東 vs 西

ずっと前に皆さんに、私に何を書いてほしいかを聞いたことを覚えていますか?そのときのリストは、今でも持っていて、ゆっくりでも全て書くつもりです。そのリストの中のアダム・ウォルフさんによる質問が下記です。 動作をどのように徒手療法や東洋医学と融合し、それをどのようにして、絡まりあい融合を強めていく「東洋」のホリスティック(全体論的な)医学と西洋(哲学)、およびそのパラダイムに調和させているのでしょうか? あぁ…それは全て東 vs 西ということに集約できます。私の高校がケンモアウエスト(マスコットはブルーデビル)であった頃のように。私の高校のライバル校は、ケンモアイースト(マスコットはブルドッグ)でした。絶妙な詠唱をよく覚えています:「西は最高…東は最低!」 徒手療法は、身体構造を改善することが全てです。ちょっと、言い直させてください。おわかりだと思いますが、上腕骨を形成したり、大腿骨頭を造り直したりするわけではありません。わかりますよね。変えることのできる軟部組織の構造を変えようとしているのです。伸ばしたり、安定させたり、生理学的治癒や変化に影響を与えたり、軟部組織の形成に影響を与え、順応させようとしているのです。 構造は、そのエリアの機能を決定づけます。手首や手には、なぜたくさんの骨があるのでしょうか?そこに必要な器用さを考えてみてください。なぜ関節窩上腕の臼状型は、大腿骨寛骨の臼状型と異なっているのでしょうか?肩関節は、上肢の可動性の必要性に即して設計されているのに対し、股関節は、体を支えるために、よりしっかりとした、構造的な安定性が必要です。構造が機能を決定づけるのです。徒手療法を行うことによって、構造を向上させられるのであれば、行うべきです。機能は、やがて構造に影響していきます。悪い姿勢で座り続ければ、脊柱は可動性を失い、やがては堅くて曲げられなくなり、まっすぐ立つことさえできなくなります。構造と機能は、密接につながっており、分離することはできないのです。それゆえの、私の会社の名称なのです。(訳注:スー・ファルソネの会社の名前「Structure & Function (構造と機能)」) 私にとって、東洋医学と西洋医学は密接につながっています。東洋医学が西洋医学より全体論的であるとか、あるいはその逆か、というような考えはしません。誤解しないでください、私は何も私が東洋医学哲学の専門家であると言っているわけではなくて、東洋医学についての本や論文を読んだり、概念を学ぶことが好きなのです。東洋医学の要素の多くは、何千年もの歴史を経て受け継がれています。なぜなら、それがうまくいっているからです!過去に東洋医学に従事していた人々は、その時代に得ることができる資源を使わなければなりませんでした…山にある植物やハーブを使って、病気の治療をし、診断テストを使わずに、私たちが自分自身の内部に感じるエネルギー、そして他人から感じるエネルギーの描写を使っていました。それはまさに私たちが、今ある資源を使っているのと同じです…薬、診断、動きの分析など。 ホリスティックの定義: 部分の分析や治療や解剖ではなく、全体、または完全なシステムに関係すること、関わっていること。 人間の動きに関して、多くの人々がホリスティック医学を実践していると思っています。私達は、全体のつながり、または部分全体を見て、システムの中でどのように動くかを見ます。ここに栄養学の知識を加えると、「よりホリスティック」になります。さらにスポーツ心理学カウンセリングを加えると、「もっとホリスティック」になります。それゆえ、西洋医学はホリスティックなのです…少なくともそうなれる可能性があるのです。あなたは、どのくらいホリスティックにしたいですか? これこそが、馬博士のドライニードリングの哲学が、私にとってとても共感できる理由です。彼は、身体をとてもホリスティックに見ています。筋肉のトリガーポイントの定義について考えてみてください: 身体の敏感なエリア、刺激や炎症が与えられると、別の部分に特定の影響を及ぼす。特に、刺激されすぎると、全体的な筋骨格系の痛みを生み出す筋肉の敏感なエリア。 刺激。過度に刺激される。身体の中で、刺激はどこから来るのでしょうか?末梢神経です。だから、末梢神経を治療する必要があります。神経はどこから来ているのでしょうか?脊髄です。ですから、中枢神経系も同様に治療する必要があります。さあ、これでさらにホリスティックになってきました! 覚えておいてください、道具をあなたの理念と混同させてはいけません。道具は、理念を表現するために、その時々で、それぞれのアスリートのために、選んでいる手段に過ぎません。カップ、ドライニードル、フォームロール、呼吸パターン、動作、ケトルベルなど、何を使うかが大切でしょうか?いいえ、全くそんなことはありません。これらの道具が、古典的に東洋医学または西洋医学のどちらに分類されようが、道具は、私がアスリートをどのように評価したかの理念を表現しています:そしてその理念は、純粋にホリスティックなものなのです。

