マイクロラーニング
隙間時間に少しずつビデオや記事で学べるマイクロラーニング。クイズに答えてポイントとコインを獲得すれば理解も深まります。
エクササイズ処方の神話
始める前から問題への答えを持ち合わせていることはいいものです。考えなければならないような厄介で不確実なものを拭い去ってくれるという点で、エクササイズ処方という考えが、非常に魅力的である訳です。 しかし、患者の2回目の来院時に多くのセラピストが患者に尋ねる最初の質問のひとつは、“これらのエクササイズはうまくいきましたか?”ということだと思います。そして、私たちは答えが欲しい一方で、心の底では、物事が必ずしも私たちが望むようにうまくいくとは限らないと経験から分かっているのです。 では、私たちはなぜそれを処方的と考えるのでしょうか。あなたが対応しようとしているのは、症状なのか、評価基準なのか、または異なるニーズと機能を持つ実際の人間なのでしょうか? 私にとってリハビリとは、最初に設定された一つの処方的な手段ではなく、むしろ徐々に改善されていくような適応的な過程です。選択した成果に対する反応を測定しながら、繰り返し行う過程で加減したり作り変えたりしていくものです。強度、頻度、種類すべては、その人によって変化させ、彼らのニーズや要望に応じていつでも調整することができます。 私の個人的な意見として、それを心地よく感じられることは、積極的な運動ベースの介入に取り組むためのカギになると思います。 評価というものも、改善するためのひとつのプロセスです;新しい情報が明らかになったり、仮説が期待どおりに展開しなかったりした場合、問題となっているものは何かについての考えが変わる可能性があります。とにかく、私たちがしているほとんどのことは、とにかく情報に基づいた試行錯誤なわけですから、とうとう言ってしまいました! 初回の介入とそのパラメータは、単なる始まりに過ぎず、次に何が起こるかを確認するための試行であり、情報に基づいた推測でさえありますが、このことは実際、あまり話題になっていないようです。処方は、私達が認めたがるよりも、より提案に近いのでしょう。(大変面白いトレバー・ノアが、南アフリカでは信号機を“提案”であると解説するのに、いつも笑ってしまいます)。 身体的適応のためのエクササイズでさえ、処方的ではなくなってきています。身体的な適応は、非常に幅のあるレップ数と負荷で得られる可能性があることが分かってきています。努力と強度が身体的適応のカギであるように思われます。多くの場合、リハビリ研究では決して測定されないパラメータです! 学習過程 セラピストもその患者も、このことを学習プロセスとして見るべきです。これは、失敗でも、内省的でも、何もわからないことの現れでもありません。私たちが事前に答えを持ち合わせているという考えは、しばしば有害になることもあります。そのことによって、セラピストが自分の能力に自信を失い、リハビリの現実とは異なる期待を生み出す可能性があるからです。私たちは多くの場合、痛みと機能回復の間でどちらかを達成するためにどちらかを犠牲にしながら、試行する必要があります。 データ 研究データは、少し切れ味の悪いツールとして使用されることもあります。もちろん臨床経験も同じです。それぞれの患者特有の症状や治療および治療の効果はすべて、論文に書かれていることと一致すると想定してしまう可能性があります。しかし、データの報告の詳細を見ると、すでに設定されている変数の推定値があり、実際の患者にどのように効果があるかは、やはり適用前ではなく、適用後にしか知ることができません。 私たちの患者と彼らが紹介する症例は、研究では必ずしも正確に反映されていない可能性があります。どの論文も調査対象が人口全体でなく、ごく一部を対象としているため、信頼区間というものが設けられているのです。データを患者とマッチングさせるのが、臨床における課題です。 「研究の視野を広げる」は、ロジャー・ケリーの素晴らしい論文です。 “酔っ払いが灯かりを求めるためでなく、体を支えるために街灯にしがみつくように、統計学を使う人がいる” A. E. Housman また、現代の生物心理社会的な理解では、私たちが直面する多くの問題に対して、文字通り処方することなんてできないということを認識する必要があります。前にも言った通り、私が取り組んでいる主要なことのひとつは、身体を使って再び物事に従事する自信です。そのための処方は何でしたか? また、論文では、どのようなことをしたかについて明確な概要が示されていないことがよくあります。多くの場合、彼らは、別の論文や決して一覧されることもない付録を見るようにと指図します。それを実際に見てみると、強度や休憩時間などの重要な変数が欠落していることがよくあります。そのため“エビデンスに基づく” リハビリは、多くの場合、みなさんが考えているものとはまったく異な流ことが多いのです。 研究におけるプロセスが必ずしも臨床のプロセスを反映しているとは限らないと言ってしまうと、意見が分かれますかね? これはひとつのプロセスです 残念ながら、臨床的推論はカッコよくありません。治療が効くか効かないかを明白に示す方がかっこいいですし、その方が共感を呼びます。臨床での取り組みのニュアンスは、しばしばなおざりにされ、偏見と二極化に支配されます。臨床的に難しいのは、研究に基づく情報を、個人の症状や経験/信念などと調和させることです。 ただし、これは1回限りの取引ではありません。推論と改善のプロセスは、ケア期間を通して継続する必要があります。単に診断して初期評価で処方、ということを繰り返し行うだけではありません。 ツイッターでの会話でとても素晴らしいコメントがあったので紹介します: “エビデンスに基づく臨床とは、利用可能なエビデンスをやみくもに患者に投げつけることを意味するのではなく、来院するすべての患者それぞれに合った最適な戦略を見つけるための繊細な調節をするプロセスです”-Nihar Palan 私の意見として、偉大なセラピストは最高の処方や計画を持っている人ではなく、計画的に進まないときに何をすべきかを知っている人です。対処しなくてはならない状況や人の変化に応じて、適応し調整することができる人です。 他の方法 1. 臨床的推論 研究データ 病歴 検査 診断 適用 2. 反応 成果はなにか? どのくらいの期間がかかったか? 3. 適応 同じことを続けるか、または、変えていくか? 何を変えますか? 結論 処方とは、実は提案です 私たちは反応に基づいて時間をかけて改善していきます 実際、情報に基づいた試行錯誤です 研究は、明らかに結果のバリエーションが反映されます 研究では、処方に関して明確に示されないことがよくあります 適応方法を理解していることがスキルであり、フローチャートに従うことではありません 推論、反応 & 適応は、より優れたモデルです
フロントスクワット
脚部の強化は、極限まで腰を落とし、お尻が踵につき、背筋はまっすぐで、肘の位置は高く保ったフロントスクワットをすることによって実現できます。ディック・ノットマイヤー*は、「フロントスクワットを3連続でできなければ、同じ重量のクリーン&ジャークはできない」と感じています。多数回のバックスクワットは、補助的に脚部のトレーニングに役立ちますが、重要なのはフロントスクワットです。 *ディック・ノットマイヤー パシフィカバーバルクラブのウエイトリフティングのコーチ ゆっくり下がって、早く上がる 数年前、オリンピックリフトの選手たちと交流するために、コロラドスプリングスのトレーニングセンターに、円盤投げの選手グループと一緒に行きました。そこで生活しているアスリートたちのクリーン後の回復能力に感動し、ドラゴマイヤー*に「秘密」を聞きました。「ゆっくり下がって、早く上がる!」 *ドラゴマイヤー コロラド州オリンピックセンターに所属。ウエイトリフティングのコーチ プレスが消滅して以来、強い脚を持っていないオリンピックリフターであること自体が難しいことではありましたが、私はその数少ないひとりだったのです。大学3年生の時、ウエイトリフティングの大会に出たのですが、そこで勝つためには、165kg/363パウンドを持ち上げる必要がありました。クリーンをして、勢いよく持ち上げ、成功の3つの白いライトを獲得するジャークをしました。興味深いことに、私のフロントスクワットのベスト記録は365パウンドでした。ディック・ノットマイヤーの格言、「3回フロントスクワットができれば、クリーン&ジャークができる」。その後、1991年にユタで行われた夏季大会で、私は182.5kg/402パウンドをクリーンして立ち上がり、ジャークを逃しました。このときも私のフロントスクワットのベスト記録は405パウンドでした。 