マイクロラーニング
隙間時間に少しずつビデオや記事で学べるマイクロラーニング。クイズに答えてポイントとコインを獲得すれば理解も深まります。
シングルレッグ ストレングストレーニング
私は、どのようなストレングストレーニングを選手に行っているのかという質問を受けることが多々あります。私は決まって、”選手が必要なこと”と答えています。私は、BFSやハスカーパワーのような特定のトレーニングプログラムを導入していません。ストレングストレーニングに必要とされることを行っているのです。しかし、私には哲学があり、そしてその哲学を長い間信じてきました。 ストレングストレーニングとは何か? ストレングストレーニングとは、私が選手の総合的な安定性と力発揮の向上を図るプロセスです。数字に対するこだわりは一切持ったことはありません。つまり、仮に選手が130キロや180キロでのスクワットができなかったとしても、私は少しも気にしないのです。私が選手に望んでいることは、速く、正しく力を発揮することができる能力です。また、片脚で正しく力を発揮することも、同様に選手に期待していることです。 フットボールの監督をしていたとき、私のチームはパワーリフティングの大会に出て、勝つようなことはありませんでした。しかし、私のチームはいつでも速く、強く、安全でした。もし私のチームをオリンピックリフティングの(重量挙げ)大会に出場させていたら、彼らは非常に良い成績を残していたことでしょう。チームに、私は筋力の重要性を強調していました。筋力はパワーに繋げることができるからです。 ランジとステップアップの二つは、私が常に行ってきた主要なトレーニング種目です。そして、シングルレッグスクワットも多く取り入れてきました。これらの種目は、伝統的なスクワットだけを行う場合よりも、より多くの運動能力要素が試される運動であると信じています。誤解をしないでください。片脚の種目程ではないというだけで、私も伝統的なスクワットは大好きで実行しているのです。シングルレッグスクワットや、ランジや、ステップアップといったエクササイズを通じ、選手達が身体の動かし方について多くを学んでいく様子を見てきました。選手達がエクササイズを正しく、より力強くこなすために、重心の調節の仕方を理解していく姿を見てきました。不安定で弱かった選手が、ステップアップとシングルレッグスクワットを行うことで安定感と強さを増していく現場を目にしてきました。安定性を取り戻し、崩れなくなった膝を見ました。高強度で片脚の種目を行っている際、足がアーチを保持している様を見てきました。選手達はこれらの運動種目から非常に多くのことを学び、それが彼らのフィールド、コート、トラックでのパフォーマンスへとつながっている、というのが私の個人的な見解です。 片脚の種目はストレングストレーニングだけでなく、ウォームアップとアクティベーションにもよく取り入れています。片脚でのリープ、ホップ、バランスの運動が気にいっています。上記で述べたように、選手達には片脚でのバランスの維持と、悪い体勢の修正方法を学習することが求められます。私がよく使うルーティーンをご紹介しましょう。 ウォームアップ: 片脚立ちでの遊脚による複数方角へのリーチ:股関節の安定性と筋力を向上させる素晴らしいエクササイズです。足と足首は固有受容的活動を活発に行わざるを得なくなります。通常、各脚20-30秒を2セットずつ行います。 側方へのリープと保持:選手は45センチ~68センチ程リープし、着地後2秒間停止します。側方へリープするため、選手が利用できるバランスツールは足全体ではなく、足幅のみに限られます。これにより股関節(及び股関節による膝の制御力)、足、そして足首に負荷を与えることができます。内転筋とコアへの刺激はいうまでもありません。通常、まず私は各方向に6-8回を1セット行い、次のセットでは着地ごとにシングルレッグスクワットを加えた側方へのリープを行います。 パワー: パワースキップからのランジ保持:選手はパワースキップを行い、ホップする脚の着地後、ランジを行い、低い体勢を1-2秒程度保持します。その後、この低いランジのスタンスから力強く次のパワースキップへ移行します。上半身と下半身の良い姿勢が大切です。選手は身体の正しい減速の仕方を学習します。この運動を、私は選手に各サイド5回ずつ、1-2セット行わせます。 ベンチブラスト:選手は、30センチのボックス上でパワーステップアップを行います。これは、上にある脚(ボックスに着いている方の脚)で爆発的に踏切るということです。この種目は速く行われ、悪い動作が確認しにくいので、私はジャンプ(正しいジャンプ)全体の動きを通じ、身体の位置に着目するようにしています。選手は、踏切の後、足、股関節のアライメントを膝に合わせることを学習します。片脚につき、5-8回、2-3セット行います。 アイススケーターズ:選手は爆発的に右脚で左方向にリープし、左脚で着地します。シングルレッグスクワットの体勢で着地したら、交差ポステリアチェーンを予備伸張するため、右手及び右腕を身体の対角線上に伸ばします。そして、爆発的に右に戻ります。股関節のパワーと安定性を高める素晴らしいエクササイズです。各方向に5回、2-3セット行います。 ストレングス: ランジ:私は全方向へのランジを好んで行います。これらは、優れた筋力向上効果があり、バランスのトレーニングとしても素晴らしいエクササイズです。通常、片脚につき、5-8回、2-4セット行います。 ステップアップ:このエクササイズは常に私のお気に入りです。選手が足の回内を上手にコントロールできない場合は、足のアーチを保つためにフィードバックを少し与えつつステップアップを行わせます。ステップアップは足全体と股関節の筋力、股関節の位置の制御に適した素晴らしいエクササイズです。片脚につき、5-6回、2-4セットずつ行います。 これらは私のお気に入りの片脚エクササイズのいくつかの例です。一回のワークアウトでこれら全てを行うことは決してありません。冒頭で説明したように、私は必要とされていることを行います。片脚でのエクササイズの難易度が高すぎる場合は、徐々に慣らしていくようにします。 片脚のエクササイズを楽しみながら取り組み、そしてテクニックと安定性に意識を集中させましょう。
最適な可動域。大きければ大きいほど良いというわけではない!
