より速いレップ速度は筋力の増加を助長するか? パート2/2

相対的負荷が制御されている場合、レップ速度は筋力の増加にどのような影響を及ぼすか? (ほとんど)トレーニングを行っていない被験者において、相対的負荷が制御された等慣性トレーニング後の筋力増加に対するレップ速度の影響を比較した数少ない研究は、下記のものである。 マン (2005) は115名のトレーニングを行っていない健康な被験者において、6週間に渡りレップ速度の筋力増加に対する影響を比較した。被験者は6−8RMでの肘の屈曲を週3回、速いレップ(1秒間に140度)で1セット、速いレップで3セット、遅いレップ(1秒間に50度)で1セット、もしくは遅いレップで3セット行った。介入の前後に研究者たちは1RM を測定した。研究者たちは、速い速度のグループには、遅い速度のグループよりも有意に大きな筋力の向上(11%)が見られたと報告している。 モリシー (1998) は7週間の実験におけるレップ速度の影響を調査した。その調査では、2つのグループのトレーニングを行っていない女性被験者が、遅い速度(2秒で上がり2秒で下がる)もしくは、速い速度(1秒で上がり1秒で下がる)という2つのコンディションのどちらかで、週3回、8レップ3セットのスクワットを筋限界まで行った。介入の前後に、研究者たちはスクワットの1RMと、等尺性、及び1秒間に25から125度までの等運動性の膝屈筋の筋力を測定した。 ラナ (2008) は、レッグプレス、バックスクワット、ニーエクステンションから成る6週間のレジスタンストレーニングプログラムを行った、34名の健康な成人女性におけるレップ速度の影響を比較した。研究者たちは被験者を様々なグループに分類した。高速高負荷のグループは6−10RMで1秒間のコンセントリック収縮と2秒間のエキセントリック収縮でのトレーニングを行い、低速高負荷のグループは6−10RMではあるが、10秒間のコンセントリック収縮と4秒間のエキセントリック収縮でのトレーニングを行った。研究者たちは低速高負荷のグループはレッグプレスとニーエクステンションの1RM が有意に増加(30%と27%)したことを発見したが、この増加は高速高負荷のグループの増加率(62%と54%)に比べると小さいものであった。高速高負荷のグループはスクワットの1RM が有意に増加したが、低速高負荷のグループではそれは起こらなかった。(46%対27%) リオウとホプキンス (2003) は27名の男性と11名の女性の熟練した短距離カヤック選手において低速及び爆発的なレジスタンストレーニングの効果を比較した。レジスタンストレーニングは6週間に渡り週2回行われ、1RM の80%でのベンチプレスとダンベルプルエクササイズが3~4セット含まれていた。低速のグループはエクササイズの所用時間が1.7秒となるようなテンポでエクササイズを行い、爆発的なグループの所要時間は0.85秒以下であった。研究者たちはコントロールグループ(3%以下)に比べ、この両方のグループでは実質的に8−15%の筋力の増加がみられたことを発見している。しかし彼らはより遅いレップ速度でのトレーニングに比べ速いレップ速度でのトレーニングは大幅に筋力の増加がみられたことも発見している。(グループ間の差異はベンチプレスでは7.9%、ダンベルプレスでは5.5%であった。)彼らはこれらのグループ間の差異はかなり大きいものであると評価した。 インゲブリクトセン (2009) は27名の被験者において、高速及び低速でのバーベルトレーニングの筋力の増加に対する影響を比較した。被験者は高負荷高速のグループと高負荷低速のグループに分かれ、週3回3週間に渡り、10レップ5セットのバーベルバイセプスカールを行った。両方のグループで使用された負荷は、最大等尺性トルクの60%であった。介入の前後に被験者たちは等尺性及び等運動性(1秒に30度,90度,240度、300度の速度)の肘屈筋の筋力を測定した。研究者たちは高負荷高速のグループにおいて等尺性の筋力が有意に増加(9.7%)し、高負荷低速のグループのみで低速(1秒間に30度)での等運動性筋力が有意に増加(8.5%)したことを報告している。ゆえに筋力測定は両方の方法において有意な相違を示しており、下の表はグループ間に著しい違いはなかったということを記録している。 ヤングとビルビー (1993) は、7.5週間に渡る実験でレップ速度の影響を比較した。実験で被験者は速いレップ速度もしくは遅いレップ速度で週3回、8−12RMのハーフスクワットを4セット行った。高速レップのグループは、爆発的なコンセントリック収縮の後に制御されたエキセントリック収縮を行い、低速レップグループはコンセントリック及びエキセントリック収縮を低速で制御された状態で行った。研究者たちは、両方のグループにて等尺性と1RM の筋力の測定値が有意に向上したが、グループ間での有意な違いは見られなかったということを発見した。低速のグループは高速のグループに比べ等尺性の筋力が向上した(24.6%対12.5%)という非有意な傾向がみられた。 ペレイラ (2007) は、12週間の実験で、トレーニングを行っていない健康な14名の被験者において、レップ速度の筋力増加に対する影響を比較した。被験者は不作為に、2つのトレーニンググループ、もしくはトレーニングを行わないコントロールグループに分けられた。低速のグループは1秒間に0.44ラジアンの速度でトレーニングを行い、高速のグループは1秒間に1.75ラジアンの速度でトレーニングを行った。トレーニングプログラムには、週3回の8−10RM でのスクワットとベンチプレスが1セット含まれていた。研究者たちは低速のグループと高速のグループの両方において、スクワット(27.6 ± 16.8 対 21.4 ± 12.6%)とベンチプレス(16.8 ± 11.8 対16.2 ± 14.1%)両方の筋力が向上したが、これら2つのグループの間に有意な差異は無かったことを観察した。低速のグループではスクワットの1RMがかなり向上したという非有意な傾向があった。 *** いかにしてこれらの研究を要約することができるか? 下記の表には、要約された前研究の結果が示されている。7つの研究のうち4つは、相対的負荷を制御した状態での速いレップ速度の結果が有意に優れていると示している。1つの研究は相反する結果を発見しており、さらに2つの研究は遅いレップ速度に有利である非有意な傾向を発見している。 研究論文は未だいくらか相反しているものもあるが、要約すると、等慣性トレーニングにおいて相対的負荷が制御されている場合、速いレップ速度は遅いレップ速度よりも筋力の増加に対して優れているようである。 *** 実践的意義は何か? ストレングスアスリートに対して: レップ速度が、選択されている相対的負荷に影響を与えない場合、速いレップ速度の方が筋力の増加に対し有益なようである。ゆえにストレングスアスリートに対しては速いレップ速度が推奨できるであろう。

ストレングス・コンディショニング・リサーチ 3049字

登板と登板の間の新しいトレーニングモデル:パートB (1/2)

