたいことと反対のことに着目する必要があります。 ここで再度、胴部までつながる消化管について見ていきましょう。消化管が下部の領域で緩んでいたら、安定性のために、それよりも高い位置に緊張を作り出します。身体は、構造的につながっているのです。 これは、ブルーガーが、「歯車」について議論しているときに話していることです。関節のセントレーションが重要なのです。もしあなたが、頚椎のエリアに緊張や痛みを抱えているクライアントを抱えているとして、脊柱の強化やコアのトレーニングをすることにより、姿勢に関して何も働きかけなければ、痛みはもちろん続くでしょう。時には、骨盤や腰椎で起きていることを正すだけで、首の緊張や痛みを大幅に取り除くことができます。全てが連携して働いているのです。 私の考えは、私の戦略になります。私の戦略は、習慣になります。 あなたの習慣は、あなたの姿勢になっていきます。あなたの姿勢は、構造になります。それを十分に長い間続ければ、その状態で骨化していきます。もしも構造的な障害となる状況に達したら、それを変えることは非常に難しくなります。 あなたが、地面に対してほぼ平行な状態まで曲がっている高齢者に対応しているのであれば、その時点であなたが彼らにできることはありません。できることは何もないのです。私たちは、そもそもそれが起こらないように予防しなければならないのです。 肝心なのは、人々が自然にやりたいことと反対のことを教えることです。私たちは、胸椎の可動性、特に伸展と回旋を取り戻したいのです。なぜなら、これらは新しいシステムの部分だからです。 グレイ・クックやマイケル・ボイルが「ジョイントバイジョイントアプローチ」の中で話しているように、包括的なプログラムには、腰椎の安定性と股関節の可動性への働きかけが必要です。私たちが皆求めている包括的なプログラムに達するために、股関節の可動性、腰椎の安定性、胸椎の可動性が欲しいのです。
頭、首、肩、および胴部における問題 パート1/2
あなたのクライアントは、緊張性頭痛や後頭下の頭痛を訴えますか? 個人的に、あなたは頭痛持ちですか? 問題につながる可能性があるエリアの構造を見てみましょう。私たちは、首の上部に非常に多くの筋肉を有しており、これは問題になり得ます。単純に「これは首の痛み」と考えることはできません、なぜなら痛みは、どこからでも起こり得るからです。ここは複雑なエリアであり、とても多くの筋肉が付着しています。また、肩の機能や、頚椎の機能、胸椎、そして肋骨の機能 - 全体像も見なくてはなりません。 あなたのクライアントのうち何人が頚椎のエリアに痛みを抱えていますか?ここは、感情的なストレスであれ、仕事、お金、家族、その他生活におけるストレスであれ、人が緊張を抱える場所です。多くの人がこの領域に問題を抱え、それは多くの異なることから引き起こされます。 頚椎は、可動性を持つようにできていますが、同時に安定性の要素も持ち合わせています。また、T4までは回旋も必要です。それから胸椎があり、ここは、椎骨や、椎間板または関節に問題を抱える可能性のある場所です。胸椎は、肋骨に付着しており、肋骨には、私たちが上手に呼吸をして、適切な姿勢を保つための可動性が必要です 機能的重要性という点から、頚椎の下部には可能性が必要ですが、胸椎の上部には剛性が必要です。第2、第3、第4肋骨は、最適な肩の可動性を保つために堅くなっています。 頚胸椎接合部の上には、肩甲骨が乗っています。このエリアでの肩甲骨の唯一の骨の繋がりは、肩鎖関節ですが、肩甲骨から頚胸椎接合部までには、非常に沢山の筋肉の繋がりがあります。 横隔膜は、呼吸器および安定器の両方として使われます。身体は常に、安定性よりも呼吸を選択しますが、横隔膜は、実は両方の能力を発揮する必要があります。これは腰椎でも同じです - 横隔膜は、L3まで繋がっています。腰椎は、胸椎と繋がっています;私たちは、次から次へと繋がっている一つの大きな歯車を見ているのです。 脊椎の解剖学と機能 頚椎の解剖学を分解すると、そこでは多くの様々なことが起こっています。腰椎前弯が腰部に存在するべきなのと同様に、頚部には頚椎前弯が存在するべきです。私たちは、「平らな背中」を持つようにはできていません。脊椎には力を分散することを助けるカーブがあるべきなのです。 スリンキー(バネ状の玩具)を地面に投げつけることを思い描いてください。スリンキーは力を吸収します。脊椎でも同じです。私たちが歩く時、脊椎は力を少し吸収し、分散させます。 全て繋がっているのです。頭が前方に突出していると、首の筋肉に多くの圧力がかかります。もし頭の位置がはるかに後ろだと、腰部に多くのストレスをかけ始めます。各個人の脊柱のニュートラルな状態は、少しずつ違っていますが、カーブはそこにあるべきです。 首の椎間板は小さく、胸椎の椎間板はそれより少し大きいですが、腰椎の椎間板ほどの厚みはありません。たくさんの重量を受け、支えなければならない非常に大きな腰椎の椎体と比べると、頚椎においては、椎体は非常に小さくなっています。 これらの椎間関節は水平面において、より多く動きます。