このブログは、私の良き友人マイクとの会話からの提供によるものです。そのすべては、筋肉の最適な可動域に関することです。それは、下記の文章から生じました: 遠心性収縮的負荷を掛けられた筋肉は、弱い収縮から始まり、次第に強くなっていき、求心性収縮的負荷を掛けられた筋肉は、強い収縮から始まり、収縮が続くにつれ、弱くなっていく。 以前は、あまり考えたこともなかったのですが、長さと張力の関係を考慮に入れる際、とても道理にかなっています。筋肉の長さが長すぎたり短すぎたりする際、筋肉は力発生に苦戦することでしょう。筋肉は、これら両方のポジションで弱くなります。クロスブリッジの付着部には、最適な長さがあります。これは、力発生と省エネルギーの両方に当てはまるでしょう。クロスブリッジ分離過多はまた、ATPを分割し熱として消散する際、熱力学的により高くつく状況を引き起こします。 私は、弾性エネルギーもまた、最適な可動域を持っていると信じています。複数の研究が、ばね剛性(エネルギーを返還する能力)は、最適な関節の角度もしくは、可動域によってもたらされていることを明らかにしています。この可動域を超えることは、エネルギーを抑制、もしくは吸収し、組織の粘弾性を介して、熱として再び消散してしまいます。異なる組織は、様々なレベルの剛性と適合性を持ち、異なる可動域は、遠心性の筋紡錘剛性制御を介して、剛性を運動制御するために、私達の神経的意図(着地またはジャンプの反復)のように、これらの異なる特徴を利用しています。 私達が繰り返しジャンプしたいときのジャンプ方法をみてみると、最終的に着地する時に比較して、より小さな関節可動域を用いているのがみられます。最後に着地する際は、床反力を再利用しようとはせず、床反力を吸収するために膝を深く曲げます。これは、トレーニングプログラムの作成における、高さ、可動域、反復の把握に影響を与えています。 イコンセントリック=遠心性求心性収縮(異なる平面で発生する遠心性・求心性筋収縮の両方を含む)の筋活動は、最適なクロスブリッジの付着部にも関与しているかもしれません。筋肉が全三平面にわたって伸長されるのであれば、力発生と弾性エネルギーのリコイルの観点から、最適な可動域を超えてしまうという状況を引き起こすかもしれません。ひとつの面における求心性収縮を通して、組織の伸長を軽減することによって、私達は最適な可動域を保持しているのかもしれません。これは、最大の力発生よりもエネルギー返還と省エネルギーが重要で、より最大下の状況において発生するのかもしれません。私は歩行が、この良い例であると感じます。最大の力発生は、関節可動域を通して、変換が困難な過度の負荷を作り出すことによって軽減されているのかもしれませんが。 、これによってトレーニング方法について考えさせられることになりました。多くの場合、私達はトレーニングにおいて、最大の可動域を探していますが、最適な可動域により目を向けるべきなのかもしれません。技能を通して可動域を制御できるスポーツに、より影響を与えるかもしれません。ランニングが良い例です。ストライドの長さの制御が、私達を最適な関節可動域内に保つでしょう。また、私達は、最適は個人によって決定されるということを覚えておなかければなりません。これは組織の能力、四肢長、スピード能力、競技種目によっても影響されるでしょう。ランニングの中でも異なる種目、例えば400mでは、オールアウトパワー、パワー持久力、持久力の必要性のバランスを取るのと同時に、マラソンとは異なる関節可動域が必要になるでしょう。最適を超えることは、動作の次の局面(遠心性収縮から求心性収縮、もしくはその反対)を始める能力が危うくなるということを意味しています。減速と加速は、ランニングの不可欠な要素(ポーズランニング法のイデオロギーとは異なる)だと考えますが、私達は、過剰な減速と加速の発生を軽減させ、省エネルギーを向上させることができます。 テニスのゲームについてみてみると、私達の身体を巧みに操作して好位置につける時、より簡単に力強いショットを打つことができます。好位置を外れている際、可動域は ボールに手を伸ばすまで拡大される必要があるかもしれません。遠心性収縮から求心性収縮への変換は最適下で、ショットのパワーに影響を及ぼします。テニスプレイヤーは、多くの場合、限界可動域で守備的なバックハンド・ショットを打つでしょう。それは、勝者となるためのショットではなく、相手コートにボールを返すことを目的としています!遠心性収縮から求心性収縮へのアモチゼーション(償却)期の増加は、クロスブリッジ付着部を弱らせ、エネルギー返還をも減少させます。ボールを打とうと手を伸ばす際、限界可動域に近づけば近づくほど、そして限界可動域を維持すればするほど、負荷運動で得たエネルギーを減少させるアモチゼーション期が長くなってしまします。 これは、非常に理論的な記事であり、主に私の見解ですが、クライアントのトレーニングのために、私達が可動域/高さを設定する際の糧になるかもしれません。 全ての状況において、多ければ多いほど良いというわけではないのです!
野球の遠投プログラムについて理解すべきこと パート1/2
遠投プログラムは過去数年間で、野球のトレーニングにおけるもっとも人気のある方法の一つになりました。ネット上の全ての人達が、球速の向上を保証する遠投プログラムを持っているようにみえます。我々の投球数制限プログラムや医学的知見が向上しているにも関わらず、若年層における投球傷害数は警告すべき割合で増加し続けています。このことは、積極的な遠投プログラムが、傷害の発生率の増加に関係があるかもしれないという疑問を投げかけます。遠投プログラムを統合していくには、多くの異なった方法があるので、この疑問も公平であるかもしれないし不公平なのかもしれません。 この記事の意図は、遠投が適切、安全、効果的、またはそれ以外のなにかであるかどうかについて意見を述べることではありません。特別な投球プログラムや距離を奨励することが目的でもありません。むしろ、トレーニングプログラムを始める前に、遠投が身体に及ぼす影響についてしっかりと理解をしてほしいだけなのです。あなたのニーズに合致した最適なプログラムを実施するためには、いくつかの点を理解する必要があります。 遠投は重要である まずはこの点“遠投は重要”について考えてみましょう。遠投は、ほぼすべての野球のトレーニングプログラムとして、何らかの形で一般的に見られるため、この点は議論の余地はないと考えます。遠投が好きである、あるいは、好きではないと言うことは、ピザが好きである、あるいは、好きではないということのようなものです。ドミノピザとボストンの北端エリアのピザには、かなり大きな違いがあります。同じことが遠投にも言えます。遠投の定義については、おそらく討論する余地があるでしょう。 遠投とは120フィートであると考える人もいれば、300フィート以上であるという人もいます。これはとても大きな違いです。答えは分かりませんが、投げる距離が遠くなれば変わってくることがあります。このことについても理解が必要になります。 遠投は重要ではありますが、しばしば大げさに捉えられがちです。遠投を提唱している人は、大リーグのどの選手がトレーニングのなかで長距離遠投プログラムを行っているかを興奮ぎみに伝えるでしょう。しかし、プロ野球選手のなかで、トレーニングルーティーンに遠投を多く取り入れていない選手が大勢いることも認識してください。