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プレイリスト 8 コンテンツ
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エビデンスベースの実践とは

臨床の現場でまず初めに考える必要のある、エビデンスベースの実践とは具体的に何なのか?について、臨床に於いて必要な評価方法とゴール設定について、そして臨床の現場において最も重要なことである患者との関係構築についてのコンテンツを選択したプレイリストです。理学療法士の皆さん、沢山あるコンテンツのどこからスタートしようか?と迷ったら、まずはこのプレイリストをチェックしてください。

リハビリテーション

エビデンスベースによる実践を取り入れる最善な方法

過去20年ほどの間、私たちの専門分野は、エビデンスベースによる実践へ向け大きな発展を遂げました。私たちの身体に関する理解と専門分野の基になる原理が拡充するにつれ、最善のサービスを可能な限り迅速にかつ安全に提供するために、私たちのエクササイズや徒手療法においてエビデンスを求めることは必須事項です。 しかしながら、エビデンスベースによる実践に対して行き過ぎた傾向も見受けられ、私にはその良し悪しはわかりません。非常に多くの人達が、あるテクニックについて単にそのテクニックの効能を示唆するエビデンスが十分にないために反論しているように感じます。 私たちはこのような「エビデンスがもたらすマヒ」状態という、効果的であるという強固なエビデンスがなければ何もできないと、一部の人々が考える状況を作り出してしまいました。このアプローチはとても難しく、結局のところ現実的ではありません。 エビデンスベースによる実践とは何か? 一部の人たちは、エビデンスベースによる実践の3つの構成要素を忘れてしまっている、とソーシャルメディア上で何度も感じています: 入手可能な最良のエビデンス 臨床医による経験、知識、技法 患者の要求とニーズ ご覧の通り、「入手可能な最良のエビデンス」はエビデンスベースによる実践の構成要素の一つにすぎません。 特に理学療法の世界において、私たちは、患者が「楽になりたい」というもともとの理由に対する治療を提供する代わりに、入手可能な最良のエビデンスのみに基づいた「エビデンスベースの理学療法」を患者に押し付けていることが、数多くあります。これは、薬事的な効果と潜在的に重大な副作用を伴うような状況のことではなく、最良であれば人々を楽にし、最悪でも何も起こらないという、私たちのエクササイズと徒手療法のテクニックのことについて話しています。 批判を始める前に、まずこの記事の続きを読んでみてください。どんな時でもエビデンスをベースに実践を行うべきです。 しかしながら、もしエビデンスが十分にない場合はどうしますか? エビデンスベースによる実践の信号システム 私が、学生や若い臨床医に、エビデンスベースによる実践を取り入れる方法を教えるとき、まずエビデンスベースによる実践の信号システム、と私が呼ぶものについて、いつも話し始めていきます。このシステムを用いることによって、どのテクニックを絶対に使うべきか、または使わないべきかを即時に明確にすることができます。 赤信号=ストップ もし質の高いランダム化比較試験による強固なエビデンスが、安全性の問題や効能の欠如を示唆しているのであれば、より有益な他の方法を見つけるべきでしょう。 黄信号=注意をもって実施する 評価する効果について相反する情報がある、または質の高い研究が不十分であれば、実施に慎重にならなければなりません。このようなシナリオでは、おそらく、効能を示した質の低い研究(ケーススタディや強固な方法論が欠けた研究等)、あるいは研究結果において、効能の有無についてのどちらかへの傾向が見られず矛盾する報告があるのでしょう。 青信号=実施する もし、質の高いランダム化比較試験による強固なエビデンスによって効能が示唆されているのであれば、問題なくこの方法をエビデンスベースと正当化して使用できます。 論議されているテクニックに関した入手可能なエビデンスを探すために、発表されている治療ガイドライン、APTA(アメリカ理学療法士協会)のエビデンスベースによる実践のウェブサイト、及び自身でのPubMed上の文献調査を含む多くの良いリソースがあります。 エビデンスベースによる実践を取り入れる方法 残念なことに、私たちのテクニック、評価、エクササイズや他のアプローチのほとんどは、エビデンスベースの信号システムのどこに当てはまると思いますか? 黄色です。 私たちが行っている全てのことを評価するための、しっかりと管理された研究を計画することはとても難しいことです。「肩の痛み」や「膝蓋大腿部の痛み」などに基づいて被験者をグループ分けすることに問題が見受けられることもよくあります。これらはとても広義で、介入の効能を評価することは疑いもなく難しいものになるでしょう。また、この逆はどうでしょうか?ある特定の疾患に対する「マッサージ」を検証する研究です。どのように「マッサージ」を定義しますか?私とあなたのやり方は同じですか? エビデンスが十分にない、またはいうことは効果がある、またはないことを示唆する、相反するエビデンスがあることが、多くあるでしょう。このようなシナリオでは、理にかなった理論的な原理または経験によって、自分自身で判断しなくてはなりません。 それが秘訣なのです。理にかなった理論的な原理とあなたの経験が。 もし、あなた自身に十分な経験がないのであれば、専門の臨床医の経験を頼るのもよいと思います。ただ、あなたをエキスパートにするのは、ソーシャルメディア上のフォローワー数ではなく、経験であるということを理解しなくてはなりません。しかし、誰かが彼らの経験上ある方法が有効だから、という理由のみで、実施するには十分と考えてはいけません。あなた自身の経験をもとに、あなた自身の手で、その方法を徹底的に調べるべきです。 新たな研究が行われ、エビデンスが入手できるようになるにつれて、エビデンスによる私たちの現行の理解度を基に、あなたは継続的にテクニックを洗練する必要があるでしょう。 青信号の原理に則って行うことを基本としましょう。しかし、同時に、すべてのことが青信号の範囲になければいけないと思わなくても大丈夫です。黄信号の範囲に属するようなテクニックでも、それが理にかなった理論的な原理とあなたの経験によって実用的な結果を示せば取り入れてみましょう。

