呼吸の構造と機能

アリゾナで開催されたトーマス・マイヤースのアナトミートレイン筋膜解剖コースのレクチャーから、人間の呼吸の働きと、呼吸に関わる構造に関しての興味深い話題をご紹介します。

トム・マイヤーズ 10:19

私たちの患者には、治療が必要なのでしょうか?それとも、もっと大きい容量のカップが必要なのでしょうか?

私自身を含め多くの人たちが痛みと損傷を理解するために、いくつかの事柄を簡潔にまとめようと思います。痛みをとらえるために最も分かりやすい方法の一つは、カップの比喩です。間違いなく欠点はありますが、治療の“全体像”を見るのに役立ちます。カップの比喩では、私たちの生活の中にあるストレス要因や負荷などすべてが、カップの許容量を超えると痛みが起きると考えます。つまり、溢れ出すと痛みを感じるというわけです。 あなたのカップには何が入っているのか? ストレス 組織の損傷 睡眠不足 心配 恐れ 不安 習慣 痛みは、あなたにとって有害であるものすべて(あなたのカップの中味)と快適なものすべて(カップの容量を増やすこと)とのバランスです。 これは、2つの方法で助けられるという、すぐに実施可能な比喩と言えます。 1) カップの中にあるストレス要因や負担になるものを減らす。 2) もっと大きなカップを作る。
 このカップの比喩は、基本的に、生活の中のストレス要因に対して、前向きに適応できない時に私たちは痛みを感じるということを示しています。また、ストレス要因は、身体にかかる物理学的負荷だけではないことが分かります。つまりX線画像で見つけられるような退行変性に限ったことではないのです。(これについて詳しくはこちら)どのぐらい持ち上げたり曲げたりする動作をしなくてはならないかということだけでもありません。また、心配や恐怖、落ち込み、痛みに対する破局的思考、睡眠不足、病歴、家族、仕事など他のストレス要因もカップに入っているかもしれないことに気がつきます。 これらのストレス要因は、本質的に悪いことではなく、実際、生活におけるこのようなストレスが触媒となって私たちに反応を起こしてくれます。このようなストレス要因が、私たちを強くし、耐久性を持たせ、上手に対応できるように、レジリアンシー(回復力)を構築してくれるのも事実です。古くからのことわざで「何かしてもらいたければ忙しい人に頼むとよい」というのがあります。 じっくり考えるべき問いかけ・・・痛みに結びつく要因で、治療されるべき要因はこれまでにありましたか?私は、いつもこの質問を投げかけてから私の講義を始めます。驚くことに、治療を必要とする痛みの原因や症状は、ほとんどないように思います。 たとえば、痛みに関連していると通常考えられている次のような生体力学的要素を私たちは治療しますか、また治療しなくてはなりませんか? MFD脂肪浸潤 腹横筋の発火のタイミング 内側広筋の発火のタイミング カッティング動作中の膝の外転モーメント 膝関節炎における内反モーメント 膝関節炎 関節唇断裂 回旋腱板断裂 腱症 骨棘 椎間板ヘルニア 肩甲骨の運動学 あなたがこれらを治療する必要はないと、私は考えます。確かにこれらは存在し、痛みに関与していることがありますが、治療後に痛みがなくなり機能が回復しても、これらが消えることはありません。そこで、カップの容量を大きくしてみたり、カップの中のものに対して耐えられるように訓練してみたりすればどうかという考えになるのです。これに関連するトピックを扱っているブログがあります:こことここ。 心理社会的影響も同様です 痛みに対する破局的思考も、コアの弱化についての信念、熟考、不安、落ち込みなども同様です。これらのすべてが痛みとリンクしていて、問題に関与していることがあります。しかし、これらすべてを治す必要はないのです。 私たちは耐えることができます。 私たちは適応することができます。 すべてのことに共通していますが、私たちは偏った考え方に挑戦する必要があります 私たちはストレスに適応可能であるということから、生活の中で発生するストレス要因を変える必要がないかもしれませんが、それらに取り組む努力をする価値はあると私は思います。実際、何が関連して、何を変えなければならないのかが定かではないということが、痛みや他の全てのことの難しいところでもあるからです。 ですから、臨床で自分に問うべき質問は: 具体的に何かしなければならないことがあるか? または 対処しなければならない具体的なことがあるか? これらの質問は似ていますが、異なります。ひとつは問題に対処する方法が1つまたは2つしかないと言い、もう一方は、できる限り良い状態にするために対処すべき痛みの原因が確実にあると言っています。ふたつの例を挙げてみます。 1) あなたの患者がアキレス腱障害を患っているとします。あなたは、トレーニング負荷をある程度減らし、アキレス腱に適応力をつけるために、活動への耐久性を構築し、トレーニング負荷をゆっくりと増やしていくことによりアキレスに特定の負荷を追加しなくてはならないと考えるでしょう。この場合、あなたが腱症を実際に“治療”するかどうかはわかりませんが、その人がその腱症に耐えられるようになるために、かなり特定されたこと(アキレス腱への負荷)が必要となったのです。
 2) あなたが治療に関わっている腰痛を患っている患者の問診をし、状況を把握した後、サイクリングやガーデニング、ランニングを再開することに効果があると判断します。2年間もこれらを一時的に中断していました。しかし、あなたがた二人とも、再負傷するのではないかと彼らが異常なほど恐怖感を持っていることに気がつきます。脊柱にストレスを与えてはならない、再び始めたいと思っていても、これまでしてきたような運動は椎間板にダメージを与えてしまう、と完全に思い込んでおり心配になります。サイクリングやガーデニング、ランニングだけでも効果があるかもしれませんが、怪我に関するこれらの信念にまず対応し、脊柱の捉え方を再概念化することの方が先決かもしれません。または、それらの有意義な活動の再開中でも構いません。他の意味での治療を施す前に、彼らの信念を最初に“治療”した方が、役に立つという一例です。 
最後に、治療を改善するためのもう一つの重要な質問は:
 大きなカップを作るにはどうすればよいか? これについては、少しズルをします。一緒に取り組む相手にたくさんのヒントがあると考えます。患者のストーリーを聞いて、しっかりそれを理解したならば、痛みの原因となるものが何か、痛みがどのように作用するかについてあなたの意見を説明します(患者の特定のストーリーに関連させながら)。次に彼らがより大きなカップを作るために何ができると思うかをたずねてもいいでしょう。もちろん、その前にコップのたとえ話を伝えておき、それから大きなコップを作るために何ができる気がするかをたずねます。これは、キーラン・オサリバンが“あなたにとって良いことは何ですか?”とたずねるのと大変よく似ています。または、デビッド・バトラーとロリマー・モーズリーが“あなたのSIMs (Safety in Me:私の中の安全)は何ですか”とたずねるのに似ています。 また、次のような大きな質問を投げかけてみたらどうでしょうか: あなたはどうすればより健康になれるのか? あなたがより健康になるために私がどのように手伝えるのか? 私が、この“(痛みを)落ち着かせ、(カップを)作り直せ”というアプローチで気に入っていることは、これを行う方法がたくさんあることです。だから一見互いに非常に異なったアプローチをしているかのように見えるセラピストでも、臨床で同じような成果を出しているのはこれが理由だと思います。この見方により、みなさんがより大きなカップを作れるように、私のサポート力の向上のため、異なる業種の専門家からさまざまなコースを受講し続ける必要があると思っています。まとめとして、カップを大きくできる領域と痛みの緩和に役立つ領域を列挙します。 認知要因:肯定的な信念、高い自己効力感、認知の柔軟性、受け入れ、マインドフルネス 感情的要因:ストレス回復力、不安の少なさ、ポジティブな気分 対処反応:適応的で柔軟な対処 社会的要因:ポジティブな文化的要因、協力的な家族および職場環境、経済的安心感、教育 身体的要因:身体への段階的な負荷、コンディショニング、適応できる機能的行動 ライフスタイルの要因:身体的に活動的であること、健康的な睡眠、健康的な体重、非喫煙者

