あなたは中枢神経系を助けているのか?ただ中枢神経系の注意を逸らしているのか? パート1/2

人間の神経系は、非常に適合性があります。中枢神経系は恒常的に中枢神経系/私達に影響する様々な刺激に反応しています。その処理はしばしば、予測に基づいて、あるいは難しく言えばベイズ推論モデルに基づいているということを忘れてはいけませんが、簡略化すれば、入力−処理−出力システムとして表現されるかもしれません。 これが意味していることは、もし私達が入力を変更すれば、その反応として異なる出力を得るかもしれないということです。 最近、私は、騙されやすい中枢神経系に関して、そして、いかに‘神経系を巧妙に改造’するのかに関する多くの議論を読んでいます。正直なところ、同意できるかどうか確実ではありませんが、これは結局、中枢神経系はコンピューターではないということを暗に伝えているように感じますが、これに関して、私は恐らく、潜在的に一時的に出力を変化させる、異なる一時的な入力を提供することによって、神経系の認識を変化させるのであろうと考えます。私達は、一つの‘プログラム’と他のプログラムを交換しませんし、‘初期化’して出荷時設定(例えそれが何であれ)に戻すこともしません。そうではなく、‘プログラム’は、適用された入力に従い、恒常的に状態を発展させます。もちろん、私達は時折、一貫性のある入出力‘ループ’の中に閉じ込められてしましますが、この習性が瞬間的に、恒久的に変化することはそう多くありません。 もし私の出力が,関節の硬さであるとすれば、これが組織の保護に基づいていて、多くの脅威ではない入力を提供されているのであれば、私の中枢神経系に関する認識は‘私達はそこまでの保護を必要としない’という認識に変わるかもしれませんし、次に関節の硬さの減少により、筋緊張の出力を低下させるかもしれません。ほとんどの習性のように、染み付けば染み付くほど、長期間にわたって認識を変化させるために、より定期的に‘有益な’入力が適用される必要があります。 それはただ注意をそらすものですか? 場合によっては、これは認識の変化というよりも、より注意をそらすものかもしれません。そして、適用された入力の新規性と大きさは、現在の状況よりもはるかに興味深く、注目すべきことかもしれません。もし私が、より興味深い、あるいは注目度抜群の刺激を提供することによって中枢神経系の注意をそらすならば、この入力の変化は中枢神経系の出力を変化させるかもしれません。しかし、中枢神経の注意をそらすことは、長期的に何かを有益に変化させるための刺激を提供しないかもしれません。 私達は、変化のための環境を育てることなく、恒常的に中枢神経の注意をそらすこともできます。ただそれだけを行う‘短期間の治療’が、どれほど存在していることでしょうか? 出力におけるこの変化はしばしば、ただの一時的な注意をそらすもの以上のものと混同する可能性があり、これは私達が感触を推定し始めるところかもしれません。突如として新しい入力が、身体の遠く離れた部位の長期にわたる問題の‘解決策’になる可能性もあり、同様に誰かの複雑な痛みのパズルに欠けている奇跡のピースと勘違いされる、あらゆる短期的な変化になる可能性もあります。 私達は、筋膜システム、生体力学、複雑な脳を基底としたメカニズムを伴う、架空のバックグラウンドを作り上げることができます。これら‘解決策’の全ては、成功の指標として、関節可動域、筋力、あるいは感覚といった中枢神経系の出力を介して調整されているすべてのことにおける短期間の変化に依存しているのです!変化という言葉は、単に変化というだけであって、変化が良い事とであるとほのめかしているわけではなく、短期間の変化もまた、長期間の変化、あるいは‘解決策’をほのめかしているわけではありません。 私達は、筋力の増大と関節可動域の増大を、肯定的なものとして混同します。腰痛を患っている人達において、体幹筋群収縮の増大は、現在進行中の痛みの状態と関連していて、筋硬直の減少と筋長調整もまた、実際には、運動制御において、悪影響を及ぼすかもしれません。筋力も柔軟性も共に、状況に依存するものなのです。 痛みの部位における筋力の増大は、潜在的に実際の問題を代替した結果因子であり、原因とはほぼ関連ないでしょう。 これを状況に当てはめてみましょう。 ある人が肘痛を患っていて、治療家、あるいはトレーナーが足に刺激を与えます。この刺激は、種類にもよりますが、さまざま脊髄路を伝わり、処理のために脳まで達します。すると突然、肘の感覚が変わり、良くなったとさえ感じるかもしれません。これは、身体が特に足からの刺激を必要としていて、そして、これはどういうわけか、肘と関連していて、その問題の原因は、わかりやすく言えば、中枢神経系が、恐らく、動いている他の身体部位と比較しても、足から来る情報により多くの注意を払っていて、それ故に、中枢神経系が体内で調整している他の状況への出力を変化させているということを意味しているのでしょうか? 情報の噴出! なぜ中枢神経は特定の身体部位に、より注意を払っているのでしょうか? さて、通常関節によってもたらされる運動が制限されているのならば、固有感覚情報の噴出は、神経系にとって新しく、注目に値し、興味深いものとなります。私達は新しい、あるいはこれまでの経験に基づいた予測を超えた刺激に対して注意を払います。一つの例として、通常よりも高さのある歩道の縁石から足を踏み外した際、突如、私達は、この入力情報の変化に気付きます。もしそれが通常の高さであれば、単に注意を払うに値する情報ではなく、私達は意識せずに楽しく歩くことでしょう。私達はこの新しい刺激に注意を払っていますが、感覚、あるいは他の部位の硬直の調整は、特に新しい刺激の持続時間が十分であれば、中枢神経系の出力として変化するかもしれません。 これは、2つの身体部位は何らかの形で結びついていて、誰かが必要としている刺激ということではなく、その人がたった今注意を払っている、ある刺激なのかもしれません。そのうち、その刺激に今ほどの目新しさも注意を掴む潜在力もなくなれば、注意を逸らすレベルも変化するかもしれません。私達は、軟組織の取り組みにおいて、これを目にします。身体/中枢神経系が慣れてしまって、同様の効果を得るためのさらなる刺激のレベルを提供するために、人々は、フォームローラーから、ケトルベルのようなより硬い器具に少しずつ変化します。 運動によって作り出された固有感覚情報はまた、小さなAδ線維と有害情報を伝達するC線維を抑制する、大きなAβ線維から伝達されてくるような情報によって、痛みに関しての‘ゲート効果’があります。これが、私達が痛みのある部位を撫でる理由であり、この理論は、メルザック とウォールよって最初に提唱された ‘ゲートコントロール理論’として知られています。この理論が、1960年代の原型から進化した一つの理由は、他の神経生理学的メカニズム‘下行性抑制’同様に、痛みによる侵害受容を必要としていたからです。これが、幾つかのケースにおいて、なぜ注意を逸らすことと認識の変化が私の興味を引くのかの理由でもあります。私が認識の変化、あるいは注意をそらせるという理論を好む理由は、他と競合しているたった一つの入力、あるいは出力を変化させる入力の代わりに、抑制されるために起きている侵害受容があることを暗に伝えていないからです。