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目標設定−もし評価していなければ、推測しているだけ!

リハビリテーションの更なる個別化、患者中心化、関連化、有意義化に関する多くの議論と発表された研究とともに、治療関係と結果の向上の手助けをする:このブログにおいて、私がその実現のための重要なポイントの一つだと信じていることである目標設定!に重点を置こうと考えました。これは恐らく、生体力学に関する記事ほど魅力的ではないかもしれませんが、同等に重要なことです。 ‘もしあなたが評価していなければ、推測しているだけ’というのは、かなりつまらない表現で、ほとんどの場合のように、使用される評価がかなりくだらないものでもありえますが、私はリハビリテーションの目標がくだらないとは思っていません! つまり、もしあなたがその個人の要求、あるいは必要性を知らないのであれば、一体どのようにケアを個別化するのですか!時折、目標は明確に定義されるでしょうが、そうでなければ、より深く掘り下げることが必要とされ、具体的な事が何もなく、ただ痛みの無い状態にすることで十分かもしれません。リハビリテーションにおける数多くの事のように、恐らく、目標設定はかなり単純なものから非常に複雑なものまで広範囲に存在しますが、ある人達にとって、彼等が望む事に関して、少しでも多くの事を見つけることは大事なことかもしれず、また、意欲、焦点、方向性を提供することもできます。今までに、これらのことを欠いた患者に携わったことがありますか?? 人々の目標を見つけることは、常に型通りの質問を通してだけではなく、一般的なコミュニケーション通して起こるかもしれません。傷害の既往歴を聞き取る時によく起こる事ですが、形式的な質問では、サメに脚を噛み切られた時のことに関してあなたに言い忘れていて、エクササイズ中に何気なく話したりしますね。 治療中に使用される従来の測定はしばしば、目標、あるいはその目標が達成されているのかどうかを捉えられていません。この研究論文*ここをクリックしてください*は、対象者27名において、痛み、筋力、関節可動域に関する従来の測定とは無関係な個人目標を発見しており、従来の臨床転帰の測定は、治療が患者にとって意味のある達成であるか否かを捉えていないかもしれないということを示唆しています。これはまた、無痛状態にある事は臨床転帰にとって十分なのかどうかと言うことを問いかけてもいます。私達は、痛みが発生する好きな行動を避けることによって、無痛状態のままでいることが可能かもしれませんが、これは成功した回復なのでしょうか?もし痛みだけが測定されているのであれば、成功した回復と言えるでしょう! 身体的観点 いかなる優れた運動プログラムにも、彼らが望む活動の要求を考慮に入れたニーズの分析の要素、そして、リハビリテーションプログラムを通して、これを達成する方法の要素があるはずです。ある人達、特に現在、運動不足の人達にとっては、基本的なエクササイズプログラムでも十分すぎるかもしれません。その他の人達にとって、彼等のニーズは、明確に定義された活動、スポーツ、あるいは問題のある動作に関して、より具体的であるかもしれません。 効果的な個別化された治療は、より一般的なものと特有のもの融合である可能性が多く、リハビリテーションの様々な段階で変化するかもしれません。私達は、方向転換の無いACLのリハビリテーション、あるいは高速ランニングまたは伸長性収縮の無いハムストリングスのリハビリテーションを示唆するでしょうか?これらの要素は、これらのタイプの傷害が頻繁に発生し、競技復帰を必要とするスポーツのニーズに対して特異的です。潜在的に、私達はこれらタイプの傷害を、機能性がしばしば痛み自身に対して二次的なものとして見られる持続性の痛みとは異なる観点から見る可能性があり、競技復帰のような目標はそれほど明確に定義されていません。目標設定は、他の全てと同様に、全員に必須とされているわけではありません。ランナーにおいては、目標設定は必要なプロセスではないかもしれません。ランニング自体がゴールであることを知っていて、全身の筋力強化からより具体的なランニング技術にまで及ぶ、多くのことを行うかもしれません。 荷重耐性のような基本的なことは恐らく、動作やその動作が行われる方法においてある程度特異的でしょう。脊柱屈曲と腰痛を考えてみてください。これは、子供を抱き上げることや靴下を履くのに悪戦苦闘している人達にとっては非常に重要かもしれません。そして、それらが実際、彼等の目標であり、ただ痛みが無くなる事よりもはるかに回復を表している可能性があります。私達は、耐性や自信を築くために段階的アプローチをとる、あるいは、その代わりに屈曲回避を試みようとするかもしれません。両方とも痛みを軽減するかもしれませんが、障害を減らし、機能を回復し、恐怖を和らげてくれるかもしれないのは、前者のアプローチのみでしょう。