マイクロラーニング
隙間時間に少しずつビデオや記事で学べるマイクロラーニング。クイズに答えてポイントとコインを獲得すれば理解も深まります。
投球の方法
与えられた状況下において、ベストなエクササイズとは何かという議論がフィットネス業界でたびたび行われます。よく注意を払っている多くの方がご存知のように、ベストなエクササイズとは、最も必要とされているエクササイズです。だからこそ私達はアセスメントを行い、課題に取り組むのです。 発展途上にある、9歳以下の小児に話題を移しましょう。私は子供の成長に必要なエクササイズを数多く挙げることができます。もちろん、ニーズによって、望ましいエクササイズとそうでないものがあります。しかし、適切に行われば、全てに勝るエクササイズが一つだけ存在します、それは投げることです! 動きの基礎 運動競技や動作全般において鍵となる基本の動作は、数多く存在します。頭に思い浮かぶリストを挙げてみましょう: 屈曲から伸展へ 伸展から屈曲へ 重心移動 前額面における移動 矢状面における減速 水平面における加速と減速 コーディネーション 各部位の総和 バランス パワー 精度... 私達にはかつて、石や槍を投げて獲物を捉える方法を知らなくてはならない時代がありました。投げることは、私達の生存の根底にあるものだったのです。 小児期に投げる方法を学ぶことにより、多くの事を成し遂げることができます。彼等は、身体の加速と減速を全ての面でコントロールすることを体得します。対象物(ボールであることが多い)の速度、距離、高さ、精度、そして感触のコントロールを習得します。 野球のボールの投げ方の基礎 投球の戦術的、戦略的要素を発達させる方法は、数多く存在します。段階別に教えることにより、若者の自信と自己効力感を向上させることができます。 考えられる段階を以下に挙げます: 効率を高めるための、投球の技術的側面の指導(対象物の握り方、重心の移動の仕方、フォロースルーの方法等) 投球の標的に関する側面の指導(静止物、移動物、リリースポイント等) 投球の異なる可変要素の指導(距離、ボールの握り方、高さ、リードタイムの長さ等) *リードタイム 投球動作の開始からフィニッシュまでの時間 適切なタイミングでボールを操作する方法の指導(リリース時にボールにスピンを加えるか否か) 腕を使い、異なるリリースアングルでタスクを実施する指導(ハイリリース、サイドスロー、アンダースロー) 上記全ての可変要素を定位置、ランニング、シャッフル時、リトリート(追いながら、または追われながら)の状態で実施する指導 投球は、特定のスポーツパフォーマンスを向上のためにも、総合的な運動動作スキルとしても貴重なツールを若者に提供する優れたスキルです。 そしてご存知でしたか?左手と同様、右手の投球を若者に指導することも価値のあることなのです。
強さは期待に背いた
なぜ変えるの? なぜ何かを違うやり方で行うの? 私達が集中するべきことは”古き良き動作”ではないのでしょうか? これまでのやり方に従えば良いでしょう? 言いたくはありませんが、それは真っ赤な嘘です! 実のところ、私達はかつて正しい方向に進んでいたのです。私達は正しいアイデアを持っていました。しかしマーケティング、エゴ、そしてメディアは私達を確実に妙な方向へと導いたのです。 身体的トレーニングが発祥してから大部分の間、最小限の動きしか要求しない、定位置的なエクササイズへの焦点は、人々が行うトレーニングに含まれていませんでした。 動きを伴った筋力に焦点が置かれていたのです 昔のジムが、巨大なバーベルやマシンを重要視していなかった点に、多くの方が戸惑うことでしょう。むしろ、当時は筋力を動作につなげることを重要視することが、より一般的な考え方でした。 考えてみてください。 最も初期のストレングストレーニングのエクササイズの大部分は、ラック、マシン、確実に予測できる環境下で行われてはいませんでした。なぜでしょうか? それは、初期に行われた身体準備活動の多くが、兵隊が生存し、戦闘に勝ち、立ち向かう全てものに備えるものであったらからです。 真の意味での、最も古いトレーニングの形態を考えてください。レスラー、格闘家、体操選手は正しいアイデアを持っていました。 トルコ人のレスラーは競技のために、何世紀もの間トレーニングを積んできました。彼等の見た目は、特に健康そうでも強そうでもありませんが。 ;) 強さを定義することは困難かもしれませんが、目で見てはっきりと分かるものでも決してありませんでした。 強さとは、それを目撃した時に分かるものだったのです。強さを伴った動作、身体能力、柔軟性、コーディネーションを兼ね備えるもの。しばしばフィットネスの雑誌やブログで見かける、偽りの強さではありません。 何が起こったのでしょうか? バーベルのアイデアと、”大きければ大きいほど良い!”という西洋の考えがどうやらフィットしたようです。 そう思いませんか? 簡単に目で確認できて、かつ測定でき、実際に彼等は大きいのですから。間違っているはずかありませんよね? 面白いのは、初期のバーベルトレーニングはそのように見られていたわけではないということ。早期導入者はこの哲学を何年も守り続けていました。(自称”オールドスクール”の方達、バーベルの歴史がたった100年足らずであることを忘れないようにしてください) 現在の基準からいえば、これらのトレーニングは危険だと多くの方がおっしゃるでしょうが、バーベルの若齢期においてごく一般的な方法であったのです。 現代的ボディビルディングと、マシーンでのトレーニング、そして重量挙げといったものに対する過度の強調と共に、物事は大きく変化していきました。 私は、変な懐古主義のために古いやり方を続けようと提案している訳ではありません。 しかし、そこから私達が学べる事は絶対にあるはずなのです! ”現代”の強さへの考えが普及するにつれて、総合的なフィットネスの考えは衰退していきました。可動性が高いか、強いか、アスレチックの、どれかひとつとなり、3つ全てを兼ね備えることは稀になりました。 選択しなくてはいけないのでしょう? なぜ多くのプログラムが自重か重量のどちらかを選択させるのだと思いますか? どうせ、ほとんどのプログラムがその両方を繰り返すのだから、お互いがもたらす効果を得られるわけですが。 実際、この点においてクロスフィットは、他のプログラムよりも的を得ていると私は思いますが、それでもそこには大きなギャップがあります。動作ベースの自重エクササイズと、ウェイトを使ったエクササイズは大きくかけ離れているべきではありません。 ただウェイトを使うというだけで、なぜトレーニング哲学が分離してしまう必要があるのでしょうか? ウェイトトレーニングは動作ベースのトレーニングと同じようにダイナミックで、アスレチックで、よく考えられたものであるべきではないでしょうか? ウェイトトレーニングは、ただ重たい物を持ち上げるだけ、以上のものに成り得ますか? 