私は、メジャーリーガーで120-150フィート以上の投球をそれほどたくさん行わないという選手たちを知っています。また、私が話をした寒い気候の地域に住んでいる選手の多くは、オフシーズンの間はバスケットボールコートのような室内練習場で投球をするので、投げられる距離に限界があります。 多くの患者やクライアントから、遠投をしている素晴らしいメジャーリーグ選手のことを聞いています。このことは真実である一方で、遠投をしていない選手が多くいることも理解して欲しくて、このことを取り上げているだけです。 遠投は腕を鍛え、力を生み出したり、分散したりすることに慣れさせるためには重要であると考えます。しかし、遠投が身体に及ぼす影響を本当に正確に理解するためには、下記のポイントの多くを理解する必要があります。 遠投は腕の強度を向上させない 遠投が腕の強度を発達させるという概念がどこから来たのかは定かではありませんが、これは本当によく聞きくことです。これはただ単に何となく使われている意味のない言い回しかもしれませんし、選手に関連した安易な考えであるかもしれません。しかし、明確に詳細に言うと、私は、実際には投球は腕の強度を低下させると考えています。 事実、私は数年前に、綿密に作成されたストレングス・コンディショニングプログラムを行っているメジャーリーグの投手でも、シーズンを通して3-4%の回旋腱板の筋力低下が見られるという論文を発表しました。1試合を通しても、11-18%の腕の筋力低下が見られるということも示されています。 そのため、投球は腕の強度をあげることはない、といっても問題ないと考えています。むしろ、投球は肩の疲労を招くと考えられるため、実際には腕の強度にとって逆効果になるかもしれません。遠投は、筋持久力や腕を振るスピードなどといったものを向上させるかもしれません。しかし、スピードや持久力を鍛えることと、過負荷がかかることや疲労を招くことの間には、紙一重の違いしかありません。腕に疲労が蓄積すれば、腕の強度は上がるのではなく、下がりますし、傷害を引き起こすリスクがあります。 若年層の野球選手は、遠投をすることで球速が上がると聞いていて、遠投をすればするほど、強く投げることができると思い込んでいるため、これは理解すべき重要なコンセプトになります。この思い込みは通年を通して投げすぎてしまう結果に繋がります。現在、若年層の野球選手は、シーズン中もオフシーズン中も、試合で投球し、遠投もしています。1年のなかで8カ月以上ピッチングをすると、傷害を起こすリスクが5倍以上になるということを覚えておいてください。 遠投の効果はあります。しかし、遠投することで腕を強化することはできません。強化のためには、投球をしない時間と、適切な腕のケア、ストレングス・コンディショニングプログラムが必要になります。 リハビリの世界では、遠投プログラムは120フィートで終わりにするとは言っていない 私は、この件について責任を負っていきます。遠投プログラムの提唱者からよく聞かれる議論の一つに、120フィートの遠投は十分な距離ではないということがあります。同様の遠投プログラムを、健康な選手にも、傷害からの復帰を目指している選手にも適用している野球界を、多くの人々が非難していることを聞いたり、読んだりしています。そこでは、公表されている投球のリハビリプログラムでは、120フィートまでであるということを引用しています。 これは実際には誤解であり、私の経験からお話します。ジェームス・アンドリュー博士が使用し、もっとも幅広く利用されている遠投プログラムの開発を実際に手伝い、これらのプログラムを整形外科・スポーツ理学療法誌に10年以上前に掲載しました。原稿を実際に読んでいただければ、投球プログラムは120フィートでやめるべきだとは言っていないことが分かると思います。事実、そのプログラムでは180フィート以上まで行っています。 我々は、マウンド上で投げ始める前の基準として、120フィート以上投げる必要があると言及しているだけなのです。120フィート以上投げたい(あるいは、投げるべき)選手もいるでしょうが、そうでない選手もいるでしょう。ここでのポイントは、120フィート以上投げなければいけないということではありません。しかし、マウンド上での投球に進むためには、120フィートの遠投というのは、基準の一つになるということです。 今では、これらの公表されている遠投プログラムが完璧でないとはっきりと認めていますし、私自身も自分が書いたこのプログラムにすべて沿っているわけではありません。すべての人に適応できるプログラムを作ることは、とても大変だということをお分かりいただけると思います。リハビリの環境において、ある程度の一般化は必要なものです。このことについては、最後のポイントとして、パート2/2に話していきます。
野球の遠投プログラムについて理解すべきこと パート2/2
遠投によって適切なピッチングメカニズムを身につけることはできない。 遠投しているときに、常に一定のピッチングメカニクスで投げ続けることは不可能です。これは単純な物理学です。遠くに投げれば投げる程、異なった投球メカニクスを使う必要があるため、遠投をすることで、ピッチングメカニクスを改善するとなぜ言えるのか、私には分かりません。グレン・フレイセグとアメリカスポーツ医学研究所は、最近、マウンド上でのピッチングと120フィート、180フィート、最長距離での遠投との間で、投球メカニクスに変化があるかどうか解析しました。 この研究によって、遠投ではメカニクスが大きく変化することが証明されました。マウンドの上から投げるように、くだり坂で投げるわけではありません。体幹はより直立し、距離が離れればはなれるほど、前膝の屈曲は浅くなるため、実際には、のぼり坂で投げているようになります。実際に、胸郭の角度はピッチングと最長遠投とでは4倍も違います。 直立すればするほど、体幹と前側の投球への関わりが変化し、リリースポイントが劇的に変化するため、胸郭と前膝の角度は、投球と密接な関わりがあります。 また、興味深いことに、遠くに投げようとすればするほど、前足の接地はより外に開きます。基本的には、遠投をするときは、前足が身体をほんの少しクロスするように接地する(これが普通)のではなく、よりライン上に接地するようになります。これは、最長距離にボールを投げるためには、回旋動作はあまり必要がないということだと、私は理解しています。基本的に、遠投するときは、メリーゴーランドのようではなく、観覧車のように投げるのです。遠投では、ピッチングのときとは異なる筋肉動員パターンとモータープランニングを使用します。 モーターコントロール、神経筋肉プランニング、トレーニングの特異性に関する我々の最新の研究をすべて考慮すると、遠投は投球メカニクスを改善することはないということが言えるようです。 繰り返し何度も同じメカニクスで投球できる能力は、エリートレベルの投手に最も求められている能力であり、その能力がエリートとその他の選手の分かれ道でもあることを経験から知っています。上記に書いた最初のポイントを忘れないでほしいのですが、遠投は重要です。しかし、それはメカニクスを改善するから、あるいは、何度も遠投することを奨励するからではありません。 遠くに投げれば投げるほど、身体には多くのストレスがかかります。 我々の遠投プログラムが独自に開発されたとき、最初に解決すべき問題点の一つは、ある距離から投げたとき、身体にはどれだけのストレスがかかるのかということでした。