ベン・コーマック 3143字

パレオプラス:食事とエクササイズの再考 パート2/2

栄養学について私が今説明したことと同じように、エクササイズにも素晴らしいある共通した方法があります。しかし、この栄養学の方法は万人に効果があるわけではありません。なぜなら、欠乏がある場合があるからです。これらの欠乏は必ずしもホールフードが不足しているからではありません。私たちの身体は、遺伝や環境、ストレスレベル、年齢により栄養やビタミンの吸収率が異なるのです。 エクササイズも同じではありませんか? 吸収率は変化するかもしれません。ケトルベルスウィングで体重が減る人もいれば、腰を痛める人もいます。すばらしい食餌療法のようなものを達成するには、どんな手順を追えばよいでしょうか? まず、欠乏があるかどうか調べて知っておくこと。私たちのほんとんどは、何らかの欠乏が見つかることでしょう。そして、一般的な原理にできるだけ従ってみます。 約8週から10週ぐらい過ぎたら欠乏を再検査して、この一般的原理のアプローチで問題を解決できたかどうかを確認します。問題が解決されない人もいるでしょう。必須栄養素の本来の吸収を妨げる既往症や他の要因があるため、実施した栄養学の一般的原理のほかに、さらにサプリの摂取も必要かもしれません。 この定義はファンクショナルエクササイズにも当てはまります。ムーブメントスクリーニングや他の評価法を通して、機能不全という所見がある場合、ファンクショナルエクササイズの一般的原理にまず従いましょう。どのエクササイズや活動が行い難いか、だいたい見当がついていると思います。 トレーニングの後、痛みを誘発したり、顕著な筋肉痛や緊張(いつも心地よく感じる筋疲労とは比べものにならないぐらいの)が起きたりするエクササイズもあります。これらは、おそらくレッドフラッグでしょう。一連のエクササイズをやり過ぎたか、実際よりもずっとよく見えるものとのギャップを補ったか、私たちの身体がコミュニケーションを取ろうとしているのかもしれません。 残念なことに、私たちはいまだ1980年代や1990年代のエクササイズの進化の過渡期にあります。簡単に機能改善できるはずの一般的原理に従う前に、私たちはこれまでずっと、補助的なものを加えてきました。一般的原理に従っても良い結果が出なかった場合、コレクティブエクササイズ(エクササイズの補助的要素で、不足しないようにしたり、吸収を高めたりするために摂取するいわゆるプロテインシェイクやマルチビタミンに相当するもの)を使います。 残念なことに、トレーニングから何かを取り除かなくてはならないという理由から、ファンクショナルムーブメントスクリーンや他のファンクショナルムーブメントのトレーニングに“良くない”というレッテルが貼られているのが見受けられます。 何かを取り除くことには論理的な理由が2つあります。 まず、何かをひとつ除外してすべて改善したら、何かを学んだことになります。次に、何かをひとつ除外して何も変わらなければ、またひとつ何かを学んだことになります。 こうして学習していくことに何か不安を感じますか? スポーツとストレングス&コンディショニングにおける一番の不安は、どういうわけかパフォーマンスのキレが失われてしまうことだと思いますが、一体それはどのようにして? パフォーマンスに影響する環境変化が分かるぐらい頻繁に私たちはパフォーマンスをチェックしているでしょうか?  パフォーマンスにまじめに取り組んでいる人たちは、ある時点でパフォーマンスが最高レベルに達するように計画しており、つまり、彼らのパフォーマンスレベルは、グラフで簡単に追うことができます。より機能的なアプローチを取り入れて、パフォーマンスレベルのグラフに大きな落ち込みが見られたら、すぐにその落ち込みに対して行動を起こし、落ち込みがほんの小さな変化に過ぎないようにすることができるでしょう。 本質的な動きと機能的に動くための基礎を取り戻すためにパフォーマンスの時間をこれに割く不安感は、頻繁にテストを行っていないことと客観性の欠如からくるのではないかと私は思います。クライアントの目標やすべての目標のために私が役に立っていないとしたら、そのことに最初に気がつくのは私でしょう。私は評価基準を体系的かつ客観的な方法で観察しています。これは例外ではなく、規範であるべきです。 特定のエクササイズの除外を正当化し、新たな機能的運動もしくはコレクティブエクササイズを導入するためのデータが揃うでしょう。そうすれば、同じ時間の中で、一般的な身体準備または特定の活動の競技スキルにおいて、実感できるかなり有意な効果がみられます。 では、タイトルにもあるパレオ・・・プラスがどこから来たか説明しましょう。パレオのような除外ダイエットのルールに従って良い結果が得られたならば、たまには幸福感を感じる食べものや便利な食べものを再び摂取したり、または楽しみにできる何かを与えるようにします。そういったものを時々紹介することもできますし、あるいはサボる日を作ることもできるでしょう。 私はできる範囲で地産食材、ホールフード、シンプルな食材、パレオ食材を食べるようにしています。もし、アイスクリームをひとカップ、ピザをひと切れ、とてもしょっぱいポテトチップなどが食べたくなったら、私はそのようなものも食べます。過剰摂取に気がついたら、少し量を減らせばよいのです。 除外ダイエットに従っていたとしても少しサボったり、少しプラスしたりすることによって、ほぼ同等の結果が達成できるのであれば、私にとってはそれで十分なのです。 このアドバイスを、みなさんのエクササイズプログラムの参考にしてみてください。患者さんをリハビリテーション後の活動的な生活スタイルに戻すために、このアドバイスを参考にしてください。(すべての怪我から学ぶことができるレッスンを学習していれば良いのですが)‘このケガを予防するために何かできることはなかっただろうか? また、せめてケガを軽くすることはできたのではないか? 場合によっては、‘ノー’とあなたは言うかもしれませんが、場合によっては、‘うーん、ケガを避けることはできなかったが、リハビリの過程において他に15もの問題が明らかになったせいで、リハビリに時間が長くかかった’と言うかもしれません。 栄養管理計画の除外の目的は、現在の自分自身を取り巻く環境に競争上の優位性を提供することだということを覚えておいてください。筋を維持し、脂肪が少なくよりエネルギーに満ちた状態に保ちたいものです。何かを除外することでこれが達成できるのであれば、それは競争上の優位とパフォーマンス向上でしょう。 機能不全である動きのパターンを改善することは、広範囲にわたる効果をもたらし、これまで行き詰まっていたパフォーマンスの評価基準の多くの要素を変化させます。見てみなければ知り得ないし、初めに検査していなければ再検査もできません。 動きとパフォーマンスの基準を設定しましょう: 補助的と思われるエクササイズや身体の一部に偏ったエクササイズは除外しましょう。 まず全体的な動きのパターンを含みましょう:走る、跳ぶ、運ぶ、登る。 身体が硬かったら、深呼吸して健康を取り戻してから、可動性をつけていきましょう。 力が弱いならば、モノを運んだり持ち上げたりしましょう。 自分自身の動きのパターンを自分のものにしましょう。始めは単純で基本的なことを。最初は負荷はなしで行い、それから負荷を加えます。常に全体性を持って。 身体と動きのパターンの変化を観察しましょう。 理にかなっていなかったり、補助的であると思われるエクササイズは除外してください。基準テストからどのぐらい改善したか見てみましょう。 自分自身のパフォーマンスを観察すれば、パフォーマンスが何であるか否か、などの無限定な発言をする言い訳はできなくなります。パフォーマンスの最初の必要条件は、参加することです。もし、今日のあなたの調子が悪ければ、参加はできないのです。 シンプルかつ基本的で、全体的なエクササイズプログラムを楽しみましょう。一度自分のものにして、楽しんでしまえば・・・こっちのものです!

ファンクショナルムーブメントシステムズ 3444字

パレオプラス:食事とエクササイズの再考 パート1/2

たいてい私は、栄養管理とエクササイズを並行して進めていきます。エクササイズは常に約15年ほど遅れてはいるものの、現代のエクササイズの進化と発展は、栄養管理の進化と発展を反映していると確信しています。 栄養学の潮流にたしかに波はありますが、最新動向に学び、熟読し、取り入れることが大好きです。そうは言っても、私たちの文化のなかで最も先進的な栄養アドバイザーと呼ばれる人たちは、歴史的に表現され、純粋に実践的なある一連の原理に従っていると思います。マイケル・ポーランを思い出してください。 新たな方法論がこれらの原理にしっくり合っているならば、いい線をいっているのではないかと思います。もし、身体の代謝や体内と体外の環境における基礎的な原理を無視した栄養学に走ってしまえば、いつものように“万能薬”や“特効薬”といった手段を単に推奨しているだけになります。 もっとナチュラルでホリスティックな食ベ方を観察すれば、スタイルと実体の両面においてうまくいくでしょう。単に何を食べるかではなく、どのようにどこで食べるかということ。身体器官のバランスを整えることを考慮すれば、間欠断食はおそらく何を食べるかということと同じぐらい重要です。 身体の中に取り入れるものは、生命の維持に必須であり、非常に重要ですが、どのような方法で体内に取り入れるかも同等に重要であると私は考えます。 パレオダイエットやそのライフスタイルによって支持されている除外の考え方が最近注目されていることは、良いことだと思います。除外への関心は、マーケティングをも変えました。食品は、オメガ3や繊維を含んでいることだけを表示するのではなく、ホルモンや合成添加物、着色料、グルテンおよびトランス脂肪を含んでいないことも表示しています。 1980年代と1990年代を通して、栄養学の潮流は補助食品にあったように思います。食物のリソースは十分でなく、しかも適切な食材を料理するには時間がかかり過ぎると、補助食品の摂取を正当化していたことを誰もが認めています。シェイクやビタミンパック、クレアチンなどが出てきました。 サプリには利点があるようで、リサーチも急増しました(まだ続いていますが)。食事に明らかな摂取不足や欠乏または損失がある人にサプリを処方すれば、不足分を補うわけですから、どんなサプリを摂取しても当初の段階から効果が現れることが分かっています。これは、マイナス側面を取り除いているだけで、プラス面は加味されていません。 そもそも、なぜ欠乏があったのでしょうか? 過去の考え方は、“いらないものも取り入れ、良いものも加えよう!”でしたが、最近の流れは(願わくは)、本質的なものを見つけ、不要なものは取り除くことに変わりました。残念ながらそれは、拝金主義とマーケティングに陥ってしまいました。彼らは、私たちが求めているものが何なの分かるや否や、私たちの好奇心を満たすために、安価で、決して健康的ではないものを消費させようとたくらむのです。 これに関してマイケル・ポーランは、多くの書籍の中で、シンプルな言葉で次のように素晴らしいことを言っています。 (以下私の言い換え)できる限りホールフード(丸のままの食品)や汚染されていない本質的な食べ物、地産食材を食べ、そして、自分の身体が最高と感じる様々な品質を味わいなさい。パレオの食べ方の根底にあるのは、地産食材でない、ホールフードでない、不確かな多くの食べ物を摂取しないということです。 エクササイズの行い方にも応用できる教訓はあるでしょうか? エリプティカルマシーンが導入された当時、私はすでにフィットネス&リハビリテーションの専門分野にいました。私の多くの同僚は、衝撃がほとんどなく、臀筋の活動が20パーセント向上するというマシーンに飛びつきました。衝撃にうまく反応できない人や特定の場所でテレビを観ながらエクササイズをしたいという人にとっては、素晴らしいエクササイズの方法ですが、エリプティカルマシーンはトレッドミルやステアステッパーとは異なるものを提供しました。 これらは私たちに改善をもたらしたのでしょうか? エリプティカルマシーンが発明されたからといって、私たちは優秀なランナーやハイカー、クロスカントリ―スキー選手、サイクリストを育成できたでしょうか? それとも、これまでと同様、エクササイズの補助的手段のひとつでしたか? 代謝負荷により一時的な効果はあったものの、これによって、より真っすぐ立てたり、歩き方がきれいになったり、歩行において生体力学的エラーが少なくなったのでしょうか? これらの質問に回答するのがこの論考の目的ではありませんが、問いかけてみるには良いものでしょう。 みなさんがアトキンスダイエット、サウスビーチダイエットを覚えているかどうか分かりませんが、もしくはパレオのファンかもしれませんが、これらのすべてでは、食べ物を追加していくよりも、多くの食べ物を除外することが求められます。たいていの人たちは、パレオ食を毎日楽しめます。ことを複雑にしている要因は別にあります。合成食品、過剰な穀物、低品質の乳製品、精製糖、およびエネルギーサプリメントへの依存は、すべてを複雑化させる要因を生み出してきたのです。 パレオのアプローチが、加える食べ物や除外する食べ物によって本当にためになっているのかよく分かりませんが、一般的な常識として、負荷の方が追加負荷よりも大きいことに気がつくでしょう。新しい食べ物が紹介されているのではありません。合成調味料を減らした定番の食物を多く使用しているだけです。そうですね? パンのないサンドイッチはミートサラダと呼ばれます。栄養学における最近の研究は、本物でない食べ物や習慣的間食の除外は両者とも役に立つことを示しています。 調理が必要な本質的なホールフードを摂取しつつ間欠断食を行うことで、生活の質を向上することができます。心理的なご褒美として、一日ぐらいサボる日を設けてみましょう。そうすれば、ダイエットではなく、素敵な食生活であると感じる栄養管理がうまくいくでしょう。 エクササイズもこのようなレベルに達すればいいですね?

