ファンクショナルムーブメントとは? パート2/2

10月に来日が決定したグレイインスティチュートの指導者のひとり、レニー・パラチーノのインタビューのパート2/2。ファンクショナルな動きとは一体何を意味するのか?そして10月のセミナーFSTTでもカバーする“メルト~モールド~ムーブ”のプロセスとは?是非御覧ください。

レニー・パラシーノ 6:06

テクニカ ガビラン ギャリー・ラング インタビュー パート1/3

医療用ステンレス製のツールを使う軟部組織へのアプローチ、テクニカ ガビランを開発したアスレチックトレーナーのギャリー・ラングとのスカイプインタビューのパート1。テクニカ ガビランが誕生したきっかけや、グラストンとの相違点に関して、開発者自身からの興味深いお話です。

トラビス・ジョンソン 8:15

テクニカ ガビラン ギャリー・ラング インタビュー パート2/3

医療用ステンレス製のツールを使う軟部組織へのアプローチ、テクニカ ガビランを開発したアスレチックトレーナーのギャリー・ラングとのスカイプインタビューのパート2。テクニカ ガビランとグラストンとの相違点に関して、また道具を使用することによる手への負担の軽減に関して、開発者自身からの興味深いお話です。

トラビス・ジョンソン 8:18

テクニカ ガビラン ギャリー・ラング インタビュー パート3/3

医療用ステンレス製のツールを使う軟部組織へのアプローチ、テクニカ ガビランを開発したアスレチックトレーナーのギャリー・ラングとのスカイプインタビューのパート3。3Dの ロード/アンロードの動きを多用したテクニカ ガビランのアプローチは、レシピ本のように決まったプロトコールを覚えるのではなく、各個人のニーズに合わせた自由さと可能性を持ち合わせています。