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物議を醸すトピック

今週のブログのテーマに、”物議を醸すトピック” を取り上げて頂いたことをフランク•ドラン氏に感謝いたします。(フランク、元気にしてる?ずっと会っていないから)ああ、イタリアのシチリア人にとって、空港のバーでワインを飲みながら物議を醸す事を書くことほど素晴らしいことはないですね! さあ、それでは始めましょう! 物議をかもす話題 #1:アイシング アイシングはすでに試された、真の治療ですよね? ハムストリングを挫傷したら,,,冷やしましょう。足首を捻挫したら,,,冷やしましょう。どんな種類の怪我が発生しても、応急処置が必要です,,,冷やしましょう。しかし、アイシングは本当に私達が取るべき方法なのでしょうか? その昔、大学院時代に、掛け替えのない指導者、ビル•プレンティス教授の授業で急性足首捻挫の処置方法を学びました。私達はアイシングではなく、圧迫を行いました。私達はオープンバスケットウィーブで患部を固定し、その上にエースバンまたはエラスティコンを巻き付け、選手に向けて以下の指示を加えました。"今夜は良く眠ることはできないでしょう。これはズキズキと痛み、不快感を味わうことでしょう。いかなる状況でも、つまさきが紫色になったり、足部にしびれを感じる場合を除いて(その場合は私に電話をしてください)テープをはがしてはなりません。今夜はつらい夜になるので、安静にしてください。それでは明日の朝、お会いしましょう”。避けられない問いかけは、”アイシングはどうですか?”でした。それに対する私達の返答は、”もしテープ越しにアイスの感覚があればよいでしょう。そうでなければ、アイシングの意味はありません” 毎回、本当にその度に、選手の様態は非常に速く改善しました。腫れは最小限で、リハビリ過程で動作が早い段階で導入され、彼等はフィールドに比較的早く戻っていきました。 なぜそうしたのかは理解していませんでした。私は若い院生で非常に多くの事を学習していて、疑問に思うことなく、すべてを吸収するモードだったのです。ただ私にわかっていたのは、その方法が効果的であったことであり、私が担当していた女子バスケットボール選手は時間を無駄にすることが決してありませんでした。それがハッチェルコーチとCB レーン(ヘッドアスレチックトレーナー) を喜ばせることにつながり、その結果院生のアシスタントとして私も嬉しくなったのです。 そして現在、私はその理由を学んでいます。 ミルキン博士が1978年にRICEという言葉を作り出しました。今現在、彼が正しいと思っていることは、 コーチ達は私のRICEガイドラインを何十年間も利用してきたが、アイシングと完全な休養は、助けになるどころか、治癒を遅らせてしまうようである”なのです。 治癒は炎症を必要とする アイシングは治癒中の細胞が損傷した組織になることを阻止する 炎症を軽減するものは、治癒も遅らせてしまう アイシングは筋力、速度、持久力、コーディネーションの低下を招く ーゲーブミルキン、医師、2014年3月 しかし、彼は短時間患部を冷やし痛みを軽減することの必要性は主張しており、アイシングは完全に居場所をなくしたというわけではありません。 物議を醸す話題 #2:ドライニードリング これが本命であることは皆さんもご存知でしょう。 もう一度いいましょう...ドライニードリングは鍼灸ではありません! 私は最近、ハンティントンビーチで行われた全米サーフオープンに関わるという最高の体験をしたのですが、そこで素晴らしい東洋医学博士のペドラム・ショージャイ氏(www.well.org)と時間を共にする機会を得ました。競技中で仕事が落ち着いている間、私達は仕事に関連した話をすることができました。 私達は腰痛持ちの友人を例にとり、鍼をさす場所、懸念、思考プロセス等を話し合いました。私達二人の治療計画は100パーセント異なるものでした。彼は、私には全く知識のない、でもとても素晴らしいことに関して話をしてくれました。彼は私の治療における解剖的な性質に感銘を受け、他の見方も参考にしてみることを彼は私に、私は彼に勧めることになりました。 私達は二つの全く異なるアプローチを持っていましたが、その両方が効果的になり得るものだったのです。エド・ジルストラの言葉を借りるなら(何度も繰り返し引用し続けていくつもりです)、計算機を使う人間の全てが会計士であるわけではありません。微細針を使う人間の全てが鍼灸師でないように。鍼灸師の方達へ、ドライニードル士と時間を過ごすことをおすすめします。ドライニードル士の方達には、鍼灸師と時間を過ごすことをおすすめします。私は、双方が、患者を私達の治療と行動の中心に置くという、我々の業務における称賛に値する性質に気づくことができると考えています。 物議を醸す話題 #3:セルフ筋膜テクニック 過去一、二年の間に学んだことがあるとすれば、それは、フォームローリングをさせ過ぎてしまうことができるということです! なぜそうしてしまうのか? なぜ、組織に再構築させる時間をとらせず、毎日組織の構造を変化させるのか? 同じことを徒手療法やストレングストレーニングでは行うことはないのに、なぜフォームローリングではそれを行うのか? 多数の研究でフォームローリングには、動脈機能の向上(岡本 2014)、可動域の拡大(マクドナルド 2014)、そして筋肉痛の軽減(マクドナルド 2014)といった効能があることが明らかにされています。私はフォームロールのマイナス効果を検証した文献をかなり徹底的に調べましたが、率直に言って見つけ出すことができませんでした。もし何か文献をご存知でしたら教えてください。私はこの件に関する反対側の議論を見てみたいのです。直感的に、私はフォームローリングの処方頻度と強度を減らす必要があるのだろうと推察しますが、陪審員は未だ不在です。皆さんの考えを伺いたいと思います。 物議を醸す話題 #4:診断道具としての超音波の使用 MRIとCTスキャンは、多くの疑いのある診断を決定づける判断基準になります。しかし、より低価格で、持ち運び可能で、より機能的な種類の診断方法はないのでしょうか。例えば、音波ホログラフィーです。チェン氏(2009)は音波ホログラフィーの使用をMRIと対比させて非常に上手く論じています。音波ホログラフィーは近年米国においてより活用され、より容認された診断ツールになりました。診断の正確性と組織の動きの評価の点において、MRIとの更なる比較研究が必要です。デ・ヘスース他(American Journal of Roentgenology. 2009;192: 1701-1707)は回旋腱板の損傷におけるMRI、MRIの関節造映法、そして診断用超音波の素晴らしいメタ分析を行いました。この分析は、回旋腱板の損傷発見におけるMRIと超音波の比較を可能にしました。より多くの比較研究が異なる身体部位に対して行われていかなくてはなりませんが、より持ち運び可能で、低価格かつ、閉所感が少なく、信頼性のある診断ツールは、我が国の医療制度を取り巻く現状を考えると、非常に魅力的なアイデアのように思えます。

