マイクロラーニング
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筋長は疲労に影響を及ぼすか? パート2/2
何が起こったか? 疲労前測定結果 研究者たちは、最大随意膝関節伸展トルクと、一対の電気刺激(二重)により引き起こされた膝関節伸展トルクはどちらも、長筋長の際よりも短筋長の際により高かったと記述している。その差違は下記のグラフに示されている。 しかしながら彼らはまた、筋活動と大腿二頭筋の共同活動は、より大きな膝関節伸展トルクを生み出すにもかかわらず、短筋長の際に低かったということを発見した。これらの結果は下記のグラフに表されている。 疲労発生 研究者たちは、疲労性運動の際、必要であるトルクの減少を得るために必要な随意等尺収縮の継続時間は、長筋長に対してよりも短筋長に対しての方がより長かったということを発見した。彼らは、3つの疲労性収縮の総合継続時間は、長筋長に対してよりも短筋長に対しての方が68.4 ± 19.6%長かったと報告している。しかしながら、このより大きな疲労抵抗にもかかわらず、同等のトルク減少の結果としての筋活動の減少は、下記のグラフに示されるように短い筋長において非常に大きかった。 疲労後測定結果 下記のグラフに示されているように、研究者たちは、両方の疲労性運動後の最大トルクは、短長両方の筋長において同様に減少したということを発見した。 研究者たちは、長い疲労性運動は、疲労性運動後の最大随意等尺収縮の際に、短筋長活動もしくは長筋長活動にわずかな影響しか及ぼさなかったということを発見した。しかしながら下記のグラフに見られるように、短い疲労性運動は両方の活動を同様に減少させている。 つまり短い疲労性収縮は筋活動の低下を引き起こすが、長い疲労性収縮は低下を引き起こさないのである。結局のところ、短長の長さの異なるテストによっての差異は僅かなものである。重要なこととして、疲労性運動の種類、筋肉の新鮮さや疲労度に関わりなく、その活動は短筋長においてよりも、長筋長においての方が常により大きいということもまた、上記のグラフから見ることができる。 研究者たちはどのような結論に達したか? 研究者たちは、神経活性化はフレッシュ及び疲労した筋肉の両方において筋長に依存し、疲労の種類はこの関係に影響を及ぼさないという結論に至った。 更に研究者たちは、疲労を誘発する際の筋長は、疲労後の筋活動のレベルに対し重要な影響を持っていると結論付けた。この研究においては、短い疲労性運動は、あるとしてもわずかの低下しか引き起こさないようである長い疲労性運動に比較し、より大きな筋活動の低下を引き起こしていた。 ゆえに研究者たちは、短い疲労性最大随意等尺収縮は、有意な神経活性化の減少によって証明されるように、主に中枢神経系疲労につながり、一方、長い疲労性最大随意等尺収縮は筋節自体の末梢疲労を引き起こすようであると示唆している。 ゆえに研究者たちは、「運動が行われる角度は、筋神経系の反応に強い影響を及ぼすため、リハビリテーション、スポーツトレーニング、もしくは生理学的研究のためには考慮にいれるべき有意なパラメーターである」という結論に至った。 制限要素は何か? この研究はレジスタンストレーニグを行っている被験者ではなく、身体的に活発である被験者を用い、大腿四頭筋に対しての実験を行っている。他の集団や異なる筋グループでは異なる結果が得られたかもしれない。また研究者たちは、2つの関節角度においてのみ実験を行っているが、他の関節角度においては異なる結果が得られたかもしれない。 実践的な意義は何か? 筋活動(筋電図で測定)はフレッシュもしくは疲労した筋肉の両方において筋長に依存しており、疲労性収縮の種類はこの関係に全く影響を及ぼさない。 疲労が誘発された際の筋長は、いかなる筋長においても疲労後の筋活性化の度合いに影響を及ぼす。 短い疲労性最大随意等尺収縮は、主に中枢神経系疲労につながる可能性があり、長い疲労性最大随意等尺収縮は筋節自体の末梢疲労を引き起こす可能性がある。
筋長は疲労に影響を及ぼすか? パート1/2
異なる長さにおいて筋肉の活動が異なるという事実は、フィットネス業界において多数の人から無視されている。長さと張力の関係は筋肉生理学において最も興味深い側面の一つであるゆえ、これは非常に恥ずべきことである。この関係を理解すると、なぜ筋肉がある特定の関節角度においてより強く、その他の関節角度においてより弱いのかを説明するのに役立つ。研究者たちは、異なる長さにおける筋肉全体の強度の差違は、筋繊維における個々の筋節の重なり度合いによりもたらされると考えている。 この記事ではクリス・ビアズリーが、異なる筋長において筋活性がどのように異なるのかを示している刺激的な研究を概説している。さらにそれは、この強度の差違が、筋肉がフレッシュであるのか、疲労しているのかにかかわらず起こるということを示している。更に興味深いことにこの研究は、疲労をもたらす収縮後の筋活動は、疲労性の収縮が行われた筋長により異なる度合いで減少すると示している。つまり、同様の疲労性活動を異なる関節可動域にて行うことは、全く異なる疲労反応につながるのである。 研究論文: 異なる筋長における最大等尺性収縮後の神経活性化、デスブロス、ババルト、メイヤー、プーソン、スポーツ&エクササイズ、医学&科学2006年 背景 研究者たちは、以前の研究により筋肉への神経伝達は、その長さによって変化するということが発見されていると記述している。これは、最大力が開発される、モーメントアームが最良である、もしくはその両方において、筋肉が最適の長さ以外で強度を維持することを可能とするメカニズムであると考えられている。 疲労に関して研究者たちは、神経筋の疲労は中枢疲労と末梢疲労の2つに分けることができると解説している。彼らは、中枢疲労は運動皮質と神経筋接合部の間の神経興奮の変化において最も顕著にみられ、末梢疲労は神経接合部と筋節の架橋との間の変化として定義することができると示唆している。 