(パートA1/3はこちらへ) (パートB2/2はこちらへ) この連載記事パートAにおいて、私は投手の長距離ランニングに関して間違っているすべての事柄について討論しました。パートBでは、各登板の間で、投手がコンディションニングをどのように統合することが最善なのか、私の考えの概要を述べたいと思います。この記事では、先発投手の管理に焦点を当てていきますが、リリーフ投手の管理についても、完全に違うというわけではなく、もう少し“柔軟に対応する”必要があるだけということが分かっていただけると思います。 この記事を紹介する最も良い方法は、年の始まりから偶然に起こる一致について論じることであると思います。あるプロ投手からEメールを受け取りました。彼は、このメールで、私が登板間における先発投手のストレングス・コンディショニングの考え方のいくつかを概説できるかを尋ねてきました。というのも、彼は試合の優秀選手で、伝統的でない方法を試していたため、彼の大学時代のピッチングコーチが、彼の得た情報を求めてきたのです。そのメールへの返事として、この記事で述べるすべてのことに加えて、長距離ランニングがどれほど悪い選択なのかということに関してパートAで概説していることのすべてを伝えました。 偶然の一致は、1、2週間後の最新版のストレングス・コンディショニングリサーチ誌を手に取って初めて分かりました。その雑誌には、“大学生野球選手における、パワーと持久力トレーニングの非両立性”というタイトルの研究が掲載されていました。 これらの研究の中では、大学生のピッチングスタッフを8人ずつ2つのグループに分け、シーズンを通して、それぞれのグループで、トレーニングプログラムの中のランニングの部分以外は、まったく同じことを行いました。週に3回、“スプリント”グループでは15-60mのスプリントを10-60秒の休息で、10-30回行いました。持久力グループでは、週に3-4回、大体20-60分程度、中強度から高強度のジョギング、または、サイクリングを行いました。 シーズンを通して、持久力グループのピークパワーの出力は平均39.5ワット減少していったのに対して、スプリントグループでは平均210.6ワット増加していきました(1)。つまり、基本的に、すべてにおいて私は正しかったということであり、それについて自慢するつもり満々です。この連載のパートAでは、ただ単に私の考えのすべてを正当化しました;今度はそれらを枠組みにまとめていく時期でしょう。 いくつかの前提Q&A パートAへの反応として、さらなる詳細を知りたい一人の大学投手コーチからEメールをいただきました。以下が彼の質問であり、私の見解です: Q:1週間に1-2マイル(1.5~3km程度)のランニングは長距離ランニングになるのでしょうか? A:まさかとお思いでしょうが、私は、投手にとって、150m以上はすべて、“長距離ランニング”であると考えます。私はここ2年間、野球選手に60ヤード(約55m )以上走らせたことがありません。60ヤード走る場合でさえ、加速されていくわけですから、その距離の約50%しか、全力、または全力に近いスピードでないということです。 Q:1分休息、30秒間のポール走10本は長距離と考えますか? A:ポール間を30秒で走り、1分間休む(1:2 運動:休息割合)としましょう。フィールドに出て、投球をする場合、1秒間の最大努力と20秒間の休息になります(1:20 運動:休息割合)。これは100mの短距離走者が、1,500m走者のようなトレーニングをするのと同じことになります。 Q:試合で9イニングを投げきるために、持久力は必要ではないでしょうか? A:もし持久力がすべて同等に作られるのであれば、ランス・アームストロングはニューヨークかボストンマラソンで優勝してしまいませんか?持久力は技術に対して、大変特異的です。さらに、ほぼ完全な休息を挟んで、20-25回以上それぞれで最大パワーを発揮することと、休息なし、または、最小限の休息で、最大下パワーを発揮することの間には大きな違いがあります。 Q:過体重の人はどうでしょうか?何をするべきですか? A:太った人は文鎮、用心棒、相撲力士、または、大食いチャンピオンのはずです。彼らが、D1かそれ以上のレベルで選手として成功したいのなら、つべこべ言わず、悪い食生活を止めましょう。数年前、質の悪い食餌を補うために追加のコンディショニングを実施することを決してしないと自分に誓いました。 Q:インターバルトレーニングについてどのように考えていますか? A:インターバルトレーニングは脂肪燃焼のために、心拍数定常トレーニングよりも優れていることは分かっていますが、考慮すべき重要なことは、それがそのスポーツ自体に特化していなければならないということです。 参考文献 1. Rhea MR, Oliverson JR, Marshall G, Peterson MD, Kenn JG, Ayllón FN. Noncompatibility of power and endurance training among college baseball players. J Strength Cond Res 2008 Jan;22(1):230-4.

エリック・クレッシー 2113字

登板と登板の間の新しいトレーニングモデル:パートB (2/2)

(パートB1/2はこちらへ) パートB1/2のQ&Aへの回答が、下記のポイントへの段階設定となります。 秘訣は、長いトレーニングを低強度(70%以下の心拍数)のままで行い、それ以外のトレーニング(これにはスタートトレーニング、アジリティ、60ヤード(約54m)までのスプリントが含まれます)を最大努力の90%か、それ以上の強度で行うことです。この件についてさらなる情報が欲しい方は、パートAのMcCarthy他の研究1を参考にしてください。 理想的には、低強度の運動はかなり大きな関節可動域を含むこと。(詳細は以下に) 試合の状況で、投手が15ヤード(約13m)以上走ることはほとんどないということを忘れないでください。 ストレングストレーニングと可動性トレーニングは、重要性の基準においてランニングよりもかなり重要です。 投球に特化したスタミナをつける必要があるなら、その目的を達成する最良の方法は、単純に投球練習をし、徐々に投げる球数を増やしていくことです。その過程を促進するための何かを補足する必要があるなら、メディシンボールメドレーを追加することができます。それは、正しく実施することができれば、左右のアンバランスを解消させることにも、とても役立ちます。しかし、適切なオフシーズンの投球プログラムとシーズン初期の適切な投手の管理は、投球に必要とされる特異的な持久力を養うことであるべきです。 5日間のローテーション 5日間のローテーションの場合、これが典型的なプログラムの立て方です。動的柔軟性と静的ストレッチングは毎日行うものであることを心にとめておいてください。 0日目:登板 1日目(あるいは、可能であれば登板直後):難易度の高い下半身ウエイトトレーニング、腕立て伏せのバリエーション(軽め)、水平の引く動作(軽め)、回旋腱板トレーニング。 2日目:動きのトレーニングのみ、10-15ヤード(約9-13m)のスタートトレーニング、アジリティトレーニング、トップスピードスプリント(50-60ヤード)(約45-54m)を中心に行う。 3日目:ブルペン投球(通常は)、片脚トレーニング、難易度の高い上半身ウエイトトレーニング(シーズン中は垂直に引く動作は控えめに)、回旋腱板トレーニング 4日目:低強度の動的柔軟性サーキットトレーニングのみ 5日目:次回の登板 注意: もし登板間隔が5日に伸びた場合、一般的には3日目のウエイトトレーニングを2回に分け、4日目には同様に動きのトレーニングを行います。 登板の間に、多くの人が(私を含め)1回以上投球練習を提唱すると思います。単純化するために、私はこれらを含めていません。 このルールの例外も当然あります。たとえば、回復が困難である場合、2日目をすべてオフにし、3日目のブルペン投球後とウエイトトレーニング前にスプリントトレーニングを行います。4日目をかなり軽めにすることに加えて、ローテーションの中に1日の完全休養日を加えます。 7日間のローテーション 7日間のローテーションでは、積極的にトレーニングを行うために、より柔軟に選択肢を選べる余裕があります。というのも、特に、登板の間に2-3回の投球練習をすることができるため、シーズン中でも、大学野球において大きく成長できる場合があるのは、こうした理由があるからです。重複になりますが、動的柔軟性と静的ストレッチングは毎日行います。これを単純化するため、土曜日の先発投手を管理すると仮定します。 土曜日:登板 日曜日:難易度の高い下半身ウエイトトレーニング、軽い回旋腱板トレーニング 月曜日:動きのトレーニングのみ、10-15ヤード(約9-13m)のスタートトレーニング、アジリティトレーニング、トップスピードスプリント(50-60ヤード)(約45-54m)を中心に行う。 火曜日:低強度のレジスタンストレーニングサーキット(1回の最大挙上の30%以下)、長めの動的柔軟性サーキット 水曜日:全身ウエイトトレーニング 木曜日:動きのトレーニングのみ、10-15ヤード(約9-13m)のスタートトレーニング、アジリティトレーニング、トップスピードスプリント(50-60ヤード=約45-54m)を中心に行う。 金曜日:低強度の動的柔軟性サーキットのみ 土曜日:再登板。 もちろん、時として、移動により、このスケジュールが狂わさせることもありますが、幸運なことに、大学生投手は間に6日間あるので、もとのスケジュールに戻すために、柔軟に対応することができます。 締めくくり おわかりの通り、私は量より質を重要視します。ほとんど週で2回しか選手にスプリントをさせませんし、3回以上は確実にさせません。これは、各登板間のトレーニングに関しての唯一のアプローチではありませんが、私達が指導する選手達にとって、最も効果的なものであることを確認しています。 参照 1. Rhea MR, Oliverson JR, Marshall G, Peterson MD, Kenn JG, Ayllón FN. Noncompatibility of power and endurance training among college baseball players. J Strength Cond Res 2008 Jan;22(1):230-4.

