座位での頸部肩エリアへのアプローチ パート1/2

2014年10月8日&9日、東京で開催中のグレイインスティチュートFSTT 機能的軟部組織の変容 上肢コースより。座位のクライアントの頸部、肩上部を中心としたエリアの軟部組織の、前面、側面、後面、全ての方向に向かって、圧縮、張力の組み合わせを使い分けながらアプローチします。

レニー・パラシーノ 7:15

ACL再建術後の早期リハビリテーション 6つの重要なポイント パート1/2

ACL(前十字靭帯)再建術後のリハビリテーションは、この25年間で大きく進歩してきました。膝をギプスで固定することから、術後すぐに膝を動かし、さらに短時間であれば体重をかけるといった方向に進化しています。リハビリテーションの概念に対する理解が進歩するにしたがい、ACL再建術後の効果を最大限にするために不可欠である、機能的なエクササイズや漸進的リハビリテーションに、私たちの焦点はシフトしてきています。 最近では、術後リハビリテーションに100%集中するプロ選手達をみるようになってきました。エイドリアン・ピーターソンがACL断裂を負い、再建術のあと数ヶ月足らずでナショナル・フットボール・リーグで勝利をおさめ、MVPに選ばれたということから、彼は、現在ACL再建術後のスポーツへの復帰の象徴となりつつあります。もちろん、彼の症例は特別ではありますが、術後リハビリテーションは、手術後の回復度合いを大きく左右する要因です。 アドバンスエクササイズやスポーツへの復帰は誰もが望んでいることではありますが、合併症を避け、やがて難易度を上げたアドバンスドリルを可能にするためにも、早い段階でのリハビリテーションが確実かつ適切に実施されることは何よりも重要でしょう。ACLの早期リハビリテーションが不十分であれば、リハビリテーション期間は長期化してしまいます。 これに関連して、ACL再建術後の早期リハビリテーションの6つのポイントについて議論したいと思います。これらの基礎をマスターすれば、アドバンス期は容易になります。 疼痛と炎症の緩和 まず、ACLリハビリテーションのひとつめのポイントは、手術にともなう痛みと炎症を抑えるという単純なものです。これは考えるまでもないことですが、なぜ重要なのかを復習する価値はあります。実際、痛みや腫れを処置しなければ、下記に挙げるACLリハビリテーションの6つの重要なポイントを遂行するのは難しくなります。いくつかの重要な考察すべき事柄をご紹介しましょう: 疼痛と腫脹は、基本的に膝周りの筋群、特に大腿四頭筋をシャットダウンしてしまうことが、数多くの研究で示されています。腫れによる液体がわずかに関節に存在しても、大腿四頭筋の収縮能力を低下させることが分かっています。 大腿四頭筋なしでは、機能するのは困難で、膝が曲がり固まった状態で歩くようになります。 疼痛と腫脹は、関節可動域の改善を妨げてしまうのです。 このように、概念的には単純だとしても、痛みと炎症を軽減することは、術後すぐに焦点を当てるべき分野なのです。圧迫やアイシング、間欠性圧迫、挙上、アンクルパンプ、電気刺激、活動をしすぎないようにすることなど、すべてが役に立ちます。 術後の患者への最も重要なアドバイスは、アイシングを充分行うことです。 完全な膝伸展の動きを回復させる 膝の伸展の可動域を完全に回復させることは、おそらくACL再建術後に行うリハビリテーションの最優先事項になるでしょう。しかし、ここで私が第2項目目に挙げることになった理由は、疼痛と腫脹への対処が、本稿で議論するすべてに密接に関係しているからです。しかし実際のところ、やはり膝の伸展を可能な限り早く回復させるというとことに、私は常に重点を置いています。ACL手術後の比較的一般的な合併症のひとつは、動きの減少ですが、屈曲よりも伸展に制限があることの方が大きな問題が生じます。 疼痛や腫脹があると、膝が軽度に屈曲している方が楽です。ただし、この肢位をあまり長く保っていると、瘢痕組織の形成や関節線維化のリスクが生じます。いったん硬くなってしまったら、動きを回復させることが難しくなるため、術後直ちに膝の伸展を確保することは、非常に大切です。硬くさせてしまってから動きを改善するために激しく努力するより、私は、初期の段階で膝の伸展を回復させ、それからゆっくり動きを回復させることに集中します。 膝の完全な伸展が多少なりとも損なわれると、膝は適切に機能できません。さらに、可動域の減少は、ACLの術後に起こりうる関節炎への進行に関わる重大な要因のひとつであることが研究で示されています。 幸いなことに、適切なリハビリテーションによって、可動域の減少は回避できます。 可動域と軟部組織モビリゼーション、徒手治療に加えて、家での可動域のトレーニングとストレッチエクササイズを十分に、基本的に1時間毎に実施するように必ず指導します。ハムストリングのストレッチとタオルを利用したふくらはぎのストレッチを紹介しています。これは、ハムストリングやふくらはぎの柔軟性を高めることが本来の目的ではなく、これによって同時に膝の伸展をトレーニングするためです。そのため、焦点は膝の伸展に置かれます。 可動域の減少が問題化した場合、私は躊躇なく低負荷で長めのストレッチを指導し始めます。術後1週間で完全な膝の伸展を回復することが目標です。生体力学の研究では、膝の伸展時にかかるACLの移植組織への負荷は、一般的な機能的活動から加わる力よりも低いことが示されています。よって、この動きを避ける必要はありません。

