マイクロラーニング
隙間時間に少しずつビデオや記事で学べるマイクロラーニング。クイズに答えてポイントとコインを獲得すれば理解も深まります。
アンテリアチェーン
何年も前、ジムでオリンピックリフトやパワーリフティングをしながら背中のトレーニングについて話をしていました。ある日、誰かがテキストブックを開いて、この種のワークを“ポステリアチェーン”と呼ぶことに決めました。そして、それはいいのですが。私は未だに600ポンドを地面から引き上げることは、BOSUボールから上体を引き上げるよりも、その人が優れた投擲者、あるいは、フットボールプレイヤーであることを示す良い指標であるという強い意見を持っています。しかし、今やそれらすべては“ポステリアチェーン”です。 私は以前、我々は“アンテリアチェーン”を無視しているとある記事で冗談を言いました。私は未だにそれを支持しています:人間の素晴らしい動作の範囲に働きかけることは、単なるクランチやミリタリーシットアップ以上の事なのです。正しく行えれば、この動作群はすべてのスポーツ活動をサポートし、プルアップの向上にさえなります。 私はこれを基本的なインチワームを使って指導し始めます。立ち上がり、前屈する。両手を地面につき、プッシュアップのポジションに来るまでハンドウォークします。そして、再び足元までハンドウォークし、まっすぐ立ち上がります。これがインチウォームであり、説明するよりも実際に行ったほうが早いものです。 旅行することが多いのであれば、道具なしの素晴らしいワークアウトのために、プッシュアップを加えたインチウォームをしてください。プッシュアップは最も過小評価されている腹筋のエクササイズであると考える多くのコーチ達に私も同意します。インチウォームを加えることで、プッシュアップの量を削減することになるでしょう。 私はアブホイールが大好きです。いつも大好きでした。1月には、安売り衣料品店の多くで、箱売りでかなり安く買うことができます。私もそこで手に入れます。膝をつき、ハンドルを握り、ロールアウトします。足のつま先から腕が完全に伸展するまでロールアウトしている人を見たことがあります。彼の鼻はほんの少し地面から離れているだけでした。驚く事でもありませんが、その人は素晴らしい腹筋を持っていました。 もしインチウォームとアブホイールで不十分であれば、プルアップバーにぶら下がって行うハンギングレッグレイズを加えてください。両足を足首のところで交差し膝を内側に押し付けながら、同時に両足を外へ引くようにすることを奨励します。下半身にかなり多くのテンションがかかります。そして反動なしで、腹筋を収縮し、脚をLポジションまで引き上げてください。まずこのポジションをコントロールすることを覚えてください。さらに、両脚が指に触れるまで弧を描くように両脚をもちあげてください。 オリンピックの体操選手のように、これらの動きをいつもコントロールして行ってください。回数を求めないで、体の前面全体を使うようにしてください。 そこから、ディップラックまで歩いていきます。トップポジションまで飛び上がり、そこで両脚をLシットのポジションまで持ちあげてください。脇を締め、ハンギングレッグレイズの時の技を試みてください。呼吸はタイヤから空気が抜けていくような感じで行います:ツシューーーー。息を止めたり、テレビを見て退屈しているような呼吸はしないでください。 アブホイール、ハンギングレッグレイズ、ディップラックLシットでは、2-5回を3-5セット行うことを考慮してください。テンションと動きの質に注目します。量を行うことを避け、ストレングスを重視してください。 一旦これら4つの基本の動きをマスターすれば、基本的な体操の動きを探求しはじめることができます。しかし、我々の大多数にとって、これら4つの動きは、多くの状況でアンテリアチェーンのために必要となる動きをあなたに提供することになるでしょう。 ちょっとした警告:これらの動きは、動きを楽しんで行った2日後にあなたを驚かせる程の筋肉痛を伴います。そこから良い学びができるでしょう:何年もあなたが行ってきた腹筋ワークは実践的に価値がないということを。 楽しんでください。
肩関節の関節唇上部損傷の臨床検査:SLAP(上方関節唇の前方から後方にかけての)損傷に特化した最適なテストは何か?
SLAP損傷に特化した最適なテストは何でしょうか? 選択肢はたくさんあり、その有効性もさまざまですが、SLAP損傷の種類や傷害機序についての理解が適切でなければ、SLAP損傷に特化したテストを選択するのは難しいでしょう。 覚えておきたいのは、関節唇上部は、肩関節の関節唇の一部分ですから、SLAP損傷とは肩関節の関節唇損傷のひとつの分類にしか過ぎないということです。 既存する病理にも共通した症状があるかもしれないために、臨床検査でSLAP損傷を検知することはしばしば困難となります。Andrewsは、上部の関節唇の病変を有する患者の45%(および野球投手の73%)が、回旋腱板の棘上筋に部分断裂と肥厚を併発していることを示しました。 MileskiとSnyderは、SLAP損傷のある患者の29%が回旋腱板の部分断裂と肥厚、11%が回旋腱板の完全断裂、22%が肩甲骨関節窩のバンカート病変を示したと報告しました。 関節唇の病理が、一般的にオーバーヘッド運動など反復運動による酷使に起因するものである一方で、患者は腕を伸ばしたままの転倒や、急激に牽引されるような事故、または肩への打撃など単一の外傷を訴えてくる可能性もあることを臨床家は覚えておく必要があります。これらを区別しておくことは、実行すべきテストを選択するとき非常に重要となります。 関節唇の病理を見つけ出すのに役に立つテストとして、これまでにたくさんの有用かもしれない方法が紹介されてきました。それらのいくつかをここで確認しましょう。 SLAP損傷を特定するテスト 肩のSLAP損傷には、実際、数十もの特殊なテストが存在します。最もよく使われているSLAPテストのいくつかをご紹介します。 アクティブ・コンプレッション・テスト アクティブ・コンプレッション・テストは、関節唇の病変と肩鎖関節の損傷を評価するために使われます。これは、特に整形外科において最も一般的に行われるテストかもしれません。その理由は私にはよくわかりません。私はこれが最適なテストだとは思わないのです。 肩を約90度挙上し、身体の正中線を横切って30度水平内転させます。抵抗を加え、等尺性収縮を行い、その位置を保持し、このポジションで肩の完全内旋と完全外旋の両方を行います(その過程において関節窩に対して上腕骨の回旋を変化させます)。 このテストで肩を内旋、前腕を回内(母指が床を向いている)して検査を行ったときに痛みが誘発されれば、関節唇の関与は陽性となります。症状は通常、テストを外旋位で行うと減少するか、痛みが肩鎖関節(AC)に限局されます。 O’Brienらは、この検査方法が関節唇の病理の存在を評価するとし、感度100%、特異性95%であることを認めました。これらの結果は、極めて優れているとは言え、少々度を超えているようにも見えます。このテストで痛みが誘発されるのは、一般的であり、結果の妥当性に疑問を持ちます。私の経験では、その肩関節痛に深部痛や放散痛があるかどうかが、SLAP病変の存在を最もよく示していると思います。AC関節または回旋腱板の後部に限局する痛みは、SLAP病変の特異性ではありません。肩の後部の症状は、肩がこの位置になることによって回旋腱板の筋組織へ緊張が誘発されることを示しています。 このテストの難しいところは、回旋腱板に不利なこのポジションで過負荷をかけることで多くの患者に症状が現れるということです。 感度:47-100%、特異度:31-99%、陽性的中率(PPV):10-94%、陰性的中率(NPV):45-100%(文献によってばらつきが大きい)上腕二頭筋の負荷テスト 上腕二頭筋の負荷テストでは、肩を90度外転し、完全に外旋させておきます。最大限の外旋位で前腕は回外位にし、患者は抵抗に対して上腕二頭筋を収縮します。この収縮中に肩に深い痛みが出れば、SLAP病変を示唆します。 このテストの原作者は、これをさらに改良し、パートIIとして上腕二頭筋の負荷テストの方法を解説しました。検査の技法は似ていますが、オリジナルでは90度であった外転が、今回は120度の外転となっています。上腕二頭筋負荷テスト・パートIIは、以前のものよりも感度が高いことが記されています。私はどちらのテストも好きで、通常両方を行なっています。 上腕二頭筋の負荷テスト・パートIでは、感度:91%、特異性:97%、陽性予測値(PPV):83%、陰性的中率(NPV):98%。上腕二頭筋の負荷テスト・パートIIでは、感度:90%、特異性:97%、陽性予測値(PPV):92%、陰性的中率(NPV):96%コンプレッション・ローテーション・テスト コンプレッション・ローテーション・テストは、患者を仰臥位にして実施します。