グレッグ・リーマン 3526字

風船の膨らませ方 パート3/3

3)息を吐いて風船を膨らませる、というプロセスのまま1ヵ月経ってしまいましたが、皆さん息を吐き切ることは出来ましたか?笑 一ヶ月もあったのだから、息を吐き切れて当然だろう!と思われるかもしれません・・・すいません!!ですが、意外と息を吐き切るという事が難しいのはお分かりいただけましたでしょうか?残気量(最大まで息を吐きだし終えた時肺に残っている空気量)をゼロにすることはできませんが、風船を使って息を吐きだすと普段の呼吸よりより多くの空気を吐き出せる感覚があると思います。それでは次のプロセスに行ってみましょう!次は息を吐き切ったところで、息を止めます(!!) 4)息を吐ききったら3~5秒静止する 風船は膨らませるために膨らませるのではない、という事を以前のアーティクルで書きました。膨らませるという事は息を吐くという事なのですが、息を吐くことはもちろん重要です。しかし、息を沢山吐いてから吸う、という事の為に風船を膨らませているのです。どういうことなのか、わけがわからないかもしれませんが、まずは息を吐いた後のプロセスから見ていきましょう。 風船を膨らます際、気を付けていただきたいのは息を吐き切ることです。理論上どんなに頑張っても息を完全に吐き切ることは不可能ですが、限りなくそれに近いくらい息を吐けるのが風船のいい所です。普段息を吐く際に動員される呼気筋だけでなく、胸横筋などの筋肉の動員も活発化されて、肋骨の内旋や胸郭の縮小化を促します。横隔膜は弛緩して、縮小していく胸郭のスペースと横隔膜の上昇により、肺の空気は押し出されていきます。 本当に吐き切れていますか?もう一度確認してみましょう。横に寝た状態で風船を膨らませている方は、自身の肋骨の位置を確認してみて下さい。肋骨はまだ出っ張った状態ではありませんか?みぞおちに水をたらしたらお腹の方向に水が流れていった、という状態(実際にやらなくてもイメージでいいです笑)であれば胸郭が腹腔よりも高い位置にあると考えられ、まだまだたくさん胸郭内に空気が残っていることを示唆しています。反対に、胸郭とお腹が一つの平らな面となっていればおそらく、十分に空気が吐けたと考えていいでしょう。 そして、ここで息を止めてしまいます。えっ?息を止めるって、息を吸ってからしないとだめなのでは?と思うかもしれません。いいえ、息を吐き切った後に息を止めてしまうのです。できれば5秒。なるべく3秒止めます。最初に息を吐いた際に膨らませた風船から空気が戻ってこようとします。しかし、息を止めます。しかも指で風船の首をつまんで閉じたり、歯で風船を噛んだり、唇で風船の口を閉じたりしないでください。 どうやって??舌を上あごの上につけます。喉の奥を舌で覆うようにすれば口からの気道を閉じることが出来ます。口は風船から戻ってくる空気で膨れている状態かもしれませんが、そのままで大丈夫です。 何故息を止めるのか気になる人がいるかもしれません。このプロセスはとても大事で、息を吐き切った後すぐに吸わない事は息を吐き切った状態を維持するという事を意味します。 一つは息を吐き切ることのあまりない呼気筋群をしっかりと活動させ、どの状態が息を吐き切るという事なのか認識させるという事です。特に内腹斜筋や腹横筋といった肋骨を内旋させる筋肉に加えて、強制呼気時に活躍する胸横筋などの活動を促します。 もう一つは息を吐き切る際にリラックスしているはずの横隔膜に息を止めてしまう事でさらにリラックスする時間を与えるという意味合いもあります。普段肋骨が外旋して横隔膜が常に緊張状態にある(おそらく精神的にも常に緊張状態にある)場合、ほとんど横隔膜がリラックスする時間も感覚もありません。ですから、風船で息を吐き切った時ぐらい、リラックスさせてあげましょう。 > 5)息を吸う 昔ドラゴンボールのアニメで孫悟空が元気玉を繰り出すか、繰り出さないかの瀬戸際で1話(30分)が終わってしまった時がありました。ここまで読んでいただいている皆さんは、いったいいつになったら息が吸えるのか?と不安に思っているかもしれません。安心してください、やっと息が吸えますから。 息を吐き切って3~5秒静止した後、息を吸います。この際必ず鼻から息を吸うようにして下さい。当たり前ですが口から吸えば風船の中に貯めた、先ほど自分が吐いた息を吸う事になります。息を吐いてから3~5秒静止している際に舌を上あごの上に当てて風船の空気が戻ってくるのを防いでいました。これを利用してそのまま風船からの空気が気道に戻ってこないようにしつつ、鼻から吸うのです。 沢山息を吐いて、吐き切って、さらに静止した後、やっと吸える空気です。思い切り息を吸いたいところですが、あまり力まないように、優しく吸いましょう。思いっきり力いっぱい息を吸ってしまうと様々な副呼吸筋が代償を起こします。例えば肩や首の筋肉も稼働して肩甲骨が挙上してしまうかもしれません。正しい呼吸パターンを身につけるために風船を膨らませるので、代償を含む吸気運動は避けたいですよね。肩や首の筋肉群に過剰な代償が内容に注意して息を吸いましょう。 そしてよくあるパターンとして挙げられるのが体を伸び上がらせながら吸うケースです。2)の風船を膨らませる体勢を整える、の欄にもありましたが椅子に座っている状態の場合、少し浅く腰を掛けて背中をかがませたのを覚えていますか?かがむことで肋骨の内旋を促しやすくなるというのが目的ですが、ここまで息を吐いて、静止して、息を吸う際にかがんだままにしておいてください。伸び上がって息を吸いたいと思いますが、それでは普段の呼吸パターンと変わりません。伸び上がる=伸展するという事ですが、頚椎や腰椎の伸展で息を吸っていませんか?1日に15000~20000回行われる呼吸の度に頚椎や腰椎が伸展していたとしたら、このパターンは改善されるべきです。 沢山息を吐きました。肋骨は内旋され、胸郭は縮小されました。ここで伸び上がってしまえばせっかく縮小された胸郭や内旋した肋骨は自由に普段のポジションに戻ってしまいます。それでは風船をやっている意味がなくなってしまいます。どうか少しかがんだポジションのまま、肋骨は内旋したまま、胸郭は縮小したまま息を吸ってみてください。胸郭が縮小しているんだからどこにも空気が入っていかないじゃないか、という意見もあると思います。そうです、普段空気が入っているところには空気が入っていきません。胸郭の後ろ、後縦隔と呼ばれる部分に空気が入り、拡充されるのです。もし誰かが風船を膨らませているのであれば、息を吸った際に肩甲骨と肩甲骨の間に手を置いてみてください。正しく後縦隔に空気が流入しているのであれば置いた手に肋骨の広がりを感じるはずです。 6) 再び息を吐いて風船を膨らませる やっと最後のプロセスまでたどり着きましたね。時間がかかってしまってすいません。もう息も吐いて風船が膨らんだし、3-5秒静止することもできたし、ついでに鼻から息を吸う事も出来ました。後はそれを繰り返すだけでしょ?と思っている皆さん、その通りです笑。しかし、このプロセスが一番難しいかもしれません。最後の難関です。身体を伸び上がらせずに内腹斜筋や腹横筋で肋骨を内旋させて、拮抗させた状態で息を吸えたら、次は風船の中にある空気に負けないように息を吐いていかねばならないのです。最初に息を吐いて風船を膨らませた時とは大違いであることに気づきましたか?確かに風船は一番最初に息を吐くときが一番『きつい』です。しかし、2番目に吐くときがおそらく一番『難しい』のかもしれません。2番目に息を吐くときは最初に吐いた空気が風船の中に残ったままの状態ですよね?風船のゴムの力によってそれらは口や気道の方へ戻ってこようとしています。そして舌を上あごにつけて蓋をすることで鼻から息を吸えるように気道を確保しました。その舌を下して、肺から空気を吐いていくのです。風船からの圧力に負けないようにしなければ、ちょっと笑ってしまうような音を立ててあなたのクライアントさんが空気にもてあそばれる瞬間を目撃することでしょう。それはそれでなんとも和やかな雰囲気になるので、1度はいいでしょう。でも呼気筋群を活用して力強く息を吐いてみてください。この際唇を真一文字に結ばないように気をつけながら。きっと風船はさらに大きくなってくれるはずです。 そしてまた同じ手順で息を吸い、さらに圧力を増した空気に負けないように息を吐いて、どんどん風船を膨らませましょう。おそらく一般的な風船であれば4-5回息を吐いたらパンパンになると思います。それで十分です。一度口から外して空気を抜いてしまいましょう。可能であれば、これを3セットほど行ってください。これだけゆっくりと呼吸をすれば1分当たりの呼吸数が減り、吸気状態から抜け出せることでしょう。 いかがでしたでしょうか?PRIの視点から長い事風船の膨らませ方について解説してきました。ここまで出来るようになれば、あなたも甲子園球場のスタンドでスターになれますよ!PRIのエクササイズは必ず風船を膨らませるわけではありませんし、むしろ大方のエクササイズは風船を使いません。しかし必ず呼吸がエクササイズに含まれています。もしこれらの呼吸が最適化されていなければ、どんなにパワフルなPRIのエクササイズも効果が半減してしまいます。ですから、まず呼吸を整えてZOA(Zone of Apposition)を確立するべきなのです。また個人的にはPRIのエクササイズに縛られなくても、風船を膨らませることはたくさんのメリットがありますし、何より童心に帰ってなんだか楽しいものです。風船を膨らませた後の空気が抜ける音だって、たまりませんよね笑。息を吐くことで副交感神経の働きを促進することが出来ますが、笑うことだって息を吐くことですから。みなさんも風船を是非膨らませてみてくださいね! *写真は弊社のワークショップより。