なぜ過去から学んだ教訓を語って皆さんを飽きさせているのでしょうか?単純に、私が大学4年生のときに、円盤投げで190ft(約58m)を達成できたのと同じテコの長さが、私がスクワットマシンになることを阻止したのです!ここからは、スクワットがイマイチな私たちに役立つアイデアを少し紹介します。 「弾みを吸収する」プロになる。深くしゃがみこんだポジションからさっと立ち上がることを可能にする、素晴らしい伸張反射は、鍛えることができます。ディックは、「バースキークリーン」という練習ドリルを使っていました。バーにストラップを固定した状態で、立ち上がり、肩が適切なポジションに引き込まれるように、少し後ろに身体を傾けます。そこから膝のすぐ下くらいまで、前方に沈み、スクワットクリーンをしてまっすぐ立ち上がります。これは、現在のルーマニアンデッドリフトからするとスクワットクリーンと呼ばれるものですが、リフトのタイミングを学ぶ上でとても役に立ち、脚の問題も問題ではなくなります。 ワークアウトの始めにフロントスクワットをしてみてください。私がこれを始めたときは、フロントスクワットの後に、他の種目を行うということに慣れるのに数週間かかりました(特にジャーク、そしてスナッチも大変です)。また、一週間か二週間の間、全てのセッションの前にフロントスクワットをやってみてください。何も大げさに考えることはなく、2回を2セット、80%くらいで行って、さらに重いウエイトで1回行います。「神経システムの刺激」が必要な人もいるのです。これは単に、私が、開発しただけですが、役に立つと感じています。言語を習得する方法は、その言語にどっぷりとつかることですから、フロントスクワットの成功のためには、脚にどっぷりとはまることが必要なのかもしれません。 陸上競技のシーズンがフロントスクワットにとても役立つと気付きました。なぜでしょうか?オリンピックリフトから離れて、ボディビルディングや階段/丘の上り下りを多く行いました。シーズンが終わって1、2週間後、私の脚は4.5kgから9kgほど強くなっていました。恐らく一般的なコンディショニングでも役に立つでしょう。ジョー・ミルズ*は、問題の解決に、速いデッドリフトとスクワットの反復を推奨していました。ディック・ノットマイヤーのもとで、私たちは様々な「コンテスト」を行いました。102kgのベンチプレスの反復、自体重のスクワットの反復、シットアップ等、その他様々な楽しく、かつ生産的なコンテストを行いました。 *ジョー・ミルズ セントラルフォールズウェイトリフティングクラブ(ロードアイランド州)のコーチ 最後に、なんらかの弱みがあることを認める必要があります。私がソビエトスクワットのルーティンを行っていたとき、フロントスクワットの記録を184kgまで伸ばし、ジャークのフォームは、すっかり消えてなくなっていました。ジャークを再びやりだしたときには、ボトムポジションがより安定し、強くなっていました。秘訣は、ラルフ・マウンコーチ*が教えてくれた「弱みを強みに変えろ」にあると思います。もちろん、それを達成した瞬間にまた新たな弱みを見つけるのです! *ラルフ・マウン ユタ州立大学で選手引退後、40年ほど監督を務めたハンマー投げの名手 フロントスクワットは単純に、バーベルを胸で支えた状態でのスクワットです。理想は、重量を手で支えるのではなく、肩と鎖骨でバーを支えることです。それには「ちょっとした」柔軟性が必要です。この柔軟性を手に入れるのに一番良い方法は・・・フロントスクワットです!ゲーリー・バレンタイン*は、ジョー・ミルズの「両手のひらを後頭部におくことができれば、フロントスクワットができる」という言葉を師事しています。フロントスクワットの習得に専念すれば、やがて必ずあなたのものになります。 *ゲーリー・バレンタイン コネティカットオリンピックウエイトリフティングクラブのヘッドコーチ これはとても大切なことですが、ポイントは、まっすぐ脚と脚の「間」に座るように下がり、「お尻が芝生に付く」まで下がることです。 「脚と脚の間」とは何を意味するのでしょうか?スクワットやオリンピックリフトの真のポイントの一つがこのシンプルな概念です。私は、これを次のように教えます:アスリートをドアノブから腕の長さ分、離れた位置に立たせます。ハンドルを両手でつかみ、胸を「上げ」ます。上げる?私はアスリートに、カリフォルニアのビーチで水着のモデルとすれ違うところを想像してもらいます。アスリートは、すぐに胸をふくらまし、それにより腰部が収縮し、上半身全体が安定します。広背筋は自然にちょっと広がり、肩が「少し」後ろにきます。 腕が「ハンマー投げ」のポジションになるまで続け、ドアから離れるように後傾し、マッスルビーチの胸を保ちます。そこから、腰を下します。この瞬間、私たちは、基本的な生理学的事実に気付きます:脚は胴の支柱のように固定はされていないということです。それよりも、胴が脚の間に吊り下がっていると言ったほうが正しいのです。腕をまっすぐ保ったまま後傾して、身体を下げていくと、リフティングの本当の鍵である「脚と脚の間」にスクワットをすることが理解できます。アコーディオンのようにたたんだり、ひろげたりをするのではなく、脚の間に沈み込んでいくのです。座ってこの記事を読んでいるだけではなく、実際にやってみてください!スクワットや、スナッチ、スクワットクリーンの技術を高めるためには、この原則が欠かせません! フロントスクワットは、バーを胸にクリーンした後や、バーをラックから取って行うことができます。どちらの方法にも価値があります。私は、クリーンをした後にフロントスクワットをすることが、「本番の備え」にとても役立つと感じています。二回目のレップに向け、心身ともに気合の入った状態になります!
背中に手を回す動きは実際に肩関節内旋を測定するのか?
私が、内旋可動域を出すために肩を背中に回してストレッチするのをあまり好きではないというのは、周知の事実です。過去にこのことについて書いたこともありますし、私の最も嫌いなエクササイズ5選にも入れました。この意見に対して、肯定的にも否定的にも、多くのフィードバックをいただきました。 多くの人が、これがアグレッシブなストレッチであり、ローテーターカフを極めて不利なポジションにさせるものだと私に同意する一方で、それは彼らの患者にとってやはり機能的なポジションであると主張する人も多くいました。 これが重要な機能的ポジションであることには完全に同意しますが、だからと言って、背中に手を回す動きが肩関節内旋を正確に反映しているとか、あるいはこのポジションでのストレッチが何の欠点もなく効果的であるというわけではありません。 どうやら、過去にこのことについて疑問を持ったのは私だけではないようです。私は、背中に手を回すことが肩関節内旋を正確に測定するのかを評価する、いくつかの調査研究に出会いました。 調査は何と言っている? Wakabayashiら(JSES 2006)は、電磁気式トラッキング法を用いて、背中に手を回しているときの肩関節内旋、伸展、内転、及び肘関節屈曲の大きさを評価しました。 著者らは、肩関節内旋の大部分は、患者の手が仙骨に触れる前に起こっていると報告しています。また、仙骨に触れるには、肩関節伸展及び内転が著しく増加します。手が仙骨を通過した後の動作の大部分は、肘関節の屈曲によるものです。手が第12胸椎を通過した後は、内旋の顕著な増加はありません。 つまり、仙骨に到達することがこの動作の鍵であり、肩関節内旋、内転、及び伸展は、どれも仙骨に到達する能力を制限する可能性があるようです。 Mallonら(JSES 1996)は、健常者を対象に、背中に手を回す際に貢献する動作をレントゲン撮影を用いて評価しました。著者らは、動作の35%は、実際には肩関節ではなく肩甲胸郭関節で起こっていると結論付けました。彼らはまた、肘関節屈曲がこの動作の重要な要素であることを認め、背中に手を回す姿勢での肩関節内旋測定は無効であると考えました。 Ginnら(JSES 2006)による別な研究では、肩に痛みを抱える137名の被験者グループにおいて、肩関節内旋の減少を評価する際の、背中に手を回す動作の妥当性を評価しました。著者らは、背中に手を回す動作と、標準の角度測定法による肩関節外転45度または90度での肩関節内旋を測定しました。その結果、両動作の間には低から中程度の相関しか見られなかったのですが、より重要だったのは、背中に手を回す能力が能動的肩関節内旋の減少とは相関がなかったということでした。 臨床的意義 それでは、このすべては何を意味するのでしょうか?私の考えはこうです: 背中に手を回すことは、肩関節内旋の有効な測定方法ではない。その動作は、肩甲骨の傾き、肩関節内旋、内転、伸展、及び肘関節屈曲の組み合わせによって生み出されます。