正直に言うと、私はこの考えを念頭に、DVRTアルティメイトサンドバッグトレーニングを始めた訳ではありません。むしろ、実験を行い、可能なことを検証し始めてから、私にとって全てが変わり始めたのです。 私がワクワクしたのは、昔の強い人が奇妙な物体を使用していたからではなく、彼等の意図を初めて本当に理解したと思ったからです。強く、機敏に、しなやかに、持ちこたえる! このような経緯から、一つのことにのみ集中するのではなく、時間をかけてそれらのコンセプトを伝えていくシステムの構築に集中することにしました。 これが、最もパワフルなエクササイズの一つでもあり、異なるフィットネスレベルに対応する、私の大のお気に入りのドリルの一つを紹介させていただきたかった理由なのです。それはDVRTアルティメイトサンドバッグトレーニング ローテーショナルランジクリーンアンドプレスです。 なぜでしょう? バーベルを荷重し、より一般的なバーベルクリーンに焦点を置かないのはなぜでしょうか? ローテーショナルランジクリーンは全てをカバーします。本当にそうなのです! もしそれが本当に良いのであれば、なぜより多くの方が行わないのでしょうか? それは多くの場合、彼等がやり方を知らないからです… どのように導入し、 どのように漸進し、 人々が成功するように、いかに導くか。 何人かのトレーナーやコーチ達がこのドリルを”複雑過ぎる”とする事実は、私達が正しい方向に進んでいるのだと私に教えてくれます。私達の身体は、様々なことができる可能性があるのに、なぜそれを制限してしまうのでしょうか? ローテーショナルランジクリーンをごまかして行うことはできません。 ローテーショナルランジクリーンを通じて弱点を学びます。 身体能力の全ての要素をローテーショナルランジクリーンで成長させることができます。 もうためらう理由はありませんよね? あなたのフィットネスの見方を改めることになる、このドリルをチェックしてみましょう。
運動連鎖:肩のアセスメントのケーススタディ(ビデオ)
ギャリー・グレイに関する、数多くの逸話的エピソードのひとつである、メジャーリーグのピッチャーのアセスメントに関する話をギャリー自身が解説してくれます。肩を痛めて相談に来ているピッチャーの投球フォームを観察して、最初にギャリーが彼に尋ねたのは”足首を捻挫したのはいつ?”でした。身体の運動連鎖に関わる興味深いエピソードです。
絶対に欠かせない長時間・低強度の心血管系運動 パート1/4
聞きたくないかもしれませんが、ぜひ聞いてください。 きっと、皆さんのプログラムに、低強度のコンディショニングトレーニングを組み入れる必要がある可能性は高いはずです。 長時間・低強度の心血管系運動には計り知れない効果があります。 発達した心血管系機能。 より深い安眠。 より少ないストレスと不安。 皆さんには2つの選択肢があります。近年提唱されているホットで人気のあるコンディショニングの「定番」への挑戦になるかもしれません。 すぐさま「コメント」欄へスキップして、私を激しく非難する。そして、お気に入りの教祖的人気の指導者が提唱する方法を信じ続けるか、または、 このポストを完読し、皆さんが実施しているトレーニングにどのように関連しているかを考え、低強度の心血管系運動をプログラムに取り入れることを検討する。 選択するのはあなたです。 まずは話の背景から: 私は、NSCA(ナショナルストレングス&コンディショニング協会)から思いがけなく「パフォーマンストレーニングジャーナル」への投稿の依頼を受けました。 記事にはいくつかの規定がありました: 750−1000語の範囲でなくてはならない。 あまり「科学」に偏りすぎない。 コンディショニングに焦点を絞る。 この規定そのものが、いくつかの問題となったのです: 750-1000語とは、私がこれまでに書いた長めの記事の序文と同じぐらいの単語数しかありません。私が有償で書き上げる原稿は、何万語もあり、750-1000語では、ウォームアップにもならなければ、自分の意見を裏付けることさえできません。 引証しなくてはならなくても、妥協案が見つかりません。科学が好きな人は科学を要求します。すべてに関して引用や参考文献を求めます。コーチ方法の結論だけを知りたいという人は、リサーチのことなんかほとんど気にしていません。それは、どうせ読んでも分からない暗号のような論文や記事を著者が当然数多く参考にしているだろうと仮定しているからです。私見ですが、これは、往々にして、リサーチが「やり過ぎ」または「少な過ぎ」てしまい、どうにもうまくいかない状況のようです。 最後に大事なことですが、すべてのことを狭い範囲の要点に絞り込まなくてはなりません。最初、ここIFAST(著者のトレーニング施設)で実践されているコンディショニング評価を網羅しようとしましたが、これを適当な範囲まで減らさなくてはならない(編集方針に適合させなければならない)ことに、すぐに気がつきました。 そして記事が出て一日も経たないうちに、ツイッターに抗議のつぶやきを受け取りました。名前を聞いたことも、会ったこともない人物から、心臓の左心室を過度にトレーニングすることができるなどと、訳も分からないことを書いている等等とね。それでも彼の絶え間ない突っ込みのおかげで、私がここに本当に長いブログポストを書くことになったわけですから、皆さんはラッキーです! じつは、理由は他にもたくさんあるのですが。 人から賢いと思われようが、賢くないと思われようが、私はまったく気にしませんが、皆さんには是非好ましい成果を遂げてほしいのです。 フィールドスポーツにおいて、慢性的に交感神経優勢の選手が、解糖系エネルギー供給機構にばかりに頼り、試合で3、4分も経たないうちにガス欠になるのを見るとやりきれない気持ちになります。「一生懸命がんばる」だけではない他のコンディショニング方法やエネルギーシステムの育成方法も存在することを、そんなコーチや選手に理解してほしいのです。 ひとつのエネルギーシステムトレーニング(たとえば、高強度インターバルトレーニング、略してHIIT)が、すべての解決策であるという考えにはうんざりしています。20:10(20秒間の高強度運動:10秒間の休息)タバタ式インターバルを2回行えばガンが治ると思っている人だっているにちがいません。 (注:皆さんが良く行う、ただ単に20:10インターバルを8回繰り返すのは、タバタ式ではありませんが。) 残念ながら、すべての基準をカバーする、万能な唯一のコンディショニング方法はありません。その代わりに、有酸素系の基礎を発達させ、高強度と低強度の混合方法を時間をかけて実施すれば、より回復力のある、より良くコンディショニングの整った選手を育てることができます。 では、なぜこれらのことがそれほど重要なのか、生理学の基礎から始めましょう。 