上記の情報から、身体に運動学的に変化が起こることは分かっていましたが、身体にかかる運動力はどうでしょうか。フレイセグ博士は、上記に述べている研究の中で、身体にかかる力も計測していました。 180フィートの遠投では、肘に内反トルク、肩に内旋トルクがより大きくかかります。これら2種類の力は、特にトミージョン傷害と呼ばれる、肩や肘の傷害を本質的に引き起こします。 私達は、ピッチングをするということは、それぞれの投球で、身体には最大に近いストレスがかかるということを知っています。180フィート、あるいはそれ以上の遠投は、マウンド上での投球よりも多くのストレスがかかります。これは、怪我をした選手が、マウンド上で投球を始めるための基準を、たった120フィートに設定している主な理由の一つです。120フィートでは、ピッチング時と同等の力が計測されます。そのため、120フィートまで投げることができれば、技術的には、マウンド上での投球のストレスに対処することができます。 アスリートは、180フィート以上の遠投時にかかるストレスを対処できます。しかし、どれだけの距離まで、そして、結果はどうなるのか?私は、フレイセグ博士・アンドリュー博士とこの概念について討論しました。ここで使われた比喩はむしろ不安感を抱かせるものです。-あなたは、1日で1パックの煙草を吸うリトルリーグの子供たちのグループを観察します。リトルリーグ所属中は、誰も肺がんを患わないようですが、ある日、誰か発病するかもしれません。長期的な視点で、我々は彼らに何をしているのでしょうか? リトルリーグとUSA ベースボールによって開発された投球数カウントガイドラインは、オーバーユースを避けることによって、傷害を予防するよう設定されているということを理解してください。180フィート以上の遠投も、この考慮に含まれる必要があります。もし傷害の発生率を5分の1に減らしたいのなら、1年のうち、4か月はピッチングをしない、あるいは、遠投をしないことが必要になります。 遠投に的下時と場所はあります。しかし、遠投はピッチングと同等に扱われる必要があり、オーバーユースにつながる投球カウントとして考慮される必要があります。 最長遠投は身体に多くのストレスを与える。 私にとって、フレイセグ博士とアメリカスポーツ医学研究所の研究の中でもっとも興味深い部分は、最長遠投の解析です。ある距離から投げる時、どのように生体力学が変化するかを分析し、それに加えて、ただ単にできるだけ遠くへ投げる動きの生体力学も評価しています。 結果にはかなり驚かされました。 クローホップあり、投げるボールの角度には制限をつけず、できるだけ遠くに投げるよう指示された場合、投手の平均投球距離は264フィートでした。これは、いくつかの野球のトレーニングプログラムのなかで見られる奨励距離よりも、かなり低い数値でした。 これは、肘内反トルク、肩内旋トルクを10%増加させる結果となりました。180フィートの遠投で、肩と肘にかかるトルクの増加がみられましたが、最長距離を投げる時、これらの力は劇的に上昇したのです。 180フィートの遠投には、リスクと報酬の等式がありますが、より遠くに投球する場合、この2つの割合は、かなりリスクのほうに偏っているように見えます。 最良の遠投プログラム 私は、この記事を、“最良の遠投プログラムなどない”という一つの簡単な理由のために、この記事を書きました。すべての人が求めるものですが、現実に存在しないのです。人は皆、身体のタイプやサイズ、年齢、経験、そして、メカニクスを含め、多種多様です。すべての人に、一般的な遠投プログラムを奨励することは、あまりに単純化しすぎのように思えます。少数の人々には役に立つかもしれませんが、よりも多くの人々に、不利益を与え得るように思えます。だからこそ、私が公表したリハビリのための投球プログラムは、とても基本的に見えるのです。 遠投プログラムのより詳細なポイントを理解していただいたところで、皆さんに、最良の遠投プログラムとは、各個人を対象とする必要があるということを理解していただけることを願っています。メジャーリーガーで行っている選手がいるからという理由で、そのプログラムをするべきではありません。適切な腕のケアとストレングス・コンディショニングプログラムを行いながら、自分のためだけに特別に開発されたプログラムであるか。
関節過可動性
柔軟性があることは、常に素晴らしいことのようにみられています。伸びやすければ伸びやすいほど良い!!数多くのありえないようなヨガのポーズをとる能力があること。 しかし、関節過可動性には、それなりの問題がありえるのです。 私達が身体を、動作の成功のために、連鎖反応に依存している統合ユニットとして理解し始めると、ある程度の張力は利点であることをより実感します。 求心性短縮を作り出すために、身体は筋肉の遠心性伸張に依存しています。これは全て、最適な可動域と順序の中で起こる必要があります。関節過可動を持つ人において、ある収縮タイプから別のタイプへの変換を作り出すためのプリテンション(事前張力)は、最適なパラメーターで発生することはないでしょう。 歩行におけるこの連鎖反応の例は、股関節の内旋と足の回外です。遊脚が立脚を通過するとき、立脚は股関節において相対的な内旋を作り出します。この内旋は、立脚における外旋の爆発のための情報とエネルギーを作り出すでしょう。また、股関節における内旋の可動域を使いきることによって、骨盤が大腿骨を駆動することによっても起こります。これら全てが、足が回外する手助けをします。 関節過可動を持つ人において、プリテンション(事前張力)のレベルは最適ではありません。これは、固有感覚情報のための張力を得るためには、骨盤の上から脚へのドライブとそのエネルギーは、より遠くまで移動しなければならないということを意味しています。足元を見てみれば、全ての反応が上部関節で発生した頃には、回外のための適切なタイミングは過ぎてしまっています。これは、伸展に関しての股関節における足の影響もすでに逃してしまっているかもしれないということを意味しているかもしれません。これは効果的でない歩行周期不良につながります。 筋肉の弾性伸長の増大は、動作によって生成された、いかなる張力をも吸収してしまいます。 赤ん坊が歩き方を習得する際、彼らの動作にはプリテンション(事前張力)、もしくは剛性制御の欠如を見ることができます。私達が、より効果的に動けるようになるにつれ、関節可動域はより制御されるようになり、張力の内的レベルは向上します。これは、効果的なエネルギーと情報の伝達を可能にし、従って、生体力学の連鎖反応の発生を可能にします。 関節過可動性は、エネルギー消費と動作のスピードに関連性を持っています。簡単に言えば、関節や筋肉の可動域が大きければ大きいほど、ATPの分解を通して、より多くのエネルギーを熱として消散し、動作制御をするのにより多くの時間を必要とします。 硬直や現在の“コア・スタビリティー(安定性)”のトレンドが推進する安定性ではなく、動作制御として安定性をみるとすれば、過可動性は成功するものではないかもしれません。実際、硬直は、身体が、制御された動作の代わりに、安定性のために使用するものなのかもしれません。これは、機能不全なのです。過可動性関節は、無痛の動作につながる運動の正しい順序を妨げるでしょう。可動域全体を制御するために、身体の他の部位に硬直を無理強いするかもしれません。これもまた順序の妨げとなるでしょう。 私が過可動性を持つ人達を扱った経験から学んだのは、彼らには常に必然的な硬直の部位を見つかるということです。また、システム内に張力を生成する可動域内で動作を行う際、システムに対する張力のデマンドを、自ずと既成することができる体重負荷の状態で動くことが最良といえるでしょう。 大きすぎる張力、もしくは小さすぎる張力もまた、疼痛受容体とその閾値に影響を与えるでしょう。確実に、硬直部位の張力が大きければ大きいほど、痛みの神経終末の活性化閾値は低くなります。私は筋弛緩と痛覚閾値の研究についてはよく分かりませんが、最適から一歩離れることは、何らかの影響を及ぼすかもしれないと確信しています。