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ヨガは最近のパフォーマンスモデルに適合するか?

多くの人が知っていると思いますが、私は2014年に短期の研究休暇をとりました。それは私にとっていろいろな意味で、とても素晴らしく(そして不安な)時間でした。この数年間で私がやりたかったことの一つが、200時間のヨガ指導トレーニング資格をとることでした。2014年の休暇の間に、これを達成することができたのです。 なぜそうしたかったのか?理由はたくさんあります: 1)ヨガは、ウエイトルームの中における動きの大部分の基礎となります。本当に?そうです。ウエイトルームで外負荷をかけて行っている多くのエクササイズを見ると、ヨガは、身体のコントロール、コアの強さ、バランスなどを外負荷なしで、同じ動きのなかで必要とします。自分自身の体重をコントロールし、支え、動かすことさえできないアスリートに、どれだけ多くの外負荷をかけているのかは、驚くべきことです。誤解しないでほしいのですが、負荷をかけてはいけないと言っている訳ではないのですが、機能不全の状態に負荷をかけても、機能不全は改善しないのです。 2)ヨガは、トレーニング時における動きの大部分の基本です。本当でしょうか?本当です。 Perform Better2014に参加し、仕事仲間達が参加者に“新しい”エクササイズを紹介しているのを見ていたことを思い出しました。見ながら考えていたことは:“おー、その動きはワイルドシングだな”、とか“おー、あの動きはサイドアングルだな”ということでした。地面に接地したムーブメント、ムーブメントプレパレーションエクササイズ、ボディーコントロールエクササイズを見始める時、それらの動きの多くはヨガに起因としていることに気づきました。 3)解剖学的姿位でさえヨガです。本当でしょうか?本当です。ヨガにおいてタダサナは基本となるポーズです。そしてなんと、、、それが解剖学的姿位なのです。面での動き、関節の動き、姿勢、上位交差症候群、下位交差症候群など教わったことはすべて、タダサナに由来しているのです! 4)ヨガは宗教的なものではありません。本当に?本当です。ヨガと宗教はなにも関連はありません。事実、ヒンドゥー教がヨガの原理を沢山取り入れたのであって、逆ではありません。キリスト教徒であれ、無神論者であれ、仏教徒であれ、ユダヤ教徒であれ、精神的な信仰とヨガの原理に利害の対立はないのです。 5)ヨガは単なるエクササイズクラスではありません。本当に?本当です。事実、ヨガで身体を動かすことに関するものは、8支則のうちの1つです。まずは最初の4支則を見てみましょう。 1支則:ヤマ:ヤマとは生活において“やってはいけないこと”です。基本的には、この1支則は、道徳的抑制と普遍的なモラリティに関することについて話されています。嫌な奴になるなということですか?はい、そうです。誰かを傷つけるなということですか?はい、そうです。自己中心的になるなということですか?そうならないでください。誠実であれということですか?はい、そうです。あなたが何教徒なのか、名前のあとにどんなイニシャルがあるのか、どれだけの重量のデッドリフトを上げられるか、そんなことはどうでもいいのです。私が言いたいことは、私たちの大部分は、この支則に同意でき、そして、同意すべできであるということです。 2支則:ニヤマ:ニヤマとは基本的に、生活のなかで“すべきこと”です。何を食べるのかということを含め、清潔で健康であれということですか。そうです。他人がもっているものを欲するのではなく、自分が持っているものに満足し、感謝するということですか?はい、そうです。自己反省に対し正直であり、社会の構成員としてどれだけ貢献できているかを考えていますか?はい。繰り返しますが、あなたが何教徒なのか、名前のあとにどんなイニシャルがあるのか、どれだけの重量のデッドリフトを上げられるか、そんなことはどうでもいいのです。私が言いたいことは、私たちの大部分はこの支則にも同意でき、そして、同意すべできであるということです。 3支則:アサナ:これが私たち皆がヨガとしてイメージすることです。ポーズであり、動きであり、“エクササイズ”です。前述のように、これは8支則うちの1つであり、8つすべてが重要です。アサナは単に人々をヨガに引き込んでいるものです。エクササイズをしたい、気持ちよくなりたい、そして、より良い姿勢を手に入れたいのです。理由はなんであれ、人々は、これらの目標を達成するのを助けてくれるエクササイズクラスを求めていて、ヨガはジムが提供しているクラスと同じように良いもののようです。そうでしょう? 4支則:プラナヤマ:この支則はすべて呼吸に関することです。なんですって!わかります。おかしいでしょう?私は、何年にもわたって胸椎と横隔膜について話してきました。私を知っている人たちはご存知だと思いますが、私のお気に入りの筋肉は横隔膜です。近年、すべての訓練に関わる人達は、呼吸と呼吸することについて討論しているようです。ヨガ行者は、文字通りその行為の重要な部分を呼吸に当てています。そして何世紀にもわたってそれを行ってきています。私たちはようやく追いつき始めているところなのです。 今は5-8支則については話しません。これらはすこし深すぎますし、今の私の目的は、“いいでしょう、ヨガ嫌いじゃないですよ”と言ってもらえることです。 このブログを読み終るにあたって: 1)ヨガとは、私たちが最近クライアントに指導している基本的な動きの多くの基礎であるということを認識し、 2)解剖学的姿位、そして、面での動きの表現方法はヨガに基づいていることを知り、 3)ヨガとは数多くの姿勢だけでなく、それ以上のものであることを理解し、 4)Sueは横隔膜と呼吸に関する全てを愛する、かなりの変人ではない、、、と知っていただければ、今日の文章を通じての目的は達成することができたということになります。 ナマステ。