エリック・クレッシー 2129字

理学療法によって回旋筋腱板断裂の手術を防ぐことは可能か?

回旋筋腱板の再建手術、及び、術後のリハビリは、整形外科や理学療法の学会において、肩のトピックの中で最も議論される論題の一つであり続けています。回旋筋腱板再建手術の失敗率を報告している研究は、数多く発表されており、その範囲は25%-90%となっています。 この失敗率は間違いなく注目するべきものですが、まずは「失敗」という言葉を定義する必要があります。従来の研究モデルでは、手術の成功とは回旋筋腱板が完全な状態であることと定義されており、これは理にかなっています。しかし、これらの研究における、さらに興味深い発見の一つは、再腱に「失敗した」にも関わらず、多くの患者が機能状態、および手術の結果にかなり満足しているということです。放射線検査の所見よりも、患者の術後の経過や満足度がより重要であれば、「失敗」をどう定義するかという問いかけをしなければなりません。 こういった研究により、回旋筋腱板再建手術後の理学療法の役割についての討議が活発になり、また多くの医師がより保守的になり、経過を見て、時間をかけて治療するようになりました。これは、明らかに複数の医師が、初期の理学療法が手術の失敗の原因だと信じていることを示しています。しかし、この考え方は完全ではなく、組織の質、断裂の度合い、患者の選択、手術の技術などの要素の方がより、最終的な失敗率に関係しているかもしれません。 もう一つ考慮すべき見解は、回旋筋腱板の再腱に失敗したのにもかかわらず、患者の満足度が高いということです。たとえば、下記の状況を満たしていれば、患者は満足だといえます。 痛みが少ない 可動域を取り戻した 機能的活動ができる そのため、真に問われるべきは、次のような質問です。手術失敗率が90%にも迫る一方で、手術後の満足度や結果には高い改善が見られるのであれば、回旋筋腱板断裂に対し、手術をせずに理学療法のみに専念することは、患者の痛みの軽減、可動性の復元、日常生活への復帰に、手術をするのと同様の効果をもたらすことができるのでしょうか? 回旋筋腱板断裂に対する理学療法は手術の必要性を妨げることができるか? Journal of Shoulder and Elbow Surgeryで最近発表された研究は、まさにこの問いについて検証します。米国の複数の場所に拠点を持つ研究チームであるMOONショルダーグループが、外傷なしの回旋筋腱板完全断裂を持つ381人の患者グループを最低二年間追跡しました。患者の平均年齢は62歳で、年齢の幅は31歳から90歳でした。 患者は、手術をせずに、回旋筋腱板筋群の強化、軟部組織のモビリゼーション、関節モビリゼーションを中心とした6-12週間の理学療法を受けました。 6週間経過した時点で一度評価をし、9%の患者が回旋筋腱板再腱手術を受けることを選びました。12週間経過したところでまた評価をし、さらに6%の患者が手術を選びました。2年間の追跡経過の時点において、全部で26%の患者が手術を選択しました。統計分析によると、最初の12週間内に手術を行わないリハビリテーションの方法を選んだ場合、手術をする必要はなくなるようです。 患者の75%近くが、回旋筋腱板の完全断裂があるにもかかわらず、理学療法を行うことによって、再腱手術を避けることができました。 これはとても重要な発見です。 保存療法時の回旋筋腱板のリハビリの鍵 この研究結果は、回旋筋腱板断裂の治療において、大きなインパクトを持っています。たとえ回旋筋腱板が完全に断裂していても、手術の前に理学療法が施されるべきです。治療の結果を最大限にするためにも、包括的なリハビリプログラムを作成するべきです。私が回旋筋腱板断裂のある患者を診るときには、3つのキーポイントに注目します。 肩の可動性の復元 これは、受動的可動性と能動的可動性の両方を含みます。受動的可動性において、肩の可動域は回旋筋腱板の症状がひどくなるにつれ、徐々に失われます。これは、痛みを避ける行動や、肩を動かさなくなること、あるいはその他の要因などが原因だと考えられます。関節窩上腕関節包の可動性の低下や、軟部組織の制限などがよくみられるでしょう。患者それぞれに固有な、動きの制限によって、軟部組織のモビリゼーション、関節モビリゼーション、可動性を高めるエクササイズを選択する必要があります。 動的安定性を得るために回旋筋腱板の機能を回復する これは、肩の能動的可動性の復元と本質的に同じことです。制限のない能動的可動性を得るためには、回旋筋腱板が適切に機能する必要があります。以前の記事で、つり橋理論、および、症状なしに回旋筋腱板断裂が起こる理由について説明しました。次の図で御覧のとおり、前部および後部の回旋筋腱板筋群が適切に機能していれば、棘上筋が断裂していても腕を挙上することができます。 肩の筋力と動的安定性を向上するエクササイズが取り入れられるべきです。私の経験では、外旋の筋力が最も制限されており、最も注目する必要があるものだと思います。 キネティックチェーンに与える衝撃を減らす 肩の可動性と安定性の復元に加え、肩の機能におけるキネティックチェーンの影響についても考える必要があります。肩甲胸郭関節、頚椎、胸椎、腰椎骨盤複合体における機能に、何らかの障害があるかを見極めるべきです。これらのエリアは、関節窩上腕関節のアライメント、可動性、安定性に重要な影響を与えます。 これらの原則を用いれば、回旋筋腱板断裂を持つ患者の75%を再腱手術から救うことができる可能性を持つプログラムを作成することができます。このような研究が、手術の有無に関わらず、理学療法が回旋筋腱板断裂を持つ患者の満足度と結果に与える影響を明らかにしていくことを望みます。

マイク・ライノルド 2527字

投球の方法

与えられた状況下において、ベストなエクササイズとは何かという議論がフィットネス業界でたびたび行われます。よく注意を払っている多くの方がご存知のように、ベストなエクササイズとは、最も必要とされているエクササイズです。だからこそ私達はアセスメントを行い、課題に取り組むのです。 発展途上にある、9歳以下の小児に話題を移しましょう。私は子供の成長に必要なエクササイズを数多く挙げることができます。もちろん、ニーズによって、望ましいエクササイズとそうでないものがあります。しかし、適切に行われば、全てに勝るエクササイズが一つだけ存在します、それは投げることです! 動きの基礎 運動競技や動作全般において鍵となる基本の動作は、数多く存在します。頭に思い浮かぶリストを挙げてみましょう: 屈曲から伸展へ 伸展から屈曲へ 重心移動 前額面における移動 矢状面における減速 水平面における加速と減速 コーディネーション 各部位の総和 バランス パワー 精度... 私達にはかつて、石や槍を投げて獲物を捉える方法を知らなくてはならない時代がありました。投げることは、私達の生存の根底にあるものだったのです。 小児期に投げる方法を学ぶことにより、多くの事を成し遂げることができます。彼等は、身体の加速と減速を全ての面でコントロールすることを体得します。対象物(ボールであることが多い)の速度、距離、高さ、精度、そして感触のコントロールを習得します。 野球のボールの投げ方の基礎 投球の戦術的、戦略的要素を発達させる方法は、数多く存在します。段階別に教えることにより、若者の自信と自己効力感を向上させることができます。 考えられる段階を以下に挙げます: 効率を高めるための、投球の技術的側面の指導(対象物の握り方、重心の移動の仕方、フォロースルーの方法等) 投球の標的に関する側面の指導(静止物、移動物、リリースポイント等) 投球の異なる可変要素の指導(距離、ボールの握り方、高さ、リードタイムの長さ等) *リードタイム 投球動作の開始からフィニッシュまでの時間 適切なタイミングでボールを操作する方法の指導(リリース時にボールにスピンを加えるか否か) 腕を使い、異なるリリースアングルでタスクを実施する指導(ハイリリース、サイドスロー、アンダースロー) 上記全ての可変要素を定位置、ランニング、シャッフル時、リトリート(追いながら、または追われながら)の状態で実施する指導 投球は、特定のスポーツパフォーマンスを向上のためにも、総合的な運動動作スキルとしても貴重なツールを若者に提供する優れたスキルです。 そしてご存知でしたか?左手と同様、右手の投球を若者に指導することも価値のあることなのです。