屈曲や捻転のような動作を回避するというアドバイスは、腰椎の屈曲・捻転を数多く行っても腰椎変性の罹患率を示していない人達にとって事実に基づいていないことかもしれません*ここをクリックしてください*。 これら全ての変数は関連していて、個人的に認識された目標に関するリハビリテーションの特定の身体的側面によって少し異なるかもしれません。 負荷 姿勢 速度/力 環境 時間 目的 心理社会的観点 私達はまた、身体的要素はプロセスのほんの一部に過ぎないということを忘れてはいけません。どのような根拠に基づいていても、もしエクササイズが最初に行われなければ、それは冗長要素になってしまいます。私達は、いかに治療が多くの人達に作用するのかをはっきりと理解できておらず、正しい割合はいまだに身体的な部分に関して特異的ではないかもしれないため、行動において、あるいは説明において、時間をかけて特定の目標を探り、エクササイズプログラムをその特定の目標と関連付けることは、恐らく価値ある試みでしょう。この最近の研究論文*ここをクリックしてください*では、目標設定はエクササイズプログラムの順守を向上させるための効果的な方法であるということが発見されましたが、より多くのデータが必要であると注意されています。この研究論文*ここをクリックしてください*もまた、目標設定によって順守が向上することを示しています。 これを心理社会的観点から見るならば;人によっては、それが実際に彼等の個人的な目標に関連する何かであれば、心地よく感じたり、あるいはそれを行いたくなる傾向にあるかもしれません。患者中心のケアを通して、治療を個人向けにすることは、治療結果を向上させる治療家と患者間における相互関係の特徴であると示されています*ここをクリックしてください*&*ここをクリックしてください*。目標はしばしば患者の優先傾向も示し、それを考慮に入れることは、結果に良い影響を及ぼすということが示されています。 回復への重要な予後因子の一つとして、誰かの回復に対する予測された期待のように*ここをクリックしてください*、期待を向上させることに関連する全てのことはまた、治療結果を向上させる可能性があります。私は、個人の治療目標をはっきりと明示することと、お互いに同意した回復への指針を作成することが結果に良い影響を与えることを主張します。これはまた、目標に到達するための計画を立てることを通して得られる自己効力感と、内面的な制御部位を作り出すことの両方に影響を与えるかもしれません。そして、これら二つの事は、高い確率でリハビリテーションプログラムを成功裏に達成するために重要なのです。この研究論文*ここをクリックしてください*は、目標設定が自己効力感とパフォーマンスの両方に関連がある事を発見しました。 たとえ介入自体がかなり一般的な性質のものsであったとしても、なぜあなたがそれを行っているのか、どのように目標を達成する手助けをするのかに関する簡単明瞭な説明は、恐らく、あなたのリハビリテーションの選択に対する患者の認識を向上させるでしょう。 質問時間 第一に、私達は彼等の目標が何であるのかを明らかにし、下記のような質問をするかもしれません: 問題が、あなたが本当に楽しみたいことを妨げていると感じるのは具体的にどのようなことですか? 日常生活の中で、痛みがあることで実行の妨げになる何かがありますか?それによってどのように感じますか? あなたが避けている特定の活動がありますか? もし痛みが問題でなければ、あなたは何をしますか? 患者特有の機能的尺度*ここをクリックしてください*のようなツールが、より正式に確認し、目標を数値化するのに良い方法かもしれません。 賢くありなさい 目標が明確になった後、目標設定への SMARTアプローチの利用もまた目標に磨きをかける手助けになるかもしれません。その後目標達成プロセスを観察してください。 具体的に 目標は、小さく、そして明確な定義を保ってください。大きすぎる目標は、測定しづらく、達成が難しいのです。 測定可能 目標を達成したかどうか、いかにしてわかりますか?これは 視覚的アナログ尺度(VAS)、あるいは、設定された目標を達成したのかどうかを図るための“はい・いいえ”のような単純な二進法のような尺度の使用によって行えるかもしれません。 達成可能 目標は大きいものではなく小さくあるべきで、全体的な大きな目標と短期間で達成可能な小さな目標に分割されます。 大きな目標は数多くの小さな目標の総和ですが、小さな目標は時間と共に変化するかもしれません。 小さな目標が達成される際のドーパミン報酬系の活性化は、人々のやる気を保つ‘満足感を与える’要因を作り出すのかもしれません。 現実的 目標は非現実的で、それ故に達成不可能にもなりえます。治療から最良の結果を得る傾向がある人達は、現実的な目標を持っています。これらは、治療家と患者の間で管理・協議されています*ここをクリックしてください*。 時間に的を絞る 目標を達成する期限を設定することが重要です。このことが目標を追跡可能にし、週毎の説明責任に影響を及ぼします。 やってみましょう!試してみてください!