関節唇を捕らえるように上腕骨を受動的に繰り返し回旋させつつ、上腕骨の長軸に沿って手動で肩関節に圧を加えます。関節窩と上腕骨頭の間で関節唇を挟み込もうとする試みであり、関節に圧を加えながら小さい円や大きい円を描きながらこの操作を行います。 さらに、検者は、前上方に力を提供しながら腕を水平での外転位にすることによって、関節唇の前上部の病変を検出することができます。反対に、検者が、腕を水平での内転位にすることによって同じテストで後上方にも力を提供することができます。このテストは、裂けた関節唇を関節内で“探してみる”操作だと思っています。ある意味、私にとっては、当てずっぽうな操作です。 感度:24%、特異性:76%、陽性的中率(PPV):90%、陰性的中率(NPV):9%ダイナミック・スピード・テスト SLAP病変の症例において、スピード・バイセプト・テンション・テストは、痛みを正確に再現することがわかっています。個人的にはこれが真実であるとあまり目撃していません。 肘を伸ばして前腕を回外した状態で肩を前方に90度挙上し、さらに、腕に下方への圧を加え抵抗してもらうことで実行されます。臨床的には、SLAP病変の新しい検査も行います。 Kevin Wilkと私は、伝統的なスピード・テストのバリエーションテストを開発しました。私達は、これを“ダイナミック・スピード・テスト”と呼んでいます(このネーミングを思いついたのは私ですが、いかがでしょうか?)。この操作中、検者は、患者が腕を頭上に挙上する際、肩の挙上に対してと肘の屈曲に対して共に抵抗を加えます。このテストが関節唇の病理に対して陽性である場合、通常、肩が90度以上挙上してから肩に深部痛が発生します。 SLAP病変を検出するには、この検査方法の方が、伝統的な静的に行うスピード・テストより感度が高いことが事例的に発見されています。特にオーバーヘッド運動をする選手において。私にとって、ある程度高く腕が挙上しないと症状が現れないように思われるため、伝統的なスピード・テストの感度は低下するというわけです。 Speedのテストの感度:90%、特異性:14%、陽性的中率(PPV):23%、陰性的中率(NPV):83%クランク(Clunk)テストとクランク(Crank)テスト クランク(Clunk)テストは、患者を仰臥位にして行います。検者は、片方の手を肩関節の後面に置き、もう一方の手で肘の上腕骨の両顆をつかみます。検者の近位手で、上腕骨頭を前方へスライドさせると同時に、肘を握っている手で上腕骨を外旋させます。このテストのメカニズムは、膝の半月板のためのマクマレー・テストのメカニズムに似ていて、検者が関節窩と上腕骨頭の間に裂けた関節唇を挟もうとします。テストが陽性であれば、カックンと音がするか、または擦れ合う音がし関節唇の断裂を示唆します。 クランク(Crunk)テストは、患者を座位または仰臥位にして行います。肩を肩甲骨面で160度挙上させます。次に、この位置で検者が上腕骨の長軸方向に圧を加えながら、上腕骨を内旋および外旋します。陽性の場合、通常、外旋により痛みを誘発します。この操作中に、症状を伴うクリック音や摩擦音も誘発する場合もあります。私にとって、これらのテストは、どのテストよりもタイプIIIまたはタイプIVのSLAP病変であるバケツ柄状断裂を見つけるのにうまくいくようです。 感度:39-91%、特異性:56-93%、陽性的中率(PPV):41-94%、陰性的中率(NPV):29-90%SLAP病変に特化した2つの(比較的)新しいテスト これまで説明されてきた従来のSLAPテストに加えて、最近広く使用されるようになった2つの追加的テストがあります。 これら2つのテストを行なっているビデオを皆さんと共有したいと思います。これらは実際、数年前のJOSPTで私が書いた論文に掲載されていましたが、少し修正して共有したいと思います。これらの2つのテストはどちらも、ピールバックによるSLAP病変の検出に優れています。特にオーバーヘッドスローを行うアスリートにおいてですが、そうでない人たちにも適用します。どれが“ベスト”なテストなのか、多くの混乱があることを承知しているからこそ、これら2つのテストを皆さんに見てもらいたいと思います。ベストかどうかは分かりませんが、私の知る限りでは、両方とも非常に役に立っており、さらに重要なことに、それらは正確であるということです。
アセスメントとテスト(そしていくつかのトレーニングアイデア)
私の職業の一部は、学校やジムのプログラムを評価することです。週ごと、そして月ごとのトレーニングを見る際に、私はかなりシンプルなシステムを使用しています。まず、シンプルに人間の持つ基礎動作を丸で囲み、それらがトレーニング中に何度出てくるかの数字を記録します。 私のリストは下記の通りです: プッシュ プル ヒンジ スクワット ローデッドキャリー 他のもの全て! 通常、私はここで、ゲットアップやタンブリング、ローリングなどを含む、床の上で行いそこから起き上がってくる何らかのグラウンドワークの動きを探しています。 私の最初のリビューは、単にトレーニングプログラムにおける隙間を目立たせることになります。一般的に得られる応えは上記のリストの逆さまになります。プログラムに欠けているのは、通常何らかの種類の床の上での動きと、ファーマーズウォークのようなもの、そして本格的なディープスクワットです。 ベンチプレスやアームカールを欠いているプログラムは、いまだかつて見つけたことがありません! そして、それらそれぞれの動きのバリエーションを合計します。多くの場合において、週に5または6回のプッシュのエクササイズを見つけるかもしれませんが、スクワットのタイプが1種類以上のことはほとんどありません。これはまた議論する必要のある問題ではありますが、コーチ達がフロントスクワット、バックスクワット、ザーチャースクワット、オーバーヘットスクワットを指導できるようにするには、かなりのレベルの献身が必要とされるでしょう。 グランドワークは、文字通り生存のための重要なものです。すべったり転んだりすることへの対応を学ぶことは、バイセプスを最大限に盛り上げることよりも生命を救うのに役立つかもしれません。デッドリフトからケトルベルスイングまで、ヒンジのトレーニングは爆発的な力の発揮とスポーツの動きの基礎となります。ローデッドキャリーは、私がトレーニングにおいて発見した他の何にも優ってワークキャパシティ(仕事許容量)をより良く供給します。 グランドワーク、ヒンジ、そしてローデッドキャリーは、良いフットボール選手を素晴らしい選手にしてくれます。これらはハードなトレーニングであり、かなりの時間とエネルギーを必要とします。 ただ、私達の多くは、ストレングストレーニングによるホルモンの変化を必要としています。私達には、適切なストレングストレーニングによってもたらされる筋力増強、筋肥大、そしてモビリティ向上が必要なのです。これに必要な量は、多くの人達が考えるより遥かに少ないものです。 リサーチは過去60年間にわたり明白で:ストレングス、筋肥大、パワーのために必要なのは、質の良い15-25のレップのみです。実際この数字は、経験を積んだストレングスアスリートにとって多すぎる数字かもしれません。 下記に記したのは、ストレングスと筋肥大のためのトレーニングへの最小限のアプローチです。いくつかの垂直及び水平のプレスとプルのバリエーションと2つのスクワットのバリエーションが含まれています。除脂肪体重の増大には、より大きな動きと負荷の増大が重要です。 全てのレップをこなすことができるようであるなら、 負荷の増大を目指してください。週に3回トレーニングします(月・水・金または火・木・土)。ウォームアップ、クールダウン、その他のエクササイズなど適時行ってください。 ワークアウトA ベンチプレス:8レップを3セット(セット間に1分間のレスト) ラットプルダウン(またはプルアップ):8レップを3セット(セット間に1分間のレスト) バックスクワット:8レップを3セット(セット間に1分間のレスト) ワークアウトB ミリタリープレス:5レップX 5セット(セット間に2分のレスト) バーベル(または適切なマシンでの)ロウ:5レップX 5セット(セット間に2分のレスト) フロントスクワット:5レップX 5セット(セット間に2分のレスト) ワークアウトC ベンチプレス:5レップX 5セット(セット間に2分のレスト) ラットプルダウン(またはプルアップ):5レップX 5セット(セット間に2分のレスト) バックスクワット:5レップX 5セット(セット間に2分のレスト) ワークアウトD ミリタリープレス:8レップを3セット(セット間に1分間のレスト) バーベル(または適切なマシンでの)ロウ:8レップを3セット(セット間に1分間のレスト) フロントスクワット:8レップを3セット(セット間に1分間のレスト) 1週目 デイ1:ワークアウトA デイ2:ワークアウトB デイ3:ワークアウトC 2週目 デイ1:ワークアウトD デイ2:ワークアウトA デイ3:ワークアウトB 3週目 デイ1:ワークアウトC デイ2:ワークアウトD デイ3:ワークアウトA 4週目 デイ1:ワークアウトB デイ2:ワークアウトC デイ3:ワークアウトD そして、この段階で自身の漸進を評価しましょう。もし、より良く感じられ、見た目も良くなっているのであれば、トレーニングの時間中に、なぜ他の様々なことを実行しているのかを自問したくなるかもしれません。自らのゴール(このケースにおいては筋肥大あるいは除脂肪体重増大)の達成のための適切な運動にフォーカスを置くことはトレーニングプレセス全体をより単純化することになります。