ACL損傷予防には適切なトレーニングを パート1/2
適切なトレーニングをするだけで、前十靭帯(以下、ACL)損傷予防になるのでしょうか? 私はそう思っています。ACL損傷予防に採用しているプログラムは、実は誰にでも使うプログラムと同じなのです! ACL損傷予防プログラムといっても、目新しい概念というよりはむしろ、従来の内容を組み直したものにすぎません。このプログラムをわざわざACL損傷予防プログラムと呼ぶのは、アスレチックトレーナーや理学療法士、コーチにアピールするためなのかもしれません。いずれにしても、必要であるならば実施するべきです。そして、私達はコーチとして、すべてのアスリートと、週末のみスポーツを楽しむクライアントに対しての、優れた損傷予防のコンセプトを実践する必要性を自覚しなければなりません。 女性アスリートの方が、比較的ACLを損傷しやすいことから、女性アスリートを指導しているコーチ達は、このACL損傷予防の概念に、より大きな関心を示すでしょう。もちろん、性別を問わず損傷の可能性はありますが、実際、ACL損傷は年間10万件を超え、そのうち3万件は高校生の年代の女性だと推定されます。どちらにせよ、コーチはアスリートの性別に関係なく、これらの損傷低減のコンセプトを実践に移すべきです。とはいうものの、ACL損傷予防は、女子バスケットチームのコーチにそのプログラムを受け入れてもらう名案かもしれません。 損傷低減 VS 損傷予防 私が、意味論に捕われていると反論されるかもしれませんが、いかなる損傷においても、私たちは予防という言葉よりも、低減という言葉を使うべきだと思います。アスレチックトレーナーとして、または、スポースコーチ、ストレングス&コンディショニングコーチとして、私たちがどのようなことを行うにしても、損傷の発生を低減することはできても、損傷を予防することはできないのです。予防という言葉を使うことは、私たちに対する期待感を過度に高めてしまうことになります。 女性アスリート 女性アスリートをトレーニングする時、女性アスリートが抱える苦境を嘆くのをやめて、前向きに取り組む必要があると、私は感じています。女性アスリートに降りかかる数多くの損傷について文句を言っても、月経周期のようなことを調べても、状況をまったく改善することはできません。私たちは、性別を変えることはできませんが、下半身の強化や安定性を変えることはできます。特定の要因(Q角、顆間切痕、月経状態など)が影響していることは実感していますが、これらはすべて「私には変えられない事柄」に分類されるのです。 危険な展開 月経周期がACL断裂の確率に与える影響を研究する分野がありますね? しかし、私が疑問に思うのは、それを知ったところで私たちに何ができるのかということです。一流の選手である娘たちを、リスクの高い期間ということで、大きな試合に出場させない親が出てくるのでしょうか? ACL損傷低減の対策 ACL損傷低減は、シンプルではありますが、体系立てられています。下記のすべての事項を実施する必要があります。これは、メニューのように選ぶものではありません。どちらかというとレシピのようなものです。ケーキを焼くのに、重要な材料を忘れてしまったとしたら、どうなるでしょうか? 悲惨なことになりますね。 アクティブウォームアップ パワーとスタビリティ/エキセントリックストレングス=着地スキル ストレングス向上 -(特に片脚立ち) 方向転換のコンセプト - ストップの練習 方向転換のコンディショニング - コンディショニング育成 ファンクショナルトレーニング ファンクショナルトレーニングは、ACL損傷予防プログラムの大きなカギとなるでしょう。ファンクションおよびファンクショナルトレーニングという用語は、乱用されてはいるものの、それでもやはりコンセプトは有効です。ファンクショナルトレーニングを完全に正しく理解するために、機能解剖学をトレーニングに応用するよう考えてみましょう。機能解剖学を理解するポイントは、片脚で立ってみると全てが変化するということを実感することです。 解剖学の観点からしても、これは否定できません。 ACL損傷低減 対策1― アクティブウォームアップ 適切なウォームアップは、ACL予防プログラムの、まず最初のステップとなります。それどころか、ウォームアップをしっかり行うことは、すべてのプログラムの最初のステップです。適切なウォームアップは、片脚の強さと動的柔軟性を向上し、固有感覚を増幅します。 最良のアクティブウォームアップのエクササイズへのカギは、他の筋を伸長しながらひとつの筋を活性化することです。 ハイニーウォーク レッグサークル ウォーキング 踵をお尻に バックランジ スパイダーマン インチウォーム ACL損傷低減 対策2― スタビリティ/エキセントリックストレングスの向上 アクティブウォームアップが最初のステップだとしたら、スタビリティとエキセントリックストレングスの向上は、最も重要なステップと言えるでしょう。一般的に行われているACL予防プログラムの多くでは、主にこの部分が不足しています。たいていのプログラムは、ジャンプに重点を置きすぎており、ホッピング(片足とび)を十分行わなのです。また意味論に捕われていると反論されるかもしれませんが、ジャンプとホップは同じではないことを理解する必要があります。先ほど、片脚立ちをすると全てが変化すると言いましたが、片脚で着地することでも、あらゆることが変化します。損傷予防で重要なのは、片脚で着地する能力を身につけることです。エキセントリックストレングスは、適切に着地する能力です。下記の用語を理解しているか確認してみてください。 ジャンプ- 2本脚から2本脚。一般的なプログラムの基本ではありますが、ACL損傷のメカニズムではありません。 ホップ- 右脚から右脚または左脚から左脚。ホップはほとんどのプログラムで軽視されています。しかし、これこそがACL予防へのカギになるのです。前方と内側、外側へのホップが必要です。 バウンド- 右脚から左脚。 スキップ- 1歩毎に2回の足接地がある。
ACL損傷予防には適切なトレーニングを パート2/2