マイク・ライノルド 2256字

限界に至るまでのトレーニングは筋力の増加に影響を及ぼすか? パート2/2

限界までトレーニングを行うことの筋力強化に対する効果は何か?(続き) ロートン (2004年) – 研究者たちは、26名の男性エリートジュニアバスケ選手とサッカー選手における、2つのトレーニング方法の効果について比較した。2つのグループにおいて被験者は、6週間に渡り6レップを4セット、もしくは3レップを8セットのベンチプレスを行った。より疲労度が大きかった6レップを4セット行ったグループは、3レップを8セット行ったグループ(4.9%)に比べ、6RMの筋力が著しく向上した(9.7%)が、パワーの向上に関しては2つのグループの間で有意な差違は無かった。 フォランド (2002年) – 研究者たちは、健康な23名の成人における2つのトレーニング方法の効果を比較した。一方のグループはセット間に30秒のレストを挟んで10レップを4セット(より大きな疲労のグループ)、他方のグループは各レップ間に30秒のレストをとりながら、40レップ(より少ない疲労のグループ)の両側ニーエクステンションマシーンを使用したトレーニングを、平均1RMの73%で週に3回行った。9週間に渡るトレーニングの後、研究者たちは、最大等尺性膝伸展筋力の測定において両方のグループで類似した向上が見られたということを発見した。 ルーニー (1994年) – 研究者たちは、量を適合させたプログラムの中において、42名の健康な被験者に対しセット間のレストが筋力に及ぼす影響を評価した。被験者たちは、レスト無しグループ、レストグループ、コントロールグループへと振り分けられた。2つのトレーニンググループは6週間に渡り、週に3回、6RMの負荷で6-10回のカールを行うことにより上腕二頭筋のトレーニングを実施した。レスト無しグループは全てのレップをレスト無しで行い、レストグループは各レップ間に30秒のレストを入れた。研究者たちは、限界に至るまでトレーニングを行ったグループは著しく大幅な筋力の増加を示したと発見している。しかしコントロールグループと比較すると両方のトレーニンググループともに、筋力は増加していた。 ショット (1995年) – 研究者たちは、7名の被験者において、14週間に渡り週に3回、最大随意等尺性収縮(MVIC)の70%での、短く間欠的な筋収縮(より少ない疲労のグループ)と長く継続的な筋収縮(より大きな疲労のグループ)という2つのタイプの等尺性ストレングストレーニングによる適応を比較した。右脚のトレーニングとして、各筋収縮の間に2秒のレストとセット間に2分のレストを入れた、3秒間の筋収縮が10回4セット行われ、左脚のトレーニングとして、セット間に1分のレストを入れた30秒の筋収縮が4セット行われた。研究者たちは、短い間欠的な筋収縮よりも、長く継続的な筋収縮の方がより著しくMVICを向上させると発見した。 これらの研究をどのように分析することができるか? 研究プロトコルと結果の評価基準のばらつきにより、結論を出すことは多少困難ではあるが、要約すると、限界まで至らぬよう(もしくはより少ない疲労)トレーニングを行った際に比べ、限界まで(もしくはより大きな疲労)トレーニングを行った際の方が、ほとんどの測定値において、その筋力はより大幅に向上しているようである。しかしながら、全ての研究が全ての筋力の測定値に対してこれを示しているわけではない。例えばフォランド(2002年)は、2つのトレーニング方法においてMVICの筋力に差異はないと報告しており、イスキエルド(2006年)は1RMの筋力に関する限り違いはないと報告している。下記の表は上記の実験の結果を表したものである。 ドリンクウォーター(2007年)は、4x6,8x3,もしくは12x3(セットxレップ)のベンチプレスを週に3回、6週間に渡りトレーニングを行った22名のチームスポーツ選手において、限界を超えたトレーニングが限界に至るまでのトレーニングよりも優れた結果を生み出すかどうかを評価した。8x3のプログラムと比較し、4x6のプログラムにはより長いインターバルが含まれており、12x3のプログラムにはより多いトレーニング量が含まれていた。ゆえにこれら両方のプログラムは、望ましいレップ数を完了するためにより多くの強制的なレップを行うようデザインされていた。研究者たちは、レップの限界には達したものの、追加の強制的なレップも追加のセット量も、基本の8x3のプログラムに比べ、更に大きな筋力の獲得へは繋がらなかったということを発見した。 実践的な意義は何か? ストレングスアスリートに対しては、限界に至るトレーニングを組み込むことが、より筋力の増加につながり得るという十分な科学的根拠がある。しかし、限界までのトレーニングは回復に影響を及ぼし得ることから、各アスリートにふさわしい限度内で慎重に使われるべきである。

ストレングス・コンディショニング・リサーチ 2128字

股関節前面から肩のモビリゼーション パート2/2

2014年10月8日&9日、東京で開催中のグレイインスティチュートFSTT 機能的軟部組織の変容 上肢コースより。トゥルーストレッチステーション内でゴムチューブを使用したポジションで、ハンズオンテクニックを適用するモビリゼーションをご紹介します。

レニー・パラシーノ 5:32

限界に至るまでのトレーニングは筋力の増加に影響を及ぼすか? パート1/2