トラビス・ジョンソン 9:18

YTWLショルダーエクササイズが好きではない理由

YTWLショルダーエクササイズが普及しはじめた頃を覚えています。「YTWL」という頭文字は、肩のエクササイズをうまい具合に説明しており、覚えやすい名称でした。私も時流に乗り、すべての人に両肩のトレーニングを適用していました。肩を負傷しリハビリ中の人たちにさえも行っていました。YTWLショルダーエクササイズでは同時に両側を行うことで、より短い時間で左右対称にトレーニングできます。それでも、私はあまりこのエクササイズに満足しておらず、たくさんの異なるバリエーションを試してみました。 まず初めに試みたのは、立位で前屈することです。シンプルでスタートとしては良いですよね? ただ、すぐに気がついたのは、実際、このエクササイズをするのに適切なポジションがとれない方が多いということ。ほとんどの人達は、上半身を床と水平にするのが困難で、床から約45度の角度で行っています。これでは、三角筋の関与を増やしてしまうのが気に入りません。回旋腱板と肩甲骨のエクササイズを行う際に、三角筋の関与は一番望ましくないことですから。 次に試みたのは、バランスボールの上に腹臥位になることです。すごくいいアイデアですよね? 体幹を安定させながら、肩や肩甲骨周囲の筋群のトレーニングをしようというわけです! ところが、そうでもないようです。このトピックに関する研究では、これまで意見が対立してきましたが、一概にバランスボールの上でエクササイズをしても、肩周囲の筋群とコアの筋群のEMGの継続的な上昇は見られないということを数々の研究が示しています。しかし、このリサーチからひとつの傾向が浮かび上がってきます。それは、筋出力量の減少です。これは、バックスクワットとレッグプレスの違いに似ています。レッグプレスでは、それほど安定性を要求されないために、より重いウェイトを持ち上げられます。この試みはそれほど悪くありませんね。特に機能向上のためにトレーニングしている健康な人たちやスポーツ選手には適しているのかもしれません。でも、YTWLショルダーエクササイズをする理由は、肩の強化と肩の機能向上のためだということを思い出してみてください。不安定な表面でYTWLエクササイズを行ったところで、その目的は果たせそうにありません。 バランスボールの上でこのエクササイズを行っている人たちのポジションが、あまり感心できないものであったことも述べておくべきでしょう。ここでもほとんどの人たちは、上半身が床と平行ではなく、バランスボールより腕が長い場合は、充分な可動域でトレーニングできません。つまり、肩や肩甲骨周囲の筋群のための効果を最大限に発揮できないわけです。しかも、体幹の安定性が十分でなければ、動きのパターンを完成させるために後方に揺れて、腰椎が過伸展してしまうのです。 その次に試みたのは、YTWLエクササイズを不安定な表面ではなく、単にマッサージテーブルに腹臥位になって行うことでした。このエクササイズを行うには、頭と肩をマッサージテーブルやベンチの端からはみ出した位置におく必要があります。悪いアイデアではないようです。実際、YTWLショルダーエクササイズをこのポジションで行うことは、適切だと思いました。腰椎をニュートラルポジションに安定(マッサージテーブルにまっすぐにうつ伏せになり、腰椎を過伸展しないように指導)しなければなりませんが、通常のウェイトを利用することもできます。これまで試みたポジションで探していた「身体が床と平行なポジション」にようやくたどり着いたのです。 あぁ~、やっとここまで来ましたが、まだ満足できません。マッサージベッドの端から頭がはみ出した状態で両側性のショルダーエクササイズをすれば、上部僧帽筋と肩甲挙筋の活動を助長してしまいます。上部僧帽筋の活動や上部僧帽筋優位の姿勢を低減させたいという私の考え方を皆さんもご存知ですね。そのうえ、これらのエクササイズの目的は、肩と肩甲骨機能の向上なのですから、上部僧帽筋と三角筋を強化するようなエクササイズは、かえって私たちの目的の妨げとなってしまいます。特に上部僧帽筋と下部僧帽筋の活動の割合が肩のインピンジメントに影響することが分かっている場合、やはりこの方法は逆効果を招くと考えられます。 なぜ私はYTWLショルダーエクササイズを好まないのか おわかりの通り、YTWLショルダーエクササイズを実施するにはいくつかの制限があります。私が懸念しているこれらの制限をまとめると: 身体が床と平行で実施しなければ、筋にかかる角度が変わり、より三角筋を動員することになる。 腰椎が過伸展しやすい傾向にある。 不安定表面で実施することにより、筋出力量を減少させ、肩と肩甲骨周囲の筋群に重点を置きにくくなる可能性がある。 バランスボールの上では、充分な可動域で実施することができない。 マッサージベッドやベンチの端で実施すると、頭を保持するために上部僧帽筋と肩甲挙筋を動員し過ぎてしまう。 YTWLショルダーエクササイズを適用する時に提案したいこと 主要な目的が回旋腱板と肩甲骨周囲の筋群の強化であれば、YTWLエクササイズは、あまり推奨できません。実施する場合、安定面(たとえばマッサージテーブル)の上で身体は床と平行にし、片側ずつ行うように単純化する必要があります。そうです、頭の位置はニュートラルではなく横に向けてください。少なくとも首の筋群はリラックスさせておきます。Wショルダーエクササイズはこれまで通り両側で行いますが(Wショルダーエクササイズテクニックについては、私の過去のポストとデモンストレーション動画をご覧ください)、YとT、Lは片側ずつ行います。 特定の損傷や手術のリハビリテーションでない場合、または第一目的が肩と肩甲骨周囲の筋群の強化でない場合、また左右対称性と運動機能の向上が目的であれば、YTWLショルダーエクササイズを行っても悪くはないでしょう。もし特定の欠点強化に取り組んでいるのであれば、従来の古いやり方が適切かもしれません。まずはそこから始めて、筋力がリストアされれば、他のポジションに漸進すればよいでしょう。リハビリテーションとフィットネスの専門コーチは、両側のYTWLエクササイズの際、上記で述べた代償的パターンが起こらないように必ず指導するべきです。 両側でYTWLショルダーエクササイズを行うのが適している場合もありますが、ほとんどの場合、私は肩と肩甲骨の強化と機能向上を目的としています。両側のYTWLエクササイズは、肩と肩甲骨に十分な強度と安定性が備わってから実施するプログレッションと捉えています。YTWLショルダーエクササイズを両側で行うことは、目標から少し外れてしまうのではないかと私は思うのですが、皆さんはどうお考えになりますか?