段階的なプライオメトリックス 段階的なプライオメトリックスの秘訣は簡単です。1段階は最低3週間で終了し、ジャンプを週2回、組むこともできます。私たちのシステムでは、トレーニングがある日にプライオメトリックエクササイズを実施しますが、1週間で同じエクササイズを2回繰り返すことはありません。 段階 1- ボックスへのジャンプ、またはボックスへのホップ。これは、重力の影響を減らし、遠心性負荷を下げます。ジャンプは前方へ、ホップは前方と内、外側へ行います。 段階 2- 障害物をジャンプまたはホップで飛び越える。段階1では、重力の影響と後続する遠心性負荷を減少する試みでしたが、段階2のコンセプトとして、障害物をジャンプまたはホップで飛び越えることにより、重力による加速を再導入します。上記と同様のコンセプトが適用されていますが、ジャンプまたはホップでボックスに上がる代わりに、ハードルをジャンプとホップで飛び越えます。ハードルは、6インチ(15.24cm)から30インチ(76.20cm)の異なったサイズを使用します。 質 VS 量 重力を加えたことで質が減少するとすれば、ストレングスに問題があります。次の段階に進まずに、むしろ前の段階に戻ります。ストレングス&コンディショニングの巨匠と呼ばれるアル・ヴァーミル氏は、これに関して「選手が大きければ大きいほど(弱ければ弱いほど)、障害物は小さくする」というシンプルなコメントを残しています。 段階 3- 弾性を導入する。段階3では、段階2と同じエクササイズを使用します。異なる点は、段階3には「弾み」を追加することです。 段階 4- 本来のプライオメトリックス。反応としての動き、いわゆる一般的なプライオメトリックスです。 「ジャンプ位置と着地位置が同じである」 ~ジム・ラドクリフ ACL損傷低減 対策3― ストレングス向上 ストレングスの向上は、3番目に重要なことです。ACL予防では、ストレングスプログラムは、機能的な片脚でのローチに向けて進めていきます。 ポイント 体重を利用する- 片脚でのプログレッション 機能的な強さの向上- マシンなし 片脚の強さの向上- 股関節の力学の違い 膝優位、股関節優位両方の片脚でのエクササイズ実践 すべてのアスリートは、本来のシングルレッグスクワットと負荷をかけたワンレッグストレートレッグデッドリフトへと進むのが理想的です。 ACL損傷低減 対策4― 方向転換のコンセプト ほとんどのコーチにとって、方向転換を教えるという発想は馴染みのないものです。私たちは、動きを教えることと動きのタイミングをはかることを区別しておきたいものです。多くのアジリティプログラムでは、選手は単にコーンからコーンへ走るだけです。私たちの方向転換プログラムでは、効果的な動きのコンセプトを教えます。選手にストップとクロスオーバーを教えるために簡単なドリルを実施します。プライオメトリックスエクササイズで教えた着地スキルとコンセプトの上に、更にコンセプトを構築していきます。 ACL損傷低減 対策5― 方向転換のコンディショニング 方向転換のコンディショニングは、新しいコンセプトではありません。バスケットボール選手は往復ダッシュを何年も行ってきていますし、ホッケー選手の練習にも何十年もの間、ストップとスタートスプリントが組み込まれていました。フットボール選手は、クロスフィールドのストップとスタートトレーニングである「ガッサー」を行ってきました。しかしながら、陸上コーチの強い影響力と技術が、悪影響を与えてしまいました。コンディショニングプログラムの多くは、110ヤード(100.6m)220ヤード( 201m)、440ヤード( 402m)ランのような直線距離を基本とした陸上スタイルのインターバルプログラムにシフトしてきたのです。さらに悪いことに、アスリートは、ステーショナリーバイクやエリプティカルトレーナー、ステアクライマーなどの有酸素運動器具でコンディショニングを行うようになってしまいました。コンディショニングプログラムに良く欠けてしまうのは、ストップとスタートを計画的に盛り込むことです。損傷は、加速時と減速時に起こります。私たちは、損傷を最低限に留めるために、ストップとスタートをコンディショニングプログラムに組み込む必要があります。方向転換のランを行わない日には、実際スライドボードを取り入れ、側方へのコンディショニングをします。 結論 結論を言えば、質の良いストレングス&コンディショニングプログラムは、ACL予防プログラムに最適であるということです。レシピの例を覚えておいてください。必要のないレシピ材料はひとつもありません。全てが入っていなくてはならないのです。ストレングス&コンディショニングコーチは、アスレチックトレーナーを理解し尊重するように念頭に置いておきましょう。敵対関係ではなく、協力関係を作りましょう。また、もしあなたがアスレチックトレーナーまたは理学療法士なのであれば、ストレングスコーチとの関係を深め、チームに加えてください。協力関係がうまくいけば、みなさんのそれぞれの仕事がしやすくなります。ストレングスコーチも、リハビリチームの一員になる必要があります。質の高いストレングス&コンディショニングプログラムは、トレーニングルームでの仕事量を減らしてくれるということを、アスレチックトレーナーは、認識する必要があります。そして、私たちは皆、適切なトレーニングをすることだけでACL予防に繋がることを認識すべきです。
野球シーズン中のストレングスとコンディショニング:高校野球
今日は、シーズン中における、高校野球選手向けのトレーニング方法を取り上げていきます。ここでは、野手(捕手を含める)と投手に分類して話を進めていきます。 野手/捕手 私達は、野手と捕手には全身のストレングストレーニングを通常週2回実施しています。しかし、何人かの選手には、より短時間かつ高頻度のトレーニングセッションを行うことにしています。これにあてはまるケースとして、トレーニングをより多く行う方ったほうが調子のよくなるジムラッツ(年中トレーニングに精を出している人々)や、または十分な試合時間が与えられておらず、発達することを強く希望している選手達等が挙げられます。 このような選手達は、ウォームアップや練習中のゴロの処理やスプリントですでに動作トレーニングを十分に行っているため、通常彼等のプログラムに動作トレーニングをそれ以上追加する必要はありません。 彼等は投球や打撃において大量の回旋動作を行っているので、メディスンボールトレーニングの量も抑えるようにします。しかし、フォームローラーやモビリティーのトレーニングは毎日欠かさず実施します。 投手 高校生投手の多くが、投球をしていない時は野手としてプレーする二刀流であるため、彼らのトレーニングは難しいものになります。一般的な方針として、定期的に登板する選手に対しては、捕手、遊撃手、三塁主でのプレーは投球数が増加するため避けるように推奨しています。若い選手で一週間毎の投球回数が3イニング以下の場合は、野手と同じようにトレーニングを行いますが、トレーニング日のうち最低一回は必ず投球翌日に実施します。私がこのアプローチを気に入っているのは、24時間のブロックにストレスをまとめることで、さらなる回復を促すだけでなく、選手が私達と共にモビリティードリル、軟部組織へのアプローチ、そして徒手ストレッチを行わなければならないようにすることで、登板後の可動域を”正常化”することができるからです。
マラソン選手の筋繊維にはどのような特性があるか? パート1/2