これらの要素のどの組み合わせも、この動作に影響を与えるでしょう。 この動作を使用して肩関節内旋運動を定量化する、肩のアウトカムスケールを使う際には注意する。残念ながら、Constant (Shoulder) Scoreのスケールや、American Shoulder Elbow Surgeons (ASES)スケールのように、この動作を使用しているものがあります。 肩関節内旋を計測したいなら、実際に肩関節内旋を測定する。ほこりをかぶった引き出しから、古い角度計(ゴニオメーター)を持ち出しましょう、実は結構便利ですよ! 背中に手を回す動作に基づいて治療介入をしない。たとえば、その人がただ背中に手を回す動作ができないからと言って、関節包後部のモビライゼーションを行ってはいけません。仮定せずに、評価しましょう! 背中に手を回す動作を改善する方法 これらすべてに基づいて、背中に手を回す動作に制限のある人がいたら、何をすべきでしょうか? これが機能的なポジションであることは、私も理解していますし、同意します。 これをストレッチとして用いることはやはり避けるべきだと思います。私は良い結果を得られたことがありませんし、そのストレッチは肩関節及びローテーターカフを不利なポジションに持って行っていると本当に信じています。 これらの研究からの情報を用いて、なぜその人が背中に手を回すことができないのかを探りましょう。肩甲骨、肩関節伸展、内転、及び肘関節屈曲を評価しましょう。それらの動きのうちどれに制限がかかっていますか?すべて肩関節の内旋であるとただ思い込んではいけません。 これが、背中に手を回す動作を改善させる私のアプローチです。肩甲骨、肩、そして肘、それぞれの動きを分解し、見つけた制限を治療していくのです。 多くの場合、制限されている個々の動作に焦点を当てることによって、背中に手を回すための機能的な能力は向上するでしょう。
ファンクショナル・ムーブメント・スクリーン(FMS)の使用はエビデンスに支持されているか? パート2
ファンクショナル・ムーブメント・スクリーン(FMS)は最近人気のある話題であり、多くの議論を引き起こしている。これは、これらの議論をより建設的にするための論文の総括である。 概要(続き) FMSの得点は外傷のリスクを予測するか? FMSの基本原理は、有害である代償パターンの保有率を測定するというものである。少なくとも18の研究が、FMSの得点が外傷率を予測することができるのかどうかを評価している。これらの18の研究のうち11の研究が、FMSの得点が14点を超える人と比較し、14点以下の個人における外傷に対する相対的な危険性を評価した。これらの11の研究のうち4つの研究が、FMSの得点は外傷の危険性を予測することはできないということを発見した。残りの7つの研究では、14点以下の個人の外傷に対する相対的な危険性は1.65から11.67倍であり、これは、FMSが個人の外傷の危険性の大小を、区別することができるかもしれないということを示唆している。 FMSの得点はアスレチックパフォーマンスを予測するか? FMSの背景にある概念のひとつは、非効率であると考えられる代償パターンの発生率を測定することであり、ゆえにパフォーマンスの低下度合いを予測する、というものである。アスレチックパフォーマンスとFMSの総合得点の相関関係を評価した8つの試験において、2つのみがアスレチックパフォーマンスとFMSの得点の相関関係を発見した。この2つの試験両方において、カウンタームーブメントジャンプのパフォーマンスとFMSの総合得点の間に、ある程度の相関関係が見いだされた。これは、FMSが有害となる代償パターンを発見することができないか、もしくは見つけられた代償パターンがパフォーマンスへ悪影響を及ぼさないかのどちらかであるということを示唆している。 エクササイズトレーニングはFMSの得点を向上させるか? もしFMSが有益であるのならば、基準テストの結果を基に行動を起こし、後のテストにおける得点を向上させることが大切である。少なくとも9つの研究が様々な集団において、FMSの得点を向上させるための異なるエクササイズプログラムの能力について評価している。9つの研究のうち8つが、ある種のエクササイズがFMSの得点を向上させることができたと報告している。しかしながら、コレクティブエクササイズやファンクショナルエクササイズと従来のレジスタンストレーニングを比較した2つの研究において、研究者たちは両方のケースで、2つの方法の間にFMSの得点の向上に対し著しい違いはなかったことを発見している。 ボディ・マス・インデックス(BMI)はFMSの得点に影響を及ぼすか? いくつかの研究がFMSの得点に対するBMIの影響について報告している。FMSの得点に対するBMI指数の影響についての報告をした全ての研究は、より高いBMI指数がより低いFMSの得点と関連していることを発見している。 ある研究でもまた、FMSの得点が身体活動に積極的に関係していると発見されていることから、BMIとFMS得点の間の逆相関関係は、過体重/肥満の人が身体活動をあまり行わないという傾向によりもたらされている可能性がある。 FMSの得点と他のテスト結果との関連性はあるか? FMSは、肩関節の内旋や外旋の可動域の計測とは関連性が無いようである。しかし、スター・エクスカーション・バランステスト(SEBT)の結果と、FMSにおいても乏しいパフォーマンスが予測される、片脚垂直跳びでの高い非対称性とは関連性をもつようである。 FMSについて他に何がわかっているか? 他にも様々な研究がFMSに関して行われている。研究者たちは単にFMSを行うことは自己知覚近位安定性の低下に繋がると観察した。研究者たちはまた、FMSの得点が悪かった(14点未満)人と良かった(14点超え)人の間で、腰部にかかる負荷に著しい差異は無かったと記述している。 キーポイントは何か? FMSは、ある程度外傷の危険性が高いアスリートを識別する予測能力のある、比較的信頼性の高いフィールドテストであるようだが、アスレチックパフォーマンスとの関連性は無いようである。加えて、多くのエクササイズ、トレーニング、そして身体活動はFMSの得点を向上させることができる可能性が高いようである。しかしながら、テスト基準に関する知識と発達段階がテストの結果に影響を及ぼすようであること、テスト動作が高速で行われ負荷がかけられた場合、同様に行われることができなくなること、総合得点を構成する個々の要素に相関性がないことから、総合得点による外傷リスクの予測は、適切ではなく、テストの有効性に関しては深刻な懸念がある。
ファンクショナル・ムーブメント・スクリーン(FMS)の使用はエビデンスに支持されているか? パート1
ファンクショナル・ムーブメント・スクリーン(FMS)は最近人気のある話題であり、多くの議論を引き起こしている。これは、これらの議論をより建設的にするための論文の総括である。 概要 ファンクショナル・ムーブメント・スクリーン(FMS)とは何か? ファンクショナル・ムーブメント・スクリーン(FMS)とは、標準化された複合的な動きから成る7つの個々のテストにより構成された、スポーツ参加前のスクリーニング手段である。各テストは試験者により0から3に評価され、総合得点が与えられる。これには、ディープスクワット、ハードルステップ、インラインランジ、ショルダーモビリティ、アクティブストレートレッグレイズ、トランクスタビリティプッシュアップ、ロータリースタビリティが含まれる。痛みがある場合は0、対象者が動作を行うことが不可能な場合は1と評価される。また、対象者が動作を行うことは可能であるが、代償動作を伴う場合は2と評価され、対象者がその動作を正しく行うことができた場合は3と評価される。各動作に対するそれぞれの得点は、21満点中の最終的な得点として集計され、この総合得点が外傷のリスクを予測すると考えられている。このテストを研究した研究者たちは、得点が14点以下の個人は、14点を越える個人に比較して、外傷のリスクがより高いと示唆している。 標準的なFMSの得点は何点か? 健康ではあるが、トレーニングを行っていない人たちにおける標準的なFMSの得点は、14.14 ± 2.85 点から to 15.7 ± 1.9 点の範囲である。トレーニングを行っていない人たちのほとんどが、代償パターンを示していることが考えられ、また外傷のリスクの増加とパフォーマンスの低下が予測できると思われている14点以下という区切りの得点を多少上回っている、ということを示唆している。 FMSは信頼性の高いテストか? テストが有効であるためには、それが信頼性の高いものである必要がある。