大貫 崇 4196字

風船の膨らませ方 パート2/3

先月のアーティクルでは上手に風船を膨らませる前に行うべき、風船のくわえ方について解説していきました。すいません、皆さんには風船をくわえてもらったまましばらくお待たせしてしまいました笑。今回はそこからもう少し突っ込んで風船を膨らませる体勢、それから実際に息を吐いていくプロセスについて解説していきますね! 2)風船を膨らませる体勢を整える このプロセスは非常に重要です。やみくもに風船を膨らませばいいというわけではない、という理由はここにあります。風船を膨らませる体勢はいくつかありますが、基本的には仰向けに寝た状態(90-90ポジション)、座位、そして立位になります。時には四つん這いで風船を膨らませることもあります。重要なのは吸気時に腰をそらないポジションであることと、すこしかがんで正面をみるという事です。吸気時に腰をそってしまう人が多いので、その点では仰向けのポジションは一番サポートが多く、背中を反りにくい1番簡単なポジションです。次に座位、立位と難易度が上がっていきます。立位の際は壁などに背中をもたれることでサポートを追加してもいいでしょう。 仰向けで寝ている場合、壁に足をつけ膝を90度曲げ、股関節も90度屈曲させた状態になります。このポジションを90-90ポジションと言っていますが、言い方は多々あるかと思います。布団に寝るような形で仰向けになってもいいですし、膝を曲げて仰向けに寝てもいいでしょう。しかし、おそらく90-90のポジションが一番腰椎をニュートラルな状態にしやすいと考えられます。さらに可能であればかかとを履いている靴のヒールとソールの角に当てつけるように、かかとで壁を下に押すことでハムストリングを起動させて骨盤の安定を図ります。足の位置は壁からずれませんが、少しでもいいのでハムストリングを起動させたいのです。足の裏が壁(=つまり地面)に設置しているという感覚を持ってもらうことが重要なので、壁から足が離れることは避けたいですが、どうしてもかかとが感じられない人には椅子などを使って下に押し付けてもらうか、私の場合は壁沿いに自分の足を入れ込んで、クライアントさんや患者さんに自分の太ももをかかとで下に蹴ってもらうことでかかとを感じてもらっています。 ここまでは一般的に理解ができると思いますが、ここでさらにPRI的な要素を加えるとすると、左手で風船を支え、右手は万歳して床に置かれているか、天井に向かってリーチしていく状態になります。最初は左手で風船を支え、右手を万歳して床に置いておくポジションがいいでしょう。こうすると右の胸郭先尖に空気が入っていくのを誘導しやすくなります。 座った状態の場合は、椅子に浅く腰を掛けます。膝と膝の間に小さなゴムボールや巻いたタオルを挟むといいでしょう。少し骨盤を後傾させ、背中をかがめます。目線は正面において風船を膨らませていきます。 あれっ、と思った方もいるかもしれませんが、そうです。背中をかがめて胸椎が少し丸まったような状態をつくっていいのです。胸を張る必要はありません。むしろいつも胸を張っていて過吸気(Hyperinflation)の状態になってしまっているので、風船をするのです。少し背中を丸めることでたくさん息を吐く準備をしましょう。 立位の場合は少し難しいですが、壁をサポートにして立ちます。壁からかかとを20センチほど話して立ちます。そのまま膝を曲げながらお尻を壁につけます。続けて背中の下半分を壁につけてしまいます。腰椎の伸展がかなりきつい方は難しいと思いますが、腰椎も壁につけてしまいます。つまり「骨盤の後傾」と言われている形です。クライアントさんや患者さんに「骨盤を後傾させてください」と言ってもいつも伝わらないので(笑)尾てい骨を前に向けてください、といったような言い方をしたりしています。そして背中の上半分は少し丸めたまま正面を向きます。左手で風船をもち、くわえて風船を膨らませる準備は完了です。 次に3)息を吐いて風船を膨らませるプロセスを見ていきましょう。 風船を膨らませる体勢が整ったらいよいよ風船に空気を入れていきます。口を大きく膨らませて、思い切って空気を入れていくといいですが、あまり力みすぎないよう気を付けてください。新しい風船は一番最初に膨らませる時が一番大変です。口を真一文字に結ばずにストローの先をくわえるように、空気を吐き出していってください。またくわえる前にびよーん、びよーんと前後左右に風船を手で伸ばしておいてあげると多少膨らみやすくなります。 おそらく背中をそりながら息を吐く人はなかなかいないと思いますが、どちらかというと背中を少しずつ丸めていくように息を吐いていってください。そうすれば、左右肋骨の下あたり、腹斜筋や腹横筋などが活性化するのが感じられるかもしれません。腹直筋の過緊張は避けたいところです。息をたくさん吐いていくにつれ、胸骨が下に、そして背中側に沈んでいく感覚もわかるはずです。 最初は思ったように息が吐けないかもしれません。苦しくなってすぐに息継ぎをしてしまうかも知れません。しかし、そこは我慢してできるだけ沢山の空気を送り出しましょう。思ったよりも肺の中に空気が入っているのがわかると思います。背中を丸めつつ息を吐きます。繰り返しますが、力みすぎないように気を付けましょう。もともと息を吐くのは力を抜くためにやっているのですから、副交感神経に作用するようにリラックスしていってください。 そして次のアーティクルでは風船を膨らませるにあたって一番重要な、吸うというところに焦点を当てて解説していきたいと思います。

大貫 崇 2414字

風船の膨らませ方 パート1/3

最近少しずつですが、呼吸に関してこの業界で注目が集まっているように思います。そしてPostural Restoration Institute(PRI)の教育コーディネーターをさせて頂いて関係もあって、風船を膨らませるエクササイズを取り入れている方を見る機会が増えています。しかし、やみくもに風船を膨らませばそれでいい、効果が出る、というわけではありません。風船を使った呼吸エクササイズは非常にパワフルで、筋骨格系に与える影響だけでなく、神経系や精神的、生化学的な部分まで影響を及ぼします。そこで今回はPRIの視点から見た風船の正しい膨らませ方について記事を書いてみたいと思います。 風船を膨らませるにはいくつかの手順があります。 1) 風船をくわえる 2) 風船を膨らませる体勢を整える 3) 息を吐いて風船を膨らませる 4) 息を吐き切ったら3~5秒静止する 5) 鼻から息を吸う 6) 再び息を吐いて風船を膨らませる そして3)から6)のプロセスを4-5回繰り返せば風船はちょうど一杯になるかもしれません。膨らませている途中に風船が大きくなってきて割れるのが怖いですが、思ったより風船は大きくなりますよ。 ところで、風船は膨らませるために膨らませるのではありません。わけのわからないことを書いている(!)と思われるかもしれませんが、実際にそうなのです。確かに風船の中に息を吐いていくことは非常に重要なプロセスですが、息を吐いた後が肝心なのです。風船を膨らませることによって、どのように息を吸うのか学ぶことができるのです。 まずは1)の風船をくわえる、というところから解説していきます。 風船をクライアントさん、または患者さんに渡すと一番最初にすることはくわえることです。ほぼ100%くわえます。ですから、風船をくわえる前に、しっかりと今から何をするのか説明しましょう!やみくもに風船を膨らませることはストレスを与えるだけになってしまうかもしれません。 そして風船を膨らませるプロセス(1)から6)の手順や理由などです)について説明が終われば、いよいよ風船をくわえてもらいます。 風船を膨らませる際によく目にするのが、風船がどんなに頑張っても膨らまない現象です。筋力がないのか、肺活量がないのか、とクライアントの方や患者さんはおっしゃいますが、なぜか風船が膨らんでいきません。こちらとしては満を持して風船エクササイズを紹介したのに、相手の方は顔を真っ赤にして頑張っているのに風船がまったく膨らんでいかない…この状況はなかなかなんとも言い難いものがあります(笑)。頑張っているのでもう少し頑張ったら膨らみそうな気がしますし、かといって顔が真っ赤で目玉が飛び出るくらい頑張っているので、「一回休憩しましょうか」と言いたくもなりますし・・・特に子供のころに風船を膨らませた経験のある方は、今となって膨らますことができない自分に愕然とするでしょうし、ちょっとがっかりした気分になってしまうでしょう。 何でこんなことが起きるのでしょうか?もちろん息を吐く力が実際に低下しているのかもしれません。しかし、私が所属しているメディカルフィットネスジムでは高齢者の方にも風船を膨らませてもらっています。人生の経験が豊富な方々でも風船が膨らまない時があります。僕もこの微妙な時間をどれだけ過ごしてきたか…しかし、そこで気づいたことがあります。みなさん、風船を自ら閉じているのに、空気を送り込んでいる! そうなのです!風船を膨らまそうと空気を送り込んでいるものの、風船をくわえようとして唇で抑えたり、歯で噛んだりします。そうなったら風船の首は閉じてしまい、空気は入っていきません。でも呼気筋がかなり頑張り、自らの唇や歯と戦おうとします。これでは風船はいくらやっても膨らんでいきませんよね。 先日PRIの本部があるネブラスカ州リンカーンに行ったとき、PRIの創設者であるRon Hruska氏に聞いたのですが、風船にもくわえ方があるという事です。風船は円形の口から空気を入れるようにできていますが、工業製品ですから出荷される際は平らにたたんである、というよりは押しつぶされた状態になります。この平たくなってしまった風船の首と唇のラインを平行にくわえてしまったら、どうしても唇や歯で、または舌で押しつぶすような格好になってしまい、空気が入るのを邪魔してしまいます。 そこで平たくなってしまった風船を縦にして、唇で風船の口を広げるようにしてくわえるのです。 こうすることで唇は風船の口をつぶして広げるように作用します。ちょうどストローをくわえるように円形の穴を唇で作るのです。そうすると空気をすんなりと入れることができるのです。あまりにも当たり前に風船を平たくくわえさせてしまっていたので、風船にもくわえ方があると聞いて目から鱗でした。 あまりにも当たり前すぎるような話ですが、意外と口元の筋肉やかみ合わせで緊張している方が多いのではないでしょうか?また高齢者の方だと入れ歯などの関係で唇の筋肉やかみ合わせのコントロールがうまくいっていない方もいるでしょう。そんな時は風船を縦にくわえる事で空気の通り道が肺から風船の先端まで繋がり、息を吐けば風船は膨らんでいくはずです。 それでは次のアーティクルでは2)の風船を膨らませる体勢を整える、というところから解説していきましょう。