それから下の部分を見ていくと、矢状面や前額面での動きが増えていきます。 回旋は水平面に属しています。胸椎では、より前額面での、左右の動きが出始めます。そして腰椎の下部では、矢状面に入っていき、屈曲と伸展が見られます。腰椎回旋はあまり沢山起きて欲しくありません。もしこれらの関節で回旋をしようとすると、腰椎はそれぞれぶつかり合い、いくらかの変性を引き起こすことになります。一方で頚椎では、多くの回旋があります;解剖学的こういった動きをするようできているのです。椎骨が頚部の動きに対し、どのような構造をしているかを下記のイメージから見ることができます。 胸椎は、側屈にも非常に適していますが、肋骨が邪魔をします。肋骨があるため、胸椎の側屈の度合いは制限されています。解剖学と構造が、機能にどのように影響を与えるかについて考えなければいけないことが分かるでしょう。 腰椎は5つあり、それぞれ2°の回旋ができます。それは、およそ10°の回旋が腰椎にはあるということです。腰椎には、回旋はいらないというわけではなく、少しの回旋は起こるのですが、過剰に起こしたくはありません。腰椎は回旋をするために構築されてはいないのです。 胸椎では、2°よりも少し大きい回旋ができますが、胸椎は12個あり、そのため、胸椎には24°の回旋があります。股関節では、教科書の観点から、45°の外旋と内旋があり、すなわち股関節は、90°の回旋を有しています。腰椎では10°、胸椎では24° - 腰椎の2倍、股関節では腰椎の9倍の量の回旋ができるのです。 全体の身体の動きの中で、最も回旋が欲しい部分はどこでしょうか?股関節がまず第一で、胸椎が2番目です。腰椎は、最も回旋を起こしたくない場所です。この解剖学が機能にどのように影響を与え得るかに注意を払い、この知識をエクササイズの選択に使いましょう。 首と肩の機能 肩について考える時、背中の中部では何が起こっているでしょうか?首では何が起こっているでしょうか?相対的に、頚椎の下部には可動性が必要で、胸椎の上部にはいくらかの剛性が必要です。 「遠位の可動性のためには近位の安定性が必要」というフレーズを聞いたことがあるでしょう。遠位の部位を動かすためには、安定した胴部が必要です。肩甲骨は、肩鎖関節を除けば、筋肉によってしか身体に付着していますせん。 適切な肩と腕の機能を保つためには、本当に良い肩甲骨のコントロールと筋肉のコントロールが必要です。上背部は、これらの筋肉が付着して引くことができるように、ある程度の剛性を有している必要があります。 首を見ていくと、鎖骨の両側に少なくとも10の筋肉があるので、少なくとも20の筋肉があります。これは一つのエリアとしては、非常に数多い筋肉です。頭の基底部、ただ頭の基底部と第一椎骨の間に、10の筋肉があります。筋肉やこれら全ての小さな靭帯には、非常に沢山の固有受容器があるため、これはとても大切です。固有受容器は、空間の中で身体がどこにあるかを私たちに教えてくれるものです。固有受容器の数を一番多く有しているのが、頭と首、腰部、そして足なのです。 あなたのクライアントのうち、首や腰部、足の機能不全を抱えている人は何人いますか?おそらく、あなたのところに来る人全てではないでしょうか。まず最初に、自分が空間の中でどこにいるのかを認識せずに歩いています。そうして縁石からステップして降りる時に足首を捻挫します。自分がその空間でどこに位置しているかがわからないから、ドアにぶつかるかもしれません。私たちはこれを修正することができる必要があります。これらの固有受容器を活性し、働かせることを助ける必要があります。基本的に、それが彼らが最初に学び、やるべきことなのです。 多くの小さい筋肉は、関節の非常に近くにあります。これは、これらの筋肉を活性させるのに大きな動きは必要ないということを意味します。実際、必要なのは小さく、細かい動きです。 可動性に働きかけるべき時と場所があります。安定性に働きかけるべき時と場所があります。あなたがアスリートのパワーに働きかける必要があるのなら、これはあなたが行うべきことではないかもしれません。 しかし、もしあなたのクライアントやアスリートが痛みを訴えてきたなら、痛みのある状態では、動きは決して通常の状態ではありません。残念なことに、人々は痛みを抱えてあなたの施設に来ています。あなたはそれに対処しなければなりません。時には、ワークアウトの最初のちょっとした先制的アプローチや少しの固有受容器への働きかけが、成功への土台となることがあります。
肩の健康:解剖学及び傷害の概要 パート2/2