マイク・ライノルド 2913字

ストレングス

この記事では、ストレングスの概念、もしくはより重要であるかもしれない機能的運動中の力発生への、より機能的なアプローチについて考察してみたいと思います。常に異なる定義が存在するでしょうが、ストレングスを定義する一つの方法は、外部抵抗を動かす能力、もしくは負荷(ニュートンに従うのであれば、その慣性)を克服するための力を産生すること、といえるでしょう。一般的には、ジムにおけるウェイトがそれにあたります。 そこで、ウェイトを用いることによって、私達が動かしているより大きな外部抵抗、もしくは質量を数値化することは簡単です。実際、それはウエイトの脇に数値形式で表記されています。私達が尋ねるべき質問は、私達の機能的運動において、これは力発生の向上になるのか?ということです(もちろん、それが私達の望むものですよね)。 では、私達の良き友人であるニュートンについて復習してみましょう。ニュートンの“運動の第2法則”は、力発生、もしくはF=MAという公式を定義しています。これは、力(F)= 質量(M)X 加速度(A)です。この公式は、力は2つのはっきりと区別できる方法、A分のM(M/A)、もしくはM分のA(A/M)において、力は産生されるということを示しています。私達は力を測る際に、ニュートン・メートルに換算することはほぼ無いので、この公式の質量要素をただ数値化することの方がはるかに簡単です。そこで、私達の力発生能力計測の単純な方法として、A(加速度)分のM(質量)(M/A)を考察してみましょう。ここでの疑問は、ほとんどのスポーツが高外部抵抗のM/Aなのか、低外部抵抗のA/Mなのか、ということです。これは、断言するにはとても難しい問題ですが、いくつかのスポーツを見てみると、その答えを見つけられるかもしれません。テニスやサッカーのようなスポーツは、低外部抵抗を有するスポーツであり、力を産生するために(A/M)、速度変化により大きく依存しています。これはまた、打撃や投球についても当てはまるでしょう。このような環境下で、大きな質量を動かす能力は私達の役に立つのでしょうか? ヒル曲線(1953年)、すなわち、双曲線の“力-速度曲線”を考察するならば、筋収縮の速度は、負荷に反比例するということを意味しています。、素早い運動においては、ウェイト・リフティングでみられるような大きな筋力は発揮されることは無いということが見てとれます。これは速度の変化や力を産生するためのM分のA(A/M)と関連しているのでしょう。 そこで、私達は、自分のスポーツが上達するために、強くなる必要があるのでしょうか?一つの見方は、ストレングス(M/A)もしくは、筋肥大と体格が大きければ大きいほど良いということ。しかし、私達はこの前述に適合しない競技者達の驚くべきパフォーマンスを日常的に目にするように、競技場においては、しばしばこれに当てはまらないのではないかと思います。機能的背景においては、スピード・ストレングスの副次的分類の方が、より適切なのかもしれません。私達はこれを、高速度で低抵抗に逆らう運動を遂行する能力として定義することでしょう。 スピードと強度を必要とする運動では、最大努力に関連する速筋線維を動員します。これらの線維は、力の必要性に従い動員されます。前述のように、この力はM/Aと同様に、A/Mを増大させることができるのです!そこで、M/Aをも動員できるのであれば、私達は速筋線維を動員する方法について、具体的にする必要があるのでしょうか?MoffroidとWhipple (1970年)は、低速トレーニングから高速トレーニングへの移動効果はほとんど無かったということを発見しました。これを、力が筋収縮速度と共に減少するというヒル曲線のデータと結び付けてみると、特異性が適用可能な力の増大に影響を及ぼしているようです。 そこで、私達は力を産生する方法について、具体的にする必要があります。運動、もしくは運動パターンの観点から、この力が産生される姿勢に関してはどうでしょうか?幅広いスポーツにおけるストレングスのために、ストレングス・トレーニングに基づく型通り従来型のジムでのトレーニングが使用されていることから、ストレングスは特異性ではなく、ポジション的に一般的なものとして認識されているということを示しているでしょう。しかし、研究ではこの仮説は立証されていません。Verkhoshansky (1968年)は、運動学的パターンを、特別なストレングス・トレーニングと特定の神経筋プロセスに応じた力発生パターンにおいて、重要なものとして理解しています。SaleとMacDougall (1981年)もまた、“パフォーマンスの向上は、主に神経筋の技能に起因する”と理解しています。彼らはまた、“ストレングスの向上は、トレーニングで使用される運動と同じタイプの運動に対して計測した時にのみ明白である”とも述べています。これら全ては、運動パターンに関連した特定の機能的運動と熟達度が、私達の力発生とパフォーマンスの向上において、重要であるという事実を指摘しているようです。Bompa (2000年)は、“ストレングスの順応は、特定の関節角度に関係しているため、関節可動域を可能な限り大きく使用しなければならない”と述べています。ウェイト・トレーニングをする人たちはこのことを以前からずっと知っていて、インクラインやデクラインを通して、しばしば関節角度を変化させていますが、彼らは矢状面以外の面をほとんど使用していません。異なる面での動作との相互作用と同様に、異なる関節角度が、異なる機能的運動とスポーツの中で発生します。必要であれば、これは関節角度、面、運動パターンに関連した機能的運動が、伝統的な意味で、力発生とストレングスの向上において重要なのかもしれないということを意味しています。 私達はまた、動的で機能的な立位において、非機能的運動に関連する固定された姿勢では、単一面での運動で産生された最大力を再現することはできません。力は、運動が起こる三面すべてにわたって、バランスがとれている必要があり(機能が三次元的であるように)、身体に作用している三次元的な外力にも関連している必要があるでしょう。これはまた、機能的パフォーマンスのための非特異的ストレングス・トレーニングの適用性を減少させることにもなるでしょう。 身体は、力発生とエネルギー・情報効率のために外力を制御し利用する特有の方法を獲得しています。これは、伸長-収縮サイクルを含んだ、求心性筋収縮動作の前の遠心性筋収縮動作の、爆発のためのローディングなのでしょう。機能的運動の圧倒的多数は、打撃、もしくは投球から、椅子からの立ち上がり(上体を伸展する前に前屈をします)に及ぶまで、このプロセスを使用しています。筋肉において張力を作り出すこの動作は、 機能的な力発生に不可欠な神経筋の活性化と、腱のように、より受動的な筋膜構造からの運動エネルギーの蓄積とリコイルのために、伸張反射を生じさせます。私達は、スポーツ持久力に関連した持続的な力発生のために、省エネルギーが必要不可欠であることを知っています。エネルギーが減少するに従い、技能も低下し、障害の可能性も出てきます。 いつもの通り、これは純粋に私個人のストレングスの概念に関する見解です。従来のパラダイムとは異なる見解であり、ストレングス純粋主義者によって共有されることは無いかもしれません。しかし、異なる見解は、私達が愛し大切にしている人体の複雑さを理解するために必要不可欠なのです!