ストレングストレーニングの際、筋限界に至るまで行うべきかどうかは、フィットネス業界における意義深い議論の源である。しかしながら、一般紙における関心度の高さにもかかわらず、研究者たちはこの分野における詳細な研究をあまり行っていない。そのため、量を適合させた長期のトレーニング研究は数少なく稀である。その結果として、限界に至るまでのトレーニングが、筋力の増加を最大化するために有益であるかどうかを知ることは困難である。 背景 限界までのトレーニングに関する全ての議論は困難な問題を伴っており、それは下記のように要約することができる。 コーチ間における合意の欠如 – 瞬間的な筋限界に至るトレーニングは、フィットネス業界においてよくみられる議題であるが、それが筋力の増加を最大化するために必要かどうかについて、ストレングスコーチ、パワーリフティングコーチ、及びパーソナルトレーナー間で一致した良好な意見は存在しない。その結果として、トレーニングを行っているかなりの割合の人が定期的に筋限界までトレーニングを行っているが、同様にかなりの割合の人が一定のワークアウトにおいて限界まで行くことは稀である。 研究プロトコルでは一般的に常に限界まで行う – トレーニング期間中の筋力の増加を調査している研究論文においては、一般的に全てのセットが限界に至るまで行われている。ゆえに研究論文が伝えていることと、トレーニングを行う人達によって実際に行われているであろうことの間で矛盾が生じている。これは、多くの人に対して一部の研究情報の適応性を制限してしまう可能性がある。 限界の定義が微妙である – 一部の人たちにとっては、彼らのトレーニング限界の定義が非常に単純なものであるということが明白であるように思えるかもしれないが、全ての人がその言葉の意味に対して同意しているわけではない。一般に、関わっている筋肉(これが多関節運動における複合問題であるかもしれないことを受け入れ)の瞬間的な筋限界、そして、もはやそのエクササイズを必要条件である厳密なセットまで行うことが不可能なポイントである技術的運動限界という、2つの主な定義がある。 全ての運動単位を動員するために限界は必要でないかもしれない – 一部の研究者たちと、限界までトレーニングを行うことの支持者たちは、限界に至るまでトレーニングを行うことは、全ての運動単位を動員するために必要であると提言しているが、研究はこの見解を完全に支持しているわけではない。サンドトラップ(2012年)は15RMの負荷で限界まで行われた各レップにおいて、ラテラルレイズの筋電図活動を調査した。彼らは、筋活動のプラトーへは15RMの負荷において10-12レップで達するということを発見し、それは少なくともトレーニングを行っていない個人においては、全運動単位を全て動員するために完全な限界までトレーニングを行う必要はないということを意味すると解釈した。 要約すると、記憶しておくべき重要なことは、筋限界の効果(そして意味をなすために正確にどの筋限界を使うべきか)に関する研究は、限界までのエクササイズを含むプロトコルを使用した研究が、どれほど頻繁に行われているかを考慮すると、驚くほどに数が少ない。 限界までトレーニングを行うことの筋力強化に対する効果は何か? 下記のトレーニング研究は、様々な異なるアプローチを用い、同じエクササイズを筋限界に至らぬよう(もしくは少々の疲労程度まで)行った、量を適合させたグループと比較し、筋限界(もしくは単に重度の疲労)に至るまでエクササイズを行ったグループの筋力の増加への影響について調査している。 イスキエルド (2006年) – 研究者たちは身体的に活発な42名の男性において、11週間に渡るレジスタンストレーニングと、それに続く5週間の全く同じ最大筋力及びパワートレーニングを、限界に至るまで行うこと、もしくは限界に至らぬよう行うことによる効果を評価した。最初の11週間の段階では、研究者たちは、両方のグループが1RMのベンチプレスとスクワットにおいて同等の向上を示し、スクワットの際の最大レップにおいて同等の向上を示したが、限界に至るまでトレーニングを行ったグループは、ベンチプレスの際の最大レップにおいてより大きな向上を示したということを発見した。しかしながら5週間のピーク段階では、限界にまで至らなかったグループが、下半身において下肢のより大きな筋出力を示し、ベンチプレスを行う際の最大レップにおいてもより大きな向上を示した。研究者たちは、限界に至るまでのトレーニングが筋持久力を高める可能性があるのに対し、限界にまで至らないトレーニングには最大筋力とパワーへの恩恵があるかもしれないと示唆している。 ドリンクウォーター (2006年) – 研究者たちは、エリートジュニアアスリートにおいて、6RMのベンチプレスの筋力と40キロでのベンチスローパワーに対する、レップの限界に至るまでのトレーニングの効果について評価した。2つのグループの被験者は、6週間に渡り週に3回のベンチプレストレーニングを同量行った。一方のグループは260秒毎に6レップを4セット行うことで、レップの限界に至るまでトレーニングを行い、他方のグループは113秒毎に3レップを8セット行うことにより、総合的には同量のレップ数ではあるが、限界にまでは至らぬようトレーニングを行った。研究者たちは、限界までトレーニングを行ったグループがレップの筋力とベンチスローのパワーの両方においてより大きな向上を示したことを発見した。