研究者たちは、いくつかの研究が、短い筋長よりもむしろ長い筋長において行われた場合、最大下、もしくは最大等尺性膝関節伸展後に個人がより大きな疲労を経験したということを発見しているため、疲労は筋長に依存しているようであると解説している。彼らは、この研究においてはいかなる中枢疲労の変化の兆候は無く、ゆえにそれは抹消疲労の差違は、長筋長において観察された、より大きな疲労が原因であると示唆している、と記述している。 研究者たちは何を行ったか? 研究者たちは、異なる筋長における神経活性化のパターンが、疲労しているコンディションにおいても一貫性を持つのかどうかをみたいと考えた。彼らはまた、筋長が最大等尺性随意収縮(MVICs) 後の疲労に及ぼす影響を再調査したいとも考えた。彼らは単収縮補間法、筋電図活動、及び2つの異なる筋長(短/長)における最大随意、及び電気的に励起された二重トルクを使い、筋活動を評価した。彼らは、2つの異なるセッションの際、これらそれぞれの筋長において行われた疲労性の運動の前後に測定を行った。 単収縮補間法は、最大随意収縮(MVCs)の際の筋活動の度合いを評価する方法である。単収縮とは筋肉への単一電気パルスであり、通常電極を用いて引き起こされる。補間された単収縮とは、筋肉が既に最大随意収縮している際に単収縮により引き起こされる力の増加のことである。これは被験者がどれほど効率的に随意に筋肉を動員できるかどうかを評価する。 研究者たちは、2週間の間隔をあけて行われる2つのテストセッションからなる実験の為に、身体的に活発である12名の男性被験者を集めた。各セッションは、異なる筋長における大腿四頭筋への疲労性エクササイズの前後に行われた筋活動テストで構成された。 短筋長のセッションは40度の膝関節屈曲において行われ、長筋長のセッションは100度の膝関節屈曲位において行われた。重要なこととして、短長両方の疲労セッションは、短時間、及び長時間の最大随意等尺収縮に対して検査された。ゆえに各筋長における最大随意等尺収縮は、各筋長において行われた各疲労性運動後にテストされている。 疲労性の運動は、各収縮間に1分の休憩を入れた、ある一定のトルクの減少(疲労前最大随意等尺収縮の20%、40%、60%、の減少)が見られるまで維持された、3回の最大随意等尺収縮から成っていた。 研究者たちは、以前の研究が最大大腿四頭筋トルクは70度の膝関節屈曲において起こると示していたため、これらの2つの関節可動域を選択したと説明している。ゆえに研究者たちはこの最大値の前後30度である短長の長さを選択した。 研究者たちは、疲労性運動の前後に、最大随意等尺収縮の前後及び最中に電気刺激を与えながら、被験者に5秒間の膝関節伸展最大随意等尺収縮を2回行わせた。 彼らは、最大随意等尺収縮の前に、2組の電気インパルス(2重)と単一の電気インパルスを、弛緩している大腿四頭筋へ2秒の間隔で流した。 彼らは、最大随意等尺収縮の際に、収縮している筋肉に対し2つの二重インパルスを3秒の間隔で流した。 最後に彼らは、最大随意等尺収縮の1秒後に、2つの二重インパルスを2秒の間隔を開けて弛緩した筋肉へ流した。 また研究者たちは、実験中表面電極を使用し、外側広筋、大腿直筋、大腿二頭筋(長頭)から筋電図記録をとっている。
コーキネティックの“運動ニューロマトリックス” パート2/2
私達の運動は、生涯にわたって集められた、これまでの内在的、外在的経験によって構成されています。身体を純粋な機械的構造物として見ることは、‘運動ニューロマトリックス’と脳の役割、私達の運動においての神経系と記憶の役割の構成要素となる経験の奥深さを見落とすことになります。脳と脳の様々な入力をみることによって、運動制御レベルでの今後の問題に関しての、これまでの運動の問題の影響を理解することができます。研究が、今後発生するかもしれない傷害の予測のための大きな判断材料は、過去に発生した傷害であると示しています。 “痛みへの順応は、短期間の利益がありますが、潜在的な長期の影響を伴います。” Hodges (2011年) 私達の日々の要求と姿勢、これまでの運動における問題と感覚入力は、私達の今後の運動において何が起こるかを決定する際に、大きな役割を果たしています。既往痛は、脳内の運動皮質と感覚皮質に変化を引き起こし、私達の運動潜在能力を制御します。痛みを取り除くことがリハビリテーションの黄金律ですが、これまでの運動が評価されたり、復元されたりすることは滅多になく、私達は症状、あるいは痛みを軽減するアプローチをとります。この変化した運動は、後になって局所的、あるいは全体的に、潜在的な運動における問題と痛みを作り出す可能性があります。これは、身体が経験している問題の原因として、足のような特定の構造に目を向けるように、より生体力学的、あるいは姿勢に関する先入観にとらわれたモデルから離れることを意味しています。発表されている研究は、経験した痛みに関連する特定の病理学的機序を一貫して支持しているわけではありません。 “痛みは、痛みのある、あるいは損傷部位を保護するために、運動戦略を変更しようと強い刺激を与えますが、痛み、あるいは傷害の解決は、必ずしも初期パターンに戻るための刺激を与えることではありません。” Hodges (2011年) 実際に、痛みは実際の損傷というより、ニューロマトリックスの中に含まれている全ての情報に基づいた、体組織の健康に対する身体の見解なのです。 治療用ベッドのように、閾値の低い方法で評価することは、傷害、あるいは制限に関連する運動の問題を発見するため、環境要因を作り出すことを可能としないかもしれない、ということを意味しています。 私達コーキネティックでの、評価におけるSAIDの原則は、身体は私達に“課された要求への特異的な答え”を与えてくれるということを表現しています。