肩関節安定性 肩関節の安定筋群は、バーベルがぐらつかないようにするためにデザインされているのではありません。それはより、バランス・運動感覚・固有受容器の機能のためなのです。 安定筋群は関節をまとめるのを手助けする筋肉です。再度述べることになりますが、肩甲上腕関節は身体で最も可動性のある、最も不安定な関節です。球関節の構造はあなたが思い描くかもしれないものとは異なりますす;それは、ティーの上に乗っているゴルフボールのようなものなのです。肩関節の結合組織は、周辺の筋肉からの助けを借りて安定性を得ているのです。 ベンチプレスをしているとき、ローテーターカフの筋肉は、まるでゴルフボールをティーに乗せた状態でキープするように、関節をまとめようと必死に頑張って働かなくてはなりません…強要されている間中ずっと。 肩の問題の大きな要因 棘上筋はしばしば、何らかの形で肩の機能が働かないときに犠牲になります。しかしながら、棘上筋のエクササイズをただやるだけでは意味がなく、損傷部位を悪化させる可能性もあります。肩の問題の要因は、次のいずれかの組み合わせによるものでしょう: 硬い手首 硬い胸筋 硬い広背筋 硬い僧帽筋 過度の胸椎後弯 弱い僧帽筋下部 硬い菱形筋 弱い前鋸筋 弱い外旋筋群 硬い肩甲下筋 硬い斜角筋 …あるいは、単に関節をインピンジメントされるポジションに動かしてしまうエクササイズをしているのでしょう。たとえば、アップライト・ロウは基本的にトップポジションで、腱を刻み擦り切っています。バランスの崩れた肩はやがて不健康な肩になり、あなたをあらゆるスポーツや活動から遠ざけてしまうでしょう。 硬さを軽減する バランスの崩れの問題全体において、胸筋をストレッチすることは答えのまる半分です。硬い胸筋は、上背部の筋肉を強化する努力を台無しにしてしまうでしょう。 上背部をフォームロールすることは、胸椎をゆるめるのに役立つと思います。 脊柱上部を伸展させる筋肉を発達させることも役立つでしょう。十分な量のオーバーヘッドエクササイズを行い、水平面でのロウイングに一生懸命取り組みましょう。すべての種類のロウイングが役に立つというわけではありません;広背筋エクササイズとしてではなく、背部全体のエクササイズとして行えるものが良いでしょう。これはロウイングでチーティングすることを意味しているのではなく、まったくその逆です。最良なのは、恐らくストリクト・バーベルロウ(オリンピックコーチのグレン・ペンドレー氏になぞって時々ペンドレースタイル・ロウと呼ばれる)でしょう。 もしあなたが腕を挙上させるときに、前鋸筋を収縮させ肩甲骨を前方に動かしてあげて、腱にいくらかのスペースを作らなければ、オーバーヘッドポジションは関節に対して本当に酷なものとなります。もし胸椎の伸展不足によって猫背になっているのならば、これは良くありませんね。これらすべてがどのように一緒に働くのかわかりますよね? 運動の連鎖 理学療法士が肩甲上腕リズムと呼ぶ肩甲骨と腕の協調された動きは、健康な肩の機能の重要な一部です。肩甲上腕リズムは、関節のスペースが可動域のある地点で失われてしまわないようにします;つまり、これがインピンジメントを防ぐのです。 何の症状や問題もない天性のアスリートにおいて、これは考えることなくただ起こることです。もしけがやバランスの崩れがそのパターンを乱してしまったら、あるいはそのパターンを取り消す運動に励んだとしたら、それを元の状態にするためには再学習が必要です。 特にあなたがたくさんベンチプレスをし、オーバーヘッドエクササイズをあまりやらなければ、あるいは腕立て伏せか一般的な運動、またはこのパターンを存続させる肉体労働さえもしなければ、ベンチプレスはこのパターンを本当に失わせてしまうものの一つです。 ベンチプレスでは、肩甲骨はベンチに対して押しつぶされ、あなたが何をしようとあまり動きはしません。もし肩甲骨を固定すれば、ベンチプレスがもっとできますが、そこにある考えはあなたの肩を健康にするためではなく、ベンチプレスをもっとするためなのです。 ご覧の通り、ベンチプレスはわたしたちがいかにパワフルなエクササイズをやりすぎてしまうかという一つの例であり、時間の経過に伴って、それはわたしたちの動き方に組織的な問題をもたらします。ベンチプレスをするときに固定された肩甲骨のイメージを打ち砕くのは大変です。 教訓はシンプルです:ベンチプレスを制限しましょう。せめてベンチプレスを減らし、水平ロウ(基本的にベンチプレスと逆の動き)やオーバーヘッド・プレスを行いましょう。 肩のインピンジメント 肩峰の種類 もしあなたが両側に長く続く問題を抱えているならば、肩関節の骨である肩峰がより鋭利な形状をしている可能性が非常に高いでしょう。もしこれが事実ならば、それがインピンジメントのこすれる痛みを起こしやすくしているのです。わたしたちは皆いくらかのインピンジメントを抱えていますが、より鋭い肩峰を持つ人たちは、痛みまたはその肩峰による損傷を抱える傾向がより高くなり、このような人々はインピンジメントを引き起こすエクササイズを避けるよう注意すべきです。 タイプ1は最も肩峰が開いている種類です;タイプ2はわずかに閉じているもの;タイプ3はもっとも閉じているもので、理学療法士たちが「くちばし状」と呼ぶものです。くちばし状の肩峰は、関節のスペースが損なわれるときに、骨のとがった部分がノコギリのようにローテーターカフの腱を傷めつけるので問題です。これは誰にとっても起こりうる問題なのですが、骨が平均よりも長かったり、とがっている場合はより深刻な問題となります。 インピンジメント もしあるエクササイズで毎回肩の同じところがポキッと音を立てているならば、それは大抵インピンジメントですー結合組織が誤った方法で摩擦し、骨の突起または結合組織のその他の擦過傷の上を滑っています。