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エビデンスベースの実践

エビデンスベースの実践という言葉を聞くことも多くなってきていますが、これは実際のところ何を意味するのでしょうか?リサーチの結果に基づいていればエビデンスベースである、とは言い切れないのではないか?と提案するスー・ファルソニのビデオをご覧ください。

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全ては評価次第

しばしば引用されるように、“評価をしなければ、あなたは推測しているに過ぎない”のです。今回のブログは、全て“仮定”に関するものです。 フィットネス業界において、私達はしばしば、機能障害の一つのタイプが他の機能障害を引き起こす、あるいはある姿勢を作り出すと思い込んでしまうという罪を犯しています。私は、間違いなく、人々の運動と運動機能障害に傾向とパターンが存在すると信じていますが、それらが真実であると信じ始める時が、クライアントや患者を失望させ始めている時なのです。 私はしばしば、身体の一部分をただみることで驚くべきことが分かると唄っている人々の宣伝文句を目にします。私が長年にわたって身体の問題に取り組んできて、学んだことの一つは、身体は、人が想像するよりも多くの、機能障害を代償するための方法を持っているということです。私は、身体のそれぞれの部位で、正確に何が起こっているのかを知るために、綿密なテストで推測を裏付けることに、いつも時間を掛けています。私がとても尊敬する人は、膨大な数の推測を立てますが、それらが正しいと証明することに従事しています。彼は、綿密なテストを通して、それを行うのです。もし間違いが証明されたのなら、次の推測へと移りますが、それを事実として証明することなしに、推測の段階のままにしておくようなことは決してしません。 もう一つ昔から良くあるのは、慢性障害について聞くと、筋肉のせいにしてしまうことです。“それは、ハムストリングスです”や、関節動作“背屈”は私が気にいっているものです。私はしばしば、運動歴に関して聞く際に、その人が問題を抱えている理由に関する事柄を考え、それが正しいと証明されたことも、間違っていたことも何度もありました。私は、評価を通してこれを行っています。 スポーツ傷害に取り組んでいる人が持ち得る、道具箱の中の最大の道具は、機能に基づいた、確かな評価プロセスです。これは、私達の技術の全てを使うための基盤となります。組織を治療するとして、症状に注目しますか?多くの場合、傷害部位は、発生源から遠く離れています。大胆に言えば、実際、連鎖の中でより良く機能している関節ほど、しばしば被害を受けている関節なのです。、症状のみの治療のアプローチをとることが、慢性の問題が慢性にしてしまうのです。痛いところを指し示すことは簡単です。難しい部分は、組織が痛む理由を正確に見つけるための評価方法を持つことです。通常、問題になっている関節の上下に目をやる必要があり、多くの場合、痛みを発生させている両端が問題である可能性があります。それを知るためのたった一つの方法は、テストをすることであって、推測することではありません。