長時間・低強度の心血管系運動の効果 有酸素トレーニングはひどく非難されています。 しかし、有酸素トレーニングは、皆さんが考えているようなものではないということを主張したいと思います。 ここでは、長時間運動について焦点を絞りお話ししましょう。総合格闘技のアルティメイトMMAコンディショニング教本でジョエル・ジェイミソン氏は、このタイプのトレーニングを心拍出量向上トレーニング、または略してCO向上トレーニングと呼んでいます。 CO向上トレーニングだけが、有酸素系エネルギー供給機構をトレーニングする唯一の方法ではありませんが、たいへんパワフルで多くの効果が見込まれます。 ATP生成の増加 もし、生理学の基礎の授業を取ったことがあれば、身体のエネルギー生産は最終的にATPとなることをご存知ですね。ATPは、私たちの筋肉を収縮させるための「燃料」のようなものです。ですから、これなしでは、私たちの身体は役に立たなくなってしまいます。 人体には3種のエネルギーシステムがあります: ATP-クレアチンリン酸系 無酸素(解糖)系 有酸素系 この3つシステムにはそれぞれ明確な短所と長所があるというのが、すばらしいところです。 ATP-クレアチンリン酸系は、一工程しかないので最も速くエネルギーを産生できます。 その一方、ATP-クレアチンリン酸は、たった6-10秒間しか燃料を供給できません。これでは、ダメですね。 有酸素系は、スペクトラムの反対端に位置づけることができます。有酸素系では、エネルギー供給速度が最も遅くなりますが、スタートすると驚くほど生産的で回路を一周するだけで36ものATPをどんどん作り出します。 有酸素系エネルギー供給機構のもうひとつのメリットは、それがエネルギーをすべて出し切るまで、身体は何時間でもこの機構に燃料を頼れるということです。 ATP-クレアチンリン酸系と有酸素系の中間的存在に無酸素(解糖)系があります。エネルギー産生が速い(ATP-クレアチンリン酸系のように)というメリットがありますが、長時間継続する容量がありません。 この他の欠点として、高強度の無酸素運動は、精神的にも身体的にもまさに過酷です。 結論を言えば、長時間継続するような運動ができるようになりたければ、しっかりとした健康的な有酸素系エネルギー供給機構が必要なのです。 回復の向上 もし、長時間エネルギー産生が欲しい、または必要であれば、有酸素系エネルギー供給機構システムが担当であることは明白です。 しかし、そんなことはすでに広く知られていることで、多くの人達がまだ気づいていないのは、頑強な有酸素系エネルギー供給機構が、強度な反復運動後やトレーニングとトレーニングの間でもより速やかな回復を可能にすることです。 トレーニング中に交感神経系が高まりますが、これは常に活性化させたりスイッチを入れたりするべきものではありません。そうなってしまうと、回復を妨げ、睡眠に影響を及ぼすでしょう。
絶対に欠かせない長時間・低強度の心血管系運動 パート2/4
長時間・低強度の心血管系運動の効果(続き) 心臓の効率性 ここから、COタイプトレーニングに特有な肝心の詳細に入っていきます。 先ほども言いましたが、COとは、心拍出量のことでしたね。つまり、トレーニングのターゲットは主に心臓なわけです。私より賢い人達は、末梢系の適応(たとえば、筋肉、酵素、毛細血管化など)よりも、中枢系の適応(たとえば心臓)を追求していると言うでしょう。 低強度トレーニング(一般的に120-150回/分)をする場合、最大量の血液が心臓の左心室へ流入します。 強制的に左心室に血液を送り込むと、血液は心臓壁をストレッチするに十分なだけ、そこに留まります。時間の経過と共に、適応が起こります。つまり、単純に左心室はストレッチされ、大きく、そして広くなるのです。 心臓壁をストレッチすると、心臓の拍動ごとに、より多くの血液を取り込み、送り出すことができます。これを専門用語で、一回拍出量と言います。つまり、一回の心臓の拍動によって拍出する血液量のことです。 これらすべてのことが、心臓の効率性を上げるのです。拍動ごとに血流を増やせたら、心臓はこれまでのように速く拍動する必要がなくなるのです。 なので、心拍出量向上トレーニングは、一回拍出量を増加させ、安静時の心拍数を下げるのです。 すばらしいでしょう? 高強度エクササイズの実施が心臓に与える効果は、やや異なります。心臓が大きく広くならない代わりに、心臓壁が厚くなるのです。 考えてみてください。心臓が速く拍動するということはつまり、心臓はできる限り速く、そして力強く血液を心臓に戻し、送り出そうとしているということです。 よって、心臓への適応は、高強度エクササイズと低強度エクササイズとでは大きく異なるのです。この適応は、心臓への影響だけではなく、広範囲にも影響をもたらします。 続けて読んでくださいね。 自律神経の転換 私たちのクライアントと選手を評価する上で重要な事柄のひとつは、副交感神経または交感神経のどちらが優位になっているかということです。 手っ取り早い入門として、いくつか覚えておきたい事項を挙げておきます: 交感神経 ― 硬く緊張した筋肉、不安感、闘争・逃走反応など 副交感神経 ― 落ち着き、リラックス、休息と消化など クライアントや選手が、副交感神経または交感神経どちらが優位(心臓の適応に伴って)になっているかを調べる簡単な方法のひとつとして、安静時の心拍数チェックがあります。 もし、常に心拍数が60回/分より高い場合、交感神経がより優位であると言えます。想像できると思いますが、安静時の心拍数が高ければ高いほど交感神経がより優位になります。 もし、常に心拍数が60回/分より低い場合、副交感神経がより優位であると言えます。 COスタイルのトレーニングは、交感神経を鎮めるのに役立ち、それによって落ち着き、リラックスできるようにします。CO向上トレーニングをほんの数週間プログラムに取り入れた結果として、どれほどリラックスし、よい睡眠がとれたかを、数多くのクライアントと選手が、コメントしています。 高強度運動のトレーニングとトレーニングの間のリカバリー 優秀な選手はすべて、長時間にわたってハードに動かなくてはいけない時間があり、解糖系を使います。 これが問題なのではありません。実際、いずれどこかの時点で起こることだからです。 問題は、解糖系で回り始めてしまったら、そこから抜け出すことができるのか?ということ。 有酸素系の発達が不十分な選手が、試合中に1度か2度ハードにいくと。解糖系から絶対抜け出せなくなるというケースが多いようです。 なぜ彼らが疲労しガス欠になってしまうか、これで説明がつきます! 発達した有酸素系エネルギー供給機構は、嫌気的代謝をなるべく使わないですむようにするだけではなく、高強度(無酸素)エクササイズ後、素早く有酸素系機構に戻します。
絶対に欠かせない長時間・低強度の心血管系運動 パート3/4