大貫 崇 2330字

テッド・ラッソのリーダーシップレッスン

Apple TVの素晴らしいシリーズである「テッド・ラッソ」は、間違いなく今までで一番気に入っているテレビ番組です。沢山のテレビ番組を見てきた私の今までの人生において、これほどまでに虜になりインスピレーションを受け取ったシリーズは他に思い浮かべることができません。信じてください、かなりテレビは見てきました。この番組にはマジカルでワクワクする何かがあるのです。より良い人間になりたいと感じることなく、この番組を見ることはできないでしょう。こう言うと妙に聞こえるかもしれませんが、テッド・ロッソは私にとって、新しいお気に入りのスーパーヒーローの一人なのです。なぜこう言うのかというと、自分が大人になったらテッドのような人になりたいから。テッドの人生、世界をより明るく輝くものにするテッドのように生きたいからです。 私達がこの世に存在する理由は、キラキラと輝き世界をより明るくするためであると信じています。ともかくも、この素晴らしく途方もない架空の人物であるテッド・ラッソは、彼のリーダーシップのスタイルを示してくれます。実際、昨夜私は妻と共にリーダーシップについての会話をしました。何がリーダーシップであり、何がそうでないのかについて。今朝目が覚めた時も、テッドのリーダーシップレッスンは私の頭から離れませんでした。それらを書き留めずにはいられませんでした。私がテッド・ラッソから学んだリーダーシップレッスンは下記の通りです: リーダーとは奉仕者です。他者を優先します。テッドは人々を、彼らの目を、彼らの心をしっかりと見ます。彼らの話を聞き、彼らを高めます。テッドの唯一のアジェンダ・意図は、人々を高めること、彼らが彼ら自身の「ベストバージョン」になることができるように。テッドは会社(チーム)のステータスにフォーカスをあててはいません。彼は、スタッフ達に、選手達に、上司にフォーカスをあてているのです。テッドは彼らの心を繋げ、その結果として会社(チーム)全体が繁栄するのです。 あなたは人々をコントロールすることはできません。ただ自分自身の台本を書き、他の皆の台本に影響を与えるだけです。誰かの行動や、信念や考え方を変えることはできません。ただ、彼らが彼ら自身のステージのスターなのだと言うことを認識し尊重することができます。 人間を信じること。人間が存在することを信じるのではなく、あなたがともに働く、関わる人々を信じること。信じるということは、本当は「愛であること」「愛すること」を意味します。あなたのまわりにいる人達の最良の側面を見て、全てを愛すること。 許すことを実践する。これこそが他者を真に愛し、投資する唯一の方法です。自分自身のポテンシャルに投資する唯一の方法でもあります。許すことは愛を与えること。愛を与えることは愛を受け取ることでもあります。あなたが誰かを恨む気持ちから自由にしてくれます。それが何であれあなたが抱いている気持ちから自由にしてくれるのです。 傷ついて心が痛んでもいいのです。傷つくこと、傷を負うこと、失敗することは恥ではありません。OKなのです。痛みを許し、自分自身を許し、癒しましょう。 治癒して良いのです。前へに向かって進むことに罪悪感は伴いません。手放しましょう。治癒は健康であり、前進することは成長なのです。 勝利を祝い、敗北から構築しましょう。アイコンタクト、スマイル、誕生日、結婚式、記念日、昇進、ゴール達成、これら全てを祝いましょう。涙、離婚、死、引退、落胆、これらを認識して、これらを通して心をさらに強く構築しましょう。 「最も大切にされていない」人にも尊敬の念を持つこと。誰もが皆重要です。必要とされていない役割などありません。価値のない心などありません。全てが重要なのです。この番組内では「Nate the Great/素晴らしいネイト 」が最良の例です。 ボールを他者にパスすること。私たちは共に勝利するのです。あなたの成功は私達の成功であり、私達の成功はあなたの成功なのです。 他者のためにクッキーを焼きましょう。愛を込めて実行される思いやりの行動は、最も頑固な心も溶かし、あなた自身も癒してくれるでしょう。 あなたを批判する人を愛しましょう。彼らの言うことを聞き、尊重し、愛しましょう。そうすることで彼らはあなたのファンになることでしょう。 何事も個人的に受け取らないように。彼らは自分たちが何をしているのはわかっていません。あなたも自分が何をしているのかわかっていません。手放してしまいましょう。 理に叶わない時でさえ、幸福を選択しましょう。どのような状況のどのような試練であっても微笑んでいられるように。心の底からそれを意図するならば、全てが変わります。 脆弱であること。本物であること。防御をしないこと。幻想を抱かないこと。これらはあなたを向かうところ敵知らずにします。 質問をしましょう。質問をすることで推測を消去し解決策をあらわにすることができます。人々は、あなたが話しかけている対象者に対しても関心をあらわにするでしょう。 好奇心を持つこと。なぜ人々は、そのような行動をしたり、そのようなことを言ったりするのか?あなたはなぜそうするのか?好奇心は発見を導きます。確実性は、失われたチャンスや行き詰まりへと導きます。 誰かに見られていたとしても、誰にも見られていないようなつもりでダンスをしましょう。自分を人前に晒すこと。喜びと自由さの最高の表現の一つはダンスすることです。ダンスすることは全ての束縛を取り除きます。あなたがダンスをすれば、あなたが輝けば、あなたのまわりにいる人達を明るく輝かせて彼らはあなたのリードについてくるでしょう。 テッドのレッスンのいくつかを確実に見落としてしまっているとは思いますが、良いスタートだと思います。皆さんもご自身の心のためにぜひこの番組を見てください。番組を見ないという場合でも、ここに記録したテッドのレッスンのいくつかをしっかりと掴み取ることができれば、あなたは世界をとんでもなく素晴らしいものにすることでしょう。 なんといっても私達はそのためにここに存在しているのですから。

オリジナルストレングス 2604字

骨盤前傾はじわじわとあなたを葬っているのか?

ほら、かなり引き込まれるセンセーショナルな見出しでしょう!引っかかりましたね! 私は、骨盤前傾(APT)と骨盤前傾が引き起こす可能性がある問題について、最近の議論に基づき、手短かにブログを書こうと思いました。これは決して独創的な投稿ではありませんが、すたることの無いテーマです。実際に、ただの理論ではなく、このテーマに関する研究に少し焦点を当てた投稿は、山のようにある、ストーリーとしか呼べないようなものと比較すると、大海の中の一滴にしか過ぎません。これらのストーリーは、“XがYを引っ張るとZ(一般的に痛み)を引き起こす”という生体力学的な理論が多い傾向にありますが、それを裏付ける真の科学的根拠の数があまりにも少ないのです。 その理論は、このような感じかもしれません:長時間の座位のせいで、股関節屈曲筋が緊張するため、腰椎前彎を増大させる骨盤前傾を引き起こし、腰痛を引き起こします。 控えめな骨盤前傾は、腰痛、鼠径部痛、股関節痛等、実に骨盤に近いどこかに少しでも関連のある、あらゆる痛みの原因として非難されます。身体の中間点であることが、非常に多くの事の原因になっているのかもしれません。 ‘ドクター・グーグル’(ネットで検索)やフェイスブック(もしくは同様のソーシャルメディア)をチェックしてみてください。非常に多くのくだらないものが次々に出てきます。これは、グーグルで“骨盤前傾”と入力した検索結果の1ページ目です。 最初に、骨盤傾斜に関して、何が正常で、何が正常でないか、少しでも多くの知識を持つことがここでは重要です。数多くの罪を着せられる可哀想な骨盤前傾は、これら全ての問題に関する利用可能な研究において、確かに、前彎増大というような関連因子や、関連性があり、無症状の集団よりも痛みがある集団の方でより高頻度に見られます。 この研究、”Assessment of the degree of pelvic tilt within a normal asymptomatic population ( 正常で無症状な集団における骨盤の傾斜角度の評価 )”では、これを正確に調査したかったのです。彼らは、無症状で痛みの無い人たちの骨盤傾斜に着目しました。 彼らは、私達のほとんどが骨盤前傾を有していて、実に85%もの男性が骨盤前傾を有していることを発見しました。つまり、ジムで男性を無作為に10人選んだら、8.5人は骨盤前傾であるということを意味しています。女性では、この数字は75%まで下がりますが、それでも大多数です。もし骨盤傾斜がこれら全ての痛みに対して非難されるのであれば、私達のほぼ全員が骨盤内や周辺の痛みで、苦しみ悶えながら歩いているのは間違いないのではないでしょうか?たった9%の男性が、伝説的な骨盤“ニュートラル”位を有しているのです!よって、再びジムで無作為に10人を選んだら、1人の男性の90%(一人未満)だけしか骨盤のニュートラル位を有していないことになります。女性では、この数字は少し大きくなり、18%まで上がります。 これは主に治療家やトレーナーによって、上記の研究よりも初歩的な方法で評価され、しばしば骨指標、すなわち上前腸骨棘( ASIS ) や上後腸骨棘(PSIS )、そしてお互いの関係性を確認することによって評価されています。 この研究、“Variation in Pelvic Morphology May Prevent the Identification of Anterior Pelvic Tilt ( 骨盤の形態学における多様性は、骨盤前傾の識別を妨げる可能性がある )”は、骨の前後・左右対称性において、かなり大きな多様性を発見しました。骨盤は全て具合悪いように思えるかもしれませんが、実際には、それはただ各人の自然な骨の形状なのかもしれません。おそらく、第一に多様性が問題ではないこの場合では、触診は骨盤前傾を計測するのに、あまり確実な方法ではないのかもしれません。 無痛であるためには、完全に対称な骨格と姿勢が必要であるというのは、私達の思い込みであり、私達の間に見られる姿勢ではなく、完全に対象な骨格と姿勢が生まれながらの正常なデフォルトであるというのは、間違っているのかもしれません。 姿勢に関して言えば、ニュートラル、あるいは整ったアライメントという考えは、身体をニュートラルに回復させる、あるいはバランスを保つことを目的とした、100以上の継続的能力開発(CPD)コースの数々を生み出しています。全てのエビデンスは、私達のほとんどがニュートラルではないという事実を示し、痛みに関しては、恐らく関係ないでしょう! 先程、お話したように、骨盤前傾は、腰椎前彎の増大によって腰痛を引き起こすとされています。この研究、 “Lumbar lordosis: study of patients with and without low back pain ( 腰椎前彎:腰痛を持つ患者と腰痛を持たない患者における研究 )”では、腰痛がある腰椎前彎の女性と腰痛の無い腰椎前彎の女性との間に、違いは発見されていません! この研究 “Low back pain and lumbar angles in Turkish coal miners (トルコ人炭鉱作業員における腰痛と腰椎の角度 ) ”も同じことを示していて、腰椎の角度と腰痛には相関関係は無いことを発見しています。 よって、私達のほとんどが骨盤前傾を有していますが、経験する腰痛とは相関関係が無いようです。 座位は、骨盤前傾の原因として非難される主なものの一つです。この研究、“Use of intermittent stretch in the prevention of serial sarcomere loss in immobilised muscle (不動の筋に置ける連続的な筋節喪失の予防における断続的なストレッチの活用 )” では、1日30分の、単に動くだけで得られるようなストレッチでさえ、関節可動域を維持するのに十分であることが発見されています。怠け者のろくでなしでさえ、ベッドから起き上がり、仕事へ行き、コーヒーを作り、夕食を調理したりします。おそらく、これだけでも合計すると、必要とされている30分になるでしょう。 この研究、“Effect of Changes in Pelvic Tilt on Range of Motion to Impingement and Radiographic Parameters of Acetabular Morphologic Characteristics (骨盤傾斜の変化がインピンジメントのある関節可動域に与える影響と寛骨臼の形態学的特徴のX線写真パラメーター )”では、動的な骨盤傾斜と大腿骨寛骨臼インピンジメント(FAI)の関係性に着目しました。彼らは、骨盤前傾の増大は、大腿骨寛骨臼インピンジメントの早期発生をもたらすかもしれないと提唱しました。 最初に、これは症状のある集団を用いた後ろ向き研究でした。前向き研究によって、理論に基づいた結論の信憑性が高まるかもしれません。 では、骨盤前傾と関連しているかもしれない大腿骨寛骨臼インピンジメントが、どのように股関節痛と関連しているのでしょうか?この研究、“Radiographic Prevalence of Femoroacetabular Impingement in Collegiate Football Players (大学フットボール選手における大腿骨寛骨臼インピンジメントのX線写真にみる有病率 ) ”では、なんと95%の無症状の大学フットボール選手が大腿骨寛骨臼インピンジメントを有していました。もしあなたがスポーツをし、骨盤の動的な運動を沢山経験すれば、何らかの形の大腿骨寛骨臼インピンジメントを有しているかもしれず、そして、それは痛みを伴わない可能性が高いのです。 私達はまた、位置と運動はそれぞれ別物であることに気付かなければなりません。私は、男性のわずか9%しか有していない、伝説的骨盤ニュートラルを有しているかもしれませんが、私の骨盤は動的に大きく傾き、それによって、私の股関節の骨の本質に影響を与えています。同様に、その姿勢の位置からあまり動くことのない、ほぼ静的な骨盤前傾を有しているかもしれません。よって、静的な測定は、動的な測定とはあまり関連性がなく、何らかの形式での動的測定のメソッド無しで得られる結果は、単に推測でしかないのです。私達は皆、推測や思い込みは全ての大失敗の元であることを知っています。 通常の臨床環境、あるいはジムの環境において、大腿骨寛骨臼インピンジメントの早期発生を予測する研究で使用された、時間のかかるスキャン検査とモデリングの全てが無い状態で、どのようにこの動的な骨盤傾斜を測定しますか? 私見ですが、私達の姿勢は、それが動かない時、より問題のある、関連性のあるものになるのではないでしょうか。私達は、姿勢自体が問題であると示す前に、静的な姿勢からの推測ではなく、その特定の姿勢が、実際に動き変化することができるかどうかを評価する必要があります。 最後に、多くの科学的証拠は存在しませんが(ちなみに、複数のエピソードは証拠ではありません、骨盤前傾は実際に“矯正”されることができるという話もあります。 あなた自身の、あるいはあなたのクライアント/患者の骨盤前傾にストレスを感じるのをやめて、より生産的に時間を使いましょう。