ファンクショナルムーブメントシステムズ 2615字

コンプレッション衣料の筋肉痛への効果 パート2/2

プライオメトリックス後のDOMS 選択基準 集団 – 誰でも 介入 – 主にジャンプ、ホップ、ドロップランディングから成るエクササイズセッションであれば何でも 比較 – コンプレッション衣料の使用と衣料無し、もしくは冷水浴などの他の回復介入 結果 – 認識された筋肉痛の測定値もしくは評価尺度であれば何でも 結果 以下の研究が確認された:デイヴィスおよびその他(2009年)、ダフィールドおよびその他(2010年)、ジェイクマンおよびその他(2010年)、ジェイクマンおよびその他(2010年b)。 発見 コンプレッション衣料を着用することは、プライオメトリックセッション後1-72時間の間における目立ったDOMSの有益な減少をもたらすようである。筋肉痛を減少するためにコンプレッション衣料を使用することは、男女両方、そして十分なトレーニングを行っているチームスポーツアスリートに対し有益であるようである。 4つの研究が、プライオメトリックエクササイズ後におけるコンプレッション衣料のDOMSへの影響を評価している。全ての研究は市販のロングコンプレッションタイツを使用しており、エクササイズ後24時間の時点でDOMSを評価しているが、一部の研究は48時間後(ジェイクマンおよびその他、2010年、2010年b、デイヴィスおよびその他、2009年)および72時間後(ジェイクマンおよびその他、2010年、2010年b)の筋肉痛も評価している。4つすべての研究は、コンプレッションタイツは各時点(24時間から72時間)におけるDOMSを減少したということを発見している。例外として、デイヴィスおよびその他(2009年)が、48時間の時点におけるDOMSは減少したが、24時間の時点ではそうではなかったということを報告している。 要約 ロング丈コンプレッションタイツを着用することは、プライオメトリックス後24-72時間の間におけるDOMSのわずかな減少を生み出す。 有酸素運動後のDOMS 選択基準 集団 – 誰でも 介入 – 定常有酸素運動セッションであれば何でも 比較 – コンプレション衣料の使用と、衣料無しもしくは冷水浴などの他の回復介入 結果 – 認識された筋肉痛の測定値もしくは評価尺度であれば何でも 結果 以下の研究が確認された:アイおよびその他(2007年)、ヒルおよびその他(2014年)、トレセラーおよびその他(2015年)、ビーゼンおよびその他(2014年)。 Findings 5kmからマラソン(ロードおよびトレイルランニングの両方を含む)までの間の距離における持久系エクササイズ後にコンプレッション衣料を着用することは、エクササイズ後1-24時間の間におけるDOMSの減少を生み出す。 4つの研究が持久系トレーニングセッション後における、コンプレッション衣服のDOMSへの影響を評価している。その研究は、5kmからマラソンまでの距離におけるロードランニング(ヒルおよびその他、2014年、アイおよびその他、2007年、トレセラーおよびその他、2007年)、および総合して15.6kmである上り坂と下り坂のトレイルランニング(ビーゼンおよびその他、2014年)を評価している。被験者は、女性(ヒルおよびその他、2014年、トレセラーおよびその他、2015年)、男性(アイおよびその他、2007年)、および熟練した男性ランナー(ビーゼンおよびその他、2015年)であった。1つの研究のみがロング丈コンプレッションタイツの使用を評価しており(ヒルおよびその他、2014年)、他の研究は膝丈コンプレッションストッキングを使用していた。 要約 持久系トレーニング後にコンプレッション衣料を着用することは、24時間までのDOMSを減少することにおいて有益である。対照的に48時間の時点における効果は無いようである。 間欠的運動後のDOMS 選択基準 集団 – 誰でも 介入 – 間欠的有酸素運動セッションであれば何でも 比較 – コンプレッション衣料の使用と、衣料無しもしくは冷水浴などの他の回復介入 結果 – 認識された筋肉痛の測定値もしくは評価尺度であれば何でも 結果 以下の研究が確認された:アイおよびその他(2007年)、ダフィールドおよびその他(2008年)、モンゴメリーおよびその他(2008年)、ダフィールドおよびその他(2007年)。 発見 コンプレッション衣料は、スプリントの反復および練習試合を含む間欠的運動後24-72時間の間におけるDOMSを減少するようである。コンプレッション衣料は、より多量もしくは高強度のエクササイズ後によりいっそう効果を示すようである。 4つの研究が、間欠的運動後におけるコンプレッション衣料の効果を評価している。間欠的運動の種類は各研究によって異なっており、スプリント(ダフィールドおよびその他、2007年、ダフィールドおよびその他2008年)、多段階漸進フィットネステスト(アイおよびその他、2007年)、もしくは3日間にわたるバスケットボールトーナメント(モンゴメリーおよびその他、2008年)から成っていた。各研究の被験者は全て、趣味またはクラブ基準のスポーツ選手、もしくは趣味として活発に活動する男性であった。コンプレッション衣料は、ロングタイツ、ロングタイツとシャツ、あるいは膝丈ストッキングであった。全ての研究は、エクササイズの24時間後のDOMSを評価しており、2つの研究はさらに48および72時間後のDOMSを評価していた(ダフィールドおよびその他2008年、モンゴメリーおよびその他、2008年)。コンプレッションの有益な効果は、3つの研究において発見されたが、漸進フィットネステスト後のDOMSを評価した研究は、コンプレッションのいかなる影響も示していなかった(アイおよびその他2007年)。さらにコンプレッション衣料は、ラグビーの練習試合後48時間および72時間の時点において、またバスケットボールトーナメント中のDOMSの有益な減少をもたらしている。 要約 コンプレッション衣料を着用することは、スプリント後や間欠的スポーツ後24-72時間の間のDOMSを減少することに対し有益な効果がある。 結論 コンプレッション衣料は、レジスタンストレーニング、プライオメトリックトレーニング、また定常および間欠的有酸素運動を含む多数のタイプのエクササイズ後におけるDOMSを減少する。 ほとんどの場合、DOMSの軽減は24-48時間の間に観察されているが、ある種のエクササイズはより長時間(レジスタンストレーニング、プライオメトリックトレーニング)およびより短時間(有酸素トレーニング)におけるDOMSの軽減を示している。 DOMSの軽減は、男女同様に、また熟練したアスリートおよびレジスタンストレーニングを行っている個人において体感されるようである。コンプレッション衣料は、より多量のエクササイズもしくはより高強度におけるエクササイズ後により多くの恩恵をもたらすようである。