スー・ファルソニ 2507字

肩甲骨の上方回旋と下方回旋

スー・ファルソニの、肩複合体に関するDVDシリーズから、オーバーヘッドアスリートに、よく見られる腕の挙上に伴う代償動作のパターンを改善する為のエクササイズのアイデアをお届けいます。

スー・ファルソニ 3:19

外旋ドリル

2016年春に来日セミナーを計画しているスー・ファルソニの肩のDVDシリーズからの抜粋。肩の外旋のみを孤立して行うのではなく、身体の安定と共に肩関節の外旋の要素を取り入れた、スーのお気に入りのエクササイズのひとつをご紹介します。

スー・ファルソニ 1:52

正常な肩関節

肩複合体における各関節の正常な位置関係とは?理学療法士、アスレチックトレーナー、ストレングスコーチ、ヨガ指導者として幅広く活動するスー・ファルソニがわかりやすく解説します。

スー・ファルソニ 2:42

BTG: ムーブメントプレップ

トレーニングセッションのメインのプログラムをスタートするための準備であるムーブメントプレップ。数々あるムーブメントドリルの中から、スーが11のムーブメントプレップドリルをご紹介します。まるで動くヨガのようなダイナミックな柔軟性を高める動きのドリルも含まれています。

スー・ファルソニ 18:01

メジャーリーグ初の女性ヘッドアスレティックトレーナーになって

プロフェッショナルスポーツでの理学療法士およびアスレティックトレーナーとしてのキャリアについてスー・ファルソニにインタビュー スー・ファルソニは、医療臨床家(ヘルスケアクリニシャン)を教育することや、彼らが患者の成果を向上させるために必要なスキルを身につけさせることに力を注いでいる、コンサルティング及び教育企業・Structure and Functionのオーナーです。 スーはメジャーリーグのロサンゼルス・ドジャースでヘッドアスレティックトレーナー及び理学療法士として6年間働いた、アメリカの4大プロフェッショナルスポーツ全ての中で初の女性ヘッドアスレティックトレーナーでした。 スーはまたAthletes’ Performance(現在はEXOS)で13年間働き、最後には理学療法およびチームスポーツのパフォーマンス部長を務めていました。 現在スーは、A. T. Still大学にてアスレティックトレーニングの准教授をしており、KinetIQ Globalや全米ユーススポーツ安全評議会、Performance Health、そしてMeyer PTのような様々な組織において、評議会の委員を務め、アドバイザーを務めています。 プロフェッショナルスポーツでエリートアスリートたちと働きたいと熱望している、高校または大学の多くの若い生徒・学生たちがいる中で、私たちは、スー・ファルソニの際立ったキャリアについての洞察を提供し、プロフェッショナルスポーツに入る同じ道を探し求める他の人たちへいくつかアドバイスを得るために、彼女に話を聞こうと思いました。 スー・ファルソニについて あなたの運動経歴について教えてくれますか?子供の頃、高校、そして大学と成長していく中で、どのような競技をプレーしましたか? 私は7歳から14歳までシンクロナイズドスイマーでした。高校ではサッカーをプレーしましたが、高いレベルで競技したことは一度もありません。大学では何もプレーしませんでした。 基本的に私は若い頃プールの中で時間を過ごしすぎて、視覚と手の協調(ハンド・アイ・コーディネーション)や、あるいはアジリティスキルを成長させなかったんですね! スーが理学療法士になり、アスリートと働くことを決めた理由 何があなたに理学療法に進むことを決意させたのですか?あなたはエリートアスリートの人たちと働きたいと常々思っていたのですか? 私はもともと、整形外科医になろうと思っていました。しかし、理学療法に足を踏み入れたとたん、私はそれが好きだということに気が付きました。患者と築きあげられる関係性がとても好きなんです。 私は外科医がしていたことをしたくないことに気付き、理学療法を続けることを決めました。 初めは一般的な整形外科の人々と働いていましたが、あまり楽しくありませんでした。 その後、手術後のリハビリ段階にいる若いアスリートを多く見ていたアスレティックトレーナーと働く機会がありました。 クリニックで彼女がやっていることを見た時、私はそれをもっとやりたいのだということに気が付き、そこでアスレティックトレーナーの資格を取得するために学校へ戻ることを決めました。 スーはどのようにロサンゼルス・ドジャースに行き着いたのか 多くの理学療法学生たちは、プロフェッショナルスポーツチームと仕事をしたいと熱望しています。あなたはどのようにロサンゼルス・ドジャースに行き着いたのですか? プロフェッショナルスポーツで働きたいと思っている理学療法学生に、どのようなスキルおよび分野の知識を取得すべきで、仕事の現実や挑戦、そして彼らがその前に就くであろう仕事について、どのようなことを薦めますか? ロサンゼルス・ドジャースのマネジメント担当者が、プリハブ、ストレングス&コンディショニング、そして栄養の体系立てられた解決策を開発する際のアドバイスを求めてAthletes’ Performanceに来ていた時、私はAthletes’ Performance(現在はEXOS)で働いていました。 そのプロジェクトを私が監督することとなりました。 ドジャースはやがてスタン・コンテ氏を連れてきて、そして彼と私は協力しながら組織のための解決策を開発しました。スタン氏の指導により、私のチームとの役割は時間とともに高まり、彼から2011年のシーズン後ヘッドアスレティックトレーナーの仕事をやらないかと尋ねてくるまでになりました。 人々は、理学療法学校を卒業して、自動的にスポーツの世界に入りたいと望みます。しかし、スポーツに特化する前に、信じられないくらいの整形外科の基礎がなくてはなりません。 私は、多くの人々が整形外科とスポーツ医学を同じものと見ていると思いますが、それらは非常に異なるものです。 スポーツ医学は整形外科の専門領域なので、そこにしっかりした理解がなくてはなりません。 整形外科、神経科学、そして運動における基盤を作りましょう。忙しい整形外科クリニックで働くことは非常に価値があります。どのように評価技術を効率よくするか学び、どのようにサポートスタッフを用いてあなたと患者との時間をより効率的に、そして効果的にするかを学ぶのです。たくさんの患者を見る機会があります。 あなたは“普通の”リハビリがどのようであるかを目にします。これを学ぶことは重要で、リハビリが“普通”に行われていないときに、あなたは何かがおかしいと気が付くのです。 またストレングスコーチと時間を過ごすことも必要です。このグループと多くの時間を過ごせば過ごすほど、アスリートがリハビリの後に戻るのに必要なことは何なのかをもっと理解するでしょう。異なる負荷やスピードで人体に負荷をかけることの価値をよく理解し始めるでしょう。 一日12時間、週7日働く覚悟をしなくてはなりません。あなたは一週間に一日休みをもらえるかもしれないし、もらえないかもしれません。 プロフェッショナルレベルでは、週7日働くことは珍しいことではありません。休みは最小限であり、私的な時間の多くは仕事によって阻まれます。 それを覚悟しておく必要があります。プロフェッショナルスポーツは、月曜日から金曜日までの8時から夕方5時まで働くというようなものでは全くありませんから。 クライアントにより良い成果を出させるために、専門家たちはどのようにより良く一緒に働くことができるか エリートアスリートたちのリハビリとパフォーマンスの溝を埋めるという経験を持つ者として、専門家教育に現在欠如していると思うことは何ですか? 異なるバックグラウンドの専門家たちが、同じアスリートを治療しながら、パフォーマンスと傷害予防の両方についてより良い成果を得るために、どのようにより良く一緒に働くことができるでしょうか? 私たちは、私たちの肩書を放置することを学ばなくてはなりません。あなたが理学療法士であろうと、医師であろうと、アスレティックトレーナーであろうと、ストレングスコーチであろうと、私は気にしません…あなたの名前の後ろにあるどのような肩書も、入口に置いてきてください。 他の人々の意見や視点と協力し、尊重する準備をして部屋に入りましょう、そうすればアスリートにとって最大の利益となるような解決策が作れるのです。 エゴの介入する余地はありません。 理解しようとしましょう、そして他の専門家たちが何をしているのか、そしてあなたがしていることがどのように二つのゴールの溝を埋めることができるのかを理解しようと努めましょう。