ストレングスの定義
「ストレングス」についての以前の記事は、その言葉のより良い、そしてより適切な定義を作り出すという挑戦をもって終わりました。 Merriam-Webster(英語辞書)に掲載されているストレングスの名詞としての定義を見てみると、一番初めに出てくる意味は「強いという特性や状態、力の発揮や持久力の容量」です。力の発揮と持久力についてより掘り下げてみるとき、私達はワークキャパシティ:仕事許容量という言葉を用いることになるでしょう。 私がそもそもストレングスという言葉に挑んだ理由は、私がLee BurtonとDan JohnとともにEssentials of Coaching and Training Functional Continuumsに取り組んでいて、Jon TorineやAlwyn Cosgroveといったストレングスコーチから、ストレングスのコンセプト全体をとりだし、それを強く押し出してみることで、ワークキャパシティが生み出されるかというコメントを引き出していたからです。ストレングスを単なるウエイトトレーニングの連続としてではなく、そのような方法で用いれば、私達は皆、自身により高いコミュニケーションと責任の基準を設定することができると思っています。 パワーリフティングが自身のスポーツであるがためにウェイトトレーニングを行うのでない限り、あなたはそれ以外の効果のためにウェイトトレーニングを行なっているでしょう。単にフィットネスのためやスキーシーズンに備えるため、ブートキャンプに備えるため、または他の趣味や身体活動のためであれ、ワークキャパシティによってより多くのスキルを向上させることができる、なぜなら疲労に対するより大きな耐性があるから−あなたの練習時間は量だけで満たされるのでなく、統合性も備えるものになるでしょう。 もしウェイトトレーニングをすることなくワークキャパシティを評価することができたのであれば、あなたはウェイトトレーニングの必要性について大いに主張できるでしょう。もし、ワークキャパシティを評価するためにウェイトトレーニングをする必要があるのであれば、ウェイトトレーニングをせずとも筋力が強い人を除外してしまっているでしょう。もし良いテクニックでウェイトトレーニングを行うことが必須であるならば、公共の体育館などで趣味でトレーニングをする多くの人たちを除外してしまうでしょう。 何を実践するかを知るためにテストをするのです−テストを実施することができるようにということではなく。 Danと私がこのトピックについてEssentials of Coaching and Training Functional Continuums の中で取り組み始めた時、露わになった最大の問題分野、障害そして論点は自体重能力と運動パターン能力に続いて、負荷をかけたパターンへと進むという事実です。 生物学的には、そのようにはなりません。赤ちゃんは自身の最大負荷を持ち上げようとする前にものを持ち運びます。キャリーを伴う最大下のエクササイズは、実際には本来のそして生物学的な発達において、新しく習得した負荷パターンで物を持ち上げることを単に繰り返すことよりも好まれるのです。 ムーブメントスクリーンにおいて機能不全的なパターンを持つ人たちが、改善案をたててそのパターンの様に見えるエクササイズに飛び込んで行く時、「ちょっとした問題」が起こるのです。もし、私がその欠陥を作り出すことに何らかで関わっていたのであれば、公に謝罪します−なぜなら自体重においてのみ評価されるべきであるパターンに恣意的に負荷をかけるべきではないからです。 ファーマーズウォークやフロントラックキャリー、オーバーヘッドキャリー、またはターキッシュゲットアップの一部分やその動作全体といった、非常に簡単な動作に負荷をかけた状態で持久力と統合性がどうであるかを見るべきです。もしこれらの垂直と水平方向のキャリーを高く評価することができるのであれば、対称及び非対称的なキャリーを高く評価することができるのであれば、負荷をかけた状態でその人の統合性がどれだけ持続するかを示すであろうと私は考えます。 キャリーのベースから、私達は左側と右側のワークキャパシティ、前側と後ろ側のワークキャパシティ、そして上部と下部のワークキャパシティの配分のバランスをその人に取らせるために必要な適切なエクササイズを探すことができます。バランスの取れた身体を求めるとき、私達は全体を4つに分けます。Yバランステストを見ることで、私たちの考えがどこからきているかがわかるでしょう。 随分と前に私が書いたMovementという本の中で、私はスタビリティという言葉に挑み、私たちがスタビリティという言葉で行っていることの全ては、実はストレングス−小さい筋群に対するセット数とレップ数のことであると記しました。スタビリティとはそういうものではありません。 スタビリティとは、ストレングスというよりもタイミングのことであり、そのため、運動制御という言葉で代替すれば非常にうまく意味が通じるのです。なぜなら、あなたが運動制御の欠如を見つけたときに、あなたはその運動制御を教えることを行うため、それはあなたの目的を保ち、要点を得る手助けとなります。スタビリティの欠如を見つけた時、あなたは単にどの筋群がこの動作をコントロールするか、そして何セットそして何レップでそれを再獲得できると思うかを単に問うことでしょう。 ピアノを演奏できるまでに何セットそして何レップの指の屈曲が必要だと思いますか? その質問に答えはなく、なぜならそれは間違った質問だからです。ピアノを演奏することは、タイミングとコーディネーションを生み出し、それらはあなたがピアノを演奏できるように運動制御を生み出します。それは運動制御のレベルにおけるストレングスに関することではありません。それは負荷をかけた状態で、統合性を伴ったアライメントに関することなのです。 これが、キャリーがあなたにもたらす効果です−姿勢が正しければほぼ自動的に起こります。もし開始時の姿勢が正しければ、あなたの仕事は、1分~3分間持続するキャリーのサイクルを判断することです。負荷を適切に調整します。姿勢を適切に調整します。ムーブメントスクリーンにおいて「1」が一切ないようにします−もしあるならば、あなたはおそらく深刻な運動制御の問題または根本的なモビリティの問題があるでしょう。これらがあるならば、あなたが目的としているものがわかるまで、運動制御を追い求めるべきではありません。 もしスタビリティという言葉をやめて、運動制御という言葉で置き換え、そしてストレングスという言葉をやめてワークキャパシティという言葉で置き換えても、誰かを怒らせることがないとよいのですが。ストレングスの全体的な主旨は、象徴となるような言葉を作り出すことではなく、私たちが目的として追い求めるものにするということです。 ワークキャパシティは私たち人間の努力において目的として追い求めるものであり、ストレングスはワークキャパシティを補助する重要な特性なのです。適切な時と適切な場所において、ウェイトトレーニングはワークキャパシティを向上させる最も効果的なものの一つですが、もしウェイトトレーニングが不適切な副作用を引き起こしたり、何らかの理由でワークキャパシティを害してしまったりしたりするときは、ストレングスは無意味な言葉となります。誰もがストレングスがあると言えるのです。 ストレングスやスタビリティといった言葉の尊さを守りましょう。少しの間、スタビリティやストレングスのトレーニングをすることで私たちが得たいものにより正確な名前をつけましょう。それらを運動制御やワークキャパシティと呼びましょう。不要な、または複雑な副作用を持つことなく一つの特性の向上や効果を私たちが示せるような計測値や数値を持たない言葉の陰に隠れないようにしましょう。 この記事が、誰かを怒らせてないといいのですが。もし私があなたに頭を柔らかくして考えるよう挑戦したのであれば、それは私自身と私の仕事に対してより誠実でいようとするために、私がこの言葉に向かい合い始めたときに私が自身に課した挑戦と同じなのです。