ロングスロートレーニング時間の連鎖 皆さんは、映画『8-Mile』の中で、エミネムがMCバトルで宿敵を倒す、あのシーンを覚えていますか? 彼は、対戦相手が何も言えない状態にして去りましたが、それが私の目指すところなのです。 皆さんが何を考えいそうなのかは想像がつくので、この話はここまでとしましょう: “長時間・低強度の心血管系運動は、動作を遅くさせる” 仮に、皆さんが、この地球上で最速、最強で最も爆発的な選手を担当しているとしましょう。そして、彼の運動能力と回復の向上を図るために心拍出量向上トレーニングを始めたとします。 言いたくはありませんが、我々の動きは自然発生的にスーパースローになったりはしません。 皆さんは、マラソンランナーを継続的にトレーニングして、見た目もパフォーマンスも、大きな遅筋繊維になるように形態を変えようと考えることはないでしょう。 覚えておいてください。身体で起こる適応は、ひとつのトレーニングだけではなく、実践しているすべてのトレーニングが基となります。 現行のトレーニングプログラムの一環で、速く走ったり、高く跳躍したり、重い重量を持ち上げたりしているならば、これらすべてが、COスタイルトレーニングの欠点を相殺または軽減してくれます。 もうひとつ素晴らしいことに、いったん心臓のコンディションが良くなったら、この同じトレーニングを延々に繰り返す必要がないということなのです! カギとなるのは、適応した状態を維持するということ。時々COスタイルトレーニングに戻るだけです。ただし、獲得した適応を維持するために、是非とも、より強度の高い有酸素トレーニングを実行してください。 “特定のスポーツに限定していない” 私は、まず真っ先に、あなたがプレーしている「スポーツ」の定義は何かと問うでしょう。 ほとんどのチームスポーツ(サッカー、バスケットボール、バレーボール、フットボールなど)は、有酸素系エネルギー供給機構に驚くほど頼っています。PubMed(無料で公開されている医療文献検索システム)で、時間-運動の分析に関する文献を検索してみれば分かると思いますが、同じ結論に至ると思います。 課題としては: スポーツ観戦をする際、単に始終ボールばかり追っていたら、大忙しです。選手たちは、頭を切り落とされた鶏のように走り回っています。 ボールを見ているようではいけないのです。私たちは選手を見てなくてはならないのです。 もちろん、頭を切り落とされた鶏のように、ボールを追いかけて走り回っているだけの選手もなかにはいますが、多くの選手は高強度の動きの合間に低強度で動いていたり、まったく動かず立っていたりします。 科学的な裏付けが必要であれば、私の理念を強固に支えてくれる、以下のような研究論文を読んでみてください: Repeated Sprint Ability #1 Repeated Sprint Ability #2 Aerobic Endurance Training もちろん、これら以外の研究論文はたくさんありますが、ここに挙げた論文は、議論の出発点として適していると思います。 優れた有酸素系エネルギー供給機構の構築は、常に高強度ではないとしても、「特定のスポーツに限定した」ものです。有酸素系の発達が乏しいのであれば、CO向上トレーニングは、有酸素系の基礎を再構築するための素晴らしいトレーニング方法であるということを覚えておいてください。 これは私が言わなければならないもう一つの言い分です。どうすればいいかというと: 「特定のスポーツに限定した」トレーニングは一年中実施する必要はありません!また、すべてを高強度にする必要もないのです。 実際、私が担当しているプロ選手達は、チャンスがあればいつでもオフシーズン用の低強度エクササイズの練習に緩めます。 次のことを考えてみてください:プロのサッカーシーズンは、9-10ヶ月間もあります。彼らがキャンプにまた戻る前には、せいぜい6-8週間しかありません。 NBAもそれほどよくありません。試合がいつ終わるかにもよりますが、10-12週間のオフシーズンしかありません。 そんな彼らをジムに送り込む前に、休養と回復のために、まずは2-3週間のダウン時間を設けます。 低強度エクササイズは、トレーニングに戻ってからのケガのリスクを軽減するだけではなく、休暇中に失われた基礎を再構築するためでもあります! ごく簡単に言ってしまえば、有酸素系の土台が大きく安定してしっかりしていればいるほど、シーズンに臨んだ時、回復力はより優れたものになるということです。私のお気に入りの、チャーリー・ワイングロフ氏の引用句があります: 「高い有酸素系能力は、身体運動能力への耐性向上をもたらす。」 簡単に言えば、高強度と低強度のエクササイズのバランスをとる必要があるということです。 “解糖系トレーニングは、有酸素系発達を促す” なぜこのようなおかしなことになるのか、私もまったく分かりませんが、できる限り解説します。 単刀直入に言えば: 有酸素系トレーニングは、無酸素系トレーニングと直接競合します。 適応の仕方は完全に相異する。 心臓は異なる適応をする。 身体が産生する酵素は異なる適応をする。 細胞のミトコンドリアは異なる適応をする。 重要なので何度も繰り返しますが、適応の仕方は、正反対なのです。 最大の問題のひとつは、とりわけトレーニング不足の個人を対象とした研究にあります。トレーニング不足の個人の場合、すべてのことをいっぺんにさせても、何らかの改善はみられるのです。 文字どおり、月・水・金をパワーリフティングのルーティンにし、火・木・土をクロスカントリーランニングにしても、おそらくストレングスもコンディショニングも向上するでしょう。 しかし、これらのことを長期にわたり実施していたら、成果はおそらく頭打ちになることでしょう。クライアントや選手が成長するにしたがって、より正確なプログラム作りをしていかなくてはならないのです。そして、各プログラムに競合しないものをひとつ、もしくはふたつ組み込むようにします。 そうなると、みなさんの中にはこう考える人がいるでしょう。「でもマイク、タバタ研究をどう思うのですか? タバタトレーニングでは、無酸素系トレーニングで有酸素系能力を向上させました。」 それはそうなのですが、研究全体を読んでいただくとお分かりのとおり、高強度グループでも定常状態トレーニングを含む低強度トレーニングを週に1日行っていました。この場合、タバタグループでは、30分間の定常状態サイクリングを、VO2max(最大酸素摂取量)の70%で毎週行ったということになります。 さらに、彼らはタバタトレーニングの前に毎日、ウォームアップとして10分間の低強度サイクリング運動をしていました。1週間に換算すると70分間の低強度エクササイズとなります。 研究を少し取り違えて理解していたかもしれませんね? CO向上トレーニングには多くの効果があること、そしてたいていの場合、欠点より利点の方が大きいということを、なんとかわかっていただけたでしょうか。 さて、ではだれがCO向上トレーニングを必要としているかを調べるにはどうすればよいか、また、いくつかのトレーニング方法の選択肢について見ていきましょう。