ベン・コーマック 4083字

リハビリテーションにおける教育 – それは一体何を意味するのか…?

教育、教育、教育。現代の筋骨格系の臨床に関連して、この言葉をどれくらいの頻度で耳にするでしょうか? ごめんなさい、間違えました。教育&運動、教育&運動、教育&運動 : ) いつだって答えはシンプルです! しかし、教育もエクササイズと同じように、非常に一般的な言葉で語られながら、実際に適用するためのフレームワークがほとんどないという問題を抱えているのです。どのガイドラインをみても、教育が治療の中心であるかのように示していますが、実際には何の方向性も示されていないことが多いのです。私には、セラピストが不確実性に直面し、より伝統的な視点に戻ってしまう理由が分かるような気がします。 では、教育とは何について? いつ? どのように? 誰に対して? よくよく考えてみるとこのような疑問が湧いてきます。教育はここ数年、痛みに関する教育に乗っ取られていますが、実際には筋骨格系の臨床の根幹を成しています......永遠に。教育については、私が授業でたくさん話していることですが、生徒は、“ベン、早く本当の治療の話をしてくれ、こっちは退屈しているんだ”と感じているのが私には伝わってきます。 教育が適切な治療と見なされますか? 私はまだ確信していません。 人は常に情報を求めてきた これは今に始まったことではありませんね! “私の今回の腰痛は、いつもより少し長く続いているので、診てもらった方がいいと思って”と来院される方がよくいらっしゃいますね。 例えば、腰痛は2~6週間続くことがあり、これは全く普通のことだと私達は知っています。しかし、これまで数日間しか問題がなかった人にとっては、おそらく少し心配になり、ストレスの多い状況で膨らんでくる心配を減らすために、何が起こっているのか知りたくなるのでしょう。 人々は痛みを取るために私達のところへ来るのは確かなのですが、それだけではなく、自分の問題やその意味を理解し、対処法を知りたいと思っているのです。 Louis Giffordは、多くの人の間でかなり普遍的な事柄を強調しました。それは何なのか? いつまで続くのか? それに対して何ができるのか? その他に私が定期的に受ける質問は、“XXXはまだできますか…”というものです。人々はまだ何かをしたいのですが、問題を悪化させたくないと考えています。しかし、しばしば、分別良く対処するための知識を得るよりも、怖くなって活動を減らしてしまいます。 教育かまたは知識の伝達か? 私たちは“教育”という言葉を使いますが、“教育”というと、学校でやんちゃな子供たちを前にした厳しい教師のイメージがあり、私たちが実際に行なっていることをあまり反映していないように思います。 教育とは、その人が問題を理解するのを助け、問題に関する不確実性や危険性を減らし、前進する道筋を提供することなのかもしれません。これは、従来の教訓的な教育モデルよりも、知識の伝達を組み込んだパートナーシップの視点と言えるでしょう。つまり、知識の伝達や意味付けという言葉の方が適切なのかもしれませんね? 私たちは何について‘教育’できるのでしょうか? (たくさんのこと、というのがシンプルな答えです・・・) それは何か? おそらく、人々が最も望んでいるのは、診断ではないでしょうか。診断名が分かれば、効果的な治療ができる、ということですね? そうかもしれません・・・しかし、多くの筋骨格系の問題では、構造的な観点からそれが不可能であることが分かっています。このような条件下で、私たちは、問題に対して前向きで一貫性のある説明が必要なのです。その中には、痛みに関する教育も含まれますが、痛みに関する情報が優先である必要はありません。 "非特異的な筋骨格系の痛みで、痛みの原因が明らかではなく、画像診断でも所見がなく、治療によって痛みが完全に緩和されるとは限らない症例では、特定の診断がなくても、具体的で明確、かつ一貫した情報が回復の助けになる“ Carroll et al 2016 回復にどのぐらいかかるのでしょうか? 腰や膝、肩の痛みなど、診断がはっきりしない場合、予後とそれに影響する要因を知ることが、とても役に立ちます。現実的な予測を設定することも重要です。期待値が高すぎると、それが達成されなかったときに失望することになりますし、低すぎると、それを取り組むモチベーションが低下し、成果が限定的になってしまいます。 それに関して何ができるのでしょうか? 健康やライフスタイル、エクササイズ、活動、自己管理など、私たちがお手伝いできることはたくさんあります。私が思うに、管理計画を効果的に作成するための手助けが断然不足しています。ここでもまた、これを治療と見なしてもらえるのかという疑問がありますね? 相手が知りたいことは何なのか? 実際に効果的な知識の伝達のためには、相手が何を知りたがっているのか、時間をかけて探ってみることが重要かもしれません。ただ情報を流すだけでは、重要な疑問が解決されないままになってしまうかもしれません。私たちが考えもしなかったこと、あるいは重要でないと思っていることで、他の人が抱いている疑問は非常に多くあります。もし、その人にとって重要なことであれば、私たちにとっても重要であるはずです! "あなたの問題で一番心配なことは何ですか?" "私に話しておきたい大きな悩みはありますか?" "この件で一番恐れていることは何ですか?" "私が今日お答えできる最も重要な質問は何でしょう?" 状況 私の友人であるJoletta Beltonが言うように、“生物学的、経歴的な意味”を持たせる必要があるのです。これが痛みの教育で大きく欠如していたことだったと私は思うのです。自動的にその人の話に溶け込めるわけではありません。パブで見知らぬ人が自分の人生について話しているときに、自分とは関係ない話をされているようなものです。自分のことばかり話す友人もそのひとつ例で、あなたはその場から逃げ出したくなるでしょう。 ですから、あなたの知識の伝達が、実際にその人とその人のストーリーに関連する形で行われるようにしてください。 失敗 私たちが役に立つと期待するものの中に成功しないものがあるのは、このためかもしれませんね? 例えば、何をすべきか、なぜそれをするのか、それがどのように役立つのかという知識がなければ、そのエクササイズは、その人とその人が抱える問題には関係がなくなってしまいますね? 私の失敗の多くは(プロとしての)、相手と治療哲学の点で一致しなかったことが原因だったと思います。私のビジョンと相手のビジョンが一致しないのは、私が、何を、なぜ、どのように、を‘教育’することができなかった、または失敗していたからかもしれません。 まとめ 教育 は治療です。 実際はどのような意味があるのか? たいていの人は常にセラピストからの情報を求めています。 教師のスタイルではなく、人中心で考えましょう。 何であるか?回復にどのぐらいの期間かかるのか?何ができるのか? 相手が知りたいことを見つけましょう。 状況に応じた情報を応用しましょう。