カーディオに夢中
フィットネス業界から公共討論に飛び込んできて、私の気を狂わせるフレーズが多くあります。ファンクショナル、水分補給、コア、カーディオは私が最も嫌う4つのワードです。“水分補給していますか?”いいえ、お母さん、でも水を飲んでいます。 カーディオトレーニング(心血管系トレーニング)は聞くと最も身もだえしてしまう一つです。心血管系はつまりは“システム”です。今日、ジムに行ってリンパ系をトレーニングして、それからいくつかの神経系をトレーニングしました。私は今日も膵臓をしごきました。 10代の頃、ジョギングとエアロビクスの流行がやってきました。ニュースキャスターの“ヨギング”もそれについて触れました。週末に楽しんで5キロ走ることはすぐにフィットネスニッチとなり、脈を計ることもありふれたものになりました。 奇妙なことに、この流行以降、多くの人にとって、このオリンピック競技を、スポーツ界で最も優れた身体ではなく、ベーグルを探してゆっくり動く人達と同義としてしまい、陸上競技というスポーツはアメリカでは消滅したのも同然でした。 基本的には、心臓が鼓動していれば、カーディオをしていることになります。トレッドミルから降りて、長期的な健康とフィットネスの向上に戻せるであろういくつかのアイデアを紹介します。 まず最初に、目標の一つは“弾力性のある”心臓をつくることです。人生は定常状態ではないので、心臓をトレーニングするには、山と谷、満ち引きを考慮します。信号機で止まってその場ジョギングしているよりも、青信号を待つ間、心拍を下げましょう。インターバルトレーニングやタバタプログラムのような優れたトレーニングプログラムは、ローラーコースターのようなトレーニングに心臓を対処させることが評価されています。トレーニング中に心拍数を増減させてください。 2つ目に、心拍モニターに投資してください。私が最初に買ったものは、400ドルちょっとでした。今日、20ドルくらいでもっと良いものが買えます。心拍モニターは、トレッドミルを使う恥ずかしさなしに、心臓がどのように機能しているかについての洞察を与えてくれます。 トレーニング用に、私はフィル・マフェトンの数を使用します: 180引く年齢=“最大”心拍(ワークの最大限界) 160引く年齢=“ワークに戻る”(休息の終了) つまり、基本的なトレーニング幅は: 20歳:160-140 30歳:150-130 40歳:140-120 50歳:130-110 60歳:120-100 6秒心拍計測 20歳:16-14 30歳:15-13 40歳:14-12 50歳:13-11 60歳:12-10 これらの数字を使用することで、ワークアウトを再現性のあるものにします。おそらく、繰り返せることがトレーニングを長続きさせるために最も重要な鍵となるでしょう。 3つ目に、心拍モニターを使うことで驚くべき発見があります:多くの人にとって、カーディオマシーン系よりも心拍を上げるエクササイズがあります。心拍を計測して人々を驚かせたいくつかをここに挙げます。 Tプッシュアップ バードドッグ 特定の関節の問題のためのコレクティブムーブメント ケトルベルを使用したスナッチ、スイング、あるいはスクワットをすることで、心拍が上昇することは驚きではありませんが、バードドックで我々が思っている以上に心拍数が上昇することを見て多くの人が驚きました。 このくらい単純かもしれません:地面でのトレーニングに立位でのエクササイズを混ぜることは、地面から起き上がり、床に降りる作業が含まれます。これが単純な答えかもしれないのであれば、あなたのトレーニングに利用してはどうですか?スイングにTプッシュアップ、ゴブレットスクワットにバードドックを混ぜることで、瞬時にトレーニングを強化させます。 ワークアウトに動きをリンクし、心拍が同時に変動するかを確認することで、そこからカーディオトレーニングの価値を得ることができます。シンプルなことです。
安定性=パフォーマンス
私が覚えている限り、コアトレーニングは常にワークアウトの重要な一部でしたが、経験を積むにつれて、『コアトレーニング』は、それぞれ重要な構成要素へと分類されてきました。これらの要素を理解することは、誰かにエクササイズプログラムを提供する際に非常に重要です。 よくトレーニングされたコアは、最適なパフォーマンスと傷害予防に不可欠です。 この記事は、コアとは何か、それがどのように機能するのか、安定性と強さの違い、そしてそれがパフォーマンスのためのトレーニングまたは傷害予防にどのように関連しているのかを理解するのに役立つでしょう。 「コアの安定性」は、統合された運動活動において、末端部分への力と動きを最適に生成、伝達、及び制御するために、骨盤上の体幹の位置や動きを制御する能力と定義されます。(Kibler) コア・ユニットとは何か? はじめに、「コア」とは何か、そしてその主な機能を明確に理解しましょう。 三次元空間であるコアは、腰部・骨盤・股関節複合体とも呼ばれ、腰椎、腹壁の筋肉、背部伸筋群、そして腰方形筋で構成されています。また、コアを通過して、骨盤、脚、肩、そして腕につながる広背筋や腰筋のような多関節筋も含まれています。骨盤との力学的な協働を考えると、殿筋も含まれていると考えてよいでしょう。 体幹及び骨盤のコアの筋肉は、脊柱と骨盤の安定性を維持する役割を担っており、大きな身体の部位から小さな部位へのエネルギー/力の生成及び伝達を助けます。 フィットネス・コミュニティ内では、コアをトレーニングするためのエビデンスに基づくアプローチや理解が欠けています。たとえば、腹直筋をトレーニングするには、脊柱の屈曲(クランチ)を繰り返すのが良い方法だと信じている人もいます。興味深いことに、この筋肉がこのように使われることはほとんどなく、それらは動きに抵抗したり止めたりする中でブレーシングする、具体的には腰椎の過伸展を防ぐためにより頻繁に使われます。それらは屈筋というよりも安定筋なのです。さらに、椎間板への反復する屈曲や圧迫は、有力な受傷メカニズムです。(Callaghan JP and McGill SM) 誤った行為の他の例は、アスリートが、おへそを脊柱に向かって引っ込めてコアをブレーシングするように指示されることです。これは主な脊柱安定筋を使うための方法ではありませんし、コアの安定性を測定した多くの研究が、もっとも重要な安定筋群の活性化はタスク固有のものであると示しています。 コアの安定性対コアの強さ 私がコアトレーニングではじめに目からうろこだったことの一つは、コアの安定性とコアの強さの違いを発見したことでした。 その違いとは、コアの安定性が協調された筋活動の結果として脊柱を安定させる能力を指すのに対し、コアの強さは、筋肉の収縮する力と腹腔内圧によって力を生成する能力を指すということです。(Faries & Greenwood) コアの安定性は、受動的、能動的、そして神経制御の3つの相互依存的なサブシステムに分類されます。 (Panjabi) どのサブシステムも、他のサブシステムと別々に作用したり働くことはありません。受動的システムには、椎骨、椎間板、靱帯、関節包、そして筋肉の受動的特性が含まれます。これらの組織の主な役割は、張力が増加し、運動に対する抵抗が生じるとき、可動域の最終域を安定させること、そして機械受容器を介して位置や負荷の情報を神経制御システムに伝達することです。 能動的サブシステムはコアの筋肉で構成され、脊柱に動的な安定性を与え、神経制御システムに運動の情報を提供します。神経制御サブシステムは、最終的にコアの安定性を生み出し維持する、入力および出力信号の拠点です。 これら3つのサブシステムが一緒になって、瞬時に変化を起こし、剛性(つまりコアの安定性)のために適切な筋動員の組み合わせや強度を実行するのです。 コアの強さとは、エネルギー漏れを起こさずに、腹腔内圧に対抗して、このように協調された筋動員パターンによって生成または伝達される力の大きさと言えるでしょう。 アスリートが、コアが協調/安定できる以上の力を発揮すると、エネルギー漏れが生じ、四肢のオーバーユース障害が起こります。 たとえば:野球の投手が、コア・ユニットが下肢で生成された力を効果的に協調及び安定させ、肩へと伝達することができない結果、肩のローテーターカフ損傷(受動的サブシステム)が定期的に起こるかもしれません。肩の筋肉が、この失われたパワーを補わなくてはならないからです。 アスレティック・パフォーマンスのためのコアの強さ 経験を積むにつれ、私は誰かをリハビリテーションのためにトレーニングするのか、またはパフォーマンスのためにトレーニングするのかによって、コアトレーニングが少し異なることにも気が付きました。 先にも述べたように、コアが身体に対して弱いと、アスリートは、あらゆる動きにおいて必要な力を発生させるために、常習的にほかの筋群を酷使してしまうのです。