長距離走は筋肥大の追求に対し悪影響を及ぼすと多くのコーチが示唆している。長距離走は筋肉量の減少と速筋繊維を犠牲にした遅筋繊維の断面積増加につながると言う人もいる。しかし、ある個人が長距離走を始めた際、実際には筋繊維の種類に何が起こるのだろうか? この研究はそれらを究明しようと試みたものである... 研究論文: 単一筋線維のマラソントレーニングへの適応、トラップ、ハーバー、クレア、ギャラガー、シルヴァ、ミンチェフ、ウィセット、応用生理学ジャーナル、2006年 背景 骨格筋がレジスタンストレーニングに適応することはよく知られており、これには生理学的な断面積、筋繊維の種類、筋束長、筋繊維角度の変化及び、より大きな力を生み出す能力が含まれる。 持久系トレーニングへの反応としても、筋肉適応は起こる。最も重要な2つの変化は、筋肉への血流を向上させる毛細血管網の増加と、ミトコンドリア発生として知られている過程で起こるミトコンドリアの大きさと数の増加である。行われている持久系トレーニングの種類により、筋の大きさや筋繊維の種類の変化が起こり得るとも考えられている。(例:自転車競技選手は典型的に大腿四頭筋が発達している) 私たちには、パワーリフトトレーニングとオリンピックリフトの両方がタイプIIXからタイプIIaの方向への筋繊維の種類の移行をもたらすが、タイプ I からタイプ IIへの移行を起こすことはないということがわかっている。これはタイプIIX筋繊維がパワーに対し最も有益であるという一般的な概念に反して起こる。しかし何故そのようなことが起こるのかは明確ではない。 持久系トレーニングの結果として各種筋繊維の中では、一体どのような変化が起こっているのだろうか? *** 研究者たちは何を行ったのか? 研究者たちは、初マラソンを完走しようとしている、レクリエーションとして運動を行う大学生の、筋肉の適応と筋繊維の種類の変化を観察しようと試みた。すべてのテストとマラソンを完了したのは7名(男性4名、女性3名)の被験者であった。 マラソンプログラムは、13週間のトレーニングとそれに続く3週間のテーパリング期間の、2つの段階に分かれた合計16週間のランニングトレーニングから構成されていた。計画は、週に4日間のトレーニング日を設け、13週間のトレーニング期間に渡り、最初の週に比べ全体的に140%のトレーニング量の増加が行われるよう、少しずつランニングの量(1週間に10%程度)を増やしていくという計画であった。テーパーでは急激ではあるが段階的なトレーニング量の減少が行われた。 16週間のトレーニング介入の前後に研究者たちは、腓腹筋から採取された筋繊維の検体を基に、単一線維の生理機能と酸化酵素の活動を測定した。研究者たちは、顕微鏡を使用しての単一筋線維の直径、単一筋線維の力生産能力、単一筋線維の収縮速度、及び単一筋線維の出力を測定した。13週間に渡るトレーニング期間の前後には、最大酸素摂取量(VO2-max)を測定するためトレッドミル検査も行われた。 *** 何が起こったのか? ランニングパフォーマンスと最大酸素摂取量 研究者たちは、7名全ての被験者はマラソンを完走し、平均タイムは4時間54分(3時間56分から5時間35分までに及ぶ)であったと報告している。 研究者たちは、介入前に比較し、介入後では絶対的最大酸素摂取量が増加(3.37 vs. 3.50 L/min)し、相対的最大酸素摂取量(こちらの方がより一般的に使われる)も増加 (49.5 vs. 52.0 ml/kg/min)したという、とりたてて有意ではない傾向があったことを確認した。彼らは、最大心拍数は変化しなかったが (197 vs. 198 beats/min)、最大呼吸も、介入の前に比べ介入後では増加 (93.7 vs. 97.0 l/min)したという有意ではない傾向があったことを報告している。 これらの要素は驚くことに、心臓血管の状態が有意には向上しなかったということを示唆している。しかしながら、最大酸素摂取量の値はむしろ高く、それは被験者がもうすでに(趣味レベルで)とても活発であったということなのかもしれない。 研究者たちは、トレーニング後の絶対的、相対的両方の酸素消費量は最大下ランニング速度である時速9.65Kmにおいて著しく低く(2.43 vs. 2.28 l/min and 36.0 vs. 33.6 ml/kg/min)、ランニングエコノミーに有意な向上があったということを示唆していると報告している。 まとめてみると、持久系トレーニングは最大酸素摂取量の向上にとても有益であると一般的に考えられているため、これらの研究結果は非常に興味深いものである。これらの初心者ランナーたちにおいては、最大酸素摂取量というよりはむしろランニングエコノミーが向上したようである。 酸化酵素の活動 研究者たちはクエン酸シンターゼの活動は37% (19.2 ± 1.4 to 26.3 ± 1.2 umol/g/min) 増加したが、13週間のトレーニング後とその後の3週間のテーパリング期間後では変化がなかったと報告している。これは筋肉の酸化能力がランニングトレーニング後に著しく増加し、持久系エクササイズを行う能力を向上させることにつながったのであろうと示唆している。 最大酸素摂取量に関するデータ(と下記にあるようなタイプI筋繊維の面積の増加)を考慮に入れると、パフォーマンスの向上は、心臓血管系の健康よりもランニングエコノミーによってもたらされるという上記の発見と一致して、これはトレーニングプログラムが、心臓血管系の適応よりもより多くの筋肉の適応をもたらすことを示している。
マラソン選手の筋繊維にはどのような特性があるか? パート2/2
筋繊維の種類 研究者たちはMHC組成による測定により、各種筋繊維に著しい変化があったことを報告している。 彼らはMHCI繊維が8%増加し(48 ± 6 to 56 ± 6%)、MHC I/IIaハイブリッド繊維が5%減少し(7 ± 1 to 2 ± 1%)、全MHC ハイブリッドが減少(24 ± 7 to 13 ± 4%)したことを発見した。しかし、MHC IIa繊維の断面( 30 ± 5 to 30 ± 4%)や、MHC IIa/IIxやI/IIx繊維のハイブリッド集団に有意な変化は見られなかった。下記のグラフはその結果を表している。 パワーリフトやオリンピックリフトの研究からタイプIIa筋繊維の断面積はストレングススポーツの要であるということがわかっているため、この発見は非常に興味深い。これらのデータは、マラソンは優先的にタイプIIa筋繊維を減少させはしないが、どちらかといえばハイブリッド繊維を減少させ、タイプI筋繊維の断面積を増加させるということを示している。 単一線維の直径、力、速度、パワーの測定 研究者たちは各筋繊維の全体的な断面積は測定しなかったが、単一筋線維の直径、力、収縮速度、パワーに関する大変興味深い観察を行った。彼らは単一筋線維の直径が、13週間のトレーニング期間に減少したことを報告している。 彼らは、トレーニングに伴いMHC I筋繊維の直径は21%、MHC IIa筋繊維の直径は23%と著しく減少したことを発見している。これらのデータは筋繊維全体の断面積に直接置き換えることはできないが、ランニングトレーニングがタイプIとタイプIIA筋繊維の筋量を減少させることにつながるということを示している。 研究者たちは トレーニング期間の結果として単一筋線維の力はMHC I 及びMHC IIAのどちらにおいても変化が無かったことを報告している。しかし筋繊維の直径は減少しており、これは筋繊維の単位断面積あたりの力が増加したはずであるということを意味している。単位断面積あたりの最大力の変化は下記のグラフに示されている。 最後に研究者たちは、MHC I筋繊維の収縮速度はトレーニング期間後著しく上昇(28%)したが、MHC IIa筋繊維には有意な変化(6%)は見られなかったと報告している。