評価の要求が変化するにつれて、要求への反応も変わるでしょう。これは、エリートレベルの競技者において特に重要であり、競技者全体において、より重要なものです。 私達は下記のモデルを模範として、脳が機能すると信じています: パターン − 状況の認識記憶 知覚 − 感覚フィードバックの解釈 予測 − 反応‐低下した運動と痛みを含む 身体に、運動における本質的な運動ニーズに由来する、正しい感覚情報のパターンを与えることによってのみ、機能的な状況における、評価/治療の状況から離れた、機能的な状況において起こる、身体からの真の反応、あるいは予測を得ることを期待することができます。問題はしばしば、単に運動指令/計画、あるいは運動状況に応えて起こるであろうことへの意見、あるいは予測なのです。感覚処理の観点から起こることのほとんどは、単に毎分毎に変化可能な解釈、あるいは知覚なのです。神経信号は、“運動ニューロマトリックス”内に含まれている他の要因に従って、中枢レベルにおいて増幅され、あるいは減衰されます。 “痛みは、ただ単に傷害に対する反射的反応というより、生命体の健康状態に関する見解です。疼痛受容器から脳内の‘痛覚中枢’への直接のホットラインは存在しません。” VS Ramachandran 私達の感覚系はまた、‘運動ニューロマトリックス’における中心的存在です。 私達の感覚の全ては、その環境においてナビゲートする必要がある利用可能で大量な情報をうまく処理するために、私達の動き方に影響を及ぼします。この感覚情報における不整合は、準最適運動と痛みを引き起こす可能性があります。感覚系は、単に私達の運動情報のみでなく、より重要であるかもしれない視覚系情報や前庭系情報も含みます。 “神経障害痛のような感作、阻害された神経系において、感覚運動不調和は痛みに寄与、もしくは痛みを維持する可能性があります。” Moseley and Flor (2012年) ストレスホルモンのレベル、食事、水分補給状態、呼吸を含む体内の健康状態はまた、私達の運動レベルと疼痛レベルに影響を及ぼします。また、運動能力を考慮する際には、‘運動ニューロマトリックス’も含まれます。 本物の環境の中で、効果的な運動、感覚系、健康を通して、‘運動ニューロマトリックス’と関わることによってのみ、私達は個人と彼らの運動潜在能力を本当に理解することができるのです。 参照文献 Blakeslee S, The body has a mind of its own, Random house, Sept 2008 Hodges P Walker K, Moving differently in pain, PAIN 152 (2011) S90–S98 Jackie Yuanyuan Hau et al, “Regulation of axon growth in vivo by activity based competition” Nature, 2005 Vol. 434 21 Kandel E et al, Principles of Neural science, fifth edition, November 2012 Lederman E, The fall of the postural–structural–biomechanical model in manual and physical therapies: Exemplified by lower back pain, CPDO Online Journal (2010), March, p1-14. http://www.cpdo.net Melzack R, Pain and neuromatrix in the brain, J Dent educ, 2001 Dec, 65(12):1378-82. Moseley G, Flor H, Targeting cortical representations in the treatment of chronic pain, Neurorehabilitation and neural repair, XX (X) 1-7 Moseley L et al, Cortical changes in chronic low back pain: Current state of the art and implications for clinical practice, 3rd International conference on movement dysfunction 2009 Moseley L, A pain neuromatrix approach to patients with chronic pain, Manual therapy 2003, 8(3) 130-140 Ramachandran VS et al, Touching the phantom limb. Nature. 1995;377:489-490. Ramachandran VS and Blakeslee S, Phantoms in the brain, New York: William Morrow, 1998
ACL再建術後の早期リハビリテーション 6つの重要なポイント パート2/2