そのため、パフォーマンス向上のためのトレーニングには、コアを介して伝達される力の量を増加させようとすることと、エネルギーを漏らさないようにすることが含まれます。 コアを強化するエクササイズは、完璧なテクニックを維持し、パフォーマンス成果を上げるために必要な力を発生させる能力を本当に試すものであると言えるでしょう。 リハビリテーションのためのコアの安定性 リハビリテーションのためのトレーニングとは、コアの協調性及び安定性を回復し、痛みを伴わずに日常生活のタスクを実行できるようにすることです。そのため、リハビリテーションにおける安定性とは、パフォーマンスのための筋力トレーニングのような結果の出る課題に取り組むのではなく、小さな運動単位の動員や同期された活性化パターンを増加させようとすることだと言えるでしょう。その結果、中枢神経系のコントロールが向上し、安定性(上記のすべてのサブシステム)が高まり、受傷リスクが減少するのです。 安定性のためのコアトレーニングと不安定面上のトレーニング あるトレーナーが、コア・ユニットのポステリア・チェーン要素を刺激するような動きを取り入れたいとしましょう。彼らは、その人にとっての適切な負荷はどれくらいかと悩んでいるかもしれません:エンプティ・バー(プレートなしでバーベルバーのみを使った)でのヒップ・ヒンジパターン?バードドッグ・エクササイズ? その選択は、アスリート/クライアントの許容範囲や能力によって決まります。コーチは、処方されたエクササイズの量がクライアントに見合っているかを確認しなくてはなりません。各々のアスリートにはそれぞれ負荷の許容範囲があり、それを越えてしまうと、痛みを生じ、最終的に組織の損傷を引き起こします。たとえば、あるアスリートは先に述べたバードドッグの動作には十分耐えられるかもしれませんが、腰椎に2倍の圧縮力がかかるバランスボール上でのバック・エクステンションには耐えられないかもしれません。しかしそのまた一方で、ジムでトレーナーとトレーニングしているほかの誰かは、片脚でのエンプティ・バー・ヒップヒンジをいとも簡単にこなすことができるのです。よりトレーニングを積んだ人ほど、その許容範囲は高くなります。人の能力とは、痛みや損傷を起こさずにその人が行うことのできる累積運動です。(McGill, Stuart PhD) コアの安定性エクササイズは、バランスボールまたはウォブルボードの上でバランスを保つ能力とはほとんど関係がありません。これはただ身体のバランスを維持する能力を試しているだけであり、不安定な脊柱とはほとんど関係がないのです。安定性のためのトレーニングは、「ブレーシング」するコアの筋動員、つまり剛性効果によって達成されます。 単一のコアの筋肉(たとえば腹斜筋)に焦点を当てることは、一般的には安定性を高めるのではなく、測定したときに安定性が低くなるような動作パターンを作り出したり強要します。腹横筋や多裂筋のような筋肉を単独でトレーニングすることは不可能であり、人々はこれらの筋肉を単独で活性化することはできません。そうではなく、安定性は腹部のブレーシングによって高めることができるのです。 一方で、バランスボールのような道具、またはその他の不安定面上でのトレーニング機器を使うと、非常に役に立つ場合があります。バランスボールは不安定な表面を与え、ブレーシング・エクササイズと組み合わせると、筋動員はかなり難しくなります。バランスボールを使うことは、固有受容器の能力、身体の安定性やバランスをとる能力を高めることはできますが、筋力を高めることはできません。したがって、それはコアの安定性のためのサブシステムやリハビリテーションに適しているのです。(Behm et al.) コアの安定性が高まると、その上にコアの強さが構築できるでしょう:コアを介して伝達される力の量を増やし、エネルギーを漏らさないようにすることによって。
立ち上がろうー何度も!
あなたは多分、運動でよくない食生活をなかったことにすることはできないと聞いたことがあるでしょう。でも、それよりももっと正確かもしれないのは、運動で不健康なライフスタイルをなかったことにすることはできない、ということです。これってパラドックスのように聞こえますよね。 「運動をすれば、不健康なライフスタイルを送ってもいいですか?」 まあ、そうですね。 不健康なライフスタイルとはなんでしょう?それは、活動レベルや食生活、思考パターンや衛生状態などを含むビュッフェのようなものだと思います。 ですが今日は、そしてあなたの残りの人生において、座りがちなライフスタイルを不健康なライフスタイルとして見てみましょう。 私は最近、ジョアン・ヴァーニコス博士と話をすることができました。彼女は、NASA生命科学部門の元ディレクターです。彼女は宇宙空間にいることの老化への影響について多くの研究を行ってきました。無重力状態では、人体は通常の10倍の速さで老化します。NASAにいた間に、ヴァーニコス博士は、ベッドまたは椅子であまり動かないでいることが、宇宙空間にいるのと同じ影響を身体に与えるということも発見しました。言い換えれば、彼女の研究は、身体を老化させるのは動かないことだということを発見したのです:つまり椅子の上での生活です。 彼女はまた、もしその人が座りがちなライフスタイルで生活し続ければ、運動は老化の過程を止めるのにほとんど効果がないことも発見しました。たとえば、一時間運動しても、椅子の上で過ごす8時間の結果を克服または逆行させることはできないのです。 その理由は、身体は動くようにー沢山動くようにデザインされているからです。 ヴァーニコス博士は、ずっと座り続けたり何時間もベッドに横になることは、神経系にとって沈黙のようなものであり、まさに無重力空間にいるようなものだと言います。その沈黙では、前庭系の刺激はなく、身体は、使われることも要求されることも、要望を受けることもありません。そうすると、身体はより速い速度で老化するのです。血管はその弾力性を失い、中性脂肪は上昇し、炎症は進行し、反射は低下し、協調性は衰え、バランスを失い、関節が劣化する、などというように。 しかし、ただ一日を通して頻繁に動くだけで、これらすべてを元に戻したり予防することができるのです。ヴァーニコス博士は研究を行い、ただ30分に一度椅子から立ち上がるだけで、老化の長期的な影響を防ぎ抑えることができることを発見しました。覚えておいてください、運動にはこのような効果はなかったのです。 驚くことに、彼女は、ウォーキングよりも、ただ頻繁に立ち上がることの方が老化の過程を抑制させたことも発見しました。だからと言って、ウォーキングが有益ではなかったということではありません。ただ頻繁に立つ(椅子から立ち上がって前庭系を刺激する)というような“より簡単な”ことでも、散歩をするのと同じくらいの老化防止及び抑制効果があった、ということなのです。 頻繁に動くということが重要なのです。立つことが重要なのではありません。長時間立ち続けることもまた、ある種の沈黙を生み、それは静的で、やはり劣化効果があります。前庭系を活性化させ、姿勢を変えて、たびたび前庭系に”ノイズ”を発生させて、神経系にそれが必要とされているのだと知らせることが重要なのです。 もし身体に何かを求めれば、身体はあなたが望むものを与えてくれるでしょう。頻繁に動くことは、身体に常に動ける能力を持つよう要求することです。もし身体に何も要求しなければ、身体もあなたには何も与えないでしょう。 あなたの身体は一生健康にいられるようにデザインされており、あなたは自分の持つすべての時間を楽しめるように作られています。あなたがいつも自分の身体を楽しめることを確実にするもっとも簡単な方法の一つは、頻繁に動くことです。すなわち、長時間座っているならば、30分またはたとえ60分に一度でも、2,3分立ち上がる休憩時間を持ちましょう。頻繁に動くことで、あなたの身体に身体を維持したいのだと知らせてください。ただ立ち上がってそのままでいる必要はありません、創造性を発揮して楽しくすることもできます。立ち上がってダンスをする、散歩に行く、ストレッチをして笑顔になる(気分爽快!)、10歩ハイハイをする、オフィスにあるバスケットボールのおもちゃで2分間シューティングをする、などなど。 大事なのは、座りがちなライフスタイルは不健康なライフスタイルだということです。それはあなたを老化させ、あなたが元気に生活を送る能力を奪ってしまいます。しかし、ただ一日を通して頻繁に動くことで、あなたは健康で、元気に楽しく生活を送ることを選ぶことができます。それは、30分から60分間に一度立ち上がり、腕を伸ばしストレッチをして、一分間ほど笑顔になる、というような簡単なことでもいいのです。 ええ、不思議なくらい効果があるのです。 それを試してみる冒険心はありますか?