ベン・コーマック 3064字

筋限界に至るまでのトレーニングは更なる筋肥大につながるか? パート2/2

筋力強化に対する筋限界の効果は何か? 下記のトレーニング研究は、様々な異なるアプローチを用い、同じエクササイズを筋限界に至らぬよう(もしくは少々の疲労程度まで)行った量を適合させたグループと比較して、筋限界(もしくは単に重度の疲労)に至るまでエクササイズを行ったグループの筋力への影響について調査している。 イスキエルド (2006年) – 研究者たちは身体的に活発な42名の男性において、11週間に渡るレジスタンストレーニングと、それに続く5週間の全く同じ最大筋力及びパワートレーニングを、限界に至るまで行うこと、もしくは限界に至らぬよう行うことによる効果を評価した。最初の11週間の段階では、研究者は、両方のグループが1RMのベンチプレスとスクワットにおいて同等の向上を示し、スクワットの際の最大レップにおいて同等の向上を示したが、限界に至るまでトレーニングを行ったグループは、ベンチプレスの際の最大レップにおいてより大きな向上を示したということを発見した。しかしながら5週間のピーク段階では、限界にまで至らなかったグループが、下半身における下肢のより大きな筋出力を示し、ベンチプレスを行う際の最大レップにおいてもより大きな向上を示した。研究者たちは、限界に至るまでのトレーニングが筋持久力を高める可能性があるのに対し、限界にまで至らないトレーニングには最大筋力とパワーへの恩恵があるかもしれないと示唆している。 ドリンクウォーター (2006年) – 研究者たちは、エリートジュニアアスリートにおいて、6RMのベンチプレスと40キロでのベンチスローパワーに対する、レップの限界に至るまでのトレーニングの効果について評価した。2つのグループの被験者は、6週間に渡り週に3回のベンチプレストレーニングを同量行った。一方のグループは260秒毎に6レップを4セット行うことで、レップの限界に至るまでトレーニングを行い、他方のグループは113秒毎に3レップを8セット行うことにより、総合的には同量のレップ数ではあるが、限界にまでは至らぬようトレーニングを行った。研究者たちは、限界までトレーニングを行ったグループがレップの筋力とベンチスローのパワーの両方においてより大きな向上を示したことを発見した。 ロートン (2004年) – 研究者たちは、26名の男性エリートジュニアバスケ選手とサッカー選手における2つのトレーニング方法の影響について比較した。2つのグループにおいて被験者は、6週間に渡り6レップを4セット、もしくは3レップを8セットのベンチプレスを行った。より疲労度が大きかった6レップを4セット行ったグループは、3レップを8セット行ったグループ(4.9%)に比べ、6RMの筋力が著しく向上した(9.7%)が、パワーの向上に関しては2つのグループの間で著しい違いは無かった。 フォランド (2002年) – 研究者たちは、健康な23名の成人における2つのトレーニング方法の効果を比較した。一方のグループはセット間に30秒のレストを挟んで10レップを4セット(より大きな疲労のグループ)、他方のグループは各レップ間に30秒のレストをとりながら、40レップ(より少ない疲労のグループ)の両側ニーエクステンションマシーンを使用したトレーニングを、平均1RMの73%で週に3回行った。9週間に渡るトレーニングの後、研究者たちは、最大等尺性膝伸展筋力の測定において両方のグループで類似した向上が見られたということを発見した。 ルーニー (1994年) – 研究者たちは、量を適合させたプログラムの中において、42名の健康な被験者に対しセット内のレストが筋力に及ぼす影響を評価した。被験者たちは、レスト無しグループ、レストグループ、コントロールグループへと振り分けられた。2つのトレーニンググループは6週間に渡り、週に3回、6RMの負荷にて6-10回のカールを行うことにより上腕二頭筋のトレーニングを実施した。レスト無しグループは全てのレップをレスト無しで行い、レストグループは各レップ間に30秒のレストを入れた。研究者たちは、限界に至るまでトレーニングを行ったグループは著しく大幅な筋力の増加を示したと発見している。しかしコントロールグループと比較すると両方のトレーニンググループともに、筋力は増加していた。 ショット (1995年) – 研究者たちは、7名の被験者において、14週間に渡り週に3回、最大随意等尺性収縮(MVIC)の70%での、短く断続的な筋収縮(より少ない疲労のグループ)と長く継続的な筋収縮(より大きな疲労のグループ)という2つのタイプの等尺性ストレングストレーニングによる適応を比較した。右脚のトレーニングとして、各筋収縮の間に2秒のレストとセット間に2分のレストを入れた、3秒間の筋収縮が10回4セット行われ、左脚のトレーニングとして、セット間に1分のレストを入れた30秒の筋収縮が4セット行われた。研究者たちは、短い断続的な筋収縮よりも、長く継続的な筋収縮の方がより著しくMVICを向上させると発見した。 研究プロトコールと結果の評価基準のばらつきにより、結論を出すことは多少困難ではあるが、要約すると、限界まで至らぬよう(もしくはより少ない疲労)トレーニングを行った際に比べ、限界まで(もしくはより大きな疲労)トレーニングを行った際の方が、ほとんどの測定値において、その筋力は、より大幅に向上しているようである。しかしながら、全ての研究が全ての筋力の測定値に対してこれを示しているわけではない。例えばフォランド(2002年)は、2つのトレーニング方法においてMVICの筋力に差異はないと報告しており、イスキエルド(2006年)は1RMの筋力に関する限りでは違いはないと発見している。 加えてドリンクウォーター(2007年)は、4x6,8x3,もしくは12x3(セットxレップ)のベンチプレスを週に3回、6週間に渡りトレーニングを行った22名のチームスポーツ選手において、限界を超えたトレーニングが限界に至るまでのトレーニングよりも優れた結果を生み出すかどうかを評価した。8x3のプログラムと比較し、4x6のプログラムにはより長いインターバルが含まれており、12x3のプログラムにはより多いトレーニング量が含まれていた。ゆえにこれら両方のプログラムは、望ましいレップ数を完了するためにより多くの強制的なレップを行うようデザインされていた。研究者たちは、レップの限界には達したものの、追加の強制的なレップも追加のセット量も、基本の8x3のプログラムに比べ、更に大きな筋力の獲得へは繋がらなかったということを発見した。 *** 実践的な意義は何か? ストレングスアスリートに対して ストレングスのアスリートに対しては、限界に至るトレーニングを組み込むことが、より筋力の増加につながり得るという根拠のあるエビデンスがある。しかし、限界までのトレーニングは回復に影響を及ぼし得ることから、各アスリートにふさわしい限度内で慎重に使われるべきである。 ストレングスアスリートとボディビルダーに対しては、限界に至るトレーニングを組み込むことは、より大きな筋肥大につながる可能性があるといういくつからの限られたエビデンスがある。しかしながら、おそらくトレーニング量がより重要な要素であるため、筋限界は回復が確実に行われることができる範囲で使われるべきである。