ベン・コーマック 3221字

TRX TV 6月3週目のシークエンス(ビデオ)

TRXを使ったトレーニング経験を持つ人の多くが使い慣れたエクササイズの一つである、TRXチェストプレス。慣れ親しんでいるエクササイズを、より効果的に意義深いエクササイズにするために、不必要な緊張を弛め、必要な張力を生みだしましょう。

TRXトレーニング 6:18

野球シーズン中のストレングス・コンディショニング:プロ野球

今日は、プロ野球選手にとって最適であると考えるセットアップについてお話します。世界中のすべての野球選手のなかで、メジャーリーガーは少数派になりますが、シーズン中のストレングス・コンディショニングプログラムに対するプロ野球選手の反応は、本当に多くのことを私たちに教えてくれます。 プロ野球選手は身体の摩耗、損傷を最も多く蓄積している人達で、だからこそ、効果的なプログラムが必要になります。彼らはほぼ毎日プレーしますし、春のトレーニング、レギュラーシーズン、ポストシーズンを含めれば、年間で200日以上プレーすることもしばしばあります。そのため、プロ選手を健康で、かつ、高いレベルでプレーさせ続けようとさせるなら、要求を満たしつつも、疲労を管理できることが本当に必要となります。 ポシションごとにみていきましょう。 野手 野手はもっとも好みの幅が大きい傾向にあります。まず、毎日終日何時間も立ち続けなければならず、完全に疲労しダラダラしている選手がいます。 一方で、毎日なにか、それがウエイトトレーニングであれ、メディスンボールトレーニングであれ、スプリントであれ、あるいは、それらの混合であれ、なにかを実施したいという選手も知っています。信じられませんか?ここに、週5日トレーニング(3-4回ウエイトトレーニング、1-2回動きのトレーニング)を実施したメジャーリーグの内野手から受け取った素晴らしいメールがあります。 エリックさん、あなたが私にしてくれたすべてのことに私はありがとうと言いたいです。この18年目のプロシーズンが、疑いようもなく、どのシーズンよりも、もっとも素晴らしかったと感じています。あなたのプログラムを実施することで、シーズン全体通して、力強く、爆発力を維持することができました。シーズン終了後もこれがベストであると感じました。小さい故障や筋肉痛もなく、これもすべてあなたのプログラムに従ったおかげだと思います。今シーズンの私の成功に、あなたがどれだけ貢献してくれているか言葉にすることができません。 私たちは、長年のキャリアを持つ、30代後半の選手について話をしています。彼はより多くのことを実施することで、より良く感じられたのです。シーズン中の選手にトレーニングさせることを怖がらないでください。もし、トレーニングさせなければ、最終的には故障してしまうでしょう。 もちろん、これはとても珍しい例です;選手の多くは、全くなにもトレーニングをしないか、上記の例のようにトレーニングをするかの中間でバランスを見つけるのが最良でしょう。私はウエイトトレーニングをする時間と日にちに関して、野手には最も幅広い選択を与えます。一日の早い時間帯、あるいは、試合後に実施することもできます。多くの場合、1週間に3回、連続せずに、全身のウエイトトレーニングを課します。また、実施日に、15セット以上行うことは決してしません。3回のウエイトトレーニングの中で1回は、ほぼ上半身とコアのトレーニングのみです。ウエイトルームに入り、トレーニングをして、帰ります。 しかし、選手の中には、1週間で上半身と下半身のセッションを2回ずつに分けることを好む人もいます。それらは短いセッションですが、選手がフォームローラーや可動性のドリルを頻繁にできるという点で良いと思います。 捕手 高校や大学の例では、捕手を野手のプログラムに含めていました。しかし、1週間に4-5試合出場する場合、事情は変わってきます。我々はこれをプログラム作成時に考慮します。 まず最初に、シーズン中捕手にはスクワットはさせません。信じてください、彼らは十分スクワットをしています。シーズン中はデッドリフトの種目と、片脚エクササイズをより多く実施します。 