膝屈曲の動きを徐々に改善 膝の屈曲制限は伸展制限より一般的でない傾向ではありますが、起こり得ることであり、屈曲への取り組みも見過ごさないようにしたいものです。屈曲と伸展の間にシーソーのような関係があることが多くあります。一方の方向に取り組めば取り組むほど、もう一方の方向がより硬くなる傾向にあるのです。これは、慎重に、しかし漸進的に、関節可動域の向上に頻繁に取り組むことにより解決されます。 また、膝の屈曲を回復させるために、ストレッチと同時に浅いスクワットや、ゆくゆくはランジなどの機能的動作のトレーニングを行うようにします。可動域のエクササイズの漸進性を自分自身で制御できれば、知覚的脅威は減少し、動作は回復しやすくなります。 膝の約90度までの屈曲は、1週間ほどでゆっくり回復します。それから徐々に改善し、4~6週間かけて完全に屈曲できるようになります。 膝蓋骨の可動性を維持 可動域減少の原因のひとつに、膝蓋骨の可動性が失われていることがあります。膝の屈曲と伸展には、膝蓋骨の充分な可動性を必要とします。膝に痛みと腫れがあり、動かしづらくなると、瘢痕組織が形成され、膝蓋骨の動きを制限します。これは特に、膝蓋腱を移植腱として用いたACL再建術でよく起こります。膝蓋骨の可動性に注意を払わなければ、可動域減少の可能性は著しく高くなるでしょう。 膝周囲の軟部組織と膝蓋骨のモビリゼーションは、術後すぐに実施します。また、患者には、これらを自分自身で出来るように指導し、家でも行うよう促しています。 大腿四頭筋の随意制御の回復 前述の通り、術後の疼痛や炎症、腫脹によって膝周囲の筋調整に反射性抑制が起こります。これらの要因への対処に加えて、大腿四頭筋の随意制御の回復のために実施するテクニックがあります。 デラウェア大学のリン・スナイダー・マクラー氏は、ACL手術後に大腿四頭筋に神経筋電気刺激(NMES)を使用することについて多くの論文を発表しています。NMESを使用しないで単にエクササイズした場合に比べ、NMESを使用することで大腿四頭筋の筋力と機能のより早い回復を促します。 当然、NMESはACLリハビリテーションの初期段階の重要な構成要素になります。最も早い段階で大腿四頭筋セット、ストレートレッグレイズ、ニーエクステンションなどの大腿四頭筋のエクササイズにNMESを併せて実施するでしょう。 大腿四頭筋を収縮させるこれらのトレーニングは、膝の伸展可動域の回復にも役立つという付加効果もあります。 独立歩行の回復 さて、これまでに疼痛と腫脹に取り組み、膝の動きや膝蓋骨の可動性は回復し始め、大腿四頭筋を活性化できるようになったところで、これらすべてを統合し、制限や跛行することなく歩行できるようにします。前述した、焦点を置くべき分野でのひとつでも対処されていなければ、独立歩行はたいてい困難になるか、少なくとも正常には機能しません。 他の組織が損傷していたり保護する必要がある場合を除いて、私は通常、ほぼ1週間で耐えられる範囲で体重をかけられるようにします。2週目までは松葉杖を使用するかもしれませんが、松葉杖に頼ってしまうのではなく、あくまでも補助的に利用し歩けるようにします。 体重をかけるエクササイズ、たとえば体重を移動させるウェイトシフトや膝をロックする練習などが、初期段階では役に立つことが分かりました。また、体重移動と片脚立ちへの移行パターンを定着させるために、コーンを用いたウォーキングドリルもよく利用します。さらに、コーンを跨ぐ後ろ向き歩行も、足部の上で身体が後方に揺れ膝の伸展に役立つことが分かりました。 ACL再建術後の早期リハビリテーションの6つのポイントについて述べてきました。患者とのセッションの際、これらひとつひとつに注意を払うようにしています。この6つのポイントは非常に重要ですから、全てにしっかり取り組むためにもリハビリテーション過程の初期には、むしろセッションを増やし、その後、(保険の限度回数により)ペースを緩めていく方が良いでしょう。
コーキネティックの“運動ニューロマトリックス” パート1/2
運動への多元的アプローチ ‘動作ニューロマトリックス’モデルは、単なる骨、関節、筋肉の機械的操作以上のものとして、私達の運動を表現するように作られています。私達が下記のモデルにおいてリストしている入力のすべては、どのように私達の脳が運動を認識し、反応するのかに影響します。 身体の運動は、脳の‘出力’である神経系の過程の肉体的表現として見られるはずです。下記の図表の中央にある絵は、運動の‘出力’を表し、周囲の‘入力’によって影響されています。私達はしばしば、運動を、脳が受け取り使用する多くの‘入力’によって影響され私達の動作、あるいは運動の‘出力’を決定するためのものとしてよりも、純粋に身体の‘出力’として見ています。 このモデルは、痛みと痛みの経験の形成に多く寄与する‘入力’の多元的モデルを導入しているMelzack氏の“ニューロマトリックス”によって影響されています。痛みに関する従来の考え方からの最も大きな脱却の一つは、ニューロマトリックスにおいて、痛みは、単に‘入力’、あるいは身体からの信号ではなく、脳の‘出力’であるということです。 Melzack氏は、下記のように説明しています: 私はネットワーク全体を分類していて、それらの空間分布とシナプスの結びつきは、最初は遺伝的に決定され、後にニューロマトリックスとして、感覚入力によって形作られていきます。 私達の‘ニューロマトリックス’を通って流れる全てのものは、感覚入力によって形作られています。‘入力’は、根源で‘神経信号’を作り出している‘入力’というより、ただ‘ニューロマトリックス’からの‘神経信号’、もしくは‘出力’パターンを引き起こすだけなのです。この例は、‘ニューロマトリックス’からの痛みの‘神経信号’と結果として起こる痛みの‘出力’を引き起こしている感覚入力というより、末梢で作り出され、脳と‘ニューロマトリックス’に伝達された痛みなのです。ストレスレベルのような‘ニューロマトリックス’への他の‘入力’は、痛みの‘神経信号’‘出力’に影響を与え、調節することができます。私達はまた、身体組織と構造からの感覚‘入力’の代わりに、痛みの‘出力’を持っているかもしれません。 私達の“運動ニューロマトリックス”は、ニューロマトリックスのひとつの出力、運動を強調するように作られています。それは、補正、順応、置換というよりも、むしろ‘ニューロマトリックス’からの多くの出力の中の一つにおける焦点と見解なのです。タイトルに‘運動’を添加した理由は、この焦点を強調するためです。 