リー・タフト 1255字

運動連鎖:肩のアセスメントのケーススタディ(ビデオ)

ギャリー・グレイに関する、数多くの逸話的エピソードのひとつである、メジャーリーグのピッチャーのアセスメントに関する話をギャリー自身が解説してくれます。肩を痛めて相談に来ているピッチャーの投球フォームを観察して、最初にギャリーが彼に尋ねたのは”足首を捻挫したのはいつ?”でした。身体の運動連鎖に関わる興味深いエピソードです。

グレイインスティテュート 9:06

強さは期待に背いた

なぜ変えるの? なぜ何かを違うやり方で行うの? 私達が集中するべきことは”古き良き動作”ではないのでしょうか? これまでのやり方に従えば良いでしょう? 言いたくはありませんが、それは真っ赤な嘘です! 実のところ、私達はかつて正しい方向に進んでいたのです。私達は正しいアイデアを持っていました。しかしマーケティング、エゴ、そしてメディアは私達を確実に妙な方向へと導いたのです。 身体的トレーニングが発祥してから大部分の間、最小限の動きしか要求しない、定位置的なエクササイズへの焦点は、人々が行うトレーニングに含まれていませんでした。 動きを伴った筋力に焦点が置かれていたのです 昔のジムが、巨大なバーベルやマシンを重要視していなかった点に、多くの方が戸惑うことでしょう。むしろ、当時は筋力を動作につなげることを重要視することが、より一般的な考え方でした。 考えてみてください。 最も初期のストレングストレーニングのエクササイズの大部分は、ラック、マシン、確実に予測できる環境下で行われてはいませんでした。なぜでしょうか? それは、初期に行われた身体準備活動の多くが、兵隊が生存し、戦闘に勝ち、立ち向かう全てものに備えるものであったらからです。 真の意味での、最も古いトレーニングの形態を考えてください。レスラー、格闘家、体操選手は正しいアイデアを持っていました。 トルコ人のレスラーは競技のために、何世紀もの間トレーニングを積んできました。彼等の見た目は、特に健康そうでも強そうでもありませんが。 ;) 強さを定義することは困難かもしれませんが、目で見てはっきりと分かるものでも決してありませんでした。 強さとは、それを目撃した時に分かるものだったのです。強さを伴った動作、身体能力、柔軟性、コーディネーションを兼ね備えるもの。しばしばフィットネスの雑誌やブログで見かける、偽りの強さではありません。 何が起こったのでしょうか? バーベルのアイデアと、”大きければ大きいほど良い!”という西洋の考えがどうやらフィットしたようです。 そう思いませんか? 簡単に目で確認できて、かつ測定でき、実際に彼等は大きいのですから。間違っているはずかありませんよね? 面白いのは、初期のバーベルトレーニングはそのように見られていたわけではないということ。早期導入者はこの哲学を何年も守り続けていました。(自称”オールドスクール”の方達、バーベルの歴史がたった100年足らずであることを忘れないようにしてください) 現在の基準からいえば、これらのトレーニングは危険だと多くの方がおっしゃるでしょうが、バーベルの若齢期においてごく一般的な方法であったのです。 現代的ボディビルディングと、マシーンでのトレーニング、そして重量挙げといったものに対する過度の強調と共に、物事は大きく変化していきました。 私は、変な懐古主義のために古いやり方を続けようと提案している訳ではありません。 しかし、そこから私達が学べる事は絶対にあるはずなのです! ”現代”の強さへの考えが普及するにつれて、総合的なフィットネスの考えは衰退していきました。可動性が高いか、強いか、アスレチックの、どれかひとつとなり、3つ全てを兼ね備えることは稀になりました。 選択しなくてはいけないのでしょう? なぜ多くのプログラムが自重か重量のどちらかを選択させるのだと思いますか? どうせ、ほとんどのプログラムがその両方を繰り返すのだから、お互いがもたらす効果を得られるわけですが。 実際、この点においてクロスフィットは、他のプログラムよりも的を得ていると私は思いますが、それでもそこには大きなギャップがあります。動作ベースの自重エクササイズと、ウェイトを使ったエクササイズは大きくかけ離れているべきではありません。 ただウェイトを使うというだけで、なぜトレーニング哲学が分離してしまう必要があるのでしょうか? ウェイトトレーニングは動作ベースのトレーニングと同じようにダイナミックで、アスレチックで、よく考えられたものであるべきではないでしょうか? ウェイトトレーニングは、ただ重たい物を持ち上げるだけ、以上のものに成り得ますか? 正直に言うと、私はこの考えを念頭に、DVRTアルティメイトサンドバッグトレーニングを始めた訳ではありません。むしろ、実験を行い、可能なことを検証し始めてから、私にとって全てが変わり始めたのです。 私がワクワクしたのは、昔の強い人が奇妙な物体を使用していたからではなく、彼等の意図を初めて本当に理解したと思ったからです。強く、機敏に、しなやかに、持ちこたえる! このような経緯から、一つのことにのみ集中するのではなく、時間をかけてそれらのコンセプトを伝えていくシステムの構築に集中することにしました。 これが、最もパワフルなエクササイズの一つでもあり、異なるフィットネスレベルに対応する、私の大のお気に入りのドリルの一つを紹介させていただきたかった理由なのです。それはDVRTアルティメイトサンドバッグトレーニング ローテーショナルランジクリーンアンドプレスです。 なぜでしょう? バーベルを荷重し、より一般的なバーベルクリーンに焦点を置かないのはなぜでしょうか? ローテーショナルランジクリーンは全てをカバーします。本当にそうなのです! もしそれが本当に良いのであれば、なぜより多くの方が行わないのでしょうか? それは多くの場合、彼等がやり方を知らないからです… どのように導入し、 どのように漸進し、 人々が成功するように、いかに導くか。 何人かのトレーナーやコーチ達がこのドリルを”複雑過ぎる”とする事実は、私達が正しい方向に進んでいるのだと私に教えてくれます。私達の身体は、様々なことができる可能性があるのに、なぜそれを制限してしまうのでしょうか? ローテーショナルランジクリーンをごまかして行うことはできません。 ローテーショナルランジクリーンを通じて弱点を学びます。 身体能力の全ての要素をローテーショナルランジクリーンで成長させることができます。 もうためらう理由はありませんよね? あなたのフィットネスの見方を改めることになる、このドリルをチェックしてみましょう。