患者中心のケアのための簡単なガイド パート2/2
PCCの実践 人を中心としたアプローチを、活動/運動/エクササイズの単なる種類やセット数、レップ数だけと考えるべきではないかもしれません。それよりも、運動を取り巻くすべてのことであり、これを中心に紹介します(運動バイアスはあってもかまいません)。 終わりを意識して始める 回復がどのように見え、感じられるかを定義することがない限り、自分がそこに到達しているのか実感することはおそらく難しいでしょう。セラピストの役割は、その人がどこに到達したいのか、現在どこにいるのかを確認し、そのギャップを埋める手助けをすることだと思います。 まずは目的を念頭に置くことが最適なスタート地点としたら、これには何よりもまず、人の話を聞くことが必要です。傾聴と理解こそがPCCの真髄であると私は考えていますが、多くの人はヘルスケアの現場でこのようなことが常に行われているとは感じていません。 次の短い抜粋は、優れた論文からのものです:“‘非対面’から自律的な主体性まで。腰痛患者の医療制度における出会いに関する概念” Holopainen 2018年 “患者は、自分の話を聞いてもらえないと感じていた。彼らは、その対面が専門家主導であると感じ、医療提供者は彼らの希望や意見に耳を傾けることなく、彼らの言うことを遮り、否定していた” また、長い間、痛みを抱えてきた人にとって、目標や回復の過程を明確にすることはとても困難ということを認識する必要があります。痛みや苦しみの外に目を向けて、‘人生’とは何か、どのようなものか再び実感することは、難しいことです。 “患者は、痛みが自分の生活に及ぼす影響を認識し、以前は楽しんでいたことをあきらめ生活の輪が狭くなったと報告しました” - Holopainen 2018 ただ動くために動いているのではなく(これはこれで意味のあることですが)、これまで話し合ってきた価値ある活動や目標に向かってさらに前進するために動いているのだということを、私は強調するようにしています。そして、これがその人の内発的な動機につながることを期待しています。 目標がある内発的な動機には、大きな問題点があります。普通、彼らの成功は痛みや機能といったより全体的な評価に反映されることによって測ることができます(理学療法に関する研究では確かにそうです)。 私たちは、目標という素晴らしく個人的で具体的なものを持っているのですから、その目標そのもの!を達成することで、私たちは実際に成功を測るべきなのです。もしそれが痛みの変化を伴うのであれば、人を中心としたアプローチでは、もちろん目標に痛みを含めるべきでしょう。しかし、痛みの変化(評価項目 アウトカム指標)がなかったとしても、その人の生活の質に大きな影響を与える大切な目標を達成することができるかもしれませんし、全体的な評価手法では必ずしも捉えられないかもしれません。 私は、行動の背後にある“なぜ”は、その人によって決められなければならないと信じています。セラピーで行われることの多くは、最善の方法で痛みをなくしたり、機能を向上させたりすることで、セラピストのバイアスによって駆動されています。 もしかしたら、よく採用されている“方法”は、患者さんよりもセラピストのアイデンティティや価値観に合っているのかもしれませんよね? 共同意思決定と責任 先に述べたように、PCCと共同意思決定は、ただ誰かが望むことをするということではありません。意思決定を適切に行うためには、入手可能な最大限の情報と、最善の行動方針に対する専門家としての意見を提示する必要があります。 自律性は、エクササイズの成果に影響を与えることが示されています“自律性:プログラムを成功させるために欠けている要素?”もしかしたら、自律性と選択があれば、リハビリにおけるエクササイズとのより良い‘結びつき’につながるかもしれません。 エクササイズや運動、負荷のかけ方にはたくさんの方法があるので、いくつかの選択肢を提示して、次に進むためのベストな方法を選択できるようにすることはそれほど難しくないはずです。同様に、最良のデータと経験に基づいて、その人に‘ぴったり’と思われる最良の行動指針について意見を述べることがセラピストの責任でしょう。 このプロセスにおいて、お互いの責任を明確にすることは、重要なステップです。私はいつも、私はガイドや手助けをするためにここにいますが、あなたが実際にやってみて、それがうまくいくと信じなければうまくいきません、と言っています。時にはお互いにその過程や結果を報告する責任を果たすことも必要だと思います。 プランニング 私にとって、これこそが真の生物心理社会主義です。 私たちは皆、仕事や家族、社会的なプレッシャーのある世界に“組み込まれて”生活しています。BPSの視点を導入するための最良の方法の一つは、運動やエクササイズの計画は、時間や労力、他の何かを犠牲にするという意味で、“コストなし”ではできないということを認識することです。 人は、何かをすることが必要なのみでなく、それを実行できるための計画を必要としています。目的地が素晴らしくても、そこに到達するための道筋も必要としているのです。 みなさんはこれまでに、時間や場所、仕組みがはっきりしていないために、なかなか実行に移せないことがどれだけあったでしょうか? 運動をするのに最も適した時間帯はいつですか?仕事の前か後か。どのくらいの時間がいいのか?どんな感じでやればいいのか?円滑に行うための必要な情報を彼らは持っているのでしょうか? “‘非対面’から自律的な主体性”のもう一節では、次の点が強調されています: "書面による説明がないため、何をすればいいのかわからず、処方されたエクササイズができなかった" また、それぞれの社会的環境をうまく利用できるようにサポートすることも有益な方法です。私たちは、多くの“社会的”なものを変更することはできませんが、それらをもっと理解してもらい、導く手伝いはできます。たとえば、より活動的になるために地域社会のサポートを受けるにはどこに連絡したらいいか? 無料または低コストで利用できるリソースはあるか? また、支援団体や家族、友人など、助けてくれる人はいるか? 治療者としてではなく、ガイドとしての役割を果たすことで、多くの人が助かるかもしれません。 サポート&モチベーション 誰かのエクササイズフォームを批判したり、ある種の動きの機能障害を強調したりすることは、PCCとは正反対です。それによって誰かがどう感じるか、その人の行動にどう影響するか全く配慮に欠けています。しかし、もしあなたが単に病理に対して取り組んでいるということであれば、そんなことは気にする必要はないのでしょうか? 他人の立場になるということは、全く逆の見え方になるのだと言えるでしょう。 誰かを批判するのではなく、どうすればその人を引き立てられるかを考えてみてはどうでしょう。長所や利点を強調することを考えましょう。医療の現場では、モチベーションと楽観主義の持つ力を過小評価しているように私は思います。これは、フィットネスの世界ではコーチやトレーナーの役割の基本的な部分ですが、エクササイズを医療に取り入れるようになった際に失われつつあります。 患者さんは、自分自身でこのように言っています! “患者は、パーソナルトレーナーのように自分を後押ししてくれる人が必要である、と報告した” - Holopainen 2018年 おわりに 人を中心としたケアは、その人によって定義される PCCは単にその人が望むものを与えることではない 人は単なる患者(受動的な受け手)ではなく人である “他の人の立場に立つ”ことを考える 共同意思決定(エビデンスに基づいた)についてもっと考える 終わりを念頭に置いてスタートし、価値ある活動に結びつける 彼らの“自分の世界”へ導く役割を果たす 人をノックダウンするのではなく、人を育てる
患者中心のケアのための簡単なガイド パート1/2