信頼性とは、テストが多少異なった時間に同人物によって(評価者内)、もしくは、同時に違う人たちにより(評価者間)繰り返されることができ、同じ結果を生み出すことができるかどうかということを示す。少なくとも14の研究が、FMSの評価者間の信頼性、または評価者内の信頼性を調査している。14の研究の内、13の研究がFMS総合得点の評価者間の信頼性についての報告をしており、8つの研究がFMS総合得点の評価者内の信頼性に対しての報告をしている。FMS総合得点の評価者間の信頼性について調査した13の研究の内1つの研究のみが、信頼性が中等度以下であったことを報告している。この唯一の研究では、相関関係を分析する為に他とは異なった統計的方法を用いていたこと、また、かなり多種多様の背景をもつ評価者を採用していたということは注目に値する。評価者内の信頼性について報告をしている8つの研究の内、1つの研究が学生評価者によるテストが低い信頼性を示したということを発見したが、7つの研究では少なくとも中等度の信頼性が報告されている。これは、FMSはおそらくほとんどの人に対し、フィールドテストとして許容できる程度の信頼性があるということを示唆している。 FMSは有効なテストか? テストが有益であるためには、それが有効である必要がある。有効性とは、テストが測定するべきものだけを実際に測定しているのかどうかということを表す。FMSの場合、テストの目的は、スポーツで同じ動作を行う際の代償パターンを特定することである。いくつかの研究が、FMSが有効かどうか、またスポーツの動きの中で行われる際の代償パターンのみを測定しているのかどうかを評価した。1つの研究は、テスト基準に関する知識がテストの結果に著しい影響を及ぼすと報告しており、これはテストのパフォーマンスがアスリートからの影響を受ける可能性があるということを示唆しているかもしれない。他の研究は、発育段階もまたテストの結果に影響を及ぼすと報告しており、テストが若いアスリートには適していないということを示唆している可能性がある。その他の研究では、様々なテストの結果間での相関関係が乏しいと報告されており、外傷の危険性を予測するために各テストの得点を合計して総合得点を出すことに対する有効性が疑問であるということを意味している。最後に、ある研究では、高速で高い負荷をかけて行われた類似するエクササイズでは、異なる動作特徴が現れたと報告されており、FMSを行う際にアスリートによって示される代償パターンが、スポーツの動きの中で示される代償パターンとは異なるかもしれないということを示唆している。結果として、これらの研究はFMSの有効性を疑問視している。
人生を掌握する
握力はアルツハイマー病を抑えるのに役立つのでしょうか? そうかもしれません。 著書「Outlive」の中で、Dr.ピーター・アティアは、握力と認知症発症率の間に関連があることを示す研究結果について説明しています。握力が弱い人ほど、認知症になる可能性が高くなります。握力が強いからといって、必ずしも認知症にならないとは限りませんが、統計的にはそうならない確率の方が高いようです。あるいは、そうなったとしても、人生の後半になるのでしょう。Dr.アティアの本では、運動が神経や認知機能の低下に対する最善の防御策の一つであることも語られています。実は、運動はすべての生命を脅かす病気に対する最高の防御策の一つなのです。 皆さんはどうかわかりませんが、私にとっては、認知症で自分を見失うというのは、この世で最悪なことのひとつです。その人だけでなく、周りの人たちにとっても。現在、アルツハイマー病の患者数は670万人以上と推定されています。この数字は、アルツハイマー病に影響されている人の数には遥かに及びません。精神的な衰えや自分らしさの喪失は、友人や家族に多大な傷を与えるのです。愛する人が目の前でゆっくりと消えていく姿は、誰だって見たくないものです。それは、誰にとっても拷問に近いものです。 しかし、もし認知症を予防したり、遅らせたりすることができるとしたらどうでしょうか?運動は病気から身を守るのに役立ち、強い握力は神経学的退行から脳を守る可能性があるとすれば、一種の生活保険として、毎日の簡単な運動計画を立ててみてはいかがでしょうか?自分のためではないとしても、自分を愛してくれる人のために? 私は、私たちが強い握力を身につけることで、人生をよりよく把握し、生きている時間を最適化できる可能性があることは、みんなの最善の利益だと思います。握力の強さを活用し、鍛えるための日々のシンプルな運動計画は、私たちにとって、少しの時間の投資で大きな利益を得ることができる、最良の時間投資のひとつとなり得るでしょう。 その一助になればという望みを込めて、そのような運動計画がどのようなものかを提供します。何から手をつけていいかわからないなら、ここから始めればいいのです...。 これを毎日実行しましょう 舌を口蓋につけて鼻呼吸をする練習をします。肺を下から上へ満たすように試みます。これは、神経系を和らげ、さらには体内の炎症に対抗するのに役立ちます。これを5~10分ほど行います。 床に手と膝をついて前後にロッキングします。水平線に視線を向け、頭を上げておきます。これにより、前庭系が活性化され、脳の両半球が活性化されます。脳に「健康的」で安全な情報を「与える」のです。これはまた、神経系を和らげます。また、両手をついてロッキングすることで、手の感覚受容器や筋肉が刺激されます。この刺激は、実は手や肩の健康や強さに寄与しているのです。これを3~5分ほど行います。 ぶら下がる練習をします。ドア枠に安全に設置された懸垂棒は、大きな健康投資となるかもしれません。毎日のぶら下がりに、とても実用的な方法を提供してくれます。ぶら下がりにはとても多くのメリットがあります。背骨の減圧をし、肩関節の回復を助け、ぶら下がることで握力が強くなるので、脳を守る可能性もありそうです。全体重でぶら下がることができない場合は、単に足を床につけたまま、体重を一部かけて握力に挑戦してください。足をつけた状態でぶら下がることには大きなメリットがあるのです!また、足が浮いている状態でのぶら下がりにも大きなメリットがあります。できることを、そして両方やりましょう!これを1日3~5分程度行ってください。1回30秒のぶら下がりを5回くらいやってみるかもしれません。それが簡単にできるようになったら、それぞれのぶら下がりに10秒ずつ追加してください。2分までできるようになったら、それを2-3セット行うだけです。1日を通してぶら下がりを行うことも可能です。 ぶら下がれない場合はもちろん、ぶら下がれる場合でも、重いスーツケースキャリーを行います。重いウエイト(重いというのは相対的なものですよね)を手で体側に抱えて、時間や距離を歩きます。片方の手で体重の20%-30%を目安にします。30秒から1分ほど歩いたら、手を入れ替えます。これを総歩行時間10分程度行います。歩きながら、舌を口蓋につけて鼻呼吸をする練習をします。これは呼吸を良くすることを助けるのみでなく、握力を増幅させます。スーツケースキャリーは体幹も素晴らしい強さを構築し、握力は体幹の強さにつながるものです。 これは、20分から30分程度でできる超簡単な日々のルーティンです。好きなものを加えたり、取り除いたりすることができます。大切なのは、日々の積み重ねの部分です。毎日実行することで、自分の脳と身体に「お願い」をするのです。この「お願い」は、神経経路の強さと身体組織の強さの適応で応えられます。基本的には身体を使うわけですが、身体を使えば、身体を使うことを怠った場合よりも長く身体を維持することができるようになるのです。 老後も脳を健康に保つことを助けるために、さらに身体を動かしたいのであれば、毎日早足で散歩をしましょう。できれば、毎食後に1回行ってください。8,000-10,000歩を目安に頑張ってください。そして、舌を口蓋につけて鼻呼吸の練習をしたり、股関節の動きに合わせて肩を揺らしたりしましょう。歩くときは四肢を使います!これは本当に脳全体を活性化させ、健康維持に役立ちます。 あまりに単純に思えるかもしれませんが、これが出発点なのです。もしそうしたければもっと動いて良いのですが、毎日これだけやっていれば、気分が最高に良くなるだけでなく、身体的にも精神的にも、そして感情的にも、内側も外側も健康になるでしょう。そして、あなたの大切な人やあなたを必要とする人たちのために、あなたが心身ともに健全な状態で、人生の後半に立ち会うことができる可能性は十分にあるのです。このような理由から、また、その希望のためだけでも、毎日の運動計画を持つことには間違いなく価値があります。毎日、自身の握力を動かし、使い、挑戦します。長い人生の中で、これほど大切なことはそれほど多くはないかもしれません。
筋肉の孤立?あなたはそうやって動作を覚えましたか?