ジョシュ・ヘンキン 2730字

絶対に欠かせない長時間・低強度の心血管系運動 パート1/4

聞きたくないかもしれませんが、ぜひ聞いてください。 きっと、皆さんのプログラムに、低強度のコンディショニングトレーニングを組み入れる必要がある可能性は高いはずです。 長時間・低強度の心血管系運動には計り知れない効果があります。 発達した心血管系機能。 より深い安眠。 より少ないストレスと不安。 皆さんには2つの選択肢があります。近年提唱されているホットで人気のあるコンディショニングの「定番」への挑戦になるかもしれません。 すぐさま「コメント」欄へスキップして、私を激しく非難する。そして、お気に入りの教祖的人気の指導者が提唱する方法を信じ続けるか、または、 このポストを完読し、皆さんが実施しているトレーニングにどのように関連しているかを考え、低強度の心血管系運動をプログラムに取り入れることを検討する。 選択するのはあなたです。 まずは話の背景から: 私は、NSCA(ナショナルストレングス&コンディショニング協会)から思いがけなく「パフォーマンストレーニングジャーナル」への投稿の依頼を受けました。 記事にはいくつかの規定がありました: 750−1000語の範囲でなくてはならない。 あまり「科学」に偏りすぎない。 コンディショニングに焦点を絞る。 この規定そのものが、いくつかの問題となったのです: 750-1000語とは、私がこれまでに書いた長めの記事の序文と同じぐらいの単語数しかありません。私が有償で書き上げる原稿は、何万語もあり、750-1000語では、ウォームアップにもならなければ、自分の意見を裏付けることさえできません。 引証しなくてはならなくても、妥協案が見つかりません。科学が好きな人は科学を要求します。すべてに関して引用や参考文献を求めます。コーチ方法の結論だけを知りたいという人は、リサーチのことなんかほとんど気にしていません。それは、どうせ読んでも分からない暗号のような論文や記事を著者が当然数多く参考にしているだろうと仮定しているからです。私見ですが、これは、往々にして、リサーチが「やり過ぎ」または「少な過ぎ」てしまい、どうにもうまくいかない状況のようです。 最後に大事なことですが、すべてのことを狭い範囲の要点に絞り込まなくてはなりません。最初、ここIFAST(著者のトレーニング施設)で実践されているコンディショニング評価を網羅しようとしましたが、これを適当な範囲まで減らさなくてはならない(編集方針に適合させなければならない)ことに、すぐに気がつきました。 そして記事が出て一日も経たないうちに、ツイッターに抗議のつぶやきを受け取りました。名前を聞いたことも、会ったこともない人物から、心臓の左心室を過度にトレーニングすることができるなどと、訳も分からないことを書いている等等とね。それでも彼の絶え間ない突っ込みのおかげで、私がここに本当に長いブログポストを書くことになったわけですから、皆さんはラッキーです! じつは、理由は他にもたくさんあるのですが。 人から賢いと思われようが、賢くないと思われようが、私はまったく気にしませんが、皆さんには是非好ましい成果を遂げてほしいのです。 フィールドスポーツにおいて、慢性的に交感神経優勢の選手が、解糖系エネルギー供給機構にばかりに頼り、試合で3、4分も経たないうちにガス欠になるのを見るとやりきれない気持ちになります。「一生懸命がんばる」だけではない他のコンディショニング方法やエネルギーシステムの育成方法も存在することを、そんなコーチや選手に理解してほしいのです。 ひとつのエネルギーシステムトレーニング(たとえば、高強度インターバルトレーニング、略してHIIT)が、すべての解決策であるという考えにはうんざりしています。20:10(20秒間の高強度運動:10秒間の休息)タバタ式インターバルを2回行えばガンが治ると思っている人だっているにちがいません。 (注:皆さんが良く行う、ただ単に20:10インターバルを8回繰り返すのは、タバタ式ではありませんが。) 残念ながら、すべての基準をカバーする、万能な唯一のコンディショニング方法はありません。その代わりに、有酸素系の基礎を発達させ、高強度と低強度の混合方法を時間をかけて実施すれば、より回復力のある、より良くコンディショニングの整った選手を育てることができます。 では、なぜこれらのことがそれほど重要なのか、生理学の基礎から始めましょう。 長時間・低強度の心血管系運動の効果 有酸素トレーニングはひどく非難されています。 しかし、有酸素トレーニングは、皆さんが考えているようなものではないということを主張したいと思います。 ここでは、長時間運動について焦点を絞りお話ししましょう。総合格闘技のアルティメイトMMAコンディショニング教本でジョエル・ジェイミソン氏は、このタイプのトレーニングを心拍出量向上トレーニング、または略してCO向上トレーニングと呼んでいます。 CO向上トレーニングだけが、有酸素系エネルギー供給機構をトレーニングする唯一の方法ではありませんが、たいへんパワフルで多くの効果が見込まれます。 ATP生成の増加 もし、生理学の基礎の授業を取ったことがあれば、身体のエネルギー生産は最終的にATPとなることをご存知ですね。ATPは、私たちの筋肉を収縮させるための「燃料」のようなものです。ですから、これなしでは、私たちの身体は役に立たなくなってしまいます。 人体には3種のエネルギーシステムがあります: ATP-クレアチンリン酸系 無酸素(解糖)系 有酸素系 この3つシステムにはそれぞれ明確な短所と長所があるというのが、すばらしいところです。 ATP-クレアチンリン酸系は、一工程しかないので最も速くエネルギーを産生できます。 その一方、ATP-クレアチンリン酸は、たった6-10秒間しか燃料を供給できません。これでは、ダメですね。 有酸素系は、スペクトラムの反対端に位置づけることができます。有酸素系では、エネルギー供給速度が最も遅くなりますが、スタートすると驚くほど生産的で回路を一周するだけで36ものATPをどんどん作り出します。 有酸素系エネルギー供給機構のもうひとつのメリットは、それがエネルギーをすべて出し切るまで、身体は何時間でもこの機構に燃料を頼れるということです。 ATP-クレアチンリン酸系と有酸素系の中間的存在に無酸素(解糖)系があります。エネルギー産生が速い(ATP-クレアチンリン酸系のように)というメリットがありますが、長時間継続する容量がありません。 この他の欠点として、高強度の無酸素運動は、精神的にも身体的にもまさに過酷です。 結論を言えば、長時間継続するような運動ができるようになりたければ、しっかりとした健康的な有酸素系エネルギー供給機構が必要なのです。 回復の向上 もし、長時間エネルギー産生が欲しい、または必要であれば、有酸素系エネルギー供給機構システムが担当であることは明白です。 しかし、そんなことはすでに広く知られていることで、多くの人達がまだ気づいていないのは、頑強な有酸素系エネルギー供給機構が、強度な反復運動後やトレーニングとトレーニングの間でもより速やかな回復を可能にすることです。 トレーニング中に交感神経系が高まりますが、これは常に活性化させたりスイッチを入れたりするべきものではありません。そうなってしまうと、回復を妨げ、睡眠に影響を及ぼすでしょう。

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絶対に欠かせない長時間・低強度の心血管系運動 パート2/4