絶対に欠かせない長時間・低強度の心血管系運動 パート4/4
評価手順 IFASTでは、身体の効率性を調べるのにいくつものチェックをします。こちらが要となる3つのチェック方法です: 安静時心拍数 ワンミニットゴーテスト 修正版クーパーテスト これらのテストによって、選手の心臓の効率性と心拍数の回復を調べることができ、嫌気性閾値を推測することができます。 もし、長時間・低強度トレーニング(つまり、CO/心拍出量向上トレーニング)が必要かどうかを調べるには、安静時心拍数が最も手っ取り早い手掛かりとなるでしょう。 ほとんどのクライアントや選手のための私たちの目的は、彼らの安静時心拍数を60回/分未満にすることです。簡単に聞こえますが、良くコンディショニングされた(たとえば、体脂肪が少ない)選手でも安静時心拍数が60後半から70前半から抜け出せないことがよくあります。 クライアントや選手の安静時心拍数が高い場合、交感神経が優位(継続的な闘争・逃走状態)であることが考えられます。これは、エクササイズやセット間のみならずトレーニング間の回復にも影響します。 さらに、そのような選手やクライアントは、良く眠れていないことが多く、これもまた回復に悪影響を及ぼすと考えられます。 このような選手を担当する際、CO向上トレーニングが、彼らを救う手段のひとつとなるのです。 心拍出量をどのように向上させるのか さて、そろそろ核心に入ります。まずひとつ明確にしておきたいことがあります: 心拍出量向上トレーニングは、有酸素系エネルギー供給機構を発達させる唯一の方法ではありません。 先述しましたように、アルティメットMMAコンディショニングの8つの異なる方法についてジョエル・ジェーミソン氏は、言及しています。 8つも! 心拍出量向上トレーニングはそのなかの一つで、必要であれば実践します。重複しますが、心血管系のコンディションが不十分である(安静時心拍数が60より高い)場合、有酸素系機構の再構築を促進するための一つの方法として、COトレーニングを使います。 心拍出量向上トレーニングの実施 心拍出量を向上させる際の基本的なエクササイズ手順は下記のとおりです: 120-130回/分で30-90分間行う。 そして、お決まりの次の質問は、「何をすればよいでしょうか?」でしょう。 私の親しい友人、エリック・オッター氏は、「心筋はまぬけだよ」とよく言います。 ですから、目標としている心拍数の範囲内であれば、この時間内に何をするかはまったく重要ではありません。 筋肉オタクは、スレッドドラッグ、プロウラープッシュ、その他のエクササイズやモビリティドリルの組み合わせなどを好むでしょう。 選手であれば、低強度の技術的なトレーニングのために、このエクササイズを取り入れるかもしれません。デイブ・テニー氏が担当しているサッカー選手は、競技に関連した感覚を得るためにドリブルをするそうです。 バスケットボール選手であれば、コート内でのフットワークやボールハンドリング、特定な動きなどの動作の確認をするのもよいでしょう。 心拍数を120/130-150回/分の範囲に維持さえしていれば、うまくいきます。 どんな人達に有効か? この種のトレーニングで最も顕著に効果が現れる代表的な人達は、スポーツをしていてもすぐにガス欠になる選手です。 有酸素系の基礎が乏しいと、単純に長時間の競技ができなくなるだけでなく、高強度エクササイズの繰り返しからの回復能力にも悪影響を及ぼします。 フットボール、バスケットボール、サッカーのような有酸素系優勢型のスポーツをする選手にも顕著に表れます。もう少し大ざっぱな回答としては: ほとんどの人に、心拍出量向上トレーニングは有効であると私は思います。 考えてみてください。近年、私たちはいつでもせわしなく行動しています。 ジムに行き、せき立てるようにトレーニングする。 遅くまで起きていて、十分な睡眠を取らない。 通勤、仕事、私生活さえも過度のストレスを生じる。 これらすべては、交感神経系とストレス反応の慢性的な過活動を引き起こします。 私たちが健康と生活のために毎日できる最良のことが2つあります。まず毎日完全な深呼吸を10回行い、そして低強度エクササイズを週2回行うことです。 やってみてください。心拍数を15-20回/分低下させることができたら、きっと見た目にも気分的にも改善するに違いありません。 HITT(高強度インターバルトレーニング)はもう行わないということ? この大作を書き終える前に、最後のパンドラの箱をあけておきましょう: マイク、つまり、もう高強度トレーニングは必要ないということですか? 私は、決してそんなことを言ってはいません。時と場合によって、高強度トレーニングは当然必要となります。 目的が脂肪燃焼である場合、高強度インターバルは、手っ取り早く脂肪の減少を確実にします。しかし、これには議論があります。中には体調がまったく整っていないクライアントもいます。彼らの暮らしぶりを本格的にケアするのであれば、生理学的観点からして、有酸素系の基礎と土台をまず作る方が、理屈に合っていると思います。 高強度インターバルをロングレスト(長めの休息)インターバルと組み合わせても、有酸素系エネルギー供給機構の向上を促進します。強調しておきたいのですが、CO向上トレーニングは、有酸素系トレーニングのひとつの例に過ぎません!他にも爆発的効果を生む性質のトレーニング方法はたくさんあります。私たちの最も重要な仕事は、この運動と休息の比率をコントロールすることです。 基本的に無酸素系の特徴が強いスポーツ(レスリング、総合格闘技など)を行っているのであれば、トレーニングプログラムの最後に、解糖系エネルギー供給機構の構築のために時間を割くべきでしょう。覚えておいてください。しっかりした有酸素系の土台ができていれば、それよりさらに大きな解糖系エンジンをその上に搭載できるのです。さらに、高強度のトレーニングの合間の回復が速くなります。 ジョエルの文献やタバタの研究を読んでみると理解できますが、トレーニング開始後の4−6週間で解糖系エネルギー供給機構に大半の適応が起き、8週間になると限界近くまで適応が生じます。 だとすれば、それ以上続けて限界に挑戦する必要があるのでしょうか?適応の起こり方が速いのは結構ですが、私達に必要な適応なのでしょうか? クライアントにとって? 選手にとって? 今後大きな前進を遂げるためにも、一歩後退してみるのも賢明かもしれません。 まとめ クライアントや選手の目的が、トップアスリートになることであっても、また単に気持ち良く身体を動かすことであっても、心拍出量向上トレーニングは、ほとんどすべてのプログラムに組み入れることができます。 心拍出量向上トレーニングは、高強度トレーニングと比べあまり格好よくありません。激しくハードコアでもありませんが、その効果は計り知れないほど広範囲に及びます。 皆さんの目的が、気持ちよく動けて、回復が速く、ストレスや不安を抑えることであれば、トレーニングプログラムに欠けているのは、CO向上トレーニングなのかもしれません。