今回のブログは昨日子供を公園に連れてった時に思いついた事をまとめました。特に科学的事実に基づいてるというわけではないのですが、個人的に伝えたいことを書いてみました。 私の息子は今16ヶ月を迎えたところですがその成長のスピードには目を見張るものがあります。特に言語と動作・身のこなし方の二つの分野での成長は著しく、息子の成長過程をみるにつれ、私たちがどうやって人の動作やそれに関する問題を矯正し、より効率よく動く事を教えることが出来るのか、について考えさせられました。 よく私たちは、動作の機能不全の原因は“特定の筋肉が電気信号を正しいタイミング・強度で発していない事”(筋繊維動員)や、違う筋肉が本来すべき筋肉に代わりその働きをしていることに起因すると聞きます。そこで正しい“筋繊維の動員”という名目の元、人を横たわらせ、様々な部位を突っついたり、今までにしたこともないような動きをするように命じることで筋肉の動きを誘発し、問題を矯正しようとします。この”筋繊維動員パターン”という用語は私のブログに関してグーグルでもっとも検索されている用語のひとつですが、そこである疑問が浮かびました: 人は最初からこういう特別な意識をもって動作を覚えたのだろうか? きっと、違うのだと思います。前述されたような筋動員テストは特定や細かな動きを求めていますが、息子の動作や言語に関する成長において、私が一つ気づいたのは、それらは特定されず大雑把に習得されていくという事。彼はまず大まかな動きや声を出すことを覚え、それらを土台に複雑な言葉や動作を習得していきます。その基本的な動作などを体に染み込ませ、生涯をかけて磨きをかけ、改良していくのだと思います。 身体の動きの中で特定の筋肉のみを孤立して動かすことはできませんが、特定な動きを孤立することは出来ます-例えば股関節の外転のように、関節周辺の筋肉が調和して働くことで、特定の関節に孤立した動きを起こすことはできます。しかし、私の息子が、横向きに地面に寝そべりながら脚を外転したり、ブリッジの体勢で臀部の筋肉を狙って緊張させたり、ハーフスクワットのように屈みながら横歩きするのは見たことがありません。彼が特別なだけなのかもしれませんが、私は今まで他の赤ちゃんがこういう特定な動きを狙って行っているところを見たことはありません。(その分野での私の見識は限られてはいますが) では、元々細かな意識で動作を学習していないのに、なぜ私たちはそのような方法で動作を学びなおそうと試みるのでしょうか? 今、私の息子は世界と触れ合いながら様々な仕草や実用的な動作(そのほとんどは現時点ではあまり使えないとは思いますけど!)を覚え、これからの人生の糧となっていくであろう膨大な貯えを養っています。寝返り、這うこと、歩くことを学び、そして走ることを学ぶようになります。しゃがみ、立ち上がり、身体を起こし、よじ登り、これら全てを深く考えることなく、様々な方法で学びます。そして私達からしてみれば簡単な動作である、物を拾い、落とす仕草を繰り返して、彼の運動制御系統が発達しているのがわかります。やがて、これらの作業の難易度は増し、早くなり、無意識な状態で行われるようになるのでしょう。 これが、完璧で、深く考えられた、機能的とはいえない孤立した筋肉の動員を通して動きの矯正をしようとする私達の試みに、どのように関連づけられるのでしょうか?関連性はあまりないですよね。息子は遊びながら、探求心をもって様々なことを学ぼうとしています。私たちの脳は新しい動きを好みます-特にその動作の種類、また引き出しが日々の生活やその繰り返しの中で失われてく日常生活の中では。 これら全ては息子の脳に神経可塑性の変化を生み出し、生涯にわたって神経レベルでの発達を続けていきます。ニューロンは共に発火し、配線されます。動きのパターンの中で同時に働くニューロン数が少なければ、共に発火、配線するニューロン数も少なくなります。筋肉を孤立させようとする、というよりも、動きを孤立させようとすることで、私達は運動パターンの連結も、なめらかで可変的な運動学習の環境をも損なうことになってしまうのです。 私たちが時に問題に直面するのは、細かい動作の欠落が原因ではなく、もっと単純で根本的な、幼少期に覚えたはずの動きをどこかで失ってしまうからではないでしょうか。 私達の動きの能力が、日々の暮らしの中で、徐々に衰退していくこともあります。座位中心、不自然で型にはまったエクササイズ、特定の筋肉のみを活性化しようとするエクササイズ等のために。私達は、子供の頃のように遊び心を持って、体の動き・動かし方を探求することで、動きのポテンシャルを模索しようとすることをしなくなっています。 神経可塑性の変化が常にポジティブなものであるとは限りません。 神経学の表現で“使うか失うか”というものがありますが、これは使われていない神経接続は時と共に失われていくことを表してしています。これは、私たちが、幼少時に遊び、模索しながら培ったものに対しても言えることでしょう。 私たちは失敗を通して学びます。失敗は、私達が学習の過程で通り過ぎる、生物学的に必要なものです。最初から完璧な動きができるのではなく、常に新しい動作や流れを覚えたりします。私たちは、完璧なフォームでエクササイズや動きが実施できないのであれば、実行する価値がない、と感じてしまいがちです。どんなスポーツを習うにも、最初のうちは、上手くできるわけではなく、我慢して努力して上達しようとします。私達は、最初から、完璧な運動パターンや筋肉を活性化できるわけではなく、出来の良くない状態からスタートし、関連性のある動きを学習しながら徐々に上達をしていくのです。 私達は賢くなりすぎて、それが逆に私達の首を絞めているのでしょうか?私たちの人体の解剖学に関する知識は膨大になり、人体解剖を行い、身体中の筋肉の付着部や働きに関する詳細を素晴らしいイラストレーションで伝える分厚い書籍が出版されています。それ自体は素晴らしい業績ではありますが、臨床や、エビデンスを基本とした研究などによって実証された手法によって、何をすれば良いのかを判断する指標としている風潮もあります。これでは、どこかポイントがズレてしまってはいないでしょうか? 私たちが、どのようにして運動コントロールを学習してきたのかを鑑みることをしなければ、進化はそこで止まってしまうでしょう。なぜなら自然は、あらゆる変数を計算しつくし、何億年もの時間をかけ、もっとも実用的で、効率的な人間の身体を作りあげてきたからです。 私達は、三次元の環境に存在する私達人間のスピリットや、多面的な動きの能力を大切にする替わりに、ある意味、本能に逆らうように、調査に調査を重ね、身体を複雑化しているようにみえます。 私達に、一番問題が少なく、身体が自由に、痛みなど無く動いたように思えた時代を振り返ってみましょう。赤ちゃんのようにスクワットをすべきだとか言っているわけではないのです。ただ、私達が動きの基本を形成した運動学習の時期を振り返って、どのように行ってきたのかを伝えているだけなのです。 あまり科学的な内容ではないことをお詫びします。ただ考えていたことをシェアしたかったので。
未だかつてない速さで回復するためのトレーニング方法 パート3/3
ハイパフォーマンスリカバリートレーニングの新しい科学 ハイパフォーマンスリカバリートレーニングセッションとはどのようなものか 身体がストレスにどのように反応するか、欲しい成果を得るために身体を回復状態へ移行する方法を学ぶことがなぜ重要なのかに関して十分な理解が得られたところで、肝心なHPRトレーニングセッションとは実際どのようなものなのかを見ていきましょう。 始める前に:最初に理解しておかなければいけない最も大切なことは、全てのHPRトレーニングセッションは、正しいマインドセットで始めなければならないということです。身を粉にして何らかの前進を得なければいけないと思ってジムへ行くのではなく、その日の目標を作り、来た時よりも気持ちがいい状態でジムを後にすることにする必要があります。 これができれば、あなたは回復への過程にあり、意図された通りにセッションが達成されていることを意味します。この目標を踏まえて、効果的なHPRトレーニングには4つの重要な構成要素があります: 1. リカバリー呼吸(5-10分) 副交感神経系の機能と回復を促進するために特定の呼吸と動きのパターンを一緒に用いるという概念は、数年前にビル・ハートマンとマイク・ロバートソンによって初めて紹介されました。 私が数ヶ月にわたって悩まされていたしつこい肩の障害を、ビルがたった数分のこの種のワークで治した後、私はこの信者になりました。 ビルは、特定の呼吸パターン、姿勢、ポジションを通して神経系に働きかけた時の即時の効果と可能性を見るために、リアルタイムのHRVデータを使っていました。これら全てが、正確にどのように働くかを解説することは、この記事の範疇を超えてしまいますが、非常に短く言うと、自律神経系はストレスと動きの間のコネクションであるということです。 リカバリー呼吸のエクササイズを通じて、目標としている動きと紐付いた特定の種類の呼吸を使って自律神経系を活性することができます。