長時間・低強度の心血管系運動の効果(続き) 心臓の効率性 ここから、COタイプトレーニングに特有な肝心の詳細に入っていきます。 先ほども言いましたが、COとは、心拍出量のことでしたね。つまり、トレーニングのターゲットは主に心臓なわけです。私より賢い人達は、末梢系の適応(たとえば、筋肉、酵素、毛細血管化など)よりも、中枢系の適応(たとえば心臓)を追求していると言うでしょう。 低強度トレーニング(一般的に120-150回/分)をする場合、最大量の血液が心臓の左心室へ流入します。 強制的に左心室に血液を送り込むと、血液は心臓壁をストレッチするに十分なだけ、そこに留まります。時間の経過と共に、適応が起こります。つまり、単純に左心室はストレッチされ、大きく、そして広くなるのです。 心臓壁をストレッチすると、心臓の拍動ごとに、より多くの血液を取り込み、送り出すことができます。これを専門用語で、一回拍出量と言います。つまり、一回の心臓の拍動によって拍出する血液量のことです。 これらすべてのことが、心臓の効率性を上げるのです。拍動ごとに血流を増やせたら、心臓はこれまでのように速く拍動する必要がなくなるのです。 なので、心拍出量向上トレーニングは、一回拍出量を増加させ、安静時の心拍数を下げるのです。 すばらしいでしょう? 高強度エクササイズの実施が心臓に与える効果は、やや異なります。心臓が大きく広くならない代わりに、心臓壁が厚くなるのです。 考えてみてください。心臓が速く拍動するということはつまり、心臓はできる限り速く、そして力強く血液を心臓に戻し、送り出そうとしているということです。 よって、心臓への適応は、高強度エクササイズと低強度エクササイズとでは大きく異なるのです。この適応は、心臓への影響だけではなく、広範囲にも影響をもたらします。 続けて読んでくださいね。 自律神経の転換 私たちのクライアントと選手を評価する上で重要な事柄のひとつは、副交感神経または交感神経のどちらが優位になっているかということです。 手っ取り早い入門として、いくつか覚えておきたい事項を挙げておきます: 交感神経 ― 硬く緊張した筋肉、不安感、闘争・逃走反応など 副交感神経 ― 落ち着き、リラックス、休息と消化など クライアントや選手が、副交感神経または交感神経どちらが優位(心臓の適応に伴って)になっているかを調べる簡単な方法のひとつとして、安静時の心拍数チェックがあります。 もし、常に心拍数が60回/分より高い場合、交感神経がより優位であると言えます。想像できると思いますが、安静時の心拍数が高ければ高いほど交感神経がより優位になります。 もし、常に心拍数が60回/分より低い場合、副交感神経がより優位であると言えます。 COスタイルのトレーニングは、交感神経を鎮めるのに役立ち、それによって落ち着き、リラックスできるようにします。CO向上トレーニングをほんの数週間プログラムに取り入れた結果として、どれほどリラックスし、よい睡眠がとれたかを、数多くのクライアントと選手が、コメントしています。 高強度運動のトレーニングとトレーニングの間のリカバリー 優秀な選手はすべて、長時間にわたってハードに動かなくてはいけない時間があり、解糖系を使います。 これが問題なのではありません。実際、いずれどこかの時点で起こることだからです。 問題は、解糖系で回り始めてしまったら、そこから抜け出すことができるのか?ということ。 有酸素系の発達が不十分な選手が、試合中に1度か2度ハードにいくと。解糖系から絶対抜け出せなくなるというケースが多いようです。 なぜ彼らが疲労しガス欠になってしまうか、これで説明がつきます! 発達した有酸素系エネルギー供給機構は、嫌気的代謝をなるべく使わないですむようにするだけではなく、高強度(無酸素)エクササイズ後、素早く有酸素系機構に戻します。

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絶対に欠かせない長時間・低強度の心血管系運動 パート3/4

ロングスロートレーニング時間の連鎖 皆さんは、映画『8-Mile』の中で、エミネムがMCバトルで宿敵を倒す、あのシーンを覚えていますか? 彼は、対戦相手が何も言えない状態にして去りましたが、それが私の目指すところなのです。 皆さんが何を考えいそうなのかは想像がつくので、この話はここまでとしましょう: “長時間・低強度の心血管系運動は、動作を遅くさせる” 仮に、皆さんが、この地球上で最速、最強で最も爆発的な選手を担当しているとしましょう。そして、彼の運動能力と回復の向上を図るために心拍出量向上トレーニングを始めたとします。 言いたくはありませんが、我々の動きは自然発生的にスーパースローになったりはしません。 皆さんは、マラソンランナーを継続的にトレーニングして、見た目もパフォーマンスも、大きな遅筋繊維になるように形態を変えようと考えることはないでしょう。 覚えておいてください。身体で起こる適応は、ひとつのトレーニングだけではなく、実践しているすべてのトレーニングが基となります。 現行のトレーニングプログラムの一環で、速く走ったり、高く跳躍したり、重い重量を持ち上げたりしているならば、これらすべてが、COスタイルトレーニングの欠点を相殺または軽減してくれます。 もうひとつ素晴らしいことに、いったん心臓のコンディションが良くなったら、この同じトレーニングを延々に繰り返す必要がないということなのです! カギとなるのは、適応した状態を維持するということ。時々COスタイルトレーニングに戻るだけです。ただし、獲得した適応を維持するために、是非とも、より強度の高い有酸素トレーニングを実行してください。 “特定のスポーツに限定していない” 私は、まず真っ先に、あなたがプレーしている「スポーツ」の定義は何かと問うでしょう。 ほとんどのチームスポーツ(サッカー、バスケットボール、バレーボール、フットボールなど)は、有酸素系エネルギー供給機構に驚くほど頼っています。PubMed(無料で公開されている医療文献検索システム)で、時間-運動の分析に関する文献を検索してみれば分かると思いますが、同じ結論に至ると思います。 課題としては: スポーツ観戦をする際、単に始終ボールばかり追っていたら、大忙しです。選手たちは、頭を切り落とされた鶏のように走り回っています。 ボールを見ているようではいけないのです。私たちは選手を見てなくてはならないのです。 もちろん、頭を切り落とされた鶏のように、ボールを追いかけて走り回っているだけの選手もなかにはいますが、多くの選手は高強度の動きの合間に低強度で動いていたり、まったく動かず立っていたりします。 科学的な裏付けが必要であれば、私の理念を強固に支えてくれる、以下のような研究論文を読んでみてください: Repeated Sprint Ability #1 Repeated Sprint Ability #2 Aerobic Endurance Training もちろん、これら以外の研究論文はたくさんありますが、ここに挙げた論文は、議論の出発点として適していると思います。 優れた有酸素系エネルギー供給機構の構築は、常に高強度ではないとしても、「特定のスポーツに限定した」ものです。有酸素系の発達が乏しいのであれば、CO向上トレーニングは、有酸素系の基礎を再構築するための素晴らしいトレーニング方法であるということを覚えておいてください。 これは私が言わなければならないもう一つの言い分です。どうすればいいかというと: 「特定のスポーツに限定した」トレーニングは一年中実施する必要はありません!また、すべてを高強度にする必要もないのです。 実際、私が担当しているプロ選手達は、チャンスがあればいつでもオフシーズン用の低強度エクササイズの練習に緩めます。 次のことを考えてみてください:プロのサッカーシーズンは、9-10ヶ月間もあります。彼らがキャンプにまた戻る前には、せいぜい6-8週間しかありません。 NBAもそれほどよくありません。試合がいつ終わるかにもよりますが、10-12週間のオフシーズンしかありません。 そんな彼らをジムに送り込む前に、休養と回復のために、まずは2-3週間のダウン時間を設けます。 低強度エクササイズは、トレーニングに戻ってからのケガのリスクを軽減するだけではなく、休暇中に失われた基礎を再構築するためでもあります! ごく簡単に言ってしまえば、有酸素系の土台が大きく安定してしっかりしていればいるほど、シーズンに臨んだ時、回復力はより優れたものになるということです。私のお気に入りの、チャーリー・ワイングロフ氏の引用句があります: 「高い有酸素系能力は、身体運動能力への耐性向上をもたらす。」 簡単に言えば、高強度と低強度のエクササイズのバランスをとる必要があるということです。 “解糖系トレーニングは、有酸素系発達を促す” なぜこのようなおかしなことになるのか、私もまったく分かりませんが、できる限り解説します。 単刀直入に言えば: 有酸素系トレーニングは、無酸素系トレーニングと直接競合します。 適応の仕方は完全に相異する。 心臓は異なる適応をする。 身体が産生する酵素は異なる適応をする。 細胞のミトコンドリアは異なる適応をする。 重要なので何度も繰り返しますが、適応の仕方は、正反対なのです。 最大の問題のひとつは、とりわけトレーニング不足の個人を対象とした研究にあります。トレーニング不足の個人の場合、すべてのことをいっぺんにさせても、何らかの改善はみられるのです。 文字どおり、月・水・金をパワーリフティングのルーティンにし、火・木・土をクロスカントリーランニングにしても、おそらくストレングスもコンディショニングも向上するでしょう。 しかし、これらのことを長期にわたり実施していたら、成果はおそらく頭打ちになることでしょう。クライアントや選手が成長するにしたがって、より正確なプログラム作りをしていかなくてはならないのです。そして、各プログラムに競合しないものをひとつ、もしくはふたつ組み込むようにします。 そうなると、みなさんの中にはこう考える人がいるでしょう。「でもマイク、タバタ研究をどう思うのですか? タバタトレーニングでは、無酸素系トレーニングで有酸素系能力を向上させました。」 それはそうなのですが、研究全体を読んでいただくとお分かりのとおり、高強度グループでも定常状態トレーニングを含む低強度トレーニングを週に1日行っていました。この場合、タバタグループでは、30分間の定常状態サイクリングを、VO2max(最大酸素摂取量)の70%で毎週行ったということになります。 さらに、彼らはタバタトレーニングの前に毎日、ウォームアップとして10分間の低強度サイクリング運動をしていました。1週間に換算すると70分間の低強度エクササイズとなります。 研究を少し取り違えて理解していたかもしれませんね? CO向上トレーニングには多くの効果があること、そしてたいていの場合、欠点より利点の方が大きいということを、なんとかわかっていただけたでしょうか。 さて、ではだれがCO向上トレーニングを必要としているかを調べるにはどうすればよいか、また、いくつかのトレーニング方法の選択肢について見ていきましょう。