肩甲骨エクササイズの神話
肩甲骨エクササイズはとても一般的で、リハビリテーションや姿勢矯正エクササイズに必要とされることが多いエクササイズです。他のことと同様に、肩甲骨エクササイズに関連して共通に認められているテーマがいくつかあるようであり、多くの人々はそれを厳格な規則だと思い込んでいます。すべての人にとって正しいプログラムはありません。ここに、私が討論する価値があると考える3つの肩甲骨エクササイズの神話があります。 肩甲骨をぎゅっと引き寄せる 肩甲骨をぎゅっと引き寄せましょう。肩甲骨を同時に引き寄せましょう。肩を後退させてください。肩甲骨を集めてください。これらはすべて、肩甲骨エクササイズを行うとき、コーチが与える指示によくあるものです。これらすべての考えの目的は、よりよい姿勢をとり、肩甲骨を後ろに“安定”させることであり、最終的には、エクササイズを行うときに、良い姿勢となり、よりよい動きのパターンに繋げるということです。社会全体としてとらえれば、私たちには様々なタイプの姿勢をした人たちがいます。頭部前方偏位、猫背といった典型的な上位交差症候群。 通常の肩甲上腕リズムには、肩と肩甲骨が同時に一連の動きとして起こる必要があります。左右の肩甲骨をぎゅっと引き寄せるには、中部僧帽筋を収縮させることが必要になり、肩甲骨を完全に後退させ、そして、腕を動かします。これは肩のメカニズムを考えた場合、肩甲骨を完全に前突した状態で腕を上げることほど悪くはありませんが、完全に後退した状態で腕を上げることがもっとも有益であるとも思いません。僧帽筋を等尺性に収縮させる必要がありますが、肩甲骨を後ろに引いておくことで、腕を挙上し、動かすときに起こる、正常な前突と上方回旋を制限することになります。 この典型的なコーチング指示の目的が、腕のエクササイズを行う際の姿勢を改善し、メカニクスを向上することであるならば、より効果的な指示は胸椎の伸展を誘導することでしょう。さらには、我々が最近話題にしていた、姿勢エクササイズのチンノッドを行うときのように、胸椎伸展と上位頸椎伸展を同時に行うことが良いでしょう。これは本当に姿勢を改善します。胸椎後弯が強く、背中が丸まったままであっても、肩甲骨を内転できることを認識しましょう。肩甲骨を後退させていることは、視覚的には悪くはありませんが、胸椎を伸展させることが本当の目的なのです。 肩甲骨の左右対称性を向上させるためには、可動性と筋力に働きかける 私たちは皆誰かの姿勢を評価するという無礼なことをしたことがあります。頭部前方変位、猫背姿勢を見つけ、大胸筋と上位頸椎の可動性に働きかけ、同時に、下部僧帽筋と深部頚部屈曲筋を強化する必要があると推測します。これらすべてに働きかけることはいいことですが、単純化しすぎた見方のようです。 まず、一歩下がって、邪魔なものを取払いましょう。あなたの肩甲骨は左右対称ではありません。ほぼすべての人々は左右対称ではなく、かなり左右差のない人でさえ、微妙な違いがあると断言してもいいでしょう。事実として、私たちは片側性の生物なのです。私たちは典型的に片方が利き手であり、これに関連して、利き手優位の運動パターンで機能します。このことは、1日中片手の動作を繰り返し行う人について話を始めるとき、本当に問題になります。私はなにも、野球の投手のようなアスリートだけの話をしているわけではありません。皆さんも、コンピュータの前に座り、右手でマウスを使っているわけです。 これは、本質的に股関節、脊柱、胸郭、そしてもちろん肩甲骨を含む、身体全体に左右非対称性を生み出します。 私の意見としては、肩甲骨の位置は、硬くなった筋肉や弱化した、または、抑制された筋肉を含む、他のなによりも、肋骨と胸椎の位置との関連が大きいと考えます。肩甲骨は胸郭に乗っていますし、結果、胸郭と共に動きます。これら筋肉のアンバランスに働きかける必要はありますか?もちろんあります。しかし、適切なアライメントも同様に必要であり、まずこれが最初に評価されるべきです。 皆“安定性より先に可動性である”と言っていますが、そうでしょうか?私はこのことを付け加えるでしょう。これはどうですか: 安定性の前に可動性、その前にアライメント 肩甲骨のエクササイズは両側性に行う 従来のYTWLエクササイズ。なぜ私が典型的なYTWLエクササイズを腹臥位で、ベッドの端、または、バランスボール上のどちらでも、あまりたくさん行わないかについてお話しました。頭部を安定させるために必要な上部僧帽筋の活動をあまり好みませんし、求めているような適切な運動パターンを獲得するようにも思えません。姿勢改善には役立つのかもしれませんこれには賛否両論があることでしょう。 しかし、おそらくより重要なのは、私たちはこのように腕を動かすような運動パターンで動かないだろうということです。最後に、Tエクササイズを行うように、両方の腕を水平伸展させたのはいつですか? 筋肉の強化を目的としているなら、私は片側の腹臥位エクササイズをして、筋力と運動コントロールに集中します。それが私の優先順位です。 それでは、機能と動作パターンが次の課題になったとき、肩甲骨の相反性活動に働きかけることが最良なのでしょうか?私たちはかなり頻繁に,片腕が引く動作をしているとき、反対の腕は押す動作をする、というように腕を使っています。この動作は、テニス、バレーボール、ソフトボール、野球などの片腕のオーバーヘッドスポーツや、歩行、ジョギング、ランニングなどのよくある運動時にも、とてもよくみることができます。 両方の肩甲骨を動かすべきときがありますか?もちろんあります。ちょうど頭に浮かんだのですが、競泳の選手はこれを行いますし(特に、平泳ぎとバタフライでは)、1日中重いもの押したり引いたりしなければならない人も、これを行います。トレーニングの特異性の話に戻ります。 覚えておいて欲しいのは、必ずしも肩甲骨を両側同時に動かす必要はないということです。なぜ左右反対方向に動かし、その代わりに相反性の押すー引くパターンが働くのかについて、とても分かりやすい理由があります。 この記事がで、少なくとも考えたり討論を起こ須きっかけになってほしいと願います。すべてにおいて適切な時と場所がありますが、時には1つの方向にアプローチが偏ってしまうことがよくあります。おそらく、これら3つの肩甲骨エクササイズの神話によって、次回肩甲骨の強化トレーニングを行うとき、立ち止まり、考えることになるでしょう。どう思いますか?