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すべての患者やクライアントに共通して行うべきこと

私のセミナーに参加される方から、よく聞かれることがある。「あなたが行っている事の中で、最も効果が出ると思われることをひとつ挙げるとしたら何ですか?」。なんと悩ましい質問であろう。そんな手品のようなテクニックを皆さんに教えられるほど単純であればよいのだが。数ヶ月間この問題を考え続けて、その答えをポストに書こうと計画してきた。この質問に対してどのように回答したいかを考えつくのに時間がかかったが、やっと答えが見つかった気がする。 私の行っていることで最も効果的なこと 私の行っていることで最も効果的だといえることは、恐らく私達皆が、全てのひとに対してするべきことだと思う。それはストレッチでもなければ、エクササイズでもない。最新式の流行の器具でもなければ、最先端の徒手テクニックでもない。あまりにも単純すぎて、答えを見つけるまでに時間がかかってしまったこと。それは、評価と再評価である。 適切な評価と再評価こそが、すべての患者またはクライアントにできる最良のことである。患者やクライアントに何が必要で何が効果的なのか、その個人を理解することがカギとなる。すべてはまず適切な評価から始まる。それから治療やトレーニング、その後、再評価が必要である。患者やクライアントを施術する際には、毎回この評価を行うこと。セッション中何回行っても構わないであろう。 まず、“主な愁訴は何か?”をたずねる。評価し、それを定量化し、治療し、再評価する。 この単純な概念には、大きな意味がある。最も単純なレベルでは、たとえば、体重減少を目指しているクライアントを指導しているにもかかわらず、体重を計測していなかったとすれば、何に効果があり何に効果がなかったのか知ることができるのであろうか?その場合、どれぐらい改善しているのかどのようにして知ることができるのであろう? 臨床医には、たとえば可動域、関節可動性、筋力、柔軟性など、他にも多くの評価方法と検査手段がある。しかし、これらの評価は患者にとって、ちぐはぐな定規に過ぎない。実際、患者は可動域が10°増えようが増えまいが気にしてはいない。彼らは単に快適に動けてパフォーマンスを向上したいだけなのである。 「肩が痛いんですね。どんな時に痛みますか?同じ痛みを再現できるような動きをしてもらえますか? いいですね」。と、ここで、今後再評価するための基準となる指標を設定したことになる。誤解してほしくないが、客観的な指標も必要ではあるのだが、ここでは実際に患者が感じていることを基準としての基礎的な評価を得ているのである。 FMSとSFMAのような手段が有用である理由がここにあるわけだ。動きを評価する体系的な方法である。評価に限度があるフィットネス界では特に必要だ。動きの質や主観的な感じ方を定量化すれば、その後の変化を測定することができる。 最終的に、これは必ずと言ってよいほどよい結果をもたらすことが多い。単に治療やエクササイズを適用し、効果がありますようにと祈るよりも、何で効果が出るのかを評価し、必要に応じて調節すればよいのである。 評価と再評価 では、どのようにすればよいのだろうか?悪い例として、背中が痛いと訴えているクライアントをすぐにマッサージテーブルに乗せて施術し始め、いくつかのマッサージ・テクニックやエクササイズに飛びついて処方するのでは、何の評価もなしに治療をしていることになる。評価もなく治療のみで、どうやって再評価をするのだろうか?痛みを基準にしてよいのであろうか?