次に、機会があり、十分なエネルギーが残っているなら、捕手には、試合後にウエイトトレーニングを実施させることを勧めます。投手や野手なら試合前にトレーニングを実施しても良いのですが、3時間もの間フルスクワットを行う前に、下半身のウエイトトレーニングを詰め込むことは、それほど魅力的ではありません。一晩前にトレーニングを実施できるのであれば、回復する余地があるでしょう。 3つ目に、1週間に2-3回のストレングストレーニングセッションで十分であると考えます。下半身のトレーニングを行うのは、それらのうち2回のみ。筋力を維持するために必要であろうと想像する量よりも、かなり少ない量で充分で、シーズン中の捕手には、両脚と片脚エクササイズをそれぞれ数セット行うことで効果を得られます。 また、捕球をしないオフの日にウエイトトレーニングを多く実施させることは好きではありません。1週間に1-2日しか捕球をしない日がないのであれば、完全回復にその日をあてたほうが良いでしょう。言い換えれば、トレーニングのストレスをまとめるようにして、可能であれば24時間の“回復の時間”を持つべきなのです。 先発投手 プロ野球の先発投手は、プロスポーツの中で最も安定したスケジュールで仕事をしているでしょう。予測可能で、下記のスケジュールに従えば、1ヶ月に12回ウエイトトレーニングを実施することができます。 0日目:投球 1日目:下半身の高強度ウエイトトレーニングと、軽めの上半身トレーニング。 2日目:動きのトレーニングのみ 3日目:高強度の上半身トレーニング、軽めの下半身トレーニング 4日目:低強度の動的柔軟性サーキットトレーニングのみ、あるいは、すべて休養 5日目:次の登板 もし中5日での登板であれば、3日目のトレーニングを上半身(3日目)と下半身(4日目)に分け、5日目を休養にすることができます。 人生は厳しい?ってわけでもないですね。 リリーフ投手 リリーフ投手にしていることは一言では言い尽くせませんが、挑戦してみましょう。 すべてのリリーフ投手は3回のストレングストレーニングの“オプション”があり、彼らに送っているそれぞれのプログラムには、動きのトレーニングの日が1日あります。 長めのオプション(全身のストレングストレーニング:15-17セット) 動きのトレーニング 短めのオプション1(全身だが、下半身に重点をおく:8-12セット) 短めのオプション2(全身だが、上半身に重点をおく:8-12セット) これが、彼らに伝えている通りの内容です: ”20球以上の投球であれば、通常の1日目を実施し、次の2日間は、2日目のメニューを実施します。お分かりだと思いますが、48時間は投球しません。そして、短めのオプション1、休養、短めのオプション2へと続きます。” ”20球未満の投球であれば、すぐ短めのオプション1を実施し、2日目のメニュー、短めのオプション2、そして、休養になります。連続して登板することを考える場合に有効です。その夜に、少し投球するかもしれないという場合でも、その日の早い時間帯に短めのウエイトトレーニングを実施することもできます。量はかなり少なめにして、疲労しないようにします。” ”中継ぎ、またはロングリリーフになるならば、トレーニングのほとんどは、1日目のメニュー、2日目のメニュー、短めのオプション1、休養、短めのオプション2というようなオプションになるでしょう。身体の状態を確認し、必要であれば休養をいれてください。ただ、少なくとも、1週間に2-3回はジムでトレーニングをするようにしてください。” ”1打者だけのリリーフや、クローザーであれば、短いオプションを多く実施するようしてください。” これらは理にかなっているのではないかと思います。- 私たちの選手達はこのメニューをとても気にいっていますし、 “知る人ぞ知る”聡明な投手コーチ達の何人もの人達がこれらのプログラムを実践して素晴らしい成功をおさめているのですから。 これで、シーズン中のストレングス・コンディショニングシリーズのまとめとします。これらのプログラムを試行し、それらが効果的であるように修正していくのに長い時間がかかりました。しかし同時に、一人として同じアスリートいませんし、可能である限り、必ずプログラムをその選手に合うように調整するようにしてください。