ストレングス・コンディショニング・リサーチ 2409字

股関節前面から肩のモビリゼーション パート1/2

2014年10月8日&9日、東京で開催中のグレイインスティチュートFSTT 機能的軟部組織の変容 上肢コースより。トゥルーストレッチステーションを使用し、クライアントの呼吸に合わせて、股関節前面から肩にかけての軟部組織複合体のモビリティーを高める方法をご紹介します。

レニー・パラシーノ 5:48

腕立て伏せ パート4/4

腕立て伏せの変換 残念なことに、様々な理由により床での腕立て伏せを、すぐに行うことができない人たちがいます。下記は、腕立て伏せという素晴らしいエクササイズを最大限に活かせるよう、IFASTで私たちが行っている簡単で効果のある変換です。 インクライン 対 標準 まず最も明白に提供する必要のある変換や調整は、床で腕立て伏せを行うのに十分な筋力がない人への指導です。この場合、私は、膝をついて行うよりも、インクラインの腕立て伏せを好みます。 この腕立て伏せは、次のレベルへのスムーズな漸進につながるだけでなく(単純にラックをさげていき、傾斜を減らす)、私たちが求めている、コアの安定性に対する要求がより通常の腕立て伏せに近いからです。 プッシュアップバー 私たちが普段から使う変換方法の一つとして、プッシュアップバーがあります。 肩の回旋、肘、手首などに問題があり、標準的な腕立て伏せを不快感なく行うことができない人々がいます。 プッシュアップバーは、肩の外旋を可能にするだけでなく、上肢を通してグリップをニュートラルな状態にでき(ニュートラルグリップ=両側の手のひらが向かい合っている状態)、手首も、よりニュートラルな状態に保つことができます。 標準的な腕立て伏せは、手首が大きく伸展し、これは多くのクライアント、およびアスリートにとって問題となり得ます。ただ単にプュアップバーを使うことによって、手首にかかる痛みや不快感を減らし、より定期的に腕立て伏せを行ってもらうことができます。 腕立て伏せのプログラム ここまで、腕立て伏せの方法、目的に応じて自由に使えるたくさんのバリエーション、そして腕立て伏せを指導する際に起こる大きな間違いについて説明してきました。 最後に、この素晴らしいエクササイズをどのようにプログラムに組み込むかを知れば、準備は完璧でしょう。 私がプログラムを作るとき、最初に考えることは、プログラムの主な目的は何かということです。 そこから、筋肉量の増加、脂肪減少、強化、パワーの発達などに分けていきます。 どのエクササイズを選ぶかは、最後の方の選択です。私は、様々なアスリートを指導していますが、腕立て伏せは、トレーニングの基本を多くカバーしているため、多数のプログラムに取り入れています。 腕立て伏せを組み込むときに、私が自分自身にする質問は次の通りです。 プログラムに腕立て伏せを取り入れることによって、この人に何を得て欲しいのか? その答えは大体次の2つのうちの1つです。 上半身、および全身の筋力向上 上半身、および全身の安定性の向上. これは、大切な識別で、どのエクササイズを選択するか、回数、セット数をどうするかを決めるのに役立ちます。 筋力強化が主な目的であれば、回数は少なめに設定します(4~8回)。パワーリフターや強化優位のアスリートにとっては、この数は少なくないかもしれませんが、腕立て伏せは重い1回、2回、3回を行うのに最適な選択肢ではありません。 安定性やコントロールを求めているのなら、回数は少し多めに設定します(6~12回)。でも覚えておいてください、やたら回数を増やさなくとも、メディシンボールなど不安定な表面を使った腕立て伏せを選べば、何回行うかにかかわらず、安定筋群を疲労させるのです! 最後にこれも大切なことですが、もし目的が脂肪燃焼だとしたら、セットごとの回数は多めに設定したほうがいいでしょう(大体8~15回)。ただし、疲れてきても、動きの質は高く保つよう心がけてください。 まとめ さあこれで皆さんは、腕立て伏せについて知っておくべきことを、ほぼ全て学びました。 このような記事を書くには、たくさんの時間と労力がかかりますから、この記事を楽しんでいただけたのなら、ぜひ周りの皆さんにも広めてください。 Facebookでシェアしたり、ツイッターで広めたり、単純に記事のリンクを送るでも、どんな形であれ、この記事を広めていただけるとありがたいです。 良い一日を、そしてぜひ何らかの腕立て伏せをやってみてください!