腱は骨の上を滑りながらぴんと引っ張られ、それが骨の角や縁の上を通る際に嫌な音を立てるのです。擦過傷は腱で悪化し、徐々にけがを引き起こします。 このままエクササイズをし続けるというのは良いことではありません。もし痛むのであれば、中断しましょう。もしクリック音を立てるのであれば、やめてください。医療専門家に肩を診てもらいましょう。理学療法だけでインピンジメントを解消できる可能性は十分にあります。もしあなたが軟部組織を損傷する前にそうすることができれば、それに越したことはありません。 内旋筋群が硬い、あるいは外旋筋群が弱いとき、肩はインピンジメントを起こす位置に引っ張られてしまいます。内旋筋群とは、胸筋、広背筋、そして肩甲下筋です―これらは大抵ストレッチが必要です。一般的に強化が必要である外旋筋群には、棘下筋、小円筋、そして棘上筋があたります。多くの場合、胸骨に向かってのロウイングに一生懸命取り組むだけで、インピンジメントを和らげることができるでしょう。とりあえずロウイングに一生懸命取り組んでみることをおすすめします。 関節を広げ、骨を腱から離してくれるいくつかのこととは: 胸筋、広背筋、そして僧帽筋をストレッチすること 外旋筋群、僧帽筋下部、そして前鋸筋を強化すること 胸椎の可動性を出すこと インピンジメントを引き起こすもう一つの厄介な問題は、腕と正しく協調して動いていない肩甲骨です。前鋸筋と僧帽筋下部を鍛えることは、健康的な動作の基盤を提供しますが、わたしたちは正しい方法で動くことを学ぶ必要もあり、もし悪い習慣が染みついていたらそれはなかなか難しいかもしれません。インピンジメントは、動作中に骨が正しい位置から外れるときに起こります。それがインピンジメントというもので、骨の間に軟部組織が挟まってしまうのです。もし骨がうまく動いていたら、それらが軟部組織を挟むことはないでしょう。 棘上筋は骨の間の小さい隙間を通っています。もしあなたが肩の弱さや硬さ、あるいはバランスの悪さを抱えているならば、骨は棘上筋を傷める位置に引っ張られてしまいます。それがインピンジメントです。 胸椎の可動性がないときーそれが硬いときや伸展できないときー肩はまたしても悪い位置に引っ張られてしまいます。上背部には胸椎を伸展させる深部筋群があります。フォームローラーでローリングすることは、その部分を動くようにさせるための良い一歩です。 インピンジメントは、動作中に骨が正しい位置から外れてしまうときに起こります。多くの場合、軟部組織の損傷は、ローテーターカフ筋群の起始部の腱の損傷です。 インピンジメントを避けるために多くの人々がやるべきことは: 弱い部分を強化する 硬い部分をストレッチする 腕の動かし方を再習得する そして危険なことを避ける。 しかしながら、硬いと感じるものが硬化ではないかもしれず、それをストレッチすることが新たにより大きな問題を引き起こすこともあるため、医療の専門家からの指導を得ることは重要です。 肩をけがしているとき 肩のけがは、トップダウン(身体上部からの連鎖)で運動に影響を与えます。肩のけががあるときは、歩行またはランニングを含め、どの身体運動も通常通りではありません。 たとえあなたが強いとしても、あなたが肩をけがする方法はたくさんあるのです…特にあなたが強ければなおさらかもしれません。 強く安定した肩の発達には、ローテーターカフの4つの筋肉以上のものが必要です。肩をけがしたからといって、ローテーターカフが弱いと単純に結論付けることはできません。いくらかのローテーターカフの問題は避けられないものかもしれませんが、多くのこと、あるいはもしかしたらほとんどのことは予防することができるでしょう。もし肩の機能を修正しインピンジメントを解消することができれば、あなたは非常に多くの問題から自身を守ることができます。 肩の痛みを持ち、手術を必要とするのはほんのわずかな人々であり、多くの人達は良い治療計画ですぐに効果が現れます。大事なことを最初に ー痛みを悪化させることは何もしないように!痛むならやらない、のです。 次に大事なことは、専門家に診てもらうこと。アスレティックトレーナー、理学療法士、医師、またはカイロプラクターは、まず診てもらうのにふさわしい人たちです。 アスリートを治療する良いカイロプラクターや理学療法士の間での総意は、よくある肩の問題に対し保存療法はとても効果が見られるということです。そしてこれらの治療家の何人かは、非常に基本的な休息、ストレッチ、そして筋力強化による治療でそのような結果を得ています。
肩の健康:解剖学及び傷害の概要 パート1/2