スー・ファルソニ 3227字

リハビリテーションでピリオダイゼーションを用いる

Bridging the Gap From Rehab to Performanceの187-190ページより抜粋 最もシンプルな表現をすれば、ピリオダイゼーションは、望ましい結果を出すための一定期間に渡るトレーニングストレスの操作です[i]。それは年間トレーニングを通じて複数のサイクルで構成されています。マクロサイクルは一年間という期間で、複数のメゾサイクルから成り立っています。各メゾサイクルは、ある特定の目標を達成することを目的としており、それぞれが、一般的に5日から14日間続く複数のミクロサイクルで構成されています。複数のトレーニング日がミクロサイクルを構成し、複数のミクロサイクルがメゾサイクルを構成します。 従来の環境にいる理学療法士は大抵、その人の全マクロサイクルを最初から最後まで見るほど長く患者と働くことはありません。しかしながら、リハビリの過程自体はメゾサイクルであると考えられるかもしれません。 他のスポーツ医学専門家たちとうまく働けるように、クリニシャンがこれらのストレングス&コンディショニングのコンセプトを理解することは重要です。これはケアチーム全体が、アスリートをできるだけ速やかに、しかし再受傷のリスクを上げることなく、最大能力で競技に復帰させるための行動可能な計画を立てるのに役立つでしょう。 リハビリのピリオダイゼーション ピリオダイゼーションの原則は、アスリートのトレーニングを作成することに限定される必要はありません。ピリオダイゼーションはまた、私たちがリハビリとパフォーマンスの間の溝を埋める中で、様々なリハビリテーション段階に応用されることができます[ii]。私たちはリハビリを、リハビリを完了するというゴールを持ったメゾサイクルであると考えることができます。ミクロサイクルはその途中のより小さな活動になります。 例えば、もしある人が手術後であれば、第一ミクロサイクルのゴールは、全可動域を取り戻すことができるでしょう。第二ミクロサイクルでは、バランスと固有受容器に焦点をあてるかもしれません。第三ミクロサイクルは神経筋系コントロールに専念することができるでしょう。 これは、各ミクロサイクルが一つの身体的特性にのみしか焦点をあてることができない、ということではありません。次のコンセプトのように、リハビリテーションプログラムを期分けするにはたくさんの方法があります。 リニア(直線的) このモデルでは、私たちは一つの身体的特性を次から次へと訓練するために、周期的な順序付けを用います。私たちはまず可動域に取り組み、それからバランスや固有受容器に、そしてそれから精神運動制御や筋力に取り組むことができるでしょう。 全てのリハビリの線形進行は、患者の必要性に基づき異なるかもしれませんが、多くのクリニシャンは、必要な動きを取り戻すことが優先であることに賛同しています。筋力とバランスはどの時点でも取り組まれますが、可動域はその後のリハビリ過程における他の多数の問題を防ぐために早期に取り戻されなくてはなりません。 コンカレント(並行的) コンカレントトレーニング(並行して行うトレーニング)中、私たちは1メゾサイクルの中で、複数の競合する身体的特性に取り組みます。生理学的観点からは、筋力と持久力は“競合している”ように見えるでしょうし、コンカレントトレーニングプログラムの一部となるでしょう[iii]。 大量の持久力トレーニングは筋力の増加に負の影響を与える一方、長時間の低出力の運動は筋力トレーニングの導入によってごくわずかな影響を受けるだけです。もしあなたがマラソンランナーと働いているのならば、ストレングストレーニングの導入が持久力の質に与える影響はごくわずかでしょう[iv]。 しかしながら、フットボール選手や、あまり頻繁に有酸素的に機能しない人をトレーニングするとき、長時間の低負荷の活動を行うことは、筋力やパワーの向上に負の影響を与えかねます。この考えを理解することは重要です:筋力とパワートレーニングは、持久系アスリートを非常に助ける一方、持久系トレーニングは、よりパワーを必要とする人には負の影響を与えうるのです。 トレーニングをしていない人々においては、干渉効果はごくわずかです。しかしながら、中程度、あるいは高度にトレーニングをしているアスリートにおいては、コンカレントトレーニングはRFD(力の立ち上がり率)、あるいはパワーに対して、絶対筋力よりも大きな影響を与えます[v]。 複合的 複合的プログラミングでは、1メゾサイクルの中で複数の補足的特性を訓練していきます。例としては、筋力とパワー、あるいは体性感覚制御と精神運動制御を含むかもしれません。 リハビリの観点から言えば、私たちは間違いなく、正しい筋肉を正しいタイミングで発火させることに取り組みながら、それと同時に、ある関節のバランスや固有受容器の向上に取り組むことができます。これらのうち一つに取り組むことは、その他の進行に干渉することはありません。それゆえに、これらは複合的なプログラミングだと考えられます。 集中的 焦点を絞ったトレーニングは、単独の身体特性を向上させることを目的に、短期間の高いトレーニングストレスを含むものです。私たちは、アスリートがリハビリの筋力トレーニング局面に近づいてきたらよくこの方法を使います。 たとえば、もしあるアスリートの受傷した関節が硬くなってきているようであれば、クリニシャンは、この可動域を大きくすることはますます難しくなるばかりかもしれない、あるいはそのままにしておけば不可能にすらなるかもしれない、と心配するかもしれません。クリニシャンは、その関節の能動的または受動的可動域を取り戻すために全力で取り組むためには、1週間または2週間必要だと決めるかもしれません。筋力あるいはバランスのその他考慮すべきことのすべては、アスリートがその関節の自然な可動域を回復させることができるまで保留にされるでしょう。 私たちは、集中的なメゾサイクルの順次的まとまりであるブロックを使うこともできます。 アスリートが競技復帰に近づいているとき、私たちはプログラムを徐々にテーパリングする必要があるかもしれません。これは競技前に超回復を促進するための、急速な量または強度の減少です。 テーパリング段階がないかもしれないし、ただリハビリからパフォーマンスへの溝を埋めるときにだけ使われるかもしれません。アスリートは通常、競技復帰段階に至るまでゆっくり発展し鍛えるため、わたしたちは一日の短い休息期間を用いるだけか、競技に復帰する前に真のテーパリングを用いるかもしれません。 最後に、アスリートが競技に復帰する直前に、リハビリの連続体の最後に来る競技前段階があります。 たとえば、もしある野球選手がAAAリーグで数日間夕方にプレーするなら、テーパー(漸減)は、その翌日にプレーするために大リーグに合流する前の移動日一日の休みのみでしょう。これをチームマネジャーと議論する際、あなたは、アスリートが丸一試合でなく数イニングだけ競技に復帰するのが最良であると判断するかもしれません。強度の向上を伴うこの量の減少は、アスリートが完全に競技復帰する前のテーパ―として十分かもしれません。 このコンセプトは、ストレングス&コンディショニングの専門家と協力して計画されています。それぞれの状況は、ケアの連続体に携わる者全員によって評価されなくてはなりません。こうすることにより、アスリートを復帰に備えさせ、長期的な健康を守る適切な競技復帰計画を考案することができるのです。 まとめ 筋力は、パワーの基礎的な構成要素です。最終的に、アスリートは競技に復帰するために様々な負荷やスピードで動けなくてはなりません。リハビリからパフォーマンスへの溝を埋めるとき、アスリートにこれを行う準備をさせることは最重要です。ストレングス&コンディショニングコーチたちは、これらのコンセプトをリハビリテーションプログラムに適用することに不慣れな医療従事者にとっての重要な援助となるでしょう。 もしあなたが筋力トレーニングの原則を理解し、それらをあなたのリハビリテーションプログラムにどのように安全に適用するかを知っていれば、それはあなたのアスリートが競技復帰の準備をする際に役立つでしょう。 参照 [i] Benjamin Rosenblatt, “Planning a Performance Programme,” High Performance Training for Sports, Dan Lewindon and David Joyce, editors, 248-249. [ii] DL Hoover, “Periodization and Physical Therapy: Bridging the Gap Between Training and Rehabilitation,” Physical Therapy in Sport, March 2016. [iii] Glenn Stewart, “Minimizing the Interference Effect,” High Performance Training for Sports, Dan Lewindon and David Joyce, editors, 246-247. [iv] J Mikkola et al, “Neuromuscular and Cardiovascular Adaptations During Concurrent Strength and Endurance Training in Untrained Men,” International Journal of Sports Medicine, September 2012. [v] JM Wilson et al, “Concurrent Training: a Meta-Analysis Examining Interference of Aerobic and Resistance Exercises,” Journal of Strength and Conditioning Research, August 2012.