マイク・ロバートソン 1848字

腕立て伏せ パート2/4

腕立て伏せのバリエーション ここまでで、適切な腕立て伏せの方法についてカバーしました。ここからはバリエーションとプログレッションについて見ていきましょう。 当たり前ですが、通常の自重の腕立て伏せのみでは、長い間、モチベーションを維持し、やり続けることは難しい。ですから、ここでは、これから先何年も、腕立て伏せをより難しく、面白くできる様々なバリエーションについて説明します。 標準的な腕立て伏せ 下記のビデオは、標準的な腕立て伏せの例です。何も面白いところはありませんが、適切に行うことができれば、投資に対する大きな効果が得られます。 このエクササイズの最大の利点は?どこでもできて、器具も全くいらないことです。 足を高くした状態での腕立て伏せ 腕立て伏せを漸進させる簡単な方法は、単純に足を高くすることです。これにより、相対体重が増し、上半身およびコアにより過負荷をかけられます。 このバリエーションのもう一つの利点は、肩甲骨の上方回旋が少し増すことです。肩甲骨を後退、下制した常態で固定してしまいがちな人にとっては、心地よく、とても役立ちます。 足の位置を高くすればするほど、より多くの体重を押し上げる必要が出てくるので、最初は少しから始めましょう。IFAST(訳注:著者のトレーニング施設)では、4インチから6インチ(10cmから15cmほど)のボックスから始めて、だんだん高さを上げていきます。 Xベストを用いた腕立て伏せ 標準的な腕立て伏せを簡単にアレンジする別の方法として、何らかの外的負荷を加える方法があります。 背中にプレートの重りを乗せることもできますが、これは扱いづらいて、やりにくかったりします。 それに対して、ウエイトベストは準備も簡単で、動きの間中、同じ負荷を保つことができます。これに鎖やバンドを加えるはかっこいいですし、トップポジションでかかる負荷の調整ができますが、それは必要ないかもしれません(特に初期の段階では)。 とにかく、Xベストのような外的負荷を加えることは、標準的な腕立て伏せをよりレベルの高いものにする方法として有効です。 鎖抵抗の腕立て伏せ 次にバンドや鎖を用いて負荷を与えるバリエーションです。腕立て伏せを行ったことがあれば分かると思いますが、腕立て伏せで一番楽な部分は、てこが有利な状態にあるトップポジションです。 基本的に、ボトムポジションから上がってくることができれば、トップポジションまで持っていくことができます。では、この動きをどうやってより難度の高いものにできるでしょうか? また、自然な筋力曲線をよりきれいに描くにはどうしたらいいでしょう? 簡単です。腕立て伏せのトップポジションで負荷を与えることのできる器具を使えばいいのです。 鎖抵抗の腕立て伏せでは、身体を下げていくにつれ、鎖が重なり合い、負荷が確実に減少します。床を押して戻ってくるときには、その重なりがほどけて、トップポジションで大きな負荷がかかります。 忘れてはいけないのが、鎖を使用すると、テスタステロン、攻撃性、カッコ良さが27.8653%上昇するということ。これは証明された、科学的事実です。 バンド抵抗を加えた腕立て伏せ 鎖抵抗のバリエーションと同様に、バンド抵抗の腕立て伏せは、動きのトップポジションで与える負荷を調整することができます。 鎖抵抗のバリエーションは、移行/抵抗が少し微細であるのに対し、バンド抵抗は、負荷を与えるという観点ではより積極的に行うことができます。 ここで間違えないように気をつけてください。たとえ小さいバンドでもトップポジションで更なる負荷を与えるという点で、大きな役割を果たします。 腕立て伏せからダウンワードドッグへ そうです、私もついにやりました-私のウェブサイトでヨガのポーズを紹介しています! 冗談抜きで、ルルレモンで全身を固める必要なしに、この素晴らしいエクササイズの利点を享受できます。 腕立て伏せからダウンワードドックを行うと、通常の腕立て伏せの利点に加え、2つの補助的な利点があります。 押すときに、肩甲骨の上方回旋が促され、リーチのメカニクスが得られる。これは肩、および上背部に良い効果をもたらす。 トップポジションに押し上げるときに、ポステリアチェーン全体に素晴らしいストレッチ/モビリゼーションとして働く。(私のように)伸展位で固まってしまっているアスリートがいるなら、屈曲を体系的に促すことは、とても有効である。 コーチングに関しては、とてもシンプルです。トップポジションに力強く上がってくる、でも完全に上げる代わりに、臀部を高く上げて、「V」の字を作ります。 トップポジションでは、床を押し離して、能動的にリーチするという意識を持ち、膝はまっすぐ、踵は地面に向けて押すように指示します。 これは、ヨガのインストラクターが教える方法と100%同じではないでしょうが、私の指導方法に関する批判メールがたくさんこないことを祈りましょう。私はこの動きが好きですし、トレーニングとして行うにも、エクササイズプログラムの中のウォームアップとして行うにも、素晴らしいエクササイズだと思います。 インクライン腕立て伏せ IFASTでは、「女の子」腕立て伏せを行わないことをご存知ですか? まずそもそも、この言葉は失礼だと思います。多くの男子、男性も従来の腕立て伏せを適切に行うことができませんが、だからといって彼らに「女の子」腕立て付せをやらなければいけないと言うのでしょうか。 そんなはずありません。 次に、この腕立て伏せは、指導するのがバカらしいエクササイズだと思います。(つま先の代わりに)膝をつけば、てこを効果的に短くし、コアの安定性に対する要求が減少します。 最後に、これも重要なことですが、「膝をついた」バリエーションは、理想的な脊柱/骨盤のニュートラルな位置を維持するのがとても難しいため、このバリエーションは封印することにしました。 私は腕立て伏せを指導する際には、いつもインクラインの傾斜を使います。指導するのが簡単で、ポイントも伝えやすい上に、漸進させるのも非常に簡単だからです。強くなって、より安定してきたら、単純に止め具の位置を少し低くして傾斜を低くしてしまえばいいのです! ここで、指導者として注意するべきことは、アスリートの足の位置をラックから適切な距離にセットアップすることです。アスリートの胸の下部がバーに触れる位置まで下がることが理想ですが、同時につま先で立ち、脊柱のニュートラルなポジションを維持できるようにします。 最後に、これはバーをつかんだ状態でのバリエーションですので、私がこれを指導するときは、小指をパワーリングに置いた状態で始めて、徐々に調整していくようにしています。 腕立て伏せから片手支持にする 片足のトレーニングが非常に有効であることは周知の事実ですが、片手のトレーニングはどうなのでしょう? 腕立て伏せから、片手支持にすることには、多くの利点があります。 働かせている側の腕/肩の負荷が増す 中背部と肩(特に回旋筋腱板)の安定筋群の活性が高まる コアと胴部の安定性に対する要求が高まる このエクササイズを行うための準備は、標準的な腕立て伏せと同じです。足幅を通常より少しだけ広く取って支持基底面を大きくするようにしましょう。 動きの開始時と終了時に、床またはバーから片手を離します。この動きと呼吸を伴わせるようにして、手を上げて、床から身体を押し離す時に息を吸い、息を吐いて、手を戻す、そして、両手をつき、次の回を行います。 不安定な基盤での腕立て伏せ 「安定性」対「強さ」というテーマに即して、不安定な基盤で行う腕立て伏せは、安定性とコントロールを一つ上のレベルに引き上げます。 動きの始め方は、標準的な腕立て伏せと同じですが、今回は手を不安定な基盤を提供する器具に置きます(IFASTではブラストストラップ、TRX、ジャングルジムなどを使っています)。 動き自体は、標準的な腕立て伏せと全く同じですが、あちこちにぶれてしまうため、難易度は格段に上がります。 そのため、私たちが行うときは、まず、インクライン腕立て伏せのような胴/身体の角度になるように高い位置から始めて、徐々に角度を下げていくようにしています。 メディシンボールを使った腕立て伏せ 腕立て伏せのバリエーションの最後は、昔からあるものですが、楽しい、メディシンボールを用いるものです。ここではまた、動物的強さではなく、安定性とコントロールに重点を置いています。 不安定な基盤を提供する器具のバリエーションと同様に、身体の下に不安定な表面を作れば、安定筋群の機能にかかる要求は高まります。この場合、コアや肩により大きな負荷を感じるでしょう。 まず、標準的な腕立て伏せのポジションを取りますが、手を床に置く代わりに、同じ大きさの二つのメディシンボールを用意し、それぞれのボールに手を置きます。動きの実践方法は標準的な腕立て伏せと同じです。 もし、二つのメディシンボールを用いるのは、不安定性要素が高すぎるという場合には、ボール一つを片手の下に設置した状態で始めてください。セットの半分をその状態で行い、半分終わったら、腕を入れ替えて、目的の回数をこなします。