またトレーニング後、MHC I筋繊維の最大パワーは著しく増加(56%)したが、MHC IIaの最大パワーはトレーニングに伴い有意ではあるが、少量の(16%)増加しか見られなかった。 テーパーの影響 研究者たちは、MHC I単一筋線維の特性に更なる変化は起きなかったが、MHC IIa 単一筋線維の力とパワーが急激に増加したという非常に興味深いテーパーの影響があったことを報告している。これは、テーパー期間の恩恵を最も受けるのはタイプIIA筋繊維であり、この期間中にタイプI筋繊維の機能は変化しないということを示唆している。 *** 研究者たちはどのような結論に達したのか? 研究者たちは13週間に渡る長距離走のトレーニングは、タイプI筋繊維とタイプIIA筋繊維の直径の減少、タイプI筋繊維の比率の増加、及び、ハイブリッドタイプの筋繊維の減少につながるが、タイプIIA筋繊維の比率の変化にはつながらないと結論付けた。彼らはまた、全ての筋繊維の機能的能力は保持、もしくは向上すると結論付けている。 研究者たちは、最大下ランニングにおける酸素消費量の減少、MHC I筋繊維の割合の増加とクエン酸シンターゼ(酸化)活動の増加により、測定されたこれらの有意な変化は、持久系ランニングパフォーマンスの向上に貢献し得ると結論付けた。彼らはこれらの変化のうち最初の2つは、心臓血管系の健康というよりはむしろ、ランニングエコノミーを向上することで持久系ランニングパフォーマンスを助けているということを示す変化であると記述している。 *** 制限要素は何か? この結果は、少人数の被験者を使用したことによりデータを推定するのが困難であったということにおいて制限があった。また上記にもあるように、筋肉の検体での研究は道義上少人数に限られていた。 この研究は最初から被験者が比較的十分にトレーニングされていたようであり、49.5 ml/kg/minという平均相対的最大酸素摂取量は非常に高い値であったということに制限があった。いかにして最初から被験者がこのように高い最大酸素摂取量の値を得たのかは明確ではない。またこの研究は、研究者が単一線維の直径のみを測定し、全体の筋繊維の断面積を測定しなかったという点においても制限があった。 実践的意義は何か? アスリートに対して 長距離走トレーニングは、タイプI筋繊維を犠牲にしたタイプIIA筋繊維の減少は引き起こさないようであるが、タイプI筋繊維とタイプIIA筋繊維両方の直径(ゆえに断面積も)は減少するようである。これはストレングス&パワーアスリートはコンディショニングとしての長距離走を避けるべきであるということを示唆している。 混合した割合の筋繊維を持つアスリートや、ストレングス、パワー、持久系全ての活動を行うアスリート(クロスフィットなど)は、持久系のスポーツに重きを置くアスリートよりもよりテーパーによる恩恵を受ける可能性が高い。 レクリエーションとして運動を行っている個人に対して 単一の研究から評価するのは困難であるが、これらの結果はすでにレクリエーションとして運動を行っている個人において、マラソンを行うことは、単に走る能力自体は向上させるが、心臓血管系の健康状態を著しく向上させはしないということを示唆している。
ダイナミック・ストレッチング
ストレッチするのか、しないのか?ダイナミック(動的)なのか、スタティック(静的)なのか?というように、フィットネス産業において、提起されている疑問があります。もう一つの疑問は、“ストレッチングはケガを減らせるのか?”ということです。これは、私が議論したい質問ではありませんが、私達の運動技能とパフォーマンスの向上として、ストレッチングを考察してみたいと思います。私にとって、動作を向上させたいのであれば、動作を向上させることでこれを行うということなのです。 まず第一に、私達はストレッチングを組織の長さを伸ばす、力学的な技能として理解していると思います。ある程度、これは真実でしょう。しかし、私はダイナミック・ストレッチングを、身体中の情報の流れを増大する神経学的技能としてもみています。皮膚、筋膜、関節包、筋肉に内在する身体中の数多くの受容体は、変化に反応します。いくつか例を挙げるなら、角度、長さ、張力、圧力、振動における変化です。動的動作は、恒常的な変化を作り出し、体位の静的変化は一つの変化しか作り出しません! 動作の球体が拡大することにより、情報の領域が拡大し、私達は更なる動作の可能性を高めます。動作が増大するにつれて、可動域、もしくは球体を拡大する能力を高めます。私の良き友人は、“動作が動作を作り出す”という言葉を造りました。これは、上記を総括するには、かなり良い考え方だと私は思います。よって、依然としてスタティックに行っているようでは、この動作の球体の拡大はありませんし、身体に動作の球体拡大の可能性を与えることもありません。 体内における情報機構の考察、特にこの情報において、筋肉のみを考察するのであれば、筋紡錘は良い出発点です。筋紡錘は、二種類の遠心性路(脳へ向かう情報)を持っています。一つは組織の長さに基づいていて、もう一つは長さの変化率に基づいています。これらの錘内筋線維が、ガンマ、及びアルファ運動ニューロンを経由する、フィードバックループに極めて重要であり、錘外筋線維の硬直(伸長への耐性)と動作の成功を制御しています。 筋肉の静的な伸長だけでは、ストレッチングの全容の半分だけしか描写できません。動作は成功のために、長さと長さの変化率の情報を必要とします。あなたの車のGPSシステムが情報の半分だけしか伝えず、その省かれた部分はあなたの移動速度であると想像してください。その結果、あなたは数多くの曲がり角を見逃すことになるでしょう! 私達はまた、線維方向、もしくは筋肉の縦軸に沿ってだけストレッチをする傾向にあります。筋紡錘の機械的な特性に目を向けるのであれば、これは筋紡錘を伸長し、張力を掛けた状態にしますが、縦方向に張力を掛けた状態で、垂直と回旋の張力を加えることを想像してください。これもまた、情報の流れに影響を与えることでしょう。これは、三次元性と動作がストレッチング、もしくは一連の過程を強化する動作には不可欠である理由を、筋肉の視点から証明しています。特にファンクショナル動作では、三平面すべてを使用しているのです。 また、私達はストレッチングを統合された手段として考えなければなりません。身体のような統合されたシステムにおいて、ある関節可動域は、他の関節において得られる可動域によって抑制されているかもしれません。私達が特定の機能の連鎖によって関節を分けてストレッチするとすれば、関節全てが統合させた時とは異なる可動域を得るかもしれません。実際、より小さな個別可動域ではあっても、より大きな統合的な動作は、関節が組織へのストレスを回避するために、最も求められる結果かもしれません。 多くの要因もまた、身体の柔軟性に影響を及ぼしています。ストレス、ダイエット、疾病、視覚等も影響を与ええます。私達が、筋紡錘の硬直を上方制御するガンマ運動ニューロンのフィード・フォワード機構と、筋線維の硬直を変えるアルファ運動ニューロンを理解すれば、上記のシステムにおけるストレス要因が柔軟性と身体の生体力学に対するこのような莫大な影響を持ちえる理由を考えるのが容易なのです。
肩のメルト モールド ムーブ
昨年、カリフォルニア州ハーモサビーチにあるレニーのクリニックで4日間の集中研修を受けた際に収録したビデオ。トゥルーストレッチに、分厚くて長いゴムのバンドを付けて行う組織へのアプローチ方法の一つをご紹介します。