実際、私達が痛みのプロセスを知覚する方法とは反対のものとして、‘運動出力’の背後にあるプロセスをみることさえできます。痛みは、実際には‘出力’である場合にも、主に‘入力’としてみられます。運動は、しばしば多くの‘入力’と要因を無視して‘出力’としてみられます。 同様に、私達の独特な運動を作り出すために、運動は脳によって調節された、数多くの要因によって影響されていると、私達は信じています。 経験(脳) 過去の運動傷害既往歴 意欲 価値観と信条 感情 論理 痛み 皮質マップ 潜在意識 意識 外因 外部の脅威 環境 三次元空間 娯楽、スポーツ、職業 姿勢 重力 床反力 質量とモメンタム 構造 筋肉系 骨格系 神経系 結合組織 異常性 健康状態と活力 呼吸 栄養 水分補給 細胞エネルギー ストレス 習性 睡眠/覚醒サイクル 消化器官の健康状態 解毒器官の健康状態 感覚 視覚 前庭 聴覚 運動感覚 嗅覚 味覚 触覚 このモデルは、私達の運動において、脳が制御因子であるということを前提として機能します。実際に、私達の脳は、脳自身を再配線することが可能で、脳が通常使用する結合を強化していて、使用しない結合を低下させています。これが、神経剪定として表現されるプロセスです。 “神経伝達物質の放出がより不活発な軸索分岐が後退する一方で、神経伝達物質の放出がより活発な軸索分岐は、特定の神経筋部位において持続し、多ニューロン神経支配の標準的な除去を引き起こします。” Jackie Yuanyaun Hau他 これは、私達の神経連絡の観点から、“使わなければ、失われる”ということを難しく表現しているわけですが、脳科学と神経可塑性の主要原理の一つなのです。 この再配線は、私達の特有な‘はっきりとした運動特徴’、あるいは個人の運動の潜在能力を定義する神経回路を作り出す、私達の記憶、構造、感覚系、活力、環境を含む複数の入力に基づいています。この全ては、良好な運動を行い、生きるために、感覚系と運動系がお互いに依存し合い活動する大脳皮質において起こります。これらの皮質領域は、現在、私達の運動と痛みの両方を理解するために、必要不可欠なものとして考えられています。 “感覚地図からの一定で正確なフィードバック無しには、運動地図は役目を果たすことができません。そして、相互退化のフィードバック・ループがセットアップされます。感覚地図が悪化すると運動地図も悪化し、そして、感覚地図はより悪化します。” The Body Has a Mind of its Own(邦題:脳の中の身体地図~体は独自のマインドを持っている~) Sandra and Matthew Blakeslee著 “痛みが持続する際に発生する変化の一側面に、一次感覚皮質における痛みを伴う身体部位の固有感覚表現があります。これらの表現は、脳が動作の計画を立て、遂行するために使用する地図であるため、運動調整に影響を与えるかもしれません。身体部位の地図が不正確になると、運動調整は阻害されるかもしれません。皮質の固有感覚地図の実験的混乱が、運動計画を邪魔するということは認識されています。” Lorimer Moseley:南オーストラリア大学健康科学学部 臨床神経科学科教授・理学療法学科長
座位での頸部肩エリアへのアプローチ パート1/2
2014年10月8日&9日、東京で開催中のグレイインスティチュートFSTT 機能的軟部組織の変容 上肢コースより。座位のクライアントの頸部、肩上部を中心としたエリアの軟部組織の、前面、側面、後面、全ての方向に向かって、圧縮、張力の組み合わせを使い分けながらアプローチします。
ACL再建術後の早期リハビリテーション 6つの重要なポイント パート1/2
ACL(前十字靭帯)再建術後のリハビリテーションは、この25年間で大きく進歩してきました。膝をギプスで固定することから、術後すぐに膝を動かし、さらに短時間であれば体重をかけるといった方向に進化しています。リハビリテーションの概念に対する理解が進歩するにしたがい、ACL再建術後の効果を最大限にするために不可欠である、機能的なエクササイズや漸進的リハビリテーションに、私たちの焦点はシフトしてきています。 最近では、術後リハビリテーションに100%集中するプロ選手達をみるようになってきました。エイドリアン・ピーターソンがACL断裂を負い、再建術のあと数ヶ月足らずでナショナル・フットボール・リーグで勝利をおさめ、MVPに選ばれたということから、彼は、現在ACL再建術後のスポーツへの復帰の象徴となりつつあります。もちろん、彼の症例は特別ではありますが、術後リハビリテーションは、手術後の回復度合いを大きく左右する要因です。 アドバンスエクササイズやスポーツへの復帰は誰もが望んでいることではありますが、合併症を避け、やがて難易度を上げたアドバンスドリルを可能にするためにも、早い段階でのリハビリテーションが確実かつ適切に実施されることは何よりも重要でしょう。ACLの早期リハビリテーションが不十分であれば、リハビリテーション期間は長期化してしまいます。 これに関連して、ACL再建術後の早期リハビリテーションの6つのポイントについて議論したいと思います。これらの基礎をマスターすれば、アドバンス期は容易になります。 疼痛と炎症の緩和 まず、ACLリハビリテーションのひとつめのポイントは、手術にともなう痛みと炎症を抑えるという単純なものです。これは考えるまでもないことですが、なぜ重要なのかを復習する価値はあります。実際、痛みや腫れを処置しなければ、下記に挙げるACLリハビリテーションの6つの重要なポイントを遂行するのは難しくなります。いくつかの重要な考察すべき事柄をご紹介しましょう: 疼痛と腫脹は、基本的に膝周りの筋群、特に大腿四頭筋をシャットダウンしてしまうことが、数多くの研究で示されています。腫れによる液体がわずかに関節に存在しても、大腿四頭筋の収縮能力を低下させることが分かっています。 