マイク・ロバートソン 4010字

腕立て伏せ パート3/4

腕立て付せのテクニックエラー:欠陥と手がかり ここまで腕立て伏せの様々なバリエーションについて説明してきました。ここでは、ジムでよく目にするフォームやテクニックのエラーについて細かく見て行きましょう。 脊柱のニュートラルな状態の欠如 脊柱のアライメントをニュートラルに保つことは、クライアントやアスリートを指導する中で直面する大きな課題の一つです。全くニュートラルな状態に入れない人もいれば、セットの途中でニュートラルな状態を保てなくなる場合もあります。 下記は、クライアントが理想的なポジションをとれる(そして維持する!)ように、どこでニュートラルなポジションが崩れてしまうかによって、私が使い分けている指導方法です。 首 私が、脊柱のニュートラルな状態を保つことができない人に最初に行うことは、塩化ビニールパイプを背中に置くことです。これにより、即時にフィードバックが与えられ、問題を正すことができます。 セット中、疲れているときは特に、頭や首が前方向に「さまよう」人がいます。クライアントに合わせて、頭や首を後ろに「引く」という指示を好んで使っています。 もうひとつ効果的な指示方法としては、「長い首」というのがあります。頭を後ろに引き、脊柱からまっすぐ伸ばした線上に頭が位置するよう意識できるからです。 上背部 上背部でよく起こる問題は、動きの終了時でフォームが乱れるか、トップポジションへの到達の仕方が不適切なことです(両方とも後述します)。 上背部を極端に丸めることで腕を伸ばそうとすることがよくみられます。これらの動きは全く違うものです! 何かにリーチしようとするとき、多くの人が、ただ背中を丸めているだけであることが多いのですが、そうではなく、脊柱のアライメントが、よりニュートラルで、上背部の後弯を保った状態で、腕と前鋸筋を使ってリーチをするのです。 塩化ビニールパイプはここでも効果的に働きます。もしパイプが常に上背部にだけ接してしまっている人がいたら、リーチの方法を教えてあげてください。 腰部 ここでも塩化ビニルパイプが大活躍します。ほぼニュートラルなポジションがとれているけれど、コア、および腹筋群がたるんでいるとします。さてどうしましょう? この場合の、一番いいキューイングの方法は、息を強く、完全に吐ききる方法を教えることです。こうすることにより、コア、および腹筋群が働き、腰椎の前弯が減少します。そこから先は、とにかくコアの活性を保つことが大事です。 指示の方法がもっと必要ならば、息を吐いて、肋骨を下げ、また息を吐いて骨盤を引き上げるように指示します。 開始時、および、終了時を適切に行えていない 上背部に関してよくある大きな問題は、クライアント、またはアスリートが、誤った動きの終え方をしていることかもしれません。 肩甲骨が、いつも後ろでギュッとしぼめられている状態の人を見かけると思いますが、これは望ましいことではありません。 ここでの考え方、指示の方法は単純です。脊柱のニュートラルな位置を保った状態で、地面から自分自身を「押し」あげてほしいのです。 下記は、これを行うために使えるいくつかの異なる指示方法です。 リーチする 押し離す 地面から押し離す 腕を長くして・・・など クライアント/アスリートが、あなたの指示にしたがって全てを行っているのに、それでも完璧に見えないことがあります。もしこういった状況なら、プログラムの中に矯正エクササイズを取り入れ、身体の後面に空気を送り込み、後方縦隔(上背部など)を空気で満たす方法を教えるべきです。 膝が曲がっている 他に良くありがちな問題として、膝を曲げてしまうということがあります。この場合、矯正方法は簡単です。脊柱/骨盤のアライメントをニュートラルに保った状態で膝を伸ばすように指示してください。 広背筋の過剰動員 私たちは、より大きくて強い広背筋が全てという段階を通り抜けてきました。 広背筋には確かに役割がありますが、全てのウエイトトレーニングで広背筋を使いたくはありません。(概要が知りたい方は、この記事を読んでください:広背筋:味方か敵か?) 広背筋の過剰動員は、肘が身体にとても近い状態で、身体を床に向けて下ろしているときによく見受けられます。 そうではなく、動きを通して、肘を少し広げた状態に保つことを意識してください。もう一度言いますが、身体に対して35-45度の角度が良いでしょう。 肘が広がりすぎている 身体の真横で肘がすぼめられている状態を避けるべきであるように、肘が90度の角度に広がるのも避けるべきです。 あなたと同じジムに通う、70歳のボディビルダーがどう言っていようが関係ありません。肘を広げることで、大胸筋や三角筋を、より効果的に働かせるのに役立つかもしれませんが、それは長期にわたる肩の健康状態と引き換えです。ちょうど良い肘の角度を見つければ、それでいいのです。 (余談:もし70歳のボディビルダーからのクレームメールがいっぱい来たら感心します。どうか一生嫌ったりしないで下さい!) 肩甲骨をお互いに「引き寄せる」 広背筋の過剰動員と同様に、トレーニングを行う際に、肩甲骨を後ろに「引き寄せる」ことをクライアントに教えることも、肩に負荷がかかり、問題になる可能性があります。 この前提は必ずしも悪いわけではありません。主要な機能に関する指示を与えたり、伸張性の動きを促進するために短縮性の動きを教えることは理解しています。 問題は、多くの人の、その方法なのです。 身体が下がると共に、肩甲骨が自然に近づいてくるようにするのではなく、クライアントが即座に肩甲骨をくっつけて、腕立て伏せのボトムポジションに到達する前に、動きの遊びをなくしてしまう、ということが起こりがちです。 肩甲骨を既に最大限に後退させてしまっているため、その後の可動域は肩関節(関節窩上腕関節)の受動的抑制により産み出されます。 これを行ってしまっている人がいたら、私の指示はシンプルです:アスレチックに。笑われるかもしれませんが、10回に9回はこれで大丈夫です。 こういった人は通常、肩甲骨を引き寄せることを考えているので、リラックスするように促し、考えずアスレチックに、と言えば問題は解決するのです。 ボトムポジションでの 前弯の増加 最初は、コアや腰椎のポジションが完璧でも、動作のどこかで、特に動作の一番下の位置で姿勢が崩れてしまうことがよくあります。 息を吐ききることについては上述しましたが、セットを通してニュートラルなポジションを保つためには、ただ単に、より強い腹筋が必要です。 下記の記事は、私の好きなコアエクササイズをカバーしています。もし基本的なコアトレーニングを必要としているなら素晴らしい効果を発揮するでしょう。エクササイズをバランスよく行い、私が説明している通りに行うよう心がけてください。 地面を基盤としたコアトレーニング シュラッグ vs リーチ 先ほども少し話しましたが、ここではより深くみていきましょう。 トップポジションでは、クライアントやアスリートにリーチをしてほしいのです-ここでの目標は脊柱のアライメントをニュートラルに保ち、肩甲骨が後ろ側から外側へすべるようにすることです。 しかし、もし前鋸筋が弱かったり、この動きをどう行うかを理解できていなかったりすれば、リーチをする代わりに肩をすぼめてシュラッグしてしまうことはよくあります。 これを直すためには、一旦エクササイズをやめさせて、話す時間を設けます。どのような動きを感じて欲しいかを説明し、立った状態でそれを見せます。これは単純に腕を長く伸ばしてもらい、胸を張った状態で、前鋸筋を感じることができるかを聞く、というような単純なことでもあり得ます。 私が求めている感覚が、どのようなものかがクライアントにわかれば、またエクササイズを試します。感覚がわかっていても、負荷がある状態ではできない、という場合には、負荷を減らして、エクササイズの難易度も下げる必要があります。 こういったときこそ、インクラインの腕立て伏せが役立ちます。インクラインの腕立て伏せは、ほぼ同じ動きでありながらも負荷を減少します。 心配な場合は、塩化ビニールパイプを使って、脊柱のニュートラルな状態を強調し、トップポジションでリーチをさせるようにします。もしシュラッグしてパイプがお尻を離れてしまったら、まずはトップポジションの取り方を、わかるまでしっかり時間を使って教える必要があるかもしれません。