ストレングス・コンディショニング・リサーチ 3185字

筋限界に至るまでのトレーニングは更なる筋肥大につながるか? パート1/2

限界に至るまでトレーニングを行うべきか否か、というフィットネス業界における大きな議論にもかかわらず、研究者たちはこの問題を十分に調査していない。実際に多くの人が信じてはいることとは裏腹に、限界(もしくは重度の疲労)に至るまでのトレーニングが筋力強化や筋肥大にとって望ましいかどうかということに関する、量を適合させた長期のトレーニングの研究は、非常に希である。下記のものは我々の知識の要約である。 背景 瞬間的な筋限界までのトレーニングは、フィットネス業界における一般的な概念であり、ほとんどのトレーニング中級、上級の人たちは、セットを行っている際に限界に近づいていることを本能的直感により感知する。また、多くのアスリートが定期的に限界に至るトレーニングを行っているが、パワーリフターやボディビルダーなどを含むかなりの割合の人たちは、ワークアウトにおいて常に限界に至るまで行っているわけではない。 しかしながら、ある一定期間のトレーニング後の筋力と筋肥大を調査した研究論文においては、一般的に全てのセットが限界に至るまで行われている。研究論文が伝えていることと、トレーニングを行う人達によって実際に行われているであろうことの間で矛盾が生じている。 それに加え上述の通り、一方のグループが限界までセットを行い、他方のグループが同量のプログラムを限界以前で行うという量を適合させたトレーニング方法の比較をした研究は希である。ゆえに、この短い総括には、これらの研究と量を適合させたプロトコールでの異なる疲労度合いの違いについて調査したものがいくつか含まれている。これは理想的ではないかもしれないが、より充実した全体像を提供しており、下記に詳細が述べられているサンドストラップ(2012年)の発見に基づいて、有効なものであると思われる。 幾人かの研究者と限界までトレーニングを行うことの支持者は、限界に至るまでトレーニング行うことは、全ての運動単位を動員するために必要であると提言しているが、研究者たちはその見解を十分に支持しているわけではない。サンドストラップ(2012年)は、限界に至るまで行われた15RMでの各レップにおけるラテラルレイズの筋電図活動を調査した。彼らは、筋活動のプラトーへは15RMの負荷での10-12レップで達するということを発見し、それは少なくともトレーニングを行っていない個人においては、全ての運動単位を完全に動員するために完全なる限界までトレーニングする必要はないということを意味すると解釈した。 *** 筋限界の筋肥大に対する効果は何か? 下記のトレーニング研究は、多様な異なる方法を用い、量を適合させた同じエクササイズを筋限界へ至らぬ程度まで行った(もしくはより少ない疲労)グループと比較し、筋限界(もしくは多大な疲労)までエクササイズを行ったグループの筋力に対する効果を調査している。 ゴトウ (2005年)は同量の大腿四頭筋のレジスタンストレーニングの組み合わせの中での、大腿四頭筋の筋肥大に対する限界の効果を調査した。各トレーニンググループが、ラットプルダウンとショルダープレスを10RMで3セットと、両脚でのニーエクステンションを10RMで5セット行ったが、一方のグループは、エクササイズ実行中にはレストを取らず、各エクササイズの間、及びセット間に1分のレストを入れ、もう一方のグループは1分のレストに加え、各セットの半分のところで、更に30秒のレストを取った。研究者たちは、セットの間にレストを入れたグループはレストを取らなかったグループに比べより少ない筋肥大を示しており、それは筋限界が筋肥大の重要な修正因子であるかもしれないということを示していると発見した。しかしながら、このような結果が起こった正確なメカニズムは明確ではない。 ショット (1995年) - 研究者たちは7名の被験者において、14週間に渡り週に3回、最大随意等尺性収縮(MVIC)の70%での、短く断続的な筋収縮(より少ない疲労グループ)と、長く継続的な筋収縮(より大きな疲労グループ)という2つのタイプの等尺性ストレングストレーニングによる適応を比較した。右脚のトレーニングとして、各筋収縮の間に2秒のレストとセット間に2分のレストを入れた、3秒間の筋収縮が10回4セット行われ、左脚のトレーニングとして、セット間に1分のレストを入れた30秒の筋収縮が4セット行われた。研究者たちは短く断続的な収縮よりも長く継続した収縮での方が、筋肉の断面積の増加が著しく大きいことを発見した。 研究の少なさにより結論を出すことは多少困難ではあるが、要約すると、限界まで至らないトレーニングに比べ、限界に至るトレーニングでは筋肥大に著しい向上がみられるようである。しかしながら筋肥大の追求において、より多くのトレーニング量をこなすことを支持するエビデンスがとても多く、トレーニングの量と筋力がたびたび互いに相反しているため、現在のエビデンスは、適切な回復が可能な範囲での筋限界を伴う、より多量のアプローチを支持しているようである。

ストレングス・コンディショニング・リサーチ 2198字

レジリエンス:それは何か、そしてなぜ回復にとって重要なのか? パート1/2

レジリエンスとはセラピストによってより多く使用されるようなった言葉であり、流行用語かもしれないと示唆する人もいるので、この複雑な題材について私の考えを述べていきたいと思います。私は長らくこのことをブログに書きたいと思っており、そこで私が苦労したのはその記事を気軽なものに留め、学術的にしすぎず、そして何よりも長すぎないようにしようとしたことです。私は、集めたレジリエンスについての研究と個人的な経験のバランスを取ろうとしてみました。 本題に行く前に、このブログで私が主張したい3つの主な論点があります。 まず、レジリエンスとは男らしく(または女らしく)あることではなく、また、単に頑張り続けることではありません。それは人生においてポジティブな影響を与える特定の行動、精神面や身体面の重要性を認識する柔軟で順応性のある状態なのです。 二つ目に、レジリエンスとはレジリエンスであるとないという2つのみからなる状態ではありません。それは内的および外的な要因のバランスによって私たちが行き来する連続体なのです。 三つ目に、レジリエンスとは人によって見え方や感じ方が違います。あなたがレジリエンスとみなすものは、あなたが関わっている人と同じではないかもしれません。 レジリエンスとは何か? レジリエンスはSturgeonによってここで次のように定義されています。 「著しい困難や難題にもかかわらずポジティブな身体および感情的な機能を維持すること」 したがって、レジリエンスとは身体面および心理面の両方におけることなのです。しかし、この二つを切り離さないことが重要です(痛みと同様に!)。身体的なことにおいて多くの場合でレジリエンスを表しますが、そのためには強力な心理的な構成要素が必要であり、多くの心理的な利益をももたらすのです。 これも良い記事です。 Karolyはここでレジリエンスを次の様に定義しています。 「ストレスの多い環境や内的な苦悩にさらされながらも効果的に機能する」 両方の定義は「機能」および「痛みにも関わらず」という言葉を用いています。 これは、レジリエンスを様々な人において全く異なってみえる、非常に個体差のあるものとします。私たちに対してレジリエンスを表すものが他の人に対しても同じだと推測するという間違いを犯してはいけません。 痛みは多くの人にとって間違いなくストレスの多い状況であり、そしてそれが私たちの機能を妨げる時に実に問題となります。しかし、痛みというストレス要因に注目することはこの問題の一部かもしれません。本質的に、レジリエンスとは痛みの問題ではなく機能の問題としてとらえられるべきです。痛みという、多くの人(患者とセラピスト)が注目しえるものではなく、機能の認識と関連が重要な焦点とならなくてはならない(私の見解では)ことから、これは重要な区分けなのです。 Sturgeonはこの様に述べています: 「慢性痛の様な慢性的なストレス要因をコントロールしようとすることは、多くの場合で非生産的であり、ストレス要因のネガティブな効果を深刻化させることもあるでしょう」 持続可能性 GoubertとTrompetterはここで持続可能性のコンセプトを紹介しています;これは次の様に定義されています: 「逆境の中でも人生のなかで長期的なポジティブな結果に向かって行動する能力」 持続可能性は、痛みそのものよりも痛みを持つ人を対象にします。機能の回復よりも先に痛みが引くことに注目することもあるかもしれませんが、私たちはこれをレジリエンスを介して機能することを最初のステップとして逆にとらえることができるでしょう。 リスク要因よりもポジティブな特性に目を向けるために、持続可能性のコンセプトは重要です。これは、病気よりも健康に焦点を当てるAntonovskyの健康生成論のアプローチ(このリンクより)に少し似ています。 レジリエンスをまとめると、それは痛みや痛みに耐えることよりも、より人と機能に関したことです(私の見解です)。どのような痛みやケガに取り組むこともレジリエンスのいくつかの要素を必要とします。最も起こりやすい痛々しい問題の一つである急性的な腰痛は、腰痛の治療の最初の選択が、活動的であり続け、通常の活動に取り組みましょうというアドバイスを伴う、レジリエンスの必要性を示すいい例となるでしょう(このリンクより)。 もしかしたら、最初のレジリエンスは、より頑固な痛みの状態への移行を仲介するのでしょうか? 適応性と柔軟性 レジリエンスとはレンガの壁のようにとらえられるべきではありません。レジリエンスのある人とは、ただ単にどんなストレス要因にも影響されない不感な岩のような人ではありません。それはタフネスのことではなく、柔軟に適応できる状態のことなのです。 それは全く逆かもしれません。レジリエンスのある人たちは助けを求めようとするのに対して、強く寡黙なタイプは外見ほどレジリエンスがなく、助けを求めることで弱くまたは傷つきやすく見えることができないかもしれません。レジリエンスとは、圧力弁を開けて過剰なものを解放し、ストレスを減らす、またはストレスの多い状況でバランスをもたらすものを見極めることでストレスを減少させる能力のことかもしれません 痛みの軽減vsレジリエンス 長い間、セラピーは痛みを軽減することに駆動され、そしてこれが人々がケアを求める理由となっていることに疑いの余地がない一方で、 人々は痛みが彼らの生活や機能を妨げているという理由でもケアを求めており、もしかしたらこの理由のほうが大きいのかもしれません。 このFerraraによる研究では、痛みの強度よりも身体的な障害がケアを求めるより大きな理由であることを発見しました(このリンクより)。 レジリエンスを理解するためには、私たちの患者の機能と、彼らが何をレジリエンスを表すための主なマーカーとしているかを理解することを理解しなければならないのかもしれません。一般的にVAS(視覚的アナログスケール)のスケールと筋力といった身体的な数値が医療の成功を計測するために用いられてきました。しかし、これらの数値は、重要な活動やその人にとってレジリエンスが意味するであろうことをとらえているでしょうか?おそらくそうではないでしょう。この研究は、医療的に計ることができるものに対する人々の実際の目標というこのような題目について注目しています(このリンクより)。 そこで人々がレジリエントであるように手助けをするための良い出発点は、彼らがレジリエンスをどのようにとらえて、効果的に機能することをどのように定義し、そしてどのように彼らの現在の状態と望む状態の溝を埋めるかということを見つけ出すことでしょう。