これは、より良質で、効率的な呼吸パターンの発達を助長し、しばしばリカバリーを阻害する特定の動きに関連している可能性があるストレスを減少します。 リカバリー呼吸の動きの例を見るためには、ここでマイク・ロバートソンのコンテンツをチェックしてみてください。 2. リカバリーゾーントレーニング(15-20分) リカバリーゾーンでのトレーニングは、世界初のデジタルリカバリーコーチである、モーフィウスの開発を通して、私が研究と実験に多くの時間を費やしてきたことです。 HRVを使ってきた長年の経験をもとに、私は、回復を刺激するためには、強度を正しく設定することが大切であるということを発見しました。もし強度が高すぎると、何よりもとにかく多くのストレスをもたらし、回復が遅れます。 しかし、もし強度が低すぎると、回復は刺激されず、トレーニングによる効果を最大限に得ることができません。 リカバリーゾーンとは、この「ちょうど良い」強度レベルを表しています:きつすぎず、楽すぎず、でもちょうどいい。これがHPRトレーニングの最適な強度であり、私の経験と私が集めたデータが示すところによると、その日のフィットネスレベル、およびリカバリーレベルに応じて、一般的に最大心拍数の72-88%くらいに落ち着きます。 あなたがすでに疲れていればいるほど、この最適ポイントは低くなり、逆もまた然りです。クライアントそれぞれが、自身のリカバリーゾーンでトレーニングをできるようにすることが、私が最初にモーフィウスの開発を始めた主な理由の一つです。このスクリーンショットでは、モーフィウスが、あなたに最適化されたリカバリーゾーンでのトレーニングを、青色の心拍ゾーンで表しているのが見て取れます。 リカバリーゾーントレーニングの素晴らしい点の一つ(また、これをよく行われている従来のリカバリーワークと分けるもの)は、そのゾーンの範囲で何を選んで行うかに制限がないことです。実際、より異なったタイプの動きの種類を取り入れることができればできるほど良いのです。 メディシンボールドリル プローラー&スレッド プッシュ/プル 自重ムーブメント バトルロープ ボックスジャンプ&プライオ マシンを使ったカーディオ:トレッドミル、バイク、バーサクライマー(私の好きな種目です) 自重トレーニング このような種類のエクササイズやその他を組み合わせて使うことで、二つの異なる方法から選んでリカバリーゾーントレーニングを行うことができます。一つ目は、心拍数を比較的一定に保ちながらサーキットを行い、一つのエクササイズを行ってから、次のエクササイズを行うという方法です。 二つ目の方法は、私がリカバリーゾーンインターバルと呼んでいるものです。このタイプのインターバルトレーニングでは、心拍数をできるだけ早くゾーンの上限に上げ、その後60秒間のアクティブリカバリーを取る方法です。 ここでの目標は、その60秒間でどのくらい心拍数を落とせるかを見ることであり、この方法は、回復能力を鍛えるのに驚くほど効果的で強力な方法です。これは、私がダイナミックエネルギーコントロールと呼んでいるものの一部であり、コンディショニングの改善を必要とするすべての人に不可欠なスキルであるため、私の認定コンディショニングコーチコースでも指導しています。 時間をかけてこのスキルを発展させていくと、心拍数が下がるのがどんどん早くなっていきます。これは、リカバリー状態へ移行する能力が改善したことを知る確実なサインです。 3. ストレングスの刺激(5-10分) リカバリーゾーンでの代謝活動を終えたら、次のステップは、付加的な重めのストレングスドリルを数セット取り入れることです。これを加えることによって、低めの強度ではほとんど働かない高い閾値を持つ筋繊維を活性し、そこへの血流を増やすことができます。 同時に、さらなる利点は、この種のワークを少ない回数で行った時の刺激は、中枢神経系を活性し、高いレベルで活動させ続けることにも役立つということです。私の経験では、この活性化の効果は、あなたが強くなったと感じるのを助け、高強度のトレーニングセッションの後の1~2日間にもより多くの効果を得ることができます。 その効果を最大化するために行なうべきことが幾つかあります: 全身の複合動作を一つだけ行う。私の個人的なお勧めはデッドリフトか、デッドリフトのバリエーションを使い、リフトの頂点で重りを落とすことです(それにふさわしいプラットフォームがあると仮定して)。これを行うことにより、本質的に遠心性負荷を取り除き、様々な組織への血流を促進しながらも、それらの組織にかかるストレスを総合的に減らすことができます。もちろん他のエクササイズでも同様の働きが得られますが、ここではデッドリフトが最適だと思います。 回数は低く抑える。ウォームアップセットでの数回を除き、2-3セット以上は行わないようにします。1RMの80-90%の中で5-8回を目指します。セット間の休憩は1-2分で十分です。 ウェイトが重いと感じる代わりに軽いと感じるようにする。リカバリースキルを発展するためには、与えられたタスクを行うために必要な以上のエネルギーを発揮しないことが必要です。自分自身に暗示をかけて、持っているすべてを発揮するような時と場合もありますが、ここでのストレングスドリルの目標は、簡単なことを難しく感じる能力ではなく、難しいことを簡単に感じる能力を発展させることです。 4. リカバリークールダウン(5分) HPRトレーニングセッションの最後の要素は、心拍数をできるだけ低くするために数分を費やすことです。目標は、5分以内に安静心拍数から5-10 bpmの範囲内に心拍数を下げることです。 これを行う最も簡単な方法は、静的および/または動的ストレッチとともに、ワークアウトの初めに行ったリカバリー呼吸のエクササイズを数回行うことです。最後に軽めのフォームローリング(痛みは伴わないようにする、もし痛みがあるようならここでの目的は失われる)、または同様の軟部組織へのワークを行ったら終了です! HPRトレーニングを試して、感想を聞かせてください #TrainHardRecoverHarder ここまで、効果的なHPRトレーニングのセッションがどんなものであるかを述べてきました。次は、あなたがこれを試し、HPRトレーニングがもたらす違いを感じる番です。あなたは、私が私自身や私のクライアントに試して感じたのと同じように、すぐにその違いに気づくでしょう。ジムを出るときに非常にリフレッシュした状態で、よりエネルギッシュで、痛みや硬さが薄れ、すべての面でジムに来た時よりも改善している自分を感じられるでしょう。 これを自分自身で経験すれば、リカバリー重視のフィットネスが非常に効果的で、なぜ強度ではなくリカバリーがトレーニングの未来なのかがわかるはずです。あなたがトレーナーやコーチなのであれば、あなたのクライアントやアスリートの一人にもHPRTセッションを行い、彼らからのフィードバックを得ることも強くお勧めします。
未だかつてない速さで回復するためのトレーニング方法 パート2/3
ハイパフォーマンスリカバリートレーニングの新しい科学 なぜ、身体を「回復状態」へ移行することが、トレーニングの成果を実現する鍵となるのか 前述の通り、ほとんどの人は、回復を活動の範囲で考えています:睡眠、十分なタンパク質の摂取、仕事で過度に緊張しない、など。しかし、回復とはそれだけではありません。 回復において最も大切なものは、エネルギーです。 より明確に言えば、回復とは、あなたの脳が、貴重で限りあるエネルギー資源をささげる場所として、どこを選ぶかということです。 身体には、文字どおり何兆個もの細胞があり、これらの細胞は全てエネルギーを必要とします。そのため、身体は、組織の再建のような大変なプロセスに資源を向ける前に、基本的な生命活動のニーズが満たされていることを確実にします。(これは、脳は大きな筋肉を構築することよりも命を維持させることに関心があることを意味します) このことを理解する最も良い方法は、身体が潜在的に、組織をより大きく、より強く、より機能的にする修復や再建にエネルギーをささげる生理学的状態として、回復を考えることです。 私はこれを回復状態と呼んでいます。最近大きな注目を集めている「フロー状態」と同様に、身体を回復状態に移行するためにできる特定のことがあります。そしてこれを行うと、回復(およびそこから得られる成果)は劇的に加速されます。 回復状態の内側 身体はどのように回復状態へ移行するのか(そして何が回復状態への移行を抑制するのか) 上の図からわかるように、同化ホルモンやアミノ酸の高い分泌レベルから良好な血液の流れ、充分なグリコーゲン貯蔵まで、身体には回復状態へ移行するために必要な幾つかの異なる要素があります。 これと同じくらい大切なのが、ストレスホルモンのレベルが低いことです。 血流の中にストレスホルモンがあると、身体は自動的に回復に費やすエネルギーをストレスホルモンの増加の原因となっているもの - たとえそれが精神的なストレスだけだとしても - に対処することに向けます。 つまり、ストレスはどんな形であれ異化作用であり、回復は同化作用です。