マイク・ロバートソン 3857字

腕立て伏せ パート1/4

私がトレーニングを指導しているクライアント、および、アスリートは皆、トレーニングプログラムの中に腕立て伏せを取り入れています。 むしろ、やらない理由はありますか? 腕立て伏せは、あなたの目標が強くなることでも、体脂肪を燃やすことでも、競技力を高めることでも、何にでも役立つ素晴らしいエクササイズです。 では、皆さんが次回のトレーニングプログラムに腕立て伏せを組み込みたくなるかもしれない理由のいくつかを紹介しながら、腕立て伏せ探求の旅を始めましょう。 腕立て伏せを行う利点 腕立て伏せをプログラムに組み込むべき理由はたくさんありますが、ここでは短いリストで紹介します。 上半身の強化 腕立て伏せは、ベンチプレスほど称賛されていませんが、疑いなく上半身の筋力向上に貢献しています。 目標が、純粋に上半身の筋力向上であるならば、ベンチプレスの方が優れています。これを覆すのは難しいでしょう。しかし、もしあなたが、身体を総合的に使う能力、空間の中で効果的に身体を動かす能力を求めているのなら、腕立て伏せの方がより良い選択肢となります。 そして、負荷、不安定性、てこなどの様々な可変要素を考慮するときに、腕立て伏せには、その目的を果たすことのできる多種多様なバリエーションがあります。 コアの安定性 十分なコアの筋力と安定性を持ち備えたクライアントやアスリートに出会うことは稀です。トレーニングを始めたばかりの若いクライアントであれ、プロのアスリートでさえも、大抵はとてもがっかりします。 そのため、私は常に、セッションの最後に行う典型的なコアトレーニングエクササイズに加えて、プログラムの中により多くのコアトレーニングを入れる方法を模索しています。 腕立て伏せを様々なバリエーションとプログレッションで行うことにより、ワークアウト中にコアに頻繁に負荷をかけることができ、より素早い反応を得ることができます。 上半身と下半身、コアを一体化する 先ほど挙げたポイントをさらに詳しく見ていくと、腕立て伏せは、上半身、コア、下半身を統合し、連動した一つの動きにするのにとても優れた働きをします。 既に述べたように、ベンチプレスでは、コアはある程度しか使われませんが、腕立て伏せでは、コアの筋力が(弱かったり、不安定なため)標準レベルに達していなければ、エクササイズの制限要素となり得ます。 さらに、アスリートは、上半身の筋力だけではなく、コアと下半身を固めた状態で、上半身から力を発揮できる能力が必要です。そのため、私は、腕立て伏せはベンチプレスよりも優れていると思っています。 このトピックについて語るなら・・・ ベンチプレスの代替案 肩が悪いのであれ、なんらかの理由でウエイトトレーニングをかたくなに避けているのであれ、腕立て伏せは、ベンチプレスの代用として使えます。 私のところには、肩に不安定要素を抱えるアスリートがたくさん来ますが、これらは能動的不安定性よりも受動的/構造的な問題によるものが多いようです。手術を受けでもしない限り(この手術は、スポーツパフォーマンスの向上には全く必要がありません)、ベンチプレスは彼らのプログラムの焦点になるべきではありません。 そのため、こういったアスリートには、腕立て伏せのバリエーションを使うのです。 リーチの方法を学ぶ 最後に、これも大切なポイントですが、私がベンチプレスよりも腕立て伏せを選ぶ重要な理由の一つは、腕立て伏せをすることにより、クライアントやアスリートが、リーチの方法を学べるからです。 ベンチプレスでは、肩甲骨を後退、下制させた状態で固定し、安定性を高めることが目標です。これは、ベンチプレスには非常に有効ですが、肩の力学という観点からみると、必ずしも理想的ではありません。 一方で、腕立て伏せでは、前鋸筋を使ってリーチをする方法を学ぶことができます。正しい呼吸法と組み合わせれば、この動作は、上背面(あるいは両肺間の後方縦隔)を含む身体の後面を、効果的に開放することができます。 ここまで、腕立て伏せをトレーニングに取り入れる利点を複数説明してきました。ここからは、腕立て伏せのセットアップの方法、パフォーマンスについて順を追って見ていきましょう。 セットアップの方法 床に伏して、手をセットする 最初の部分は簡単です-床に伏して両手を肩幅より少し広いくらいに離して床につきます。 両手の幅を広く取りすぎると、肩に過剰なストレスがかかる一方、狭すぎると関節が詰まって動きづらくなり、嫌な感じがします。多少の個人差はあるでしょうが、まずは肩幅より少し広く取って、そこから調節するようにしてください。 トップポジションでのニュートラルな姿勢 次のステップは、腕を伸ばして、つま先立ちになり、実際にスタートポジションに入ることです。 トップポジションでは、脊椎のアライメントをニュートラルにするようにします。つまり、下記の3点が一直線になった状態です。 後頭部 上背部 臀部/仙骨 このビデオでは、この概念についてあまり馴染みのない方向けに、脊椎のニュートラルポジションを確認する簡単な方法について説明しています。 ここでもう一つ気をつけるべきことは、腰部のポジションです。塩化ビニールパイプとの3点接触を保った状態で、腰椎には小さなカーブが保たれるべきです。 私が指導をするときは、腰部とパイプとの間に指を差し込むようにしています。正しい姿勢が取れていれば、指関節辺りまで手を差し込むことができます。スペースがそれ以上ある場合は、腹部や胴部をより活性する必要があります(後ほど詳細について述べます)。 膝をまっすぐに これは言葉通り簡単です。脊柱のニュートラルなポジションが取れたら、骨盤と膝もニュートラルな状態にします。 動きを始める前に、膝を固定してください。身体を上から下まで一枚の板として考えるといいかもしれません。全身の筋肉を使って、一枚板がスムーズに動くイメージです。 息を吸って、リーチする ここまで来れば、準備はほぼ完璧、早速エクササイズを始めて、回数を重ねていきたいところでしょう。 次の部分は、これまでにやってきたこととはちょっと違うかもしれませんが、必ず試してみてください。 トップポジションで、腕を遠くへ伸ばすイメージを持って、息を吸ってください。ここで息を吸う目的は、上背部に空気を入れることです。アスリートに指導をするときには、「腕を長くする」、「地面からできるだけ離れるように手を押す」ことを考えさせるようにしています。 息を吐いて、固める 最後に忘れてはいけないのが、ここで身体から余分な空気を吐き出すことです。息を吐ききって、腹部をしっかり固めます。これにより、コアが安定し、下半身と上半身を連動させるのに役立ちます。 ここまで、準備について詳しく見てきました。ここからは、適切な腕立て伏せを行う方法について見て行きましょう。 腕立て伏せの実践 地面に向かって身体を下げる 動きを開始するには、単純に地面に向かって身体を下ろしていくことから始めます。 私は昔、アスリートに、広背筋で引く、またはアクティブに肩甲骨を後ろに絞る/狭める、といった指示をしていました。 振り返ってみると、これはあまり良い考え方ではなかったと思います。広背筋の使い方について指示をすると、肘を身体に近すぎる位置に保とうとしてしまい、人によっては、肩全体を通して、上腕骨が前方へスライドしてしまいます。(これにより肩の前方に痛みが起きることがよくあります) また、身体を地面に向かって下げていくときに、身体の後ろ側で筋肉を収縮させるように指示することは、動きを不自然にし、肩に過度の緊張を与える可能性があります。 つまりは、シンプルに下げるということから始めればいいのです。 矢印を作る これは、一つ前にあげたポイントと同時に意識する必要がありますが、身体を下げるときは、肘と胴体の作る角度が35-45度くらいになっていることが理想です。 (心配しないで下さい-右の素晴らしい図については後ほど感謝してもらえれば大丈夫です。そうですよ、私が矢印を描きました。素晴らしいでしょう?) もし肘の角度が大きく広がっていたら(90度くらい)、肩に膨大なねじりとひずみの力がかかってしまい、ご存知のように、それは良いことではありません。 しかし、角度を狭くしすぎれば、広背筋で「引く」という指示と同様に、上腕骨頭を前方へ動かし易く、肩の前側に痛みを引き起こします。 この、上から見たときに矢印を作ることをイメージする方法は少し前に聞いたのですが、役に立っています。胴と脚は矢印のまっすぐの線、上腕が矢印の向きを決める二本の線を描きます。 機能的可動域を使う 私は、「機能的可動域」を信じています。現時点で、最大の可動域を通して動きを行うのに必要な可動性や安定性を有していなくても大丈夫です。 でも、エクササイズは正確に行ってください! 腕立て伏せの場合、コアを収縮させた状態で保ち、動きを通して、身体を板のように固めておくことに集中します。動きのどのポイントにおいても、腹部が下がったり、コアの筋肉が緩まないようにしてください。もし十分な可動域を通してエクササイズを行うことができないのであれば、小さめの動きに留めるか、エクササイズのレベルを下げてください。 押し上げる コアの収縮を保てない、あるいは、脊柱のニュートラルな状態を保てないと感じるところまで身体を下げ、それから地面を押して身体を戻し始めます。この位置は、人によって違うので、毎回床に鼻をつける必要性などはありません。 引き締めた状態を保つ 地面を押して上がってくるときに、ここまでに意識してきたポイントを保つようにしてください。肘は35-45度の角度、コアを引き締めて、脊柱はニュートラルな状態、等々・・・ トップに到達 - 繰り返し 動きの頂点では、少なくともアクティブにリーチするという意識を持つ必要があります。胸を広げ、引き上げて、上背部をすぼめないようにします。 そこから、また呼吸サイクルを通して(リーチするときに息を吸い、再び始める前に完全に吐き出す)、目的の回数だけ繰り返します。