ストレングス・コンディショニング・リサーチ 3020字

コンプレッション衣料の筋肉痛への効果 パート1/2

目的 この記事は、エクササイズ後の回復期間中における、筋肉痛の測定値に対するコンプレッション衣料の影響を要約している。 遅発性筋肉痛(DOMS)に対する影響 序論 多くの研究は、趣味として運動を行う人、地域および大学のアスリート(そして持久系アスリート)また、ストレングストレーニングを行っていない男女を含む様々な個人において、エクササイズ後に認識されている筋肉痛へのコンプレッション衣料の影響を評価している。認識されている筋肉痛とは、エクササイズ後の筋肉において感じられる不快感、圧痛、もしくは痛みのことを言い、一般的に、個人が活動の低減した期間から復帰した際、もしくは比較的新しいトレーニングの刺激を経験した際に増大される。認識されている筋肉痛はきわめて一般的に遅発性筋肉痛(DOMS)を指す。スポーツ科学者たちは、様々な測定値によりDOMSを数値化することが可能であり、個人が認識している「全体的な」筋肉痛、もしくは日常生活を行っている際の、筋肉をその可動域で動かしている際の、あるいは触診による主観的な評価尺度(視覚的アナログ尺度)が最も一般的である(チャンおよびその他、2003年、クレーマーおよびその他、2010年)。 エキセントリックトレーニング後のDOMS 選択基準 集団 – 誰でも 介入 – 急性筋損傷を起こすことを目的とした、エキセントリックの高負荷もしくは最大負荷に注目したエクササイズセッションであれば何でも 比較 – コンプレション衣料の使用と、衣料無し、もしくは冷水浴などの他の回復介入 結果 – 認識された筋肉痛の測定値もしくは評価尺度であれば何でも 結果 以下の研究が確認された:カーリングおよびその他(1995年)、クレーマーおよびその他(2001年)、クレーマーおよびその他(2001年b)。 発見 エキセントリックトレーニング後における、コンプレッション衣料のDOMS測定値への影響は、(全てではないが)多くの研究がエクササイズ後24時間から5日の間において向上を示しているため、いささか不明確である。 3つの研究全ては、腕屈筋群へ対するエキセントリックな損傷後、24、48,72時間の時点において認識された筋肉痛を評価しており、全ての被験者はコンプレッションスリーブを着用していた。この研究における被験者は、ストレングストレーニングを行っていない男性(クレーマーおよびその他、2001年)、ストレングストレーニングを行っていない女性(クレーマーおよびその他、2001b)、および男女大学生であった(カーリングおよびその他、1995年)。それらの研究のうち2つは(クレーマーおよびその他、2001年、クレーマーおよびその他、2001年b)、コンプレッションスリーブは全ての時点において認識された筋肉痛に対し有益な影響があったということを発見しているが、もう1つの研究は(カーリングおよびその他、1995年)、コンプレッションスリーブの影響を発見していなかった。コンプレッションスリーブの有益な効果を発見した両方の研究は、他の研究と比較し多少多くのエクササイズ量を使用していた(100対70総レップ)。同様にカーリングおよびその他(1995年)は、エキセントリック損傷後に一般的にみられる筋力強化もしくは筋肉の腫れはエクササイズ後に変化していないということを報告している。 要約 コンプレッションスリーブは、筋力強化もしくは筋肉の腫れが起こるエキセントリック筋損傷後のDOMSを軽減する。 レジスタンストレーニング後のDOMS 選択基準 集団 – 誰でも 介入 – レジスタンストレーニングセッションであれば何でも 比較 – コンプレション衣料と、衣料無しもしくは冷水浴などの他の回復介入 結果 – 認識された筋肉痛の測定値もしくは評価尺度であれば何でも 結果 以下の研究が確認された:クレーマーおよびその他(2010年)、後藤およびその他(2014年)、フレンチおよびその他(2008年)。 発見 今までに、少数の研究がレジスタンストレーニング後におけるコンプレッション衣料のDOMSへの影響を評価している。レジスタンストレーニングを行っている男女において、上半身および下半身のコンプレッション衣類は、全身のレジスタンストレーニングセッションの24時間から48時間後におけるDOMSの有益な軽減をもたらすようである。 レジスタンストレーニングセッション後のDOMSを評価した研究は、3つ存在する。1つの研究は(フレンチおよびその他、2008年)、被験者に下半身のレジスタンストレーニングのみを行わせ(最大エキセントリック負荷において10回のバックスクワットを6セット)、他の2つの研究は全身のレジスタンストレーニングセッションを完遂させた。レジスタンストレーニングのDOMSへの影響は、レジスタンストレーニングを行っている男性(後藤およびその他2014年)、トレーニングに精通している男性(フレンチおよびその他、2008年)、およびレジスタンストレーニングを行っている男女(クレーマーおよびその他、2010年)において研究されている。2つの研究は全身用ボディコンプレッションスースを使用し(クレーマーおよびその他、2010年、後藤およびその他、2014年)、1つの研究はロングタイツを使用していた。被験者が全身のレジスタンストレーニングを行った2つの研究は、エクササイズ後24時間および48時間の時点の両方において測定した際、コントロール被験者と比較し有意なDOMSの向上を報告している。対照的に、フレンチおよびその他(2008年)は、下半身のレジスタンストレーニング後1—48時間の間におけるDOMSに差違はなかったと報告している。また被験者は、エクササイズ後の1時間と比較し、いかなる時点においてもDOMSに差違はなかったと報告している。対照的に、他の2つの研究における全ての被験者に対し、エクササイズの24時間後に測定を行った際、DOMSは有意により大きく、トレーニング効果の差違を示しており、それが発見の差違につながったのかもしれない。 要約 全身用コンプレッションスーツを着用することは、全身のレジスタンストレーニング後24−48時間におけるDOMSを軽減する可能性がある。

ストレングス・コンディショニング・リサーチ 2676字

運動療法を用いる際に知っておくべき4つの必要不可欠なポイント パート2/2

考え過ぎない/恐怖感の無い状態 一体何人の人達が、回復過程をも妨げる再受傷の恐怖感によって、痛みを増幅させたでしょうか?それは、身体の物理的部位は完全に治癒していても、疼痛経験と関連するようになる可能性のある心理的側面のせいで、運動・感覚反応はいまだに防御状態にはまり込んで抜け出せないということかもしれません。 再受傷の恐怖感は、人々の回復に悪影響を与える可能性があり、一例として、次の研究のように、前十字靭帯(ACL)損傷後に重度の運動恐怖症を目にすることがあります:Kinesiophobia after anterior cruciate ligament rupture and reconstruction: noncopers versus potential copers(前十字靭帯損傷と再建術後の運動恐怖症:予後不良患者と潜在的な予後良好患者の対比) 人々はしばしば、‘調子のよくない’膝、あるいは‘壊れそうな’腰に自分を重ね合わせ、その部位への過度の認識されるストレスと負担をかける活動から積極的に逃れようとするかもしれません。Vlaeyenは恐怖回避に関する話題で、1995年に素晴らしい研究論文を執筆しました:The role of fear of movement/(re)injury in pain disability(疼痛障害における運動/(再)受傷の恐怖感の役割)。特定の活動を避けることによって、彼等の身体部位に関する信念は強化され、それ故に、彼等はこれらの活動をさらに避けるようになります。 生理学的レベルにおいて、これは、作業の必要性がより低いため、これらの部位は低能力な組織と失調を引き起こすということを意味するかもしれません。低能力は、その部位がより容易に過負荷になり、恐らく、今後の痛みに敏感になることを引き起こすかもしれません。 先程、リラクゼーションのセクションで議論したのと同様に、恐怖に対する行動によって引き起こされる防御的な運動反応は、組織への血液供給や老廃物の除去のような局部での自然な生理学的プロセスを妨げる可能性があります。これは、アシドーシスや更なる感度知覚や回避行動・回避信念に至らせる、機械的侵害受容器感度の増大を引き起こすかもしれません。 過度の用心深さ(知覚過敏が増強した状態)は、‘危険に晒されている’と認識される特定の部位に適用されるかもしれません。そして、その過度の用心深さは、今後の再受傷の不安とそれに続く仕事や家族生活への影響を伴う可能性があります。 運動療法アプローチにおけるキーコンセプトは、身体的・心理的脱感作の両方へのアプローチに基づく、段階的な露出と漸進的な負荷を利用することです。目指すのは、考え過ぎず、恐怖感の無い状態で機能的な活動に戻ることです。肯定的な運動の成果を再確認することは、運動に関して抱かれている否定的な信念を減らすことへの鍵です。 変動性/多様性 変動性は、生体系にもともと備わっているものです。このことに関して、私はMovement variability & its relation to pain and rehab(運動の変動性と、痛みとリハビリテーションへのその関連性)に詳しく記述しました。 運動の自然な変動性は、痛みに影響を受けると共に、痛みの原因でもあるかもしれません。この最近の研究論文Interaction between pain, movement, and physical activity: short-term benefits, long-term consequences, and targets for treatment (痛み、運動、身体活動間の相互作用:短期的な効果、長期的な影響、治療の目標)は、痛みと運動間の関係性に関して明らかにしている新しい理論のいくつかを強調しています。治療とパフォーマンスの両方における、エクササイズへのアプローチはしばしば、ターゲットの組織や運動への効果を増大させるために、多様性を減らしています。これは、筋肥大と作業能力のためには良いかもしれませんが、これまでに多く書かれてきた、リハビリテーション用エクササイズの目的を形作っている、運動系による痛みへの適合に関する重要な側面に取り組むことに欠けています。 MoseleyとHodgesは、Reduced variability of postural strategy prevents normalization of motor changes induced by back pain: a risk factor for chronic trouble?(姿勢戦略における変動性の減少は、腰痛によって誘発された運動変化の正常化を妨げるのか?:慢性的問題の危険因子)において、慢性腰痛を引き起こす危険因子としての変動性の減少を確認しました。 この研究論文Low back pain status affects pelvis-trunk coordination and variability during walking and running(腰痛の状態は、歩行と走行中の骨盤−体幹の協調性と変動性に影響を及ぼす)は、腰痛を持たない、一度だけ腰痛を経験した、あるいは長期的に腰痛を患っている被験者における歩行と走行の変動性解析から確認しています。 彼等の結論は: "このデータは、たった1回の腰痛の発症にさえ関連している損傷リスク増大とパフォーマンスの欠如の洞察に役に立ち、臨床医は、腰痛のためのリハビリテーションを処方する際に、痛みの解消のその先を考える必要があるということを示唆している” 私のお気に入りの運動理論の一つは、Feldmanによって記述された‘均衡点’です。 Latashは、このことをMotor Control Theories and Their Applications.(運動制御とそれらの適用)の中で解説しています。 "これは、中枢神経系の制御レベルが、空間的座標において、筋肉がいつどのように活性化されるかについての正確な詳細について懸念することなく活性化される場所を指定することを可能にしている" よって、中枢神経系は、末梢レベルでの一時的な協調を自己管理された/自己最適化された、つまり変動性のある状態に放置する一方で、運動パラメーターを設定するかもしれません。これは、ガンマ運動ニューロンと筋紡錘に関わるフィードフォワード/フィードバック機構を介してであると仮説を立てられています。 もしパラメーターが、中枢神経系によって厳しく設定されているのであれば、これはシステムの中で利用可能な変動性と変化する刺激への適合を可能にする能力を縮小するかもしれません。 私の予感(恐らく、科学的には良くないこと)の一つは、パラメーターは特定の身体部位の皮質マップと、これまでの運動経験/疼痛経験の相互作用を介して設定されているのかもしれないということですが、もちろんこれは証明されていません! 私達はこの情報を現場でどのように使用できるでしょうか?異なる運動パターンと変数の幅は、対応/適合する人へ異なる刺激を提供するために、運動療法プログラム中に活用されるべきです。彼等が診療所環境、あるいはジム環境から離れる必要があるということとほぼ同様に。