痛みはたいてい最良の評価にはならない。 より良い例は、いつ背中が痛くなり、どのように痛いのかを評価することかもしれない。どのような動きで問題が発生するのか?どのような動きに制限があるのか?そうした上で施術をし、いま観察した動きを再評価する。その患者が立ち上がり動いてみたとき「すごい、つま先に手がとどくようになった。効きますね。」と言った場合、いたって単純ではあるが説得力がある。 私が先日評価した患者を例に挙げよう。彼は左中背部と肋骨に放散する痛みを訴えていた。総合評価をしたが、ここでは重要な項目の追跡とアウトラインのみ紹介する。彼の愁訴は痛みだった。症状を軽減するためにその部位のみの治療を始める、つまり「痛みを追いかける」こともできたが、私の主な焦点は、彼の複数分節においての左回旋制限にあった。 複数分節の回旋といっても充分ではないので、詳細を調べてみた。胸椎の左回旋の動きが中程度減少していた。症状のあるその部位だけを治療することもできたが、さらに慎重に観察した結果、関節の可動性には問題がないものの、骨盤が左前方への傾斜をともなう変位を起こしていた。つまり彼の骨盤全体と仙腸関節は右回旋していたのである。それに伴って腰椎もやや右回旋位になっていたので、彼の「正中位」は、実際やや右に回旋していたわけである。結果、左回旋制限という所見になってしまった。 まずは胸椎モビリティ・エクササイズで評価しようと思い、胸椎のチェックからスタートしてみた。胸椎が何パーセント問題に関与しているかを調べ、軟部組織と関節可動性、そしていくつかの胸椎モビリゼーション・コレクティブ・エクササイズに取り組んだ。この時点の再評価で、胸椎の左回旋にかなり大きな改善が見られた。ここで終了することもできたが、さらに複数分節における左回旋をチェックしたところ、約50%しか左回旋が改善していなかった。 ここで治療を終了してしまっていたら彼の機能不全の半分しか回復させてあげられず、活動を始めればすぐにまた前の状態に戻ってしまっていたかもしれない。 次に骨盤に取り組んだ。いくつかのエクササイズと徒手療法で骨盤の配列を整えた。胸椎と複数分節の回旋を再評価した結果、正常な左右対称の動きが戻り、必然的に彼が訴えていた痛みの軽減に繋がった。 これが評価と再評価のパワーである。セッション中に、一度だけではなく幾度も繰り返し行うことにより、それぞれのテクニックの有効性を、可能な限り絞り込むことができる。 再評価のパワー 以上のことは、私がどのように評価と再評価によって問題を絞り込み、治療の向上を図ったのかを紹介する良い一例である。重要なポイントを下記にまとめると: 患者やクライアント各人に対して、何がどのくらい有効であるかを見極めることができる。これは簡単な概念であり、実施直後に改善が見られたならば、その時行ったことと直接関連付けることができる。 その個人に有効でないものを見つけることができる。 これは軽視されがちだが、適切な評価と再評価を行うことで、効果の低いものが分かってくる。有効な方法を見つけるのと同様の価値のある手順で、有効でないことが分かればアプローチの方法を切り替えればよいだけである。 診断に繋げることができる。 何が有効で何が有効でないかを評価しながら、機能障害を正確に鑑別できる。胸椎の回旋制限は関節の可動性の問題ではなく、軟部組織に起因するものであるかもしれない。 患者やクライアントから信頼を得ることができる。 最後になったが、最も重要なこととして、評価と再評価によって患者から信任、信頼、コンプライアンスを得ることができる。行ったことによる改善を、即座に患者自身が体験するからである。