TRX TV 6月2週目のシークエンス(ビデオ)
何が安定し何が可動すべきか? ハーフニーリングのポジションで股関節の可動性を高めるエクササイズ、仰向けのポジションから股関節の強化を目指すエクササイズ、そしてそれらの要素を含んだエクササイズのコンビネーションをご紹介します。
あなたのトレーニング方法は科学的根拠に基づいているだろうか? パート1/2
クライアントやアスリートのトレーニングに用いているあなたのトレーニング方法は、科学的根拠に基づいているだろうか?新しいトレーニング方法や技術を評価する際、特定の公式を使っているだろうか?おそらくほとんどの人はそうではないことを認めるだろう。 しかしながら最近発行された総説は、医療分野において機能する(もしくはむしろ機能するようにデザインされている)という観点に基づき、科学的根拠に基づいたトレーニングへの正式なアプローチを推奨し、解説している。しかもそれを実践することはさほど複雑ではない。 それでは総説の詳細を見てみよう。 研究論文: 「科学的根拠に基づいた」ストレングス&コンディショニングとは何か? イングリッシュ、アモネット、グラハム、スピアリング、ストレングス&コンディショニングジャーナル、2012年 「科学的根拠」という言葉の由来は何か? イングリッシュ及びその他は、「科学的根拠」という言葉はもともと1990年代初期に、医療上の判断の50%以下しか科学的根拠によって支持されていない、という批判に応え、医療従事者が行動した際に医療分野から生まれた言葉であると解説している。 「科学的根拠」という言葉は実際には何を意味するか? 研究者たちは医療分野においてその言葉は「科学的根拠、専門的根拠、そして患者の結果を向上させるための患者の嗜好の行使根拠に基づいた体系的な取り組み」と言及されていると解説している。 しかしながら彼らは、この言葉は、ストレングス&コンディショニングの分野においては「同業者による論文審査の対象となる最新の研究論文からの根拠や専門的な根拠に基づいた、アスリートやクライアントに対する体系的な取り組み」という意味を含むべきであると提案している。 彼らは、やみくもに専門家を信頼をしてしまったり、古い情報やごく一部の入手可能な文献で思い込みをするというような罠にはまらぬような、注意深く熟考されたアプローチの重要性を強調している。 科学的根拠に基づいた取り組みとはどのようなものか? 科学的根拠に基づいた取り組みは下記の表に示されているような5段階の過程によって定義することが可能である。 疑問の展開 科学的根拠の発見 科学的根拠の評価 科学的根拠の実務への取り入れ 科学的根拠の再評価 研究者たちが手掛けるように、順にこれらのステップの詳細を見ていってみよう。 ステップ1:疑問の展開 根拠に基づいたプロセスは疑問から始まる。その疑問は時には「この特定のサプリメントは運動後の回復を促進するか?」のような簡単なものでありえる。 しかしながら科学的根拠に基づいたプロセスを正しく始め、最も有益な結果を得るためには、次の過程へ移る前にその疑問を更に発展させてゆく必要があると研究者たちは解説する。疑問の中で網羅されていなければならないキーポイントは下記のものである。 • 集団 – どのような種類の対象者を調査するのか? • 介入 – 具体的に何を行うのか? • 比較 – 何に対しての比較をするのか? • 結果 – 具体的に何を評価するのか? • 時間 – 評価期間はどのくらいなのか? 例: まず、エクササイズの際の特定のサプリメントの効能に関する疑問から始めることができる。これらのキーポイントを使ってこの疑問を次のようなものへと広げてみることができる。「若い男性アスリートにおいて、50 mgのこのサプリメントは単一の激しいエクササイズの次の日の筋肉痛をプラシーボよりも減少させるか?」 疑問をより明確にすることで疑問自体が多少刺激的ではなくなるが、最終的にはそれがより有益であることが証明されるであろう。 ステップ2:科学的根拠の発見 研究者たちは、一旦疑問が言葉で表現されれば、次はそれに関する情報を集める時だと解説している。そしてもちろん、いかなるトピックに対してもストレングス&コンディショニングにおける科学的根拠の2つの主源は、専門家としての経験と公表された科学研究である。 専門家としての経験は言うまでもなく、アスリートやクライアントをトレーニングすること、論点を同僚と議論すること、そしてセミナーやカンファレンスから得ることができる。科学的研究はグーグルスカラーやパブメッドのような研究施設を使用しているジャーナルを通じて、またこのような研究論文の総説サービスを通じて直接アクセスすることが可能である。 *** ステップ3:科学的根拠の評価 疑問に関する情報を得たところで、次はこれを評価する。これが最も困難な段階である。イングリッシュ及びその他は、入手可能な科学的根拠が相反している可能性があるため、評価は困難になり得ると解説している。 しかしながら、科学的根拠に基づいたアプローチでは、専門家が入手可能な科学的根拠を有効性に従いランク付けする必要があるため、この迷路の中にも通り抜ける道はある。 最も先入観が少なく客観的な形の科学的根拠は高いランクを与えられており(例えば、RCTつまり無作為化比較試験)、最も潜在的に客観的でない形(例えば、専門家の意見)は最も低いランクを与えられている。ランクは(関連性の高い順に)下記のものである。 データ量の多い無作為化比較試験 少量もしくは限りあるデータ量の、あるいは目標とする人とは関係のない集団に関する無作為化比較試験 非無作為化研究や観察研究 経験や研究合成に基づく専門家の意見 科学的根拠のレベルによる違いは何か? 何故この方法で科学的根拠をランク付けすることができたのかを見る前に、我々が見てきた様々な種類の研究について、またそれらの相違点について思い返してみよう。科学的方法を知り尽くしている場合は、次の見出しへ進むのが良いだろう。 無作為化比較試験とは何か? 無作為化比較試験とは、被験者が無作為に、そのうちの1つがコントロールグループである、2つもしくはそれ以上のグループに分けられる研究である。コントロールグループは介入が行われないグループである。プラセボ比較試験、盲検試験、もしくは二重盲検試験に対して参照がなされている場合、それはより厳密なバージョンの無作為化比較試験であることが多い。 プラセボ比較試験とは、介入をコントロールグループと比較するのみではなく、測定される変数に影響が全く無いか、もしくはごく僅かであると知られている偽の治療とも比較をしている研究のことである。「盲検化」の技術は単に被験者の集団属性を研究者たちから(先入観を防ぐために)、もしくは被験者たち自身から(介入効果を最小化するために)隠すことである。集団属性を研究者たちと被験者たちの両方から隠している研究が「二重盲検」試験である。 無作為化比較試験の代表例は何か? 無作為化比較試験で用いられる2つの一般的な研究デザインは、並列デザイン(被験者は2つのグループに分けられ、そのうち1つのグループのみが介入を受ける)とクロスオーバーデザイン(被験者の両方のグループが異なった順番での介入を受ける)である。 非無作為化比較試験とは何か? これらはほとんどの場合、観察研究や記述的研究であり、そこでは研究者たちが集団を選択し、これから起こる事やもう既に起こった事を知るために特定の要因を単に観察するものである。 非無作為化比較試験の例は何か? 観察研究の2つの一般的な例は、コホート研究とケースコントロール(症例対照)研究である。コホート研究では一定の集団が(将来的に何が起こるか待つことによって、もしくは過去に遡って起こったことを見ることにより)調査される。 ケースコントロール研究は、コホート研究が異なる特徴を持つ被験者のコントロールグループとの比較を行うこと以外、基本的にはコホート研究と同様である。さらに、横断的研究もまた非無作為化比較デザインである。これらの研究は全数調査の基本的な形を取っており、研究者が膨大なデータ間での相関関係を見いだすのを可能にする。 以上が様々な異なる研究調査の簡潔な概要である。専門家の意見はこれらすべての中にどのような形で適合するのであろうか?