大腿四頭筋なしでは、機能するのは困難で、膝が曲がり固まった状態で歩くようになります。 疼痛と腫脹は、関節可動域の改善を妨げてしまうのです。 このように、概念的には単純だとしても、痛みと炎症を軽減することは、術後すぐに焦点を当てるべき分野なのです。圧迫やアイシング、間欠性圧迫、挙上、アンクルパンプ、電気刺激、活動をしすぎないようにすることなど、すべてが役に立ちます。 術後の患者への最も重要なアドバイスは、アイシングを充分行うことです。 完全な膝伸展の動きを回復させる 膝の伸展の可動域を完全に回復させることは、おそらくACL再建術後に行うリハビリテーションの最優先事項になるでしょう。しかし、ここで私が第2項目目に挙げることになった理由は、疼痛と腫脹への対処が、本稿で議論するすべてに密接に関係しているからです。しかし実際のところ、やはり膝の伸展を可能な限り早く回復させるというとことに、私は常に重点を置いています。ACL手術後の比較的一般的な合併症のひとつは、動きの減少ですが、屈曲よりも伸展に制限があることの方が大きな問題が生じます。 疼痛や腫脹があると、膝が軽度に屈曲している方が楽です。ただし、この肢位をあまり長く保っていると、瘢痕組織の形成や関節線維化のリスクが生じます。いったん硬くなってしまったら、動きを回復させることが難しくなるため、術後直ちに膝の伸展を確保することは、非常に大切です。硬くさせてしまってから動きを改善するために激しく努力するより、私は、初期の段階で膝の伸展を回復させ、それからゆっくり動きを回復させることに集中します。 膝の完全な伸展が多少なりとも損なわれると、膝は適切に機能できません。さらに、可動域の減少は、ACLの術後に起こりうる関節炎への進行に関わる重大な要因のひとつであることが研究で示されています。 幸いなことに、適切なリハビリテーションによって、可動域の減少は回避できます。 可動域と軟部組織モビリゼーション、徒手治療に加えて、家での可動域のトレーニングとストレッチエクササイズを十分に、基本的に1時間毎に実施するように必ず指導します。ハムストリングのストレッチとタオルを利用したふくらはぎのストレッチを紹介しています。これは、ハムストリングやふくらはぎの柔軟性を高めることが本来の目的ではなく、これによって同時に膝の伸展をトレーニングするためです。そのため、焦点は膝の伸展に置かれます。 可動域の減少が問題化した場合、私は躊躇なく低負荷で長めのストレッチを指導し始めます。術後1週間で完全な膝の伸展を回復することが目標です。生体力学の研究では、膝の伸展時にかかるACLの移植組織への負荷は、一般的な機能的活動から加わる力よりも低いことが示されています。よって、この動きを避ける必要はありません。
限界に至るまでのトレーニングは筋力の増加に影響を及ぼすか? パート2/2
限界までトレーニングを行うことの筋力強化に対する効果は何か?(続き) ロートン (2004年) – 研究者たちは、26名の男性エリートジュニアバスケ選手とサッカー選手における、2つのトレーニング方法の効果について比較した。2つのグループにおいて被験者は、6週間に渡り6レップを4セット、もしくは3レップを8セットのベンチプレスを行った。より疲労度が大きかった6レップを4セット行ったグループは、3レップを8セット行ったグループ(4.9%)に比べ、6RMの筋力が著しく向上した(9.7%)が、パワーの向上に関しては2つのグループの間で有意な差違は無かった。 フォランド (2002年) – 研究者たちは、健康な23名の成人における2つのトレーニング方法の効果を比較した。一方のグループはセット間に30秒のレストを挟んで10レップを4セット(より大きな疲労のグループ)、他方のグループは各レップ間に30秒のレストをとりながら、40レップ(より少ない疲労のグループ)の両側ニーエクステンションマシーンを使用したトレーニングを、平均1RMの73%で週に3回行った。9週間に渡るトレーニングの後、研究者たちは、最大等尺性膝伸展筋力の測定において両方のグループで類似した向上が見られたということを発見した。 ルーニー (1994年) – 研究者たちは、量を適合させたプログラムの中において、42名の健康な被験者に対しセット間のレストが筋力に及ぼす影響を評価した。被験者たちは、レスト無しグループ、レストグループ、コントロールグループへと振り分けられた。2つのトレーニンググループは6週間に渡り、週に3回、6RMの負荷で6-10回のカールを行うことにより上腕二頭筋のトレーニングを実施した。レスト無しグループは全てのレップをレスト無しで行い、レストグループは各レップ間に30秒のレストを入れた。研究者たちは、限界に至るまでトレーニングを行ったグループは著しく大幅な筋力の増加を示したと発見している。しかしコントロールグループと比較すると両方のトレーニンググループともに、筋力は増加していた。 ショット (1995年) – 研究者たちは、7名の被験者において、14週間に渡り週に3回、最大随意等尺性収縮(MVIC)の70%での、短く間欠的な筋収縮(より少ない疲労のグループ)と長く継続的な筋収縮(より大きな疲労のグループ)という2つのタイプの等尺性ストレングストレーニングによる適応を比較した。右脚のトレーニングとして、各筋収縮の間に2秒のレストとセット間に2分のレストを入れた、3秒間の筋収縮が10回4セット行われ、左脚のトレーニングとして、セット間に1分のレストを入れた30秒の筋収縮が4セット行われた。研究者たちは、短い間欠的な筋収縮よりも、長く継続的な筋収縮の方がより著しくMVICを向上させると発見した。 これらの研究をどのように分析することができるか? 研究プロトコルと結果の評価基準のばらつきにより、結論を出すことは多少困難ではあるが、要約すると、限界まで至らぬよう(もしくはより少ない疲労)トレーニングを行った際に比べ、限界まで(もしくはより大きな疲労)トレーニングを行った際の方が、ほとんどの測定値において、その筋力はより大幅に向上しているようである。