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クライアントが嫌う6つのこと パート1/2

経験を通してしかできないことに対して、何年もかけて考えを蓄積していくというのは面白いことです。古くからある言い草で「今ならわかることをあの時わかっていたら」というのは、まさにその通りでしょう。私はよく、自分が昔やっていたことをおかしく思い、クライアントに、当時の私が経験不足だったことを伝えます。先日、チャンピオン(著者が運営するトレーニング施設)で学んでいる学生とこのような会話をしていて、これはキャリアの発展における通常の過程であると思いました。 自分の個人的な経験を振り返り、治療やトレーニングに反映するのに加えて、クライアントが伝えてくれる、彼らの過去に関わった他の専門家達との経験から学べることもたくさんあります。 私は、過去に他のヘルスケアやフィットネスの専門家を試してみて、何らかの理由で、望んだ結果を達成できなかったクライアントによく出会います。これまでの経験から、その原因には、以下のようなことがあげられると思います。 クライアントの言葉を聞かなかった クライアントとのコミュニケーションが欠けていた クライアントに十分な時間をかけなかった これらの理由は、本質的に「臨床的」ではないことに注目してください。私のクライアントのうち、きちんと診断されず、適切な扱いを受けなかった人も少なくはありませんが、現実として、私自身も完壁ではありません。でも私は、クライアントの言葉をしっかり聞いて、コミュニケーションを取り、時間をかけます。そのため、間違った方向に向かっているかもしれないと感じたら、クライアントに聞いて話し合うことができます。クライアントは私を信じています。クライアントが私を信じていなければ、彼らは次の臨床家を探しに行くでしょう。 最近、私がクライアントから聞いた、過去の他の専門家との経験についての下記の2つのコメントについて考えてみてください。 「セラピストが私に言うことは全て、私が何を間違って行っているかでした。間違って行っているのはわかっています、だから治療に行っているのです。」 「最後にかかっていたセラピストのところを出るときは、いつも自分自身に対して落ち込んでいました。セラピスト達によって私は自分自身を悪く感じるようになりました。」 若い治療家に(経験のある治療家にも!)、私が長年をかけてわかったクライアントが嫌っていることをいくつかシェアしたいと思います。忘れないでください、クライアントに最善を尽くすためには、コミュニケーションを大切にしなければなりません。私の失敗やエラーから学んで、あなたがやってしまっている、でも実はクライアントは嫌っている下記の6つのことをしないようにしてください。 デバイスを凝視する 質問を聞きながら、コンピューターを凝視してタイピングをすることは、クライアントが、ヘルスケアの専門家と初めて接するときに直面する態度として最悪だと思います。これは、クライアントとのコミュニケーションとしてもそうですし、クライアントにあなたが親身になって考えていると感じてもらうためにも良くないことです。クライアントは、あなたがただ評価という「タスク」を終わらせようとしていると感じるでしょう。私は今でも紙と鉛筆で簡単なノートを取り、あとでパソコンに記録します。たしかに、こうすることでより多くの時間がかかりますが、これは正しい方法だと思っています。 セッションの間、携帯電話を眺めることも同様です。急を要するメールや、仕事関係のメールに返信しているのかもしれませんが、クライアントは、あなたがフェイスブックに子猫の写真を投稿していると思っているかもしれません。急を要するメールに返事をしなければいけない場合は、クライアントにしっかり断ってから行い、その場合にもクライアントの目の前では行わないようにしてください。こういった行為は、あなたにとってクライアントが大切ではないように見えます。急用でなければ、携帯電話はポケットにしまっておきましょう。 アップルウォッチは、私たちにとって助けとなるのか、それとも悪影響と働くかはわかりませんが、それはこれからわかるでしょう! セッション中は、クライアントが、あなたにとって世界で一番大切な人だと感じられるようにするべきです。 クライアントの言葉を聞かない クライアントと最初にするやり取りは、複数の理由からとても大切です。もちろん、何から始めるかを決める必要もありますが、最初のやり取りは、クライアントとの関係を築くのに非常に大切です。 まず、クライアントに話してもらうことから始めます。彼らの話を聞きましょう。すぐに核心に入りたい人もいれば、時間をかけたい人もいます。流れに従いましょう。できるだけ邪魔をせず、クライアントに会話をリードさせます。 経験を重ねるうちに、私の行う初期評価の主観的な部分は、たった30秒くらいしかかからなくなりました。でも同時に、クライアントとの関係を築くのに重要なことは、クライアントの主張を聞くことだと学びました。クライアントがあなたに期待していることを話せる、適切な環境を提供しなければなりません。 できていないことのみをすべて伝え、できていることを伝えない アセスメント、評価をしていく中で、「欠陥」を見つけることに夢中になってしまいがちです。良くあることではありますが、気をつけなければいけないのは、それをクライアントにどのように伝えるかです。 小さなことを気にしすぎる人もいれば、ただ純粋に落ち込んでしまう人もいます。 全てのクライアントが、あなたの施設を出るときに、気分がよくなり、楽観的になり、いい気分でいられるようにするべきです。あなたとの時間が、クライアントの一日の中で、最もいい経験の一つになれるようにしましょう。