ベン・コーマック 3123字

運動療法を用いる際に知っておくべき4つの必要不可欠なポイント パート1/2

リラクゼーション/動作の自由さ 一般的に、治療に基づいたエクササイズは、活性化増大の獲得、更なる筋力の創出、時には早発型の筋収縮の獲得が目的です。これはしばしば、‘発火’の増大として表現され、もし誰かが私に‘臀筋群が発火していないと言われています’と言うたびに1ポンドもらえたら、私は今頃金持ちになっていたはずです! 痛みがある時、そして痛みの後の人々の運動を研究すればするほど、実際には、筋肉を弛緩・筋肉のスイッチをオフにすることが不可能であることわかってくる傾向にあります。筋肉がライトのスイッチのように、オフにしたりオンにしたりできるのかは確かではありませんが、人々が持っていると思われる概念と一致しており、筋肉の発火過多を防いでいます。 Paul Hodgesのグループによる最近の研究論文:Gain of postural responses increases in response to real and anticipated pain(実際の痛みと予測される痛みに反応して、姿勢反応の獲得が増大する)では、まさにこのようなことが発見されました。 この研究において、実際の刺激と侵害刺激の両方がタスクに導入される際に、筋肉の活性化の増大が見られます。 "そのタスクに必要なものよりも早期で多大な筋肉の活性化は、関節への不必要な荷重を作り出す可能性がある。もしこれが維持されるのであれば、長期的に影響を及ぼす可能性がある" Spine loading characteristics of patients with low back pain compared with asymptomatic individuals(無症状の被験者との比較による、腰痛を持つ被験者の脊椎負荷特性)の中で、これはまた、腰痛を経験している被験者にも当てはまりました。 "管理された運動中、腰痛群は、無症状群よりも26%強い脊椎圧迫と75%強い横せん断力(モーメントへの正常化)を経験した。脊椎負荷の増大は、筋肉の同時活性化に起因した" このことから、何を得られるでしょうか? しばしば、エクササイズのゴールは、硬直、正確さ、制御、完璧に特定の筋肉をターゲットにしようと試みることですが、多くの場合、健全な人間動作を特徴づける自然な変動と流れを可能にするために、筋弛緩と動作の自由さを必要としているかもしれません。 簡潔に言うと、痛みのある人達は運動を変化させているということです。これは、運動評価に影響を与え、治療的な思考のもとで、筋肉が弛緩した状態と真の自由な動きを回復させるために、どのように人に運動させるかにも影響を与えるでしょう。 関連性 “Patient led goal setting in chronic low back pain-What goals are important to the patient and are they aligned to what we measure?” (慢性腰痛において目標設定を指導された患者−患者にとってどのような目標が重要で、それらの目標は私達が測定するものと連携しているのか?)は、あまり取り上げられることのなかった研究の一つです。現在実践されていることに異議を申し立てるものだからかもしれません。 この研究の結果は、患者の目標はどれ一つとして、理学療法士によって使用される一般的な測定とは連携していなかったことを発見しました。従来の測定は、痛み、筋力、関節可動域でした。 この論文に関する批判は、患者の目標が記述されていなかったということですが、これらは、患者や患者の生活と幸福の質にとって重要な、子供を抱え上げる、あるいは痛みなく靴ひもを結ぶといった特定の活動に関連する目標だったかもしれません。 私達が、治療の心理学的側面に関して理解すればするほど、このような研究はより重要になります。もしあなたの成功の尺度が患者の尺度と異なるようであれば、あなたが良い結果と見なしているものは、本当に問題を抱えている人達には、同じようには見られていないのかもしれません。 患者の明確な目標について考えるならば、たとえ私達が、生体力学、神経力学、あるいは筋機能のような身体的要因に関してより考えているのだとしても、こうしたこと全てに特異性と関連性の要素があるでしょう。 実際に、筋力や柔軟性のような個人の生物運動の構成要素に取り組むことは、特定の運動には関連がなく、ほとんど影響を及ぼさないように見えます。 この研究Frontal plane kinematics of the hip during running: are they related to hip anatomy and strength? (ランニング中の前額面における股関節の運動学:股関節の解剖学と筋力に関連しているか?)は、ランニング中の股関節内転の運動学は、股関節外転の筋力とは関連していないことを発見しました。 この研究The effect of a hip-strengthening program on mechanics during running and during a single-leg squat(ランニング中と片脚スクワット中のメカニクスにおける股関節強化プログラムの効果)は、股関節強化プログラムがランニングメカニクスを変化させることが無かったことを発見しました。 これは、筋力を変化させるかもしれないし、変化させないかもしれない筋力強化プログラムを通しての荷重は、過重負荷耐性や痛みには影響を及ぼさないが、それが望む結果であるならば運動を変化させないということを意味しているのではありません。 柔軟性トレーニングを通して獲得された関節可動域は、一般的には、自動的に運動を改善しません。Improvements in hip flexibility do not transfer to mobility in functional movement patterns(股関節の柔軟性の向上は、機能的運動パターンにおける可動性に転化されない)の中で、著者は下記のように結論を出しました: “これは、もし新たに発見された運動域が使用されるのであれば、トレーニングプログラムとリハビリテーションプログラムは、新たな運動パターンを‘体に覚えさせること’に更に焦点を当てることから恩恵を受けるという意味を含んでいる” もし運動そのものが、向上させようとすることと関連しているのであれば、ただより大きな可動域を用いた運動に焦点を当てることは、一挙両得だと議論されるかもしれません。 Is a positive clinical outcome after exercise therapy for chronic non-specific low back pain contingent upon a corresponding improvement in the targeted aspect(s) of performance? A systematic review(非特異的慢性腰痛における運動療法後の前向きな臨床転帰は、パフォーマンスの目標とされた側面において、伴って起きる改善を条件とするのか?)では、可動性、筋力、持久力のパフォーマンス測定における変化が、直接的に腰痛におけるエクササイズによる治療の肯定的な効果に起因するという裏付けとなる根拠がほとんどありませんでした! 恐らく、関連する運動を使用し、運動系が適応性、耐性、変動性を含む更なる運動のオプションを発展させる手伝いをするエクスターナルキューのような入力を通して刺激を提供するアプローチは、実用的なものに見えます!