しかしながら、全ての研究が全ての筋力の測定値に対してこれを示しているわけではない。例えばフォランド(2002年)は、2つのトレーニング方法においてMVICの筋力に差異はないと報告しており、イスキエルド(2006年)は1RMの筋力に関する限り違いはないと報告している。下記の表は上記の実験の結果を表したものである。 ドリンクウォーター(2007年)は、4x6,8x3,もしくは12x3(セットxレップ)のベンチプレスを週に3回、6週間に渡りトレーニングを行った22名のチームスポーツ選手において、限界を超えたトレーニングが限界に至るまでのトレーニングよりも優れた結果を生み出すかどうかを評価した。8x3のプログラムと比較し、4x6のプログラムにはより長いインターバルが含まれており、12x3のプログラムにはより多いトレーニング量が含まれていた。ゆえにこれら両方のプログラムは、望ましいレップ数を完了するためにより多くの強制的なレップを行うようデザインされていた。研究者たちは、レップの限界には達したものの、追加の強制的なレップも追加のセット量も、基本の8x3のプログラムに比べ、更に大きな筋力の獲得へは繋がらなかったということを発見した。 実践的な意義は何か? ストレングスアスリートに対しては、限界に至るトレーニングを組み込むことが、より筋力の増加につながり得るという十分な科学的根拠がある。しかし、限界までのトレーニングは回復に影響を及ぼし得ることから、各アスリートにふさわしい限度内で慎重に使われるべきである。
股関節前面から肩のモビリゼーション パート2/2
2014年10月8日&9日、東京で開催中のグレイインスティチュートFSTT 機能的軟部組織の変容 上肢コースより。トゥルーストレッチステーション内でゴムチューブを使用したポジションで、ハンズオンテクニックを適用するモビリゼーションをご紹介します。
限界に至るまでのトレーニングは筋力の増加に影響を及ぼすか? パート1/2
ストレングストレーニングの際、筋限界に至るまで行うべきかどうかは、フィットネス業界における意義深い議論の源である。しかしながら、一般紙における関心度の高さにもかかわらず、研究者たちはこの分野における詳細な研究をあまり行っていない。そのため、量を適合させた長期のトレーニング研究は数少なく稀である。その結果として、限界に至るまでのトレーニングが、筋力の増加を最大化するために有益であるかどうかを知ることは困難である。 背景 限界までのトレーニングに関する全ての議論は困難な問題を伴っており、それは下記のように要約することができる。 コーチ間における合意の欠如 – 瞬間的な筋限界に至るトレーニングは、フィットネス業界においてよくみられる議題であるが、それが筋力の増加を最大化するために必要かどうかについて、ストレングスコーチ、パワーリフティングコーチ、及びパーソナルトレーナー間で一致した良好な意見は存在しない。その結果として、トレーニングを行っているかなりの割合の人が定期的に筋限界までトレーニングを行っているが、同様にかなりの割合の人が一定のワークアウトにおいて限界まで行くことは稀である。 研究プロトコルでは一般的に常に限界まで行う – トレーニング期間中の筋力の増加を調査している研究論文においては、一般的に全てのセットが限界に至るまで行われている。ゆえに研究論文が伝えていることと、トレーニングを行う人達によって実際に行われているであろうことの間で矛盾が生じている。これは、多くの人に対して一部の研究情報の適応性を制限してしまう可能性がある。 限界の定義が微妙である – 一部の人たちにとっては、彼らのトレーニング限界の定義が非常に単純なものであるということが明白であるように思えるかもしれないが、全ての人がその言葉の意味に対して同意しているわけではない。一般に、関わっている筋肉(これが多関節運動における複合問題であるかもしれないことを受け入れ)の瞬間的な筋限界、そして、もはやそのエクササイズを必要条件である厳密なセットまで行うことが不可能なポイントである技術的運動限界という、2つの主な定義がある。 全ての運動単位を動員するために限界は必要でないかもしれない – 一部の研究者たちと、限界までトレーニングを行うことの支持者たちは、限界に至るまでトレーニングを行うことは、全ての運動単位を動員するために必要であると提言しているが、研究はこの見解を完全に支持しているわけではない。サンドトラップ(2012年)は15RMの負荷で限界まで行われた各レップにおいて、ラテラルレイズの筋電図活動を調査した。彼らは、筋活動のプラトーへは15RMの負荷において10-12レップで達するということを発見し、それは少なくともトレーニングを行っていない個人においては、全運動単位を全て動員するために完全な限界までトレーニングを行う必要はないということを意味すると解釈した。 要約すると、記憶しておくべき重要なことは、筋限界の効果(そして意味をなすために正確にどの筋限界を使うべきか)に関する研究は、限界までのエクササイズを含むプロトコルを使用した研究が、どれほど頻繁に行われているかを考慮すると、驚くほどに数が少ない。 限界までトレーニングを行うことの筋力強化に対する効果は何か? 下記のトレーニング研究は、様々な異なるアプローチを用い、同じエクササイズを筋限界に至らぬよう(もしくは少々の疲労程度まで)行った、量を適合させたグループと比較し、筋限界(もしくは単に重度の疲労)に至るまでエクササイズを行ったグループの筋力の増加への影響について調査している。 イスキエルド (2006年) – 研究者たちは身体的に活発な42名の男性において、11週間に渡るレジスタンストレーニングと、それに続く5週間の全く同じ最大筋力及びパワートレーニングを、限界に至るまで行うこと、もしくは限界に至らぬよう行うことによる効果を評価した。