あなたのトレーニング方法は科学的根拠に基づいているだろうか? パート2/2
ステップ3:科学的根拠の評価(続き) 専門家の意見はどこに適合するのか? 専門家の意見はこのリストの最後にあり、これは、しばしば人々を苛立たせる。しかし人間の心理には、潜在的に多くのバイアスとエラーが存在し、我々の誰もが例外ではない。最も一般的なエラーはもちろん相関関係と因果関係を取り違えることである。結局のところ、傾向に気が付くことは人間の性なのである。 しかしながら多くの場合、そこにも確証バイアスや投資バイアスなどのバイアスが存在する。確証バイアスは、人々が自身の現在の信念を確証するデータに気づき、それと相反するデータを見逃す可能性が高いために起こる。投資バイアスは、人々が投資をすればする程(時間やお金や地位など)より自分が正しいという考えを変えたくないという傾向になるために起こる。 例: 専門家がどのように相関関係を因果関係と取り違えるかは簡単にわかる。例えば彼らは、5年前にチームでハムストリングスの外傷が多発していて、グルート-ハムレイズは行わなかったことを思い出すかもしれない。また彼らは、ハムストリングの外傷が減少した現在、グルートーハムレイズを行っている、と記述するかもしれない。これにより彼らはグルート-ハムレイズがハムストリングの外傷を減少させたと推測してしまう可能性がある。 例: ハムストリングに重きを置くコーチが、筋挫傷の減少を助けるために高負荷のエキセントリックエクササイズがどのようにして(ハムストリングのような)筋肉の伸張を促進するか、ということに言及している研究に目を付ける可能性があるということは、簡単にわかることである。彼らは、如何なるものであれ、1つの要因のみに関する科学的根拠では十分ではないということを示唆する、ハムストリングの筋挫傷に関する様々な論文を見逃したのかもしれない。結局のところ、他のエクササイズや、単に外傷の既往歴の少ない選手のグループであったなど、別の要因がハムストリングの怪我の減少に貢献した可能性がある。 例: そして投資バイアスも、視覚化するのはとても容易である。おそらくグルート—ハムレイズに熱を上げている我々のコーチはいくつかの新しい機材に投資したのだろう。次のシーズンに考えを変えて、それらをプログラムから排除するということはどの程度ありえるのだろうか? 【注意:私はグルート—ハムレイズやハムストリングの怪我に対する意見を述べているのではなく、1例として取り上げているだけである。】 どのようにしてこのレベルの優先度が正しいと知るのか? この時点での適切な質問は、何故研究者たちは彼らが行ったような形でランク付けをしたのかを尋ねることである。結局のところ、もし我々が科学的根拠に基づいたアプローチを支持するのであれば、間違いなくこのランク付けの仕組みを評価するべきではなかろうか? 幸運なことにデータ解析と研究デザインを専門としている研究者たちは、無作為化比較試験が開始されて以来数十年に渡り、何回もこれを行ってきた。科学的厳密性の他にこれを行う理由は、無作為化比較試験は、特に盲検試験やプラセボ比較試験の場合、非常に高額になりがちであり、人々はより良い費用便益比率を得たかったからである。 一般的に(常にではないが)、これらの方法を行う研究者たちは結論として2つのキーポイントを挙げている。1つ目は、無作為化比較試験と非無作為化比較試験において得られる結果の間には、著しい相違があるということである。しかしながらこれらの結果は概して相反してはいないということは特筆すべきであろう。2つ目は、非無作為化比較試験は無作為化比較試験に比べ介入からのより大きな影響が生まれるということである。 ゆえに我々はこれから、選択バイアスは非無作為化比較試験の過程として起こるものだということを推測できるかもしれない。しかしながら、無作為化比較試験において起こり易い試験対象者基準の厳しい性質など、そこには非無作為化比較試験がより大きな影響をもたらす可能性がある他の理由がある。 要するに非無作為化比較試験は、無作為化比較試験と同様の結果を生み出す傾向にあるが、時として無作為化比較試験によって指定された集団における介入からもたらされた効果の規模を過大評価しがちなのである。多くの場合、無作為化比較試験はより限定された集団において行われるため、必要要件に見合う集団における無作為化比較試験をみつけるのはより困難となり得る。 ステップ4:科学的根拠の実務への取り入れ イングリッシュ及びその他は、入手可能な科学的根拠を用いた方法を評価した後、新しい科学的根拠に基づいた方法を実務に取り入れるかどうかについての決定をする際に鍵となる4つの原則があると解説している。それらは下記のものである。 入手可能な研究証拠の強度 アスリートやクライアントに固有の必要性 その方法の費用や費用対効果分析 専門知識 これらのポイントは一目瞭然であり、確実に異論をよぶことはないであろう。 例: 前に挙げたグルート—ハムレイズとハムストリングの怪我についての例を続行してこれらのガイドラインに従うと、コーチが機材に資金をつぎ込む前に、非常に強度の高い肯定的科学的根拠が必要である。同様に、そもそもコーチが陸上選手ではなく水泳選手をトレーニングしているのであれば、グルート—ハムレイズをプログラムする必要性は最小だったのかもしれない。 更に、もしコーチが限られた資金しかなく、スクワットラックが必要だったとしたら、彼らは彼らのプログラムに対してより根本的である基礎を優先したかもしれない。最終的に彼らは、彼らのコーチングチームは推奨されているようなプロトコールを担当する準備が整っておらず、導入前に更なるトレーニング時間が必要であると評価する可能性がある。 ステップ5:科学的根拠の再評価 一旦科学的根拠に基づいた方法が実務に導入されたならば、専門家としての我々は、継続して発展し続けるアプローチを取るべきであり、新しいデータが新しい結果をもたらしているかどうかを確認するために、常にクライアントやアスリートに起こっていることを評価し、再評価するべきであると研究者たちは強調している。 実践的意義は何か? 全てのストレングスコーチとフィットネスプロフェッショナルに対して: 科学的根拠に基づいたストレングス&コンディショニングは、最新の論文審査の対象となる研究論文からの根拠や専門的な根拠に基づいた、アスリートやクライアントのトレーニングに対する系統的なアプローチである。 科学的根拠に基づいたアプローチは、フィットネス専門家が有効性に従い入手可能な根拠をランク付けすることを必要とする。最もバイアスの少ない客観的な形の科学的根拠は高いランクを与えられ、一方、潜在的に最も客観的ではない形(例:専門家の意見)は最も低いランクを与えられる。
ファンクショナルムーブメントとは? パート1/2
10月に来日が決定したグレイインスティチュートの指導者のひとり、レニー・パラチーノのインタビューのパート1/2。ファンクショナルな動きとは一体何を意味するのか?そして10月のセミナーFSTTでもカバーする“メルト~モールド~ムーブ”のプロセスとは?是非御覧ください。