エリック・クレッシー 3536字

ストレッチは本当に筋長を変化させるのか? パート1/3

柔軟性はアスリート及び、一般の人々の両者にとって重要である。柔軟性は特定の関節可動域(ROM)内を動く能力と定義されている。ストレッチは個人がより大きな関節可動域を得るために一般的に使われている。しかしどのようにしてストレッチは、これらの関節可動域を増加させているのだろうか? 研究者たちは、ストレッチ、もしくは他の方法により柔軟性の向上が得られる2種類のメカニズムを提案した。1つ目のメカニズムは筋組織の性質の力学的変化に関与し、他方は感覚の変化に関与している。この総説は両種の理論に対する科学的根拠を調査したものである。 研究論文:筋伸展性の向上:長さの増加なのか、もしくは感覚の変化なのか? ウェプラー&マグナスン、理学療法 2010年 背景 我々はストレッチについて何を知っているのか? ストレッチは、概して静的ストレッチと動的ストレッチの2種類に分けることができる。静的ストレッチは関節をその最大可動域まで動かし、伸張された位置を一定時間保持することに関与する。一方、動的ストレッチは関節の能動的可動域内での制御された動きに関与する。静的ストレッチと動的ストレッチの両方は研究者たちにより広く研究されており、ゆえに我々はそれらの急性的(短期間)及び慢性的(長期間)効果を熟知している。 ストレッチは柔軟性を向上させるか? おそらくストレッチに関して尋ねるべき基本的な質問は、それが本当に柔軟性(すなわち関節可動域)を向上させるのかどうかということであろう。幸運なことに、研究論文は下記に示されているように、ストレッチが柔軟性を向上させることを裏付けているようである。 関節の柔軟性 – ハーベイ(2002)は、ストレッチの慣習がいくつかの関節にわたる柔軟性に持続的な向上をもたらすことができるのかどうかを評価するため、文献を再考察した。彼らは13の研究論文を発見し、そのうちの4つは中程度の質であると評価され、9つは質が悪いと評価された。評論家たちは中程度の質である研究論文の全体の結果は、定期的にストレッチを行うことでストレッチを中止してから1日以上の間、関節可動域を平均8度増加させることが可能であるというものであったということを発見した。 ハムストリングの柔軟性 – デコスター(2005)は、柔軟性に対する異なるハムストリングストレッチの効果を評価するため、文献を再考察した。彼らは1338名の健康な被験者を包含する8つの研究論文を発見した。彼らは相対的に乏しい全体的な研究論文の質を指摘したものの、ハムストリングストレッチは様々なストレッチ技術、体位、継続時間において関節可動域を向上させると結論付けた。 ふくらはぎの柔軟性– ラドフォード(2006)は、ストレッチを行わないことと比較した、ふくらはぎの筋肉の静的ストレッチの効果を調査した無作為化臨床試験の系統的レビューを行った。彼らは自身のメタ分析のために、特にストレッチ時間の合計が30分以上である場合、ふくらはぎの筋肉のストレッチが足関節背屈を増加するということを示した5つの試験を発見した。 要約すると、いくつかの異なる筋群における関節可動域により評価した場合、ストレッチは柔軟性を向上させるようであり、そのような柔軟性の向上は1日以上持続されるようである。 ストレッチはパフォーマンスを急性的に減退させるか? ここしばらくの間、研究者たちはストレッチの急性効果がパフォーマンスを急性的に変化させることに気づいている。しかしながらパフォーマンスに対するストレッチの正確な急性効果は、下記の総説によって示されているように、そのストレッチが静的であるのか動的であるのかにより、その効用として現れるようである。 静的ストレッチ – ケイ(2012)は、ストレングス、パワー、スピードのタスクにおけるパフォーマンスに対する静的ストレッチの急性効果を評価するため、メタ分析を行った。彼らはまた、これらの効果に対するストレッチの持続時間、収縮モード、筋グループの貢献を評価した。評論家たちは、短時間での静的ストレッチは(30秒以下、及び30~45秒)急性的なパフォーマンスの有意な減退にはつながらないという科学的根拠を発見した。彼らは長時間の静的ストレッチは(60秒以上)有意に急性的なパフォーマンスの減退につながるということを発見した。加えて、彼らのデータ分析は、パフォーマンスの減退は2分以上継続されるストレッチにおいて横這いになるようであるが、用量反応性であるということを示していた。評論家たちは、1−2分間継続されるストレッチ後のパフォーマンスの平均的減退は4.2 ± 5.0%であると推測し、彼らはまた、2分以上継続されるストレッチ後の減退は7.0 ± 5.7%であると推測した。 動的ストレッチ – ベーム(2011)は叙述的レビューを行い、動的ストレッチは、特に長時間行われた場合、パフォーマンスに全く影響がないか、もしくは僅かな急性的向上しかもたらさないということを報告した。しかし彼らはメタ分析を行っておらず、ゆえにそのようなストレッチ方法において予想される平均的な向上が見られることもなかった。 要約すると、45秒以上行われる静的ストレッチは、パフォーマンスタスクにおける有意な急性的減退につながるようであるが、長時間行われる動的ストレッチは同様のアクションにおいてまったく向上がみられないか、もしくはわずかな向上につながるようである。