この二つの根本的な違いは、単に私たちのエネルギーの大部分がどこに向けられているのかということのみです。 ここで注目するべき最も大切なポイントは、回復状態の中心では、高い副交感神経系(PNS)の機能が全てに関連しているということです。これは、回復に関わる多くの同化プロセスを根本的に誘引しているのがPNSだからです。 これこそがHRVが回復と密接につながっている理由であり、私が先述したパターンが見つかったと信じている理由です。HRVは副交感神経系活動レベルの指標です。HRVが増加している時は、身体が回復状態にあるというサインです。一方で、HRVが減少している時は、身体は全体的に異化状態にあり、回復は劇的に遅くなります。 軍隊の研究では、一流の兵士は、基本的により上手く身体を回復状態へ移行することができたため、選抜や戦術学校のストレスに対処することができました。同じように、バイオフォースHRVにより、高強度のワークアウトをした翌日にHRVの増加が見られる人々は、より多くのエネルギーを回復に向けることができるため、格段に高い確率でフィットネスの向上が見られます。 これは、より多くのエネルギーが、より大きく、より強い筋繊維の構築、より多くのミトコンドリア、神経系機能の向上、脳に新しい技術や能力を植え付けることに向けられていることを意味します。 このことから、回復状態へ移行できることがどれほど大切なことなのかがわかります – まさに、あなたのハードワークの結果を生み出すものであり、また、壊すものでもあるのです。 これを受けて、私は昨年1年間ほどを、身体を回復状態へ移行し、高強度トレーニングに必要なバランスを提供するのを助ける特定の方法をテストし(多くは私自身の身体で)、微調整し、洗練することに費やしました。 ハイパフォーマンスリカバリートレーニング(HPR)の紹介:身体を回復状態へ移行するのに役立つ新しい種類のワークアウト トレーニングを回復の方法として使うという概念は、決して新しいものではありませんが、現在よく行われている方法は、その方法を行った結果として望んでいる多くのことを達成できていません。大抵の場合は、数種のモビリティードリルと低強度のカーディオ、ランダムなウェイトリフティングを数セットという構成です。 正直に言いましょう:この種のリカバリーワークは、とにかく退屈であり、回復をわずかに改善するにすぎません。人々がこういったリカバリーワークをジムで行わないのには理由があります:これをやるために費やす時間と労力に十分な価値を感じていないからです(実際、大抵の場合は価値がありません)。 私は、研究や数年にわたる私自身のHRVの経験を基に、回復を加速するためのジムの使い方、トレーニング方法には、もっと良い方法があるに違いないと思っていました。退屈でなく、とても効果的であり、直後に違いを本当に感じることのできる方法が。 この、より良いアプローチを見つけるための探求が、私をハイパフォーマンスリカバリー(HPR)トレーニングの開発へと向かわせました。数多くの実験、試行、エラー、数え切れないほどのHRV測定を繰り返し、ジムで回復を加速する新しいトレーニング方法をまとめたのです。 ハイパフォーマンスリカバリー(HPR)トレーニング: 身体を回復状態へ移行するトレーニングセッションの数時間後に、身体を回復状態へ移行し、直前の高強度トレーニングの効果を高めます。 血流を刺激回復を早めるのではなく、遅らせるような追加のストレスを与えない範囲で、全ての筋繊維への血液の流れを刺激します。 副交感神経系の活性 — ワークアウト後、数時間でHRVが上昇するようにします。 回復を促進するメタボリックシステムを体内で発達させる — 生活のストレスに耐え、対処する能力を全体的に改善します。 呼吸と動きの質を向上する関節にかかるストレスを減少し、回復を妨げる可能性がある不必要なストレスホルモンの増加を抑制します。 実際に楽しい(かつチャレンジング)HPRは退屈や単調でなく、開始から終了まで30-45分以下であり、あなたの週間スケジュールにも簡単に合わせられます。 非常に効果的HPRセッションの後は、ジムに来た時よりも非常に良い気分でジムを後にすることができます。 遠慮なく言わせてもらいます:真剣にトレーニングに取り組んでいる人は誰でも、プログラムの通常の部分としてHPRトレーニングを取り入れることを始める必要があります。HPRトレーニングは、トレーニング後数時間内に、身体を回復状態へ移行するのを助けるだけでなく、身体をより素早く、効果的に回復状態に移行する能力を高めてくれます。 これはあなたのフィットネスおよび健康に大きな影響があります。 最善の結果を得たいなら、絶対に学ばなければならないスキル 私がキャリアの中で発見した最も大切なことの一つは、身体を回復状態に移行することは技術であるということです。技術は学ぶことができ、適切に発展させるためには鍛えなければなりません。 私が学んだこと(またデータが示すこと)は、体内で回復を請け負っているシステム、すなわち副交感神経系および有酸素エンジン、を発展させればさせるほど、身体の回復の潜在能力が高まるということです。 これはつまり、身体は最終的により高いレベルのストレスに対処できるようになり、疲弊し壊れてしまうどころか、より強くなることができるということを意味しています。軍隊の研究の一流の兵士は、この能力に長けていました。 あなたは特殊部隊にいるわけではないかもしれませんが、あらゆる高強度トレーニングや日常生活のストレスに直面する際には、身体を回復状態へ移行する能力を有していることが非常に重要です。 この能力こそが、まさにあなたのハードワークの結果を生み出すものであり、また、壊すものでもあるのです。
未だかつてない速さで回復するためのトレーニング方法 パート1/3
ハイパフォーマンスリカバリートレーニングの新しい科学 フィットネス業界に携わるほとんどの人は、回復という言葉を聞くと、より多くの睡眠を取る、より良く食べる、常にストレスを抱えないようにするなど、ありきたりなことを考えます。(より新しい流行に傾倒していれば、ホットサウナやアイスバス、フロートタンク、クライオセラピー、瞑想などを考えるかもしれません) もちろん、これらは全て良い戦略です。唯一の問題は:ほとんどの人が、こういったことを一貫性を持って行うことができていないことです。 私はこれまでのキャリアを通じて、常に実際に何が起きているのかという大きな視野で物事を見るようにしてきました。回復について考える時に、私が見てきた一番大きなことは、上述のような戦略は一般的にジムの外で行われるということです。 これは重要なポイントです。そしてこのポイントこそ、私たちが回復にどのくらいの価値を置いているのかを示しており、大抵の場合、いかにそれが口先だけで終わっているのかを表しています。 現在、多くの人のフィットネスに対する取り組みは、全身の力を振り絞り、疲労の限界まで追い込む場であるジムでの時間です。一方で、回復は一般的には課外活動ポイントのようなもので:行えば、いくらかボーナスポイントをもらえますが、主要な課題(ワークアウト)がすでに行われているのであれば重要なことではないと考えられています。 私の記事である、なぜ高強度トレーニングに対する執着が私たちをダメにするのか、をすでに読んでいれば、あなたはすでにこのアプローチにどのような欠点があり、なぜうまくいかないのかを理解しているでしょう。今回は、あなたがこれまで一生懸命行ってきたことの成果をようやく得ることができる新しいアプローチの出番です。 これが、なぜ私が今回、すぐに行うことができ、回復を促進し、より良い結果を得ることができ、ジムに来た時よりもより良い気持ちでジムを後にするための、特別な種類のワークアウトを共有したい理由です。 しかし、詳細について述べる前に、どのようにしてこのワークアウトができたかの背景を知ってもらうことが大切です。 一流のパフォーマーをその他大勢と分けるもの(あるいは、フィットネス業界が知らない軍隊の知恵) 90年代の後半、そして2000年代の初め、米軍は、様々な特殊部隊の「燃え尽き症候群」や疲労についての研究に莫大なお金と資源を投資し始めました。彼らの目的は、なぜ戦場でのストレスをうまく扱える(ナビゲーションスキルを保ち、精確に銃を撃ち、正しい戦略判断をする)兵士とそうでない兵士がいるのかを明らかにすることでした。 この研究の一部として、米軍は、特殊部隊の兵士たちを、選抜や高レベルの戦術訓練コースなど、様々なストレスのかかる期間にわたって追跡しました。 この期間中に、米軍は、様々な認識及びパフォーマンステストを用いて、パフォーマンスを測定するとともに、アドレナリン、コルチゾール、ニューロペプチド Y(NPY)といった様々なストレスホルモン、さらには心拍変動(HRV)を計測、追跡しました。 目標は、ストレスに対処できる兵士と対処できない兵士を隔てる特定の生理的な特性があるのかどうかを理解することでした。 疑いの余地なく、最も突出していたのは心拍変動(HRV)のデータでした。