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絶対に欠かせない長時間・低強度の心血管系運動 パート4/4

評価手順 IFASTでは、身体の効率性を調べるのにいくつものチェックをします。こちらが要となる3つのチェック方法です: 安静時心拍数 ワンミニットゴーテスト 修正版クーパーテスト これらのテストによって、選手の心臓の効率性と心拍数の回復を調べることができ、嫌気性閾値を推測することができます。 もし、長時間・低強度トレーニング(つまり、CO/心拍出量向上トレーニング)が必要かどうかを調べるには、安静時心拍数が最も手っ取り早い手掛かりとなるでしょう。 ほとんどのクライアントや選手のための私たちの目的は、彼らの安静時心拍数を60回/分未満にすることです。簡単に聞こえますが、良くコンディショニングされた(たとえば、体脂肪が少ない)選手でも安静時心拍数が60後半から70前半から抜け出せないことがよくあります。 クライアントや選手の安静時心拍数が高い場合、交感神経が優位(継続的な闘争・逃走状態)であることが考えられます。これは、エクササイズやセット間のみならずトレーニング間の回復にも影響します。 さらに、そのような選手やクライアントは、良く眠れていないことが多く、これもまた回復に悪影響を及ぼすと考えられます。 このような選手を担当する際、CO向上トレーニングが、彼らを救う手段のひとつとなるのです。 心拍出量をどのように向上させるのか さて、そろそろ核心に入ります。まずひとつ明確にしておきたいことがあります: 心拍出量向上トレーニングは、有酸素系エネルギー供給機構を発達させる唯一の方法ではありません。 先述しましたように、アルティメットMMAコンディショニングの8つの異なる方法についてジョエル・ジェーミソン氏は、言及しています。 8つも! 心拍出量向上トレーニングはそのなかの一つで、必要であれば実践します。重複しますが、心血管系のコンディションが不十分である(安静時心拍数が60より高い)場合、有酸素系機構の再構築を促進するための一つの方法として、COトレーニングを使います。 心拍出量向上トレーニングの実施 心拍出量を向上させる際の基本的なエクササイズ手順は下記のとおりです: 120-130回/分で30-90分間行う。 そして、お決まりの次の質問は、「何をすればよいでしょうか?」でしょう。 私の親しい友人、エリック・オッター氏は、「心筋はまぬけだよ」とよく言います。 ですから、目標としている心拍数の範囲内であれば、この時間内に何をするかはまったく重要ではありません。 筋肉オタクは、スレッドドラッグ、プロウラープッシュ、その他のエクササイズやモビリティドリルの組み合わせなどを好むでしょう。 選手であれば、低強度の技術的なトレーニングのために、このエクササイズを取り入れるかもしれません。デイブ・テニー氏が担当しているサッカー選手は、競技に関連した感覚を得るためにドリブルをするそうです。 バスケットボール選手であれば、コート内でのフットワークやボールハンドリング、特定な動きなどの動作の確認をするのもよいでしょう。 心拍数を120/130-150回/分の範囲に維持さえしていれば、うまくいきます。 どんな人達に有効か? この種のトレーニングで最も顕著に効果が現れる代表的な人達は、スポーツをしていてもすぐにガス欠になる選手です。 有酸素系の基礎が乏しいと、単純に長時間の競技ができなくなるだけでなく、高強度エクササイズの繰り返しからの回復能力にも悪影響を及ぼします。 フットボール、バスケットボール、サッカーのような有酸素系優勢型のスポーツをする選手にも顕著に表れます。もう少し大ざっぱな回答としては: ほとんどの人に、心拍出量向上トレーニングは有効であると私は思います。 考えてみてください。近年、私たちはいつでもせわしなく行動しています。 ジムに行き、せき立てるようにトレーニングする。 遅くまで起きていて、十分な睡眠を取らない。 通勤、仕事、私生活さえも過度のストレスを生じる。 これらすべては、交感神経系とストレス反応の慢性的な過活動を引き起こします。 私たちが健康と生活のために毎日できる最良のことが2つあります。まず毎日完全な深呼吸を10回行い、そして低強度エクササイズを週2回行うことです。 やってみてください。心拍数を15-20回/分低下させることができたら、きっと見た目にも気分的にも改善するに違いありません。 HITT(高強度インターバルトレーニング)はもう行わないということ? この大作を書き終える前に、最後のパンドラの箱をあけておきましょう: マイク、つまり、もう高強度トレーニングは必要ないということですか? 私は、決してそんなことを言ってはいません。時と場合によって、高強度トレーニングは当然必要となります。 目的が脂肪燃焼である場合、高強度インターバルは、手っ取り早く脂肪の減少を確実にします。しかし、これには議論があります。中には体調がまったく整っていないクライアントもいます。彼らの暮らしぶりを本格的にケアするのであれば、生理学的観点からして、有酸素系の基礎と土台をまず作る方が、理屈に合っていると思います。 高強度インターバルをロングレスト(長めの休息)インターバルと組み合わせても、有酸素系エネルギー供給機構の向上を促進します。強調しておきたいのですが、CO向上トレーニングは、有酸素系トレーニングのひとつの例に過ぎません!他にも爆発的効果を生む性質のトレーニング方法はたくさんあります。私たちの最も重要な仕事は、この運動と休息の比率をコントロールすることです。 基本的に無酸素系の特徴が強いスポーツ(レスリング、総合格闘技など)を行っているのであれば、トレーニングプログラムの最後に、解糖系エネルギー供給機構の構築のために時間を割くべきでしょう。覚えておいてください。しっかりした有酸素系の土台ができていれば、それよりさらに大きな解糖系エンジンをその上に搭載できるのです。さらに、高強度のトレーニングの合間の回復が速くなります。 ジョエルの文献やタバタの研究を読んでみると理解できますが、トレーニング開始後の4−6週間で解糖系エネルギー供給機構に大半の適応が起き、8週間になると限界近くまで適応が生じます。 だとすれば、それ以上続けて限界に挑戦する必要があるのでしょうか?適応の起こり方が速いのは結構ですが、私達に必要な適応なのでしょうか? クライアントにとって? 選手にとって? 今後大きな前進を遂げるためにも、一歩後退してみるのも賢明かもしれません。 まとめ クライアントや選手の目的が、トップアスリートになることであっても、また単に気持ち良く身体を動かすことであっても、心拍出量向上トレーニングは、ほとんどすべてのプログラムに組み入れることができます。 心拍出量向上トレーニングは、高強度トレーニングと比べあまり格好よくありません。激しくハードコアでもありませんが、その効果は計り知れないほど広範囲に及びます。 皆さんの目的が、気持ちよく動けて、回復が速く、ストレスや不安を抑えることであれば、トレーニングプログラムに欠けているのは、CO向上トレーニングなのかもしれません。