最初の11週間の段階では、研究者たちは、両方のグループが1RMのベンチプレスとスクワットにおいて同等の向上を示し、スクワットの際の最大レップにおいて同等の向上を示したが、限界に至るまでトレーニングを行ったグループは、ベンチプレスの際の最大レップにおいてより大きな向上を示したということを発見した。しかしながら5週間のピーク段階では、限界にまで至らなかったグループが、下半身において下肢のより大きな筋出力を示し、ベンチプレスを行う際の最大レップにおいてもより大きな向上を示した。研究者たちは、限界に至るまでのトレーニングが筋持久力を高める可能性があるのに対し、限界にまで至らないトレーニングには最大筋力とパワーへの恩恵があるかもしれないと示唆している。 ドリンクウォーター (2006年) – 研究者たちは、エリートジュニアアスリートにおいて、6RMのベンチプレスの筋力と40キロでのベンチスローパワーに対する、レップの限界に至るまでのトレーニングの効果について評価した。2つのグループの被験者は、6週間に渡り週に3回のベンチプレストレーニングを同量行った。一方のグループは260秒毎に6レップを4セット行うことで、レップの限界に至るまでトレーニングを行い、他方のグループは113秒毎に3レップを8セット行うことにより、総合的には同量のレップ数ではあるが、限界にまでは至らぬようトレーニングを行った。研究者たちは、限界までトレーニングを行ったグループがレップの筋力とベンチスローのパワーの両方においてより大きな向上を示したことを発見した。
股関節前面から肩のモビリゼーション パート1/2
2014年10月8日&9日、東京で開催中のグレイインスティチュートFSTT 機能的軟部組織の変容 上肢コースより。トゥルーストレッチステーションを使用し、クライアントの呼吸に合わせて、股関節前面から肩にかけての軟部組織複合体のモビリティーを高める方法をご紹介します。
腕立て伏せ パート4/4
腕立て伏せの変換 残念なことに、様々な理由により床での腕立て伏せを、すぐに行うことができない人たちがいます。下記は、腕立て伏せという素晴らしいエクササイズを最大限に活かせるよう、IFASTで私たちが行っている簡単で効果のある変換です。 インクライン 対 標準 まず最も明白に提供する必要のある変換や調整は、床で腕立て伏せを行うのに十分な筋力がない人への指導です。この場合、私は、膝をついて行うよりも、インクラインの腕立て伏せを好みます。 この腕立て伏せは、次のレベルへのスムーズな漸進につながるだけでなく(単純にラックをさげていき、傾斜を減らす)、私たちが求めている、コアの安定性に対する要求がより通常の腕立て伏せに近いからです。 プッシュアップバー 私たちが普段から使う変換方法の一つとして、プッシュアップバーがあります。 肩の回旋、肘、手首などに問題があり、標準的な腕立て伏せを不快感なく行うことができない人々がいます。 プッシュアップバーは、肩の外旋を可能にするだけでなく、上肢を通してグリップをニュートラルな状態にでき(ニュートラルグリップ=両側の手のひらが向かい合っている状態)、手首も、よりニュートラルな状態に保つことができます。 標準的な腕立て伏せは、手首が大きく伸展し、これは多くのクライアント、およびアスリートにとって問題となり得ます。ただ単にプュアップバーを使うことによって、手首にかかる痛みや不快感を減らし、より定期的に腕立て伏せを行ってもらうことができます。 腕立て伏せのプログラム ここまで、腕立て伏せの方法、目的に応じて自由に使えるたくさんのバリエーション、そして腕立て伏せを指導する際に起こる大きな間違いについて説明してきました。 最後に、この素晴らしいエクササイズをどのようにプログラムに組み込むかを知れば、準備は完璧でしょう。 私がプログラムを作るとき、最初に考えることは、プログラムの主な目的は何かということです。 そこから、筋肉量の増加、脂肪減少、強化、パワーの発達などに分けていきます。 どのエクササイズを選ぶかは、最後の方の選択です。私は、様々なアスリートを指導していますが、腕立て伏せは、トレーニングの基本を多くカバーしているため、多数のプログラムに取り入れています。 腕立て伏せを組み込むときに、私が自分自身にする質問は次の通りです。 プログラムに腕立て伏せを取り入れることによって、この人に何を得て欲しいのか? その答えは大体次の2つのうちの1つです。 上半身、および全身の筋力向上 上半身、および全身の安定性の向上. これは、大切な識別で、どのエクササイズを選択するか、回数、セット数をどうするかを決めるのに役立ちます。 筋力強化が主な目的であれば、回数は少なめに設定します(4~8回)。パワーリフターや強化優位のアスリートにとっては、この数は少なくないかもしれませんが、腕立て伏せは重い1回、2回、3回を行うのに最適な選択肢ではありません。 安定性やコントロールを求めているのなら、回数は少し多めに設定します(6~12回)。でも覚えておいてください、やたら回数を増やさなくとも、メディシンボールなど不安定な表面を使った腕立て伏せを選べば、何回行うかにかかわらず、安定筋群を疲労させるのです! 最後にこれも大切なことですが、もし目的が脂肪燃焼だとしたら、セットごとの回数は多めに設定したほうがいいでしょう(大体8~15回)。ただし、疲れてきても、動きの質は高く保つよう心がけてください。 まとめ さあこれで皆さんは、腕立て伏せについて知っておくべきことを、ほぼ全て学びました。 このような記事を書くには、たくさんの時間と労力がかかりますから、この記事を楽しんでいただけたのなら、ぜひ周りの皆さんにも広めてください。 Facebookでシェアしたり、ツイッターで広めたり、単純に記事のリンクを送るでも、どんな形であれ、この記事を広めていただけるとありがたいです。 良い一日を、そしてぜひ何らかの腕立て伏せをやってみてください!