ストレングス・コンディショニング・リサーチ 2389字

ストレッチは本当に筋長を変化させるのか? パート2/3

背景(続き) ストレッチは慢性的にパフォーマンスへ影響を及ぼすか? 長時間にわたる静的ストレッチは、急性的なストレングスとパワーの減少へとつながるため、多くの場合ストレッチは、パフォーマンスに対して悪影響があるとみなされる。しかしながら、これは事実とは異なるようである。実際には、通常のストレッチは、異なる筋肉性能変数の数に有益な効果を持っているようである。 パフォーマンスへの効果 – シリエ(2004)は静的ストレッチのパフォーマンスに対する慢性効果の系統的レビューを行った。評論家は9つの研究論文を発見し、そのうち7つが有益な効果を示し、2つが全く効果を示さなかったが、悪影響を示した研究は無かった。有益な効果を示した7つの研究には、最大随意等尺性筋力、収縮速度、エキセントリックとコンセントリックの筋力、カウンタームーブメントジャンプの高さ、そして50ヤードのスプリントタイムが含まれていた。 筋力への影響 – ルビニ(2007)は、筋力測定に対する静的ストレッチの慢性効果についての系統的レビューを行った。彼らは2つの研究論文を発見し、その両方が長期にわたるストレッチプログラム後の有意な筋力の向上を実証していた。彼らは、そのようなプロトコールには長時間にわたるストレッチが含まれているにもかかわらず、いくつかの動物実験において慢性的なストレッチプロトコール後に筋肥大が観察されているため、筋力の増加はストレッチされた筋肉の肥大の結果として起こると考えられていると提議している。 要約すると、慢性的なストレッチプログラムは、筋力測定を含むパフォーマンスタスクの有意な向上につながるようである。筋力の増加は筋肥大の結果として起こるのかもしれない。 ストレッチは傷害リスクを減少させるか? 柔軟性は傷害リスクの減少に対して有益であると考えられている。ゆえに多くの場合、ストレッチも外傷リスクを減少させると見なされている。しかし系統的レビューとメタ分析は、この推測は妥当ではないかもしれないと示している。 ハーバート(2002)は、スポーツ傷害と筋肉痛の予防に対するエクササイズ前のストレッチの有効性を評価するため、系統的レビューを行った。評論家たちは、エクササイズ前のストレッチの傷害リスクに対する効果を評価した2つの研究を発見した。その両方の研究は12週間にわたる初期トレーニングを受けている新米軍隊入隊者において行われていた。どちらの研究においてもストレッチの介入の結果としての傷害リスクにおける変化は報告されていなかった。 ウェルドン(2003)は、エクササイズに関連する傷害予防に対するストレッチの有効性を評価するために系統的レビューを行った。評論家たちは4つの無作為化臨床試験と3つの比較臨床試験からなる7つの研究を発見した。彼らは4つの無作為化臨床試験のうち3つが、ストレッチはエクササイズに関連する傷害リスクを減少しないと発見し、1つが減少すると発見したと記述している。評論家たちは、入手可能な文献から、ストレッチがエクササイズに関する傷害リスクを予防するかどうかを結論付けることは不可能であるという結論に至った。 サッカー(2004)はストレッチの有効性を評価するための系統的レビューを行なった。評論家たちは6つの比較試験を発見し、そのうちの3つの研究は特定の筋グループ(2つが踵とふくらはぎで、1つがハムストリング)のストレッチを評価し、3つの研究は多数の筋群のストレッチを評価していた。評論家たちはこれらの研究においてメタ分析を行った。彼らは、ストレッチと全体の傷害の減少に有意な関連性はないということを発見した。 マッキュー(2010)は、エクササイズ前のストレッチのスポーツ傷害予防に対する有効性を評価するために系統的レビューを行った。彼らは傷害リスクに対するストレッチの効果を評価した7つの研究を発見し、そのうち3つ研究は効果が無いことを発見し、4つの研究がある程度の効果を発見していた。彼らは効果がないと発見した研究はまた、低い筋挫傷の発生率を示し、効果があると発見した研究は筋挫傷の高い発生率を示していたと記述している。ゆえに彼らは、研究論文が相反しているにもかかわらず、エクササイズ前のストレッチは危険性の高い環境において、傷害リスクを減少するかもしれないという科学的根拠があると結論付けた。 要約すると、研究論文は、エクササイズの直前、もしくは他の時間のどちらに行われるとしても、一般的なストレッチがスポーツ傷害の危険性を減少させる効果がないようであるのかどうか、という点で矛盾がある。 評論家たちは何を行ったのか? 評論家たちは、ストレッチ後の柔軟性の向上を説明するために提案されたほとんどの理論には,関連する筋長の実際の力学的増加を推定したメカニズムが含まれている傾向にある、ということを観察することから始めた。彼らは最近になり、柔軟性の向上は、実際には感覚の変化により起こっているのかもしれないと提議されていると記述している。ゆえに評論家たちは異なる理論の要約を提供し、それぞれのケースにおける科学的根拠を考察しようと試みた。

ストレングス・コンディショニング・リサーチ 2263字

アルティメイトコアストラップ

アルティメイトサンドバッグを、TRXサスペンショントレーナーや、ゴムバンド、ケーブルシステム等に接続するアルティメイトコアストラップを使用したエクササイズの数々を、開発者であるジョシュ自身が紹介します。USBをTRXや、ゴムバンド、ケーブルコラムに取り付けることで、それぞれの器具の特徴を活かし、身体に対する新たなチャレンジを与えることが可能です。