ベン・コーマック 2873字

痛みからパフォーマンスへ

(フィットネストレーニングへの回帰のためのフィットネスコーチのガイド) イントロ クライアントやアスリートが怪我をしたとき、あるいは怪我をしてやってきたときの手順を決めていますか?あなたはパーソナルトレーナーとして、目標に向けたトレーニングに影響を与えないようにと、単に痛いことを避けていませんか? フィットネスコーチとして、それが、たとえ他の適切な専門家に紹介することだとしても、人々の問題の解決策を見つけることが私たちの責任です。もしあなたが、痛みを抱えたクライアントに対する手順を持っていないのであれば、このガイドを読めば必ず始められるでしょう。このような手順が整っていることは、絶対に譲れないことです。 私たちはヘルス&フィットネス業界にいることを忘れないでください...フィットネスの前に健康があります。 タイムライン まず最初に見る必要があるのは、その人が痛みからパフォーマンスへのタイムラインのどの位置にいるかということです。以下のアウトラインは、ある人が経験するであろう様々な段階を示す基本的な観点です。彼らが、このタイムラインのどこに位置するかで、どの程度リスクが高いか、どの健康専門職との連携が必要なのか、ワークアウトトレーニングの焦点は何かが決まります。 怪我をして障害がある:エクササイズや日常業務が実行できない。 炎症性または神経性の痛み:関節や筋肉の痛みが出たり消えたりするので、定期的にジムを休んでいる。 大したことはないがなかなか治らない痛み:関節や筋肉の痛みに悩まされ、ジムに通うのをためらうけれど通うことはできる。 機能不全の動作パターン:痛みはないが、すぐに怪我につながりそうな動きをしている。 パフォーマンスを上げるためのトレーニング:怪我もなく、機能不全の動きも最小限。パフォーマンスのためのトレーニングができる。 最悪のケースから始めると、怪我による障害で、痛みの解決策が見つけられておらず、ジムを休んだり、生活に影響を与えたりしている人です。日常生活での作業が苦痛であったり、完全に不可能であったりします。これはフィットネスコーチとしての業務範囲を大きく逸脱しているため、適切な専門家を紹介する必要があります。 タイムラインの次は、神経痛や炎症性の痛みを感じているものです。このタイプの痛みは、肉体労働から完全な休養まで、常にその間を行ったり来たりします。これもまだフィットネス業界の業務範囲外ですが、あなた自身の専門分野によっては、連携する健康専門職と連携して、ジムへの復帰の道筋を計画するようになるかもしれません。 炎症がひどくなったり、神経が痛んだりする前に、クライアントは、大したことはないが気になる痛み、ちょっとした挟まる感覚、硬さ、ちょっとした挟まるような感じ、詰まるような感じを経験するかもしれません。痛みはフラストレーションを引き起こしますが、必ずしも一日のうちで時間を作って直すほどの痛みとは限りません。これは通常、抗炎症剤の服用、ジムの小休止、特定の動作の回避、マッサージセラピーのセッションなどで対処されます。フィットネス業界では最も多く見られる段階です。 何らかの不快な痛みが実際に発生する前に、動作に機能不全があることに気づくかもしれません。これらの動作機能不全は、痛くはないのですが、テクニックが悪いように見えます。 これらは、エクササイズを難しくし、関節に過度の負担をかけ、クライアントのフィットネスゴールを達成することを難しくしてしまいます。 最後に、痛みがなく、動作パターンが技術的な規範の範囲内にある場合、ワークアウトはパフォーマンスまたは結果に焦点を当てたものになります。これは、ほとんどの人がそうなりたいけれど、まだなっていないところです。 専門職 この10年間、フィットネス業界を観察していると、重要なステップを飛ばし、人々がジムに通い始める時の状態がどうなのかをほとんど無視しているように思います。フィットネス業界の業務範囲では、私たちは「健康な対象者を想定して」指導しているとされていますが、これは、より低い基準のエントリーレベルの資格を認め、あらゆるリスク(どんなに予測可能で予防可能でも)をクライアントやアスリートに押し付けるものです。 より良いサービスを提供するために、フィットネスに向かう各段階において、どのような健康専門職と協力すべきかを考えてみましょう。 怪我をして障害がある:外科医、理学療法士 炎症性または神経性の痛み:外科医、理学療法士、運動生理学者 大したことはないがなかなか治らない痛み:理学療法士、運動生理学者、スペシャリストストレングスコーチ、マッサージセラピスト 機能不全の動作パターン:運動生理学者、運動科学者、スペシャリストストレングスコーチ、マッサージセラピスト パフォーマンスを上げるためのトレーニング:スペシャリストストレングスコーチ、一般ジム/フィットネスコーチ 怪我をして身体が不自由な場合は、外科医や理学療法士が主にその人の治療にあたります。より高いレベルの力を発揮する前に、通常の日常生活に戻れるようにする必要があるのです。 炎症性疼痛や神経痛のある方は(診断によっては)外科医、理学療法士、あるいは運動科学者や生理学者と連携することになります。 クライアントが関節の大したことはないけれどなかなか治らない痛みや軟部組織の損傷を解決する場合、その問題はほとんどの場合、ジムで修復されるか、クリニックとジムの組み合わせで修復されるでしょう。この段階では、理学療法士やマッサージセラピスト、リハビリ専門のストレングスコーチや動作回復コーチなどの専門家の協力が必要になることがほとんどでしょう。 もし誰かが、怪我のリスクが高いことを示す機能不全の動作パターンを提示した場合、大したことはないけれどなかなか治らない痛みの提示との主な違いは、痛みそのものでしょう。このクライアントに携わる専門家は、ほとんどがスペシャリストストレングスコーチ、運動科学者、マッサージセラピスト(臨床的介入はほとんどない)でしょう。 クライアントが痛みや機能不全の動きを見せなければ、かなり自由に誰とでも仕事ができますし、一般のジム/フィットネスコーチにもより向いています。 トレーニングの焦点 これらの段階には、ジムやクリニックでトレーニングする際の特定のフォーカス、または意図があります。 ステップを飛ばしたり、急いだりすると、クライアントがタイムライン上で間違った方向に進んでしまう可能性があります。 怪我をして障害がある:非常に専門的なリハビリを行い、軽負荷から無負荷、回復に重点を置いている。 炎症性または神経性の痛み:非常に専門的なリハビリ、40%未満の負荷、広範囲なウォームアップ、ワークアウトはウォームアップの小さな延長に過ぎない。 大したことはないがなかなか治らない痛み:コレクティブエクササイズに特化したワークアウトにマッチした特別なウォームアップを行う。負荷と強度は痛みによって決定される。 機能不全の動作パターン:コレクティブエクササイズに特化したワークアウトにマッチした特別なウォームアップを行う。負荷と強度は、正しい技術によって決定される。 パフォーマンスを上げるためのトレーニング:一般的な、非特異的なウォームアップ。ゴールやパフォーマンス重視のワークアウト。回復に大きく注目する。 怪我で休んでいるときは、トレーニングの焦点はあくまでリハビリ、低負荷、低強度で、痛みなく、最小限の代償で日常生活動作に戻ることを目指します。 炎症性疼痛や神経痛は、上記と同様に低負荷・低強度です。ワークアウトは、ジムスタイルの設定の場合、非常に広範なリハビリのウォームアップからのちょっとした延長線上にあるものになります。 大したことはないけれどなかなか治らない痛みを抱えるクライアントには、コレクティブの強化やモビリティワークアウトに完璧に合致する、長くよく考えられたコレクティブ重視のウォームアップを行います。処方されるすべての運動には、痛みを回復させ、より強い運動パターンを回復させる意図があります。 痛みがなくても、明らかな動きの偏位がある場合、従来のワークアウトを思わせるようなワークアウトになるでしょう。 しかし、ウォームアップもワークアウトも、パフォーマンスの結果を追求するよりも、より強い動作パターンを回復させることに重きを置いています。フィットネスへと進むこの段階では、どの動作がコレクティブエクササイズを必要とし、どの動作がパフォーマンスのために駆動できるかを分けることができます。例えば、肩のパターンが悪く、注意が必要な人がいれば、パフォーマンスの成果のために下半身のエクササイズを処方することができるのです。 しかし、パフォーマンスのためのトレーニングは誰もが望むところであり、すべての痛みのポイントがクリアになり、動作パターンが技術的な規範に近づけば、このスタイルのトレーニングが可能になります。ウォームアップは、パフォーマンスや目標の成果に向けて駆動するワークアウトで、非常に基本的でダイナミックな印象です。ここから怪我をしないためには、回復の方法、適切な運動処方、健康的な食事と生活習慣が重要です。 結論 フィットネス業界は今、大きな転換期を迎えようとしています。私たちの消費者は、想像を絶する激しいトレーニングで最高のパフォーマンスを発揮したいと望んでいますが、販売されているフィットネスシステムが持続可能でないことに気づいています。フィットネス業界はこれまで、「痛みは身体から外に出ていく弱点」という考え方で、「壊れるまで鍛える」という文化を育んできました。 その結果、ジム通いの人たちは、実際に怪我をしてジムの会員権を解約して理学療法士や外科医に診てもらうまで、痛みを無視するようになりました。 人間の動きのパターンの変化を評価するシステムを導入することで、その変化を早期に察知することができ、「リハビリ」のように見えることなく、プログラムを「コレクティブに」変化させることができるのです。人々が壊れてしまうまで壊れているように感じさせるのではなく、これがベターな選択だと思います。「大したことはないけれどなかなか治らない痛み」や「機能不全の動き」の段階を飛ばしたり無視したりせず、評価プロトコルと、クライアントの現在の状態に合わせてフィットネスプログラムを適応させるシステムを持ってください。そうすれば、一生涯の顧客と、他の誰も受け取らないような証言を得ることができると約束します。

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