ベン・コーマック 3307字

燃料切れを予防するための3つのヒント パート2/2

最良のファイターは、最後まで戦い続けることを望むのであれば、そのために維持できるペースを知っています。彼らはいつ爆発させ、とどめを刺しにいくか、いつエネルギーを温存するのかを知っています。 一方で、経験も知識も浅いファイターは非効率的にエネルギーを消費してしまい、不必要なときにも常に無酸素パワー予備力を引き出してしまうために、結果として燃料切れに陥ってしまいます。 不注意な燃料切れを避けるためには、その個人のコンディションのレベルに関わらず、ゴングからゴングまで正しい方法でエネルギーを管理し、正しいペース戦略を構築していくことがシンプルな鍵になります。 1. 心拍数をモニターする メンタルノートをとることとペースに注意するということは別にして、心拍数モニターを使用することは運動量とペースに関してのしっかりとしたフィードバックを提供してくれるので、非常に価値があります。 それぞれのアスリートはエネルギーの産生バランスに違いがあり、異なったポイントで無酸素的パワー予備力を利用するのですが、燃料切れをすぐに起こし始めることなく、心拍数を170台後半から180台に維持できるファイターはほとんどいません。 シンプルな心拍数モニターを使用することで、どれだけハードに動いているのかを正確に計測でき、ペースの動向をおさえることができるでしょう。 トレーニングをハードに行い、心拍数が最大心拍数の90%以上の最高位ゾーンまで上昇していることに気づいたときは、心拍数が落ちるまで、ペースを落とす時だということが分かるでしょう。 ほとんどの心拍数モニターでは、ある特定の心拍数に達したら、音のなるアラームで知らせてくれるようセッティングすることもできるでしょう。このタイプのモニターではトレーニング中のリアルタイムなフィードバックを提供してくれますし、微調整し、自身のペース戦略を最大限にすることに本当に役立ちます。 2. 正しいバランスを見つける 先に述べたように、すべての格闘スポーツは有酸素、無酸素両方のエネルギーの絶妙なブレンドが必要になります:無酸素系では爆発的なパワーと強さを提供する一方で、有酸素系ではゴングからゴングまで戦い続けるのに必要な持久力のサポートに大きな責任があります。 試合を通してすべてのタイミングで、両方のシステムが、ファイターが爆発的な一撃をお見舞いする、テイクダウンをとる、ダウンすることを防ぐ、ギブアップをとる時などに必要になるエネルギーをファイターに提供することに貢献しています。 両方のシステムを最大限まで高めることが可能であれば、コンディショニングが問題になることは決してないでしょう。残念なことに、人間の身体は単にそのようには働かず、1つのシステムを高めることは、他方のシステムを犠牲にすることになります。 そのため、ほとんどの無酸素パワーを使うことのできる、大きく力強いファイターは、コンディショニングに大きな問題を抱えている場合が多いのです。 一方で、持久力がかなり高いファイターは、無酸素性に適応している正反対のファイターよりも、爆発力にかなり劣っている傾向があります。 これはつまり、爆発的な能力を維持しながら、ゴングからゴングまで戦い続けること可能にするには、エネルギーシステム向上に絶妙なバランスを見つけるということが大きいということになります。 どちらか一方のエネルギーシステムが過多になり、試合中に穴が開いてしまうようであれば、相手を倒し、試合を支配でき流強さとパワーに欠けてしまうか、燃料切れを起こすことなく試合を最後まで戦いきることができなくなるかのどちらかでしょう。 勝つために必要なペースの維持を可能にするには、効果的なトレーニングプログラムを通して、2つのシステム間の正しいバランスを見つけることが、間違いなく必要不可欠なのです。 3. エネルギーを賢く使う 疑問の余地なく、効果的なペース戦略にとって最も重要な要素は、エネルギーを賢く使用することです。無酸素パワー予備力に切り替える正しい瞬間を選択する洞察力を示さなければなりません。無尽蔵な資源ではないのです。 いつ爆発的に力を発揮するのか、KOやギブアップをとりにいくのか、あるいは、ダウンをとりにいくことを諦めたり、ギロチン技を緩めることを知っていることは、燃料切れを起こすか次のラウンドまで続けるのかという違いであることが多いのです。 残念なことに、効果的なエネルギーの使用は、多くのファイターが一番大きな間違いを犯すエリアです。 一発のパンチに全力を傾ける、間違ったタイミングでギブアップを取りに行く、ギブアップしない相手にダウンをとるためにエネルギーを浪費する、エネルギー消費に概して注意を払わないことが、一般的に状態の良いファイターが燃料切れに終わってしまう一番の原因なのです。 これが起こった時に、それを学び、より賢明になり、どのようにエネルギーを使用したらよいかにより注意を払うようになるファイターもいますが、そうでないファイターもいます。 試合の最後まで戦い続けることを望むなら、いつ爆発し、いつ温存するのかを学ばなければなりません。

ジョール・ジェイミソン 2207字

燃料切れを予防するための3つのヒント パート1/2

ファイターが燃料切れになって、キャンバスにうつ伏せに倒れるときはいつでも、原因はコンディショニング不足であると指摘することは至極単純な反応です。フォーラム戦士から格闘コメンテーターのような人たちは皆は等しく、選手は十分にハードな練習を積んでこなかったに違いない、または、試合の最後まで戦いきるための十分なコンディショニングワークをしてこなかったという結論に達することがしばしばあります。 そのような分析は、表面上完全に理にかなっているように見えますが、結局のところ、皆ファイターが燃料切れに陥ったときどのように見えるかは知っているわけで、真実としては、人々に信じている以上に、コンディショニングとははるかに複雑であり、試合には複数の側面があるのです。 なぜそうなのか、ファイターが“燃料切れ”を起こす原因を暴こうとすることが、見た目ほど簡単でないのかを理解するために、まず最初に、コンディショニングとは何であって、何でないのかを明確にする必要があります。 コンディショニング101 まず最初に、コンディショニングについて理解する必要があるのは、実は、一人一人すべてのファイターはゴングがなってからゴングがなるまで燃料切れを起こすことなく戦うことのできる能力を持っていて、唯一の違いは彼らが望んでいるペースを維持できるか否かということになります。 わかりやすく言えば、ほぼ誰でも1マイル歩くことはできますが、4分未満で走ることができる人はほんの一握りしかいないということです。 同じように考えると、すべてのファイターは3-5ラウンドを通して戦うことはできますが、高いコンディションレベルを持つファイターのみしか、高強度のパワーを維持しながらすべてのラウンドを戦うことはできません。 言い換えると、格闘技の試合では、コンディションとは実に、その試合を通してどれだけ高いパワーを維持できるかということの目安なのです。 ワールドクラスのコンディションをもっているファイターは、ペースを落とすことなくかなり高いパワーの出力を維持することができます。まるで、ランス・アームストロングが、ほとんどの人が1、2分しか出すことのできないスピードで最後まで何時間もバイクをこぐことができるように。 一方で、コンディションの低いファイターは、それよりもかなり低出力のスピードと低レベルのパワーしか維持することができず、高いギアに入れようとすると、すぐに疲労し燃料切れになってしまいます。 無酸素的パワー予備力 なぜあるファイターは試合を通してかなり凄まじいペースを維持できるのに対して、1ラウンドで燃料切れに終わってしまうファイターがいるのかを理解する最も簡単な方法は、“無酸素的パワー予備力”と呼ばれる概念について考えることです。 しっかりと開発され、研究にも裏付けされたこのシンプルなモデルは、すべてのファイターが最大有酸素パワーと呼ばれる、有酸素的に産出することのできる、あるレベルのパワーを持っていることを示しています。 それ以上のパワーを産み出す必要がある場合はいつでも、“無酸素的パワー予備力”と呼ばれるものを利用しなければなりません。そして、それはジェット機の再燃焼装置や車の亜硝酸とかなり似ています。 しかし、この無酸素的エネルギー予備力は使われ始めるとすぐに、そのことが疲労につながり、これを長い時間使用すればするほど、選手は疲弊していきます。この状態を避ける唯一の方法は、パワーの出力を下げ、有酸素的パワーゾーンに戻ることです。 格闘スポーツはもともと、爆発的でダイナミックである、ため、すべてのファイターは試合中を通して、常に無酸素的パワー予備力を利用しなければなりません。しかし、違いはどれだけ、そして、どのくらいの時間それを利用しなければならないのかなのです。 例えば、高いレベルのを産出できるファイターであれば、有酸素パワーレベルがかなり低いファイターほど、無酸素的パワー予備力を利用しなければならない頻度も時間も多くはないでしょう。 もちろん、それぞれのファイターがどれだけのエネルギーを消費するのか、すべてを一発のパンチに費やすのか、あるいは、少し残しておくのかを選択することも可能です;相手の防御がとても上手である時にダウンをとりにいくのかどうか;ありったけのエネルギーを費やして、勝ちにいくのかどうか、あるいは、それが正しいタイミングではないのかどうか。 これらすべてのことが意味していることは、燃料切れは無酸素的パワー予備量をあまりに頻回に、または、あまりに長い時間、使い過ぎてしまった結果だということです。 かなり豊富に有酸素パワーを産出できるファイターもいますし、彼らは頻繁に再燃焼装置に発火させる必要はありません。有酸素パワーの産出が低いファイターもいて、彼らはほとんど常に無酸素パワーを利用することになってしまいます。 どちらのケースでも、ペースをコントロールすることはできますし、どれだけエネルギーを消費するか、さらには、いつそれを消費するのかを選択することができます。 持っているすべてを使い切る最適な瞬間まで待つ、相手がバランスを崩すのを待ってテイクダウンするという選択をすることができます。そうではなく、不注意にエネルギーを浪費していまい、すべてのパンチを強打し、そのタイミングではないのに関節技に入ってしまうこともあります。 言い換えれば、ペーシングとは、いつ無酸素的パワー予備力を使用し、どれだけの時間それを使い続けるのかを選択するということなのです。