スー・ファルソニ 4359字

疼痛の理論

Bridging the Gap From Rehab to Performanceより抜粋 私達が身体の痛みへの対応方法を理解しようと研究を深く掘り下げると、痛みの発生経路のメカニズムを説明するいくつかの潜在的に矛盾する理論があることに気づきます。 神経線維:身体は、中枢神経系が情報を解釈するために、外界からの情報を伝達する求心性神経線維の広大なネットワークで構成されています。神経線維の直径はさまざまで、神経の絶縁性および保護性の鞘である髄鞘の量もさまざまです。このような異なるサイズと絶縁性のため、情報が末梢から中枢神経系に移動する速度は、刺激される求心性神経に応じて異なります。つまり、中枢神経系に異なった時間で情報が到達するのです。 痛みには多くのシステムが関係していますー いくつか例を挙げれば、末梢神経、中枢神経、自律神経、解剖学的な構造系、大脳辺縁系、心血管系などがあります。私たちが理解していない脳の領域はまだあり、すべてを網羅する決定的、かつ包括的な疼痛モデルはありません。 とはいえ、これらは最も人気のあるいくつかの理論の概要となります。 特異性理論 マックス・ヴォン・フレイは、1895年に最も初期の疼痛理論の1つである特異性理論を開発しました。この理論は、個々の疼痛受容体が脳内の特定の疼痛中枢に信号を送信し、それから、熱いフライパンから手を素早く引き離すというような、適切な運動反応の指示を送り返すと述べています。この理論は、特定の疼痛システムがあるという仮定に基づいています。 この概念の単純な分かりやすさは心が和むのですが、反証されています:脳には特定できる疼痛中枢はありません。この理論はまた、痛みの心理的側面や、私達の以前の経験によってさまざまな疼痛刺激に対して過敏になっている側面を認識していません。 パターン理論 1920年代後半から1930年代初頭に、ジョン・ポール・ナフェとヨハネス・シャイダーは、痛みを感知して反応する確立したシステムはないが、疼痛受容体は他の身体システムと共有されていることを示唆しました。この理論では、脊髄において刺激の特定の組み合わせが形成され加算した場合にのみ、脳が疼痛信号を受け取り、これは、反応のプリセットパターンの遂行につながります。 パターン理論の問題の1つは、脳の役割を過小評価しており、単に受容体からのメッセージの受信者と見なしていることです。今では、身体が痛みにいかに対処するかについて、脳ははるかに複雑で動的な役割を果たすことがわかっています。 ゲート理論 この疼痛研究の次の題目は、感覚制御理論です。これは、ゲート制御の考えに基づいています。 1965年にロナルド・メルザックとパトリック・ウォールによって開発されたゲート制御理論は、ドアに指をバタンと挟んだとき、その指を逆の手で包んだり、口に入れたり、撫でたり、痛みを和らげるために何らかの行動をとるという考えです。 熱、冷たさ、感触、痛み、振動などのすべての末梢感覚は、末梢神経の刺激によって伝達されます。この神経の刺激は脊髄に伝達され、十分に顕著であれば、情報は処理のために脳に伝達されます。痛み感覚は、A-デルタ繊維およびC-繊維としても知られる侵害受容器の疼痛線維によって運ばれます。これらの信号は、脊髄の後角に送られ、2次ニューロンを刺激してから、外側脊髄視床路を介して脳に送られ解釈されます。この方程式に何らかの触感を加えると、A-ベータ繊維も刺激されます。 タッチのセンセーションもA-ベータ繊維を介して脊髄へと伝わり、脊髄後角の抑制介在ニューロンを刺激し、A-デルタ繊維およびC繊維によって刺激された求心性情報を介して脳に伝わる痛みのセンセーションを低減します。より“少ない”痛みを感じるのです。これは、私達がドアで指を挟んだ後に、素早く指をぎゅっと掴んだり撫でたりする理由であり、脳によって知覚される痛みのセンセーションを実際に低減させます。 ゲート制御理論は多くのシナリオで非常に理にかないますが、侵害受容器(痛みの感覚受容器)が刺激されていないのに、それでも人がまだ痛みを感じる場合を説明しません。 条件付き疼痛調整 条件付き疼痛調整理論は、あなたが兄の仕打ちで経験したかもしれません。幼いときに腕が痛いので泣いていたことを覚えているかもしれません。あなたの兄はその逆の方の腕を叩き、「よくなった?もう腕が痛いこと考えていないだろ。」と言いました。 この例は、痛みが痛みを抑制すると述べている条件付き疼痛調整理論を要約しています。 2つの侵害刺激が同時に適用されます。2つ目の刺激は最初の刺激と同じ領域にありますが、同じ場所ではありません。 2つ目の刺激は後角によって処理され、最初の侵害刺激を抑制することができます。この理論は持ち堪えており、痛みを軽減するための様々なテクニックを適用する場合、単にその領域の近くに触れることが、正確な場所と同じ程度に効果がある理由なのかもしれません。 痛みの神経マトリックス 他の痛みの理論は、痛みの発生部位に位置する局所組織と末梢神経に重要な役割を割り当てています。対照的に、痛みの神経マトリックスの観点は脳の役割を強調し、中枢神経系(CNS)の構成要素に焦点を移します。この理論では、痛みは実は脳の出力であり;末梢侵害受容刺激以外の痛みに対する複数の影響が重要です。 痛みの神経マトリックスは、痛みの感覚を作り出すという脳の決定を強調し、末梢組織からの入力を減少させますが、末梢神経系の関わりを否定しません。末梢神経への不快な刺激は、痛みの感覚を作り出す上で依然として大きな役割を果たしますが、全体像を提供するものではありません。 この理論は、幻肢痛、線維筋痛症、非特異性腰痛、および侵害受容刺激は存在しないが痛みの感覚が持続する他の慢性疼痛状態をより良く説明することができます。 痛みの意味合い ロリマー・モーズリーは疼痛の理論に影響力のある人物であり、この非常に複雑なトピックに関する、楽しくて簡単な概要のために、彼のビデオ、Pain 「痛み」を強くお勧めします。モーズリーは、痛みは意味合いを保持していると説明しています:個人的な。私が経験する痛みは、同じような侵害受容刺激と同じ診断があったとしても、あなたが経験する痛みではありません。痛みは生理的なものよりも心理的な現象かもしれません。 たとえば、私達が浜辺を歩いていて、二人とも鋭いものを踏んだとしましょう。二人とも顔をしかめますが、私は歩き続けることができるかもしれません。しかし、もしかしたらあなたは以前に足を切ったことがあり、その傷が感染し、入院して2週間抗生物質を摂取する必要があったかもしれません。あなたは私に車まで抱きかかえることを要求するか、助けを呼ぶことを要求するかもしれません。私たち双方にとって同じ経験ですが、鋭い何かを踏んだ刺激を解釈するための異なる基準枠をを伴っています。 同じ診断を持つ人を扱うときは、痛みの認識が大きく異なる可能性があることを念頭におく必要があります。診断の客観的所見に基づいて、ある人の痛みを判断することはできません。時には壊滅的な傷害を負いながら、最小限の痛みを感じる人もいれば、軽度のハムストリングの緊張があり、重度の苦痛で脚を引きずる人もいます。 痛みは主観的で個人的なものです。 2人の人の間で同じ侵害受容刺激が同じ知覚感覚または経験をもたらすと推測することはできません。