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肩甲骨エクササイズの神話

肩甲骨エクササイズはとても一般的で、リハビリテーションや姿勢矯正エクササイズに必要とされることが多いエクササイズです。他のことと同様に、肩甲骨エクササイズに関連して共通に認められているテーマがいくつかあるようであり、多くの人々はそれを厳格な規則だと思い込んでいます。すべての人にとって正しいプログラムはありません。ここに、私が討論する価値があると考える3つの肩甲骨エクササイズの神話があります。 肩甲骨をぎゅっと引き寄せる 肩甲骨をぎゅっと引き寄せましょう。肩甲骨を同時に引き寄せましょう。肩を後退させてください。肩甲骨を集めてください。これらはすべて、肩甲骨エクササイズを行うとき、コーチが与える指示によくあるものです。これらすべての考えの目的は、よりよい姿勢をとり、肩甲骨を後ろに“安定”させることであり、最終的には、エクササイズを行うときに、良い姿勢となり、よりよい動きのパターンに繋げるということです。社会全体としてとらえれば、私たちには様々なタイプの姿勢をした人たちがいます。頭部前方偏位、猫背といった典型的な上位交差症候群。 通常の肩甲上腕リズムには、肩と肩甲骨が同時に一連の動きとして起こる必要があります。左右の肩甲骨をぎゅっと引き寄せるには、中部僧帽筋を収縮させることが必要になり、肩甲骨を完全に後退させ、そして、腕を動かします。これは肩のメカニズムを考えた場合、肩甲骨を完全に前突した状態で腕を上げることほど悪くはありませんが、完全に後退した状態で腕を上げることがもっとも有益であるとも思いません。僧帽筋を等尺性に収縮させる必要がありますが、肩甲骨を後ろに引いておくことで、腕を挙上し、動かすときに起こる、正常な前突と上方回旋を制限することになります。 この典型的なコーチング指示の目的が、腕のエクササイズを行う際の姿勢を改善し、メカニクスを向上することであるならば、より効果的な指示は胸椎の伸展を誘導することでしょう。さらには、我々が最近話題にしていた、姿勢エクササイズのチンノッドを行うときのように、胸椎伸展と上位頸椎伸展を同時に行うことが良いでしょう。これは本当に姿勢を改善します。胸椎後弯が強く、背中が丸まったままであっても、肩甲骨を内転できることを認識しましょう。肩甲骨を後退させていることは、視覚的には悪くはありませんが、胸椎を伸展させることが本当の目的なのです。 肩甲骨の左右対称性を向上させるためには、可動性と筋力に働きかける 私たちは皆誰かの姿勢を評価するという無礼なことをしたことがあります。頭部前方変位、猫背姿勢を見つけ、大胸筋と上位頸椎の可動性に働きかけ、同時に、下部僧帽筋と深部頚部屈曲筋を強化する必要があると推測します。これらすべてに働きかけることはいいことですが、単純化しすぎた見方のようです。 まず、一歩下がって、邪魔なものを取払いましょう。あなたの肩甲骨は左右対称ではありません。ほぼすべての人々は左右対称ではなく、かなり左右差のない人でさえ、微妙な違いがあると断言してもいいでしょう。事実として、私たちは片側性の生物なのです。私たちは典型的に片方が利き手であり、これに関連して、利き手優位の運動パターンで機能します。このことは、1日中片手の動作を繰り返し行う人について話を始めるとき、本当に問題になります。私はなにも、野球の投手のようなアスリートだけの話をしているわけではありません。皆さんも、コンピュータの前に座り、右手でマウスを使っているわけです。 これは、本質的に股関節、脊柱、胸郭、そしてもちろん肩甲骨を含む、身体全体に左右非対称性を生み出します。 私の意見としては、肩甲骨の位置は、硬くなった筋肉や弱化した、または、抑制された筋肉を含む、他のなによりも、肋骨と胸椎の位置との関連が大きいと考えます。肩甲骨は胸郭に乗っていますし、結果、胸郭と共に動きます。これら筋肉のアンバランスに働きかける必要はありますか?もちろんあります。しかし、適切なアライメントも同様に必要であり、まずこれが最初に評価されるべきです。 皆“安定性より先に可動性である”と言っていますが、そうでしょうか?私はこのことを付け加えるでしょう。これはどうですか: 安定性の前に可動性、その前にアライメント 肩甲骨のエクササイズは両側性に行う 従来のYTWLエクササイズ。なぜ私が典型的なYTWLエクササイズを腹臥位で、ベッドの端、または、バランスボール上のどちらでも、あまりたくさん行わないかについてお話しました。頭部を安定させるために必要な上部僧帽筋の活動をあまり好みませんし、求めているような適切な運動パターンを獲得するようにも思えません。姿勢改善には役立つのかもしれませんこれには賛否両論があることでしょう。 しかし、おそらくより重要なのは、私たちはこのように腕を動かすような運動パターンで動かないだろうということです。最後に、Tエクササイズを行うように、両方の腕を水平伸展させたのはいつですか? 筋肉の強化を目的としているなら、私は片側の腹臥位エクササイズをして、筋力と運動コントロールに集中します。それが私の優先順位です。 それでは、機能と動作パターンが次の課題になったとき、肩甲骨の相反性活動に働きかけることが最良なのでしょうか?私たちはかなり頻繁に,片腕が引く動作をしているとき、反対の腕は押す動作をする、というように腕を使っています。この動作は、テニス、バレーボール、ソフトボール、野球などの片腕のオーバーヘッドスポーツや、歩行、ジョギング、ランニングなどのよくある運動時にも、とてもよくみることができます。 両方の肩甲骨を動かすべきときがありますか?もちろんあります。ちょうど頭に浮かんだのですが、競泳の選手はこれを行いますし(特に、平泳ぎとバタフライでは)、1日中重いもの押したり引いたりしなければならない人も、これを行います。トレーニングの特異性の話に戻ります。 覚えておいて欲しいのは、必ずしも肩甲骨を両側同時に動かす必要はないということです。なぜ左右反対方向に動かし、その代わりに相反性の押すー引くパターンが働くのかについて、とても分かりやすい理由があります。 この記事がで、少なくとも考えたり討論を起こ須きっかけになってほしいと願います。すべてにおいて適切な時と場所がありますが、時には1つの方向にアプローチが偏ってしまうことがよくあります。おそらく、これら3つの肩甲骨エクササイズの神話によって、次回肩甲骨の強化トレーニングを行うとき、立ち止まり、考えることになるでしょう。どう思いますか?

マイク・ライノルド 2835字