マイク・ロバートソン 4600字

3つの「E」:Exercise(エクササイズ)、Eat(食事)、Eliminate(排出)パート4/4

食べる! 昨年のジョン・ベラーディのプレシジョン・ニュートリションで学んだことのひとつに、1日に8サービングの野菜類を食べるという課題が、どれ程気にいっていたかということがあります。トレーダージョーに、食べやすいサイズにカットされボールに盛られた8種類の野菜が売られているのを見つけました。 少しお金を使うことで、私の体脂肪のレベルが減少しました。なぜ?これらのボールに盛られた野菜を軽く炒め、卵を(3個か4個)加えれば、16時間以上の絶食の後の私を満足させてくれることに気がついたからです。さらに、「もっとよい選択」を求めて、時にはいくつかのサイドディッシュを加えますが、たいてい既に先ほどの分量で満腹になります。 これが、このプログラムの断食を明ける際の重要なポイントだと思います:良い選択をするということ。マーク・リフキンドが何年も前に、断食はより良い選択を助けてくれると言いました。パンガー・バンのように、正しいものを探し求めているのです。ベーグルを食べてしまえば、次にドーナッツに手を出してしまうでしょう。どちらも食べなければ、後々良い選択をすることになります。そう考えるのは、私だけではないはずです。 『8時間ダイエット』を読んで以来、私は現在1日2回のみの食事をとっていることになます。午前11時ごろから午後2時ごろの間に朝食兼昼食を食べます。それから、通常の夕食をとります。残念ながら、夕食時に空腹感を感じることはもうなくなりました。 排出! 個人的なことになりますが、スティーブ・イルグ氏、この情報を提供してくれたことに脱帽です。夕食後、私は満腹になるはずです。就寝前は、ZMAやビタミンD、メタムシル(砂糖不使用のオレンジ味)、魚油といったサプリメントを摂る時間です。その他にも実験的に2、3種類のビタミン剤を摂取します。ひとつは、肝臓を「保護」すると言われているもの、もうひとつは、柔軟性を促進するものです。それらがすべて無駄になるかもしれないので、ここでは具体的な名称は伏せておきます。 断食で睡眠が改善するということも聞いたことがあります。お腹まわりと首まわりの脂肪が減るからではないかと私は思いますが、実際のところは分かりません。私が摂取しているマグネシウムや魚油、メタムシルは、便通を促進し、排出を助けてくれるようです。 最近、何人かの友人に薦められスクワッティーポティー(洋式便座でスクワットポジションを作る足台)を購入しました。個人的な話しになりますが、と言っていましたよね?妙な話しになってきましたねぇ。 また、私は、毎朝しっかりと歯をフロスし、磨き、舌スクレーパーを使用します。 舌スクレーパーは、歯医者から薦められましたし、スティーブ・イルグ氏からも全く同じ提案がありました。初めて実施する時は、少しむかつくかもしれません。 でも、ちょっと待って!まだあるんです!以前は、鼻にネティポット(鼻腔洗浄商品)を使っていたことがありますが、最近ではサイナスリンス(鼻腔洗浄商品)を使うようにしています。何年か前、私は「突然」花粉症になったことをバークレー先生に伝えたことがあります。彼は、“私達は一生涯アレルギーの海の中を泳いでいるようなものだ”と言いました。そこで、“水泳をすれば(スプリントトライアスロンのトレーニングをしていたので)アレルギーも緩和されますね”と返すと、彼は笑い、“伝統的な療法はベトベト汚れ(彼の言葉)を頭から洗い流すことだよ”と教えてくれたのです。 その後、私はその賢明なアドバイスを無視してアレルギーの薬を服用しましたが、1%の確率で体重増加という副作用の警告通り、ずばり私がその1%のラッキーな人になってしまいました。かなり体重が増加してしまったので、1日1回ベトベト汚れを頭から洗い流す方法に戻り、しっかりと指示に従っています。 ひげ剃りは自然な除去ですが、将来的にもう少し選択肢を作ってもよいかと思います。ペデイキュア(足のお手入れ)に一度行ったことがありますが、小さい人がひとり作れるほどの角質がとれました。イメージをお楽しみください。 空腹を避けるために、トレーニングをします。そして、このプロセスをまた繰り返すのです。 これは、私には効果のある方法です。見た目もよくなりましたし、気分もよいです。本当ですよ。血液検査は、少しずつ改善しています(いつも良好ですが)。血液検査の判断基準ともいえる中性脂肪やHDLは同じレベルで、この3つの「E」のおかげで、ほんの少しですがHDLが上昇したことになります(取るに足らないぐらいですが、まあ、よかったです)。 また新しいことを学んだら、続きを書くことにしましょう。

ダン・ジョン 2038字

3つの「E」:Exercise(エクササイズ)、Eat(食事)、Eliminate(排出)パート3/4

プログラムの詳細について! ここで、ひとつの輪で繋がっている3つの言葉についてお話ししましょう: Exercise(エクササイズ) Eat(食事) Eliminate(排出) ここで重要なことは、次から次へと繰り返し実施されるのを認識することです。食事の後は、排出に集中し、排出の後はエクササイズをし、エクササイズが終わったら、また食べる時間になります。この3つの「E」のどこから説明を始めようが、ぐるぐると回るのです。 エクササイズ エクササイズからスタートしましょう。私が朝のトレーニングを始めたのは、興味深いことだと思います。歴史上の偉大なトレーナーは、朝のトレーニングを取り入れています。しかし、私はそれでも理想的なトレーニングの時間帯は午後3時と考えます。学校が終わる時間で・・・・ ちょっと待ってください、放課後? 私のキャリアを通して、ずっと学校のスケジュールに合わせてトレーニングや仕事をしてきました。練習の前、つまり午後の中ごろから夕方前になるとたいていガソリン切れであることが多く、2食とおやつを摂るのにこだわっていたものでした。これが後々、中年腹になってしまった原因でもありますが。常に気づいていたのは、1日の早い段階で炭水化物を摂取したら、一日が経つにつれて多量の炭水化物を食べることになるということです。 ですから、ビル・パールたちのように、今では私もトレーニングは朝早くすることにしています。以前にも何度もそうしていましたし、特に、全国大会での円盤投げが午前9時であることが分かってからは、自分のトレーニングをその時間に合わせて準備していました。 週に2日間、仲間と一緒に筋肥大のためのトレーニングをします。 いわゆるウォームアップはたいてい次の通りです: ドラゴン パンプ x 3 (コブラとダウンドッグ) PUPP 腕立て伏せを正しく1回 シックスポイントロック バードドッグ シックスポイントゼニス バードドッグ シックスポイントゼニス スリーポイント 片側バードドッグ 片膝立ちレインボー Bボーイ腕立て伏せ スリーポイント 片側バードドッグ 片膝立ちレインボー Bボーイ腕立て伏せ パンプ x 3回(コブラとダウンドッグ) 通常のトレーニングは、このような感じです。お願いしますから、これらのエクササイズの詳細を質問しないでください。ただ名称を記しただけで、これらを詳しく説明するには何時間もかかります(または、私のワークショップにご参加ください)。 プレス 1. 左右 片手x 10 2. ウィンドミルスティック 3. HAT スクワット 1. フロントスクワット x 10 2. スウィング x 15 3. パンプ ヒンジ 1. スウィング x 30 2. TRXカール x 15 3. スティックを持ったオーバーヘッドスクワット プル 1. TRX Tフライ x 15 2.ヒンジスティック 3. Bボーイ腕立て伏せ 一般的に、1日にこれらをそれぞれ、2回から3~4回行います。 週に何日かはヨガに行き、また週に2~3日はバーベルを使ったスクワットスナッチをするようにしています。このように、筋肥大トレーニングをしてから、ヨガに通うか、または、オリンピックリフティングをしてからヨガへ行くというルーティンが最も効果があります。 ところで、トレーニングをしない日はかえって断食が難しくなるのに気づきます。筋肥大トレーニングとヨガ、そしてその後ビクラムヨガのクラスに通えば、夕方まで食べ物のことを考えさえしないことに気がつきました。もし執筆活動しかしていなかったら、早い段階でランチのことを考え始めてしまうでしょう。

ダン・ジョン 1693字