肩とは 肩の健康についてのどのような考察も、まず肩が非常に複雑な関節であることを認識する必要があります。そのデザインにより、肩は身体の中で最も可動性のある最も不安定な関節になっており、とても小さな変化でその力学的機能は変わってしまい、問題を引き起こすこともあります。 関節を安定させ支える筋肉は、主にローテーターカフ、そして肩甲骨安定筋群、菱形筋、僧帽筋、そして前鋸筋でありー一般的に肩甲帯と呼ばれるものです。胸骨と接する鎖骨、肩甲上腕関節(肩の球関節)、そして肩甲骨によって、まさにヨーク(くびき)のようになっています。 ローテーターカフ ジムでトレーニングする人達の大部分に向けた肩の健康に関するイントロは、チューブを使ったローテーターカフの内旋及び外旋エクササイズを行うための指示で構成されています。ローテーターカフを強化することは大抵良いアイデアなのですが、だからと言ってそれが理想的な肩のメカニクスを保証しているわけではありません。弱いローテーターカフで適切な肩のメカニクスは得られませんーローテーターカフの働きは必要なのですが、それだけで十分ではないのです。 よくローテーターカフが腱としてみなされるのを目にするでしょうが、ある問題の根本的な原因としてローテーターカフの筋肉を除外してはいけません。事実、骨が腱を擦り減らして生じる損傷のほとんどは、もともと筋肉の問題によるものなのです。 ローテーターカフの構造がどのように負傷するのか ローテーターカフの筋群は2つの理由で痛めつけられます。まず、それらが大きな仕事を持つ小さな筋肉であるということ。そして二つ目は、もし肩が適切に機能していなければ、それらの筋肉は関節に文字通り削られてしまうような位置にあるということです。この研削がインピンジメントと呼ばれます。もしある動きの中で、特定の位置に達するといつもコツンという音やポキッという音が聞こえるのであれば、それはインピンジメントかもしれず、対処するのが賢明です。時間がたつにつれ、小さな摩滅が大きな問題を引き起こしうるのです。 強いローテーターカフは、かかる負担によってけがをすることなく自分たちの仕事をより良く行うことができ、肩が適切に動き続ける手助けをしてくれるでしょう。しかし強い外旋筋群だけでは、健康な肩の動きは保証されません。 もしあなたの胸筋が柔軟でなければ、あなたは問題を抱えることになるでしょう。そして肩甲骨をコントロールする筋肉ーつまり菱形筋、僧帽筋中部及び下部、そして前鋸筋は、十分に強くなければなりません。 たとえすべてが強く、十分に柔軟性を持っていても、協調する運動パターンがうまく順序だっていなければ、あなたはなお問題を抱えるかもしれません。このことを考慮してください:もしローテーターカフをけがしたら、強化をするのは待つ必要があります。医師の診察を受け、手術の必要な断裂がないことを確認しましょう。もし受動的運動が必要であれば、理学療法士のところへ送られるかもしれません。 どのようにローテーターカフを強化するか ローテーターカフについて、理学療法における最新の思考には、良い機能を取り戻すためにいくつかのステップがあります。第一に個々の筋肉の治癒、筋力と可動域の回復、そしてそれらを神経学的にうまく発火させることです。それを行うのが、それらのチューブによるアイソレーション・エクササイズです(わたしたちが理学療法から拝借したエクササイズですね)。 次のステップは、これらの筋肉が全身と協調して働けるようにする運動パターンを再習得することです。コンパウンド・エクササイズ(複合エクササイズ)が良く、安定性に付加的要求をするエクササイズは大いに役立つかもしれません。 突き詰めていくと、多くの人々は、安定筋群の十分な筋力を維持するために直接的な運動をしなくてはならないでしょう。一例をあげると、もしあなたが肘を外側に張り出すロウイングをしていなければ、あなたはローテーターカフをあまりターゲットにしていないかもしれません。たとえしているとしても、大きな主働筋群が安定筋群を上回って、結局それらが分担した以上の働きをしてしまい、ローテーターカフは使われないままになる可能性が非常に高いでしょう。ロウイングによって、ローテーターカフの4つの筋肉すべてが肩を十分に支えられるほど鍛えられるという確率は低いのです。 とるべき方法は2つあります:一つは、ローテーターカフの筋力を定期的にテストし、十分な筋力と可動域が様々なポジションすべてに備わっているかを確認することです。そして、必要に応じて弱点を克服するエクササイズをしましょう。もう一つは、ただいくつかのローテーターカフのエクササイズを行うことです。一週間におよそ10分間程度ですから、それをちょっとずつやるというのは十分簡単ですね。 ローテーターカフの筋力は、通常直接的なローテーターカフ・エクササイズでどれだけの重さを使えるかを見てテストされます。理想的には、他との関連を無視して数字を見るよりもむしろ、統合的な上半身エクササイズの筋力と比較しましょう。 ローテーターカフの外旋エクササイズは、健康な肩を守るためのごく一部にしかすぎません。それらは、ジム仲間が毎トレーニングセッション前にチューブをつかんでウォーミングアップするという、あなたが期待するような万能の策ではないのです。 基本的な肩の健康 関節の可動性と安定性の観点から肩を見るとき、肩甲骨には安定性が必要な一方で肩甲上腕関節は可動性を要するため、私たちは肩甲帯の考えを分けなくてはなりません。 主要な部分に硬さがあるとき、肩はあなたの手、腕、そして胸郭に適切な動きを提供するために安定性を諦めます。肩の安定性なしでは、けがへと一直線です。