スー・ファルソニ 3177字

組織的なシステムの一部分 パート1B

(Bridging the Gap from Rehab to Performanceからの抜粋) モーションセグメント 私たちは、局所的なケガの箇所や痛みの源だけでなく、モーションセグメント全体の正しい使い方について再確立する必要があります。例えば、もし、肘の問題に対処しているのであれば、頚椎、肩複合体、肘、手首そして手が一つのユニットとして連携しているか確認する必要があります。また、身体の他の部位においても代償的な可動域の損失がないことも確かめなくてはなりません。正しい神経筋骨格評価を通して、診断医は傷害を負った組織を守るために身体が代償を行ったかどうか、またはその箇所を特定することができるでしょう。神経システムは痛みのある組織の保護を優先し、それに応じて動作を調整します[ii]。 私は昔、トラウマ的外傷で肘の脱臼をしたアスリートを受け持ったことがあります。私たちのかなりの努力にもかかわらず、彼には防衛性筋緊張がおこり、そして身体から腕を離すことを恐れたため、動きの損失や痛みなどの肩の問題を抱えてしまいました。結果として、傷害箇所の隣の部位、このケースでは肩に機能不全が起こってしまいました。 全てを予防することはできないかもしれませんが、傷害の起こった体肢を構成し、取り巻いているモーションセグメントや、傷害の上部および下部の脊髄分節は、恐れや忌避、そして痛みによって代償がおこることがあると考えます[iii],[iv]。 また筋膜ラインに沿った制限が、その上部や下部またはその両方に緊張をおよぼすこともあり得ます[v]。モーションセグメントは何通りにも定義することが可能です。単純に上肢、脊柱または下肢をモーションセグメントとして考えることもできますし、または筋膜ラインやキネティックチェーンをたどることで、より広義に考えることもできます。しかし、ある患者についてモーションセグメントを定めたら、ただ関節や組織を分離させて考えるのではなく、リハビリのプロセスを通してそれに取り組み、そして考慮しなければなりません。 モーションセグメントについて考えるとき、バイオテンセグリティのコンセプトを思い出してください。バイオテンセグリティでは、テンセグリティの数学的なコンセプトを人間の身体に応用します[vi]。1920年代と1940年代の間にR. Buckminster Fullerによって展開されたテンセグリティとは、3次元の構造は、構造の安定を維持するために圧縮の間欠周期を伴いながら一定の張力下にあるというコンセプトです。 バイオテンセグリティは、人間の身体の中は、分子から細胞、組織、器官、そして臓器系といったすべてのレベルにおいて同様に作用しているとしています。人間は、身体中で発生する一定の張力と間欠的な圧縮によって、重力の影響にも関わらず普遍的な形を維持します。私たちの身体システムは、分子のレベルまでこの張力に基づいてできています。私たちの動作選択と姿勢は、身体が変化し、適応できるために必要な圧縮力をもたらし、これらはすべて普遍的な人間の形を維持しながら行われます。 身体をテンセグリティのシステムとして考えた時、動作を分離して行うことは決してないことに気づきます。ある部位に動作を起こすためには、それが起こるように結果的な圧縮や張力が他の場所に起きなければなりません。このコンセプトは、何事も独立して起こらないというシステムを表しています。 これらのコンセプトや介入方法を考えながら、私たちはクライアントがどのように患部全体を使っている、または使っていないかということを考慮します。モーションセグメントの機能を再確立するための徒手療法や、動作を伴ったモビリゼーション、または道具を使った軟部組織の治療から治療方法を引用するかもしれません。ドライニードルやカッピングが介入の適切な選択肢かもしれません。あるいは、患部の治療のために筋膜または内蔵へのマニピュレーションを用いるかもしれません。 FMS(ファンクショナルムーブメントスクリーン)やSFMA(セレクティブファンクショナルムーブメントアセスメント)またはFRC(ファンクショナルレンジコンディショニング)トレーニングで学んだコレクティブエクササイズが役に立つかもしれません。マッスルアクティベーションテクニック(MAT)も、体肢やモーションセグメント全体が正常に機能するよう試みている段階で用いることができるかもしれません。 あなたのトレーニングや専門分野に基づいて、この段階における選択肢はほぼ無限なのです。 精神運動性コントロール 精神運動性コントロールを見直す中で、筋やその他の組織がそれぞれの役割を遂行する際に、適切な組織が適切なタイミングで活性されることを考慮します。主働筋は主働筋でなければなりません。協働筋は協働筋でなければなりません。安定筋は安定筋でなければならないのです。 腰部筋群のような安定筋が股関節伸展の協働筋になったり、ハムストリングのような協働筋が主働筋になったり、または、ほかの筋が臀筋の役割をしているためにこのような主働筋の活動量が減少すると、身体は腹を立てます-身体は痛みを発生させるのです。まさに工場のように、身体は個々の部分それぞれに役割があります。もし工場で働く人がその人の役割でない仕事をやり始めたならば、ライン全体が混乱してしまうでしょう。一つの仕事に労働者が多すぎる一方で、ほかの仕事に誰も集中していないのです。結果としてカオスとなり、私たちの場合には、身体に痛みが発生します。 身体の神経筋のコントロールは、適切な動作を確認するために微調整する方法です。もちろん、必要であれば身体は解決策を見つけますし、理想的とは言えない運動パターンを用いて代償しようとします。[vii]その新しく作られた運動パターンは効率的である可能性は間違いなくありますが、これらの代償動作によって発生するバイオメカニクス的なストレスは、もし対処されない場合にはダメージを引き起こすことがあります。 経年的に、この代償動作は痛み、あるいは柔軟性と筋力の非対称性につながり、問題をさらに悪化させるでしょう。代償パターンは、ひとたび脳がこの新しい回避策を有髄化することでデフォルトのパターンとなるでしょう。 精神運動性コントロールには引用できる多くの学派があり、例を挙げればダイナミックニューロマスキュラースタビライゼーション(DNS)やポスチュラルリストレーションインスティテュート(PRI)、MAT、ドライニードル、FMS、SFMA、Shirley Sahrmannのムーブメントシステムインペアメント(運動系機能障害)そしてピラティスなどがあります。私たちは、特定のトレーニングや治療法にとって最も適切なものを利用します。 生物・心理・社会的考慮点 生物・心理・社会的モデルは1977年に精神分析医であるGeorge Engelによって広められました[viii]。このモデルでは、彼は、人の生活における生物学的、心理的、そして社会的な要素はそれぞれに対して、そして人間全体に対して影響を及ぼすと示唆しています。これらの3つのことが組合わさることで痛みや苦しみ、そして治療方法に対する反応を説明できます。 怪我による精神的なストレスは、ストレスホルモンと炎症マーカーを増加させることがあり、これによって身体的な怪我からの回復が難しくなります。飲酒や喫煙などの社会的な行動はすべて、人の総合的な身体と精神の健康に影響を与えます。家族や友人からのサポートが十分でないと、鬱状態を悪化させ、その人の生態に影響します。また、薬物乱用、睡眠障害、または食習慣の乱れといった不健康なライフスタイル習慣につながり、それによって生態的な回復力に大きな影響を与えます。 実際に、生物・心理・社会的な要因は、あなたの患者の回復力や競技に復帰に影響及ぼす第一の要素であると議論されることも可能でしょう。 私たちは皆、同じスポーツをする2人の人が同じ診断を伴いやってきて、その後まったく違う結果を示したという経験があるでしょう。このようなことが起きた時は、それぞれに対して個別の生物・心理・社会的な要因が関係している可能性が最も高いでしょう。 どんなアスリートに対処するときでも、怪我がその人の精神的な健康面に影響を与えるということを認識していなければなりません。ある人がトラウマに対してどのように対処するかは、社会的なサポートや怪我のストレスに立ち向かうために用いるテクニックによって決定されるでしょう。これらのストレスはその人の生態や回復力に影響を与えるのです。 体性感覚コントロール 体性感覚システムは、身体の内部の状態の変化を察知し反応する神経受容器や細胞のシステムです。感覚システムなしに運動システムは存在できません。インプットによってアウトプットが生じます。インプットが悪いことはアウトプットが悪いということと同じです。 もし私たちが継続して間違ったコマンドをコンピューターのキーボードにタイプすれば、私たちは間違ったアウトプットを得続けるでしょう。コンピューターが正常に機能するためには、私たちは正しいコマンドを与えなければなりません。同じことが私たちの身体にも言えるのです。もし、欠陥のある情報を送ってしまえば、私たちの運動反応は間違ったものになり、もしかすると非効率なものになるかもしれません。体性感覚コントロールについて取り組んでいるとき、[ix]私たちは、前庭系バランス、姿勢の揺れ、反射、視覚系、そして固有受容的気づきに対して取り組んでいるのです。 リハビリからパフォーマンスへ移行するこの段階では、バランス及び姿勢の反射の再獲得、そして運動のアウトプットの向上のためのより良い感覚入力を作り出すことが中心となっています。ここでは、運動学習と運動コントロールのコンセプトが役に立ち、私たちは、クライアントに対してバランスや固有受容、そして反射反応に取り組む際、その助けとしてDNS、PRI、ヨガまたはピラティスのテクニックを応用できるでしょう。 参照 [ii] Hug F, Hodges PW, Carroll TJ, De Martino E, Magnard J, Tucker K, “Motor Adaptations to Pain during a Bilateral Plantarflexion Task: Does the Cost of Using the Non-Painful Limb Matter?” PLOS ONE, 2016;11(4):e0154524. [iii] TL Chmielewski, “The Association of Pain and Fear of Movement/Re-injury with Function During Anterior Cruciate Ligament Reconstruction Rehabilitation,” Journal of Orthopedic Sports Physical Therapy, December 2008. [iv] Leeuw M, Goossens MEJB, Linton SJ, Crombez G, Boersma K, Vlaeyen JWS, “The Fear-Avoidance Model of Musculoskeletal Pain: Current State of Scientific Evidence,” Journal of Behavioral Medicine, 2007;30(1):77-94.doi:10.1007/s10865-006-9085-0. [v] Stecco L, Fascial Manipulation For Muscuskeletal Pain, 1st edition, Padova, Italy, Piccin Nuova Libraria S. P. A, 2004. [vi] Swanson RL, “Biotensegrity: a unifying theory of biological architecture with applications to osteopathic practice, education, and research—a review and analysis,” Journal of the American Osteopathic Association, 2013;113(1):34–52. [vii] Paul W. Hodges and Carolyn A. Richardson, “Insufficient Muscular Stabilization of the Lumbar Spine Associated with Low Back Pain,” SPINE, 1996. [viii] Papadimitriou G, “The ’Biopsychosocial Model’: 40 years of application in Psychiatry,” Psychiatrki, 2017;28(2):107-110.doi:10.22365/jpsych.2017.282.107. [ix] Dario Riva et al, “Proprioceptive Training and Injury Prevention in a Professional Men’s Basketball Team: A Six-Year Prospective Study,” Journal of Strength and Conditioning Research, February 2016. [x] Dario Riva et al, “Proprioceptive Training and Injury Prevention in a Professional Men’s Basketball Team: A Six-Year Prospective Study,” Journal of Strength and Conditioning Research, February 2016. [xi] Gray Cook, “The Art of Screening, Part 2: Failure, Feedback and Success,” graycook.com.