ジョシュ・ヘンキン 9:49

ストレッチは本当に筋長を変化させるのか? パート3/3

評論家たちは何を発見したか? 力学的性質の理論 評論家たちは一般的に4つのタイプの力学的理論があることを発見し、そこでは下記のように筋組織の力学的性質そのものが、ストレッチにより変化するとされている。 粘弾性変形 – 「粘弾性」という言葉は、弾性的、粘性的の両方をあわせもつ物質(すなわち、張力への正確な反応が比率と時間に依存している液体のようなもの)を表す。一部の研究者たちは、筋肉の粘弾性特質は、柔軟性を向上するためのストレッチの能力に貢献していると提議している。実際に、ある一定時間ストレッチポジションにおいて保持され伸張された筋肉は、その後ストレッチへの抵抗力を失うようである。しかしながら、評論家たちは、確かにこのような効果は動物実験と人体実験の両方において一時的なものであり、ゆえに1日以上持続するストレッチの長期的効果は説明することが不可能であると述べた。 塑性変形 – 「塑性」という言葉は、外力に反応して永久的に形を変える物質のことを表す。弾性物質はその弾性限界を超えた際に塑性的に作用する。しかしながら、評論家たちがこの分野における研究を分析した際、彼らはその結果は塑性変形を支持せず、むしろ永久的ではなく一時的な粘弾性変形を支持していたということを発見した。実際には、長期にわたる人体でのストレッチの研究は、ストレッチプロトコールの終了後、その前に得た関節可動域において漸減があったことを主に表している。 (e.g. Cipriani, 2012). 直列筋節の増加 – 研究者たちは、エキセントリックトレーニグは筋肉の最適な長さを変化することができると発見した。各筋節の長さと張力の関係が筋肉全体の長さと筋節の関係に影響を及ぼすため、この発見は直列の筋節数の増加を示している(バーラル2007参照)。しかし評論家たちは、四肢を最大可動域においてギブスで固定した動物実験では、直列筋節数に変化が見られたが、ストレッチプロトコールの効果を調査した人体実験においては、同様の効果は見られなかったと述べている。 神経筋の弛緩 – 評論家たちは、一部の研究者たちが静的ストレッチは、筋肉が収縮するのではなく弛緩するための能力を促進する、伸張反射に対する順応を引き起こすと提議したと記述している。しかし評論家たちは、長期にわたる研究では、ストレッチの結果として受動的なトルク曲線に変化は起こらないと発見されており、これは伸張反射の変化は柔軟性の変化に貢献していないようであることを示していると述べている。 要約すると、評論家たちは筋肉の力学的特性の変化は、ストレッチプロトコール後の柔軟性の変化の原因ではないようであると結論付けた。個人的には、神経筋の弛緩は筋肉が能動的に収縮しているのかどうかということを表すため、神経的要素が含まれており、ゆえに神経筋の弛緩は力学的理論として適正に言い表すことが可能であるのかどうかは議論の余地があると感じている。 感覚理論 評論家たちは、ストレッチプロトコール後、何によって筋長が増加するのか、正確なメカニズムを評価するために行った研究は、柔軟性と共にストレッチプログラム後に変化する唯一の変数はストレッチ中の痛感(すなわち、最大の痛みと痛みの発症)であったと記述している。 これら研究者達は、ストレッチは筋長増加の感覚を提言することにより、柔軟性を向上させると言う仮説を立てた。確かに、評論家は、多くの研究において( ハルバーツマ1994;マグニソン 1996等)痛み発生の関節角度あるいはストレッチ許容値が、3~8週間のストレッチ実施機関の後、向上することが確認されている。 評論家たちはどのような結論に達したか? 評論家たちは、ストレッチは、ストレッチへの耐性や、より大きな関節角度における痛みの発症などのストレッチの感覚を変化させることにより、柔軟性(すなわち関節可動域)を向上させると結論付けた。彼らは、ストレッチは実際の筋肉の力学的特性や伸張反射が起こるポイントを変化させるわけではないと結論付けた。 正確にこれが何を示唆しているのかは、明確ではない。しかし、もし物質の力学的特性を変化させることなく、ある関節可動域において感覚の減少が起こったとすれば、これは痛みの発症ポイントと、限度を超えて伸張したことによる筋断裂との間の関節可動域が減少したということを示唆している可能性がある。この関節可動域は、個人が強い痛みを感じこの痛みを減少しようと行動する「安全域」として表現されている。この仮説は研究により評価される必要があるが、この安全域の幅を減少させることにより、特定のスポーツにおける傷害リスクを潜在的に増加させるかもしれない。 制限要素は何か? この総説は、叙述的レビューとして行われていたことに制限があり、ゆえにストレッチの感覚理論の支持者である作者の意見による制限があった。さらにこの総説は、このストレッチのメカニズムが、ストレッチを行うべきなのかどうか、また、どのような状況で行うことが望ましいのか、という情報を提供しているのかどうかを、評論家たちが提議しようとしなかったことにおいて制限があった。 実践的な意義は何か? 柔軟性の向上が必要な際、理学療法士は、ストレッチがいくつかの異なる筋群において、関節可動域で測定する柔軟性を向上させると信頼することができる。更に、そのような柔軟性の向上は、少なくとも1日以上持続するようである。 ストレッチは、ストレッチへの耐性や、より大きな関節角度における痛みの発症など、ストレッチの感覚を変化させることにより向上し、実際の力学的特性や伸張反射が作動するポイントは変化させない。これは筋肉の最適な長さが変化する必要がある場合、ストレッチでは行うことができず、代わりにエキセントリックトレーニングが必要であるということを示唆している。 45秒以上行う静的ストレッチはパフォーマンスの急性的減少を引き起こすが、長時間行われる動的ストレッチはパフォーマンスに影響を及ぼさないか、もしくは僅かな向上をもたらすようである。ゆえに動的ストレッチは、できる限りエクササイズ前に行うことを推奨する。 習慣的なストレッチは、筋力測定を含むパフォーマンスタスクの有意な向上につながるようである。筋力の増加は、筋肥大の結果として起こりえる。ゆえにストレッチは筋肥大を増進するためのあらゆる付加的な方法を探しているアスリートにとっては有益であるようである。 エクササイズの直前、もしくは他の時間のどちらに行われるとしても、一般的なストレッチがスポーツ傷害のリスクを減少させるために効果的かどうかは今のところ明確ではない。ゆえに、アスリートの外傷リスクを減らそうと試みているコーチたちは、この目的のためには他のトレーニング方法に目を向けるべきである。

ストレングス・コンディショニング・リサーチ 2959字