あなたが肩関節から離れた身体の部位の柔軟性を得るまでは、健全で強くなるためのあなたの努力は、ある程度までしか効果がないでしょう。基本的な肩の機能を確実なものにするために、最低でも適切な柔軟性を得るまで、手首、胸筋、広背筋、そして肩甲下筋をストレッチし、そして生涯を通していくつかの基本的なストレッチをすることを計画しましょう。 幅広い種類のエクササイズを用いて、ローテーターカフと肩甲骨をコントロールする筋肉を鍛えましょう。もしあなたの使っているエクササイズが望ましい結果を出していないのであれば、他のエクササイズを試しましょう。胸筋や上腕二頭筋と同じくらい、上背部の筋肉や肩の安定筋群の筋力強化に頑張って取り組みましょう。 前鋸筋からのインプット 肋骨の背部に対し平らであるべき肩甲骨が突き出てしまっている翼状肩甲骨は、弱い前鋸筋、あるいは習慣的に怠けている前鋸筋が原因です。前鋸筋は肩甲骨を引き下方回旋させますが、それが正しく働いていないとき、肩甲骨縁は上に持ち上がり突き出てしまうのです。前鋸筋を定期的に鍛えることは必要不可欠です。 ウエイトトレーニングをする人たちの間では、何が前鋸筋を働かせるかについて多くの誤解があります。たとえば、前鋸筋も使うエクササイズとして長い間考えられてきていたプルオーバーは、前鋸筋を使ったとしてもそれほどではありません。プルオーバーをしているときに前鋸筋を収縮させることはできますが、それは前鋸筋をそれほど使う動きではないのです。反対に、前鋸筋を本当に発達させる基本的な運動とはオーバーヘッド・プレスで、できれば立位で行うのがよいでしょう。 ベンチプレスをすることは、前鋸筋の機能不全の一因となることがあります。通常水平面で押すとき、前鋸筋と胸筋、三角筋、そして上腕三頭筋は一緒に働きます。肩甲帯は腕に沿って前方に伸展されます。ベンチの上に寝転ぶとき、ことはうまくいかなくなるのです。肩甲骨は体重とバーの重さを合わせた重量の下敷きになってベンチの上で押しつぶされ、自由に動くことができません。加えて、ベンチプレスの「ゴール」は、バーをできるだけ高く上げることではなく腕をしっかり伸ばすことですから、前鋸筋は肩甲帯を伸展させるために使われないということになります。 これをさらに説明するものとして、前鋸筋はボクサー筋と呼ばれることがあります。最大のリーチとパワーのために、腕と肩甲帯の協調された完全伸展が自然と要求されるボクシングでは、この筋肉が非常に発達するのです。 前鋸筋をもとの状態に戻すには、大抵アイソレーション・エクササイズが第一段階です。最良のエクササイズは恐らく、インクラインベンチあるいは立位で、バーをオーバーヘッドで持って行うシュラッグでしょう。もしあなたが片側に問題を抱えているなら、そのエクササイズを二つのダンベルまたはケトルベルを用いて行うか、あるいは片手ずつ行うのは理にかなっています。 もう一つの良いエクササイズは、プッシュアップ・プラス、あるいは肩甲骨プッシュアップと呼ばれるものです。これは通常のプッシュアップのようですが、背中のてっぺんができるだけ高くなるようにプランクポジションを超えてプッシュします。通常のプッシュアップを試し、それからプッシュアップ・プラスをしてみると、プレスと肩の完全伸展との間の違いを感じるでしょう。プッシュアップのポジションになり、そして肘をロックしたまま、肩の後方をできるだけ高く持ち上げることを繰り返します。それはシュラッグのようです;動きは肩甲帯のみで起こりますす。これは肩甲骨の安定性のための優れた導入的コレクティブ・エクササイズです。 前鋸筋が機能的であるとき、オーバーヘッド・プレスは、恐らくその筋肉を強く健康に保つのにふさわしいものでしょう。
ドライニードリング(乾性穿刺)について
私の臨床の現場で、ドライニードリング(乾性穿刺)は使用頻度が最も高い治療法のひとつになってきました。異なるテクニックや生理学、損傷へのアプローチ、パフォーマンスとリカバリーなどを学べば学ぶほど、さらに使用頻度が増し、その効果も上がり続けています。ドライニードリングに関して、いくつもの誤解や一般的な誤報があるようですが、この投稿が少しでもこれらの理解に役立てれば幸いです。 1)ドライニードリング(乾性穿刺)と鍼とは異なります。 同じツール(細い糸状の針)を使用しますが、類似点はそれだけです。鍼は伝統的な東洋医学に基づいたものです。私自身は経絡や脈診、舌診、気、陰と陽のバランスや五要を特に勉強したことはありませんが、解剖学と生理学、筋骨格系機能障害、神経系、動き、触診、傷害の医学的評価や整形学的検査などに10,000時間以上じっくり時間を費やしました。その事実(そして私の免許を発行している州の医療行為の法令)によって私たち(理学療法士、アスレチックトレーナー、カイロプラクティックドクター、医師、看護師)は、ドライニードリングを施すことができるのです。計算機を使う人がすべて会計士とは限らないように、細い針を使う人すべてが鍼灸師とは限らないのです。 2)ドライニードリングは、全く何も治療しない!にも関わらず全てに驚異的効果があるのです! 