スー・ファルソニ 4260字

組織的なシステムの一部分 パート1A

(Bridging the Gap from Rehab to Performanceからの抜粋) 見習うべき専門家が非常に多く存在する医療とパフォーマンスの世界では、哲学的なトレーニングモデルの発展は、特に経験の少ない実践者にとって、創出し、実施することが難しいことでしょう。 独占的または排他的になろうとするよりも、その中核の原理まで掘り下げたとき、数多くの学派が、同じことに焦点を当てていることを理解することが重要です。全てのテクニック、エクササイズの種類、学派、そしてトレーニングの原理は、リハビリからパフォーマンスへのギャップを埋める際に価値のあるものです。 といったところで、これらのシステムを構成する共通部分について詳しくみていくことから探究を始めていきましょう。これは教義的な分類システムではありません。多くの介入方法や学派は1つ以上のカテゴリーに分類されるでしょう。それぞれの介入方法は多くのパーツからなり、あなたの思考プロセス上では、あるものが分類されたものとは全く違うカテゴリーに分類されるかもしれません。それはそれで問題ありません。システムを理解し始めるにつれて、それぞれのフレーズや学問、そしてコンセプトがあなた自身の実践の場において、どこに分類されるかを考えてみてください。 リハビリテーションとパフォーマンスのギャップを埋めようと努めるとき、全てのモデルが当てはまり、全ての学問が当てはまり、そして全ての「教祖(グールー)」が当てはまります。あなたの専門性が何であれ、アスリートをスポーツパフォーマンスへ復帰させるプロセスを作り上げようとするとき、その学派がこのシステムのどこに分類されるかを判断しましょう。 次に各カテゴリーの概要を見ていきます。 簡潔に、あるクライアントが痛みを伴ってあなたの元に来る時のことを考えてみてください。例えば、その人は鼠蹊部に痛みのあるサッカー選手だとしましょう。まず、どの組織が問題なのかを判断する必要があります。痛みの生成源を明らかにする必要があります。 その痛みは、内転筋群または腹部の筋や健の断裂からきているのでしょうか?その痛みは2つの骨によって挟まれた股関節の関節包からきているのでしょうか?その痛みは関節面の変形によるものでしょうか?股関節の全ての構造は正常で、痛みは腰部または中枢神経システムからでしょうか? 一旦これが定まれば、その関節が周りの関節に連動して適切に動くことを確かめる必要があります。股関節の可動域は完全でしょうか?柔軟性は正常でしょうか?関節の全ての要素はちゃんと機能していて、全体の一部としてシステムにフィットできるでしょうか?股関節が動くために腰椎は安定する事ができるでしょうか?股関節に影響を与えることがある足関節の制限はありませんか?このセクションはモーションセグメント全体について考慮していきます。 次に、正しい筋が適切なタイミングで活性化されるようにする必要があります。適切な精神運動コントロールを確かめる必要があります。臀筋が股関節伸展の主働筋として作用しているのか、それともハムストリングまたは腰部傍脊柱筋群が動作パターンを支配しているのでしょうか? ここからは、体性感覚のコントロールに移っていきます。私達は、反射、視覚、平衡感覚、そして全ての神経運動プログラムの要素を含む神経系システムの全ての要素が、どのようにモーションセグメントが動くか、またはなぜ痛みが発生しているかにといったことに影響しているかということを考慮します。これは最も大きく、そして最も複雑なカテゴリーであり、その他全ての要素に間違いなく影響し、そして影響されます。 次に、ファンダメンタルパフォーマンスがあります。股関節自体が基礎的な筋力を備えているだけでなく-これはモーションセグメントのカテゴリーにも分類できます-、システム全体が、私たちの次のカテゴリーであるファンダメンタルアドバンスメントにおいてパワーとして発揮するための適切な基礎筋力を備えているかを確かめるのです。 ファンダメンタルアドバンスメントにおいて、私たちは様々な負荷やスピードで動き始め、加速やクロスオーバー、ドロップステップなどの基本的なスポーツ動作を導入していきます。 最終的に、アドバンスドパフォーマンスでは、クライアントに特有なアクティビティへの復帰目標を達成し始めていきます。クライアントがアイスホッケー選手であれ、ラクロス選手であれ、または肉体労働者であれ、私たちは、アクティビティに復帰する前に習得しておかなければならない特定の動作の必要条件を取り入れていくのです。 もちろん、この戦略の根本には生物・心理・社会的な要因があり、それらは痛みやチームの介入に対する反応が、各個人においてどのように異なるかということに影響します。個々の生態における生化学的、栄養的、そして遺伝的な要因は、その人の考え方や気分、そして態度に影響を与えます。ある人に対する社会的、家族的、そして文化的な影響は、あらゆる刺激に対してその人がどのように反応するかに強く影響を及ぼします。生物・心理・社会的な影響は、私たちが常に考慮しなければならない個々の要因です;ふたりの人に対して同じになることは決してないでしょう。 連続体の一部分が別の部分の必須条件である必要はありません。これらの分野の多くは、アスリートがマッサージテーブルからフィールドへと進めるにつれ、同時に取り組むことができ、また取り組むべきです。しかし、これらはすべて、アスリートが競技に無事に復帰する前に考慮される必要があります。 痛みの生成源 
痛みの生成源を決定づけるとき、私たちは問題のある組織を明らかにします。滑液包を扱っているか、または腱を扱っているかどうかは重要なことです。もし、クライアントが滑液包炎の管理に苦労している際に、私たちが炎症を起こしている滑液包に対して道具を使った軟部組織の治療を試みたならば、その症状を悪化させてしまうかもしれません。しかし、もし腱障害について対処しているならば、軟部組織の治療は回復のプロセスを著しく助長することになるかもしれません。 他のケースでは、もしアスリートに椎間板を起因とする痛みがあるならば、体幹の屈曲は症状を悪化させてしまうかもしれません。もし、そうではなく、狭窄症を見ているのであれば、体幹の屈曲は症状を改善させるかもしれません。問題の組織を正確に明らかにすることは、初期治療を適切な方向に向けるために重要です。 もし、あなたのツールボックス内に検査や評価がな含まれていないのであれば、診断医と仲良くなり、患者やクライアントをその人と共有しましょう。評価方法を学ぶ必要はありませんが、評価について理解し、紹介についての方針を定めておく必要があります。 幻肢痛や慢性痛、非特異的腰痛の患者のように、もし痛みの生成源が存在しないのであれば、私たちが最初に着目する必要のある部位にたどり着くためには、可動域の制限や代償動作パターン、安定性の欠如、神経系の影響または生物・心理・社会的な事情といった他の識別因子を用いる必要があります。痛みの生成源を伴わない痛みがある人は、困難な状況を提示します。改善する必要のある侵害性の刺激もないため、典型的な痛みを除去するためのテクニックは効果がありません。 痛みの初期の発見においては、どの「組織が問題なのか」を明らかにします。私の場合は、当面の問題を判断するために、私の徒手療法と鑑別診断の経歴から結論を引き出すでしょう。目の前の患者に対して取り組んでいる診断を確定するためには、理学療法やアスレチックトレーニングの学校で学んだスキルや、私が整形外科的徒手療法の資格のために勉強していた時に習得したものを応用することが必要かもしれません。 私たちは痛みを考慮して、キネシオテープのような方法を用いてそれを軽減したいと思うかもしれません[i]。おそらく、他の標準的な方法も痛みを軽減する助けとなるでしょう。選択肢として多くの臨床的措置があります;あなたのスキルのリストは、私のリストとは異なり、それらがあなたの選択を左右するでしょう。 参照 [i] Mark D. Thelen et al, “The Clinical Efficacy of Kinesio Tape for Shoulder Pain,” Journal of Orthopedic and Sports Physical Therapy, 2008.

スー・ファルソニ 3446字