ジョール・ジェイミソン 2360字

バランスの見つけ方 パート3/3

PRIは、呼吸筋のエクササイズの為に様々な形で循環系トレーニングを使います。ここにゾーン・オブ・アポジションの非徒手テクニックの例をいくつか紹介します: ステア・ショート・シーテッド・バルーン:最適な呼吸を回復するその有効性から、これは運動の前に行うにはベストなエクササイズです。風船は呼気筋群を鍛える為に使われます。なぜならば風船が呼気に抵抗をかけ、正しい再吸気に役立つフィードバックを呼吸システムに送るからです。(ゴムにアレルギーがある場合、または風船が手元にない場合は、曲がるストローを代わりに使用することができます。) まず始めに、ステップ台に座って足部と膝を合わせます。左手の指先を左脚の親指の下に置きます。背中を丸く保ち、頚部の筋群や頬を使ってこの運動をするのを避けることが重要です。 右手を使って、風船を軽くすぼめた唇の間に入れます。背中を丸め、両側で坐骨結節、または坐骨が感じられるように骨盤を丸め込むようにします。鼻から吸った後 – 丸まった姿勢を崩さないように – 右手で風船を固定して、息をゆっくりと吐ききります。3秒間静止し、空気が漏れるのを防ぐ為に舌を口蓋上部に向かって押しつけます。 このポジションをキープし、鼻から次の息を吸います。ゆっくりと空気を風船に入れ、この動作を4回目の吸気まで繰り返します。終わったら、風船を口からはずして空気を抜きます。これを3~5回繰り返します。 モディファイドオール4ベリーリフト:これも運動前に行うのに優れたエクササイズです。背中を天井に向かって丸めて四つ這いになります。骨盤を丸め込み、鼻が指先を通り越すまで体重を前方にシフトします。腹筋群の活性を最大化するように背中を丸めながら、十分に息を吐き出す前に、深く強制的にならないように吸いこみます。 呼気の段階で3秒間静止し、このシークエンスを4回呼吸するまで繰り返します。呼吸に制限がなくなってきたら、両手と両爪先をついて臀部を持ち上げたポジションでエクササイズをおこなって下さい。 ゾーン・オブ・アポジションを獲得して横隔膜がリポジションされれば、身体はレフトアンテリア・インテリアチェーンパターンのストレスを軽減させる為に、より楽に再学習ができるようになります。そうすることで左の骨盤は後方に回旋し、立位、蹴り出し、回旋、そしてターンをサポートできる正しくコントロールされたポジションに戻るのです。 このポジションでは、過剰もしくは抑制された筋群はポジションの変更のために違う役割を担ってしまいます。ある筋肉は片側では抑制される必要がある一方で、他の筋群は反対側で促通される必要があります。左の近位側の大腿二頭筋と内転筋群、左の中殿筋と腹斜筋群、そして右の腸腰筋は骨盤と体幹の修正パターンを使いながら促通されなければなりません。 PRIではこれらのポジションを修正することを 左の大腿骨を後方に引き、続いて左の骨盤を後方に回旋させることによって、左の骨盤に”シフトする”能力として説明しています。この筋のリポジション作業はアスリート達の身体のバランスを保ち 関節の圧縮や組織のストレスにとって最小限のリスクで自由な屈曲、スクワット、そして回旋を可能にします。以下のリポジショニングエクササイズはレスト・アンテリア・インテリアパターンの修正の為に使われますが、これらはゾーン・オブ・アポジション作業の後におこなわれるべきです。アンバランスの悪化を防ぐ為に、下記に記すリスト通りに行われる必要があり、逆側の身体には行わないで下さい。 ライト・サイドライング・リスピレトリー・レフトアダクター・プルバック:身体の右側を下にして横向きになり、身体を丸めて股関節と膝を90度に曲げます。脚の間に丸めたタオルのようなボルスター(補助枕)をはさみながら両足で壁を押します。左脚の膝は左脚の踵よりも低くなるようにしてください。 左脚を後方に引きながら、ゆっくりと鼻から息を吸います。この動きは前方に回旋した左の骨盤を修正します。次に、左膝をギュッとしめて右腿に向かって下げた状態で息を吐ききります。再び吸って、左腿をさらに後方に引き、そこから息を吐いて左膝を再び下に押します。この流れを4回から5回の完全呼吸で繰り返し、呼吸毎に左腿をより後方に引くようにします。これを3~4セット繰り返します。 90/90 ヒップリフト・ヘミブリッジ:壁に足裏をつけて仰向けに寝ます–できれば靴をはいた状態が望ましいでしょう – 両膝と股関節を90度に曲げます。鼻から息を吸い、口から息を吐きながら尾骨を床から少し浮かせて骨盤を後傾させます。壁に向かってただ足を押すのではなく、かかとから足を引いてくるイメージで尾骨を上げていきます。 次に、左脚を壁につけたままヒップリフトを保ち、右脚を壁から持ちあげて真っすぐに伸ばします。強すぎない完全呼気を意識しながら正しい呼吸パターンを維持し、伸ばした右脚をゆっくりと壁から上げ下げします。各10回3セットをおこなって下さい。 レフト・サイドライング・ニー・トワード・ニー:左側を下にして横向きに寝て、股関節と膝を90度に曲げて背中を丸め、下にボルスターをおいた足で壁を押します。右腿を前方にシフトして、持ち上げるか外に回します。このポジションをキープして左腿が右腿のすぐ後ろにくるまで持ち上げるか、内側に回します。このポジションを4~5呼吸キープしてこれを3~4回繰り返します。 PRIのコンセプトをトレーニングやコンディショニングプログラムに導入することには沢山のメリットがあります。パフォーマンスレベルがプラトーに落ち入っているアスリート達は、身体の根本的なアンバランスが必要不可欠な出力を低下させてしまっている状態です。トリートメントの前に評価をおこなうことは それがブレキアルチェーンなのか、アンテリア・インテリアチェーンなのか、またはポステリア・エクステリア・チェーンマッスルが原因なのかを明確にし、ゾーン・オブ・アポジションの獲得とリポジショニングエクササイズを通して、アスリートは自由で制限のない動作を取り戻すことが可能になるのです。 PRI要素を準備運動、筋ウォームアップ、そしてより強度の高いトレーニングや傷害予防プログラムに取り入れることは、アスリートのパフォーマンスやリカバリーを向上させます。より最適な昨日のために彼らにシステムのポジションを整えることは、彼らをその先のレベルにも引き上げてくれることでしょう。