針が組織内に穿刺される時に起こる生理学的変化は、きわめて複雑ですが、ここで押さえておきたい3つのポイントを示します。 a)局所的には、針が穿刺されるとカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)が放出されます。CGRPは、血管拡張や血管新生を促進し、損傷からの回復を促進します。 b)部位的には、針が身体の細い有随神経を刺激し、脊髄の後根神経節におけるエンケファリンの分泌を誘発します。エンケファリンは、その神経が始まる脊髄レベルで疼痛伝達を制御します。 c)全身的には、脳からβエンドロフィン(オピオイド神経ペプチド)が分泌され、総合的に鎮痛効果が得られます。脊椎マニピュレーションを受けたときに分泌されるオピオイドと同樣、モルヒネと同族に属します。 これでお分かりですね。この治療法がこれほどまでにパワフルなのは、局所的、部位的、全身的な効果があるからです。 3)客観的に見てみましょう。 みなさんの医療介入の反応の出現は、即効型ですか、それとも遅延型ですか?これらの反応は測定可能ですか?いくつかの症例をみていきましょう(ここでは、完全なリハビリやスポーツへの統合、動き、ストレングス、四肢や全身の神経筋の再教育などの詳細について論議するのではありません。投稿の目的として、純粋に関節可動域の変化を客観的に観察してみたいと思います)。 上の写真は、投球側の肘の屈筋腱修復術の6ヶ月後の投手です。左の写真1は、治療前、真ん中の写真は、治療後1、右の写真3は、治療後2(2日後)です。私は素晴らしい徒手療法士と言いたいところですが、そうではなくて、ドライニードリングが秘訣だったのです。 次の写真は、投球側の肩の痛みを抱えている投手の写真です。多少暗いですが(お気づきかもしれませんが、翼状肩甲骨もあります)、内旋の可動域に、即時的な変化が見て取れると思います。「ストレッチ」をした訳ではありません。ドライニードル穿刺前と穿刺後の写真です・・・この2枚の写真に介入したものは、ドライニードリングのみです。 この写真に写っているのは、私です。あまり素敵とは言えない写真ですが、教育目的のために私の虚栄心は脇に置いておきましょう。左の写真は、両側の顎関節に激痛を感じた時です。明らかにトラッキングが上手くいっていないのが分かります。およそ10本のドライニードルを10分間穿刺しただけです。右の写真がそのドライニードルを抜いた直後の状態です。これ以外に、この2枚の写真に介入したものはないのです。 もちろん、これらの変化は維持されています。治療と治療の間に多少の後退はみられるものの、治療計画にドライニードリングを組み込んで以来、時間経過とともに顕著な改善がみられました。控えめに言っても、驚くべき変化です。 4)ドライニードリングにも「絶対に正しいテクニック」はありません。 他の徒手療法やエクササイズの処方と同様です。人体にドライニードルを使用するには芸術性(アート)が必要です。理論や見解が異なるいくつかのテクニックや、その指導者達がいます。どのテクニックをみても、単に異なるというだけで、優劣はつきません。先ほども述べましたが、何事も正しい方法はひとつだけではないのです。ドライニードルも例外ではありません。有効なテクニックはたくさんありますから、私はいつも学生に、複数のアプローチ方法を学ぶように伝えています。そうすれば、自分の臨床や哲学にぴったりの方法が見つけられるからです。 5)ドライニードリングは、危険を伴いえる施術です(車の運転も同様に危険を伴いえます)。 この危険性というものは、正しい知識とケアで緩衝することができます。人体解剖学に忠実に、危険ゾーンを熟知し、ドライニードリングの適応と禁忌を知っておくことが重要です。このことを理解し、侵襲的手技を尊重している臨床家を見つけましょう。適切な普遍的予防策は、患者と臨床家の安全に常に適用されるものです。 一冊の本が書けるほど他にも話したいことはたくさんあります。未だその必要はないようですが! Dr.Yun-tao MaやJan Dommerholt、Adrian Whiteの素晴らしい著書があります。ますます多くの査読文献が発表され、不明点の謎を解くための研究が行われています。
セラバンドループを使ったエクササイズ
ループ状になったセラバンドを使用した、簡単にできる効果的な股関節内外旋のためのエクササイズと肩関節外旋のためのエクササイズをご紹介します。シンプルなエクササイズの目的を理解して行うことができればとてもパワフルなツールになります。
私の好きないくつかのこと