‘痛みの科学’と‘生物心理社会的’に続く最近のバズワード(流行語)は、‘患者中心のケア(ペイシェントセンターケア)’、略してPCCと呼ばれているものでしょう。 バズワードの場合、定義がかなり不十分で、厳密な説明があるわけではありませんが、私はPCCこそが、生物心理社会的(BPS)モデルを実践すべき方法であり、またBPSモデルが本来目指すべきもので、私達が現在持っている痛みに焦点を当てたバージョンではないと考えています。 この記事では、PCCをアクティブケアの中でどのように適用するかに焦点を当てていますが、多少脱線しても驚かないでください。 患者なのか人なのか? この分野のほとんどの文献は“患者中心のケア”について述べていますが、私は“人”を中心としたケアの方が好きです。それは、患者….を一人の人間に変え、双方向の関係の中でより“リアル”な存在にするからです。 “患者”という言葉は長い間、議論の対象となってきましたが、これに関しての興味深い文章から引用を二つピックアップしました。 "患者に代わる新しい言葉が必要か?" “Patient ”はラテン語の “patiens ”に由来し、苦しむや耐えるなどを意味する“patior”からです。この言語では、患者はまさに 受動的な存在で -必要な苦痛には何でも耐え、専門家の介入には辛抱強く耐えるということです。” “医療サービスの利用者と提供者の不平等な関係” これらの興味深い視点は、‘患者’が、個人として考慮されず、何をすべきかを指示される受動的な受け手であるという潜在的な視点を浮き彫りにしています。結局のところ、組織や病理はどのように扱われるかに関心がないのであれば、それを気にする必要はないということですよね? PCCとは実際何か? PCCを定義することは、誰にとっても難しいのかもしれませんね? ある人にとっての人間中心は、別の人にとってはそうではないかもしれませんが、議論の余地がある大まかなテーマや考え方はあるようです。 患者(人)を中心としたケアは、これまで次のように定義されてきました: “生物医学的な問題だけでなく、患者がドクターにもたらすあらゆる範囲の困難に関与しようとする姿勢” - Stewart 1995 “臨床医は患者の世界に入り、患者の目を通して病気を見ようとする”-McWhinney 1989年 “(一人ではなく)二人で行う医療” - Balint e al 1993 (引用:Meadら2000) 私にとってPCCの良いスタートは、セラピストやテクニック、メソッド、エクササイズなどを主役として見ないということ。私たちの助けを本当に必要としている人が主役です。それは、派手さや華やかさや台座を意味するのではなく、目の前にいるこの人が何を必要としているのか、彼らと同じ立場になるとどんな感じか?を考えてみるということです。 もうひとつの非常にシンプルな見方は、あなたならどのように扱われたいか?ということです。 Meadらは、"患者中心主義: 概念的なフレームワークと実証的文献のレビュー"の中で、"患者中心 "の5つの重要な側面を定義しました。 生物心理社会的視点(患者の人生) 一人の人間としての患者 力と責任の共有 治療の協力関係 一人の人間としてのドクター(人間らしさなどの個人的資質) Wijmaらは“理学療法における患者中心主義:どんなことが必要となるか?”を探求し、PCCを次のように定義しました。 “理学療法における患者中心主義とは、個人に合ったオーダーメイドの治療の提供、継続的なコミュニケーション(言語および非言語)、治療のあらゆる側面における教育、患者が設定した目標への取り組み、患者がサポートされ力を与えられる治療、そして患者中心の社会的スキル、自信、知識を持つ理学療法士という特徴を伴うものである。” PCCではないことは PCCに対する批判の中には、消費者主導の医療や‘彼らがしてほしいことを何でもする’というような考えを中心としたものがあるようです。PCCの本質である‘共有された意思決定’という考えは、消費者の医療という考えをある程度受け入れやすくするかもしれません。 このような議論は、治療の種類や、より受動的な手法の適用に支配されがちですが、私たちはこのようなPCCの還元主義的な見方に対して十分注意する必要があります。 誰かの好みに基づいて決定するのではなく、PCCの重要な部分は、人々が決定に参加することであり、その決定には、入手可能な治療に関する最良の情報と、最良の方針のためにも率直で正直な対話が反映されなければなりません。ただ単に“どのような治療を希望するか”ではなく。 MakoulとClaymanは、“医療場面における意思決定共有の統合的モデル”の中で、意思決定を共有するためのいくつかのステップについて述べています。 問題の定義または説明 選択肢の提示 長所と短所(利益/リスク/コスト)を議論する 患者の価値観や好みを評価する 患者の能力や自己効力について議論する 医師の知識や推奨の提供 理解度の確認、明確化 決断を下す、または明確に決定を延期する フォローアップを手配する 人々が本当に望んでいるものは何か? このことは、“人は何を望んでいるのか”ということにうまくつながるものの、好きな治療法の種類を中心に展開することではなさそうです。 PCCは、エンドユーザーである人が広い医療の世界にどう適合するかではなく、彼らのために医療に何ができるかを考えることでしょう。そのためには、彼らに尋ねる以上により良い方法があるでしょうか? 質的調査が増えることは、素晴らしく、人々が何を考え、感じ、最終的に何を必要としているかを理解するのにとても役立ちます。 これは、腰痛における二人の視点に関するとても興味深い論文です:「聞いて、教えて」:非特異的慢性腰痛の患者を対象としたケアにおけるパートナーシップに関する質的研究 この論文の著者は、いくつかの重要な領域を指摘しています。 施術者とのパートナーシップ “参加者全員が、ケア提供者とケア希望者の間で、共通の治療目標を設定するために、互いに情報を引き出し、問題を解決し、交渉し、再交渉する必要があると述べています。” ‘私に質問して’ "意見や目標を明確に尋ねられた場合、医療提供者との関わりが改善された、とすべての参加者が報告した。" ‘私を理解して’ "生活環境や好みを考慮することは、治療上のパートナーシップを築き、運動の成果を最適化する上で、すべての参加者にとって重要であった" ‘私の言うことを聞いて’ "私が理解できるように説明して" –適格で共感できる聞き手を大切にする "自分の体のことは分かっている" - 参加者は‘自分の体を知る’ことが力になると考えています。 しかし、次の文章は特に私の心に響きました: "患者がパートナーシップの中で真の声を求めていることと、患者が医療従事者に明確な診断と最善のマネジメント指導を求めていることの間に緊張が存在していた" それは重要なのか? 人を中心としたケアについてよく聞かれる質問に、PCCは実際に‘アウトカム’を改善するのかというものがあります。PCCがアウトカムに与える影響は実際に重要なのか、そしてどのようなアウトカムについて議論しているのか、というのが私の反応です。 状況的要因が結果に影響を与えることは分かっていますが、PCCが特に最も一般的なアウトカム指標を改善するかどうかは分かりません。しかし、痛みや機能などが変わるかどうかに関わらず、人を大切に扱うことは正しい方法だと私は考えています。現在、多くのデータがあるわけではありませんが、私の見方では、多くの人にとって一般的なアウトカム指標ではなくても、医療における個人的な経験(それ自体がアウトカム指標かもしれませんが)に違いをもたらすと思います。
肩関節包後部の硬さを評価する
肩関節包後部の硬さを評価するための、前後の遊びをチェックする評価方法の実践において、正しく読み取れている自信はありますか?評価の実行時に間違った方向性で行ってしまって偽りの結果を得ることにならないように、正しい評価方法を再確認することは大切です。
LSD vs HIIT討論に終止符を打つ パート2/2
低強度と高強度メソッドの間には心臓の特異的な適応に違いがあります。LSDトレーニングのように、長い時間をかける低強度の方法では、心臓の左心室肥大が起きます。これにより、心臓が一回の拍動でより多くの血液を送りだすことを可能にし、結果、筋肉が働くために血液と酸素を懸命に運ぶ必要はなくなります。この適応は偏心心肥大として知られています。 一方で、高強度メソッドでは心臓の筋繊維を強化するよう作用し、結果として心臓壁が厚くなります。この適合は同心心肥大と呼ばれ、偏心心肥大とはことなった方法で、一拍毎に心臓がより多くの血液と酸素を送り出すことを助けます。これらの適応はそれぞれ、有酸素能力の向上に作用し、どちらも重要なのですが、コンディショニングにおける影響に違いがあることを理解することが重要です。 低強度メソッドでは、同量の血液を運ぶのにそれほど心臓が懸命に働く必要はなく、結果有酸素持久力がより順応していきます。つまり、幅広い範囲の強度でエクササイズをしても、心拍数は低いまま維持でき、長い時間そのエクササイズを継続できるということになります。これに対して、高強度メソッドでは、より高い心拍数で、より多くの血液と酸素を送り出し続けることに適しているため、完全に疲弊し、オールアウトするまで、長い時間高い心拍を維持させることができます。 このことはまさに、MMAにとって有利になりますが、試合中、低い心拍数を維持できればできるほど、コンディションはより良くなるでしょう。筋肉そのものに関しては、LSDはHIITよりもかなりの優位性を持っています。長く、ゆっくりとしたトレーニングは、動いている筋肉に心臓から酸素を運ぶ役割をもつ毛細血管の発達に役立ちます これには、HIITよりもボリュームを多くすることが必要で、この発達なしでは、筋肉は多くの酸素を利用することができず、持久力は上がらないでしょう。