マイケル・ムリン 2743字

バランスの見つけ方 パート2/3

アスリートがよりアクティブになって呼吸筋に負荷をかけるにつれ、横隔膜は骨盤底筋群や腹部の深層筋と共により強く素早く引かなければならなくなります。キーとなるアンテリアインテリアチェーンマッスルの右側での強固な引っ張りにより、骨盤と腰椎は右側に回旋するようになります。胸郭はその引っ張りのバランスをとる為にカウンターとして逆方向に回旋し、肩と頚椎もこれと同様に影響します。骨盤より下では、大腿骨と下腿の方向も大抵影響を受けます。これが身体において大きなトルクを発生させるのです。 このアンバランスが続くと、複数の筋群のポジションと機能を変化させていきます。これらの筋群は過活動または低活動になり、新しいポジションに適応する為に筋の機能を変えてしまうこともあるのです。例えば横隔膜は、増加した呼吸速度と身体の動きをコントロールする固定筋群を補助する為に短くて硬くなっていきます。このケースは、とりわけ過剰な胸椎や腰椎の伸展(アーチバック)、息切れ、足部を平にしてのディープスクワットやジャンプができなかったり、下肢のコントロールに乏しいアスリートに見られます。 最終的に筋のアンバランスは多関節筋連鎖に影響し、連動性を失う原因となります。そして結果的にレフト・アンテリア・インテリアチェーンと呼ばれるパターンになります。右側の優位性は 右の横隔膜、内転筋群、大腿二頭筋、そして左の大腰筋、大腿筋膜張筋、外側広筋の過活動の結果として現れます。これはアスリートが体重をより右にかけて立ち、寄りかかり、蹴り出し、側屈するのを好むということです。 レフト・アンテリア・インテリアチェーンパターンにおける代償動作の典型的な例は、胸郭の左側への過剰回旋であり、それがライト・ブレキアルチェーンパターンと呼ばれる上肢のアンバランスの原因となります。これが次に背部の伸展筋群の過伸展や過活動の原因となり、ポステリア・エクステリアチェーンパターンと呼ばれる、矢状面でのアンバランスへと導きます。 この身体の連鎖反応のキーポイントは横隔膜のアンバランスです。徒手以外でのテクニックや、場合によっては徒手と徒手以外のテクニックのコンビネーションを使う事で、PRIは胸郭のエリアで横隔膜から形成されているゾーン・オブ・アポジションを確立し、適切でバランスのとれた呼吸を回復することを目的としています。ゾーン・オブ・アポジションは横隔膜を適切なポジションへ戻して、正常に機能させることを可能にする為のニュートラルスペースです。 姿勢トレーニング ゾーン・オブ・アポジションを獲得して呼吸器系のバランスを保つ為に、身体は呼気を通して肺の空気を空にしなければいけません。加えて多関節筋連鎖のバランスも回復させて、コレクティブエクササイズで適切な筋群への再教育を行い、アスリート達が自分の動き方を変える必要もあるのです。 まず始めに、いくつものテストが呼吸、骨盤、そして胸郭のアンバランス評価の為に使われます。アスリートはそこから徒手以外のテクニックでゾーン・オブ・アポジションの獲得方法を学び、その後に彼、または彼女の目指すエリアにニュートラリティが獲得されたかどうかを簡潔に再評価します。もし獲得されていなければ、セラピストは徒手テクニックを使ってそれを補助します。そこでその人の新しいポジションを保つ為に必要な、正しい筋の発火パターンを強化する為のコレクティブ、リポジショニングエクササイズが処方されるのです。 最初のステップ PRIテクニックを使ったアスリートのトレーニングは、アスリートの身体にとって制限となり得る全てのアンバランスを見極めることから始めます。評価は以下のような種類のテストを通して行われます: アダクション・ドロップ・テスト:オーベルテストに似たもので、骨盤のポジションを評価します。片側、又は両側の大腿骨が内転できずテーブルにつかない場合は、骨盤のポジション異常を示唆します。 ホライゾンタル・アダクション・テスト:胸郭上における肩甲骨のポジションのチェック、 腕がテーブルの横から出ている時に、左右等しくなるべきです。アンバランスは胸郭の回旋を示唆します。 ヒュメラル・グレノイド・インターナルローテーションテスト:胸郭における肩甲骨のポジションを検査します。テーブルで背臥位になり、腕が90/90ポジションの時に前腕は自由に回旋できるべきです。アンバランスは胸椎の回旋を示唆します。 ショルダー・フレクション:テーブルの上に胸郭と骨盤を平らになるようにつけ、腕は自由に屈曲し、両側共にテーブルにつくべきです。アンバランスは胸郭の過伸展を示唆します。

マイケル・ムリン 1962字

バランスの見つけ方 パート1/3

生まれながらの非対称はアスリートのパフォーマンスに影響を与えます。この新しいトリートメントプログラムは、身体の内部のバランスを姿勢と呼吸エクササイズで回復させることに重点を置いています。 アスリートの目標達成への手助けをすることは、複雑で多角的なアプローチが要求されます。栄養、傷害予防、そしてリカバリーは考慮されるべき要素のほんの一部なのです。しかし,もう1つの重要なパズルのピースはようやく注目され始めてきたばかりです – 構造的で機能的な身体の非対称性は私達の呼吸や動作に影響を与えます。 人体の内部構造は非対称的であり、身体の様々なシステムも同様です – 神経系、呼吸系、循環系,視覚系 – は右と左で異なり、通常どちらかの側が優位となります。筋骨格系のパターンは、これらのシステムがどのように統合されるかで決定されることから、左右の非対称性はヒトの身体のアライメントと姿勢、呼吸機能や動作の形成に直接影響するのです。 こういった構造的な非対称性はごく正常なことであり、 自身の身体をコントロールできなくなる程顕著にならない限り、基本的に問題の原因にはなりません。これは高強度のスポーツやエクササイズにおいて、長時間特定の動作が繰り返されることで習慣化したり、またはイスの座り方などのちょっとした日常生活動作においても起こります。 非対称性が顕著になった場合、身体はそのエリアのスタビリティを保てなくなり代償を始めます。時間の経過とともに、これが骨や関節– そしてそれに付着する筋群–を顕著にシフトさせ、バランスやニュートラルな位置を失い、影響を受けたエリアの筋の働きが抑制されて筋骨格系の痛みや傷害のリスクが高まるのです。 このような非対称性を抑える為に効果的な方法はPostural Restoration Institute (PRI)の設立者であるロン・ハラスカによって発展したトリートメントアプローチです。このシステムは特異的なエクササイズや徒手テクニック、身体の先天的なバランスメカニズムと関連しているポジションの修正によって、スポーツパフォーマンスの向上やスポーツ関連傷害のケアをおこないます。 新たなバランス 相反性活動は、顕著なアンバランスを予防できる身体の基本的方法です。筋の活動が活発な時、身体はその活動に対して他の筋群をリラックスさせるなどして様々な方法でバランスをとります。PRIでは、セラピストは身体の片側の筋の活動を逆側の筋のカウンターバランスとして捉えています。 歩行のように基本的なこともこのコンセプトの良い例でしょう。 歩行における左スタンスでは、骨盤は左脚が身体の下に来た時に身体の左側で後方回旋し、その時中部から上部にかけての胸椎が動きのバランスをとるように拮抗して右に回旋します。右腕もまた後方にスイングして左脚の動きに合わせることでバランスを保っているのです。このプロセスは相反性交互活動と呼ばれ、身体の両側で等しく均一に起こるべきなのです。 もしも身体の片側で筋が過活動になり、過剰に働いてしまった場合、相反性活動はこの筋の過活動を抑制する為に身体のどこか他の場所でおこなわれます。しかし、これがまたアンバランスを相殺して身体が効率よく動くように、他の筋群を活性化したり促通させたりもするのです。これはアスリートのパフォーマンスにおいてマイナスにも働きます。なぜならその活動に1番適している筋群は活性化されず、別の適していない筋群が代わりに使われてしまうからです。PRIテクニックはこういった非対称性にアプローチし、患者にその動作を保持することを目的としています。 呼吸がキーポイント パフォーマンスに影響する、最も一般的な構造的非対称性は呼吸システムです。右側の横隔膜は強固で、ポジションに優れ、より優れたレバーアームを持っています – 横隔膜の腱(脚)は、右側では3つの腰椎に付着し、左は2つのみ付着、右の肺は3つの肺葉に対し左は2つであり、肝臓は右側に付着して、より強固なサポートを右の横隔膜に提供しています。 コアの筋群がバランスを保てなくなった時、横隔膜はより静的な姿勢保持の役割を担うようになります。これが横隔膜の方向性や長さを変える要因となり、適切な呼吸換気の効率を下げてしまうのです。結果として、他の筋群が横隔膜の通常の機能をおこなうようになります。これが頭部前方位や肩甲骨の位置異常、そして過剰な後弯や前弯姿勢などの構造的異常や、過呼吸、奇異呼吸、息切れ、疲労、そして運動性ぜんそくなどの呼吸機能不全など、様々な形で代償作用や機能不全へと繋がるのです。もし対処されなければ、不適切なポジションで固定された横隔膜が最終的にアスレティックパフォーマンスの低下や先程述べたような急性または慢性傷害を招く結果となるでしょう。 複数の骨や関節をまたいでいる多くの筋群は、多関節筋連鎖と呼ばれています。こういった筋群は同じ走行性を持ち、構造的、そして神経的に繋がっています – 筋の1つが活性している時、他の筋群も同様に影響を受けます。呼吸機能に大きく作用する、3つの主要な多関節筋連鎖があります – それぞれ左右に1つずつあります。遠位の頚椎エリアから、これらのチェーンは: ブレキアルチェーン: 脊柱の前方にあるブレキアルチェーンマッスルは、頭部と胸郭の動きを繋げて連動させるのに役立ちます。このチェーンは横隔膜、前方と側方の肋間筋、三角筋と大胸筋、胸骨筋、胸鎖乳突筋、そして斜角筋です。 アンテリアインテリアチェーン:アンテリアインテリアチェーンマッスルは脊柱の前方にあり、胸郭と骨盤の動きを繋げて連動させるのに役立ちます。このチェーンは横隔膜、腸骨筋、大腰筋、大腿筋膜張筋、外側広筋、そして大腿二頭筋を含みます。 ポステリアエクステリアチェーン:脊柱の後方にあるポステリアエクステリアチェーンマッスルは、相反機能を抑えて交互性をだす手助けをします。このチェーンは広背筋、腰方形筋、前鋸筋、そして肋骨の外旋筋を含みます。

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