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クライアントが嫌う6つのこと パート2/2

クライアントが欲していることの代わりにあなたが欲していることを行わせる 主役はあなたではありません。シンプルな概念ですが、大切な出発点です。 たとえば、クライアントが来て、「キネシオテープをするとかなり良く感じる」と言ってきたとしましょう。それに対して、あなたが、「肩の痛みは脳からの信号から来ています。キネシオテープは、その信号に対して何もできませんし、特に効果はないのです」と返したら、クライアントはどんな反応をするでしょう。うーん、おそらく残念なことになりますね。 あなたは、キネシオテープは「何もしない」と言って、クライアントは、「とても効く」と言う。これでは連携ではなく、対立のように聞こえます。 正直に言って、私達は、自分で考えているほど、人間の体について知らないのです。私は、その施術に害や、長期的影響、効果的ではないと裏付ける確かな研究が出ていない限りは、キネシオテープのような施術をすることにも抵抗はありません。もちろん、その施術が効果的でないと完璧に示す科学的根拠があれば、話は別です。 誤解しないでください。私は、クライアントに対して私が行いたい治療も行いますが、キネシオテープも施すかもしれません。おそらく、そうすることで私の施術はさらに効果的になるかもしれないのです。 フィットネスの世界における、他の良い例は、動きへのフォーカスと矯正エクササイズです。これらは大切なことですが、ポイントを見失わないようにしましょう。クライアントが脂肪を減らしたいという目的であなたのところに来たのに、あなたはクライアントの動きが悪いことを説明し、FMSのストレートレッグレイズにおける非対称のポイント1を矯正したいと言っているとしたら、それではクライアントにあなたのやりたいことを押し付けて、彼らの要求を見失ってしまっています。クライアントは、ストレートレッグレイズがどう見えるかなんて全く気にしていないのですから。 繰り返しますが、動きのパターンの改善には取り組むべきです。でもそれはプログラムの主要点ではないのです。まずは、クライアントの目標に合わせなければなりません。もちろんそのプログラムに、私たちの目標もこっそり組み込みますが、注意して行ってください。 クライアントに理解できないことを話す おわかりのように、コミュニケーションや人間力は、私たちの職業にとても重要です。私がよく問題だと感じているのが、専門家が話をクライアントのレベルに合わせていないことです。 クライアントのエネルギーレベルに合わせる努力をするべきなのと同様に、私は、話のレベルをクライアントのレベルに合わせるようにしています。 学生や若い治療家は、いくつかの理由でここに問題があります。 自分が行っていることを教授に正当化するために、科学的に話すことに慣れている。 とっさに使える例え話のデータベースが蓄積できていない。 残念なことに、エゴイスティックで自分がどれだけ知っているかを自慢しようとしてしまう。 相手に理解できないことを話し、混乱させることで、相手を感心させることはできません。科学的なことを詳細に聞きたい人もいますが、そういったことは全く聞きたくない人もいます。どう話すかは、クライアントの反応をみて、調節する必要があります。それぞれのクライアントと良い関係を築けるようにポイントやメッセージを伝える能力は、人々を感心させることができます。 私はこれを実現するために、会話がどう進んでいるかに応じて、異なる方法を用意していますが、定番の方法は下記の通りです。 評価の中で、写真や動画を使う。 複雑なポイントをクライアントがわかる例で比較する。車の例えは有効です!たとえば、「タイヤが整列していない状態で運転していれば、タイヤはやがて不均等に擦り減っていきます。」というように。 ホワイトボードを使って考えを表現する。これは必ずしも絵を描くということではありません。文字を書いたり、リストを作成するのにも使います。視覚からより多くの情報を得る人もいます。終わったときに、携帯電話を取り出して、ホワイトボードを写真に取る人がいたら、彼は視覚から学ぶ人だと言えるでしょう。 科学的根拠を示すことは大事ですが、そこで終わらずに、クライアントが理解できる例で理解を補足しましょう。 クライアントの他のヘルスケアの専門家や過去の経験を批判する 私たちの業界において、このような批判が、いかに頻繁に起こっているのかに驚かされます。多くのクライアントから、これまでに施術を受けた専門家が、過去に関わった他の専門家の人達全ての批判していたということを聞きます。パーソナルトレーナーが理学療法士を批判する、理学療法士がカイロプラクターを批判する、というのがその一例です。クライアントは長年をかけてそういった専門家との信頼や尊敬を構築してきていて、あなたとはまだその蓄積がないということを忘れないでください。 批判することは、批判された人が自分の過去の選択に対して気分を害するだけでなく、あなたが誰かをけなすことで自分を良く見せようとしているだけなのが明らかです。 私には、多くの「名声のある」人々が、こういった過ちをおかすのを見てきた中から作り上げた経験則があります。他の人を悪く見せることで自分を良く見せてはいけません。短期的には有効にはたらくかもしれませんが、後で必ず痛い目をみます。 何が失敗したかをわかった上で対処する能力があれば、天才になれます。何かを振り返るときには、どんなことであれ、より鮮明にできます。クライアントがかかっている、あるいは過去にかかった他の専門家を敬いましょう、あなたがいつも正しいわけではないのです。 実際のところ、ここにもう12個くらいリストを付け足すこともできますが、ここで挙げた6つは良い出発点になります。クライアントが嫌うこれら6つのことを避け、クライアントとのいい関係を築き、声を聞き、時間をかけ、クライアントの目標達成における過程の中で、その効果を最大限に発揮できるようにしてください。

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クライアント/患者教育

受け身で即効的な効果を期待するクライアントや患者に対して、どのような教育をすることが、より良い変化をより長期的に定着させるために必要なのか?問題のある部分の治療ではなく、その人の存在全体をケアするためのプロセスとは?

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