「一流の兵士」-選抜およびサバイバルスクールを通過することができた兵士 -は、ストレスのかかる事象が起こった24時間後に、かなり高い心拍変動(HRV)の値を示しました。 下記の写真を見てください。一流の兵士と一般の兵士を比べた場合、両者のHRVには明確な違いが見て取れます。 「どうして以前は気づかなかったのだろう…?」 数年前に軍の研究を初めて読んだときは、面白いと思いながらも、それほどの驚きはありませんでした。そのデータを再度読み返したのは1年前でした…そして、以前は見逃していたものが飛び込んできたのです。 私が見逃していたのはこの段落です: 「優れたストレス耐性を持つ人は、ベースライン及びストレスにさらされているときのどちらにおいても、有意に異なるHRVのパターンを示していました。HRVのこれらの違いは、ストレスにさらされている最中、及びストレスにさらされた後に行う実際のミリタリーテストや認識神経心理学テストのパフォーマンススコアの予兆となるものです。」 これこそが、私の目に飛び込んできたものです:「HRVのパターン…テストパフォーマンスの予兆となる」 つまり、軍は、HRVの特定のパターンが、ストレスに直面した状態で兵士がうまくパフォーマンスを発揮できるかどうかを実際に予測できることを発見したのです。 このことに気づいた時、私はこの発見をフィットネス業界に応用する方法を見つけなければいけないと思いました。軍が、HRVのパターンにより、兵士がストレス下に置かれた状態で能力を発揮できるかを予測することができるのなら、アスリートにも同様のことができるかもしれないと考えたのです。 これが、私が、フィットネスに関する予測ができるHRVのパターンを見つけるために機械学習-人工知能(AI)の型-を使い始めた経緯です。 世界最大のHRVのデータベース – そのデータが語る物語 2011年の後半にバイオフォースHRVを発表した時、私の目標は、私が過去10年間にわたってクライアントやアスリートに使用してきたものと同じ強力なテクノロジーに、多くの人がアクセスできるようにすることでした。 それまでは、最大3万ドル(約330万円)もするHRVシステムを使っていました。しかし、モバイル機器技術の成長がHRVを全ての人に手が届くものにすることを可能にしました。 その時は認識していませんでしたが、6年以上にわたって数千人から集めた150万を超えるHRV測定のデータベースを構築することは、私が想像していた以上にはるかに価値のあることでした。全ての数字を掘り出して、トレーニング、ストレス、回復、及びフィットネスの変化の関係性に対するより良い理解に役立つ何らかのパターンや傾向がないかを見ていた時、突然あるパターンが浮かび上がってきたのです: 高強度のトレーニングセッションの翌日にHRVに増加が見られる人は、300%高い確率で、その後3~5日間の平均HRV(一般的な有酸素フィットネスレベルの指標)にも増加が見られます。 つまり、私は軍が発見したのと同じHRVのパターンを見つけたのです。データが示していることは、ストレスにさらされた(この場合は高強度トレーニングの)翌日に測定したHRVは、その後数日間のうちに、フィットネスの向上があるかどうかの予測に役立つということです。 なぜそれがそんなに重要なのでしょうか? その答えは、激しいトレーニングセッション後の最初の24時間の回復とその後に得ることができる成果との間の、明確なつながりを示しているからです。 繰り返します。 激しいトレーニングセッション後の最初の24時間の回復と、その後に見られる成果には、明確なつながりがあります。 これはつまり、成果を最大化するために行うことができる最も重要なことは、高強度セッションの直後の24-48時間以内に、私が「回復状態」と呼ぶ状態に身体を移行することです。 これはフィットネスのアプローチとして、高強度のトレーニングセッションをひたすら繰り返すことよりもはるかに重要なものです。 フィットネスの一つの指標に対して、24時間のHRVしか評価できませんでしたが、軍の研究と同じデータを支持することから、この二つの関係性は非常に重要なものです。これは回復がどのくらい重要なのかを表しています。 身体を回復状態に移行する能力は、ハードワークから最大の成果を得ることができるか、それともバーンアウトしてしまうかを真に分けるものです。 しかし、なぜ私がこのパターンが存在すると信じているか、そしてそれがあなたにとって何を意味するのかを説明するために、回復とは一体何であるかについて少し考える必要があります。
監獄の思考
私は、「コーチングの芸術」という3日間のセミナーを行っています。コーチングにおいて私が最優先にしている原則は、二つのこと:目標と評価、の相互作用に重点を置くことです。評価はシンプルで、目標に近づいているかどうかです。 それだけでは3日間埋められません!私は、参加者が知っていることや、物事のやり方、機転の良さ、物事が望まない方向へ進んでいる時に、瞬時に変える能力などについて尋ねることに時間を使います。また、私は次のように考えているため、反復について話すことに多くの時間を費やしています: 「反復は実行の母である」 これを受けて、あなたが抱いているかもしれない問いは正しい:「何を繰り返すのか?」その鍵を見つけるシンプルな方法があります。 私が出会う、あらゆる分野の専門家全員に聞いている質問があります:あなたの分野で成功するための3つの鍵は何ですか? 答えを聞くのは楽しいものです。 ある結婚式で、私は戦闘で唯一A10ウォートホッグやF18イーグルを操縦したことがある男性と話しました。彼は笑って、周囲を見渡し、頷いて言いました。 「えぇ、疑問の余地無く: 1) スピードの出し過ぎは身を滅ぼす 2) 奇襲する 3) 直線で、短いフックで。」 ある司令官とは、コックピットの中で何時間も、サバイバルに関する幾つもの冒険や危険な場所に降り立ってしまった際にどうするべきかについて話しました。 「えぇ、疑いの余地無く: 1) 心構え 2) セルフケア(ショックを受け入れない) 3) シェルター、水、火。」 またある時は、飛行機でとても有名なバスケットボールのコーチの隣に座りました。彼は、試合に勝つことについてこうまとめました。 「えぇ、疑いの余地無く: 1) 攻撃時のリバウンド 2) 切り替え時のディフェンス 3) 疲れた時のフリースロー。」 あなたならどう答えますか?何かの分野で、成功するための3つの鍵は何ですか?答えが分からなければ、次の質問を尋ねます:もし、なんらかの理由で、一週間に3回、15分間しか目標を追えないという状況に置かれたら、何をしますか? ストレッチ?ジョギング?フォームローラー? 私は、女性の体脂肪減少の著名な専門家であるジョシュ・ヒルズにこの質問を聞きました。「えぇ、疑問の余地無く:食事の準備!」 なんと、と私は思いました。体脂肪減少はキッチンで行われる、ジョシュはきっぱり答えました。 さあ、自分自身に「囚人のジレンマ」を課してみてください。私はこの考え方を「囚人のジレンマ」と呼んでいます。監獄という奇妙な状況に置かれ、目標に集中出来る時間は一週間に3回、15分間しかないとしたら、あなたは何をしますか? 円盤投げの選手として私は、壁を見つけ、そこに向かってフルターンをしながらパワーボール(ハンドル付きのメディシンボール)を投げるでしょう。これを数回繰り返した後、バーベルに移り、パワースナッチとオーバーヘッドスクワットを行います。それから、また数回ボールを投げ、ケトルベルスイングとゴブレットスクワットへと続きます。 別の言い方をすれば、あなたが私の行なっている陸上の練習に来たら、私のアスリートたちが壁に向かってたくさんの投擲を行っているのを見ることになり、ウェイトルームでは、スナッチ、オーバーヘッドスクワット、スイング、ゴブレットスクワットなどを行なっているのを見ることになります。 囚人のジレンマの素晴らしさは、あなたに「これ」だと言わせることです。「これが大切である」という「これ」です。“これは非常に重要です。これこそが私たちがするべきことです!”というように。 これは、コーチング、教えること、子育て、生活スキルへと形を変えていきます。 まず、自分自身にその45分間であなたなら何をするか、正直に聞いてみてください。その後、あなたが何を行っているかを見てみてください。そこに分離はありませんか? 私は、私のすべてのコーチングにおいて囚人のジレンマを基準としています。何が鍵で、何が重要で、何が核心なのか?あとは、やるだけです! それ以外であなたが行うことは全て、くだらないものです。それ以外であなたが行うことは全て、煌びやかなグリッターです(煌びやかなものにはそれなりの意味があります)。でも、あなたが行っていることの大半が、くだらない煌びやかなものである時は、囚人のジレンマのレンズを通して再評価をしてください。 そうです:コーチングはそのくらいシンプルなのです。
骨盤と股関節をコントロールする4つの筋肉
アリゾナ州フェニックスで開催中の解剖コースのイントロセクションとして提供されるレクチャーから、骨盤と股関節の機能と安定に大きく関わる4つの筋肉に関してトム・マイヤースが語ります。