以下の質問を投げかけてくれたヘンリー・リベラに感謝します! 仕事のやり方を変えた資格/クラス/セミナーは何か? 現場で一番役に立っている道具は何か? どんな技術を一番よく使うのか?なぜ? 現在、パフォームベターサミットで行う予定の「あなたの道具箱の整理方法」という講演の準備をしています。基本的に、私たちはとても多くのことを学び、とても多くの資格を取得し、リハビリテーションとパフォーマンスを融合して、境界線はなくなっています。私たちは一体どうやって「行くべき」映画を見つけるのでしょう?どうやって、一つの哲学や教えを「鵜呑みに」せずに、概念を融合するのでしょうか? ここでは、私の好きないくつかのことをお話しし、融合させることについてはパフォームベターでお話しします。 1)仕事のやり方を変えた資格/クラス/セミナーは何か? 私がアスリートパフォーマンスで過ごした時間は、明らかに人生を変えるものでした。13年間組織に所属して、ほとんど最初から、開発し、考えて、融合し、挑戦して、問いかけるということができました。もちろんマーク(アスリートパフォーマンスの代表)は、こういった全てのことを奨励してくれました。あの環境は、私にリハビリとパフォーマンスの溝を埋める基礎を与えてくれたとともに、技術を発展させ、研ぎ澄ますことができました。あのような支援のある環境でなければ、私は今のような治療家にはなっていないと思います。ですから、「AP(アスリートパフォーマンス)の哲学」は私の動きに対するアプローチの基礎となっています。動きの分析や復元に関する私の見解は、マークや他の人々に教わったことにはっきりと基づいています。 それから私はフィル・シザーという人に会いました。彼は、テキサス工科大学の教授で、博士で、歩く医学文献です。私たちは出会ったとき、理学療法の世界に足を踏み込んでから、長い間生き別れになっていた兄と妹のような感じがして、互いに全く異なる角度から再会に向けて歩みを進めているような感じでした。深いでしょ? 私は、彼が教えていた膝に関する3日間のクラスに参加しました。クラスに向かいながら「3日間も一体何について話すのだろう?」と思っていたのを覚えています。クラスを受け終えると、私がそれまで膝に対して行っていたアプローチは、業務過誤寸前の行為だったと感じました。詳細なる解剖学、診断テストの詳細、そして研究の精密な吟味に圧倒されました!その場ですぐにフィルの教え(国際整形徒手療法学会アメリカ支部(IAOM-US: International Academy of Orthopedic Manual Therapy-US)のコースカリキュラムで説明されています。私は、IAOM-USが提供している12の全てのコースを受講し、その全ての虜になりました。IAOMの方法を学んでから、私の鑑別診断や診断テストのやり方は大きく変わりました)とマークの教えが結びつきました:リハビリからパフォーマンスへのつながりが明確になり、構造と機能の関係が明確になったのです。 この構造から機能、そして機能から構造の連続体こそが、シカゴやロングビーチでのパフォームベターサミットで話す内容です。この連続体のどこで、すべてのことが組み合わさるのか? 2)現場で一番役に立っている技術 それは「自身の主観的テスト」です。みなさんが聞きたかった答えではないでしょうね?主観的?!?!魅力的じゃないですね!そう、魅力的ではない。でも本当に大切で、多くの施術者が忘れてしまっていることです。主観的テストは、恐らく私の行うテストのなかで最も長い時間を取っています。アスリートのことを知り、彼(彼女)らが今までにやって成功したことを知り、同時に失敗したことを知り、性格や、集中力のレベル、目標、悩み、正確な痛みの位置、痛みのレベルが上がる行為、下がる行為、過去の経歴(病歴や手術歴、それに伴う感情の経緯)、現在の状況(選手契約の必要性、引退の必要性、妊娠中など)、そして、将来望んでいる事、こういったことの全てがあなたの介入が、どのくらい成功するかの絶対的な指標になります。率直に言って、10回のうち9回は、彼らの話から、何が悪いのか、どのように治療するか、競技に戻るまでの過程がどのくらい困難かがわかります。主観的な見解と患者に対しての理解は、あなたが「治せる」治療家になるための鍵になります。なぜなら単に、アスリートが言いたかったこと、言わなければならなかったことを時間をかけて聞いたからです。 3)一番役に立っている道具は何か? みなさんは、私が恥じらいなくドライニードリングの教育ビジネスを売り込むと思っているのでしょうが、違います。私がドライニードリングの「教育ビジネス」(教育を強調します)に携わっているのは、それが私の施術の方法を変えたからです。私は、モビライゼーション、ストレッチ、肘を使った施術など、過去に行っていたほど頑張って働いていません。私はこの業界に18年います(ただし、一週間に40時間働くと考えるなら36年くらいになるでしょう)。 それこそまさに現場で、最前線で働いています。正直に言うと、もう年寄りですし、疲れています。(今は、3ヶ月の長期休暇を取ったので、だいぶ疲れは取れています!)しかし、ドライニードリングは、私の治療計画において、驚くべき効率と効力を与えてくれました。ですから、みなさんにも伝えたいのです。 まとめると、これが私の技術、ツール、そして哲学であり、現在の治療家としての私を形作っているものです。覚えておいてください、技術やツールは、私たちの哲学を表現する選択肢を与えてくれるに過ぎません。哲学は、日常の仕事を高めてくれる技術やツールを探す上で、必要な道しるべです。私たちは、まだその一部に触れはじめているだけなのです。