MMAでは、ストレングス、パワー、スピード、そして持久力すべてが要求され、身体が持つ3つのエネルギーシステムすべてに特化した緻密な発達が必要になります 総合的に強いファイターになりたいのであれば、レスリングスキル、関節技スキルとヒットスキルをバランスよくするためにどうしたらよいかを学ぶ必要があり、戦いのなかで必要になるエネルギーを生産するために、身体の異なったシステムすべてが細かく調整され、共に働けた時、コンディションとパフォーマンスは最大になるでしょう。これらの考えに沿って、LSD,HIITのどちらもが、異なった方法でエネルギーシステムを発達させているということを理解することが重要になります。 どちらが優れているのかという討論ではなく、それぞれが異なった適応を導き、特有の利点があるのです。LSDは低強度であり、故に関節にそれほど衝撃を与えず、頻繁に行うことができます。心臓がより多くの酸素を運搬することで、心拍は低く抑えられます。一方、HIITでは、有酸素パワーを向上させ、高い心拍数で長い時間動くことを可能にします。 戦いに勝つためのコンディショニングを求めているなら、LSDとHIITのどちらもトレーニングプログラムに入れるべきです。あなたが教わったことに反して、LSDによって弱く、遅くなることはありませんし、一流のボクサー、レスラー、MMAファイターでさえ、多くのアスリートがトレーニングプログラムにLSDを取り入れています。LSDを効果的に行い、コンディションを向上させるには、豊富な種類のエクササイズを使用して、60-90分のセッションを行うことを勧めます ただ単に走るのではなく、そり引きからメディスンボールエクササイズ、ジャンプロープ、シャドーボクシング、関節技のフロードリルまですべてを、それぞれ1回に10-15分行います。最良の結果のためには、心拍を130-150の間で維持するよう努めなければなりません。HIITでは、豊富で様々なフォームと正確に行うことが必要です:休息比率と総運動量は経験値、運動能力、特異的なトレーニングの目的によって決定されるべきです。 初心者では、高強度トレーニングを週1-2回行うところから始めるのが良いでしょう。運動能力が上がるにつれて、HIITのトレーニング量を上げ始めることができ、コンディションの必要性に応じて、長い運動を短い休息で行うこともできます。研究はスポーツ科学とトレーニング全体の進歩には非常に重要なものですが、それぞれの研究を単体で見て、安易に結論づけてしまうと、トレーニングを失敗させてしまいます。 昨今のペースの速い社会では、皆少ない運動で、素早い効果が出る方法を探します。1日に4分間高強度のトレーニングをするだけで、最高の結果とコンディションの向上が得られるのであれば、それはすばらしいことでしょうが、現実はそれほど簡単ではありません。正しい時間、正しいコンビネーションでLSDとHIITを使用する繊細な計画と熟考したトレーニングプログラムが、MMAのコンディショニングを究極に高めるための本当の鍵となります。LSDが何世紀にもわたって存在してきたのは、効果があるからであり、特別で重要な目的に適っているからです。 本当にMMAのコンディションを向上させたいのであれば、討論を忘れて、トレーニングプログラムにLSDとHIITの両方を取り入れてください。結果は保証します。
LSD vs HIIT討論に終止符を打つ パート1/2
過去数年、総合格闘技(MMA)界のコンディショニングでは、すべての長い・ゆっくりとしたタイプのトレーニングを捨て、高強度のインターバルトレーニングを選ぶ傾向が強くなってきています。専門家は様々な研究を指摘し、ファイターがトップコンディションになるために、従来のどんなタイプのロードワークも必要ではないという証明として、高強度ワークの利点を証明しようとしています。 格闘技は爆発的なスポーツであり、そのため、ランニングやかなりゆっくりとしたペースでのトレーニングでは、MMAで必要な高強度のエネルギーシステムの要求には見合わないと彼らは主張しています。この種のワークアウトでは爆発的な力を発揮できなくなり、弱くさせてしまうため、まったくするべきではないと極言する人さえ大勢います。 しかし、本当にそうなのでしょうか?高強度のインターバルトレーニングがすべての人にとってコンディショニングプログラムの真の答えでしょうか? 高強度のインターバルトレーニングは間違いなく効果的なコンディショニングツールであり、ファイターのトレーニングプログラムに入るべきものですが、一方で、長く、ゆっくりとしたトレーニングの負の効果がかなり誇張され過ぎであり、コンディショニングプログラムの中にもその役割はあるということを、この記事のなかで主張していきたいと思います。 まず始めに、長い距離をゆっくりとしたペースで走る(LSD)トレーニングは、ほとんどの格闘技スポーツのコンディショニングプログラムとして、どのような形にせよスタートし、存在してきたということに言及することは重要です。ボクシングやレスリングでは、この種のトレーニングはロードワークとして一般的に知られています。ロッキー・バルボアはフィラデルフィアの道でインターバルスプリントをしていたのではなく、ジョギングをしていたのです。 歴史を通して、一流のボクサーの大多数はトレーニングにロードワークを取り入れていたといって間違いないでしょう。アメリカでは皆、この高強度インターバルトレーニング(HIIT ) の流れに飛び乗っているようですが、アメリカ以外の国のMMAファイターのほとんどは、今もトレーニングにLSDを使っているということも指摘しておくべきでしょう。ヒョードルが故郷ロシアでロードワークをしているオンラインビデオが複数あり、爆発力やコンディションに悪影響をあたえているようなことは一切ありません。 リッチ・フランクリン、桜井速人、クリス・リーベン、マット・ブラウン、スペンサー・フィッシャーなど多くのトップファイターに長年LSDを使ってトレーニングしてきましたが、誰もパワーやノックアウトに関して問題はないようです。しかし、HIITがどれほど効果的であるかを示したすべての研究はどうでしょうか?LSDを批判する人たちは、HIITが低強度のメソッドよりも、有酸素・無酸素フィットネスの両方をかなり効果的に向上させていることを示している研究を指摘したがります。 特に、日本の田畑泉先生の研究は、この点について他のどの研究よりも多く参考にされているでしょうし、結果田畑プロトコルを大流行させ、ネットのいたるところで見かけることができます。この問題点は、LSDとHIITを比較した研究の多くと同じで、その制限をかなり超えた推測によるものであり、きちんとした根拠に基づいていません。例えば、田畑先生の元々の研究では、14人の被験者のみが使われ、全員が比較的トレーニングされていない者であり、体力に劣り、VO2Maxの平均は40代後半か、50代前半の数値でした。 比較的トレーニングされていない被験者に見られる結果は、トレーニングを積んでいるアスリートのそれとはかなり違った結果になることが多いのです。2つ目に、この研究におけるすべてのトレーニングは、低い衝撃と抵抗しか与えないバイクでのみ行われています。そうであるにも関わらず、現在では人々が、神経システムや関節に実際どれだけ多くの要求がかかっているのか理解することなく、ストレングストレーニングからスプリント,MMAの特殊エクササイズまでに至る、あらゆる種類のトレーニングに対して、研究のプロトコルを適用しています。 田畑では、被験者は1週間に5回トレーニングをし、これらのうち1日は30分のLSDのセッションが含まれます(決して言及されることがありませんが)。このトレーニング頻度を1週間にバイクよりも要求の高いエクササイズと3-5回のMMAセッションの混合に変えれば、これは、オーバートレーニングと関節痛のレシピになってしまいます。最後になりますが、田畑ではまた、VO2maxと無酸素能力テストを使用し、LSDとHIITの結果を比較しています。 このため、高強度メソッドがより良い結果を導きだしたとしても驚くべきことではありません。VO2maxも無酸素能力も共に強度がかなり高く、心拍数もかなり高い状態でテストを行います。これらのテストを使った場合には、当然高強度でのトレーニングがより効果的になるでしょう。これらの結果は、もし田畑先生が、低強度で実施する他の有酸素測定方法を使用したとしたら、おそらく違うものになっていたでしょう。これは1RM 最大筋力測定を行ってから、1つのグループは高強度の1-5回、別のグループは10-12回を行わせているのと同じことになります。 当然ですが、テストに近い高重量で行ったグループは他のグループよりも1RM 最大筋力は向上するでしょうが、といって、みんながトレーニングで5回以上上げるという理由がないということではありません。でも、なぜLSDが重要なのでしょうか?HIITよりもかなり少ない時間でより良い結果を出せますか?今まで何を読んだかに関わらず、単に高強度の方法からでは得られない効果がLSDには実際にあるのです。